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38,484 | 中学校保健体育/心と体の関わり | 自律神経・心身相関
心で気づいていなくても、脳は自律神経や内分泌器官の活動に働きかけ、体の働きも変えてしまいます。自律神経は、体の働き(内臓・血管など)を調整しています。しかし、自律神経は筋肉と運動神経と結びついていません。したがって、自律神経は意思に関係なく勝手に働きます。自律神経系全体の働きは、脳の視床下部で行われています。
例えば、不安・緊張・怒り・喜びなどの感情は、脳内の自律神経の働きを変えたり、内分泌腺から感情ホルモンがつくられたりします。自律神経やホルモンは体内の様々な器官の働きを調節しているので、この影響は体の様々な部分に現れます。頭痛・腹痛・窒息・便秘の繰り返しなどの症状がみられます。また、その他の病気にかかりやすくなります。さらに、人前に出ると緊張して心拍数が上がり、口も渇きます。体調が悪くなったら、心の不調に気をつけましょう。
中学生になってから欲求不満やストレスを感じるのは、体や心が大きく変わり、人間関係や学校環境も大きく変わるからです。このような問題を解決しないと、体や心に悪影響が出るかもしれません。 | [
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"title": "心の動きと体の調子"
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== キーワード ==
自律神経・心身相関
== 心の動きと体の調子 ==
心で気づいていなくても、脳は'''自律神経'''や内分泌器官の活動に働きかけ、体の働きも変えてしまいます。自律神経は、体の働き(内臓・血管など)を調整しています。しかし、自律神経は筋肉と運動神経と結びついていません。したがって、自律神経は意思に関係なく勝手に働きます。自律神経系全体の働きは、脳の視床下部で行われています。
例えば、不安・緊張・怒り・喜びなどの感情は、脳内の自律神経の働きを変えたり、内分泌腺から感情ホルモンがつくられたりします。自律神経やホルモンは体内の様々な器官の働きを調節しているので、この影響は体の様々な部分に現れます。頭痛・腹痛・窒息・便秘の繰り返しなどの症状がみられます。また、その他の病気にかかりやすくなります。さらに、人前に出ると緊張して心拍数が上がり、口も渇きます。体調が悪くなったら、心の不調に気をつけましょう。
中学生になってから欲求不満やストレスを感じるのは、体や心が大きく変わり、人間関係や学校環境も大きく変わるからです。このような問題を解決しないと、体や心に悪影響が出るかもしれません。
== 体調の変化と心の関係 ==
反対に、体の調子が心の状態を左右します。例えば、浅い呼吸で血液中の酸素量が下がると、気分が悪くなったり、集中力や思考力が低下したり、間違った判断をしやすくなります。また、暑さで体温が上がって脳に向かう血流も増えると、気分が悪くなったり、集中力や思考力が低下したり、間違った判断をしやすくなります。さらに、体の痛みを感じると、集中力が落ちて、気分もすぐれなくなり、間違った判断もしやすくなります。
疲れていたり、強く緊張したりすると、集中したり、勉強したり、パソコン作業が出来なくなります。そのような場合は、お風呂に入ったり、休憩したり、深呼吸などをすると、気持ちも落ち着きます。その理由として、体がより多くの酸素を取り込むようになり、脳の血流が増えて、脳の使用部分もそれまでと違うからです。このように、心と体はお互いに影響し合います('''心身相関''')。
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育|こころとからたのかかわり]] | 2023-09-12T05:14:37Z | 2023-11-10T04:19:56Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E5%BF%83%E3%81%A8%E4%BD%93%E3%81%AE%E9%96%A2%E3%82%8F%E3%82%8A |
38,486 | 公職選挙法第225条 | 法学>行政法>公職選挙法>コンメンタール公職選挙法
(選挙の自由妨害罪)
2022年改正により、以下のとおり改正。2025年6月1日施行。 | [
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] | 法学>行政法>公職選挙法>コンメンタール公職選挙法 | [[法学]]>[[行政法]]>[[公職選挙法]]>[[コンメンタール公職選挙法]]
==条文==
(選挙の自由妨害罪)
;第225条
:選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
:#選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
:#交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
:#選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。
===改正経緯===
2022年改正により、以下のとおり改正。2025年6月1日施行。
:(改正前)懲役若しくは禁錮
:(改正後)拘禁刑
==解説==
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50720 公職選挙法違反](最高裁判決昭和43年12月4日)[[日本国憲法第15条|憲法第15条]],[[日本国憲法第25条|憲法第25条]],[[日本国憲法第28条|憲法第28条]],[[労働組合法第1条|労働組合法1条]]1項,[[労働組合法第2条|労働組合法2条]],[[公職選挙法第10条]]
##'''労働組合の統制権と憲法第28条'''
##:労働組合は、憲法第28条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。
##'''公職選挙への立候補の自由と憲法第15条第1項'''
##:公職の選挙に立候補する自由は、憲法第15条第1項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。
##'''労働組合の統制権と組合員の立候補の自由'''
##:労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。
----
{{前後
|[[コンメンタール公職選挙法|公職選挙法]]
|[[コンメンタール公職選挙法#16|第16章 罰則]]
|[[コンメンタール公職選挙法第224条の3|公職選挙法第224条の3]]<br />(候補者の選定に関する罪)
|[[コンメンタール公職選挙法第226条|公職選挙法第226条]]<br />(職権濫用による選挙の自由妨害罪)
}}
{{stub|law}}
[[category:公職選挙法|02]]
[[Category:旧選択的禁錮刑|こ公職選挙法02]] | 2023-09-12T22:30:04Z | 2023-12-22T05:53:26Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%AC%E8%81%B7%E9%81%B8%E6%8C%99%E6%B3%95%E7%AC%AC225%E6%9D%A1 |
38,492 | 数学演習/中学校2年生/不等式/解答 | 次の数量関係を、不等式を使って表しなさい。
解答:2x>y
解答: 1000 ≤ 3 a {\displaystyle 1000\leq 3a}
解答: 11.5 ≤ x < 12.5 {\displaystyle 11.5\leq x<12.5}
次の不等式を解きなさい。
次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。
( 1 ) {\displaystyle (1)}
( 2 ) {\displaystyle (2)}
( 3 ) {\displaystyle (3)}
( 4 ) {\displaystyle (4)}
( 5 ) {\displaystyle (5)}
解答: a = 2 {\displaystyle a=2} | [
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"title": "数量と不等式"
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"text": "次の不等式を解きなさい。",
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"text": "次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。",
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"text": "解答: a = 2 {\\displaystyle a=2}",
"title": "不等式の利用"
}
] | null | == 数量と不等式 ==
次の数量関係を、不等式を使って表しなさい。
:(1)<math>x</math>人に、y個の{{ruby|飴|あめ}}を1人に2個ずつ配ろうとすると足りなかった。
'''解答:2x>y'''
:(2)1000円で、<math>a</math>円の品物3個を買えた。
'''解答:<math>1000 \le3a</math>'''
:(3)ある数<math>x</math>を小数第1位で四捨五入すると12になった。
'''解答:<math>11.5\le x<12.5</math>'''
== 不等式 ==
次の不等式を解きなさい。
:(1)<math>3x<9</math> '''解答:<math>x>3</math>'''
:(2)<math>-4x+5 \geqq 13</math> '''解答:<math>x \le -2</math>'''
:(3)<math>3x-4>5x+9</math> '''解答:<math>x<-\frac{13}{2}</math>'''
:(4)<math>-5x < 2(3x+1)-3</math>''' 解答:<math>x<-5</math>'''
:(5)<math>-7x-6 \leqq 2(x+12)</math> '''解答:<math>x\leqq-\frac{10}{3}</math>'''
:(6)<math>\frac{2}{3}x-\frac{1}{2}<\frac{3}{4}x+1</math> '''解答:<math>x>-18</math>'''
:(7)<math>0.45x-0.28 \leqq 0.37x+0.2</math> '''解答:<math>x\leqq6</math>'''
== 連立不等式 ==
次の連立不等式を解きなさい。解がない場合は解なしと書くこと。
<math>(1)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 3x<-2x-5 \\ 3x-4\geqq -6x+5 \end{matrix}\right.</math> '''解答:解なし'''
<math>(2)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 6x\leqq 4x+2 \\ \frac{x}{2}+11>6x \end{matrix}\right.</math> '''解答:<math>x<1</math>'''
<math>(3)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} 4(2x-3)\leqq x-5 \\ 3x-2\geqq -2 \end{matrix}\right.</math> '''解答:<math>0<x\leqq 1</math>'''
<math>(4)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} -6<2x+3 \\ 5+3x>6x+5 \end{matrix}\right.</math> '''解答:<math>-\frac{9}{2}<x<0</math>'''
<math>(5)</math>
:<math>\left\{ \begin{matrix} \frac{3a}{4}+4 < \frac{1}{2}(-a-5) \\ -a-2\leqq7a+5 \end{matrix}\right.</math> '''解答:解なし'''
== 不等式の利用 ==
:(1)<math>x</math>についての不等式 <math>\frac{3x-5}{2}+4<5x-a</math> の解は<math>x>1</math>である。定数<math>a</math>の値を求めなさい。
'''解答:<math>a=2</math>'''
:(2)連立不等式 <math>5x-6 \leqq 2(x+2) \leqq ax-1</math> をみたす整数が5個あるように、定数<math>a</math>の値の{{ruby|範囲|はんい}}を求めなさい。
:(3)家から公園まで1.2kmある。家から分速60mで歩き、途中から分速180mで走ったところ、10分以上15分以下で公園に着いた。歩いた距離は何m以上何m以下ですか。
:(4)パンフレットを作ることになりました。代金は100部までは3000円で、それをこえる分は1枚につき23円です。1部あたりの値段を25円以下にするためには、何部以上作ればよいですか。
[[カテゴリ:中学校数学演習|2年ふとうしきこたえ]] | 2023-09-14T07:02:54Z | 2024-03-16T06:41:25Z | [
"テンプレート:Ruby"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E6%BC%94%E7%BF%92/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A12%E5%B9%B4%E7%94%9F/%E4%B8%8D%E7%AD%89%E5%BC%8F/%E8%A7%A3%E7%AD%94 |
38,496 | Python/TheOtherModules | open-Python - ファイルやリンクをデフォルトアプリケーションで開くためのラッパー | [
{
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"text": "open-Python - ファイルやリンクをデフォルトアプリケーションで開くためのラッパー",
"title": ""
}
] | null | = その他のサードパーティーモジュールたち =
[[/open-Python|open-Python]] - ファイルやリンクをデフォルトアプリケーションで開くためのラッパー
[[カテゴリ:Python]] | 2023-09-16T03:35:41Z | 2023-11-22T12:00:57Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/Python/TheOtherModules |
38,497 | 中学校保健体育/体の発育・発達 | 器官・発育急進期・個人差・運動・食事・休養・睡眠
※私達の体は発育急進期を迎えるとどのように変わりますか?
私達は年齢を重ねると、体も変わり、大人に近づきます。背が高くなったり太ったりするのと同じように、私達の様々な器官も大きくなったり重くなったりしています(発育)。
ほとんどの器官(骨・筋肉・心臓・肺・胃腸・肝臓など)は、成長するまでに発育急進期を2回迎えます。子供が産まれるとすぐに第1発育急進期を迎えます。思春期は、小学校高学年から高校生までの時期を指します。思春期に第2発育急進期を迎え、子供から大人に変わります。女の子は男の子よりも早く第2発育急進期を迎えます。しかし、個人差からその時期や程度が変わります。発育急進期を迎えると、骨・筋肉・肺・心臓などの器官が発育します。その結果、身長が急激に伸び、体重も増えます。また、筋力・持久力がついて、呼吸器や循環器の働きも高まります(発達)。
私達の体は思春期を迎えると、大きく発育します。しかし、手足の長さが身長と合っていなかったり、筋力が追いつかなかったりして、運動もぎこちなくなります。しかし、これは短期間しか続きません。
※体の各器官は全て同じように発育・発達しますか?
体の各器官の発育時期や発達時期はそれぞれ違います。例えば、胸腺・扁桃などのリンパ器官は子供の頃から発育するようになり、思春期になると大人より発育します。その後、リンパ器官は小さくなり、大人と同じ大きさになります。胸腺・扁桃などのリンパ器官は危険な病原菌から体を守り、免疫を高めるために欠かせません。また、脳や脊髄などの神経は、他の器官よりも速く発育・発達します。思春期を迎えると、脳や脊髄などの神経は大人と同じくらいまで発育します。
思春期を迎えると、男の子の精巣や女の子の卵巣などの生殖器【性器】の発育が大きく早まり、生殖機能も果たせるようになります。加えて、人間の体は明らかに変わり、これまで見られなかったような男の子や女の子の特徴がはっきり現れるようになります。生殖機能が発達すると、排卵や射精が起こります。このように、思春期を迎えると、男女双方に身体的変化が見られます(二次性徴)。
★各器官の発育の仕方
※思春期になったら、どのような生活を送らなければなりませんか?
思春期になると、様々な器官が大きくなり、その仕組みも大きく変わります。運動・食事・休養・睡眠などを毎日しっかりとって、健康的な生活を送れば、体を大きく育てられます。
例えば、無理なダイエットをしないで、必要な栄養素を食事からしっかりとって健康的な食生活を送るようにしましょう。読書・スポーツ・人とのつながり・自然体験なども脳や神経の働きを高めます。 | [
{
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"text": "器官・発育急進期・個人差・運動・食事・休養・睡眠",
"title": "キーワード"
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"text": "※私達の体は発育急進期を迎えるとどのように変わりますか?",
"title": "体の発育の特徴"
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"title": "体の発育の特徴"
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"text": "ほとんどの器官(骨・筋肉・心臓・肺・胃腸・肝臓など)は、成長するまでに発育急進期を2回迎えます。子供が産まれるとすぐに第1発育急進期を迎えます。思春期は、小学校高学年から高校生までの時期を指します。思春期に第2発育急進期を迎え、子供から大人に変わります。女の子は男の子よりも早く第2発育急進期を迎えます。しかし、個人差からその時期や程度が変わります。発育急進期を迎えると、骨・筋肉・肺・心臓などの器官が発育します。その結果、身長が急激に伸び、体重も増えます。また、筋力・持久力がついて、呼吸器や循環器の働きも高まります(発達)。",
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"text": "※体の各器官は全て同じように発育・発達しますか?",
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"text": "思春期を迎えると、男の子の精巣や女の子の卵巣などの生殖器【性器】の発育が大きく早まり、生殖機能も果たせるようになります。加えて、人間の体は明らかに変わり、これまで見られなかったような男の子や女の子の特徴がはっきり現れるようになります。生殖機能が発達すると、排卵や射精が起こります。このように、思春期を迎えると、男女双方に身体的変化が見られます(二次性徴)。",
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"title": "各器官の発育・発達の仕方"
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"text": "例えば、無理なダイエットをしないで、必要な栄養素を食事からしっかりとって健康的な食生活を送るようにしましょう。読書・スポーツ・人とのつながり・自然体験なども脳や神経の働きを高めます。",
"title": "思春期の生活と発育・発達"
}
] | null | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>体の発育・発達
== キーワード ==
器官・発育急進期・個人差・運動・食事・休養・睡眠
== 体の発育の特徴 ==
※私達の体は発育急進期を迎えるとどのように変わりますか?
私達は年齢を重ねると、体も変わり、大人に近づきます。背が高くなったり太ったりするのと同じように、私達の様々な'''器官'''も大きくなったり重くなったりしています(発育)。
ほとんどの器官('''骨'''・'''筋肉'''・'''心臓'''・'''肺'''・胃腸・肝臓など)は、成長するまでに'''発育急進期'''を2回迎えます。子供が産まれるとすぐに第1発育急進期を迎えます。思春期は、小学校高学年から高校生までの時期を指します。思春期に第2発育急進期を迎え、子供から大人に変わります。女の子は男の子よりも早く第2発育急進期を迎えます。しかし、'''個人差'''からその時期や程度が変わります。発育急進期を迎えると、骨・筋肉・肺・心臓などの器官が発育します。その結果、身長が急激に伸び、体重も増えます。また、筋力・持久力がついて、呼吸器や循環器の働きも高まります(発達)。
私達の体は思春期を迎えると、大きく発育します。しかし、手足の長さが身長と合っていなかったり、筋力が追いつかなかったりして、運動もぎこちなくなります。しかし、これは短期間しか続きません。
== 各器官の発育・発達の仕方 ==
※体の各器官は全て同じように発育・発達しますか?
[[ファイル:スキャモン発育発達曲線svg.svg|サムネイル|600x600ピクセル|リチャード・エヴァリンガム・スキャモンの発育発達曲線]]
体の各器官の発育時期や発達時期はそれぞれ違います。例えば、胸腺・扁桃などのリンパ器官は子供の頃から発育するようになり、思春期になると大人より発育します。その後、リンパ器官は小さくなり、大人と同じ大きさになります。胸腺・扁桃などのリンパ器官は危険な病原菌から体を守り、免疫を高めるために欠かせません。また、脳や脊髄などの'''神経'''は、他の器官よりも速く発育・発達します。思春期を迎えると、脳や脊髄などの神経は大人と同じくらいまで発育します。
思春期を迎えると、男の子の精巣や女の子の卵巣などの'''生殖器'''【性器】の発育が大きく早まり、生殖機能も果たせるようになります。加えて、人間の体は明らかに変わり、これまで見られなかったような男の子や女の子の特徴がはっきり現れるようになります。生殖機能が発達すると、排卵や射精が起こります。このように、思春期を迎えると、男女双方に身体的変化が見られます(二次性徴)。
{| style="border:2px solid #EA5419;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#EA5419" |'''骨の基礎は思春期につくられる'''
|-
| style="padding:5px" |骨量とは、カルシウムなどのミネラル量が骨の中にどれだけ含まれているのかをいいます。思春期の発育急進期を迎えると、骨量はいきなり増え、20代から30歳代にピークに達します。思春期を迎えたら、丈夫な骨を作るために、カルシウムやタンパク質などを含む食品を摂って、体を動かしていかなければなりません。丈夫な骨を作れば、将来になっても骨量の減少を防いで、骨折しにくくなります。
|}
★各器官の発育の仕方
{| class="wikitable"
!リンパ型(胸腺・扁桃・リンパ節など)
|リンパ器官は思春期を迎えると大人のほぼ2倍の大きさになります。
その後、次第に小さくなります。
|-
!神経型(脳・脊髄など)
|他の器官よりも早く発育・発達します。
特に乳幼児期が著しく、4歳頃になると大人の80%までになります。
それ以後はゆっくり発育・発達します。
|-
!一般型(骨・筋肉・心臓・肺・胃腸・肝臓など)
|身長と体重と同じように、産まれてからすぐに発育・発達します。
その後少しずつ大きくなります。
思春期を迎えると再び大きく発育・発達します。
|-
!生殖腺型(精巣・卵巣など)
|精巣・卵巣・子宮などの生殖器は、かなりゆっくり発育・発達します。
しかし、思春期を迎えると急速に発育・発達します。
|}
== 思春期の生活と発育・発達 ==
※思春期になったら、どのような生活を送らなければなりませんか?
思春期になると、様々な器官が大きくなり、その仕組みも大きく変わります。'''運動'''・'''食事'''・'''休養'''・'''睡眠'''などを毎日しっかりとって、健康的な生活を送れば、体を大きく育てられます。
例えば、無理なダイエットをしないで、必要な栄養素を食事からしっかりとって健康的な食生活を送るようにしましょう。読書・スポーツ・人とのつながり・自然体験なども脳や神経の働きを高めます。
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育]] | 2023-09-16T05:45:32Z | 2023-10-22T22:28:46Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E4%BD%93%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%82%B2%E3%83%BB%E7%99%BA%E9%81%94 |
38,498 | 日本国憲法第93条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【地方議会、長・議員の直接選挙】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【地方議会、長・議員の直接選挙】
;第92条
#地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
#地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第93条}}
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52951 懲罰決議等取消請求](最高裁判決 昭和35年10月19日)[[裁判所法第3条]],[[地方公務員法第134条]],[[地方自治法第135条]]
#;地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決と裁判権。
#:地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決の適否は裁判権の外にある。('''旧判例''':[[#最高裁判決令和2年11月25日|変更判例]])
#<span id="最高裁判決平成7年02月28日"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52525&hanreiKbn=02 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消](最高裁判決平成7年02月28日)[[日本国憲法第15条]]1項,[[地方自治法第11条]],[[地方自治法第18条]],[[公職選挙法第9条]]2項
#;日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項と憲法15条1項、93条2項
#:日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項は、憲法15条1項、93条2項に違反しない。
#:*地方自治について定める憲法第8章は、93条2項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法15条1項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有す日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
#:*憲法93条2項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない。
#<span id="最高裁判決令和2年11月25日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89851 出席停止処分取消等請求事件](最高裁判決 令和2年11月25日)[[裁判所法第3条]]第1項,[[地方公務員法第134条]]第1項,[[地方自治法第135条]]第1項第3号,[[日本国憲法第92条|憲法92条]]
#;普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査
#:普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。
#:*憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科されるものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。
#:*他方、議員は,憲法上の住民自治の原則を具現化するため,議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負う。
#:*出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。そうすると,出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。
#:*したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。これと異なる趣旨をいう所論引用の当裁判所大法廷昭和35年10月19日判決その他の当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#8|第8章 地方自治]]
|[[日本国憲法第92条]]<br>【地方自治の基本原則】
|[[日本国憲法第94条]]<br>【地方公共団体の権能、条例制定権】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|93]] | 2023-09-17T08:23:52Z | 2023-09-18T04:19:22Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC93%E6%9D%A1 |
38,499 | 日本国憲法第53条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【臨時会】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【臨時会】
;第53条
:内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第53条}}
==参照条文==
*[[国会法第3条]]
*:臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。
*[[地方自治法第101条]]
*:第3項
*::議員の定数の4分の1以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。
*:第4項
*::前2項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から20日以内に臨時会を招集しなければならない。
*:第6項
*::第3項の規定による請求のあつた日から20日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第1項の規定(首長による議会の招集)にかかわらず、議長は、第3項の規定による請求をした者の申出に基づき、当該申出のあつた日から、都道府県及び市にあつては10日以内、町村にあつては6日以内に臨時会を招集しなければならない。
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92353 憲法53条違憲国家賠償等請求事件](最高裁判決令和5年9月12日)
#;憲法53条後段の規定により国会の臨時会の召集を決定することの要求をした国会議員の内閣による上記の決定の遅滞を理由とする国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求の当否
#:憲法53条後段の規定により国会の臨時会の召集を決定することの要求(以下、「臨時会召集要求」)をした国会議員は、内閣による上記の決定の遅滞を理由として、国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることはできない。
#:#臨時会召集要求をした場合、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことに関する確認の訴え
#:#:→「[[訴えの利益]]([[確認の利益]])」を欠く。訴えの利益を欠く以上、遅滞の適否や当否等に関し裁判所の判断を要しないものとして、判決においては判断を回避。
#:#*本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務又は上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えであると解されるから、当事者間の具体的な権利義務又は法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。そうすると、'''本件各確認の訴えは、法律上の争訟に当たる'''というべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。
#:#*:(原審における以下の判断を否定)
#:#*:*臨時会召集要求は国会議員が国の機関として有する権限を行使するものであり、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有しているということはできないから、本件各確認の訴えは、国会議員が上記権限の侵害を理由とするものであって自己の権利又は利益の保護救済を目的とするものではないというべきであり、[[裁判所法第3条|裁判所法3条]]1項にいう法律上の争訟には当たらない。
#:#*本件各確認の訴えは、将来、上告人を含む参議院議員が憲法53条後段の規定により臨時会召集要求をした場合における臨時会召集決定の遅滞によって上告人自身に生ずる不利益を防止することを目的とする訴えであると解されるところ、'''将来'''、上告人を含む参議院の総議員の4分の1以上により'''臨時会召集要求がされるか否かや、それがされた場合に臨時会召集決定がいつされるかは現時点では明らかでない'''といわざるを得ない。そうすると、上告人に上記'''不利益が生ずる現実の危険があるとはいえず'''、本件各確認の訴えは、'''確認の利益を欠き、不適法である'''というべきである。
#:#:<u>[[w:宇賀克也|宇賀克也]]裁判官反対意見</u>
#:#:*争訟としての妥当性(判決同旨)
#:#:*:国会議員にとって、国会において国民の代表として質問、議案の発議、表決等を行うことは、最も重要な活動といえ、憲法上は召集されるはずであった臨時会で上記のような議員活動をすることができないことは極めて重大な不利益であり、事後的な損害賠償によって回復できるものではないので、憲法53条後段の規定による臨時会召集要求があったにもかかわらず臨時会召集決定がされないという事態を事前に防止するための法的手段が用意されていてしかるべきである。そして、そのような法的手段としては、抗告訴訟としての義務付け訴訟も考えられるが、臨時会の召集を抗告訴訟の対象となる処分とみることができるかについては、否定説も成立し得るから、'''実質的当事者訴訟としての確認訴訟は、当事者間の具体的紛争解決にとって適切な手段である'''といい得ると思われる。
#:#:*「[[確認の利益]]([[即時確定の利益]])」の存在
#:#:*:本件の原告は、国会議員であり、国会議員としての地位を恒常的に有するとはいえないが、参議院の場合には解散はなく、任期中に再度、憲法53条後段の規定による臨時会召集要求に加わることは可能である。臨時会召集要求がされた場合、内閣として臨時会で審議すべき事項等も勘案して、召集時期を決定する裁量があるという認識があるからと思われ、そうである以上、令和5年ないし令和6年に(=原告の任期中に)臨時会召集要求がされても、20日以内に臨時会が召集されない蓋然性は相当に高いと思われる。したがって、即時確定の利益も認められる。
#:#:*:いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、合理的期間内にその召集を決定する法的義務を負うところ、その例外は、常会又は特別会の開会が間近に迫っているので、臨時会を召集しなくても、常会又は特別会によって国会における議論の場が適時に確保され、憲法53条後段の趣旨が没却されない場合、又は天災地変や戦争により、臨時会の召集が物理的に不可能になった場合等の特段の事情がある場合に限られる。
#:#:*:憲法53条後段の眼目が少数派議員による国会での質問、議案の発議、表決等を可能にするという、いわゆる「少数派権」の尊重にあること、議員も一定の要件の下で議案を提出することができること([[国会法第56条|国会法56条]]1項)、委員会も、その所管に属する事項に関し法律案を提出することができること([[国会法第50条の2|同法50条の2]]第1項)に加え、行政監視も国会の重要な役割であり、臨時会召集要求の重要な動機になることが多いと考えられることに照らしても、内閣が法律案提出の準備を理由として憲法53条後段の規定による臨時会召集決定を遅延させることは許されない。合理的期間について、憲法は定めていないが、20日あれば、十分と思われる。このことは、自由民主党の憲法改正草案において、憲法53条について、要求があった日から20日以内に臨時会を召集しなければならないと規定されていることからもうかがえる。また、同条後段と同趣旨の規定は、[[地方自治法第101条|地方自治法101条]]3項に置かれているが、同条4項は、臨時会の招集の請求があった場合、普通地方公共団体の長は、請求のあった日から20日以内に臨時会を招集しなければならないと定めている。上告人が次に憲法53条後段の規定による臨時会召集要求をした場合、特段の事情がない限り、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うと解されるから、原判決のうち本件各確認の訴えに係る部分を破棄し、本件各確認の訴えのうち主位的訴えに係る請求を上記の限度で認容すべきである。
#:#内閣が臨時会召集要求から長期間(本件では92日間)にわたって臨時会召集決定をしなかったことが違憲、違法であり、これにより、国会議員としての権利を行使することができなかったなどとして、[[国家賠償法第1条|国家賠償法1条]]1項に基づく損害賠償の訴え
#:#:→「[[当事者適格]]」を欠く。
#:#*憲法53条後段の規定は、国会と内閣との間における権限の分配という観点から、内閣が臨時会召集決定をすることとしつつ、これがされない場合においても、国会の会期を開始して国会による国政の根幹に関わる広範な権能の行使を可能とするため、各議院を組織する一定数以上の議員に対して臨時会召集要求をする権限を付与するとともに、この臨時会召集要求がされた場合には、内閣が臨時会召集決定をする義務を負うこととしたものと解されるのであって、個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利又は利益を保障したものとは解されない。
#:#*同条後段の規定上、臨時会の召集について各議院の少数派の議員の意思が反映され得ることを踏まえても、同条後段が、個々の国会議員に対し、召集後の臨時会において議員活動をすることができるようにするために臨時会召集要求に係る権利又は利益を保障したものとは解されず、同条後段の規定による臨時会召集決定の遅滞によって直ちに召集後の臨時会における個々の国会議員の議員活動に係る権利又は利益が侵害されるということもできない。
#:#:<u>[[w:宇賀克也|宇賀克也]]裁判官反対意見</u>
#:#:*:国家賠償法1条1項の損害賠償請求が認められるかの要件を検討するに、①「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員による作為又は不作為であること」及び②「職務関連性があること」の要件を満たしていることは明らかと思われる。③「違法性があること」については、本件においては、憲法53条後段の規定による臨時会召集要求から98日後に臨時会が召集された上、召集された臨時会の冒頭で衆議院が解散され、臨時会での審議は全く行われなかったので、臨時会召集要求は拒否されたとみざるを得ない。かかる対応は、上記特段の事情が認められない限り、違法であるといわざるを得ない。④「故意又は過失があること」についても、同条後段の規定による臨時会召集要求があった場合、内閣として法律案提出の準備に要する期間を考慮すべきではなく、事務的に必要な最小限の期間内に召集する義務があることについては、学説上も異論はないところであり、過失の存在も認めざるを得ない。また、国会議員は、国民の代表として、国会での審議に参画し、質問、議案の発議、表決等を行うことが最も重要な職務であるが、国会が召集されていない期間は、国会における国会議員としての活動はできないことになるから、違法に臨時会が召集されなかった期間は、国会議員としての活動が妨げられたことになり、⑤「他人に損害が生じていること」の要件も満たす。そして、<u>本件において、違法な不作為と損害の間に相当因果関係があることも明らか</u>である。
#:#:*:個々の国会議員は、国会の審議に参画して表決に加わる権利を有するのであり、違法な臨時会の召集の遅延による国会の審議に参画して表決に加わる権利の侵害として争うことができると考えられるため。損害は、法的保護に値する。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第52条]]<br>【常会】
|[[日本国憲法第54条]]<br>【衆議院の解散と特別会、参議院の緊急集会】
}}
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[[category:日本国憲法|53]] | 2023-09-17T09:14:34Z | 2023-09-17T19:18:06Z | [
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38,506 | 日本国憲法第41条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【国会の地位、立法権】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【国会の地位、立法権】
;第41条
:国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第41条}}
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第40条]]<br>【刑事補償】
|[[日本国憲法第42条]]<br>【両院制】
}}
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[[category:日本国憲法|41]] | 2023-09-20T23:06:12Z | 2023-09-20T23:06:12Z | [
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38,507 | 日本国憲法第42条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【両院制】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【両院制】
;第42条
:国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第42条}}
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82641 選挙無効請求事件](最高裁判決平成24年10月17日)[[日本国憲法第14条|憲法14条]]1項,[[日本国憲法第15条|憲法15条]]1項,憲法15条3項,[[日本国憲法第43条|憲法43条]]1項,[[日本国憲法第44条|憲法44条]],[[公職選挙法第14条|公職選挙法14条]],[[公職選挙法別表第3]]
#:→「1票の格差」問題については、[[日本国憲法第14条#平成24年10月17日|憲法第14条・判例]]参照
#;衆議院と参議院の異同
#:憲法は,二院制の下で,一定の事項について衆議院の優越を認め([[日本国憲法第59条|憲法59条]], [[日本国憲法第60条|憲法60条]], [[日本国憲法第61条|憲法61条]], [[日本国憲法第67条|憲法67条]], [[日本国憲法第69条|憲法69条]]),その反面,参議院議員の任期を6年の長期とし,解散([[日本国憲法第54条|憲法54条]])もなく,選挙は3年ごとにその半数について行う([[日本国憲法第46条|憲法46条]])ことを定めている。その趣旨は,議院内閣制の下で,限られた範囲について衆議院の優越を認め,機能的な国政の運営を図る一方,立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限を与え,参議院議員の任期をより長期とすることによって,多角的かつ長期的な視点からの民意を反映し,衆議院との権限の抑制,均衡を図り,国政の運営の安定性,継続性を確保しようとしたものと解される。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第41条]]<br>【国会の地位、立法権】
|[[日本国憲法第43条]]<br>【両議院の組織】
}}
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[[category:日本国憲法|42]] | 2023-09-20T23:10:18Z | 2023-09-21T02:42:16Z | [
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38,508 | 日本国憲法第43条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【両議院の組織】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【両議院の組織】
;第43条
#両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
#両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第43条}}
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第42条]]<br>【両院制】
|[[日本国憲法第44条]]<br>【議員及び選挙人の資格】
}}
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[[category:日本国憲法|43]] | 2023-09-20T23:14:19Z | 2023-09-20T23:14:19Z | [
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38,509 | 日本国憲法第44条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【議員及び選挙人の資格】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【議員及び選挙人の資格】
;第44条
:両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第44条}}
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54754 公職選挙法違反](最高裁判決昭和30年2月9日)[[日本国憲法第15条]], [[公職選挙法第252条]], [[日本国憲法第14条]]
#;公職選挙法第252条の合憲性
#:公職選挙法第252条(選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)は憲法第14条、第44条に違反せず、かつ国民の参政権を不当に奪うものではない。
#:*国民主権を宣言する憲法の下において、公職の選挙権が国民の最も重要な基本的権利の一であることは所論のとおりであるが、それだけに選挙の公正はあくまでも厳粛に保持されなければならないのであつて、一旦この公正を阻害し、選挙に関与せしめることが不適当とみとめられるものは、しばらく、被選挙権、選挙権の行使から遠ざけて選挙の公正を確保すると共に、本人の反省を促すことは相当であるからこれを以て不当に国民の参政権を奪うものというべきではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52338 在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件](最高裁判決平成17年9月14日)[[日本国憲法第15条|憲法第15条]],[[日本国憲法第41条|憲法第41条]],[[日本国憲法第43条|憲法第43条]]1項,公職選挙法第4章の2 在外選挙人名簿,[[公職選挙法第42条]],[[公職選挙法第49条の2]],公職選挙法附則8項,公職選挙法(平成12年法律第62号による改正前のもの)21条1項,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)42条,[[住民基本台帳法第15条|住民基本台帳法15条]]1項,[[行政事件訴訟法第4条|行政事件訴訟法4条]],[[国家賠償法第1条|国家賠償法1条1項]]
##'''公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が在外国民の国政選挙における投票を平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時全く認めていなかったことと憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書'''
##:平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
##'''公職選挙法附則8項の規定のうち在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分と憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書'''
##:公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第43条]]<br>【両議院の組織】
|[[日本国憲法第45条]]<br>【衆議院議員の任期】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|44]] | 2023-09-20T23:25:36Z | 2023-09-20T23:26:36Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC44%E6%9D%A1 |
38,514 | 2進数 | 1001 ( 9 ) {\displaystyle 1001(9)} のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
2進数はその桁の値が2になると桁が上がる表記法です。すなわち、2進数での数は0と1のみで表記されます。以下に10進数(私たちが通常用いる数字の表記法)を2進数で表す例を示します。
列記してみてわかるように、2進数の各桁は2の冪数( 2 n {\displaystyle 2^{n}} )になっていることがわかります。例えば一桁目は 2 0 = 1 {\displaystyle 2^{0}=1} , 二桁目は 2 1 = 2 {\displaystyle 2^{1}=2} , 小数点以下に関しても一桁目が 2 − 1 = 1 2 = 0.5 {\displaystyle 2^{-1}={\frac {1}{2}}=0.5} , 二桁目が 2 − 2 = 1 4 = 0.25 {\displaystyle 2^{-2}={\frac {1}{4}}=0.25} となっています。
2進数の足し算と引き算に関しては10進数のそれと同じような要領でできます。
左の計算では、一桁目は 0 + 1 = 1 {\displaystyle 0+1=1} , 二桁目は 1 + 1 = 10 {\displaystyle 1+1=10} , 三桁目は二桁目から繰り上がった 1 {\displaystyle 1} が入っています。右の計算では、一桁目は 1 − 1 = 0 {\displaystyle 1-1=0} , 二桁目は三桁目から繰り下がりして 10 − 1 = 1 {\displaystyle 10-1=1} , 三桁目は二桁目で繰り下がったため 0 {\displaystyle 0} が入っています。
2進数のかけ算とわり算に関して、10進数のそれとはあまり応用が効きません。理由として通常計算をする際には、各自暗記した九九を転用して行うこととなりますが、2進数のそれは別のものとなるためです。そのため、基数変換によって2進数を10進数に変換するか、後述のシフト演算という手法を用いることになります。
2進数の各桁は10進数で見たときに2の冪数となっていることは前述したとおりです。つまり、現在の数字に2をかけると左に一つ桁がズレ、2で割ると右に一つ桁がズレます。
上の例ではカッコ内に10進数で表記した際の数字を記述していますが、確かに数字そのままに桁を一つズラすと各2でかけ算わり算をしたときの結果になっていることがわかると思います。
シフト演算では、この桁のズレを利用して計算を行います。上記の桁のズラしを1回行うと、2でのかけ算(わり算)が行われます。つまり、左(右)に桁をn回ズラすと、現在の数字に 2 n {\displaystyle 2^{n}} でかけ算(わり算)を行うという処理になることがわかると思います。以下に例を示します。カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
しかし、このやり方のみでは 2 n {\displaystyle 2^{n}} での積除算しかできません。そのため、 2 n {\displaystyle 2^{n}} 以外でかけ算わり算をするときには足し算引き算も使用します。以下に例を示します。 | [
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] | 1001 のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。 2進数はその桁の値が2になると桁が上がる表記法です。すなわち、2進数での数は0と1のみで表記されます。以下に10進数(私たちが通常用いる数字の表記法)を2進数で表す例を示します。 列記してみてわかるように、2進数の各桁は2の冪数になっていることがわかります。例えば一桁目は 2 0 = 1 , 二桁目は 2 1 = 2 , 小数点以下に関しても一桁目が 2 − 1 = 1 2 = 0.5 , 二桁目が 2 − 2 = 1 4 = 0.25 となっています。 | <math>1001(9)</math>のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
'''2進数'''は'''その桁の値が2になると桁が上がる表記法'''です。すなわち、2進数での数は'''0'''と'''1'''のみで表記されます。以下に10進数(私たちが通常用いる数字の表記法)を2進数で表す例を示します。
{| class="wikitable"
|-
! 10進数 !! 2進数
|-
| 0 || 0
|-
| 1 || 1
|-
| '''2''' || '''10'''
|-
| 3 || 11
|-
| '''4''' || '''100'''
|-
| 10 || 1010
|-
| 100 || 1100100
|-
| '''0.5''' || '''0.1'''
|-
| '''0.25''' || '''0.01'''
|-
| 0.75 || 0.11
|}
列記してみてわかるように、2進数の各桁は'''2の冪数'''(<math>2^n</math>)になっていることがわかります。例えば一桁目は<math>2^0 = 1</math>, 二桁目は<math>2^1 = 2</math>, 小数点以下に関しても一桁目が<math>2^{-1} = \frac{1}{2} = 0.5</math>, 二桁目が<math>2^{-2} = \frac{1}{4} = 0.25</math>となっています。
== 四則演算 ==
=== 和算・減算 ===
2進数の足し算と引き算に関しては'''10進数のそれと同じような要領でできます'''。
{| border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" style="background:#eeffee; border:solid 2px #cccccc; float:right;"
|- align="center"
|align="right"|
|
|
|1
|0
|1
|
|- align="center"
|
|align="right" style="text-decoration:underline;"|-
|style="text-decoration:underline;"|
|style="text-decoration:underline;"| 0
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|style="text-decoration:underline;"| 1
|
|- align="center"
|
|
|
|0
|1
|0
|
|
|}
{| border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" style="background:#eeffee; border:solid 2px #cccccc; float:right;"
|- align="center"
|align="right"|
|
|
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|
|- align="center"
|
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|style="text-decoration:underline;"| 1
|
|- align="center"
|
|
|
|1
|0
|1
|
|
|}
左の計算では、一桁目は<math>0 + 1 = 1</math>, 二桁目は<math>1 + 1 = 10</math>, 三桁目は二桁目から繰り上がった<math>1</math>が入っています。右の計算では、一桁目は<math>1 - 1 = 0</math>, 二桁目は三桁目から繰り下がりして<math>10 - 1 = 1</math>, 三桁目は二桁目で繰り下がったため<math>0
</math>が入っています。
=== 積算・除算 ===
2進数のかけ算とわり算に関して、10進数のそれとはあまり応用が効きません。理由として通常計算をする際には、各自暗記した[[小学校算数/2学年#九九|九九]]を転用して行うこととなりますが、2進数のそれは別のものとなるためです。<ref>実際には、2進数でかけ算の筆算をしてみると10進数と同じ感覚でできます。しかし、ある意味偶然の残物というべきものであり、事実[[16進数]]などでは使えません。小技として使えることは頭に入れてもいいと思いますが、正統な方法を覚えることに損はないと考えます。</ref>そのため、'''[[基数変換]]'''によって2進数を10進数に変換するか、後述の'''シフト演算'''という手法を用いることになります。
==== シフト演算 ====
2進数の各桁は10進数で見たときに2の冪数となっていることは前述したとおりです。つまり、'''現在の数字に2をかけると左に一つ桁がズレ、2で割ると右に一つ桁がズレます'''。
: <math>00101(5)</math>
: <math>01010(10)</math>
: <math>0010.1(2.5)</math>
上の例ではカッコ内に10進数で表記した際の数字を記述していますが、確かに数字そのままに桁を一つズラすと各2でかけ算わり算をしたときの結果になっていることがわかると思います。
シフト演算では、この桁のズレを利用して計算を行います。上記の桁のズラしを1回行うと、2でのかけ算(わり算)が行われます。つまり、'''左(右)に桁をn回ズラすと、現在の数字に<math>2^n</math>でかけ算(わり算)を行う'''という処理になることがわかると思います。以下に例を示します。カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
: <math>01010(10) \times 10(2) = 10100(20)</math>
: <math>01010(10) \times 100(4) = 101000(40)</math>
: <math>101000(40) \div 10(2) = 010100(20)</math>
: <math>101000(40) \div 100(4) = 001010(10)</math>
しかし、このやり方のみでは<math>2^n</math>での積除算しかできません。そのため、'''<math>2^n</math>以外でかけ算わり算をするときには足し算引き算も使用します'''。以下に例を示します。
: <math>11(3) \times 1001(9) = 11(3) \times 1000(8) + 11(3) \times 1(1) = 11000(24) + 11(3) = 11011(27)</math>
== 注釈 ==
{{DEFAULTSORT:02しんすう}}
[[Category:情報処理技術者試験]][[Category:計算機科学]][[Category:数学]] | 2023-09-23T08:04:35Z | 2023-09-23T08:25:18Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/2%E9%80%B2%E6%95%B0 |
38,515 | 16進数 | この記事は2進数を読んだ前提で記述しています。また、 1001 ( 9 ) {\displaystyle 1001(9)} のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
16進数はその桁の値が16になると桁が上がる表記法です。普段数字の表記で用いるアラビア数字では0~9までの数字しか存在していないので、16進数ではA~Fのアルファベットも用います。
2進数と同様に、16進数の各桁の重みは16の冪数( 16 n {\displaystyle 16^{n}} )になっています。例えば一桁目は 16 0 = 1 {\displaystyle 16^{0}=1} , 二桁目は 16 1 = 16 {\displaystyle 16^{1}=16} , 小数点以下に関しても一桁目が 16 − 1 = 1 16 = 0.0625 {\displaystyle 16^{-1}={\frac {1}{16}}=0.0625} , 二桁目が 16 − 2 = 1 256 = 0.00390625 {\displaystyle 16^{-2}={\frac {1}{256}}=0.00390625} となっています。
16進数の足し算と引き算に関しては10進数のそれと同じような要領でできます。
16進数のかけ算とわり算に関して、10進数のそれとはあまり応用が効きません。そのため、一般的には基数変換によって16進数を10進数に変換して計算を行います。 | [
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] | この記事は2進数を読んだ前提で記述しています。また、 1001 のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。 16進数はその桁の値が16になると桁が上がる表記法です。普段数字の表記で用いるアラビア数字では0~9までの数字しか存在していないので、16進数ではA~Fのアルファベットも用います。 2進数と同様に、16進数の各桁の重みは16の冪数になっています。例えば一桁目は 16 0 = 1 , 二桁目は 16 1 = 16 , 小数点以下に関しても一桁目が 16 − 1 = 1 16 = 0.0625 , 二桁目が 16 − 2 = 1 256 = 0.00390625 となっています。 | この記事は[[2進数]]を読んだ前提で記述しています。また、<math>1001(9)</math>のような記法がされる時、カッコ内は10進数で表記した際の数字です。
'''16進数'''は'''その桁の値が16になると桁が上がる表記法'''です。普段数字の表記で用いるアラビア数字では0~9までの数字しか存在していないので、'''16進数ではA~Fのアルファベットも用います'''。
{| class="wikitable"
|+ 10進数に対する16進数
|-
! 1 !! 2 !! 3 !! 4 !! 5 !! 6 !! 7 !! 8 !! 9 !! 10 !! 11 !! 12 !! 13 !! 14 !! 15 !! 16
|-
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || A || B || C || D || E || F || 10
|}
2進数と同様に、16進数の各桁の重みは'''16の冪数'''(<math>16^n</math>)になっています。例えば一桁目は<math>16^0 = 1</math>, 二桁目は<math>16^1 = 16</math>, 小数点以下に関しても一桁目が<math>16^{-1} = \frac{1}{16} = 0.0625</math>, 二桁目が<math>16^{-2} = \frac{1}{256} = 0.00390625</math>となっています。
== 四則演算 ==
=== 和算・減算 ===
16進数の足し算と引き算に関しては'''10進数のそれと同じような要領でできます'''。
=== 積算・除算 ===
16進数のかけ算とわり算に関して、10進数のそれとはあまり応用が効きません。そのため、一般的には'''[[基数変換]]'''によって16進数を10進数に変換して計算を行います。<ref>2進数で登場したシフト演算に関しては、ある程度2の冪数が扱いやすいために記載している。原理は使用可能であるが、16進数のシフト演算は16の冪数が関わっていない限りはあまり推奨できないであろう。</ref>
== 注釈 ==
{{DEFAULTSORT:16しんすう}}
[[Category:情報処理技術者試験]][[Category:計算機科学]][[Category:数学]] | 2023-09-23T08:24:57Z | 2023-09-23T08:24:57Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/16%E9%80%B2%E6%95%B0 |
38,518 | 基数変換 | 2進数や16進数などを10進数に変換する、またはその逆の変換をすることを基数変換といいます。この記事は2進数の知識を前提として執筆しています。
2進数の各桁は10進数で見たときに 2 n {\displaystyle 2^{n}} にあたる。つまり、2進数の数字を10進数で表記する際は各桁で計算を行い、最後に足し合わせることで変換を行う。以下に2進数10011を10進数に変換する例を記載する。
逆の過程、つまり10進数の数字を2で割り、余りを各桁にあてることで10進数の数字を2進数で表記することができる。以下は10進数19を2進数に変換する例を記載する。
小数を変換する際には反対に10進数の数字を2でかけ、一の位にあたる数字を各桁にあてることで10進数の数字を2進数で表記することができる。以下は10進数0.375を2進数に変換する例を記載する。
2進数の例を応用すると、n進数の変換も可能となる。
16進数2D9を10進数に変換する。
10進数729を16進数に変換する例を記載する。
10進数0.78125を16進数に変換する例を記載する。 | [
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] | 2進数や16進数などを10進数に変換する、またはその逆の変換をすることを基数変換といいます。この記事は2進数の知識を前提として執筆しています。 | [[2進数]]や[[16進数]]などを10進数に変換する、またはその逆の変換をすることを'''基数変換'''といいます。この記事は[[2進数]]の知識を前提として執筆しています。
== 2進数の変換 ==
=== 2進数から10進数の変換 ===
2進数の各桁は10進数で見たときに<math>2^n</math>にあたる。つまり、2進数の数字を10進数で表記する際は各桁で計算を行い、最後に足し合わせることで変換を行う。以下に2進数10011を10進数に変換する例を記載する。
: <math>1 \times 2^4 + 0 \times 2^3 + 0 \times 2^2 + 1 \times 2^1 + 1 \times 2^0 = 19</math>
=== 10進数から2進数の変換 ===
==== 整数 ====
逆の過程、つまり'''10進数の数字を2で割り、余りを各桁にあてることで10進数の数字を2進数で表記することができる'''。以下は10進数19を2進数に変換する例を記載する。
: <math>19 / 2 = 9 ... 1</math>
: <math>9 / 2 = 4 ... 1</math>
: <math>4 / 2 = 2 ... 0</math>
: <math>2 / 2 = 1 ... 0</math>
: <math>1 / 2 = 0 ... 1</math>
: 余りを順番に並べて<math>10011</math>
==== 小数 ====
小数を変換する際には反対に'''10進数の数字を2でかけ、一の位にあたる数字を各桁にあてることで10進数の数字を2進数で表記することができる'''。以下は10進数0.375を2進数に変換する例を記載する。
: <math>0.375 \times 2 = 0.75</math>
: <math>0.75 \times 2 = 1.5</math>
: <math>0.5 \times 2 = 1.0</math>
: 一の位を順番に並べて<math>0.011</math>
== n進数の変換 ==
2進数の例を応用すると、n進数の変換も可能となる。
=== n進数から10進数の変換の例 ===
16進数2D9を10進数に変換する。
: <math>2 \times 16^2 + 13 \times 16^1 + 9 \times 16^0 = 729</math>
=== 10進数からn進数の変換の例 ===
==== 整数 ====
10進数729を16進数に変換する例を記載する。
: <math>729 / 16 = 45 ... 9</math>
: <math>45 / 16 = 2 ... 13</math>
: <math>2 / 16 = 0 ... 2</math>
: 余りを順番に並べて<math>2D9</math>
==== 小数 ====
10進数0.78125を16進数に変換する例を記載する。
: <math>0.78125 \times 16 = 12.5</math>
: <math>0.5 \times 16 = 8.0</math>
: 一の位を順番に並べて<math>0.C8</math>
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[[Category:情報処理技術者試験]][[Category:計算機科学]][[Category:数学]] | 2023-09-23T16:27:25Z | 2023-09-23T16:27:25Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9F%BA%E6%95%B0%E5%A4%89%E6%8F%9B |
38,519 | 源氏物語 はじめに | 源氏物語とは、平安時代中期に紫式部によって作成された全54巻からなる物語である。源氏物語の執筆の年代は、詳しいことは不明な点が多く存在するが1008年の11月以前には、若紫の巻が出来ていたことがわかっている。また、その頃の日記の数々から推測するに1010年代で完成したことが推測できる。紫式部日記によれば、確定した「源氏物語」の一本はなく複数あり、それがその世に出て複製されるうちに加筆や削除などが行われて、さらに補作の巻などが生まれるにあたり、平安末期には「源氏物語」は、原作と比べかなりの相違点が見られるであろう。補作の巻は、「桜人」、「狭筵」、「巣守」、「法の師」、「憂栖」、「雲雀子」、「八橋」、「挿櫛」、「花見」、「嵯峨野上」、「嵯峨野下」、「釣殿の后」がある。これらの補巻をあわせた「源氏物語」は、法華経60巻になぞらえて、6巻追加して作られたわけだが鎌倉時代には全63巻からなる「源氏物語」もあったらしい。
源氏物語においての時代背景は平安時代である。桐壺帝の第二皇子は生母の身分が低く、臣籍に置かれていた。光源氏とは、その美貌ゆえに呼ばれた名であり、様々な女性との恋の遍歴がこの物語に綴られている。 | [
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] | null | ===源氏物語の概要===
源氏物語とは、平安時代中期に紫式部によって作成された全54巻からなる物語である。源氏物語の執筆の年代は、詳しいことは不明な点が多く存在するが1008年の11月以前には、若紫の巻が出来ていたことがわかっている。また、その頃の日記の数々から推測するに1010年代で完成したことが推測できる。紫式部日記によれば、確定した「源氏物語」の一本はなく複数あり、それがその世に出て複製されるうちに加筆や削除などが行われて、さらに補作の巻などが生まれるにあたり、平安末期には「源氏物語」は、原作と比べかなりの相違点が見られるであろう。補作の巻は、「桜人」、「狭筵」、「巣守」、「法の師」、「憂栖」、「雲雀子」、「八橋」、「挿櫛」、「花見」、「嵯峨野上」、「嵯峨野下」、「釣殿の后」がある。これらの補巻をあわせた「源氏物語」は、法華経60巻になぞらえて、6巻追加して作られたわけだが鎌倉時代には全63巻からなる「源氏物語」もあったらしい。
===あらすじ===
源氏物語においての時代背景は平安時代である。桐壺帝の第二皇子は生母の身分が低く、臣籍に置かれていた。光源氏とは、その美貌ゆえに呼ばれた名であり、様々な女性との恋の遍歴がこの物語に綴られている。
===源氏物語での登場人物===
===源氏物語による文学作品の影響===
[[カテゴリ:源氏物語|はしめに]] | 2023-09-24T03:21:36Z | 2023-09-24T05:03:50Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E_%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AB |
38,521 | 競馬を見る | 競馬を見るは競馬の観戦をすることに関しての教科書です。
競馬はいうまでもなく実際の人間、馬が行うスポーツとなっています。そのため、実際に見るということも選択肢の一つとなります。
一番大きいメリットはやはり実際に競馬を見る事ができるということです。間接的な視聴だけでは味わえない情報、特にマイクでは拾いきれない環境としての音は一度体感する価値があります。また、競馬場に訪れるということ自体もメリットとなります。かなり近い距離で馬が見れたり、馬券が買えたり、グルメに舌鼓をうったりと実地でないといけない体験は数多くあります。
デメリットとしては行き来にコストがかかる事が挙げられます。また、コースがかなり広いのでゴール側直線以外はあまりレース自体を鑑賞することができず、実況も声援などで聞きにくいのも特徴です。とはいえレースの映像はターフビジョンに映し出されるので、実際に不便することは少ないかもしれません。
レースを最初から最後まで見守るというのであれば、やはりカメラが馬を追従する映像がかなり有力な選択肢となると考えます。
JRAでは2013年からの重賞レースの映像が各レース結果ページで公開されています。また、Youtubeでも有名レースの動画が上がっています。netkeibaのチャンネルやJRA公式チャンネル、カンテレ競馬チャンネルが特に映像記録が豊富で、最新のレースから過去の名勝負までアップロードされています。検索以外でもプレイリストから気になるレースを探すことができます。
競馬中継の一覧はJRAホームページにまとめられています。
日本の競馬は一年に約18,000回、中央競馬だけでも約3,400回も開かれています。その中からどのレースを見るべきか、判断する助力となる情報を記述します。
この項目では現在進行系の競馬界隈を楽しむことを想定しています。過去のレースを視聴したい場合は「3.名勝負」項目を参照してください。
初めて競馬のレースを見るのならば、やはり古馬GIレースを観戦するのが良いでしょう。古馬GIレースとは、最上位グレードの競争の中でも3, 4歳以上の馬が走るレースのことで、既に活躍している競走馬の中でもどの馬が先着を取るのかという見どころのある競争といえます。もしこの記事を閲覧しているのが6, 12月末ならば、宝塚記念か有馬記念が控えているもしくは終わったばかりとなっています。この2競争の出走馬はファン投票が上位の馬が集まるので、その年で特に活躍した競走馬の走りを見ることができます。
同じくらい初めての競馬レースにおすすめなレースは5月末東京優駿(日本ダービー)です。このレースは3歳馬、つまり若い世代限定のレースではありますが、「競馬の祭典」と呼ばれるほどの熱量を持っており、日本で最も盛り上がる競争に日本ダービーを挙げる人も多いでしょう。
次にチェックすべきレースは皐月賞, 東京優駿(日本ダービー), 菊花賞のクラシック路線と呼ばれる競争です。この3レースは3歳馬限定と若い世代の頂点を競うというもので、上で紹介した通り日本随一の競争の一つである日本ダービーを含むため馬齢という観点で見たときに最も盛り上がる歳といえるかもしれません。また、この馬を追っていくということをするときに、ここで目立った馬がやはり以降も活躍することも多く、年単位で競馬を見るのであれば必見なレースといえると考えます。
ここまでで紹介したレースの多くは芝コースの中~長距離が多く、実際日本の主流であるといえます。しかし、他にも距離なら短・マイル、コースではダート、種類自体でも障害と様々な路線で活躍する馬が存在します。もし興味が出たならば、主流以外のレースも追ってみましょう。各路線でそれぞれ違った魅力があり、自分の好みのレースもきっと見つかると思います。
競馬レースには一つ一つグレードがついており、中でも国際グレードがついている競争は252つ、最上位であるGIがついている競争は24つ存在しています。
戦前に創設された皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、桜花賞、優駿牝馬(オークス)、天皇賞春、天皇賞秋と、有馬記念の8競争は八大競走として日本最高峰のレースとして扱われていました。また、天皇賞をひとまとめにし、宝塚記念、ジャパンカップ、エリザベス女王杯を加えて十大競争と呼ばれることもあります。
宝塚記念、有馬記念はファン投票上位の競走馬が走るレースです。上下半期の終わりに開催され、各時期に活躍した人気のある馬が集まるので、とても熱気のある競争となります。
十大競争の中でも3歳馬限定で行われる皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞はクラシック路線と呼ばれます。特に東京優駿の優勝は競馬関係者の最高の名誉とまでいわれており、日本競馬で最も盛り上がるレースの一つと言えるでしょう。この3競争を勝ち抜いた馬は三冠馬とも呼ばれ、現在までに8頭のみが持つ称号です。
十大競争の桜花賞、優駿牝馬(オークス)と、秋華賞は牝馬の3歳馬限定で行われており、牝馬クラシック路線と呼ばれます。この3競争を勝ち抜いた馬は牝馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに6頭のみが持つ称号です。また、エリザベス女王杯は現在、牝馬クラシック路線で活躍した馬やそれ以降のシニア路線の牝馬が出場しており、牝馬の女王を決める競争として扱われています。
2歳馬限定で行われるGIレースは朝日杯フューチュリティステークスとホープフルS、牝馬限定の阪神ジュベナイルフィリーズの3レースが存在する。
短距離のGIは、春の高松宮記念と秋のスプリンターズステークスの2つです。
マイルのGIは2歳馬の朝日杯フューチュリティステークスと阪神ジュベナイルフィリーズ、春のNHKマイルカップと安田記念、秋のマイルチャンピオンシップ、牝馬限定のヴィクトリアマイルの6レースが存在しています。
また、大阪杯と上述の天皇賞春、宝塚記念の3競争を勝ち抜いた馬は春古馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに誰も獲得していない称号になっています。上記の天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念の3競争を勝ち抜いた馬は秋古馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに2頭のみが持つ称号です。
ダート、砂場でのGIレースは、2月に開かれるフェブラリーステークスと年末のチャンピオンズカップの2つです。特にフェブラリーステークスは国内GIの中で最初に行われる競争で、今年一年の勝負運を占う目的で訪れるファンも多いです。また、日本におけるダートレースは地方競馬が中心となっており、日本独自のグレードJpnIのレースを含めると10競争存在します。
障害競走のGIは中山グランドジャンプと中山大障害の2レースです。
正直に言って、GIIGIIIのレースは数も多くGIと比べて盛り上がりに欠ける部分があると考えます。しかし、レースを作るのはレース名ではなく、競走馬ですので、贔屓の馬が出る、人気の馬が対決するといったレースであればそこにグレードは関係ありません。
ここでは特記すべきと判断したレースについて記述します。
ステップレースはGIの前哨戦として走る競争です。中には好成績を出せば特定のGIへの優先出走権を得られるレースもあり、チャンスをつかもうとする競走馬で盛り上がります。
皐月賞のステップレースは弥生賞(GII), スプリングステークス(GII), 若葉ステークス(OP)です。GIIの2レースは3着以内、OPのレースは2着以内で優先出走権が得られます。ちなみに、2歳馬のGIの1着でも優先出走権が得られます。また、優先出走権は得られませんが毎日杯(GIII)がちょうどいい時期の3歳中距離レースとして人気です。
日本ダービーのステップレースは京都新聞杯(GII), 青葉賞(GII), プリンシパルステークス(OP)です。GIIの2レースは2着以内、OPのレースは1着で優先出走権が得られます。ちなみに、皐月賞5着以内でも優先出走権が得られます。
菊花賞のステップレースは神戸新聞杯(GII), セントライト記念(GII)です。これらで3着以内に入った競走馬6頭、クラシック路線・牝馬クラシック路線の先2レースで1着を獲った馬4頭が優先出走権を得られます。
余談ですが、NHKマイルカップも皐月賞3着以内で優先出走権が得られます。しかし、NHKマイルカップから日本ダービーを走るローテーションは大変負担の多い日程、「松国ローテ」として嫌煙されており、クラシック路線で活躍させる競走馬には回避させる、もしくは走っても選手寿命が激減してしまうと言われています。
アイビスサマーダッシュ(GIII)は中央競馬で一番短い1,000mの競争で、唯一の直線競争になっています。客席も走行ルートとかなり近く、普段よりも迫力が感じられる短距離戦になるのではないでしょうか。ちなみに、地方競馬では1,000m以下のレースシリーズ「スーパースプリントシリーズwiki」が開催されています。
一部の競走馬は海外遠征をします。特に中距離の世界最高峰レース凱旋門賞、香港国際競走やドバイワールドカップカーニバルなどの日程集中的に開催される競馬レース群など、様々な国際競争に参加しています。
北海道ではばんえい競馬という鉄ぞりを馬が引く競争が存在します。
この勝負の見どころは終盤に差しにくる2頭、当時GI3勝していた07年ダービー馬ウオッカとその年のダービー馬ディープスカイの対決、そして終盤から再度伸びる逃げ馬、07年牝馬クラシック路線で活躍したダイワスカーレットを加えた競り合いです。
特にウオッカとダイワスカーレットは6回の対戦を経るライバルであり、「ダイワスカーレットはウオッカが出場しない次走の有馬記念で引退したため、結果的にこれが最後の対決である」という背景を含め、とてもドラマを感じる一戦です。
Youtube: 2008年 天皇賞(秋)(GI) | (勝利馬名) | JRA公式 / JRA公式チャンネル
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'''''競馬を見る'''''は競馬の観戦をすることに関しての教科書です。競馬の基礎知識は教科書''[[馬券を買う前に知っておくべきこと]]''を参照してください。
== 見る方法 ==
=== 実地 ===
競馬はいうまでもなく実際の人間、馬が行うスポーツとなっています。そのため、実際に見るということも選択肢の一つとなります。
一番大きいメリットはやはり'''実際に競馬を見る事ができる'''ということです。間接的な視聴だけでは味わえない情報、特にマイクでは拾いきれない環境としての音は一度体感する価値があります。また、'''競馬場に訪れる'''ということ自体もメリットとなります。かなり近い距離で馬が見れたり、馬券が買えたり、グルメに舌鼓をうったりと実地でないといけない体験は数多くあります。
デメリットとしては'''行き来にコストがかかる'''事が挙げられます。また、コースがかなり広いのでゴール側直線以外は'''あまりレース自体を鑑賞することができず、実況も声援などで聞きにくい'''のも特徴です。とはいえレースの映像はターフビジョンに映し出されるので、実際に不便することは少ないかもしれません。
=== ネット動画 ===
レースを最初から最後まで見守るというのであれば、やはりカメラが馬を追従する映像がかなり有力な選択肢となると考えます。
[https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/ JRA]では2013年からの重賞レースの映像が各レース結果ページで公開されています。また、Youtubeでも有名レースの動画が上がっています。[https://www.youtube.com/@netkeibaTV/ netkeibaのチャンネル]や[https://www.youtube.com/@jraofficial/ JRA公式チャンネル]、[https://www.youtube.com/@user-dn8yn7mi3k/ カンテレ競馬チャンネル]が特に映像記録が豊富で、最新のレースから過去の名勝負までアップロードされています。検索以外でもプレイリストから気になるレースを探すことができます。
JRA公式ページの[https://www.jra.go.jp/keiba/ 出馬表やオッズページ]に1レース開始前から最終レースまでの間レースライブボタンが現れます。そのリンク先では該当レースのライブ配信が行われています。<ref>分かりやすい操作方法は[https://www.jra.go.jp/news/202302/021303.html 実装告知ニュース]を参照してください。</ref>また、地方競馬場のYoutubeチャンネルでもライブ配信が行われています。
{| class="wikitable"
|+ 公式Youtubeチャンネル
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! 競馬場など !! チャンネル
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| JRA || [https://www.youtube.com/@jraofficial/ JRA公式チャンネル]
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| 帯広競馬場 || rowspan="2"| [https://www.youtube.com/@live2820 【公式】ホッカイドウ競馬LIVE「なまちゃき」]
|-
| 門別競馬場 ||
|-
| 盛岡競馬場 || rowspan="2" | [https://www.youtube.com/@IwateKeibaITV 岩手競馬]
|-
| 水沢競馬場 ||
|-
| 浦和競馬場 || [https://www.youtube.com/@user-vh3fg5mt1c 浦和競馬【広報】]
|-
| 船橋競馬場 || [https://www.youtube.com/@funabashi-keiba 船橋競馬場]
|-
| 大井競馬場 || [https://www.youtube.com/@tckkeiba TCK 東京シティ競馬【公式】]
|-
| 川崎競馬場 || [https://www.youtube.com/@user-se7me6tw7q 【公式】川崎競馬]
|-
| 金沢競馬場 || [https://www.youtube.com/@user-dx7rm6oz6r 金沢競馬 【公式チャンネル】]
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| 笠松競馬場 || [https://www.youtube.com/@user-lm8ln1kk9j 笠松けいばレース映像配信チャンネル]
|-
| 名古屋競馬場 || [https://www.youtube.com/@user-sx4xe4bs5r 金シャチけいば情報]
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| 園田競馬場 || rowspan="2" | [https://www.youtube.com/@sonodahimejiweb そのだけいば・ひめじけいば]
|-
| 姫路競馬場 ||
|-
| 高知競馬場 || [https://www.youtube.com/@KeibaOrJp 高知けいば]
|-
| 佐賀競馬場 || [https://www.youtube.com/@sagakeibaofficial sagakeiba official]
|}
=== テレビ・ラジオ ===
競馬中継の一覧は[https://www.jra.go.jp/tvradio/ JRAホームページ]にまとめられています。
== レース ==
日本の競馬は一年に約18,000回、中央競馬だけでも約3,400回も開かれています。その中からどのレースを見るべきか、判断する助力となる情報を記述します。
この項目では現在進行系の競馬界隈を楽しむことを想定しています。過去のレースを視聴したい場合は「[[競馬を見る#名勝負|3.名勝負]]」項目を参照してください。
=== 流れ ===
初めて競馬のレースを見るのならば、やはり'''古馬GⅠレース'''を観戦するのが良いでしょう。古馬GⅠレースとは、最上位グレードの競争の中でも3, 4歳以上の馬が走るレースのことで、既に活躍している競走馬の中でもどの馬が先着を取るのかという見どころのある競争といえます。もしこの記事を閲覧しているのが6, 12月末ならば、'''宝塚記念'''か'''有馬記念'''が控えているもしくは終わったばかりとなっています。この2競争の出走馬はファン投票が上位の馬が集まるので、その年で特に活躍した競走馬の走りを見ることができます。
同じくらい初めての競馬レースにおすすめなレースは5月末'''東京優駿'''(日本ダービー)です。このレースは3歳馬、つまり若い世代限定のレースではありますが、「競馬の祭典」と呼ばれるほどの熱量を持っており、日本で最も盛り上がる競争に日本ダービーを挙げる人も多いでしょう。
次にチェックすべきレースは'''皐月賞''', '''東京優駿'''(日本ダービー), '''菊花賞'''のクラシック路線と呼ばれる競争です。この3レースは3歳馬限定と若い世代の頂点を競うというもので、上で紹介した通り日本随一の競争の一つである日本ダービーを含むため馬齢という観点で見たときに最も盛り上がる歳といえるかもしれません。また、この馬を追っていくということをするときに、ここで目立った馬がやはり以降も活躍することも多く、年単位で競馬を見るのであれば必見なレースといえると考えます。
ここまでで紹介したレースの多くは'''芝コースの中~長距離'''が多く、実際日本の主流であるといえます。しかし、他にも距離なら'''短'''・'''マイル'''、コースでは'''ダート'''、種類自体でも'''障害'''と様々な路線で活躍する馬が存在します。もし興味が出たならば、主流以外のレースも追ってみましょう。各路線でそれぞれ違った魅力があり、自分の好みのレースもきっと見つかると思います。
=== GⅠタイトル ===
競馬レースには一つ一つグレードがついており、中でも国際グレードがついている競争は252つ、最上位であるGⅠがついている競争は24つ存在しています。
==== 十大競走・クラシックGⅠ ====
戦前に創設された'''皐月賞'''、'''東京優駿'''(日本ダービー)、'''菊花賞'''、'''桜花賞'''、'''優駿牝馬'''(オークス)、'''天皇賞春'''、'''天皇賞秋'''と、'''有馬記念'''の8競争は八大競走として日本最高峰のレースとして扱われていました。また、天皇賞をひとまとめにし、'''宝塚記念'''、'''ジャパンカップ'''、'''エリザベス女王杯'''を加えて十大競争と呼ばれることもあります。
'''宝塚記念'''、'''有馬記念'''はファン投票上位の競走馬が走るレースです。上下半期の終わりに開催され、各時期に活躍した人気のある馬が集まるので、とても熱気のある競争となります。
十大競争の中でも3歳馬限定で行われる'''皐月賞'''、'''東京優駿'''(日本ダービー)、'''菊花賞'''はクラシック路線と呼ばれます。特に東京優駿の優勝は競馬関係者の最高の名誉とまでいわれており、日本競馬で最も盛り上がるレースの一つと言えるでしょう。この3競争を勝ち抜いた馬は三冠馬とも呼ばれ、現在までに8頭のみが持つ称号です。
十大競争の'''桜花賞'''、'''優駿牝馬'''(オークス)と、'''秋華賞'''は牝馬の3歳馬限定で行われており、牝馬クラシック路線と呼ばれます。この3競争を勝ち抜いた馬は牝馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに6頭のみが持つ称号です。また、'''エリザベス女王杯'''は現在、牝馬クラシック路線で活躍した馬やそれ以降のシニア路線の牝馬が出場しており、牝馬の女王を決める競争として扱われています。
<!--
===== [[w:皐月賞|皐月賞]] =====
皐月賞はクラシック路線の一番最初のレースです。元々は繁殖用のサラブレッドを選定するためのレースで、「最も速い馬が勝つ」<ref>一説では単なるスピードだけでなく、成長の早さという意味でも最も早い馬が有利となるとされている。</ref>と有名です。
レースは千葉県船橋市にある中山競馬場で行われています。
===== [[w:東京優駿|東京優駿]](日本ダービー) =====
東京優駿はクラシック路線の二番目のレースです。「競馬の祭典」とも呼ばれており、日本競馬で最も盛り上がるレースの一つと言えます。
レースは東京都府中市にある東京競馬場で行われています。
===== [[w:菊花賞|菊花賞]] =====
菊花賞はクラシック路線の最後のレースです。クラシック路線唯一の長距離に分類されるレースで、スタミナも求められることから「最も強い馬が勝つ」と有名です。
レースは京都府京都市にある京都競馬場で行われています。
-->
==== その他 ====
2歳馬限定で行われるGⅠレースは'''朝日杯フューチュリティステークス'''と'''ホープフルS'''、牝馬限定の'''阪神ジュベナイルフィリーズ'''の3レースが存在する。
短距離のGⅠは、春の'''高松宮記念'''と秋の'''スプリンターズステークス'''の2つです。
マイルのGⅠは2歳馬の朝日杯フューチュリティステークスと阪神ジュベナイルフィリーズ、春の'''NHKマイルカップ'''と'''安田記念'''、秋の'''マイルチャンピオンシップ'''、牝馬限定の'''ヴィクトリアマイル'''の6レースが存在しています。
また、'''大阪杯'''と上述の天皇賞春、宝塚記念の3競争を勝ち抜いた馬は春古馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに誰も獲得していない称号になっています。上記の天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念の3競争を勝ち抜いた馬は秋古馬三冠馬とも呼ばれ、現在までに2頭のみが持つ称号です。
ダート、砂場でのGⅠレースは、2月に開かれる'''フェブラリーステークス'''と年末の'''チャンピオンズカップ'''の2つです。特にフェブラリーステークスは国内GⅠの中で最初に行われる競争で、今年一年の勝負運を占う目的で訪れるファンも多いです。また、日本におけるダートレースは地方競馬が中心となっており、日本独自のグレードJpnⅠのレースを含めると10競争存在します。
障害競走のGⅠは'''中山グランドジャンプ'''と'''中山大障害'''の2レースです。
=== GⅡ・GⅢタイトルなど===
正直に言って、GⅡGⅢのレースは数も多くGⅠと比べて盛り上がりに欠ける部分があると考えます。しかし、レースを作るのはレース名ではなく、競走馬ですので、贔屓の馬が出る、人気の馬が対決するといったレースであればそこにグレードは関係ありません。
ここでは特記すべきと判断したレースについて記述します。
==== ステップレース ====
ステップレースはGⅠの前哨戦として走る競争です。中には好成績を出せば特定のGⅠへの優先出走権を得られるレースもあり、チャンスをつかもうとする競走馬で盛り上がります。
皐月賞のステップレースは'''弥生賞'''(GⅡ), '''スプリングステークス'''(GⅡ), '''若葉ステークス'''(OP)です。GⅡの2レースは3着以内、OPのレースは2着以内で優先出走権が得られます。ちなみに、2歳馬のGⅠの1着でも優先出走権が得られます。また、優先出走権は得られませんが'''毎日杯'''(GⅢ)がちょうどいい時期の3歳中距離レースとして人気です。
日本ダービーのステップレースは'''京都新聞杯'''(GⅡ), '''青葉賞'''(GⅡ), '''プリンシパルステークス'''(OP)です。GⅡの2レースは2着以内、OPのレースは1着で優先出走権が得られます。ちなみに、皐月賞5着以内でも優先出走権が得られます。
菊花賞のステップレースは'''神戸新聞杯'''(GⅡ), '''セントライト記念'''(GⅡ)です。これらで3着以内に入った競走馬6頭、クラシック路線・牝馬クラシック路線の先2レース<ref>皐月賞、日本ダービー、桜花賞、オークス。</ref>で1着を獲った馬4頭が優先出走権を得られます。
余談ですが、NHKマイルカップも皐月賞3着以内で優先出走権が得られます。しかし、NHKマイルカップから日本ダービーを走るローテーションは大変負担の多い日程<ref>前者は1,600m、後者は2,000mと距離が違う上、中二週と間隔も短いため。</ref>、「松国ローテ」として嫌煙されており、クラシック路線で活躍させる競走馬には回避させる、もしくは走っても選手寿命が激減してしまうと言われています。
==== その他 ====
'''アイビスサマーダッシュ'''(GⅢ)は中央競馬で一番短い1,000mの競争で、唯一の直線競争になっています。客席も走行ルートとかなり近く、普段よりも迫力が感じられる短距離戦になるのではないでしょうか。ちなみに、地方競馬では1,000m以下のレースシリーズ「'''スーパースプリントシリーズ'''<sub>[[w:地方競馬スーパースプリントシリーズ|wiki]]</sub>」が開催されています。
=== 海外のレース===
一部の競走馬は海外遠征をします。特に中距離の世界最高峰レース'''凱旋門賞'''、'''香港国際競走'''や'''ドバイワールドカップカーニバル'''などの日程集中的に開催される競馬レース群など、様々な国際競争に参加しています。
=== その他特記すべき競争 ===
北海道では'''ばんえい競馬'''という鉄ぞりを馬が引く競争が存在します。
== 名勝負 ==
=== 2008年天皇賞・秋 ===
この勝負の見どころは終盤に差しにくる2頭、当時GⅠ3勝していた07年ダービー馬'''ウオッカ'''とその年のダービー馬'''ディープスカイ'''の対決、そして終盤から再度伸びる逃げ馬、07年牝馬クラシック路線で活躍した'''ダイワスカーレット'''を加えた競り合いです。
特にウオッカとダイワスカーレットは6回の対戦を経るライバルであり、「ダイワスカーレットはウオッカが出場しない次走の有馬記念で引退したため、結果的にこれが最後の対決である」という背景を含め、とてもドラマを感じる一戦です。
[https://www.youtube.com/watch?v=UaZ_lj2MBdI&pp=ygUZ44Km44Kq44OD44KrIOWkqeeah-iznueniw%3D%3D Youtube: 2008年 天皇賞(秋)(GⅠ) | (勝利馬名) | JRA公式 / JRA公式チャンネル]
<!--
=== 2022年天皇賞・秋 ===
この勝負の見どころは
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== 注釈 ==
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[[Category:競馬]] | 2023-09-24T18:54:08Z | 2023-09-30T14:33:26Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%82%8B |
38,549 | 高等学校世界史B/フランス革命の経緯 | フランス革命以前は身分は、聖職者である第一身分、貴族である第二身分、平民である第三身分、と3種類に分かれていた。(なお、このような、フランス革命前のフランスの制度のことをアンシャン=レジーム(旧制度)という。)
革命以前は人口の9割以上は第三身分であり、さらに人口の8割ほどは農民だった。 いっぽう、フランス国土の3割〜4割ほどが彼ら第一身分と第二身分の保有する土地だった。
そして平民は、領主に税を納めるために課税させられていた。いっぽう聖職者は、課税が免除されていた。
しかし啓蒙思想などの影響で、政治の見直しをもとめる気運が起こり、シェイエスは小冊子『第三身分とは何か』を刊行して第三身分の権利を主張した。
さて、国王ルイ16世が王権をひきついだ頃、ルイ14世など先王たちの度重なる戦争の戦費もあって、フランスの財政は悪化していた。
ルイ16世紀は財政改革のため、第一身分など特権階級にも課税しようと改革をこころみ、ルイ16世は銀行家ネッケルなどの人材を登用したが、しかし税制改革は貴族の抵抗にあい、そのため1789年に三部会が招集された。(なお、以前の三部会は、ルイ13世の時代に開かれた1615年の三部会だったので、実に百数十年ぶりの三部会である。)
ヴェルサイユで三部会が開かれると、第三身分は議決方法をめぐって特権身分と対立した。そして第三身分は独自に集会をひらいて「国民議会」と自称し、憲法が制定されるまで解散しないことを誓いあった ( 球戯場の誓い )(「きゅうぎじょう」と読む。「球技」ではないので注意)。
なお、フランス国王は国民議会を認める方針であったとも伝えられるが、国王はしだいに議会を軍隊で弾圧しようとした、と伝えられる。
フランスの第三身分は7月に(国王の本音が国民議会の弾圧にあると考えたのか)バスティーユ牢獄を襲撃した。そして全国的に農民放棄の反乱が広まった。
こうしてフランス革命が本格化していった。
そして8月、国民議会は封建制の廃止を宣言し、それによって 領主裁判権 および 教会への十分の一税 は廃止されたが、いっぽう、一般の領主への地代は維持された。
ついで同8月、国民議会は『人権宣言』を採択した。
そして同1789年の10月、女性を先頭にしたパリの民衆数千人がヴェルサイユに行進し、国王一家をパリに連行した。
そして国民議会もパリに移り、以降のフランス政治の中心地はパリになった。
1792年、国民議会(フランス議会)はオーストリアに宣戦したが、緒戦ではフランスは敗退した。 そしてオーストリア・プロイセンの連合軍がフランスに侵入したので、フランスでは義勇兵が立ち上がった。
愚かなフランス大衆は、これらの緒戦の敗退の原因を、旧貴族や国王の裏切りのせいだと決め付けたので、フランス国王の権威はますます低下した。
そして同92年の8月、パリ民衆とフランス全土からパリに集まった義勇兵が、テュイルリー宮殿に乱入し、王権を停止させた(8月10日事件)。
そして翌9月には、(選挙制度および議会制度として)男性普通選挙による国民公会が成立し、王政の廃止が宣言され、共和制が宣言された。
国民公会ではジロンド派と急進派であるジャコバン派(「山岳派」ともいう)が対立していた。当初はジロンド派が優勢だったが、しだいにジャコバン派が優勢になった。そして1793年1月、ルイ16世はギロチンで処刑された。
イギリスは、この処刑を期に、革命がイギリスに波及することを警戒して、イギリス首相ピットはフランス周辺の国々(プロイセンやロシアなど)に対仏大同盟をよびかけ対仏大同盟を結成した。
いっぽう、フランスではジャコバン派政権のロベスピエールが公安委員会をつくって、反対派を処刑するなどの恐怖政治を行った。
なお同じ頃、ジャコバン派政権によってフランスにおける徴兵制の導入、革命暦の導入が行われた。また、憲法制定以前から度量衡(「どりょうこう」、意味: 長さ、重さなどの単位のこと)の整理が企画されていたが、憲法制定後にメートル法が導入され、メートルやグラムが導入された。
そしてフランスでは、しだいにロベスピエールの独裁に対する不満が高まり、ついに1794年7月にテルミドール9日のクーデターによってロベスピエール政権が倒され、ロベスピエールは処刑された。
そしてジャコバン派は失墜し、1795年には穏健共和派によって新憲法が制定し、フランス政治は財産額によって選挙権を制限する制限選挙制になった。
1796年、フランス軍人ナポレオン=ボナパルトがひきいる部隊が敵国のオーストリア軍をやぶったことで、ナポレオンの評判が高まった。(※ ナポレオンだけがフルネームで「ボナパルト」まで氏名を紹介されてるのが、読者には奇妙に思えるかもしれない。しかし日本の高校の教科書では、なぜかナポレオンだけ特別扱いされてフルネームで紹介されるので、残念ながら高校生は、こういう表記に従うしかない。なお、政治学用語または哲学用語で「ボナパルティズム」という、ナポレオン=ボナパルトに由来する語がある。)
また1798年、ナポレオンらは敵国イギリスとインドとの連絡を絶つために、エジプトに遠征した。(なお、ロゼッタストーンが発見されたのは、この遠征中の1798年である。)
1799年にイギリスがロシアなどに呼びかけて第2回対仏大同盟が結成されると、ナポレオンはひそかにフランスに帰国し、ナポレオンは11月にクーデタを起こしてフランスの政権をにぎった(ブリュメール18日のクーデタ)。
そしてナポレオンひきいるフランスは、それまで対立していたローマ教皇と1801年に和解し、翌1802年にはイギリスとも和解(「アミアンの和約」)したので、対仏大同盟は存在理由がなくなり、いったん対仏大同盟は消滅した。(※ 「和約」の「約」の字に注意。「和訳」ではない。)
1804年には『ナポレオン法典』によって、私有財産の不可侵などが定められた。そして1804年に議会の圧倒的支持のもと、ナポレオンは帝位につき、『ナポレオン1世』と称した(第一帝政)。
第2回対仏大同盟が消滅したにもかかわらず、1805年には第3回対仏大同盟がイギリス・ロシア・オーストリアによって結成された。
フランス海軍は1805年にイギリス海軍を相手にトラファルガーの海戦でたたかったが、フランスは敗退した。(なお、このトラファルガー海戦でイギリス海軍は提督ネルソンが指揮していた。)
しかしフランスは、陸戦では同1805年のアウステルリッツの三帝会戦でオーストリア・ロシアの連合軍を破った。
そして1806年、フランスはドイツ西部諸国とともにライン同盟を結成し、フランスはドイツ諸国の保護者となった。また、このライン同盟にともない神聖ローマ帝国は消滅した。
1806年、プロイセンはロシアと共同してフランスと戦ったが、フランスに破れてしまい、ロシアもフランスに同様に破れてしまったので、1907年にはフランスとの和議を結ばされた。
同じころ、フランスは、イギリスを経済的に孤立させるために大陸封鎖令を1806年に発し、大陸諸国にイギリスとの貿易を禁じた。(現代語で言うところの、いわゆる「経済封鎖」を、ナポレオンはこころみた。)
しかし、やがてロシアが封鎖令を無視してイギリスに穀物を輸出したので、1812年にフランスはロシアに遠征したが、このロシア遠征でフランスは敗退してしまい、この敗退をきっかけに各地で反乱が起き、1813年には反フランスの諸国がライプツィヒの戦いでフランスを破り、翌1814年にパリを占領した。そしてナポレオンは諸国軍に捕らえられ、エルバ島に流された。 ナポレオンがエルバ島に流されたあと、フランスではブルボン王朝が復活し、ルイ18世が即位した。
その後ナポレオンはエルバ島を脱出して復帰したが、しかしワーテルローの戦いで再びナポレオンは破れてしまい、セントヘレナ島に流されてしまい、以降、ナポレオンの復帰は無く、ナポレオンはセントヘレナ島で没した。
こうしてナポレオン本人は失脚したが、しかし「私有財産の不可侵」などの民主的な考えかたはヨーロッパに広がり、以降、諸国は民衆を尊重せざるを得なくなっていった。
ドイツがナポレオンに占領されていた頃の1807年、プロイセン人思想家のフィヒテは、ドイツの民衆に(ドイツへの)民族意識を鼓舞しようと『ドイツ国民に告ぐ』と題した講演で、プロイセン人に(ドイツ国民としての)国民意識(いわゆる「愛国心」)の必要性を主張した。(この時点では、まだ統一国家としての「ドイツ」は存在してなかった。ナポレオンが占領する前の「ドイツ」は、プロイセン等のいくつかの国が分立していた状態である。)
また、1807年、プロイセン宰相のシュタインは農奴解放および付随する様々な自由化(営業の自由化など)を行った。あとの地位を継いだ宰相ハルデンベルクも同様に様々な改革を行った。(シュタインとハルデンベルクは、営業の自由化(つまり、ギルドの特権廃止)、教育改革、都市の自治化などの改革を行った。)
(※ ハ「イ」デ「ル」ベルク(×)ではなく ハ「ル」デ「ン」ベルク。「貼るでん、ベルク」とかコジつけて覚えよう。) | [
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"text": "また、1807年、プロイセン宰相のシュタインは農奴解放および付随する様々な自由化(営業の自由化など)を行った。あとの地位を継いだ宰相ハルデンベルクも同様に様々な改革を行った。(シュタインとハルデンベルクは、営業の自由化(つまり、ギルドの特権廃止)、教育改革、都市の自治化などの改革を行った。)",
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] | null | == フランス革命 ==
フランス革命以前は身分は、聖職者である第一身分、貴族である第二身分、平民である第三身分、と3種類に分かれていた。(なお、このような、フランス革命前のフランスの制度のことをアンシャン=レジーム(旧制度)という。)
革命以前は人口の9割以上は第三身分であり、さらに人口の8割ほどは農民だった。
いっぽう、フランス国土の3割〜4割ほどが彼ら第一身分と第二身分の保有する土地だった。
そして平民は、領主に税を納めるために課税させられていた。いっぽう聖職者は、課税が免除されていた。
しかし啓蒙思想などの影響で、政治の見直しをもとめる気運が起こり、シェイエスは小冊子『第三身分とは何か』を刊行して第三身分の権利を主張した。
さて、国王ルイ16世が王権をひきついだ頃、ルイ14世など先王たちの度重なる戦争の戦費もあって、フランスの財政は悪化していた。
[[ファイル:Sans-culotte.jpg|thumb|200px|サン・キュロット<br>この時代、貴族は半ズボンを描いていたこと。サン・キュロットとは、半ズボンをはいてない者という意味で、民衆を意味していた。この絵は民衆が革命旗を持っている様子を描いている。]]
ルイ16世紀は財政改革のため、第一身分など特権階級にも課税しようと改革をこころみ、ルイ16世は銀行家ネッケルなどの人材を登用したが、しかし税制改革は貴族の抵抗にあい、そのため1789年に'''三部会'''が招集された。(なお、以前の三部会は、ルイ13世の時代に開かれた1615年の三部会だったので、実に百数十年ぶりの三部会である。)
ヴェルサイユで三部会が開かれると、第三身分は議決方法をめぐって特権身分と対立した。そして第三身分は独自に集会をひらいて「国民議会」と自称し、憲法が制定されるまで解散しないことを誓いあった ( 球戯場の誓い )(「きゅうぎじょう」と読む。「球技」ではないので注意)。
なお、フランス国王は国民議会を認める方針であったとも伝えられるが、国王はしだいに議会を軍隊で弾圧しようとした、と伝えられる。
フランスの第三身分は7月に(国王の本音が国民議会の弾圧にあると考えたのか)'''バスティーユ牢獄'''を襲撃した。そして全国的に農民放棄の反乱が広まった。
こうしてフランス革命が本格化していった。
そして8月、国民議会は'''封建制の廃止'''を宣言し、それによって 領主裁判権 および 教会への十分の一税 は廃止されたが、いっぽう、一般の領主への地代は維持された。
ついで同8月、国民議会は『'''人権宣言'''』を採択した。
そして同1789年の10月、女性を先頭にしたパリの民衆数千人が'''ヴェルサイユに行進'''し、国王一家をパリに連行した。
そして国民議会もパリに移り、以降のフランス政治の中心地はパリになった。
1792年、国民議会(フランス議会)はオーストリアに宣戦したが、緒戦ではフランスは敗退した。
そしてオーストリア・プロイセンの連合軍がフランスに侵入したので、フランスでは義勇兵が立ち上がった。
愚かなフランス大衆は、これらの緒戦の敗退の原因を、旧貴族や国王の裏切りのせいだと決め付けたので、フランス国王の権威はますます低下した。
そして同92年の8月、パリ民衆とフランス全土からパリに集まった義勇兵が、テュイルリー宮殿に乱入し、王権を停止させた(8月10日事件)。
そして翌9月には、(選挙制度および議会制度として)男性普通選挙による国民公会が成立し、王政の廃止が宣言され、共和制が宣言された。
[[File:Hinrichtung Ludwig des XVI.png|thumb|500px|ギロチンによって処刑されたルイ16世の首]]
国民公会ではジロンド派と急進派である'''ジャコバン派'''(「山岳派」ともいう)が対立していた。当初はジロンド派が優勢だったが、しだいにジャコバン派が優勢になった。そして1793年1月、ルイ16世はギロチンで処刑された。
イギリスは、この処刑を期に、革命がイギリスに波及することを警戒して、イギリス首相ピットはフランス周辺の国々(プロイセンやロシアなど)に対仏大同盟をよびかけ'''対仏大同盟'''を結成した。
いっぽう、フランスではジャコバン派政権のロベスピエールが公安委員会をつくって、反対派を処刑するなどの'''恐怖政治'''を行った。
[[File:Systeme-Metrique.jpg|thumb|メートル法の導入をよびかけるイラスト]]
なお同じ頃、ジャコバン派政権によってフランスにおける徴兵制の導入、革命暦の導入が行われた。また、憲法制定以前から度量衡(「どりょうこう」、意味: 長さ、重さなどの単位のこと)の整理が企画されていたが、憲法制定後にメートル法が導入され、メートルやグラムが導入された。
そしてフランスでは、しだいにロベスピエールの独裁に対する不満が高まり、ついに1794年7月に'''テルミドール9日のクーデター'''によってロベスピエール政権が倒され、ロベスピエールは処刑された。
そしてジャコバン派は失墜し、1795年には穏健共和派によって新憲法が制定し、フランス政治は財産額によって選挙権を制限する制限選挙制になった。
1796年、フランス軍人'''ナポレオン=ボナパルト'''がひきいる部隊が敵国のオーストリア軍をやぶったことで、ナポレオンの評判が高まった。(※ ナポレオンだけがフルネームで「ボナパルト」まで氏名を紹介されてるのが、読者には奇妙に思えるかもしれない。しかし日本の高校の教科書では、なぜかナポレオンだけ特別扱いされてフルネームで紹介されるので、残念ながら高校生は、こういう表記に従うしかない。なお、政治学用語または哲学用語で「ボナパルティズム」という、ナポレオン=ボナパルトに由来する語がある。)
また1798年、ナポレオンらは敵国イギリスとインドとの連絡を絶つために、エジプトに遠征した。(なお、ロゼッタストーンが発見されたのは、この遠征中の1798年である。)
[[File:Jacques-Louis David 019.jpg|thumb|left|350px|ナポレオンの戴冠式(たいかんしき)<br>この絵で手に冠をもっている人がナポレオン。皇后ジョセフィーヌに冠をさずけようとしている様子が描かれている。ナポレオンの後ろに座っているのは、ローマ教皇ビウス7世。ナポレオン自身も冠をかぶっている。]]
1799年にイギリスがロシアなどに呼びかけて第2回対仏大同盟が結成されると、ナポレオンはひそかにフランスに帰国し、ナポレオンは11月にクーデタを起こしてフランスの政権をにぎった('''ブリュメール18日のクーデタ''')。
そしてナポレオンひきいるフランスは、それまで対立していたローマ教皇と1801年に和解し、翌1802年にはイギリスとも和解(「'''アミアンの和約'''」)したので、対仏大同盟は存在理由がなくなり、いったん対仏大同盟は消滅した。(※ 「和約」の「約」の字に注意。「和訳」ではない。)
1804年には『'''ナポレオン法典'''』によって、私有財産の不可侵などが定められた。そして1804年に議会の圧倒的支持のもと、ナポレオンは帝位につき、『ナポレオン1世』と称した('''第一帝政''')。
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== 第3回対仏大同盟 ==
第2回対仏大同盟が消滅したにもかかわらず、1805年には第3回対仏大同盟がイギリス・ロシア・オーストリアによって結成された。
フランス海軍は1805年にイギリス海軍を相手に'''トラファルガーの海戦'''でたたかったが、フランスは敗退した。(なお、このトラファルガー海戦でイギリス海軍は提督ネルソンが指揮していた。)
しかしフランスは、陸戦では同1805年の'''アウステルリッツの三帝会戦'''でオーストリア・ロシアの連合軍を破った。
そして1806年、フランスはドイツ西部諸国とともにライン同盟を結成し、フランスはドイツ諸国の保護者となった。また、このライン同盟にともない神聖ローマ帝国は消滅した。
1806年、プロイセンはロシアと共同してフランスと戦ったが、フランスに破れてしまい、ロシアもフランスに同様に破れてしまったので、1907年にはフランスとの和議を結ばされた。
[[File:El Tres de Mayo, by Francisco de Goya, from Prado in Google Earth.jpg|thumb|400px|ゴヤ『マドリード, 1808年5月3日』 フランス軍に抵抗したスペイン市民が銃殺される様子が描かれている。画家ゴヤが(ナポレオン失脚後の)1814年にフランスに対する批判の意味で描いた。]]
同じころ、フランスは、イギリスを経済的に孤立させるために'''大陸封鎖令'''を1806年に発し、大陸諸国にイギリスとの貿易を禁じた。(現代語で言うところの、いわゆる「経済封鎖」を、ナポレオンはこころみた。)
しかし、やがてロシアが封鎖令を無視してイギリスに穀物を輸出したので、1812年にフランスは'''ロシアに遠征'''したが、このロシア遠征でフランスは敗退してしまい、この敗退をきっかけに各地で反乱が起き、1813年には反フランスの諸国が'''ライプツィヒの戦い'''でフランスを破り、翌1814年にパリを占領した。そしてナポレオンは諸国軍に捕らえられ、エルバ島に流された。
ナポレオンがエルバ島に流されたあと、フランスではブルボン王朝が復活し、ルイ18世が即位した。
その後ナポレオンはエルバ島を脱出して復帰したが、しかし'''ワーテルローの戦い'''で再びナポレオンは破れてしまい、セントヘレナ島に流されてしまい、以降、ナポレオンの復帰は無く、ナポレオンはセントヘレナ島で没した。
こうしてナポレオン本人は失脚したが、しかし「私有財産の不可侵」などの民主的な考えかたはヨーロッパに広がり、以降、諸国は民衆を尊重せざるを得なくなっていった。
:※ なお、ナポレオンがエルバ島を脱出して政権復帰してから、セントヘレナ島に流されるまでの政権期間のことを、(およそ100日であるため、歴史用語で)「百日天下」という。(※ 検定教科書では、どの教科書でも「百日天下」は太字になっておらず、あまり意義の無い用語だと考えているようだ。当時の人が「百日天下」と言ったかどうかは記述されてない。)
== ドイツでのナショナリズム ==
ドイツがナポレオンに占領されていた頃の1807年、プロイセン人思想家の'''フィヒテ'''は、ドイツの民衆に(ドイツへの)民族意識を鼓舞しようと『'''ドイツ国民に告ぐ'''』と題した講演で、プロイセン人に(ドイツ国民としての)国民意識(いわゆる「愛国心」)の必要性を主張した。(この時点では、まだ統一国家としての「ドイツ」は存在してなかった。ナポレオンが占領する前の「ドイツ」は、プロイセン等のいくつかの国が分立していた状態である。)
また、1807年、プロイセン宰相の'''シュタイン'''は農奴解放および付随する様々な自由化(営業の自由化など)を行った。あとの地位を継いだ宰相'''ハルデンベルク'''も同様に様々な改革を行った。(シュタインとハルデンベルクは、営業の自由化(つまり、ギルドの特権廃止)、教育改革、都市の自治化などの改革を行った。)
(※ ハ「イ」デ「ル」ベルク(×)ではなく ハ「ル」デ「ン」ベルク。「貼るでん、ベルク」とかコジつけて覚えよう。)
[[カテゴリ:フランス革命]] | 2023-09-28T06:33:46Z | 2023-09-28T06:44:01Z | [
"テンプレート:-"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2B/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF |
38,550 | 高等学校世界史B/第一次世界大戦 | (読者が中学や『高等学校世界史B/列強の二極化』バルカン問題 でも習ったように、)バルカン現地の民族感情などが対立しあう地域になり、「ヨーロッパの火薬庫」と言われるようになった。
1914年6月、ボスニアの州都サラエボで、セルビアの民族主義者が、訪問中のオーストリア皇太子夫妻を暗殺し(サラエボ事件)、報復のためオーストリアがサラエボに宣戦し、第一次世界大戦が始まった。(※ 検定教科書では「サライェヴォ事件」と」書いてあるが、読みづらいので、ここでは「サラエボ事件」で表記する。)
ロシアはセルビアを支持して参戦した。
ドイツはオーストリアを支持してロシア・フランスに宣戦し、参戦した。
また、ドイツが中立国ベルギーを侵犯したことを理由にイギリスもドイツに宣戦し、イギリスも参戦した。
こうして第一次世界大戦は、ドイツ・オーストリア陣営の同盟国と、対する、ロシア・イギリス・フランスの連合国との戦争になった。
アメリカは当初、中立を宣言していたが、イギリスによるドイツへの海上封鎖を支持するなど、実質的にアメリカは連合国側(イギリス側)だった。(そして大戦後期の1917年にアメリカは連合国側(イギリス側)として参戦する。)
兵器技術では、第一次世界大戦のこの頃、機関銃が実用化しており、兵器として実用化していた。
開戦直後、1914年にドイツはフランスに攻め込んだが、しかし マルヌの戦い でフランス軍によってドイツ軍は進撃をくいとめられ、西部戦線は膠着(こうちゃく)する。
両軍は(敵からの機関銃の攻撃をさけるため)塹壕に立てこもり、戦争は長期化していった。
東部戦線では、開戦直後の1914年にドイツ軍はロシアに攻め込み、タンネンベルクの戦い ではドイツは勝利するが、以降はロシアの反撃も増し、ドイツは攻めあぐね、東部戦線は膠着する。
こうして、第一次世界大戦は長期戦となっていく。
アメリカは当初、中立を守っていたが、大戦後期の1917年に連合国側として参戦する。(アメリカは、ドイツの海上での無制限潜水艦作戦を理由として、ドイツに参戦した。ドイツの無制限潜水艦作戦とは、ドイツが英仏など連合国への補給を絶つために、中立国を含む商船を攻撃する作戦のこと。)
イギリスはアジアの協力を得るため、1915年にインドには戦後の自治を約束し、敵オスマン帝国に支配されていたアラブ地方には戦後の独立を約束したが(フサイン・マクマホン協定)、しかしイギリスには約束を守るつもりはなかった。
しかしイギリスは、このフサイン・マクマホン協定と矛盾するような内容の宣言を、フランス・ロシア相手に秘密裏に約束しており、1916年にはフランス・ロシアとイギリスとでオスマン帝国の領土を分割するというサイクス・ピコ協定(Sykes-Picot Agreement )を認めあっていた。(秘密外交)
しかもイギリスは、ユダヤ人相手にも、先ほどのアラブ相手やフランス・ロシア相手の約束とは矛盾するような約束をしていた。
イギリスは、1917年に、ユダヤ人には戦後、アラブ地方のパレスチナの地を提供するというバルフォア宣言を出した。(現代まで続くパレスチナ問題の起源。)
しかし1917年にロシアで革命が起き、ソヴィエト政権が設立すると、ソヴィエトは秘密外交を暴露(ばくろ)した。
1918年1月にアメリカのウィルソン大統領が出した十四か条の平和原則には、秘密外交の禁止 の原則が盛りこまれた。
またロシアは革命のため、ドイツと講和する方針に転換し、1918年3月にはブレスト=リトフスク条約を結んでソヴィエト(ロシア)はドイツと単独講和をした。
そのあと、後述する「ドイツ革命」が起きる。ドイツ革命については、下記に示す。
第一次世界大戦の終わりごろ、ロシア革命後のヨーロッパでドイツで革命が起き、王制が終わります。国王のヴィルヘルム2世(ドイツ語:Wilhelm II.)は「皇帝」を名乗っていたので、ドイツで帝政が終わったことになります。ドイツで皇帝は退位させられ、皇室も廃止されます。これが、ドイツ革命(ドイツかくめい、独: Novemberrevolution, 英: German Revolution of 1918–19)です。
きっかけは第一次世界大戦の終わりごろの1918年11月3日にドイツのキール軍港で水兵の反乱が起き、その反乱がもとに革命が広がります。そして皇帝が退位させられて、議会制を中心とした国になります。
ドイツ革命は「革命」と言っても、ロシア革命とはちがい、経済が共産主義にはなっていません。ドイツ革命は市場経済を否定していません。皇帝だったヴィルヘルム2世も処刑はされておらず、革命後のヴィルヘルム2世はオランダで人生を過ごすことになります。
こうしてドイツは共和国になりました。 この共和国の時代のドイツのことを、1919年から1933年までのドイツのことを、ワイマール共和政(独:Weimarer Republik)とか「ワイマール共和国」という場合もあります。また、そのワイマール共和政のころの憲法のことをワイマール憲法といいます。ワイマール共和政でのドイツの正式な国名はドイツのままであり、ドイツの首都はベルリンのままであり、都市ワイマールは首都ではありませんでした。
じつはロシア革命の発生時の1917年3月、革命運動家レーニンはスイスに亡命中であり、彼レーニンは最初の革命を起こしてない。
1917年3月、革命によって臨時政府が樹立した(二月革命)。(ロシア暦では2月なので、二月革命という。)
臨時政府は、当初、戦争を継続した。
その後、1917年4月、スイスからレーニンが帰国し、臨時政府と対決した。
レーニンはボリシェヴィキの支持を集めた。いっぽう臨時政府はメンシェビキの支持を集めた。
また4月には、レーニンは、ドイツとの戦争の即時停止などをうったえる「四月テーゼ」を発表した。(四月テーゼでは、「即時停戦」と「すべての権力をソヴィエトへ」などのスローガンを主張していた。)
だが臨時政府は、首相をケレンスキーに変えて戦争を続行した。
そして、1917年11月に、レーニン側の勢力であるボリシェヴィキが武装蜂起し、ソヴィエト政権を樹立した(十月革命)。
そしてレーニンの政権獲得後、「平和に関する布告」を列強に呼びかけ、無併合・無賠償・民族自決をよびかけた。同時に、新政権は「土地に関する布告」も発表し、土地の自由権を廃止して、大地主の土地を没収し、農民に分配した。
そして1918年3月に、ロシアはドイツと単独講和した(ブレスト=リトフスク条約)。なお、この講和で、ロシアはポーランドやフィンランドなどをドイツに割譲し、領土を失った。(なお、のちの1919年のパリ講和会議でドイツの敗戦が決まると、ポーランドやフィンランドの独立が国際的に承認される。) | [
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] | バルカン現地の民族感情などが対立しあう地域になり、「ヨーロッパの火薬庫」と言われるようになった。 | (読者が中学や『[[高等学校世界史B/列強の二極化]]』バルカン問題 でも習ったように、)バルカン現地の民族感情などが対立しあう地域になり、「ヨーロッパの火薬庫」と言われるようになった。
== 開戦のきっかけ ==
1914年6月、ボスニアの州都サラエボで、セルビアの民族主義者が、訪問中のオーストリア皇太子夫妻を暗殺し(サラエボ事件)、報復のためオーストリアがサラエボに宣戦し、第一次世界大戦が始まった。(※ 検定教科書では「サライェヴォ事件」と」書いてあるが、読みづらいので、ここでは「サラエボ事件」で表記する。)
ロシアはセルビアを支持して参戦した。
ドイツはオーストリアを支持してロシア・フランスに宣戦し、参戦した。
また、ドイツが中立国ベルギーを侵犯したことを理由にイギリスもドイツに宣戦し、イギリスも参戦した。
こうして第一次世界大戦は、ドイツ・オーストリア陣営の'''同盟国'''と、対する、ロシア・イギリス・フランスの'''連合国'''との戦争になった。
アメリカは当初、中立を宣言していたが、イギリスによるドイツへの海上封鎖を支持するなど、実質的にアメリカは連合国側(イギリス側)だった。(そして大戦後期の1917年にアメリカは連合国側(イギリス側)として参戦する。)
== 戦争の展開 ==
兵器技術では、第一次世界大戦のこの頃、機関銃が実用化しており、兵器として実用化していた。
開戦直後、1914年にドイツはフランスに攻め込んだが、しかし マルヌの戦い でフランス軍によってドイツ軍は進撃をくいとめられ、西部戦線は膠着(こうちゃく)する。
両軍は(敵からの機関銃の攻撃をさけるため)塹壕に立てこもり、戦争は長期化していった。
東部戦線では、開戦直後の1914年にドイツ軍はロシアに攻め込み、タンネンベルクの戦い ではドイツは勝利するが、以降はロシアの反撃も増し、ドイツは攻めあぐね、東部戦線は膠着する。
こうして、第一次世界大戦は長期戦となっていく。
アメリカは当初、中立を守っていたが、大戦後期の1917年に連合国側として参戦する。(アメリカは、ドイツの海上での'''無制限潜水艦作戦'''を理由として、ドイツに参戦した。ドイツの無制限潜水艦作戦とは、ドイツが英仏など連合国への補給を絶つために、中立国を含む商船を攻撃する作戦のこと。)
== イギリスの秘密外交 ==
イギリスはアジアの協力を得るため、1915年にインドには戦後の自治を約束し、敵オスマン帝国に支配されていたアラブ地方には戦後の独立を約束したが(フサイン・マクマホン協定)、しかしイギリスには約束を守るつもりはなかった。
しかしイギリスは、このフサイン・マクマホン協定と矛盾するような内容の宣言を、フランス・ロシア相手に秘密裏に約束しており、1916年にはフランス・ロシアとイギリスとでオスマン帝国の領土を分割するという'''サイクス・ピコ協定'''(Sykes-Picot Agreement <ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for High School 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.332</ref>)を認めあっていた。(秘密外交)
しかもイギリスは、ユダヤ人相手にも、先ほどのアラブ相手やフランス・ロシア相手の約束とは矛盾するような約束をしていた。
イギリスは、1917年に、ユダヤ人には戦後、アラブ地方のパレスチナの地を提供するという'''バルフォア宣言'''を出した。(現代まで続くパレスチナ問題の起源。)
しかし1917年にロシアで革命が起き、ソヴィエト政権が設立すると、ソヴィエトは秘密外交を暴露(ばくろ)した。
1918年1月にアメリカのウィルソン大統領が出した'''十四か条の平和原則'''には、秘密外交の禁止 の原則が盛りこまれた。
== 終戦ごろ ==
またロシアは革命のため、ドイツと講和する方針に転換し、1918年3月には'''ブレスト=リトフスク条約'''を結んでソヴィエト(ロシア)はドイツと単独講和をした。
:※ この「ロシア革命」は、中学で習ったロシア革命と同じように、ソ連が建設される革命。(レーニンとかが政治の表舞台に出てくる革命。)
そのあと、後述する「ドイツ革命」が起きる。ドイツ革命については、下記に示す。
=== ドイツ革命 ===
[[File:Bundesarchiv Bild 183-B0527-0001-810, Berlin, Brandenburger Tor, Novemberrevolution.jpg|thumb|400px|ドイツ革命 革命派の兵士を乗せているトラックが、首都ベルリンの入口のブランデンブルク門を通過している。]]
第一次世界大戦の終わりごろ、ロシア革命後のヨーロッパでドイツで革命が起き、王制が終わります。国王のヴィルヘルム2世(ドイツ語:Wilhelm II.)は「皇帝」を名乗っていたので、ドイツで帝政が終わったことになります。ドイツで皇帝は退位させられ、皇室も廃止されます。これが、'''ドイツ革命'''(ドイツかくめい、独: Novemberrevolution, 英: German Revolution of 1918–19)です。
きっかけは第一次世界大戦の終わりごろの1918年11月3日にドイツのキール軍港で水兵の反乱が起き、その反乱がもとに革命が広がります。そして皇帝が退位させられて、議会制を中心とした国になります。
ドイツ革命は「革命」と言っても、ロシア革命とはちがい、経済が共産主義にはなっていません。ドイツ革命は市場経済を否定していません。皇帝だったヴィルヘルム2世も処刑はされておらず、革命後のヴィルヘルム2世はオランダで人生を過ごすことになります。
こうしてドイツは共和国になりました。
この共和国の時代のドイツのことを、1919年から1933年までのドイツのことを、'''ワイマール共和政'''(独:Weimarer Republik)とか「ワイマール共和国」という場合もあります。また、そのワイマール共和政のころの憲法のことを'''ワイマール憲法'''といいます。ワイマール共和政でのドイツの正式な国名はドイツのままであり、ドイツの首都はベルリンのままであり、都市ワイマールは首都ではありませんでした。
== ロシア革命 ==
じつはロシア革命の発生時の1917年3月、革命運動家レーニンはスイスに亡命中であり、彼レーニンは最初の革命を起こしてない。
1917年3月、革命によって臨時政府が樹立した('''二月革命''')。(ロシア暦では2月なので、二月革命という。)
臨時政府は、当初、戦争を継続した。
その後、1917年4月、スイスからレーニンが帰国し、臨時政府と対決した。
レーニンはボリシェヴィキの支持を集めた。いっぽう臨時政府はメンシェビキの支持を集めた。
また4月には、レーニンは、ドイツとの戦争の即時停止などをうったえる「'''四月テーゼ'''」を発表した。(四月テーゼでは、「即時停戦」と「すべての権力をソヴィエトへ」などのスローガンを主張していた。)
だが臨時政府は、首相をケレンスキーに変えて戦争を続行した。
そして、1917年11月に、レーニン側の勢力であるボリシェヴィキが武装蜂起し、'''ソヴィエト'''政権を樹立した('''十月革命''')。
そしてレーニンの政権獲得後、「平和に関する布告」を列強に呼びかけ、無併合・無賠償・民族自決をよびかけた。同時に、新政権は「土地に関する布告」も発表し、土地の自由権を廃止して、大地主の土地を没収し、農民に分配した。
そして1918年3月に、ロシアはドイツと単独講和した(ブレスト=リトフスク条約)。なお、この講和で、ロシアはポーランドやフィンランドなどをドイツに割譲し、領土を失った。(なお、のちの1919年の'''パリ講和会議'''でドイツの敗戦が決まると、ポーランドやフィンランドの独立が国際的に承認される。)
[[カテゴリ:第一次世界大戦]] | 2023-09-28T06:36:35Z | 2023-09-28T06:44:07Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2B/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6 |
38,551 | 高等学校世界史B/ロシア革命 | じつはロシア革命の発生時の1917年3月、革命運動家レーニンはスイスに亡命中であり、彼レーニンは最初の革命を起こしてない。
1917年3月、革命によって臨時政府が樹立した(二月革命)。(ロシア暦では2月なので、二月革命という。)
臨時政府は、当初、戦争を継続した。
その後、1917年4月、スイスからレーニンが帰国し、臨時政府と対決した。
レーニンはボリシェヴィキの支持を集めた。いっぽう臨時政府はメンシェビキの支持を集めた。
また4月には、レーニンは、ドイツとの戦争の即時停止などをうったえる「四月テーゼ」を発表した。(四月テーゼでは、「即時停戦」と「すべての権力をソヴィエトへ」などのスローガンを主張していた。)
だが臨時政府は、首相をケレンスキーに変えて戦争を続行した。
そして、1917年11月に、レーニン側の勢力であるボリシェヴィキが武装蜂起し、ソヴィエト政権を樹立した(十月革命)。
そしてレーニンの政権獲得後、「平和に関する布告」を列強に呼びかけ、無併合・無賠償・民族自決をよびかけた。同時に、新政権は「土地に関する布告」も発表し、土地の自由権を廃止して、大地主の土地を没収し、農民に分配した。
フランスがロシア革命前にロシアに投資していたぶんの債権(さいけん)は、ロシア革命によって消失した。(※ 参考文献: 東京書籍『新選 世界史B』)
なお、一連の革命によって、帝政ロシアの皇帝ニコライ2世は退位した。(のちに、革命政権の処刑により、ニコライ2世は銃殺される。)
そして1918年3月に、ロシアはドイツと単独講和した(ブレスト=リトフスク条約)。なお、この講和で、ロシアはポーランドやフィンランドなどをドイツに割譲し、領土を失った。(なお、のちの1919年のパリ講和会議でドイツの敗戦が決まると、ポーランドやフィンランドの独立が国際的に承認される。)
ロシア国内では、選挙でレーニンの政敵の社会革命党が優勢になると、レーニンは議会を解散し、レーニンひきいるボリシェヴィキによる独裁体制を築いた。(なお、1924年にレーニンが死亡すると、スターリンがソヴィエトの政権をにぎり、ひきつづき独裁政治を進めていく。)
なおボリシェヴィキは1918年3月に、自分たちの政党の呼び名を共産党と改称し、首都をモスクワに移した。
さて、十月革命の頃、トロツキーという人物がいた。
レーニンやトロツキーは、ロシア以外の地域でも社会主義革命を起こさせるべきだという「世界革命」を主張していた。1919年にモスクワで設立されたコミンテルンも、世界革命を目指して設立された組織である。
レーニンの死後、トロツキーとスターリンが政権をあらそい、最終的にスターリンが政権をにぎった。
すると、スターリンは、それまでの世界革命を否定し、ロシア地域が単独で社会主義を推進すべきだという「一国社会主義」を主張した。そして、スターリンはトロツキーを失脚させ、やがて国外追放した。(※ トロツキーは、1940年、亡命のためメキシコに滞在している時に、暗殺された。)
トロツキーの失脚後、スターリンは、トロツキーがレーニンの側近のように映っている写真を修正させ、それらの写真からトロツキーの姿を消させた。
(※ 現代の私たちにとっては、第二次大戦後の冷戦中のソヴィエトによる東欧支配などを考えると、ソヴィエトの政治は「一国社会主義」とは、結果はまったく違うという実情を知っている。だが、じつはスターリン政権の最初のころ、スターリンは領土獲得には、あまり関心が無かったのである。)
(上述のように)ボリシェヴィキが十月革命などの革命を起こすと、帝政ロシアの将軍たちが各地に反ソヴィエト軍の組織(白軍)をつくり、内戦が始まった。
また、イギリス・アメリカ・日本が、反ソヴィエト軍を支援するため、出兵して、対ソ干渉戦争が始まった。
日本はアメリカ合衆国とともに、シベリアに出兵した。
ソヴィエト政府は、赤軍(せきぐん)を組織して、対抗した。また、ソヴィエト政府はチェカ(非常委員会)を組織して、反革命運動を取り締まった。 さらにソヴィエト政府は戦時共産主義をしいて、食料の強制徴発(ちょうはつ)、中小企業まで含むほとんどの企業の国有化、などを行った。
しかし、戦時共産主義には、農民の不満が高かった。
そこで1921年になると、反ソヴィエト軍もほとんど倒され、外国軍もほとんど撤退をしていたので、1921年にレーニンは戦時共産主義を撤回し、1921年に食料の強制徴収をゆるめ、国有化もゆるめる新経済政策(ネップ、NEP)をソヴィエト政権は採用した。
そして1922年にソヴィエト政権は、ロシア・ベラルーシ・ウクライナ・ザカフカースの4つの地域を4つの「ソヴィエト共和国」として連合してソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)の成立を宣言し、1924年にソ連の憲法を発布した。
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] | null | == ロシア革命 ==
じつはロシア革命の発生時の1917年3月、革命運動家レーニンはスイスに亡命中であり、彼レーニンは最初の革命を起こしてない。
1917年3月、革命によって臨時政府が樹立した('''二月革命''')。(ロシア暦では2月なので、二月革命という。)
臨時政府は、当初、戦争を継続した。
その後、1917年4月、スイスからレーニンが帰国し、臨時政府と対決した。
レーニンはボリシェヴィキの支持を集めた。いっぽう臨時政府はメンシェビキの支持を集めた。
また4月には、レーニンは、ドイツとの戦争の即時停止などをうったえる「'''四月テーゼ'''」を発表した。(四月テーゼでは、「即時停戦」と「すべての権力をソヴィエトへ」などのスローガンを主張していた。)
だが臨時政府は、首相をケレンスキーに変えて戦争を続行した。
そして、1917年11月に、レーニン側の勢力であるボリシェヴィキが武装蜂起し、'''ソヴィエト'''政権を樹立した('''十月革命''')。
そしてレーニンの政権獲得後、「平和に関する布告」を列強に呼びかけ、無併合・無賠償・民族自決をよびかけた。同時に、新政権は「土地に関する布告」も発表し、土地の自由権を廃止して、大地主の土地を没収し、農民に分配した。
フランスがロシア革命前にロシアに投資していたぶんの債権(さいけん)は、ロシア革命によって消失した。(※ 参考文献: 東京書籍『新選 世界史B』)
:(なお「債権」(さいけん)とは、相手に「カネを返せ」と要求できる権利。 いっぽう「債務」(さいむ)とは、相手から「カネを返せ」と要求されてしまう義務。)
なお、一連の革命によって、帝政ロシアの皇帝ニコライ2世は退位した。(のちに、革命政権の処刑により、ニコライ2世は銃殺される。)
そして1918年3月に、ロシアはドイツと単独講和した(ブレスト=リトフスク条約)。なお、この講和で、ロシアはポーランドやフィンランドなどをドイツに割譲し、領土を失った。(なお、のちの1919年の'''パリ講和会議'''でドイツの敗戦が決まると、ポーランドやフィンランドの独立が国際的に承認される。)
ロシア国内では、選挙でレーニンの政敵の社会革命党が優勢になると、レーニンは議会を解散し、レーニンひきいるボリシェヴィキによる独裁体制を築いた。(なお、1924年にレーニンが死亡すると、'''スターリン'''がソヴィエトの政権をにぎり、ひきつづき独裁政治を進めていく。)
なおボリシェヴィキは1918年3月に、自分たちの政党の呼び名を'''共産党'''と改称し、首都をモスクワに移した。
さて、十月革命の頃、'''トロツキー'''という人物がいた。
レーニンやトロツキーは、ロシア以外の地域でも社会主義革命を起こさせるべきだという「世界革命」を主張していた。1919年にモスクワで設立された'''コミンテルン'''も、世界革命を目指して設立された組織である。
レーニンの死後、トロツキーとスターリンが政権をあらそい、最終的にスターリンが政権をにぎった。
すると、スターリンは、それまでの世界革命を否定し、ロシア地域が単独で社会主義を推進すべきだという「'''一国社会主義'''」を主張した。そして、スターリンはトロツキーを失脚させ、やがて国外追放した。(※ トロツキーは、1940年、亡命のためメキシコに滞在している時に、暗殺された。)
トロツキーの失脚後、スターリンは、トロツキーがレーニンの側近のように映っている写真を修正させ、それらの写真からトロツキーの姿を消させた。
(※ 現代の私たちにとっては、第二次大戦後の冷戦中のソヴィエトによる東欧支配などを考えると、ソヴィエトの政治は「一国社会主義」とは、結果はまったく違うという実情を知っている。だが、じつはスターリン政権の最初のころ、スターリンは領土獲得には、あまり関心が無かったのである。)
* その他
:(※ 範囲外:) レーニンが、地主や資本家などの不労所得を戒める意味で「働かざる者、食うべからず」と共産党の機関紙で述べたが、この慣用句(「働かざる者、食うべからず」)はもともと新約聖書にある一文である。けっしてレーニンの発明した格言ではない。
== 対ソ干渉戦争 ==
(上述のように)ボリシェヴィキが十月革命などの革命を起こすと、帝政ロシアの将軍たちが各地に反ソヴィエト軍の組織(白軍)をつくり、内戦が始まった。
また、イギリス・アメリカ・日本が、反ソヴィエト軍を支援するため、出兵して、'''対ソ干渉戦争'''が始まった。
日本はアメリカ合衆国とともに、シベリアに出兵した。
ソヴィエト政府は、赤軍(せきぐん)を組織して、対抗した。また、ソヴィエト政府はチェカ(非常委員会)を組織して、反革命運動を取り締まった。
さらにソヴィエト政府は'''戦時共産主義'''をしいて、食料の強制徴発(ちょうはつ)、中小企業まで含むほとんどの企業の国有化、などを行った。
しかし、戦時共産主義には、農民の不満が高かった。
そこで1921年になると、反ソヴィエト軍もほとんど倒され、外国軍もほとんど撤退をしていたので、1921年にレーニンは戦時共産主義を撤回し、1921年に食料の強制徴収をゆるめ、国有化もゆるめる'''新経済政策'''('''ネップ'''、NEP)をソヴィエト政権は採用した。
そして1922年にソヴィエト政権は、ロシア・ベラルーシ・ウクライナ・ザカフカースの4つの地域を4つの「ソヴィエト共和国」として連合して'''ソヴィエト社会主義共和国連邦'''(ソ連)の成立を宣言し、1924年にソ連の憲法を発布した。
:※ 備考: 共産主義(communism)とは、文字通りに考えれば共産党の者(communist)の思想という意味であり、「ソビエトの思想」のような意味で使う場合もあるが、しかし日本語で『共産主義』といった場合、私有財産の否定の思想のことを言う場合も多い。高校レベルでは、私有財産性の否定としての意味での『共産主義』とは、具体的には、企業の生産設備を国有化して、国の'''共'''有にする'''主義'''思想だから、'''共'''有の生'''産'''設備の'''主義'''という意味で、共産主義という、くらいに覚えておけばいい(※ 教科書では説明されてないが、山川の用語集などで『共産主義』の意味が書いてある。)。高校の日本史や世界史では、ロシア革命以降の単元で、『共産主義』という用語がたびたび出てくるので、意味を把握しておくように。
[[カテゴリ:ロシア史]] | 2023-09-28T06:39:31Z | 2023-09-28T06:44:17Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2B/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E9%9D%A9%E5%91%BD |
38,568 | 高等学校日本史探究/日本列島最古の文化Ⅰ | 地球は46億年前に誕生しました。人類は、約600~700万年前の中新世後期にアフリカでチンパンジーとヒトの共通祖先から分かれました。最古の化石人骨(サヘラントロプス・チャンデンシス)はアフリカのチャドで発見されました。アフリカ東部の大地溝帯は南北に走っており、ここから人類も誕生しました。アウストラロピテクス(南方の猿)も1924年にアフリカ東部の大地溝帯で発見されました。南アフリカの解剖学者レイモンド・ダートが猿人を見つけました。歴史学者の研究から、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)は340万年前から280万年前の新生代新第三紀鮮新世に現れました。脳の大きさは約500ccで、現代人の3分の1ほどの大きさでした。しかし、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)から二足歩行でまっすぐ立ちました。
ホモ・ハビリスは約230万年前頃に現れました。頭が大きく、石器などの道具を使っていました。そして、更新世の前期に、原人(ホモ=エレクトゥス)が現れました。1891年、オランダの解剖学者ウジェーヌ・デュボワはジャワ島東部のトリニール村の近く、ソロ川の岸で初めてジャワ原人を発見しました。ジャワ原人の脳の大きさは約900ccでした。その後、1927年から北京郊外の周口店の洞窟から原人の化石が約40体分も発見されました。これらの化石は北京原人として知られています。北京原人の脳の大きさは約1100ccでした。北京原人の洞窟遺跡を掘ると、多数の動植物化石・石器・火の使用も確認されました。この発掘結果から、原人の生活・文化が明らかになりました。また、原人から、言葉を通じてお互いに話せるようになりました。
約20万年前頃のアフリカで、人類は旧人に姿を変えました。旧人は1856年、ドイツのデュッセルドルフ市郊外から見つかりました。その証拠として、ネアンデルタール谷のフェルトホッファー洞窟で初めて発見されました。旧人はその地名からネアンデルタール人ともいわれています。ネアンデルタール人は、ヨーロッパとデュッセルドルフ市郊外で発見されました。旧人は現代人に近い脳の大きさを持ちました。また、旧人は洞窟に住み、複雑な石器を作り、死体も埋めていました。
15万年から10万年前頃、アフリカ大陸で新人(現生人類)ホモサピエンスが現れました。ホモサピエンスの骨格は、旧人よりもさらに現代人に近くなっています。1868年、クロマニョン人がフランス南部のクロマニョン渓谷で発見されました。クロマニョン人は現代人とほぼ同じ種族に入ります。新人は世界中に広がって、旧人を追い出しました。また、一部の新人が旧人と混血して、現在の人類を作り出しました。新人は主に洞窟に住み、とても高度な石器を作って使い、より効率的な狩りや釣りの方法を思いつきました。スペインのアルタミラやフランスのラスコー洞窟などに見られるような美しい絵を描いたり、女性や動物の絵を彫ったりしていました。
化石人骨の観察で、人類は猿人・原人・旧人・新人の順番で進化を重ねてきました。しかし、現在の人類学では、この考えを大きく見直しています。人類の化石が多く見つかるようになると、それまで様々な種類の人類が暮らしていた事実が明らかになってきました。しかし、ほとんどの系統は絶滅して、現代人を生み出したのは1系統のみでした。人類最古の化石も次々と見つかっています。1992年、440万年前のラミダス猿人の歯がエチオピアで見つかりました。また、2000年になると、600万年前の猿の骨がケニアで見つかりました。さらに、2002年、猿人の化石がアフリカのチャドで発見されました。この猿人の化石は、約700万年前の化石と考えられています。しかし、この猿人の化石は人類以外の化石との意見もあります。このような発掘調査から、アフリカ大陸が人類誕生の場所と考えられています。原人の段階でアフリカ大陸からユーラシア大陸に渡りました。 | [
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] | null | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校地理歴史]]>[[高等学校日本史探究]]>日本列島最古の文化Ⅰ
== 人類の誕生と日本列島への居住 ==
※人類はどのような進化を重ねてきましたか?
地球は46億年前に誕生しました。人類は、約600~700万年前の中新世後期にアフリカでチンパンジーとヒトの共通祖先から分かれました。最古の化石人骨(サヘラントロプス・チャンデンシス)はアフリカのチャドで発見されました。アフリカ東部の大地溝帯は南北に走っており、ここから人類も誕生しました。'''アウストラロピテクス'''(南方の猿)も1924年にアフリカ東部の大地溝帯で発見されました。南アフリカの解剖学者[[w:レイモンド・ダート|レイモンド・ダート]]が'''猿人'''を見つけました。歴史学者の研究から、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)は340万年前から280万年前の新生代新第三紀鮮新世に現れました。脳の大きさは約500ccで、現代人の3分の1ほどの大きさでした。しかし、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)から二足歩行でまっすぐ立ちました。
[[ファイル:Sinathropus pekinensis.jpg|サムネイル|北京原人の頭蓋骨は周口店で最初に発見されました。]]
ホモ・ハビリスは約230万年前頃に現れました。頭が大きく、'''石器'''などの道具を使っていました。そして、'''更新世'''の前期に、'''原人'''(ホモ=エレクトゥス)が現れました。1891年、オランダの解剖学者[[w:ウジェーヌ・デュボワ|ウジェーヌ・デュボワ]]はジャワ島東部のトリニール村の近く、ソロ川の岸で初めて'''ジャワ原人'''を発見しました。ジャワ原人の脳の大きさは約900ccでした。その後、1927年から北京郊外の周口店の洞窟から原人の化石が約40体分も発見されました。これらの化石は'''北京原人'''として知られています。北京原人の脳の大きさは約1100ccでした。北京原人の洞窟遺跡を掘ると、多数の動植物化石・石器・'''火'''の使用も確認されました。この発掘結果から、原人の生活・文化が明らかになりました。また、原人から、言葉を通じてお互いに話せるようになりました。
約20万年前頃のアフリカで、人類は旧人に姿を変えました。旧人は1856年、ドイツのデュッセルドルフ市郊外から見つかりました。その証拠として、ネアンデルタール谷のフェルトホッファー洞窟で初めて発見されました。旧人はその地名から'''ネアンデルタール人'''ともいわれています。ネアンデルタール人は、ヨーロッパとデュッセルドルフ市郊外で発見されました。旧人は現代人に近い脳の大きさを持ちました。また、旧人は洞窟に住み、複雑な石器を作り、死体も埋めていました。
15万年から10万年前頃、アフリカ大陸で'''新人(現生人類)'''ホモサピエンスが現れました。ホモサピエンスの骨格は、旧人よりもさらに現代人に近くなっています。1868年、'''クロマニョン人'''がフランス南部のクロマニョン渓谷で発見されました。クロマニョン人は現代人とほぼ同じ種族に入ります。新人は世界中に広がって、旧人を追い出しました。また、一部の新人が旧人と混血して、現在の人類を作り出しました。新人は主に洞窟に住み、とても高度な石器を作って使い、より効率的な狩りや釣りの方法を思いつきました。スペインのアルタミラやフランスのラスコー洞窟などに見られるような美しい絵を描いたり、女性や動物の絵を彫ったりしていました。
{| style="border:2px solid #D7A766;width:100%" cellspacing="0"
! style="background: #D7A766" |'''人類の起源'''
|-
| style="padding:5px" | 多地域進化説は、広く受け入れられています。人類がどのようにして生まれたのかをこの説で説明しています。原人はアフリカから、それぞれ違う場所で進化の歴史をたどり、旧人も新人も同じように進化しました。その後、遺伝子の研究が大学で盛んになり、アフリカ単一起源説が広く知られるようになりました。この説から説明すれば、次の通りです。
約10万年前にアフリカからユーラシア大陸へ渡り、ヨーロッパにやってきてクロマニョン人と名づけられました。ネアンデルタール人とクロマニョン人はヨーロッパや西アジアで一緒に暮らしていました。しかし、ネアンデルタール人はやがて姿を消しました。なぜなら、ネアンデルタール人は環境に上手く対応できず、食料をより早く見つけられなかったからです。このように、生物集団間の生命関係をDNAの違いを遺伝子人類学から明らかにされました。遺伝子人類学が、新人の出現についての新しい考え方として大きな影響をもたらしています。
|}
化石人骨の観察で、人類は猿人・原人・旧人・新人の順番で進化を重ねてきました。しかし、現在の人類学では、この考えを大きく見直しています。人類の化石が多く見つかるようになると、それまで様々な種類の人類が暮らしていた事実が明らかになってきました。しかし、ほとんどの系統は絶滅して、現代人を生み出したのは1系統のみでした。人類最古の化石も次々と見つかっています。1992年、440万年前のラミダス猿人の歯がエチオピアで見つかりました。また、2000年になると、600万年前の猿の骨がケニアで見つかりました。さらに、2002年、猿人の化石がアフリカのチャドで発見されました。この猿人の化石は、約700万年前の化石と考えられています。しかし、この猿人の化石は人類以外の化石との意見もあります。このような発掘調査から、アフリカ大陸が人類誕生の場所と考えられています。原人の段階でアフリカ大陸からユーラシア大陸に渡りました。
{| style="border:2px solid #EA5419;width:100%" cellspacing="0"
! style="background: #EA5419" |'''日本人の形成'''
|-
| style="padding:5px" | アジア人(モンゴロイド)は、南方アジア人(古モンゴロイド)と北方アジア人(新モンゴロイド)に分けられます。その中に日本人も含んでいます。なお、モンゴロイドはよく使われていましたが、主に誰かをからかうために使われていました。そのため、この用語は使われなくなりました。その代わり、アジア人・アジア系集団の用語がよく使われています。北方アジア人は氷期の高緯度地方にいました。北方アジア人は極端な寒さにも耐えられるようにしました。その特徴は次の通りです。
* 体温を保つために、体の体積を大きくしました。
* 体温を保つために、手足が短くなっています。そのため、皮膚面積が少なくなります。
* 顔の凹凸が少なく、目が凍らないように厚い一重瞼になっています。
一方、南方アジア人は寒さに慣れていません。そのため、そのままの姿を保っていたと考えられています。
現代の日本人は北方アジア人にかなり似ていても、形質人類学から日本人が南方アジア人と同じではないかと考えています。縄文時代の人は低身長で、顔が幅広く、おでこから顎までの高さも低いので、低顔とも呼ばれています。また、顔にバランスの崩れが見られます。考古学者によると、旧石器時代の人骨と縄文人の人骨が似ているので、旧石器時代の人と縄文人は同じ子孫だと考えられています。その外見から、彼らを南方アジア人に分類出来ます。しかし、縄文人は北方アジア人の遺伝子と深く結びついています。そこで、縄文人と弥生人の骨からミトコンドリアDNAを調べました。その結果、日本本土の現代日本人・沖縄の住民・アイヌ人・朝鮮半島の住民・モンゴル人と遺伝子の深いつながりが認められました。しかし、東南アジア人や南太平洋の人々と比べると、あまり遺伝子の深いつながりは見られません。旧石器時代、日本列島・アジア大陸北部の沿海州・シベリア地方と深い文化的つながりを持っていました。考古学の資料からもその内容が確認出来ます。
弥生時代から古墳時代までの日本列島の人骨から、北方アジア人の特徴が現れています。この時期、朝鮮半島から多くの人々が日本列島に移住するようになりました。彼らは稲作を始めて、新しい技術や文化を持ち込みました。縄文人と比べてこれらの人々は高身長・高顔(面長)でした。これらの人々は弥生時代に九州北部や山口県西部にやってきました。その後、彼らの血と縄文人の血が混ざり合い、全国に広がりました。
|}
== 資料出所 ==
* 平雅行、横田冬彦ほか編著『[https://www.jikkyo.co.jp/material/dbook/R5_chireki_20220510/?pNo=6 日本史探究]』実教出版株式会社 2023年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『[https://new-textbook.yamakawa.co.jp/j-history/ 詳説日本史探究]』株式会社山川出版社 2023年
* 山中裕典著'''『'''[https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%85%A5%E5%AD%A6%E5%85%B1%E9%80%9A%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2B%E3%81%AE%E7%82%B9%E6%95%B0%E3%81%8C%E9%9D%A2%E7%99%BD%E3%81%84%E3%81%BB%E3%81%A9%E3%81%A8%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%9C%AC-%E5%B1%B1%E4%B8%AD-%E8%A3%95%E5%85%B8/dp/4046041994/ref=sr_1_7?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=36OGLMABMI16H&keywords=%E5%85%B1%E9%80%9A%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2&qid=1673018030&sprefix=%E4%BB%8A%E6%97%A5%E6%89%93%E3%81%A4%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2%2Caps%2C248&sr=8-7 大学入学共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本]'''』'''株式会社KADOKAWA 2020年
* 佐藤信、五味文彦ほか編著『[https://www.amazon.co.jp/%E8%A9%B3%E8%AA%AC%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E4%BF%A1/dp/4634010739/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2JVCFQ6ZSAM4W&keywords=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6&qid=1673018227&sprefix=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%2Caps%2C229&sr=8-1 詳説日本史研究]』株式会社山川出版社 2017年
* 河合敦著『[https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84-%E6%B2%B3%E5%90%88%E6%95%A6%E3%81%AE-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2B-%E3%80%8C%E5%8E%9F%E5%A7%8B-%E9%8E%8C%E5%80%89%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%88%A5%E8%AC%9B%E5%BA%A7-%E6%B2%B3%E5%90%88/dp/404600794X/ref=d_pd_sbs_sccl_2_1/355-7112149-5713814?pd_rd_w=H8Pxa&content-id=amzn1.sym.820591ed-a555-4556-9bf6-5ebd5493c69e&pf_rd_p=820591ed-a555-4556-9bf6-5ebd5493c69e&pf_rd_r=ZWG9FNM6AD22NFF5WK2G&pd_rd_wg=scszo&pd_rd_r=8c1e9eda-f944-4c80-9e4e-7e35244ab2a6&pd_rd_i=404600794X&psc=1 世界一わかりやすい河合敦の日本史B[原始~鎌倉]の特別講座]』株式会社KADOKAWA 2014年(絶版本)
[[カテゴリ:高等学校日本史探究]] | 2023-10-01T13:58:17Z | 2023-10-22T21:50:03Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2%E6%8E%A2%E7%A9%B6/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%97%E5%B3%B6%E6%9C%80%E5%8F%A4%E3%81%AE%E6%96%87%E5%8C%96%E2%85%A0 |
38,589 | 日本国憲法第89条 | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法
【公の財産の支出・利用提供の制限】 | [
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] | 法学>憲法>日本国憲法>コンメンタール日本国憲法 | [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【公の財産の支出・利用提供の制限】
;第89条
:公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第89条}}
==参照条文==
*[[社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律]]([https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000053_20150801_000000000000000&keyword=%E7%A4%BE%E5%AF%BA%E7%AD%89%E3%81%AB%E7%84%A1%E5%84%9F%E3%81%A7%E8%B2%B8%E3%81%97%E4%BB%98%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%82%E3%82%8B%E5%9B%BD%E6%9C%89%E8%B2%A1%E7%94%A3%E3%81%AE%E5%87%A6%E5%88%86%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B e-Gov法令検索])
==判例==
#<span id="政教分離"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54189 行政処分取消等](最高裁判決昭和52年7月13日)[[日本国憲法第20条|憲法第20条]]
##'''憲法における政教分離原則'''
##:憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。
##'''憲法20条3項にいう宗教的活動の意義'''
##:憲法20条3項にいう宗教的活動とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
##'''市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式が憲法20条3項にいう宗教的な活動にあたらないされた事例'''
##:市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従つた儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法20条3項にいう宗教的活動にあたらない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56361 運動場一部廃止決定無効確認等、同附帯及び慰霊祭支出差止](箕面忠魂碑訴訟 最高裁判決平成5年2月16日)
#*その他詳細は、'''[[日本国憲法第20条#箕面忠魂碑訴訟|憲法第20条・判例(箕面忠魂碑訴訟)]]'''参照。
#;財団法人D会及びその支部と憲法20条1項後段にいう「宗教団体」及び憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」
#:財団法人D会及びその支部は、憲法20条1項後段にいう「宗教団体」、憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に該当しない。
#:*憲法20条1項後段にいう「宗教団体」、憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」とは、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織ないし団体のすべてを意味するものではなく、国家が当該組織ないし団体に対し特権を付与したり、また、当該組織ないし団体の使用、便益若しくは維持のため、公金その他の公の財産を支出し又はその利用に供したりすることが、特定の宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になり、憲法上の政教分離原則に反すると解されるものをいうのであり、換言すると、特定の宗教の信仰、礼拝又は普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体を指すものと解するのが相当である。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54777 損害賠償代位](最高裁判決平成9年4月2日)[[日本国憲法第20条|憲法第20条]]
##'''県がD神社又はE神社の挙行した例大祭、みたま祭又は慰霊大祭に際し玉串料、献灯料又は供物料を県の公金から支出して奉納したことが憲法20条3項、89条に違反するとされた事例'''
##:愛媛県が、宗教法人D神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である例大祭に際し玉串料として9回にわたり各5,000円(合計45,000円)を、同みたま祭に際し献灯料として4回にわたり各7,000円又は8,000円(合計31,000円)を、宗教法人愛媛県E神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である慰霊大祭に際し供物料として9回にわたり各10,000円(合計90,000円)を、それぞれ県の公金から支出して奉納したことは、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有する者であるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法20条3項、89条に違反する。
##'''委任又は専決により県の補助職員らが公金支出を処理した場合において知事は指揮監督上の義務に違反したものであり過失があったが補助職員らは判断を誤ったけれども重大な過失があったということはできないとされた事例'''
##:愛媛県が憲法20条3項、89条に違反して宗教法人D神社等に玉串料等を県の公金から支出して奉納したことにつき、右支出の権限を法令上本来的に有する知事は、委任を受け又は専決することを任された補助職員らが右支出を処理した場合であっても、同神社等に対し、右補助職員らに玉串料等を持参させるなどしてこれを奉納したと認められ、当該支出には憲法に違反するという重大な違法があり、地方公共団体が特定の宗教団体に玉串料等の支出をすることについて、文部省自治省等が、政教分離原則に照らし、慎重な対応を求める趣旨の通達、回答をしてきたなどの事情の下においては、その指揮監督上の義務に違反したものであり、過失があったというのが相当であるが、右補助職員らは、知事の右のような指揮監督の下でこれを行い、右支出が憲法に違反するか否かを極めて容易に判断することができたとまではいえないという事情の下においては、その判断を誤ったものであるが、重大な過失があったということはできない。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#7|第7章 財政]]
|[[日本国憲法第91条]]<br>【皇室財産・皇室費用】
|[[日本国憲法第93条]]<br>【決算審査、会計検査院】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|89]] | 2023-10-06T17:59:45Z | 2023-10-07T17:38:54Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC89%E6%9D%A1 |
38,597 | アイヌ語定型文練習 タンペ へマンタ アン? | アイヌ語 > 定型文 > タンペ ヘマンタ アン?
タンペ ヘマンタ アン? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан?
――プクサ ネ ルヱ ネ。 pukusa ne ruwe ne. пукуша нэ руўэ нэ.
タンペ ヘマンタ アン? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан?
――ユㇰ ネ ルヱ ネ。 yuk ne ruwe ne. йук нэ руўэ нэ.
あるものが何かを尋ねるときは、「タンペ へマンタ アン?」と言います。 | [
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] | アイヌ語 > 定型文 > タンペ ヘマンタ アン? タンペ ヘマンタ アン? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан? ――プクサ ネ ルヱ ネ。 pukusa ne ruwe ne. пукуша нэ руўэ нэ. タンペ ヘマンタ アン? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан? ――ユㇰ ネ ルヱ ネ。 yuk ne ruwe ne. йук нэ руўэ нэ. あるものが何かを尋ねるときは、「タンペ へマンタ アン?」と言います。 | [[アイヌ語]] > 定型文 > タンペ ヘマンタ アン?
<big>'''タ'''</big>'''ン<big>ペ ヘマ</big>ン<big>タ ア</big>ン<big>? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан? 「これは何?」</big>'''
[[ファイル:Allium ochotense, Hokkaido Japan K3100010.jpg|境界|200x200ピクセル]]
――プクサ ネ ルヱ ネ。 pukusa ne ruwe ne. пукуша нэ руўэ нэ. 「ギョウジャニンニクです。」
<big>'''タンペ ヘマンタ アン? tanpe hemanta an? танпэ һэманта ан? 「これは何?」'''</big>
[[ファイル:C.n.yesoensis--modified.jpg|境界|200x200ピクセル]]
――ユㇰ ネ ルヱ ネ。 yuk ne ruwe ne. йук нэ руўэ нэ. 「鹿です。」
あるものを指して、それが何かを尋ねるときは、「タ<small>ン</small>ペ へマ<small>ン</small>タ ア<small>ン</small>?」と言います。
[[カテゴリ:アイヌ語]] | 2023-10-09T17:53:28Z | 2023-10-14T11:41:53Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E8%AA%9E%E5%AE%9A%E5%9E%8B%E6%96%87%E7%B7%B4%E7%BF%92_%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9A_%E3%81%B8%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BF_%E3%82%A2%E3%83%B3%3F |
38,602 | 高等学校情報/情報I/データの活用 | ※ 暗黙の前提として、データは1個だけでは普通は価値が無く、蓄積しないと役立てることができません。後述する「データ分析」でも、たった1個だけのデータを分析しても、たいていの場合は何の役立ちません。蓄積された多くのデータを手作業で処理するのは大変なので、そこでコンピュータの出番(でばん)となるわけです。
下記の例ではアンケートによる集計でデータを蓄積していますが、別に他の手段でデータを収集して蓄積しても構いません。たとえば気温のデータなら、デジタル温度計で収集するのが効率的でしょう。
アンケートなどでデータを集める際、たとえば「1日あたりの勉強時間を答えてください」の回答のような、数値などで表現できるデータであり、さらにデータどうしの差や比例などに意味のあるデータのことを「量的データ」と言います。身長や時間や人数や点数など、数値として意味があるものが量的データです。
一方、「社会科は好きか嫌いか、その理由とともにお答えください」の回答のような、文章などで記述してもらったデータのことを「質的データ」と言います。
コンピュータでは、量的データのほうが処理しやすいです。
部活の入部希望アンケートで「加入したい部活を記入してください」というアンケートは、一見すると回答は「サッカー部」のような語句のように見えますが、しかし選択肢を用意して番号をつけて
のように選択肢を設けることで、これを数値として扱うこともできますが、しかしこういうのも質的データとして扱います。なぜなら、部活どうしの四則演算に意味が無いからです。
たとえばサッカー部の「1」と「卓球部」の2を足したら「3」で、これは柔道部の番号「3」と同じ数値ですが、しかしそのことに意味は何もありません。
なお、この部活の番号のように、分類上の都合でつけただけの番号などの数値を、名義尺度(nominal scale)と言います。 ※ 実教出版の教科書で英訳を併記しています。
数値データであっても、必ずしも量的データとは限らないことに注意してください。
後述しますが、コンピュータでは、選択肢の方式のアンケートが一番ラクに処理しやすいです。
下記のように番号をつけて
とした場合、番号の数値が低いほど満足しているので、数値の大小には意味があります。しかし要素どうしの四則演算には意味がありません。たとえば
「とても良い」(1)+「良い」(2)=「普通」(3)
ですが、そのことに意味が何もありません。
このように、順序や大小には意味があるが四則演算に意味が無い尺度のことを順序尺度と言います。
順序尺度は、一見すると差に意味がありそうですが、しかし,、たとえば「1 とても良い」と「3 普通」の差はむりやり計算すれば2ですが、
これが「2 良い」と「4 あまり良くなかった」の差の2と計算結果は等しくなりますが、
しかし、本当に回答者の「とても良い」と「普通」の差が、「良い」と「普通」の差とは等しいという保証がありません(※数研出版)。
なので、こういったアンケートの回答は順序尺度として扱います。
また、さきほど回答者の心理の話をしたことから分かるように、心理学や社会学では、心理などを数値データ的に処理したいときに順序尺度として扱わなければいけない事もよくあります(※数研出版)。
さて、質的データは、名義尺度または順序尺度に分けられます。
物理II(専門『物理』)で習いますが、温度の比率には意味がありません。温度の差には意味があります。
たとえば1°Cと10°Cは、一見すると10倍ですが、
しかしケルビン単位で見れば、
274ケルビンと283ケルビンでしかなく、2倍未満です。
このように、温度は単位系によって数値が変わるので、比率には意味がありません。
この温度のように、比率に意味が無いが差には意味がある尺度のことを「間隔尺度」と言います
ほか、身長・年齢など、大小関係にも差にも比率にも意味がある尺度のことを「比例尺度」と言います。
建物の階数はよく比例尺度と誤解されますが、しかし日本においては地面に接している階が0階ではないので、階数は比例尺度ではありません(※ 数研出版)。1つの階の高低差が等間隔なら、その建物の階は間隔尺度です。階の高さが等間隔でない場合は、間隔尺度ですらなく、順序尺度です(※数研出版の傍注)。
ほか、量的データのことを「定量データ」(ていりょうデータ)、質的データのことを「定性データ」(ていせいデータ)と言うこともあります(※数研出版の傍注)。
名義尺度であっても、最頻値の算出は可能である(日本文教出版 II)。
たとえば、新入生アンケートで、どの部活に入部を希望するかの「入部アンケート」を学校がとったとして、「13:軽音楽部」が仮に一番人気だったとしよう。こういった人気アンケートみたいに、最頻値や、あるいは名称はないが二番目に頻度の高い値、三番目に頻度の高い値、・・・といったものは算出できる。
名義尺度に最頻値が存在するので、決して「名義尺度は統計量を出せない」(←マチガイ)と勘違いしないようにしよう。
アンケートで数値入力させたとき、ユーザーが入力ミスなどで、異常な数値を入力してしまう場合があります。
その場合、せっかく近似直線または近似直線(二次関数や三次関数などの高次関数で近似できる)などの近似関数をとっても(※ スプレッドシートに近似直線や近似曲線を取る機能があります)、異常な傾きの直線や曲線が出てしまいます。
また、直線や高次関数ではなく、円などで近似したほうが良い結果が得られる場合もあります。
なので、いきなり近似関数の機能を使う前に、まずグラフで図示する必要があります。
例として、次の7名のクラスの、数学と物理の点数を考えてみましょう。
スプレッドシートでグラフ表示をする際、「散布図」(さんぷず、scatter plot)というもので表示すると、線で近似する前の状態が図示されるので、その散布図を見てから、何で近似すべきかを決めます。
さて、直線近似をするという事は、一次関数で近似することです。数値的に正確な直線近似の方法として、数学的には「最小二乗法」という方法が一般的には使われます。(検定教科書「情報II」の範囲。日本文教出版で確認.)
直線を引いた場合に、残差(ざんさ)を二乗した値の総和(残差二乗和または「二乗残差和」または残渣平方和)が最小になる直線を求める計算法が、最小二乗法です。
残差とは、考えている近似関数からのズレです。
なお、二次関数以上で近似する場合でも(つまり多項式近似の場合)、考えている関数とのズレのことを「残差」といいます。また、多項式近似を表計算ソフトに命令した場合には、残差が最小になるような関数を表計算ソフトは出力するはずです。
まあ、直線近似については、コンピュータなどなかった時代などは、人間が散布図を目で見て「だいたいココらへんだな・・・」と、「えいやっ」と直線を手動で引く方法も昔からありましたが・・・。
なお、高次関数による近似は、表計算ソフトでは「多項式近似」などと呼んでいるかもしれません。(じっさい、Excelの場合、「多項式近似」では2次関数以上しか使えない。)
散布図は、図1つにつき2種類のデータしか使えません(上記の例では数学と物理の得点のように)。
国語の得点などとの関係も図示したい場合は、新たに、たとえば国語と数学の得点を散布した散布図をもう一つ作る必要があります。
数学の統計分野で「相関係数」と言うのを習うが、しかし相関係数とは直線比例に近いかどうかを検出するための指標であるので(直線比例に近いと1または-1に近くなる。相関係数は -1≦r≦+1 の間の数値を取る(rを相関係数の記号とする)。相関係数の絶対値は最大で1まで)、たとえば明らかに円形に分布していても検出されない(円状に分布している場合は相関係数が0に近くなる)。
円周上に並んでいるように見える場合でも、あるいは円盤状に並んでいる場合でも、どちらにせよ相関係数が0に近くなる。
円に限らず、たとえば四角形状に分布している場合でも同様、相関係数が0に近くなる。
また、「W」字のようにナナメ上向き直線とナナメ下向き直線が混ざっているように分布している場合も、相関係数が0に近くなる。
このため、統計分析の実務では、相関係数を計算するよりも前に、まず散布図を見て、どう分析するかを決める必要がある。
2023年現在、高校数学でもすでに散布図を教えている。
もし散布が直線状で、ナナメ右上に右上がりになっている場合は、相関係数が 1 に近くなり(※ プラス1に近くなり)、「正の相関」と言う。
もし散布が直線状で、ナナメ右下に右下がりなっている場合は、相関係数が-1に近くなり、「負の相関」と言う。
データの重複や表記ゆれ、その他のご入力などの除去の作業のことを、データ・クリーニングやデータ・クレンジングなどと言います。特に、手入力されたデータには誤入力や重複などが起こりやすいので、データクレンジングが必須である(※東京書籍の見解)。
アンケートなどで数値入力をさせた際、回答者が読み違いや入力ミスなどで、異常な値を回答してしまう場合があります。
入力ミスなどによって入力された値のことを「異常値」と言います(数研出版の見解)。いっぽう、入力ミスではないが、ほかの値から大きく外れた値のことを「外れ値」(はずれち、outlier)と言います。
なので、異常値については、近似関数などを作成する前に除去をした、別データ集を作成します。外れ値を除去するかは、データの種類による(※数研の見解)。
中学校の数学でも習ったと思いますが、(平均値ではなく)中央値や最頻値などを使うことで、異常値の影響を受けづらくなります。
このように、何かの指標を使う場合は、異常値などの影響を受けづらい指標を使うのがコツです。
このほか、ある項目のデータが入力されていなくて空欄の場合など、「欠損値」(英:missing value)と言います(※東京書籍、第一学習社、実教出版などで確認)。コンピュータ処理上の都合で、未回答であっても、じつは何らかの値が事前に変数に入力されている場合があります。たとえば数値データなら、プラスの整数しか回答できない質問に、じつはマイナスの値が格納されている、などです。もし回答すると、値がプラスに書き換わる、などの工夫です。
欠損値は、その後のデータ分析からは、除去する必要があります。
「情報」教科でつかう数学については、平均や中央値や最頻値といった中学レベルの数学が情報の範囲です。加えて、高校で新しく習うだろう(統計値の)「分散」も情報Iの範囲です(※ 数研出版の教科書で確認)。なので、高校の数学IAていどの勉強は必ずしましょう。余裕があれば数学2Bも勉強しましょう。
(※ 範囲外)データ・クリーニングのさい、除去前のデータは、これはこれで残す必要があります。
一般に、生データは残します。(ただし、プライバシー保護など特別な理由がある場合は別。詳しくは業界によるだろうから、その業界の慣習に従おう。また、新人はしばらくは先輩の指示に従おう。)
生データのままだと、異常値が含まれていたら、異常な分析結果が出てしまうので、役立たなくなってしまう。なので、それを防ぐため、まず散布図などを観察して、明らかに変な値は、除去をするなどの加工をした二次データのファイルを作成します。
(なので、エクセルなどでデータファイルは、生データ用のファイルと、加工データのファイルとで、最低でも2個のファイルを得ることになる。)
では、どういったデータが、異常なのでしょうか。
ケーススタディとして、たとえば「あなたの1か月あたりのおこづかい(単位:円)を答えてください。」というアンケートで、 多くの回答者が「10000」とか「20000」とか答えているのに、何人かの回答者が「2」とか「3」とか答えていたら、明らかにその「2」や「3」は異常値です。
この「2」や「3」は、おそらく2万円とか3万円のつもりで誤入力をしたものと思われます。
そもそも小遣いをもらってないなら「0」円になるはずだし、こづかいをもらっているのに2円とか3円とか、常識的にありえない数字です。
この例のように、異常なデータは、データ解析などの処理の前に除去をする必要があります。
なお、実は、世間にある統計データの分析結果は、場合によっては、データ・クリーニング済みのものだったりすることもあります。(だからデータ分析者の主観がそこで少し入る可能性がある。)
欠損値のクリーニング時の初歩的な失敗例として、本来なら除去すべきなのにゼロ「0」に置き換えてしまうミスがあります(数研出版)。ゼロに置き換えてしまうと、平均値などの計算に含まれてしまうので、間違った結果を出してしまいます。なので欠損値は、平均値などの算出では、ゼロに置き換えるのではなく、必ず除去しましょう。
Googleフォーム内では文章は分析できません。) しかし、外部サイトを使えば、記述式アンケートで収集した文章でも、出現頻度の多い単語の抽出などの分析に書けることができます。「テキストマイニング」などで調べると、そういうサイトを探せます。
テキストマイニングを出来る外部サイトとしては、たとえば「AIテキストマイニング User Local」などのサイトがあります。
ただし、テキストマイニングで分かるのはl単語の頻度と(※ 「ワードクラウド」画面)、単語どうしの出現の関連性(たとえば「先輩」「後輩」のように出現事例が近い単語は近くに表示される。「共起キーワード」という)だけです。
それ以上の分析は、結局は、人間が行う必要があります。もとの文章を読む必要もあります。
やはり、基本的には選択式のアンケートが簡単です。そして、記述をしてもらった場合には、最終的に、アンケート文を読む必要もあります。
もし読者が「質的データ」と言う言葉を習っているなら、つまりテキストマイニングを使うことで質的データでもコンピュータで図示できる時代になったという、技術的な進歩でもあります。
散布図は、他の節でも述べたように、数学の得点のデータと物理の得点のデータといった2つの数値的な量的データがあって、その2つの変数の関係を見たい場合は、有効である。
量的データであっても、データの割合を見たい場合は、帯グラフや円グラフが有効である。
しかし質的データは、棒グラフで表すほうが良い場合もある。下記に説明する。
たとえば「小学校のころ、好きだった給食メニュー」の選択式アンケートのように(たとえば「カレー」とか「唐揚げ」とか「あげパン」とか「わかめゴハン」とか(※以下略)、並んでるアンケート)、基本的に日常生活では数値で表さないものは、散布図には向かない。そういうのの集計結果は棒グラフや円グラフなどで表すのが良い。(もっとも、選択式アンケートは無理やり番号付けすることで量的データに変換できるが(たとえば「1:カレー、2:唐揚げ」・・・みたいなの)、今回はそれは無視する。)
質的データは、データの種類にもよるが、あまり散布図は向かない。質的データを表す場合、棒グラフや円グラフなどで表すと良い場合が多い。
紙でグラフで図示する場合、紙は平面で2次元なので、よって図示にも限界があり、度数分布表も棒グラフも散布図も、紙に最大で2種類のデータしか扱えない。
中学で習った度数分布表を、あれでデータが1種と見るか、それともデータが2種と見るかはともかく、ともかく、それ以上には、1つの度数分布表ではデータの種類を増やせない。
もし、度数分布表でデータの種類を増やしたい場合、あらたに度数分布表を追加する必要がある(ただし、縦軸などは共有できる場合もあるので、見た目上は1つの表になる場合もある。今回はそういうのは2つの度数分布表として扱う)。
ともかく、どんな図示をしようが、3種類以上のデータになると、紙では基本的にはパース無しでは表せないし、数学や情報科学のグラフでは基本的にはパースを使わないので、よってグラフ化できない。(ただし、コンピュータの統計処理ソフトなどで無理やりに3D表示できる場合もあるが、今回は無視する。)
たとえば、「習慣的に、ここ1年のあいだスポーツを毎週していますか?」というアンケートで、回答者が25歳以上~40歳未満の大人だとして、回答者が男性か女性かの選択肢も追加した場合、
仮に右の表のような結果が得られたとして、これは散布図にはふつうの方法では表現しようがない。なぜなら、項目が2つあり(「男性/女性/性別不明」の項目と、「している/していない」の項目)、さらにその回答者の人数というもう一つのデータが追加されるので、結果的に3種類のデータが必要だからである。
なので、図示できないので、こういう場合、最終結果が数値的なものなら(たとえばパーセントとか人数・個数とかなら)、クロス集計表と言うのを使って、数値で表すと良い。
のように付記する必要がある。
※ 余談だが、最近の表計算ソフト(Excelなど)やアンケート処理ソフト(Formsなど)では、クロス集計表のマス目の背景に棒グラフを表示できるものもある。(※第一学習社『情報I』で、テキストマイニングのツールの表だが、そういう画面を紹介)
たとえ上記アンケートの女性の「している」15%の棒の長さを基準とした場合、「していない」30%の部分では2倍の長さの棒が背景に表示されるわけである。
男性の「していない」35%では、女性の「していない」よりも、さらに少し長い棒が表示、という感じの機能が最近の表計算ソフトにある。
棒グラフなのに、間隔が等間隔でない例。円グラフなのに中心が円の中央でない例。 ※実教出版
3Dの円グラフは、手前が大きく見えるので、観客をダマす結果になりやすい(※ 東京書籍、実教I 巻頭 見開き、)。
(※ 範囲外)こういう、余計な装飾や余計な情報などによって分かりづらいグラフ、誤解しやすいグラフのことを「チャート ジャンク」と言う。なお「ジャンク」とは、ガラクタという意味の英語。
ほか、アンケートの選択肢を作る際など、初心者によくあるミスとして、自分にしか分からない表現でアンケート文を作ってしまうミスがあります。
たとえば
のようなミスです。
これはます、1日あたりなのか1週間あたりなのか不明です。
家庭学習の時間を聞いているのか、それとも学校の時間を入れるのか、あるいは塾の時間を入れるのかも不明です。
あと、1時間の勉強をしている人は、選択肢1なのか選択肢2なのか、どっちも不明です。
学校の図書室での自習は? 部活で勉強させられている場合は? ・・・などなどです。
文科省の動画教材で、上記の例があります。
これを正しいアンケート文に直すなら、たとえば
のようになります(上記は一例)。
アンケートを作った本人は、本人の習慣を暗黙の前提にしてしまいがちなので、回答者に必要な説明が不足しているアンケート文を設計してしまうミスもよくあります。
こういうミスは自分1人では気づきづらいので、アンケートを完成させる前に、確認として友達など数名といった誰か他人にアンケートを読んでもらって、分かりづらいところを指摘してもらうのが良いと思います(文科省の動画教材でも、友達などに読んでもらうように指導している)。
高校レベルを大幅に超えるが、デジタル庁が、行政機関むけのフォーム設計のガイドラインを作ってたので、参考に。
要点は
現状、Googleフォームに文字数カウントの機能は無い。だが、記入可能な文字数の表示などは心がけで出来る。
なお、最大文字数などの設定をしたい場合は、なお各フォーム右上のドロップダウンを「段落」にして、右下の(...)をクリックして、「回答の検証」にチェックを入れると、最大文字数などの設定が現れるので、設定できる。
Googleフォームには現状(2024年)、制限文字数を自動表示する機能は無い。
自由記述は、上記のように管理が難しい。なので極力、ラジオボタンやチェックボックスなどといった、自由記述ではない方式を使うのが安全である。
自由記述は、なるべくアンケートの最後のほうに持ってくるのが望ましい。アンケートの前のほうには、ラジオボタンなどの、記述でないフォームを置くべきである。
なぜなら、そうすることで、ボタンで回答したことは記述しなくて済むので、回答者にとって記述がラクになる。
また、アンケート収集者も、ボタンで聞けることを文章で読まなくて済む。双方にとって利益があるので、自由記述欄はアンケートのさいごのほうに置くことになる。
また、アンケートで1つの記述欄をもうける際も、ラジオボタンつきの質問に分解できるかどうかを検討したほうが良い。
たとえば文化祭の演劇のアンケートで、
(よい例)
のようにラジオボタンつきの追加質問を前置きして分解すると、回答者は書きやすくなるし、またアンケート収集者も集計しやすくなる。
なお、ややダメな例 ↓
となる。
Google フォ-ムの場合、ラジオボタンを使う方法以外にも、ドロップダウンを「均等目盛」にする方法もある。
目盛にはラベルをつけられないので、説明文のほうにラベルを一覧記載することになる。つまり
のようになる。
「全数調査」
「標本調査」
数学の教科書に書いてあるので、それを参考にせよ。
「期待値」、「ヒストグラム」など統計の数学用語は、情報iでも習う。
中学でも習ったが、ヒストグラム(度数分布)は、1次元のデータ全体を見渡したい時に使う。
散布図は、2つのデータの関連を見るのに使うものなので(たとえばクラス全員の数学の得点と物理の得点の関係とか)、1次元のデータだけ(たとえばクラス全員の数学の得点)を見たい場合は(散布図ではなく)ヒストグラムを使う。
「分散」や「標準偏差」など高校1~2年レベルの数学の用語は、情報iでも習う。
「箱ひげ図」
やや発展的だが、実教出版の教科書で「二項分布」、日本文教出版で「χ(カイ)二乗検定」、を習う。
データベースによく用いられるソースコード上での記法の形式には、CSV (シーエスブイ)形式や XML(エックスエムエル)形式 や JSON (ジェイソン)形式などがあります。こういった形式だと、機械が解釈しやすいです。
CSVはデータをカンマ(コンマ、「,」)で区切った形式です。(※「カンマ」か「コンマ」の違いは教科書会社ごとに違う。実教がカンマ、第一がコンマ)
なお、実教も第一も、CSVとかの単元のあとに「外れ値」とかの概念の単元を教えている。
データベースの常識として、バックアップを定期的にとる必要がある。(数研出版、東京書籍「情報II」の図)普通、バックアップと言った場合、外付けハードディスクやDVDなど別の記録装置に保存することである(※ 数研)
なお、ミラーリングという技術とは別物である(※ 数研)。。
一方、ミラーリングは、通信トラブルなどハードウェア的なトラブルにそなえて、データの保存時に、そのコンピュータのOSが接続している本体コンピュータの保存ストレージとは別に、別の保存ストレージにも同期して保存する技術である。ミラーリングだと、操作者自体が誤操作によって本体ストレージから消した場合、同期して別ストレージからもデータを消してしまうので、このような場合はミラーリングでは対処できない(※ 数研出版など)。
ミラーリングよりもバックアップのほうが比較的に安全である(※ 数研出版の見解)。
大企業や大官公庁などのデータベースは、利用者からは一つのデータベースに見えるが、実際は支社ごとのデータベースだったりして、それぞれの支社データベースからの情報をユーザー利用時に仲介システムでひとつにまとめているだけに過ぎない事もあり、このような仕組みを分散データベース(※ 東京書籍)または分散型データベース(※ 第一学習社)。
分散データベースの利点として、アクセス集中を防げるため負荷の軽減や、また、もし事故などでデータベースが一つ壊れても、他のデータベースが生き延びるので被害を最小限におさえられる、などの利点がある。
データベース管理システムをDBMS(ディビーエムエス)と略記することもある(実教I、東京書籍 II)。リレーショナルデータベース管理システム RDBMS という表現もある(実教 II)。
銀行の取引履歴などもデータベース(※東京書籍 II)。金融機関もデータベース(※第一)。「金融機関」といったら、第一の想定しているのは銀行や保険とかだろうけど、証券取引所とかもデータベースだろうから・・・。
どのDBMSも、データの一貫性を保つため、一つのデータテーブルを、複数人が同時に変更できないようになっており、先にアクセスしたほうがロックをかけ操作終了までロック中で(日本文教I)、このような仕組みを「排他制御」などと言う(東京書籍II)。
どのDBMSも、「障害回復」のため変更記録のログを保存しており(日本文教I)、このため、現在データに不整合などが起きてもバックアップできる(日本文教I、東京書籍II、第一Iなど)。
裏を返すと、データ変更履歴以外の画面などの雑多な操作はデータベースとは切り離されている(日本文教I、開隆堂I)。また、このような切り離し・独立性のある仕組みのため、データ以外の関連プログラムに不具合があって修正するときも、データに影響を与えないので、安全に修正できる(第一)。
また、ユーザーごとにアクセスできるデータに制限をかけることができる。ユーザーAは 接続(読み取り)〇・参照〇・更新× とか、ユーザーBは接続〇・参照〇・更新〇 とか、ユーザーCは接続×(必然的に参照も更新も×)とか、制御できる(日本文教I)、こういう機能をアクセス制御(access control)という(日本文教出版II、第一学習社I)。(※英訳は日本文教出版I、数研I)
アクセス制御の「更新」は「変更」ともいい、文字通り内容を書き換えることは当然に含むが、さらに削除も含む(※第一学習社I)、なかなか強い権利である。
データベースのアクセス権の「読み取り」は一般に、内容の表示も含みます(第一学習社)。
データベースソフトの種類によっては、上記のような3パターン(接続/参照/更新)だけではないソフトもあり、もっと細かく制御できるデータベースソフトもあります。(日本文教出版I)。たとえば「データの追加は認めるが、データの修正は認めない」といった細かなアクセス制御が可能なデータベースもあります(日本文教出版I)。
なお、こうしてアクセス制御などで与えられた各ユーザーごとのそれぞれの権利の状況をアクセス権という。
データベースの「管理者」と言われる人が、こういった各ユーザーのアクセス権を管理している(※第一学習社 I)。(もし管理者以外の誰でもアクセス権を制御できてしまうと、セキュリティなどの意味を持たないので、管理者だけがアクセス権を制御できる仕組みになっていたりする。)
代表的なデータベース言語であるSQLにはデータ型があるのだが、しかし実教出版『情報II』ですたTEXT型しか紹介していない。JacaScriptとかPythonなどの(比較的に)モダンな言語とくらべて、SQLの言語の型は難しい。 東京書籍の情報IIは、月日の入力で数値型や日付型っぽい概念をにおわせているが、しかし型の概念はデータベースの単元では紹介していない。(※そもそも型の概念を、実教ですら紹介していない。
東京書籍は、これらの話題を「整合性」に分類。
たとえば、大手通信販売サイトは、毎日、多くの人の購入履歴のデータを入手しています。
また、コンビニなどは、POSシステムによって、どのような客層がどのような商品を購入しているかといったデータを、本社などに届けています。そして、このような購入履歴などの膨大なデータは、商品開発などにとても役立つデータです。
こういった、多くの人などについてのデータといった、多様かつ膨大なデータのことをビッグデータ(big data)と言い、活用がされています。 (※ 数研、実教I に英訳 big data あり)
また、ビッグデータなどのデータから価値ある分析をするための学問として、数学や統計学やコンピュータ科学などを活用して大量のデータから意味ある情報や規則性などを見つける学問である「データサイエンス」(data science)と言われる学問も発達してきています。(日本文教出版 I)
ソーシャルメディア(SNS)への短文投稿も、毎日多くの人が投稿しているので、みんなの投稿をあわせればビッグデータです(※数研、第一学習社)。
ほか、自動車などのGPSのデータも、ビッグデータです(※数研)。なお、災害時には自動車の位置情報データが「通れた道マップ」などに応用されます(※日本文教出版 II)。
GPSというと、携帯電話のGPS通信などによる位置情報は、実際は近くの基地局との通信です(※東京書籍『新編 情報I』P36)。端末に「GPS」通信などと表示されていても、実際は基地局のIDを読み取って自機の位置を知る手がかりにしている場合も多い(日本文教出版 II)。
なお、携帯電話、スマートフォンは、つねに基地局との通信のために微弱な電波を出しています(東京書籍I・II)。
ひとつの基地局がカバーしている範囲を「セル」と言う。移動しても通話が切れないのは、基地局からの電波が一定以下になると自動的に別の基地局からの電波に切り替わり、セルが移動先の別基地局のものに切り替わるからである。
なお、携帯電話やカーナビなどのGPS位置情報システムは、4つ以上の人工衛星からの情報をキャッチしている。誤差を無視すれば空間座標のx,y,zの3つぶんの衛星で良いはずだが、実際には誤差が発生するので4つ目の人工衛星からの電波が必要になる(※ 数研出版、日本文教出版II)。また、衛星からの電波状況が悪い場合などは、上述のように基地局などとの通信による位置情報に自動的に切り替わる。
経済産業省などが、日本中の小中高生の学習履歴や成績などのデータをデジタル上で集めて、教育用のAIのためのビッグデータを作ろうとしています。
1990年代からもテスト業者の模擬試験などでコンピュータなどを活用して受験者の弱点分析などもしていましたが、2020年代以降に国によって学習履歴が収集されれば、かなりのビッグデータになります。
AIをこれらの教育ビッグデータ技術につなげようとするアイデアも、もう考えられています。すでに一部の塾などがAI活用しており、それを経産省が調査しています。
実際に国家によってビッグデータ化される場合は、生徒のプライバシーなどの議論もそのうち出てくるでしょう。
たとえば、夏の暑い日々、アイスクリームが売れます。いっぽう、夏は暑いので、熱中症の患者が増えます。
なので、アイスクリームの購入数のデータと熱中症のデータには正の相関がありますので(両方とも厚い時期に使うので)、アイスクリームと熱中症に相関関係はあります。
しかし、だからといって「アイスクリームを食べると熱中症になる」といった因果関係はありません。
このように、相関関係があることと、因果関係があることは別の現象です。
相関関係があるのに(正の相関、または負の相関があるのに)、因果関係がない2つの現象について、そのような2つの現象を疑似相関(ぎじそうかん)といいます。
別の第3の変数によって、2つのデータとも因果関係があって相関があるとき、2つのデ-タは相関が発生します。
たとえば、夏の暑い日々の話なので、「気温」というデータが、その第3の変数です。上記の例の場合なら、気温に気づけるかどうかがポイントです。
相関関係があるのに「疑似相関」というのは日本語として変ですが、しかし英語でそういうので( Spurious correlation は直訳で「見せかけの相関」と言う意味)、あきらめてください。
なお、上記の例の「気温」のように、直接調べている2つのものに影響を与えている、直接は調べていない第三の因子のことを「交絡因子」と言います。(東京書籍の副教材で紹介しています)
※ 「交絡因子」は基本的には情報IIの範囲。ただし、数研が情報Iで傍注で紹介している。
「チョコレートがよく売れる国では、ノーベル賞の授賞者が多い」なんていう話題が2010年代に話題になりましたが、これもおそらく疑似相関でしょう。
貧乏な国は、チョコレートが買えない人が多いからです。チョコレートに限らず、貧乏な国では買えないようなものなら、同様に調べれば疑似相関の結果となるでしょう。
「過学習」(overtraining)とか「過剰適合」(overfitting)とか「オーバーフィッティング」とか言って、(※ 日本文教出版が「オーバーフィッティング」で用語のみ紹介。東京書籍がグラフありで過剰適合、過学習で紹介)
たとえば
変数の次元を増やしすぎたり(たとえば5次式とか8次式とかもっと多い次数とか)すると、たとえば散布のすべての点がプラスなのに、近似曲線がマイナスに入る場合もある。特に、一つ目の例に示したグラフでは両端がマイナスに入ってるように、縁の誤差が大きくなりやすい。
もちろん、実験対象によっては実際にマイナスになる可能性もあるが、しかし測定対象の種類によってはマイナスがありえないものもある。(たとえば「長さ」とか「重さ」だと、相対値以外ではマイナスはありえない。)
過剰適合は、人工知能などがブームになる前から、近似曲線や統計学などの理論で古くから知られていた問題だが、しかし近年は人工知能などでも過剰適合は問題である。
このような現象は、過去の測定データから未来を予想するときにも問題になりやすいので、人工知能などの機械学習でも問題になることが懸念されている(だから「過学習」と言っているわけで)。
ほか、別の例としては、全体的に見れば比例的な形をしているのに、細かな蛇行に気を取られるような適合も、むやみに次数を増やすと、起こりがちである。(実教出版がこのような例を出している。)
近似曲線は、誤差を小さくすることにとらわれず、全体的な傾向を見出すために使う必要がある。
曲線がマイナスに突入していなくても、曲線が蛇行し始めて谷が3個も4個もあるいはそれ以上もいる状態は、そろそろ端部がマイナスに入り始める前兆なので、よって安全のために、もっと前の段階で(せいぜい谷が1~2個の段階で)近似式の次数を上げるのを止めることも多い。(「 実教出版も東京書籍も、谷が1個の段階で近似を止めている。)
余談だが、過剰適合の現象では特に両端で誤差が大きくなりやすいので(※実教出版の見解)、使用する範囲よりも大きい例をあらかじめ実験して測定しておくのも、ひとつの有効な対策である。
たとえば1つ目の例ではx=16までしか測定していないが、もしx=20まで使うなら、余裕をもってx=25とかx=30くらいまで測定しておく、というのもテクニックである。
検定教科書では述べていないが、情報科学、情報工学だけでなく機械工学や電気工学や土木工学などでも、近似曲線を使うことが多い分野があるので、過剰適合は問題になる。高校・大学の教科書で与えられた公式だけを使っている学生の段階では、まだ過剰適合に遭遇しないが、しかし会社や研究機関などの実務で、自分で近似式をつくる必要が出てくると、過剰適合の問題に遭遇することになる。
(※ 範囲外)曲線グラフなどで測定範囲の外を予想するのを「外挿」(がいそう)と言う。いっぽう測定範囲の内側のまだ測定してない点を予想する「内挿」(ないそう)という。例で分かるように、外挿は誤差が大きくなりやすく、危険である。
「過学習」「過剰学習」ともいうように、機械学習とも関係がある。というか、機械学習の分野で「過学習」という用語が使われている。
機械学習の場合は、狭い範囲の訓練データに過剰適合してデータ外でトンチンカンな対応をするプログラムに育ってしまうことが「過学習」。
機械だけでなく、私たち人間もそうならないように、時には視野を広く持ち、時には範囲外のことも学ぶ必要がある。
生徒番号などは、重複があってはなりません。
リレーショナルデータベース(RDB)に登録されたデータにも、ID番号の重複があってはなりません。
RDbにおいて、ID番号のように、重複を許さないデータが「主キー」(primary key)です。※日本文教出版『情報II』
普通のデータベースソフトなら、キーに設定している項目が重複すると、そもそもそのデータの登録自体が出来ないか、もし登録できたとしても警告などが出るでしょう。
これが表計算ソフト(Excelなど)とRDBの違いです。表計算ソフトはそこまで気が利いてません。
たとえば、ある高校の図書室の書籍の貸し出し状況のデータ表を作る際、まず事前に、生徒データ表、著者名データ表、書籍名データ表、などを作らないといけない(※東京書籍の例。日本文教出版もER図の単元で図書館システムを例にしている)。
東京書籍は説明していないが、著者名と書籍名をさいしょから一つのデータベースにまとめてはダメな理由がある。
まず、書籍名データベースにもし一つ一つ著者名を入力すると、たとえば著者が半角英数と全角英数とで別著者として認識されたりしてトラブルにつながる。
たとえば架空の漫画家「フジ・F・藤太郎」と「フジ・F・藤太郎」が別人だと判定されたら面倒である(Fが全角か半角かとか、「・」が全角か半角か、など)。
また、ID化しないと、検索に時間が掛かりかねない。
なお、こういうのを「表記ゆれ」と言う(※実教出版「情報II」で紹介)。表記ゆれを防ぐため、あらかじめ入力前にルールを決めておく必要があります。もし表記を統一しないまま入力してしまった場合、あとで表記を統一しなおすため修正入力する必要があり、これを「名寄せ」と言います。
人名のほか、年月日でも「西暦2019年11月16日」と「2019/11/16」と「令和元年11月16日」と「令和1年11月16日」みたいに表記方法はいくつもあるので、注意が必要です。
なお、ISO 8601 で規定されているのはハイフン方式の「2019-11-16」および区切り記号なしの「20191116」のような方式です。スラッシュ方式はISOでは禁じられているので、データベースの日付入力では避けるほうが安全です。また。日本のJIS規格でもISOに準拠して、同様のハイフン方式を採用しています。スラッシュ方式は、データベース以外・プログラミング以外の日常言語だけで用いるほうが安全でしょう。
同じ理由で、出版社名もできれば事前にデータベース化すべきだろう(※東京書籍の検定教科書の例ではそうなってないが)。情報処理学会の動画でも、メーカーは別テーブルにしろと言っている情報処理学会『3. データベース (5) データベースの設計(情報通信ネットワークとデータの活用)』 (4分00秒ごろ)。このようなテーブル分割は「正規化」(せいきか)と言われる処理の一種である。もしテーブル分割しないと、出版社名やメーカー名に紐づけしている会社所在地などの付随情報がもし引っ越しなどで変更したとき、その出版社・メーカーについての何万件もあるようなすべてのデータベース登録項目を手動で修正する必要があるので、ふつうの人間では無理であるので。
東京書籍の例では、「生徒表」「書籍表」「著者表」「貸出管理表」の4つから学校図書館 貸し出しシステムを構成している。
そして、貸出管理表には、貸出番号(101, 102, 103, ・・・のように1ずつアップしていく)と、借りられている書籍名のIDと、生徒番号のIDと、返却日の記録する。けっして直接は書籍名や生徒名は入れない。
そういった理由からか、まず
著者名データベースで、著者名IDと著者名を定義する必要がある。
そして、書籍名データベースでは、著者名は直接は入力せず、代わりに著者名IDを入力していく必要がある。
SQl用語の「選択」「射影」「結合」など、『情報の科学』時代から教えられており、情報IIでも引き続き教えられている。
実教『情報II』は紹介するsql言語にSqLite(エスキューライト)を採用。pythonにも組み込まれている。(実教の情報IIがpython推しだからだろう。)
Excelファイルには、パスワードをかけることができる(※ 第一学習社)。特に秘密度の高いデータなどの管理では、パスワードをかけることもある。
データベースの集合演算の、「和集合」演算とか「差集合」演算とか(※ 第一学習社の『情報II』検定教科書にもあります)、情報処理学会の動画で説明されているので、視聴してください。情報処理学会 『3. データベース (2) リレーショナルデータベースの考え方(情報通信ネットワークとデータの活用)』 (5分00秒ごろ)
データベース独自の演算である「射影」演算などについては、リンク先動画の6分00秒ごろにあります。
「射影」は指定した列だけを取り出す演算のことです。
「選択」は、特定の条件を満たす行を取り出す演算のことです。
「結合」は、共通する列をもつ複数の表の列をあわせて(※ 情報処理学会の動画)、ひとつの大きな表にすることです。
ほか、SQLに関して、ワイルドカードを教えている(実教出版 II、日本文教出版 II)。
SELECT * FROM テーブル において、アスタリスク記号「*」は、「すべて」の意味を持つ。つまり、「テーブルの全部の列を表示しろ」という意味になる。
上述のような「すべて」という意味でのアスタリスク記号のことをワイルドカードと言う。
なお、SELECT 機能は、ワイルドカード以外を使った場合は、「射影」に相当する。なぜなら SELECT命令は列を取り出す命令なので。(※ 情報処理学会の動画)
経産省および独立行政法人 情報処理推進機構が、現代のIT人材に必要な能力の目標の例を定めており、経済産業省・情報処理推進機構『デジタルスキル標準』ver.1.1 ,2023年8月』 で定めています。
このデジタルスキル標準によると、データ分析の際、一次情報と二次情報の区別も定めています『デジタルスキル標準』P.42 。
経産省がこの情報Iのデータ分析の単元と近いことを資料で説明しているので、せっかくだから、ついでに、文科省だけでなく経産省の目標にも役立つ知識にアップグレードしてしまいましょう。
なお、日本国の内閣官房が、文科省や経産省に対して、デジタル人材育成の教育で連携しろと命令してます。
では、下記に一次情報と二次情報とは何かを説明します。
実際に自分の目で確かめたとか、政府の統計など余計な判断が加わってない情報、あるいは、それらに近い情報を一次情報と言います。
一方、他人の選別や加工が加わった情報のことを二次情報と言います。(※数研出版『情報I』、東京書籍『情報II』)本やインターネットなどの情報はふつう、二次情報です(東京書籍)。
アンケートやインタビュー、実験などによって得られた情報は一次情報です。(東京書籍)
経産省らの資料では、データの検証は基本、一次情報で検証しろ、と言っています。「一次情報を用いたデータの検証」という語句が経産省の資料にあります。
実際には、一次情報は集めるのに時間が掛かるため、二次情報も集めざるを得ないのですが(数研)、二次情報の検証法についてはメディアリテラシーの単元でまた説明します。
経産省の資料に、下記のリストが書かれています。
仮説の構築や修正は、PDCAサイクルなどで現実を見ながら修正してください。(※なお、検定教科書では、実教I、日本文教出版I、数研I で記載をPDCA法の確認。)
「一次情報を用いたデータの検証」は、先ほど話しました。
データの片寄りは、これは高校生では、費用や時間の限界で、対処のしようがありません。
大人になってから、必要な人が、検証したいことについて、色々な観点のデータを集めることで、片寄りを減らしてもらうしかないでしょう。
とりあえず、ネット上での意見サイトには、「サイバーカスケード」という、そのサイトに集まる仲間内で情報が片寄る現象が知られているので、サイトは基本的に片寄ってることを前提にするのが良いでしょう。
出所(でどころ)や更新日は重要です。
たとえ形式的にCSVファイルとかJSONファイルとかの形式のデータでも、出所が不明だったり更新日が不明なデータは、信頼性が低いと疑ったほうが良いでしょう。
「分析アプローチ」以降は、私たちにはどうしようもありません。以降は専門家の大人たちに任せましょう。
リレーショナルデータベース(RDB)以外にも、他の種類のデータベースもあります。
「階層型データベース」や、「ネットワーク型データベース」です。
しかし、データベースソフトとしては、RDB以外の種類は、あまり使われていません。
資格試験とかに出てくるからか、検定教科書では書いてありますが、2020年代では、ほとんど使われてない技術です。
しかし、裏を返せば、RDB以外の種類のデータベースを反面教師として、RDBは発達したわけです。
では、反面教師として、学びましょう。
階層型データベースというのは、たとえるなら、パソコンのフォルダシステムのようにデータを管理する方式です。
銀行の中枢システムみたいなマニアックな用途でしか、階層型データベースは使われていません。(たとえばIBMのw:IMS、その互換の日立AMD、富士通AIM くらいです)
そもそも、このIBMのIMSは、データベース言語がSQLではなく「DL/I」という独自言語です。
つまり、SQLしか教えない検定教科書は、暗に、階層型データベースを非推奨としているのが実態なわけです。立場上、教科書会社は表立っては階層型データベースを批判していませんが。
IMSは、1970年代からある、古いデータベースです。
なお、21世紀にらIMSはSQLでも入力できるようになりましたが、しかし内部では DL/I に変換しているのが実態です。単にユーザー側のインタフェースだけSQL対応しているだけです。オラクル社がそう言っていますOracle Application Server Adapter for IMS/DBユーザーズ・ガイド で(※ 引用)「SQLは、バックエンド・ドライバでIMS/DBで認識される言語に変換され、IMS/DBに渡されて実行されます。」 だと。
IMSはコボル(COBOL)とかそういう古い時代のレガシー技術なので、今の学生は勉強しなくていいです。レガシー技術は、仕事で必要になった人が仕方なく勉強するものです。IT技術者の勉強では、なるべく新しい技術や、市場で普及した技術を勉強しなくてはいけません。
あと、階層型データベースというのは、たとえるならパソコンのフォルダシステムのようなものなのですが、
Windowsなどのある現代では「だったら、最初からパソコンのフォルダでデータ管理すればよいのでは・・・?」という代替方法もあります。
(なお、IMSの登場した1970年代ごろは、まだWindowsがありませんでした。そういう時代のデータベース技術です。MS-DOS (エムエス ドス)登場の1981年よりも、ずっと前の技術です。)
階層型データベースの欠点として、複数の親フォルダに使われるデータがある際、重複登録しなければならない、という欠点があります。
まさに、現代のフォルダ管理と同じです。
※ ネットでは語られませんが、問題なのは、データの更新のときです。重複登録されたデータがある場合、片方だけを更新しても、残りの重複データには更新が反映されません。
なお、データベースに限らず、フォルダで情報を管理するときのコツなのですが、あまりに階層を深くし過ぎると、探しづらくなります。なぜなら、「あのデータ、どこの階層にあったっけ?」って思い出す必要が生じてしまうからです。まあ、ファイル検索で探せますが。しかし、そもそもファイル検索で探すなら、ファルダ分けをする必要自体がありません。
まあ、せいぜい、たとえば「画像 2023年」みたいに大まかな年やコンテンツ種類などを記載したフォルダを作っておき、そこに画像は全部入れておくのが、現代ではコツです。
OSにはファイル検索システムがありますので、ファイル名のほうに、たとえばファイル名で「アニメ オニスレイヤー画像1」みたいにファイル内容が分かる命名にしといて、その画像を探したくなったらファイル検索で「オニスレイヤー」と入れて探せばいいのです。
フォルダ分けの分類は、あるていど画像が何十枚もたまってから、あとから分類を行うのです。もし画像が1つしかない段階で、いきなり分類しても、ピント外れな分類になるだけです。
で、1970年代の昔は、検索システムがあまり高速ではなかったので、フォルダを深くするように階層を深くしたデータベースにも意義はあったかもしれません。
ですが、2020年以降の現代は違います。
パソコンの性能が低かった1970年代と比べたら、現代はぜいたくな環境があるので、そのぜいたくな環境を活用したシステム構築やプログラミングをするほうが、バグなども少ないプログラミング等ができます。
このような、ぜいたくな最新環境を活用するノウハウのことを日本のプログラマー界隈では俗(ぞく)に「富豪的プログラミング」と言います。
富豪的プログラミングを提唱した日本人プログラマーは下記のように述べています。
階層型データモデルの欠点もまさにこれと同じで、ともすれば、プロトタイピングをロクにできない状態でデータ構造を設計しなければなりません。なので、設計者にかなりの技量が必要です。RDBに淘汰されて普及しなかったのは当然です。
21世紀におけるソフトウェア設計のコツとして、決していきなり処理速度の速いソフトウェアを作ろうとすべきではなく、まずは、処理速度が遅くてもいいので、プログラマーが作りやすくてユーザーにも使い勝手のいいソフトウェアを試作(プロトタイピング)して実際にテストして検証して、あとから処理速度を高める改修をしていくのがコツです。
使い勝手が悪いせいでロクに市場でユーザーに使われておらず検証されないソフトウェアの速度が高くなるように設計できても、なんの意味もありません。なぜなら、そもそも使われないので。
]
とりあえず相関関係のある現象を発見したとして、それが因果関係か、それとも単なる相関関係なのかを区別するための研究手法について、これから述べる。
実用的なレベルで、因果関係を完全に証明するのは、難しい。
それこそ、科学者のように、膨大な研究が必要になってしまう。
しかし、それだとビジネスにならない場合が多いので、とりあえず、ある程度の検証を満たせば、疑似的に因果関係のようなものだと見なして、ビジネスに適用してしまう方法もある。
総合理科などの科目でも習うが、対照実験という手法が、理科での証明の基本である。
しかし、社会などを扱う場合、対照実験をするのが難しい分野もあり、対照実験に膨大な時間やコストが掛かってしまう分野もある。
対照実験では、変数を一つだけ動かさないといけない。しかし、社会などでは、それが難しく、どうしても他の変数も動かさないといけなくなってしまう事も多い。
そこで、そのように他の変数も動かさないといけない場合でも、なんとか疑似的に因果関係のようなものの検証をする必要がある。
たとえば新薬の検証をする際、薬を投薬したグループと、そうでないグループとで、誤差と思えない程度に大きな差が現れれば(なお「有意差」(ゆういさ)と言う)、とりあえずの効果があるのだろうと推測するのが実態である。
医療などの分野では、ランダム化比較試験(randomized controlled trial、RCT)と言って、実験対象を2つ以上のグループにランダムに分けて、対照実験のようなものをして、有意差があれば、とりあえず効果がありそう、だとして候補にする。
人間の体は、けっして1個の変数では表せないので、本来は2個や3個ていどのグループ分けでは不足であり、もっと膨大にグループ分けしないと証明としては論理的には厳密ではないが、それだと費用が掛かり過ぎるので、よって2~3個ていどのグループ分けでも良いとして、代わりに、可能なかぎりなるべくランダムに分ければ良いとされる。
ここで要求されるランダムさは、サイコロなどで得られる程度のランダムさもあれば十分である。現代ではコンピュータで発生させる乱数でも十分である。
このRCTは、データサイエンスの分野にも、すでに取り入れられている。このように、医療分野の統計手法だろうが何だろうが、使えそうなら取り入れるのがデータサイエンスである。
このように、ランダム化比較試験は、対照実験を疑似的に行う手法である。
IT業界や広告業界などだと「A/Bテスト」というのがあるが、これもRCTと似たような発想である。A/Bテストとは、たとえば、ある広告に校歌があるかどうかを検証したい場合、統制下の集団を、広告を見せたAグループと、見せてないBグループとに分けて、比較する方法である。
医療の場合、RCTでの検証以降にもさまざまな検証があるが、しかし医療以外の規制のゆるい産業ではそこまでの検証を求められずに、場合によっては簡易なRCTまたはA/Bテストによる検証に合格した成果がある開発製品ならば商業化するのも普通である。
RCTでもA/Bテストでも、充分な人数を対象に効果が出れば、とりあえずの再現性があると見なす。
高校「情報」教育では他の単元で「プロトタイプ」を教えるが、結局、上記の程度の検証を潜り抜ければ充分なので、なので試作(プロトタイプ)をつくって実験と簡易な改良をさっさとしたほうが良いのである。その程度で十分なのである。
ビジネスマンの数値化思考を例に、大学レベルの抽象的な数学の話をしよう。
なお、下記は、とりあえずの仮説であるので、決して鵜呑みにしてはいけない。社会のような抽象的なものごとを考える際は、仮説でもいいので、まずは思考のとっかかりを考えるのである。こういうのを「仮説思考」と言う。
頭の中に、とりあえずの仮説をつくり、それを新しい事を学んだら適宜(てきぎ)、より正しい新情報をもとに従来の自分の仮説を修正していくのである。
抽象的な大学レベルの数学の使い方とは、このコラム例のように、一見すると別々の分野の知識を、その構造の共通性に注目して、結びつけて理解することです。
裏を返すと、単にマニュアル通りのことをするなら、あまり高度な数学は必要ありません。 | [
{
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"tag": "p",
"text": "※ 暗黙の前提として、データは1個だけでは普通は価値が無く、蓄積しないと役立てることができません。後述する「データ分析」でも、たった1個だけのデータを分析しても、たいていの場合は何の役立ちません。蓄積された多くのデータを手作業で処理するのは大変なので、そこでコンピュータの出番(でばん)となるわけです。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "下記の例ではアンケートによる集計でデータを蓄積していますが、別に他の手段でデータを収集して蓄積しても構いません。たとえば気温のデータなら、デジタル温度計で収集するのが効率的でしょう。",
"title": "質的データと量的データ"
},
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"text": "",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "アンケートなどでデータを集める際、たとえば「1日あたりの勉強時間を答えてください」の回答のような、数値などで表現できるデータであり、さらにデータどうしの差や比例などに意味のあるデータのことを「量的データ」と言います。身長や時間や人数や点数など、数値として意味があるものが量的データです。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "一方、「社会科は好きか嫌いか、その理由とともにお答えください」の回答のような、文章などで記述してもらったデータのことを「質的データ」と言います。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "コンピュータでは、量的データのほうが処理しやすいです。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "部活の入部希望アンケートで「加入したい部活を記入してください」というアンケートは、一見すると回答は「サッカー部」のような語句のように見えますが、しかし選択肢を用意して番号をつけて",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "のように選択肢を設けることで、これを数値として扱うこともできますが、しかしこういうのも質的データとして扱います。なぜなら、部活どうしの四則演算に意味が無いからです。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たとえばサッカー部の「1」と「卓球部」の2を足したら「3」で、これは柔道部の番号「3」と同じ数値ですが、しかしそのことに意味は何もありません。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "なお、この部活の番号のように、分類上の都合でつけただけの番号などの数値を、名義尺度(nominal scale)と言います。 ※ 実教出版の教科書で英訳を併記しています。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "数値データであっても、必ずしも量的データとは限らないことに注意してください。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "後述しますが、コンピュータでは、選択肢の方式のアンケートが一番ラクに処理しやすいです。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "下記のように番号をつけて",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "とした場合、番号の数値が低いほど満足しているので、数値の大小には意味があります。しかし要素どうしの四則演算には意味がありません。たとえば",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "「とても良い」(1)+「良い」(2)=「普通」(3)",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ですが、そのことに意味が何もありません。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "このように、順序や大小には意味があるが四則演算に意味が無い尺度のことを順序尺度と言います。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "順序尺度は、一見すると差に意味がありそうですが、しかし,、たとえば「1 とても良い」と「3 普通」の差はむりやり計算すれば2ですが、",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "これが「2 良い」と「4 あまり良くなかった」の差の2と計算結果は等しくなりますが、",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "しかし、本当に回答者の「とても良い」と「普通」の差が、「良い」と「普通」の差とは等しいという保証がありません(※数研出版)。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なので、こういったアンケートの回答は順序尺度として扱います。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "また、さきほど回答者の心理の話をしたことから分かるように、心理学や社会学では、心理などを数値データ的に処理したいときに順序尺度として扱わなければいけない事もよくあります(※数研出版)。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "さて、質的データは、名義尺度または順序尺度に分けられます。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "物理II(専門『物理』)で習いますが、温度の比率には意味がありません。温度の差には意味があります。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たとえば1°Cと10°Cは、一見すると10倍ですが、",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"text": "しかしケルビン単位で見れば、",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "274ケルビンと283ケルビンでしかなく、2倍未満です。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "このように、温度は単位系によって数値が変わるので、比率には意味がありません。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "この温度のように、比率に意味が無いが差には意味がある尺度のことを「間隔尺度」と言います",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ほか、身長・年齢など、大小関係にも差にも比率にも意味がある尺度のことを「比例尺度」と言います。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "建物の階数はよく比例尺度と誤解されますが、しかし日本においては地面に接している階が0階ではないので、階数は比例尺度ではありません(※ 数研出版)。1つの階の高低差が等間隔なら、その建物の階は間隔尺度です。階の高さが等間隔でない場合は、間隔尺度ですらなく、順序尺度です(※数研出版の傍注)。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ほか、量的データのことを「定量データ」(ていりょうデータ)、質的データのことを「定性データ」(ていせいデータ)と言うこともあります(※数研出版の傍注)。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "名義尺度であっても、最頻値の算出は可能である(日本文教出版 II)。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たとえば、新入生アンケートで、どの部活に入部を希望するかの「入部アンケート」を学校がとったとして、「13:軽音楽部」が仮に一番人気だったとしよう。こういった人気アンケートみたいに、最頻値や、あるいは名称はないが二番目に頻度の高い値、三番目に頻度の高い値、・・・といったものは算出できる。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "名義尺度に最頻値が存在するので、決して「名義尺度は統計量を出せない」(←マチガイ)と勘違いしないようにしよう。",
"title": "質的データと量的データ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "アンケートで数値入力させたとき、ユーザーが入力ミスなどで、異常な数値を入力してしまう場合があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "その場合、せっかく近似直線または近似直線(二次関数や三次関数などの高次関数で近似できる)などの近似関数をとっても(※ スプレッドシートに近似直線や近似曲線を取る機能があります)、異常な傾きの直線や曲線が出てしまいます。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "また、直線や高次関数ではなく、円などで近似したほうが良い結果が得られる場合もあります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "なので、いきなり近似関数の機能を使う前に、まずグラフで図示する必要があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "例として、次の7名のクラスの、数学と物理の点数を考えてみましょう。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "スプレッドシートでグラフ表示をする際、「散布図」(さんぷず、scatter plot)というもので表示すると、線で近似する前の状態が図示されるので、その散布図を見てから、何で近似すべきかを決めます。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "さて、直線近似をするという事は、一次関数で近似することです。数値的に正確な直線近似の方法として、数学的には「最小二乗法」という方法が一般的には使われます。(検定教科書「情報II」の範囲。日本文教出版で確認.)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "直線を引いた場合に、残差(ざんさ)を二乗した値の総和(残差二乗和または「二乗残差和」または残渣平方和)が最小になる直線を求める計算法が、最小二乗法です。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "残差とは、考えている近似関数からのズレです。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "なお、二次関数以上で近似する場合でも(つまり多項式近似の場合)、考えている関数とのズレのことを「残差」といいます。また、多項式近似を表計算ソフトに命令した場合には、残差が最小になるような関数を表計算ソフトは出力するはずです。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "まあ、直線近似については、コンピュータなどなかった時代などは、人間が散布図を目で見て「だいたいココらへんだな・・・」と、「えいやっ」と直線を手動で引く方法も昔からありましたが・・・。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "なお、高次関数による近似は、表計算ソフトでは「多項式近似」などと呼んでいるかもしれません。(じっさい、Excelの場合、「多項式近似」では2次関数以上しか使えない。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "散布図は、図1つにつき2種類のデータしか使えません(上記の例では数学と物理の得点のように)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "国語の得点などとの関係も図示したい場合は、新たに、たとえば国語と数学の得点を散布した散布図をもう一つ作る必要があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "数学の統計分野で「相関係数」と言うのを習うが、しかし相関係数とは直線比例に近いかどうかを検出するための指標であるので(直線比例に近いと1または-1に近くなる。相関係数は -1≦r≦+1 の間の数値を取る(rを相関係数の記号とする)。相関係数の絶対値は最大で1まで)、たとえば明らかに円形に分布していても検出されない(円状に分布している場合は相関係数が0に近くなる)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "円周上に並んでいるように見える場合でも、あるいは円盤状に並んでいる場合でも、どちらにせよ相関係数が0に近くなる。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
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"tag": "p",
"text": "円に限らず、たとえば四角形状に分布している場合でも同様、相関係数が0に近くなる。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "また、「W」字のようにナナメ上向き直線とナナメ下向き直線が混ざっているように分布している場合も、相関係数が0に近くなる。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "このため、統計分析の実務では、相関係数を計算するよりも前に、まず散布図を見て、どう分析するかを決める必要がある。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "2023年現在、高校数学でもすでに散布図を教えている。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "もし散布が直線状で、ナナメ右上に右上がりになっている場合は、相関係数が 1 に近くなり(※ プラス1に近くなり)、「正の相関」と言う。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "もし散布が直線状で、ナナメ右下に右下がりなっている場合は、相関係数が-1に近くなり、「負の相関」と言う。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
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"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "データの重複や表記ゆれ、その他のご入力などの除去の作業のことを、データ・クリーニングやデータ・クレンジングなどと言います。特に、手入力されたデータには誤入力や重複などが起こりやすいので、データクレンジングが必須である(※東京書籍の見解)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"tag": "p",
"text": "アンケートなどで数値入力をさせた際、回答者が読み違いや入力ミスなどで、異常な値を回答してしまう場合があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
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"text": "入力ミスなどによって入力された値のことを「異常値」と言います(数研出版の見解)。いっぽう、入力ミスではないが、ほかの値から大きく外れた値のことを「外れ値」(はずれち、outlier)と言います。",
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"text": "なので、異常値については、近似関数などを作成する前に除去をした、別データ集を作成します。外れ値を除去するかは、データの種類による(※数研の見解)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "中学校の数学でも習ったと思いますが、(平均値ではなく)中央値や最頻値などを使うことで、異常値の影響を受けづらくなります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
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"tag": "p",
"text": "このように、何かの指標を使う場合は、異常値などの影響を受けづらい指標を使うのがコツです。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"paragraph_id": 71,
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"text": "このほか、ある項目のデータが入力されていなくて空欄の場合など、「欠損値」(英:missing value)と言います(※東京書籍、第一学習社、実教出版などで確認)。コンピュータ処理上の都合で、未回答であっても、じつは何らかの値が事前に変数に入力されている場合があります。たとえば数値データなら、プラスの整数しか回答できない質問に、じつはマイナスの値が格納されている、などです。もし回答すると、値がプラスに書き換わる、などの工夫です。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"tag": "p",
"text": "欠損値は、その後のデータ分析からは、除去する必要があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "「情報」教科でつかう数学については、平均や中央値や最頻値といった中学レベルの数学が情報の範囲です。加えて、高校で新しく習うだろう(統計値の)「分散」も情報Iの範囲です(※ 数研出版の教科書で確認)。なので、高校の数学IAていどの勉強は必ずしましょう。余裕があれば数学2Bも勉強しましょう。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "(※ 範囲外)データ・クリーニングのさい、除去前のデータは、これはこれで残す必要があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
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"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "一般に、生データは残します。(ただし、プライバシー保護など特別な理由がある場合は別。詳しくは業界によるだろうから、その業界の慣習に従おう。また、新人はしばらくは先輩の指示に従おう。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "生データのままだと、異常値が含まれていたら、異常な分析結果が出てしまうので、役立たなくなってしまう。なので、それを防ぐため、まず散布図などを観察して、明らかに変な値は、除去をするなどの加工をした二次データのファイルを作成します。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "(なので、エクセルなどでデータファイルは、生データ用のファイルと、加工データのファイルとで、最低でも2個のファイルを得ることになる。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "では、どういったデータが、異常なのでしょうか。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "ケーススタディとして、たとえば「あなたの1か月あたりのおこづかい(単位:円)を答えてください。」というアンケートで、 多くの回答者が「10000」とか「20000」とか答えているのに、何人かの回答者が「2」とか「3」とか答えていたら、明らかにその「2」や「3」は異常値です。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "この「2」や「3」は、おそらく2万円とか3万円のつもりで誤入力をしたものと思われます。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "そもそも小遣いをもらってないなら「0」円になるはずだし、こづかいをもらっているのに2円とか3円とか、常識的にありえない数字です。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "この例のように、異常なデータは、データ解析などの処理の前に除去をする必要があります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "なお、実は、世間にある統計データの分析結果は、場合によっては、データ・クリーニング済みのものだったりすることもあります。(だからデータ分析者の主観がそこで少し入る可能性がある。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "欠損値のクリーニング時の初歩的な失敗例として、本来なら除去すべきなのにゼロ「0」に置き換えてしまうミスがあります(数研出版)。ゼロに置き換えてしまうと、平均値などの計算に含まれてしまうので、間違った結果を出してしまいます。なので欠損値は、平均値などの算出では、ゼロに置き換えるのではなく、必ず除去しましょう。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "Googleフォーム内では文章は分析できません。) しかし、外部サイトを使えば、記述式アンケートで収集した文章でも、出現頻度の多い単語の抽出などの分析に書けることができます。「テキストマイニング」などで調べると、そういうサイトを探せます。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "テキストマイニングを出来る外部サイトとしては、たとえば「AIテキストマイニング User Local」などのサイトがあります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "ただし、テキストマイニングで分かるのはl単語の頻度と(※ 「ワードクラウド」画面)、単語どうしの出現の関連性(たとえば「先輩」「後輩」のように出現事例が近い単語は近くに表示される。「共起キーワード」という)だけです。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "それ以上の分析は、結局は、人間が行う必要があります。もとの文章を読む必要もあります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "やはり、基本的には選択式のアンケートが簡単です。そして、記述をしてもらった場合には、最終的に、アンケート文を読む必要もあります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "もし読者が「質的データ」と言う言葉を習っているなら、つまりテキストマイニングを使うことで質的データでもコンピュータで図示できる時代になったという、技術的な進歩でもあります。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "散布図は、他の節でも述べたように、数学の得点のデータと物理の得点のデータといった2つの数値的な量的データがあって、その2つの変数の関係を見たい場合は、有効である。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "量的データであっても、データの割合を見たい場合は、帯グラフや円グラフが有効である。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "しかし質的データは、棒グラフで表すほうが良い場合もある。下記に説明する。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "たとえば「小学校のころ、好きだった給食メニュー」の選択式アンケートのように(たとえば「カレー」とか「唐揚げ」とか「あげパン」とか「わかめゴハン」とか(※以下略)、並んでるアンケート)、基本的に日常生活では数値で表さないものは、散布図には向かない。そういうのの集計結果は棒グラフや円グラフなどで表すのが良い。(もっとも、選択式アンケートは無理やり番号付けすることで量的データに変換できるが(たとえば「1:カレー、2:唐揚げ」・・・みたいなの)、今回はそれは無視する。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "質的データは、データの種類にもよるが、あまり散布図は向かない。質的データを表す場合、棒グラフや円グラフなどで表すと良い場合が多い。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "紙でグラフで図示する場合、紙は平面で2次元なので、よって図示にも限界があり、度数分布表も棒グラフも散布図も、紙に最大で2種類のデータしか扱えない。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "中学で習った度数分布表を、あれでデータが1種と見るか、それともデータが2種と見るかはともかく、ともかく、それ以上には、1つの度数分布表ではデータの種類を増やせない。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "もし、度数分布表でデータの種類を増やしたい場合、あらたに度数分布表を追加する必要がある(ただし、縦軸などは共有できる場合もあるので、見た目上は1つの表になる場合もある。今回はそういうのは2つの度数分布表として扱う)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "ともかく、どんな図示をしようが、3種類以上のデータになると、紙では基本的にはパース無しでは表せないし、数学や情報科学のグラフでは基本的にはパースを使わないので、よってグラフ化できない。(ただし、コンピュータの統計処理ソフトなどで無理やりに3D表示できる場合もあるが、今回は無視する。)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "たとえば、「習慣的に、ここ1年のあいだスポーツを毎週していますか?」というアンケートで、回答者が25歳以上~40歳未満の大人だとして、回答者が男性か女性かの選択肢も追加した場合、",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "仮に右の表のような結果が得られたとして、これは散布図にはふつうの方法では表現しようがない。なぜなら、項目が2つあり(「男性/女性/性別不明」の項目と、「している/していない」の項目)、さらにその回答者の人数というもう一つのデータが追加されるので、結果的に3種類のデータが必要だからである。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "なので、図示できないので、こういう場合、最終結果が数値的なものなら(たとえばパーセントとか人数・個数とかなら)、クロス集計表と言うのを使って、数値で表すと良い。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "のように付記する必要がある。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "※ 余談だが、最近の表計算ソフト(Excelなど)やアンケート処理ソフト(Formsなど)では、クロス集計表のマス目の背景に棒グラフを表示できるものもある。(※第一学習社『情報I』で、テキストマイニングのツールの表だが、そういう画面を紹介)",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "たとえ上記アンケートの女性の「している」15%の棒の長さを基準とした場合、「していない」30%の部分では2倍の長さの棒が背景に表示されるわけである。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "男性の「していない」35%では、女性の「していない」よりも、さらに少し長い棒が表示、という感じの機能が最近の表計算ソフトにある。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "棒グラフなのに、間隔が等間隔でない例。円グラフなのに中心が円の中央でない例。 ※実教出版",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "3Dの円グラフは、手前が大きく見えるので、観客をダマす結果になりやすい(※ 東京書籍、実教I 巻頭 見開き、)。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "(※ 範囲外)こういう、余計な装飾や余計な情報などによって分かりづらいグラフ、誤解しやすいグラフのことを「チャート ジャンク」と言う。なお「ジャンク」とは、ガラクタという意味の英語。",
"title": "アンケートと統計分析とコンピュータ処理"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "ほか、アンケートの選択肢を作る際など、初心者によくあるミスとして、自分にしか分からない表現でアンケート文を作ってしまうミスがあります。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "たとえば",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "のようなミスです。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "これはます、1日あたりなのか1週間あたりなのか不明です。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "家庭学習の時間を聞いているのか、それとも学校の時間を入れるのか、あるいは塾の時間を入れるのかも不明です。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "あと、1時間の勉強をしている人は、選択肢1なのか選択肢2なのか、どっちも不明です。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "学校の図書室での自習は? 部活で勉強させられている場合は? ・・・などなどです。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "文科省の動画教材で、上記の例があります。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "これを正しいアンケート文に直すなら、たとえば",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "のようになります(上記は一例)。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "アンケートを作った本人は、本人の習慣を暗黙の前提にしてしまいがちなので、回答者に必要な説明が不足しているアンケート文を設計してしまうミスもよくあります。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "こういうミスは自分1人では気づきづらいので、アンケートを完成させる前に、確認として友達など数名といった誰か他人にアンケートを読んでもらって、分かりづらいところを指摘してもらうのが良いと思います(文科省の動画教材でも、友達などに読んでもらうように指導している)。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "高校レベルを大幅に超えるが、デジタル庁が、行政機関むけのフォーム設計のガイドラインを作ってたので、参考に。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "要点は",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "現状、Googleフォームに文字数カウントの機能は無い。だが、記入可能な文字数の表示などは心がけで出来る。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "なお、最大文字数などの設定をしたい場合は、なお各フォーム右上のドロップダウンを「段落」にして、右下の(...)をクリックして、「回答の検証」にチェックを入れると、最大文字数などの設定が現れるので、設定できる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "Googleフォームには現状(2024年)、制限文字数を自動表示する機能は無い。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "自由記述は、上記のように管理が難しい。なので極力、ラジオボタンやチェックボックスなどといった、自由記述ではない方式を使うのが安全である。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "自由記述は、なるべくアンケートの最後のほうに持ってくるのが望ましい。アンケートの前のほうには、ラジオボタンなどの、記述でないフォームを置くべきである。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、そうすることで、ボタンで回答したことは記述しなくて済むので、回答者にとって記述がラクになる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "また、アンケート収集者も、ボタンで聞けることを文章で読まなくて済む。双方にとって利益があるので、自由記述欄はアンケートのさいごのほうに置くことになる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "また、アンケートで1つの記述欄をもうける際も、ラジオボタンつきの質問に分解できるかどうかを検討したほうが良い。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "たとえば文化祭の演劇のアンケートで、",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "(よい例)",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "のようにラジオボタンつきの追加質問を前置きして分解すると、回答者は書きやすくなるし、またアンケート収集者も集計しやすくなる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "なお、ややダメな例 ↓",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "となる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "Google フォ-ムの場合、ラジオボタンを使う方法以外にも、ドロップダウンを「均等目盛」にする方法もある。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "目盛にはラベルをつけられないので、説明文のほうにラベルを一覧記載することになる。つまり",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "のようになる。",
"title": "※ 実習用コラム"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "「全数調査」",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "「標本調査」",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "数学の教科書に書いてあるので、それを参考にせよ。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "「期待値」、「ヒストグラム」など統計の数学用語は、情報iでも習う。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "中学でも習ったが、ヒストグラム(度数分布)は、1次元のデータ全体を見渡したい時に使う。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "散布図は、2つのデータの関連を見るのに使うものなので(たとえばクラス全員の数学の得点と物理の得点の関係とか)、1次元のデータだけ(たとえばクラス全員の数学の得点)を見たい場合は(散布図ではなく)ヒストグラムを使う。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "「分散」や「標準偏差」など高校1~2年レベルの数学の用語は、情報iでも習う。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "「箱ひげ図」",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "やや発展的だが、実教出版の教科書で「二項分布」、日本文教出版で「χ(カイ)二乗検定」、を習う。",
"title": "用語など"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "データベースによく用いられるソースコード上での記法の形式には、CSV (シーエスブイ)形式や XML(エックスエムエル)形式 や JSON (ジェイソン)形式などがあります。こういった形式だと、機械が解釈しやすいです。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "CSVはデータをカンマ(コンマ、「,」)で区切った形式です。(※「カンマ」か「コンマ」の違いは教科書会社ごとに違う。実教がカンマ、第一がコンマ)",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "なお、実教も第一も、CSVとかの単元のあとに「外れ値」とかの概念の単元を教えている。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "データベースの常識として、バックアップを定期的にとる必要がある。(数研出版、東京書籍「情報II」の図)普通、バックアップと言った場合、外付けハードディスクやDVDなど別の記録装置に保存することである(※ 数研)",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "なお、ミラーリングという技術とは別物である(※ 数研)。。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "一方、ミラーリングは、通信トラブルなどハードウェア的なトラブルにそなえて、データの保存時に、そのコンピュータのOSが接続している本体コンピュータの保存ストレージとは別に、別の保存ストレージにも同期して保存する技術である。ミラーリングだと、操作者自体が誤操作によって本体ストレージから消した場合、同期して別ストレージからもデータを消してしまうので、このような場合はミラーリングでは対処できない(※ 数研出版など)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "ミラーリングよりもバックアップのほうが比較的に安全である(※ 数研出版の見解)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "大企業や大官公庁などのデータベースは、利用者からは一つのデータベースに見えるが、実際は支社ごとのデータベースだったりして、それぞれの支社データベースからの情報をユーザー利用時に仲介システムでひとつにまとめているだけに過ぎない事もあり、このような仕組みを分散データベース(※ 東京書籍)または分散型データベース(※ 第一学習社)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "分散データベースの利点として、アクセス集中を防げるため負荷の軽減や、また、もし事故などでデータベースが一つ壊れても、他のデータベースが生き延びるので被害を最小限におさえられる、などの利点がある。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "データベース管理システムをDBMS(ディビーエムエス)と略記することもある(実教I、東京書籍 II)。リレーショナルデータベース管理システム RDBMS という表現もある(実教 II)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "銀行の取引履歴などもデータベース(※東京書籍 II)。金融機関もデータベース(※第一)。「金融機関」といったら、第一の想定しているのは銀行や保険とかだろうけど、証券取引所とかもデータベースだろうから・・・。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "どのDBMSも、データの一貫性を保つため、一つのデータテーブルを、複数人が同時に変更できないようになっており、先にアクセスしたほうがロックをかけ操作終了までロック中で(日本文教I)、このような仕組みを「排他制御」などと言う(東京書籍II)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "どのDBMSも、「障害回復」のため変更記録のログを保存しており(日本文教I)、このため、現在データに不整合などが起きてもバックアップできる(日本文教I、東京書籍II、第一Iなど)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと、データ変更履歴以外の画面などの雑多な操作はデータベースとは切り離されている(日本文教I、開隆堂I)。また、このような切り離し・独立性のある仕組みのため、データ以外の関連プログラムに不具合があって修正するときも、データに影響を与えないので、安全に修正できる(第一)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "また、ユーザーごとにアクセスできるデータに制限をかけることができる。ユーザーAは 接続(読み取り)〇・参照〇・更新× とか、ユーザーBは接続〇・参照〇・更新〇 とか、ユーザーCは接続×(必然的に参照も更新も×)とか、制御できる(日本文教I)、こういう機能をアクセス制御(access control)という(日本文教出版II、第一学習社I)。(※英訳は日本文教出版I、数研I)",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "アクセス制御の「更新」は「変更」ともいい、文字通り内容を書き換えることは当然に含むが、さらに削除も含む(※第一学習社I)、なかなか強い権利である。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "データベースのアクセス権の「読み取り」は一般に、内容の表示も含みます(第一学習社)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "データベースソフトの種類によっては、上記のような3パターン(接続/参照/更新)だけではないソフトもあり、もっと細かく制御できるデータベースソフトもあります。(日本文教出版I)。たとえば「データの追加は認めるが、データの修正は認めない」といった細かなアクセス制御が可能なデータベースもあります(日本文教出版I)。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "なお、こうしてアクセス制御などで与えられた各ユーザーごとのそれぞれの権利の状況をアクセス権という。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "データベースの「管理者」と言われる人が、こういった各ユーザーのアクセス権を管理している(※第一学習社 I)。(もし管理者以外の誰でもアクセス権を制御できてしまうと、セキュリティなどの意味を持たないので、管理者だけがアクセス権を制御できる仕組みになっていたりする。)",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "代表的なデータベース言語であるSQLにはデータ型があるのだが、しかし実教出版『情報II』ですたTEXT型しか紹介していない。JacaScriptとかPythonなどの(比較的に)モダンな言語とくらべて、SQLの言語の型は難しい。 東京書籍の情報IIは、月日の入力で数値型や日付型っぽい概念をにおわせているが、しかし型の概念はデータベースの単元では紹介していない。(※そもそも型の概念を、実教ですら紹介していない。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "東京書籍は、これらの話題を「整合性」に分類。",
"title": "データベースの初歩"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "たとえば、大手通信販売サイトは、毎日、多くの人の購入履歴のデータを入手しています。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "また、コンビニなどは、POSシステムによって、どのような客層がどのような商品を購入しているかといったデータを、本社などに届けています。そして、このような購入履歴などの膨大なデータは、商品開発などにとても役立つデータです。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "こういった、多くの人などについてのデータといった、多様かつ膨大なデータのことをビッグデータ(big data)と言い、活用がされています。 (※ 数研、実教I に英訳 big data あり)",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "また、ビッグデータなどのデータから価値ある分析をするための学問として、数学や統計学やコンピュータ科学などを活用して大量のデータから意味ある情報や規則性などを見つける学問である「データサイエンス」(data science)と言われる学問も発達してきています。(日本文教出版 I)",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "ソーシャルメディア(SNS)への短文投稿も、毎日多くの人が投稿しているので、みんなの投稿をあわせればビッグデータです(※数研、第一学習社)。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "ほか、自動車などのGPSのデータも、ビッグデータです(※数研)。なお、災害時には自動車の位置情報データが「通れた道マップ」などに応用されます(※日本文教出版 II)。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "GPSというと、携帯電話のGPS通信などによる位置情報は、実際は近くの基地局との通信です(※東京書籍『新編 情報I』P36)。端末に「GPS」通信などと表示されていても、実際は基地局のIDを読み取って自機の位置を知る手がかりにしている場合も多い(日本文教出版 II)。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "なお、携帯電話、スマートフォンは、つねに基地局との通信のために微弱な電波を出しています(東京書籍I・II)。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "ひとつの基地局がカバーしている範囲を「セル」と言う。移動しても通話が切れないのは、基地局からの電波が一定以下になると自動的に別の基地局からの電波に切り替わり、セルが移動先の別基地局のものに切り替わるからである。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "なお、携帯電話やカーナビなどのGPS位置情報システムは、4つ以上の人工衛星からの情報をキャッチしている。誤差を無視すれば空間座標のx,y,zの3つぶんの衛星で良いはずだが、実際には誤差が発生するので4つ目の人工衛星からの電波が必要になる(※ 数研出版、日本文教出版II)。また、衛星からの電波状況が悪い場合などは、上述のように基地局などとの通信による位置情報に自動的に切り替わる。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "経済産業省などが、日本中の小中高生の学習履歴や成績などのデータをデジタル上で集めて、教育用のAIのためのビッグデータを作ろうとしています。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "1990年代からもテスト業者の模擬試験などでコンピュータなどを活用して受験者の弱点分析などもしていましたが、2020年代以降に国によって学習履歴が収集されれば、かなりのビッグデータになります。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "AIをこれらの教育ビッグデータ技術につなげようとするアイデアも、もう考えられています。すでに一部の塾などがAI活用しており、それを経産省が調査しています。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "実際に国家によってビッグデータ化される場合は、生徒のプライバシーなどの議論もそのうち出てくるでしょう。",
"title": "ビッグデータとデータサイエンス"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "たとえば、夏の暑い日々、アイスクリームが売れます。いっぽう、夏は暑いので、熱中症の患者が増えます。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "なので、アイスクリームの購入数のデータと熱中症のデータには正の相関がありますので(両方とも厚い時期に使うので)、アイスクリームと熱中症に相関関係はあります。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "しかし、だからといって「アイスクリームを食べると熱中症になる」といった因果関係はありません。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "このように、相関関係があることと、因果関係があることは別の現象です。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "相関関係があるのに(正の相関、または負の相関があるのに)、因果関係がない2つの現象について、そのような2つの現象を疑似相関(ぎじそうかん)といいます。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "別の第3の変数によって、2つのデータとも因果関係があって相関があるとき、2つのデ-タは相関が発生します。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "たとえば、夏の暑い日々の話なので、「気温」というデータが、その第3の変数です。上記の例の場合なら、気温に気づけるかどうかがポイントです。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "相関関係があるのに「疑似相関」というのは日本語として変ですが、しかし英語でそういうので( Spurious correlation は直訳で「見せかけの相関」と言う意味)、あきらめてください。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "なお、上記の例の「気温」のように、直接調べている2つのものに影響を与えている、直接は調べていない第三の因子のことを「交絡因子」と言います。(東京書籍の副教材で紹介しています)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "※ 「交絡因子」は基本的には情報IIの範囲。ただし、数研が情報Iで傍注で紹介している。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "「チョコレートがよく売れる国では、ノーベル賞の授賞者が多い」なんていう話題が2010年代に話題になりましたが、これもおそらく疑似相関でしょう。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "貧乏な国は、チョコレートが買えない人が多いからです。チョコレートに限らず、貧乏な国では買えないようなものなら、同様に調べれば疑似相関の結果となるでしょう。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "「過学習」(overtraining)とか「過剰適合」(overfitting)とか「オーバーフィッティング」とか言って、(※ 日本文教出版が「オーバーフィッティング」で用語のみ紹介。東京書籍がグラフありで過剰適合、過学習で紹介)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "たとえば",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "変数の次元を増やしすぎたり(たとえば5次式とか8次式とかもっと多い次数とか)すると、たとえば散布のすべての点がプラスなのに、近似曲線がマイナスに入る場合もある。特に、一つ目の例に示したグラフでは両端がマイナスに入ってるように、縁の誤差が大きくなりやすい。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "もちろん、実験対象によっては実際にマイナスになる可能性もあるが、しかし測定対象の種類によってはマイナスがありえないものもある。(たとえば「長さ」とか「重さ」だと、相対値以外ではマイナスはありえない。)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "過剰適合は、人工知能などがブームになる前から、近似曲線や統計学などの理論で古くから知られていた問題だが、しかし近年は人工知能などでも過剰適合は問題である。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "このような現象は、過去の測定データから未来を予想するときにも問題になりやすいので、人工知能などの機械学習でも問題になることが懸念されている(だから「過学習」と言っているわけで)。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "ほか、別の例としては、全体的に見れば比例的な形をしているのに、細かな蛇行に気を取られるような適合も、むやみに次数を増やすと、起こりがちである。(実教出版がこのような例を出している。)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "近似曲線は、誤差を小さくすることにとらわれず、全体的な傾向を見出すために使う必要がある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "曲線がマイナスに突入していなくても、曲線が蛇行し始めて谷が3個も4個もあるいはそれ以上もいる状態は、そろそろ端部がマイナスに入り始める前兆なので、よって安全のために、もっと前の段階で(せいぜい谷が1~2個の段階で)近似式の次数を上げるのを止めることも多い。(「 実教出版も東京書籍も、谷が1個の段階で近似を止めている。)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "余談だが、過剰適合の現象では特に両端で誤差が大きくなりやすいので(※実教出版の見解)、使用する範囲よりも大きい例をあらかじめ実験して測定しておくのも、ひとつの有効な対策である。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "たとえば1つ目の例ではx=16までしか測定していないが、もしx=20まで使うなら、余裕をもってx=25とかx=30くらいまで測定しておく、というのもテクニックである。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "検定教科書では述べていないが、情報科学、情報工学だけでなく機械工学や電気工学や土木工学などでも、近似曲線を使うことが多い分野があるので、過剰適合は問題になる。高校・大学の教科書で与えられた公式だけを使っている学生の段階では、まだ過剰適合に遭遇しないが、しかし会社や研究機関などの実務で、自分で近似式をつくる必要が出てくると、過剰適合の問題に遭遇することになる。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "(※ 範囲外)曲線グラフなどで測定範囲の外を予想するのを「外挿」(がいそう)と言う。いっぽう測定範囲の内側のまだ測定してない点を予想する「内挿」(ないそう)という。例で分かるように、外挿は誤差が大きくなりやすく、危険である。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "「過学習」「過剰学習」ともいうように、機械学習とも関係がある。というか、機械学習の分野で「過学習」という用語が使われている。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "機械学習の場合は、狭い範囲の訓練データに過剰適合してデータ外でトンチンカンな対応をするプログラムに育ってしまうことが「過学習」。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "機械だけでなく、私たち人間もそうならないように、時には視野を広く持ち、時には範囲外のことも学ぶ必要がある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "生徒番号などは、重複があってはなりません。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "リレーショナルデータベース(RDB)に登録されたデータにも、ID番号の重複があってはなりません。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "RDbにおいて、ID番号のように、重複を許さないデータが「主キー」(primary key)です。※日本文教出版『情報II』",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "普通のデータベースソフトなら、キーに設定している項目が重複すると、そもそもそのデータの登録自体が出来ないか、もし登録できたとしても警告などが出るでしょう。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "これが表計算ソフト(Excelなど)とRDBの違いです。表計算ソフトはそこまで気が利いてません。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "たとえば、ある高校の図書室の書籍の貸し出し状況のデータ表を作る際、まず事前に、生徒データ表、著者名データ表、書籍名データ表、などを作らないといけない(※東京書籍の例。日本文教出版もER図の単元で図書館システムを例にしている)。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "東京書籍は説明していないが、著者名と書籍名をさいしょから一つのデータベースにまとめてはダメな理由がある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "まず、書籍名データベースにもし一つ一つ著者名を入力すると、たとえば著者が半角英数と全角英数とで別著者として認識されたりしてトラブルにつながる。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "たとえば架空の漫画家「フジ・F・藤太郎」と「フジ・F・藤太郎」が別人だと判定されたら面倒である(Fが全角か半角かとか、「・」が全角か半角か、など)。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "また、ID化しないと、検索に時間が掛かりかねない。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "なお、こういうのを「表記ゆれ」と言う(※実教出版「情報II」で紹介)。表記ゆれを防ぐため、あらかじめ入力前にルールを決めておく必要があります。もし表記を統一しないまま入力してしまった場合、あとで表記を統一しなおすため修正入力する必要があり、これを「名寄せ」と言います。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "人名のほか、年月日でも「西暦2019年11月16日」と「2019/11/16」と「令和元年11月16日」と「令和1年11月16日」みたいに表記方法はいくつもあるので、注意が必要です。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "なお、ISO 8601 で規定されているのはハイフン方式の「2019-11-16」および区切り記号なしの「20191116」のような方式です。スラッシュ方式はISOでは禁じられているので、データベースの日付入力では避けるほうが安全です。また。日本のJIS規格でもISOに準拠して、同様のハイフン方式を採用しています。スラッシュ方式は、データベース以外・プログラミング以外の日常言語だけで用いるほうが安全でしょう。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "同じ理由で、出版社名もできれば事前にデータベース化すべきだろう(※東京書籍の検定教科書の例ではそうなってないが)。情報処理学会の動画でも、メーカーは別テーブルにしろと言っている情報処理学会『3. データベース (5) データベースの設計(情報通信ネットワークとデータの活用)』 (4分00秒ごろ)。このようなテーブル分割は「正規化」(せいきか)と言われる処理の一種である。もしテーブル分割しないと、出版社名やメーカー名に紐づけしている会社所在地などの付随情報がもし引っ越しなどで変更したとき、その出版社・メーカーについての何万件もあるようなすべてのデータベース登録項目を手動で修正する必要があるので、ふつうの人間では無理であるので。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "東京書籍の例では、「生徒表」「書籍表」「著者表」「貸出管理表」の4つから学校図書館 貸し出しシステムを構成している。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "そして、貸出管理表には、貸出番号(101, 102, 103, ・・・のように1ずつアップしていく)と、借りられている書籍名のIDと、生徒番号のIDと、返却日の記録する。けっして直接は書籍名や生徒名は入れない。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "そういった理由からか、まず",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "著者名データベースで、著者名IDと著者名を定義する必要がある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "そして、書籍名データベースでは、著者名は直接は入力せず、代わりに著者名IDを入力していく必要がある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "SQl用語の「選択」「射影」「結合」など、『情報の科学』時代から教えられており、情報IIでも引き続き教えられている。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "実教『情報II』は紹介するsql言語にSqLite(エスキューライト)を採用。pythonにも組み込まれている。(実教の情報IIがpython推しだからだろう。)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "Excelファイルには、パスワードをかけることができる(※ 第一学習社)。特に秘密度の高いデータなどの管理では、パスワードをかけることもある。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "データベースの集合演算の、「和集合」演算とか「差集合」演算とか(※ 第一学習社の『情報II』検定教科書にもあります)、情報処理学会の動画で説明されているので、視聴してください。情報処理学会 『3. データベース (2) リレーショナルデータベースの考え方(情報通信ネットワークとデータの活用)』 (5分00秒ごろ)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "データベース独自の演算である「射影」演算などについては、リンク先動画の6分00秒ごろにあります。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "「射影」は指定した列だけを取り出す演算のことです。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "「選択」は、特定の条件を満たす行を取り出す演算のことです。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "「結合」は、共通する列をもつ複数の表の列をあわせて(※ 情報処理学会の動画)、ひとつの大きな表にすることです。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "ほか、SQLに関して、ワイルドカードを教えている(実教出版 II、日本文教出版 II)。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "SELECT * FROM テーブル において、アスタリスク記号「*」は、「すべて」の意味を持つ。つまり、「テーブルの全部の列を表示しろ」という意味になる。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "上述のような「すべて」という意味でのアスタリスク記号のことをワイルドカードと言う。",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "なお、SELECT 機能は、ワイルドカード以外を使った場合は、「射影」に相当する。なぜなら SELECT命令は列を取り出す命令なので。(※ 情報処理学会の動画)",
"title": "情報IIの範囲"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "経産省および独立行政法人 情報処理推進機構が、現代のIT人材に必要な能力の目標の例を定めており、経済産業省・情報処理推進機構『デジタルスキル標準』ver.1.1 ,2023年8月』 で定めています。",
"title": "※ 経産省の目標"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "このデジタルスキル標準によると、データ分析の際、一次情報と二次情報の区別も定めています『デジタルスキル標準』P.42 。",
"title": "※ 経産省の目標"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "経産省がこの情報Iのデータ分析の単元と近いことを資料で説明しているので、せっかくだから、ついでに、文科省だけでなく経産省の目標にも役立つ知識にアップグレードしてしまいましょう。",
"title": "※ 経産省の目標"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "なお、日本国の内閣官房が、文科省や経産省に対して、デジタル人材育成の教育で連携しろと命令してます。",
"title": "※ 経産省の目標"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "では、下記に一次情報と二次情報とは何かを説明します。",
"title": "※ 経産省の目標"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "実際に自分の目で確かめたとか、政府の統計など余計な判断が加わってない情報、あるいは、それらに近い情報を一次情報と言います。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "一方、他人の選別や加工が加わった情報のことを二次情報と言います。(※数研出版『情報I』、東京書籍『情報II』)本やインターネットなどの情報はふつう、二次情報です(東京書籍)。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "アンケートやインタビュー、実験などによって得られた情報は一次情報です。(東京書籍)",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "経産省らの資料では、データの検証は基本、一次情報で検証しろ、と言っています。「一次情報を用いたデータの検証」という語句が経産省の資料にあります。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "実際には、一次情報は集めるのに時間が掛かるため、二次情報も集めざるを得ないのですが(数研)、二次情報の検証法についてはメディアリテラシーの単元でまた説明します。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "経産省の資料に、下記のリストが書かれています。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "仮説の構築や修正は、PDCAサイクルなどで現実を見ながら修正してください。(※なお、検定教科書では、実教I、日本文教出版I、数研I で記載をPDCA法の確認。)",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "「一次情報を用いたデータの検証」は、先ほど話しました。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "データの片寄りは、これは高校生では、費用や時間の限界で、対処のしようがありません。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "大人になってから、必要な人が、検証したいことについて、色々な観点のデータを集めることで、片寄りを減らしてもらうしかないでしょう。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、ネット上での意見サイトには、「サイバーカスケード」という、そのサイトに集まる仲間内で情報が片寄る現象が知られているので、サイトは基本的に片寄ってることを前提にするのが良いでしょう。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "出所(でどころ)や更新日は重要です。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "たとえ形式的にCSVファイルとかJSONファイルとかの形式のデータでも、出所が不明だったり更新日が不明なデータは、信頼性が低いと疑ったほうが良いでしょう。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "「分析アプローチ」以降は、私たちにはどうしようもありません。以降は専門家の大人たちに任せましょう。",
"title": "一次情報と二次情報"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "リレーショナルデータベース(RDB)以外にも、他の種類のデータベースもあります。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "「階層型データベース」や、「ネットワーク型データベース」です。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "しかし、データベースソフトとしては、RDB以外の種類は、あまり使われていません。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "資格試験とかに出てくるからか、検定教科書では書いてありますが、2020年代では、ほとんど使われてない技術です。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "しかし、裏を返せば、RDB以外の種類のデータベースを反面教師として、RDBは発達したわけです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "では、反面教師として、学びましょう。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 287,
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"text": "階層型データベースというのは、たとえるなら、パソコンのフォルダシステムのようにデータを管理する方式です。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "銀行の中枢システムみたいなマニアックな用途でしか、階層型データベースは使われていません。(たとえばIBMのw:IMS、その互換の日立AMD、富士通AIM くらいです)",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 289,
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"text": "そもそも、このIBMのIMSは、データベース言語がSQLではなく「DL/I」という独自言語です。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "つまり、SQLしか教えない検定教科書は、暗に、階層型データベースを非推奨としているのが実態なわけです。立場上、教科書会社は表立っては階層型データベースを批判していませんが。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "IMSは、1970年代からある、古いデータベースです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "なお、21世紀にらIMSはSQLでも入力できるようになりましたが、しかし内部では DL/I に変換しているのが実態です。単にユーザー側のインタフェースだけSQL対応しているだけです。オラクル社がそう言っていますOracle Application Server Adapter for IMS/DBユーザーズ・ガイド で(※ 引用)「SQLは、バックエンド・ドライバでIMS/DBで認識される言語に変換され、IMS/DBに渡されて実行されます。」 だと。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 293,
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"text": "IMSはコボル(COBOL)とかそういう古い時代のレガシー技術なので、今の学生は勉強しなくていいです。レガシー技術は、仕事で必要になった人が仕方なく勉強するものです。IT技術者の勉強では、なるべく新しい技術や、市場で普及した技術を勉強しなくてはいけません。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "あと、階層型データベースというのは、たとえるならパソコンのフォルダシステムのようなものなのですが、",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "Windowsなどのある現代では「だったら、最初からパソコンのフォルダでデータ管理すればよいのでは・・・?」という代替方法もあります。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "(なお、IMSの登場した1970年代ごろは、まだWindowsがありませんでした。そういう時代のデータベース技術です。MS-DOS (エムエス ドス)登場の1981年よりも、ずっと前の技術です。)",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "階層型データベースの欠点として、複数の親フォルダに使われるデータがある際、重複登録しなければならない、という欠点があります。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "まさに、現代のフォルダ管理と同じです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "※ ネットでは語られませんが、問題なのは、データの更新のときです。重複登録されたデータがある場合、片方だけを更新しても、残りの重複データには更新が反映されません。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 301,
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"text": "",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "なお、データベースに限らず、フォルダで情報を管理するときのコツなのですが、あまりに階層を深くし過ぎると、探しづらくなります。なぜなら、「あのデータ、どこの階層にあったっけ?」って思い出す必要が生じてしまうからです。まあ、ファイル検索で探せますが。しかし、そもそもファイル検索で探すなら、ファルダ分けをする必要自体がありません。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "まあ、せいぜい、たとえば「画像 2023年」みたいに大まかな年やコンテンツ種類などを記載したフォルダを作っておき、そこに画像は全部入れておくのが、現代ではコツです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "OSにはファイル検索システムがありますので、ファイル名のほうに、たとえばファイル名で「アニメ オニスレイヤー画像1」みたいにファイル内容が分かる命名にしといて、その画像を探したくなったらファイル検索で「オニスレイヤー」と入れて探せばいいのです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "フォルダ分けの分類は、あるていど画像が何十枚もたまってから、あとから分類を行うのです。もし画像が1つしかない段階で、いきなり分類しても、ピント外れな分類になるだけです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "で、1970年代の昔は、検索システムがあまり高速ではなかったので、フォルダを深くするように階層を深くしたデータベースにも意義はあったかもしれません。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "ですが、2020年以降の現代は違います。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "パソコンの性能が低かった1970年代と比べたら、現代はぜいたくな環境があるので、そのぜいたくな環境を活用したシステム構築やプログラミングをするほうが、バグなども少ないプログラミング等ができます。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "このような、ぜいたくな最新環境を活用するノウハウのことを日本のプログラマー界隈では俗(ぞく)に「富豪的プログラミング」と言います。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "富豪的プログラミングを提唱した日本人プログラマーは下記のように述べています。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "階層型データモデルの欠点もまさにこれと同じで、ともすれば、プロトタイピングをロクにできない状態でデータ構造を設計しなければなりません。なので、設計者にかなりの技量が必要です。RDBに淘汰されて普及しなかったのは当然です。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "21世紀におけるソフトウェア設計のコツとして、決していきなり処理速度の速いソフトウェアを作ろうとすべきではなく、まずは、処理速度が遅くてもいいので、プログラマーが作りやすくてユーザーにも使い勝手のいいソフトウェアを試作(プロトタイピング)して実際にテストして検証して、あとから処理速度を高める改修をしていくのがコツです。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 314,
"tag": "p",
"text": "使い勝手が悪いせいでロクに市場でユーザーに使われておらず検証されないソフトウェアの速度が高くなるように設計できても、なんの意味もありません。なぜなら、そもそも使われないので。",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 315,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報II:その他のデータベースの種類"
},
{
"paragraph_id": 316,
"tag": "p",
"text": "]",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 317,
"tag": "p",
"text": "とりあえず相関関係のある現象を発見したとして、それが因果関係か、それとも単なる相関関係なのかを区別するための研究手法について、これから述べる。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 318,
"tag": "p",
"text": "実用的なレベルで、因果関係を完全に証明するのは、難しい。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 319,
"tag": "p",
"text": "それこそ、科学者のように、膨大な研究が必要になってしまう。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 320,
"tag": "p",
"text": "しかし、それだとビジネスにならない場合が多いので、とりあえず、ある程度の検証を満たせば、疑似的に因果関係のようなものだと見なして、ビジネスに適用してしまう方法もある。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 321,
"tag": "p",
"text": "総合理科などの科目でも習うが、対照実験という手法が、理科での証明の基本である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 322,
"tag": "p",
"text": "しかし、社会などを扱う場合、対照実験をするのが難しい分野もあり、対照実験に膨大な時間やコストが掛かってしまう分野もある。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 323,
"tag": "p",
"text": "対照実験では、変数を一つだけ動かさないといけない。しかし、社会などでは、それが難しく、どうしても他の変数も動かさないといけなくなってしまう事も多い。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 324,
"tag": "p",
"text": "そこで、そのように他の変数も動かさないといけない場合でも、なんとか疑似的に因果関係のようなものの検証をする必要がある。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 325,
"tag": "p",
"text": "たとえば新薬の検証をする際、薬を投薬したグループと、そうでないグループとで、誤差と思えない程度に大きな差が現れれば(なお「有意差」(ゆういさ)と言う)、とりあえずの効果があるのだろうと推測するのが実態である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 326,
"tag": "p",
"text": "医療などの分野では、ランダム化比較試験(randomized controlled trial、RCT)と言って、実験対象を2つ以上のグループにランダムに分けて、対照実験のようなものをして、有意差があれば、とりあえず効果がありそう、だとして候補にする。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 327,
"tag": "p",
"text": "人間の体は、けっして1個の変数では表せないので、本来は2個や3個ていどのグループ分けでは不足であり、もっと膨大にグループ分けしないと証明としては論理的には厳密ではないが、それだと費用が掛かり過ぎるので、よって2~3個ていどのグループ分けでも良いとして、代わりに、可能なかぎりなるべくランダムに分ければ良いとされる。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 328,
"tag": "p",
"text": "ここで要求されるランダムさは、サイコロなどで得られる程度のランダムさもあれば十分である。現代ではコンピュータで発生させる乱数でも十分である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 329,
"tag": "p",
"text": "このRCTは、データサイエンスの分野にも、すでに取り入れられている。このように、医療分野の統計手法だろうが何だろうが、使えそうなら取り入れるのがデータサイエンスである。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 330,
"tag": "p",
"text": "このように、ランダム化比較試験は、対照実験を疑似的に行う手法である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 331,
"tag": "p",
"text": "IT業界や広告業界などだと「A/Bテスト」というのがあるが、これもRCTと似たような発想である。A/Bテストとは、たとえば、ある広告に校歌があるかどうかを検証したい場合、統制下の集団を、広告を見せたAグループと、見せてないBグループとに分けて、比較する方法である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 332,
"tag": "p",
"text": "医療の場合、RCTでの検証以降にもさまざまな検証があるが、しかし医療以外の規制のゆるい産業ではそこまでの検証を求められずに、場合によっては簡易なRCTまたはA/Bテストによる検証に合格した成果がある開発製品ならば商業化するのも普通である。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 333,
"tag": "p",
"text": "RCTでもA/Bテストでも、充分な人数を対象に効果が出れば、とりあえずの再現性があると見なす。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 334,
"tag": "p",
"text": "高校「情報」教育では他の単元で「プロトタイプ」を教えるが、結局、上記の程度の検証を潜り抜ければ充分なので、なので試作(プロトタイプ)をつくって実験と簡易な改良をさっさとしたほうが良いのである。その程度で十分なのである。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 335,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 336,
"tag": "p",
"text": "ビジネスマンの数値化思考を例に、大学レベルの抽象的な数学の話をしよう。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 337,
"tag": "p",
"text": "なお、下記は、とりあえずの仮説であるので、決して鵜呑みにしてはいけない。社会のような抽象的なものごとを考える際は、仮説でもいいので、まずは思考のとっかかりを考えるのである。こういうのを「仮説思考」と言う。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 338,
"tag": "p",
"text": "頭の中に、とりあえずの仮説をつくり、それを新しい事を学んだら適宜(てきぎ)、より正しい新情報をもとに従来の自分の仮説を修正していくのである。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 339,
"tag": "p",
"text": "抽象的な大学レベルの数学の使い方とは、このコラム例のように、一見すると別々の分野の知識を、その構造の共通性に注目して、結びつけて理解することです。",
"title": "(※範囲外)"
},
{
"paragraph_id": 340,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと、単にマニュアル通りのことをするなら、あまり高度な数学は必要ありません。",
"title": "(※範囲外)"
}
] | null | == 質的データと量的データ ==
※ 暗黙の前提として、データは1個だけでは普通は価値が無く、蓄積しないと役立てることができません。後述する「データ分析」でも、たった1個だけのデータを分析しても、たいていの場合は何の役立ちません。蓄積された多くのデータを手作業で処理するのは大変なので、そこでコンピュータの出番(でばん)となるわけです。
下記の例ではアンケートによる集計でデータを蓄積していますが、別に他の手段でデータを収集して蓄積しても構いません。たとえば気温のデータなら、デジタル温度計で収集するのが効率的でしょう。
=== 概要 ===
アンケートなどでデータを集める際、たとえば「1日あたりの勉強時間を答えてください」の回答のような、数値などで表現できるデータであり、さらにデータどうしの差や比例などに意味のあるデータのことを「'''量的データ'''」と言います。身長や時間や人数や点数など、数値として意味があるものが量的データです。
一方、「社会科は好きか嫌いか、その理由とともにお答えください」の回答のような、文章などで記述してもらったデータのことを「'''質的データ'''」と言います。
:※ 「質的」「量的」も新課程・情報Iの検定教科書での範囲です。[https://www.youtube.com/watch?v=GCtEt0CfF2Q 文部科学省/mextchannel『高等学校「情報Ⅰ」オンライン学習会 【第3回】3学期に向けたデータサイエンス概論 ]
コンピュータでは、量的データのほうが処理しやすいです。
:※ データサイエンスや情報科学だけでなく、心理学や経済学などでも「量的」「質的」と言った言葉を似たような意味で使うので、この機会にこの用語を覚えましょう。
=== いろいろな尺度 ===
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 数値データの分類
! データの種類 !! 尺度水準 !! 尺度の意味 !! 例
|-
! rowspan="2" | 質的データ
|| 名義尺度 || 他と区別するために付ける数値。<br>名前のようなもの。<br>等しいかどうかしか意味が無い。 || 名前、性別、血液型、<br>電話番号、背番号など
|-
|| 順序尺度 || 数値の大小関係や順序に意味がある尺度。<br>差や比率の値には意味が無い。|| 成績の5段階評価、<br>満足度の5段階評価、<br>(3段階評価などでも構わない)<br>競争の順位、<br>震度、警戒レベル
|-
! rowspan="2" | 量的データ
|| 間隔尺度 || 目盛が等間隔。大小関係にも意味がある。<br>数値の差に意味がある。<br> || 温度(摂氏温度)、西暦・年号 など
|-
|| 比例尺度 || 大小関係、差、比例すべてに意味がある。 || 身長、体重、年齢、金額、<br>時間、速度 など
|-
|}
部活の入部希望アンケートで「加入したい部活を記入してください」というアンケートは、一見すると回答は「サッカー部」のような語句のように見えますが、しかし選択肢を用意して番号をつけて
<pre>
1:サッカー部
2:卓球部
3:柔道部
4:演劇部
5:美術部
</pre>
:(※長いので以下略)
のように選択肢を設けることで、これを数値として扱うこともできますが、しかしこういうのも質的データとして扱います。なぜなら、部活どうしの四則演算に意味が無いからです。
たとえばサッカー部の「1」と「卓球部」の2を足したら「3」で、これは柔道部の番号「3」と同じ数値ですが、しかしそのことに意味は何もありません。
なお、この部活の番号のように、分類上の都合でつけただけの番号などの数値を、'''名義尺度'''(nominal scale)と言います。 ※ 実教出版の教科書で英訳を併記しています。
数値データであっても、必ずしも量的データとは限らないことに注意してください。
後述しますが、コンピュータでは、選択肢の方式のアンケートが一番ラクに処理しやすいです。
;順序尺度
下記のように番号をつけて
:1 とても良い
:2 良い
:3 普通
:4 あまり良くなかった
:5 とても良くなかった
とした場合、番号の数値が低いほど満足しているので、数値の大小には意味があります。しかし要素どうしの四則演算には意味がありません。たとえば
「とても良い」(1)+「良い」(2)=「普通」(3)
ですが、そのことに意味が何もありません。
このように、順序や大小には意味があるが四則演算に意味が無い尺度のことを'''順序尺度'''と言います。
順序尺度は、一見すると差に意味がありそうですが、しかし,、たとえば「1 とても良い」と「3 普通」の差はむりやり計算すれば2ですが、
これが「2 良い」と「4 あまり良くなかった」の差の2と計算結果は等しくなりますが、
しかし、本当に回答者の「とても良い」と「普通」の差が、「良い」と「普通」の差とは等しいという保証がありません(※数研出版)。
なので、こういったアンケートの回答は順序尺度として扱います。
また、さきほど回答者の心理の話をしたことから分かるように、心理学や社会学では、心理などを数値データ的に処理したいときに順序尺度として扱わなければいけない事もよくあります(※数研出版)。
{{コラム||
アンケートの回答者の中には、選択式アンケートで何かの評価を求められた際、事なかれ主義のため、なんでも「普通」とか真ん中の選択肢で評価するフザけた人もいます。
たとえば
順序尺度
:とても良い
:良い
:普通
:あまり良くなかった
:とても良くなかった
という評価を10個くらいの事柄について求められたら、全部「普通」とつけて、考えるのをサボる奴です。
なので、最初からアンケートの回答欄に評価選択に「普通」を無くすというのも一つの方法です。
たとえば、東京書籍『情報II』(P.21)のプレゼンのしかたの評価アンケートが、4段階です。
1 2 3 4
いいえ |------|------|------| はい
というヤツが複数個、並んでいるヤツです。
東京書籍は堂々と「選択肢を偶数にすると、曖昧な回答を避けることができる。」と述べています(※ 東京書籍『情報II』P.115)。
:※ Google フォームの場合、「均等目盛」で目盛の数を偶数に設定すればいい。
ほか、文科省によるアンケートも、そうなっていることもあります。文科省の教育動画に対するアンケートの評価回答欄に、
:「とても参考になった」
:「参考になった」
:「あまり参考にならなかった」
:「参考にならなかった」
という、「普通」なしの評価欄があったりしました。
検定教科書でも、上記の「普通なし」のテクニックを紹介しているものもあります。
他にもアンケートで、回答者が考えるのをサボってデタラメにつけるのを防ぐためのアンケート設計のテクニック色々とありますが、しかし悪用を防ぐ都合上、本ページでは方法はダマっておきます。
}}
さて、質的データは、名義尺度または順序尺度に分けられます。
;量的データの尺度
物理II(専門『物理』)で習いますが、温度の比率には意味がありません。温度の差には意味があります。
たとえば1℃と10℃は、一見すると10倍ですが、
しかしケルビン単位で見れば、
274ケルビンと283ケルビンでしかなく、2倍未満です。
このように、温度は単位系によって数値が変わるので、比率には意味がありません。
この温度のように、比率に意味が無いが差には意味がある尺度のことを「'''間隔尺度'''」と言います
:※ 教科書には太字で「間隔尺度」が書いてあるが、正直、あんまり使わない用語だと思う。
:※ 派生的な知見ですが、間隔尺度の0は、存在の無を意味しません。たとえば温度の0℃は、けっして気温・室温が存在しない事を意味していません。
ほか、身長・年齢など、大小関係にも差にも比率にも意味がある尺度のことを「比例尺度」と言います。
建物の階数はよく比例尺度と誤解されますが、しかし日本においては地面に接している階が0階ではないので、階数は比例尺度ではありません(※ 数研出版)。1つの階の高低差が等間隔なら、その建物の階は間隔尺度です。階の高さが等間隔でない場合は、間隔尺度ですらなく、順序尺度です(※数研出版の傍注)。
ほか、量的データのことを「定量データ」(ていりょうデータ)、質的データのことを「定性データ」(ていせいデータ)と言うこともあります(※数研出版の傍注)。
{{コラム|(※発展)アンケートの「平均」の問題点|
四則演算が出来ない種類の尺度のデータでは、当然ながら、平均値や「分散」(その平方根は「標準偏差」という)などの統計量を求めることができません。
:※ 「分散」をまだ習ってない人はこのコラムを今は読み飛ばしていい。
さて、アンケートの5段階評価などの順序尺度は、一見すると平均値に意味がありそうだし、よく見かけるが、しかし上述したように等間隔ではないので、本来はアンケートの平均値に意味が無い。
仮にむりやり、下記のように
順序尺度
:(5点) とても良い
:(4点) 良い
:(3点) 普通
:(2点) あまり良くなかった
:(1点) とても良くなかった
と点数づけをしてむりやりに間隔尺度にしたシステムも、よくネットで見かけますが、
しかし、それぞれの採点者の採点基準が不統一なのが普通だし、そのため本当に回答者の心理の実態が等間隔の保証は無いので、形式的に「平均値」を求めても、回答者の実態としての心理の「平均値」ではない。
このため、アンケート結果の「平均値」は、信頼性が低い。
あるいは発想の転換で、もし読者がアンケートを得点化したサイトの意見からの信頼性が低い事を経験的に知っているなら、
その経験から、アンケートは(間隔尺度ではなく)順序尺度であることが納得できるだろう。
}}
{{コラム|(※範囲外?)成績の評定平均の問題点|
成績の5段階評価は、本文で上述したように順序尺度であった(等間隔の保証が無いので)。
順序尺度は本来、四則計算ができないので、よって平均値に意味は無い。
なので、成績の5段階評価に、平均値は数学的には意味は無い。
しかし、教育行政の実務では、たとえば受験の推薦(学校推薦)の基準で「5段階中、評定平均が3.5以上」みたいなのが存在する。なお「評定平均」は「ひょうていへいきん」と読む。
評定平均は、教育行政の都合上、むりやり平均値を計算したものである。
私大だけでなく国公立大も推薦入試を令和の現代では行っているので、文科省は知らないフリはできない。「私立が勝手に平均値を求めているだけ」とは、決して文科省は言い逃れできない。そもそも、推薦者を私大に送る高校の側にも、公立高校は存在しているので、やはり文科省は言い逃れできない。
推薦入試の「評定平均」のように、四則演算のできないはずの順序尺度で(成績評価は順序尺度なので)、無理やりに平均値を計算することはある。
だが、せめて、誤差が大きい事を、無理やり求めた「平均値」の利用者は覚悟する必要があるだろう。
また、相関係数だの統計検定だのといった難しい計算を、成績5段階評価やアンケート5段階評価などをもとに行っても、あまり信頼性は無いことが多いだろう。
[[File:Normal distribution.svg|thumb|400px|正規分布<br>平均値を中心として左右対称の形になる。また、平均値から離れるほど、確率(または度数)が小さくなる。<br>なお数値については、それぞれの正規分布ごとに異なるので覚えなくていい。]]
なお、日本の昭和の小中高の5段階評価は、学年の生徒全員の得点分布がむりやり正規分布(せいきぶんぷ)だと仮定して、その正規分布の統計値を変換して 1~5 の5段階に当てはまるようにしたものである(本来は、生徒らの得点分布が正規分布とは限らない)、
また、偏差値もほぼ類似の発想で、正規分布をもとに求めたものである。
細かな計算法については教育業界の専門知識になるので、本ページでは説明は省略する。
なので、学年の生徒みんなの成績5段階評価から分布を求めても、そもそも5段階評価を求めるために分布を正規分布と仮定しているので、二度手間になってしまう。
}}
:※ なお、正規分布の学習について、性質などを証明しようとすると理科系の大学2年くらいの数学の学力が必要になる場合が多いので、高校生は正規分布の性質を証明しなくていい。
:検定法(カイ二乗検定とか)の単元についても同様、公式の導出などは、大学2年くらいの数学の学力が必要になるので、高校生は、検定法の公式は導出しなくていい。
名義尺度であっても、最頻値の算出は可能である(日本文教出版 II)。
たとえば、新入生アンケートで、どの部活に入部を希望するかの「入部アンケート」を学校がとったとして、「13:軽音楽部」が仮に一番人気だったとしよう。こういった人気アンケートみたいに、最頻値や、あるいは名称はないが二番目に頻度の高い値、三番目に頻度の高い値、・・・といったものは算出できる。
名義尺度に最頻値が存在するので、決して「名義尺度は統計量を出せない」(←マチガイ)と勘違いしないようにしよう。
== アンケートと統計分析とコンピュータ処理 ==
=== 量的データの分析 ===
==== 散布図と近似曲線 ====
[[画像:散布図.png|thumb|400px|right|散布図の例]]
:※ 文科省のYouTube動画で、散布図とExcelの近似曲線グラフの話をしています。
アンケートで数値入力させたとき、ユーザーが入力ミスなどで、異常な数値を入力してしまう場合があります。
その場合、せっかく近似直線または近似直線(二次関数や三次関数などの高次関数で近似できる)などの近似関数をとっても(※ スプレッドシートに近似直線や近似曲線を取る機能があります)、異常な傾きの直線や曲線が出てしまいます。
また、直線や高次関数ではなく、円などで近似したほうが良い結果が得られる場合もあります。
なので、いきなり近似関数の機能を使う前に、まずグラフで図示する必要があります。
;例と解説
例として、次の7名のクラスの、数学と物理の点数を考えてみましょう。
[[File:Scatter plot description jp.svg|thumb|500px|最小二乗法の例<br>数学と物理の点数]]
{| class="wikitable"
|+
! 番号 !! 数学(点) !! 物理(点)
|-
! 1
| 62 || 80
|-
! 2
| 74 || 66
|-
! 3
| 58 || 52
|-
! 4
| 90 || 88
|-
! 5
| 42 || 56
|-
! 6
| 70 || 68
|-
! 7
| 76 || 88
|-
|}
スプレッドシートでグラフ表示をする際、「散布図」(さんぷず、scatter plot<ref>実教出版『情報II』</ref>)というもので表示すると、線で近似する前の状態が図示されるので、その散布図を見てから、何で近似すべきかを決めます。
:※ なお、表計算ソフトでグラフを描くさい、計算元のセルには数値データとして数字を入力する必要があるため、それぞれのデータには単位をつけません(※ 第一学習社)。単位をつけると数値データではなく文字列データとして認識されてしまい、うまくグラフが作成できなくなってしまいます。
さて、直線近似をするという事は、一次関数で近似することです。数値的に正確な直線近似の方法として、数学的には「最小二乗法」という方法が一般的には使われます。(検定教科書「情報II」の範囲。日本文教出版で確認.)
直線を引いた場合に、残差(ざんさ)を二乗した値の総和('''残差二乗和'''<ref>実教出版『情報II』</ref>または「二乗残差和」<ref>実教出版『情報II』</ref>または残渣平方和<ref>日本文教出版『情報II』</ref>)が最小になる直線を求める計算法が、最小二乗法です。
:(※ 点と近似直線との距離ではないことに注意。距離ではなく残差である。残差のほうが計算を求めやすい。)
残差とは、考えている近似関数からのズレです。
なお、二次関数以上で近似する場合でも(つまり多項式近似の場合)、考えている関数とのズレのことを「残差」といいます。また、多項式近似を表計算ソフトに命令した場合には、残差が最小になるような関数を表計算ソフトは出力するはずです。
まあ、直線近似については、コンピュータなどなかった時代などは、人間が散布図を目で見て「だいたいココらへんだな・・・」と、「えいやっ」と直線を手動で引く方法も昔からありましたが・・・。
なお、高次関数による近似は、表計算ソフトでは「多項式近似」などと呼んでいるかもしれません。(じっさい、Excelの場合、「多項式近似」では2次関数以上しか使えない。)
:(※ 範囲外)曲線近似(多項式近似、高次関数による近似)や、二変数以上の近似の場合は、「ラグランジュの未定乗数法」などを使うが、しかし高校の範囲を大きく逸脱するので省略する。日本文教出版の教師用の指導書でもラグランジュの未定乗数法に触れられているが、同じく「高校の範囲を大きく逸脱する」という理由で、名前の紹介のみにとどめている。
:ラグランジュの未定乗数法はすごく難しく、理系の大学生ですら大学2年生~3年生くらいの数学レベルが必要なので、高校生には無理。高校生の理解は、あきらめて。
散布図は、図1つにつき2種類のデータしか使えません(上記の例では数学と物理の得点のように)。
国語の得点などとの関係も図示したい場合は、新たに、たとえば国語と数学の得点を散布した散布図をもう一つ作る必要があります。
[[File:Correlation sign diagram jp.svg|thumb|600px|相関係数の正負と「相関なし」の説明図]]
数学の統計分野で「相関係数」と言うのを習うが、しかし相関係数とは直線比例に近いかどうかを検出するための指標であるので(直線比例に近いと1または-1に近くなる。相関係数は -1≦r≦+1 の間の数値を取る(rを相関係数の記号とする)。相関係数の絶対値は最大で1まで)、たとえば明らかに円形に分布していても検出されない(円状に分布している場合は相関係数が0に近くなる)。
円周上に並んでいるように見える場合でも、あるいは円盤状に並んでいる場合でも、どちらにせよ相関係数が0に近くなる。
円に限らず、たとえば四角形状に分布している場合でも同様、相関係数が0に近くなる。
また、「W」字のようにナナメ上向き直線とナナメ下向き直線が混ざっているように分布している場合も、相関係数が0に近くなる。
このため、統計分析の実務では、相関係数を計算するよりも前に、まず散布図を見て、どう分析するかを決める必要がある。
2023年現在、高校数学でもすでに散布図を教えている。
もし散布が直線状で、ナナメ右上に右上がりになっている場合は、相関係数が 1 に近くなり(※ プラス1に近くなり)、「正の相関」と言う。
もし散布が直線状で、ナナメ右下に右下がりなっている場合は、相関係数が-1に近くなり、「負の相関」と言う。
{{コラム|散布図はExcelやスプレッドシートで描こう|
WordやPowerPointにもグラフの機能がありますが、それは Word または PowerPoint から Excelを呼び出して使う機能である。
WordまたはExcelからのExcel 呼び出し画面では、あまり高度な Excel 機能が使えません。
なので、散布図を書く場合、まずは Excel で普通に書きましょう。
}}
==== データ・クリーニング ====
:※ 実教出版『情報I』の教科書に「データ・クリーニング」および「データ・クレンジング」の語が書いてあります。
:※ 第一学習社『情報I』と東京書籍『情報II』の教科書に「データ・クレンジング」(data cleansing<ref>東京書籍『情報II』</ref>)が書いてあります。東京書籍『情報 II』では 英訳も。
:※ 文科省のYouTube動画で、用語名「データ・クリーニング」は出してないですが、その話をしています。
:※ 点を入れるか、つまり「データ・クリーニング」か「データクリーニング」かは、検定教科書だと点無しが多い。気にしなくていいだろう。たとえば東京書籍『情報II』は点なしの「データクレンジング」。実教出版も点なし(P98傍注、傍注なので索引に無い)。第一学習社も点なしの「データクレンジング」。
データの重複や表記ゆれ、その他のご入力などの除去の作業のことを、'''データ・クリーニング'''や'''データ・クレンジング'''などと言います。特に、手入力されたデータには誤入力や重複などが起こりやすいので、データクレンジングが必須である(※東京書籍の見解)。
アンケートなどで数値入力をさせた際、回答者が読み違いや入力ミスなどで、異常な値を回答してしまう場合があります。
入力ミスなどによって入力された値のことを「異常値」と言います(数研出版の見解)。いっぽう、入力ミスではないが、ほかの値から大きく外れた値のことを「外れ値」(はずれち、outlier<ref>実教出版『情報II』</ref>)と言います。
なので、異常値については、近似関数などを作成する前に除去をした、別データ集を作成します。外れ値を除去するかは、データの種類による(※数研の見解)。
中学校の数学でも習ったと思いますが、(平均値ではなく)中央値や最頻値などを使うことで、異常値の影響を受けづらくなります。
このように、何かの指標を使う場合は、異常値などの影響を受けづらい指標を使うのがコツです。
このほか、ある項目のデータが入力されていなくて空欄の場合など、「'''欠損値'''」(英:missing value<ref>実教出版『情報II』</ref>)と言います(※東京書籍、第一学習社、実教出版などで確認)。コンピュータ処理上の都合で、未回答であっても、じつは何らかの値が事前に変数に入力されている場合があります。たとえば数値データなら、プラスの整数しか回答できない質問に、じつはマイナスの値が格納されている<ref>[https://www.weblio.jp/content/%E6%AC%A0%E6%90%8D%E5%80%A4 weblio辞書「欠損値」 ]</ref>、などです。もし回答すると、値がプラスに書き換わる、などの工夫です。
欠損値は、その後のデータ分析からは、除去する必要があります。
:(※ 範囲外)欠損値は、ソフトウェアによっては「null」(ヌル)と表示されることがあります(たとえば Google の Looker Studio など)。データ分析ソフトに限らず、一般のプログラミング作成ソフトでも null という単語は使われるので、ついでに覚えましょう。
「情報」教科でつかう数学については、平均や中央値や最頻値といった中学レベルの数学が情報の範囲です。加えて、高校で新しく習うだろう(統計値の)「分散」も情報Iの範囲です(※ 数研出版の教科書で確認)。なので、高校の数学IAていどの勉強は必ずしましょう。余裕があれば数学2Bも勉強しましょう。
(※ 範囲外)データ・クリーニングのさい、除去前のデータは、これはこれで残す必要があります。
:(※ 範囲外)さて、データ採取をしたさい、まだ何の加工もしていない採取したままのデータのことを「生データ」(なまデータ)と言います。情報科学に限らず、物理学とか機械工学とか医学とか理系の学問でも、また文系の学問でも、「生データ」という用語を使います。
:※ 文科省の動画ではそこまで説明してませんでしたが、大学以降の学問では、よく使う用語なので覚えてください。
一般に、生データは残します。(ただし、プライバシー保護など特別な理由がある場合は別。詳しくは業界によるだろうから、その業界の慣習に従おう。また、新人はしばらくは先輩の指示に従おう。)
生データのままだと、異常値が含まれていたら、異常な分析結果が出てしまうので、役立たなくなってしまう。なので、それを防ぐため、まず散布図などを観察して、明らかに変な値は、除去をするなどの加工をした二次データのファイルを作成します。
(なので、エクセルなどでデータファイルは、生データ用のファイルと、加工データのファイルとで、最低でも2個のファイルを得ることになる。)
では、どういったデータが、異常なのでしょうか。
ケーススタディとして、たとえば「あなたの1か月あたりのおこづかい(単位:円)を答えてください。」というアンケートで、
多くの回答者が「10000」とか「20000」とか答えているのに、何人かの回答者が「2」とか「3」とか答えていたら、明らかにその「2」や「3」は異常値です。
この「2」や「3」は、おそらく2万円とか3万円のつもりで誤入力をしたものと思われます。
そもそも小遣いをもらってないなら「0」円になるはずだし、こづかいをもらっているのに2円とか3円とか、常識的にありえない数字です。
:※ 文科省の動画でも、似たような例を出している。
この例のように、異常なデータは、データ解析などの処理の前に除去をする必要があります。
なお、実は、世間にある統計データの分析結果は、場合によっては、データ・クリーニング済みのものだったりすることもあります。(だからデータ分析者の主観がそこで少し入る可能性がある。)
:※ 数値の記入式のアンケートはこのようにデータ・クリーニングの手間が増えるので、なるべく選択式のアンケートのほうが楽です。どうしても数値記述式のアンケートをする場合でも、選択式アンケートを併用すると、ラクになるかもしれません。
欠損値のクリーニング時の初歩的な失敗例として、本来なら除去すべきなのにゼロ「0」に置き換えてしまうミスがあります(数研出版)。ゼロに置き換えてしまうと、平均値などの計算に含まれてしまうので、間違った結果を出してしまいます。なので欠損値は、平均値などの算出では、ゼロに置き換えるのではなく、必ず除去しましょう。
{{コラム|Google フォームのスプレッドシート出力|
Google Workspace などの登録をされてない普通の単独の google フォームでも、スプレッドシートに出力するのは可能です。
;エクセル形式でダウンロードする場合
Google Formsをスプレッドシートに出力したい場合、まず、「回答」画面の上のほうに「スプレッドシートに出力」があるので、それで Google スプレッドシートに出力すると一発で終わります。
手元にダウンロードして保管したい場合は、Google スプレッドシート側の「ファイル」コマンドから xlsx.形式(エクセルのファイル形式)でダウンロードするのが一番ラクでしょう。
;csv形式でダウンロードする場合
このほか、csv形式でダウンロードする方法もあります。ただし、後述するように、Microsoft Excel との互換性があまり良くなく、やや技術力が必要になります。
さて、csv ダウンロードの手順はまず、ページ上部にある「回答」をクリック、つづけて「回答をダウンロード(.csv)」というのを選びます。すると、csv形式という表計算ソフトでよく使われる形式がダウンロードできるので(ただしzip圧縮されている)、あとはそれを解凍・展開してから、お好みの表計算ソフトで開けば済みます。
もちろん、Google スプレッドシートでもcsvファイルを開けます。Microsoft Excel でも開けます。
ただし、ためしにwindows11で実験したところ、文字化けをしてしまいました。文字コードの設定などが環境によって違うので、できればGoogle スプレッドシートで開くのが安全でしょう。
この文字化けの原因は、Excelはwindows11になってもcsvファイルを読み込む場合にはShift-JISを標準の文字コードとする仕様であり、一方でGoogle スプレッドシートなどGoogle系アプリは文字コードがUTF-8だから、文字コードの不一致が起きたことによる文字化けです。
この文字コードの問題を解決するには、エクスプローラ側でcsvファイルを開くのではなく、excel側で新規作成の状態から「データ」タブ>「テキストまたはCSVから」で目的のcsvファイルを開くと、出てくるダイアログウィンドウの左上のほうに文字コードの選択欄があるので、文字コードでUTF-8を選ぶという、やや特殊な操作をする必要があります。
windows11の標準の文字コードがUTF-8であるにも関わらず、Excelではcsvファイルについては Shift-JIS を標準としています。面倒です。
Google スプレッドシートでcsvファイルに限らずダウンロードした表計算ファイルを開くには、まず、Google系アプリで開きたいファイルをGoogleドライブにアップロードします。次に目的のアプリ(この場合は google スプレッドシート のページ)をwebブラウザで開き、つづけて、アプリ側の「ファイル」から目的の表計算ファイルを開きます。
間違えてブラウザ側の「ファイル」で開こうとしないでください。それではGoogle系アプリでは開けません。
なお、LibreOffice Calc なら、csvファイルのダブルクリックで一発で開けます。しかしLibreOfficeはボランティア中心の無料アプリなので、サポートがありません。
}}
:※ なお、マイクロソフトにも、Microsoft Forms という、類似のアンケートアプリがある。Microsoft Formsにも、スプレッドシートに出力する機能がある<ref>平井聡一郎 著『これならできる!学校DXハンドブック 小中高特別支援学校のデジタル化を推進する「授業以外のIT活用事例」』、翔泳社、2022年 3月16日 初版 第1刷発行、P128</ref>。
:※ Microsoft 365 というwebアプリのパッケージで、Google Worlspaceと似たようなクラウド的なことができる<ref>平井聡一郎 著『これならできる!学校DXハンドブック 小中高特別支援学校のデジタル化を推進する「授業以外のIT活用事例」』、翔泳社、2022年 3月16日 初版 第1刷発行、P128</ref>。ただしMicrosoft 365 は有料である。
=== 質的データの分析 ===
==== テキストマイニング ====
[[ファイル:Text mining sample1.png|thumb|400px|テキストマイニングの例。([https://www.youtube.com/watch?v=VFzCUPp30jg 文部科学省『【情報Ⅰ】情報通信ネットワークとデータの活用(4)全編「アンケートで身近な問題を解決しよう!」』 ])のワードクラウド画面]]
[[ファイル:共起キーワード 羅生門.png|thumb|400px|共起キーワード画面<br>芥川龍之介『羅生門』 を解析.]]
Googleフォーム内では文章は分析できません。)
しかし、外部サイトを使えば、記述式アンケートで収集した文章でも、出現頻度の多い単語の抽出などの分析に書けることができます。「テキストマイニング」などで調べると、そういうサイトを探せます。
テキストマイニングを出来る外部サイトとしては、たとえば「AIテキストマイニング User Local」などのサイトがあります<ref>渡辺光輝 著『逆引きICT活用授業ハンドブック』、東洋館出版社、2023年5月30日 初版 第1刷発行、P118</ref>。
ただし、テキストマイニングで分かるのはl単語の頻度と(※ 「ワードクラウド」画面)、単語どうしの出現の関連性(たとえば「先輩」「後輩」のように出現事例が近い単語は近くに表示される。「共起キーワード」という)だけです。
:※ 検定教科書によくある画面はワードクラウド画面。実は「共起キーワード」画面が日本文教出版『情報I』で紹介されている。
:※ 開隆堂、数研出版、第一学習社では、出現頻度の表が紹介されている。
:※ 現状では、特定企業のサービスなので、あまり深入りしなくていい。
:※ ほか、User Local のサイトには単語出現頻度などの画面もある。詳しくはUser Local の[https://keyword.userlocal.jp/ 公式サイト]で確認せよ。
それ以上の分析は、結局は、人間が行う必要があります。もとの文章を読む必要もあります。
やはり、基本的には選択式のアンケートが簡単です。そして、記述をしてもらった場合には、最終的に、アンケート文を読む必要もあります。
もし読者が「質的データ」と言う言葉を習っているなら、つまりテキストマイニングを使うことで質的データでもコンピュータで図示できる時代になったという、技術的な進歩でもあります。
:※ 実習のさいの注意点について、『青空文庫』のサイトのXHTML版データの作品本文にはフリガナがある。フリガナを除去する前処理をしてからでないと、テキストマイニングの実習をできない。さいわい、wiki編集者が試したところ、webブラウザ『Firefox』からwindows『メモ帳』へのコピーペーストによってフリガナを除去できた。もしコピーペーストで除去できない出来ない場合、高校生にはその前処理のプログラミングが必要になってしまう。
:※ 共起キーワードを解析したい場合、ボタン『ワードクラウド作成』ではなくボタン『1つの文書を解析』を選ぶ。
=== どのようなグラフを使うか ===
散布図は、他の節でも述べたように、数学の得点のデータと物理の得点のデータといった2つの数値的な量的データがあって、その2つの変数の関係を見たい場合は、有効である。
量的データであっても、データの割合を見たい場合は、帯グラフや円グラフが有効である。
しかし質的データは、棒グラフで表すほうが良い場合もある。下記に説明する。
==== 質的データと棒グラフ ====
たとえば「小学校のころ、好きだった給食メニュー」の選択式アンケートのように(たとえば「カレー」とか「唐揚げ」とか「あげパン」とか「わかめゴハン」とか(※以下略)、並んでるアンケート)、基本的に日常生活では数値で表さないものは、散布図には向かない。そういうのの集計結果は棒グラフや円グラフなどで表すのが良い。(もっとも、選択式アンケートは無理やり番号付けすることで量的データに変換できるが(たとえば「1:カレー、2:唐揚げ」・・・みたいなの)、今回はそれは無視する。)
質的データは、データの種類にもよるが、あまり散布図は向かない。質的データを表す場合、棒グラフや円グラフなどで表すと良い場合が多い。
==== クロス集計表 ====
紙でグラフで図示する場合、紙は平面で2次元なので、よって図示にも限界があり、度数分布表も棒グラフも散布図も、紙に最大で2種類のデータしか扱えない。
中学で習った度数分布表を、あれでデータが1種と見るか、それともデータが2種と見るかはともかく、ともかく、それ以上には、1つの度数分布表ではデータの種類を増やせない。
もし、度数分布表でデータの種類を増やしたい場合、あらたに度数分布表を追加する必要がある(ただし、縦軸などは共有できる場合もあるので、見た目上は1つの表になる場合もある。今回はそういうのは2つの度数分布表として扱う)。
ともかく、どんな図示をしようが、3種類以上のデータになると、紙では基本的にはパース無しでは表せないし、数学や情報科学のグラフでは基本的にはパースを使わないので、よってグラフ化できない。(ただし、コンピュータの統計処理ソフトなどで無理やりに3D表示できる場合もあるが、今回は無視する。)
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ クロス集計の例
! !! している !! していない
|-
! 男性
| 20% || 35%
|-
! 女性
| 15% || 30%
|-
! 性別不明
| 0% || 0%
|-
|}
たとえば、「習慣的に、ここ1年のあいだスポーツを毎週していますか?」というアンケートで、回答者が25歳以上~40歳未満の大人だとして、回答者が男性か女性かの選択肢も追加した場合、
仮に右の表のような結果が得られたとして、これは散布図にはふつうの方法では表現しようがない。なぜなら、項目が2つあり(「男性/女性/性別不明」の項目と、「している/していない」の項目)、さらにその回答者の人数というもう一つのデータが追加されるので、結果的に3種類のデータが必要だからである。
なので、図示できないので、こういう場合、最終結果が数値的なものなら(たとえばパーセントとか人数・個数とかなら)、クロス集計表と言うのを使って、数値で表すと良い。
:※ wikiの都合で上記表には表示できないが、回答者がどんな集団なのか、クロス集計表に付記して書いておく必要がある。
回答者は年齢が25歳以上~40歳未満、住所・所在地がS県R市の、合計200名にアンケート。
のように付記する必要がある。
※ 余談だが、最近の表計算ソフト(Excelなど)やアンケート処理ソフト(Formsなど)では、クロス集計表のマス目の背景に棒グラフを表示できるものもある。(※第一学習社『情報I』で、テキストマイニングのツールの表だが、そういう画面を紹介)
たとえ上記アンケートの女性の「している」15%の棒の長さを基準とした場合、「していない」30%の部分では2倍の長さの棒が背景に表示されるわけである。
男性の「していない」35%では、女性の「していない」よりも、さらに少し長い棒が表示、という感じの機能が最近の表計算ソフトにある。
{{コラム|カイ二乗検定|
(※ 発展) 「カイ二乗検定」というのがあり、2つの集団の集計結果の傾向が近いかどうかといった、独立性の有無の検定である。
たとえば、男女にアンケートなど測定したクロス集計表みたいに、回答集団が2種類ある場合のクロス集計表に使われる。(ここではオカマや性同一性障害などは無視する。)
検定教科書では、ポリコレを意識してか、高校Aと別の高校Bの生徒の集団で比べている(日本文教出版 I)。あるいは、ある高校と、べつのある中学で比べている(実教 I)。
2つの集団でしか使えない。3つ以上をカイ二乗検定で計算できない。
2つの集団の、独立性を検定するのが、カイ二乗検定である。
2つの集団でしか使えない。
どういう原理か説明すると、たとえば
ある私大付属校のウイキー学園の高等部と中等部で合計1000人の中高一貫校だとして、アンケートで「入りたい部活はどれ? 演劇部、サッカー部、野球部?・・・」と聞いたとして、
中高の合計のアンケート結果から、
たとえば、野球部は全体の30人(つまり約3%)、サッカー部は全体の25人、軽音楽部は60人、演劇部は8人、・・・とかだとしよう。
計算の簡単化のため、中等部全員は500人、
高等部全員は500人だとしよう。(※実際の世間の中高一貫校は高校の定員が中学の倍近く多いが、このウィキー学園は高校入試で入ってきた人がいないとしよう。)
すると、
もし、特に中学生と高校生とが、たとえば仮にその年の高等部が嫌われていて、その年の中等部が「高校部は軽音楽部が多いから、中等部の僕たちは吹奏楽部にしよう」とか考えて'''なければ'''(このような中等部が高等部を特に気にしてない状態がカイ二乗検定用語で「関連性のない状態」とか「独立している状態」とか言う)、
高等部の各部の比率と中等部の各部の比率は同じになるはずであるので、
つまり、予想として、
中等部の予想の野球部希望者は15人予想のサッカー部の希望者は12~13人、・・・のようになる。
こういう予想の部員数のようなのを、カイ二乗検定では'''期待度数'''と言う。
しかし期待度数は予想値なので、実測値とは違う。
カイ二乗値という用語があり、その定義は、すべての
(実測度数 - 期待度数)<sup>2</sup>/期待度数
の合計である。
統計学の別の理論で「カイ二乗分布」というのがあり、それに上記の値が近い結果に従うので(※日本文教出版 I)、上記の値を「カイ二乗値」と言う。
また、この部活アンケートの中高のクロス集計表の例のように、名義尺度であってもカイ二乗検定を使える。
:※ とても数学的に難しく、理系の大学の統計数学の専攻レベルの内容なので、高校生は公式などを導出しようとしなくていい(まず、無理)。
:「クロス集計表を、統計数学的に検定できる方法がある」という知識さえ知っておけば、高校レベルでは十分であろう。おそらく、大学1年レベルでも十分。
カイ二乗値が低いほど、「独立性が高い」と言いますが、しかし出典はありませんが、本当に独立しているかどうかは、統計値だけでは分からないと思います。
なぜなら、たとえば仮に高等部が全員、中等部をイジメていて奴隷にして、高校生1人あたり奴隷中学生1人に「お前は俺と同じ部活に入って、おれの身の回りの世話をしろ」みたいにイジめている場合でも、カイ二乗値は低くなってしまい、統計用語では「独立」している状態になってしまいますが、どう見ても社会的には独立していません。
カイ二乗値で分かるのは、せいぜい「高等部が中等部の入部希望者を追い出してない。あるいは、過去も追い出さなかった」という事が分かるだけでしょう。
カイ二乗値では、'''結果論としては'''中等部か高等部かは入部先・入部志望先に「関係が無い」と、部外者(因果関係に興味なくて結果しか興味ない程度の部外者)からは見ても平気という事が分かるだけです。
このように、因果の独立性や関係性については、カイ二乗検定は何も保証していません。
結果論の一部しか、カイ二乗値は保証していません。
東北大学の数学者の黒木玄が言っているのですが、じつは大学レベルの統計数学の通説には外国でも昔から批判も多く、そのため批判論文も世界的に少なからず書かれている、と言われています。(なお、黒木の主張している例は、wikiのこのコラムの例とは異なるので、誤解なきよう。)<ref>[https://twitter.com/genkuroki/status/1730791790360641596 ]</ref><ref>[https://twitter.com/genkuroki/status/1182105818872705024 ] ※Fisher検定とYates補正への批判論文の話題のツイート</ref>
なお、黒木は独立性検定について、ツイッターで下記のように述べている<ref>[https://twitter.com/genkuroki/status/1581966287785582593 ] </ref>。
<blockquote>
<nowiki>#統計</nowiki> 2×2の分割表での独立性検定のみを使うことは、厳しく批判されている「効果ゼロのような特定の仮説のP値のみを計算すること」になってしまうので、避けるべきです。
少なくとも、比率の差、比率の比、オッズ比のどれかの信頼区間との組み合わせで使うべきです。続く
午後8:12 · 2022年10月17日
</blockquote>
なので私たちにとっての統計数学の利用法としては、カイ二乗検定に限らず、決して検定結果を鵜呑みにするのではなく、検定結果はとりあえずの指標であるにすいぎないとして、別途、他の検証方法でも、それぞれの調査対象の内情をチェックする必要もあります。
結局、ひとつの指標やひとつの視点の調査だけでは、物事の内情を把握することはできません。実態把握をするためには、複数の視点での調査が必要でしょう。
数学的な分析だけに頼るのではなく、たとえば経済現象の分析をするなら、経済学的な検証も行うべきでしょう。
通説の公式には批判論文が書かれているものの、他により良い計算法が無かったり、対案として提唱されている公式に別の批判者が批判論文を書いたりして<ref>[https://twitter.com/genkuroki/status/1203934952489807872 ※批判論文に対する批判論文]</ref>、結局は通説の公式をだましだまし使わざるを得ない、というのが現状のようです。
<blockquote>
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
<nowiki>#統計</nowiki> Lehmannさんの本を引用して、Fisher検定がUMP unbiasedであると主張している人の例。Yates補正とFisher検定への批判論文に対する批判論文。
引用
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
·
2019年11月21日
返信先: @genkurokiさん
<nowiki>#統計</nowiki> HavilandさんによるFisher検定批判論文(1990)に対する批判的なコメントでも、Lehmannさんの本を引用して、Fisher's exact testがuniformly most powerful unbiasedであることはとっくの昔に証明済みであると主張していますが、もちろん間違っています。 twitter.com/genkuroki/stat…
さらに表示
午後4:10 · 2019年12月9日
</blockquote>
より、根本的な理解としては、下記ツイートのように、統計の検定には、仮説にお墨付きを与える効果は無い、という事を理解することでしょう<ref>[https://twitter.com/genkuroki/status/1736349212449833380 ]</ref>。
<blockquote>
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
·
12月17日
<nowiki>#統計</nowiki> 多分、統計学教育で確実に有害だと思われる教え方は
❌統計分析によって科学的お墨付きが得られる
と教えることだと思います。
⭕️統計学には科学的お墨付きを与える力はない
と強調した方が良いと思う。
⭕️それにも関わらず、非常に便利でかつ魅力的な話題
だと説明した方が面白いはず。
</blockquote>
どうやら統計数学の「検定」の理論は、その「検定」と言う名称には反して、実際にはお墨付きを与える効果は無さそうです。
「英検3級」とか、ああいう英語検定とか数学検定とか漢字検定とかとかは違って、統計数学の「検定」には、お墨付きの効果は無いようです。
なので別途、数学的な統計分析とは他の方法(たとえば経済的な分析など)で、確認をしたうえで、傍証(ぼうしょう)としてクロスチェック的に使うのが無難でしょう。
結局、クロスチェックが必要です。
黒木の意見ではないですが、たとえば仮にアンケートで1万人に対して5個の質問をした場合、報告書にそのまま列記すると50万個のデータの羅列になってしまいます。
で、それを報告書の読者がいちいち50万個の回答を読んで分析するのは、面倒なわけです。そこで、まずアンケート結果をグラフなどの画像にして一目で把握しやすくするわけです。しかしそれだと、画像なので計算をしづらいので、計算しやすいように、なんらかの代表値のようなものを抽出するわけです。そういった代表値のようなものに過ぎません。
当然、もともと50万個のデータであってものを1つか2つの代表値のようなものに削減したわけですから、どうあがいても、元の情報は再現できません。見落としがあります。
なので、数学的分析だけに頼って仮説を検証するのは、(多くの分野では、)見落としが多いので、やめましょう。
実際、大学の数理統計学あたりの理論は「要約」に過ぎないと黒木も(文脈は異なるが)言っています。
[https://twitter.com/genkuroki/status/1736553536341832159 ]
<blockquote>
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
#統計 統計学に関する
❌科学的なお墨付きが得られる道具
という見方と
⭕️複雑な現実に立ち向かうために、仮のモデルを設定して、データの数値を取得して、それらの関係を要約する
という見方では大違い。「統計学では科学的なお墨付き
は決して得られない」という立場で後者の見方を教えるべき。
午前10:06 · 2023年12月18日
·
594
件の表示
</blockquote>
[https://twitter.com/genkuroki/status/1734916072527327714 ]
<blockquote>
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
#統計 モデルの仮定が正しい場合のことしか考えない「小さな世界」に統計学は実践的にはほぼ役に立ちません。
「大きな世界」の統計学の合言葉は
⭕️すべてのモデルは間違っている。
です。間違っていると思っているモデルを使った統計分析の正当化は__統計学ユーザーが自分で__行う必要があります。
午後9:39 · 2023年12月13日
·
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</blockquote>
なお、黒木はおそらく知らないでしょうが、「上記のすべてのモデルは間違っている」のような考え方は、「不確かさ解析」という分野でも良く見られる近い考え方です。
[https://twitter.com/genkuroki/status/1734917333926412452 ]
<blockquote>
黒木玄 Gen Kuroki
@genkuroki
·
12月13日
#統計 「すべてのモデルは間違っている」を当然とする場合には、「モデルが正しいならば~と結論できる」と安易に述べることが許されなくなります。
Greenlandさん達の提案は
データの数値とモデルのcompatibility
について語ることです。それならモデルはが正しいことを仮定せずに済みます。
さらに表示
</blockquote>
<!--
<blockquote>
</blockquote>
-->
}}
==== インチキなグラフの例 ====
:※ 検定教科書で、グラフでよくあるインチキの「印象操作」の手口を紹介している。
棒グラフなのに、間隔が等間隔でない例。円グラフなのに中心が円の中央でない例。 ※実教出版
3Dの円グラフは、手前が大きく見えるので、観客をダマす結果になりやすい(※ 東京書籍、実教I 巻頭 見開き、)。
{| class="wikitable" style="margin: 1em auto 40px;"
|+円グラフの比較
!誤解を与える円グラフ
! 正しい円グラフ
|-
| [[ファイル:Misleading_Pie_Chart.png|325x325ピクセル]]
| [[ファイル:Sample_Pie_Chart.png|325x325ピクセル]]
|-
| colspan="2" style="text-align: center;" |誤解を与える円グラフでは、Item C は少なくとも Item A と同じ大きさに見えるが、実際には半分以下である。
|}
{| class="wikitable" style="margin: 1em auto 40px;"
|+ 途中で切ったグラフ
! 途中で切ったグラフ
! 正しいグラフ
|-
| [[ファイル:Truncated_Bar_Graph.svg|350x350ピクセル]]
| [[ファイル:Bar_graph.svg|350x350ピクセル]]
|-
| colspan="2" style="text-align: center;" |どちらのグラフも同じデータを表している。左の途中で切ったグラフではデータに差があるように見られるが、右側の正しい方ではそのような差はほとんど見られない。
|}
<gallery>
File:3D bar graph.svg|同じ値であるが、遠近法により前にある青色の棒の方が、後ろにある緑の棒よりも大きく見える。
</gallery>
(※ 範囲外)こういう、余計な装飾や余計な情報などによって分かりづらいグラフ、誤解しやすいグラフのことを「チャート ジャンク」と言う。なお「ジャンク」とは、ガラクタという意味の英語。
== ※ 実習用コラム ==
=== データ分析は問題解決まで提案する ===
{{コラム|問題解決との関係|
数値データをデータ分析した場合は(前提として、下記につづく文のような場合は数値でデータを取る)、決して単にデータ分析ソフトなどを使うだけでなく、さらに問題解決のための道すじ(みちすじ)を提案しよう。たとえば、「どんな問題が起きているか?」(もしくは、問題が起きていないことの確認)とか「どの問題を解決すべきか」、といった『問題'''発見'''』の有無までなら提案が比較的に短時間で可能なはずです。(高校生なので他教科の勉強jもあるので、その程度の時間投入で構いません)
2024年のNHK教材でも、高校生が、そのような問題解決の道すじまで提案しています。<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200038_00000 松本一則(栃木県立学悠館高校教諭) 監修『第18回 データ分析にチャレンジ! | 情報I | 高校講座』、放送日:1月19日 (※wiki注:2024年1月19日)、]</ref>(なお、農家(イチゴ農家)が実家の高校生が、ビニルハウス内の室温や湿度やCO2濃度や窒素濃度、肥料の溶液の濃度、ハウス外の外気温や日射量などをセンサ(デジタル)で自動計測した結果をデータ分析している。)
グラフを見れば、たとえば「湿度の変動が大きいから、それがイチゴにストレスになっている可能性があり、湿度の変動を小さくすべきだ」くらいの提案は可能です。(実際にそういう装置を導入できる予算があるかどうかは知りませんが、少なくとも問題発見までなら予算はソフト代とソフト技術者代と若干の専門知識(新人レベルかその少し上)だけで可能です。)
もし予算が少なくても、ソフトに収集したデータを入れて自動分析した結果をグラフ表示するとこまで行けば、あとはグラフなどをもとに、問題解決の道すじを提案すれば良いのです。
ソフトで分析した本人が、そこまで提案する必要あります。なぜならソフトを使った本人でないと、ソフトから得られたグラフなどの見方を知らないからです。
* ソフトを使うだけなら馬鹿でも出来る
既存のソフトを説明書どおりに使うだけなら、小学生とかでも出来ます。
問題解決の道すじ(みちすじ)を具体的に提案しはじめてようやく、なんとか仕事のできる大人の仲間入りです。
* グラフ画像も提案時に必要なことが多い
問題発見および解決すべきことの道すじを提案した上で、そのアイデアの根拠のもとになったグラフなどの短時間で見れる画像データも見せます。これは、おそらく、ビジネスマンとかが仕事とかで、何かの提案やプレゼンなどを社内でするときも同様でしょう。
なぜ提案だけでは駄目かというと(根拠のもとになったデータをグラフ化したものも必要かというと)、なぜなら自分の提案は、あくまで仮説にすぎないので、間違っている可能性もあります。
なので、自分の提案をたたき台(「たたきだい」、議論を始めたりするさいのツッコミ対象になる話題のようなもの)にして、お客さんと一緒に、よりよい解決案をいくつか考えていき、最終的にお客さんに採用する解決案を決定してもらうのです。
なので、自分の提案は、客に欠点をツッコまれる場合もありますが、しかしそれでも何も提案しないよりかは、はるかに客から信用を得られています(マトモな客ならそうです)。
}}
=== Google フォーム ===
{{コラム|Google フォーム|
Officeソフトではないのですが、Googleの出しているwebアプリで、Googleフォームという、アンケート機能のためのアプリがあります。このGoogle フォームは、すでに日本の小中高でも既に使われている事例もあります。
:※ 東京書籍および実教出版の「情報」教科の教師用指導書でも、Googleフォームを紹介しています。
Google ドキュメントやGoogle スプレッドシートなどと同じ Google Workspace の一部として Google フォームも用意されています。(つまり、アプリを探す場合は、Google スプレッドシートなどの近くを探せば、そこに Google フォームもあるはず。)
Googleフォームはネットのwebページを使ったアンケート回答ですので、URLを回答者に教える必要があります。メールなどでURLを教えましょう。
Google フォームなら、匿名アンケートだけでなく記名式アンケートにも活用できるので、一見するとアンケートとは関係ない小テストなどにも実用が可能です<ref>蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P145</ref>。
※ Google フォームでは、短めの文章も記入できるので、記述式の出題の小テストでも可能。
もちろん、アンケートとしても Google フォームは利用可能です。記名式アンケートも匿名アンケートも、両方とも可能です。
部活の入部希望の調査の書類も、アンケートと言えますので、そういうのにも google フォームは使えます<ref>蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P145</ref>。
アンケートを取る機能に加えて、さらに、アンケート結果を集計して一覧表示したりなどの機能も事前に Google フォームに用意されているので、管理もラクです。たとえば部活のアンケートに利用した場合なら、どの部活に何人希望しているかの情報も、瞬時に集計できます<ref>蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P145</ref>。
さて、有志の日本人教員の手により、スプレッドシートをもとに小テストのフォームを作成するツールも作成されている。[https://www.fy1203.com/2021/02/23/googleform-autotest/ 高校教師とICTのブログ『【EXCELからGoogleフォーム】英単語テスト自動作成ファイル』]
}}
=== アンケートの作る際の考えかた ===
{{コラム|1=アンケートの作る際の考えかた|
2=
'''文章ではなく数量を問うのが基本'''
アンケートの結果をグラフなどで表示したい場合、たとえば「どの意見が多いか? どの意見が少ないか?」などをグラフで図示したい場合、前提として、文章の記述式のアンケートではなく、選択肢を選ぶ方式のアンケートとして設計する必要があります。
文科省の動画教材でも、そういう話をしています[https://www.youtube.com/watch?v=VFzCUPp30jg 文部科学省/mextchannel『【情報Ⅰ】情報通信ネットワークとデータの活用(4)全編「アンケートで身近な問題を解決しよう!」』]
なので、アンケートは基本的に選択肢を選ぶ方式をベースにして、それだけだと情報収集できない事だけを記述式で文章で聞くのが、あとで収集者が内容を把握しやすくて良いでしょう。
ですが、初心者には選択肢の方式が簡単だろうと思います。
:(※ 範囲外) 「0」~「9」のほかに「A」~「Z」や「a」~「z」などの英語も含んで半角しか受け付けないようにするメニューやコマンドは、残念ながらgoogleフォームには、ありません。なので、電話番号や郵便番号を質問しようとすると、少し困ります。電話番号の最初の0が消えてしまったり、あるいは四捨五入など何かの近似が発動してしまったりと言った事態は、避けねばなりません。このため、電話番号や郵便番号などは、数値としては取り扱わず、基本的には(数値ではなく)テキストとして扱わなければなりません。
:ただし、テキストとして扱うと、全角と半角の混在や、半角カナ(「カナ」)みたいなのの問題とかが発生し、とてもコンピュータ処理が難しくなってしまいます。
:なお、、Googleフォームでどうしても半角英数でのみ入力させたい機能を実装したい場合、「正規表現」(せいきひょうげん)というテクニックを使うことになりますが、高校レベルを大幅に超えているので、くわしい説明は省略します。大まかに説明すると、「回答の検証」のあと、プルダウンのメニューで「数値/テキスト/長さ/正規表現」とありますが、その正規表現を選んで、プログラミング的にコード入力によって半角英数しか受け付けないように設定します。正規表現は、たとえば
<nowiki>[0-9|\-]{1,15}</nowiki>
のように入力すれば大丈夫でしょう。これは
『0から9までの半角数字と、または半角ハイフン記号「-」が、1文字以上、15文字以下』という条件です。
という意味です。ハイフン記号は正規表現では範囲指定で使うので、ハイフン記号そのものを入力させたい場合はエスケープ文字\を使います。
:あるいは、フォームのアンケートでは、そもそも電話番号や郵便番号を質問しないのが、いちばんラクな方法だと思います。
:せっかくgoogleフォーム側で半角英数の入力を解決しても、さらにそれをスプレッドシートなど別アプリに出力する際などに、そのスプレッドシート側での設定も色々と必要になるので、電話番号や郵便番号の質問をする事はとても面倒です。なので、電話番号などはwebアンケートでは質問しないのが一番ラクでしょう。
}}
=== 誤解や解釈ブレのない質問文が必要 ===
ほか、アンケートの選択肢を作る際など、初心者によくあるミスとして、自分にしか分からない表現でアンケート文を作ってしまうミスがあります。
たとえば
<pre>
勉強を何時間していますか?
1: 0~1時間
2: 1~2時間
3: 2~3時間
4: 3時間以上
</pre>
のようなミスです。
これはます、1日あたりなのか1週間あたりなのか不明です。
家庭学習の時間を聞いているのか、それとも学校の時間を入れるのか、あるいは塾の時間を入れるのかも不明です。
あと、1時間の勉強をしている人は、選択肢1なのか選択肢2なのか、どっちも不明です。
学校の図書室での自習は? 部活で勉強させられている場合は? ・・・などなどです。
文科省の動画教材で、上記の例があります。
これを正しいアンケート文に直すなら、たとえば
<pre>
あなたは1日あたり、学校の授業以外(家庭学習のほか、学校での自習や、塾なども含む)でいつも何時間の勉強を何時間していますか? 平均でお答えください。
1: 0時間以上 ~ 1時間未満
2: 1時間以上 ~ 2時間未満
3: 2時間以上 ~ 3時間未満
4: 3時間以上
</pre>
のようになります(上記は一例)。
アンケートを作った本人は、本人の習慣を暗黙の前提にしてしまいがちなので、回答者に必要な説明が不足しているアンケート文を設計してしまうミスもよくあります。
こういうミスは自分1人では気づきづらいので、アンケートを完成させる前に、確認として友達など数名といった誰か他人にアンケートを読んでもらって、分かりづらいところを指摘してもらうのが良いと思います(文科省の動画教材でも、友達などに読んでもらうように指導している)。
=== アンケートのその他の設問ミスの例 ===
{{コラム|アンケートのその他の設問ミスの例|
※ 日本文教出版の資料集『情報 最新トピック集 2023 高校版』がチェックボックスを紹介している。
たとえば、ダメな例として
:飼っているペットをお答えください。
:〇犬 〇猫 〇それ以外 〇飼ってない
の質問アンケートを上記のようにラジオボタンで選択式にしたwebアンケートには、質問ミスがあります。
それは、「犬と猫の両方を飼っている場合、ラジオボタン方式では答えられない」というミスである(ラジオボタンは1つしか答えられない)。
[[ファイル:Google forms of Checkbox jp 2.png|thumb|500px|チェックボックスの編集画面]]
Google フォーム などのアプリで複数回答を可能にする場合、ラジオボタンではなく、チェックボックスを使います。
ラジオの周波数の戦局が1つのチャンネルなように、ラジオボタンは1つの選択肢だけを選びとる場合に使います。(聖徳太子とかそういう例は無視する。)
なお、正しいアンケートの選択欄は
:□犬 □猫 □それ以外
のようになります。
※ なお、見やすさの都合上、上記の説明では横にラジオボタンやチェックボックスを並べましたが、実際のGoogleフォームではボタンなどを上記のように横に並べることはできないです(縦に並べることになります)。グリッドと言う機能を使えば横にラジオボタンやチェックボックスを並べられますが、表示が上記の例とは異なります。なので、上記のような質問では、縦に並べるほうがラクです。
}}
[[ファイル:Google forms of Checkbox answer jp.png|thumb|500px|チェックボックスの回答時の画面]]
=== その他、フォーム設計のコツ ===
高校レベルを大幅に超えるが、デジタル庁が、行政機関むけのフォーム設計のガイドラインを作ってたので、参考に。
:[https://www.digital.go.jp/policies/servicedesign/government-system-ui デジタル庁『政府情報システムのUI改善』]
要点は
* あらかじめ、記入可能な最大文字数を表示。
* 現在の文字数のカウンタをつける。
* 記入条件を表示。
* 記入例をプレースホルダーではなく入力欄の前にテキストとして表示(プレースホルダーにすると入力中に確認できず不便なので)
現状、Googleフォームに文字数カウントの機能は無い。だが、記入可能な文字数の表示などは心がけで出来る。
なお、最大文字数などの設定をしたい場合は、なお各フォーム右上のドロップダウンを「段落」にして、右下の(︙)をクリックして、「回答の検証」にチェックを入れると、最大文字数などの設定が現れるので、設定できる。
Googleフォームには現状(2024年)、制限文字数を自動表示する機能は無い。
自由記述は、上記のように管理が難しい。なので極力、ラジオボタンやチェックボックスなどといった、自由記述ではない方式を使うのが安全である。
自由記述は、なるべくアンケートの最後のほうに持ってくるのが望ましい。アンケートの前のほうには、ラジオボタンなどの、記述でないフォームを置くべきである。
なぜなら、そうすることで、ボタンで回答したことは記述しなくて済むので、回答者にとって記述がラクになる。
また、アンケート収集者も、ボタンで聞けることを文章で読まなくて済む。双方にとって利益があるので、自由記述欄はアンケートのさいごのほうに置くことになる。
また、アンケートで1つの記述欄をもうける際も、ラジオボタンつきの質問に分解できるかどうかを検討したほうが良い。
たとえば文化祭の演劇のアンケートで、
(よい例)
<pre>
Q この劇は面白かったですか? *必須
:〇 とても面白かった 〇 まあまあ面白かった 〇 あまり面白くなかった 〇 面白くなかった
Q.2: 感想があれば、お書きください。
-------------------------------------
| |
| |
| |
------------------------------------|
</pre>
のようにラジオボタンつきの追加質問を前置きして分解すると、回答者は書きやすくなるし、またアンケート収集者も集計しやすくなる。
なお、ややダメな例 ↓
<pre>
この劇が面白かったかどうか、感想をお書きください。 *必須
-------------------------------------
| |
| |
| |
------------------------------------|
</pre>
となる。
Google フォ-ムの場合、ラジオボタンを使う方法以外にも、ドロップダウンを「均等目盛」にする方法もある。
目盛にはラベルをつけられないので、説明文のほうにラベルを一覧記載することになる。つまり
<pre>
Q.1: この劇は面白かったですか? *必須
4(とても面白かった)/3(まあまあ面白かった)/2(あまり面白くなかった)/1(面白くなかった)
1 2 3 4
〇 〇 〇 〇
</pre>
のようになる。
== 用語など ==
「全数調査」
「標本調査」
数学の教科書に書いてあるので、それを参考にせよ。
「期待値」、「ヒストグラム」など統計の数学用語は、情報iでも習う。
中学でも習ったが、ヒストグラム(度数分布)は、1次元のデータ全体を見渡したい時に使う。
散布図は、2つのデータの関連を見るのに使うものなので(たとえばクラス全員の数学の得点と物理の得点の関係とか)、1次元のデータだけ(たとえばクラス全員の数学の得点)を見たい場合は(散布図ではなく)ヒストグラムを使う。
:(※範囲外)ヒストグラムについて、高校数学や高校情報の検定教科書では度数分布表をもとに棒グラフにしたものと原理を習うが、
:しかしコンピュータの表計算ソフトでは、元データを指定してヒストグラム作成をソフトに命じればソフトが自動的に度数を数える仕組みであるので、わざわざ原理通りに度数分布表を作らずとも、ヒストグラムを作成できる。つまり、各階級の度数を人間が数えずとも、表計算ソフトによってヒストグラムを作図できる。
「分散」や「標準偏差」など高校1~2年レベルの数学の用語は、情報iでも習う。
「箱ひげ図」
やや発展的だが、実教出版の教科書で「二項分布」、日本文教出版で「χ(カイ)二乗検定」、を習う。
== データベースの初歩 ==
データベースによく用いられるソースコード上での記法の形式には、CSV (シーエスブイ)形式や XML(エックスエムエル)形式 や JSON (ジェイソン)形式などがあります。こういった形式だと、機械が解釈しやすいです。
:※ 実教がCSVとXMLを紹介。加えて第一学習社がJSONも紹介。第一は読みもルビで紹介。
CSVはデータをカンマ(コンマ、「,」)で区切った形式です。(※「カンマ」か「コンマ」の違いは教科書会社ごとに違う。実教がカンマ、第一がコンマ)
なお、実教も第一も、CSVとかの単元のあとに「外れ値」とかの概念の単元を教えている。
データベースの常識として、バックアップを定期的にとる必要がある。(数研出版、東京書籍「情報II」の図)普通、バックアップと言った場合、外付けハードディスクやDVDなど別の記録装置に保存することである(※ 数研)
なお、ミラーリングという技術とは別物である(※ 数研)。。
一方、ミラーリングは、通信トラブルなどハードウェア的なトラブルにそなえて、データの保存時に、そのコンピュータのOSが接続している本体コンピュータの保存ストレージとは別に、別の保存ストレージにも同期して保存する技術である。ミラーリングだと、操作者自体が誤操作によって本体ストレージから消した場合、同期して別ストレージからもデータを消してしまうので、このような場合はミラーリングでは対処できない(※ 数研出版など)。
ミラーリングよりもバックアップのほうが比較的に安全である(※ 数研出版の見解)。
大企業や大官公庁などのデータベースは、利用者からは一つのデータベースに見えるが、実際は支社ごとのデータベースだったりして、それぞれの支社データベースからの情報をユーザー利用時に仲介システムでひとつにまとめているだけに過ぎない事もあり、このような仕組みを'''分散データベース'''(※ 東京書籍)または'''分散型データベース'''(※ 第一学習社)。
分散データベースの利点として、アクセス集中を防げるため負荷の軽減や、また、もし事故などでデータベースが一つ壊れても、他のデータベースが生き延びるので被害を最小限におさえられる、などの利点がある。
データベース管理システムをDBMS(ディビーエムエス)と略記することもある(実教I、東京書籍 II)。リレーショナルデータベース管理システム RDBMS という表現もある(実教 II)。
銀行の取引履歴などもデータベース(※東京書籍 II)。金融機関もデータベース(※第一)。「金融機関」といったら、第一の想定しているのは銀行や保険とかだろうけど、証券取引所とかもデータベースだろうから・・・。
どのDBMSも、データの一貫性を保つため、一つのデータテーブルを、複数人が同時に変更できないようになっており、先にアクセスしたほうがロックをかけ操作終了までロック中で(日本文教I)、このような仕組みを「排他制御」などと言う(東京書籍II)。
どのDBMSも、「障害回復」のため変更記録のログを保存しており(日本文教I)、このため、現在データに不整合などが起きてもバックアップできる(日本文教I、東京書籍II、第一Iなど)。
裏を返すと、データ変更履歴以外の画面などの雑多な操作はデータベースとは切り離されている(日本文教I、開隆堂I)。また、このような切り離し・独立性のある仕組みのため、データ以外の関連プログラムに不具合があって修正するときも、データに影響を与えないので、安全に修正できる(第一)。
また、ユーザーごとにアクセスできるデータに制限をかけることができる。ユーザーAは 接続(読み取り)〇・参照〇・更新× とか、ユーザーBは接続〇・参照〇・更新〇 とか、ユーザーCは接続×(必然的に参照も更新も×)とか、制御できる(日本文教I)、こういう機能を'''アクセス制御'''(access control)という(日本文教出版II、第一学習社I)。(※英訳は日本文教出版I、数研I)
:※ C言語などのファイル操作の「読み取り」/「書き込み」などとは違います。
:※ OSの各ファイルのファイル操作のアクセス制御とは(共通点もあるが)別物です。それとは別にデータベースソフトでは、もっと細かいアクセス制御のできるソフトも存在している。
アクセス制御の「更新」は「変更」ともいい、文字通り内容を書き換えることは当然に含むが、さらに削除も含む(※第一学習社I)、なかなか強い権利である。
データベースのアクセス権の「読み取り」は一般に、内容の表示も含みます(第一学習社)。
データベースソフトの種類によっては、上記のような3パターン(接続/参照/更新)だけではないソフトもあり、もっと細かく制御できるデータベースソフトもあります。(日本文教出版I)。たとえば「データの追加は認めるが、データの修正は認めない」といった細かなアクセス制御が可能なデータベースもあります(日本文教出版I)。
なお、こうしてアクセス制御などで与えられた各ユーザーごとのそれぞれの権利の状況を'''アクセス権'''という。
データベースの「管理者」と言われる人が、こういった各ユーザーのアクセス権を管理している(※第一学習社 I)。(もし管理者以外の誰でもアクセス権を制御できてしまうと、セキュリティなどの意味を持たないので、管理者だけがアクセス権を制御できる仕組みになっていたりする。)
;整合性
代表的なデータベース言語であるSQLにはデータ型があるのだが、しかし実教出版『情報II』ですたTEXT型しか紹介していない。JacaScriptとかPythonなどの(比較的に)モダンな言語とくらべて、SQLの言語の型は難しい。
東京書籍の情報IIは、月日の入力で数値型や日付型っぽい概念をにおわせているが、しかし型の概念はデータベースの単元では紹介していない。(※そもそも型の概念を、実教ですら紹介していない。
東京書籍は、これらの話題を「整合性」に分類。
== ビッグデータとデータサイエンス ==
たとえば、大手通信販売サイトは、毎日、多くの人の購入履歴のデータを入手しています。
また、コンビニなどは、POSシステムによって、どのような客層がどのような商品を購入しているかといったデータを、本社などに届けています。そして、このような購入履歴などの膨大なデータは、商品開発などにとても役立つデータです。
こういった、多くの人などについてのデータといった、多様かつ膨大なデータのことを'''ビッグデータ'''(big data)と言い、活用がされています。 (※ 数研、実教I に英訳 big data あり)
また、ビッグデータなどのデータから価値ある分析をするための学問として、数学や統計学やコンピュータ科学などを活用して大量のデータから意味ある情報や規則性などを見つける学問である「データサイエンス」(data science)と言われる学問も発達してきています。(日本文教出版 I)
ソーシャルメディア(SNS)への短文投稿も、毎日多くの人が投稿しているので、みんなの投稿をあわせればビッグデータです(※数研、第一学習社)。
ほか、自動車などのGPSのデータも、ビッグデータです(※数研)。なお、災害時には自動車の位置情報データが「通れた道マップ」などに応用されます(※日本文教出版 II)。
;余談
GPSというと、携帯電話のGPS通信などによる位置情報は、実際は近くの基地局との通信です(※東京書籍『新編 情報I』P36)。端末に「GPS」通信などと表示されていても、実際は基地局のIDを読み取って自機の位置を知る手がかりにしている場合も多い(日本文教出版 II)。
:※ なお、日本文教出版は、原則スマホがGPS電波を直接受信していると主張する立場。
なお、携帯電話、スマートフォンは、つねに基地局との通信のために微弱な電波を出しています(東京書籍I・II)。
ひとつの基地局がカバーしている範囲を「セル」と言う。移動しても通話が切れないのは、基地局からの電波が一定以下になると自動的に別の基地局からの電波に切り替わり、セルが移動先の別基地局のものに切り替わるからである。
なお、携帯電話やカーナビなどのGPS位置情報システムは、4つ以上の人工衛星からの情報をキャッチしている。誤差を無視すれば空間座標のx,y,zの3つぶんの衛星で良いはずだが、実際には誤差が発生するので4つ目の人工衛星からの電波が必要になる(※ 数研出版、日本文教出版II)。また、衛星からの電波状況が悪い場合などは、上述のように基地局などとの通信による位置情報に自動的に切り替わる。
;余談2
経済産業省などが、日本中の小中高生の学習履歴や成績などのデータをデジタル上で集めて、教育用のAIのためのビッグデータを作ろうとしています<ref>[https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/pdf/20190625_report.pdf 「未来の教室」と EdTech 研究会、 『「未来の教室」ビジョン 経済産業省 「未来の教室」と EdTech 研究会 第2次提言』、2019 年 6 月、P3]</ref>。
1990年代からもテスト業者の模擬試験などでコンピュータなどを活用して受験者の弱点分析などもしていましたが、2020年代以降に国によって学習履歴が収集されれば、かなりのビッグデータになります。
AIをこれらの教育ビッグデータ技術につなげようとするアイデアも、もう考えられています。すでに一部の塾などがAI活用しており、それを経産省が調査しています<ref>[https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/pdf/20190625_report.pdf 「未来の教室」と EdTech 研究会、 『「未来の教室」ビジョン 経済産業省 「未来の教室」と EdTech 研究会 第2次提言』、2019 年 6 月、P11]</ref>。
実際に国家によってビッグデータ化される場合は、生徒のプライバシーなどの議論もそのうち出てくるでしょう。
== 情報IIの範囲 ==
=== 見かけの相関 ===
たとえば、夏の暑い日々、アイスクリームが売れます。いっぽう、夏は暑いので、熱中症の患者が増えます。
なので、アイスクリームの購入数のデータと熱中症のデータには正の相関がありますので(両方とも厚い時期に使うので)、アイスクリームと熱中症に相関関係はあります。
しかし、だからといって「アイスクリームを食べると熱中症になる」といった因果関係はありません。
このように、相関関係があることと、因果関係があることは別の現象です。
相関関係があるのに(正の相関、または負の相関があるのに)、因果関係がない2つの現象について、そのような2つの現象を'''疑似相関'''(ぎじそうかん)といいます。
別の第3の変数によって、2つのデータとも因果関係があって相関があるとき、2つのデ-タは相関が発生します。
たとえば、夏の暑い日々の話なので、「気温」というデータが、その第3の変数です。上記の例の場合なら、気温に気づけるかどうかがポイントです。
相関関係があるのに「疑似相関」というのは日本語として変ですが、しかし英語でそういうので( Spurious correlation は直訳で「見せかけの相関」と言う意味)、あきらめてください。
:※ 用語は出してないが実教が情報Iで、『相関が強い場合でも、そこに因果関係があるとは限らない』。
:※ 東京書籍が情報Iで、『かき氷の売り上げと気温に関係があり、気温と熱中症患者数に関係あるからといって、「かき氷の売り上げが増加すると、熱中症患者数が増加する」とは言えない』。
なお、上記の例の「気温」のように、直接調べている2つのものに影響を与えている、直接は調べていない第三の因子のことを「交絡因子」と言います。(東京書籍の副教材で紹介しています)
※ 「交絡因子」は基本的には情報IIの範囲。ただし、数研が情報Iで傍注で紹介している。
「チョコレートがよく売れる国では、ノーベル賞の授賞者が多い」なんていう話題が2010年代に話題になりましたが、これもおそらく疑似相関でしょう。
貧乏な国は、チョコレートが買えない人が多いからです。チョコレートに限らず、貧乏な国では買えないようなものなら、同様に調べれば疑似相関の結果となるでしょう。
=== 過剰適合 ===
[[File:Overfitting sample1.svg|thumb|500px]]
「過学習」(overtraining<ref>実教出版『情報II』</ref>)とか「過剰適合」(overfitting<ref>日本文教出版『情報II』</ref>)とか「オーバーフィッティング」とか言って、(※ 日本文教出版が「オーバーフィッティング」で用語のみ紹介。東京書籍がグラフありで過剰適合、過学習で紹介)
たとえば
変数の次元を増やしすぎたり(たとえば5次式とか8次式とかもっと多い次数とか)すると、たとえば散布のすべての点がプラスなのに、近似曲線がマイナスに入る場合もある。特に、一つ目の例に示したグラフでは両端がマイナスに入ってるように、縁の誤差が大きくなりやすい。
もちろん、実験対象によっては実際にマイナスになる可能性もあるが、しかし測定対象の種類によってはマイナスがありえないものもある。(たとえば「長さ」とか「重さ」だと、相対値以外ではマイナスはありえない。)
過剰適合は、人工知能などがブームになる前から、近似曲線や統計学などの理論で古くから知られていた問題だが、しかし近年は人工知能などでも過剰適合は問題である。
このような現象は、過去の測定データから未来を予想するときにも問題になりやすいので、人工知能などの機械学習でも問題になることが懸念されている(だから「過学習」と言っているわけで)。
[[File:Overfitted Data.png|thumb|400px|]]
ほか、別の例としては、全体的に見れば比例的な形をしているのに、細かな蛇行に気を取られるような適合も、むやみに次数を増やすと、起こりがちである。(実教出版がこのような例を出している。)
近似曲線は、誤差を小さくすることにとらわれず、全体的な傾向を見出すために使う必要がある。
曲線がマイナスに突入していなくても、曲線が蛇行し始めて谷が3個も4個もあるいはそれ以上もいる状態は、そろそろ端部がマイナスに入り始める前兆なので、よって安全のために、もっと前の段階で(せいぜい谷が1~2個の段階で)近似式の次数を上げるのを止めることも多い。(「 実教出版も東京書籍も、谷が1個の段階で近似を止めている。)
:※ 検定教科書では述べていないが、3次方程式にすれば、谷が1個で止まる。なので、3次式以下の次数にするのが安全だろう。
:※ 機械工学や土木工学などの近似式では、2次式で止めているものも多い。工業高校の検定教科書にある近似式にも、2次式どまりの式は多い。2次式で止めれば、中学校を卒業したばかりの高校生でも使えるので、製造業や土建業の実務では2次式どまりの近似式も好まれている。
余談だが、過剰適合の現象では特に両端で誤差が大きくなりやすいので(※実教出版の見解)、使用する範囲よりも大きい例をあらかじめ実験して測定しておくのも、ひとつの有効な対策である。
たとえば1つ目の例ではx=16までしか測定していないが、もしx=20まで使うなら、余裕をもってx=25とかx=30くらいまで測定しておく、というのもテクニックである。
検定教科書では述べていないが、情報科学、情報工学だけでなく機械工学や電気工学や土木工学などでも、近似曲線を使うことが多い分野があるので、過剰適合は問題になる。高校・大学の教科書で与えられた公式だけを使っている学生の段階では、まだ過剰適合に遭遇しないが、しかし会社や研究機関などの実務で、自分で近似式をつくる必要が出てくると、過剰適合の問題に遭遇することになる。
(※ 範囲外)曲線グラフなどで測定範囲の外を予想するのを「外挿」(がいそう)と言う。いっぽう測定範囲の内側のまだ測定してない点を予想する「内挿」(ないそう)という。例で分かるように、外挿は誤差が大きくなりやすく、危険である。
「過学習」「過剰学習」ともいうように、機械学習とも関係がある。というか、機械学習の分野で「過学習」という用語が使われている。
機械学習の場合は、狭い範囲の訓練データに過剰適合してデータ外でトンチンカンな対応をするプログラムに育ってしまうことが「過学習」。
機械だけでなく、私たち人間もそうならないように、時には視野を広く持ち、時には範囲外のことも学ぶ必要がある。
=== RDB ===
生徒番号などは、重複があってはなりません。
リレーショナルデータベース(RDB)に登録されたデータにも、ID番号の重複があってはなりません。
RDbにおいて、ID番号のように、重複を許さないデータが「主キー」(primary key)です。※日本文教出版『情報II』
普通のデータベースソフトなら、キーに設定している項目が重複すると、そもそもそのデータの登録自体が出来ないか、もし登録できたとしても警告などが出るでしょう。
これが表計算ソフト(Excelなど)とRDBの違いです。表計算ソフトはそこまで気が利いてません。
たとえば、ある高校の図書室の書籍の貸し出し状況のデータ表を作る際、まず事前に、生徒データ表、著者名データ表、書籍名データ表、などを作らないといけない(※東京書籍の例。日本文教出版もER図の単元で図書館システムを例にしている)。
:※ 「正規化」という作業の一例。正規化にはいくつかの種類がある。説明は省略。
東京書籍は説明していないが、著者名と書籍名をさいしょから一つのデータベースにまとめてはダメな理由がある。
まず、書籍名データベースにもし一つ一つ著者名を入力すると、たとえば著者が半角英数と全角英数とで別著者として認識されたりしてトラブルにつながる。
たとえば架空の漫画家「フジ・F・藤太郎」と「フジ・F・藤太郎」が別人だと判定されたら面倒である(Fが全角か半角かとか、「・」が全角か半角か、など)。
また、ID化しないと、検索に時間が掛かりかねない。
なお、こういうのを「表記ゆれ」と言う(※実教出版「情報II」で紹介)。表記ゆれを防ぐため、あらかじめ入力前にルールを決めておく必要があります。もし表記を統一しないまま入力してしまった場合、あとで表記を統一しなおすため修正入力する必要があり、これを「名寄せ」と言います。
人名のほか、年月日でも「西暦2019年11月16日」と「2019/11/16」と「令和元年11月16日」と「令和1年11月16日」みたいに表記方法はいくつもあるので、注意が必要です。
:(※ 範囲外)年号に関しては、データベースソフトに「日付型」と言うのがあるので、それを活用すべきでしょう。西暦2019年11月16日なら、半角英数の「2019-11-16」または「19-11-16」または「20191116」または「191116」や「2019/11/16」や「2019@11@16」などしか受け付けなくなります。これでも数パターンも表記がありますが、しかし「西暦」「令和」などの全角の漢字が加わってパターンがさらに増えるよりかはマシです。前提として、和暦は使えません。入力形式は、たとえば2019-11-16なら「yyyy-mm-dd」などと説明されます。year(年), month(月), day(日)の頭文字です。同様、19-11-16なら「yy-mm-dd」、20191116なら「yyyymmdd」です。正直、ハイフンやスラッシュなどの区切り文字が無い形式は読み違えしやすかったりトラブルの元です。
なお、ISO 8601 で規定されているのはハイフン方式の「2019-11-16」および区切り記号なしの「20191116」のような方式です。スラッシュ方式はISOでは禁じられているので、データベースの日付入力では避けるほうが安全です。また。日本のJIS規格でもISOに準拠して、同様のハイフン方式を採用しています。スラッシュ方式は、データベース以外・プログラミング以外の日常言語だけで用いるほうが安全でしょう。
同じ理由で、出版社名もできれば事前にデータベース化すべきだろう(※東京書籍の検定教科書の例ではそうなってないが)。情報処理学会の動画でも、メーカーは別テーブルにしろと言っている[https://www.youtube.com/watch?v=ZwkqVNIZ_f8 情報処理学会『3. データベース (5) データベースの設計(情報通信ネットワークとデータの活用)』 ] (4分00秒ごろ)。このようなテーブル分割は「正規化」(せいきか)と言われる処理の一種である。もしテーブル分割しないと、出版社名やメーカー名に紐づけしている会社所在地などの付随情報がもし引っ越しなどで変更したとき、その出版社・メーカーについての何万件もあるようなすべてのデータベース登録項目を手動で修正する必要があるので、ふつうの人間では無理であるので。
東京書籍の例では、「生徒表」「書籍表」「著者表」「貸出管理表」の4つから学校図書館 貸し出しシステムを構成している。
そして、貸出管理表には、貸出番号(101, 102, 103, ・・・のように1ずつアップしていく)と、借りられている書籍名のIDと、生徒番号のIDと、返却日の記録する。けっして直接は書籍名や生徒名は入れない。
そういった理由からか、まず
著者名データベースで、著者名IDと著者名を定義する必要がある。
そして、書籍名データベースでは、著者名は直接は入力せず、代わりに著者名IDを入力していく必要がある。
SQl用語の「選択」「射影」「結合」など、『情報の科学』時代から教えられており、情報IIでも引き続き教えられている。
実教『情報II』は紹介するsql言語にSqLite(エスキューライト)を採用。pythonにも組み込まれている。(実教の情報IIがpython推しだからだろう。)
Excelファイルには、パスワードをかけることができる(※ 第一学習社)。特に秘密度の高いデータなどの管理では、パスワードをかけることもある。
データベースの集合演算の、「和集合」演算とか「差集合」演算とか(※ 第一学習社の『情報II』検定教科書にもあります)、情報処理学会の動画で説明されているので、視聴してください。[https://www.youtube.com/watch?v=ANbSr6GDByI 情報処理学会 『3. データベース (2) リレーショナルデータベースの考え方(情報通信ネットワークとデータの活用)』 ] (5分00秒ごろ)
データベース独自の演算である「射影」演算などについては、リンク先動画の6分00秒ごろにあります。
「射影」は指定した列だけを取り出す演算のことです。
「選択」は、特定の条件を満たす行を取り出す演算のことです。
「結合」は、共通する列をもつ複数の表の列をあわせて(※ 情報処理学会の動画)、ひとつの大きな表にすることです。
:※ 「結合」について、検定教科書では「共通する列」が必要という条件が教科書本文では抜けていますが、しかし日本文教出版の情報IIの『情報II』の図を見ると共通列があるので、情報処理学会の動画の言う通り共通の列が必要です。
ほか、SQLに関して、ワイルドカードを教えている(実教出版 II、日本文教出版 II)。
<code>SELECT * FROM テーブル</code> において、アスタリスク記号「*」は、「すべて」の意味を持つ。つまり、「テーブルの全部の列を表示しろ」という意味になる。
上述のような「すべて」という意味でのアスタリスク記号のことをワイルドカードと言う。
なお、SELECT 機能は、ワイルドカード以外を使った場合は、「射影」に相当する。なぜなら SELECT命令は列を取り出す命令なので。(※ 情報処理学会の動画)
== ※ 経産省の目標 ==
経産省および独立行政法人 情報処理推進機構が、現代のIT人材に必要な能力の目標の例を定めており、[https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf 経済産業省・情報処理推進機構『デジタルスキル標準』ver.1.1 ,2023年8月』] で定めています。
このデジタルスキル標準によると、データ分析の際、一次情報と二次情報の区別も定めています[https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf 『デジタルスキル標準』P.42] 。
経産省がこの情報Iのデータ分析の単元と近いことを資料で説明しているので、せっかくだから、ついでに、文科省だけでなく経産省の目標にも役立つ知識にアップグレードしてしまいましょう。
なお、日本国の内閣官房が、文科省や経産省に対して、デジタル人材育成の教育で連携しろと命令してます<ref>[https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai3/siryou7.pdf デジタル田園都市国家構想担当大臣 若宮 健嗣『デジタル人材の育成・確保に向けて』、令和4年2月4日、P.3]</ref>。
では、下記に一次情報と二次情報とは何かを説明します。
== 一次情報と二次情報 ==
実際に自分の目で確かめたとか、政府の統計など余計な判断が加わってない情報、あるいは、それらに近い情報を'''一次情報'''と言います。
一方、他人の選別や加工が加わった情報のことを'''二次情報'''と言います。(※数研出版『情報I』、東京書籍『情報II』)本やインターネットなどの情報はふつう、二次情報です(東京書籍)。
アンケートやインタビュー、実験などによって得られた情報は一次情報です。(東京書籍)
:※ 私たちは、この単元でアンケートの仕方や処理のしかたなどを習ったので、一次情報の取り方については習っています。
経産省らの資料では、データの検証は基本、一次情報で検証しろ、と言っています。「一次情報を用いたデータの検証」という語句が経産省の資料にあります。
実際には、一次情報は集めるのに時間が掛かるため、二次情報も集めざるを得ないのですが(数研)、二次情報の検証法についてはメディアリテラシーの単元でまた説明します。
経産省の資料に、下記のリストが書かれています。
<pre>
⚫ データドリブンな判断プロセス
✓ 仮説構築
✓ 仮説の修正
✓ 一次情報を用いたデータの検証
✓ データの信頼性の判断・明示(中身に誤りや偏りがないか、
量が十分にあるか、出所や更新日が明確か、組織のルールに
基づいて取り扱われているデータか等)
✓ 分析結果に基づいた意思決定
⚫ 分析アプローチ設計
✓ 必要なデータの確保
✓ 分析対象の構造把握
✓ 業務分析手法
✓ データ・分析手法・可視化の方法の設計
⚫ モニタリングの手法
</pre>
[[File:PDCAサイクル.svg|thumb|300px|PDCAサイクル]]
仮説の構築や修正は、PDCAサイクルなどで現実を見ながら修正してください。(※なお、検定教科書では、実教I、日本文教出版I、数研I で記載をPDCA法の確認。)
:Plan=計画、 Do=実行 、 Check=評価 、Action=改善 、
:という意味です。
「一次情報を用いたデータの検証」は、先ほど話しました。
データの片寄りは、これは高校生では、費用や時間の限界で、対処のしようがありません。
大人になってから、必要な人が、検証したいことについて、色々な観点のデータを集めることで、片寄りを減らしてもらうしかないでしょう。
とりあえず、ネット上での意見サイトには、「サイバーカスケード」という、そのサイトに集まる仲間内で情報が片寄る現象が知られているので、サイトは基本的に片寄ってることを前提にするのが良いでしょう。
出所(でどころ)や更新日は重要です。
たとえ形式的にCSVファイルとかJSONファイルとかの形式のデータでも、出所が不明だったり更新日が不明なデータは、信頼性が低いと疑ったほうが良いでしょう。
「分析アプローチ」以降は、私たちにはどうしようもありません。以降は専門家の大人たちに任せましょう。
== 情報II:その他のデータベースの種類 ==
リレーショナルデータベース(RDB)以外にも、他の種類のデータベースもあります。
「階層型データベース」や、「ネットワーク型データベース」です。
しかし、データベースソフトとしては、RDB以外の種類は、あまり使われていません。
資格試験とかに出てくるからか、検定教科書では書いてありますが、2020年代では、ほとんど使われてない技術です。
しかし、裏を返せば、RDB以外の種類のデータベースを反面教師として、RDBは発達したわけです。
では、反面教師として、学びましょう。
=== ※範囲外「階層型データベース」とは ===
階層型データベースというのは、たとえるなら、パソコンのフォルダシステムのようにデータを管理する方式です。
銀行の中枢システムみたいなマニアックな用途でしか、階層型データベースは使われていません。(たとえばIBMの[[w:IMS]]、その互換の日立AMD、富士通AIM くらいです<ref>[https://jp.quora.com/%E9%9A%8E%E5%B1%A4%E5%9E%8B%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9-%E8%AA%BF%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%82%82%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%A6%82%E5%BF%B5%E4%BB%A5%E5%A4%96%E3%81%BB%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%A9 「階層型データベース」調べても基本概念以外ほとんど情報が出てこないです。製品名、解説サイト、使用している企業/システム、経験談等具体的な情報を教えてもらえませんか? ]</ref>)
そもそも、このIBMのIMSは、データベース言語がSQLではなく「DL/I」という独自言語です。
つまり、SQLしか教えない検定教科書は、暗に、階層型データベースを非推奨としているのが実態なわけです。立場上、教科書会社は表立っては階層型データベースを批判していませんが。
IMSは、1970年代からある、古いデータベースです。
なお、21世紀にらIMSはSQLでも入力できるようになりましたが、しかし内部では DL/I に変換しているのが実態です。単にユーザー側のインタフェースだけSQL対応しているだけです。オラクル社がそう言っています[https://docs.oracle.com/cd/E18355_01/integrate.1013/B31899-01/imsdb_intro.htm Oracle Application Server Adapter for IMS/DBユーザーズ・ガイド] で(※ 引用)「SQLは、バックエンド・ドライバでIMS/DBで認識される言語に変換され、IMS/DBに渡されて実行されます。」 だと。
IMSはコボル(COBOL)とかそういう古い時代のレガシー技術なので、今の学生は勉強しなくていいです。レガシー技術は、仕事で必要になった人が仕方なく勉強するものです。IT技術者の勉強では、なるべく新しい技術や、市場で普及した技術を勉強しなくてはいけません。
* 余談
あと、階層型データベースというのは、たとえるならパソコンのフォルダシステムのようなものなのですが、
Windowsなどのある現代では「だったら、最初からパソコンのフォルダでデータ管理すればよいのでは・・・?」という代替方法もあります。
(なお、IMSの登場した1970年代ごろは、まだWindowsがありませんでした。そういう時代のデータベース技術です。MS-DOS (エムエス ドス)登場の1981年よりも、ずっと前の技術です。)
階層型データベースの欠点として、複数の親フォルダに使われるデータがある際、重複登録しなければならない、という欠点があります。
まさに、現代のフォルダ管理と同じです。
※ ネットでは語られませんが、問題なのは、データの更新のときです。重複登録されたデータがある場合、片方だけを更新しても、残りの重複データには更新が反映されません。
:裏を返せば、重複データにも更新が自動的に行えるように反映できるシステムに設計すれば、解決するわけです。これはネットワーク型データベースの発想になるでしょう(未確認)。
なお、データベースに限らず、フォルダで情報を管理するときのコツなのですが、あまりに階層を深くし過ぎると、探しづらくなります。なぜなら、「あのデータ、どこの階層にあったっけ?」って思い出す必要が生じてしまうからです。まあ、ファイル検索で探せますが。しかし、そもそもファイル検索で探すなら、ファルダ分けをする必要自体がありません。
まあ、せいぜい、たとえば「画像 2023年」みたいに大まかな年やコンテンツ種類などを記載したフォルダを作っておき、そこに画像は全部入れておくのが、現代ではコツです。
OSにはファイル検索システムがありますので、ファイル名のほうに、たとえばファイル名で「アニメ オニスレイヤー画像1」みたいにファイル内容が分かる命名にしといて、その画像を探したくなったらファイル検索で「オニスレイヤー」と入れて探せばいいのです。
フォルダ分けの分類は、あるていど画像が何十枚もたまってから、あとから分類を行うのです。もし画像が1つしかない段階で、いきなり分類しても、ピント外れな分類になるだけです。
で、1970年代の昔は、検索システムがあまり高速ではなかったので、フォルダを深くするように階層を深くしたデータベースにも意義はあったかもしれません。
ですが、2020年以降の現代は違います。
パソコンの性能が低かった1970年代と比べたら、現代はぜいたくな環境があるので、そのぜいたくな環境を活用したシステム構築やプログラミングをするほうが、バグなども少ないプログラミング等ができます。
このような、ぜいたくな最新環境を活用するノウハウのことを日本のプログラマー界隈では俗(ぞく)に「富豪的プログラミング」と言います。
富豪的プログラミングを提唱した日本人プログラマーは下記のように述べています。
「ユーザインタフェースのプログラムでは 機械の効率よりも使い勝手が優先されるべきですし、 プロトタイプの作成とその評価/改良のサイクルを 数多く繰り返す必要があるのですが、 計算機資源を節約しようとすると これらの条件が後回しになりがちだからです。 」
:※ 高校教育ではプロトタイピングについては『情報II』で習う。
階層型データモデルの欠点もまさにこれと同じで、ともすれば、プロトタイピングをロクにできない状態でデータ構造を設計しなければなりません。なので、設計者にかなりの技量が必要です。RDBに淘汰されて普及しなかったのは当然です。
21世紀におけるソフトウェア設計のコツとして、決していきなり処理速度の速いソフトウェアを作ろうとすべきではなく、まずは、処理速度が遅くてもいいので、プログラマーが作りやすくてユーザーにも使い勝手のいいソフトウェアを試作(プロトタイピング)して実際にテストして検証して、あとから処理速度を高める改修をしていくのがコツです。
使い勝手が悪いせいでロクに市場でユーザーに使われておらず検証されないソフトウェアの速度が高くなるように設計できても、なんの意味もありません。なぜなら、そもそも使われないので。
{{コラム|階層型データベースは宇宙開発のためのデータベースだった|
歴史的には、アメリカ合衆国で1960年代前後の宇宙開発で、サターンVロケット(サターンロケット)や アポロ宇宙船の膨大な部品の目録を作って管理するのにIMSが使われした。
もちろん、決して一人の人間が全部品を管理しきれるわけではないので、実際は専門家が専門分野ごとに分担して管理するわけです。宇宙開発は、そういう階層型で分業型の組織構造です。ピラミッド社会です。
なので、データベースの構造も、大組織での分業を前提としたピラミッド社会みたいな構造でも問題なかったわけです。
ネットワーク型データベースのように部品同士のネットワークが無くても、宇宙開発では別モジュールの部品は別企業が作っているので、データどうしのネットワーク機能が無くても問題が無かったわけです(むしろ、ネットワーク機能があると、別モジュールのデータが影響しあって不具合などが起こりかねず邪魔になりかねない)。
また、部品の生産中止のさいの更新とかを考える必要もなかったのでしょう。1960年代の米ソ冷戦中の米国NASAは、製造業に特注品などを作らせる側の大組織です。
「コンウェイの法則」(Conway's law)と言って、ある組織が開発するシステムは、その組織の構造を前提とする傾向があります。
この考えによると、階層型データベースは、その顧客である米国NASAやアメリカ軍などの組織構造を前提としています。(当時のIBMの顧客はそういう組織とかもあります。)
しかし、現代の一般人の多くは、宇宙開発するわけでもないし、今は先進国の多くは財政難の時代なので特注部品とかをバンバンと作らせるのも難しいので、一般人にはもはや不要なシステムです。少なくとも、学校の生徒のデータ管理とかには、向いていません。まるで料理をするのに包丁ではなく日本刀を使うようなものです。
部品管理とは違いますが、現代の日本のJAXAの宇宙開発でも、自動点検機能などで階層型データベースを開発することはあります [https://www.isas.jaxa.jp/j/column/epsilon/10.shtml 『第10回:イプシロンロケットの運用と施設設備(2)自動・自律点検システム / イプシロンロケットが拓く新しい世界』(ISASニュース 2012年10月 No.379掲載) ]。
}}
== (※範囲外) ==
=== 相関関係と因果関係の証明 ===
[[File:Swan neck falsk experiments japanese.svg|thumb|900px|対照実験のよくある説明図 1]]
[[File:Swan neck falsk experiments sealed japanese.svg|thumb|500px|対照実験のよくある説明図 1]]
とりあえず相関関係のある現象を発見したとして、それが因果関係か、それとも単なる相関関係なのかを区別するための研究手法について、これから述べる。
実用的なレベルで、因果関係を完全に証明するのは、難しい。
それこそ、科学者のように、膨大な研究が必要になってしまう。
しかし、それだとビジネスにならない場合が多いので、とりあえず、ある程度の検証を満たせば、疑似的に因果関係のようなものだと見なして、ビジネスに適用してしまう方法もある。
総合理科などの科目でも習うが、対照実験という手法が、理科での証明の基本である。
しかし、社会などを扱う場合、対照実験をするのが難しい分野もあり、対照実験に膨大な時間やコストが掛かってしまう分野もある。
対照実験では、変数を一つだけ動かさないといけない。しかし、社会などでは、それが難しく、どうしても他の変数も動かさないといけなくなってしまう事も多い。
たとえば人間を対象に新薬の実験を行う場合、被験者が一卵性の双子ばかりでないと、本来は、新薬という変数のほかにも家系の遺伝子という変数もかえてしまっているので、新薬の効果の完全な検証にはならない。しかし、そんなに一卵性の双生児ばかりを集めるのは現実的には無理である。仮に一卵性の双生児をあつめても、学歴などの経歴が微妙に違うので、それですら完全に一変数だけを変えた実験にはならない。
そこで、そのように他の変数も動いてしまう場合でも、なんとか疑似的に因果関係のようなものの検証をする必要がある。
なので、たとえば新薬の検証をする際、(別に双子でなくても良いので、)薬を投薬したグループと、そうでないグループとで、誤差と思えない程度に大きな差が現れれば(なお「有意差」(ゆういさ)と言う)、とりあえずの効果があるのだろうと推測するのが実態である。
医療などの分野では、'''ランダム化比較試験'''(randomized controlled trial、RCT)と言って、実験対象を2つ以上のグループにランダムに分けて、対照実験のようなものをして、有意差があれば、とりあえず効果がありそう、だとして候補にする<ref>[https://www.nies.go.jp/social/navi/colum/topics_rct.html 横尾英史『2019年ノーベル経済学賞から考える「ランダム化比較試験(RCT)」について:環境政策を「検証」できる?』2019.11.8]</ref>。
人間の体は、けっして1個の変数では表せないので、本来は2個や3個ていどのグループ分けでは不足であり、もっと膨大にグループ分けしないと証明としては論理的には厳密ではないが、それだと費用が掛かり過ぎるので、よって2~3個ていどのグループ分けでも良いとして、代わりに、可能なかぎりなるべくランダムに分ければ良いとされる。
ここで要求されるランダムさは、サイコロなどで得られる程度のランダムさもあれば十分である<ref>[https://www.rieti.go.jp/jp/columns/s18_0009.html 関沢 洋一『RCTをもっともっとやろう』 ]</ref>。現代ではコンピュータで発生させる乱数でも十分である。
このRCTは、データサイエンスの分野にも、すでに取り入れられている。このように、医療分野の統計手法だろうが何だろうが、使えそうなら取り入れるのがデータサイエンスである。
また、経済学にもRCTは取り入れられており、2019年度のノーベル経済学賞である(なお、(物理学賞や医学生理学賞などを扱う)ノーベル財団はノーベル経済学賞を扱っていない。ノーベル経済学賞を行っているのはスウェーデン国際銀行という別組織である。ただし、ノーベル財団とノーベル経済学賞とのあいだでも交流があるが、この単元の教育対象外なので説明を省略)。
このように、ランダム化比較試験は、対照実験を疑似的に行う手法である<ref>[https://www.rieti.go.jp/jp/columns/s18_0009.html 関沢 洋一『RCTをもっともっとやろう』 ]</ref>。
IT業界や広告業界などだと「'''A/Bテスト'''」というのがあるが、これもRCTと似たような発想である。A/Bテストとは、たとえば、ある広告に校歌があるかどうかを検証したい場合、統制下の集団を、広告を見せたAグループと、見せてないBグループとに分けて、比較する方法である。
医療の場合、RCTでの検証以降にもさまざまな検証があるが、しかし医療以外の規制のゆるい産業ではそこまでの検証を求められずに、場合によっては簡易なRCTまたはA/Bテストによる検証に合格した成果がある開発製品ならば商業化するのも普通である。
なお、医療の場合、上記のランダム的なグループ分け以外にも規制などによって付随する袖手の試験のことも含めて「RCT」と呼んだりする場合もあるが、しかし本ページでは狭い意味でのとりあえずのランダム的なグループ分けをした試験のことだけをもって「RC」Tと呼ぶことにする。
医療の場合、変数を変えて難度もRCTをする、たとえば年齢別にRCT、性別を変えてRCT、人種別にRCT、体重別にRCT、既往症別にRCT、・・・などなど。
ただし、医療ではない一般の商業などでは、そこまでの費用は出せない。なので、多くの一般の業界では、RCTでもA/Bテストでも、充分な人数を対象にとりあえずの比較試験で効果が出れば、とりあえずの再現性があると見なす。
完全に一変数だけを動かすのは経済的・社会的な事情などにより無理なので、なので、(広告や新薬などの)介入要素以外の条件があるていど似ていれば、疑似的に対照実験のようなものと見なすのである。
[[File:PDCAサイクル.svg|thumb|300px|PDCAサイクル]]
;別単元との関係
高校「情報」教育では他の単元で「プロトタイプ」を教えるが、結局、あまり厳密性をもとめられない業界では、上記の程度のとりあえずの検証を潜り抜ければ当面のあいだは充分なので(その代わり、年月が経ったら再検証をするなどの追試が必要であるが)、なので試作(プロトタイプ)をつくって実験と簡易な改良をさっさとしたほうが良いのである。その程度で十分なのである。
別の単元でPDCA法を習うが、これもまた、仮説にもとづいて計画を立てているわけである。仮説とは結局、「たぶん、これはこういう仕組みだから、こういう対策が有効だろう」というPlan(計画)の形での、因果関係の推測である。このため、A/Bテストなどの分析手法とも関わってくる。Planは結局、仮説を前提にしているので検証(Checkに相当)が必要であり、なので、A/Bテストなど、なんらかの検証手法とも関わってくる。
このように、PDCA法は仮説思考とも関わってくる。
;余談
新薬の実験の場合、もともと実験に参加してくれる人は、ある程度は健康の悪い人だったり、あるいはカネの無い人だったりする。(お金をあげて新薬の実験台になってもらうので。これを「治験」(ちけん)と言う。)
このため、被験者のグループは、平均的な人からはズレる。
=== ビジネスマンの数値化思考 ===
ビジネスマンの数値化思考を例に、大学レベルの抽象的な数学の話をしよう。
なお、下記は、とりあえずの仮説であるので、決して鵜呑みにしてはいけない。社会のような抽象的なものごとを考える際は、仮説でもいいので、まずは思考のとっかかりを考えるのである。こういうのを「仮説思考」と言う。
頭の中に、とりあえずの仮説をつくり、それを新しい事を学んだら適宜(てきぎ)、より正しい新情報をもとに従来の自分の仮説を修正していくのである。
{{コラム|(※範囲外)ビジネスマンの数値化思考の数学的記述|
[[File:Surjection.svg|thumb|関数の例。全射であり単射でない。]]
[[Image:Funcao venn.png|thumb|right|単射であり全射でない。]]
ビジネスマンの思考法で、「数値化思考」というのがあり、その要点は、「会社の資産には、時間・人員などに限りがあるので、物事の数値化をして、経営ですべき行動に優先順位をつけよう」的な発想です。
これはつまり、「経営者は、ビジネス上の様々な思考を、順序尺度のようなものに置き換えるべきだ」的な主張に言い換えできます。
では、こういったビジネス応用を前提に、数学的に考察しましょう。
数学IAで「集合」を習います。
さて、関数とは、集合から集合への対応の規則(なお、これを「写像」(しゃぞう)という)で、値が数値のものを「関数」と言います。
:※ 「写像」は、2020年代の現在は、高校範囲外なので、覚えなくていい。昭和の一時期、高校で写像を教えていた時代もあった<ref>[https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29754/1/5_P1-19.pdf (pdf 論文)高村 政志 著『高等学校数学カリキュラムはどこまで骨抜きにされたか』高等教育ジャーナル─高等教育と生涯学習─ 5(1999)(※雑誌名)、1999(※出版年)、P14]</ref>。
なので、私たちは「尺度」で数値化をしていますので、じつはこれは、物事を関数に置き換える行為をしています。
数学用語では「関数」と言う言葉自体、本来は値は数値にかぎるのですが、しかし情報科学などでは別の意味の「関数」という言葉もあるので、当ページでは説明の都合上、「数値化関数」という造語をつかって、特に値が数値である事を強調します。
上記の「なので」の文をこの「数値化関数」で置き換えます。
なので、私たちは「尺度」で数値化をしていますので、じつはこれは、物事を「数値化関数」に置き換える行為をしています。
なお、数学で「関数」と言った場合、じつは定義域はかならずしも数値である必要は無く、つまり定義域は集合でも構いません。
私たちの目的は、けっして普遍的に適用しようとする一般化ではなく、ビジネス思考などへの実用化です。このため、むやみに値を数値以外に拡張するような一般化をする必要はありません(今の私たちにとっては)。
さて、たとえば、順序尺度の例
:(5点) とても良い
:(4点) 良い
:(3点) 普通
:(2点) あまり良くなかった
:(1点) とても良くなかった
は、
これは「数値化関数」と考えると、
定義域の要素 → 値
「とても良い」 → 5
「良い」 → 4
「普通」 → 3
「あまり良くなかった」 → 2
「とても良くなかった」 → 1
であります。
もし、「普通」と「あまり良くなかった」が同じ値だと(たとえば両方とも2だと)、区別できず、価値を持たない。
つまり、私たちの必要とする数値化関数は、単射でなければなりません。
「単射」(たんしゃ)という言葉を説明なしに使ってしまいましたが、単射とは、「定義域の別々の要素は、別々の値に対応する」という規則に従っている写像です。
つまり、順序尺度ですら、単射でないと(つまり別々の要素は、別々の値に対応する)、意味を持たない。
さて、大元の問題意識は、ビジネスマンの数値化思考の話でした。
つまり、ビジネスマンの数値化思考をする際、「単射」のような「数値化関数」(造語)で置き換えしないといけません。そうしないと、実用性がありません。
そして、下記のように、大小関係が定義できないと意味を持ちません。
たとえば順序尺度
:「とても参考になった」 → 3
:「参考になった」 → 2
:「あまり参考にならなかった」 → 1
:「参考にならなかった」 → 0
になれば、参考になった度合の大小関係だけは定義でき、
たとえば「とても参考になった」をAとして、「あまり参考にならなかった」をCとすれば、Aの数値を見れば3、Cの数値を見れば1であり、Aのほうが数値が大きく、数式の不等式で表せば
:A > C
なので、
Aのほうが、より強く参考になったという主張を意味している、
という大証関係だけなら定義できます。
しかし、「順序尺度では差は定義できない」のでした。
つまり、大小関係が定義できても、必ずしも差が定義できるとは限りません。(無理やりに差を定義しても、実用的な意味をもたない)
さて、あるものごとを数値化をしたからって、必ずしも大小関係を定義できるとは限りません。
身近な例をあげると、ジャンケンです。
グー=3、チョキ=2、パー=1、と定義すると、
グーのほうがチョキよりも大きい、 そして、大きいグーが小さいチョキに勝つので、一見すると「大きいほうが勝つ」と誤解しかねません。
チョキのほうがパーよりも大きい、 そして大きいチョキが小さいパーに勝つので、これまた一見すると「大きいほうが勝つ」と誤解しかねません。
しかしジャンケンのルールでは、、一番大きいはずのグーは、小さいパーに負けてしまうルールです。
つまり、ものごとを数値化したからといって、必ずしも大小関係を定義できるとは限りません。
つまり、ジャンケンは順序を定義できないのです。
ジャンケンには、順位がありません。「グーが一等賞」とか「グーが優勝」とか、ルール上、無いのです。
なお、ジャンケンの数値化は、名義尺度です。等しいかどうかしか意味がないのが、名義尺度です。
数学の用語で、[[w:推移関係]]というのがあります。集合a,b,c について、抽象的な関係を表す演算 R について(たとえば等号とか不等号が例)、
aRbかつ bRcならば aRc が成り立つことを、推移関係と言います。
たとえば a < b かつ b < c ならば a <c です。よって、不等号は推移関係です。
あるいは別の例なら、
<nowiki>a = b かつ B = c なら a= b です。</nowiki>
なので等号も、推移関係です。
しかし、ジャンケンでは、たとえば「AがBに勝利すること」を関係RとしてaRbと表記するとして、
「グーRチョキ」 かつ 「チョキ R パー」であっても、けっしてグーはパーに勝てないので、推移関係ではないのです。
よって、ジャンケンは推移関係ではないのです。
ジャンケンのように、勝敗が定義できるからといって、必ずしも順序尺度とは限りません。また、ジャンケンの例のように、勝敗の定義できる名義尺度もあります。
順序尺度は、その要素どうしは、基本的に推移関係を満たします。
上記の議論の裏を返すと、人間心理のように一見すると量が定義できないものでも、
とりあえずの大小関係を定義してしまえば、疑似的に、場合によっては、数式などで不等式のように扱える可能性がある(あくまで可能性)、という意味でもあります。
大手の証券会社のwebサイト [https://www.nomura.co.jp/el_borde/method/0059/ 深沢 真太郎(インタビュー)、『愛すら数値化する定量化思考とは? ビジネス数学教育家が教える、伝わる言葉の作り方』、野村證券、]
では、数値化のための「比較」の重要性を主張しています。
つまり、なんと比較をすることで、ビジネスへの実用的には、大小関係またはそれに近い数学的関係のようなものを定義できてしまう場合が多いのです。もちろん、数学的には厳密ではなく客観的でないですが、しかし経営者などの一個人が、自分の経営判断に使うぶんには、問題ありません。
ともかく、ビジネス思考には「比較」という補助輪が必要です。
文脈は違いますが、教育学という別分野でも、比較の重要性が主張されています。
* [https://edu.watch.impress.co.jp/docs/report/1573264.html 狩野さやか 著『「小学校情報科」新設への道筋となるか?〜宮城教育大附属小学校の挑戦』2024年3月12日 06:30 ]
では、情報デザインの教育で、小学校の実験校で、
:色の効果、フォント、キャッチコピー、レイアウト、構造化、(グラフなどによる)可視化、対象を明瞭(※おそらくターゲット層の話)、「評価を受ける」(後述のKPT法)、'''比較する'''、
というテクニックを教えています。
比較によって、一見すると説明文の文章量が増えますが、しかし比較をすることによって、むしろ分かりやすくなることが多いのです。
なんと、金融業界と、小学校の教育業界という、まったく別々の業界が、「比較」による物事の整理のテクニックを紹介しています。
どうも、何か共通の法則性のようなものが、ありそうです。
心理学などでいう「公理的測定論」が、使えるかもしれません。歴史的な古い公理的測定論を引用することに実用性は無く、あつかいたい実際の問題に応じて再定義するのが、現代の主流です。
[https://elsur.jpn.org/diary/2022/05/21/5966/ 『読了:Cliff (1992) 公理的測定理論、そして起こらなかった革命 』、投稿日: 2022年5月21日 ]
<blockquote>
抽象的測定理論はなんの役に立つのかわからなかった。尺度を再定義する実証研究は、測定理論を参照することなく生じた。たとえば記憶研究におけるAnderson & Schooler (1991)がそうだ。
</blockquote>
です。
私たちは別に抽象的な心理学の一般理論をつくりたいのではなく、ビジネスマンの数値化思考のように問題解決をしたいのです。つまり、「問題解決に役立てさえすればいい」のです。
これを意識して、今ここでビジネス用の測定理論をつくってしまいましょう。
大小関係を定義するのは、ビジネスの優先順位づけのためでした。
もし、数値化せずとも優先順位をつけられるなら、そもそも、いちいち数値化をする必要すらありません。私たちの根本的な目的は、大小関係ではなく優先順位づけです。
PDCAサイクルでも、よく「目標を、なるべく数値で設定しろ」と言いますが(検定教科書でもそう書かれているものもある)、しかしどうしても数値化しづらい分野なら、無理に数値化する必要はありません。
検定教科書では説明の都合上「数値化」などと言ってますが、その本当の意味はどちらかというと、客観的に目標の達成/非達成を判定できるようにしろというような意味です。
数値化せずとも、客観的に「成功/失敗」が判定できるようなシステムであれば、特に問題はありません。(とはいえ、高校教育の段階では、通知表などの都合で、数値的に判定しやすい課題が生徒にも与えられているだろうが。)
{{コラム|尺度の理論で分かる教育問題|
だから、高校で教師が成績を数値でつけるのは、あれは社会的に良いことなんですよ。各科目の専門知識をもった各教員が、生徒個々人の能力を数値化してくれてるんです。つまり小学校から高等学校までの教育機関って、すごい機関なんですよ。
だから通知表の採点基準が昭和の相対評価から、21世紀の絶対評価に変わってしまったので、これは順序尺度として利用できなくなってしまったので、色々と問題です。
偏差値が順序尺度のようなものですので、日本の学歴社会は偏差値社会です。
相対評価があるうえで、絶対評価も併用するのは構いません。
しかし、絶対評価しかしないのは、このページでも習うように基準が統一されていない限り、(順序尺度としては)意味を持ちません。
そして、日本では、高校ごとに、採点基準がバラバラです。なので、順序尺度に出来ません。
たとえば、低偏差値高校の5段階中の「4」と、高偏差値の進学校の「4」は、決して同じ能力ではありません。
なんと、こうして上述の論証で、日本の国会議員の考えている教育制度は、数学的に破綻していることが証明されてしまいました。
}}
ビジネス書でもよく、「優先順位をつけろ」と言います。
ソフトウェア設計の設計技術者むけのノウハウ書でも、「すべての希望する仕様を入れるのは無理な場合があるから、入れたい仕様に優先順位をつけろ」みたいなノウハウはよく言われます。有名なのだと、アップルコンピュータの創業者の故スティーブ・ジョブスがそう部下に指導しています。
文章の言葉のままでは優先順位がつかないとき、そこで、とりあえずの数値に置き換えればいいのです。この際、比較をしないと意味がありません。
つまり、やりたい事が複数あるとき、それぞれの事に、別々の点数をつけなければ意味ありません。
もし、たった1つの「やりたい事」にしか点数をつけなければ、比較対象が無いので、そもそも優先順位に使えないので、意味がありません。
あるいは、やりたい事、やれる事が1つしかない環境なのに、数値化をしても、特に意味がありません。やることが1つしかないなら、それをヤレばいいだけです。
もう一つのアイデアとして、1つの事しか課題が無い場合でも、比較用に、すでに解決済みで近い内容の課題を入れるのも一つです。他人に説明する場合などに、使えるテクニックかもしれません。たとえば未解決の問題の研究などで、すでに解決した問題とこれから研究する新問題とが、どこがどう違うかの説明をするとか、よくある説明テクニックです。
現実世界のものは、決して高校の物理学のような単純な要素だけで成り立つものではなく、複雑系です。特に社会は、複雑系です。しかし、だからといって何も分析しないわけにはいきません。分析しないと、経営などのための判断が出来ないからです。そこで、疑似的に、数値化・数量化するために、比較を使うのです。
すでに解決している別の問題との比較をすることで、違っている部分だけを考えればいいので、大幅に思考と検証の手間が節約できます。
経営学のフレデリック・テイラーの「パラメータ・バリエーション」を現代的にアップグレードすれば、上記のように「比較する」というノウハウになるでしょうか。
パラメータ・バリエーションは『「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》』(講談社学術文庫)に書いてあるし、某県の公立高校の図書館にもその本は入ってるので<ref>[https://kumajo-h.spec.ed.jp/blogs/blog_entries/view/428/abfbe5e1448e3e7d9cc43bf7b31c4b13?frame_id=480 『図書館より - 埼玉県立熊谷女子高等学校』]</ref>、高校生ならこのくらい考察してほしい。講談社学術文庫の本なんて、そんなに難解じゃないんだから。数式とか知らなくても分かるように書いてあるんだし。
工作機械のように数値で「回転数」とか「切削速度」とか測定できるもので、物理的な意味が明確な量なら、それをそのまま測定すれば良い。しかし、情報化社会では、そのままでは数値的に測定できないものを扱う。
このため、現実世界に「量」が無くても可能な「比較」などにより、特に「順序」などの推移関係を要素間にもうけることにより、「測定」のような対象にして、問題解決に活用すればいいのである。
さて、順序尺度を無理やりに間隔尺度にした例として、
:(5点) とても良い
:(4点) 良い
:(3点) 普通
:(2点) あまり良くなかった
:(1点) とても良くなかった
と点数づけをしてむりやりに間隔尺度にしたシステムも、ネットでよく見かけます。
この問題点は、評価者によって、採点基準がバラバラなので、よって別人たちの点をあつめて「平均」などの統計値を出しても意味がない、という問題点でした。
裏を返せば、無理やりにでも、この問題点さえ解決するアイデアを加えれば、実用的になるのです。
つまり、たとえば
:1個人だけで使う分には、個人内で採点基準が統一されているので、なにも問題が無い。
:あるいは複数人で使う場合でも、何等かの方法で、採点基準の統一を強制すればいい。
です。
さて、複数人で行動する場合、
政治家の選挙みたいに、1個人あたりの投票できる点数を制限してしまうのも手です。たとえば、1人あたり期間中に合計〇〇点しか投票できないとか。
これで、採点基準の統一を、ほぼ強制したことになります。
内心の自由があるので、心のなかを統一するわけにはいかないですが、しかし政治の「1人1票」みたいに外部である票数の基準を統一することは可能です。
こうすれば、高得点を多発する投票者と、低得点しか出さない投票者の混在の問題を、政治的には解決できます。
裏を返すと、ネットの通販サイトのレビューとかにある点数制限のない投票は、たとえ形式的には数値で表現されていても、数学的には何の信用も無いことが証明できてしまうのが、上記の議論からの結果です。
要するに、ああいう投票サイトを作っている米国IT外資は、利用者を内心、馬鹿にしています。
ネットの投票サイトを見る場合、票数を見ても数学的には無意味な場合が多いです。
ネットの投票サイトなどの得点は、あれは単に、文字の代わりです。「とても役立った」だと7文字ですが、「5」点だと、数値データの「5」を1文字だけ保存するだけで済むという、データ節約の都合でしかありません。
人によって言い回しがバラバラで、「とても役立った」「大変役立ちました」「買ってよかった」みたいにバラバラなのが、管理者的には面倒なので、数値に置き換えているだけです。文字の代わりでしかない。名義尺度のようなもの。間隔尺度のフリをした名義尺度です。
たぶん、採点してる側は間隔尺度のつもりなのでしょうが、しかしプロが見る場合は名義尺度です。
政治の投票のように票数制限などの「資源の希少性」が無いかぎり、名義尺度あつかいです。
オオカミ少年の童話と同じで、ロクに考えずに高得点を連発したり、あるいは低得点を連発する人が、追い出せないので(それどころか、そういう人をターゲットにしている商売のフシすらある)、なのでプロが見れば、ああいう投票機能つきwebサイトは名義尺度あつかいなのです。
採点基準を統一する気の無い人が、一人でも混ざってしまえば、それはもう、数学的な信頼が崩れるのです。
下品な例えですが、食事において、みそ汁を飲もうとする際に、もしそのみそ汁に、犬のウンコが混ざったら、もう食べずに捨てたいのと同じです。そういうクリーンな清浄度が必要なのです。
なのに、そういう清浄度の低い、ネットの投票には、数学的には価値が無い。
採点項目が複数あるなら、一個人内の採点配分などを見ましょう。
}}
抽象的な大学レベルの数学の使い方とは、このコラム例のように、一見すると別々の分野の知識を、その構造の共通性に注目して、結びつけて理解することです。
裏を返すと、単にマニュアル通りのことをするなら、あまり高度な数学は必要ありません。
== 脚注 ==
<references/>
[[カテゴリ:高等学校情報|てえたのかつよう]] | 2023-10-14T04:00:19Z | 2024-03-29T17:11:52Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%83%85%E5%A0%B1/%E6%83%85%E5%A0%B1I/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E6%B4%BB%E7%94%A8 |
38,604 | 酒税法第6条 | (納税義務者)
(納税義務者)
本条では、酒税の納税義務者について規定している。
国産酒類に係る酒税は、原則としてその酒類をその製造場から移出した時に、その酒類の製造者が酒税を納めることとなる。なお、「酒類の製造者」は酒類を製造したすべての者をいう。
輸入酒類に係る酒税は、原則としてその酒類を保税地域から引き取る時に、その酒類を保税地域から引き取る者(酒類引取者)が酒税を納めることとなる。 | [
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== 条文 ==
(納税義務者)
; 第6条
# 酒類の製造者は、その製造場から移出した酒類につき、酒税を納める義務がある。
# 酒類を保税地域から引き取る者(以下「酒類引取者」という。)は、その引き取る酒類につき、酒税を納める義務がある。
: <small>(昭和34年3月法律第54号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/03119590328054.htm|title=法律第五十四号(昭三四・三・二八)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和37年3月法律第47号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/04019620331047.htm|title=法律第四十七号(昭三七・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和28年2月28日法律第6号 ====
(納税義務者)
; 第6条
# 酒類の製造者は、その製造場から移出した酒類の石数に応じ、酒税を納める義務がある。
# 酒類を保税地域から引き取る者(以下「酒類引取者」という。)は、その引き取る酒類の石数に応じ、酒税を納める義務がある。
== 解説 ==
本条では、酒税の[[w:納税義務者|納税義務者]]について規定している。
国産酒類に係る酒税は、原則としてその酒類をその製造場から移出した時に、その酒類の製造者が酒税を納めることとなる。なお、「酒類の製造者」は酒類を製造したすべての者をいう。
輸入酒類に係る酒税は、原則としてその酒類を[[w:保税地域|保税地域]]から引き取る時に、その酒類を保税地域から引き取る者(酒類引取者)が酒税を納めることとなる。
== 参照条文 ==
* [[酒税法第30条の7]](採取した見本に関する適用除外)
* [[国税通則法第15条]](納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
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{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第3条]]<br />(その他の用語の定義)<br />[[酒税法第5条]] - 削除
| <br>[[酒税法第6条の2]]<br />(保税地域に該当する製造場)
}}
[[category:酒税法|06]] | 2023-10-14T11:27:39Z | 2023-10-14T11:27:39Z | [
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38,605 | 酒税法第6条の2 | (保税地域に該当する製造場)
本条は、酒類の製造場が保税地域に該当する場合において、その製造場を保税地域に該当しない酒類の製造場とみなして本法の規定を適用させることを定めている。 | [
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== 条文 ==
(保税地域に該当する製造場)
; 第6条の2
# 酒類の製造場が保税地域に該当する場合には、この法律の適用上、その製造場を保税地域に該当しない酒類の製造場とみなす。
: <small>(昭和41年3月法律第39号追加<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/05119660331039.htm|title=法律第三十九号(昭四一・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small>
== 解説 ==
本条は、酒類の製造場が[[w:保税地域|保税地域]]に該当する場合において、その製造場を保税地域に該当しない酒類の製造場とみなして本法の規定を適用させることを定めている。
== 参照条文 ==
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
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{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第6条]]<br />(納税義務者)
|[[酒税法第6条の3]]<br />(移出又は引取り等とみなす場合)
}}
[[category:酒税法|06の2]] | 2023-10-14T11:45:56Z | 2023-10-14T11:45:56Z | [
"テンプレート:Reflist",
"テンプレート:Cite web",
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38,606 | 酒税法第6条の3 | (移出又は引取り等とみなす場合)
(移出又は引取り等とみなす場合)
本条では、酒税の課税要件となる移出・引取りとみなす場合について規定している。
下表のいずれかに該当する場合には、酒類の移出があったものとみなされて、納税義務が成立する。
下表のいずれかに該当する場合には、酒類の引取りがあったものとみなされて、納税義務が成立する。 | [
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== 条文 ==
(移出又は引取り等とみなす場合)
; 第6条の3
# 次の各号のいずれかに該当するときは、その該当することとなつた時に当該酒類又は酒母若しくはもろみ(以下この条及び第10条第3号において「酒類等」という。)をその製造場から移出したものとみなす。ただし、第4号の場合において、第28条第1項の規定の適用を受けて酒類の製造場から移出する当該酒類については、この限りでない。
## 酒類等が酒類等の製造場において飲用されたとき。ただし、次項の規定に該当する場合を除く。
## 第7条第4項の規定により酒類の製造免許(同条第1項に規定する製造免許をいう。以下この号及び次号において同じ。)に付された期限(同条第5項の規定により当該期限が延長された場合には、その延長後の期限。第20条第1項において同じ。)が経過した場合若しくは酒類等の製造免許が取り消された場合(法人が合併又は解散により消滅した場合を含む。)又は酒類等の製造者の相続人につき第19条第2項の規定の適用がない場合において、当該取り消された又は消滅した製造免許に係る酒類等(第7条第1項ただし書又は第8条ただし書の規定の適用を受けたものを含む。)がその製造場に現存するとき。ただし、当該期限の経過又は第17条第1項の規定による申請に基づく製造免許の取消しと同時に第20条第1項の規定による酒類の販売の継続を認められた場合を除く。
## 第12条(第13条において準用する場合を含む。)の規定により酒類等の製造免許を取り消された者が第20条第1項又は第2項の規定の適用を受けて酒類等を製成したとき。
## 酒類等の製造場に現存する酒類等(既に第2号(ただし書を除く。)又は前号の規定の適用を受けた酒類等を除く。)が滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続又は破産手続により換価されたとき。
# 酒類等が酒類等の製造者の製造場において飲用された場合において、その飲用につき、当該製造者の責めに帰することができないときは、その飲用者を当該酒類等に係る酒類等の製造者とみなし、当該飲用者が飲用の時に当該酒類等をその製造場から移出したものとみなして、この法律(第30条の2、第30条の4第1項及び第46条の規定並びにこれらの規定に係る罰則の規定を除く。第4項において同じ。)を適用する。
# 酒類等が保税地域において飲用される場合には、その飲用者が飲用の時に当該酒類等をその保税地域から引き取るものとみなす。
# 酒類等が酒類等の製造者の製造場から移出された場合において、その移出につき、当該製造者の責めに帰することができないときは、当該酒類等を移出した者を酒類等の製造者とみなして、この法律を適用する。
# 酒母又はもろみについて前各項の規定の適用があつた場合においては、当該酒母又はもろみは、その他の醸造酒とみなし、酒母又はもろみの製造者(酒母又はもろみの製造者とみなされた者を含む。)は、その他の醸造酒の製造者とみなす。
: <small>(昭和37年3月法律第47号追加<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/04019620331047.htm|title=法律第四十七号(昭三七・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和41年3月法律第39号繰下・改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/05119660331039.htm|title=法律第三十九号(昭四一・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和43年4月法律第27号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/05819680426027.htm|title=法律第二十七号(昭四三・四・二六)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和51年1月法律第1号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/07619760109001.htm|title=法律第一号(昭五一・一・九)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、平成18年3月法律第10号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060331010.htm|title=法律第十号(平一八・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和37年3月31日法律第47号 ====
(移出又は引取り等とみなす場合)
; 第6条の2
# 次の各号の一に該当するときは、その該当することとなつた時に当該酒類又は酒母若しくはもろみ(以下「酒類等」という。以下本条において同じ。)をその製造場から移出したものとみなす。ただし、第4号の場合において、第28条第1項の規定の適用を受けて酒類の製造場から移出する当該酒類については、この限りでない。
## 酒類等が酒類等の製造場において飲用されたとき。ただし、次項の規定に該当する場合を除く。
## 第7条第4項の規定により酒類の製造免許に附された期限(同条第5項の規定により当該期限が延長された場合には、その延長後の期限。以下第20条第1項において同じ。)が経過した場合若しくは酒類等の製造免許が取り消された場合(法人が合併又は解散により消滅した場合を含む。)又は酒類等の製造者の相続人につき第19条第2項の規定の適用がない場合において、当該取り消された又は消滅した免許に係る酒類等(第7条第1項ただし書又は第8条ただし書の規定の適用を受けたものを含む。)がその製造場に現存するとき。ただし、当該期限の経過又は第17条第1項の規定による申請に基づく免許の取消しと同時に第20条第1項の規定による酒類の販売の継続を認められた場合を除く。
## 第12条(第13条において準用する場合を含む。)の規定により酒類等の製造免許を取り消された者が第20条第1項又は第2項の規定の適用を受けて酒類等を製成したとき。
## 酒類等の製造場に現存する酒類等(既に第2号(ただし書を除く。)又は前号の規定の適用を受けた酒類等を除く。)が滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続又は破産手続により換価されたとき。
# 酒類等が酒類等の製造者の製造場において飲用された場合において、その飲用につき、当該製造者の責めに帰することができないときは、その飲用者を当該酒類等に係る酒類等の製造者とみなし、当該飲用者が飲用の時に当該酒類等をその製造場から移出したものとみなして、この法律(第30条の2、第30条の4及び第46条の規定並びにこれらの規定に係る罰則の規定を除く。以下第4項において同じ。)を適用する。
# 酒類等が保税地域において飲用される場合には、その飲用者が飲用の時に当該酒類等をその保税地域から引き取るものとみなす。
# 酒類等が酒類等の製造者の製造場から移出された場合において、その移出につき、当該製造者の責めに帰することができないときは、当該酒類等を移出した者を酒類等の製造者とみなして、この法律を適用する。
# 酒母又はもろみについて前各項の規定の適用があつた場合においては、当該酒母又はもろみは、その他の雑酒とみなし、酒母又はもろみの製造者(酒母又はもろみの製造者とみなされた者を含む。)は、その他の雑酒の製造者とみなす。
# 酒類製造者又は酒類販売業者が、酒類の製造場又は保税地域以外の場所で酒類を詰め替え又は改装して当該場所から販売のため移出した場合において、当該酒類の当該移出の時における価格(当該者が第22条の3第1項第1号に規定する者として同号の規定により算出した金額に第22条に規定する税率により算定した金額を加えた金額をいう。)が、当該酒類の第22条の2に規定する従価税の非課税最高限度額に第22条に規定する税率により算出した金額を加えた金額をこえるときは、当該詰替え又は改装をした者を当該酒類の洒類製造者とみなし、当該場所を当該酒類の製造場とみなす。
== 解説 ==
本条では、酒税の[[w:課税要件|課税要件]]となる移出・引取りとみなす場合について規定している。
=== 移出とみなす場合 ===
下表のいずれかに該当する場合には、酒類の移出があったものとみなされて、納税義務が成立する。
{| class="wikitable" style="text-align:left"
|+
! scope="col" | 移出とみなす場合
! scope="col" | 納税義務者
! scope="col" | 根拠法令
|-
| [[w:酒類|酒類]]・酒母・[[w:もろみ|もろみ]](酒類等)がその製造場において飲用されたとき(その飲用につき、製造者の責めに帰することができないときを除く)
| 酒類等の製造者
| 1項1号
|-
| 酒類の製造免許に付された期限が経過した場合、酒類等の製造免許が取り消された場合、酒類等の製造者の相続人につき第19条第2項の規定の適用がない場合において、取り消されたまたは消滅した製造免許に係る酒類等がその製造場に現存するとき
| 免許を有していた者<br/>免許を有していた者の相続人
| 1項2号
|-
| 酒類等の製造免許を取り消された者が第20条の規定の適用を受けて酒類等を製成したとき
| 酒類等を製成した者
| 1項3号
|-
| 酒類等の製造場に現存する酒類等が[[w:滞納処分|滞納処分]]、[[w:強制執行|滞納処分]]、担保権の実行としての[[w:競売|競売]]、企業担保権の実行手続、[[w:破産手続|破産手続]]により換価されたとき
| 酒類等の所有者
| 1項4号
|-
| 酒類等が酒類等の製造者の製造場において飲用された場合において、その飲用につき、製造者の責めに帰することができないとき
| その酒類等の飲用者
| 2項
|-
| 酒類等が酒類等の製造者の製造場から移出された場合において、製造者の責めに帰することができないとき
| 酒類等を移出した者
| 4項
|}
=== 引取りとみなす場合 ===
下表のいずれかに該当する場合には、酒類の引取りがあったものとみなされて、納税義務が成立する。
{| class="wikitable" style="text-align:left"
|+
! scope="col" | 移出とみなす場合
! scope="col" | 納税義務者
! scope="col" | 根拠法令
|-
| 酒類等が[[w:保税地域|保税地域]]において飲用される場合
| その飲用者
| 3項
|-
| 酒類等を保税地域以外の場所から輸入する場合
| 輸入した者
| 輸徴法5条1項
|}
== 参照条文 ==
* [[酒税法第7条]](酒類の製造免許)
* [[酒税法第8条]](酒母等の製造免許)
* [[酒税法第10条]](製造免許等の要件)]
* [[酒税法第12条]](酒類の製造免許の取消し)
* [[酒税法第13条]](酒母等の製造免許の取消)
* [[酒税法第17条]](製造又は販売業の廃止)
* [[酒税法第19条]](製造業又は販売業の相続等)
* [[酒税法第20条]](必要な行為の継続等)
* [[酒税法第28条]](未納税移出)
* [[酒税法第30条の2]](移出に係る酒類についての課税標準及び税額の申告)
* [[酒税法第30条の4]](移出に係る酒類についての期限内申告による納付等)
* [[酒税法第46条]](記帳義務)
* 輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第5条
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
{{stub}}
{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第6条の2]]<br />(保税地域に該当する製造場)
|[[酒税法第6条の4]]<br />(収去酒類等の非課税)
}}
[[category:酒税法|06の3]] | 2023-10-14T13:34:48Z | 2023-10-14T13:34:48Z | [
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38,607 | 酒税法第6条の4 | (収去酒類等の非課税)
(収去酒類等の非課税)
本条では、酒税が課されない酒類について規定している。 | [
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"text": "(収去酒類等の非課税)",
"title": "条文"
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"text": "本条では、酒税が課されない酒類について規定している。",
"title": "解説"
}
] | null | {{Pathnav|法学|租税法|コンメンタール酒税法|frame=1}}
== 条文 ==
(収去酒類等の非課税)
; 第6条の4
: 次に掲げる酒類がその製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる場合には、当該酒類には、酒税を課さない。
:# 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第28条第1項(臨検検査等)の規定により収去される酒類
:# 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第69条第4項及び第6項(立入検査等)の規定により収去される酒類
:# その他前2号に類する酒類で政令で定めるもの
: <small>(昭和37年3月法律第47号追加<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/04019620331047.htm|title=法律第四十七号(昭三七・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、昭和41年3月法律第39号繰下<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/05119660331039.htm|title=法律第三十九号(昭四一・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、平成11年7月法律第87号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/h145087.htm|title=法律第八十七号(平一一・七・一六)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、平成15年5月法律第55号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/15620030530055.htm|title=法律第五十五号(平一五・五・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、平成23年8月法律第105号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110830105.htm|title=法律第百五号(平二三・八・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、平成25年11月法律第84号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/18520131127084.htm|title=法律第八十四号(平二五・一一・二七)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>、令和元年12月法律第63号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/20020191204063.htm|title=法律第六十三号(令元・一二・四)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和37年3月31日法律第47号 ====
(収去酒類等の非課税)
; 第6条の3
: 次に掲げる酒類がその製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる場合には、当該酒類には、酒税を課さない。
:# 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第17条第1項(臨検検査等)の規定により収去される酒類
:# 薬事法(昭和35年法律第145号)第69条第1項(立入検査等)の規定により収去される酒類
:# その他前2号に類する酒類で政令で定めるもの
== 解説 ==
本条では、酒税が課されない[[w:酒類|酒類]]について規定している。
{| class="wikitable" style="text-align:left"
|+
! scope="col" | 酒税が課されない酒類
! scope="col" | 根拠法令
|-
| [[w:食品衛生法|食品衛生法]]の規定により収去される酒類
| 1項<br/>食品衛生法17条1項
|-
| [[w:薬事法|薬事法]]の規定により収去される酒類
| 2項<br/>薬事法69条1項
|-
| [[w:食品表示法|食品表示法]]の規定により収去される酒類
| 3項<br/>施行令10条<br/>食品表示法第8条1項
|-
| [[w:国税通則法|国税通則法]]の規定により採取した見本となる酒類
| 30条の7<br/>国税通則法74条の4第2項
|}
== 参照条文 ==
* [[酒税法第30条の7]](採取した見本に関する適用除外)
* 酒税法施行令第10条(収去酒類等の非課税)
* 食品衛生法第17条
* 薬事法第69条(立入検査等)
* 食品表示法第8条(立入検査等)
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
{{stub}}
{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第6条の3]]<br />(移出又は引取り等とみなす場合)
|[[酒税法第7条]]<br />(酒類の製造免許)
}}
[[category:酒税法|06の4]] | 2023-10-14T14:00:32Z | 2023-10-14T14:00:32Z | [
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38,608 | 酒税法第4条 | (類別及び品目)
本条は第3条の全部改正により削除された。 | [
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== 条文 ==
; <span style="color:red">第4条</span>
: <span style="color:red">削除<small>(平成18年3月法律第10号削除<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060331010.htm|title=法律第十号(平一八・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small></span>
=== 改正前 ===
==== 昭和28年2月28日法律第6号 ====
(類別及び品目)
; 第4条
# 焼ちゆう及び味りんは、それぞれ、甲類及び乙類に分類する。
# 焼ちゆう甲類は、焼ちゆうのうち、その蒸りゆうの方法が連続式蒸りゆう機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸りゆうしつつフーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸りゆう機をいう。以下同じ。)によるものとする。
# 焼ちゆう乙類は、焼ちゆうのうち、その蒸りゆうの方法が連続式蒸りゆう機によるもの以外のものとする。
# 味りん甲類は、味りんのうち、その比重が摂氏15度の時において重ボーメ度3度をこえるものとする。
# 味りん乙類は、味りんのうち、味りん甲類以外のものとする。
# 雑酒は、政令で定める品目に分ける。
== 解説 ==
本条は第3条の全部改正により削除された。
== 参照条文 ==
* [[酒税法第3条]](その他の用語の定義)
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
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{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第3条]]<br />(その他の用語の定義)
|[[酒税法第5条]] - 削除
}}
[[category:酒税法|04]] | 2023-10-14T14:40:08Z | 2023-10-14T14:40:29Z | [
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38,609 | 酒税法第5条 | (級別)
本条は第3条の全部改正により削除された。 | [
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"title": "条文"
},
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"title": "解説"
}
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== 条文 ==
; <span style="color:red">第5条</span>
: <span style="color:red">削除<small>(平成18年3月法律第10号削除<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060331010.htm|title=法律第十号(平一八・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-14}}</ref>)</small></span>
=== 改正前 ===
==== 昭和28年2月28日法律第6号 ====
(級別)
; 第5条
# 清酒は、特級、第一級及び第二級に区別する。
# 合成清酒は、第一級及び第二級に区別する。
# 雑酒は、特級、第一級及び第二級に区別する。
# 清酒特級及び第一級、合成清酒第一級並びに雑酒の各級の規格は、政令で定める。
# 清酒又は合成清酒につき、当該酒類が前項の規格に該当するかどうかは、中央酒類審議会の審査したところにより、国税庁長官が認定する。
# 国税庁長官は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、清酒第一級に係る認定を、国税局長をして地方酒類審議会の審査したところにより行わせることができる。
== 解説 ==
本条は第3条の全部改正により削除された。
== 参照条文 ==
* [[酒税法第3条]](その他の用語の定義)
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=富川泰敬|date=2023-08-29|title=図解 酒税|edition=令和5年版|publisher=大蔵財務協会|isbn=9784754731311}}
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{{前後
|[[コンメンタール酒税法|酒税法]]
|第1章 総則
|[[酒税法第4条]] - 削除
|[[酒税法第6条]]<br />(納税義務者)
}}
[[category:酒税法|05]] | 2023-10-14T14:40:10Z | 2023-10-14T14:40:42Z | [
"テンプレート:Pathnav",
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"テンプレート:Cite web",
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"テンプレート:Stub",
"テンプレート:前後"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%85%92%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC5%E6%9D%A1 |
38,610 | たばこ税法第1条 | (趣旨)
(趣旨)
本条は、本法の趣旨を規定している。 | [
{
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"text": "(趣旨)",
"title": "条文"
},
{
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"text": "(趣旨)",
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"text": "本条は、本法の趣旨を規定している。",
"title": "解説"
}
] | null | {{Pathnav|法学|租税法|たばこ税法|frame=1}}
== 条文 ==
(趣旨)
; 第1条
: この法律は、たばこ税の課税物件、納税義務者、課税標準、税率、免税、申告及び納付の手続その他たばこ税の納税義務の履行について必要な事項を定めるものとする。
: <small>(昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-15}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和59年8月10日号外法律第72号 ====
(趣旨)
; 第1条
: この法律は、たばこ消費税の課税物件、納税義務者、課税標準、税率、免税、申告及び納付の手続その他たばこ消費税の納税義務の履行について必要な事項を定めるものとする。
== 解説 ==
本条は、本法の趣旨を規定している。
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{stub}}
{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|-
|[[たばこ税法第2条]]<br />(定義及び製造たばこの区分)
}}
[[category:たばこ税法|01]] | 2023-10-14T15:32:56Z | 2023-10-14T15:32:56Z | [
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:Reflist",
"テンプレート:Cite web",
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:前後"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC1%E6%9D%A1 |
38,611 | たばこ税法第2条 | (定義及び製造たばこの区分)
(定義及び製造たばこの区分)
本条は、本法における各用語の意義と、たばこ税の課税対象となる製造たばこの区分を定めている。
「製造たばこ」は、タバコ属の植物の葉を原料の全部または一部とし、喫煙用、噛み用、嗅ぎ用に供し得る状態に製造されたものをいい、下表のように区分される。 | [
{
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"text": "(定義及び製造たばこの区分)",
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},
{
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"text": "(定義及び製造たばこの区分)",
"title": "条文"
},
{
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"tag": "p",
"text": "本条は、本法における各用語の意義と、たばこ税の課税対象となる製造たばこの区分を定めている。",
"title": "解説"
},
{
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"tag": "p",
"text": "「製造たばこ」は、タバコ属の植物の葉を原料の全部または一部とし、喫煙用、噛み用、嗅ぎ用に供し得る状態に製造されたものをいい、下表のように区分される。",
"title": "解説"
}
] | null | {{Pathnav|法学|租税法|たばこ税法|frame=1}}
== 条文 ==
(定義及び製造たばこの区分)
; 第2条
# この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
## 製造たばこ たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第2条第3号(定義)に規定する製造たばこをいう。
## 保税地域 関税法(昭和29年法律第61号)第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。
# 製造たばこは、次のように区分する。
## 喫煙用の製造たばこ
##: イ 紙巻たばこ
##: ロ 葉巻たばこ
##: ハ パイプたばこ
##: ニ 刻みたばこ
##: ホ 加熱式たばこ
## かみ用の製造たばこ
## かぎ用の製造たばこ
: <small>(昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-15}}</ref>、平成30年3月法律第7号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19620180331007.htm|title=法律第七号(平三〇・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-15}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和59年8月10日号外法律第72号 ====
(定義及び製造たばこの区分)
; 第2条
# この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
## 製造たばこ たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第2条第3号(定義)に規定する製造たばこをいう。
## 保税地域 関税法(昭和29年法律第61号)第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。
## 従価割 金額を課税標準として課するたばこ消費税をいう。
## 従量割 数量を課税標準として課するたばこ消費税をいう。
# 製造たばこは、次のように区分する。
## 喫煙用の製造たばこ
##: 第1種 紙巻たばこ
##: 第2種 パイプたばこ
##: 第3種 葉巻たばこ
##: 第4種 刻みたばこ
## かみ用の製造たばこ
## かぎ用の製造たばこ
== 解説 ==
本条は、本法における各用語の意義と、たばこ税の課税対象となる[[w:たばこ|製造たばこ]]の区分を定めている。
「製造たばこ」は、[[w:タバコ属|タバコ属]]の植物の葉を原料の全部または一部とし、[[w:喫煙|喫煙用]]、[[w:噛みタバコ|噛み用]]、[[w:嗅ぎタバコ|嗅ぎ用]]に供し得る状態に製造されたものをいい、下表のように区分される。
{| class="wikitable" style="text-align:left"
|+
! scope="col" | 用途
! scope="col" | 品目
! scope="col" | 意義<ref>{{Cite web|url=https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tabako/03.htm|title=たばこ税法取扱通達|publisher=国税庁|accessdate=2023-10-15}}</ref>
|-
| rowspan="5" | 喫煙用
| [[w:紙巻たばこ|紙巻たばこ]]
| [[w:紙|紙]]その他たばこを含まないものによって巻かれた製造たばこをいう。
|-
| [[w:葉巻たばこ|葉巻たばこ]]
| たばこ(を含むもの)によって巻かれた製造たばこをいう。
|-
| パイプたばこ
| たばこ(を含むもの)を刻み、[[w:パイプ (たばこ)|パイプ]]用として製造された製造たばこをいう。
|-
| 刻みたばこ
| 葉たばこを刻み幅0.3㎜以下に刻んだもので、香料などが添加されていない[[w:煙管|きせる]]用の製造たばこをいう。
|-
| [[w:加熱式たばこ|加熱式たばこ]]
| たばこ(を含むもの)を燃焼せず、加熱して、たばこの成分を吸引により喫煙し得る状態に製造された製造たばこをいう。
|-
| colspan="2" | かみ用
| 葉たばこをうすく刻み、かみ用として製造された製造たばこをいう。
|-
| colspan="2" | かぎ用
| 乾燥した葉たばこを粉にして、かぎ用として製造された製造たばこをいう。
|}
== 参照条文 ==
* たばこ事業法第2条(定義)
* 関税法第29条(保税地域の種類)
== 脚注 ==
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{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第1条]]<br />(趣旨)
|[[たばこ税法第3条]]<br />(課税物件)
}}
[[category:たばこ税法|02]] | 2023-10-14T16:28:09Z | 2023-10-14T16:28:09Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC2%E6%9D%A1 |
38,612 | たばこ税法第3条 | (課税物件)
(課税物件)
本条は、製造たばこに対してたばこ税を課することを規定している。 | [
{
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"text": "(課税物件)",
"title": "条文"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "(課税物件)",
"title": "条文"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "本条は、製造たばこに対してたばこ税を課することを規定している。",
"title": "解説"
}
] | null | {{Pathnav|法学|租税法|たばこ税法|frame=1}}
== 条文 ==
(課税物件)
; 第3条
: 製造たばこには、この法律により、たばこ税を課する。
: <small>(昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-15}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和59年8月10日号外法律第72号 ====
(課税物件)
; 第3条
: 製造たばこには、この法律により、従価割額及び従量割額の合算額によつて、たばこ消費税を課する。
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ|製造たばこ]]に対して[[w:たばこ税|たばこ税]]を課することを規定している。
== 脚注 ==
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{{stub}}
{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第2条]]<br />(定義及び製造たばこの区分)
|[[たばこ税法第4条]]<br />(納税義務者)
}}
[[category:たばこ税法|03]] | 2023-10-14T16:34:11Z | 2023-10-14T16:34:11Z | [
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38,613 | たばこ税法第4条 | (納税義務者)
(納税義務者)
本条は、たばこ税の納税義務者について規定している。
国産品については製造たばこの製造者、輸入品については保税地域から引き取る者である。 | [
{
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"text": "(納税義務者)",
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},
{
"paragraph_id": 1,
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"text": "(納税義務者)",
"title": "条文"
},
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"tag": "p",
"text": "本条は、たばこ税の納税義務者について規定している。",
"title": "解説"
},
{
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"tag": "p",
"text": "国産品については製造たばこの製造者、輸入品については保税地域から引き取る者である。",
"title": "解説"
}
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== 条文 ==
(納税義務者)
; 第4条
# 製造たばこの製造者は、その製造場から移出した製造たばこにつき、たばこ税を納める義務がある。
# 製造たばこを保税地域から引き取る者は、その引き取る製造たばこにつき、たばこ税を納める義務がある。
: <small>(昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-15}}</ref>)</small>
=== 改正前 ===
==== 昭和59年8月10日号外法律第72号 ====
(納税義務者)
; 第4条
# 製造たばこの製造者は、その製造場から移出した製造たばこにつき、たばこ消費税を納める義務がある。
# 製造たばこを保税地域から引き取る者は、その引き取る製造たばこにつき、たばこ消費税を納める義務がある。
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ税|たばこ税]]の[[w:納税義務者|納税義務者]]について規定している。
国産品については[[w:たばこ|製造たばこ]]の製造者、輸入品については[[w:保税地域|保税地域]]から引き取る者である。
== 脚注 ==
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{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第3条]]<br />(課税物件)
|[[たばこ税法第5条]]<br />(保税地域に該当する製造場)
}}
[[category:たばこ税法|04]] | 2023-10-14T16:41:03Z | 2023-10-14T16:41:03Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC4%E6%9D%A1 |
38,614 | たばこ税法第5条 | (保税地域に該当する製造場)
本条は、製造たばこの製造場が保税地域に該当する場合において、内国貨物に該当する製造たばこについてはその製造場を保税地域に該当しない製造たばこの製造場とみなし、その他の製造たばこについてはその製造場を製造たばこの製造場でない保税地域とみなすことを規定している。 | [
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"text": "(保税地域に該当する製造場)",
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},
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"text": "本条は、製造たばこの製造場が保税地域に該当する場合において、内国貨物に該当する製造たばこについてはその製造場を保税地域に該当しない製造たばこの製造場とみなし、その他の製造たばこについてはその製造場を製造たばこの製造場でない保税地域とみなすことを規定している。",
"title": "解説"
}
] | null | {{Pathnav|法学|租税法|たばこ税法|frame=1}}
== 条文 ==
(保税地域に該当する製造場)
; 第5条
: 製造たばこの製造場が保税地域に該当する場合には、関税法第2条第1項第4号(定義)に規定する内国貨物(同法第59条第2項(内国貨物の使用等)に規定する製品のうち、外国貨物とみなされたもの以外のものを含む。)に該当する製造たばこについては、この法律の適用上、その製造場を保税地域に該当しない製造たばこの製造場とみなし、その他の製造たばこについては、この法律(第12条第1項第1号を除く。)の適用上、その製造場を製造たばこの製造場でない保税地域とみなす。
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ|製造たばこ]]の製造場が[[w:保税地域|保税地域]]に該当する場合において、[[w:内国貨物|内国貨物]]に該当する製造たばこについてはその製造場を保税地域に該当しない製造たばこの製造場とみなし、その他の製造たばこについてはその製造場を製造たばこの製造場でない保税地域とみなすことを規定している。
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{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第4条]]<br />(納税義務者)
|[[たばこ税法第6条]]<br />(移出又は引取り等とみなす場合)
}}
[[category:たばこ税法|05]] | 2023-10-14T17:03:27Z | 2023-10-14T17:03:27Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC5%E6%9D%A1 |
38,622 | 高等学校情報/情報I/情報デザインとプロトタイプ開発 | まず、「問題」とは、理想と現実のギャップのことです(※検定教科書にそう書いてある)。
そして、問題解決のための「課題」とは、そのギャップを埋めるために具体的にしなければいけない事です。
まず、問題や課題を正しく認識するために、なるべく数値的に認識することで、検証可能な形で(※ 実教出版の見解)課題を表現する必要があります。
たとえば、部活をつくりたいのにメンバー不足な場合、目標は、けっして「部員を増やしたい」という表現はなく、もっと数値的に「最低でも部員が10人になるまでは部品を確保したい。5対5で対戦の練習ができるから」のように具体的に課題を数値で設定する必要があります(※日本文教出版 I)。また、理由も併記すると、応用が利きます。
さらに、文章で課題や情報収集のインタビュー結果などを表現する場合でも、なるべく5W1Hが分かるように記録するべきです(※ 開隆堂の見解)。解決案を提示する場合も、なるべく分かりやすい表現にしましょう(※数研出版)。これが出来てない場合、解決案として、そもそも不十分な可能性があります;。
さて、理想や目標がいくつもある場合はどうすればいいでしょうか。
現実には、時間や金銭などの制限があるので、すべての理想や目標が達成できるとは限りません。
理想や目標が複数ある場合や、チーム作業などで今のままでは意見がまとまらない場合には、自分またはチームの理想・目標に優先順位をつけるのが効果的です(※ 第一学習社 P.5、※数研出版 P.18)。
部活でも趣味でやってる練習なら、好きな時間配分で練習すればよいですが、しかし、もし部全体として「試合に勝ちたい」とかの目標があるなら、部の勝利のために効果的な練習に時間を優先的に配分する必要があります(※ 数研出版)。例は運動部でもなくても良く、別に体育祭でも何でも良いです。
課題や目標が複数ある場合、トレードオフの関係にある場合もあるので、そのことを認識する必要もあります(※ 実教出版、数研出版)。少なくとも、学校での部活の課題の場合、部費と言った費用の限界、練習場と言った場所の限界があるので、決して無制限に何でも叶う(かなう)なんて、ありえません(※数研出版の見解)。
練習量の多さに満足してはいけません。
スポーツなら、本番前に、本番を模した予行練習とかをしてみて(※ 開隆堂)、自分たちの練習法が果たして本当に正しいのかを検証しなければいけません(※数研出版)。
実際の戦績などを見て、もし練習しても成果が出て無さそうなら、練習法を直さないといけません(※数研出版)。これがPDCA法の考え方です。
なにかの理論通りに練習してみれ成果がいつまでも出ない場合、その理論は間違ってるのです。
そして、本番が来たとします。本番が終わったあとも、本番での自分たちの結果を記録し、来年以降に後輩などが役立てられるように備えます。または、自分たちが来年以降に役立てても構いません。 (いわゆる「アーカイブ」化。普段は使わないが後年に使うかもしれない情報を記録して整理して残して資料化したものをアーカイブと言います。)
また、本番の結果もPDCAサイクルの一部にして、練習方法などを検証してみたりもします(※数研出版)。
スポーツを例にして説明しましたが(なお日本文教出版の例)、工場の品質管理や生産管理などにPDCAサイクルの手法は応用されています(実教出版)。
(※ 範囲外)暗黙の前提ですが、PDCAサイクルはなるべく短期間で回す必要があります。つまり、世の中には反面教師として、Plan→Do→Do→DO→Do→・・・ みたいにやたらとDoが長かったりして何か月もかかったり、あるいはPlanが長かったりして何か月もかかり、一向に検証 Check や修正後の再行動 Action につながらない人がいて、これではPDCAが形骸化(けいがいか)しています。
デザイン(design)とアートは違います。デザインは自己表現ではありません。東京書籍かどこかのサイトにある情報科目のパンフレットでは、アートとデザインは別物だと、イメージ画像で説明しています。
なんだかピカソ的な良く分からない絵や像をつくるのがアートで、そうではなくて図解などで文字を読まずに(もしくは少ない文字で)絵だけで分かりやすく説明するのがデザインです。
デザインのうち、情報デザイン(information design)と言われる分野があります。
アートと情報デザインの違いとして、上記の違いのほかにも、アートは多様な解釈を許しますが、情報デザインでは解釈を、正しい解釈だけで一通りに人々に受け取ってもらえるようにしなければなりません(※第一学習社)。たとえば、もし外国人など文化の異なる人が道路標識や非常口マークやトイレのマークなどを見たら(こういった標識も「情報デザイン」の例です)、その意味を一通りに理解できないと、事故の原因になってしまうので、情報デザインでは一通りの解釈でないといけないのです。
余談ですが、色は国によって解釈が違うので、ピクトグラムに色を使うときは注意が必要です(※第一学習社)。たとえば太陽の色は、日本では赤で表す人が多いかもしれませんが、外国では白や黄色で表す人が多い国もあります(※第一学習社)。普及しているピクトグラムを見れば、色を見ずとも形状だけでも意味が推測できるようになっているデザインが多いでしょう。
なお、情報科目だけでなく、美術2でも似たようなデザインとアートの違いについて習います
じっさい、美術の教科書会社のサイトにある動画でも、そう言っています。
デザインは問題解決のために、観客に分かりやすく、観客が楽しめるように絵を交えて説明する絵画作品のことです。
なお、デザインする仕事の人のことを「デザイナー」と言います。
ともかく、デザイナーは作品で情報が分かりやすく伝わらないと意味ないので、なので普通の人の気持ちもある程度は分からないといけません。
なので、情報デザインの授業でたとえば「学校の紹介をするwebサイトを作ろう」みたいな事になった時は、きちんと分かりやすいwebサイトを作ってください。
なお、別単元の「プロトタイプ開発」なども参考にするとよいでしょう。
教科書会社によっては「プロトタイプ」と言う呼び方ではなく「試作」と読んでいる会社もあります。まあ、内容は同じで、要するに試作してから、細部をつめていきます。
パンフレットやwebサイトなどの情報伝達メディアを作る場合、対象者(ターゲット)に分かりやすい表現をする必要があります(※ 日本文教出版I・P96、開隆堂)。
特に幼児や小学生などの子供向けの場合、それらの年齢層にも分かりやすい表現が必要です(※ 開隆堂)。
日本文教出版『情報 I』いわく、「わかりやすさ」「見やすさ」「読みやすさ」が、情報伝達メディアを作る際のポイントです。
デザイン(『設計』という意味)の分野では、けっして、なんでもかんでも議論で決定するべきではありません。
アイデアの良さを確認する場合は、実際に試作品をつくって、アイデアがうまく行きそうかどうかを、実験的に手を動かして確認してみることも必要です。
たとえば、あるウェブサイト用のイラストを描く場合を例をあげると、まずラフ画(簡略化した線画などからなる、おおざっぱな絵)を書いて、協力者や依頼者などにラフ画を見せて意見を出してもらって、構図に問題が無いかなど、いろいろと確かめます。
あるいは、大まかな線画に加えて色も大まかに塗るくらいなら、いいかもしれません。
そしてウェブサイト用イラストの場合なら、まずラフ画ができたら、そのラフ画をさっさとスキャナーなどでデジタルデータにして、先にHTMLファイルなどで製作中サイトに表示してみて、いろいろと確かめてます。
たとえば、ラフ画が色付きなら、「その画像の色は、はたして本当にこのサイトで表示しても大丈夫か? 文字の色と紛らわしくないか? サイトの背景の色と紛らわしくないか?」とか様々な問題点の有無を確認します。
あるいは、サイトの説明文などを組み合わせた状態を実際に閲覧してみて問題点が無いかなども、確認してみます。
(いくら、紙に書かれた単品のイラストだけを見ても、サイト上で説明文と組み合せた時の問題点は、実際にコンピュータ上で組み合せてみないと、気づくのが難しいのです。 なので、実際に試作してみましょう。)
「ペーパープロトタイピング」という市場のスケッチだけでアイデア出しをする手法もありますが(※たとえば検定教科書の東京書籍『情報II』でも紹介されています。日本文教出版でも用語なしで紹介)、しかし「ペーパープロトタイプ」という用語は採用しなくていいです。そもそも、ペーパープロトタイピングは、日本語でいう「試作」ではなく、経産省が言うにはアイデア出しの手法です。
経産省および独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の見解では、ペーパープロトタイピングは、アイデア出し手法のブレーンストーミング法やKJ法などと同列の手法であると、経産省らの資料『デジタルスキル標準』ver.1.1 の表に書かれています。
なお、文科省の教員研修要資料にあるペーパープロトタイピングの使い方は、まとまったアイデアをさっさとスキャニングして、それを実際にパソコン画面などで見ることで、配置などを検討しています。そういう使い方です。
ただまあ、現代ならタッチペンのあるデバイスとツールで画像を書いて、それをパソコンに取り込むほうが早いと思います。スキャナーに並ばなくて済むし。
ハッキリ言って、(検討ではなく)検証の目的ではペーパープロトタイピングは役立ちません。コンピュータ関係のアイデアの検証をしたいなら、実際にコンピュータの実機で動かすしかありません。
裏を返すと、IT業界でいう「設計」というのは、実際に動くものを作るなどして簡易的な検証をすることも含まれています。なお、経産省の資料では、「設計」のあとにユーザーに使ってもらうなどして(※ 資料の「ユーザビリティ」からwiki側で推測)、本格的な「検証」の工程があります。
「ペーパープロトタイピング」というのは、単に、構想のアイデア出しの打ち合わせのときのスケッチを別の用語で言い換えただけに過ぎません。しょせん「ペーパープロトタイピング」はアイデア出しにすぎず、検証ではありません。
一般にIT企業でも製造業でも、さっさと実機で動くかどうかを確認するのが一般的な意味での「プロトタイプ」であり「試作品」です。少なくとも企業が若者に求めている能力はそれです。
アイデア出しばかりせず、良さそうなアイデアが出たら、(安全に配慮しつつ)さっさと検証してください。
素人どうしの高校生が、実機での制作すらしたことないのに紙上で議論しても、どうせピント外れの議論になって、無駄の無駄です。
webサイトくらいさっさとhtmlで記述して、試作できるでしょう。中学生ですら試作できます。
紙上での議論が必要なジャンルがあるとしたら、もっとカネのかかるものを制作する場合の話です。イスを作るとか、傘立てを作るとか、そういう実物のあるものを作る場合なら、紙上でのスケッチも有効かもしれません。
ですが、webサイトはそういう実物ではありません。さっさとHTMLでwebサイトを書いてください。
PDCA法などの評価手法・修正手法などによる評価(Check)や改善(Act)などは、まず先にプロトタイプで実験してからのハナシですし、まずはプロトタイプを利用者に見てもらうなどの必要があります。
もし仮に、先に絵を細かく書いてから、あとからウェブサイトに取り込む方式の開発をしてしまうと、もし文章との組み合わせでの問題点があったときに、作り直しになってしまい、大幅に時間を無駄にしてしまいます。
なので、まず先に、試作品で、最終的な全体像に近いほうを、試す必要があります。
単にラフ画を描くだけでなく、さらに、なるべく、サイトの全体像を先に試作する必要があります。
このように、なにかを試作する場合には、なるべく、試作でいいので全体像を先につくってみて実際に実験することで、全体像を確認してみます。そして、全体の確認が取れたり、あるいは全体像のミスが修正できたら、あとから細部を作り込んでいきます。
文科省の動画教材でも言われてるのですが、最近のホームページ作成は難しく、いきなりCSSとかを駆使して作るのは、ふつうの高校生には無理です。
というか、そこまで出来ないから、いま高校生が情報系の科目を勉強しているわけです。
まず、あまりCSSなどのお作法は考えず、とりあえず習った知識だけを駆使して、とりあえずのwebサイトを作りましょう。
ネットでは大人が「CSSを使わないと保守性が悪い!」とか言うかもしれませんが、しかしwebサイトとして動かない欠陥品を保守しても意味が無いです。
保守性がどうこう文句を言う大人は、決して、あなたのwebサイト制作の手伝いなんかしてくれません。そんな口先だけの大人なんかの言う事なんかを真に受けるより、実際にYouTube動画や高校教材などを作ってくれている文科省や大学教授や高校教員の人々を信用しましょう。
動くものを作るのが先、保守性を上げていくのは後回し、です。
実際にプロトタイプを作る場合は、まず箇条書きなどでアイデアを文字に起こしましょう。(※ 日本文教出版の教科書がそう。)
もし文字起こしをせず、頭の中で考えるだけだと、脳内でアイデアの記憶を維持するだけで脳のエネルギーを使ってしまうので、新アイデアの創造にまで頭が回りません。
『国際大学』という大学院大学とNHKが、プロトタイピングに使えそうな動画を作っています。クラウド関係の啓もう(けいもう)の動画ですが、視聴したところ、プロトタイピングにも使える内容になっています。 『みんなとクラウドで作業するとき、大切なことって何?』 FuLL, 動画中、小学生が学級新聞をつくるためにクラウド活用してプロトタイピングをしています(なお、動画中では『プロトタイプ』の語は出ていません)。今時の学校でのプロトタイピングは、コンテンツを作る場合にはクラウド活用することもあります。
デザイン案について、可能なら、ユーザー層などにwebアンケートを実施します(※第一学習社 P.75)。たとえばデザイン案が複数あって決まらない場合など、アンケートを取ると良いでしょう。
アンケートの際、「よい/わるい/ふつう」といった感想の選択肢のほか、なぜそう思うかの「理由」も必要です(※第一学習社が推奨している)。
検定教科書では「理由」が必要な理由までは説明してないのですが、世間一般には、選択肢を選ぶだけのアンケートだと、手抜きをしてデタラメにつける人がいます。
高校の文化祭webサイトのデザイン案とかだと、時間的な限界もあるでしょうし、アンケート実施まで可能かどうかは分かりません。
ですが、たぶん教科書会社はそういう感じで、高校生や高校教師などにアンケートを取りつつ、検定教科書を作っているのでしょう。
日本文教出版の情報IIの教科書で、webサイトのモジュール開発する場合は共通部分としてプロトタイプで「ひながた」をつくっておいて、変わる部分だけを個々人に依頼すると良いみたいな事を言ってますが(日本文教出版『情報II』P43)、説明不足、あるいはマチガイです。(なお、ヘッダとかフッタとかを共通部分として使いまわしをする挿し絵あり)
正しくは、まず上述の節での説明のように、全体像を試作するのが先です。
webサイトを作る場合なら、十数分で作ったような低品質なページで良いので、実際にコンピュータ上で、HTMLなどで記述されたwebサイトを作り、とにかくブラウザ上で確認できるところまで作ります。
たとえば日本文教出版の教科書では「出し物詳細その1」「出し物詳細その2」「出し物詳細その3」を、3人に分担させてモジュール制作させています。(おそらく、文化祭か何かの出し物のサイトでしょうか。)
このようなサイトを作りたい場合、もっといい方法は、
まず、仮の「出し物詳細(仮1)」「出し物詳細(仮2)」「出し物詳細(仮3)」「出し物詳細(仮4)」とかをサイト制作者が1人で作っておいて、それをまず画面に組み込んで確認するのが先です。
そして、サイト上で、複数の出し物(仮データ)を表示しても異常が無いかとか、そういうのを実際にサイトの動作を確認するテストをするのが先です。 つまり、本番データ作成よりも前に、まず仮データによる動作テストを行います。(※ 検定教科書(日本文教出版、実教の「情報II」)では、この工程が抜けています。この工程が無いと、本番データでテストすることになるので、運が悪いと最悪、本番データの作り直しになり、時間が大幅に遅れます。
文化祭の出し物のデータなら、たとえばクラス名は高校「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが、本番データへの混入を防げて安全でしょう。 人名なら、「山田 太郎」とか、「東京 花子」みたいなのを仮データにすると良いでしょうか。
なお、この仮データは見本を兼ねます。読者の皆さんも、よく何かの申込書とかを書くとき、「山田 太郎」とかを例にした見本を見るでしょう。ジュール開発をする場合も、まず、そういう見本が無いと、依頼を受けた作業者は分からないのです。
ほか、「モックアップ」と「ワイヤーフレーム」と「プロトタイプ」の意味の細かな違いは、どうでもよく、なぜなら業界によって意味が微妙に変わるから。
さて日本文教出版の教科書の挿し絵によると、「出し物」をヨコ3列に表示するようなので、だったらテスト時には4個以上の仮データが必要でしょう。ヨコ1行あたりにタテ3列までしか表示しない「出し物」の改行が上手く行くかを確認するためには、4個以上の出し物データが必要だからです。
そして、上述のような試作テストを簡易でいいので終わらせてから、実際の出し物のデータに置き換えるため、それからモジュール開発の依頼を出すべきです。
したがって、モジュール開発する場合は、その前に行ったテスト時の仮データを上書きして本番データに置き換えするような形で、開発していくことになります。
もしサイト中に絵が必要なら、5分や10分で書いた稚拙(ちせつ)な絵でいいので、できれば、とにかく分かりやすい絵をデジタル上で描き、それを組み込みます。
あるいはサイト中にテーブル表などがあるなら、架空のデータで良いので、さっさと数分でデータを試作品として入れます。
まず、ソフトウェア的にバグが無いかを確認するのが先ですので、まず仮データでいいので全体像を作らないといけないのです。
もし、「時間を何時間もかけて、本番データを作成して入力したあとに、バグが発生して、データの作り直し」なんて事になったら、目も当てられません。
だから、まず、最低限の時間で(ただし、チーム仲間が見ても、ソフト動作の確認が分かる程度には、作りこみが必要)、実際に全体像をつくるのが先です。
仮データのファイル名はたとえば「出し物1(仮)」みたいな無難なものにしましょう。
仮データを作る際、もし本番データにまぎれこんでも困らないように、けっして変な名前はつけないようにしましょう。たとえばファイル名に「うんこ」とか「unko」とかつけると、最悪、本番データにまぎれるとトラブルになります。ファイル名「unko」とか付けると、トラブル防止のための確認といった余計な手間を増やしてしまい、チームの負担になります。
仮データのなかの文章も、本番でも使えるようなマジメな文章にしておきましょう。既に例示しましたが、文化祭の出し物の仮データなら、たとえばクラス名は高校「5年1組」とか「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが安全でしょう。
チームで共同作業をする際、それぞれが別のユーザー層を思い浮かべていては、うまく共同作業ができません。
なので、具体的なユーザー層を、チームの皆で考えます。
ユーザー層を考える時、典型的なユーザーを最低でも1人、考えます。
その典型的ユーザーを考える際、名前や職業や年齢や性別、性格、家族構成、趣味や将来の志望、などといった具体的なレベルまで、人物像を決めておきます。
また、それができるようになるために、簡易な取材でいいので、事前にユーザーにインタビュー取材およびユーザー調査などをします(日本文教出版 II)。
このように、典型ユーザーのイメージ像を具体的に共有する開発手法を「ペルソナ法」と言います(東京書籍 I、日本文教出版 II)。
手法の名前「ペルソナ法」はどうでもいいです。具体的なユーザー層を考えましょう。
このように具体的にユーザー像を決めることで、ユーザー層の理解が深まるし(日本文教出版 II)、また、チームメンバー同士の考え違いなどを防止できる(東京書籍 I)。
東京書籍が言ってる手法ですが、一人のユーザーのペルソナではなく、複数人(数名ていど)のペルソナを設定する方法もあります。
その際、各ユーザーのペルソナの利益が反することがあります。
デザインの改修案が、あるペルソナAには利益があるけど、ペルソナBには改修前のほうが良かった、みたいな場合です。
このようにペルソナ同士の利益が反する場合、どのペルソナを1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があります(東京書籍 I)。
多数決ではなく、人物の序列で決めるのがポイントです。
東京書籍はそこまで言ってないですが、カネなどを提供しない客以外の人からウケても、意味がありません。たとえば高校教科書の文章の設計なら、高校生でもなければ保護者でもなく高校教師や塾講師でもなければ文科省や教育委員会でもない、世間のオッサン・オバサンとか大学院生とか幼稚園児とかに受けても意味が無いわけです。
一例として、2位以下のユーザーからの要望は、1位のユーザーの利益に反しないかぎり、受け入れる、といった感じです(東京書籍 I)。
業界によっては、別の言い方で「メインユーザー層を決める」とか「コア層を決める」「コア層に従う」とか「メインのターゲット層を決める」みたいな言い方をするかもしれませんが、意味合いは大体、似たような感じです。
東京書籍が言ってるのですが、ペルソナを設定する際に、ユーザー調査ではなく自分のやりたいことから逆算して都合良いペルソナを設定するという、ダメな人が時々います。チーム作業とか他人のお金で仕事をしている場合は、そういうダメな自己表現はしないようにしましょう。
ユーザーを無視して自己表現で自分のアイデアを世に問いたいなら、自分のカネでやりましょう。他人のカネと時間を使うな。
ホームページを作る場合、上記で良いと思います。
もし、作りたいものがホームページでない場合、たとえば何かの画像を作りたい場合、そういうのに便利なツールを使いましょう。
文科省の教員用の教材では、ベクター画像の編集ソフトウェアについて、レイヤーの概念を教えています。
Windows『ペイント』には、レイヤーの機能は無いはずです。
ラスタ画像なら、お絵かきソフトなどで無料のソフトでレイヤー機能のあるソフトがあるので、それを使いましょう。もちろん、有料ソフトにもレイヤー機能のある製品が、ふつうにあります、。
検定教科書がwebサイトのコンテンツ制作を例にプロトタイプを説明してるが、全然、なってない。
JavaScriptとかそういうのは、後回し。特に、業者の作ったwebサイト作成ツールを使っている学校のwebサイトの場合、JavaScriptをいじるのは素人では無理。
なので学生・教職員の出来ることは、まず、普通の日本語の文章だけでいいので、文章または箇条書きなどで、必要事項を説明する。
HTMLファイルをいじる事になるが、この段階では、既存のタグはいじらないで、そのままにしておく。まだ、当面はタグは追加しない。
body タグのブロック内に本文を書くことになると思うが、まずは本文だけで必要事項を説明する。業者のwebページ作成ツールを使っている場合なら、ツールの操作指示にしたがって本文を記述すればいい。
文化祭のwebページなら、開催日とその時間帯といった日時とか、一般公開の有無とか、来校の方法とか(自動車・自転車は不可など)、そういう情報をまず列記。
見た目を整えるのは、後回し。CSSとか、後回し。そもそも業者ツールの場合、CSS編集できない場合すら、ありうる。
さて、出し物の一覧は、どこの高校でも、すでにそういうファイルがpdfなどで別途作成済みなので(印刷用にPDFをどこの高校でも使うので)、その既存のpdfファイルをアップロードし、ダウンロード用のリンクをwebページ内のどこかに配置。pdfアップロードの操作方法については、今時の高校のサイトは、業者がつくったツールの上に、アップロードしたいコンテンツを追加していく方式なので、それぞれのツールごとの操作を確認。
業者にも寄るが、アップロードの原理は単純で、単にファイルサーバーにpdfファイルごとアップロードして、そのサーバーのアドレスのリンクを href タグまたは別のタグなどで記述しているだけである。業者のツール側で、ファイルの種類を判断して、勝手に上手いこと、表示をしてくれる。
だいたい、どこの高校の文化祭サイトでも、
<a href="https://www.学校名.ed.jp/2023-文化祭-スケジュール-1.pdf">ダウンロード</a>
みたいなのがソースファイル中に書かれている。学生側は、ソースコードをイジル必要は無い。学生は、業者のツールに任せて操作すればいい。 むしろ、業者のツールに任せなければいけない。htmlファイルをいじるのは、保証のサポート外になってしまう可能性がある。
JavaSvriptの部分は、いじらない。どうしてもイジるなら、プロの技術者を確保すること。コンテンツの内容と、プログラムの両方を管理できる時間は無い。なので、プログラム専属の人が必要。そんな人手と予算が無いなら、JavaScriptはいじらない。
情報デザインやプロトタイプ開発をする際、話し合いなどで「ユーザビリティ」や「ユーザーエクスペリエンス」などの用語を使うかもしれませんが、これらの用語のいくつかは国際規格の ISO にも規定されています。
とりあえず、検定教科書と同じ意味で使っていれば、特に問題はありません。
ISO規格のうち、「人間中心設計」と言う分野で、定められています。
内容も、ユーザーのニーズを調査しろだとか、それを文書で残して明確化しろとか、ふつうの事が書いてあるだけです。
設計の基本を押さえていれば、問題ありません。
ユーザーニーズを把握して設計のアイデアが決まったら、そのあと試作品を作れとか、試作品を作ったらそれをテストして改善しろだとか(いわゆる「PDCA法」のこと)、そういう普通のことがISOの人間中心設計で定められています。
日本など先進国の技術系の会社では、こういった設計手法は常識ですが、しかし世界にはそういう設計手法が守れない未熟な国があるので、そういう未熟な国との貿易を断る口実がISOです。冗談とかではなく、実際に ISO を守れないと、欧州企業などからは取引停止などの口実にされるかもしれません。
仕事をする際、色々といくつもの事をしないといけません。そのための自分のスケジュールなどの管理方法としてToDoリストがあります。
要点は下記の通り
ToDoリスト作成の理由は、まず、忘れないようにメモ帳などに、やるべき仕事を箇条書きにしてリストアップするのは当然です。後述の作業のため、パソコンでリストアップしましょう。
加えて、重要度順、または締め切りの早い順に並び替えます。なぜ必要かと言うと、メモしないと、いつまでも頭の中で覚え続ける必要があるので、脳味噌を疲れさせてしまい、本来の仕事に集中できません。なので、メモする必要があるのです。
特にIT系の仕事や設計(英語で design デザイン)などの仕事は集中力を使うので、覚え続けるために集中力を使ってしまうと、本来のIT仕事に集中できなくなり、効率がかなり低下します。
また、順序を並び替えないと、いちいち、「どの仕事の重要度が、どのくらい高いか、低いか」を覚え続ける手間が生じてしまうので、やはり本来の仕事に集中できなくなってしまいます。
(新人ではなく)もしかしたら管理職なら、手配先(てはいさき)ごとに作業(タスク)を分類したりとかもあるかもしれませんが、しかしそれは新人の時点では、することではありません。新人が当面のあいだToDoリストでするのは、優先度順の並び替えです。
ともかく、優先度順にToDoリストの各項目を書く必要があるのです。
で、箇条書きにした各仕事にじっさいに取り掛かって、各仕事が終わったら、それぞれ終わった仕事に【完了】 とか 【済み】 とか、同じ行に書いておきます。終わった各仕事は、メモからは消さずに、「完了」とか書いて残しておくのがコツです。
なぜなら、あとから確認作業などのために、仕事を振り返ることがありますので。もし消すと、思い出すのに手間が掛かり時間の無駄ですし、集中力が下がります。それに振り返りもできなくなってしまいます。
なお、別の節で「問題解決」を紹介しますが、ToDoリストの作成も、PDCA法などと並ぶ、問題解決のための有効な手法のひとつです。関連付けて理解しましょう。
「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。
まず試作では、最小の機能だけを設計する。これをMVP(Minimum Viable Product)と言う。
当wikiでは他の範囲外コラムでオーバーエンジニアリングを避けるべきことを注意喚起しているが、このMVPはオーバーエンジニアリングを避けるための手法の一つである。
文科省の教師むけ動画でも、たとえばチャットアプリを作るならメッセージのサーバーを介しての送受信とその保管だけを優先的に実装する例を出している。リマインダー機能やToDoリストなどの機能を、設計から排除している。なお、文科省の動画では、これを動画では「要件定義」として紹介している。
なお、同動画はPDF化されている。 『情報システムとプログラミング 情報システムを設計しよう』4.。
最終的にリマインダー機能をつけるかどうかはチームの目的によって異なるだろうが、とりあえずソフトウェアの開発当初の段階では不要だろう。(最低限の機能の実装も出来てないのに、あれこれと他の機能を考えても、ことわざでいう『とらぬタヌキの皮算用』みたいなもんでしかない。)
開発コストを下げるため、こういうのが必要。余計な機能をつけると、開発コストが増大しやすいので、あまり余計な機能を増やさないほうが安全。
オーバーエンジニアリングを避ける手法の一つ。
(資料では言及していないが、)開発が長引いたりすると、当初の問題意識が何だったのかの記憶が薄れたりして、不明確になりやすい。
または、すでに開発初期から、チームメンバーごとに目標が微妙に食い違ってしまっている場合もある。そうすると、トラブルが起こりやすくなる。
なのでトラブル防止のため、開発の初期に、その製品開発が満たすべき第一目標や優先目標などの目的を明確にチームで共有する必要があるので、そのために言語化してイメージを共有する必要があり、このような優先目標などの言語化を「ゴール設定」などとビジネスでは呼んでいる。
たとえば、遊具をデザインするなら、「幼児~小学生を対象に(ターゲット)、楽しく安全に遊んでもらう(目的)」のようにゴール設定するのです。
なお、この遊具の例のように、ゴール設定の際、メインの使用者層の設定も必要になることがあり、その使用者層のことを「ターゲット層」などとビジネス用語ではよく言います。
デザインでは「使用者(ターゲット)」の設定が必要だと説明しています。
ターゲット層を設定する際も、ペルソナ法などを活用して、そのターゲット層の代表的な人物の性格・職業・趣味・夢などの具体的な人物像が分かるレベルにまでターゲット層を明確に設定しましょう。
一般向けのグラフィック系のデザイン入門書でも「ゴール」と呼んだりもするかもしれません。高校の検定教科書(日本文教出版の情報IIでも、「ゴール」という言い方はしていませんが、「目標」という言葉で、ゴール設定と同じことを紹介しています。)
ターゲット層を設定しつつ、その領域を拡大することも経産省は求めてます『デジタルスキル標準』P.87。 ※ 「(ターゲットとなる顧客・ユーザー、領域の拡大等)」と言う文言が試料中にある。
書籍『浦和高校論文集』(佐藤優 編著、K&Kプレス、2019年)を読んでいたら、2010年代の公立高校の高校生が卒論で「ターゲット」という言葉を特に注記なく普通に使っていました。。コメダ珈琲について、「コメダはモーニングというサービスがある。コーヒーメニューを注文すると、厚切りのトーストとゆ卵がついてくるというサービスだ、朝の時間帯、特に独身のサラリーマンをターゲットにし成功している。」。という文章です。
2010年代の公立高校生でもターゲット層という概念を知っているんだから、2020年代の高校生だったらもう知ってて当然でしょう。
ターゲットの設定法は、モニタリング(観察)とすでに習ったプロトペルソナ法である程度は対応できるでしょう。
さらに「KPI」(ケーピーアイ、Key Performance Indicator)の知識と活用を、経産省『デジタルスキル標準』では求めています『デジタルスキル標準』P.87。KPIとは、実際にその商品がどれだけユーザーに好まれているかを、現実の自分らの提供中の商品分析から実証的に定量化した統計データです。
たとえば、自社のwebサイトが人気があるかどうかを確認したいなら、決してアンケートなどではなく、実際にそのサイトの1週間や1月など期間あたりの閲覧数のをもとに判断するのが、KPI的な考え方です。閲覧数など統計を記録した上でならアンケートなど実施するのも構いません。(アンケートはKPIとはあまり関係ないので、説明を省略します。)
閲覧数を記録するサービスをさらに細かく分けていけば、どのサービスに人気があって、不人気なサービスは何なのかとかわかっていき、改善点などが判明していきます。PDCAサイクルにおける、チェックの手法の一つと言えるでしょう。文字アンケートだけのチェックだと、文章が得意な人しか回答してくれなかったりして、消費者などの実態を反映しづらいので、なのでKPIによって実際の消費者らの行動を測定します。
経営学などの格言で「人の言ってる事とやってることが違う場合、本音はやってる事のほうだ」という感じの格言があります。KPIもそれと同じで、ユーザー層たちの実際にやってる事を分析します。
ただしKPIだけではユーザー層の細かい感情が分からないので、別途、インタビューなどを中間的にユーザーの一部に行います。ただしそれはKPI分析とは別の作業なので、インタビューについては説明を省略します。
たとえば文化祭のwebサイトの効果を測定したいなら、個々のページの閲覧者数や予定表PDFなどのダウンロード数だけでなく、さらに入場チケットの予約数とか、実際の文化祭当日の入場者数とか、そういう数値も記録するべきです。
とはいえ、不祥事などによって閲覧者数を増やしても意味がありません。そこで、そのKPIで設定した測定項目の前提として、ゴールも設定する必要があります。
たとえば文化祭サイトのゴールなら、「学校のために足で出向いて文化祭に来てくれるようなファンを増やす」あたりがゴールでしょうか(ゴールは学校によりますので一例です)。
KGIという、ゴールがどのていど達成されてるかを測定する指標の概念もありますが(企業なら「売上」や「利益率」などをKGIに設定する)、これは高校生にはどうしようもないので、説明を省略します。
ただ、ゴールを意識化することは高校生でも可能でしょう。
企業でKPIを設定する場合、単に閲覧者数や訪問者数などだけを記録するのではなく、さらにそのうち購入者数がどれだけいるかや購入率(購入者数をサイト閲覧者で割った数値)なども記録します。
高校の文化祭の場合、商売をしているのではないので購入者数や購入率は記録しようがありませんが、そういう事も覚えておいてください。ビジネスでは、カネを出さない人にウケても意味がないので。
購入率を見るのは、たとえば、閲覧者が1千人だけど900人に売れている商品Aと、閲覧者数が1万人だけど2千人に売れている商品B、売れ行きが良いのはどちらでしょうか? という問題です。ゴールにも寄りますが、投資効率で見れば、普通は900人に売れている商品のほうが投資効率が良さそうと見るでしょうか。(ただし、経済学には「規模の利益」といった概念もあるので、場合によります。)
高校の文化祭なら、購入者数の代わりに、実際に文化祭で入場した人などの割合も記録することになるでしょうか。これはチケット予約の状況などを測定すれば、ある程度は事前に推測可能でしょう。もちろん、当日の入場者数も記録しましょう。
企業などでのKPIの測定では、リピーターの人数およびリピート率も測定したりします。
たとえば、(開店の初日でもないのに)もし1回しか商品を購入しない人の割合が多いとすれば、「きっと、購入者の多くが実際に購入したときに、不満があったのだろう」と問題点が存在しそうな可能性の高さを想定できます。
なので、リピート率を何らかの方法で測定します。
高校ではそこまでの測定は難しいかもしれませんが、こういうのがKPI的な分析方法です。
こういうツールを、アクセス解析ツール(web analytics tool)と言います(※ 日本文教出版 II ・P.38)。
Google Analytics はwebサイトの作り手が解析用のタグをソースコード中に貼り付ける方式であり、このような方式をwebビーコンと言います(※日本文教出版でwebビーコンをweb解析ツールの単元で紹介)。
webビーコン型のほかにも、サーバログ取得型やパケットキャプチャリング型があります(※ 日本文教出版II)。
暗黙の前提だが、たとえ利用者側が「送信」ボタンとか「購入」ボタンとかそういうボタンを押さなくても、webサイトにアクセスした時点でサーバー側にはアクセス記録が残ることになる。
KPIは、単に数値を表で羅列するのではなく(表にすらしないよりかはマシですが)、できればグラフにしましょう。
KPIを算出する目的は、改善点などの問題発見のためです。なので、グラフ化することで、問題発見をしやすくしなければなりません。
なお、このような複数の別々の項目の最新データをグラフ一覧としてまとめたものを「ダッシュボード」と言います。
なお、Google 以外のクラウドサービスでも、たとえば教員の使っている授業用のクラウドソフトなどにも「ダッシュボード」という機能があり、生徒の状況(出席日数とか成績とか)などをグラフ化して、定量的にモニタリングしています。
経済産業省は、デザインとは基本的には問題解決に寄与すべきものでなければならない、というような見解です。
で、内閣官房などの命令で、文部省と経済産業省などはICT教育において連携するようにと、それぞれの官庁は命令されています。
ともかく、IT系やビジネス系の業界で「デザイン」の仕事をうけおう場合、問題解決を優先しましょう。
詳しくは、下記コラム。
箇条書きメモの必要性(※ 範囲外)
ほかの節でもメモなどの箇条書きの必要性を述べてますが、設計などの仕事などをする際、手元のメモには必要事項などを箇条書きをすると良いでしょう。「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。
もし分業や外注などをする場合でも、箇条書きをしてあることによって、どの作業を分業すればいいか把握しやすくなります。
箇条書きをしたうえでなら、箇条書きでは説明しきれないことがあれば文章にするのも構いませんが、まずすべき事は箇条書きです。
ウォータオフォールとかスパイラルモデルとか。
ただ、高校生の段階では、ウォーターフォールは使わないだろう。
システムへの高度な専門知識がないとウォータオフォールは使いこなせないので。
NHk『情報I』で最終回で言ってたのですが、学校で探究活動や実習などで課題の解決案を出したら、なるべく学外にも公開しましょう。たとえば、地域の課題をIT技術で解決しようとする探究活動をしたなら、その成果の知見を当の地域の人たちに公開しましょうと、そうNHKに出演した大学教員は言ってます。
しばしば、せっかく新しい発見やアイデアを出しても、それが学校の中だけで完結してしまい、社会に何も還元しないことがあります。また、学校内で情報の流れが閉じていたりすることがあるのも問題です。
自治体でも、地域との交流のため、東京など金のある地域では、自治体の主催によって、地元の学校どうしの探究発表会を開催しています。さて、そもそも、公立高校は税金で補助を受けてるのですから、成果はなるべく発表しましょう。
また、自治体や教育委員会などは、こういう、高校どうしの情報共有や連携などの取り組みを支援しなければなりません。NHKの例でも、アンケート調査をする探求学習で、自校だけでなく他校にもアンケートを取っています。自治体はこういう学校間連携ができるように、教育環境整備しなければなりません。生徒や教職員だけの努力では無理です。ほかの公務員などの大人も仕事をしなければならないでしょう。
情報デザインを、もしかしたら将来は小学校で教えるかもしれないというニュース。小学校で新教科として情報科を設置する案があり(未決定。あくまで案)、その教育実験が東北の教育大附属の学校で行われている。
後述するKPT的な話のほか、構造化の話もしている。なお、構造化については本wikiでは『高等学校情報/情報の科学/構造化』に解説がある。ほか、対象者を明確にせよ、という話も上記の実験授業にある。ターゲット層の話。情報I・Iiの検定教科書でも、一部の教科書でターゲット層の話をしている。
ほかに紹介されたものを、上記の構造化とまとめて次に列記すると、
なども上記の実験授業にある。
(※ 「比較する」というのが何か、よく分からない。A/Bテストのことだろうか? それともソフトウェアデザインにおける模写のことか(他人の上手いソフトウェアの挙動と自作の挙動とを見比べる方法。)? )
上記ニュースでもあるのだが、なにかの告知ポスターらしき作品を作らせて、生徒どうしで成果物のレビュー(品評)を行わせている。
その際、「良かった点」と「改善点」を生徒どうしに述べさせている。評価を受ける際、他人からの評価を受けるのがポイントである。上記ニュースのリンク先でも、実験校の教師がそう指導している。
作り手の自分だけが分かっても、意味が無い。基本、ポスターというのは他人に何かを伝えるために作るので、他人から見て分かりづらいなら、反省点にしなければならない。
「改善点」を言わせるのがポイント。
「分かりづらい」という感想だと、言われた相手(作り手の側)にとっては改善点が何なのかが分からない。なので、生徒どうしで品評する場合は「問題点」ではなく「改善点」として、生徒の「漢字にふり仮名が無いので読みづらかった」という感想をもとに「ふりがなを追加すべき」という改善点になる。
下記のKPT法(ケプトほう)という品質改善手法が、これに近いだろう。(ただし、KPT法では「改善点」ではなく「問題点」を集めるという違いがある。)
プレゼンなど発表をした際、または発表前に仲間内でシミュレーションする際など、発表の良かった点・改善点を信頼できる仲間内で評価しあい、今後の改善につなげると、役立ちます(※ 数研出版の副教材の見解)。
※ 数研出版はここまでしか言ってないのですが、なぜそうすると良いのかwiki側で追加説明します。人によって、良い点ばかり気づく人もいれば、改善点ばかり気づく人もいて、人ごとに片寄りがあります。このため、発表などを評価しあう際、事前に評価シートなどに「良かった点」「改善点」の両方とも記入欄を用意したりすると良いでしょう。
世間には、お世辞ばかり言ってロクに発表内容を聞かずに「全部良かったよ」とか言うクソ野郎とか、その逆に発表者が嫌いとかの理由で全部ケチをつけるクソ野郎とかいるので、そういう人を排除するためにも「良い点」「改善点」の両方をします。というか、たぶん数研出版の編集部で、こういうふうに原稿などの「良かった点」「改善点」とかの相互評価をしているのでしょう。
「KPT法」(ケプトほう)というビジネス手法があります(KPIとは異なる)。Keep、Problem、Tryの略です。
良かった点は、今後も続けて欲しいので Keep (継続する点)、改善点は問題点が由来なのでProblem(問題点)、そして、KeepとProblemをもとに今後に挑戦すること(Try)を決める、という手法です。
ネット上ではKPT法とアンケートを関連づけてる記事は特にないのですが、しかし上述のように、アンケートで「良かった点」・「悪かった点」を最初から記入欄を設けることにより、アンケート収集者はKPTを自然に実践できるでしょう。
アンケートでは、KeepとProblemだけで十分だと思います。上記の数研出版のアンケート例でも、良かった点(Keep)と改善点(Problem)しか自由記述欄が無いし。
なお、Problemのアンケート結果で問題点の報告が集まったら、それをもとに、本質的に解決すべき課題を決める必要があり、この今後の課題のことをイシュー issue と言います。(なお、GitHubなどの管理サイトを使っていると、issueという項目がある。かなり高度に専門的な話だが、イシュー管理ツールとかチケット管理ツールとかいうサーバーソフトがあって、それで issue を管理できる。専門的すぎる話なので、読者は分からなければ、このカッコ内は読み飛ばしていい。)
issueを書く際、「なぜ困っているか」Whyという情報は、「何に困っているか」What に変換しましょう。最終的に解決する必要があるのは、目的語となる What だからです。
読者がもしToDoリストを知ってれば、このissue解決も、ToDoリスト上の解決すべきタスクに加えます。
そして、チーム開発をしているなら、issueを開発チーム内に報告して、情報を共有します。
Keepのアンケート結果は、今後の仕様とするかどうかを決めます。仕様とすると決まった場合は、それを社内のその製品の開発マニュアルなどのチェックリストに入れて、確実に今後も長所が反映されるようにします。
なお、アンケート回答者にProblemを書かせる際の注意として、改善策まで書かせないことです。改善策があると、別の工程(Try)が混ざってしまっているので、かえって分離の手間が増えてしまうので、収集側にとっては非効率になってしまうからです。改善策については、収集者の側で Try として考えます。そのため、「悪かった点」「問題点」などのような記入欄の題名にするなど、あえて否定的な表現の題名にすると良いでしょう。
つまり、Problemには、困りごとについて、5W1HでいうHowの形式で、実際に起きた事例をなるべく書きます。
改善すべき問題点は、放置すると今後の脅威になりうる問題点のみです。単に、苦手を克服することに価値はありません。
たとえば、アナタがもしベトナム語が苦手だとして、これからベトナム語を練習して得意になっても、ベトナムでの仕事に就職できなければ、そしてベトナム文化の研究とかの特技でもなければ、経済的にはアナタのベトナム語の練習の価値は低く、単なる趣味・道楽とみなされやすいのと同じです。
SWOT分析(「スウォットぶんせき」と読む)というのが、脅威に備える現状認識法であり、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)、の分析です。
SWOT分析は、課題解決の方法ではなく、現状認識の方法です。これらの思考ツールでいう「分析」とは、未処理では複雑・漠然(ばくぜん)で把握しにくい情報を、細かく具体的な情報に分けることです。分析と聞くと、ついつい原因を考えたくなりますが、しかしここでいう「分析」とは、原因を考えることではなく、分けて具体化することです。
SWOT分析など分析ツールそれだけでは問題解決できず、その分析で得られた具体的な情報をもとに別途、問題解決を考えていく必要があります。
さて、日本語の「弱み」という言葉のニュアンスとは、やや違っています。SWOT分析でのWeaknessは「脆弱性」(ぜいじゃくせい)のようなニュアンスです。よく「セキュリティ脆弱性」とか言いますが、その脆弱と同じニュアンスで、放置すると脅威を引き起こす、呼び寄せるものの事です。
たとえばポスター作りの「弱み」なら、「自分はいつも誤字脱字が多い」とか「文化祭ポスターの試作で、校舎をえがいたつもりなのに、どうやら観客には市役所の庁舎に見えてしまっているようだ」とか、そういう今後のトラブルを起こしそうな「脅威」になりうるレベルなのが「弱み」です。単に、「漢字検定2級をまだ取得してない」とかそういうのは、とりあえず放置しても今後の脅威にならないので「弱み」ではないのです。
すでにKPT法で分析している人は、いちいちSWOT分析を書き始める必要はありません。ただ、KPT法を活用する際、SWOT分析を知っていると、より上手にKPT法を活用できるようになります。
さて、私たちの今の目的は、「収集したアンケート結果の、今後のための分析と活用」です。目的、ゴールを、はっきりとさせましょう。この節では、KPT法への活用を想定して、SWOT分析の考え方のうちKPT法への流用に必要な部分だけを説明します。ゴールに寄与しない事は、後回しで良いのです。
ともかく、脅威にならない単なる苦手といった弱点は、改善の必要はありません。むしろ企業社会では、株主や銀行などは、脅威にならない弱点克服は単なる道楽(どうらく)みたいな扱いをします。
ターゲット層にウケない弱点克服をしても、意味がありません。たとえばベトナムで商売してない会社に就職しようとするのにベトナム語をいきなり練習しても、大して価値が無いのと同じです。
経済は「分業」とか比較優位(ひかく ゆうい)とかで動いているのですから、ベトナム語はベトナムの専門家に任せればいいのです。親戚がベトナム人とかでないかぎり、いちいちベトナム語を勉強しても、経済的には利益を得づらいのです。
ベトナム語の例なら、「ベトナム語の就職への活用をあきらめる」と言うのも改善策です。そのジャンルから「撤退する」「他の企業や競争相手に任せる」等も解決策です。実際、SWOT分析でも、「市場撤退」も、脅威への解決策の一つです。
さて、改善をする際、強み(Strength)を損なわないように改善する必要があります。
たとえば、ポスターに掲載する情報を増やすと、情報不足という弱点は解決しますが、そのぶん一つ一つの情報が目立たなくなります。どちらを優先すべきかは、用途によって変わります。」
よって、確保すべき強みに、優先順位をつけましょう。なお東京書籍の教科書では、別単元ですが、プロトペルソナ法の単元で、どのペルソナ(架空のユーザー層)を1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があると主張しています(東京書籍 I)。
ポスターを例にあげましたが、ソフトウェアのUIなども同様でしょう。
なお、どんなに強みを強化しても、基本、ぜい弱性は解決しません。たとえば、誤字脱字や誤情報のあるポスターで、どんなに絵を上手に書いても(あるいは写真を上手に撮影しても)、そのポスターの誤字や誤情報は解決しないのと同様です。
たとえば「虫歯の治療」のようなものです。虫歯のある小学生が(ぜい弱性)、その子の小学校の成績が良くて(強み)、どんなに小学校の勉強を頑張っても、何も虫歯は解決しません。歯医者に行くとか、せめて歯磨きを毎日するとかしないと、問題は解決に近づきません。
私たちの当初の目的を忘れてはいけません。このページの場合、当初の目的は「収集したアンケート結果から、今後のための改善策を考える」ことが目的です。
SWOT分析とかKPT法とかをあれこれと覚えることは目的ではなく、ゴールに寄与しません。単にこの節では、考え方の例示をしているだけです。
デザインレビュー(design reviews、略称:DR)と言う言葉があり、何かデザイン物を作るとき、いきなり本番にせずに、制作チーム内に設計案を提出して、チーム仲間たちに品評してもらいます。
なお、製作チームの仲間内でないレビューは、デザインレビューではなく、単なるレビューです。
どちらのレビューにせよ、アンケートなどで他人の製作物の問題点を書くとき、改善策につながりやすいように具体的に書くのがコツです。一言「わかりづらかった」とか「いまいち感」とかは論外です。そういうのは問題点ではなく、単なる感想です。仕事でないなら、そういう感想を言うのもいいですが、しかいs仕事の場合のレビューなら、「問題点」というには、「解決すべき問題は何なのか」がハッキリしないといけません。仕事でのレビューでは、なるべく解決すべき問題をハッキリさせましょう。
たとえばポスターの問題点なら、「文字が小さすぎる(または「大きすぎる」)」とか「文字が多すぎる」とか「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」とか「コントラストがキツくて読みづらい」とか、「子どもに来てほしいイベントなのに、子供が読めない漢字が多い。ふりがなも無い」とか「絵の線と文字の線とが密集していて、文字が読みづらい」とか「絵がイベント内容と違いすぎて、てっきり別のイベントだと誤解してしまった」とか・・・(以下略)、そういうのが問題点です。このように」具体的に問題点を書けば、あとは作り手は、その意見をもとに改善策を考えられます。
改善策については、たとえば1つの問題点について、複数の改善策があるので、それを作り手の側で考えます。たとえば問題点「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」なら、解決策は下記の2つ以上あるわけです。
などです。
なので、「問題」には、解決策を混ぜてはいけません。混ぜてしまうと、ほかの解決策を見落としてしまうからです。
上記のように改善策は複数個あるので、改善策については Problem には含めず、作り手側に判断を任せます。
しかし、ここまで問題点を具体的に報告できるようになるためには習熟が必要なので、教育的には、初心者はまず改善策を報告するようにしたほうが良いかもしれません(※ じっさい、数研出版の教科書のアンケート例でも「問題点」ではなく「改善策」を記述させている)。
ほか、論外の感想として、ポスターの感想なら「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」とか、そういうのも論外の感想です(こういうのは「問題点」「改善策」とは言いません)。なぜなら、解決のための絵の練習に時間が掛かり過ぎるので。暗黙の前提として、提示すべき「問題点」や「解決策」は、短期間かつ低コストで実践が可能な解決策でなければなりません。
さて、医療看護系の問題解決ツールで提案されているフレーズで、「す・じ・こ」というのがあり、「(す)すぐに着手できる、(じ)実現可能である、(こ)効果的である」というのがあります。
レビューでもPDCAでも、なるべく「すじこ」な提案をしましょう。
上述の「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」は、すぐには着手できないので論外です。
ほか、論外のよくある感想で、ターゲット層を無視した感想があります。
たとえば、マンガとかのレビューで、幼児むけのマンガ本やアニメなのに、大人が「もっと、大人の好みにあうように○○にすべきだ」みたいな感想もよくあります。自分の好き嫌いと、社会の要求との区別がついてない、頭のわるい大人です。「自分の好みの作風 = 上手い作品」という人は、大人も子供も、けっこう多いです。 | [
{
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"text": "まず、「問題」とは、理想と現実のギャップのことです(※検定教科書にそう書いてある)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "そして、問題解決のための「課題」とは、そのギャップを埋めるために具体的にしなければいけない事です。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "まず、問題や課題を正しく認識するために、なるべく数値的に認識することで、検証可能な形で(※ 実教出版の見解)課題を表現する必要があります。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "たとえば、部活をつくりたいのにメンバー不足な場合、目標は、けっして「部員を増やしたい」という表現はなく、もっと数値的に「最低でも部員が10人になるまでは部品を確保したい。5対5で対戦の練習ができるから」のように具体的に課題を数値で設定する必要があります(※日本文教出版 I)。また、理由も併記すると、応用が利きます。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "さらに、文章で課題や情報収集のインタビュー結果などを表現する場合でも、なるべく5W1Hが分かるように記録するべきです(※ 開隆堂の見解)。解決案を提示する場合も、なるべく分かりやすい表現にしましょう(※数研出版)。これが出来てない場合、解決案として、そもそも不十分な可能性があります;。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "さて、理想や目標がいくつもある場合はどうすればいいでしょうか。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "現実には、時間や金銭などの制限があるので、すべての理想や目標が達成できるとは限りません。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "理想や目標が複数ある場合や、チーム作業などで今のままでは意見がまとまらない場合には、自分またはチームの理想・目標に優先順位をつけるのが効果的です(※ 第一学習社 P.5、※数研出版 P.18)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "部活でも趣味でやってる練習なら、好きな時間配分で練習すればよいですが、しかし、もし部全体として「試合に勝ちたい」とかの目標があるなら、部の勝利のために効果的な練習に時間を優先的に配分する必要があります(※ 数研出版)。例は運動部でもなくても良く、別に体育祭でも何でも良いです。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "課題や目標が複数ある場合、トレードオフの関係にある場合もあるので、そのことを認識する必要もあります(※ 実教出版、数研出版)。少なくとも、学校での部活の課題の場合、部費と言った費用の限界、練習場と言った場所の限界があるので、決して無制限に何でも叶う(かなう)なんて、ありえません(※数研出版の見解)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "練習量の多さに満足してはいけません。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "スポーツなら、本番前に、本番を模した予行練習とかをしてみて(※ 開隆堂)、自分たちの練習法が果たして本当に正しいのかを検証しなければいけません(※数研出版)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "実際の戦績などを見て、もし練習しても成果が出て無さそうなら、練習法を直さないといけません(※数研出版)。これがPDCA法の考え方です。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "なにかの理論通りに練習してみれ成果がいつまでも出ない場合、その理論は間違ってるのです。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "そして、本番が来たとします。本番が終わったあとも、本番での自分たちの結果を記録し、来年以降に後輩などが役立てられるように備えます。または、自分たちが来年以降に役立てても構いません。 (いわゆる「アーカイブ」化。普段は使わないが後年に使うかもしれない情報を記録して整理して残して資料化したものをアーカイブと言います。)",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "また、本番の結果もPDCAサイクルの一部にして、練習方法などを検証してみたりもします(※数研出版)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "スポーツを例にして説明しましたが(なお日本文教出版の例)、工場の品質管理や生産管理などにPDCAサイクルの手法は応用されています(実教出版)。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "(※ 範囲外)暗黙の前提ですが、PDCAサイクルはなるべく短期間で回す必要があります。つまり、世の中には反面教師として、Plan→Do→Do→DO→Do→・・・ みたいにやたらとDoが長かったりして何か月もかかったり、あるいはPlanが長かったりして何か月もかかり、一向に検証 Check や修正後の再行動 Action につながらない人がいて、これではPDCAが形骸化(けいがいか)しています。",
"title": "問題解決とは"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "デザイン(design)とアートは違います。デザインは自己表現ではありません。東京書籍かどこかのサイトにある情報科目のパンフレットでは、アートとデザインは別物だと、イメージ画像で説明しています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "なんだかピカソ的な良く分からない絵や像をつくるのがアートで、そうではなくて図解などで文字を読まずに(もしくは少ない文字で)絵だけで分かりやすく説明するのがデザインです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "デザインのうち、情報デザイン(information design)と言われる分野があります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "アートと情報デザインの違いとして、上記の違いのほかにも、アートは多様な解釈を許しますが、情報デザインでは解釈を、正しい解釈だけで一通りに人々に受け取ってもらえるようにしなければなりません(※第一学習社)。たとえば、もし外国人など文化の異なる人が道路標識や非常口マークやトイレのマークなどを見たら(こういった標識も「情報デザイン」の例です)、その意味を一通りに理解できないと、事故の原因になってしまうので、情報デザインでは一通りの解釈でないといけないのです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "余談ですが、色は国によって解釈が違うので、ピクトグラムに色を使うときは注意が必要です(※第一学習社)。たとえば太陽の色は、日本では赤で表す人が多いかもしれませんが、外国では白や黄色で表す人が多い国もあります(※第一学習社)。普及しているピクトグラムを見れば、色を見ずとも形状だけでも意味が推測できるようになっているデザインが多いでしょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "なお、情報科目だけでなく、美術2でも似たようなデザインとアートの違いについて習います",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "じっさい、美術の教科書会社のサイトにある動画でも、そう言っています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "デザインは問題解決のために、観客に分かりやすく、観客が楽しめるように絵を交えて説明する絵画作品のことです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "なお、デザインする仕事の人のことを「デザイナー」と言います。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "ともかく、デザイナーは作品で情報が分かりやすく伝わらないと意味ないので、なので普通の人の気持ちもある程度は分からないといけません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "なので、情報デザインの授業でたとえば「学校の紹介をするwebサイトを作ろう」みたいな事になった時は、きちんと分かりやすいwebサイトを作ってください。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "なお、別単元の「プロトタイプ開発」なども参考にするとよいでしょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "教科書会社によっては「プロトタイプ」と言う呼び方ではなく「試作」と読んでいる会社もあります。まあ、内容は同じで、要するに試作してから、細部をつめていきます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 31,
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"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "パンフレットやwebサイトなどの情報伝達メディアを作る場合、対象者(ターゲット)に分かりやすい表現をする必要があります(※ 日本文教出版I・P96、開隆堂)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "特に幼児や小学生などの子供向けの場合、それらの年齢層にも分かりやすい表現が必要です(※ 開隆堂)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "日本文教出版『情報 I』いわく、「わかりやすさ」「見やすさ」「読みやすさ」が、情報伝達メディアを作る際のポイントです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "デザイン(『設計』という意味)の分野では、けっして、なんでもかんでも議論で決定するべきではありません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "アイデアの良さを確認する場合は、実際に試作品をつくって、アイデアがうまく行きそうかどうかを、実験的に手を動かして確認してみることも必要です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "たとえば、あるウェブサイト用のイラストを描く場合を例をあげると、まずラフ画(簡略化した線画などからなる、おおざっぱな絵)を書いて、協力者や依頼者などにラフ画を見せて意見を出してもらって、構図に問題が無いかなど、いろいろと確かめます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "あるいは、大まかな線画に加えて色も大まかに塗るくらいなら、いいかもしれません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "そしてウェブサイト用イラストの場合なら、まずラフ画ができたら、そのラフ画をさっさとスキャナーなどでデジタルデータにして、先にHTMLファイルなどで製作中サイトに表示してみて、いろいろと確かめてます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "たとえば、ラフ画が色付きなら、「その画像の色は、はたして本当にこのサイトで表示しても大丈夫か? 文字の色と紛らわしくないか? サイトの背景の色と紛らわしくないか?」とか様々な問題点の有無を確認します。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "あるいは、サイトの説明文などを組み合わせた状態を実際に閲覧してみて問題点が無いかなども、確認してみます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "(いくら、紙に書かれた単品のイラストだけを見ても、サイト上で説明文と組み合せた時の問題点は、実際にコンピュータ上で組み合せてみないと、気づくのが難しいのです。 なので、実際に試作してみましょう。)",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "「ペーパープロトタイピング」という市場のスケッチだけでアイデア出しをする手法もありますが(※たとえば検定教科書の東京書籍『情報II』でも紹介されています。日本文教出版でも用語なしで紹介)、しかし「ペーパープロトタイプ」という用語は採用しなくていいです。そもそも、ペーパープロトタイピングは、日本語でいう「試作」ではなく、経産省が言うにはアイデア出しの手法です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "経産省および独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の見解では、ペーパープロトタイピングは、アイデア出し手法のブレーンストーミング法やKJ法などと同列の手法であると、経産省らの資料『デジタルスキル標準』ver.1.1 の表に書かれています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "なお、文科省の教員研修要資料にあるペーパープロトタイピングの使い方は、まとまったアイデアをさっさとスキャニングして、それを実際にパソコン画面などで見ることで、配置などを検討しています。そういう使い方です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "ただまあ、現代ならタッチペンのあるデバイスとツールで画像を書いて、それをパソコンに取り込むほうが早いと思います。スキャナーに並ばなくて済むし。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "ハッキリ言って、(検討ではなく)検証の目的ではペーパープロトタイピングは役立ちません。コンピュータ関係のアイデアの検証をしたいなら、実際にコンピュータの実機で動かすしかありません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと、IT業界でいう「設計」というのは、実際に動くものを作るなどして簡易的な検証をすることも含まれています。なお、経産省の資料では、「設計」のあとにユーザーに使ってもらうなどして(※ 資料の「ユーザビリティ」からwiki側で推測)、本格的な「検証」の工程があります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "「ペーパープロトタイピング」というのは、単に、構想のアイデア出しの打ち合わせのときのスケッチを別の用語で言い換えただけに過ぎません。しょせん「ペーパープロトタイピング」はアイデア出しにすぎず、検証ではありません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "一般にIT企業でも製造業でも、さっさと実機で動くかどうかを確認するのが一般的な意味での「プロトタイプ」であり「試作品」です。少なくとも企業が若者に求めている能力はそれです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "アイデア出しばかりせず、良さそうなアイデアが出たら、(安全に配慮しつつ)さっさと検証してください。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "素人どうしの高校生が、実機での制作すらしたことないのに紙上で議論しても、どうせピント外れの議論になって、無駄の無駄です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "webサイトくらいさっさとhtmlで記述して、試作できるでしょう。中学生ですら試作できます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "紙上での議論が必要なジャンルがあるとしたら、もっとカネのかかるものを制作する場合の話です。イスを作るとか、傘立てを作るとか、そういう実物のあるものを作る場合なら、紙上でのスケッチも有効かもしれません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "ですが、webサイトはそういう実物ではありません。さっさとHTMLでwebサイトを書いてください。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "PDCA法などの評価手法・修正手法などによる評価(Check)や改善(Act)などは、まず先にプロトタイプで実験してからのハナシですし、まずはプロトタイプを利用者に見てもらうなどの必要があります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "もし仮に、先に絵を細かく書いてから、あとからウェブサイトに取り込む方式の開発をしてしまうと、もし文章との組み合わせでの問題点があったときに、作り直しになってしまい、大幅に時間を無駄にしてしまいます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "なので、まず先に、試作品で、最終的な全体像に近いほうを、試す必要があります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "単にラフ画を描くだけでなく、さらに、なるべく、サイトの全体像を先に試作する必要があります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "このように、なにかを試作する場合には、なるべく、試作でいいので全体像を先につくってみて実際に実験することで、全体像を確認してみます。そして、全体の確認が取れたり、あるいは全体像のミスが修正できたら、あとから細部を作り込んでいきます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "文科省の動画教材でも言われてるのですが、最近のホームページ作成は難しく、いきなりCSSとかを駆使して作るのは、ふつうの高校生には無理です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "というか、そこまで出来ないから、いま高校生が情報系の科目を勉強しているわけです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "まず、あまりCSSなどのお作法は考えず、とりあえず習った知識だけを駆使して、とりあえずのwebサイトを作りましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "ネットでは大人が「CSSを使わないと保守性が悪い!」とか言うかもしれませんが、しかしwebサイトとして動かない欠陥品を保守しても意味が無いです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "保守性がどうこう文句を言う大人は、決して、あなたのwebサイト制作の手伝いなんかしてくれません。そんな口先だけの大人なんかの言う事なんかを真に受けるより、実際にYouTube動画や高校教材などを作ってくれている文科省や大学教授や高校教員の人々を信用しましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "動くものを作るのが先、保守性を上げていくのは後回し、です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
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"tag": "p",
"text": "実際にプロトタイプを作る場合は、まず箇条書きなどでアイデアを文字に起こしましょう。(※ 日本文教出版の教科書がそう。)",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
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"text": "もし文字起こしをせず、頭の中で考えるだけだと、脳内でアイデアの記憶を維持するだけで脳のエネルギーを使ってしまうので、新アイデアの創造にまで頭が回りません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "『国際大学』という大学院大学とNHKが、プロトタイピングに使えそうな動画を作っています。クラウド関係の啓もう(けいもう)の動画ですが、視聴したところ、プロトタイピングにも使える内容になっています。 『みんなとクラウドで作業するとき、大切なことって何?』 FuLL, 動画中、小学生が学級新聞をつくるためにクラウド活用してプロトタイピングをしています(なお、動画中では『プロトタイプ』の語は出ていません)。今時の学校でのプロトタイピングは、コンテンツを作る場合にはクラウド活用することもあります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
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"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
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"text": "デザイン案について、可能なら、ユーザー層などにwebアンケートを実施します(※第一学習社 P.75)。たとえばデザイン案が複数あって決まらない場合など、アンケートを取ると良いでしょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 76,
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"text": "アンケートの際、「よい/わるい/ふつう」といった感想の選択肢のほか、なぜそう思うかの「理由」も必要です(※第一学習社が推奨している)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "検定教科書では「理由」が必要な理由までは説明してないのですが、世間一般には、選択肢を選ぶだけのアンケートだと、手抜きをしてデタラメにつける人がいます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
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{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "高校の文化祭webサイトのデザイン案とかだと、時間的な限界もあるでしょうし、アンケート実施まで可能かどうかは分かりません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "ですが、たぶん教科書会社はそういう感じで、高校生や高校教師などにアンケートを取りつつ、検定教科書を作っているのでしょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "日本文教出版の情報IIの教科書で、webサイトのモジュール開発する場合は共通部分としてプロトタイプで「ひながた」をつくっておいて、変わる部分だけを個々人に依頼すると良いみたいな事を言ってますが(日本文教出版『情報II』P43)、説明不足、あるいはマチガイです。(なお、ヘッダとかフッタとかを共通部分として使いまわしをする挿し絵あり)",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "正しくは、まず上述の節での説明のように、全体像を試作するのが先です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "webサイトを作る場合なら、十数分で作ったような低品質なページで良いので、実際にコンピュータ上で、HTMLなどで記述されたwebサイトを作り、とにかくブラウザ上で確認できるところまで作ります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "たとえば日本文教出版の教科書では「出し物詳細その1」「出し物詳細その2」「出し物詳細その3」を、3人に分担させてモジュール制作させています。(おそらく、文化祭か何かの出し物のサイトでしょうか。)",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "このようなサイトを作りたい場合、もっといい方法は、",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "まず、仮の「出し物詳細(仮1)」「出し物詳細(仮2)」「出し物詳細(仮3)」「出し物詳細(仮4)」とかをサイト制作者が1人で作っておいて、それをまず画面に組み込んで確認するのが先です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "そして、サイト上で、複数の出し物(仮データ)を表示しても異常が無いかとか、そういうのを実際にサイトの動作を確認するテストをするのが先です。 つまり、本番データ作成よりも前に、まず仮データによる動作テストを行います。(※ 検定教科書(日本文教出版、実教の「情報II」)では、この工程が抜けています。この工程が無いと、本番データでテストすることになるので、運が悪いと最悪、本番データの作り直しになり、時間が大幅に遅れます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "文化祭の出し物のデータなら、たとえばクラス名は高校「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが、本番データへの混入を防げて安全でしょう。 人名なら、「山田 太郎」とか、「東京 花子」みたいなのを仮データにすると良いでしょうか。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "なお、この仮データは見本を兼ねます。読者の皆さんも、よく何かの申込書とかを書くとき、「山田 太郎」とかを例にした見本を見るでしょう。ジュール開発をする場合も、まず、そういう見本が無いと、依頼を受けた作業者は分からないのです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "ほか、「モックアップ」と「ワイヤーフレーム」と「プロトタイプ」の意味の細かな違いは、どうでもよく、なぜなら業界によって意味が微妙に変わるから。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "さて日本文教出版の教科書の挿し絵によると、「出し物」をヨコ3列に表示するようなので、だったらテスト時には4個以上の仮データが必要でしょう。ヨコ1行あたりにタテ3列までしか表示しない「出し物」の改行が上手く行くかを確認するためには、4個以上の出し物データが必要だからです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "そして、上述のような試作テストを簡易でいいので終わらせてから、実際の出し物のデータに置き換えるため、それからモジュール開発の依頼を出すべきです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "したがって、モジュール開発する場合は、その前に行ったテスト時の仮データを上書きして本番データに置き換えするような形で、開発していくことになります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "もしサイト中に絵が必要なら、5分や10分で書いた稚拙(ちせつ)な絵でいいので、できれば、とにかく分かりやすい絵をデジタル上で描き、それを組み込みます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "あるいはサイト中にテーブル表などがあるなら、架空のデータで良いので、さっさと数分でデータを試作品として入れます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "まず、ソフトウェア的にバグが無いかを確認するのが先ですので、まず仮データでいいので全体像を作らないといけないのです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "もし、「時間を何時間もかけて、本番データを作成して入力したあとに、バグが発生して、データの作り直し」なんて事になったら、目も当てられません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "だから、まず、最低限の時間で(ただし、チーム仲間が見ても、ソフト動作の確認が分かる程度には、作りこみが必要)、実際に全体像をつくるのが先です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "仮データのファイル名はたとえば「出し物1(仮)」みたいな無難なものにしましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "仮データを作る際、もし本番データにまぎれこんでも困らないように、けっして変な名前はつけないようにしましょう。たとえばファイル名に「うんこ」とか「unko」とかつけると、最悪、本番データにまぎれるとトラブルになります。ファイル名「unko」とか付けると、トラブル防止のための確認といった余計な手間を増やしてしまい、チームの負担になります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "仮データのなかの文章も、本番でも使えるようなマジメな文章にしておきましょう。既に例示しましたが、文化祭の出し物の仮データなら、たとえばクラス名は高校「5年1組」とか「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが安全でしょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "チームで共同作業をする際、それぞれが別のユーザー層を思い浮かべていては、うまく共同作業ができません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "なので、具体的なユーザー層を、チームの皆で考えます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "ユーザー層を考える時、典型的なユーザーを最低でも1人、考えます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "その典型的ユーザーを考える際、名前や職業や年齢や性別、性格、家族構成、趣味や将来の志望、などといった具体的なレベルまで、人物像を決めておきます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "また、それができるようになるために、簡易な取材でいいので、事前にユーザーにインタビュー取材およびユーザー調査などをします(日本文教出版 II)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "このように、典型ユーザーのイメージ像を具体的に共有する開発手法を「ペルソナ法」と言います(東京書籍 I、日本文教出版 II)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "手法の名前「ペルソナ法」はどうでもいいです。具体的なユーザー層を考えましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "このように具体的にユーザー像を決めることで、ユーザー層の理解が深まるし(日本文教出版 II)、また、チームメンバー同士の考え違いなどを防止できる(東京書籍 I)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "東京書籍が言ってる手法ですが、一人のユーザーのペルソナではなく、複数人(数名ていど)のペルソナを設定する方法もあります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "その際、各ユーザーのペルソナの利益が反することがあります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "デザインの改修案が、あるペルソナAには利益があるけど、ペルソナBには改修前のほうが良かった、みたいな場合です。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "このようにペルソナ同士の利益が反する場合、どのペルソナを1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があります(東京書籍 I)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "多数決ではなく、人物の序列で決めるのがポイントです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "東京書籍はそこまで言ってないですが、カネなどを提供しない客以外の人からウケても、意味がありません。たとえば高校教科書の文章の設計なら、高校生でもなければ保護者でもなく高校教師や塾講師でもなければ文科省や教育委員会でもない、世間のオッサン・オバサンとか大学院生とか幼稚園児とかに受けても意味が無いわけです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "一例として、2位以下のユーザーからの要望は、1位のユーザーの利益に反しないかぎり、受け入れる、といった感じです(東京書籍 I)。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "業界によっては、別の言い方で「メインユーザー層を決める」とか「コア層を決める」「コア層に従う」とか「メインのターゲット層を決める」みたいな言い方をするかもしれませんが、意味合いは大体、似たような感じです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "東京書籍が言ってるのですが、ペルソナを設定する際に、ユーザー調査ではなく自分のやりたいことから逆算して都合良いペルソナを設定するという、ダメな人が時々います。チーム作業とか他人のお金で仕事をしている場合は、そういうダメな自己表現はしないようにしましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "ユーザーを無視して自己表現で自分のアイデアを世に問いたいなら、自分のカネでやりましょう。他人のカネと時間を使うな。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "ホームページを作る場合、上記で良いと思います。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "もし、作りたいものがホームページでない場合、たとえば何かの画像を作りたい場合、そういうのに便利なツールを使いましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "文科省の教員用の教材では、ベクター画像の編集ソフトウェアについて、レイヤーの概念を教えています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "Windows『ペイント』には、レイヤーの機能は無いはずです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "ラスタ画像なら、お絵かきソフトなどで無料のソフトでレイヤー機能のあるソフトがあるので、それを使いましょう。もちろん、有料ソフトにもレイヤー機能のある製品が、ふつうにあります、。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "検定教科書がwebサイトのコンテンツ制作を例にプロトタイプを説明してるが、全然、なってない。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "JavaScriptとかそういうのは、後回し。特に、業者の作ったwebサイト作成ツールを使っている学校のwebサイトの場合、JavaScriptをいじるのは素人では無理。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "なので学生・教職員の出来ることは、まず、普通の日本語の文章だけでいいので、文章または箇条書きなどで、必要事項を説明する。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "HTMLファイルをいじる事になるが、この段階では、既存のタグはいじらないで、そのままにしておく。まだ、当面はタグは追加しない。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "body タグのブロック内に本文を書くことになると思うが、まずは本文だけで必要事項を説明する。業者のwebページ作成ツールを使っている場合なら、ツールの操作指示にしたがって本文を記述すればいい。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "文化祭のwebページなら、開催日とその時間帯といった日時とか、一般公開の有無とか、来校の方法とか(自動車・自転車は不可など)、そういう情報をまず列記。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "見た目を整えるのは、後回し。CSSとか、後回し。そもそも業者ツールの場合、CSS編集できない場合すら、ありうる。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "さて、出し物の一覧は、どこの高校でも、すでにそういうファイルがpdfなどで別途作成済みなので(印刷用にPDFをどこの高校でも使うので)、その既存のpdfファイルをアップロードし、ダウンロード用のリンクをwebページ内のどこかに配置。pdfアップロードの操作方法については、今時の高校のサイトは、業者がつくったツールの上に、アップロードしたいコンテンツを追加していく方式なので、それぞれのツールごとの操作を確認。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "業者にも寄るが、アップロードの原理は単純で、単にファイルサーバーにpdfファイルごとアップロードして、そのサーバーのアドレスのリンクを href タグまたは別のタグなどで記述しているだけである。業者のツール側で、ファイルの種類を判断して、勝手に上手いこと、表示をしてくれる。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "だいたい、どこの高校の文化祭サイトでも、",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "<a href=\"https://www.学校名.ed.jp/2023-文化祭-スケジュール-1.pdf\">ダウンロード</a>",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "みたいなのがソースファイル中に書かれている。学生側は、ソースコードをイジル必要は無い。学生は、業者のツールに任せて操作すればいい。 むしろ、業者のツールに任せなければいけない。htmlファイルをいじるのは、保証のサポート外になってしまう可能性がある。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "JavaSvriptの部分は、いじらない。どうしてもイジるなら、プロの技術者を確保すること。コンテンツの内容と、プログラムの両方を管理できる時間は無い。なので、プログラム専属の人が必要。そんな人手と予算が無いなら、JavaScriptはいじらない。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "情報デザインやプロトタイプ開発をする際、話し合いなどで「ユーザビリティ」や「ユーザーエクスペリエンス」などの用語を使うかもしれませんが、これらの用語のいくつかは国際規格の ISO にも規定されています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、検定教科書と同じ意味で使っていれば、特に問題はありません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "ISO規格のうち、「人間中心設計」と言う分野で、定められています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "内容も、ユーザーのニーズを調査しろだとか、それを文書で残して明確化しろとか、ふつうの事が書いてあるだけです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "設計の基本を押さえていれば、問題ありません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "ユーザーニーズを把握して設計のアイデアが決まったら、そのあと試作品を作れとか、試作品を作ったらそれをテストして改善しろだとか(いわゆる「PDCA法」のこと)、そういう普通のことがISOの人間中心設計で定められています。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "日本など先進国の技術系の会社では、こういった設計手法は常識ですが、しかし世界にはそういう設計手法が守れない未熟な国があるので、そういう未熟な国との貿易を断る口実がISOです。冗談とかではなく、実際に ISO を守れないと、欧州企業などからは取引停止などの口実にされるかもしれません。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "仕事をする際、色々といくつもの事をしないといけません。そのための自分のスケジュールなどの管理方法としてToDoリストがあります。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "要点は下記の通り",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "ToDoリスト作成の理由は、まず、忘れないようにメモ帳などに、やるべき仕事を箇条書きにしてリストアップするのは当然です。後述の作業のため、パソコンでリストアップしましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "加えて、重要度順、または締め切りの早い順に並び替えます。なぜ必要かと言うと、メモしないと、いつまでも頭の中で覚え続ける必要があるので、脳味噌を疲れさせてしまい、本来の仕事に集中できません。なので、メモする必要があるのです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "特にIT系の仕事や設計(英語で design デザイン)などの仕事は集中力を使うので、覚え続けるために集中力を使ってしまうと、本来のIT仕事に集中できなくなり、効率がかなり低下します。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "また、順序を並び替えないと、いちいち、「どの仕事の重要度が、どのくらい高いか、低いか」を覚え続ける手間が生じてしまうので、やはり本来の仕事に集中できなくなってしまいます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "(新人ではなく)もしかしたら管理職なら、手配先(てはいさき)ごとに作業(タスク)を分類したりとかもあるかもしれませんが、しかしそれは新人の時点では、することではありません。新人が当面のあいだToDoリストでするのは、優先度順の並び替えです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "ともかく、優先度順にToDoリストの各項目を書く必要があるのです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "で、箇条書きにした各仕事にじっさいに取り掛かって、各仕事が終わったら、それぞれ終わった仕事に【完了】 とか 【済み】 とか、同じ行に書いておきます。終わった各仕事は、メモからは消さずに、「完了」とか書いて残しておくのがコツです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、あとから確認作業などのために、仕事を振り返ることがありますので。もし消すと、思い出すのに手間が掛かり時間の無駄ですし、集中力が下がります。それに振り返りもできなくなってしまいます。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "なお、別の節で「問題解決」を紹介しますが、ToDoリストの作成も、PDCA法などと並ぶ、問題解決のための有効な手法のひとつです。関連付けて理解しましょう。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "まず試作では、最小の機能だけを設計する。これをMVP(Minimum Viable Product)と言う。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "当wikiでは他の範囲外コラムでオーバーエンジニアリングを避けるべきことを注意喚起しているが、このMVPはオーバーエンジニアリングを避けるための手法の一つである。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "文科省の教師むけ動画でも、たとえばチャットアプリを作るならメッセージのサーバーを介しての送受信とその保管だけを優先的に実装する例を出している。リマインダー機能やToDoリストなどの機能を、設計から排除している。なお、文科省の動画では、これを動画では「要件定義」として紹介している。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "なお、同動画はPDF化されている。 『情報システムとプログラミング 情報システムを設計しよう』4.。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "最終的にリマインダー機能をつけるかどうかはチームの目的によって異なるだろうが、とりあえずソフトウェアの開発当初の段階では不要だろう。(最低限の機能の実装も出来てないのに、あれこれと他の機能を考えても、ことわざでいう『とらぬタヌキの皮算用』みたいなもんでしかない。)",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "開発コストを下げるため、こういうのが必要。余計な機能をつけると、開発コストが増大しやすいので、あまり余計な機能を増やさないほうが安全。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "オーバーエンジニアリングを避ける手法の一つ。",
"title": "情報デザインとプロトタイプ開発"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "(資料では言及していないが、)開発が長引いたりすると、当初の問題意識が何だったのかの記憶が薄れたりして、不明確になりやすい。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "または、すでに開発初期から、チームメンバーごとに目標が微妙に食い違ってしまっている場合もある。そうすると、トラブルが起こりやすくなる。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "なのでトラブル防止のため、開発の初期に、その製品開発が満たすべき第一目標や優先目標などの目的を明確にチームで共有する必要があるので、そのために言語化してイメージを共有する必要があり、このような優先目標などの言語化を「ゴール設定」などとビジネスでは呼んでいる。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "たとえば、遊具をデザインするなら、「幼児~小学生を対象に(ターゲット)、楽しく安全に遊んでもらう(目的)」のようにゴール設定するのです。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "なお、この遊具の例のように、ゴール設定の際、メインの使用者層の設定も必要になることがあり、その使用者層のことを「ターゲット層」などとビジネス用語ではよく言います。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "デザインでは「使用者(ターゲット)」の設定が必要だと説明しています。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "ターゲット層を設定する際も、ペルソナ法などを活用して、そのターゲット層の代表的な人物の性格・職業・趣味・夢などの具体的な人物像が分かるレベルにまでターゲット層を明確に設定しましょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "一般向けのグラフィック系のデザイン入門書でも「ゴール」と呼んだりもするかもしれません。高校の検定教科書(日本文教出版の情報IIでも、「ゴール」という言い方はしていませんが、「目標」という言葉で、ゴール設定と同じことを紹介しています。)",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "ターゲット層を設定しつつ、その領域を拡大することも経産省は求めてます『デジタルスキル標準』P.87。 ※ 「(ターゲットとなる顧客・ユーザー、領域の拡大等)」と言う文言が試料中にある。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "書籍『浦和高校論文集』(佐藤優 編著、K&Kプレス、2019年)を読んでいたら、2010年代の公立高校の高校生が卒論で「ターゲット」という言葉を特に注記なく普通に使っていました。。コメダ珈琲について、「コメダはモーニングというサービスがある。コーヒーメニューを注文すると、厚切りのトーストとゆ卵がついてくるというサービスだ、朝の時間帯、特に独身のサラリーマンをターゲットにし成功している。」。という文章です。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "2010年代の公立高校生でもターゲット層という概念を知っているんだから、2020年代の高校生だったらもう知ってて当然でしょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "ターゲットの設定法は、モニタリング(観察)とすでに習ったプロトペルソナ法である程度は対応できるでしょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "さらに「KPI」(ケーピーアイ、Key Performance Indicator)の知識と活用を、経産省『デジタルスキル標準』では求めています『デジタルスキル標準』P.87。KPIとは、実際にその商品がどれだけユーザーに好まれているかを、現実の自分らの提供中の商品分析から実証的に定量化した統計データです。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "たとえば、自社のwebサイトが人気があるかどうかを確認したいなら、決してアンケートなどではなく、実際にそのサイトの1週間や1月など期間あたりの閲覧数のをもとに判断するのが、KPI的な考え方です。閲覧数など統計を記録した上でならアンケートなど実施するのも構いません。(アンケートはKPIとはあまり関係ないので、説明を省略します。)",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "閲覧数を記録するサービスをさらに細かく分けていけば、どのサービスに人気があって、不人気なサービスは何なのかとかわかっていき、改善点などが判明していきます。PDCAサイクルにおける、チェックの手法の一つと言えるでしょう。文字アンケートだけのチェックだと、文章が得意な人しか回答してくれなかったりして、消費者などの実態を反映しづらいので、なのでKPIによって実際の消費者らの行動を測定します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "経営学などの格言で「人の言ってる事とやってることが違う場合、本音はやってる事のほうだ」という感じの格言があります。KPIもそれと同じで、ユーザー層たちの実際にやってる事を分析します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "ただしKPIだけではユーザー層の細かい感情が分からないので、別途、インタビューなどを中間的にユーザーの一部に行います。ただしそれはKPI分析とは別の作業なので、インタビューについては説明を省略します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "たとえば文化祭のwebサイトの効果を測定したいなら、個々のページの閲覧者数や予定表PDFなどのダウンロード数だけでなく、さらに入場チケットの予約数とか、実際の文化祭当日の入場者数とか、そういう数値も記録するべきです。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "とはいえ、不祥事などによって閲覧者数を増やしても意味がありません。そこで、そのKPIで設定した測定項目の前提として、ゴールも設定する必要があります。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "たとえば文化祭サイトのゴールなら、「学校のために足で出向いて文化祭に来てくれるようなファンを増やす」あたりがゴールでしょうか(ゴールは学校によりますので一例です)。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "KGIという、ゴールがどのていど達成されてるかを測定する指標の概念もありますが(企業なら「売上」や「利益率」などをKGIに設定する)、これは高校生にはどうしようもないので、説明を省略します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "ただ、ゴールを意識化することは高校生でも可能でしょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "企業でKPIを設定する場合、単に閲覧者数や訪問者数などだけを記録するのではなく、さらにそのうち購入者数がどれだけいるかや購入率(購入者数をサイト閲覧者で割った数値)なども記録します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "高校の文化祭の場合、商売をしているのではないので購入者数や購入率は記録しようがありませんが、そういう事も覚えておいてください。ビジネスでは、カネを出さない人にウケても意味がないので。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "購入率を見るのは、たとえば、閲覧者が1千人だけど900人に売れている商品Aと、閲覧者数が1万人だけど2千人に売れている商品B、売れ行きが良いのはどちらでしょうか? という問題です。ゴールにも寄りますが、投資効率で見れば、普通は900人に売れている商品のほうが投資効率が良さそうと見るでしょうか。(ただし、経済学には「規模の利益」といった概念もあるので、場合によります。)",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "高校の文化祭なら、購入者数の代わりに、実際に文化祭で入場した人などの割合も記録することになるでしょうか。これはチケット予約の状況などを測定すれば、ある程度は事前に推測可能でしょう。もちろん、当日の入場者数も記録しましょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "企業などでのKPIの測定では、リピーターの人数およびリピート率も測定したりします。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "たとえば、(開店の初日でもないのに)もし1回しか商品を購入しない人の割合が多いとすれば、「きっと、購入者の多くが実際に購入したときに、不満があったのだろう」と問題点が存在しそうな可能性の高さを想定できます。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "なので、リピート率を何らかの方法で測定します。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "高校ではそこまでの測定は難しいかもしれませんが、こういうのがKPI的な分析方法です。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "こういうツールを、アクセス解析ツール(web analytics tool)と言います(※ 日本文教出版 II ・P.38)。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "Google Analytics はwebサイトの作り手が解析用のタグをソースコード中に貼り付ける方式であり、このような方式をwebビーコンと言います(※日本文教出版でwebビーコンをweb解析ツールの単元で紹介)。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "webビーコン型のほかにも、サーバログ取得型やパケットキャプチャリング型があります(※ 日本文教出版II)。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "暗黙の前提だが、たとえ利用者側が「送信」ボタンとか「購入」ボタンとかそういうボタンを押さなくても、webサイトにアクセスした時点でサーバー側にはアクセス記録が残ることになる。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "KPIは、単に数値を表で羅列するのではなく(表にすらしないよりかはマシですが)、できればグラフにしましょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "KPIを算出する目的は、改善点などの問題発見のためです。なので、グラフ化することで、問題発見をしやすくしなければなりません。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "なお、このような複数の別々の項目の最新データをグラフ一覧としてまとめたものを「ダッシュボード」と言います。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "なお、Google 以外のクラウドサービスでも、たとえば教員の使っている授業用のクラウドソフトなどにも「ダッシュボード」という機能があり、生徒の状況(出席日数とか成績とか)などをグラフ化して、定量的にモニタリングしています。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "経済産業省は、デザインとは基本的には問題解決に寄与すべきものでなければならない、というような見解です。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "で、内閣官房などの命令で、文部省と経済産業省などはICT教育において連携するようにと、それぞれの官庁は命令されています。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "ともかく、IT系やビジネス系の業界で「デザイン」の仕事をうけおう場合、問題解決を優先しましょう。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "詳しくは、下記コラム。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "箇条書きメモの必要性(※ 範囲外)",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "ほかの節でもメモなどの箇条書きの必要性を述べてますが、設計などの仕事などをする際、手元のメモには必要事項などを箇条書きをすると良いでしょう。「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "もし分業や外注などをする場合でも、箇条書きをしてあることによって、どの作業を分業すればいいか把握しやすくなります。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "箇条書きをしたうえでなら、箇条書きでは説明しきれないことがあれば文章にするのも構いませんが、まずすべき事は箇条書きです。",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "※ 経産省との連携"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "ウォータオフォールとかスパイラルモデルとか。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "ただ、高校生の段階では、ウォーターフォールは使わないだろう。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "システムへの高度な専門知識がないとウォータオフォールは使いこなせないので。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "NHk『情報I』で最終回で言ってたのですが、学校で探究活動や実習などで課題の解決案を出したら、なるべく学外にも公開しましょう。たとえば、地域の課題をIT技術で解決しようとする探究活動をしたなら、その成果の知見を当の地域の人たちに公開しましょうと、そうNHKに出演した大学教員は言ってます。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "しばしば、せっかく新しい発見やアイデアを出しても、それが学校の中だけで完結してしまい、社会に何も還元しないことがあります。また、学校内で情報の流れが閉じていたりすることがあるのも問題です。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "自治体でも、地域との交流のため、東京など金のある地域では、自治体の主催によって、地元の学校どうしの探究発表会を開催しています。さて、そもそも、公立高校は税金で補助を受けてるのですから、成果はなるべく発表しましょう。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "また、自治体や教育委員会などは、こういう、高校どうしの情報共有や連携などの取り組みを支援しなければなりません。NHKの例でも、アンケート調査をする探求学習で、自校だけでなく他校にもアンケートを取っています。自治体はこういう学校間連携ができるように、教育環境整備しなければなりません。生徒や教職員だけの努力では無理です。ほかの公務員などの大人も仕事をしなければならないでしょう。",
"title": "その他"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "情報デザインを、もしかしたら将来は小学校で教えるかもしれないというニュース。小学校で新教科として情報科を設置する案があり(未決定。あくまで案)、その教育実験が東北の教育大附属の学校で行われている。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "後述するKPT的な話のほか、構造化の話もしている。なお、構造化については本wikiでは『高等学校情報/情報の科学/構造化』に解説がある。ほか、対象者を明確にせよ、という話も上記の実験授業にある。ターゲット層の話。情報I・Iiの検定教科書でも、一部の教科書でターゲット層の話をしている。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "ほかに紹介されたものを、上記の構造化とまとめて次に列記すると、",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "なども上記の実験授業にある。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "(※ 「比較する」というのが何か、よく分からない。A/Bテストのことだろうか? それともソフトウェアデザインにおける模写のことか(他人の上手いソフトウェアの挙動と自作の挙動とを見比べる方法。)? )",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "上記ニュースでもあるのだが、なにかの告知ポスターらしき作品を作らせて、生徒どうしで成果物のレビュー(品評)を行わせている。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "その際、「良かった点」と「改善点」を生徒どうしに述べさせている。評価を受ける際、他人からの評価を受けるのがポイントである。上記ニュースのリンク先でも、実験校の教師がそう指導している。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "作り手の自分だけが分かっても、意味が無い。基本、ポスターというのは他人に何かを伝えるために作るので、他人から見て分かりづらいなら、反省点にしなければならない。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "「改善点」を言わせるのがポイント。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "「分かりづらい」という感想だと、言われた相手(作り手の側)にとっては改善点が何なのかが分からない。なので、生徒どうしで品評する場合は「問題点」ではなく「改善点」として、生徒の「漢字にふり仮名が無いので読みづらかった」という感想をもとに「ふりがなを追加すべき」という改善点になる。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "下記のKPT法(ケプトほう)という品質改善手法が、これに近いだろう。(ただし、KPT法では「改善点」ではなく「問題点」を集めるという違いがある。)",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "プレゼンなど発表をした際、または発表前に仲間内でシミュレーションする際など、発表の良かった点・改善点を信頼できる仲間内で評価しあい、今後の改善につなげると、役立ちます(※ 数研出版の副教材の見解)。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "※ 数研出版はここまでしか言ってないのですが、なぜそうすると良いのかwiki側で追加説明します。人によって、良い点ばかり気づく人もいれば、改善点ばかり気づく人もいて、人ごとに片寄りがあります。このため、発表などを評価しあう際、事前に評価シートなどに「良かった点」「改善点」の両方とも記入欄を用意したりすると良いでしょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "世間には、お世辞ばかり言ってロクに発表内容を聞かずに「全部良かったよ」とか言うクソ野郎とか、その逆に発表者が嫌いとかの理由で全部ケチをつけるクソ野郎とかいるので、そういう人を排除するためにも「良い点」「改善点」の両方をします。というか、たぶん数研出版の編集部で、こういうふうに原稿などの「良かった点」「改善点」とかの相互評価をしているのでしょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "「KPT法」(ケプトほう)というビジネス手法があります(KPIとは異なる)。Keep、Problem、Tryの略です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "良かった点は、今後も続けて欲しいので Keep (継続する点)、改善点は問題点が由来なのでProblem(問題点)、そして、KeepとProblemをもとに今後に挑戦すること(Try)を決める、という手法です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "ネット上ではKPT法とアンケートを関連づけてる記事は特にないのですが、しかし上述のように、アンケートで「良かった点」・「悪かった点」を最初から記入欄を設けることにより、アンケート収集者はKPTを自然に実践できるでしょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "アンケートでは、KeepとProblemだけで十分だと思います。上記の数研出版のアンケート例でも、良かった点(Keep)と改善点(Problem)しか自由記述欄が無いし。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "なお、Problemのアンケート結果で問題点の報告が集まったら、それをもとに、本質的に解決すべき課題を決める必要があり、この今後の課題のことをイシュー issue と言います。(なお、GitHubなどの管理サイトを使っていると、issueという項目がある。かなり高度に専門的な話だが、イシュー管理ツールとかチケット管理ツールとかいうサーバーソフトがあって、それで issue を管理できる。専門的すぎる話なので、読者は分からなければ、このカッコ内は読み飛ばしていい。)",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "issueを書く際、「なぜ困っているか」Whyという情報は、「何に困っているか」What に変換しましょう。最終的に解決する必要があるのは、目的語となる What だからです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "読者がもしToDoリストを知ってれば、このissue解決も、ToDoリスト上の解決すべきタスクに加えます。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "そして、チーム開発をしているなら、issueを開発チーム内に報告して、情報を共有します。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "Keepのアンケート結果は、今後の仕様とするかどうかを決めます。仕様とすると決まった場合は、それを社内のその製品の開発マニュアルなどのチェックリストに入れて、確実に今後も長所が反映されるようにします。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "なお、アンケート回答者にProblemを書かせる際の注意として、改善策まで書かせないことです。改善策があると、別の工程(Try)が混ざってしまっているので、かえって分離の手間が増えてしまうので、収集側にとっては非効率になってしまうからです。改善策については、収集者の側で Try として考えます。そのため、「悪かった点」「問題点」などのような記入欄の題名にするなど、あえて否定的な表現の題名にすると良いでしょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "つまり、Problemには、困りごとについて、5W1HでいうHowの形式で、実際に起きた事例をなるべく書きます。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "改善すべき問題点は、放置すると今後の脅威になりうる問題点のみです。単に、苦手を克服することに価値はありません。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "たとえば、アナタがもしベトナム語が苦手だとして、これからベトナム語を練習して得意になっても、ベトナムでの仕事に就職できなければ、そしてベトナム文化の研究とかの特技でもなければ、経済的にはアナタのベトナム語の練習の価値は低く、単なる趣味・道楽とみなされやすいのと同じです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "SWOT分析(「スウォットぶんせき」と読む)というのが、脅威に備える現状認識法であり、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)、の分析です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "SWOT分析は、課題解決の方法ではなく、現状認識の方法です。これらの思考ツールでいう「分析」とは、未処理では複雑・漠然(ばくぜん)で把握しにくい情報を、細かく具体的な情報に分けることです。分析と聞くと、ついつい原因を考えたくなりますが、しかしここでいう「分析」とは、原因を考えることではなく、分けて具体化することです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "SWOT分析など分析ツールそれだけでは問題解決できず、その分析で得られた具体的な情報をもとに別途、問題解決を考えていく必要があります。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "さて、日本語の「弱み」という言葉のニュアンスとは、やや違っています。SWOT分析でのWeaknessは「脆弱性」(ぜいじゃくせい)のようなニュアンスです。よく「セキュリティ脆弱性」とか言いますが、その脆弱と同じニュアンスで、放置すると脅威を引き起こす、呼び寄せるものの事です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "たとえばポスター作りの「弱み」なら、「自分はいつも誤字脱字が多い」とか「文化祭ポスターの試作で、校舎をえがいたつもりなのに、どうやら観客には市役所の庁舎に見えてしまっているようだ」とか、そういう今後のトラブルを起こしそうな「脅威」になりうるレベルなのが「弱み」です。単に、「漢字検定2級をまだ取得してない」とかそういうのは、とりあえず放置しても今後の脅威にならないので「弱み」ではないのです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "すでにKPT法で分析している人は、いちいちSWOT分析を書き始める必要はありません。ただ、KPT法を活用する際、SWOT分析を知っていると、より上手にKPT法を活用できるようになります。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "さて、私たちの今の目的は、「収集したアンケート結果の、今後のための分析と活用」です。目的、ゴールを、はっきりとさせましょう。この節では、KPT法への活用を想定して、SWOT分析の考え方のうちKPT法への流用に必要な部分だけを説明します。ゴールに寄与しない事は、後回しで良いのです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "ともかく、脅威にならない単なる苦手といった弱点は、改善の必要はありません。むしろ企業社会では、株主や銀行などは、脅威にならない弱点克服は単なる道楽(どうらく)みたいな扱いをします。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "ターゲット層にウケない弱点克服をしても、意味がありません。たとえばベトナムで商売してない会社に就職しようとするのにベトナム語をいきなり練習しても、大して価値が無いのと同じです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "経済は「分業」とか比較優位(ひかく ゆうい)とかで動いているのですから、ベトナム語はベトナムの専門家に任せればいいのです。親戚がベトナム人とかでないかぎり、いちいちベトナム語を勉強しても、経済的には利益を得づらいのです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "ベトナム語の例なら、「ベトナム語の就職への活用をあきらめる」と言うのも改善策です。そのジャンルから「撤退する」「他の企業や競争相手に任せる」等も解決策です。実際、SWOT分析でも、「市場撤退」も、脅威への解決策の一つです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "さて、改善をする際、強み(Strength)を損なわないように改善する必要があります。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "たとえば、ポスターに掲載する情報を増やすと、情報不足という弱点は解決しますが、そのぶん一つ一つの情報が目立たなくなります。どちらを優先すべきかは、用途によって変わります。」",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "よって、確保すべき強みに、優先順位をつけましょう。なお東京書籍の教科書では、別単元ですが、プロトペルソナ法の単元で、どのペルソナ(架空のユーザー層)を1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があると主張しています(東京書籍 I)。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "ポスターを例にあげましたが、ソフトウェアのUIなども同様でしょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "なお、どんなに強みを強化しても、基本、ぜい弱性は解決しません。たとえば、誤字脱字や誤情報のあるポスターで、どんなに絵を上手に書いても(あるいは写真を上手に撮影しても)、そのポスターの誤字や誤情報は解決しないのと同様です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "たとえば「虫歯の治療」のようなものです。虫歯のある小学生が(ぜい弱性)、その子の小学校の成績が良くて(強み)、どんなに小学校の勉強を頑張っても、何も虫歯は解決しません。歯医者に行くとか、せめて歯磨きを毎日するとかしないと、問題は解決に近づきません。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "私たちの当初の目的を忘れてはいけません。このページの場合、当初の目的は「収集したアンケート結果から、今後のための改善策を考える」ことが目的です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "SWOT分析とかKPT法とかをあれこれと覚えることは目的ではなく、ゴールに寄与しません。単にこの節では、考え方の例示をしているだけです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "デザインレビュー(design reviews、略称:DR)と言う言葉があり、何かデザイン物を作るとき、いきなり本番にせずに、制作チーム内に設計案を提出して、チーム仲間たちに品評してもらいます。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "なお、製作チームの仲間内でないレビューは、デザインレビューではなく、単なるレビューです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "どちらのレビューにせよ、アンケートなどで他人の製作物の問題点を書くとき、改善策につながりやすいように具体的に書くのがコツです。一言「わかりづらかった」とか「いまいち感」とかは論外です。そういうのは問題点ではなく、単なる感想です。仕事でないなら、そういう感想を言うのもいいですが、しかいs仕事の場合のレビューなら、「問題点」というには、「解決すべき問題は何なのか」がハッキリしないといけません。仕事でのレビューでは、なるべく解決すべき問題をハッキリさせましょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "たとえばポスターの問題点なら、「文字が小さすぎる(または「大きすぎる」)」とか「文字が多すぎる」とか「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」とか「コントラストがキツくて読みづらい」とか、「子どもに来てほしいイベントなのに、子供が読めない漢字が多い。ふりがなも無い」とか「絵の線と文字の線とが密集していて、文字が読みづらい」とか「絵がイベント内容と違いすぎて、てっきり別のイベントだと誤解してしまった」とか・・・(以下略)、そういうのが問題点です。このように」具体的に問題点を書けば、あとは作り手は、その意見をもとに改善策を考えられます。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "改善策については、たとえば1つの問題点について、複数の改善策があるので、それを作り手の側で考えます。たとえば問題点「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」なら、解決策は下記の2つ以上あるわけです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "などです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "なので、「問題」には、解決策を混ぜてはいけません。混ぜてしまうと、ほかの解決策を見落としてしまうからです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "上記のように改善策は複数個あるので、改善策については Problem には含めず、作り手側に判断を任せます。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "しかし、ここまで問題点を具体的に報告できるようになるためには習熟が必要なので、教育的には、初心者はまず改善策を報告するようにしたほうが良いかもしれません(※ じっさい、数研出版の教科書のアンケート例でも「問題点」ではなく「改善策」を記述させている)。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "ほか、論外の感想として、ポスターの感想なら「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」とか、そういうのも論外の感想です(こういうのは「問題点」「改善策」とは言いません)。なぜなら、解決のための絵の練習に時間が掛かり過ぎるので。暗黙の前提として、提示すべき「問題点」や「解決策」は、短期間かつ低コストで実践が可能な解決策でなければなりません。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "さて、医療看護系の問題解決ツールで提案されているフレーズで、「す・じ・こ」というのがあり、「(す)すぐに着手できる、(じ)実現可能である、(こ)効果的である」というのがあります。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "レビューでもPDCAでも、なるべく「すじこ」な提案をしましょう。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "上述の「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」は、すぐには着手できないので論外です。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "ほか、論外のよくある感想で、ターゲット層を無視した感想があります。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "たとえば、マンガとかのレビューで、幼児むけのマンガ本やアニメなのに、大人が「もっと、大人の好みにあうように○○にすべきだ」みたいな感想もよくあります。自分の好き嫌いと、社会の要求との区別がついてない、頭のわるい大人です。「自分の好みの作風 = 上手い作品」という人は、大人も子供も、けっこう多いです。",
"title": "(※範囲外) KPT法とデザインレビュー"
}
] | null | == 問題解決とは ==
まず、「問題」とは、理想と現実のギャップのことです(※検定教科書にそう書いてある)。
そして、問題解決のための「課題」とは、そのギャップを埋めるために具体的にしなければいけない事です。
まず、問題や課題を正しく認識するために、なるべく数値的に認識することで、検証可能な形で(※ 実教出版の見解)課題を表現する必要があります。
たとえば、部活をつくりたいのにメンバー不足な場合、目標は、けっして「部員を増やしたい」という表現はなく、もっと数値的に「最低でも部員が10人になるまでは部品を確保したい。5対5で対戦の練習ができるから」のように具体的に課題を数値で設定する必要があります(※日本文教出版 I)。また、理由も併記すると、応用が利きます。
さらに、文章で課題や情報収集のインタビュー結果などを表現する場合でも、なるべく5W1Hが分かるように記録するべきです(※ 開隆堂の見解)。解決案を提示する場合も、なるべく分かりやすい表現にしましょう(※数研出版)。これが出来てない場合、解決案として、そもそも不十分な可能性があります;。
:※ 検定教科書では言及されていませんが、問題解決のために情報収集をする場合、時間の制限がありますので、とりあえずの仮説が見つかったら、さっさと検証しましょう。
{{コラム|(※ 範囲外)SMARTゴール|
上記のような、具体的とか、測定可能とかの要求事項をまとめて、下記の「'''SMARTゴール'''」があります。
* Specific(具体的)
* Measurable(測定可能)
* Achievable(実現可能)
* Relevant(最終目標への関連性が高い)
* Time-bound (期限が定められている)
の頭文字の略です<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/311144?page=2 小谷 敦子『仕事時間を減らした人の「振り返り」という習慣 週に1回実践すると変わってくる』、東洋経済、2019/10/29 6:00 ]</ref>。
PDCA法などでは、SMARTゴールを意識しましょう。
}}
さて、理想や目標がいくつもある場合はどうすればいいでしょうか。
現実には、時間や金銭などの制限があるので、すべての理想や目標が達成できるとは限りません。
理想や目標が複数ある場合や、チーム作業などで今のままでは意見がまとまらない場合には、自分またはチームの理想・目標に優先順位をつけるのが効果的です(※ 第一学習社 P.5、※数研出版 P.18)。
部活でも趣味でやってる練習なら、好きな時間配分で練習すればよいですが、しかし、もし部全体として「試合に勝ちたい」とかの目標があるなら、部の勝利のために効果的な練習に時間を優先的に配分する必要があります(※ 数研出版)。例は運動部でもなくても良く、別に体育祭でも何でも良いです。
課題や目標が複数ある場合、トレードオフの関係にある場合もあるので、そのことを認識する必要もあります(※ 実教出版、数研出版)。少なくとも、学校での部活の課題の場合、部費と言った費用の限界、練習場と言った場所の限界があるので、決して無制限に何でも叶う(かなう)なんて、ありえません(※数研出版の見解)。
:※ 大人でも、これが出来ないダメな大人も多い。そういう大人は反面教師にするように。
[[File:PDCAサイクル.svg|thumb|300px|PDCAサイクル]]
練習量の多さに満足してはいけません。
スポーツなら、本番前に、本番を模した予行練習とかをしてみて(※ 開隆堂)、自分たちの練習法が果たして本当に正しいのかを検証しなければいけません(※数研出版)。
実際の戦績などを見て、もし練習しても成果が出て無さそうなら、練習法を直さないといけません(※数研出版)。これがPDCA法の考え方です。
なにかの理論通りに練習してみれ成果がいつまでも出ない場合、その理論は間違ってるのです。
そして、本番が来たとします。本番が終わったあとも、本番での自分たちの結果を記録し、来年以降に後輩などが役立てられるように備えます。または、自分たちが来年以降に役立てても構いません。 (いわゆる「アーカイブ」化。普段は使わないが後年に使うかもしれない情報を記録して整理して残して資料化したものをアーカイブと言います。)
:※ 文脈は違うが教員研修資料で「アーカイブ」と言う用語が使われてるので<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200928-mxt_jogai01-100013300_001.pdf 著者非公開(当時) 『高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編) 第2章 コミュニケーションと情報デザイン』 P.84]</ref>、ついでに「アーカイブ」という言葉も覚えよう。国語の外来語の勉強。なおアーカイブの語源はラテン語。
:※ 『情報』の教科としては「アーカイブ」という単語は範囲外だろう。
また、本番の結果もPDCAサイクルの一部にして、練習方法などを検証してみたりもします(※数研出版)。
スポーツを例にして説明しましたが(なお日本文教出版の例)、工場の品質管理や生産管理などにPDCAサイクルの手法は応用されています(実教出版)。
(※ 範囲外)暗黙の前提ですが、PDCAサイクルはなるべく短期間で回す必要があります<ref>浅見和寿 著『Z世代の生徒とつくるはじめての部活動』、明治図書出版、2023年10月初版 第1刷 刊、P.40</ref>。つまり、世の中には反面教師として、Plan→Do→Do→DO→Do→・・・ みたいにやたらとDoが長かったりして何か月もかかったり、あるいはPlanが長かったりして何か月もかかり、一向に検証 Check や修正後の再行動 Action につながらない人がいて、これではPDCAが形骸化(けいがいか)しています。
{{コラム|計画は3W1Hで|
PDCA法などでの、期限などを含む計画の立案(Plan)では、「誰が、いつまでに、何をどうするのか」という3W1Hに落とし込む必要があります<ref>(動画)[https://www.youtube.com/watch?v=SaHQ17mwY2Y マネジメント・コンパス『【MC看護管理】PDPによる問題解決』 2020/10/27 ]</ref><ref>[https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/022601234/ 『幹部のマネジメント力育成のコツ 計画を具体化しPDCA回す』2024.3.5 ]</ref><ref>[https://www.insource.co.jp/contents/manager-contents.html Marie Ogoshi『課長に求められる「現場トップ」としての3つの役割~部長・係長との違いとは - 社員研修,教育 職員研修 人材育成ならインソース』]</ref>。上述のSMARTゴールも意識しつつ、3W1Hにして「誰が、いつまでに、なにをどうするのか」を明確に言語化します。関係者が複数人いる場合、「誰が」には、責任者・担当者といった代表人物を書きます。
その3W1Hを書く際も、箇条書きで
* 担当者:
* 期限:
* 何を/どうする:
のように書くと良いでしょう。
実際に文章を描く際には、場所(Where)などを「何を/どうする」欄に書くこともあるかと思いますが、慣習的に「3W1H」と言われています。ほか、Why(なぜ)は、計画の立案では不要です。
}}
{{コラム|ネットのビジネス論を真に受けてはいけない|
ネットには、「PDCAサイクルはアイデア出しには向かない。品質改善に向く」という言説もありますが、いろいろと間違っています。
証拠として、日本文教出版の『情報I』には、PDCAサイクルの例の実話風の物語として、「解決策の立案」で、バスケ部員たちがアイデア出しで、アンケートを取った結果、
高校生の発言「バスケットボールの経験者が多い事が分かった」「なぜ高校でバスケットボールをやらないかは、練習がきびしそうだからという答えが多かった」という結果をもとにアイデア「体験入部を開いて部の楽しさを知ってもらおう」
と高校生キャラがアイデアを出す挿し絵(さしえ)マンガがあります。
また、工場などの品質改善の仕事は、よほどの低品質の工場を指導するのでないかぎり、品質管理部門では思考なしのパターン反復ではできません。
なぜなら品質管理部門の仕事とは、そもそも作業員が作業手順書どおりに作業しているはずなのに品質が下がったりして困っているのを解決するために不具合の原因を分析したりする仕事だからです。
決して、単に不良品の発生率の統計を取るだけの仕事ではありません。仕事には、不良品の統計を取る事も含まれていますが。
また、作業手順書どおりのパターン反復が要求されているなら、そもそもPlanは不要です。なぜならPlanを考えるのは末端の作業員ではなく、設計部門だからです。
このように、ネットの言説がいろいろと間違っています。
ネットの言説はいろいろと低品質なので、ネットではなく検定教科書や参考書をきちんと確認しましょう。
おそらく、就職先のブラック企業か何かの不満を、PDCAサイクルに欠点があるのだと混同しているのでしょう。そのブラック企業で人生で初めてPDCAサイクルを習った人も多いのでしょう。
}}
{{コラム|(※範囲外)問題解決のための調査の時間制限|
現実では、問題解決の方法を提案するために調査や分析をするさい、締め切りや期限といった時間の制限がある場合も多い<ref>松田稔樹ほか12名 著 『問題解決のためのデータサイエンス入門』実教出版、2021年10月25日 初版 第1刷発行、P.6</ref>。
たとえば、もし高校の部活での他校との試合の勝率を増やすための問題解決なら、その解決案は高校の部活在籍中の3年の夏までに実行できなければ意味が無い。
常識的に考えれば、高校の部活のためのデータ分析をする場合なら、数日中に解決策を提案しなければならないでしょう。
なので、高校入学後に3年以上の時間をかけて数学を勉強してから解決案を出しても、その前にすでに高校を卒業してしまっており、その案には何の意味も無い。同様、インタビューなどの情報収集に3年以上をかけたり、データ分析などを3年以上かけても、意味が無い。
このように、実用のデータ分析では、精度を犠牲にしてでも期限に間に合わせる必要がある場合も多いのです<ref>松田稔樹ほか12名 著 『問題解決のためのデータサイエンス入門』実教出版、2021年10月25日 初版 第1刷発行、P.23</ref>。
もちろん、最初の解決策は精度が低いので、期限後にあとから修正して、より良い解決策に変えるという追加作業が必要になります<ref>松田稔樹ほか12名 著 『問題解決のためのデータサイエンス入門』実教出版、2021年10月25日 初版 第1刷発行、P.23</ref>。ですが、まずは期限内に間に合わせて、とりあえずの解決策を提示する必要があります。
ほか、データサイエンスとは別ですが、一般的に何か目標を立てる際には、スケジュール的に遠すぎない中間目標を立てるのが常識です<ref>みおりん 著『やる気も成績もぐんぐんアップ! 中学生のおうち勉強法入門』、2022年2月15日 初版 第1刷 発行、P58</ref>。受験で志望校に合格するのが目標なら、たとえばまずは期末テストの成績をよくする途中の目標を立てる必要があり、さらにそのために来週までに〇〇をする的な目標が必要にある、といった類です<ref>みおりん 著『やる気も成績もぐんぐんアップ! 中学生のおうち勉強法入門』、2022年2月15日 初版 第1刷 発行、P58</ref>
データ分析にかぎらず、テクノロジーの応用の世界でも、時間に限りがありますので、その時間の範囲内で成果を出せるようにする必要があるので、そういう注意事項があります。「オーバーエンジニアリング」(over engineering)といい、過度な技術適用による非効率化のことを言います。
たとえば、ソフトウェアの設計の場合、あらゆるバグを想定して個別に対応したコードを書こうようとしてしまうと、コードが長大になってしまい、保守性がいちじるしく低下してしまいます<ref>[https://zenn.dev/yutoo89/articles/f32e466480e102 『オーバーエンジニアリングが悪い理由と対策』2023/07/30に公開]</ref>。
システムのあらゆる部分にバックアップを持つのも、時間的にも費用的にも不可能であり、オーバーエンジニアリングです。
シンプルに計画を立てて、少し念入りに検証すれば充分なものを、いちいち複雑な大学レベルの個別事例の数式を用いて、長い時間を掛けて分析するのは、本末転倒であり、まさにオーバーエンジニアリングです。
}}
== 情報デザインとプロトタイプ開発 ==
:※ 情報デザインは情報Iの内容です。プロトタイプは情報IIの内容ですが、wikiの都合上、こちらのページでも紹介します。なお、日本文教出版が『情報I』で「試作」の用語でプロトタイプを説明。
:※ 教員研修用飼料では、情報デザインとプロトタイプ開発を同じPDFで説明している[https://www.mext.go.jp/content/20200928-mxt_jogai01-100013300_001.pdf 著者非公開(当時) 『高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編) 第2章 コミュニケーションと情報デザイン』 ]
:※ 「総合的な探究の時間」との関係もある。
:※ 日本文教出版『情報I』はブレーンストーミングと関連づけて説明しているが、他社教科書では関連づけてない。
=== 情報デザイン ===
==== デザインとアートの違い ====
デザイン(design)とアートは違います。デザインは自己表現ではありません。東京書籍かどこかのサイトにある情報科目のパンフレットでは、アートとデザインは別物だと、イメージ画像で説明しています。
なんだかピカソ的な良く分からない絵や像をつくるのがアートで、そうではなくて図解などで文字を読まずに(もしくは少ない文字で)絵だけで分かりやすく説明するのがデザインです。
デザインのうち、'''情報デザイン'''(information design)と言われる分野があります。
アートと情報デザインの違いとして、上記の違いのほかにも、アートは多様な解釈を許しますが、情報デザインでは解釈を、正しい解釈だけで一通りに人々に受け取ってもらえるようにしなければなりません(※第一学習社)。たとえば、もし外国人など文化の異なる人が道路標識や非常口マークやトイレのマークなどを見たら(こういった標識も「情報デザイン」の例です)、その意味を一通りに理解できないと、事故の原因になってしまうので、情報デザインでは一通りの解釈でないといけないのです。
余談ですが、色は国によって解釈が違うので、ピクトグラムに色を使うときは注意が必要です(※第一学習社)。たとえば太陽の色は、日本では赤で表す人が多いかもしれませんが、外国では白や黄色で表す人が多い国もあります(※第一学習社)。普及しているピクトグラムを見れば、色を見ずとも形状だけでも意味が推測できるようになっているデザインが多いでしょう。
なお、情報科目だけでなく、美術2でも似たようなデザインとアートの違いについて習います
じっさい、美術の教科書会社のサイトにある動画でも、そう言っています<ref>[https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/k-bijutsu/interview 『インタビュー映像 美術のはなし | 高等学校 美術 | 光村図書出版』 情報をデザインするということ 、語り手:グラフィックデザイナー 中川憲造 教科書関連ページ:平成30年度版『美術2』P.32-33「情報を視覚化するデザイン」 ]</ref>。
デザインは問題解決のために、観客に分かりやすく、観客が楽しめるように絵を交えて説明する絵画作品のことです<ref>[https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/k-bijutsu/interview 『インタビュー映像 美術のはなし | 高等学校 美術 | 光村図書出版』 情報をデザインするということ 、語り手:グラフィックデザイナー 中川憲造 教科書関連ページ:平成30年度版『美術2』P.32-33「情報を視覚化するデザイン」 ]</ref>。
なお、デザインする仕事の人のことを「デザイナー」と言います。
ともかく、デザイナーは作品で情報が分かりやすく伝わらないと意味ないので、なので普通の人の気持ちもある程度は分からないといけません<ref>[https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/k-bijutsu/interview 『インタビュー映像 美術のはなし | 高等学校 美術 | 光村図書出版』 情報をデザインするということ 、語り手:グラフィックデザイナー 中川憲造 教科書関連ページ:平成30年度版『美術2』P.32-33「情報を視覚化するデザイン」 ]</ref>。
なので、情報デザインの授業でたとえば「学校の紹介をするwebサイトを作ろう」みたいな事になった時は、きちんと分かりやすいwebサイトを作ってください。
なお、別単元の「プロトタイプ開発」なども参考にするとよいでしょう。
教科書会社によっては「プロトタイプ」と言う呼び方ではなく「試作」と読んでいる会社もあります。まあ、内容は同じで、要するに試作してから、細部をつめていきます。
パンフレットやwebサイトなどの情報伝達メディアを作る場合、対象者(ターゲット)に分かりやすい表現をする必要があります(※ 日本文教出版I・P96、開隆堂)。
特に幼児や小学生などの子供向けの場合、それらの年齢層にも分かりやすい表現が必要です(※ 開隆堂)。
:※ いっぽう、大人でも、対象者を無視して、難解な自己満足の表現をするダメな大人もいます(難しい表現のできる自分を「国語力が高い」みたいに思ってる)。そういう、高校生未満の頭のダメな大人は、決して見習わないようにしましょう。
日本文教出版『情報 I』いわく、「わかりやすさ」「見やすさ」「読みやすさ」が、情報伝達メディアを作る際のポイントです。
=== プロトタイプ開発 ===
==== 基本 ====
デザイン(『設計』という意味)の分野では、けっして、なんでもかんでも議論で決定するべきではありません。
アイデアの良さを確認する場合は、実際に試作品をつくって、アイデアがうまく行きそうかどうかを、実験的に手を動かして確認してみることも必要です<ref> [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/24/1416758_004.pdf 『高校情報科_本編_190806.indd - 1416758_004.pdf』 90ページ] 2020年5月18日に閲覧して確認. </ref>。
たとえば、あるウェブサイト用のイラストを描く場合を例をあげると、まずラフ画(簡略化した線画などからなる、おおざっぱな絵)を書いて、協力者や依頼者などにラフ画を見せて意見を出してもらって、構図に問題が無いかなど、いろいろと確かめます。
あるいは、大まかな線画に加えて色も大まかに塗るくらいなら、いいかもしれません。
そしてウェブサイト用イラストの場合なら、まずラフ画ができたら、そのラフ画をさっさとスキャナーなどでデジタルデータにして、先にHTMLファイルなどで製作中サイトに表示してみて、いろいろと確かめてます。
たとえば、ラフ画が色付きなら、「その画像の色は、はたして本当にこのサイトで表示しても大丈夫か? 文字の色と紛らわしくないか? サイトの背景の色と紛らわしくないか?」とか様々な問題点の有無を確認します。
:(たとえばNHk教育『社会と情報』でも、文字色と背景色とは明度の差をつけりようにと言っています。<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200005_00000&lib=on 『社会と情報 第5回 情報デザイン』 ]</ref>)
:なお、赤と緑は、判別しにくい人がいます。なので、文字と背景での色の組み合わせにおいて、赤と緑の組み合わせは、できるだけ避ける必要があります<ref>実教出版『情報I Python』、P26</ref>。やむを得ず、赤と緑の組み合わせを使うときは、明度に差をつけるとか、あるいは、背景に網掛け(あみかけ)をするなどの工夫が必要です<ref>実教出版『情報I Python』、P26</ref>。
あるいは、サイトの説明文などを組み合わせた状態を実際に閲覧してみて問題点が無いかなども、確認してみます。
(いくら、紙に書かれた単品のイラストだけを見ても、サイト上で説明文と組み合せた時の問題点は、実際にコンピュータ上で組み合せてみないと、気づくのが難しいのです。 なので、実際に試作してみましょう。)
「ペーパープロトタイピング」という市場のスケッチだけでアイデア出しをする手法もありますが(※たとえば検定教科書の東京書籍『情報II』でも紹介されています。日本文教出版でも用語なしで紹介)、しかし「ペーパープロトタイプ」という用語は採用しなくていいです。そもそも、ペーパープロトタイピングは、日本語でいう「試作」ではなく、経産省が言うにはアイデア出しの手法です。
経産省および独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の見解では、ペーパープロトタイピングは、アイデア出し手法のブレーンストーミング法やKJ法などと同列の手法であると、経産省らの資料『デジタルスキル標準』ver.1.1 の表に書かれています<ref>経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構 共著『デジタルスキル標準』ver.1.1 ,2023年8月』 ,P.24</ref>。
なお、文科省の教員研修要資料にあるペーパープロトタイピングの使い方は、まとまったアイデアをさっさとスキャニングして、それを実際にパソコン画面などで見ることで、配置などを検討しています。そういう使い方です。
ただまあ、現代ならタッチペンのあるデバイスとツールで画像を書いて、それをパソコンに取り込むほうが早いと思います。スキャナーに並ばなくて済むし。
ハッキリ言って、(検討ではなく)検証の目的ではペーパープロトタイピングは役立ちません。コンピュータ関係のアイデアの検証をしたいなら、実際にコンピュータの実機で動かすしかありません。
裏を返すと、IT業界でいう「設計」というのは、実際に動くものを作るなどして簡易的な検証をすることも含まれています。なお、経産省の資料では、「設計」のあとにユーザーに使ってもらうなどして(※ 資料の「ユーザビリティ」からwiki側で推測)、本格的な「検証」の工程があります。
「ペーパープロトタイピング」というのは、単に、構想のアイデア出しの打ち合わせのときのスケッチを別の用語で言い換えただけに過ぎません。しょせん「ペーパープロトタイピング」はアイデア出しにすぎず、検証ではありません。
一般にIT企業でも製造業でも、さっさと実機で動くかどうかを確認するのが一般的な意味での「プロトタイプ」であり「試作品」です。少なくとも企業が若者に求めている能力はそれです。
アイデア出しばかりせず、良さそうなアイデアが出たら、(安全に配慮しつつ)さっさと検証してください。
素人どうしの高校生が、実機での制作すらしたことないのに紙上で議論しても、どうせピント外れの議論になって、無駄の無駄です。
webサイトくらいさっさとhtmlで記述して、試作できるでしょう。中学生ですら試作できます。
紙上での議論が必要なジャンルがあるとしたら、もっとカネのかかるものを制作する場合の話です。イスを作るとか、傘立てを作るとか、そういう実物のあるものを作る場合なら、紙上でのスケッチも有効かもしれません。
ですが、webサイトはそういう実物ではありません。さっさとHTMLでwebサイトを書いてください。
PDCA法などの評価手法・修正手法などによる評価(Check)や改善(Act)などは、まず先にプロトタイプで実験してからのハナシですし、まずはプロトタイプを利用者に見てもらうなどの必要があります<ref>[https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/24/1416758_004.pdf 『高校情報科_本編_190806.indd - 1416758_004.pdf』 90ページ、ページ下段『(5)評価・検証する』] </ref>。
:※ PDCA法とは業務改善の手法であり、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を改善する手法のこと。
もし仮に、先に絵を細かく書いてから、あとからウェブサイトに取り込む方式の開発をしてしまうと、もし文章との組み合わせでの問題点があったときに、作り直しになってしまい、大幅に時間を無駄にしてしまいます。
なので、まず先に、試作品で、最終的な全体像に近いほうを、試す必要があります。
単にラフ画を描くだけでなく、さらに、なるべく、サイトの全体像を先に試作する必要があります。
このように、なにかを試作する場合には、なるべく、試作でいいので全体像を先につくってみて実際に実験することで、全体像を確認してみます。そして、全体の確認が取れたり、あるいは全体像のミスが修正できたら、あとから細部を作り込んでいきます。
{{コラム|不具合原因の特定の必要性(※ 検定教科書の範囲外。NHK動画で似た話を確認)|
さて、問題として、もしうまく動作しない場合などに、不具合の原因をどうやって特定するか、なかなかの問題です。これはwebサイトのプロトタイプに限った話ではなく、ロボットやドローンなどを作る場合も同様に起こりうる問題です。
もし不具合があった場合、色々と試すことで不具合の原因をなるべく特定しましょう。たとえ不具合後、1回だけソースコードを変えてみて別方式をひとつ試してみて実際に正常動作しても、それで検証を終わりにするのは危険です。
なぜ一つの別方式だけでは危険かというと、もしかしたら正常動作した理由は決してソースコードを変えたことではないかもしれず、たとえば時間がたって何らかの条件を満たしたから正常動作しただけかもしれません。あるいは、奇数回数では失敗するが偶数回数では成功するとか、あるいはハッカーが偶然そのとき攻撃を停止していた、などの不具合かもしれません。
この場合だと、本当の原因を解決できてないので、ふたたび時間が経過したりしたら、また不具合が起きる可能性があります。
なので、不具合が起きたら、けっして単に「正常動作したら終わり」ではなく、再発防止のために原因究明をする必要があり、そのためには比較として幾つかの方式を試す必要があります。
(※ 理科の参考書で習う「対照実験」、・・と言おうとしたが、じつは対照実験は検定教科書の『生物基礎』では習ってない。『科学と人間生活』当たりの科目では習う。wikibooksでは[[高等学校生物/生物I/細胞の構造とはたらき]]で対照実験に言及(版にもよる)。)
不具合後の原因究明のため、もし不具合のあった後は、とりあえず改修して正常に動作したら、その正常に行ったときのデータやファイルなどは保管しつつ、(時間と費用に余裕があれば)なるべく別の方式も試してみて、不具合の原因が特定できるまで、色々と試していきましょう。
}}
{{コラム|ほかの業界でも試作はある|
たとえば、製造業でも、設計の段階では試作します。
教員向けの指導書を読んでたら、ある工業高校でIT化されたリアカーを開発した事例でも、工業高校生がプロトタイプ(試作品)の制作をしています<ref>中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P12</ref>。
別のある水産高校で魚群探知ロボットを作った事例でも、プロトタイプを制作しています<ref>中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P21</ref>。
ある私立の小学校では、木製の椅子を作る際、10分の1のミニチュアを先につくって、強度など確認しています<ref>中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P21</ref>。
いきなり本物の実物大のイスを作ると、木材の消費量が多いし、設計ミスをしたときの損失が多くなってしまって大変です。こういう場合はまずミニチュアを作りましょう。
なお、さすがに子供だけでイスを作るのは無理なので、林業の業者や、学校の先生がところどころ手伝ったりしています。木材の伐採は業者の仕事。子供の仕事は、設計と、組み立て・塗装などです。
実際のミニチュアの椅子だと、ネジやクギなどサイズが合わないので、ミニチュアで成功したからといって、必ずしも実物大で成功するとは限りません。ですが、ミニチュアですら失敗するデザインは、実物大にしたら確実に失敗します。
なので、大きなものを作る場合は、まずはミニチュアで成功するかを確認しましょう。
}}
文科省の動画教材でも言われてるのですが、最近のホームページ作成は難しく、いきなりCSSとかを駆使して作るのは、ふつうの高校生には無理です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=-Va7ciTWQ1w 文部科学省/mextchannel『高等学校「情報Ⅰ」オンライン学習会 【第8回】情報をデザインすることの意義、デザインするための一連の進め方』]</ref>。
というか、そこまで出来ないから、いま高校生が情報系の科目を勉強しているわけです。
まず、あまりCSSなどのお作法は考えず、とりあえず習った知識だけを駆使して、とりあえずのwebサイトを作りましょう。
ネットでは大人が「CSSを使わないと保守性が悪い!」とか言うかもしれませんが、しかしwebサイトとして動かない欠陥品を保守しても意味が無いです。
保守性がどうこう文句を言う大人は、決して、あなたのwebサイト制作の手伝いなんかしてくれません。そんな口先だけの大人なんかの言う事なんかを真に受けるより、実際にYouTube動画や高校教材などを作ってくれている文科省や大学教授や高校教員の人々を信用しましょう。
動くものを作るのが先、保守性を上げていくのは後回し、です。
実際にプロトタイプを作る場合は、まず箇条書きなどでアイデアを文字に起こしましょう。(※ 日本文教出版の教科書がそう。)
もし文字起こしをせず、頭の中で考えるだけだと、脳内でアイデアの記憶を維持するだけで脳のエネルギーを使ってしまうので、新アイデアの創造にまで頭が回りません。
『国際大学』という大学院大学とNHKが、プロトタイピングに使えそうな動画を作っています。クラウド関係の啓もう(けいもう)の動画ですが、視聴したところ、プロトタイピングにも使える内容になっています。
[https://full-glocom.jp/resources/lectures/n2 『みんなとクラウドで作業するとき、大切なことって何?』 FuLL, ] 動画中、小学生が学級新聞をつくるためにクラウド活用してプロトタイピングをしています(なお、動画中では『プロトタイプ』の語は出ていません)。今時の学校でのプロトタイピングは、コンテンツを作る場合にはクラウド活用することもあります。
* アンケートの実施など
デザイン案について、可能なら、ユーザー層などにwebアンケートを実施します(※第一学習社 P.75)。たとえばデザイン案が複数あって決まらない場合など、アンケートを取ると良いでしょう。
アンケートの際、「よい/わるい/ふつう」といった感想の選択肢のほか、なぜそう思うかの「理由」も必要です(※第一学習社が推奨している)。
検定教科書では「理由」が必要な理由までは説明してないのですが、世間一般には、選択肢を選ぶだけのアンケートだと、手抜きをしてデタラメにつける人がいます。
高校の文化祭webサイトのデザイン案とかだと、時間的な限界もあるでしょうし、アンケート実施まで可能かどうかは分かりません。
ですが、たぶん教科書会社はそういう感じで、高校生や高校教師などにアンケートを取りつつ、検定教科書を作っているのでしょう。
==== モジュール化より全体像の試作が先 ====
日本文教出版の情報IIの教科書で、webサイトのモジュール開発する場合は共通部分としてプロトタイプで「ひながた」をつくっておいて、変わる部分だけを個々人に依頼すると良いみたいな事を言ってますが(日本文教出版『情報II』P43)、説明不足、あるいはマチガイです。(なお、ヘッダとかフッタとかを共通部分として使いまわしをする挿し絵あり)
正しくは、まず上述の節での説明のように、'''全体像を試作するのが先'''です。
webサイトを作る場合なら、十数分で作ったような低品質なページで良いので、実際にコンピュータ上で、HTMLなどで記述されたwebサイトを作り、とにかくブラウザ上で確認できるところまで作ります。
たとえば日本文教出版の教科書では「出し物詳細その1」「出し物詳細その2」「出し物詳細その3」を、3人に分担させてモジュール制作させています。(おそらく、文化祭か何かの出し物のサイトでしょうか。)
このようなサイトを作りたい場合、もっといい方法は、
まず、仮の「出し物詳細(仮1)」「出し物詳細(仮2)」「出し物詳細(仮3)」「出し物詳細(仮4)」とかをサイト制作者が1人で作っておいて、それをまず画面に組み込んで確認するのが先です。
そして、サイト上で、複数の出し物(仮データ)を表示しても異常が無いかとか、そういうのを実際にサイトの動作を確認するテストをするのが先です。
つまり、本番データ作成よりも前に、まず'''仮データによる動作テスト'''を行います。(※ 検定教科書(日本文教出版、実教の「情報II」)では、この工程が抜けています。この工程が無いと、本番データでテストすることになるので、運が悪いと最悪、本番データの作り直しになり、時間が大幅に遅れます。
文化祭の出し物のデータなら、たとえばクラス名は高校「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが、本番データへの混入を防げて安全でしょう。
人名なら、「山田 太郎」とか、「東京 花子」みたいなのを仮データにすると良いでしょうか。
なお、この仮データは見本を兼ねます。読者の皆さんも、よく何かの申込書とかを書くとき、「山田 太郎」とかを例にした見本を見るでしょう。ジュール開発をする場合も、まず、そういう見本が無いと、依頼を受けた作業者は分からないのです。
{{コラム|ソフトウェアの「レイアウト」にはテストが必要だろう|
結局、「レイアウト」をどこまで具体的に作りこむか、という問題です。業界によって「レイアウト」に要求される具体性の水準は変わります。
イラストレーターやCGデザイナーなど絵描きが「レイアウト」と言ってる制作物を見ると、決して単に配置物を入れる四角の型枠の位置を決めるだけでなく、さらにその配置物のなかみの絵まで、ラフ画で提出しています。というか、イラストの場合、四角の型枠が不要な場合すらあります。
実教出版の検定教科書『情報II』(P.21)だと「レイアウト」で、ワイヤーフレームで四角の型枠の位置を決めるだけまでしか行っていません。そういう業界もあるかもしれないので、決してマチガイとは言えません。
プログラマーや技術者などが作るような何らかのソフトウェアやwebサービスなどの場合、技術的な都合も関わってきますので、テストと一体または併行(へいこう)・並行でなければ「レイアウト」は意味ありません。たとえば、絵のセンスある偉い人が何時間もかけて「レイアウト」を決めても、テストしてなければ意味がなく、たとえば、もしテストしてない場合は、実装段階でテストしたらバグが見つかってしまえばレイアウトから作り直しの羽目になって時間を大幅にロス、なんてことになりかねず、そうなったら目も当てられません。
}}
{{コラム|「ワイヤーフレーム」|
「ワイヤーフレーム」という用語を聞くと、ついつい、JavaScriptなどで線分を書きたくなるかもしれません。
しかし、最終的にwebサイト中のページでjpeg画像またはpng画像を表示する予定の箇所なら、その箇所にはJavaScriptで何かを描画するよりも、プロトタイプでは別画像で良いので実際にjpeg画像やpng画像など同形式でほぼ同サイズの画像をwebサイトのページ中に表示したほうが、テストも兼ねて安全で効率的でしょう。HTMLではimgタグなどを使えば、画像を表示できるはずです。
「ワイヤーフレーム」と言っても、決して1970年代のSF映画みたいな線画の3D-CGみたいなのは、描画の必要は無いです(当時はああいう線画CGをワイヤーフレームと呼んでいた)。プロトタイプでいう「ワイヤーフレーム」とは、そういう意味ではありません(1970年代くらいの古い文化が由来かもしれないが、しかし現状での意味は違う)。
正直、ワイヤーフレームと言う用語は、割とどうでもよいと思います。実際、日本文教出版や東京書籍の「情報II」教科書ではワイヤーフレームは紹介していないし。
よりにもよって、実教の「情報II」教科書では、手書きでペーパープロトタイピングをしやすいようにと、ワイヤーフレームの説明図では線画の絵を描いています。
しかし、画像を表示する予定の場所には、別の画像で良いので、実際に同じくらいのサイズの画像を表示するコードを書くほうが、テストの面からは大切です。
}}
ほか、「モックアップ」と「ワイヤーフレーム」と「プロトタイプ」の意味の細かな違いは、どうでもよく、なぜなら業界によって意味が微妙に変わるから。
さて日本文教出版の教科書の挿し絵によると、「出し物」をヨコ3列に表示するようなので、だったらテスト時には4個以上の仮データが必要でしょう。ヨコ1行あたりにタテ3列までしか表示しない「出し物」の改行が上手く行くかを確認するためには、4個以上の出し物データが必要だからです。
そして、上述のような試作テストを簡易でいいので終わらせてから、実際の出し物のデータに置き換えるため、それからモジュール開発の依頼を出すべきです。
したがって、モジュール開発する場合は、その前に行ったテスト時の仮データを上書きして本番データに置き換えするような形で、開発していくことになります。
もしサイト中に絵が必要なら、5分や10分で書いた稚拙(ちせつ)な絵でいいので、できれば、とにかく分かりやすい絵をデジタル上で描き、それを組み込みます。
あるいはサイト中にテーブル表などがあるなら、架空のデータで良いので、さっさと数分でデータを試作品として入れます。
まず、ソフトウェア的にバグが無いかを確認するのが先ですので、まず仮データでいいので全体像を作らないといけないのです。
もし、「時間を何時間もかけて、本番データを作成して入力したあとに、バグが発生して、データの作り直し」なんて事になったら、目も当てられません。
だから、まず、最低限の時間で(ただし、チーム仲間が見ても、ソフト動作の確認が分かる程度には、作りこみが必要)、実際に全体像をつくるのが先です。
仮データのファイル名はたとえば「出し物1(仮)」みたいな無難なものにしましょう。
仮データを作る際、もし本番データにまぎれこんでも困らないように、けっして変な名前はつけないようにしましょう。たとえばファイル名に「うんこ」とか「unko」とかつけると、最悪、本番データにまぎれるとトラブルになります。ファイル名「unko」とか付けると、トラブル防止のための確認といった余計な手間を増やしてしまい、チームの負担になります。
仮データのなかの文章も、本番でも使えるようなマジメな文章にしておきましょう。既に例示しましたが、文化祭の出し物の仮データなら、たとえばクラス名は高校「5年1組」とか「991年1組」みたいにありえない数字にしておいたり、部活名なら「カリ1部」とか「カリ2部」みたいにしておくのが安全でしょう。
==== その他 ====
===== ユーザー層を具体的に思い浮かべよう =====
* ペルソナ法
チームで共同作業をする際、それぞれが別のユーザー層を思い浮かべていては、うまく共同作業ができません。
なので、具体的なユーザー層を、チームの皆で考えます。
ユーザー層を考える時、典型的なユーザーを最低でも1人、考えます。
その典型的ユーザーを考える際、名前や職業や年齢や性別、性格、家族構成、趣味や将来の志望、などといった具体的なレベルまで、人物像を決めておきます。
また、それができるようになるために、簡易な取材でいいので、事前にユーザーにインタビュー取材およびユーザー調査などをします(日本文教出版 II)。
このように、典型ユーザーのイメージ像を具体的に共有する開発手法を「ペルソナ法」と言います(東京書籍 I、日本文教出版 II)。
手法の名前「ペルソナ法」はどうでもいいです。具体的なユーザー層を考えましょう。
:※ 世の中には、具体的なユーザー層を無視して、巨匠(きょしょう)でもないのに独りよがりな自分にしか価値の分からない作品・製品を作りたがる人もいます。仕事ではなく趣味ならそれでも良いですが、しかし仕事では、そういう独りよがりはやめましょう。高校生でも出来る当然のことすら出来ないオトナは、けっこういます。
このように具体的にユーザー像を決めることで、ユーザー層の理解が深まるし(日本文教出版 II)、また、チームメンバー同士の考え違いなどを防止できる(東京書籍 I)。
* プロトペルソナ法
東京書籍が言ってる手法ですが、一人のユーザーのペルソナではなく、複数人(数名ていど)のペルソナを設定する方法もあります。
その際、各ユーザーのペルソナの利益が反することがあります。
デザインの改修案が、あるペルソナAには利益があるけど、ペルソナBには改修前のほうが良かった、みたいな場合です。
このようにペルソナ同士の利益が反する場合、どのペルソナを1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があります(東京書籍 I)。
多数決ではなく、人物の序列で決めるのがポイントです。
東京書籍はそこまで言ってないですが、カネなどを提供しない客以外の人からウケても、意味がありません。たとえば高校教科書の文章の設計なら、高校生でもなければ保護者でもなく高校教師や塾講師でもなければ文科省や教育委員会でもない、世間のオッサン・オバサンとか大学院生とか幼稚園児とかに受けても意味が無いわけです。
一例として、2位以下のユーザーからの要望は、1位のユーザーの利益に反しないかぎり、受け入れる、といった感じです(東京書籍 I)。
業界によっては、別の言い方で「メインユーザー層を決める」とか「コア層を決める」「コア層に従う」とか「メインのターゲット層を決める」みたいな言い方をするかもしれませんが、意味合いは大体、似たような感じです。
東京書籍が言ってるのですが、ペルソナを設定する際に、ユーザー調査ではなく自分のやりたいことから逆算して都合良いペルソナを設定するという、ダメな人が時々います。チーム作業とか他人のお金で仕事をしている場合は、そういうダメな自己表現はしないようにしましょう。
ユーザーを無視して自己表現で自分のアイデアを世に問いたいなら、自分のカネでやりましょう。他人のカネと時間を使うな。
===== デザインでは適切なツールを使おう =====
ホームページを作る場合、上記で良いと思います。
[[ファイル:文科省教材レイヤー説明図.png|400px|thumb|[https://www.mext.go.jp/content/20200928-mxt_jogai01-100013300_001.pdf 【高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)】第2章 - 20200928-mxt_jogai01-100013300_001.pdf ]より画像を引用。]]
もし、作りたいものがホームページでない場合、たとえば何かの画像を作りたい場合、そういうのに便利なツールを使いましょう。
文科省の教員用の教材では、ベクター画像の編集ソフトウェアについて、レイヤーの概念を教えています。
Windows『ペイント』には、レイヤーの機能は無いはずです。
ラスタ画像なら、お絵かきソフトなどで無料のソフトでレイヤー機能のあるソフトがあるので、それを使いましょう。もちろん、有料ソフトにもレイヤー機能のある製品が、ふつうにあります、。
=== webサイトのコンテンツ制作 ===
検定教科書がwebサイトのコンテンツ制作を例にプロトタイプを説明してるが、全然、なってない。
:※ なお、サーバー管理とかそういう話題は、除外の単元。
JavaScriptとかそういうのは、後回し。特に、業者の作ったwebサイト作成ツールを使っている学校のwebサイトの場合、JavaScriptをいじるのは素人では無理。
なので学生・教職員の出来ることは、まず、普通の日本語の文章だけでいいので、文章または箇条書きなどで、必要事項を説明する。
HTMLファイルをいじる事になるが、この段階では、既存のタグはいじらないで、そのままにしておく。まだ、当面はタグは追加しない。
body タグのブロック内に本文を書くことになると思うが、まずは本文だけで必要事項を説明する。業者のwebページ作成ツールを使っている場合なら、ツールの操作指示にしたがって本文を記述すればいい。
文化祭のwebページなら、開催日とその時間帯といった日時とか、一般公開の有無とか、来校の方法とか(自動車・自転車は不可など)、そういう情報をまず列記。
見た目を整えるのは、後回し。CSSとか、後回し。そもそも業者ツールの場合、CSS編集できない場合すら、ありうる。
さて、出し物の一覧は、どこの高校でも、すでにそういうファイルがpdfなどで別途作成済みなので(印刷用にPDFをどこの高校でも使うので)、その既存のpdfファイルをアップロードし、ダウンロード用のリンクをwebページ内のどこかに配置。pdfアップロードの操作方法については、今時の高校のサイトは、業者がつくったツールの上に、アップロードしたいコンテンツを追加していく方式なので、それぞれのツールごとの操作を確認。
業者にも寄るが、アップロードの原理は単純で、単にファイルサーバーにpdfファイルごとアップロードして、そのサーバーのアドレスのリンクを href タグまたは別のタグなどで記述しているだけである。業者のツール側で、ファイルの種類を判断して、勝手に上手いこと、表示をしてくれる。
だいたい、どこの高校の文化祭サイトでも、
<code><nowiki> <a href="https://www.学校名.ed.jp/2023-文化祭-スケジュール-1.pdf">ダウンロード</a></nowiki></code>
みたいなのがソースファイル中に書かれている。'''学生側は、ソースコードをイジル必要は無い。学生は、業者のツールに任せて操作すればいい。''' むしろ、業者のツールに任せなければいけない。htmlファイルをいじるのは、保証のサポート外になってしまう可能性がある。
JavaSvriptの部分は、いじらない。どうしてもイジるなら、プロの技術者を確保すること。コンテンツの内容と、プログラムの両方を管理できる時間は無い。なので、プログラム専属の人が必要。そんな人手と予算が無いなら、JavaScriptはいじらない。
=== ISOの人間中心設計 ===
[[ファイル:ISO人間中心設計.png|thumb|400px|人間中心設計]]
情報デザインやプロトタイプ開発をする際、話し合いなどで「ユーザビリティ」や「ユーザーエクスペリエンス」などの用語を使うかもしれませんが、これらの用語のいくつかは国際規格の ISO にも規定されています。
とりあえず、検定教科書と同じ意味で使っていれば、特に問題はありません。
ISO規格のうち、「人間中心設計」と言う分野で、定められています。
内容も、ユーザーのニーズを調査しろだとか、それを文書で残して明確化しろとか、ふつうの事が書いてあるだけです。
設計の基本を押さえていれば、問題ありません。
ユーザーニーズを把握して設計のアイデアが決まったら、そのあと試作品を作れとか、試作品を作ったらそれをテストして改善しろだとか(いわゆる「PDCA法」のこと)、そういう普通のことがISOの人間中心設計で定められています。
日本など先進国の技術系の会社では、こういった設計手法は常識ですが、しかし世界にはそういう設計手法が守れない未熟な国があるので、そういう未熟な国との貿易を断る口実がISOです。冗談とかではなく、実際に ISO を守れないと、欧州企業などからは取引停止などの口実にされるかもしれません。
=== その他の仕事術 ===
==== ToDoリスト ====
:※ 検定教科書ではないのですが、新共通試験(センター試験の新しくなったヤツ)のサンプル問題を見ると、設問文中に「ToDoリスト」というのがあります。
:つまり、「こういう風に ToDo リストで仕事しろ」というセンター試験委員たちから高校生への、ありがたい忠告です。
仕事をする際、色々といくつもの事をしないといけません。そのための自分のスケジュールなどの管理方法としてToDoリストがあります。
要点は下記の通り
* すべき作業を箇条書きしてリストアップしろ.
* そのリストの各作業(タスク)を優先度順に並び替えろ.
* 上記の並び替えをしやすいようにパソコンでToDoリストを作れ.
ToDoリスト作成の理由は、まず、忘れないようにメモ帳などに、やるべき仕事を箇条書きにしてリストアップするのは当然です。後述の作業のため、パソコンでリストアップしましょう。
加えて、重要度順、または締め切りの早い順に並び替えます。なぜ必要かと言うと、メモしないと、いつまでも頭の中で覚え続ける必要があるので、脳味噌を疲れさせてしまい、本来の仕事に集中できません。なので、メモする必要があるのです。
特にIT系の仕事や設計(英語で design デザイン)などの仕事は集中力を使うので、覚え続けるために集中力を使ってしまうと、本来のIT仕事に集中できなくなり、効率がかなり低下します。
また、順序を並び替えないと、いちいち、「どの仕事の重要度が、どのくらい高いか、低いか」を覚え続ける手間が生じてしまうので、やはり本来の仕事に集中できなくなってしまいます。
(新人ではなく)もしかしたら管理職なら、手配先(てはいさき)ごとに作業(タスク)を分類したりとかもあるかもしれませんが、しかしそれは新人の時点では、することではありません。新人が当面のあいだToDoリストでするのは、優先度順の並び替えです。
ともかく、優先度順にToDoリストの各項目を書く必要があるのです。
で、箇条書きにした各仕事にじっさいに取り掛かって、各仕事が終わったら、それぞれ終わった仕事に【完了】 とか 【済み】 とか、同じ行に書いておきます。終わった各仕事は、メモからは消さずに、「完了」とか書いて残しておくのがコツです。
なぜなら、あとから確認作業などのために、仕事を振り返ることがありますので。もし消すと、思い出すのに手間が掛かり時間の無駄ですし、集中力が下がります。それに振り返りもできなくなってしまいます。
なお、別の節で「問題解決」を紹介しますが、ToDoリストの作成も、PDCA法などと並ぶ、問題解決のための有効な手法のひとつです。関連付けて理解しましょう。
「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。
==== ※ 範囲外? MVP ====
まず試作では、最小の機能だけを設計する。これをMVP(Minimum Viable Product)と言う。
当wikiでは他の範囲外コラムでオーバーエンジニアリングを避けるべきことを注意喚起しているが、このMVPはオーバーエンジニアリングを避けるための手法の一つである。
文科省の教師むけ動画でも、たとえばチャットアプリを作るならメッセージのサーバーを介しての送受信とその保管だけを優先的に実装する例を出している<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=DIcN1Q8XvGo&list=PLGpGsGZ3lmbBs6R8OO536eIHrdupKCjiJ&index=3 文部科学省/mextchannel 『[2]【情報Ⅱ】情報システムとプログラミング・情報システムを設計しよう!「情報システム設計の進め方」』2024/03/13 、1:10以降 ]</ref>。リマインダー機能やToDoリストなどの機能を、設計から排除している。なお、文科省の動画では、これを動画では「要件定義」として紹介している。
なお、同動画はPDF化されている。 [https://www.mext.go.jp/content/20240308-mxt_jogai01-000034455_02.pdf 『情報システムとプログラミング 情報システムを設計しよう』4.]。
最終的にリマインダー機能をつけるかどうかはチームの目的によって異なるだろうが、とりあえずソフトウェアの開発当初の段階では不要だろう。(最低限の機能の実装も出来てないのに、あれこれと他の機能を考えても、ことわざでいう『とらぬタヌキの皮算用』みたいなもんでしかない。)
開発コストを下げるため、こういうのが必要。余計な機能をつけると、開発コストが増大しやすいので、あまり余計な機能を増やさないほうが安全。
オーバーエンジニアリングを避ける手法の一つ。
== ※ 経産省との連携 ==
=== ゴール設定とターゲット層 ===
:※ 内閣官房からの省庁への命令にもどつく提案のひとつです。経産省『デジタルスキル標準』との連携.
:※ 内閣官房からの命令で、文科省が経産省とデジタル人材育成の教育で連携することが命令されている。プロダクト開発などにおいては、経産省は、ゴール設定のスキルを要求している<ref>[https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf 経済産業省・情報処理推進機構 共著『デジタルスキル標準 ver.1.1』,2023年8月 , P.79]</ref>。参考資料の「リーダーシップ」や「ゴール設定」の項目で、ゴール設定のありかたに言及している。
:※ 検定教科書の東京書籍『情報II』でも、広告産業の話題だが、ゴール設定の話をしている。ターゲティング広告の話も東京書籍の教科書にはあるが、しかしビジネスでいう「ターゲット」設定とは意味が違う。
(資料では言及していないが、)開発が長引いたりすると、当初の問題意識が何だったのかの記憶が薄れたりして、不明確になりやすい。
または、すでに開発初期から、チームメンバーごとに目標が微妙に食い違ってしまっている場合もある。そうすると、トラブルが起こりやすくなる。
なのでトラブル防止のため、開発の初期に、その製品開発が満たすべき第一目標や優先目標などの目的を明確にチームで共有する必要があるので、そのために言語化してイメージを共有する必要があり、このような優先目標などの言語化を「'''ゴール設定'''」などとビジネスでは呼んでいる。
たとえば、遊具をデザインするなら、「幼児~小学生を対象に(ターゲット)、楽しく安全に遊んでもらう(目的)」のようにゴール設定するのです<ref>山崎正明『中学校美術 指導スキル大全』、明治図書、2022年5月初版第1刷刊、P51</ref>。
;ターゲット
なお、この遊具の例のように、ゴール設定の際、メインの使用者層の設定も必要になることがあり、その使用者層のことを「ターゲット層」などとビジネス用語ではよく言います。
デザインでは「使用者(ターゲット)」の設定が必要だと説明しています<ref>山崎正明『中学校美術 指導スキル大全』、明治図書、2022年5月初版第1刷刊、P51</ref>。
ターゲット層を設定する際も、ペルソナ法などを活用して、そのターゲット層の代表的な人物の性格・職業・趣味・夢などの具体的な人物像が分かるレベルにまでターゲット層を明確に設定しましょう。
一般向けのグラフィック系のデザイン入門書でも「ゴール」と呼んだりもするかもしれません。高校の検定教科書(日本文教出版の情報IIでも、「ゴール」という言い方はしていませんが、「目標」という言葉で、ゴール設定と同じことを紹介しています。)
ターゲット層を設定しつつ、その領域を拡大することも経産省は求めてます[https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf 『デジタルスキル標準』P.87]。 ※ 「(ターゲットとなる顧客・ユーザー、領域の拡大等)」と言う文言が試料中にある。
書籍『浦和高校論文集』(佐藤優 編著、K&Kプレス、2019年)を読んでいたら、2010年代の公立高校の高校生が卒論で「ターゲット」という言葉を特に注記なく普通に使っていました。<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P423</ref>。コメダ珈琲について、「コメダはモーニングというサービスがある。コーヒーメニューを注文すると、厚切りのトーストとゆ卵がついてくるというサービスだ、朝の時間帯、特に独身のサラリーマンをターゲットにし成功している。」。<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P423</ref>という文章です。
2010年代の公立高校生でもターゲット層という概念を知っているんだから、2020年代の高校生だったらもう知ってて当然でしょう。
ターゲットの設定法は、モニタリング(観察)とすでに習ったプロトペルソナ法である程度は対応できるでしょう。
=== KPI ===
==== 基本 ====
:※ 検定教科書の範囲。日本文教出版『情報II』のP.57にアリ。ただし、用語の紹介のみで、その説明はほとんど無い。
さらに「KPI」(ケーピーアイ、Key Performance Indicator)の知識と活用を、経産省『デジタルスキル標準』では求めています[https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf 『デジタルスキル標準』P.87]。KPIとは、実際にその商品がどれだけユーザーに好まれているかを、現実の自分らの提供中の商品分析から実証的に定量化した統計データです。
たとえば、自社のwebサイトが人気があるかどうかを確認したいなら、決してアンケートなどではなく、実際にそのサイトの1週間や1月など期間あたりの閲覧数のをもとに判断するのが、KPI的な考え方です。閲覧数など統計を記録した上でならアンケートなど実施するのも構いません。(アンケートはKPIとはあまり関係ないので、説明を省略します。)
閲覧数を記録するサービスをさらに細かく分けていけば、どのサービスに人気があって、不人気なサービスは何なのかとかわかっていき、改善点などが判明していきます。PDCAサイクルにおける、チェックの手法の一つと言えるでしょう。文字アンケートだけのチェックだと、文章が得意な人しか回答してくれなかったりして、消費者などの実態を反映しづらいので、なのでKPIによって実際の消費者らの行動を測定します。
経営学などの格言で「人の言ってる事とやってることが違う場合、本音はやってる事のほうだ」という感じの格言があります。KPIもそれと同じで、ユーザー層たちの実際にやってる事を分析します。
ただしKPIだけではユーザー層の細かい感情が分からないので、別途、インタビューなどを中間的にユーザーの一部に行います。ただしそれはKPI分析とは別の作業なので、インタビューについては説明を省略します。
:例: 学校の文化祭をKPI分析してみる場合・・・
たとえば文化祭のwebサイトの効果を測定したいなら、個々のページの閲覧者数や予定表PDFなどのダウンロード数だけでなく、さらに入場チケットの予約数とか、実際の文化祭当日の入場者数とか、そういう数値も記録するべきです。
とはいえ、不祥事などによって閲覧者数を増やしても意味がありません。そこで、そのKPIで設定した測定項目の前提として、ゴールも設定する必要があります。
たとえば文化祭サイトのゴールなら、「学校のために足で出向いて文化祭に来てくれるようなファンを増やす」あたりがゴールでしょうか(ゴールは学校によりますので一例です)。
KGIという、ゴールがどのていど達成されてるかを測定する指標の概念もありますが(企業なら「売上」や「利益率」などをKGIに設定する)、これは高校生にはどうしようもないので、説明を省略します。
ただ、ゴールを意識化することは高校生でも可能でしょう。
企業でKPIを設定する場合、単に閲覧者数や訪問者数などだけを記録するのではなく、さらにそのうち購入者数がどれだけいるかや購入率(購入者数をサイト閲覧者で割った数値)なども記録します。
高校の文化祭の場合、商売をしているのではないので購入者数や購入率は記録しようがありませんが、そういう事も覚えておいてください。ビジネスでは、カネを出さない人にウケても意味がないので。
購入率を見るのは、たとえば、閲覧者が1千人だけど900人に売れている商品Aと、閲覧者数が1万人だけど2千人に売れている商品B、売れ行きが良いのはどちらでしょうか? という問題です。ゴールにも寄りますが、投資効率で見れば、普通は900人に売れている商品のほうが投資効率が良さそうと見るでしょうか。(ただし、経済学には「規模の利益」といった概念もあるので、場合によります。)
高校の文化祭なら、購入者数の代わりに、実際に文化祭で入場した人などの割合も記録することになるでしょうか。これはチケット予約の状況などを測定すれば、ある程度は事前に推測可能でしょう。もちろん、当日の入場者数も記録しましょう。
:※ 正直、時間的な限界があるので、高校生にそこまでのKPI分析は無理でしょう。国語・数学・理科・社会・英語などの学業もありますし。文化祭の出し物の準備のための工作(ノコギリで板を切ったりとか)などに時間を取られて、KPIの分析なんて後回しにせざるを得ないのが実態でしょうか。
:ただ、KPIと言う概念は覚えておくと今後のためになって良いでしょう。
企業などでのKPIの測定では、リピーターの人数およびリピート率も測定したりします。
たとえば、(開店の初日でもないのに)もし1回しか商品を購入しない人の割合が多いとすれば、「きっと、購入者の多くが実際に購入したときに、不満があったのだろう」と問題点が存在しそうな可能性の高さを想定できます。
なので、リピート率を何らかの方法で測定します。
高校ではそこまでの測定は難しいかもしれませんが、こういうのがKPI的な分析方法です。
:※ なお、Google Analytics というグーグルのサービスで、ホームページの閲覧傾向などの分析ができる。HTMLに埋め込む方式である。 情報処理学会の動画でも紹介されている[https://www.youtube.com/watch?v=4ZZtts3T2TQ 情報処理学会『5. データの分析 (4) アンケートと行動(データの収集と分析)(情報通信ネットワークとデータの活用)』](5分50秒ごろ)。
:高校生がそこまでするのは大変だし、実際は無理だろうが、まあこういう方法もある事を知っておくと良い。
:※ なお、この情報処理学会の動画でも、KPIに言及しています(6分50秒ごろ)。
こういうツールを、'''アクセス解析ツール'''(web analytics tool)と言います(※ 日本文教出版 II ・P.38)。
Google Analytics はwebサイトの作り手が解析用のタグをソースコード中に貼り付ける方式であり、このような方式を'''webビーコン'''と言います(※日本文教出版でwebビーコンをweb解析ツールの単元で紹介)。
webビーコン型のほかにも、サーバログ取得型やパケットキャプチャリング型があります(※ 日本文教出版II)。
:(※ 編集注)サーバログ取得型などについては、それを解説した高校教材・大学教材などが見つからないので、省略します。たとえば大学教材だが実教出版『データサイエンスリテラシー』に Google Analytics の旧バージョンの Google データポータルの話題とKPIの話題とダッシュボードの話題がある。
:(※ 範囲外)なお、一つの画面上で、アクセスされている頻度が多い箇所ほど色を赤くしたり(または青くしたり)したものを「ヒートマップ」と言います<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200010_00000 NHK高校講座『社会と情報 第10回 メディアの発達』]</ref>。ヒートマップはアクセス解析ツールの一種。
:(※ 範囲外)アクセス記録とクリックなどのその操作記録は、実は不具時の修正のためにサーバー企業が保管しているものであり<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200010_00000 NHK高校講座『社会と情報 第10回 メディアの発達』]</ref>、それが本来の目的。ユーザビリティの改善にアクセス記録を使うのは、実は派生的・二次的な利用である。
暗黙の前提だが、たとえ利用者側が「送信」ボタンとか「購入」ボタンとかそういうボタンを押さなくても、webサイトにアクセスした時点でサーバー側にはアクセス記録が残ることになる<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200010_00000 NHK高校講座『社会と情報 第10回 メディアの発達』]</ref>。
==== ダッシュボード ====
[[ファイル:総務省 統計ダッシュボード.png|thumb|400px|ダッシュボードの例。総務省の統計ダッシュボード。]]
KPIは、単に数値を表で羅列するのではなく(表にすらしないよりかはマシですが)、できればグラフにしましょう。
KPIを算出する目的は、改善点などの問題発見のためです。なので、グラフ化することで、問題発見をしやすくしなければなりません。
:※ Google の Looker Studio で、Google Analytics のでデータをグラフ化できます。
なお、このような複数の別々の項目の最新データをグラフ一覧としてまとめたものを「ダッシュボード」と言います。
:さきほどの Looker Studio が、Google Analytics のダッシュボード化のためのwebサービスです。
:※ なお、「Google ダッシュボード」とは違います。Google ダッシュボードは、Google アカウント登録者のための画面画面のひとつです。
なお、Google 以外のクラウドサービスでも、たとえば教員の使っている授業用のクラウドソフトなどにも「ダッシュボード」という機能があり、生徒の状況(出席日数とか成績とか)などをグラフ化して、定量的にモニタリングしています。
=== ※コラム:デザインとは問題解決に寄与すべきものである ===
経済産業省は、デザインとは基本的には問題解決に寄与すべきものでなければならない、というような見解です<ref>[https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/service_design/pdf/20200420_03.pdf 経済産業省『我が国におけるサービスデザインの効果的な導⼊及び実践の在り⽅に関する調査研究報告』2020年3月]、、</ref><ref>[https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kodo_design/pdf/20190329_02.pdf 経済産業省『⾼度デザイン⼈材育成ガイドライン』2019年3月29日]</ref>。
で、内閣官房などの命令で、文部省と経済産業省などはICT教育において連携するようにと、それぞれの官庁は命令されています。
ともかく、IT系やビジネス系の業界で「デザイン」の仕事をうけおう場合、問題解決を優先しましょう。
詳しくは、下記コラム。
{{コラム|(※ 範囲外)デザイナーの仕事は問題「提起」ではなく問題「解決」|
検定教科書では特に言及されていませんが、経営学などでいう「デザイン」では、前提として、「問題解決」のためにデザインを行います。
大学などのネット上のPDF論文やプレゼン資料でも、デザインの理論を扱ったものには、「問題解決」の単語がいくつもあります<ref>[https://www.ritsumei.ac.jp/research/rcds/file/2023/5_rcds_2_ando_1.pdf 安藤拓生 著『創造的問題解決としてのデザインに必要な能力に関する理論的整理』、立命館大学、Vol. 2 『デザイン科学研究』 2023 年 3 月、 ] 2023年12月19日に閲覧.</ref><ref> [https://www.ritsumei.ac.jp/research/rcds/file/2023/10_rcds_2_iwatani_yaegashi.pdf 岩谷 昌樹 ・八重樫 文 共著『デザイン思考家の条件』立命館大学 、Vol. 2 『デザイン科学研究』 2023 年 3 月、P.136]</ref>。
論文 [https://www.ritsumei.ac.jp/research/rcds/file/2023/10_rcds_2_iwatani_yaegashi.pdf 岩谷 昌樹 ・八重樫 文 共著『デザイン思考家の条件』立命館大学 、Vol. 2 『デザイン科学研究』 2023 年 3 月、P.136]
によると、「(2) デザインとは問題解決のことであり,誰でも関わることができる」
とあります。(※上記の「(2)」は原著ではマル2だが、機種依存文字なのでwiki側で変更。)
なので、ともかく、将来的に仕事などで「デザイン」の業務をうけおった場合は、問題提起ばかりしないようにしましょう。
アート作品とかだと、よく、戦争や差別問題(たとえば人種差別や男女差別)など、問題提起があります。(例えばピカソのゲルニカみたいなの。)
しかし、デザインは基本、問題提起ではなく、書き手である自分が問題解決をする仕事です。
客先や観客に問題解決に必要な手間を新たにかけさせるのは、IT業界やビジネス業界では、もはや「デザイン」ではありません。そもそも客は、そういう手間を解決する具体案をつくるのが面倒なので、なので代わりの仕事をデザイナーに頼んでいるわけです。
だからデザイナーは、注文を受けたら、ほぼ自分の作品内で、問題解決をしなければなりません。(ただし、作品を仕上げるために客先などに相談などをするのなら、アリ。)なので、とりあえず、まずは客先からデザイン仕事を依頼されたら、まずは客の解決してもらいたい問題を解決した作品を提出するのを、デザイナーは優先しましょう。
;後戻りをしない、させない
もし、客先に問題提起をしてしまうと、客先の工程に、「手戻り」(てもどり)や「後戻り」(あともどり)と言われる、企画などのやり直しの作業が発生してしまいます。例外として、トラブルや事故などに発展しそうな問題でない限り、新たな問題の提案は、客先からの信用を得た次回以降の作品で、企画チームなどに加えてもらえたときに提案しましょう。
特にソフトウェアの場合だと、もし客先に工程の後戻りをさせてしまうと、デバッグなどの作業もやり直しになってしまう可能性があるので、大いにスケジュールおよび費用の負担が増えてしまいかねないのです。なので、工程の後戻りは、基本的には避けなければなりません。
よって、「あまり、後戻りをしない」のがデザインの基本テクニックです。
ソフトウェア開発の場合、仕方なくどうしても後戻りをしないといけない場合でも、なるべくデバッグなどのやり直しの範囲が狭くなるような方法での後戻りを提案しなければならないでしょう。
;分業が前提。 他部署の負担を増やさない
ほか、暗黙の前提として、デザイン仕事は分業が前提になっています。なので、デザイン仕事では、自分の部下以外の他の作業者の負担を増やしてはいけません。
だから後戻りなどは基本的には禁止だし、その他にも、ほかの部署の作業者の負担を増やすようなことは、避けなければならないのです。
}}
'''箇条書きメモの必要性'''(※ 範囲外)
ほかの節でもメモなどの箇条書きの必要性を述べてますが、設計などの仕事などをする際、手元のメモには必要事項などを箇条書きをすると良いでしょう。「何が解決すべき問題か、分からない」と言うときに、解決すべき問題を見つける方法のひとつが、箇条書きです。
もし分業や外注などをする場合でも、箇条書きをしてあることによって、どの作業を分業すればいいか把握しやすくなります。
箇条書きをしたうえでなら、箇条書きでは説明しきれないことがあれば文章にするのも構いませんが、まずすべき事は箇条書きです。
== その他 ==
=== プロトタイピング以外の開発手法 ===
[[File:Waterfall model jp.svg|thumb|500px|ウォーターフォール・モデル]]
ウォーターフォール(waterfall model)とかスパイラルモデル(spiral model)とか、アジャイル開発(agile development)とか。
ただ、高校生の段階では、ウォーターフォールは使わないだろう。
システムへの高度な専門知識がないとウォーターフォールは使いこなせないので。
初心者でプログラミングや運用の知識が無いのに、ウォーターフォールで設計しても、保守性の悪い設計をするのがオチである。
スパイラル(spiral)とは、「渦」(うず)という意味。
スパイラルモデルでは、
:要求定義→設計→プログラミング→テスト→要求定義→設計→プログラミング→テスト→(以下略)
と何周も繰り返すので、図にすると渦っぽいので、スパイラルモデルと呼んでいる。
アジャイル開発とは、最初からは厳密な仕様を決めずに、試作を通して、仕様を決めていく方式。
アジャイル agile とは、「機敏」(きびん)とかの意味。
:(※ 範囲外)西洋ゲームとかで素早さのことをアジリティー agility と言うが、それと同じ系統の語。たとえばゲーム『[[w:ウィザードリィ]]』の素早さは英語で agility である。
アジャイルとスパイラルの違いは、あまり明確ではない。書籍によって、それぞれの開発手法の説明は微妙に違う。
:※ 実教出版と日本文教出版がアジャイル開発を紹介。東京書籍はアジャイルを紹介せず、ウォーターフォールとスパイラルモデルだけ紹介。
日本文教出版の教科書だと、アジャイル開発でも「要件定義→設計→プログラミング→テスト→運用」の「繰り返し」の工程があるとされる。
このように、あまりアジャイルとスパイラルとの違いがハッキリしない。検定教科書ですら、微妙にアジャイル開発とスパイラルモデルの説明は、それぞれ食い違っている部分がある。
webサイトを見ても、サイトによって、「アジャイル開発のほうがスパイラルモデルよりも品質重視」という主張のサイトもあれば、その逆の「スパイラルモデルのほうがアジャイル開発よりも品質重視」という主張のサイトもあり、日本の技術者たちの間でまだ合意が形成されていないので、高校生は気にしなくていい。
なお、プロトタイプ型の開発は、開発の早い段階でユーザーに実際に試作品(prototype)を使用させて、ユーザー要求を確かめるのがポイントである(実教出版、日本文教出版)。
プロトタイプとアジャイル/スパイラルとの違いもはっきりしない。アジャイルやスパイラルの開発初期の段階で、ユーザーに確認をしてもらったら、それはプロトタイプモデルではないのかとか、疑問はつきない。
ネットのwebサイトだと、細かい違いをあれこれと説明しているサイトもあるが、そんな細かい定義が実務の役に立つか、疑問である。資格試験用の、定義の違いなど覚えても、日本での資格試験でしか役立たない。
そんな言葉の定義のちがいなんかを気にするより、要するに、ユーザーに試作品をつかってもらって確認してもらう事が、実務上は重要である。
「アジャイル開発をしている」などと喧伝しているベンチャー企業などでも、おそらく一部のユーザーにたびたび確認をしてもらっているだろう。
ともかく、このように、開発手法はいくつもある。それぞれ、一長一短である。目的や自分たちの能力に合わせて使い分けるように。
=== 探究学習したら公開しよう ===
NHk『情報I』で最終回で言ってたのですが、学校で探究活動や実習などで課題の解決案を出したら、なるべく学外にも公開しましょう。たとえば、地域の課題をIT技術で解決しようとする探究活動をしたなら、その成果の知見を当の地域の人たちに公開しましょうと、そうNHKに出演した大学教員は言ってます<ref>[https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022200040_00000 『第20回 データを武器に問題解決!』放送日:2月16日 ]</ref>。
しばしば、せっかく新しい発見やアイデアを出しても、それが学校の中だけで完結してしまい、社会に何も還元しないことがあります。また、学校内で情報の流れが閉じていたりすることがあるのも問題です。
自治体でも、地域との交流のため、東京など金のある地域では、自治体の主催によって、地元の学校どうしの探究発表会を開催しています<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=0gqDyfypKu8 『【高校生】地域の課題と解決策を 「探究」授業の成果発表 東京・八王子市』 2024/02/12 ]</ref>。さて、そもそも、公立高校は税金で補助を受けてるのですから、成果はなるべく発表しましょう。
また、自治体や教育委員会などは、こういう、高校どうしの情報共有や連携などの取り組みを支援しなければなりません。NHKの例でも、アンケート調査をする探求学習で、自校だけでなく他校にもアンケートを取っています。自治体はこういう学校間連携ができるように、教育環境整備しなければなりません。生徒や教職員だけの努力では無理です。ほかの公務員などの大人も仕事をしなければならないでしょう。
== (※範囲外) KPT法とデザインレビュー ==
=== KPT法 ===
;ニュース
* [https://edu.watch.impress.co.jp/docs/report/1573264.html 狩野さやか 著『「小学校情報科」新設への道筋となるか?〜宮城教育大附属小学校の挑戦』2024年3月12日 06:30 ]
情報デザインを、もしかしたら将来は小学校で教えるかもしれないというニュース。小学校で新教科として情報科を設置する案があり(未決定。あくまで案)、その教育実験が東北の教育大附属の学校で行われている。
後述するKPT的な話のほか、構造化の話もしている。なお、構造化については本wikiでは『[[高等学校情報/情報の科学/構造化]]』に解説がある。ほか、対象者を明確にせよ、という話も上記の実験授業にある。ターゲット層の話。情報I・Iiの検定教科書でも、一部の教科書でターゲット層の話をしている。
ほかに紹介されたものを、上記の構造化とまとめて次に列記すると、
:色の効果、フォント、キャッチコピー、レイアウト、構造化(※編集の都合で列記)、(グラフなどによる)可視化、対象を明瞭(※おそらくターゲット層の話)、「評価を受ける」(後述のKPT法)、比較する、
なども上記の実験授業にある。
(※ 「比較する」というのが何か、よく分からない。A/Bテストのことだろうか? それともソフトウェアデザインにおける模写のことか(他人の上手いソフトウェアの挙動と自作の挙動とを見比べる方法。)? )
上記ニュースでもあるのだが、なにかの告知ポスターらしき作品を作らせて、生徒どうしで成果物のレビュー(品評)を行わせている。
その際、「良かった点」と「改善点」を生徒どうしに述べさせている。評価を受ける際、他人からの評価を受けるのがポイントである。上記ニュースのリンク先でも、実験校の教師がそう指導している。
作り手の自分だけが分かっても、意味が無い。基本、ポスターというのは他人に何かを伝えるために作るので、他人から見て分かりづらいなら、反省点にしなければならない。
「改善点」を言わせるのがポイント。
「分かりづらい」という感想だと、言われた相手(作り手の側)にとっては改善点が何なのかが分からない。なので、生徒どうしで品評する場合は「問題点」ではなく「改善点」として、生徒の「漢字にふり仮名が無いので読みづらかった」という感想をもとに「ふりがなを追加すべき」という改善点になる。
下記のKPT法(ケプトほう)という品質改善手法が、これに近いだろう。(ただし、KPT法では「改善点」ではなく「問題点」を集めるという違いがある。)
*「良かった点」と「改善点」の収集<br>
プレゼンなど発表をした際、または発表前に仲間内でシミュレーションする際など、発表の良かった点・改善点を信頼できる仲間内で評価しあい、今後の改善につなげると、役立ちます(※ 数研出版の副教材の見解)。
※ 数研出版はここまでしか言ってないのですが、なぜそうすると良いのかwiki側で追加説明します。人によって、良い点ばかり気づく人もいれば、改善点ばかり気づく人もいて、人ごとに片寄りがあります。このため、発表などを評価しあう際、事前に評価シートなどに「良かった点」「改善点」の両方とも記入欄を用意したりすると良いでしょう。
世間には、お世辞ばかり言ってロクに発表内容を聞かずに「全部良かったよ」とか言うクソ野郎とか、その逆に発表者が嫌いとかの理由で全部ケチをつけるクソ野郎とかいるので、そういう人を排除するためにも「良い点」「改善点」の両方をします。というか、たぶん数研出版の編集部で、こういうふうに原稿などの「良かった点」「改善点」とかの相互評価をしているのでしょう。
;(※範囲外)KPT法
「KPT法」(ケプトほう)というビジネス手法があります(KPIとは異なる)。Keep、Problem、Tryの略です。
良かった点は、今後も続けて欲しいので Keep (継続する点)、改善点は問題点が由来なのでProblem(問題点)、そして、KeepとProblemをもとに今後に挑戦すること(Try)を決める、という手法です。
ネット上ではKPT法とアンケートを関連づけてる記事は特にないのですが、しかし上述のように、アンケートで「良かった点」・「悪かった点」を最初から記入欄を設けることにより、アンケート収集者はKPTを自然に実践できるでしょう。
アンケートでは、KeepとProblemだけで十分だと思います。上記の数研出版のアンケート例でも、良かった点(Keep)と改善点(Problem)しか自由記述欄が無いし。
なお、Problemのアンケート結果で問題点の報告が集まったら、それをもとに、本質的に解決すべき課題を決める必要があり、この今後の課題のことをイシュー issue と言います。(なお、GitHubなどの管理サイトを使っていると、issueという項目がある。かなり高度に専門的な話だが、イシュー管理ツールとかチケット管理ツールとかいうサーバーソフトがあって、それで issue を管理できる。専門的すぎる話なので、読者は分からなければ、このカッコ内は読み飛ばしていい。)
:issueは、自分たちの努力で解決できることを書きます。「消費市場が○○なので困ってる」みたいな外部要因に何かをさせる的なことを issue に書かない。issue は、暗黙の前提として「自分達が○○をする」という形にする。
issueを書く際、「なぜ困っているか」Whyという情報は、「何に困っているか」What に変換しましょう。最終的に解決する必要があるのは、目的語となる What だからです。
読者がもしToDoリストを知ってれば、このissue解決も、ToDoリスト上の解決すべきタスクに加えます。
そして、チーム開発をしているなら、issueを開発チーム内に報告して、情報を共有します。
Keepのアンケート結果は、今後の仕様とするかどうかを決めます。仕様とすると決まった場合は、それを社内のその製品の開発マニュアルなどのチェックリストに入れて、確実に今後も長所が反映されるようにします。<ref>[https://muddydixon.hatenablog.com/entry/2017/01/13/085228 『KPT をチェックリストに昇華させると無駄なく知識が蓄積される - PolyPeaceLight』 ]</ref>
なお、アンケート回答者にProblemを書かせる際の注意として、改善策まで書かせないことです。改善策があると、別の工程(Try)が混ざってしまっているので、かえって分離の手間が増えてしまうので、収集側にとっては非効率になってしまうからです。改善策については、収集者の側で Try として考えます。そのため、「悪かった点」「問題点」などのような記入欄の題名にするなど、あえて否定的な表現の題名にすると良いでしょう。
つまり、Problemには、困りごとについて、5W1HでいうHowの形式で、実際に起きた事例をなるべく書きます。
:※ アンケートを多数、回収したら、さらにそれをテキストマイニングのツールを作って分析、という教育研究もすでに別の学校(大学)などで実施されている。<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/uaesj/49/1/49_121/_pdf 上山 輝『デザイン教育の視点からみる一般学生のプレゼンテーションポスター制作と評価』、 大学美術教育学会「美術教育学研究」」第 49 号(2017)、P.121 – P.128]</ref>
{{コラム|Keepは改善しないほうが良い|
世間の理論家のなかには、KPT法をたとえばトヨタ式カイゼンなどと組み合わせて、ProblemだけでなくKeepも改善しようといった理論を提唱する人もいますが、しかし不要です。
なぜならソフトウェア開発の常識として、「問題なく動いている部分には、基本的には、手を加えない」というのがあるからです。もし「よかれ」と思って手を加えて改修してしまうと、改修にバグが無いかといった'''テスト'''(検査)の手間が発生します。なので極力、問題なく動いている部分には手を加えないのが、システム開発の常識です。
ほか、年月が経った時への今後の更新などへの対処は基本、Problem側に分類すべきことです。あるいは、研究などで新機能の実験をしたい場合でも、それは「Keep」ではないです。そもそもKeepとは、当面のあいだ変更すべきでない機能・要求事項だからこそのKeepなのです。
もしKeepの長所をますます強めたい改修をしたい場合でも、その場合はけっしてKeepをイジルのではなく、なるべくProblem側をイジルべきです。
例えですが、もし上手な絵が書けた場合、その絵の魅力をますます協調したい場合は、けっして元絵をイジルのではなく、たとえば、絵を入れる額縁(がくぶち)のほうを高価で豪華なものにすればよいのです。どうせ後で額縁に入れるのだし、だったらその額縁を高価で豪華にすれば、絵の書き直しをせずに(よってテストの手間も無く)、絵の魅力を引き出せるよね、っていうのと同じです。
このように、なるべく、手戻り(てもどり)を避ける、後戻り(あともどり)を避けるというのが、システム開発の実務的なテクニックのひとつです。
つまり、Problem側を修正するさいに手を加えるとき、ついでにKeepを強調するための修正もしてしまえば、手間が省けて一石二鳥です。また、この方法なら、既存のKeepは変えないので、テストの手間が増えません。
}}
=== すべての弱点は改善する必要は無い ===
[[File:SWOT analysis diagram Japanese.svg|thumb|400px|SWOT分析]]
改善すべき問題点は、放置すると今後の脅威になりうる問題点のみです。単に、苦手を克服することに価値はありません。
たとえば、アナタがもしベトナム語が苦手だとして、これからベトナム語を練習して得意になっても、ベトナムでの仕事に就職できなければ、そしてベトナム文化の研究とかの特技でもなければ、経済的にはアナタのベトナム語の練習の価値は低く、単なる趣味・道楽とみなされやすいのと同じです。
SWOT分析(「スウォットぶんせき」と読む)というのが、脅威に備える現状認識法であり、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)、の分析です。
SWOT分析は、課題解決の方法ではなく、現状認識の方法です。これらの思考ツールでいう「分析」とは、未処理では複雑・漠然(ばくぜん)で把握しにくい情報を、細かく具体的な情報に分けることです。分析と聞くと、ついつい原因を考えたくなりますが、しかしここでいう「分析」とは、原因を考えることではなく、分けて具体化することです。
SWOT分析など分析ツールそれだけでは問題解決できず、その分析で得られた具体的な情報をもとに別途、問題解決を考えていく必要があります。
さて、日本語の「弱み」という言葉のニュアンスとは、やや違っています。SWOT分析でのWeaknessは「脆弱性」(ぜいじゃくせい)のようなニュアンスです。よく「セキュリティ脆弱性」とか言いますが、その脆弱と同じニュアンスで、放置すると脅威を引き起こす、呼び寄せるものの事です。
たとえばポスター作りの「弱み」なら、「自分はいつも誤字脱字が多い」とか「文化祭ポスターの試作で、校舎をえがいたつもりなのに、どうやら観客には市役所の庁舎に見えてしまっているようだ」とか、そういう今後のトラブルを起こしそうな「脅威」になりうるレベルなのが「弱み」です。単に、「漢字検定2級をまだ取得してない」とかそういうのは、とりあえず放置しても今後の脅威にならないので「弱み」ではないのです。
すでにKPT法で分析している人は、いちいちSWOT分析を書き始める必要はありません。ただ、KPT法を活用する際、SWOT分析を知っていると、より上手にKPT法を活用できるようになります。
さて、私たちの今の目的は、「収集したアンケート結果の、今後のための分析と活用」です。目的、ゴールを、はっきりとさせましょう。この節では、KPT法への活用を想定して、SWOT分析の考え方のうちKPT法への流用に必要な部分だけを説明します。ゴールに寄与しない事は、後回しで良いのです。
ともかく、脅威にならない単なる苦手といった弱点は、改善の必要はありません。むしろ企業社会では、株主や銀行などは、脅威にならない弱点克服は単なる道楽(どうらく)みたいな扱いをします。
ターゲット層にウケない弱点克服をしても、意味がありません。たとえばベトナムで商売してない会社に就職しようとするのにベトナム語をいきなり練習しても、大して価値が無いのと同じです。
経済は「分業」とか比較優位(ひかく ゆうい)とかで動いているのですから、ベトナム語はベトナムの専門家に任せればいいのです。親戚がベトナム人とかでないかぎり、いちいちベトナム語を勉強しても、経済的には利益を得づらいのです。
ベトナム語の例なら、「ベトナム語の就職への活用をあきらめる」と言うのも改善策です。そのジャンルから「撤退する」「他の企業や競争相手に任せる」等も解決策です。実際、SWOT分析でも、「市場撤退」も、脅威への解決策の一つです。
さて、改善をする際、強み(Strength)を損なわないように改善する必要があります。
たとえば、ポスターに掲載する情報を増やすと、情報不足という弱点は解決しますが、そのぶん一つ一つの情報が目立たなくなります。どちらを優先すべきかは、用途によって変わります。」
よって、確保すべき強みに、優先順位をつけましょう。なお東京書籍の教科書では、別単元ですが、プロトペルソナ法の単元で、どのペルソナ(架空のユーザー層)を1位にするのか、2位にするのか、事前に序列を決める必要があると主張しています(東京書籍 I)。
ポスターを例にあげましたが、ソフトウェアのUIなども同様でしょう。
なお、どんなに強みを強化しても、基本、ぜい弱性は解決しません。たとえば、誤字脱字や誤情報のあるポスターで、どんなに絵を上手に書いても(あるいは写真を上手に撮影しても)、そのポスターの誤字や誤情報は解決しないのと同様です。
たとえば「虫歯の治療」のようなものです。虫歯のある小学生が(ぜい弱性)、その子の小学校の成績が良くて(強み)、どんなに小学校の勉強を頑張っても、何も虫歯は解決しません。歯医者に行くとか、せめて歯磨きを毎日するとかしないと、問題は解決に近づきません。
:(※余談の余談)なお、SWOT分析では、「強み」Sと「機会」Oを分離します。機会は、外部環境および未来予想のうち、事業に活用できそうなものです。ここでいう「強み」は、内部環境および過去の実績などです。どこからどこまでが内部なのかは議論の余地がありますが。
:まあ、強みと機会の分離は、後回しにしても良い。それよりも、まず優先すべきは、脅威Tへの対応です。
私たちの当初の目的を忘れてはいけません。このページの場合、当初の目的は「収集したアンケート結果から、今後のための改善策を考える」ことが目的です。
SWOT分析とかKPT法とかをあれこれと覚えることは目的ではなく、ゴールに寄与しません。単にこの節では、考え方の例示をしているだけです。
=== デザインレビュー ===
デザインレビュー(design reviews、略称:DR)と言う言葉があり、何かデザイン物を作るとき、いきなり本番にせずに、制作チーム内に設計案を提出して、チーム仲間たちに品評してもらいます。
なお、製作チームの仲間内でないレビューは、デザインレビューではなく、単なるレビューです。
どちらのレビューにせよ、アンケートなどで他人の製作物の問題点を書くとき、改善策につながりやすいように具体的に書くのがコツです。一言「わかりづらかった」とか「いまいち感」とかは論外です。そういうのは問題点ではなく、単なる感想です。仕事でないなら、そういう感想を言うのもいいですが、しかいs仕事の場合のレビューなら、「問題点」というには、「解決すべき問題は何なのか」がハッキリしないといけません。仕事でのレビューでは、なるべく解決すべき問題をハッキリさせましょう。
たとえばポスターの問題点なら、「文字が小さすぎる(または「大きすぎる」)」とか「文字が多すぎる」とか「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」とか「コントラストがキツくて読みづらい」とか、「子どもに来てほしいイベントなのに、子供が読めない漢字が多い。ふりがなも無い」とか「絵の線と文字の線とが密集していて、文字が読みづらい」とか「絵がイベント内容と違いすぎて、てっきり別のイベントだと誤解してしまった」とか・・・(以下略)、そういうのが問題点です。このように」具体的に問題点を書けば、あとは作り手は、その意見をもとに改善策を考えられます。
改善策については、たとえば1つの問題点について、複数の改善策があるので、それを作り手の側で考えます。たとえば問題点「文字の色が背景色と近くて、読みづらい」なら、解決策は下記の2つ以上あるわけです。
# 文字または背景の色を変える。
# 色はそのままで、文字のフチドリ線を追加して、背景と文字を区別できるようにする。
などです。
なので、「問題」には、解決策を混ぜてはいけません。混ぜてしまうと、ほかの解決策を見落としてしまうからです<ref>[https://cnml.jp/wp-content/uploads/fukyu_2015_A4.pdf 日本赤十字社医療センター 看護部『看護管理職の継続教育プログラム開発』 成果普及冊子』2016 年2月発行、P22] </ref>。
上記のように改善策は複数個あるので、改善策については Problem には含めず、作り手側に判断を任せます。
しかし、ここまで問題点を具体的に報告できるようになるためには習熟が必要なので、教育的には、初心者はまず改善策を報告するようにしたほうが良いかもしれません(※ じっさい、数研出版の教科書のアンケート例でも「問題点」ではなく「改善策」を記述させている)。
ほか、論外の感想として、ポスターの感想なら「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」とか、そういうのも論外の感想です(こういうのは「問題点」「改善策」とは言いません)。なぜなら、解決のための絵の練習に時間が掛かり過ぎるので。暗黙の前提として、提示すべき「問題点」や「解決策」は、短期間かつ低コストで実践が可能な解決策でなければなりません。
さて、医療看護系の問題解決ツールで提案されているフレーズで、「す・じ・こ」というのがあり、「(す)すぐに着手できる、(じ)実現可能である、(こ)効果的である」というのがあります<ref>[https://cnml.jp/wp-content/uploads/fukyu_2015_A4.pdf 日本赤十字社医療センター 看護部『看護管理職の継続教育プログラム開発』 成果普及冊子』2016 年2月発行、P24]</ref>。
レビューでもPDCAでも、なるべく「すじこ」な提案をしましょう。
上述の「絵がヘタ」とか「文章センスが無い」は、すぐには着手できないので論外です。
ほか、論外のよくある感想で、ターゲット層を無視した感想があります。
たとえば、マンガとかのレビューで、幼児むけのマンガ本やアニメなのに、大人が「もっと、大人の好みにあうように○○にすべきだ」みたいな感想もよくあります。自分の好き嫌いと、社会の要求との区別がついてない、頭のわるい大人です。「自分の好みの作風 = 上手い作品」という人は、大人も子供も、けっこう多いです。
== 脚注 ==
<references/>
[[カテゴリ:高等学校情報|しようほうてさいんとふろとたいふかいはつ]] | 2023-10-18T07:00:42Z | 2024-03-30T14:46:32Z | [
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38,625 | 高等学校情報/情報I/モデル化とシミュレーション | 世の中には、何かを確かめるために実験しようにも、本番で実験しようとすると、費用が掛かる、時間がかかる、命にかかわる、などの理由で、本番で実験するのが難しいことが多くあります。また、スポーツの試合とか手術は、そもそ本番は一度しか出来ません(※数研、東京書籍)。
そのような場合の対応を練習したり予測したりするため、実物・本番に似せたものを作って、代わりにそれで、実験または計算などを行うことがあり、そのような実物の代わりのものをモデルと言います(※日本文教出版ほか、)。
完全に実物そっくりではなく、知りたい事に関係のない、必要のない特徴については、似せません。
たとえば、駅の入り口にある路線図を考えてください。実際の地図上での長さと、路線図の長さは、まったく違います(※東京書籍など)。
そういう必要のない情報まで似せてしまうと、分析が難しくなってしまう場合もあるので、モデルでは、なるべく簡単に作ります。
このように、モデルを作る際は、単純化をします。単純化とは、その問題で本質的な部分だけを取り出し、他の部分の情報を省略することです(日本文教出版I、東京書籍I、第一学習社I)。
建築のモデルハウスの実物大の家なんかも、その名の通り、モデルです。モデルハウスのように、実物大のモデルのことを実物大モデルと言います(日本文教出版)。
自動車や航空機などの空気抵抗を調べる場合などは、なるべく実物大で行いますので(※数研出版)、このような抵抗実験における、代わりの実物大の模型も実物大モデルです。 、 実際より小さいミニチュアのモデルもよくあります。地図や地球儀などもそうです(日本文教出版)。
理科などの数式も、モデルの一種です。数式によるモデルを、数式モデルまたは数理モデルなどと言います(第一学習社、日本文教出版)。
たとえば、物理の運動方程式を考えるときは、その材質がビー玉かとか鉄球とか材質は無視して、単に質量が ××グラム の小さな硬い球を転がして、別の質量△△の四角い物体にブツけたらどうなるか、みたいに、予想に関係のない情報は省略して考えますが、このような省略もモデル化の特徴です。
なにも理科だけでなく、お金の計算もそうです(日本文教出版I)。
「毎月、貯金が1万3000円ずつ増えるとき、18か月後にどうなってるか?」という予想を考えるとき、どんな理由で貯金してるのかとか、誰が貯金してるのかとか、それは答えに関係ありません。
この運動方程式や貯金の予想などのように、検証したいことと関係の無いことが分かっている情報については、モデルでは再現しないのが一般的です。
化学の分子模型もモデルです(※開隆堂、数研、日本文教出版)。分子模型のように、ミクロの世界を拡大したモデルなど、実物より大きなモデルのことを拡大モデルと言います(※日本文教出版、)。
そもそも模型は英語で model (モゥデル)です。プラモデルもプラスチック模型。模型の「模」の字は、模倣・模擬の「模」。なお、一般的なプラモデルはミニチュアなので縮小モデルです(第一学習社)。
駅の入り口にある運賃の路線図も、あれもモデルです(※第一学習社)。実際の駅と駅どうしの距離と、あの図での駅と駅の距離は、まったく比例していません。駅の入り口のあの図で知りたい情報は、「どの路線にどの駅があって運賃がいくらか」といった情報なので、それ以外の情報は省略しているのです。
だから、駅の入り口のあの運賃のある路線図もモデルです。
なお、路線図やフローチャートなど、対象を図で表したモデルのことを「図的モデル」と言います
また、災害などは、命にもかかわるし(※数研出版)、道徳的にも理論を確認するために本番の災害を起こすのは問題ありますので、そのような分野でも、モデルは有用です。
実際の問題の予想や解決策を探すなどの目的で、なるべく実際に近いモデルを使って試行することをシミュレーションと言います(※数研など)。
コンピュータの無い時代からシミュレーションはあります(※数研)。たとえば、大地震が起きたときの感覚を体験する地震体験車もシミュレーションです(※第一学習社)。
コンピュータを用いたシミュレーションの場合、モデル化されたデータやプログラムをもとに、乱数を用いてシミュレーションできます(※ 東京書籍)。
たとえば、家を建築する際、いきなり建築するのではなく、現代では事前に3DーCGで建築結果の予想を表示できます。(※開隆堂、東京書籍)
また、家主・注文主に見立てたキャラクターの主観視点で、CGの家の中を歩き回って、観察することもできます(※開隆堂、東京書籍)。
自動車の免許をとるための教習所には、普通、自動車の運転シミュレーターがあります。初心者が自動車の事故を起こしては大変なので、最初の練習などとして運転シミュレーターが教習所ではよく使われている(東京書籍I)。
他にも、航空業界では飛行機のパイロット訓練用などのフライトシミュレーターがあります。これは、パソコンゲームの「フライトシミュレーター」とは全く(まったく)の別に、実際の航空機のコクピットを模した大型のフライトシミュレーターというものもあり、航空業界ではパイロットの訓練に用いられています(※第一学習社、数研)。
失敗してもパイロットの命が安全です(※第一学習社)。
※ あと、第一学習社は述べていませんが、飛行機はとても値段が高く、たとえば数億円~数十億円もしますので(※あまり値段をwiki著者がきちんと調べてない)、節約にもなります。たとえコクピットを模したシミュレーターに1億円くらいかかろうが、それでも実際の航空機の数十億円とかと比べたら安上がりです。
ほか、電車の運転士のための運転シミュレーターもあります(※数研)。
また、洪水などの災害予測でも、コンピュータを用いたシミュレーションが行われており、ハザードマップはこういったシミュレーションの成果で作られています(第一学習社)。
なお、気象の予測もシミュレーションです。気象の予測では、とても多くの要素を含んだ計算を行うため、大型のコンピュータ(スーパーコンピューター)が必要です(東京書籍I)。
自動車の空気抵抗の、コンピュータによるシミュレーションでも、スーパーコンピューターが一般には用いられます(※東京書籍I)。
「未来の人口予測」とか、ああいったのもシミュレーションです(日本文教出版I)。
道徳上、どうしても実物を使った実験ができないものもあり、そういう分野ではシミュレーションが問題の解明のためのヒントになります。
手術のシミュレータというのもあります(※ 数研、東京書籍 I )。なお、手術シミュレータは3D-CGを使う方式です(※ 数研)。
シミュレーションは、あくまで与えられた条件下での検証でしかないので、ほかの条件でも正しいとは限りません(※開隆堂)。よほど単純な現象をシミュレーションしている場合でもない限り、一般的にモデルは現実の一部しか反映していないため、得られるシミュレーション結果には誤差(ごさ)があります(数研出版)。
シミュレーションの誤差は何も科学技術や製造業などの分野だけでなく、たとえば衣料品の分野でも、マネキンに衣装を着せてみて問題なくても、実際に人間が袖を通すと途中で引っかかったりすることがあったりもします(※開隆堂)。
なので、シミュレーションをすべて正しいと考えることは危険です。
シミュレーションそのものを検証するための方法として、下記のような方法があります。
などです。
たとえば自動車会社では、まず形状などのデザインの設計時には粘土で実物大のモデルを作ったりします(※数研)。
また、強度の検証には、実際に、実物と同じ素材の車を作成し、それで衝突実験をします。
そうした実物大や実物での実験もしたうえで、並行・併行(※ともに「へいこう」と読む)して自動車会社ではコンピュータによる力学的な3Dシミュレーションも行っています(※開隆堂)。また、この強度シミュレーション用の自動車3Dモデルは、空気抵抗などを調べる空力シミュレーションにも転用されます(※東京書籍)。
前提として、自動車の3Dモデルを作る人が必要です。3D-CAD(スリーディー・キャド)と言われるソフトを使って、CADオペレーターなどと呼ばれる職種の人が、その3Dモデルを制作しています。
CADとは、Computer aided Design の略です。ここでいうDesign (デザイン)とは機械設計などの意味です。英語では設計もDesignです(美術的な意味がなくても英語では Design と言うこともあります)。
また、空気抵抗のシミュレーションのほかにも、精密な強度計算をする際も、事前に3D-CADでモデルを作る必要がある場合もあります(数研出版の傍注の図)。 (※ 有限要素法(FEM解析)っぽいシミュレーションの図だが、高校生には有限要素法は分かりっこないので詳細は省略。理系の大学の工学部の機械工学・土木工学の研究室くらいのレベルなので。理系大卒でも生物系とか情報系とか電気電子工学だと分からないレベルの難しさの内容。)
自動車会社は、開発費用を削減するためと、その上で製品の安全性や信頼性などを確保した設計をするため、実験に基づいた精度の高いシミュレーションを開発して活用しています(※数研)。
そのほか、借金が数年後に利息でどんだけ増えるかのような、数学の教科書の文章題にあるような問題も、シミュレーションと言えます(第一学習社)。コンピュータを使えば、対数関数表とか使わなくても表計算ソフトとかだけで計算できます。
モンテカルロ法とは、乱数をもちいて偶然性を再現して、それでシミュレーションを行うことです。コンピュータの乱数機能を用いて、モンテカルロ法のシミュレーションをできます。たとえばEXCELのRAND関数でもモンテカルロ法を出来る場合もあります(※実教出版)。歴史的には、コンピュータを使わなくても、サイコロや、トランプのシャッフルなどを使ってモンテカルロ法をしていた時代もありました(数研出版)。
一度だけの実験だと、片寄りがあるかもしれないので、モンテカルロ法では最低でも10回くらいは実験して、全体的な結果を分析します(実教I、数研、開隆堂)。
なお、数学の確立論の用語で「大数(たいすう)の法則」といって、おおむね「試行回数が多いほど、その確率予想の精度が良い」という感じの法則が知られています(詳しくは数学Aを調べてください)。モンテカルロ法で1回だけでなく何回も実験するのは、大数の法則を前提にしています。
・モンテカルロ法と円周率
実教出版と開隆堂の例ですが、モンテカルロ法を使って面積の近似値を求めることもできます。たとえば、90度の扇形の面積を実教Iは求めています。
「扇の範囲内の面積」:「扇の外の面積」 ∝ 「扇の範囲内に入る確率」;「扇の外に出る確率」
の関係を利用しています。なお、扇の内部か外かの判定は、ピタラスの定理を使った距離の計算で、できます。
この結果を用いて、円周率の近似値を求めることも、よく情報系の教育書では行われます。
VBAマクロ無しの表計算ソフトでも円周率のモンテカルロ法は可能ですが(実教がマクロ無し)、もしかしたらVBAマクロでプログラミングしたほうがラクかもしれません(開隆堂はマクロありで求めている)。
VBAの数値データを使う際、VBAのinteger(整数型、 -32768~32767) や Long (長整数、 -2147483648~2147483647)や Single(単精度浮動小数点数型) や Double(倍精度浮動小数点型) などのデータ型を勉強する必要があります。
たとえば、「変数 x を整数型で宣言したい」という場合は、
のように記述することになります。
他の言語だと、少数も整数も区別しないでも使える言語もありますが、しかしコンピュータでは小数は精度があまり良くないので、なので本来なら整数型と小数型を区別するのが、数値の精度の良い言語です。
たとえば、OSなどを作るのにつかわれるC言語でも、整数型と小数型とは区別しています。
モデルを数式で作る際、次数を増やしすぎたり、変数を増やしすぎたりすると、見当違いの結果が出やすくなることが知られており、これを過剰適合(かじょう てきごう、over fitting)やオーバーフィッティングなどと言います(東京書籍、日本文教出版の『情報II』)。 | [
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:※ 情報Iの単元(2023年現在)。
:※ 旧課程では、情報B、「情報の科学」に合った内容。
=== モデル化 ===
世の中には、何かを確かめるために実験しようにも、本番で実験しようとすると、費用が掛かる、時間がかかる、命にかかわる、などの理由で、本番で実験するのが難しいことが多くあります。また、スポーツの試合とか手術は、そもそ本番は一度しか出来ません(※数研、東京書籍)。
そのような場合の対応を練習したり予測したりするため、実物・本番に似せたものを作って、代わりにそれで、実験または計算などを行うことがあり、そのような実物の代わりのものを'''モデル'''と言います(※日本文教出版ほか、)。
完全に実物そっくりではなく、知りたい事に関係のない、必要のない特徴については、似せません。
たとえば、駅の入り口にある路線図を考えてください。実際の地図上での長さと、路線図の長さは、まったく違います(※東京書籍など)。
そういう必要のない情報まで似せてしまうと、分析が難しくなってしまう場合もあるので、モデルでは、なるべく簡単に作ります。
このように、モデルを作る際は、単純化をします。単純化とは、その問題で本質的な部分だけを取り出し、他の部分の情報を省略することです(日本文教出版I、東京書籍I、第一学習社I)。
建築のモデルハウスの実物大の家なんかも、その名の通り、モデルです。モデルハウスのように、実物大のモデルのことを実物大モデルと言います(日本文教出版)。
自動車や航空機などの空気抵抗を調べる場合などは、なるべく実物大で行いますので(※数研出版)、このような抵抗実験における、代わりの実物大の模型も実物大モデルです。
、
実際より小さいミニチュアのモデルもよくあります。地図や地球儀などもそうです(日本文教出版)。
理科などの数式も、モデルの一種です。数式によるモデルを、数式モデルまたは数理モデルなどと言います(第一学習社、日本文教出版)。
たとえば、物理の運動方程式を考えるときは、その材質がビー玉かとか鉄球とか材質は無視して、単に質量が ××グラム の小さな硬い球を転がして、別の質量△△の四角い物体にブツけたらどうなるか、みたいに、予想に関係のない情報は省略して考えますが、このような省略もモデル化の特徴です。
なにも理科だけでなく、お金の計算もそうです(日本文教出版I)。
「毎月、貯金が1万3000円ずつ増えるとき、18か月後にどうなってるか?」という予想を考えるとき、どんな理由で貯金してるのかとか、誰が貯金してるのかとか、それは答えに関係ありません。
この運動方程式や貯金の予想などのように、検証したいことと関係の無いことが分かっている情報については、モデルでは再現しないのが一般的です。
化学の分子模型もモデルです(※開隆堂、数研、日本文教出版)。分子模型のように、ミクロの世界を拡大したモデルなど、実物より大きなモデルのことを拡大モデルと言います(※日本文教出版、)。
そもそも模型は英語で model (モゥデル)です。プラモデルもプラスチック模型。模型の「模」の字は、模倣・模擬の「模」。なお、一般的なプラモデルはミニチュアなので縮小モデルです(第一学習社)。
駅の入り口にある運賃の路線図も、あれもモデルです(※第一学習社)。実際の駅と駅どうしの距離と、あの図での駅と駅の距離は、まったく比例していません。駅の入り口のあの図で知りたい情報は、「どの路線にどの駅があって運賃がいくらか」といった情報なので、それ以外の情報は省略しているのです。
だから、駅の入り口のあの運賃のある路線図もモデルです。
なお、路線図やフローチャートなど、対象を図で表したモデルのことを「図的モデル」と言います
また、災害などは、命にもかかわるし(※数研出版)、道徳的にも理論を確認するために本番の災害を起こすのは問題ありますので、そのような分野でも、モデルは有用です。
{{コラム|モデルの分類|
サイコロやくじ引きのような確率をふくむモデルを「確率モデル」と言います。
いっぽう、高校数学の方程式のように、確定した結果の出る、確率を含まないモデルを「確定モデル」と言います。
時間によって変化するモデルを「動的モデル」と言います。
たとえば、落下する物体の運動をあらわす方程式は、動的モデルです(実教 I)。
時間によって変化しないモデルを「静的モデル」と言います。
たとえば、円の面積と半径の関係の式は、静的モデルです(実教 I)。
※ ほか、連続モデルと離散モデル
}}
=== シミュレーション ===
実際の問題の予想や解決策を探すなどの目的で、なるべく実際に近いモデルを使って試行することをシミュレーションと言います(※数研など)。
コンピュータの無い時代からシミュレーションはあります(※数研)。たとえば、大地震が起きたときの感覚を体験する地震体験車もシミュレーションです(※第一学習社)。
コンピュータを用いたシミュレーションの場合、モデル化されたデータやプログラムをもとに、乱数を用いてシミュレーションできます(※ 東京書籍)。
==== シミュレーションの例 ====
たとえば、家を建築する際、いきなり建築するのではなく、現代では事前に3DーCGで建築結果の予想を表示できます。(※開隆堂、東京書籍)
また、家主・注文主に見立てたキャラクターの主観視点で、CGの家の中を歩き回って、観察することもできます(※開隆堂、東京書籍)。
:※ もし仮に、シミュレーションしなかったとして、実際に家を建ててから問題点が見つかると、修理にとてもお金が掛かったり、そもそも直せなかったりする場合もあるので、なので事前にシミュレーションすることはとても大切です。
自動車の免許をとるための教習所には、普通、自動車の運転シミュレーターがあります。初心者が自動車の事故を起こしては大変なので、最初の練習などとして運転シミュレーターが教習所ではよく使われている(東京書籍I)。
他にも、航空業界では飛行機のパイロット訓練用などのフライトシミュレーターがあります。これは、パソコンゲームの「フライトシミュレーター」とは全く(まったく)の別に、実際の航空機のコクピットを模した大型のフライトシミュレーターというものもあり、航空業界ではパイロットの訓練に用いられています(※第一学習社、数研)。
失敗してもパイロットの命が安全です(※第一学習社)。
※ あと、第一学習社は述べていませんが、飛行機はとても値段が高く、たとえば数億円~数十億円もしますので(※あまり値段をwiki著者がきちんと調べてない)、節約にもなります。たとえコクピットを模したシミュレーターに1億円くらいかかろうが、それでも実際の航空機の数十億円とかと比べたら安上がりです。
ほか、電車の運転士のための運転シミュレーターもあります(※数研)。
:※ ゲームセンターの「電車でGO」とは別に、鉄道会社での訓練用の運転シミュレーターがある。なんかテレビ番組で見た。なお、操作はだいぶ難しそうだった。
また、洪水などの災害予測でも、コンピュータを用いたシミュレーションが行われており、ハザードマップはこういったシミュレーションの成果で作られています(第一学習社)。
なお、気象の予測もシミュレーションです。気象の予測では、とても多くの要素を含んだ計算を行うため、大型のコンピュータ(スーパーコンピューター)が必要です(東京書籍I)。
自動車の空気抵抗の、コンピュータによるシミュレーションでも、スーパーコンピューターが一般には用いられます(※東京書籍I)。
「未来の人口予測」とか、ああいったのもシミュレーションです(日本文教出版I)。
道徳上、どうしても実物を使った実験ができないものもあり、そういう分野ではシミュレーションが問題の解明のためのヒントになります。
手術のシミュレータというのもあります(※ 数研、東京書籍 I )。なお、手術シミュレータは3D-CGを使う方式です(※ 数研)。
シミュレーションは、あくまで与えられた条件下での検証でしかないので、ほかの条件でも正しいとは限りません(※開隆堂)。よほど単純な現象をシミュレーションしている場合でもない限り、一般的にモデルは現実の一部しか反映していないため、得られるシミュレーション結果には'''誤差'''(ごさ)があります(数研出版)。
シミュレーションの誤差は何も科学技術や製造業などの分野だけでなく、たとえば衣料品の分野でも、マネキンに衣装を着せてみて問題なくても、実際に人間が袖を通すと途中で引っかかったりすることがあったりもします(※開隆堂)。
なので、シミュレーションをすべて正しいと考えることは危険です。
シミュレーションそのものを検証するための方法として、下記のような方法があります。
:ほかの原理(モデル)を採用した別のシミュレーションで得られる結果と比較してみる。(※開隆堂)
:物理的に実験をしてみる。
などです。
たとえば自動車会社では、まず形状などのデザインの設計時には粘土で実物大のモデルを作ったりします(※数研)。
:※ たぶん、いきなり金属で試作品を作るとコスト高だし、ゴミも出るので、まず粘土などで作るのだろう。
また、強度の検証には、実際に、実物と同じ素材の車を作成し、それで衝突実験をします。
そうした実物大や実物での実験もしたうえで、並行・併行(※ともに「へいこう」と読む)して自動車会社ではコンピュータによる力学的な3Dシミュレーションも行っています(※開隆堂)。また、この強度シミュレーション用の自動車3Dモデルは、空気抵抗などを調べる空力シミュレーションにも転用されます(※東京書籍)。
前提として、自動車の3Dモデルを作る人が必要です。3D-CAD(スリーディー・キャド)と言われるソフトを使って、CADオペレーターなどと呼ばれる職種の人が、その3Dモデルを制作しています。
CADとは、Computer aided Design の略です。ここでいうDesign (デザイン)とは機械設計などの意味です。英語では設計もDesignです(美術的な意味がなくても英語では Design と言うこともあります)。
また、空気抵抗のシミュレーションのほかにも、精密な強度計算をする際も、事前に3D-CADでモデルを作る必要がある場合もあります(数研出版の傍注の図)。 (※ 有限要素法(FEM解析)っぽいシミュレーションの図だが、高校生には有限要素法は分かりっこないので詳細は省略。理系の大学の工学部の機械工学・土木工学の研究室くらいのレベルなので。理系大卒でも生物系とか情報系とか電気電子工学だと分からないレベルの難しさの内容。)
:※ 検定教科書では、あたかも3D-CADで強度計算できそうな説明だが、それはやや不正確。応力解析(おうりょくかいせき)ソフトなどとは基本的にCADソフトは別物。ただし3D-CADソフトの中には、簡単な応力解析ができるものもある。
:※ 有限要素法とかFEMとかは、けっして工業高校で習うような初歩の材料力学ではなく(もちろんその知識は必要だが)、さらにその発展系の応用的な理論の「弾性論」とか「弾性力学」という、とても難しい理系大学の高学年レベルの話。
{{コラム|(※範囲外)3D-CADは立体化だけでない|
検定教科書では詳しく説明されてないのですが(そもそも検定教科書ではCADの2Dと3Dの区別すらしておらず、単に「CAD」の3文字だけで3D-CADの画面の応力解析の写真を見せている)、3D-CADは、けっして単に形状シミュレーションを立体化をしただけではなく、さらに部品どうしがぶつかっていないかとかの干渉のシミュレーション機能や、また、部品の「属性情報」の簡易的なデータベース機能を兼ね備えています。
これは、古い低価格の2D-CADには無い機能です。(最新の市販の2D-CADはどうだか知りません。)
なお、3D-CADのデータベースはあくまで簡易的なデータベースなので、それとは別に本格的なデータベースソフトも必要です。本格データベースソフトと3D-CADとの連携をラクにするためのアドオンなども既に開発されています。
}}
自動車会社は、開発費用を削減するためと、その上で製品の安全性や信頼性などを確保した設計をするため、実験に基づいた精度の高いシミュレーションを開発して活用しています(※数研)。
:※ 開隆堂がランダムウォークのシミュレーションを説明しているが、wikiでは説明が面倒。
:※ 日本文教出版Iがデジタルツインを説明。興味ない。
:※ 「待ち行列」を第一学習社と開隆堂。第一学習社は2ページ、開隆堂は2行。
:※ モンテカルロ法を実教I 、数研出版で確認。
そのほか、借金が数年後に利息でどんだけ増えるかのような、数学の教科書の文章題にあるような問題も、シミュレーションと言えます(第一学習社)。コンピュータを使えば、対数関数表とか使わなくても表計算ソフトとかだけで計算できます。
==== モンテカルロ法 ====
'''モンテカルロ法'''とは、乱数をもちいて偶然性を再現して、それでシミュレーションを行うことです。コンピュータの乱数機能を用いて、モンテカルロ法のシミュレーションをできます。たとえばEXCELのRAND関数でもモンテカルロ法を出来る場合もあります(※実教出版)。歴史的には、コンピュータを使わなくても、サイコロや、トランプのシャッフルなどを使ってモンテカルロ法をしていた時代もありました(数研出版)。
一度だけの実験だと、片寄りがあるかもしれないので、モンテカルロ法では最低でも10回くらいは実験して、全体的な結果を分析します(実教I、数研、開隆堂)。
なお、数学の確立論の用語で「大数(たいすう)の法則」といって、おおむね「試行回数が多いほど、その確率予想の精度が良い」という感じの法則が知られています(詳しくは数学Aを調べてください)。モンテカルロ法で1回だけでなく何回も実験するのは、大数の法則を前提にしています。
:※ モンテカルロ法と名前だけ聞くと難しそうですが、しかしその名前の由来は、国営カジノで有名なモナコの地名「モンテカルロ」にすぎません。数学者ジョン・フォン・ノイマンがモンテカルロ法を命名して確立したと言われています(数研)。なので、やってることも、サイコロやトランプやRAND()関数とかを使って偶然性を再現しているだけにすぎません。
・モンテカルロ法と円周率
実教出版と開隆堂の例ですが、モンテカルロ法を使って面積の近似値を求めることもできます。たとえば、90度の扇形の面積を実教Iは求めています。
「扇の範囲内の面積」:「扇の外の面積」 ∝ 「扇の範囲内に入る確率」;「扇の外に出る確率」
の関係を利用しています。なお、扇の内部か外かの判定は、ピタラスの定理を使った距離の計算で、できます。
この結果を用いて、円周率の近似値を求めることも、よく情報系の教育書では行われます。
VBAマクロ無しの表計算ソフトでも円周率のモンテカルロ法は可能ですが(実教がマクロ無し)、もしかしたらVBAマクロでプログラミングしたほうがラクかもしれません(開隆堂はマクロありで求めている)。
VBAの数値データを使う際、VBAのinteger(整数型、 -32768~32767) や Long (長整数、 -2147483648~2147483647)や Single(単精度浮動小数点数型) や Double(倍精度浮動小数点型) などのデータ型を勉強する必要があります。
たとえば、「変数 x を整数型で宣言したい」という場合は、
Dim x As integer
のように記述することになります。
他の言語だと、少数も整数も区別しないでも使える言語もありますが、しかしコンピュータでは小数は精度があまり良くないので、なので本来なら整数型と小数型を区別するのが、数値の精度の良い言語です。
たとえば、OSなどを作るのにつかわれるC言語でも、整数型と小数型とは区別しています。
=== その他 ===
{{コラム|(※範囲外)物理学科では流体力学とか実は深くは習わない|
流体シミュレーションとか有限要素法とかの話題が出ましたが、
じつは大学教育では、そこらの分野の前提である物理学である「流体力学」とか「弾性力学」とかの理論は、本来なら物理学の一種ではありますが、しかし日本では大学の物理学科では、あまりそこまで深くは習いません。なぜなら、流体関係の研究室のある物理学科は、少ないのです。有限要素法とか弾性力学とかも同様、物理学科にその研究室のある理系大学(総合大学の理系学部も含む)は少ないのです。
それらの研究室があるのは、難関大学の工学部になります。物理学科でナビエストークス方程式とか習うのは、それすら計算は難しいですが、しかし流体力学の知識では初歩です。機械工学や土木工学では、もっと発展的な内容があります。
いちおう、他学部・他学科の科目の履修とかも規制緩和で可能ですが、なので物理学科の人が制度的には同大学の機械工学とか土木工学とか履修できますが(その学科が同大学にあれば)、しかし大学によっては理学部と工学部で校舎が離れていたり、時間割が自学科の必修科目の時間と重なっていたりとか、色々と実行は困難かもしれません。
物理学は内容が広すぎるので、じつは物理学者だけでなく工学者など隣接分野の学者とも共同して物理学は研究されています。進路など考える時は、ご参考に。
なお、機械工学も土木工学も、別に数学のように論理的に考えることを目的とする分野でもなければ、物理法則を解明することを目的とする分野でもないので、そこは勘違いしないように。
難しい計算ができたからといって、就職や収入が良いとも限らない。あくまで、開発費用の削減のためにシミュレーションを行っている(※東京書籍 I)のにすぎないので。
}}
== 情報IIの範囲 ==
モデルを数式で作る際、次数を増やしすぎたり、変数を増やしすぎたりすると、見当違いの結果が出やすくなることが知られており、これを'''過剰適合'''(かじょう てきごう、over fitting)や'''オーバーフィッティング'''などと言います(東京書籍、日本文教出版の『情報II』)。
:※ 過剰適合については、詳しくは『[[高等学校情報/情報I/データの活用#情報IIの範囲]]』を参照せよ。
[[カテゴリ:高等学校情報|もてるかとしみゆれえしよん]] | 2023-10-18T07:15:44Z | 2023-10-23T12:46:47Z | [
"テンプレート:コラム"
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38,633 | たばこ税法第6条 | (移出又は引取り等とみなす場合)
本条は、製造たばこが製造場から移出された、または保税地域から引き取られたとみなす場合について規定している。 | [
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== 条文 ==
(移出又は引取り等とみなす場合)
; 第6条
# 製造たばこが製造たばこの製造者の製造場において喫煙用、かみ用又はかぎ用(以下この項及び次項において「喫煙用等」という。)に供された場合には、その喫煙用等に供された時に当該製造者が当該製造たばこをその製造場から移出したものとみなす。ただし、その喫煙用等に供されたことにつき、当該製造者の責めに帰することができない場合には、その喫煙用等に供した者を当該製造たばこに係る製造たばこの製造者とみなし、当該喫煙用等に供した者が喫煙用等に供した時に当該製造たばこをその製造場から移出したものとみなして、この法律(第17条、第19条第1項、第24条及び第25条並びにこれらの規定に係る罰則を除く。)を適用する。
# 製造たばこが保税地域において喫煙用等に供された場合には、その喫煙用等に供した者がその喫煙用等に供した時に当該製造たばこをその保税地域から引き取るものとみなす。
# 製造たばこの製造者の製造場に現存する製造たばこが滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続又は破産手続により換価された場合には、当該製造者がその換価の時に当該製造たばこをその製造場から移出したものとみなす。
# 製造たばこ製造者(たばこ事業法第8条(会社以外の製造の禁止)に規定する会社をいう。以下同じ。)がその製造場における製造たばこの製造を廃止した場合において、製造たばこがその製造場に現存するときは、当該製造たばこ製造者がその製造を廃止した日に当該製造たばこを当該製造場から移出したものとみなす。ただし、当該製造たばこ製造者が、政令で定めるところにより、その製造場であつた場所の所在地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、この限りでない。
# 前項ただし書の税務署長の承認があつた場合には、その承認に係る製造たばこについては、その承認をした税務署長の指定する期間、その製造場であつた場所をなお製造たばこの製造場とみなす。この場合において、当該期間を経過した日になお当該製造たばこがその場所に現存するときは、当該製造たばこ製造者がその日の前日に当該製造たばこを当該製造場から移出したものとみなす。
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ|製造たばこ]]が製造場から移出された、または[[w:保税地域|保税地域]]から引き取られたとみなす場合について規定している。
== 参照条文 ==
* [[たばこ税法第17条]](移出に係る製造たばこについての課税標準及び税額の申告)
* [[たばこ税法第19条]](移出に係る製造たばこについてのたばこ税の期限内申告による納付等)
* [[たばこ税法第24条]](製造の開廃等の申告)
* [[たばこ税法第25条]](記帳義務)
* [[たばこ税法第27条]]
* [[たばこ税法第28条]]
* [[たばこ税法第29条]]
{{stub}}
{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第5条]]<br />(保税地域に該当する製造場)
|[[たばこ税法第7条]]<br />(製造者とみなす場合)
}}
[[category:たばこ税法|06]] | 2023-10-19T14:35:57Z | 2023-10-19T14:35:57Z | [
"テンプレート:Pathnav",
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"テンプレート:前後"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC6%E6%9D%A1 |
38,634 | たばこ税法第7条 | (製造者とみなす場合)
本条は、製造たばこが製造場から移出された場合に、製造者の責めに帰することのできないときは、製造たばこを移出した者を製造たばこの製造者とみなしてたばこ税法を適用することを規定している。
この「製造者の責めに帰することのできない場合」とは、製造者が製造たばこを他人に窃取された場合などをいい、製造者が単に管理を怠った場合などは適用されない。 | [
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"text": "この「製造者の責めに帰することのできない場合」とは、製造者が製造たばこを他人に窃取された場合などをいい、製造者が単に管理を怠った場合などは適用されない。",
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== 条文 ==
(製造者とみなす場合)
; 第7条
: 製造たばこが製造たばこの製造者の製造場から移出された場合において、その移出につき、当該製造者の責めに帰することができないときは、当該製造たばこを移出した者を製造たばこの製造者とみなして、この法律(第17条、第19条第1項、第24条及び第25条並びにこれらの規定に係る罰則を除く。)を適用する。
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ|製造たばこ]]が製造場から移出された場合に、製造者の責めに帰することのできないときは、製造たばこを移出した者を製造たばこの製造者とみなしてたばこ税法を適用することを規定している。
この「製造者の責めに帰することのできない場合」とは、製造者が製造たばこを他人に窃取された場合などをいい、製造者が単に管理を怠った場合などは適用されない<ref>{{Cite web|url=https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tabako/04.htm#a-12|title=「製造者の責めに帰することのできない場合」の意義|website=たばこ税法取扱通達|publisher=国税庁|accessdate=2023-10-19}}</ref>。
== 参照条文 ==
* [[たばこ税法第17条]](移出に係る製造たばこについての課税標準及び税額の申告)
* [[たばこ税法第19条]](移出に係る製造たばこについてのたばこ税の期限内申告による納付等)
* [[たばこ税法第24条]](製造の開廃等の申告)
* [[たばこ税法第25条]](記帳義務)
* [[たばこ税法第27条]]
* [[たばこ税法第28条]]
* [[たばこ税法第29条]]
== 脚注 ==
{{reflist}}
{{stub}}
{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第6条]]<br />(移出又は引取り等とみなす場合)
|[[たばこ税法第8条]]<br />(製造たばことみなす場合)
}}
[[category:たばこ税法|07]] | 2023-10-19T14:36:00Z | 2023-10-19T14:36:00Z | [
"テンプレート:Reflist",
"テンプレート:Cite web",
"テンプレート:Stub",
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"テンプレート:Pathnav"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC7%E6%9D%A1 |
38,635 | たばこ税法第8条 | (製造たばことみなす場合)
本条は、製造たばこが製造場から移出された場合に、製造者の責めに帰することのできないときは、製造たばこを移出した者を製造たばこの製造者とみなしてたばこ税法を適用することを規定している。
この「製造者の責めに帰することのできない場合」とは、製造者が製造たばこを他人に窃取された場合などをいい、製造者が単に管理を怠った場合などは適用されない。 | [
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== 条文 ==
(製造たばことみなす場合)
; 第8条
# たばこ事業法第38条第2項(製造たばこ代用品)に規定する製造たばこ代用品は、製造たばことみなして、この法律を適用する。この場合において、製造たばこの区分は当該製造たばこ代用品の性状によるものとする。
# 加熱式たばこの喫煙用具であつて加熱により蒸気となるグリセリンその他の物品又はこれらの混合物が充填されたもの(製造たばこ製造者その他の政令で定める者以外の者がその製造場から移出するものを除く。)は、製造たばことみなして、この法律を適用する。この場合において、製造たばこの区分は加熱式たばことする。
# 前項の規定により製造たばことみなされる加熱式たばこの喫煙用具については、当該加熱式たばこの喫煙用具の製造者が製造たばこ製造者でないときは、これを製造たばこ製造者とみなす。
: <small>(平成30年3月法律第7号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19620180331007.htm|title=法律第七号(平三〇・三・三一)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-19}}</ref>)</small>
== 解説 ==
本条は、[[w:たばこ|製造たばこ]]が製造場から移出された場合に、製造者の責めに帰することのできないときは、製造たばこを移出した者を製造たばこの製造者とみなしてたばこ税法を適用することを規定している。
この「製造者の責めに帰することのできない場合」とは、製造者が製造たばこを他人に窃取された場合などをいい、製造者が単に管理を怠った場合などは適用されない。
== 参照条文 ==
* [[たばこ税法第17条]](移出に係る製造たばこについての課税標準及び税額の申告)
* [[たばこ税法第19条]](移出に係る製造たばこについてのたばこ税の期限内申告による納付等)
* [[たばこ税法第24条]](製造の開廃等の申告)
* [[たばこ税法第25条]](記帳義務)
* [[たばこ税法第27条]]
* [[たばこ税法第28条]]
* [[たばこ税法第29条]]
== 脚注 ==
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{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第7条]]<br />(製造者とみなす場合)
|[[たばこ税法第9条]]<br />(納税地)
}}
[[category:たばこ税法|08]] | 2023-10-19T14:36:04Z | 2023-10-19T14:36:04Z | [
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38,636 | たばこ税法第9条 | (納税地)
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== 条文 ==
(納税地)
; 第9条
: たばこ税の納税地は、製造場から移出された製造たばこに係るものについては、当該製造場の所在地とし、保税地域から引き取られる製造たばこに係るものについては、当該保税地域の所在地とする。
: <small>(昭和63年12月法律第109号改正<ref>{{Cite web|url=https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/11319881230109.htm|title=法律第百九号(昭六三・一二・三〇)|publisher=衆議院|accessdate=2023-10-19}}</ref>)</small>
== 解説 ==
本条は、たばこ税の納税地について規定している。
== 脚注 ==
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{{前後
|[[たばこ税法]]
|第1章 総則
|[[たばこ税法第8条]]<br />(製造たばことみなす場合)
|[[たばこ税法第10条]]<br />(課税標準)
}}
[[category:たばこ税法|09]] | 2023-10-19T14:36:07Z | 2023-10-19T14:36:07Z | [
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38,637 | 高等学校情報/情報I/ソート | ※ 『高等学校情報科「情報I」教員研修用教材 JavaScript 版(第3 章のみ) - 20200716-mxt_jogai01-000001169_001.pdf』などでソートを紹介しています。
読者の皆さんは、よく
のような、データ一覧で、「国語の点数の高い順に並べ替えてみたいなあ・・・」とか思ったことはないでしょうか。
つまり、
と並べ替えたりとか。
※ 説明を短くするため、クラスの生徒数が3人だけの学級として設定しています。
こういうふうに、ある項目の数値の大小順に並べ替えることを情報技術の用語でソートと言います。
ソートの概念は、単にデータを整理するだけの用途のほかにも、たとえば最短ルートの探索などにも応用できます。(※ 教員向けマニュアルで紹介しているのはコッチ(探索)のほう。)なお、検定教科書で二分探索法などの探索法を教えてるのは偶然ではなく、探索法をする前には前処理としてソートが必要になる場合が多いからです。
なので、ともかくソートの手法はいろいろ応用されるので、ソートという概念を知っておきましょう。
ソートの代表的な手法には数種類あります。教員向けマニュアルでは「選択ソート」と「クイックソート」が紹介されています。教科書では、バブルソートなども紹介されているようです。
時間に余裕があれば、JavaScriptやPython など、普通のプログラミング言語を使って、ソートをプログラムを自力で作ることも可能です。
どのプログラミング言語にもある、条件分岐の if文 やその条件式の中での不等号( ≦ や ≧ に相当する判定のこと)の利用、繰り返し処理の for文 、そしてソートの処理前および処理後の結果を格納するための「配列」(はいれつ)といわれるデータ構造、などの入門的な機能を組み合わせることで、ソートのプログラムを作ることができます。(教員むけプログラムにも、ソートのコード例があります。)
バブルソートが、いちばん理解がラクでしょう。バブルソートは、リーグ戦方式の順番で、集団のうちから2つの数を取り出して並べる方法です。
たとえば、先ほどの 阿部(数学55)、 内村(数学90)、枝野(数学73)の数学の点数をこの順に配列にした(55,90,73)並べ替えるなら、
この順番で行うだけです。
バブルソートの比較の回数は、チーム数n個でのリーグ戦の試合の回数と同じなので、比較の回数はおおむね n ( n + 1 ) 2 {\displaystyle {\frac {n(n+1)}{2}}} に比例することが知られています。
このほか、選択ソートというのもありますが、比較の回数はバブルソートとあまり変わりません。単に、比較の順番が違うだけです。
選択ソートは配列内のデータから最小値を探索し,最小値から順に取り出すことで並べ替えを実現するアルゴリズムです(文科省の研修用教材にそう書いてある)。
さて、実際の並び替えでは、おおむね順番に整列されているが、ところどころ順番通りでない列というのもあります。
そういう、おおむね整列されているものを並び替えるときに、バブルソートよりも短い比較回数で済まそうとするのが、クイックソートや挿入ソートやマージソートなどのソート方法です。
たとえば、「完全に整列されていたデータ列Aの内部に、あらたなデータをいくつか追加した。元データ列のどこら辺に追加したかは分からない。追加したデータの個数は少なめで、元データ列の個数に比べて、それほど個数が多くは無いことは分かってる。この混ざったデータ列を並びなおして、整列されたデータ列(これを仮にデータ列Bとする)を得たい」みたいな場合です。
もし元のデータ列が整列されてない場合、必ずしもクイックソートやマージソートなどを使っても、ソートは高速化されません。(出典サイトURLは忘れましたが、文科省の制作支援する勉強会のYouTube動画で、大学教員がそう言っています。) また、後述する文科省の研修用教材でも、似たようなことを言っています。
さて、そのクイックソートとは、配列内から1つの値を取り出し、それを基準に残りの数値を2分割していくものです。
たとえば、
3,7,1,4,2,10
を並び替える場合、
3を基準に、それより小さい(1,2)のグループと、それより大きい(7,4,10)のグループを得ます。
その後、同様に(1,2)を1を基準にして、それより大きい2を得ます。(2)のように1個だけになったら、そこで確定です。
結果的に、(1,2)が確定し、さらにその前で基準にしていた3より小さいことが確定しているので、(1,2,3)が確定します。
(7,4,10)のほうも並び替えをします。
まず、7を基準にそれより小さい4と、それより大きい10が得られます。そして、(4)も(10)もカッコ内に1個しかないので確定です。
(4,7,10)が確定します。
あとは、(1,2,3)と(4,7,10)とをこの順番でくっつけるだけです。
こうして、この場合のクイックソートでは最終的に(1,2,3,4,7,10)で確定します。
クイックソートは、2分探索法のような考え方をソートに応用したものです(と述べている)。
運が良ければ、最初に選んだ基準値が最終結果の真ん中のほうに来る値に近ければ、2分探索法のように計算時間が短縮できます。
事前にある程度、配列の中央値が分かっている場合、クイックソートが価値を発揮します。
配列があるていど整列されているなら、中央値はおおむね、データc列の真ん中のほうにあるでしょう。なので、データ列の真ん中の値を基準にする方法がよく使われます。
ただし、これだと、たまたまデータ列の真ん中に、最小値または最大値に近い値があった場合、運悪く、比較の回数が増えてしまいます。
なので、念のため、データ列の先頭の値、データ列の真ん中の値、データ列の最後尾の値といった、この3つの値の中央値を取れば、よほど運が悪くないかぎり、まあ、採用した基準値がきっと最終結果の中央値にも近いでしょう、近いはずだ、近ければいいなあ・・・という事です。(前提として、整列前のデータがあるていどは整列されていることを前提にしています。)
ネットでは、「クイックソートが一番早い」みたいなデマがありますが、しかし文科省は下記のように反論しています。
クイックソートが早い場合とは、あるていど不規則なデータ列で、さらに最初に選んだ基準値がデータ列全体の中央値に近い場合です。
もし、元データが整列済みまたは ほぼ整列済み の場合、クイックソートはバブルソートと同じような比較回数になってしまいます文部科学省/mextchannel『高等学校「情報I」オンライン学習会 【第7回】アルゴリズムの比較から効率的なアルゴリズムの理解の仕方』 。なぜなら基準値を最初および分割ごとに選ぶ際、その基準値が二分ではなく一分になってしまうからです。
比較回数だけ見ればバブルソートとクイックソート最悪時は比較回数だけは同じですが、しかしクイックソートには他のプログラム処理も色々と加わるので、場合によってはバブルソートよりも少しだけ遅くなりかねません。
さて、文科省の教材では触れられてないですが、バブルソートと選択ソートの比較回数は基本的には同程度ですから、つまりクイックソートが選択ソートより遅くなる場合もあるという事は、クイックソートがバブルソートよりも遅くなる場合もあるという事です。
また、二分探索法のアイデアに基づくクイックソートが、事前にデータ列がある程度は整列されている事を前提にしているということは、つまり、そもそも「二分探索法が速くなる場合とは、事前にある程度は探索結果が分かっている」という意味です。文科省がそういう感じのことを研修用教材で言っています。
探索法には、二分探索法のほか線形探索法があります。ネットのデマでは、二分探索法が最強でいつも速いということですが、しかし文科省はこのデマを否定しています。場合によっては、探索結果が予想に反している場合などは、二分探索法は線形探索法よりも遅くなると文科省は言っています。
文科省は教材で言っています。
文科省は、ネットのデマを真っ向から否定です。
※ データベースソフトの Microsoft Access を買わなくても、Excel のテーブルでソートなど出来るので、まずは Excel で練習しよう。
そもそも「テーブル」という用語自体、データベース用語でもある。
なお、Google アプリにAccess相当の機能は無い(2023年現在)。
さて、並び替えの基準にしている項目名のことをキーと言う。たとえばもし国語の得点で並び替えるなら、キーは「国語の得点」である。
Excel には並び替え機能のほか、フィルター機能もあるが(たとえば特定の数値よりも大きい列を検出したりできる)、あまり使い勝手が良くない。(テーブルの項目名の三角マークをクリックすると、フィルターも選べる。)
本来、Excelはデータベースソフトではないので、UI的に少し分かりづらい。
Google スプレッドシートおよび Libreoffice Calc には、ソートの機能はあるが、しかしExcelでいう「テーブル」の機能(つまり簡易データベース機能)が無い。なので、Excelのテーブル設定がGoogleスプレッドシートなどでは維持できず、互換性が悪い。
よって、データベース目的では、初心者はGoogleスプレッドシートおよびLibreOffice Calc の使用は避けたほうが安全だろう。
教科書ガイドで、二分探索の計算量を紹介。(少なくとも実教「情報I」(PythonとかJavaScriptの対応のヤツ)のガイドに書いてあった。)
ほか、検定教科書でも日本文教出版『情報II』(P.117)に計算量が書いてある。
二分探索の計算量は log2N に比例とか、書いてある。
Nは、探索対象の要素数であり、もちろん整数。慣習的に「N」を使う。
ほかの探索法の計算量の記法でもNを使って表記するのが一般的。探索だけでなくソートなどの計算量でも、Nをつかって表記するのが一般的。
一般に計算量の式では、Nをつかって表記するのが慣習。
あるアルゴリズムの計算量がたとえば 2n + n + 1 に比例するとき、計算量はもっとも大きな次数だけの影響を受ける。
つまり、上記の例のアルゴリスムの場合なら 2n に近似できる。
計算量の表記ではよく、下記のような「O記法」(オーきほう、O notation)を使って記述を簡素化する。
たとえば計算量 2n + n + 1 は
と略記される。
線形探索の計算量は O ( n ) {\displaystyle O(n)} である。
二分探索の計算量は O ( log 2 n ) {\displaystyle O(\log _{2}n)} である。
二次関数や三次関数のグラフを書いたことあるなら分かると思うが、変数の値が大きくなるほど(ただし変数は正だとする)、次数の小さい項の影響は無視できる。高校の数学IIや数学IIIの微分(びぶん)や極限などの理論も、この性質を前提にしている。
そして、コンピュータ科学において、実用的に関心のあるのは、計算対象の要素の個数が多い場合である(たとえばソートなら、並び替え対象が多い場合を、コンピュータにやらせたいので)。
極端な話、並び替えの対象がたったの1個しかないなら、そもそもソートのプログラムを実行するまでもなく、すでにもう並び替えは終わっている。ソートの対象が2個しかない場合でも、単に大小比較を1回すれば終わるので、アルゴリズムをあれこれと考える必要が無い。
必然的に、要素の数が多い場合についてだけ、技術者は気にすれば良いことが多い。
なので、コンピュータ科学において、計算量を調べたい場合は、通常、要素の数が多い場合を考えるのである。
また、負の数を考える必要は無い。なぜなら要素数がマイナス1個とか、ありえないからである。たとえば「マイナス5人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。
また、ここでの要素数 n は当然ながら自然数である。たとえば「ルート3人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。
数学では慣習的に自然数の変数には n を使うことが多い。 | [
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"text": "教科書ガイドで、二分探索の計算量を紹介。(少なくとも実教「情報I」(PythonとかJavaScriptの対応のヤツ)のガイドに書いてあった。)",
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"text": "ほか、検定教科書でも日本文教出版『情報II』(P.117)に計算量が書いてある。",
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"text": "ほかの探索法の計算量の記法でもNを使って表記するのが一般的。探索だけでなくソートなどの計算量でも、Nをつかって表記するのが一般的。",
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"text": "あるアルゴリズムの計算量がたとえば 2n + n + 1 に比例するとき、計算量はもっとも大きな次数だけの影響を受ける。",
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"text": "計算量の表記ではよく、下記のような「O記法」(オーきほう、O notation)を使って記述を簡素化する。",
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"text": "二分探索の計算量は O ( log 2 n ) {\\displaystyle O(\\log _{2}n)} である。",
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"title": "計算量"
},
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"text": "二次関数や三次関数のグラフを書いたことあるなら分かると思うが、変数の値が大きくなるほど(ただし変数は正だとする)、次数の小さい項の影響は無視できる。高校の数学IIや数学IIIの微分(びぶん)や極限などの理論も、この性質を前提にしている。",
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"text": "極端な話、並び替えの対象がたったの1個しかないなら、そもそもソートのプログラムを実行するまでもなく、すでにもう並び替えは終わっている。ソートの対象が2個しかない場合でも、単に大小比較を1回すれば終わるので、アルゴリズムをあれこれと考える必要が無い。",
"title": "計算量"
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"text": "必然的に、要素の数が多い場合についてだけ、技術者は気にすれば良いことが多い。",
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"text": "なので、コンピュータ科学において、計算量を調べたい場合は、通常、要素の数が多い場合を考えるのである。",
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"text": "また、負の数を考える必要は無い。なぜなら要素数がマイナス1個とか、ありえないからである。たとえば「マイナス5人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。",
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"text": "また、ここでの要素数 n は当然ながら自然数である。たとえば「ルート3人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。",
"title": "計算量"
},
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"text": "数学では慣習的に自然数の変数には n を使うことが多い。",
"title": "計算量"
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] | null | == アルゴリズムなどの知識 ==
※ [https://www.mext.go.jp/content/20200716-mxt_jogai01-000001169_001.pdf 『高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材 JavaScript 版(第3 章のみ) - 20200716-mxt_jogai01-000001169_001.pdf』]などでソートを紹介しています。
=== ソート ===
読者の皆さんは、よく
:出席番号:01, 阿部、 国語80点、 数学55点、
:出席番号:02, 内村、 国語50点、 数学90点、
:出席番号:03, 枝野、 国語70点、 数学73点、
のような、データ一覧で、「国語の点数の高い順に並べ替えてみたいなあ・・・」とか思ったことはないでしょうか。
つまり、
:出席番号:01, 阿部、 国語80点、 数学55点、
:出席番号:03, 枝野、 国語70点、 数学73点、
:出席番号:02, 内村、 国語50点、 数学90点、
と並べ替えたりとか。
※ 説明を短くするため、クラスの生徒数が3人だけの学級として設定しています。
こういうふうに、ある項目の数値の大小順に並べ替えることを情報技術の用語で'''ソート'''と言います。
ソートの概念は、単にデータを整理するだけの用途のほかにも、たとえば最短ルートの探索などにも応用できます。(※ 教員向けマニュアルで紹介しているのはコッチ(探索)のほう。)なお、検定教科書で二分探索法などの探索法を教えてるのは偶然ではなく、探索法をする前には前処理としてソートが必要になる場合が多いからです。
なので、ともかくソートの手法はいろいろ応用されるので、ソートという概念を知っておきましょう。
ソートの代表的な手法には数種類あります。教員向けマニュアルでは「選択ソート」と「クイックソート」が紹介されています。教科書では、バブルソートなども紹介されているようです。
時間に余裕があれば、JavaScriptやPython など、普通のプログラミング言語を使って、ソートをプログラムを自力で作ることも可能です。
どのプログラミング言語にもある、条件分岐の if文 やその条件式の中での不等号( ≦ や ≧ に相当する判定のこと)の利用、繰り返し処理の for文 、そしてソートの処理前および処理後の結果を格納するための「配列」(はいれつ)といわれるデータ構造、などの入門的な機能を組み合わせることで、ソートのプログラムを作ることができます。(教員むけプログラムにも、ソートのコード例があります。)
バブルソートが、いちばん理解がラクでしょう。バブルソートは、リーグ戦方式の順番で、集団のうちから2つの数を取り出して並べる方法です。
たとえば、先ほどの 阿部(数学55)、 内村(数学90)、枝野(数学73)の数学の点数をこの順に配列にした(55,90,73)並べ替えるなら、
:安部55・内村90の比較をして、結果の並びとして「55,90」の配列をまず作成し、これで(55,90,73)の1番目と2番目を置き換え。結果的に、同じ(55,90,73)のまま
::↓
:安部55・枝野73の比較、すでに「55,90,73」の配列があるが枝野の点数は安部の隣に入れることとし、安部の左側に入れるか右側に入れるかを判別するために先ほどの安部・枝野の比較を利用し、枝野のほうが大きいので「55,73,90」の配列になる。
::↓
:内村90・枝野73の比較、さきほどの安部・枝野の比較では内村と枝野の関係は無視していたので、残りの比較をする必要がある。リーグ戦方式なら、最終的には漏れなく比較することになる。「55,73,90」が確定する。
この順番で行うだけです。
バブルソートの比較の回数は、チーム数n個でのリーグ戦の試合の回数と同じなので、比較の回数はおおむね<math> \frac{n(n+1)} {2} </math>に比例することが知られています。
このほか、選択ソートというのもありますが、比較の回数はバブルソートとあまり変わりません。単に、比較の順番が違うだけです。
選択ソートは配列内のデータから最小値を探索し,最小値から順に取り出すことで並べ替えを実現するアルゴリズムです(文科省の研修用教材にそう書いてある)。
さて、実際の並び替えでは、おおむね順番に整列されているが、ところどころ順番通りでない列というのもあります。
そういう、おおむね整列されているものを並び替えるときに、バブルソートよりも短い比較回数で済まそうとするのが、クイックソートや挿入ソートやマージソートなどのソート方法です。
たとえば、「完全に整列されていたデータ列Aの内部に、あらたなデータをいくつか追加した。元データ列のどこら辺に追加したかは分からない。追加したデータの個数は少なめで、元データ列の個数に比べて、それほど個数が多くは無いことは分かってる。この混ざったデータ列を並びなおして、整列されたデータ列(これを仮にデータ列Bとする)を得たい」みたいな場合です。
もし元のデータ列が整列されてない場合、必ずしもクイックソートやマージソートなどを使っても、ソートは高速化されません。(出典サイトURLは忘れましたが、文科省の制作支援する勉強会のYouTube動画で、大学教員がそう言っています。) また、後述する文科省の研修用教材でも、似たようなことを言っています。
さて、そのクイックソートとは、配列内から1つの値を取り出し、それを基準に残りの数値を2分割していくものです。
たとえば、
3,7,1,4,2,10
を並び替える場合、
3を基準に、それより小さい(1,2)のグループと、それより大きい(7,4,10)のグループを得ます。
その後、同様に(1,2)を1を基準にして、それより大きい2を得ます。(2)のように1個だけになったら、そこで確定です。
結果的に、(1,2)が確定し、さらにその前で基準にしていた3より小さいことが確定しているので、(1,2,3)が確定します。
(7,4,10)のほうも並び替えをします。
まず、7を基準にそれより小さい4と、それより大きい10が得られます。そして、(4)も(10)もカッコ内に1個しかないので確定です。
(4,7,10)が確定します。
あとは、(1,2,3)と(4,7,10)とをこの順番でくっつけるだけです。
こうして、この場合のクイックソートでは最終的に(1,2,3,4,7,10)で確定します。
クイックソートは、2分探索法のような考え方をソートに応用したものです(と述べている)。
運が良ければ、最初に選んだ基準値が最終結果の真ん中のほうに来る値に近ければ、2分探索法のように計算時間が短縮できます。
事前にある程度、配列の中央値が分かっている場合、クイックソートが価値を発揮します。
配列があるていど整列されているなら、中央値はおおむね、データc列の真ん中のほうにあるでしょう。なので、データ列の真ん中の値を基準にする方法がよく使われます。
ただし、これだと、たまたまデータ列の真ん中に、最小値または最大値に近い値があった場合、運悪く、比較の回数が増えてしまいます。
なので、念のため、データ列の先頭の値、データ列の真ん中の値、データ列の最後尾の値といった、この3つの値の中央値を取れば、よほど運が悪くないかぎり、まあ、採用した基準値がきっと最終結果の中央値にも近いでしょう、近いはずだ、近ければいいなあ・・・という事です。(前提として、整列前のデータがあるていどは整列されていることを前提にしています。)
ネットでは、「クイックソートが一番早い」みたいなデマがありますが、しかし文科省は下記のように反論しています<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200716-mxt_jogai01-000001169_001.pdf 『高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材 JavaScript 版(第3 章のみ) - 20200716-mxt_jogai01-000001169_001.pdf』 P.39]</ref>。
<pre>
しかしながら,クイックソートでは逆順に並べ替えられている場合など,ある条件下では比較を行う回数が膨
大になり,選択ソートよりも処理に必要な時間が多くなることもある。
ソートアルゴリズムの場合においても,必ずしもクイックソートの方が優れたアルゴリズムであるとは言い切
れないことがわかる
</pre>
クイックソートが早い場合とは、あるていど不規則なデータ列で、さらに最初に選んだ基準値がデータ列全体の中央値に近い場合です。
もし、元データが整列済みまたは ほぼ整列済み の場合、クイックソートはバブルソートと同じような比較回数になってしまいます[https://www.youtube.com/watch?v=QFuv9LWPtQI 文部科学省/mextchannel『高等学校「情報Ⅰ」オンライン学習会 【第7回】アルゴリズムの比較から効率的なアルゴリズムの理解の仕方』 ]。なぜなら基準値を最初および分割ごとに選ぶ際、その基準値が二分ではなく一分になってしまうからです。
比較回数だけ見ればバブルソートとクイックソート最悪時は比較回数だけは同じですが、しかしクイックソートには他のプログラム処理も色々と加わるので、場合によってはバブルソートよりも少しだけ遅くなりかねません。
さて、文科省の教材では触れられてないですが、バブルソートと選択ソートの比較回数は基本的には同程度ですから、つまりクイックソートが選択ソートより遅くなる場合もあるという事は、クイックソートがバブルソートよりも遅くなる場合もあるという事です。
また、二分探索法のアイデアに基づくクイックソートが、事前にデータ列がある程度は整列されている事を前提にしているということは、つまり、そもそも「二分探索法が速くなる場合とは、事前にある程度は探索結果が分かっている」という意味です。文科省がそういう感じのことを研修用教材で言っています<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200722-mxt_jogai02-100013300_005.pdf 『【高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)】第3章 - 20200722-mxt_jogai02-100013300_005.pdf』 P.130 ]</ref>。
探索法には、二分探索法のほか線形探索法があります。ネットのデマでは、二分探索法が最強でいつも速いということですが、しかし文科省はこのデマを否定しています。場合によっては、探索結果が予想に反している場合などは、二分探索法は線形探索法よりも遅くなると文科省は言っています。
文科省は教材で言っています。
<pre>
最大探索回数だけを比較すると,回数の少ない二分探索がよいアルゴリズムと考えがちだが,二分探索には事
前にデータを並べ替えておく必要があり,一概によいアルゴリズムとは言い切れない。例えば「事前にデータが
並び替えられている保証がない場合」や「データの数がそれほど多くなく,シンプルなアルゴリズムの方が望ま
しい場合」などは線形探索の方が有用な場合もある。
</pre>
文科省は、ネットのデマを真っ向から否定です。
{{コラム|表計算ソフトのソート|
じつは Excel や Google スプレッドシートなどの表計算ソフトには、すでに数値の並び替えの機能がある。
Excel の場合、事前にテーブル化しておくと、操作ミスの心配が減るので、テーブル化すると良い。
テーブル化すると、あとはメタデータ部分の項目にある▽マークをクリックするだけで、昇順または降順でソートを選べる。
なお、小さい順で並べたい場合を「昇順」と言う。
大きい順で並べたい場合を「降順」と言う。
ただし、Googleスプレッドシートには、テーブル化の機能が無い。
なんらかの事情で表をテーブル化したくない場合、それでもソートしたいなら、
Excelなら
:「ホーム」>「並び替えとフィルター」
である。
Google スプレッドシートの場合、
:「データ」>「シートを並び替え」
である。
ただし、他のアプリと連動できないので、もし自分でソートの機能をもったアプリを作りたい場合には、上記のバブルソートだのクイックソートだのといったソートを自前でプログラムする必要がある。
並べ替えは数値だけでなく、文字も行える。
アルファベット→仮名(かな)→漢字
の順。
アルファベットはABC順、
かなは、平仮名→カタカナの順で、それぞれ清音(例:は)→濁音(例:ば)→半濁音(例:ぱ)の順
漢字は文字コード順。
}}
※ データベースソフトの Microsoft Access を買わなくても、Excel のテーブルでソートなど出来るので、まずは Excel で練習しよう。
そもそも「テーブル」という用語自体、データベース用語でもある。
なお、Google アプリにAccess相当の機能は無い(2023年現在)。
さて、並び替えの基準にしている項目名のことを'''キー'''と言う。たとえばもし国語の得点で並び替えるなら、キーは「国語の得点」である。
Excel には並び替え機能のほか、フィルター機能もあるが(たとえば特定の数値よりも大きい列を検出したりできる)、あまり使い勝手が良くない。(テーブルの項目名の三角マークをクリックすると、フィルターも選べる。)
本来、Excelはデータベースソフトではないので、UI的に少し分かりづらい。
Google スプレッドシートおよび Libreoffice Calc には、ソートの機能はあるが、しかしExcelでいう「テーブル」の機能(つまり簡易データベース機能)が無い。なので、Excelのテーブル設定がGoogleスプレッドシートなどでは維持できず、互換性が悪い。
よって、データベース目的では、初心者はGoogleスプレッドシートおよびLibreOffice Calc の使用は避けたほうが安全だろう。
== 計算量 ==
教科書ガイドで、二分探索の計算量を紹介。(少なくとも実教「情報I」(PythonとかJavaScriptの対応のヤツ)のガイドに書いてあった。)
ほか、検定教科書でも日本文教出版『情報II』(P.117)に計算量が書いてある。
二分探索の計算量は log<sub>2</sub>N に比例とか、書いてある。
Nは、探索対象の要素数であり、もちろん整数。慣習的に「N」を使う。
ほかの探索法の計算量の記法でもNを使って表記するのが一般的。探索だけでなくソートなどの計算量でも、Nをつかって表記するのが一般的。
一般に計算量の式では、Nをつかって表記するのが慣習。
あるアルゴリズムの計算量がたとえば 2n<sup>2</sup> + n + 1 に比例するとき、計算量はもっとも大きな次数だけの影響を受ける。
つまり、上記の例のアルゴリスムの場合なら 2n<sup>2</sup> に近似できる。
;O記法
計算量の表記ではよく、下記のような「O記法」(オーきほう、O notation)を使って記述を簡素化する。
たとえば計算量 2n<sup>2</sup> + n + 1 は
:<math> O(n^2)</math>
と略記される。
線形探索の計算量は <math> O(n)</math>である。
二分探索の計算量は <math> O(\log_2 n)</math>である。
二次関数や三次関数のグラフを書いたことあるなら分かると思うが、変数の値が大きくなるほど(ただし変数は正だとする)、次数の小さい項の影響は無視できる。高校の数学IIや数学IIIの微分(びぶん)や極限などの理論も、この性質を前提にしている。
そして、コンピュータ科学において、実用的に関心のあるのは、計算対象の要素の個数が多い場合である(たとえばソートなら、並び替え対象が多い場合を、コンピュータにやらせたいので)。
極端な話、並び替えの対象がたったの1個しかないなら、そもそもソートのプログラムを実行するまでもなく、すでにもう並び替えは終わっている。ソートの対象が2個しかない場合でも、単に大小比較を1回すれば終わるので、アルゴリズムをあれこれと考える必要が無い。
必然的に、要素の数が多い場合についてだけ、技術者は気にすれば良いことが多い。
なので、コンピュータ科学において、計算量を調べたい場合は、通常、要素の数が多い場合を考えるのである。
また、負の数を考える必要は無い。なぜなら要素数がマイナス1個とか、ありえないからである。たとえば「マイナス5人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。
また、ここでの要素数 n は当然ながら自然数である。たとえば「ルート3人の生徒の成績の並び替え」(←??)とか、意味不明であり、ありえない。
数学では慣習的に自然数の変数には n を使うことが多い。
== 脚注 ==
[[カテゴリ:高等学校情報|そおと]] | 2023-10-20T05:18:24Z | 2024-03-30T09:56:58Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%83%85%E5%A0%B1/%E6%83%85%E5%A0%B1I/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%88 |
38,638 | 高等学校情報/情報I/プログラミングの基礎技術 | なお、windowsで下記のプログラミングを実行するためには一般に、あらかじめコンパイラなどの実行環境のインストールが必要です。(テキストエディタにそのまま文字を入れても、何も起きません。)
例外的にJavaScriptなら、webブラウザを用いて実行できますが、しかしC言語など他の言語のコードはwebブラウザでは処理が不可能です。
入門レベルの中学高校生が実行するには、たとえば教育用の簡易的なC言語実行アプリ、または教育用のPython実行アプリなどの利用が考えられるでしょう。
テキストを扱うプログラミング言語では、多くのプログラミング言語で、
のような構文で、文字列を表示します。
上の例はPythonで、printは関数です。 C言語でも関数ですが関数名が異なり puts("Hello, world!") となります。 また、JavaScriptの場合は window.confirm("Hello, world!") と関数ではなくメソッドです。
Pythonの場合、print("Hello, world!")を実行すると、
と表示されます。
さて、中学校で「条件分岐」の考えを習いましたが、しかしどのような構文で条件分岐のプログラミングが出来るかは、習っていないでしょう。(カリキュラムによる)
多くのプログラミング言語では、条件分岐にif文を使います。
たとえば、Pythonの場合は if x == 2 : print("abcd")は、 「もし変数xが2なら、文字列 "abcd" を表示せよ」という意味になります。
他の言語でも一般的に、区切り文字に違いなどがありますが概ね
の語順でif文が書かれます。
多くのプログラム言語で、繰り返しには、for文を使います。
たとえばPythonの場合、
なら、 表示結果として
と画面に文字出力されます。
for 変数 in range(回数): 処理 の書式です。
この様にプログラミング言語が異なると、同じ機能を実現するためでも、異なるプログラミングが必要になります。
たとえば、Pythonでは、「#」という記号を使うことにより、その記号から文末までにメモを入れる事が出来ます。
つまり、上記のコード例の場合、#記号以降から文末までの『# 「ようこそ」と出力』の部分は実行されません。
この「#」記号のような機能のことを、プログラミング用語で「コメント」と言います。
コメントの機能は、他の多くのプログラミング言語にもあります。記号の文字そのものは違いますが、C言語やJavaScriptにもコメント機能があるので、プログラム中にメモを必要に応じて書くことができます。
プログラミングでいう「関数」(function)と、数学用語の二次関数や三角関数などの「関数」(function)とは、意味が違います。(日本語でも英語でも、つづりが同じです。)
プログラミングでいう「関数」とは、コンピュータにさせたい処理手続きをまとめたて名前をつけたものです。
そして、C言語やJavaScriptやPythonなど、多くの現代で普及しているプログラミング言語には、プログラミングでいう「関数」の機能があります。
どの言語でも、理解すべき用語は「関数」のほか、「引数」(ひきすう)と、「戻り値」(「返り値」ともいう)という用語が基本的です。
プログラミング言語によっては、この繰り返し処理の関数のことを「サブルーチン」と読んだりします。
ある関数Aから、別の関数Bを呼び出すこともできます。
ただし、たとえば
関数Aから関数Bを呼び出し、その関数Bから関数Cを呼び出し、関数Cから関数Dを・・・(中略)・・・、関数yから関数Zを呼び出す、
みたいに、あまりにも呼び出しの階層が深すぎると、かえってプログラミングしづらくなることが、経験的に知られています。
関数の呼び出しの階層が、あまり深くなり過ぎないようにしましょう。
同様に、プログラミング言語の多くには、実行中のファイルから別のファイルを呼び出してそれを実行する機能もあるのですが、やはりファイルAからファイルBを経由して・・・(中略)・・・ファイルZを実行、みたいなのは、とても困ります。
このように、プログラミング言語には、あるモジュールから別のモジュールを呼び出す機能があります。
関数化などモジュール化の際の注意点として、モジュールから別のモジュールを呼び出す際の階層構造があまり深くならないように、全体設計をする必要があります。
この理由のひとつは、会社などの仕事でつくるプログラムは一般的に集団作業だから、です。もし階層構造が深くなりすぎると、他のプログラマーがモジュールを探しづらくなったり、あるいは、モジュールの見落としのミスによって、プログラムミスなどの不具合の発生につながったりします。(※ 研修資料には、こういう理由までは書いてないです。)仮に現時点では自分ひとりで作っているプログラムであったとしても、もしかしたら将来には別の人(たとえば後輩など)がそのプログラムを引き継ぐかもしれない、といった将来まで考える必要があるのです。
同様の理由で、モジュールの数をあまり増やしすぎたりしないようにする工夫も必要ですし、あるいは一つのモジュールから呼び出すモジュールを増やしすぎないようにする工夫も必要です。
サイコロの目のように、確率的に発生する現象をコンピュータで実行したい場合、「乱数」という機能を使います。これらの機能には、 random (ランダム)などの用語が使われる場合が多いです。
Pythonの場合なら、本wikiでは『Python/モジュールのインポート』に説明があります。
Pythonでは「リスト」、C言語やJavaScriptでは「配列」と言われる機能があります。
Pythonの場合については『Python/リスト』を参照してください。
コンピュータに計算させたりそれを表示させたい場合、なにも必ずしもC言語やPythonなどのプログラミングの方法を使う必要は無い。
Widows用のオフィスソフトのエクセル(EXCEL)でも、計算などが可能である。(※ エクセルを使う方法は、文部科学省の教員用資料にも紹介されている、教育的にも正当な方法です。)
(東京書籍や日本文教出版などの一部の教科書で、JavaScript(ジャバ スクリプト)が紹介されている。)
webブラウザ上で、ちょっとしたプログラムを動かしたい時のためのプログラミング言語として、『JavaScript』(ジャバ スクリプト)があります。
なお、名前の似た別のプログラミング言語として、『Java』(ジャバ)がありますが、まったく別の言語です。
さて、本書では、JavaScriptについて、説明します。
まず、次のコードを見てください。JavaScriptは、次のコードのようhtmlに埋めこんで(うめこんで)、使います。
まず、JavaScriptを使うためには、<script type="text/javascript">および</script>が必要です。
このタグ内には、JavaScriptのプログラムだけを書かないと、いけません。
もしタグ内に、htmlタグ(pタグやh1タグなど)を書くと、エラーになります。
また、プログラムの文を入力するときは、文字入力モードは、直接入力モードにしてください。ほかの文字モードで入力しても、エラーになるでしょう。
さて、JavaScriptで、足し算などの計算のために変数(へんすう)を使用できます。
まず、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。上記のプログラムでは、「hensuu」は、変数です。
このように、変数をつかって計算を行うためには、「これから変数をつかいます」という事をプログラム中で宣言する必要があります。
変数の使用を宣言するには、変数の名前の前に「var」をつけ、スペースを1文字あけます。 言い方を帰ると、varの後ろにある語句が「変数である」と認識されます。
(なお、「var」とは、英語のvariable(バリアブル)が由来であろう。variableの意味は、「変数」。数学用語でも、数学の変数のことを「variable」という。)
「var hensuu;」の意味は、「変数として「hensuu」を用意しなさい」という意味です。 さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。
「hensuu = 132;」の意味は、「変数『hensuu』に、数値132を代入しなさい」という意味です。
JavaScriptにかぎらず一般にプログラミングでは、「=」記号の意味は、「代入をやりなさい」の意味です。数学の等号とは、意味が違いますので、気をつけてください。
一般にプログラミングでは、=の右側にある計算の結果を、=の左側にある変数に代入します。
さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。 上記のプログラムでも、「var hensuu = 132;」となっています。
他の言語では、変数の宣言方法が違っている場合もあるので、まったく暗記の必要は、ありません。
なお、数学でいう「変数」とは少し事情がちがていて、JavaScriptの変数の名前は1文字でなくても、かまいません。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数名は1文字でなくても、かまわない。 )
そして、JavaScriptの変数は、数でもありますので、四則演算(数学でいう「+」、「ー」、「×」、「÷」)などの計算をできます。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数をつかって、四則演算の計算をできる。)
たとえば、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。
そして、式の終わりであることを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。上記のプログラムでも、「hensuu + 100;」となっています。
「document.write()」とは、「カッコ内の式を出力しろ」というような意味のプログラム命令です。
そして、そのカッコ内に、「hensuu + 100」と書かれているので、その式のとおりに計算して「232」(=132+100)を表示する仕組みです。
プログラムを実行するには、このJavaScriptの書かれたhtmlファイルごと保存してから、そのまま普通のwebブラウザで、そのhtmlファイルを開くだけです。
実際に上記コードの書かれたhtmlファイルを開いてみると、計算結果の「232」(=132+100)も出ています。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "なお、windowsで下記のプログラミングを実行するためには一般に、あらかじめコンパイラなどの実行環境のインストールが必要です。(テキストエディタにそのまま文字を入れても、何も起きません。)",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "例外的にJavaScriptなら、webブラウザを用いて実行できますが、しかしC言語など他の言語のコードはwebブラウザでは処理が不可能です。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "入門レベルの中学高校生が実行するには、たとえば教育用の簡易的なC言語実行アプリ、または教育用のPython実行アプリなどの利用が考えられるでしょう。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "",
"title": "基礎知識"
},
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"text": "テキストを扱うプログラミング言語では、多くのプログラミング言語で、",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "のような構文で、文字列を表示します。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "上の例はPythonで、printは関数です。 C言語でも関数ですが関数名が異なり puts(\"Hello, world!\") となります。 また、JavaScriptの場合は window.confirm(\"Hello, world!\") と関数ではなくメソッドです。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "Pythonの場合、print(\"Hello, world!\")を実行すると、",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "と表示されます。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "さて、中学校で「条件分岐」の考えを習いましたが、しかしどのような構文で条件分岐のプログラミングが出来るかは、習っていないでしょう。(カリキュラムによる)",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "多くのプログラミング言語では、条件分岐にif文を使います。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たとえば、Pythonの場合は if x == 2 : print(\"abcd\")は、 「もし変数xが2なら、文字列 \"abcd\" を表示せよ」という意味になります。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "他の言語でも一般的に、区切り文字に違いなどがありますが概ね",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "の語順でif文が書かれます。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "多くのプログラム言語で、繰り返しには、for文を使います。",
"title": "基礎知識"
},
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"text": "たとえばPythonの場合、",
"title": "基礎知識"
},
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"text": "なら、 表示結果として",
"title": "基礎知識"
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{
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"text": "と画面に文字出力されます。",
"title": "基礎知識"
},
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"text": "for 変数 in range(回数): 処理 の書式です。",
"title": "基礎知識"
},
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"text": "この様にプログラミング言語が異なると、同じ機能を実現するためでも、異なるプログラミングが必要になります。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "たとえば、Pythonでは、「#」という記号を使うことにより、その記号から文末までにメモを入れる事が出来ます。",
"title": "基礎知識"
},
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"tag": "p",
"text": "つまり、上記のコード例の場合、#記号以降から文末までの『# 「ようこそ」と出力』の部分は実行されません。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "この「#」記号のような機能のことを、プログラミング用語で「コメント」と言います。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "コメントの機能は、他の多くのプログラミング言語にもあります。記号の文字そのものは違いますが、C言語やJavaScriptにもコメント機能があるので、プログラム中にメモを必要に応じて書くことができます。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "プログラミングでいう「関数」(function)と、数学用語の二次関数や三角関数などの「関数」(function)とは、意味が違います。(日本語でも英語でも、つづりが同じです。)",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "プログラミングでいう「関数」とは、コンピュータにさせたい処理手続きをまとめたて名前をつけたものです。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "そして、C言語やJavaScriptやPythonなど、多くの現代で普及しているプログラミング言語には、プログラミングでいう「関数」の機能があります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "どの言語でも、理解すべき用語は「関数」のほか、「引数」(ひきすう)と、「戻り値」(「返り値」ともいう)という用語が基本的です。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "プログラミング言語によっては、この繰り返し処理の関数のことを「サブルーチン」と読んだりします。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "ある関数Aから、別の関数Bを呼び出すこともできます。",
"title": "基礎知識"
},
{
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"text": "ただし、たとえば",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "関数Aから関数Bを呼び出し、その関数Bから関数Cを呼び出し、関数Cから関数Dを・・・(中略)・・・、関数yから関数Zを呼び出す、",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "みたいに、あまりにも呼び出しの階層が深すぎると、かえってプログラミングしづらくなることが、経験的に知られています。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "関数の呼び出しの階層が、あまり深くなり過ぎないようにしましょう。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "同様に、プログラミング言語の多くには、実行中のファイルから別のファイルを呼び出してそれを実行する機能もあるのですが、やはりファイルAからファイルBを経由して・・・(中略)・・・ファイルZを実行、みたいなのは、とても困ります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "このように、プログラミング言語には、あるモジュールから別のモジュールを呼び出す機能があります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "基礎知識"
},
{
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"tag": "p",
"text": "関数化などモジュール化の際の注意点として、モジュールから別のモジュールを呼び出す際の階層構造があまり深くならないように、全体設計をする必要があります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "この理由のひとつは、会社などの仕事でつくるプログラムは一般的に集団作業だから、です。もし階層構造が深くなりすぎると、他のプログラマーがモジュールを探しづらくなったり、あるいは、モジュールの見落としのミスによって、プログラムミスなどの不具合の発生につながったりします。(※ 研修資料には、こういう理由までは書いてないです。)仮に現時点では自分ひとりで作っているプログラムであったとしても、もしかしたら将来には別の人(たとえば後輩など)がそのプログラムを引き継ぐかもしれない、といった将来まで考える必要があるのです。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "同様の理由で、モジュールの数をあまり増やしすぎたりしないようにする工夫も必要ですし、あるいは一つのモジュールから呼び出すモジュールを増やしすぎないようにする工夫も必要です。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "サイコロの目のように、確率的に発生する現象をコンピュータで実行したい場合、「乱数」という機能を使います。これらの機能には、 random (ランダム)などの用語が使われる場合が多いです。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "Pythonの場合なら、本wikiでは『Python/モジュールのインポート』に説明があります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "Pythonでは「リスト」、C言語やJavaScriptでは「配列」と言われる機能があります。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "Pythonの場合については『Python/リスト』を参照してください。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "コンピュータに計算させたりそれを表示させたい場合、なにも必ずしもC言語やPythonなどのプログラミングの方法を使う必要は無い。",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "Widows用のオフィスソフトのエクセル(EXCEL)でも、計算などが可能である。(※ エクセルを使う方法は、文部科学省の教員用資料にも紹介されている、教育的にも正当な方法です。)",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "基礎知識"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "(東京書籍や日本文教出版などの一部の教科書で、JavaScript(ジャバ スクリプト)が紹介されている。)",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "webブラウザ上で、ちょっとしたプログラムを動かしたい時のためのプログラミング言語として、『JavaScript』(ジャバ スクリプト)があります。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "なお、名前の似た別のプログラミング言語として、『Java』(ジャバ)がありますが、まったく別の言語です。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "さて、本書では、JavaScriptについて、説明します。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "まず、次のコードを見てください。JavaScriptは、次のコードのようhtmlに埋めこんで(うめこんで)、使います。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "まず、JavaScriptを使うためには、<script type=\"text/javascript\">および</script>が必要です。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "このタグ内には、JavaScriptのプログラムだけを書かないと、いけません。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "もしタグ内に、htmlタグ(pタグやh1タグなど)を書くと、エラーになります。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "また、プログラムの文を入力するときは、文字入力モードは、直接入力モードにしてください。ほかの文字モードで入力しても、エラーになるでしょう。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "さて、JavaScriptで、足し算などの計算のために変数(へんすう)を使用できます。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "まず、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。上記のプログラムでは、「hensuu」は、変数です。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "このように、変数をつかって計算を行うためには、「これから変数をつかいます」という事をプログラム中で宣言する必要があります。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "変数の使用を宣言するには、変数の名前の前に「var」をつけ、スペースを1文字あけます。 言い方を帰ると、varの後ろにある語句が「変数である」と認識されます。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "(なお、「var」とは、英語のvariable(バリアブル)が由来であろう。variableの意味は、「変数」。数学用語でも、数学の変数のことを「variable」という。)",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "「var hensuu;」の意味は、「変数として「hensuu」を用意しなさい」という意味です。 さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "「hensuu = 132;」の意味は、「変数『hensuu』に、数値132を代入しなさい」という意味です。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "JavaScriptにかぎらず一般にプログラミングでは、「=」記号の意味は、「代入をやりなさい」の意味です。数学の等号とは、意味が違いますので、気をつけてください。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "一般にプログラミングでは、=の右側にある計算の結果を、=の左側にある変数に代入します。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。 上記のプログラムでも、「var hensuu = 132;」となっています。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "他の言語では、変数の宣言方法が違っている場合もあるので、まったく暗記の必要は、ありません。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "なお、数学でいう「変数」とは少し事情がちがていて、JavaScriptの変数の名前は1文字でなくても、かまいません。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数名は1文字でなくても、かまわない。 )",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "そして、JavaScriptの変数は、数でもありますので、四則演算(数学でいう「+」、「ー」、「×」、「÷」)などの計算をできます。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数をつかって、四則演算の計算をできる。)",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "たとえば、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "そして、式の終わりであることを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。上記のプログラムでも、「hensuu + 100;」となっています。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "「document.write()」とは、「カッコ内の式を出力しろ」というような意味のプログラム命令です。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "そして、そのカッコ内に、「hensuu + 100」と書かれているので、その式のとおりに計算して「232」(=132+100)を表示する仕組みです。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "プログラムを実行するには、このJavaScriptの書かれたhtmlファイルごと保存してから、そのまま普通のwebブラウザで、そのhtmlファイルを開くだけです。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "実際に上記コードの書かれたhtmlファイルを開いてみると、計算結果の「232」(=132+100)も出ています。",
"title": "範囲外?: JavaScriptのプログラム"
}
] | null | == 基礎知識 ==
[[File:フローチャート 分岐.svg|thumb|250px|(中学の復習)フローチャート、分岐の例]]
[[File:フローチャート 条件繰り返しの例.svg|thumb|250px|(中学の復習)フローチャート、条件繰り返し(反復)の例]]
:※ 中学校では、すでに技術科で「繰り返し」「条件分岐」など制御の考えかたや、それらのフローチャートの例を習ってます。しかし中学技術科はメカトロニクスなども意識した内容です。このため、「for文」など「if文」などの語彙は中学では習ってない可能性も高いです。(少なくとも2020年頃は)
:2021年の近年、小中でプログラミング教育の導入が話題ですが、過去の日本の中高のIT教育の実例によると、どちらかというとHTMLのようなwebプログラミングが主体でした。なので、JavaScriptはまだ習ってない場合があります。
なお、windowsで下記のプログラミングを実行するためには一般に、あらかじめコンパイラなどの実行環境のインストールが必要です。(テキストエディタにそのまま文字を入れても、何も起きません。)
例外的にJavaScriptなら、webブラウザを用いて実行できますが、しかしC言語など他の言語のコードはwebブラウザでは処理が不可能です。
入門レベルの中学高校生が実行するには、たとえば教育用の簡易的なC言語実行アプリ、または教育用のPython実行アプリなどの利用が考えられるでしょう。
{{コラム|実物のキーボードがプロパガンダに必要|
必ず、実物のキーボードつきのパソコンが必要です。タッチパネル用のタブレットでは、事実上、プログラミングが不可能です。
なぜ不可能かというと、タブレットのソフトウェアキーボードでは、画面が隠れてしまい、そのせいで開発環境の画面の半分が隠れてしまうので、必要な情報が見れずにプログラミングが出来ないからです<ref>中川一史 ほか編著『GIGAスクール構想 取り組み事例集 ガイドブック』、2022年2月15日 初版第1刷発行、P.5</ref>。
なお、タブレットに実物のキーボードがついたものを「タブレットPC」と言います。
}}
{{-}}
=== 典型的なプログラミング ===
:※ 2022年度以降の新カリキュラムで習う可能性が高い内容です。<ref>教員用教材 [https://www.mext.go.jp/content/20200722-mxt_jogai02-100013300_005.pdf 【高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)】第3章 - 20200722-mxt_jogai02-100013300_005.pdf] 『コンピュータとプログラミング』 P115あたり</ref>
==== 文字列の表示 ====
テキストを扱うプログラミング言語では、多くのプログラミング言語で、
print("Hello, world!")
のような構文で、文字列を表示します。
上の例は[[Python]]で、<code>print</code>は関数です<ref>Python3では、print は組込み関数ですが、Python2 では命令で文字列を括る括弧は不要でした。</ref>。
[[C言語]]でも関数ですが関数名が異なり <code>puts("Hello, world!")</code> となります。
また、[[JavaScript]]の場合は <code>window.confirm("Hello, world!")</code> と関数ではなくメソッドです<ref>JavaScriptでは、確認ダイアログのポップアップを文字列の表示に変えました。</ref>。
Pythonの場合、<code>print("Hello, world!")</code>を実行すると、
Hello, world!
と表示されます。
==== if ====
さて、中学校で「条件分岐」の考えを習いましたが、しかしどのような構文で条件分岐のプログラミングが出来るかは、習っていないでしょう。(カリキュラムによる)
多くのプログラミング言語では、条件分岐にif文を使います。
たとえば、Pythonの場合は <code>if x == 2 : print("abcd")</code>は、
「もし変数xが2なら、文字列 "abcd" を表示せよ」という意味になります。
他の言語でも一般的に、区切り文字に違いなどがありますが概ね
if 条件 : 処理
の語順でif文が書かれます。
==== for ====
多くのプログラム言語で、繰り返しには、for文を使います。
たとえばPythonの場合、
:<code>for i in range(5): print("a")</code>
なら、
表示結果として
<pre>
a
a
a
a
a
</pre>
と画面に文字出力されます。
<code>for 変数 in range(回数): 処理</code>
の書式です。
この様にプログラミング言語が異なると、同じ機能を実現するためでも、異なるプログラミングが必要になります。
=== 「コメント」という用語 ===
たとえば、Pythonでは、「#」という記号を使うことにより、その記号から文末までにメモを入れる事が出来ます。
<pre>
# 「ようこそ」 と出力
print("ようこそ")
</pre>
つまり、上記のコード例の場合、<code>#</code>記号以降から文末までの『# 「ようこそ」と出力』の部分は実行されません。
この「#」記号のような機能のことを、プログラミング用語で「コメント」と言います。
コメントの機能は、他の多くのプログラミング言語にもあります。記号の文字そのものは違いますが、C言語やJavaScriptにもコメント機能があるので、プログラム中にメモを必要に応じて書くことができます。
=== 関数 ===
プログラミングでいう「関数」(function)と、数学用語の二次関数や三角関数などの「関数」(function)とは、意味が違います。(日本語でも英語でも、つづりが同じです。)
プログラミングでいう「関数」とは、コンピュータにさせたい処理手続きをまとめたて名前をつけたものです。
:※ なお慣習的にプログラミング界隈では、どうしても数学の三角関数などのことに言及したい場合、区別のため、数学の関数のほうは「数学関数」または「算術関数」などと呼んで、区別する場合があります。
そして、C言語やJavaScriptやPythonなど、多くの現代で普及しているプログラミング言語には、プログラミングでいう「関数」の機能があります。
:※ Pythonのプログラミングについては『[[Python]]』を参照、その関数の文法については『[[Python/関数]]』の「初歩的な内容」の節を参照してください。
:※ 関数のコードについては、C言語とPythonとで大きく異なるので、本ページでは説明は省きます。
どの言語でも、理解すべき用語は「関数」のほか、「引数」(ひきすう)と、「戻り値」(「返り値」ともいう)という用語が基本的です。
プログラミング言語によっては、この繰り返し処理の関数のことを「サブルーチン」と読んだりします。
=== 関数にする際の注意点 ===
ある関数Aから、別の関数Bを呼び出すこともできます。
ただし、たとえば
関数Aから関数Bを呼び出し、その関数Bから関数Cを呼び出し、関数Cから関数Dを・・・(中略)・・・、関数yから関数Zを呼び出す、
みたいに、あまりにも呼び出しの階層が深すぎると、かえってプログラミングしづらくなることが、経験的に知られています。
:※ 文科省の教員向け研修教材にも書いてあります。
関数の呼び出しの階層が、あまり深くなり過ぎないようにしましょう。
同様に、プログラミング言語の多くには、実行中のファイルから別のファイルを呼び出してそれを実行する機能もあるのですが、やはりファイルAからファイルBを経由して・・・(中略)・・・ファイルZを実行、みたいなのは、とても困ります。
このように、プログラミング言語には、あるモジュールから別のモジュールを呼び出す機能があります。
:※ ここでいう「モジュール化」とは、機能別に(コードなどを)別々のグループにまとめる事などで、部品の取り替えや交換や更新などを容易にする、という意味です。製造業などでいう「部品のモジュール化」などと同じ意味です。python用語の「モジュール」とは意味が異なります。
関数化などモジュール化の際の注意点として、モジュールから別のモジュールを呼び出す際の階層構造があまり深くならないように、全体設計をする必要があります。<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf ] p208</ref>
この理由のひとつは、会社などの仕事でつくるプログラムは一般的に集団作業だから、です。もし階層構造が深くなりすぎると、他のプログラマーがモジュールを探しづらくなったり、あるいは、モジュールの見落としのミスによって、プログラムミスなどの不具合の発生につながったりします。(※ 研修資料には、こういう理由までは書いてないです。)仮に現時点では自分ひとりで作っているプログラムであったとしても、もしかしたら将来には別の人(たとえば後輩など)がそのプログラムを引き継ぐかもしれない、といった将来まで考える必要があるのです。
:※ 複数の似ている処理内容をなんでもかんでも共通化しすぎると、階層構造が深くなりがちです。階層が深くなりすぎるミスは、プロのITプログラマーでも初心者だと、やりがちですので、特に気をつけてください。
同様の理由で、モジュールの数をあまり増やしすぎたりしないようにする工夫も必要ですし、あるいは一つのモジュールから呼び出すモジュールを増やしすぎないようにする工夫も必要です。<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf ] p208</ref>
=== その他の重要概念 ===
==== 乱数 ====
サイコロの目のように、確率的に発生する現象をコンピュータで実行したい場合、「乱数」という機能を使います。これらの機能には、 random (ランダム)などの用語が使われる場合が多いです。
Pythonの場合なら、本wikiでは『[[Python/モジュールのインポート]]』に説明があります。
==== リスト ====
Pythonでは「リスト」、C言語やJavaScriptでは「配列」と言われる機能があります。
Pythonの場合については『[[Python/リスト]]』を参照してください。
=== プログラミング以外のコンピュータ課題解決 ===
コンピュータに計算させたりそれを表示させたい場合、なにも必ずしもC言語やPythonなどのプログラミングの方法を使う必要は無い。
Widows用のオフィスソフトのエクセル(EXCEL)でも、計算などが可能である。(※ エクセルを使う方法は、文部科学省の教員用資料にも紹介されている、教育的にも正当な方法です。)
:※ エクセルを使う場合、教養として高校〜大学初級レベルの数学知識の他、さらにIT知識として「CSVファイル」というデータ形式を知っていると、何かと都合がいい。<ref>[https://www.mext.go.jp/content/20200722-mxt_jogai02-100013300_006.pdf 教員研修用資料] のP170にもCSVの記述あり。その他、ファイル内検索で何箇所もCSVが出て来る</ref>
== 範囲外?: JavaScriptのプログラム ==
(東京書籍や日本文教出版などの一部の教科書で、JavaScript(ジャバ スクリプト)が紹介されている。)
webブラウザ上で、ちょっとしたプログラムを動かしたい時のためのプログラミング言語として、『JavaScript』(ジャバ スクリプト)があります。
なお、名前の似た別のプログラミング言語として、『Java』(ジャバ)がありますが、まったく別の言語です。
さて、本書では、JavaScriptについて、説明します。
まず、次のコードを見てください。JavaScriptは、次のコードのようhtmlに埋めこんで(うめこんで)、使います。
<syntaxhighlight lang="HTML">
<DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>わたしたちの学校</title>
</head>
<body>
<script>
var hensuu = 132;
document.write(hensuu + 100);
</script>
<h1>わたしたちの学校</h1>
<p>わたしたちの学校を紹介します。わたしたちの学校は・・・</p>
</body>
</html>
</syntaxhighlight>
まず、JavaScriptを使うためには、<code><script type="text/javascript"></code>および<code></script></code>が必要です。
このタグ内には、JavaScriptのプログラムだけを書かないと、いけません。
もしタグ内に、htmlタグ(pタグやh1タグなど)を書くと、エラーになります。
また、プログラムの文を入力するときは、文字入力モードは、直接入力モードにしてください。ほかの文字モードで入力しても、エラーになるでしょう。
さて、JavaScriptで、足し算などの計算のために'''変数'''(へんすう)を使用できます。
まず、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。上記のプログラムでは、「hensuu」は、変数です。
このように、変数をつかって計算を行うためには、「これから変数をつかいます」という事をプログラム中で宣言する必要があります。
変数の使用を宣言するには、変数の名前の前に「var」をつけ、スペースを1文字あけます。
言い方を帰ると、varの後ろにある語句が「変数である」と認識されます。
(なお、「var」とは、英語のvariable(バリアブル)が由来であろう。variableの意味は、「変数」。数学用語でも、数学の変数のことを「variable」という。)
「var hensuu;」の意味は、「変数として「hensuu」を用意しなさい」という意味です。
さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。
「hensuu = 132;」の意味は、「変数『hensuu』に、数値132を代入しなさい」という意味です。
JavaScriptにかぎらず一般にプログラミングでは、「<code>=</code>」記号の意味は、「代入をやりなさい」の意味です。数学の等号とは、意味が違いますので、気をつけてください。
一般にプログラミングでは、<code>=</code>の右側にある計算の結果を、<code>=</code>の左側にある変数に代入します。
さて、javascriptによるプログラミングでは、1個の変数の作業が終わったことを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。
上記のプログラムでも、「var hensuu = 132;」となっています。
他の言語では、変数の宣言方法が違っている場合もあるので、まったく暗記の必要は、ありません。
なお、数学でいう「変数」とは少し事情がちがていて、JavaScriptの変数の名前は1文字でなくても、かまいません。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数名は1文字でなくても、かまわない。 )
そして、JavaScriptの変数は、数でもありますので、四則演算(数学でいう「+」、「ー」、「×」、「÷」)などの計算をできます。(一般に、ほかのプログラミング言語でも、変数をつかって、四則演算の計算をできる。)
たとえば、上記のプログラムでは、「hensuu + 100」という計算をしています。
そして、式の終わりであることを示すために、さいごに「;」(セミコロン)をつけます。上記のプログラムでも、「hensuu + 100;」となっています。
「document.write()」とは、「カッコ内の式を出力しろ」というような意味のプログラム命令です。
そして、そのカッコ内に、「hensuu + 100」と書かれているので、その式のとおりに計算して「232」(=132+100)を表示する仕組みです。
プログラムを実行するには、このJavaScriptの書かれたhtmlファイルごと保存してから、そのまま普通のwebブラウザで、そのhtmlファイルを開くだけです。
実際に上記コードの書かれたhtmlファイルを開いてみると、計算結果の「232」(=132+100)も出ています。
[[カテゴリ:プログラミング]] | 2023-10-20T05:21:53Z | 2023-10-31T15:55:25Z | [
"テンプレート:-"
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38,662 | 将棋/初手 | 将棋の初手は30通りある。このうち角道を開ける▲7六歩と、飛車先の歩を突く▲2六歩が一般的である。
▲7六歩は角が敵陣に直射する。
▲2六歩は飛車を活用し、後手の角頭を狙っている。
初手▲7六歩と▲2六歩の違いは、
などである。
角頭を守って手堅いようだが、2手目△3二金と同様、相手に振り飛車にされると玉を囲いづらく作戦の幅が狭くなる。一方で、銀冠などに進展すれば悪くはならないともいわれる。このため、▲7六歩△3四歩▲4八銀や▲7六歩△3四歩▲6八玉同様後手に、特に居飛車党相手に、振り飛車をやってこいという挑発の意味で用いられることがある。
タイトル戦では▲中原-△加藤一戦(1983年、十段戦)など。
藤井猛は、村山慈明にponanzaの初手▲7八金対策を相談された際に「初手▲7八金なんて全然とがめられないよ」と述べたという。
後手が振り飛車にした実戦例は▲千田-△糸谷戦(2016年)、▲金子金五郎-△木村義雄戦(1935年、八段三角戦A組)など。
中飛車を目指す手。
▲7六歩△3四歩▲5六歩では、△8八角成▲同銀△5七角で馬を作られてしまうため、初手▲5六歩と突き、△3四歩に▲5八飛と回る手法が開発された。
林葉直子は1991年の女流名人戦で初手5六歩を指して女流名人位を奪還し、林葉は続いて女流王将戦でも初手5六歩を披露した。15連勝と勢いがあった挑戦者である斎田晴子を退けて女流王将十連覇を達成する。
同年に先崎学がNHK杯準決勝で羽生善治を相手に初手5六歩から先手5筋位取り中飛車にし、羽生を撃破。先崎はその勢いでNHK杯を優勝する。
▲5六歩と同じようでも、△8四歩の後、
5八飛と指すのは、鬼六流中飛車でこの初手が採用されている。
女流棋戦で蛸島彰子元女流名人が1991年の対局で船戸陽子に対し、初手5八飛を指している。以降は5筋位取り中飛車から先手蛸島が仕掛け、快勝する。蛸島-船戸戦では、1997年にも初手5八飛を指し、その後も蛸島は1998年の対谷川治恵戦でも指しており、翌年1999年の同じ谷川戦では初手5六歩と指している。
棋戦では1996年に真部一男が対桐山清澄戦で、1997年に田村康介が指している。
初手▲7八飛戦法。猫だまし戦法とも。
初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩の石田流では、△8八角成、△1四歩、△4二玉などの手に対応する必要があるが、初手▲7八飛では
△3四歩▲7六歩(あるいは△8四歩▲7六歩)で定跡手順に合流するが、△3四歩▲6八飛と四間飛車を目指す指し方。
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩では、△8四歩を保留して右四間飛車などに構えられる場合がある。
▲6六歩△3四歩▲6八飛とすれば、△8四歩を突かれなければ▲7六歩の一手を▲4八玉や▲1六歩などほかの手に回せるため、後手の△8四歩を催促している意味がある。
▲6六歩△3四歩▲6八飛△3二飛と相振り飛車になった場合、▲6五歩と突き出すことができる(角道が通っていると角交換から△4五角がある)。
△3四歩▲7六歩、あるいは△8四歩▲7六歩で定跡手順に合流する。
△3四歩▲6六歩ならば、初手から▲6六歩△3四歩▲6八飛に同じ。
特に英春流カメレオン戦法での初手として知られる。
棋戦でも2018年1月30日 竜王戦、▲増田裕司 vs.△菅井竜也 第31期竜王戦4組ランキング戦、1981年8月 十段戦予選、▲安恵照剛 vs.△米長邦雄戦ほか数局ある。安恵-米長戦は初手9六歩に後手も1四歩と指し、戦型は先手は矢倉、後手は陽動振り飛車となった。安恵は1978年の加藤一二三戦、1992年の羽生善治戦でも初手9六歩を指している。自分も相手も居飛車党の場合において、本来後手番側が誘導する横歩取りも考えられる。初手9六歩としておき、相手が△8四歩であれば可能となる。相掛かりで9六歩が有効手となるのはこの他にひねり飛車がある。ひねり飛車では角の活用のためいずれ必ず9六歩が必要となるためで、それを先に突いておいても手損にはならない。1978年の安恵-加藤戦は青野流ひねり飛車に、1992年の安恵-羽生戦では相横歩取りに誘導された。
先手が振り飛車党で、相手も振り飛車の可能性があり、相振飛車を警戒する、つまり自身は相振り飛車にしたくないなどの意味で、相手が振る場合は自身は居飛車、もしくは相手が振るのを確認してから自分も振り飛車にして相振飛車の戦型に持ち込む作戦の場合などで以前より初手▲7六歩△3四歩▲9六歩は相振り飛車を指す際に活用される手順であるが、1990年代からは様子を見る手としていきなり初手9六歩という場合も活用され始める。石田流の3・4・3や4・3戦法やゴキゲン中飛車など、本来は後手の戦法である戦法を先手がやろうとする場合にいきなりの一手パス手渡しの意味で指す場合も考えられる。
先手が中飛車を志向し、端角中飛車にするのであれば、初手に▲5六歩や5八飛のほかに、初手9六歩なども活用される。以下△8四歩に▲9七角△6二銀▲5六歩~5八飛で一局。なお、後手の2手目△3四歩であれば後手が相振り飛車に誘導することもありえる。
特に深浦康市が羽生善治王位に挑んだ1996年の王位戦第1局で、先手の深浦が初手9六歩を指し、角道不開端角中飛車を用いたのがよく知られている。早くは1991年の新人王戦トーナメント1回戦の林葉直子-佐藤秀司戦で、先手番となった林葉が初手9六歩と指し、深浦-羽生戦と同様に9七角型中飛車にして戦う作戦となった。端角型中飛車の特徴は先手なら▲7六歩と角道は開けないで指し、角を端に移動させることで活用する。プロの棋戦ではあまり見かけないが、アマチュア将棋、特にインターネット将棋などではわりあい用いられている戦法であり、アマチュア棋戦のように短時間の将棋ではわりあい優秀な戦法であるため、相手にする場合はそれなりの経験と慎重さが要求される。
アヒル囲いや金開きといった端角を主とし、角道を開ける▲7六歩を保留する戦法において、初手として利用されることがある。相手が振り飛車にした場合には、角道不開左美濃・飯島流引き角などに誘導することも可能。
1948年1月 富沢幹雄 vs.加藤博二 戦(順位戦)から、2014年10月 宮田敦史 vs.平藤眞吾 戦(第73期順位戦C級1組6回戦)など、アマチュア棋戦も合わせて数十局ある。
初手▲1六歩の意味は、陽動振り飛車などで逆に後手に回って相手の出方をみる、振り飛車党で相手が居飛車の場合に自分は居飛車を指す棋士(対抗形志向)が、相居飛車になるもしくは相振り飛車の戦型を避けるため、先手ゴキゲン中飛車を指す場合に相手の出方を見るため、藤井システムやトマホークなど、後手居飛車穴熊へのけん制などが知られる。
▲1六歩に△1四歩と突き返すならば、基本的に後手が居飛車穴熊に組むことはしないとされる。先手が振り飛車で美濃囲いになる場合端歩をあらかじめついていても手損にならない、初手からけん制されてことになるので、相手が居飛車穴熊にも組みづらい。後手が振り飛車に構えて先手が居飛車になっても、振り飛車側の△1五角を未然に防ぐ一手となる。
相居飛車戦や対矢倉戦となる場合、▲2六銀~▲1五歩の端攻め棒銀攻めが早くなる。
次に▲3五歩と突かれると後手は角道を開けられなくなるため、△3四歩と突くが、▲3八飛と寄って▲3五歩△同歩▲同飛の歩交換を狙う。
渡辺明は、先手の得を生かす作戦かといわれると疑問は残るが「かなり有力な手」としている。
実戦例は▲林葉-△長沢戦(1985年)、▲先崎-△谷川戦(1989年)、▲渡辺明-△丸山戦(2006年)など多数。
林葉直子は1991年の女流名人戦でも初手3六歩と、初手5六歩を指して女流名人位を奪還している。
横山澄恵(石高澄恵)も1995年に初手3六歩を蛸島彰子との対局で指している。後手蛸島の指した2手目は△5四歩であった。その後戦型は先手の3筋位取り袖飛車に後手5筋位取り中飛車から穴熊にする。
▲小泉-△中村亮戦(2010年)の実戦例がある。
英春流かまいたち先手番の最初手として有名であるが、これまでも1811年11月の 須永又三郎 vs.荻田重次郎戦から、現在の棋士の棋戦(2017年11月 山崎隆之 vs.青嶋未来 戦 第67回NHK杯3回戦第6局など)まで、数局指されている。
ponanzaが2015年11月の第3回将棋電王トーナメントで指したのが知られるが、千田翔太が先手を持って2016年12月に2局指している(第25期銀河戦本戦、対 伊奈祐介 戦 および 第65期王座戦一次予選、対 村田智弘 戦)。
△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるが、鳥刺し(引き角+斜め棒銀)を狙う嬉野流の出だし。嬉野宏明が考案し、天野貴元が晩年研究した。
△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるため、▲8六歩と並んで初手の最悪手に挙げられることもある。
しかし、△3四歩に▲6八飛と回って、△8四歩▲6六歩△8五歩▲7六歩とし、△8六歩▲同歩△同飛に▲7七角△8二飛▲8六歩とすれば、以下▲6七銀〜▲8八飛で8筋逆襲を狙って一局の将棋となる。
公式戦での実戦例は▲小泉-△永瀬戦(2012年)のみ。
▲日浦-△櫛田戦(1992年)、▲石橋-△斎田戦(2011年)の実戦例がある。
▲小泉-△阿部健戦(2010年)の実戦例がある。他には、▲千田翔太 vs.△谷川浩司 戦(2017年1月 棋聖戦予選)など。千田-谷川戦は結局先手が天守閣美濃で後手が四間飛車の戦型と成った。
2017年に行われた第2期将棋電王戦、ポナンザvs佐藤天彦叡王 戦で、このとき先手のポナンザは初手に▲3八金と指している。以下はA図のように進展した。一方でB図先手は鈴木英春が開発したカメレオン戦法から派生した局面。このとき先手鈴木は初手4八銀を使用している。基本的にこうした将棋の進行は、定跡をはずし、乱戦や手将棋に誘導しようという発想からである。
2014月9年 アマ棋戦の▲金澤正一郎 vs.△諸岡知樹(将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会)が知られるが、後手が棒銀速攻を仕掛けて勝利し、42手目で終局している。
『将棋世界』1983年6月号で、当時石田和雄が担当していた「将棋相談室」に、「問:お父さんに勝つには」と題した質問があった。父親が先手番の際に初手に▲3八飛と指し、後手の質問者は矢倉に組むと▲2五桂から3三歩、三間飛車には▲2六銀から3五歩で、いつもやられているという。
この回答として、石田の検討によると、「タテ歩取り模様で指す」。
初手▲3八飛のねらいは、△3四歩を待って▲3六歩から3五歩を狙っているという。しかしながら、実際には▲3五歩△同歩▲同飛ときても、△3二飛とぶつければ、いやな筋は吹き飛んでいる。この順は形勢は互角。
初手▲3八飛をとがめる順は、後手は△8四歩と指す。
以下先手が▲7六歩であると△8五歩には▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲3六歩△3三銀▲7八金△3二金では、飛車寄りの一手がおかしくなっている。途中▲7八金で▲3五歩では△同歩▲同飛には△2四角がある。
一方▲3六歩なら、△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲3五歩の変化が予想され、以下は例として△7四飛とし、▲9六歩△1四歩▲6九玉△3二金▲4八銀△1三角▲6八銀に△3四歩▲同歩△3五歩と指す要領になる。この際の後手の囲いは△7二銀~6二玉~7一玉である。
こうした、角筋を止める着想はプロでは幾分無理であるが、定跡をはずすのには一理ある指し方でもあるという。
なお、上述の初手▲3六歩でも同様の狙いであり、▲先崎対△谷川戦(1989年、NHK杯)でも同様な先手居飛車・後手タテ歩取り模様の戦型となっている。
初手の最悪手とされる。
弱点である角頭の歩を相手の飛車先に差し出す手で、△8四歩▲7八金△8五歩▲同歩△同飛▲8七歩と一方的に飛車先を切られることとなる。
公式戦での実戦例は▲増田-△小阪戦(2000年)のみ。
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"text": "▲6六歩△3四歩▲6八飛△3二飛と相振り飛車になった場合、▲6五歩と突き出すことができる(角道が通っていると角交換から△4五角がある)。",
"title": "▲6六歩"
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"title": "▲6六歩"
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"text": "△3四歩▲7六歩、あるいは△8四歩▲7六歩で定跡手順に合流する。",
"title": "▲6八飛"
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"text": "△3四歩▲6六歩ならば、初手から▲6六歩△3四歩▲6八飛に同じ。",
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"title": "▲6八飛"
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"text": "特に英春流カメレオン戦法での初手として知られる。",
"title": "▲9六歩"
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"text": "棋戦でも2018年1月30日 竜王戦、▲増田裕司 vs.△菅井竜也 第31期竜王戦4組ランキング戦、1981年8月 十段戦予選、▲安恵照剛 vs.△米長邦雄戦ほか数局ある。安恵-米長戦は初手9六歩に後手も1四歩と指し、戦型は先手は矢倉、後手は陽動振り飛車となった。安恵は1978年の加藤一二三戦、1992年の羽生善治戦でも初手9六歩を指している。自分も相手も居飛車党の場合において、本来後手番側が誘導する横歩取りも考えられる。初手9六歩としておき、相手が△8四歩であれば可能となる。相掛かりで9六歩が有効手となるのはこの他にひねり飛車がある。ひねり飛車では角の活用のためいずれ必ず9六歩が必要となるためで、それを先に突いておいても手損にはならない。1978年の安恵-加藤戦は青野流ひねり飛車に、1992年の安恵-羽生戦では相横歩取りに誘導された。",
"title": "▲9六歩"
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"text": "先手が振り飛車党で、相手も振り飛車の可能性があり、相振飛車を警戒する、つまり自身は相振り飛車にしたくないなどの意味で、相手が振る場合は自身は居飛車、もしくは相手が振るのを確認してから自分も振り飛車にして相振飛車の戦型に持ち込む作戦の場合などで以前より初手▲7六歩△3四歩▲9六歩は相振り飛車を指す際に活用される手順であるが、1990年代からは様子を見る手としていきなり初手9六歩という場合も活用され始める。石田流の3・4・3や4・3戦法やゴキゲン中飛車など、本来は後手の戦法である戦法を先手がやろうとする場合にいきなりの一手パス手渡しの意味で指す場合も考えられる。",
"title": "▲9六歩"
},
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"text": "先手が中飛車を志向し、端角中飛車にするのであれば、初手に▲5六歩や5八飛のほかに、初手9六歩なども活用される。以下△8四歩に▲9七角△6二銀▲5六歩~5八飛で一局。なお、後手の2手目△3四歩であれば後手が相振り飛車に誘導することもありえる。",
"title": "▲9六歩"
},
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"text": "特に深浦康市が羽生善治王位に挑んだ1996年の王位戦第1局で、先手の深浦が初手9六歩を指し、角道不開端角中飛車を用いたのがよく知られている。早くは1991年の新人王戦トーナメント1回戦の林葉直子-佐藤秀司戦で、先手番となった林葉が初手9六歩と指し、深浦-羽生戦と同様に9七角型中飛車にして戦う作戦となった。端角型中飛車の特徴は先手なら▲7六歩と角道は開けないで指し、角を端に移動させることで活用する。プロの棋戦ではあまり見かけないが、アマチュア将棋、特にインターネット将棋などではわりあい用いられている戦法であり、アマチュア棋戦のように短時間の将棋ではわりあい優秀な戦法であるため、相手にする場合はそれなりの経験と慎重さが要求される。",
"title": "▲9六歩"
},
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"text": "アヒル囲いや金開きといった端角を主とし、角道を開ける▲7六歩を保留する戦法において、初手として利用されることがある。相手が振り飛車にした場合には、角道不開左美濃・飯島流引き角などに誘導することも可能。",
"title": "▲9六歩"
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"title": "▲9六歩"
},
{
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"text": "1948年1月 富沢幹雄 vs.加藤博二 戦(順位戦)から、2014年10月 宮田敦史 vs.平藤眞吾 戦(第73期順位戦C級1組6回戦)など、アマチュア棋戦も合わせて数十局ある。",
"title": "▲1六歩"
},
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"text": "初手▲1六歩の意味は、陽動振り飛車などで逆に後手に回って相手の出方をみる、振り飛車党で相手が居飛車の場合に自分は居飛車を指す棋士(対抗形志向)が、相居飛車になるもしくは相振り飛車の戦型を避けるため、先手ゴキゲン中飛車を指す場合に相手の出方を見るため、藤井システムやトマホークなど、後手居飛車穴熊へのけん制などが知られる。",
"title": "▲1六歩"
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"text": "▲1六歩に△1四歩と突き返すならば、基本的に後手が居飛車穴熊に組むことはしないとされる。先手が振り飛車で美濃囲いになる場合端歩をあらかじめついていても手損にならない、初手からけん制されてことになるので、相手が居飛車穴熊にも組みづらい。後手が振り飛車に構えて先手が居飛車になっても、振り飛車側の△1五角を未然に防ぐ一手となる。",
"title": "▲1六歩"
},
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"text": "相居飛車戦や対矢倉戦となる場合、▲2六銀~▲1五歩の端攻め棒銀攻めが早くなる。",
"title": "▲1六歩"
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"title": "▲1六歩"
},
{
"paragraph_id": 44,
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"text": "次に▲3五歩と突かれると後手は角道を開けられなくなるため、△3四歩と突くが、▲3八飛と寄って▲3五歩△同歩▲同飛の歩交換を狙う。",
"title": "▲3六歩"
},
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"text": "渡辺明は、先手の得を生かす作戦かといわれると疑問は残るが「かなり有力な手」としている。",
"title": "▲3六歩"
},
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"text": "実戦例は▲林葉-△長沢戦(1985年)、▲先崎-△谷川戦(1989年)、▲渡辺明-△丸山戦(2006年)など多数。",
"title": "▲3六歩"
},
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"text": "林葉直子は1991年の女流名人戦でも初手3六歩と、初手5六歩を指して女流名人位を奪還している。",
"title": "▲3六歩"
},
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"text": "横山澄恵(石高澄恵)も1995年に初手3六歩を蛸島彰子との対局で指している。後手蛸島の指した2手目は△5四歩であった。その後戦型は先手の3筋位取り袖飛車に後手5筋位取り中飛車から穴熊にする。",
"title": "▲3六歩"
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"title": "▲3六歩"
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"text": "▲小泉-△中村亮戦(2010年)の実戦例がある。",
"title": "▲4六歩"
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"title": "▲4六歩"
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"tag": "p",
"text": "英春流かまいたち先手番の最初手として有名であるが、これまでも1811年11月の 須永又三郎 vs.荻田重次郎戦から、現在の棋士の棋戦(2017年11月 山崎隆之 vs.青嶋未来 戦 第67回NHK杯3回戦第6局など)まで、数局指されている。",
"title": "▲4八銀"
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"title": "▲4八銀"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ponanzaが2015年11月の第3回将棋電王トーナメントで指したのが知られるが、千田翔太が先手を持って2016年12月に2局指している(第25期銀河戦本戦、対 伊奈祐介 戦 および 第65期王座戦一次予選、対 村田智弘 戦)。",
"title": "▲3八銀"
},
{
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"text": "△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるが、鳥刺し(引き角+斜め棒銀)を狙う嬉野流の出だし。嬉野宏明が考案し、天野貴元が晩年研究した。",
"title": "▲6八銀"
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"title": "▲6八銀"
},
{
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"text": "△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるため、▲8六歩と並んで初手の最悪手に挙げられることもある。",
"title": "▲7八銀"
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"text": "しかし、△3四歩に▲6八飛と回って、△8四歩▲6六歩△8五歩▲7六歩とし、△8六歩▲同歩△同飛に▲7七角△8二飛▲8六歩とすれば、以下▲6七銀〜▲8八飛で8筋逆襲を狙って一局の将棋となる。",
"title": "▲7八銀"
},
{
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"text": "公式戦での実戦例は▲小泉-△永瀬戦(2012年)のみ。",
"title": "▲7八銀"
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"text": "",
"title": "▲7八銀"
},
{
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"text": "▲日浦-△櫛田戦(1992年)、▲石橋-△斎田戦(2011年)の実戦例がある。",
"title": "▲6八玉"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "▲小泉-△阿部健戦(2010年)の実戦例がある。他には、▲千田翔太 vs.△谷川浩司 戦(2017年1月 棋聖戦予選)など。千田-谷川戦は結局先手が天守閣美濃で後手が四間飛車の戦型と成った。",
"title": "▲5八玉"
},
{
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"text": "2017年に行われた第2期将棋電王戦、ポナンザvs佐藤天彦叡王 戦で、このとき先手のポナンザは初手に▲3八金と指している。以下はA図のように進展した。一方でB図先手は鈴木英春が開発したカメレオン戦法から派生した局面。このとき先手鈴木は初手4八銀を使用している。基本的にこうした将棋の進行は、定跡をはずし、乱戦や手将棋に誘導しようという発想からである。",
"title": "▲3八金"
},
{
"paragraph_id": 64,
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"text": "2014月9年 アマ棋戦の▲金澤正一郎 vs.△諸岡知樹(将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会)が知られるが、後手が棒銀速攻を仕掛けて勝利し、42手目で終局している。",
"title": "▲4八飛"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "『将棋世界』1983年6月号で、当時石田和雄が担当していた「将棋相談室」に、「問:お父さんに勝つには」と題した質問があった。父親が先手番の際に初手に▲3八飛と指し、後手の質問者は矢倉に組むと▲2五桂から3三歩、三間飛車には▲2六銀から3五歩で、いつもやられているという。",
"title": "▲3八飛"
},
{
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"text": "この回答として、石田の検討によると、「タテ歩取り模様で指す」。",
"title": "▲3八飛"
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{
"paragraph_id": 67,
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"text": "初手▲3八飛のねらいは、△3四歩を待って▲3六歩から3五歩を狙っているという。しかしながら、実際には▲3五歩△同歩▲同飛ときても、△3二飛とぶつければ、いやな筋は吹き飛んでいる。この順は形勢は互角。",
"title": "▲3八飛"
},
{
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"text": "初手▲3八飛をとがめる順は、後手は△8四歩と指す。",
"title": "▲3八飛"
},
{
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"text": "以下先手が▲7六歩であると△8五歩には▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲3六歩△3三銀▲7八金△3二金では、飛車寄りの一手がおかしくなっている。途中▲7八金で▲3五歩では△同歩▲同飛には△2四角がある。",
"title": "▲3八飛"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "一方▲3六歩なら、△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲3五歩の変化が予想され、以下は例として△7四飛とし、▲9六歩△1四歩▲6九玉△3二金▲4八銀△1三角▲6八銀に△3四歩▲同歩△3五歩と指す要領になる。この際の後手の囲いは△7二銀~6二玉~7一玉である。",
"title": "▲3八飛"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "こうした、角筋を止める着想はプロでは幾分無理であるが、定跡をはずすのには一理ある指し方でもあるという。",
"title": "▲3八飛"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "なお、上述の初手▲3六歩でも同様の狙いであり、▲先崎対△谷川戦(1989年、NHK杯)でも同様な先手居飛車・後手タテ歩取り模様の戦型となっている。",
"title": "▲3八飛"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "▲3八飛"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "初手の最悪手とされる。",
"title": "▲8六歩"
},
{
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"tag": "p",
"text": "弱点である角頭の歩を相手の飛車先に差し出す手で、△8四歩▲7八金△8五歩▲同歩△同飛▲8七歩と一方的に飛車先を切られることとなる。",
"title": "▲8六歩"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "公式戦での実戦例は▲増田-△小阪戦(2000年)のみ。",
"title": "▲8六歩"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "▲8六歩"
}
] | 将棋の初手は30通りある。このうち角道を開ける▲7六歩と、飛車先の歩を突く▲2六歩が一般的である。 | {{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|先手 なし
|将棋の初期局面([[w:将棋の手合割#平手戦|平手]])}}
将棋の初手は30通りある。このうち角道を開ける[[将棋/▲7六歩|▲7六歩]]と、飛車先の歩を突く[[将棋/▲2六歩|▲2六歩]]が一般的である。
{{-}}
== ▲7六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲7六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|先手 なし
|1手目▲7六歩まで}}
▲7六歩は角が敵陣に直射する{{sfn|羽生|2009|p=84}}。
# [[将棋/▲7六歩/△3四歩|△3四歩]]と後手も角道を開ける手と、
# [[将棋/▲7六歩/△8四歩|△8四歩]]と飛車先の歩を突く手が考えられる。
{{-}}
== ▲2六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲2六歩]]」を参照''
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|後手 なし
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|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲2六歩まで}}
▲2六歩は飛車を活用し、後手の角頭を狙っている{{sfn|羽生|2009|p=86}}。
# [[将棋/▲2六歩/△8四歩|△8四歩]]と後手も飛車先の歩を突く手と、
# [[将棋/▲2六歩/△3四歩|△3四歩]]と角道を開ける手が考えられる。
初手▲7六歩と▲2六歩の違いは、
* ▲7六歩は[[w:振り飛車|振り飛車]]の含みがあるのに対し、▲2六歩は[[w:居飛車|居飛車]]が確定している
* ▲7六歩は[[将棋/矢倉|矢倉]]を目指せる一方で、▲2六歩は[[将棋/相掛かり|相掛かり]]を目指せる
* ▲2六歩は[[将棋/2手目△3二飛|2手目△3二飛]]を消している<ref>▲2六歩に[[将棋/▲2六歩#△3二飛|△3二飛?]]は、▲2五歩△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛となって▲2三飛成が受からない。</ref>
* ▲2六歩は[[w:引き角|引き角]]の含みがある<ref>▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△4四歩▲5六歩△3二銀▲7八銀△4三銀▲7九角△2二飛▲5七角が一例。ただし6手目で△8四歩と突かれると先手が損とされる(森内ら 2014、pp. 45-50)。▲佐藤康-△菅井戦(2015年)などの実戦例がある。</ref>
などである。
{{-}}
== ▲7八金 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲7八金]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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| |bs|gsl| | | | |rs|
|ls|ns|ss|dulh|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲7八金まで}}
角頭を守って手堅いようだが、[[将棋/▲7六歩#△3二金|2手目△3二金]]と同様、相手に振り飛車にされると玉を囲いづらく作戦の幅が狭くなる。一方で、[[w:左美濃|銀冠]]などに進展すれば悪くはならないともいわれる。このため、[[将棋/▲7六歩/△3四歩#▲4八銀|▲7六歩△3四歩▲4八銀]]や[[将棋/▲7六歩/△3四歩#▲6八玉|▲7六歩△3四歩▲6八玉]]同様後手に、特に居飛車党相手に、振り飛車をやってこいという挑発の意味で用いられることがある。
タイトル戦では▲中原-△加藤一戦(1983年、十段戦)など。
[[w:藤井猛|藤井猛]]は、[[w:村山慈明|村山慈明]]に[[w:ponanza|ponanza]]の初手▲7八金対策を相談された際に「初手▲7八金なんて全然とがめられないよ」と述べたという{{sfn|村山|2015|p=150}}。
後手が振り飛車にした実戦例は▲千田-△糸谷戦(2016年)、▲金子金五郎-△木村義雄戦(1935年、八段三角戦A組)など。
{{-}}
== ▲5六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲5六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|先手 なし
|1手目▲5六歩まで}}
[[w:中飛車|中飛車]]を目指す手。
[[将棋/▲7六歩/△3四歩#▲5六歩|▲7六歩△3四歩▲5六歩]]では、△8八角成▲同銀△5七角で馬を作られてしまうため、初手▲5六歩と突き、△3四歩に▲5八飛と回る手法が開発された。
[[w:林葉直子|林葉直子]]は1991年の[[w:女流名人戦|女流名人戦]]で初手5六歩を指して女流名人位を奪還し、林葉は続いて[[w:女流王将戦|女流王将戦]]でも初手5六歩を披露した。15連勝と勢いがあった挑戦者である[[w:斎田晴子|斎田晴子]]を退けて女流王将十連覇を達成する。
同年に[[w:先崎学|先崎学]]がNHK杯準決勝で羽生善治を相手に初手5六歩から先手[[w:5筋位取り中飛車|5筋位取り中飛車]]にし、羽生を撃破。先崎はその勢いでNHK杯を優勝する。
{{-}}
== ▲5八飛 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲5八飛]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
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|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
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|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲5八飛まで}}
▲5六歩と同じようでも、△8四歩の後、
# ▲7六歩△8五歩▲7七角△3四歩と進むと、角交換から△4五角の筋があるため、▲6六歩と角道を止めざるを得ない。
# ▲4八玉△8五歩▲7八金と角道を開けずに駒組みを進める[[w:原始中飛車|原始中飛車]]は、初級者向きの戦法とされる。
5八飛と指すのは、鬼六流中飛車でこの初手が採用されている。
女流棋戦で[[w:蛸島彰子|蛸島彰子]]元女流名人が1991年の対局で[[w:船戸陽子|船戸陽子]]に対し、初手5八飛を指している。以降は5筋位取り中飛車から先手蛸島が仕掛け、快勝する。蛸島-船戸戦では、1997年にも初手5八飛を指し、その後も蛸島は1998年の対谷川治恵戦でも指しており、翌年1999年の同じ谷川戦では初手5六歩と指している。
棋戦では1996年に[[w:真部一男|真部一男]]が対[[w:桐山清澄|桐山清澄]]戦で、1997年に[[w:田村康介|田村康介]]が指している。
{{-}}
== ▲7八飛 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲7八飛]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
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|1手目▲7八飛まで}}
初手▲7八飛戦法。猫だまし戦法とも。
初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩の[[石田流]]では、△8八角成、△1四歩、△4二玉などの手に対応する必要があるが、初手▲7八飛では
# △3四歩▲4八玉△8四歩▲3八玉△8五歩▲7六歩△6二銀<ref>△8六歩▲同歩△同飛は▲2二角成△同銀▲7七角。</ref>▲7五歩の[[w:升田式石田流|升田式石田流]]に限定できる。
# △8四歩▲7六歩と進むと、初手から▲7六歩△8四歩▲7八飛に合流する。
{{-}}
== ▲6六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲6六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲6六歩まで}}
[[将棋/▲7六歩/△3四歩/▲6六歩|△3四歩▲7六歩]](あるいは[[将棋/▲7六歩/△8四歩/▲6六歩|△8四歩▲7六歩]])で定跡手順に合流するが、△3四歩▲6八飛と四間飛車を目指す指し方。
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩では、△8四歩を保留して[[w:右四間飛車|右四間飛車]]などに構えられる場合がある。
▲6六歩△3四歩▲6八飛とすれば、△8四歩を突かれなければ▲7六歩の一手を▲4八玉や▲1六歩などほかの手に回せるため、後手の△8四歩を催促している意味がある{{sfn|鈴木|2010|p=21|ps=([[w:藤井猛|藤井猛]]の見解)}}。
▲6六歩△3四歩▲6八飛△3二飛と[[w:相振り飛車|相振り飛車]]になった場合、▲6五歩と突き出すことができる(角道が通っていると角交換から△4五角がある)。
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== ▲6八飛 ==
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs| |rsl|lat|lra|lra|las|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲6八飛まで}}
[[将棋/▲7六歩/△3四歩#▲6八飛|△3四歩▲7六歩]]、あるいは[[将棋/▲7六歩/△8四歩#▲6八飛|△8四歩▲7六歩]]で定跡手順に合流する。
△3四歩▲6六歩ならば、初手から▲6六歩△3四歩▲6八飛に同じ。
{{-}}
== ▲9六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲9六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
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| |bs| | | | | |rs|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲9六歩まで}}
特に[[w:英春流|英春流]]カメレオン戦法での初手として知られる。
棋戦でも2018年1月30日 竜王戦、▲増田裕司 vs.△菅井竜也 第31期竜王戦4組ランキング戦、1981年8月 十段戦予選、▲安恵照剛 vs.△米長邦雄戦ほか数局ある。安恵-米長戦は初手9六歩に後手も1四歩と指し、戦型は先手は矢倉、後手は陽動振り飛車となった。安恵は1978年の加藤一二三戦、1992年の羽生善治戦でも初手9六歩を指している。自分も相手も居飛車党の場合において、本来後手番側が誘導する横歩取りも考えられる。初手9六歩としておき、相手が△8四歩であれば可能となる。相掛かりで9六歩が有効手となるのはこの他にひねり飛車がある。ひねり飛車では角の活用のためいずれ必ず9六歩が必要となるためで、それを先に突いておいても手損にはならない。1978年の安恵-加藤戦は青野流ひねり飛車に、1992年の安恵-羽生戦では相横歩取りに誘導された。
先手が振り飛車党で、相手も振り飛車の可能性があり、相振飛車を警戒する、つまり自身は相振り飛車にしたくないなどの意味で、相手が振る場合は自身は居飛車、もしくは相手が振るのを確認してから自分も振り飛車にして相振飛車の戦型に持ち込む作戦の場合などで以前より初手▲7六歩△3四歩▲9六歩は相振り飛車を指す際に活用される手順であるが、1990年代からは様子を見る手としていきなり初手9六歩という場合も活用され始める。石田流の3・4・3や4・3戦法やゴキゲン中飛車など、本来は後手の戦法である戦法を先手がやろうとする場合にいきなりの一手パス手渡しの意味で指す場合も考えられる。
先手が中飛車を志向し、端角中飛車にするのであれば、初手に▲5六歩や5八飛のほかに、初手9六歩なども活用される。以下△8四歩に▲9七角△6二銀▲5六歩~5八飛で一局。なお、後手の2手目△3四歩であれば後手が相振り飛車に誘導することもありえる。
特に深浦康市が羽生善治王位に挑んだ1996年の王位戦第1局で、先手の深浦が初手9六歩を指し、角道不開端角中飛車を用いたのがよく知られている。早くは1991年の新人王戦トーナメント1回戦の林葉直子-佐藤秀司戦で、先手番となった林葉が初手9六歩と指し、深浦-羽生戦と同様に9七角型中飛車にして戦う作戦となった。端角型中飛車の特徴は先手なら▲7六歩と角道は開けないで指し、角を端に移動させることで活用する。プロの棋戦ではあまり見かけないが、アマチュア将棋、特にインターネット将棋などではわりあい用いられている戦法であり、アマチュア棋戦のように短時間の将棋ではわりあい優秀な戦法であるため、相手にする場合はそれなりの経験と慎重さが要求される。
[[w:アヒル囲い|アヒル囲い]]や[[w:金開き|金開き]]といった端角を主とし、角道を開ける▲7六歩を保留する戦法において、初手として利用されることがある。相手が振り飛車にした場合には、角道不開左美濃・飯島流引き角などに誘導することも可能。
{{-}}
== ▲1六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲1六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
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|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|uah
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|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲1六歩まで}}
1948年1月 富沢幹雄 vs.加藤博二 戦(順位戦)から、2014年10月 宮田敦史 vs.平藤眞吾 戦(第73期順位戦C級1組6回戦)など、アマチュア棋戦も合わせて数十局ある。
初手▲1六歩の意味は、陽動振り飛車などで逆に後手に回って相手の出方をみる、振り飛車党で相手が居飛車の場合に自分は居飛車を指す棋士(対抗形志向)が、相居飛車になるもしくは相振り飛車の戦型を避けるため、先手ゴキゲン中飛車を指す場合に相手の出方を見るため、藤井システムやトマホークなど、後手居飛車穴熊へのけん制などが知られる。
▲1六歩に△1四歩と突き返すならば、基本的に後手が居飛車穴熊に組むことはしないとされる。先手が振り飛車で美濃囲いになる場合端歩をあらかじめついていても手損にならない、初手からけん制されてことになるので、相手が居飛車穴熊にも組みづらい。後手が振り飛車に構えて先手が居飛車になっても、振り飛車側の△1五角を未然に防ぐ一手となる。
相居飛車戦や対矢倉戦となる場合、▲2六銀~▲1五歩の端攻め棒銀攻めが早くなる。
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== ▲3六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲3六歩]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
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|ps|ps|ps|ps|ps|ps|uah|ps|ps
| |bs| | | | | |rs|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲3六歩まで}}
次に▲3五歩と突かれると後手は角道を開けられなくなるため、△3四歩と突くが、▲3八飛と寄って▲3五歩△同歩▲同飛の歩交換を狙う。
[[w:渡辺明 (棋士)|渡辺明]]は、先手の得を生かす作戦かといわれると疑問は残るが「かなり有力な手」としている{{sfn|鈴木|2010|pp=27-28}}。
実戦例は▲林葉-△長沢戦(1985年)、▲先崎-△谷川戦(1989年)、▲渡辺明-△丸山戦(2006年)など多数。
林葉直子は1991年の女流名人戦でも初手3六歩と、初手5六歩を指して女流名人位を奪還している。
横山澄恵([[w:石高澄恵|石高澄恵]])も1995年に初手3六歩を蛸島彰子との対局で指している。後手蛸島の指した2手目は△5四歩であった。その後戦型は先手の3筋位取り袖飛車に後手5筋位取り中飛車から穴熊にする。
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== ▲4六歩 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲4六歩]]」を参照''
▲小泉-△中村亮戦(2010年)の実戦例がある。
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== ▲4八銀 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲4八銀]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
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|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs| | | |ssl| |rs|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|dulh|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲4八銀まで}}
[[w:英春流|英春流]]かまいたち先手番の最初手として有名であるが、これまでも1811年11月の 須永又三郎 vs.荻田重次郎戦から、現在の棋士の棋戦(2017年11月 山崎隆之 vs.青嶋未来 戦 第67回NHK杯3回戦第6局など)まで、数局指されている。
{{-}}
== ▲3八銀 ==
[[w:ponanza|ponanza]]が2015年11月の第3回[[w:将棋電王トーナメント|将棋電王トーナメント]]で指したのが知られるが、千田翔太が先手を持って2016年12月に2局指している(第25期銀河戦本戦、対 伊奈祐介 戦 および 第65期王座戦一次予選、対 村田智弘 戦)。
== ▲6八銀 ==
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
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| | | | | | | | |
|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs| |ssl| | | |rs|
|ls|ns|durh|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲6八銀まで}}
△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるが、[[w:鳥刺し|鳥刺し]](引き角+斜め棒銀)を狙う[[w:嬉野流|嬉野流]]の出だし。嬉野宏明が考案し、[[w:天野貴元|天野貴元]]が晩年研究した{{sfn|天野|2015|p=iii}}。
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== ▲7八銀 ==
: ''詳細は「[[将棋/▲7八銀]]」を参照''
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
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| | | | | | | | |
| | | | | | | | |
|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs|ssl| | | | |rs|
|ls|ns|uah|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲7八銀まで}}
△3四歩と突かれると角道が開けられなくなるため、[[#▲8六歩|▲8六歩]]と並んで初手の最悪手に挙げられることもある{{sfn|谷川|1988|p=19}}。
しかし、△3四歩に▲6八飛と回って、△8四歩▲6六歩△8五歩▲7六歩とし、△8六歩▲同歩△同飛に▲7七角△8二飛▲8六歩とすれば、以下▲6七銀〜▲8八飛で8筋逆襲を狙って一局の将棋となる{{sfn|谷川|1988|p=19}}{{sfn|青島|1996|p=ページ数不明|ps=([[w:佐藤康光|佐藤康光]]の見解)}}。
[[w:棋戦 (将棋)|公式戦]]での実戦例は▲小泉-△永瀬戦(2012年)のみ。
{{-}}
== ▲6八玉 ==
▲日浦-△櫛田戦(1992年)、▲石橋-△斎田戦(2011年)の実戦例がある。
== ▲5八玉 ==
▲小泉-△阿部健戦(2010年)の実戦例がある。他には、▲千田翔太 vs.△谷川浩司 戦(2017年1月 棋聖戦予選)など。千田-谷川戦は結局先手が天守閣美濃で後手が四間飛車の戦型と成った。
== ▲4八玉 ==
== ▲5八金右 ==
== ▲4八金 ==
== ▲3八金 ==
2017年に行われた第2期将棋電王戦、ポナンザvs佐藤天彦叡王 戦で、このとき先手のポナンザは初手に▲3八金と指している。以下はA図のように進展した。一方でB図先手は鈴木英春が開発したカメレオン戦法から派生した局面。このとき先手鈴木は初手4八銀を使用している。基本的にこうした将棋の進行は、定跡をはずし、乱戦や手将棋に誘導しようという発想からである。
{|
|-
|
{{shogi diagram|tright|
|後手 歩
|lg|ng| |gg| | | |ng|lg
| | | | |kg| |gg|sg|
| | |sg|pg|pg|pg| |pg|
| |rg| | | | |pg| |pg
|ps| |ps|ps| | | | |
| | | | | |ss| | |
|ls|ps| |ss|ps|ps|ns| |ps
|bg| |gs| |ks| |gs| |
| |ns| | | | | |rs|ls
|先手 角歩4
|A図 先手ポナンザ}}
|
{{shogi diagram|tright|
|後手 角歩
|lg|ng| | |gg| | |ng|lg
| |rg|kg|sg| | |gg|pg|
| | |pg|pg|pg|pg|sg| |pg
|pg| | | | | |pg| |
| | | | | | | | |
|ps| |ps|ss| |ss| | |
| |ps|ns|ps|ps|ps|ns| |ps
| | |gs| |ks| |gs| |
|ls| | | | | | |rs|ls
|先手 角歩2
|B図 先手カメレオン}}
|}
== ▲4八飛 ==
2014月9年 アマ棋戦の▲金澤正一郎 vs.△諸岡知樹(将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会)が知られるが、後手が棒銀速攻を仕掛けて勝利し、42手目で終局している。
== ▲3八飛 ==
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
| | | | | | | | |
| | | | | | | | |
|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs| | | | |rsl|lat|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲3八飛まで}}
『[[w:将棋世界|将棋世界]]』1983年6月号で、当時[[w:石田和雄|石田和雄]]が担当していた「将棋相談室」に、「問:お父さんに勝つには」と題した質問があった。父親が先手番の際に初手に▲3八飛と指し、後手の質問者は矢倉に組むと▲2五桂から3三歩、三間飛車には▲2六銀から3五歩で、いつもやられているという。
この回答として、石田の検討によると、「タテ歩取り模様で指す」。
初手▲3八飛のねらいは、△3四歩を待って▲3六歩から3五歩を狙っているという。しかしながら、実際には▲3五歩△同歩▲同飛ときても、△3二飛とぶつければ、いやな筋は吹き飛んでいる。この順は形勢は互角。
初手▲3八飛をとがめる順は、後手は△8四歩と指す。
以下先手が▲7六歩であると△8五歩には▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲3六歩△3三銀▲7八金△3二金では、飛車寄りの一手がおかしくなっている。途中▲7八金で▲3五歩では△同歩▲同飛には△2四角がある。
一方▲3六歩なら、△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲3五歩の変化が予想され、以下は例として△7四飛とし、▲9六歩△1四歩▲6九玉△3二金▲4八銀△1三角▲6八銀に△3四歩▲同歩△3五歩と指す要領になる。この際の後手の囲いは△7二銀~6二玉~7一玉である。
こうした、角筋を止める着想はプロでは幾分無理であるが、定跡をはずすのには一理ある指し方でもあるという。
なお、上述の初手▲3六歩でも同様の狙いであり、▲先崎対△谷川戦(1989年、NHK杯)でも同様な先手居飛車・後手タテ歩取り模様の戦型となっている。
{{-}}
== ▲1八飛 ==
== ▲6八金 ==
== ▲5八金左 ==
== ▲1八香 ==
== ▲9八香 ==
== ▲8六歩 ==
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
| | | | | | | | |
| |psl| | | | | | |
|ps|uah|ps|ps|ps|ps|ps|ps|ps
| |bs| | | | | |rs|
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|1手目▲8六歩まで}}
初手の最悪手とされる{{sfn|谷川|1988|p=18}}。
弱点である角頭の歩を相手の飛車先に差し出す手で、△8四歩▲7八金△8五歩▲同歩△同飛▲8七歩と一方的に飛車先を切られることとなる。
公式戦での実戦例は▲増田-△小阪戦(2000年)のみ。
{{-}}
== 脚注 ==
<references />
== 参考棋譜 ==
* 1985年1月21日 第11期[[w:女流名人位戦|女流名人位戦]]五番勝負第4局 ▲[[w:林葉直子|林葉直子]]女流名人 対 △[[w:長沢千和子|長沢千和子]]女流二段
* 1989年1月23日放送 第38回[[w:NHK杯テレビ将棋トーナメント|NHK杯戦]]本戦準々決勝第4局 ▲[[w:先崎学|先崎学]]四段 対 △[[w:谷川浩司|谷川浩司]]名人
* 1992年4月14日 第61期[[w:棋聖戦 (将棋)|棋聖戦]]一次予選2回戦 ▲[[w:日浦市郎|日浦市郎]]五段 対 △[[w:櫛田陽一|櫛田陽一]]四段
* 2000年2月22日 第50回NHK杯戦予選1回戦 ▲[[w:増田裕司|増田裕司]]四段 対 △[[w:小阪昇|小阪昇]]七段
* 2006年2月20日放送 第55回NHK杯戦本戦決勝 ▲[[w:渡辺明 (棋士)|渡辺明]][[w:竜王戦|竜王]] 対 △[[w:丸山忠久|丸山忠久]]九段
* 2010年1月6日 第41期[[w:新人王戦 (将棋)|新人王戦]]トーナメント戦2回戦 ▲小泉祐[[w:奨励会|奨励会]]三段 対 △[[w:中村亮介|中村亮介]]五段
* 2010年4月15日 第41期新人王戦トーナメント戦3回戦 ▲小泉祐奨励会三段 対 △[[w:阿部健治郎|阿部健治郎]]四段
* 2011年1月20日 第4期マイナビ女子オープン本戦準決勝第2局 ▲[[w:石橋幸緒|石橋幸緒]]女流四段 対 △[[w:斎田晴子|斎田晴子]]女流四段
* 2012年2月9日 第43期新人王戦トーナメント戦2回戦[[w:千日手|千日手]]局 ▲小泉祐奨励会三段 対 △[[w:永瀬拓矢|永瀬拓矢]]四段
* [http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/56/oui201505290102.html 2015年5月29日 第56期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフ ▲佐藤康光九段 対 △菅井竜也六段]
* [http://cgi2.nhk.or.jp/goshogi/kifu/sgs.cgi?d=20160124 2016年1月24日放送 第65回NHK杯本戦3回戦第7局 ▲千田翔太五段 対 △糸谷哲郎八段]
== 参考文献 ==
* {{cite journal ja-jp|author=[[w:青島たつひこ|青島たつひこ]](鈴木宏彦)|year=1996|title=[[w:佐藤康光|佐藤康光]]&[[w:森内俊之|森内俊之]]のなんでもアタック|journal=[[w:将棋マガジン|将棋マガジン]]|issue=1996年6月号|pages=ページ数不明|publisher=[[w:日本将棋連盟|日本将棋連盟]]|ref={{sfnref|青島|1996}}}}([https://shogipenclublog.com/blog/2010/10/15/%E5%88%9D%E6%89%8B%E2%96%B2%EF%BC%97%E5%85%AB%E9%8A%80%E3%81%AF%E6%82%AA%E6%89%8B%E3%81%8B/]より孫引き)
* {{cite book ja-jp|author=[[w:天野貴元|天野貴元]]|year=2015|title=奇襲研究所 〜嬉野流編〜|publisher=[[w:マイナビ出版|マイナビ]]|isbn=978-4-8399-5569-4|ref={{sfnref|天野|2015}}}}
* {{cite journal ja-jp|author=[[w:門倉啓太|門倉啓太]]|year=2013|title=初手の革命 "7八飛" 戦法|journal=[[w:将棋世界|将棋世界]]|issue=2013年10月|pages=別冊付録|publisher=日本将棋連盟|ref={{sfnref|門倉|2013}}}}
* {{cite book ja-jp|author=鈴木宏彦|year=2010|title=イメージと読みの将棋観|volume=2|publisher=日本将棋連盟|isbn=978-4-8399-3434-7|ref={{sfnref|鈴木|2010}}}}(一部初出・『将棋世界』2006年8月号-2008年11月号、2010年1月号-6月号)
* {{cite book ja-jp|author=[[w:谷川浩司|谷川浩司]]|year=1988|title=NHK将棋講座 大局観が勝負を決める|publisher=日本放送出版協会|isbn=4-14-018014-5|ref={{sfnref|谷川|1988}}}}
* {{cite book ja-jp|author=[[w:羽生善治|羽生善治]](監修)|year=2009|title=羽生善治の みるみる強くなる 将棋 序盤の指し方 入門|publisher=[[w:池田書店|池田書店]]|isbn=978-4-262-10145-3|ref={{sfnref|羽生|2009}}}}
* {{cite book ja-jp|author=[[w:藤井猛|藤井猛]]|year=2014|title=藤井猛の攻めの基本戦略|publisher=日本放送出版協会|isbn=978-4-14-016220-0|ref={{sfnref|藤井|2014}}}}
* {{cite book ja-jp|author=森内俊之、[[w:渡辺明 (棋士)|渡辺明]]、谷川浩司、佐藤康光、[[w:久保利明|久保利明]]、[[w:広瀬章人|広瀬章人]]|year=2014|title=トップ棋士頭脳勝負 イメージと読みの将棋観|volume=3|publisher=日本将棋連盟|isbn=978-4-8399-5017-0|ref={{sfnref|森内ら|2014}}}}(一部初出・鈴木宏彦「イメージと読みの将棋観」、『将棋世界』2010年11月号-2012年6月号)
* {{cite journal ja-jp|author=[[w:村山慈明|村山慈明]]|year=2015|title=棋士たちの電王戦FINAL [第4局] [[w:ponanza|ponanza]] × 村山慈明七段 研究手順披露できず|journal=将棋世界|issue=2015年6月|pages=150-ページ範囲不明|publisher=日本将棋連盟|ref={{sfnref|村山|2015}}}} | 2023-10-24T23:45:48Z | 2023-11-09T03:23:25Z | [
"テンプレート:Cite journal ja-jp",
"テンプレート:Cite book ja-jp",
"テンプレート:Shogi diagram",
"テンプレート:-",
"テンプレート:Sfn"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%86%E6%A3%8B/%E5%88%9D%E6%89%8B |
38,673 | 高等学校倫理/人間とは何か | 人間とは何でしょうか。古代から人類はこの問いを深く考え、様々な答えが出てきました。遺伝子科学の発展から生物としての「ヒト」について詳しく分かるようになっても、人間とは何かについての議論は続いています。また、青年期の私達も他の人と〈私〉がどのように違うのかは、人間とは何かを考える上で大切です。先人達の考え方を手掛かりに、このような基本的な問題を自分で調べてみましょう。
人間は日常生活の中で「人間とは何か」をあまり考えようとしません。自分以外の人間(他の人)の関係で何かあったら、人間について深く考えるようになります。
コミュニケーションに問題ある人を除きますが、普通の私達は他の人と関わっているため、とても心配したり不安に感じたりします。他の人と比べつつ社会の中で自分がどのように生きていくのかから、人間関係(家族・友人・恋人など)・学校の個人成績・将来の進路も不安になります。自分の容姿に自信がなかったり、スポーツが苦手だったりすると、自分が悪く感じてしまいます。これは他の人に気に入られたい気持ちと関係しているかもしれません。
これからの人生をどのように生きていけば、意味をもつようになりますか?人間らしく生きるとはどういう意味ですか?
「人間性」「人間らしさ」とは、人間だけが生まれながら持っている性質をいいます。
もちろん、人間は失敗したり、忘れたり、他の人に嘘をついたり、他の人を傷つけたりしてしまいます。一方、人間は動物のようにいきなり行動しません。私達は相手の優しい行為を見て深く感動し、自分も同じように行動しようとします。このように、「人間性」「人間らしさ」はこれからの人生で目指さなければなりません。
「人間らしさとはいったい何か」を考えるのは簡単ではありません。先程述べたように、私達はもっと人間らしくなろうと努力しなければなりませんが、具体的な目標をすぐに答えられる人はあまりいません。
簡単な問いではなくても、私達はそのための手がかりを知っています。古くから、東洋も西洋も様々な人間がこの問いについて考え、その答えを見つけようとしました。
「倫理」は、「人間らしさとは何か」を問いかけ、その疑問の過去を振り返り、そこから結論を導き出します。言い換えると、「人間性」の問題が倫理の出発点になっています。 | [
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] | 人間とは何でしょうか。古代から人類はこの問いを深く考え、様々な答えが出てきました。遺伝子科学の発展から生物としての「ヒト」について詳しく分かるようになっても、人間とは何かについての議論は続いています。また、青年期の私達も他の人と〈私〉がどのように違うのかは、人間とは何かを考える上で大切です。先人達の考え方を手掛かりに、このような基本的な問題を自分で調べてみましょう。 | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公民]]>[[高等学校倫理]]>人間とは何か
人間とは何でしょうか。古代から人類はこの問いを深く考え、様々な答えが出てきました。遺伝子科学の発展から生物としての「ヒト」について詳しく分かるようになっても、人間とは何かについての議論は続いています。また、青年期の私達も他の人と〈私〉がどのように違うのかは、人間とは何かを考える上で大切です。先人達の考え方を手掛かりに、このような基本的な問題を自分で調べてみましょう。
== 人間の定義 ==
人間は他の動物や物質と違います。様々な原子から人間の身体を作っており、物質と変わりません。遺伝情報(生命の設計図)から、生命の誕生から死ぬまで人間の身体を保ちます。これは、全ての生物(植物・動物・菌類)に当てはまります。人間は動物の中で霊長類に分類され、ゴリラやチンパンジーと並んでヒト科に分類されます。チンパンジーと人間は98%以上の遺伝子を分け合っています。
人間は日常生活の中で「人間とは何か」をあまり考えようとしません。自分以外の人間(他の人)の関係で何かあったら、人間について深く考えるようになります。
コミュニケーションに問題ある人を除きますが、普通の私達は他の人と関わっているため、とても心配したり不安に感じたりします。他の人と比べつつ社会の中で自分がどのように生きていくのかから、人間関係(家族・友人・恋人など)・学校の個人成績・将来の進路も不安になります。自分の容姿に自信がなかったり、スポーツが苦手だったりすると、自分が悪く感じてしまいます。これは他の人に気に入られたい気持ちと関係しているかもしれません。
== 人間性・人間らしさ ==
これからの人生をどのように生きていけば、意味をもつようになりますか?人間らしく生きるとはどういう意味ですか?
「'''人間性'''」「'''人間らしさ'''」とは、<u>人間だけが生まれながら持っている性質</u>をいいます。
もちろん、人間は失敗したり、忘れたり、他の人に嘘をついたり、他の人を傷つけたりしてしまいます。一方、人間は動物のようにいきなり行動しません。私達は相手の優しい行為を見て深く感動し、自分も同じように行動しようとします。このように、「人間性」「人間らしさ」はこれからの人生で目指さなければなりません。
== 人間らしさとは何か ==
=== 社会の中の「人間」 ===
「人間らしさとはいったい何か」を考えるのは簡単ではありません。先程述べたように、私達はもっと人間らしくなろうと努力しなければなりませんが、具体的な目標をすぐに答えられる人はあまりいません。
しかし、青年期の私達はそれを知らなければ、社会の中で人間として生きていけません。私達は社会の中で自分の可能性を引き出すために必要な知識や品性を身に付けていきましょう。また、社会の中で礼儀正しく振る舞うのも大切です。そのためには、この問題について考え、自分なりの答えを出さなければなりません。
=== 人間らしさと倫理 ===
簡単な問いではなくても、私達はそのための手がかりを知っています。古くから、東洋も西洋も様々な人間がこの問いについて考え、その答えを見つけようとしました。
「'''倫理'''」は、<u>「人間らしさとは何か」を問いかけ、その疑問の過去を振り返り、そこから結論を導き出します</u>。言い換えると、「人間性」の問題が倫理の出発点になっています。
== 資料出所 ==
* 竹内整一ほか編著『倫理』東京書籍株式会社 2023年
* 越智貢ほか編著『高等学校 改訂版 倫理』株式会社第一学習社 2016年
* 藤田正勝著『理解しやすい倫理』株式会社文英堂 2023年
[[カテゴリ:高等学校倫理]]
[[カテゴリ:人間]] | 2023-10-25T20:23:55Z | 2023-11-05T12:26:13Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%80%AB%E7%90%86/%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B |
38,679 | 料理本/ココア | アイスココアにする場合は、コップの半分まで氷を入れココアを注ぐこと。 | [
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*ココアパウダー 小さじ2
*砂糖 小さじ2
*牛乳 コップ一杯分(だいたい150cc)
== 作り方 ==
#手鍋にココアパウダーと砂糖を入れ、弱火にかけながら少量の水でとく。だまにならないようにすること。
#ココアパウダーと砂糖がちょうどいい粘度になったら牛乳を少しずつ入れ、中火にする。
#沸騰直前に火から下ろすとできあがり。
== オプション ==
アイスココアにする場合は、コップの半分まで氷を入れココアを注ぐこと。
== 脚注 ==
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{{デフォルトソート:りようりほん|ここあ}}
[[Category:飲料|ここあ]]
[[Category:料理本|ここあ]] | 2023-10-26T14:21:11Z | 2023-10-31T16:00:23Z | [
"テンプレート:Reflist"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%82%B3%E3%82%B3%E3%82%A2 |
38,682 | 趣味の見つけ方 | 趣味の見つけ方とは、余暇にやることが欲しい人や人生の楽しみに乏しい人が解決のために特定の趣味を見つけられるよう指南する教科書である。
そもそもの話、人間は趣味のみで生きることはない。なにも仕事や家事で人生手一杯といいたいわけではなく、例えばテレビで見て思い立った旅行、スーパーで手に取った少しお高めの商品、なんとなく通ってみた別ルート。これが私の趣味だ、と決めなくとも生活を豊かにすることは世の中満ち溢れているのである。
ならばなぜ趣味を定めるのか。楽だからである。あなたが人生を楽しむ達人を親友としているか、向こうから商品をプレゼンしに来るくらいのセレブでなければこういった楽しみを探す行為は能動的に行うこととなる。それには自らのアンテナに引っかかった情報を好みのフィルターにかけ、自分の行動としてアウトプットするという過程が発生することとなるが、このアンテナというものが厄介である。四方八方に振り回しては情報の取り逃しが多いし、なにより上手くキャッチしたとしても情報の洪水に溺れてしまい、結果的にただ人生という水面をぷかぷか浮いているだけの人間となってしまう。そこで、自身の興味の方針を固定する、その後のどう行動するかという判断基準についてもある程度定型化させることによってコストパフォーマンスの高い行動が可能となるのである。
この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。
珍趣味を持つ人を取材、密着するメディアを見てみると、この世に存在する概念の数だけ趣味が存在すると思えた。そこから自分の趣味を探すのには条件付けや大カテゴリといった分類が大いに役に立つと考えられる。大カテゴリは図書分類法などに任せるとして、今回は以下の条件付けで分類してみようと思う。
単純にものを集めるという趣味
一つの技能を向上させることを楽しむ趣味。以下の2種類に分けられる
同じ趣味の人間、もしくは過去に自分が出した得点を超えようとすることを楽しむ趣味
よりよいものを作ることを楽しむ趣味。正解やルールがないことがほとんどなので、少なくともアマチュアの範囲内で競うことはあまりしないほうが良い
前述した通り、結局自分でアンテナを張って能動的かつ長期的に動くのはとても疲れるものである。おすすめの趣味を列挙していくので、参考にしていただければと思う。
写真は被写体の外見もしくは写真に映る意味を記録するコレクション、記録以上に一枚の画像として良いものを撮るかという創作の性質を持つ趣味だ。他の趣味との相性もよく、趣味の記録をするためにと結果的に写真が趣味となることも多い。
写真を取るための道具、つまりカメラやそのレンズ自体もコレクション趣味の対象となることが多い。カメラは精密機械であり、ある程度のスペックのものからハイエンドまで、性能も少しの差で使い分けることがあったりと純粋なコレクションでなくとも、写真趣味を突き詰めていけば必然的にカメラのこだわりに行き着くと言える。とはいえ近年のスマートフォンの発達は著しい、特にカメラは素人でも一定のクオリティが担保できるまでになったと言えるのではないだろうか。
ところで、写真は情報を伴う限りどの趣味コミュニティでも重宝されるものである。特に不特定多数がアクセスする環境にあるデータは資料としてかなり助かるものである。そして、このwikipediaコミュニティでも写真を提供できる場所が存在する。写真を趣味にしてはいかがだろうか。
散歩は道を歩く、ただそれだけの趣味である。他の趣味よりも退屈とされがちで、歩いている間は多くのことができない。それだけに時間と心ともにゆとりがもとめられ、また培われる趣味であると言える。
また、公共交通機関や自転車自動車と移動手段が発達してきた現代において、運動不足解消につながることもあり、心身ともに健康になれる趣味と言えるかもしれない。 | [
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] | 趣味の見つけ方とは、余暇にやることが欲しい人や人生の楽しみに乏しい人が解決のために特定の趣味を見つけられるよう指南する教科書である。 | {{Pathnav|その他の本|趣味|frame=1}}
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'''趣味の見つけ方'''とは、余暇にやることが欲しい人や人生の楽しみに乏しい人が解決のために特定の趣味を見つけられるよう指南する教科書である。
== 趣味の意義 ==
そもそもの話、人間は趣味のみで生きることはない。なにも仕事や家事で人生手一杯といいたいわけではなく、例えばテレビで見て思い立った旅行、スーパーで手に取った少しお高めの商品、なんとなく通ってみた別ルート。これが私の趣味だ、と決めなくとも生活を豊かにすることは世の中満ち溢れているのである。
ならばなぜ趣味を定めるのか。'''楽だからである。'''あなたが人生を楽しむ達人を親友としているか、向こうから商品をプレゼンしに来るくらいのセレブでなければこういった楽しみを探す行為は能動的に行うこととなる。それには自らのアンテナに引っかかった情報を好みのフィルターにかけ、自分の行動としてアウトプットするという過程が発生することとなるが、このアンテナというものが厄介である。四方八方に振り回しては情報の取り逃しが多いし、なにより上手くキャッチしたとしても情報の洪水に溺れてしまい、結果的にただ人生という水面をぷかぷか浮いているだけの人間となってしまう。そこで、'''自身の興味の方針を固定する、その後のどう行動するかという判断基準についてもある程度定型化させることによってコストパフォーマンスの高い行動が可能となるのである。'''
== 趣味の身につけ方 ==
{{節stub}}
=== 趣味を見つける ===
<!--趣味を始めるにはまず趣味を見つける必要がある。人口に膾炙しているものを手にとっても構わないが、誰しもどうせなら自分にあったものをやってみたいと思うだろう。
趣味の見つけ方で筆者のおすすめの方法はTodoリストアプリを用いることである。-->
=== 趣味を習慣化する ===
<!--これを趣味にしたいと始めたはいいものの、-->
== 趣味の種類 ==
珍趣味を持つ人を取材、密着するメディアを見てみると、この世に存在する概念の数だけ趣味が存在すると思えた。そこから自分の趣味を探すのには条件付けや大カテゴリといった分類が大いに役に立つと考えられる。大カテゴリは[[w:図書分類法|図書分類法]]などに任せるとして、今回は以下の条件付けで分類してみようと思う。
* コレクション
単純にものを集めるという趣味
* 能力向上
一つの技能を向上させることを楽しむ趣味。以下の2種類に分けられる
** 競技
同じ趣味の人間、もしくは過去に自分が出した得点を超えようとすることを楽しむ趣味
** 創作
よりよいものを作ることを楽しむ趣味。正解やルールがないことがほとんどなので、少なくともアマチュアの範囲内で競うことはあまりしないほうが良い
* その他
== 趣味の一覧 ==
前述した通り、結局自分でアンテナを張って能動的かつ長期的に動くのはとても疲れるものである。おすすめの趣味を列挙していくので、参考にしていただければと思う。
==== [[写真]] ====
写真は被写体の外見もしくは写真に映る意味を記録するコレクション、記録以上に一枚の画像として良いものを撮るかという創作の性質を持つ趣味だ。他の趣味との相性もよく、趣味の記録をするためにと結果的に写真が趣味となることも多い。
写真を取るための道具、つまりカメラやそのレンズ自体もコレクション趣味の対象となることが多い。カメラは精密機械であり、ある程度のスペックのものからハイエンドまで、性能も少しの差で使い分けることがあったりと純粋なコレクションでなくとも、写真趣味を突き詰めていけば必然的にカメラのこだわりに行き着くと言える。とはいえ近年のスマートフォンの発達は著しい、特にカメラは素人でも一定のクオリティが担保できるまでになったと言えるのではないだろうか。
ところで、写真は情報を伴う限りどの趣味コミュニティでも重宝されるものである。特に不特定多数がアクセスする環境にあるデータは資料としてかなり助かるものである。そして、このwikipediaコミュニティでも[https://commons.wikimedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 写真を提供できる場所]が存在する。写真を趣味にしてはいかがだろうか。
==== [[散歩]] ====
散歩は道を歩く、ただそれだけの趣味である。他の趣味よりも退屈とされがちで、歩いている間は多くのことができない。それだけに時間と心ともにゆとりがもとめられ、また培われる趣味であると言える。
また、公共交通機関や自転車自動車と移動手段が発達してきた現代において、運動不足解消につながることもあり、心身ともに健康になれる趣味と言えるかもしれない。
[[カテゴリ:趣味|みつけかた]] | 2023-10-26T15:51:56Z | 2023-10-27T06:55:22Z | [
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:節stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%B6%A3%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%A6%8B%E3%81%A4%E3%81%91%E6%96%B9 |
38,692 | 料理本/パスタ料理/ナポリタン | ナポリタンは比較的お手軽にできるので、あまり時間がないけど美味しいものを食べたい!といったときにおすすめです。実は日本発祥。
ソーセージはベーコンやハム、豚肉などにも置き換えられます。どれも1〜2枚が適量でしょうか。
ソーセージは写真のように切らなくても結構です。ベーコンや豚肉などでやっても、美味しく作れますよ。 | [
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"text": "ナポリタンは比較的お手軽にできるので、あまり時間がないけど美味しいものを食べたい!といったときにおすすめです。実は日本発祥。",
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"title": "材料(1人分)"
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"text": "ソーセージは写真のように切らなくても結構です。ベーコンや豚肉などでやっても、美味しく作れますよ。",
"title": "参考"
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] | ナポリタンは比較的お手軽にできるので、あまり時間がないけど美味しいものを食べたい!といったときにおすすめです。実は日本発祥。 | [[File:Spaghetti Naporitan 002.jpg|280ppx|right|thumb|典型的なナポリタン。]]
ナポリタンは比較的お手軽にできるので、あまり時間がないけど美味しいものを食べたい!といったときにおすすめです。実は日本発祥<ref>{{Cite web |url=https://www.kenkomayo.com/pro/pages/feature1_world_asia_k1.aspx |title=「ナポリタン」は、イタリア ナポリ発祥のパスタである? kenkomayo.com |accessdate=2023-10-30}}</ref>。
== 材料(1人分) ==
=== 推奨 ===
*水・・・適量
*塩・・・適量(パスタに塩味がつくくらい)
*パスタの麺・・・70g
*ケチャップ・・・適量(上の写真くらい、もしくはそれより少し赤くなる程度。かなり使う)
*ピーマン・・・1つ
*ニンジン・・・1/3本
*玉ねぎ・・・1/3玉
*ソーセージ・・・2つ
=== オプション ===
*しいたけ・・・1つ
ソーセージはベーコンやハム、豚肉などにも置き換えられます。どれも1〜2枚が適量でしょうか。
== 作り方 ==
[[File:Naporitan (2015-05-08).jpg|270ppx|left|thumb|ソーセージ丸ごともいいかも⁉︎]]
=== 下準備 ===
#ニンジン、タマネギ、ピーマンは線切り。ソーセージ(に限らず)は、食べやすい大きさに。
=== いざナポリタン ===
#パスタを茹でる。ちょうどよい塩加減の湯を作り、沸騰したら麺をいれる。ゆだって柔らかくなるのを利用して鍋に押し込む。
#そのまま9分茹でる。
#茹でている間に、具材を作る。油を大さじ1ほど敷き、ソーセージを入れ、少々炒める。
#タマネギ、ニンジン、ピーマンを入れ、タマネギが透明になりかけるまで炒める。しいたけなど菌類はこのタイミング。
#よい焼き加減になったら、一度火を止める。
#茹でていたパスタを火からおろしザルにとり、具材と混ぜる。
#ケチャップをかけて味付けする。大体写真くらいの赤さ。
#ケチャップが全体に行き渡ったら完成!
== 参考 ==
ソーセージは、写真のように、切らなくても結構です。ベーコンや豚肉などでやっても、美味しく作れますよ。
== 出典 ==
{{reflist}}
{{デフォルトソート:なほりたん}}
[[Category:料理本]]
[[Category:パスタ料理|なほりたん]] | 2023-10-30T10:48:45Z | 2023-10-30T22:49:26Z | [
"テンプレート:Cite web",
"テンプレート:Reflist"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%BF%E6%96%99%E7%90%86/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%B3 |
38,698 | 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 | 法学>特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
(趣旨) 第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号及び第五条第三項において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。
三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信役務(特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。同条第三項において同じ。)を提供する者をいう。
四 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
五 侵害情報 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいう。
六 発信者情報 氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。
七 開示関係役務提供者 第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者及び同条第二項に規定する関連電気通信役務提供者をいう。
八 発信者情報開示命令 第八条の規定による命令をいう。
九 発信者情報開示命令事件 発信者情報開示命令の申立てに係る事件をいう。
インターネット上で自己の権利を侵害する情報が発信された場合に、当該情報の発信者が誰であるかを特定しなければ損害賠償請求など被害の回復救済のための措置をとる事ができないことであるが、インターネットという匿名での情報発信について、被害を受けた側が発信者を調査するための法律上の権利や手続きというのは長く存在していなかったことである。 そこで、他人の権利を侵害するような情報を発信しても発信者の責任が問われない状態では権利侵害が一層深刻化してインターネット社会であるネットワーク社会の健全な発展を阻害することになりかねず、法整備の必要性が議論されて2001年に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダー責任制限法」といわれる。)が制定された。 プロバイダ責任制限法は、匿名で発信されるインターネット上の情報発信について、発信者の住所、氏名等の情報を保有しているプロバイダーに対し発信者情報の開示請求をする権利を法律的に認めるもので、開示請求が対象とされる要件は、プロバイダ責任制限法4条1項に規定されている。
(損害賠償責任の制限)
第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。 一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(公職の候補者等に係る特例)
第四条 前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 特定電気通信による情報であって、選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画(以下この条において「特定文書図画」という。)に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。次号において同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下この条において「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨、名誉が侵害されたとする理由及び当該名誉侵害情報が特定文書図画に係るものである旨(以下この条において「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下この条において「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
二 特定電気通信による情報であって、特定文書図画に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレス等(公職選挙法第百四十二条の三第三項に規定する電子メールアドレス等をいう。以下この号において同じ。)が同項又は同法第百四十二条の五第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレス等が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。
(発信者情報の開示請求)
第五条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。
一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
三 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
イ 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。
ロ 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。 (1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所 (2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報 ハ 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。 2 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した者(当該特定電気通信に係る前項に規定する特定電気通信役務提供者である者を除く。以下この項において「関連電気通信役務提供者」という。)に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができる。
一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
3 前二項に規定する「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号(特定電気通信役務提供者が特定電気通信役務の提供に際して当該特定電気通信役務の提供を受けることができる者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。 (開示関係役務提供者の義務等) 第六条 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。
2 開示関係役務提供者は、発信者情報開示命令を受けたときは、前項の規定による意見の聴取(当該発信者情報開示命令に係るものに限る。)において前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じるべきでない旨の意見を述べた当該発信者情報開示命令に係る侵害情報の発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、当該発信者に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
3 開示関係役務提供者は、第十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による命令を受けた他の開示関係役務提供者から当該命令による発信者情報の提供を受けたときは、当該発信者情報を、その保有する発信者情報(当該提供に係る侵害情報に係るものに限る。)を特定する目的以外に使用してはならない。
4 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。 (発信者情報の開示を受けた者の義務) 第七条 第五条第一項又は第二項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
(発信者情報開示命令)
第八条 裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又は第二項の規定による請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができる。 (日本の裁判所の管轄権)
第九条 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 人を相手方とする場合において、次のイからハまでのいずれかに該当するとき。 イ 相手方の住所又は居所が日本国内にあるとき。 ロ 相手方の住所及び居所が日本国内にない場合又はその住所及び居所が知れない場合において、当該相手方が申立て前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。 ハ 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とするとき。 二 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。 イ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。 ロ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にない場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するとき。 (1) 当該相手方の事務所又は営業所が日本国内にある場合において、申立てが当該事務所又は営業所における業務に関するものであるとき。 (2) 当該相手方の事務所若しくは営業所が日本国内にない場合又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れない場合において、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるとき。
2 前項の規定にかかわらず、当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に発信者情報開示命令の申立てをすることができるかについて定めることができる。
3 前項の合意は、書面でしなければ、その効力を生じない。
4 第二項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
5 外国の裁判所にのみ発信者情報開示命令の申立てをすることができる旨の第二項の合意は、その裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、これを援用することができない。
6 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて前各項の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の第二項の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、手続の追行による相手方の負担の程度、証拠の所在地その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情があると認めるときは、当該申立ての全部又は一部を却下することができる。
7 日本の裁判所の管轄権は、発信者情報開示命令の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄)
第十条 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。) 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。) イ 相手方の主たる事務所又は営業所 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所 2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所 4 前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。 5 前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所 6 前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。 7 前各項の規定にかかわらず、第十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令により同号イに規定する他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者の申立てに係る第一号に掲げる事件は、当該提供を受けた者の申立てに係る第二号に掲げる事件が係属するときは、当該事件が係属する裁判所の管轄に専属する。
一 当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件
二 当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件
(発信者情報開示命令の申立書の写しの送付等)
第十一条 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であるとき又は当該申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該発信者情報開示命令の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。
2 非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十三条第四項から第六項までの規定は、発信者情報開示命令の申立書の写しを送付することができない場合(当該申立書の写しの送付に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
3 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについての決定をする場合には、当事者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして当該申立てを却下する決定をするときは、この限りでない。
(発信者情報開示命令事件の記録の閲覧等)
第十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、発信者情報開示命令事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は発信者情報開示命令事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、発信者情報開示命令事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 前二項の規定による発信者情報開示命令事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 (発信者情報開示命令の申立ての取下げ)
第十三条 発信者情報開示命令の申立ては、当該申立てについての決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、当該申立ての取下げは、次に掲げる決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
一 当該申立てについての決定
二 当該申立てに係る発信者情報開示命令事件を本案とする第十五条第一項の規定による命令
2 発信者情報開示命令の申立ての取下げがあった場合において、前項ただし書の規定により当該申立ての取下げについて相手方の同意を要するときは、裁判所は、相手方に対し、当該申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、当該申立ての取下げが発信者情報開示命令事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。
3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、当該通知に係る申立ての取下げに同意したものとみなす。同項ただし書の規定による場合において、当該申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
(発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え)
第十四条 発信者情報開示命令の申立てについての決定(当該申立てを不適法として却下する決定を除く。)に不服がある当事者は、当該決定の告知を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2 前項に規定する訴えは、同項に規定する決定をした裁判所の管轄に専属する。
3 第一項に規定する訴えについての判決においては、当該訴えを不適法として却下するときを除き、同項に規定する決定を認可し、変更し、又は取り消す。
4 第一項に規定する決定を認可し、又は変更した判決で発信者情報の開示を命ずるものは、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。
5 第一項に規定する訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該訴えに係る同項に規定する決定は、確定判決と同一の効力を有する。
6 裁判所が第一項に規定する決定をした場合における非訟事件手続法第五十九条第一項の規定の適用については、同項第二号中「即時抗告をする」とあるのは、「異議の訴えを提起する」とする。 (提供命令)
第十五条 本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者(以下この項において「申立人」という。)の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。
一 当該申立人に対し、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該イ又はロに定める事項(イに掲げる場合に該当すると認めるときは、イに定める事項)を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。次号において同じ。)により提供すること。
イ 当該開示関係役務提供者がその保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。以下この項において同じ。)により当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者(当該侵害情報の発信者であると認めるものを除く。ロにおいて同じ。)の氏名又は名称及び住所(以下この項及び第三項において「他の開示関係役務提供者の氏名等情報」という。)の特定をすることができる場合 当該他の開示関係役務提供者の氏名等情報
ロ 当該開示関係役務提供者が当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報として総務省令で定めるものを保有していない場合又は当該開示関係役務提供者がその保有する当該発信者情報によりイに規定する特定をすることができない場合 その旨
二 この項の規定による命令(以下この条において「提供命令」といい、前号に係る部分に限る。)により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた当該申立人から、当該他の開示関係役務提供者を相手方として当該侵害情報についての発信者情報開示命令の申立てをした旨の書面又は電磁的方法による通知を受けたときは、当該他の開示関係役務提供者に対し、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報を書面又は電磁的方法により提供すること。
2 前項(各号列記以外の部分に限る。)に規定する発信者情報開示命令の申立ての相手方が第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者であって、かつ、当該申立てをした者が当該申立てにおいて特定発信者情報を含む発信者情報の開示を請求している場合における前項の規定の適用については、同項第一号イの規定中「に係るもの」とあるのは、次の表の上欄に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められる場合 に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報
当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められない場合 に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報以外の発信者情報
3 次の各号のいずれかに該当するときは、提供命令(提供命令により二以上の他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該他の開示関係役務提供者のうちの一部の者について第一項第二号に規定する通知をしないことにより第二号に該当することとなるときは、当該一部の者に係る部分に限る。)は、その効力を失う。
一 当該提供命令の本案である発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての前条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了したとき。
二 当該提供命令により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該提供を受けた日から二月以内に、当該提供命令を受けた開示関係役務提供者に対し、第一項第二号に規定する通知をしなかったとき。
4 提供命令の申立ては、当該提供命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
5 提供命令を受けた開示関係役務提供者は、当該提供命令に対し、即時抗告をすることができる。
(消去禁止命令)
第十六条 本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての第十四条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。)を消去してはならない旨を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(以下この条において「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
3 消去禁止命令を受けた開示関係役務提供者は、当該消去禁止命令に対し、即時抗告をすることができる。
(当事者に対する住所、氏名等の秘匿)
第十七条 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立てその他の申述については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第八章の規定を準用する。この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人(非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)」と、同法第百三十三条の二第二項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録」とあるのは「発信者情報開示命令事件(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第二条第九号に規定する発信者情報開示命令事件」と、「)中」とあるのは「)の記録中」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人又は利害関係を疎明した第三者は、発信者情報開示命令事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等」とあるのは「発信者情報開示命令事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。
(非訟事件手続法の適用除外)
第十八条 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続については、非訟事件手続法第二十二条第一項ただし書、第二十七条、第四十条及び第四十二条の二の規定は、適用しない。
(最高裁判所規則)
第十九条 この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
附 則 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二五年四月二六日法律第一〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
(適用区分)
第二条 この法律による改正後の公職選挙法(以下「新法」という。)の規定(新法第百四十二条の四第二項、第四項及び第五項(第二項及び第五項にあっては、通知に係る部分に限る。)、第百五十二条、第二百二十九条並びに第二百七十一条の六の規定を除く。)及び附則第六条の規定による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙の期日の公示の日又は施行日以後初めてその期日を公示される参議院議員の通常選挙の期日の公示の日のうちいずれか早い日(以下「公示日」という。)以後にその期日を公示され又は告示される選挙について適用し、公示日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。
附 則 (令和三年四月二八日法律第二七号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(発信者の意見の聴取に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の日前にしたこの法律による改正前の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第二項の規定による意見の聴取は、この法律による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(次条において「新法」という。)第六条第一項の規定によりされた意見の聴取とみなす。
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附 則 (令和四年五月二五日法律第四八号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第三条の規定並びに附則第六十条中商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第五十二条第二項の改正規定及び附則第百二十五条の規定 公布の日
二 第一条の規定、第四条中民事訴訟費用等に関する法律第二十八条の二第一項の改正規定及び同法別表第一の一七の項イ(イ)の改正規定(「取消しの申立て」の下に「、秘匿決定を求める申立て、秘匿事項記載部分の閲覧等の請求をすることができる者を秘匿決定に係る秘匿対象者に限る決定を求める申立て、秘匿決定等の取消しの申立て、秘匿決定等により閲覧等が制限される部分につき閲覧等をすることの許可を求める申立て」を加える部分に限る。)、第五条中人事訴訟法第三十五条の改正規定、第六条の規定並びに第九条中民事執行法第百五十六条の改正規定、同法第百五十七条第四項の改正規定、同法第百六十一条第一項の改正規定、同法第百六十一条の次に一条を加える改正規定、同法第百六十五条第一号の改正規定、同法第百六十六条第一項第一号の改正規定、同法第百六十七条の十第一項の改正規定及び同法第百六十七条の十四第一項の改正規定並びに附則第四十五条及び第四十八条の規定、附則第七十一条中民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十条第五項の改正規定、附則第七十三条の規定、附則第八十二条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三十条第四項の改正規定及び同法第三十六条第五項の改正規定並びに附則第八十六条、第九十一条、第九十八条、第百十二条、第百十五条及び第百十七条の規定 公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日
(政令への委任)
第百二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (令和五年六月一四日法律第五三号) 抄
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第三十二章の規定及び第三百八十八条の規定 公布の日 | [
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"text": "法学>特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律",
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"text": "(趣旨) 第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。 (定義)",
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"text": "第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。",
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"text": "一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号及び第五条第三項において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。",
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"text": "二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。",
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"text": "三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信役務(特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。同条第三項において同じ。)を提供する者をいう。",
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"text": "四 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。",
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"text": "五 侵害情報 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいう。",
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"text": "六 発信者情報 氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。",
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"text": "七 開示関係役務提供者 第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者及び同条第二項に規定する関連電気通信役務提供者をいう。",
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"text": "八 発信者情報開示命令 第八条の規定による命令をいう。",
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"text": "九 発信者情報開示命令事件 発信者情報開示命令の申立てに係る事件をいう。",
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"text": "インターネット上で自己の権利を侵害する情報が発信された場合に、当該情報の発信者が誰であるかを特定しなければ損害賠償請求など被害の回復救済のための措置をとる事ができないことであるが、インターネットという匿名での情報発信について、被害を受けた側が発信者を調査するための法律上の権利や手続きというのは長く存在していなかったことである。 そこで、他人の権利を侵害するような情報を発信しても発信者の責任が問われない状態では権利侵害が一層深刻化してインターネット社会であるネットワーク社会の健全な発展を阻害することになりかねず、法整備の必要性が議論されて2001年に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダー責任制限法」といわれる。)が制定された。 プロバイダ責任制限法は、匿名で発信されるインターネット上の情報発信について、発信者の住所、氏名等の情報を保有しているプロバイダーに対し発信者情報の開示請求をする権利を法律的に認めるもので、開示請求が対象とされる要件は、プロバイダ責任制限法4条1項に規定されている。",
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"text": "(損害賠償責任の制限)",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。",
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"text": "二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。 一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "(公職の候補者等に係る特例)",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "第四条 前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。",
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"text": "一 特定電気通信による情報であって、選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画(以下この条において「特定文書図画」という。)に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。次号において同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下この条において「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨、名誉が侵害されたとする理由及び当該名誉侵害情報が特定文書図画に係るものである旨(以下この条において「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下この条において「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "二 特定電気通信による情報であって、特定文書図画に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレス等(公職選挙法第百四十二条の三第三項に規定する電子メールアドレス等をいう。以下この号において同じ。)が同項又は同法第百四十二条の五第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレス等が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。",
"title": "第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)"
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"text": "(発信者情報の開示請求)",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "第五条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "三 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "イ 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "ロ 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。 (1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所 (2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報 ハ 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。 2 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した者(当該特定電気通信に係る前項に規定する特定電気通信役務提供者である者を除く。以下この項において「関連電気通信役務提供者」という。)に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができる。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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"text": "3 前二項に規定する「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号(特定電気通信役務提供者が特定電気通信役務の提供に際して当該特定電気通信役務の提供を受けることができる者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。 (開示関係役務提供者の義務等) 第六条 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
},
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"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "2 開示関係役務提供者は、発信者情報開示命令を受けたときは、前項の規定による意見の聴取(当該発信者情報開示命令に係るものに限る。)において前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じるべきでない旨の意見を述べた当該発信者情報開示命令に係る侵害情報の発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、当該発信者に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
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{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "3 開示関係役務提供者は、第十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による命令を受けた他の開示関係役務提供者から当該命令による発信者情報の提供を受けたときは、当該発信者情報を、その保有する発信者情報(当該提供に係る侵害情報に係るものに限る。)を特定する目的以外に使用してはならない。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "4 開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。 (発信者情報の開示を受けた者の義務) 第七条 第五条第一項又は第二項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。",
"title": "第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "(発信者情報開示命令)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 37,
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"text": "第八条 裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又は第二項の規定による請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができる。 (日本の裁判所の管轄権)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
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"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "第九条 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 人を相手方とする場合において、次のイからハまでのいずれかに該当するとき。 イ 相手方の住所又は居所が日本国内にあるとき。 ロ 相手方の住所及び居所が日本国内にない場合又はその住所及び居所が知れない場合において、当該相手方が申立て前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。 ハ 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とするとき。 二 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。 イ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。 ロ 相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にない場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するとき。 (1) 当該相手方の事務所又は営業所が日本国内にある場合において、申立てが当該事務所又は営業所における業務に関するものであるとき。 (2) 当該相手方の事務所若しくは営業所が日本国内にない場合又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れない場合において、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 39,
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"text": "三 前二号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるとき。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "2 前項の規定にかかわらず、当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に発信者情報開示命令の申立てをすることができるかについて定めることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 41,
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"text": "3 前項の合意は、書面でしなければ、その効力を生じない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "4 第二項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "5 外国の裁判所にのみ発信者情報開示命令の申立てをすることができる旨の第二項の合意は、その裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、これを援用することができない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 44,
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"text": "6 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて前各項の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の第二項の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、手続の追行による相手方の負担の程度、証拠の所在地その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情があると認めるときは、当該申立ての全部又は一部を却下することができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
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{
"paragraph_id": 45,
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"text": "7 日本の裁判所の管轄権は、発信者情報開示命令の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "第十条 発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。) 二 大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とする場合において、この項(前号に係る部分に限る。)の規定により管轄が定まらないとき 最高裁判所規則で定める地 三 法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。) イ 相手方の主たる事務所又は営業所 ロ 申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所 2 前条の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとなる発信者情報開示命令の申立てについて、前項の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、当該申立ては、最高裁判所規則で定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 3 発信者情報開示命令の申立てについて、前二項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、当該申立てをすることができる。 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所 4 前三項の規定にかかわらず、発信者情報開示命令の申立ては、当事者が合意で定める地方裁判所の管轄に属する。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。 5 前各項の規定にかかわらず、特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立てについて、当該各項の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有することとなる場合には、当該申立ては、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。 一 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所 二 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所 6 前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。 7 前各項の規定にかかわらず、第十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令により同号イに規定する他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者の申立てに係る第一号に掲げる事件は、当該提供を受けた者の申立てに係る第二号に掲げる事件が係属するときは、当該事件が係属する裁判所の管轄に専属する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "一 当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "二 当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "(発信者情報開示命令の申立書の写しの送付等)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "第十一条 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であるとき又は当該申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該発信者情報開示命令の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "2 非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十三条第四項から第六項までの規定は、発信者情報開示命令の申立書の写しを送付することができない場合(当該申立書の写しの送付に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "3 裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについての決定をする場合には、当事者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして当該申立てを却下する決定をするときは、この限りでない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "(発信者情報開示命令事件の記録の閲覧等)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "第十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、発信者情報開示命令事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は発信者情報開示命令事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、発信者情報開示命令事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 前二項の規定による発信者情報開示命令事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 (発信者情報開示命令の申立ての取下げ)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "第十三条 発信者情報開示命令の申立ては、当該申立てについての決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、当該申立ての取下げは、次に掲げる決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "一 当該申立てについての決定",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "二 当該申立てに係る発信者情報開示命令事件を本案とする第十五条第一項の規定による命令",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "2 発信者情報開示命令の申立ての取下げがあった場合において、前項ただし書の規定により当該申立ての取下げについて相手方の同意を要するときは、裁判所は、相手方に対し、当該申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、当該申立ての取下げが発信者情報開示命令事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、当該通知に係る申立ての取下げに同意したものとみなす。同項ただし書の規定による場合において、当該申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "(発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "第十四条 発信者情報開示命令の申立てについての決定(当該申立てを不適法として却下する決定を除く。)に不服がある当事者は、当該決定の告知を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "2 前項に規定する訴えは、同項に規定する決定をした裁判所の管轄に専属する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "3 第一項に規定する訴えについての判決においては、当該訴えを不適法として却下するときを除き、同項に規定する決定を認可し、変更し、又は取り消す。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "4 第一項に規定する決定を認可し、又は変更した判決で発信者情報の開示を命ずるものは、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "5 第一項に規定する訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該訴えに係る同項に規定する決定は、確定判決と同一の効力を有する。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "6 裁判所が第一項に規定する決定をした場合における非訟事件手続法第五十九条第一項の規定の適用については、同項第二号中「即時抗告をする」とあるのは、「異議の訴えを提起する」とする。 (提供命令)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "第十五条 本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者(以下この項において「申立人」という。)の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "一 当該申立人に対し、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該イ又はロに定める事項(イに掲げる場合に該当すると認めるときは、イに定める事項)を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。次号において同じ。)により提供すること。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "イ 当該開示関係役務提供者がその保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。以下この項において同じ。)により当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者(当該侵害情報の発信者であると認めるものを除く。ロにおいて同じ。)の氏名又は名称及び住所(以下この項及び第三項において「他の開示関係役務提供者の氏名等情報」という。)の特定をすることができる場合 当該他の開示関係役務提供者の氏名等情報",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "ロ 当該開示関係役務提供者が当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報として総務省令で定めるものを保有していない場合又は当該開示関係役務提供者がその保有する当該発信者情報によりイに規定する特定をすることができない場合 その旨",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "二 この項の規定による命令(以下この条において「提供命令」といい、前号に係る部分に限る。)により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた当該申立人から、当該他の開示関係役務提供者を相手方として当該侵害情報についての発信者情報開示命令の申立てをした旨の書面又は電磁的方法による通知を受けたときは、当該他の開示関係役務提供者に対し、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報を書面又は電磁的方法により提供すること。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "2 前項(各号列記以外の部分に限る。)に規定する発信者情報開示命令の申立ての相手方が第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者であって、かつ、当該申立てをした者が当該申立てにおいて特定発信者情報を含む発信者情報の開示を請求している場合における前項の規定の適用については、同項第一号イの規定中「に係るもの」とあるのは、次の表の上欄に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められる場合 に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "当該特定発信者情報の開示の請求について第五条第一項第三号に該当すると認められない場合 に係る第五条第一項に規定する特定発信者情報以外の発信者情報",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "3 次の各号のいずれかに該当するときは、提供命令(提供命令により二以上の他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該他の開示関係役務提供者のうちの一部の者について第一項第二号に規定する通知をしないことにより第二号に該当することとなるときは、当該一部の者に係る部分に限る。)は、その効力を失う。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "一 当該提供命令の本案である発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての前条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了したとき。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "二 当該提供命令により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該提供を受けた日から二月以内に、当該提供命令を受けた開示関係役務提供者に対し、第一項第二号に規定する通知をしなかったとき。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "4 提供命令の申立ては、当該提供命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "5 提供命令を受けた開示関係役務提供者は、当該提供命令に対し、即時抗告をすることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "(消去禁止命令)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "第十六条 本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての第十四条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。)を消去してはならない旨を命ずることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "2 前項の規定による命令(以下この条において「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "3 消去禁止命令を受けた開示関係役務提供者は、当該消去禁止命令に対し、即時抗告をすることができる。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "(当事者に対する住所、氏名等の秘匿)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "第十七条 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立てその他の申述については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第八章の規定を準用する。この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人(非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)」と、同法第百三十三条の二第二項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録」とあるのは「発信者情報開示命令事件(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第二条第九号に規定する発信者情報開示命令事件」と、「)中」とあるのは「)の記録中」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人又は利害関係を疎明した第三者は、発信者情報開示命令事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等」とあるのは「発信者情報開示命令事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "(非訟事件手続法の適用除外)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "第十八条 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続については、非訟事件手続法第二十二条第一項ただし書、第二十七条、第四十条及び第四十二条の二の規定は、適用しない。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "(最高裁判所規則)",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "第十九条 この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。",
"title": "第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "附 則 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "附 則 (平成二五年四月二六日法律第一〇号) 抄",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "(施行期日)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "(適用区分)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "第二条 この法律による改正後の公職選挙法(以下「新法」という。)の規定(新法第百四十二条の四第二項、第四項及び第五項(第二項及び第五項にあっては、通知に係る部分に限る。)、第百五十二条、第二百二十九条並びに第二百七十一条の六の規定を除く。)及び附則第六条の規定による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙の期日の公示の日又は施行日以後初めてその期日を公示される参議院議員の通常選挙の期日の公示の日のうちいずれか早い日(以下「公示日」という。)以後にその期日を公示され又は告示される選挙について適用し、公示日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "附 則 (令和三年四月二八日法律第二七号) 抄",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "(施行期日)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "(発信者の意見の聴取に関する経過措置)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "第二条 この法律の施行の日前にしたこの法律による改正前の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第二項の規定による意見の聴取は、この法律による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(次条において「新法」という。)第六条第一項の規定によりされた意見の聴取とみなす。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "(検討)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "附 則 (令和四年五月二五日法律第四八号) 抄",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "(施行期日)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "第一条 この法律は、公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第三条の規定並びに附則第六十条中商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第五十二条第二項の改正規定及び附則第百二十五条の規定 公布の日",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "二 第一条の規定、第四条中民事訴訟費用等に関する法律第二十八条の二第一項の改正規定及び同法別表第一の一七の項イ(イ)の改正規定(「取消しの申立て」の下に「、秘匿決定を求める申立て、秘匿事項記載部分の閲覧等の請求をすることができる者を秘匿決定に係る秘匿対象者に限る決定を求める申立て、秘匿決定等の取消しの申立て、秘匿決定等により閲覧等が制限される部分につき閲覧等をすることの許可を求める申立て」を加える部分に限る。)、第五条中人事訴訟法第三十五条の改正規定、第六条の規定並びに第九条中民事執行法第百五十六条の改正規定、同法第百五十七条第四項の改正規定、同法第百六十一条第一項の改正規定、同法第百六十一条の次に一条を加える改正規定、同法第百六十五条第一号の改正規定、同法第百六十六条第一項第一号の改正規定、同法第百六十七条の十第一項の改正規定及び同法第百六十七条の十四第一項の改正規定並びに附則第四十五条及び第四十八条の規定、附則第七十一条中民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十条第五項の改正規定、附則第七十三条の規定、附則第八十二条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三十条第四項の改正規定及び同法第三十六条第五項の改正規定並びに附則第八十六条、第九十一条、第九十八条、第百十二条、第百十五条及び第百十七条の規定 公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "(政令への委任)",
"title": "附 則"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "第百二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。",
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] | 法学>特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 | [[法学]]>[[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律]]
{{wikiversity|Topic:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律|特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律}}
== 目次 ==
* [[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律/第一章 総則(第一条・第二条)]]
* [[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律/第二章 損害賠償責任の制限(第三条・第四条)]]
* [[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律/第三章 発信者情報の開示請求等(第五条―第七条)]]
* [[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律/第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条―第十九条)]]
* [[特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律/附則]] | 2023-11-01T05:10:48Z | 2023-11-01T05:12:35Z | [
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38,699 | 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第1条 | (趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。 | [
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(趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
==解説== | 2023-11-01T05:21:38Z | 2023-11-01T05:21:38Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%9B%BB%E6%B0%97%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%BD%B9%E5%8B%99%E6%8F%90%E4%BE%9B%E8%80%85%E3%81%AE%E6%90%8D%E5%AE%B3%E8%B3%A0%E5%84%9F%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E3%81%AE%E5%88%B6%E9%99%90%E5%8F%8A%E3%81%B3%E7%99%BA%E4%BF%A1%E8%80%85%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%A4%BA%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%AC%AC%EF%BC%91%E6%9D%A1 |
38,702 | 料理本/果実酒 | ここでは酒に果実などを漬け込む形の果実酒について説明します。
果実酒はホワイトリカーなどのさっぱりとしたクセのない酒に漬け込むことが多いです。また、焼酎やその他洋酒を用いることもあるので、試行錯誤するのも楽しいです。
漬け込むものは、果実の他にも薬草や野菜、花などを用いることもあります。また、味の調節をするために一緒にレモンや氷砂糖を入れるレシピもあります。
この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 | [
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] | ここでは酒に果実などを漬け込む形の果実酒について説明します。 | ここでは酒に果実などを漬け込む形の'''果実酒'''について説明します。
== 作り方 ==
果実酒は'''ホワイトリカー'''などのさっぱりとしたクセのない酒に漬け込むことが多いです。また、焼酎やその他洋酒を用いることもあるので、試行錯誤するのも楽しいです。
漬け込むものは、果実の他にも'''薬草'''や'''野菜'''、'''花'''などを用いることもあります。また、味の調節をするために一緒に'''レモン'''や'''氷砂糖'''を入れるレシピもあります。
;鍋
#0.5~5Lほどの広口瓶を用意する。
#広口瓶を洗剤で洗った後、鍋に入れて水から火にかけて5分ほど煮沸消毒をする。
#*鍋に入り切らないときは、温度差で割れることを防ぐため必ず瓶を温めてから、熱湯を注いでください。
#アルコールで消毒する。このとき少量のホワイトリカーなどで拭いても消毒効果がある。
;材料
*よく洗って、水気をしっかりと切ってください。ただし、雑菌が繁殖しやすくなるので傷をつけないよう注意してください。
**雑菌を繁殖させない処理を心がけてください。例えば、梅やいちごなどのヘタがついている場合は取り除く必要がありますし、心配ならばアルコールで拭くなどの消毒をしても良いでしょう。
;漬け込み
#材料と酒を瓶に入れ冷暗所に置いておきましょう。
#物によっては漬けすぎると雑味が出る材料もあるので、清潔な箸などを使って適切なタイミングで取り出しましょう。
#*例えば、風味づけのレモンは1ヶ月ほどが適切と言われています。各材料のタイミングはそれぞれのレシピから参照してください。
==果実酒==
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[[Category:料理本]]
[[Category:アルコール飲料]] | 2023-11-02T13:22:51Z | 2023-11-02T13:26:22Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E6%9E%9C%E5%AE%9F%E9%85%92 |
38,711 | 料理本/ウイスキー | ウイスキーは大麦やとうもろこし、ライ麦、小麦などの穀物を原料とした蒸留酒のことを指します。
蒸留酒ですので、40%以上、中には60%を超えるアルコール度数のものも存在しています。飲む際は、チェイサーを用意するといいでしょう。
この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。
ウイスキーは、水を加えると香りや味が際立ちより美味しくなると言われています。とはいえ、個人の好みによりますので量を調節しながら楽しんでください。
そのまま注ぎ、飲んでいく過程で少しずつ水を入れていくスタイル。文字通り調節が利く方法なので、自分の好みを探したい人におすすめ。
最初から1:1で水割りにする飲み方。このとき、水は常温のほうがより風味がよくなる。
大きめの氷にウイスキーを注ぐスタイル。少しずつ氷が溶け、味の変化も楽しめます。ほぼほぼストレートなので、キツイという人は1:2.5~3で水を加える水割り、同量の水を加えるハーフロックを試してみてください。
ロックのウイスキーを炭酸水で割る飲み方。かなりメジャーで、多くの店でバリエーションも豊かに提供されている。胡椒やはちみつのトッピングなどをしても美味しい。
また、ロックではなくグラス自体を冷やし、温度を低く保つ神戸ハイボールという手法も有名。 | [
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] | ウイスキーは大麦やとうもろこし、ライ麦、小麦などの穀物を原料とした蒸留酒のことを指します。 蒸留酒ですので、40%以上、中には60%を超えるアルコール度数のものも存在しています。飲む際は、チェイサーを用意するといいでしょう。
| [[File:A glass of whiskey? (3264021608).jpg|thumb|upright|グラスに入ったウイスキー]]
ウイスキーは大麦やとうもろこし、ライ麦、小麦などの穀物を原料とした蒸留酒のことを指します。
蒸留酒ですので、40%以上、中には60%を超えるアルコール度数のものも存在しています。飲む際は、チェイサーを用意するといいでしょう。
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==種類==
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==飲み方==
ウイスキーは、水を加えると香りや味が際立ちより美味しくなると言われています。とはいえ、個人の好みによりますので量を調節しながら楽しんでください。
===ストレート===
そのまま注ぎ、飲んでいく過程で少しずつ水を入れていくスタイル。文字通り調節が利く方法なので、自分の好みを探したい人におすすめ。
===トワイスアップ===
最初から1:1で水割りにする飲み方。このとき、水は常温のほうがより風味がよくなる。
===ロック===
大きめの氷にウイスキーを注ぐスタイル。少しずつ氷が溶け、味の変化も楽しめます。ほぼほぼストレートなので、キツイという人は1:2.5~3で水を加える'''水割り'''、同量の水を加える'''ハーフロック'''を試してみてください。
===ハイボール===
ロックのウイスキーを炭酸水で割る飲み方。かなりメジャーで、多くの店でバリエーションも豊かに提供されている。胡椒やはちみつのトッピングなどをしても美味しい。
また、ロックではなくグラス自体を冷やし、温度を低く保つ'''神戸ハイボール'''という手法も有名。
==参考資料==
*CROSSROAD LAB,ウイスキーを趣味にする,マイナビ出版,2021(第3刷)
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[[Category:アルコール飲料]]
[[Category:料理本]] | 2023-11-04T05:36:13Z | 2023-11-05T10:24:06Z | [
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38,713 | 流体力学 | 流体力学は連続体力学の一分野であり、流体の運動について議論する学問である。流体はそれ自身の変形が運動の大部分をしめており、剛体などの力学と比較しても特殊性を帯びる。
このページは物理学の観点で流体力学を論じるものである。工学などの範囲での流体力学は機械工学/流体力学を参照せよ。 | [
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] | 流体力学は連続体力学の一分野であり、流体の運動について議論する学問である。流体はそれ自身の変形が運動の大部分をしめており、剛体などの力学と比較しても特殊性を帯びる。 このページは物理学の観点で流体力学を論じるものである。工学などの範囲での流体力学は機械工学/流体力学を参照せよ。 | {{stub}}
流体力学は[[連続体の力学|連続体力学]]の一分野であり、流体の運動について議論する学問である。流体はそれ自身の変形が運動の大部分をしめており、剛体などの力学と比較しても特殊性を帯びる。
このページは物理学の観点で流体力学を論じるものである。工学などの範囲での流体力学は[[機械工学/流体力学]]を参照せよ。
==目次==
*[[流体力学概論]]
===流体運動の一般論===
*[[流体運動の一般論]]
**[[流体運動の一般論/流体の特性|流体の特性]]
**[[流体運動の一般論/流体の種類|流体の種類]]
**[[流体運動の一般論/流れの種類|流れの種類]]
**[[流体運動の一般論/流体の運動と力|流体の運動と力]]
**[[流体運動の一般論/流体力学の基礎方程式|流体力学の基礎方程式]]
===完全流体の運動===
*[[完全流体の運動]]
**[[完全流体の運動/一般論|一般論]]
**[[完全流体の運動/水の波|水の波]]
**[[完全流体の運動/ポテンシャル流|ポテンシャル流]]
**[[完全流体の運動/2次元ポテンシャル流|2次元ポテンシャル流]]
**[[完全流体の運動/渦運動|渦運動]]
===圧縮性流体の運動===
*[[圧縮性流体の運動]]
**[[圧縮性流体の運動/音波と衝撃波|音波と衝撃波]]
**[[圧縮性流体の運動/高速気流|高速気流]]
===粘性流体の運動===
*[[粘性流体の運動]]
**[[粘性流体の運動/粘性流の一般論|粘性流の一般論]]
**[[粘性流体の運動/代表的な粘性流|代表的な粘性流]]
**[[粘性流体の運動/遅い粘性流|遅い粘性流]]
**[[粘性流体の運動/境界層|境界層]]
===乱流===
*[[乱流]]
**[[乱流/流れの安定性|流れの安定性]]
**[[乱流/乱流|乱流]]
==参考書籍==
*巽友正, 新物理学シリーズ21 流体力学, 培風社, 1982(初版28刷)
*日本機械学会, 演習 流体力学, 日本機械学会, 2012(初版3刷)
{{DEFAULTSORT:りゆうたいりきかく}}
{{NDC|423.8}}
[[Category:流体力学|*]]
[[Category:書庫]] | 2023-11-04T16:06:48Z | 2024-03-15T21:13:02Z | [
"テンプレート:NDC",
"テンプレート:Stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B5%81%E4%BD%93%E5%8A%9B%E5%AD%A6 |
38,723 | 高等学校保健体育座学編/癌の原因と予防 | 本節では、2回に分けて癌を扱います。癌は中学生の時に軽く扱っていますが、より詳しく内容を解説します。
人間の体は約37兆個の細胞で出来ています。細胞を新しく作るための遺伝子が各細胞に入っています。普通、細胞が分かれて新しい遺伝子を作れるように、遺伝子は正しく複製されます(細胞分裂)。通常、異常な細胞が生まれても、免疫の働きから異常な細胞を取り除いたり直したりします。ところが、このような遺伝子の複製ミスが繰り返されると、異常な細胞も取り除いたり直したりしなくなります。その後、異常な細胞が急速に増えて、まわりの組織や臓器に広がります(浸潤)。さらに、異常な細胞はリンパ管や血管を通って、異常な細胞の発生場所からリンパ節や他の臓器に運ばれ、そこでも増えます(転移)。その結果、正常な組織の栄養を失って体が上手く働かなくなります。これを癌といいます。癌は日本の死亡原因の第1位になっています。
癌には、肺癌・大腸癌・胃癌・乳癌など様々な種類があります。日本人は外国人と比べると、胃癌・大腸癌・肝臓癌・肺癌・乳癌にかかりやすくなっています。胃癌と肝臓癌はアジアでよくみられますが、欧米ではあまりみられません。大腸癌と乳癌は日本で増加していますが、胃癌と肝臓癌は減少しています。西日本は肝臓癌にかかりやすく、東北地方は胃癌にかかりやすくなっています。過去と現在の喫煙率の違いや地域による喫煙率の違いが、このような違いを引き起こしているかもしれません。
★主な癌(悪性新生物)の種類とリスク要因
癌家系とは癌になりやすい人を表す言葉です。ほとんどの場合、喫煙・飲酒・食べ過ぎ・野菜不足・運動不足などの悪い生活習慣が原因です。このような事例に遺伝的要素はほとんどありません。最新の科学的研究がこのような事例を証明しています。しかし、全ての癌の発生原因はわかっていません。例えば、ほとんどの小児癌は、細菌・ウイルス・生活習慣と関係ありません。
タールは煙草の煙に含まれており、生活習慣に深く関係しています。人工化学物質に加えて、自然界の中にも発癌性物質が豊富です。私達はこのような物質と共存して生きています。
原因不明の癌もあるので、癌の早期発見・早期治療が大切です(二次予防)。癌は早期発見したら、すでに転移していても治ります。癌を早期発見するために、定期的な癌検診はとても大切です。特に40代を迎えたら、人間ドックなどで定期健診を受けましょう。 | [
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"text": "癌家系とは癌になりやすい人を表す言葉です。ほとんどの場合、喫煙・飲酒・食べ過ぎ・野菜不足・運動不足などの悪い生活習慣が原因です。このような事例に遺伝的要素はほとんどありません。最新の科学的研究がこのような事例を証明しています。しかし、全ての癌の発生原因はわかっていません。例えば、ほとんどの小児癌は、細菌・ウイルス・生活習慣と関係ありません。",
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"text": "原因不明の癌もあるので、癌の早期発見・早期治療が大切です(二次予防)。癌は早期発見したら、すでに転移していても治ります。癌を早期発見するために、定期的な癌検診はとても大切です。特に40代を迎えたら、人間ドックなどで定期健診を受けましょう。",
"title": "癌の予防"
}
] | 本節では、2回に分けて癌を扱います。癌は中学生の時に軽く扱っていますが、より詳しく内容を解説します。 | [[高等学校の学習]]>[[高等学校保健体育]]>[[高等学校保健体育座学編]]>癌の原因と予防
本節では、2回に分けて癌を扱います。癌は中学生の時に軽く扱っていますが、より詳しく内容を解説します。
== キーワード ==
癌・生活習慣・細菌やウイルスによる感染・発癌性物質・一次予防・二次予防
== 癌とその種類 ==
=== 癌とは ===
[[ファイル:Cancer progression from NIH japanese.png|サムネイル|295x295ピクセル|癌になるまでの過程]]
人間の体は約37兆個の細胞で出来ています。細胞を新しく作るための遺伝子が各細胞に入っています。普通、細胞が分かれて新しい遺伝子を作れるように、遺伝子は正しく複製されます(細胞分裂)。通常、異常な細胞が生まれても、免疫の働きから異常な細胞を取り除いたり直したりします。ところが、このような遺伝子の複製ミスが繰り返されると、異常な細胞も取り除いたり直したりしなくなります。その後、異常な細胞が急速に増えて、まわりの組織や臓器に広がります(浸潤)。さらに、異常な細胞はリンパ管や血管を通って、異常な細胞の発生場所からリンパ節や他の臓器に運ばれ、そこでも増えます(転移)。その結果、正常な組織の栄養を失って体が上手く働かなくなります。これを'''癌'''といいます。癌は日本の死亡原因の第1位になっています。
=== 癌の種類と原因 ===
癌には、'''肺癌・大腸癌・胃癌・乳癌'''など様々な種類があります。日本人は外国人と比べると、胃癌・大腸癌・肝臓癌・肺癌・乳癌にかかりやすくなっています。胃癌と肝臓癌はアジアでよくみられますが、欧米ではあまりみられません。大腸癌と乳癌は日本で増加していますが、胃癌と肝臓癌は減少しています。西日本は肝臓癌にかかりやすく、東北地方は胃癌にかかりやすくなっています。過去と現在の喫煙率の違いや地域による喫煙率の違いが、このような違いを引き起こしているかもしれません。
★主な癌(悪性新生物)の種類とリスク要因
{| class="wikitable"
!種類
!症状など
!リスク要因
!'''リスク'''
'''低減'''
'''要因'''
|-
!肺癌
|◆理由は不明ですが、肺や気管支の細胞が癌細胞(悪性新生物)に変わります。
◆日本人の癌の中で最も多くの人が亡くなっており、ほとんどが男性です。
◆肺癌は最も治療困難な癌の1つです。
|喫煙
受動喫煙
アスベスト
|
|-
!大腸癌
|◆大腸癌は、結腸・直腸・肛門に発生します。
◆日本人は直腸癌やS状結腸癌にかかりやすくなっています。
◆病状が悪化すると、血便、下痢や便秘の頻度も増えます。
◆病状が悪化すると、便が体内にあるような感覚になり、体重も減ります。
◆早期の自覚症状はあまりみられません。
|飲酒
肥満
|運動
|-
!胃癌
|◆ピロリ菌に感染すると、腸の粘膜で癌細胞が増えやすくなります。
◆男性がかかりやすく、50歳頃から増加します。
◆胃癌の種類としてスキルス癌があり、スキルス癌は胃壁が広がるにつれて厚く硬くなります。
|喫煙
ピロリ菌
食塩
|
|-
!膵臓癌
|◆膵臓癌は、膵臓の細胞内にほとんど出来ます。
◆初期の症状はそれほどみられません。
◆症状がひどくなると、腹痛・食欲不振・腹部膨張感・黄疸などの症状がみられます。
|喫煙
糖尿病
|
|-
!肝臓癌
|◆肝臓の細胞は、主に肝炎ウイルスに感染すると癌細胞に変わります。
◆女性よりも男性の方がかかりやすくなっています。
◆50歳代から増え始め、80歳前後でピークを迎えます。
|喫煙
飲酒
肥満
肝炎ウイルス
糖尿病
コーヒー
|
|-
!乳癌
|◆乳癌は女性に最もよく見られます。
◆乳管(母乳を運ぶ管)からよく発生するので、乳管癌とも呼ばれています。
◆自覚症状として、乳房のしこり、リンパ節の腫れなどがあります。
|肥満
|
|-
!子宮癌
|◆子宮癌には、子宮体癌と子宮頸癌の2種類があります。
◆子宮体癌は女性ホルモンの影響で子宮の奥に発生します。
◆子宮頸癌はヒトパピローマウイルスが子宮の入り口付近に感染して発生します。
◆もし、生理が来ていない時に出血したら、すぐに医師に相談してください。
|喫煙
ヒトパピローマウイルス
|
|-
!白血病
|◆白血病の発症原因は、ほとんどわかっていません。
◆白血病は小児癌全体の約40%を占めています。
◆血球が癌細胞(白血病細胞)に変わり、増殖を繰り返して発生します。
◆貧血・発熱・頭痛・気分の悪さ・骨の痛みなどがみられます。
|喫煙
|
|}
癌家系とは癌になりやすい人を表す言葉です。ほとんどの場合、喫煙・飲酒・食べ過ぎ・野菜不足・運動不足などの悪い'''生活習慣'''が原因です。このような事例に遺伝的要素はほとんどありません。最新の科学的研究がこのような事例を証明しています。しかし、全ての癌の発生原因はわかっていません。例えば、ほとんどの小児癌は、細菌・ウイルス・生活習慣と関係ありません。{{コラム|細菌・ウイルスの感染と癌| ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃の中に入ると、胃炎が繰り返され、胃癌になります。胃癌の約80%はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)から感染しています。また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染すると、慢性肝炎から肝臓癌にかかりやすくなります。また、子宮頸癌の約90%はヒトパピローマウイルスから感染しています。}}
タールは煙草の煙に含まれており、生活習慣に深く関係しています。人工化学物質に加えて、自然界の中にも'''発癌性物質'''が豊富です。私達はこのような物質と共存して生きています。
== 癌の予防 ==
=== リスクの軽減と一次予防 ===
バランスよく健康的な生活を送ると、<u>発癌率を下げて</u>、癌の予防に繋がります。若い時から健康的な生活習慣を身につけるのはとても大切です('''一次予防''')。例えば、'''禁煙・清潔・適度な身体運動・栄養たっぷりの食事'''などが挙げられます。しかし、健康的な生活を送っていても、癌に罹る場合もあります。2023年現在、約2人に1人(男性の65%、女性の51%)が人生のどこかで癌にかかります。また、癌の種類によって発癌率も変わります。例えば、細菌やウイルスの感染を取り除いたり、予防したりすると、発癌率が下がります。このように、癌を予防するために、癌の危険因子を取り除きましょう。
=== 早期発見 ===
原因不明の癌もあるので、癌の'''早期発見'''・早期治療が大切です('''二次予防''')。癌は早期発見したら、すでに転移していても治ります。癌を早期発見するために、定期的な癌検診はとても大切です。特に40代を迎えたら、人間ドックなどで定期健診を受けましょう。
== 資料出所 ==
* 第一学習社『高等学校 保健体育 Textbook編』北川薫ほか編著 2022年
* 大修館書店『現代高等保健体育』衞藤隆ほか編著 2022年
* 大修館書店『新高等保健体育』渡邉正樹ほか編著 2022年
[[カテゴリ:がん (悪性腫瘍)]] | 2023-11-05T13:11:22Z | 2023-11-26T11:49:59Z | [
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38,729 | 中学校社会 公民/用語集 | 公民用語集(必要に応じて編集をお願いします)
私たちの生活と現代社会
・グローバル化:人、物、金銭などがこっきょうを越えて活発に行き来し、地球規模で政治、経済、文化などの一体化が進む現象。(類 グローバリゼーション)
・国際化:異なる文化や歴史を持つ国々の交流が深まり、様々な面で互いに影響し合うようになること。
・グローバルスタンダード:世界で共通になっているルール、基準、規格。世界基準と訳される。世界基準を定める代表的な機関としてISO(国際標準化機構)があり、グローバル化の進展の中で世界共通の物差しの働きを担っている。
・国際分業:各国が自国の得意な産業に注力して、その産品を貿易によって各国間で取引すること。自国で生産する方が低コストですむ物に限って生産活動を行い、外国からの輸入の方が安いものは輸入することで利益を得ようという考えに立脚している。
国際分業についての解説
先進工業国が工業製品などを製造し、発展途上国が原材料や食料品の輸出を専門的に行ういわゆる垂直分業が主流であったが、発展途上国の経済発展や、新興国の登場で従来の垂直分業の形態は変化し、先進国どうしが種類の異なる工業製品を生産して貿易で交換し合う水平分業も盛んになっている。
・貿易:国と国の間で国境を越えて行われる財、サービスの移動のこと。財、サービスを相手国に売るのが輸出であり、相手国から購入するのが輸入である。
貿易摩擦:貿易に関して発生する様々な国家間の問題。貿易収支(貿易における収入と支出の差)の極端な黒字、極端な赤字は貿易国間の経済に大きな影響を与える。貿易の不均衡によって自国産業が衰退するなどの問題も起こっている。
国際競争:世界各国の企業を含めた地球規模の市場において、高品質かつ、低価格な商品を提供できるかを基礎って生き残りを図ること。国際競争によって技術革新が起こっていることも多い。
多国籍企業:世界の様々な国に子会社を持ち、世界各地で経済活動を行っている企業のこと。アメリカのIT企業は有名な例。
国際交流:他の国の人々と情報や文化を交換したり、互いの国を訪問しあったりすることで関係を強化すること。NPO(非営利組織)や市民団体の活動も盛ん。
多文化社会:宗教、文化、生活様式の異なる多くの人々から成る社会。グローバル化の進展によって築かれつつある。文化の多様性を尊重し、いずれの文化も同等の価値を持つという考えに立脚している。 | [
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==私たちの生活と現代社会==
・グローバル化:人、物、金銭などが国境を越えて活発に行き来し、地球規模で政治、経済、文化などの一体化が進む現象。(類 グローバリゼーション)
・国際化:異なる文化や歴史を持つ国々の交流が深まり、様々な面で互いに影響し合うようになること。
・グローバルスタンダード:世界で共通になっているルール、基準、規格。世界基準と訳される。世界基準を定める代表的な機関としてISO(国際標準化機構)があり、グローバル化の進展の中で世界共通の物差しの働きを担っている。
・国際分業:各国が自国の得意な産業に注力して、その産品を貿易によって各国間で取引すること。自国で生産する方が低コストですむ物に限って生産活動を行い、外国からの輸入の方が安いものは輸入することで利益を得ようという考えに立脚している。
国際分業についての解説
先進工業国が工業製品などを製造し、発展途上国が原材料や食料品の輸出を専門的に行ういわゆる垂直分業が主流であったが、発展途上国の経済発展や、新興国の登場で従来の垂直分業の形態は変化し、先進国どうしが種類の異なる工業製品を生産して貿易で交換し合う水平分業も盛んになっている。
・貿易:国と国の間で国境を越えて行われる財、サービスの移動のこと。財、サービスを相手国に売るのが輸出であり、相手国から購入するのが輸入である。
貿易摩擦:貿易に関して発生する様々な国家間の問題。貿易収支(貿易における収入と支出の差)の極端な黒字、極端な赤字は貿易国間の経済に大きな影響を与える。貿易の不均衡によって自国産業が衰退するなどの問題も起こっている。
国際競争:世界各国の企業を含めた地球規模の市場において、高品質かつ、低価格な商品を提供できるかを基礎って生き残りを図ること。国際競争によって技術革新が起こっていることも多い。
多国籍企業:世界の様々な国に子会社を持ち、世界各地で経済活動を行っている企業のこと。アメリカのIT企業は有名な例。
国際交流:他の国の人々と情報や文化を交換したり、互いの国を訪問しあったりすることで関係を強化すること。NPO(非営利組織)や市民団体の活動も盛ん。
多文化社会:宗教、文化、生活様式の異なる多くの人々から成る社会。グローバル化の進展によって築かれつつある。文化の多様性を尊重し、いずれの文化も同等の価値を持つという考えに立脚している。
食料自給率:国内で消費される食料のうち、国内で賄えている食料の割合。日本の食料自給率は特筆して低い。
[[カテゴリ:中学校公民|用語集]] | 2023-11-08T08:09:09Z | 2023-11-09T06:54:31Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%A4%BE%E4%BC%9A_%E5%85%AC%E6%B0%91/%E7%94%A8%E8%AA%9E%E9%9B%86 |
38,731 | 将棋/▲7六歩/△3ニ飛 | 当ページ「将棋/▲7六歩/△3ニ飛」はまもなく削除される予定です。理由は以下の通りです。
削除に同意されないのであれば、方針などを確認して、ページを適切なものに書き換えた上で、このテンプレートを取り除いてください。勝手に取り除いた場合、投稿ブロックされる恐れがあります。 | [
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38,753 | 将棋/▲7六歩/△8四歩/▲5六歩 | ▲7六歩は△3四歩ならば、▲7五歩の石田流も狙うことができる。▲7六歩に△8四歩は石田流にはしにくい。もし▲7五歩と伸ばしても、△8五歩とされると▲7七角とせざるを得ない。
▲7六歩△8四歩▲5六歩に△5四歩であれば、▲5五歩△同歩▲同角が生じる。
基本図1で、▲5八飛の他に▲8八飛~▲8六歩、▲8八飛△3四歩▲6八銀 もある。
△4二玉の位置で△3四歩は早く、図の▲7五角がある。
今度は△6二銀があるので、▲7五角の筋は受けることができる。
△6二銀で△3四歩は▲2二角成△同銀▲5三角から馬をつくる順がある。以下△4四角なら▲同馬△同歩▲4三角など。
▲3八玉で▲5五歩は△同歩▲同飛△3四歩▲5四飛△7七角成▲同桂△4五角。
図の▲6八銀は角交換に備える手。
△6二銀に、直ちに▲5五歩もある。△同歩に▲同飛もあるが、▲同角もある。以下△8六歩であると、▲3三角成で対局が終了する。
▲同飛に、△4二玉で▲7八金とし、以下△3二玉▲4八玉で△3四歩であると▲5四飛がある。△7七角成▲同桂△4五角▲5五飛△2七角成は、▲2五飛△5四馬▲2四歩。
▲4八玉に戻って△4二銀▲3八玉△5一金右▲2八玉△3四歩▲5六飛。以下△7七角成▲同桂△8六歩(▲7五歩とされる前に)▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛▲7五歩で、
途中▲5六飛のところで▲5二飛成は△同金▲2二角成△同玉▲4一角△5一金(△5一銀右は▲3二金以下詰み)で、▲3二金は△1二玉▲5二歩△4一金▲同金△3三銀で、後手が受け切れる。
途中△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛で、▲8三歩△同飛▲6一角は、△5五歩▲同飛△5四歩▲同飛△5三歩▲3四飛△3三歩▲8三角成△3四歩など。
後手がさらに△3二玉と深く移動すると、▲5五歩が生じる。
図以下△3四歩は▲5四飛があり、次に▲3四飛や▲2二角成△同銀▲6六角から▲8四飛などの狙いがある。
▲5四飛以下、△7七角成▲同桂△8六歩▲同歩△同飛は▲6五桂。
初手▲5六歩から始める指し方もある。後手△8四歩であれば▲7六歩△8五歩▲7七角△5四歩▲5八飛で基本図1と合流する。
初手▲5六歩の意味は、▲7六歩で△3四歩であると▲5六歩には△8八角成~△5七角から馬を作られる順があるので、先に▲5六歩~▲5八飛とすれば馬を作られる順がない。
#▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △3四歩 ▲5五歩に合流。
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[[w:先手中飛車|先手中飛車]]を目指す手。
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== △3四歩▲5五歩△8五歩▲5八飛 ==
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|7手目▲5八飛まで}}
△8六歩▲同歩△同飛には▲7八金と、▲5四歩<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=S_lkZhWU6gcC&pg=PA17#v=onepage&q&f=false よくわかる中飛車] 17ページ</ref>がある。△同歩▲2二角成△同銀▲7七角に
#△8九飛成▲2二角成△3三角▲2一馬のあと、△9九角成では▲5三桂で△8六桂などが効かない。
#△8二飛は、▲5四飛△5三歩▲同飛成△5二金右▲5八竜△3三銀▲8六歩など。
図以下、△6二銀▲4八玉△4二玉▲3八玉で
#△8六歩は、▲同歩△同飛▲5四歩から角交換後の7五角がある。
#△3二玉以下は▲7七角△4二銀▲6八銀△5二金右▲5七銀△4四歩▲5六銀△4三銀▲2八玉△6四歩▲3八銀△7四歩▲4六歩△1四歩▲1六歩△4二金直▲6六歩△6三銀▲5九角△7三桂▲7八飛など。
{{-}}
== △5四歩▲5五歩△同歩▲同角 ==
△5四歩であれば、▲5五歩△同歩▲同角が生じる。
# △8五歩には▲7七角とすると、次に▲5四歩などがある。
# △6二銀は、▲3三角成で対局が終了する<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=5pS_BQAAQBAJ&pg=PA108#v=onepage&q&f=false わかる! 勝てる!! 現代中飛車] 108頁</ref>。
# △3四歩も、▲2二角成~▲7七馬。
=== △8五歩▲7七角 ===
{{shogi diagram|tright|
|後手 歩
|lg|ng|sg|gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| | | | | |bg|
|pg| |pg|pg| |pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
| |pg| | |dads| | | |
| | |ps|dad| | | | |
|ps|ps|bsl|ps| |ps|ps|ps|ps
| | | | |rs| | | |
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 歩
|9手目▲7七角まで}}
{{-}}
== △8五歩▲7七角△5四歩▲5八飛 ==
▲5八飛に代えて▲8八飛~▲8六歩<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=yWOUBgAAQBAJ&pg=PA8#v=onepage&q&f=false 破壊力抜群!角道オープン向かい飛車 徹底ガイド] 8ページ</ref>、▲8八飛△3四歩▲6八銀
<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=cWfJCQAAQBAJ&pg=PA31#v=onepage&q&f=false 升田の研究 鬼手と石田流] 31ページ</ref>もある。
=== △4二玉▲4八玉△3四歩▲2二角成△同銀▲7五角 ===
{{shogi diagram|tright|
|後手 角
|lg|ng|sg|gg| |gg|sg|ng|lg
| |rg| | | |kg| | |
|pg| |pg|pg| |pg| |pg|pg
| | | | |pg| |pg| |
| |pg|bsl| | | | | |
| | |ps| |ps| | | |
|ps|ps| |ps| |ps|ps|ps|ps
| | | | |rs|ks| | |
|ls|ns|ss|gs| |gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|図は▲7五角まで}}
△4二玉の位置で△3四歩は早く、図の▲7五角がある。
# △5二玉は▲5五歩
# △3二玉は▲5三角成△4四角で、▲4四同馬△同歩▲5五歩△同歩▲5四角△3一玉▲6三角成△4五角▲6四馬△3二玉▲7八銀△2七角成▲5四歩
{{-}}
=== △6二銀 ===
==== ▲4八玉△4二玉▲3八玉 ====
===== △3四歩▲6八銀 =====
{{shogi diagram|tright|
|後手 なし
|lg|ng| |gg| |gg|sg|ng|lg
| |rg| |sg| |kg| |bg|
|pg| |pg|pg| |pg| |pg|pg
| | | | |pg| |pg| |
| |pg| | | | | | |
| | |ps| |ps| | | |
|ps|ps|bs|ps| |ps|ps|ps|ps
| | | |ssl|rs| |ksl| |
|ls|ns|durh|gs| |gs|ss|ns|ls
|先手 なし
|図は▲6八銀まで<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=kYiJAwAAQBAJ&pg=PA52#v=onepage&q&f=false 将棋の教科書 現代振り飛車] 52ページ</ref><ref>[https://books.google.co.jp/books?id=cikGAwAAQBAJ&pg=PA52#v=onepage&q&f=false ライバルに勝つ最新定跡] 52ページ</ref><ref>[https://books.google.co.jp/books?id=FmoIBAAAQBAJ&pg=PA54#v=onepage&q&f=false 久保流 最強先手振り飛車] 54ページ</ref><ref>[https://books.google.co.jp/books?id=P-V1CQAAQBAJ&pg=PA7#v=onepage&q&f=false 遠山流中飛車持久戦ガイド] 7頁</ref><ref>[https://books.google.co.jp/books?id=c-p1CQAAQBAJ&pg=PA48#v=onepage&q&f=false 遠山流中飛車急戦ガイド] 48ページ</ref>
}}
今度は△6二銀があるので、▲7五角の筋は受けることができる。
△6二銀で△3四歩は▲2二角成△同銀▲5三角から馬をつくる順がある<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=5pS_BQAAQBAJ&pg=PA107#v=onepage&q&f=false わかる! 勝てる!! 現代中飛車] 107ページ</ref>。以下△4四角なら▲同馬△同歩▲4三角など。
▲3八玉で▲5五歩は△同歩▲同飛△3四歩▲5四飛△7七角成▲同桂△4五角。
図の▲6八銀は角交換に備える手。
{{-}}
===== △3二玉▲5五歩△同歩▲同飛 =====
{{shogi diagram|tright|
|後手 歩
|lg|ng| |gg| |gg|sg|ng|lg
| |rg| |sg| | |kg|bg|
|pg| |pg|pg| |pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
| |pg| | |rsl| | | |
| | |ps| | | | | |
|ps|ps|bs|ps| |ps|ps|ps|ps
| | | | | | |ks| |
|ls|ns|ss|gs| |gs|ss|ns|ls
|先手 歩
|図は▲5五同飛まで}}
後手がさらに△3二玉と深く移動すると、▲5五歩が生じる。
図以下△3四歩は▲5四飛があり<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=7osmBgAAQBAJ&pg=PA13#v=onepage&q&f=false すぐ勝てる!先手中飛車] 13頁</ref>、次に▲3四飛や▲2二角成△同銀▲6六角から▲8四飛などの狙いがある。
▲5四飛以下、△7七角成▲同桂△8六歩▲同歩△同飛は▲6五桂。
{{-}}
==== ▲5五歩△同歩▲同角 ====
{{shogi diagram|tright|
|後手 歩
|lg|ng| |gg|kg|gg|sg|ng|lg
| |rg| |sg| | | |bg|
|pg| |pg|pg| |pg|pg|pg|pg
| | | | | | | | |
| |pg| | |bsl| | | |
| | |ps| | | | | |
|ps|ps| |ps| |ps|ps|ps|ps
| | | | |rs| | | |
|ls|ns|ss|gs|ks|gs|ss|ns|ls
|先手 歩
|図は▲5五同角まで}}
△6二銀に、直ちに▲5五歩もある。△同歩に▲同飛もあるが、▲同角もある。以下△8六歩であると、▲3三角成で対局が終了する<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=5pS_BQAAQBAJ&pg=PA108#v=onepage&q&f=false わかる! 勝てる!! 現代中飛車] 108頁</ref>。
▲同飛に、△4二玉で▲7八金とし、以下△3二玉▲4八玉で△3四歩であると▲5四飛がある。△7七角成▲同桂△4五角▲5五飛△2七角成は、▲2五飛△5四馬▲2四歩。
▲4八玉に戻って△4二銀▲3八玉△5一金右▲2八玉△3四歩▲5六飛。以下△7七角成▲同桂△8六歩(▲7五歩とされる前に)▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛▲7五歩で、
#△5三銀右は、▲5四歩△6四銀(△4四銀は▲6五桂)▲7一角など。
#△6四歩は、▲8六歩△6三銀▲8五歩△7四歩▲同歩(▲8六飛△9五角)△同銀▲5五角~▲6四角~▲5四歩など。
途中▲5六飛のところで▲5二飛成は△同金▲2二角成△同玉▲4一角△5一金(△5一銀右は▲3二金以下詰み)で、▲3二金は△1二玉▲5二歩△4一金▲同金△3三銀で、後手が受け切れる。
途中△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛で、▲8三歩△同飛▲6一角は、△5五歩▲同飛△5四歩▲同飛△5三歩▲3四飛△3三歩▲8三角成△3四歩など。
{{-}}
== 参考文献 ==
<references />
== 外部リンク ==
* [https://www.youtube.com/watch?v=SLvVm3nqN-k 目指せ 初段 第93回]
* [http://www.youtube.com/watch?v=mnMQHEUQnJQ 目指せ 初段 第40回]
* [https://www.youtube.com/watch?v=-kusrkTTwB4 中飛車基本手筋17](ゴキゲン中飛車初回 著
* [http://shogisenkei.wiki.fc2.com/wiki/%E5%BE%8C%E6%89%8B%E3%82%B4%E3%82%AD%E3%82%B2%E3%83%B3%E4%B8%AD%E9%A3%9B%E8%BB%8A 観る将棋ファンのための序盤戦型ガイド 後手ゴキゲン中飛車]
* [http://books.google.co.jp/books?id=t7AcAgAAQBAJ&pg=PA8 Google book ゴキゲン中飛車で行こう] 近藤正和 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=l4K3DwAAQBAJ&pg=PA12 Google book 戸辺流こだわりのゴキゲン中飛車] 戸辺誠 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=KXa3DwAAQBAJ&pg=PA6 Google book これだけで勝てる ゴキゲン中飛車のコツ] 大平武洋 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=6ZLLDwAAQBAJ&pg=PA6 Google book 中飛車粉砕!超速▲3七銀戦法のすべて] 長岡裕也 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=2YDmDwAAQBAJ&pg=PA6 Google book 堅陣で圧倒!対中飛車一直線穴熊] 長谷部浩平 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=tNAjDQAAQBAJ&pg=PA8 Google book 振り飛車最前線 ゴキゲン中飛車VS超速▲4六銀戦法] 杉本昌隆 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=HWwCDQAAQBAJ&pg=PA6 Google book 決定版!ゴキゲン中飛車VS超急戦 ~将棋史上最も過激な殴り合い~] 畠山成幸 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=xVheCwAAQBAJ&pg=PA8 Google book ゴキゲン中飛車で勝つための7つの鉄則と16の心得] 宮本広志 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=hX23DwAAQBAJ&pg=PA8 Google book 対抗形の急所がわかる! 居飛車VS振り飛車の重要テーマ] 上村亘 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=LS4eDAAAQBAJ&pg=PA12 Google book 青嶋の結論 対中飛車・居飛車穴熊必勝ガイド] 青嶋未来 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=4qEkDAAAQBAJ&pg=PA8 Google book 禁断のオッサン流振り飛車破り] 神谷広志 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=yyP2AgAAQBAJ&pg=PA9 Google book ひと目の中飛車](マイナビ将棋文庫SP、長岡裕也 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=S_lkZhWU6gcC&pg=PA106 Google book よくわかる中飛車](第2章・後手番ゴキゲン中飛車)藤倉勇樹 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=cLEcAgAAQBAJ&pg=PA18 Google book 中飛車破り 一直線穴熊徹底ガイド](第1章・先手一直線穴熊VSゴキゲン中飛車)髙見泰地 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=fn3pBAAAQBAJ&pg=PA54 Google book 最新定跡村山レポート] ゴキゲン中飛車vs超速3七銀 村山慈明・著
* [http://books.google.co.jp/books?id=cikGAwAAQBAJ&pg=PA7 Google book ライバルに勝つ最新定跡](第1章・後手番ゴキゲン中飛車 第2章・ゴキゲン中飛車超急戦) 村山慈明・著
* [http://books.google.co.jp/books?id=cEKLAgAAQBAJ&pg=PA29 Google book アマの知らない マル秘定跡](第2章・ゴキゲン中飛車対策 5八金右超急戦)
* [http://books.google.co.jp/books?id=0uVcAgAAQBAJ&pg=PA5 Google book 最新戦法 マル秘定跡ファイル](第1章・ゴキゲン中飛車対策 丸山ワクチン) 村田顕弘・著
* [http://books.google.co.jp/books?id=lbEcAgAAQBAJ&pg=PA7 Google book 長岡研究ノート 振り飛車編](第1章・ゴキゲン中飛車対策) 長岡裕也・著
* [https://books.google.co.jp/books?id=bYUmBgAAQBAJ&pg=PA33 Google book 久保&菅井の振り飛車研究] 超急戦 稲葉新手3三香 久保利明、菅井竜也 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=h5K3CgAAQBAJ&pg=PT21 Google book 三浦&阿部健の居飛車研究] ゴキゲン中飛車対超急戦 三浦弘行、阿部健治郎 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=5ttuAwAAQBAJ&pg=PA6 Google book 最新の振り飛車対策・7八金型、5八金右超急戦、二枚銀、超速3七銀] 深浦康市 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=OFdxBAAAQBAJ&pg=PA6 Google book 速攻!ゴキゲン中飛車破り・第1章超速3七銀戦法] 中村太地 著
* [http://books.google.co.jp/books?id=nq_NBAAAQBAJ&pg=PA128 Google book 居飛車穴熊の教科書・ゴキゲン中飛車vs居飛車穴熊] 高橋道雄 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=JCXGBwAAQBAJ&pg=PA132 Google book とっておきの穴熊退治] 佐藤秀司 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=oOnDCAAAQBAJ&pg=PA52 Google book 解明!相穴熊の最先端] 北島忠雄 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=P-V1CQAAQBAJ&pg=PA12 Google book 遠山流中飛車持久戦ガイド] 遠山雄亮 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=c-p1CQAAQBAJ&pg=PA112 Google book 遠山流中飛車急戦ガイド] 遠山雄亮 著
* [https://books.google.co.jp/books?id=9_F1CQAAQBAJ&pg=PA7 Google book 早分かり 中飛車定跡ガイド] 所司和晴 著
* [https://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/1720430e.d6fb9548.1720430f.9f3d2519/?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Frakutenkobo-ebooks%2F1c0c606c8a133fc6b6de89de1e6c685e%2F&m=http%3A%2F%2Fm.rakuten.co.jp%2Frakutenkobo-ebooks%2Fi%2F16131472%2F&link_type=picttext&ut=eyJwYWdlIjoiaXRlbSIsInR5cGUiOiJwaWN0dGV4dCIsInNpemUiOiIxMjh4MTI4IiwibmFtIjoxLCJuYW1wIjoicmlnaHQiLCJjb20iOjAsImNvbXAiOiJyaWdodCIsInByaWNlIjowLCJib3IiOjAsImNvbCI6MCwiYmJ0biI6MX0%3D これだけで勝てる ゴキゲン中飛車のコツ]【電子書籍】 大平 武洋 著
* [https://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/1720430e.d6fb9548.1720430f.9f3d2519/?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Frakutenkobo-ebooks%2F0fc62d331a7b39c98662494548caa1aa%2F&link_type=picttext&ut=eyJwYWdlIjoiaXRlbSIsInR5cGUiOiJwaWN0dGV4dCIsInNpemUiOiIxMjh4MTI4IiwibmFtIjoxLCJuYW1wIjoicmlnaHQiLCJjb20iOjEsImNvbXAiOiJkb3duIiwicHJpY2UiOjAsImJvciI6MCwiY29sIjoxLCJiYnRuIjowLCJwcm9kIjowfQ%3D%3D 中飛車粉砕!超速▲3七銀戦法のすべて]【電子書籍】長岡裕也 著
[[カテゴリ:将棋|7]] | 2023-11-09T05:15:39Z | 2023-11-09T06:08:03Z | [
"テンプレート:Shogi diagram",
"テンプレート:-"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%86%E6%A3%8B/%E2%96%B27%E5%85%AD%E6%AD%A9/%E2%96%B38%E5%9B%9B%E6%AD%A9/%E2%96%B25%E5%85%AD%E6%AD%A9 |
38,757 | 中学校家庭/持続可能な衣生活を目指して | 衣生活を送るためには多くの資源を使います。合成繊維の主な原料は石油ですが、石油の埋蔵量は以前より減っています。竹やとうもろこしのような成長の早い植物の繊維は、新しい原料を作るのに多くのエネルギーを必要としても、衣類の原料として使われています。
豊かな衣生活を送るためにもっと考えてみたら、私達は資源や世界を守らなければならない立場だと思い出すきっかけになるかもしれません。そのためには、生産から廃棄までの流れを見直す仕組みを考えなければなりません。必要以上に服を買いすぎると、お金と資源を無駄にしてしまいます。特に、服の流行はすぐに変わってしまいます。衣服計画に従って、すでに持っている服を使いましょう。いらなくなったら、再利用するか処分するか考えましょう。
繊維再利用の取り組みとして、学校の体操服の再利用があります。体操服は再生可能な素材のポリエステル繊維を使っています。使用後に回収して、化学的に分解します。原料まで戻して、何度でも再生出来ます。
環境や資源にやさしい衣生活を送るために何か出来ませんか?簡単に、冷暖房に頼りすぎず、季節に合わせて服装を変えてみましょう。衣服に使われている素材や着心地を調べたり、着方を工夫したりすると、快適な衣生活が送れます。さらに、洗濯前にしみ抜きをして、洗濯時は水や洗剤を使いすぎないように気をつけましょう。
全く使えない場合は、資源回収に出しましょう。様々なリサイクル方法がありますが、衣類はあまりリサイクルされていません。私達の生活の中でも、もっとよく出来そうな内容は数多くあります。より豊かな衣生活を送るために、これまでの衣生活の知識や技能を活かしていきましょう。 | [
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== 資源や環境と衣服 ==
衣生活を送るためには多くの資源を使います。合成繊維の主な原料は石油ですが、石油の埋蔵量は以前より減っています。竹やとうもろこしのような成長の早い植物の繊維は、新しい原料を作るのに多くのエネルギーを必要としても、衣類の原料として使われています。
豊かな衣生活を送るためにもっと考えてみたら、私達は資源や世界を守らなければならない立場だと思い出すきっかけになるかもしれません。そのためには、生産から廃棄までの流れを見直す仕組みを考えなければなりません。必要以上に服を買いすぎると、お金と資源を無駄にしてしまいます。特に、服の流行はすぐに変わってしまいます。衣服計画に従って、すでに持っている服を使いましょう。いらなくなったら、再利用するか処分するか考えましょう。{{コラム|衣料品の回収で持続可能な社会 衣料品メーカー シェルバ英子さん|私は、全ての自社製品を定期的に企画・製造・販売しているただ一人の衣料品メーカーです。そのため、企画から販売までの各段階で、社会や環境に負担をかけない方法を考えて実行しています。また、自社の古着を店頭や学校で回収して、世界中の難民や避難民に送ったり、リサイクルに役立てたりしています。訪問先の学校では、難民問題や人からもらった服の使い方について学ぶ授業もあります。持続可能な社会をつくるためには、国や国連機関だけではありません。企業・社会・私達個人が力を合わせなければなりません。そして、皆さんもその役割を担っています。}}
繊維再利用の取り組みとして、学校の体操服の再利用があります。体操服は再生可能な素材のポリエステル繊維を使っています。使用後に回収して、化学的に分解します。原料まで戻して、何度でも再生出来ます。
== 資源や環境にやさしい衣生活の工夫 ==
環境や資源にやさしい衣生活を送るために何か出来ませんか?簡単に、冷暖房に頼りすぎず、季節に合わせて服装を変えてみましょう。衣服に使われている素材や着心地を調べたり、着方を工夫したりすると、快適な衣生活が送れます。さらに、洗濯前にしみ抜きをして、洗濯時は水や洗剤を使いすぎないように気をつけましょう。
{| style="border:2px solid #e7e747;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#e7e747" |'''江戸時代と循環型社会'''
|-
| style="padding:5px" |★物を大切にする心[[ファイル:着物のリサイクル.png|サムネイル|407x407ピクセル|着物のリサイクル]]江戸時代は「物を大切にして、最後まで使い切る」という考え方で暮らしていました。なぜなら、現代に比べて資源が限られていたからです。着物・履物・食器・桶・傘など、ほとんどの日用品が再利用されました。また、リユース業者やリサイクル業者も数多くありました。このような考え方や取り組みを参考にして、現代の循環型社会を作っていきましょう。
★江戸時代の衣生活
普通の人は、季節に合わせて裏地を縫い付けたり、綿を入れたりして、1枚の着物を変えるかもしれません。普通の人はあまり新しい服を買いません。着物が必要になったら、古着屋で古着を買って、いらなくなったら売っていました。着物が少ないので、家にタンスがありません。代わりに、つづらや柳行李の箱の中に入れていました。
★着物のリサイクル
江戸時代は、綿花を綿糸にして、綿糸を反物にして、反物を縫い合わせて着物を作りました。古くなって着られなくなると、着物はおむつや雑巾として使われました。それらがぼろぼろになると火起こしに使われ、その灰の一部は綿花栽培の肥料として使われました。灰は肥料だけでなく、染め物を色付けるための溶剤の原料にもなりました。このように、着物を上手に再利用しています。
|}
全く使えない場合は、資源回収に出しましょう。様々なリサイクル方法がありますが、衣類はあまりリサイクルされていません。私達の生活の中でも、もっとよく出来そうな内容は数多くあります。より豊かな衣生活を送るために、これまでの衣生活の知識や技能を活かしていきましょう。
[[カテゴリ:中学校家庭科|しそくかのうないせいかつをめさして]] | 2023-11-11T20:05:04Z | 2023-11-15T21:20:37Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%AE%B6%E5%BA%AD/%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E8%A1%A3%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%A6 |
38,761 | CMake | CMakeは、ソフトウェアのビルドプロセスを管理するためのクロスプラットフォームなビルドシステムです。ソースコードから実行可能なバイナリやライブラリを生成するためのビルド手順を定義し、異なる環境でのビルドを容易にします。
CMakeの重要性と利点は以下のように要約されます:
このような特性により、CMakeはソフトウェア開発におけるビルドプロセスの複雑さを抑え、プロジェクト全体のメンテナンス性と移植性を向上させます。
以下は、単一のソースからのビルドをCMakeを使って行う例です。
まず、新しいディレクトリを作成し、その中にプロジェクトを設定します。
プロジェクトルートディレクトリに CMakeLists.txt ファイルを作成します。このファイルには、プロジェクトの設定やビルド手順が含まれます。
プロジェクトルートに main.cpp ファイルを作成し、簡単なC++コードを追加します。
プロジェクトルートディレクトリ外でビルドディレクトリを作成し、そこでCMakeを使用してプロジェクトをビルドします。
ビルドが成功したら、生成された実行ファイルを実行できます。
これで、簡単なCMakeプロジェクトの作成ができました! これは基本的な例ですが、複雑なプロジェクトではさらに多くの機能や設定が必要になることがあります。
以下は、複数のソースからのビルドをCMakeを使って行う例です。
複数のソースファイルを含むプロジェクトをCMakeで設定する方法を示します。例として、2つのソースファイル main.cpp と helper.cpp を含むプロジェクトを考えます。
プロジェクトディレクトリを作成し、ソースファイルを配置します。
プロジェクトのルートにある CMakeLists.txt ファイルを以下のように設定します。
この例では、set コマンドを使ってソースファイルのリストを作成し、add_executable コマンドでそれらのファイルを含む実行ファイルを生成しています。
それぞれのソースファイル (main.cpp と helper.cpp) を以下のように記述します。
関数のプロトタイプを含むヘッダーファイル helper.h を作成します。
ビルドを行うために、ビルドディレクトリを作成してCMakeを実行します。
これで、main.cpp と helper.cpp を含むCMakeプロジェクトがビルドされます。
CMakeは、ジェネレーター(生成するビルドシステムや開発環境)を-Gオプションで指定することができます。
以下は-Gオプションの一部の一般的な使用例です:
この-Gオプションを使用することで、CMakeは特定のビルドシステムや開発環境向けの構成ファイルを生成します。これにより、プロジェクトをビルドするための準備が整います。
生成可能なジェネレターの一覧は、cmake -G で確認できます。
デフォルトのジェネレターには先頭に * が付き、上記の例では Unix Makefiles です。 | [
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"text": "プロジェクトルートディレクトリ外でビルドディレクトリを作成し、そこでCMakeを使用してプロジェクトをビルドします。",
"title": "単一のソースからのビルド"
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"title": "複数のソースからのビルド"
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"text": "プロジェクトのルートにある CMakeLists.txt ファイルを以下のように設定します。",
"title": "複数のソースからのビルド"
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"text": "CMakeは、ジェネレーター(生成するビルドシステムや開発環境)を-Gオプションで指定することができます。",
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"text": "以下は-Gオプションの一部の一般的な使用例です:",
"title": "ジェネレターの選択"
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"text": "この-Gオプションを使用することで、CMakeは特定のビルドシステムや開発環境向けの構成ファイルを生成します。これにより、プロジェクトをビルドするための準備が整います。",
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"text": "生成可能なジェネレターの一覧は、cmake -G で確認できます。",
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"text": "デフォルトのジェネレターには先頭に * が付き、上記の例では Unix Makefiles です。",
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] | CMakeは、ソフトウェアのビルドプロセスを管理するためのクロスプラットフォームなビルドシステムです。ソースコードから実行可能なバイナリやライブラリを生成するためのビルド手順を定義し、異なる環境でのビルドを容易にします。 CMakeの重要性と利点は以下のように要約されます: このような特性により、CMakeはソフトウェア開発におけるビルドプロセスの複雑さを抑え、プロジェクト全体のメンテナンス性と移植性を向上させます。 | {{Wikipedia|CMake}}
CMakeは、ソフトウェアのビルドプロセスを管理するためのクロスプラットフォームなビルドシステムです。ソースコードから実行可能なバイナリやライブラリを生成するためのビルド手順を定義し、異なる環境でのビルドを容易にします。
CMakeの重要性と利点は以下のように要約されます:
;クロスプラットフォーム性:CMakeは、UNIX、Windows、Mac、Linuxなどのさまざまなプラットフォームで動作し、一貫したビルドプロセスを提供します。プラットフォーム依存のコードを管理するための便利な仕組みを提供します。
;ビルドの抽象化と自動化:CMakeは、ビルドプロセスを抽象化し、開発者がプロジェクトの複雑さに応じて柔軟にカスタマイズできるようにします。これにより、繰り返し行うビルド作業の自動化や、異なる環境でのビルドの簡略化が可能になります。
;モジュール性と再利用性:CMakeは、モジュール化されたコンポーネントやライブラリの管理を容易にします。プロジェクト全体で使用される共通の設定やビルド手順を再利用可能なモジュールとして作成し、他のプロジェクトで簡単に適用できます。
;複数のビルドターゲットのサポート:CMakeは、実行可能ファイルや静的/共有ライブラリなどのさまざまなビルドターゲットをサポートし、複数のターゲットの同時ビルドを管理できます。これにより、大規模なプロジェクトでの効率的なビルドが可能になります。
;カスタム機能と拡張性:CMakeはカスタムビルド手順や環境依存の設定をサポートし、プロジェクトの特定のニーズに合わせて拡張できます。外部ツールの統合や特定のビルドフローのカスタマイズなどが可能です。
このような特性により、CMakeはソフトウェア開発におけるビルドプロセスの複雑さを抑え、プロジェクト全体のメンテナンス性と移植性を向上させます。
== 単一のソースからのビルド ==
以下は、単一のソースからのビルドをCMakeを使って行う例です。
=== プロジェクトディレクトリの作成 ===
まず、新しいディレクトリを作成し、その中にプロジェクトを設定します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% mkdir my_project
% cd my_project
</syntaxhighlight>
=== CMakeLists.txtファイルの作成 ===
プロジェクトルートディレクトリに <code>CMakeLists.txt</code> ファイルを作成します。このファイルには、プロジェクトの設定やビルド手順が含まれます。
;CMakeLists.txt:<syntaxhighlight lang=cmake>
# CMakeのバージョンを指定
cmake_minimum_required(VERSION 3.0...3.5)
# プロジェクト名を指定
project(MyProject)
# 実行ファイルの生成
add_executable(my_app main.cpp)
</syntaxhighlight>
=== ソースコードの作成 ===
プロジェクトルートに <code>main.cpp</code> ファイルを作成し、簡単なC++コードを追加します。
;main.cpp:<syntaxhighlight lang=c++>
// main.cpp
#include <iostream>
int main() {
std::cout << "Hello, CMake!" << std::endl;
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== ビルドディレクトリの作成とビルド ===
プロジェクトルートディレクトリ外でビルドディレクトリを作成し、そこでCMakeを使用してプロジェクトをビルドします。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% mkdir build
% cd build
% cmake ..
-- The C compiler identification is Clang 16.0.6
-- The CXX compiler identification is Clang 16.0.6
-- Detecting C compiler ABI info
-- Detecting C compiler ABI info - done
-- Check for working C compiler: /usr/bin/cc - skipped
-- Detecting C compile features
-- Detecting C compile features - done
-- Detecting CXX compiler ABI info
-- Detecting CXX compiler ABI info - done
-- Check for working CXX compiler: /usr/bin/c++ - skipped
-- Detecting CXX compile features
-- Detecting CXX compile features - done
-- Configuring done (0.7s)
-- Generating done (0.0s)
-- Build files have been written to: /home/USERNAME/my_project/build
% cmake --build .
[ 50%] Building CXX object CMakeFiles/my_app.dir/main.cpp.o
[100%] Linking CXX executable my_app
[100%] Built target my_app
</syntaxhighlight>
=== 実行 ===
ビルドが成功したら、生成された実行ファイルを実行できます。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% ./my_app
Hello, CMake!
</syntaxhighlight>
これで、簡単なCMakeプロジェクトの作成ができました!
これは基本的な例ですが、複雑なプロジェクトではさらに多くの機能や設定が必要になることがあります。
== 複数のソースからのビルド ==
以下は、複数のソースからのビルドをCMakeを使って行う例です。
複数のソースファイルを含むプロジェクトをCMakeで設定する方法を示します。例として、2つのソースファイル <code>main.cpp</code> と <code>helper.cpp</code> を含むプロジェクトを考えます。
=== ディレクトリ構造の作成 ===
プロジェクトディレクトリを作成し、ソースファイルを配置します。
:<syntaxhighlight lang=text>
my_project/
├── CMakeLists.txt
├── main.cpp
├── helper.cpp
└── helper.h
</syntaxhighlight>
=== CMakeLists.txtの設定 ===
プロジェクトのルートにある <code>CMakeLists.txt</code> ファイルを以下のように設定します。
:<syntaxhighlight lang=cmake>
cmake_minimum_required(VERSION 3.0...3.5)
project(MyProject)
# ソースファイルのリストを作成
set(SOURCES
main.cpp
helper.cpp
)
# 実行ファイルの生成
add_executable(my_app ${SOURCES})
</syntaxhighlight>
この例では、<code>set</code> コマンドを使ってソースファイルのリストを作成し、<code>add_executable</code> コマンドでそれらのファイルを含む実行ファイルを生成しています。
=== ソースファイルの内容 ===
それぞれのソースファイル (<code>main.cpp</code> と <code>helper.cpp</code>) を以下のように記述します。
;main.cpp:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include "helper.h"
int main() {
sayHello();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
;helper.cpp:<syntaxhighlight lang=c++>
// helper.cpp
#include <iostream>
void sayHello() {
std::cout << "Hello from helper!" << std::endl;
}
</syntaxhighlight>
=== ヘッダーファイルの作成 ===
関数のプロトタイプを含むヘッダーファイル <code>helper.h</code> を作成します。
;helper.h:<syntaxhighlight lang=c++>
// helper.h
#ifndef HELPER_H
#define HELPER_H
void sayHello();
#endif // HELPER_H
</syntaxhighlight>
=== ビルド ===
ビルドを行うために、ビルドディレクトリを作成してCMakeを実行します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% mkdir build
% cd build
% cmake ..
% cmake --build .
</syntaxhighlight>
これで、<code>main.cpp</code> と <code>helper.cpp</code> を含むCMakeプロジェクトがビルドされます。
== ジェネレターの選択 ==
<code>CMake</code>は、ジェネレーター(生成するビルドシステムや開発環境)を<code>-G</code>オプションで指定することができます。
以下は<code>-G</code>オプションの一部の一般的な使用例です:
* Unix Makefiles: <code>-G "Unix Makefiles"</code> このオプションは、Unix系システム(Linuxを含む)でMakefileを生成します。これにより、通常の<code>make</code>コマンドを使用してビルドを実行できます。
* Ninja: <code>-G "Ninja"</code> このオプションは、Ninjaのビルドファイルを生成します。NinjaはMakeよりも高速で効率的なビルドを提供します。
* Visual Studio: <code>-G "Visual Studio {version}"</code> このオプションは、Visual Studioのソリューションファイルを生成します。<code>{version}</code>には、使用したいVisual Studioのバージョンが入ります(例:<code>"Visual Studio 16 2019"</code>)。
* Xcode: <code>-G "Xcode"</code> このオプションは、Xcodeのプロジェクトを生成します。XcodeはmacOSやiOSなどのApple製品向けの開発環境です。
この<code>-G</code>オプションを使用することで、CMakeは特定のビルドシステムや開発環境向けの構成ファイルを生成します。これにより、プロジェクトをビルドするための準備が整います。
生成可能なジェネレターの一覧は、<code>cmake -G</code> で確認できます。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% cmake -G
CMake Error: No generator specified for -G
Generators
* Unix Makefiles = Generates standard UNIX makefiles.
Ninja = Generates build.ninja files.
Ninja Multi-Config = Generates build-<Config>.ninja files.
CodeBlocks - Ninja = Generates CodeBlocks project files
(deprecated).
CodeBlocks - Unix Makefiles = Generates CodeBlocks project files
(deprecated).
CodeLite - Ninja = Generates CodeLite project files
(deprecated).
CodeLite - Unix Makefiles = Generates CodeLite project files
(deprecated).
Eclipse CDT4 - Ninja = Generates Eclipse CDT 4.0 project files
(deprecated).
Eclipse CDT4 - Unix Makefiles= Generates Eclipse CDT 4.0 project files
(deprecated).
Kate - Ninja = Generates Kate project files (deprecated).
Kate - Ninja Multi-Config = Generates Kate project files (deprecated).
Kate - Unix Makefiles = Generates Kate project files (deprecated).
Sublime Text 2 - Ninja = Generates Sublime Text 2 project files
(deprecated).
Sublime Text 2 - Unix Makefiles
= Generates Sublime Text 2 project files
(deprecated).
</syntaxhighlight>
デフォルトのジェネレターには先頭に * が付き、上記の例では Unix Makefiles です。
[[カテゴリ:ソフトウェア]] | 2023-11-16T05:16:37Z | 2024-02-06T02:23:42Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/CMake |
38,771 | Ninja | Ninjaは、高速で効率的なビルドシステムであり、ソフトウェアのコンパイルやビルドプロセスを管理するためのツールです。このツールは、ビルドプロセスの効率化と並列実行を可能にすることで、大規模なソフトウェアプロジェクトの開発を支援します。
Ninjaは、簡潔なビルドファイルの構文を持ち、CMakeやMesonなどのビルドシステムの補完として使用されることが一般的です。その名前の由来は、速さと効率性を象徴する忍者のように、素早く効果的にビルドを実行することを意味しています。
一般的に、Ninjaは以下のような特徴を持っています:
開発者はNinjaを使ってビルドプロセスを効率化し、大規模なプロジェクトのコンパイルやビルドを管理する際に、その高速性と柔軟性を活用します。
Ninjaを使用してC言語のHello Worldプログラムをビルドする手順は次のようになります。まず、Hello WorldのCプログラムを作成しましょう。
ただし、この手法は非常に基本的な例です。実際のプロジェクトでは、多くの場合、複数のファイルや複雑な依存関係、オプション、ライブラリなどがあります。その場合、手動でビルドファイルを作成することは非常に手間がかかるため、CMakeなどのツールを使用することが一般的です。
CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。
この手順では、CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成し、Hello Worldプログラムをビルドしています。CMakeを使うことで、プロジェクトの構成や依存関係を管理しやすくなります。
Mesonを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。 | [
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"text": "Ninjaは、高速で効率的なビルドシステムであり、ソフトウェアのコンパイルやビルドプロセスを管理するためのツールです。このツールは、ビルドプロセスの効率化と並列実行を可能にすることで、大規模なソフトウェアプロジェクトの開発を支援します。",
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"text": "Ninjaは、簡潔なビルドファイルの構文を持ち、CMakeやMesonなどのビルドシステムの補完として使用されることが一般的です。その名前の由来は、速さと効率性を象徴する忍者のように、素早く効果的にビルドを実行することを意味しています。",
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"text": "Ninjaを使用してC言語のHello Worldプログラムをビルドする手順は次のようになります。まず、Hello WorldのCプログラムを作成しましょう。",
"title": "基本的なNinjaの使用例"
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"text": "ただし、この手法は非常に基本的な例です。実際のプロジェクトでは、多くの場合、複数のファイルや複雑な依存関係、オプション、ライブラリなどがあります。その場合、手動でビルドファイルを作成することは非常に手間がかかるため、CMakeなどのツールを使用することが一般的です。",
"title": "基本的なNinjaの使用例"
},
{
"paragraph_id": 6,
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"text": "CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。",
"title": "CMakeとNinjaを組み合わせた C言語のHello Worldプログラム のビルド"
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"text": "この手順では、CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成し、Hello Worldプログラムをビルドしています。CMakeを使うことで、プロジェクトの構成や依存関係を管理しやすくなります。",
"title": "CMakeとNinjaを組み合わせた C言語のHello Worldプログラム のビルド"
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{
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"text": "Mesonを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。",
"title": "MesonとNinjaを組み合わせた C言語のHello Worldプログラム のビルド"
}
] | Ninjaは、高速で効率的なビルドシステムであり、ソフトウェアのコンパイルやビルドプロセスを管理するためのツールです。このツールは、ビルドプロセスの効率化と並列実行を可能にすることで、大規模なソフトウェアプロジェクトの開発を支援します。 Ninjaは、簡潔なビルドファイルの構文を持ち、CMakeやMesonなどのビルドシステムの補完として使用されることが一般的です。その名前の由来は、速さと効率性を象徴する忍者のように、素早く効果的にビルドを実行することを意味しています。 一般的に、Ninjaは以下のような特徴を持っています: 開発者はNinjaを使ってビルドプロセスを効率化し、大規模なプロジェクトのコンパイルやビルドを管理する際に、その高速性と柔軟性を活用します。 | {{Wikipedia|Ninja (ソフトウェア)}}
Ninjaは、高速で効率的なビルドシステムであり、ソフトウェアのコンパイルやビルドプロセスを管理するためのツールです。このツールは、ビルドプロセスの効率化と並列実行を可能にすることで、大規模なソフトウェアプロジェクトの開発を支援します。
Ninjaは、簡潔なビルドファイルの構文を持ち、[[Cmake|CMake]]やMesonなどのビルドシステムの補完として使用されることが一般的です。その名前の由来は、速さと効率性を象徴する忍者のように、素早く効果的にビルドを実行することを意味しています。
一般的に、Ninjaは以下のような特徴を持っています:
;高速性: ビルドプロセスを迅速に実行し、並列処理を効果的に利用することで、高速で効率的なビルドを実現します。
;単純な構文: シンプルで直感的なビルドファイルの構文を持ち、ビルド設定を簡単に記述できます。
;プラットフォーム非依存性: UNIX、Windows、macOS、Linuxなど、さまざまなプラットフォームで利用可能です。
;拡張性: カスタムルールやフックを使って機能を拡張できます。
開発者はNinjaを使ってビルドプロセスを効率化し、大規模なプロジェクトのコンパイルやビルドを管理する際に、その高速性と柔軟性を活用します。
== 基本的なNinjaの使用例 ==
Ninjaを使用してC言語のHello Worldプログラムをビルドする手順は次のようになります。まず、Hello WorldのCプログラムを作成しましょう。
# 新しいテキストファイルを開き、次のようなコードを入力し <code>hello.c</code> という名前で保存します。
#;hello.c
#:<syntaxhighlight lang=c>
#include <stdio.h>
int main() {
printf("Hello, World!\n");
return 0;
}
</syntaxhighlight>
# 次に、ビルドスクリプト用のテキストファイル <code>build.ninja</code> を作成します。以下は、手動でNinjaのビルドファイルを作成する例です。
#;build.ninja
#:<syntaxhighlight lang=text>
# Ninja build file for Hello World
rule compile
command = cc -o $out $in
description = Compiling $in
build hello: compile hello.c
</syntaxhighlight>
#: この <code>build.ninja</code> ファイルでは、<code>hello</code> ターゲットを作成するための <code>compile</code> ルールを定義しています。この <code>compile</code> ルールは、<code>cc</code> を使って <code>hello.c</code> をコンパイルし、<code>hello</code> という実行可能ファイルを生成します。
# コマンドラインで、以下のコマンドを実行してNinjaを使ってビルドを実行します。
#:<syntaxhighlight lang=csh>
% ninja
[1/1] Compiling hello.c
% ./hello
Hello, World!
</syntaxhighlight>
#:これにより、手動で作成した <code>build.ninja</code> ファイルを使用して、<code>hello.c</code> をコンパイルし、<code>hello</code> という実行可能ファイルを生成できます。
ただし、この手法は非常に基本的な例です。実際のプロジェクトでは、多くの場合、複数のファイルや複雑な依存関係、オプション、ライブラリなどがあります。その場合、手動でビルドファイルを作成することは非常に手間がかかるため、[[CMake]]などのツールを使用することが一般的です。
== CMakeとNinjaを組み合わせた C言語のHello Worldプログラム のビルド ==
CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。
# Hello Worldプログラム <code>hello.c</code> を作成します。前節と同じです。
# <code>CMakeLists.txt</code> ファイルを<code>hello.c</code>と同じディレクトリに作成します。これはCMakeの設定ファイルで、プロジェクトの構成やビルド手順を記述します。以下は、簡単な例です。
#;CMakeLists.txt
#:<syntaxhighlight lang=cmake>
cmake_minimum_required(VERSION 3.0)
project(HelloWorld C)
add_executable(hello hello.c)
</syntaxhighlight>
# CMakeを使ってビルドシステムを構成します。次のコマンドを実行します。
#:<syntaxhighlight lang=csh>
% cmake -G Ninja -B build
-- The C compiler identification is GNU 12.2.0
-- Detecting C compiler ABI info
-- Detecting C compiler ABI info - done
-- Check for working C compiler: /usr/bin/cc - skipped
-- Detecting C compile features
-- Detecting C compile features - done
-- Configuring done
-- Generating done
-- Build files have been written to: /home/USERNAME3/ninja/prj01/build
</syntaxhighlight>
#: ここで、<code>-G Ninja</code>はNinjaビルドを指定しています。<code>-B build</code>はビルドディレクトリを指します。
#: CMake は、build/build.ninja に設定を出力します。build/build.ninja には実行ファイルのビルド意外にも、ビルドディレクトリを掃除する clean など多くのターゲットが出力されます。機会があったら build/build.ninja を読んで観てください。Ninjaの設定の勘所が多く含まれています。
# Ninjaを使ってビルドを実行します。
#:<syntaxhighlight lang=csh>
% cmake --build build/
[2/2] Linking C executable hello
% build/hello
Hello, World!
</syntaxhighlight>
#: これにより、CMakeが生成したNinjaのビルドファイルを使って、<code>hello.c</code> をコンパイルし、<code>hello</code> という実行可能ファイルがビルドされます。
この手順では、CMakeを使用してNinjaビルドシステムを構成し、Hello Worldプログラムをビルドしています。CMakeを使うことで、プロジェクトの構成や依存関係を管理しやすくなります。
== MesonとNinjaを組み合わせた C言語のHello Worldプログラム のビルド ==
Mesonを使用してNinjaビルドシステムを構成することで、C言語のHello Worldプログラムをビルドできます。以下に手順を示します。
# Hello Worldプログラム <code>hello.c</code> を作成します。前前節と同じです。
# <code>meson.build</code> ファイルを<code>meson init</code>で生成します。
#:<syntaxhighlight lang=csh>
% meson init
Using "prj01" (name of current directory) as project name.
Using "prj01" (project name) as name of executable to build.
Detected source files: hello.c
Detected language: c
Generated meson.build file:
project('prj01', 'c',
version : '0.1',
default_options : ['warning_level=3'])
executable('prj01',
'hello.c',
install : true)
</syntaxhighlight>
# Mesonを使ってビルドシステムを構成します。次のコマンドを実行します。
#:<syntaxhighlight lang=csh>
% mkdir build && cd build
% meson ..
The Meson build system
Version: 1.0.1
Source dir: /home/USERNAME3/ninja/prj01
Build dir: /home/USERNAME3/ninja/prj01/build
Build type: native build
Project name: prj01
Project version: 0.1
C compiler for the host machine: cc (gcc 12.2.0 "cc (Debian 12.2.0-14) 12.2.0")
C linker for the host machine: cc ld.bfd 2.40
Host machine cpu family: x86_64
Host machine cpu: x86_64
Build targets in project: 1
Found ninja-1.11.1 at /usr/bin/ninja
% meson compile
INFO: autodetecting backend as ninja
INFO: calculating backend command to run: /usr/bin/ninja
[2/2] Linking target prj01
% ./prj01
Hello, World!
</syntaxhighlight>
== リソース ==
* [https://ninja-build.org/ 公式サイト]
* [https://github.com/ninja-build/ninja GitHub]
[[Category:ビルドツール]] | 2023-11-18T00:37:36Z | 2024-01-25T23:59:56Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/Ninja |
38,817 | 中学校保健体育/癌の予防 | 癌・癌の要因・癌の予防・癌検診・早期治療・早期発見
※癌にかかったら、どのようにひどくなるのかを調べてみましょう。
体の正常な細胞が傷ついて、異常な細胞(癌細胞)に変わり、その細胞を増やしてしまう病気があります(癌)。このような癌細胞は勝手に自己増殖して、近くの大切な組織を壊してしまいます。なお、人間の細胞は規則的に分かれて、新しい細胞が生まれるようになります(細胞分裂)。このような細胞は、同じように分かれていません。癌は細胞が変わってから出来るので、どの臓器でも出来ます。癌は、胃癌や肺癌などのように、体の部分にちなんで名付けられています。なお、白血病と骨肉腫は、癌と呼ばれません。また、細胞分裂があまり起こらないので、心臓癌はあまりみられません。さらに、見つけやすさ、治療方法、治りやすさは、癌の種類と段階に応じて変わります。
※癌の要因を考えてみましょう。
癌は、喫煙・飲酒・塩分の過剰摂取・果物や野菜の摂取不足・運動不足・ヘリコバクター・ピロリ(胃癌の原因)・肝炎ウイルス(肝臓癌の原因)・ヒトパピローマウイルス(子宮頸癌の原因)のような細菌やウイルスの感染など、様々な理由で発症します。それ以外に原因不明の癌もあります。例えば、子供の生活習慣が小児癌の原因ではありません。
細胞の変化や生活習慣の乱れが癌細胞の発生に関係しているので、長生きも癌の原因となります。癌は誰でもかかると考えられており、現在日本の約2人に1人がかかっています。
発症原因の中でも、喫煙・飲酒・塩分の過剰摂取・果物や野菜の摂取不足・太り過ぎ・痩せ過ぎ・運動不足などの生活習慣はいくらでも変えられます。痩せすぎないようにしたり、太らないようにしたり、禁酒したり、食生活を変えたり、運動したり、禁煙したりすると、発癌率も下がります。また、細菌やウイルスについても、検査で感染が明らかになったら、除菌などの様々な対策を立てられます。
5つの健康習慣はいずれも、発癌率を下げます。5つ全て実行すると、全くやらない人よりも発癌率が約40%下がります。
★癌を防ぐための新12か条
※どうしたら癌を治療出来ますか?
癌はひどくなればなるほど治りにくくなります。自覚症状のないうちに癌を早期発見すれば、予防や治療がしやすくなります。そのため、健康診断と癌検診を受けましょう。しかし、日本の癌検診受診率は半数以下になっています。現在、外科的治療(手術)、化学的治療(抗癌剤)、放射線治療、痛みを和らげる緩和ケアなど、様々な治療方法があります。患者の同意に基づいて治療方法が決まります。このように、早期発見と早期治療は、癌の治療と回復のためにとても大切です。
大半の人は、癌の治療を受けながら、学校や仕事を続けつつ、自分らしい方法で病気と向き合っています。誰もが暮らせる社会を実現するためには、社会支援体制をつくり、共通理解を深めていかなければなりません。 | [
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] | 癌はどんな病気ですか?
癌にならないようにするためにはどうしたらいいですか? | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>癌の予防
* 癌はどんな病気ですか?
* 癌にならないようにするためにはどうしたらいいですか?
== キーワード ==
癌・癌の要因・癌の予防・癌検診・早期治療・早期発見
== 癌という疾病 ==
※癌にかかったら、どのようにひどくなるのかを調べてみましょう。
体の正常な細胞が傷ついて、異常な細胞(癌細胞)に変わり、その細胞を増やしてしまう病気があります('''癌''')。このような癌細胞は勝手に自己増殖して、近くの大切な組織を壊してしまいます。なお、人間の細胞は規則的に分かれて、新しい細胞が生まれるようになります(細胞分裂)。このような細胞は、同じように分かれていません。癌は細胞が変わってから出来るので、どの臓器でも出来ます。癌は、胃癌や肺癌などのように、体の部分にちなんで名付けられています。なお、白血病と骨肉腫は、癌と呼ばれません。また、細胞分裂があまり起こらないので、心臓癌はあまりみられません。さらに、見つけやすさ、治療方法、治りやすさは、癌の種類と段階に応じて変わります。
== 癌の要因と予防 ==
※癌の要因を考えてみましょう。
[[ファイル:5つの健康習慣.png|サムネイル|427x427ピクセル|5つの健康習慣]]
癌は、喫煙・飲酒・塩分の過剰摂取・果物や野菜の摂取不足・運動不足・ヘリコバクター・ピロリ(胃癌の原因)・肝炎ウイルス(肝臓癌の原因)・ヒトパピローマウイルス(子宮頸癌の原因)のような細菌やウイルスの感染など、様々な理由で発症します。それ以外に原因不明の癌もあります。例えば、子供の生活習慣が小児癌の原因ではありません。
細胞の変化や生活習慣の乱れが癌細胞の発生に関係しているので、長生きも癌の原因となります。癌は誰でもかかると考えられており、現在日本の約2人に1人がかかっています。
発症原因の中でも、喫煙・飲酒・塩分の過剰摂取・果物や野菜の摂取不足・太り過ぎ・痩せ過ぎ・運動不足などの生活習慣はいくらでも変えられます。痩せすぎないようにしたり、太らないようにしたり、禁酒したり、食生活を変えたり、運動したり、禁煙したりすると、発癌率も下がります。また、細菌やウイルスについても、検査で感染が明らかになったら、除菌などの様々な対策を立てられます。
5つの健康習慣はいずれも、発癌率を下げます。5つ全て実行すると、全くやらない人よりも発癌率が約40%下がります。
★癌を防ぐための新12か条
# 煙草を吸わないようにしましょう。
# 煙草の煙を吸い込まないようにしましょう。
# お酒はほどほどにしましょう。
# 食事をしっかりとりましょう。
# 塩分の多い食べ物は控えましょう。
# 果物や野菜をしっかり食べましょう。
# 軽めの運動をしましょう。
# 適正体重を保ちましょう
# 細菌性・ウイルス性の感染予防と治療法
# 癌の定期検診
# 少しでも体に異変を感じたら、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。
# 正しい癌情報で癌を知りましょう。
== 癌の早期発見と回復 ==
※どうしたら癌を治療出来ますか?
癌はひどくなればなるほど治りにくくなります。自覚症状のないうちに癌を'''早期発見'''すれば、予防や治療がしやすくなります。そのため、健康診断と癌検診を受けましょう。しかし、日本の'''癌検診'''受診率は半数以下になっています。現在、外科的治療(手術)、化学的治療(抗癌剤)、放射線治療、痛みを和らげる緩和ケアなど、様々な治療方法があります。患者の同意に基づいて治療方法が決まります。このように、早期発見と'''早期治療'''は、癌の治療と回復のためにとても大切です。
大半の人は、癌の治療を受けながら、学校や仕事を続けつつ、自分らしい方法で病気と向き合っています。誰もが暮らせる社会を実現するためには、社会支援体制をつくり、共通理解を深めていかなければなりません。
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育]]
[[カテゴリ:がん (悪性腫瘍)]] | 2023-11-26T14:35:29Z | 2023-12-03T04:57:00Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E7%99%8C%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2 |
38,819 | Go/ジェネリクス | Go言語では、ジェネリクスが導入される前は、インターフェースや具体的な型に依存した実装が主流でした。 ジェネリクスが導入されても、従来の方法も引き続き使用できます。
以下はその一例として、ジェネリクスを使わずにスタックを実装する方法を示します。
この例では、Stackという構造体を定義し、Pushで要素を追加し、Popで要素を取り出します。interface{}型を使用することで、任意の型の要素をスタックに追加できます。ただし、実行時に型アサーションを使用して型を確認する必要があります。
Go言語におけるジェネリクス(型パラメータ)を利用したスタックの実装は次のようになります。
このコードは、Go言語のジェネリクスを使ってスタックを実装しています。Stack[T any]という定義は、Tという任意の型の要素を持つスタックを表します。
Pushメソッドはスタックに要素を追加し、Popメソッドはスタックから要素を取り出します。IsEmptyメソッドはスタックが空かどうかを確認します。
main関数では、intStackとstringStackという異なる型のスタックを作成し、それぞれのスタックに値を追加してから、要素を取り出して表示しています。これにより、異なる型の要素を持つジェネリックなスタックが正しく機能していることが示されています。
このコードを実行すると、intStackには1、2、3が、stringStackには"apple"、"banana"、"cherry"が順番に追加され、それらがスタックから取り出されて画面に表示されます。 | [
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=ジェネリクス=
Go言語では、ジェネリクスが導入される前は、インターフェースや具体的な型に依存した実装が主流でした。
ジェネリクスが導入されても、従来の方法も引き続き使用できます。
== interfaceを使った実装 ==
以下はその一例として、ジェネリクスを使わずにスタックを実装する方法を示します。
;非ジェネリクス版スタック:<syntaxhighlight lang=go line>
package main
import (
"fmt"
)
// スタックの構造体
type Stack struct {
data []interface{}
}
// スタックに要素を追加
func (s *Stack) Push(item interface{}) {
s.data = append(s.data, item)
}
// スタックから要素を取り出す
func (s *Stack) Pop() interface{} {
item := s.data[len(s.data)-1]
s.data = s.data[:len(s.data)-1]
return item
}
// スタックの先頭の要素を取得(削除はしない)
func (s *Stack) Peek() interface{} {
return s.data[len(s.data)-1]
}
// スタックが空かどうかをチェックするメソッド
func (s *Stack) IsEmpty() bool {
return len(s.data) == 0
}
func main() {
// 空のスタックを作成
stack := Stack{}
// スタックに値を追加
stack.Push(10)
stack.Push("Hello")
stack.Push(3.14)
// スタックの内容を表示
for !stack.IsEmpty() {
item := stack.Pop()
fmt.Println("Popped:", item)
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Popped: 3.14
Popped: Hello
Popped: 10
</syntaxhighlight>
この例では、<code>Stack</code>という構造体を定義し、<code>Push</code>で要素を追加し、<code>Pop</code>で要素を取り出します。<code>interface{}</code>型を使用することで、任意の型の要素をスタックに追加できます。ただし、実行時に型アサーションを使用して型を確認する必要があります。
== 型パラメータを使った実装 ==
Go言語におけるジェネリクス(型パラメータ)を利用したスタックの実装は次のようになります。
;ジェネリクス版スタック:<syntaxhighlight lang=go line>
package main
import (
"fmt"
)
// ジェネリクス化されたスタックの定義
type Stack[T any] []T
// スタックに要素を追加するメソッド
func (s *Stack[T]) Push(item T) {
*s = append(*s, item)
}
// スタックから要素を取り出すメソッド
func (s *Stack[T]) Pop() T {
item := (*s)[len(*s)-1]
*s = (*s)[:len(*s)-1]
return item
}
// スタックが空かどうかをチェックするメソッド
func (s *Stack[T]) IsEmpty() bool {
return len(*s) == 0
}
func main() {
// int型のスタックを作成
var intStack Stack[int]
// スタックに値を追加
intStack.Push(1)
intStack.Push(2)
intStack.Push(3)
// スタックから値を取り出して表示
for !intStack.IsEmpty() {
item := intStack.Pop()
fmt.Println(item)
}
// 文字列型のスタックを作成
var stringStack Stack[string]
// スタックに値を追加
stringStack.Push("apple")
stringStack.Push("banana")
stringStack.Push("cherry")
// スタックから値を取り出して表示
for !stringStack.IsEmpty() {
item := stringStack.Pop()
fmt.Println(item)
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
3
2
1
cherry
banana
apple
</syntaxhighlight>
このコードは、Go言語のジェネリクスを使ってスタックを実装しています。<code>Stack[T any]</code>という定義は、<code>T</code>という任意の型の要素を持つスタックを表します。
<code>Push</code>メソッドはスタックに要素を追加し、<code>Pop</code>メソッドはスタックから要素を取り出します。<code>IsEmpty</code>メソッドはスタックが空かどうかを確認します。
<code>main</code>関数では、<code>intStack</code>と<code>stringStack</code>という異なる型のスタックを作成し、それぞれのスタックに値を追加してから、要素を取り出して表示しています。これにより、異なる型の要素を持つジェネリックなスタックが正しく機能していることが示されています。
このコードを実行すると、<code>intStack</code>には1、2、3が、<code>stringStack</code>には"apple"、"banana"、"cherry"が順番に追加され、それらがスタックから取り出されて画面に表示されます。
== 型制約 ==
1.18で追加された予約済識別子 <code>any</code> は <code>interface{}</code> の alias で全ての型と一致します。
ただ、何でもかんでも any にすると必要なメソッドを備えていない型のインスタンスまで受け付けてしまいます。
この問題を解決するために型制約が用意されています。
Go言語における型制約は、主にインターフェースを通じて行われます。Goにはジェネリクス制約を直接指定する仕組みはありませんが、インターフェースを使って特定の振る舞いを持つ型を制約することができます。
例えば、<code>fmt.Stringer</code>は<code>String()</code>メソッドを持つ型を表すインターフェースです。これは標準パッケージの中で多く利用されます。これにより、<code>fmt.Print</code>などの関数は<code>fmt.Stringer</code>インターフェースを満たす型を引数に受け取ることができます。
;型制約:<syntaxhighlight lang=go line>
package main
import (
"fmt"
)
type Bin int
func (b Bin) String() string {
return fmt.Sprintf("%#b", int(b))
}
func Print[T fmt.Stringer](s []T) {
for _, v := range s {
fmt.Print(v, "\n")
}
}
func main() {
Print([]Bin{0b1101, 0b1010_0101})
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
0b1101
0b10100101
</syntaxhighlight>
このコードは、Go言語でのジェネリクスに型制約を加える例です。<code>Bin</code>という新しい型を定義し、<code>Bin</code>型に対して<code>String()</code>メソッドを実装しています。<code>String()</code>メソッドは、<code>Bin</code>型を2進数文字列として表現するためのものです。
<code>Print</code>関数は、<code>fmt.Stringer</code>インターフェースを実装した任意の型のスライスを受け取り、その要素を<code>fmt.Print</code>を使って画面に出力する関数です。<code>fmt.Stringer</code>インターフェースは、<code>String()</code>メソッドを持つ型に適用されます。
<code>main</code>関数では、<code>Print</code>関数を使って<code>Bin</code>型のスライスを表示しています。<code>Print</code>関数は<code>fmt.Stringer</code>インターフェースを満たすため、<code>Bin</code>型のスライスを受け取ることができ、<code>Bin</code>型の各要素は<code>String()</code>メソッドを介して2進数文字列として出力されます。
最終的に、<code>main</code>関数では<code>Print</code>関数を使って<code>[]Bin{0b1101, 0b1010_0101}</code>を表示しています。これにより、<code>Bin</code>型の値が2進数文字列として正しく出力されることが確認できます。
{{コラム|Goのジェネリクスの特徴|2=Go言語におけるジェネリクスの導入は、バージョン1.18で行われました。ジェネリクスの導入により、より柔軟で再利用可能なコードを書くことができるようになりました。以下に、Goのジェネリクスの特徴を解説します。
# ユーザー定義のジェネリクス型<br />ジェネリクスを使用して、関数や型をパラメータ化できます。例えば、スライス、マップ、チャネルなどの標準ライブラリのデータ構造をジェネリックにすることが可能です。
# 型安全なコード<br />ジェネリクスを使うことで、異なる型のデータを扱う場合でも、静的な型チェックが行われます。これにより、型安全なコードを保ちながら汎用性を持たせることができます。
# コードの再利用性<br />同じような機能を持つ関数やデータ構造を複数の型で使い回すことができます。これにより、冗長なコードを減らし、メンテナンス性を高めることができます。
# パフォーマンス向上<br />ジェネリクスは、型を具体化することで効率的なコードを生成します。これにより、ジェネリックなアルゴリズムを使っても、実行時のオーバーヘッドを最小限に抑えることができます。
# インターフェースとの組み合わせ<br />ジェネリクスは、インターフェースと組み合わせることで柔軟性を高めることができます。ジェネリックな型をインターフェースを介して制約することが可能です。
Goのジェネリクスは、これまでのバージョンよりも柔軟性と再利用性を向上させ、型安全性を保ちながら汎用性の高いコードを書くことができるようにしました。これにより、より洗練された、効率的で堅牢なプログラムを開発することができます。
}}
{{Nav}}
== 脚註 ==
<references /> | 2023-11-27T23:15:13Z | 2023-11-28T00:04:12Z | [
"テンプレート:Nav"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/Go/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9 |
38,820 | Go/コードギャラリー | このコードギャラリーは、さまざまなGoの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。
このGoのコードは、エラトステネスの篩を使って与えられた上限値以下の素数を見つけるものです。エラトステネスの篩は、素数を見つけるための古典的なアルゴリズムで、与えられた範囲内の素数を効率的に見つけることができます。
コードの主なポイントは次のとおりです:
このコードでは、エラトステネスの篩を用いて効率的に素数を見つける方法が示されています。
このGoのコードは、最大公約数(GCD)と最小公倍数(LCM)を計算する関数を提供しています。これらの関数は、与えられた整数の配列を処理し、それぞれの計算を行います。
二分法
このGoのコードは、2分法を用いて与えられた関数の数値解を求める方法を示しています。
このコードは、数値解を見つけるための2分法を実装し、与えられた関数に対して数値解を計算する方法を示しています。
Goにクラスはありませんが、構造体がメソッドを持つことが出来ます。
このGoのコードは、Hello 構造体を定義し、それに関連する関数とメソッドを使って挨拶文を扱う方法を示しています。
このコードは、Go言語でクラスの代わりに構造体とメソッドを使用して、オブジェクト指向プログラミングの概念を模倣しています。それぞれのメソッドは、構造体のインスタンスに結びついており、そのインスタンスに対して操作を行います。
逆ポーランド記法は、数式の演算子を後置記法で表現する方法です。通常の中置記法では演算子がオペランドの間に置かれますが、逆ポーランド記法では演算子がオペランドの後ろに置かれます。これにより、括弧や演算子の優先順位を考える必要がなくなり、計算機で容易に評価できる形式になります。
例えば、中置記法での式 3 + 4 * 5 は、逆ポーランド記法では 3 4 5 * + と表現されます。この記法では、演算子が対象のオペランドに対して順番に適用されます。
このGoのコードは、逆ポーランド記法(逆ポーランド式、Postfix Notation)を使用して算術式を評価します。
このプログラムは、逆ポーランド記法を使用して四則演算を行う方法を示しています。それぞれの演算子や数値をトークンとして扱い、スタックを使用して計算を進めます。計算結果を正しく得るために、演算子とオペランドの関係性を考慮して処理しています。 | [
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"text": "このコードギャラリーは、さまざまなGoの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。",
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"text": "このGoのコードは、エラトステネスの篩を使って与えられた上限値以下の素数を見つけるものです。エラトステネスの篩は、素数を見つけるための古典的なアルゴリズムで、与えられた範囲内の素数を効率的に見つけることができます。",
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"text": "コードの主なポイントは次のとおりです:",
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"text": "このコードでは、エラトステネスの篩を用いて効率的に素数を見つける方法が示されています。",
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"text": "このGoのコードは、最大公約数(GCD)と最小公倍数(LCM)を計算する関数を提供しています。これらの関数は、与えられた整数の配列を処理し、それぞれの計算を行います。",
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"text": "二分法",
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"text": "このGoのコードは、2分法を用いて与えられた関数の数値解を求める方法を示しています。",
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"text": "このコードは、数値解を見つけるための2分法を実装し、与えられた関数に対して数値解を計算する方法を示しています。",
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"text": "Goにクラスはありませんが、構造体がメソッドを持つことが出来ます。",
"title": "構造体とメソッド"
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"text": "このGoのコードは、Hello 構造体を定義し、それに関連する関数とメソッドを使って挨拶文を扱う方法を示しています。",
"title": "構造体とメソッド"
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{
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"tag": "p",
"text": "このコードは、Go言語でクラスの代わりに構造体とメソッドを使用して、オブジェクト指向プログラミングの概念を模倣しています。それぞれのメソッドは、構造体のインスタンスに結びついており、そのインスタンスに対して操作を行います。",
"title": "構造体とメソッド"
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{
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"tag": "p",
"text": "逆ポーランド記法は、数式の演算子を後置記法で表現する方法です。通常の中置記法では演算子がオペランドの間に置かれますが、逆ポーランド記法では演算子がオペランドの後ろに置かれます。これにより、括弧や演算子の優先順位を考える必要がなくなり、計算機で容易に評価できる形式になります。",
"title": "逆ポーランド記法の解析と評価"
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{
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"tag": "p",
"text": "例えば、中置記法での式 3 + 4 * 5 は、逆ポーランド記法では 3 4 5 * + と表現されます。この記法では、演算子が対象のオペランドに対して順番に適用されます。",
"title": "逆ポーランド記法の解析と評価"
},
{
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"tag": "p",
"text": "このGoのコードは、逆ポーランド記法(逆ポーランド式、Postfix Notation)を使用して算術式を評価します。",
"title": "逆ポーランド記法の解析と評価"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "このプログラムは、逆ポーランド記法を使用して四則演算を行う方法を示しています。それぞれの演算子や数値をトークンとして扱い、スタックを使用して計算を進めます。計算結果を正しく得るために、演算子とオペランドの関係性を考慮して処理しています。",
"title": "逆ポーランド記法の解析と評価"
}
] | このコードギャラリーは、さまざまなGoの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。 | {{Nav}}
このコードギャラリーは、さまざまなGoの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。
== エラトステネスの篩 ==
:<syntaxhighlight lang=go>
package main
import (
"fmt"
)
func eratosthenes(n int) {
sieve := make([]bool, n+1)
sieve[0] = false
sieve[1] = false
for i := 2; i <= n; i++ {
sieve[i] = true
}
for i := 2; i <= n; i++ {
if sieve[i] {
fmt.Println(i)
for j := i * 2; j <= n; j += i {
sieve[j] = false
}
}
}
}
func main() {
eratosthenes(100)
}
</syntaxhighlight>
このGoのコードは、エラトステネスの篩を使って与えられた上限値以下の素数を見つけるものです。エラトステネスの篩は、素数を見つけるための古典的なアルゴリズムで、与えられた範囲内の素数を効率的に見つけることができます。
コードの主なポイントは次のとおりです:
# <code>eratosthenes</code> 関数は、与えられた上限値 <code>n</code> 以下の素数を見つけるための関数です。
# <code>sieve</code> というブール型のスライスを作成し、初期値はすべて <code>true</code> に設定されます。このスライスは素数かどうかを示すために使用されます。
# <code>sieve[0]</code> と <code>sieve[1]</code> は素数ではないため、それぞれ <code>false</code> に設定されます。
# <code>i</code> が2から始まり、<code>n</code> までループします。もし <code>sieve[i]</code> が <code>true</code>(素数である)場合は、<code>i</code> を素数として出力し、その後の倍数を <code>false</code> にします。これにより、素数の倍数は素数ではないとマークされます。
# 内側のループでは、<code>i</code> の倍数をすべて篩い落とすため、<code>j</code> を <code>i</code> の倍数として増やしながら <code>sieve[j]</code> を <code>false</code> にしています。
# <code>main</code> 関数では、<code>eratosthenes</code> 関数を呼び出して上限値が100以下の素数を見つけ、それを出力します。
このコードでは、エラトステネスの篩を用いて効率的に素数を見つける方法が示されています。
== 最大公約数と最小公倍数 ==
:<syntaxhighlight lang=go>
package main
import (
"fmt"
)
func reduce(operation func(int, int) int, values []int) int {
result := values[0]
for _, value := range values[1:] {
result = operation(result, value)
}
return result
}
func gcd2(m, n int) int {
if n == 0 {
return m
}
return gcd2(n, m%n)
}
func gcd(ints ...int) int {
return reduce(gcd2, ints)
}
func lcm2(m, n int) int {
return m * n / gcd2(m, n)
}
func lcm(ints ...int) int {
return reduce(lcm2, ints)
}
func main() {
fmt.Printf("gcd2(30, 45) => %d\n", gcd2(30, 45))
fmt.Printf("gcd(30, 72, 12) => %d\n", gcd(30, 72, 12))
fmt.Printf("lcm2(30, 72) => %d\n", lcm2(30, 72))
fmt.Printf("lcm(30, 42, 72) => %d\n", lcm(30, 42, 72))
}
</syntaxhighlight>
このGoのコードは、最大公約数(GCD)と最小公倍数(LCM)を計算する関数を提供しています。これらの関数は、与えられた整数の配列を処理し、それぞれの計算を行います。
* <code>reduce</code>関数は、2つの引数を取り、指定された二項演算(<code>operation</code>)をスライスの要素に対して適用するためのものです。
* <code>result</code>は初期値として最初の要素(<code>values[0]</code>)を取り、それ以降の要素に対して <code>operation</code> を適用していきます。
* スライスの範囲演算子 <code>values[1:]</code> を使用して、最初の要素を除いた残りの要素に対して操作を行います。
== 二分法 ==
[[W:二分法|二分法]]
:<syntaxhighlight lang=go>
package main
import (
"fmt"
"math"
)
func bisection(low, high float64, f func(float64) float64) float64 {
x := (low + high) / 2
fx := f(x)
if math.Abs(fx) < 1.0e-10 {
return x
}
if fx < 0.0 {
low = x
} else {
high = x
}
return bisection(low, high, f)
}
func main() {
result1 := bisection(0, 3, func(x float64) float64 {
return x - 1
})
fmt.Println(result1)
result2 := bisection(0, 3, func(x float64) float64 {
return x*x - 1
})
fmt.Println(result2)
}
</syntaxhighlight>
: [[旧課程(-2012年度)高等学校数学B/数値計算とコンピューター#2分法]]の例を Go に移植しました。
このGoのコードは、2分法を用いて与えられた関数の数値解を求める方法を示しています。
=== <code>bisection</code> 関数 ===
* <code>bisection</code> 関数は、与えられた上限値と下限値の範囲内で数値解を見つけるためのものです。
* <code>low</code> と <code>high</code> は、数値解を探す範囲を示します。
* <code>f</code> は、数値解を求めたい関数です。
* <code>x := (low + high) / 2</code> で、範囲の中間点を計算します。
* <code>fx := f(x)</code> で、関数 <code>f</code> を中間点 <code>x</code> に適用し、その結果を <code>fx</code> に代入します。
* <code>math.Abs(fx) < 1.0e-10</code> は、絶対値が非常に小さい値となった場合、つまり数値解が見つかった場合の条件です。この場合、<code>x</code> を返して探索を終了します。
* <code>fx < 0.0</code> の場合は、<code>low</code> の範囲を <code>x</code> に設定し、それ以外の場合は <code>high</code> の範囲を <code>x</code> に設定します。これにより、次の探索範囲を絞り込んでいきます。
* 最後に、絞り込まれた新しい範囲で再帰的に <code>bisection</code> 関数を呼び出します。
=== <code>main</code> 関数 ===
* <code>main</code> 関数では、<code>bisection</code> 関数を使用して数値解を求めます。
* まず、<code>x - 1</code> という関数に対して2分法を適用し、数値解を見つけます。次に、<code>x^2 - 1</code> という関数に対しても同様の手順で数値解を見つけます。
* それぞれの数値解を出力しています。
このコードは、数値解を見つけるための2分法を実装し、与えられた関数に対して数値解を計算する方法を示しています。
== 構造体とメソッド ==
Goにクラスはありませんが、構造体がメソッドを持つことが出来ます。
:<syntaxhighlight lang=go>
package main
import "fmt"
// Hello 構造体
type Hello struct {
s string // 挨拶文に含める文字列
}
// NewHello Hello構造体のコンストラクタ
func NewHello(s string) *Hello {
if s == "" {
s = "world" // デフォルト値を設定
}
return &Hello{s: s}
}
// ToString 挨拶文を文字列で表現するメソッド
func (h *Hello) ToString() string {
return fmt.Sprintf("Hello %s!", h.s)
}
// Print 挨拶文を出力するメソッド
func (h *Hello) Print() {
fmt.Println(h.s)
}
func main() {
hello1 := NewHello("")
fmt.Println(hello1.ToString())
hello1.Print()
hello2 := NewHello("my friend")
fmt.Println(hello2.ToString())
hello2.Print()
fmt.Printf(`
Hello.constructor.name => Hello
hello1 => %+v
hello2.s => %s
`, hello1, hello2.s)
}
</syntaxhighlight>
このGoのコードは、<code>Hello</code> 構造体を定義し、それに関連する関数とメソッドを使って挨拶文を扱う方法を示しています。
=== <code>Hello</code> 構造体と <code>NewHello</code> コンストラクタ ===
* <code>Hello</code> 構造体は、挨拶文に含める文字列 <code>s</code> を持ちます。
* <code>NewHello</code> 関数は、<code>Hello</code> 構造体のコンストラクタです。引数が空の場合はデフォルトで "world" を設定します。
=== <code>ToString</code> メソッド ===
* <code>ToString</code> メソッドは、<code>Hello</code> 構造体のメソッドです。挨拶文を文字列で表現します。
=== <code>Print</code> メソッド ===
* <code>Print</code> メソッドは、<code>Hello</code> 構造体のメソッドで、挨拶文を出力します。
=== <code>main</code> 関数 ===
* <code>main</code> 関数では、<code>NewHello</code> コンストラクタを使って2つの <code>Hello</code> インスタンスを作成します。
* それぞれのインスタンスに対して <code>ToString</code> メソッドを呼び出し、挨拶文を表示します。
* 同様に、<code>Print</code> メソッドを呼び出して挨拶文を出力します。
* <code>Printf</code> 関数を使用して、コンストラクタの名前、<code>hello1</code> の詳細情報、および <code>hello2</code> の文字列を出力します。
このコードは、Go言語でクラスの代わりに構造体とメソッドを使用して、オブジェクト指向プログラミングの概念を模倣しています。それぞれのメソッドは、構造体のインスタンスに結びついており、そのインスタンスに対して操作を行います。
== 逆ポーランド記法の解析と評価 ==
逆ポーランド記法は、数式の演算子を後置記法で表現する方法です。通常の中置記法では演算子がオペランドの間に置かれますが、逆ポーランド記法では演算子がオペランドの後ろに置かれます。これにより、括弧や演算子の優先順位を考える必要がなくなり、計算機で容易に評価できる形式になります。
例えば、中置記法での式 <code>3 + 4 * 5</code> は、逆ポーランド記法では <code>3 4 5 * +</code> と表現されます。この記法では、演算子が対象のオペランドに対して順番に適用されます。
:<syntaxhighlight lang=go>
package main
import (
"fmt"
"strconv"
"strings"
)
func evaluateExpression(expression string) (int, error) {
tokens := strings.Fields(expression)
stack := make([]int, 0)
for _, token := range tokens {
switch token {
case "+", "-", "*", "/":
if len(stack) < 2 {
return 0, fmt.Errorf("invalid expression: not enough operands for %s operator", token)
}
operand2 := stack[len(stack)-1]
operand1 := stack[len(stack)-2]
stack = stack[:len(stack)-2]
var result int
switch token {
case "+":
result = operand1 + operand2
case "-":
result = operand1 - operand2
case "*":
result = operand1 * operand2
case "/":
if operand2 == 0 {
return 0, fmt.Errorf("division by zero")
}
result = operand1 / operand2
}
stack = append(stack, result)
default:
num, err := strconv.Atoi(token)
if err != nil {
return 0, fmt.Errorf("invalid expression: %v is not a number", token)
}
stack = append(stack, num)
}
}
if len(stack) != 1 {
return 0, fmt.Errorf("invalid expression: too many operands or operators")
}
return stack[0], nil
}
func main() {
expression := "5 3 2 * + 8 2 / -"
result, err := evaluateExpression(expression)
if err != nil {
fmt.Println("Error:", err)
} else {
fmt.Println("Result:", result)
}
}
</syntaxhighlight>
このGoのコードは、逆ポーランド記法(逆ポーランド式、Postfix Notation)を使用して算術式を評価します。
=== <code>evaluateExpression</code> 関数 ===
* <code>evaluateExpression</code> 関数は、逆ポーランド記法の式を受け取り、計算結果とエラーを返す関数です。
* 式をトークンに分割し、それぞれのトークンをスタックに積んでいきます。
* 演算子を見つけた場合は、スタックから必要な数のオペランドを取り出して、演算を行います。その結果をスタックに戻します。
* 数字を見つけた場合は、文字列から整数に変換してスタックに積みます。
* 除算 (<code>/</code>) の際にゼロで割り算が発生しないように注意しています。
=== <code>main</code> 関数 ===
* <code>main</code> 関数では、<code>evaluateExpression</code> 関数を使用して、与えられた逆ポーランド記法の式を評価します。
* 式 <code>"5 3 2 * + 8 2 / -"</code> を評価し、結果を出力します。
このプログラムは、逆ポーランド記法を使用して四則演算を行う方法を示しています。それぞれの演算子や数値をトークンとして扱い、スタックを使用して計算を進めます。計算結果を正しく得るために、演算子とオペランドの関係性を考慮して処理しています。
{{Nav}}
[[Category:Go|{{SUBPAGENAME}}]] | 2023-11-28T04:26:42Z | 2024-01-24T10:06:30Z | [
"テンプレート:Nav"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/Go/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC |
38,825 | 高等学校公共/内閣の仕組みと働きⅡ | 本節では、内閣の組織について詳しく説明します。内閣総理大臣(首相)と国務大臣(閣僚)は何をするのか、どのくらいの権力を持っているのかは試験でよく出題されます。
内閣は、内閣総理大臣(首相)1人と国務大臣(閣僚)がいます。しかし、状況に応じて3人まで増やせます(合計17人)。
| [
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"text": "本節では、内閣の組織について詳しく説明します。内閣総理大臣(首相)と国務大臣(閣僚)は何をするのか、どのくらいの権力を持っているのかは試験でよく出題されます。",
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},
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"tag": "p",
"text": "内閣は、内閣総理大臣(首相)1人と国務大臣(閣僚)がいます。しかし、状況に応じて3人まで増やせます(合計17人)。",
"title": "内閣の構成"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "内閣の構成"
}
] | 本節では、内閣の組織について詳しく説明します。内閣総理大臣(首相)と国務大臣(閣僚)は何をするのか、どのくらいの権力を持っているのかは試験でよく出題されます。 | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校公共]]>内閣の仕組みと働きⅡ
本節では、内閣の組織について詳しく説明します。内閣総理大臣(首相)と国務大臣(閣僚)は何をするのか、どのくらいの権力を持っているのかは試験でよく出題されます。
== 内閣の構成 ==
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''日本国憲法 第66条(内閣の組織)'''
|-
| style="padding:5px" |第1項 法律の決まりから、内閣は内閣総理大臣(首相)とそのほかの国務大臣(閣僚)で成り立っています。
第2項 内閣総理大臣と国務大臣は全て文民から選ばれなければなりません。
第3項 内閣は、行政権の使い方について、国会全体としても責任を問われます。
|}
=== 内閣の構成 ===
内閣は、内閣総理大臣(首相)1人と国務大臣(閣僚)がいます。しかし、状況に応じて3人まで増やせます(合計17人)。
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''内閣法 第2条(構成について)'''
|-
| style="padding:5px" |第2項 国務大臣は、14人以内とします。しかし、状況に応じて国務大臣を3名まで増やせるようになり、最大17人となります。
|}
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''日本国憲法 第68条(国務大臣の任免)'''
|-
| style="padding:5px" |第1項 内閣総理大臣が国務大臣(閣僚)を選びます。
しかし、国務大臣(閣僚)のほとんどは国会議員の中から選ばなければなりません。
第2項 内閣総理大臣は、いつでも国務大臣を首に出来ます。
|}
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''日本国憲法 第72条(内閣総理大臣の職務)'''
|-
| style="padding:5px" |内閣総理大臣は、行政機関を指揮・監督するとともに、一般的な国務や外交関係について国会に報告します。
また、内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出します。
|}
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''日本国憲法 第75条(国務大臣の訴追)'''
|-
| style="padding:5px" |国務大臣の任期中に訴追するには、内閣総理大臣の同意が必要です。
したがって、このような行為は訴追権に違反しません。
|}
[[カテゴリ:内閣]] | 2023-12-03T13:32:52Z | 2024-02-06T02:32:42Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%85%AC%E5%85%B1/%E5%86%85%E9%96%A3%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%A8%E5%83%8D%E3%81%8D%E2%85%A1 |
38,828 | Fortran/コードギャラリー | このコードギャラリーは、さまざまなFortranの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。
このFortranのコードは、エラトステネスの篩を使用して指定された数以下の素数を見つけるプログラムです。以下にコードの各部分の解説を示します。
このプログラムでは、次のように機能しています。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "このコードギャラリーは、さまざまなFortranの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。",
"title": "エラトステネスの篩"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "このFortranのコードは、エラトステネスの篩を使用して指定された数以下の素数を見つけるプログラムです。以下にコードの各部分の解説を示します。",
"title": "エラトステネスの篩"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "このプログラムでは、次のように機能しています。",
"title": "エラトステネスの篩"
}
] | null | {{nav}}
= コードギャラリー =
このコードギャラリーは、さまざまなFortranの機能やパターン、ベストプラクティスを示すためのサンプルコード集です。
== エラトステネスの篩 ==
このFortranのコードは、エラトステネスの篩を使用して指定された数以下の素数を見つけるプログラムです。以下にコードの各部分の解説を示します。
:<syntaxhighlight lang=fortran>
program SieveOfEratosthenes
implicit none
integer, parameter :: n = 100
logical :: sieve(n + 1)
integer :: i, j
! 初期化: 2以上の数は全てTrue
sieve = .true.
do i = 2, n
if (sieve(i)) then
print *, i, " "
do j = 2 * i, n, i
sieve(j) = .false.
end do
end if
end do
end program SieveOfEratosthenes
</syntaxhighlight>
このプログラムでは、次のように機能しています。
* <code>n</code>は素数を探す範囲の上限を表す定数です。このプログラムでは100が設定されていますが、必要に応じて変更できます。
* <code>sieve</code>は論理型の配列で、素数の判定結果を保持します。初期化時に全ての要素が<code>True</code>に設定されます。
* <code>do i = 2, n</code>ループは2からnまでの整数を処理します。<code>sieve</code>配列の要素が<code>True</code>の場合(素数の場合)、その数を出力し、その倍数を素数でないとマークします。
== 最大公約数と最小公倍数 ==
:<syntaxhighlight lang=fortran>
recursive integer function gcd2(m, n) result(ret)
implicit none
integer, intent(in) :: m, n
! GCDを計算する
if (n == 0) then
ret = m
else
ret = gcd2(n, mod(m, n))
end if
end function gcd2
integer function lcm2(m, n) result(ret)
implicit none
integer, intent(in) :: m, n
integer gcd2
! LCMを計算する
ret = m * n / gcd2(m, n)
end function lcm2
program GCD_LCM
implicit none
integer gcd2, lcm2
! GCDとLCMを計算する
print *, 'gcd2(30, 45) => ', gcd2(30, 45)
print *, 'gcd2(gcd2(30, 72), 12) => ', gcd2(gcd2(30, 72), 12)
print *, 'lcm2(30, 72) => ', lcm2(30, 72)
print *, 'lcm2(lcm2(30, 42), 72) => ', lcm2(lcm2(30, 42), 72)
end program GCD_LCM
</syntaxhighlight>
このFortranのコードは、再帰的な関数<code>gcd2</code>と<code>lcm2</code>を使用して最大公約数(GCD)と最小公倍数(LCM)を計算し、それらの結果を出力するプログラムです。
* <code>gcd2</code>関数は再帰的に最大公約数(GCD)を計算します。与えられた2つの整数のGCDを求める際、ユークリッドの互除法を利用して計算します。引数が0になるまで再帰的に計算を行い、最終的な結果を返します。
* <code>lcm2</code>関数は、与えられた2つの整数の最小公倍数(LCM)を計算します。LCMは最大公約数を利用して計算することができます。与えられた2つの整数の積を最大公約数で割ることでLCMを求めます。
* <code>program GCD_LCM</code>は、<code>gcd2</code>と<code>lcm2</code>を使って、指定された数のGCDとLCMを計算し、それらを出力します。このプログラムでは、<code>print</code>文を使って各関数の結果を表示しています。
Fortranの<code>recursive</code>キーワードは、自己参照的な(再帰的な)関数を定義する際に使用されます。このプログラムは与えられた数値のGCDとLCMを計算するFortranの例です。
== 二分法 ==
このFortranのコードは、[[W:二分法|二分法]](Bisection Method)を使用して関数の根を見つける方法を示しています。以下にコードの各部分の説明を示します。
:<syntaxhighlight lang=fortran>
real(8) function f1(x)
real(8), intent(in) :: x
f1 = x - 1.0_8
end function f1
real(8) function f2(x)
real(8), intent(in) :: x
f2 = x*x - 1.0_8
end function f2
recursive real(8) function bisection(low, high, f) result(ret)
real(8), intent(in) :: low, high
real(8), external :: f
real(8) :: x, fx
x = (low + high) / 2.0_8
fx = f(x)
if (abs(fx) < 1.0d-10) then
ret = x
else
if (fx < 0.0_8) then
ret = bisection(x, high, f)
else
ret = bisection(low, x, f)
end if
end if
end function bisection
program BisectionMethod
implicit none
real(8) :: bisection
real(8), external :: f1
real(8), external :: f2
print *, bisection(0.0_8, 3.0_8, f1)
print *, bisection(0.0_8, 3.0_8, f2)
end program BisectionMethod
</syntaxhighlight>
: [[旧課程(-2012年度)高等学校数学B/数値計算とコンピューター#2分法]]の例を Fortran に移植しました。
このFortranコードは次のように動作します。
* <code>f1</code>関数は <code>f(x) = x - 1</code> の関数を表し、<code>f2</code>関数は <code>f(x) = x^2 - 1</code> の関数を表します。それぞれの関数は与えられた引数 <code>x</code> に対して計算された結果を返します。
* <code>bisection</code>関数は、与えられた範囲内で関数の根を見つけるために二分法を用いて計算します。この関数は、与えられた関数 <code>f</code> を用いて再帰的に範囲を半分に分割し、関数の根を探します。
* <code>program BisectionMethod</code>では、<code>bisection</code>関数を使用してそれぞれの関数の根を計算し、<code>print</code>文を使って結果を出力します。関数ポインタの代わりに、関数を外部から呼び出すための <code>external</code> 宣言が行われています。
== 脚註 ==
<references />
{{nav}} | 2023-12-05T05:43:52Z | 2023-12-05T06:54:09Z | [
"テンプレート:Nav"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/Fortran/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC |
38,833 | 中学校保健体育/生活習慣病の起こり方 | 生活習慣病・動脈硬化・癌・心臓病・脳卒中・糖尿病・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・QOL(生活の質)・歯周病・歯垢
※
生活習慣病は、体や心につらい生活習慣を続けると発症します。生活習慣病は、つらい生活習慣を見直すと予防出来ます。生活習慣の中でも、喫煙・お酒の飲みすぎ・食生活の乱れ・睡眠不足・大きなストレス・口腔の汚れなどが原因として挙げられます。
生活習慣が心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)の発症や進行に、大きく影響しています。心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は日本人の主な死亡原因になっています。煙草の煙は有害な化学物質を含んでいます。それを長期間吸い込むと、肺に炎症が起こり、酸素を体内に取り込めなくなります。この病気をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。癌・心臓病・脳卒中などは、中高年に発症しやすいため、かつて成人病と呼ばれてきました。また、歯周病は生活習慣病と関係しており、食事や会話など口腔の生活の質(QOL)を大きく落とします。
★日本人の死亡原因
上のグラフは厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」から抜粋しています。
※生活習慣病はどのように進みますか。
子供の頃から、生活習慣病の基本が作られます。運動不足・塩分や糖分の摂りすぎなどの正しくない食生活に加えて、睡眠不足・大きなストレス・喫煙や飲酒などの正しくない生活行動を子供の頃から続けると、激しい体重減少や体重増加を引き起こします。また、心臓や脳の血管で動脈硬化を引き起こして心臓病や脳卒中も引き起こしたりします。一度身についてしまったら、その生活習慣をやめられません。長い間続けていると、その習慣が原因で生活習慣病にかかってしまいます。
また、歯磨きが足りないと歯周病になります。歯周病で、歯肉が腫れたり、歯の骨を傷つけたり、歯を失ったりします。
高血圧と動脈硬化は、心臓病と脳卒中を招きます。心臓病は狭心症と心筋梗塞の2種類になります。心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が狭くなると狭心症を発症します。これに対して、心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が詰まると心筋梗塞を発症します。心臓病になると、激しい胸の痛みと心臓の活動低下がみられます。脳卒中は脳梗塞と脳出血の2種類になります。脳に血液を運ぶ血管が詰まると脳梗塞を発症します。これに対して、脳に血液を運ぶ血管が破れると脳出血を発症します。脳卒中になると、体が麻痺したり意識を失ったりします。
高血圧症・脂質異常症・糖尿病を「サイレントキラー(silent killer)」ともいいます。このような病気は、自覚症状がほとんど現れずに血管の働きを変えてしまうので、動脈硬化を進行させます。
太り過ぎ・カロリーの取りすぎ・運動不足などから血液中のブドウ糖の量が異常に増えると、糖尿病になります。糖尿病になると、血管に負担がかかります。その結果、心臓病・脳卒中・腎不全・失明・神経の障害など様々な病気を招きます。日本は約2000万人に糖尿病予備軍と考えられています。糖尿病は血液値の検査で見つかります。なお、生活習慣が全ての糖尿病の原因になりません。そして、糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。1型糖尿病は生活習慣と無関係です。2型糖尿病は生活習慣と大きく関係しています。
煙草を吸ったり、砂糖を取りすぎたり、正しくない歯磨きの習慣や正しくない磨き方などは歯周病につながります。砂糖を摂りすぎると、口の中の細菌から歯の表面に食べかすがくっ付きます。加えて、歯磨きが足りないと歯垢(プラーク)も出来ます。歯垢を取り除かないと、歯垢が歯石になり、さらに固く歯にくっ付きます。歯垢は、虫歯(う歯)の原因になり、歯肉の炎症も引き起こします。歯周病が進むと、ゆっくりと歯の骨も壊れていきます。その結果、歯を失ってしまいます。歯周病と糖尿病は深く関係しています。また、心臓病や脳卒中など、様々な病気の原因にもなっています。 | [
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"text": "生活習慣が心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)の発症や進行に、大きく影響しています。心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は日本人の主な死亡原因になっています。煙草の煙は有害な化学物質を含んでいます。それを長期間吸い込むと、肺に炎症が起こり、酸素を体内に取り込めなくなります。この病気をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。癌・心臓病・脳卒中などは、中高年に発症しやすいため、かつて成人病と呼ばれてきました。また、歯周病は生活習慣病と関係しており、食事や会話など口腔の生活の質(QOL)を大きく落とします。",
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"text": "子供の頃から、生活習慣病の基本が作られます。運動不足・塩分や糖分の摂りすぎなどの正しくない食生活に加えて、睡眠不足・大きなストレス・喫煙や飲酒などの正しくない生活行動を子供の頃から続けると、激しい体重減少や体重増加を引き起こします。また、心臓や脳の血管で動脈硬化を引き起こして心臓病や脳卒中も引き起こしたりします。一度身についてしまったら、その生活習慣をやめられません。長い間続けていると、その習慣が原因で生活習慣病にかかってしまいます。",
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"text": "高血圧症・脂質異常症・糖尿病を「サイレントキラー(silent killer)」ともいいます。このような病気は、自覚症状がほとんど現れずに血管の働きを変えてしまうので、動脈硬化を進行させます。",
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"text": "太り過ぎ・カロリーの取りすぎ・運動不足などから血液中のブドウ糖の量が異常に増えると、糖尿病になります。糖尿病になると、血管に負担がかかります。その結果、心臓病・脳卒中・腎不全・失明・神経の障害など様々な病気を招きます。日本は約2000万人に糖尿病予備軍と考えられています。糖尿病は血液値の検査で見つかります。なお、生活習慣が全ての糖尿病の原因になりません。そして、糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。1型糖尿病は生活習慣と無関係です。2型糖尿病は生活習慣と大きく関係しています。",
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"text": "煙草を吸ったり、砂糖を取りすぎたり、正しくない歯磨きの習慣や正しくない磨き方などは歯周病につながります。砂糖を摂りすぎると、口の中の細菌から歯の表面に食べかすがくっ付きます。加えて、歯磨きが足りないと歯垢(プラーク)も出来ます。歯垢を取り除かないと、歯垢が歯石になり、さらに固く歯にくっ付きます。歯垢は、虫歯(う歯)の原因になり、歯肉の炎症も引き起こします。歯周病が進むと、ゆっくりと歯の骨も壊れていきます。その結果、歯を失ってしまいます。歯周病と糖尿病は深く関係しています。また、心臓病や脳卒中など、様々な病気の原因にもなっています。",
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] | 生活習慣病はどのような病気ですか?
どのような生活すると生活習慣病を発症しますか? | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>生活習慣病の起こり方
* 生活習慣病はどのような病気ですか?
* どのような生活すると生活習慣病を発症しますか?
== キーワード ==
生活習慣病・動脈硬化・癌・心臓病・脳卒中・糖尿病・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・QOL(生活の質)・歯周病・歯垢
== 生活習慣と病気 ==
※生活習慣病について考えてみましょう。
'''生活習慣病'''は、体や心につらい生活習慣を続けると発症します。生活習慣病は、つらい生活習慣を見直すと予防出来ます。生活習慣の中でも、喫煙・お酒の飲みすぎ・食生活の乱れ・睡眠不足・大きなストレス・口腔の汚れなどが原因として挙げられます。
生活習慣が'''心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)'''の発症や進行に、大きく影響しています。心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は日本人の主な死亡原因になっています。煙草の煙は有害な化学物質を含んでいます。それを長期間吸い込むと、肺に炎症が起こり、酸素を体内に取り込めなくなります。この病気をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。癌・心臓病・脳卒中などは、中高年に発症しやすいため、かつて成人病と呼ばれてきました。また、'''歯周病'''は生活習慣病と関係しており、食事や会話など口腔の'''生活の質(QOL)'''を大きく落とします。
★日本人の死亡原因
[[ファイル:日本人の死亡原因.png|フレームなし|495x495ピクセル]]
上のグラフは厚生労働省「[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況]」から抜粋しています。
== 生活習慣病の起こり方 ==
※生活習慣病はどのように進みますか。
子供の頃から、生活習慣病の基本が作られます。運動不足・塩分や糖分の摂りすぎなどの正しくない食生活に加えて、睡眠不足・大きなストレス・喫煙や飲酒などの正しくない生活行動を子供の頃から続けると、激しい体重減少や体重増加を引き起こします。また、心臓や脳の血管で動脈硬化を引き起こして心臓病や脳卒中も引き起こしたりします。一度身についてしまったら、その生活習慣をやめられません。長い間続けていると、その習慣が原因で生活習慣病にかかってしまいます。
また、歯磨きが足りないと歯周病になります。歯周病で、歯肉が腫れたり、歯の骨を傷つけたり、歯を失ったりします。
さらに、生活習慣病が近年になって子供にも増えています。
★心臓病、脳卒中などの進み方
[1]正しくない生活習慣
{| class="wikitable"
|睡眠不足
|ストレス過剰
|脂肪分の多い食事
|間食のとりすぎ
|-
|運動不足
|塩分の多い食事
|喫煙
|飲酒
|}
[2]自覚症状の少ないまま病気が進む
* 高血圧症
* 脂質異常症(高脂血症)
* 糖尿病
* 肥満症
* 血管の変化
[3]重い症状が現れる
* 心臓病(狭心症、心筋梗塞)
* 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
* 糖尿病の合併症
* 癌など
=== 循環器の病気 ===
動物性脂肪を摂りすぎたり、あまり運動をしなかったりしたら、'''動脈硬化'''につながります。動脈硬化では、血管の壁にコレステロールなどの脂肪がたまって、血管をもろく硬くします。コレステロールは2種類あります。体に悪いLDLコレステロールと体に良くて血管壁に脂肪がつかないようなHDLコレステロールがあります。'''脂質異常症'''は、LDLコレステロールが多すぎたり、HDLコレステロールが足りなかったりするとかかります。塩分の摂りすぎや大きなストレスなども高血圧につながります。高血圧では、動脈に大きな圧力がかかっています。
高血圧と動脈硬化は、'''心臓病'''と'''脳卒中'''を招きます。心臓病は狭心症と心筋梗塞の2種類になります。心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が狭くなると狭心症を発症します。これに対して、心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が詰まると心筋梗塞を発症します。心臓病になると、激しい胸の痛みと心臓の活動低下がみられます。脳卒中は脳梗塞と脳出血の2種類になります。脳に血液を運ぶ血管が詰まると脳梗塞を発症します。これに対して、脳に血液を運ぶ血管が破れると脳出血を発症します。脳卒中になると、体が麻痺したり意識を失ったりします。
高血圧症・脂質異常症・糖尿病を「サイレントキラー(silent killer)」ともいいます。このような病気は、自覚症状がほとんど現れずに血管の働きを変えてしまうので、動脈硬化を進行させます。
=== 糖尿病 ===
太り過ぎ・カロリーの取りすぎ・運動不足などから血液中のブドウ糖の量が異常に増えると、'''糖尿病'''になります。糖尿病になると、血管に負担がかかります。その結果、心臓病・脳卒中・腎不全・失明・神経の障害など様々な病気を招きます。日本は約2000万人に糖尿病予備軍と考えられています。糖尿病は血液値の検査で見つかります。なお、生活習慣が全ての糖尿病の原因になりません。そして、糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。1型糖尿病は生活習慣と無関係です。2型糖尿病は生活習慣と大きく関係しています。
=== 歯周病 ===
煙草を吸ったり、砂糖を取りすぎたり、正しくない歯磨きの習慣や正しくない磨き方などは'''歯周病'''につながります。砂糖を摂りすぎると、口の中の細菌から歯の表面に食べかすがくっ付きます。加えて、歯磨きが足りないと'''歯垢'''(プラーク)も出来ます。歯垢を取り除かないと、歯垢が歯石になり、さらに固く歯にくっ付きます。歯垢は、虫歯(う歯)の原因になり、歯肉の炎症も引き起こします。歯周病が進むと、ゆっくりと歯の骨も壊れていきます。その結果、歯を失ってしまいます。歯周病と糖尿病は深く関係しています。また、心臓病や脳卒中など、様々な病気の原因にもなっています。
{| style="border:2px solid #D98032;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#D98032" |'''歯ブラシがない場合や水が少ない場合の歯の手入れ'''
|-
| style="padding:5px" |外出先で歯ブラシを持っていなかったり、水道が止まって少ない水で生活しなければならなかったり、自然災害の避難先で歯ブラシも水もなかったりします。このような時に、口の中を健康にしたいなら、歯のお手入れ方法を知っておきましょう。
[1]歯ブラシがない場合
* 食べたら少量の水かお茶で口をゆすぎましょう。
* ハンカチかティッシュで歯の汚れを取りましょう。
[2]水が少ない場合
* 2つのカップにそれぞれ少量の水を入れます。
* 一方のコップで歯ブラシをきれいにして、ティッシュで拭き取りながら歯を磨きましょう。
* 最後に、もう一方のコップの水で口をすすぎます。
|}
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育]] | 2023-12-09T21:49:27Z | 2023-12-14T12:23:12Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E7%BF%92%E6%85%A3%E7%97%85%E3%81%AE%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%82%8A%E6%96%B9 |
38,834 | LLVM | LLVMは非常にパワフルなツールセットであり、その使い方を学ぶためのチュートリアルが公式に提供されています。 以下は、LLVMの基本的な使い方を学ぶための簡単なチュートリアルの手順です。
LLVMをインストールします。公式のウェブサイト( https://llvm.org/ )から、最新バージョンをダウンロードしてインストールするか、パッケージマネージャーを使用してインストールします。
以下のC++コードを作成して、LLVMのIRを生成する方法を学びます。これは、単純な四則演算の関数をLLVM IRに変換するものです。
このC++のコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを生成する例を示しています。
このコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを構築する基本的な方法を示しています。 IRBuilderを使用することで、プログラムでIRを生成するための柔軟性と制御が提供されます。
このCMakeレシピは、LLVMを使用するC++プロジェクトをビルドするための指示を含んでいます。
このCMakeレシピは、LLVMを検出し、プロジェクトに必要なヘッダーファイルへのアクセスを確立し、LLVMの必要なライブラリをリンクするための手順を含んでいます。これにより、LLVMを使用するC++プロジェクトがビルドされ、実行可能なバイナリが生成されます。
このコードをC++ファイルとして保存し、LLVMを使ってコンパイルします。
コンパイルが成功したら、生成された実行可能ファイルを実行して、LLVM IRを確認します。
このコードは、LLVMを使用して逆ポーランド記法の電卓を実装しています。基本的に、ユーザーが逆ポーランド記法の式を入力し、その式を評価して結果を表示する簡単なプログラムです。さらに、CMakeを使用してLLVMをリンクし、実行可能ファイルをビルドする手順を提供します。
これで、LLVM_RPN_Calculator という名前の実行可能ファイルがビルドされます。実行可能ファイルを実行すると、逆ポーランド記法の式を入力し、計算結果が表示されます。
生成されたIRは、プログラムを抽象的な命令セットで表現しています。それはアセンブリ言語に似た形式ですが、LLVM独自のものです。このIRは、プログラムの制御フローや演算を表現しており、LLVMコンパイラや最適化パスがこれを解析して実行可能なコードに変換します。
このチュートリアルは、LLVMの基本的な機能を紹介しました。LLVMは非常に広範な機能を持っていますので、より高度な機能や最適化、コード生成などについては、公式ドキュメントや他のチュートリアルを参照することをお勧めします。 | [
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"text": "LLVMをインストールします。公式のウェブサイト( https://llvm.org/ )から、最新バージョンをダウンロードしてインストールするか、パッケージマネージャーを使用してインストールします。",
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"text": "以下のC++コードを作成して、LLVMのIRを生成する方法を学びます。これは、単純な四則演算の関数をLLVM IRに変換するものです。",
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"text": "このC++のコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを生成する例を示しています。",
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"text": "このコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを構築する基本的な方法を示しています。 IRBuilderを使用することで、プログラムでIRを生成するための柔軟性と制御が提供されます。",
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"text": "このCMakeレシピは、LLVMを使用するC++プロジェクトをビルドするための指示を含んでいます。",
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"text": "このCMakeレシピは、LLVMを検出し、プロジェクトに必要なヘッダーファイルへのアクセスを確立し、LLVMの必要なライブラリをリンクするための手順を含んでいます。これにより、LLVMを使用するC++プロジェクトがビルドされ、実行可能なバイナリが生成されます。",
"title": "LLVMのビルドとIR生成"
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"text": "このコードをC++ファイルとして保存し、LLVMを使ってコンパイルします。",
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"text": "コンパイルが成功したら、生成された実行可能ファイルを実行して、LLVM IRを確認します。",
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"text": "このコードは、LLVMを使用して逆ポーランド記法の電卓を実装しています。基本的に、ユーザーが逆ポーランド記法の式を入力し、その式を評価して結果を表示する簡単なプログラムです。さらに、CMakeを使用してLLVMをリンクし、実行可能ファイルをビルドする手順を提供します。",
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},
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"text": "これで、LLVM_RPN_Calculator という名前の実行可能ファイルがビルドされます。実行可能ファイルを実行すると、逆ポーランド記法の式を入力し、計算結果が表示されます。",
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"text": "生成されたIRは、プログラムを抽象的な命令セットで表現しています。それはアセンブリ言語に似た形式ですが、LLVM独自のものです。このIRは、プログラムの制御フローや演算を表現しており、LLVMコンパイラや最適化パスがこれを解析して実行可能なコードに変換します。",
"title": "LLVM IRの理解"
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"text": "このチュートリアルは、LLVMの基本的な機能を紹介しました。LLVMは非常に広範な機能を持っていますので、より高度な機能や最適化、コード生成などについては、公式ドキュメントや他のチュートリアルを参照することをお勧めします。",
"title": "LLVM IRの理解"
}
] | LLVMは非常にパワフルなツールセットであり、その使い方を学ぶためのチュートリアルが公式に提供されています。
以下は、LLVMの基本的な使い方を学ぶための簡単なチュートリアルの手順です。 | LLVMは非常にパワフルなツールセットであり、その使い方を学ぶためのチュートリアルが公式に提供されています。
以下は、LLVMの基本的な使い方を学ぶための簡単なチュートリアルの手順です。
== LLVMのインストール ==
LLVMをインストールします。公式のウェブサイト( https://llvm.org/ )から、最新バージョンをダウンロードしてインストールするか、パッケージマネージャーを使用してインストールします。
== LLVM ツールチェイン ==
LLVMツールチェインは、LLVMプロジェクトに含まれる一連のツール群のことです。これらのツールは、LLVMコンパイラを中心として、コンパイル、リンク、最適化、デバッグ、アセンブルなどのタスクを処理するためのものです。主なツールには以下が含まれますが、これに限らず、他のツールも含まれています。
# '''clang''': C、C++、Objective-Cなどのプログラミング言語のコンパイラ。GCC互換性を持ちつつも、LLVMのコアコンポーネントを使用して高速で高品質なコンパイルを提供します。
# '''llvm-as / llvm-dis''': LLVMのアセンブラおよびディスアセンブラ。アセンブラはLLVMアセンブリ言語をバイナリ形式に変換し、ディスアセンブラはその逆を行います。
# '''llvm-link''': LLVMビットコードをリンクするためのツール。複数のビットコードファイルを1つのファイルにリンクします。
# '''opt''': LLVMの最適化ツール。LLVM IR上で様々な最適化を適用します。
# '''llvm-dis''': LLVMのディスアセンブラ。バイナリ形式のLLVMビットコードをLLVMアセンブリ言語に変換します。
# '''llc''': LLVMのコードジェネレータ。LLVM IRをターゲットアーキテクチャのアセンブリ言語に変換します。
:{| class="sortable wikitable"
|+ LLVMコマンド一覧
!コマンド
!解説
|-
!FileCheck
| LLVMのテストスクリプトにおいて、ファイルの内容を検証するためのパターンベースのツール
|-
! amdgpu-arch
| AMDGPUのアーキテクチャに関する情報を提供するユーティリティ
|-
! analyze-build
| ソースコード解析ツールを使用して、ビルドエラーを特定し解析するためのスクリプト
|-
! bugpoint
| プログラムの特定の問題を特定し、最小限の再現可能なテストケースを生成するためのツール
|-
! c-index-test
| Clangのインデックス機能のテストスイートを実行するためのツール
|-
! clang
| C、C++、Objective-Cのコンパイラ
|-
! clang++
| C++のコンパイラ
|-
! clang-18
| Clangの特定のバージョンであるClang 18の実行可能ファイル
|-
! clang-apply-replacements
| 変更差分をファイルに適用するためのツール
|-
! clang-change-namespace
| コード内の名前空間を変更するためのツール
|-
! clang-check
| ソースファイルを静的に解析し、潜在的な問題を報告するためのツール
|-
! clang-cl
| Microsoft Visual C++互換のコンパイラ
|-
! clang-cpp
| C/C++のプリプロセッサ
|-
! clang-doc
| ソースコードからドキュメントを生成するためのツール
|-
! clang-extdef-mapping
| 外部定義(external definition)のマッピング情報を提供するツール
|-
! clang-format
| ソースコードのフォーマットを整えるためのツール
|-
! clang-include-cleaner
| ソースコードから不要なインクルード文を削除するためのツール
|-
! clang-include-fixer
| インクルードを自動的に追加または削除するためのツール
|-
! clang-linker-wrapper
| リンク時にClangをラップするためのツール
|-
! clang-move
| ソースファイル内の関数やクラスを別のファイルに移動するためのツール
|-
! clang-offload-bundler
| 複数のクロスコンパイル用のコンパイルオブジェクトをパッケージするためのツール
|-
! clang-offload-packager
| クロスコンパイル用の実行可能ファイルをパッケージするためのツール
|-
! clang-pseudo
| PNaClのシンボルを解析するためのツール
|-
! clang-query
| コードをクエリして結果を表示するためのツール
|-
! clang-refactor
| コードリファクタリングを行うためのツール
|-
! clang-rename
| コード内のシンボルの名前を変更するためのツール
|-
! clang-reorder-fields
| 構造体のフィールドの順序を変更するためのツール
|-
! clang-repl
| Clangのリード-イヴァル-プリントループ(REPL)
|-
! clang-scan-deps
| ソースコードの依存関係をスキャンして表示するためのツール
|-
! clang-tblgen
| TableGenファイルを処理してC++コードを生成するためのツール
|-
! clang-tidy
| コードを静的に解析し、ポテンシャルな問題を報告するためのツール
|-
! clangd
| C++のランゲージサーバー
|-
! diagtool
| Clangの診断ツール
|-
! dsymutil
| デバッグシンボルを処理するためのツール
|-
! find-all-symbols
| ファイル内のシンボルを検索するためのツール
|-
! git-clang-format
| Gitコミットのフォーマットを調整するためのツール
|-
! hmaptool
| ハッシュマップファイルを処理するためのツール
|-
! intercept-build
| ビルドスクリプトをラップして、ビルドの出力をログに記録するためのツール
|-
! ld.lld
| LLVMリンカ
|-
! ld64.lld
| マックOS用のリンカ
|-
! lit
| LLVMのテストフレームワーク
|-
! llc
| LLVM IRをマシンコードに変換するためのツール
|-
! lld
| LLVMプロジェクトの新しいリンカ
|-
! lld-link
| Windows用のリンカ
|-
! lldb
| デバッガ
|-
! lldb-argdumper
| デバッガの引数ダンパー
|-
! lldb-instr
| LLDBの命令インストラクタ
|-
! lldb-server
| LLDBのサーバー
|-
! lldb-vscode
| Visual Studio Code用のデバッガエクステンション
|-
! lli
| LLVM IRのJITコンパイラ
|-
! llvm-addr2line
| アドレスからソースコードの行番号への変換を行うユーティリティ
|-
! llvm-ar
| アーカイブファイルを操作するためのユーティリティ
|-
! llvm-as
| LLVMアセンブリ言語からバイナリ形式のLLVMビットコードへの変換を行うユーティリティ
|-
! llvm-bcanalyzer
| バイトコードファイルの解析ツール
|-
! llvm-bitcode-strip
| ビットコードファイルから不要なセクションを除去するツール
|-
! llvm-c-test
| LLVMのCインターフェイスのテストツール
|-
! llvm-cat
| ファイルの内容を標準出力に出力するユーティリティ
|-
! llvm-cfi-verify
| Control Flow Integrity(CFI)のチェックを行うツール
|-
! llvm-config
| コンパイルされたLLVMの構成情報を提供するユーティリティ
|-
! llvm-cov
| コードカバレッジの情報を提供するツール
|-
! llvm-cvtres
| MSVCのリソースコンバータ
|-
! llvm-cxxdump
| C++デバッグ情報のダンプツール
|-
! llvm-cxxfilt
| C++のシンボルをデマングルするユーティリティ
|-
! llvm-cxxmap
| C++シンボルマップを生成するツール
|-
! llvm-debuginfo-analyzer
| デバッグ情報の解析ツール
|-
! llvm-debuginfod
| デバッグ情報を管理するデーモン
|-
! llvm-debuginfod-find
| デバッグ情報を検索するためのユーティリティ
|-
! llvm-diff
| LLVM IRまたはアセンブリファイル間の差分を生成するツール
|-
! llvm-dis
| LLVMビットコードをLLVMアセンブリ言語に逆アセンブルするツール
|-
! llvm-dlltool
| Windows DLLファイルを操作するツール
|-
! llvm-dwarfdump
| DWARF形式のデバッグ情報をダンプするツール
|-
! llvm-dwarfutil
| DWARF形式のデバッグ情報を処理するユーティリティ
|-
! llvm-dwp
| DWARF形式のデバッグ情報をパッケージするツール
|-
! llvm-exegesis
| マイクロアーキテクチャのプロファイリングと解析を行うツール
|-
! llvm-extract
| ビットコードファイルから特定の関数やグローバル変数を抽出するツール
|-
! llvm-gsymutil
| GSYM(Global System Map)デバッグ情報を処理するツール
|-
! llvm-ifs
| 独自のオブジェクトファイル形式を処理するためのユーティリティ
|-
! llvm-install-name-tool
| macOSのインストール名を変更するツール
|-
! llvm-jitlink
| JITリンクライブラリ
|-
! llvm-lib
| ライブラリアーカイブを操作するためのツール
|-
! llvm-libtool-darwin
| macOS用のライブラリツール
|-
! llvm-link
| LLVMビットコードをリンクするツール
|-
! llvm-lipo
| ファイルからアーキテクチャを抽出または削除するツール
|-
! llvm-lit
| テストスクリプトを実行するためのツール
|-
! llvm-lto
| リンク時最適化のエンジン
|-
! llvm-lto2
| リンク時最適化のツール
|-
! llvm-mc
| アセンブラとディスアセンブラのツール
|-
! llvm-mca
| マイクロアーキテクチャのパフォーマンス解析ツール
|-
! llvm-ml
| Microsoft Assemblerのエイリアス
|-
! llvm-modextract
| モジュールから情報を抽出するツール
|-
! llvm-mt
| アーカイブファイルを操作するためのツール
|-
! llvm-nm
| オブジェクトファイルのシンボルをリストするツール
|-
! llvm-objcopy
| オブジェクトファイルのコピーと変換を行うツール
|-
! llvm-objdump
| オブジェクトファイルをダンプするツール
|-
! llvm-omp-device-info
| OpenMPデバイスの情報を表示するユーティリティ
|-
! llvm-omp-kernel-replay
| OpenMPターゲットレベルのカーネルのリプレイを行うユーティリティ
|-
! llvm-opt-report
| ビットコードの最適化のレポートを生成するツール
|-
! llvm-otool
| macOSのツール
|-
! llvm-pdbutil
| マイクロソフトのPDBファイルを処理するツール
|-
! llvm-profdata
| プロファイルデータファイルを操作するツール
|-
! llvm-profgen
| プロファイルデータを生成するツール
|-
! llvm-ranlib
| アーカイブファイルに関する情報を生成するツール
|-
! llvm-rc
| リソースコンパイラ
|-
! llvm-readelf
| ELF形式のファイルを読み取るツール
|-
! llvm-readobj
| オブジェクトファイルの情報を表示するツール
|-
! llvm-reduce
| コードを最小限の構造に縮小するためのツール
|-
! llvm-remark-size-diff
| リマークサイズの差分を表示するツール
|-
! llvm-remarkutil
| リマーク情報を操作するツール
|-
! llvm-rtdyld
| ランタイムダイナミックローダー
|-
! llvm-sim
| LLVMのシミュレータ
|-
! llvm-size
| セクションサイズの情報を提供するツール
|-
! llvm-split
| ビットコードファイルを分割するツール
|-
! llvm-stress
| LLVMコンパイラのストレステストツール
|-
! llvm-strings
| バイナリファイルから文字列を抽出するツール
|-
! llvm-strip
| 実行可能ファイルからデバッグ情報を削除するツール
|-
! llvm-symbolizer
| アドレスからシンボル情報を取得するツール
|-
! llvm-tapi-diff
| TAPI(Text-based API)の差分を表示するツール
|-
! llvm-tblgen
| TableGenツール
|-
! llvm-tli-checker
| ターゲットライブラリインターフェースのチェッカー
|-
! llvm-undname
| MicrosoftのC++シンボルをデマングルするツール
|-
! llvm-windres
| Windowsリソースコンパイラ
|-
! llvm-xray
| X-Rayツール
|-
! mlir-cpu-runner
| MLIRプログラムをCPU上で実行するランタイム
|-
! mlir-linalg-ods-yaml-gen
| MLIRのYAML定義を生成するツール
|-
! mlir-lsp-server
| MLIRのLanguage Server Protocol(LSP)サーバー
|-
! mlir-opt
| MLIRプログラムの最適化を行うためのツール
|-
! mlir-pdll
| MLIRのプラグインローダー
|-
! mlir-pdll-lsp-server
| MLIRのプラグインローダーのLSPサーバー
|-
! mlir-reduce
| MLIRプログラムを最小限の形に縮小するためのツール
|-
! mlir-tblgen
| MLIR TableGenツール
|-
! mlir-translate
| MLIRプログラムを他の形式に変換するためのツール
|-
! modularize
| ヘッダーファイルからモジュールファイルを生成するツール
|-
! nvptx-arch
| NVPTXアーキテクチャに関する情報を提供するユーティリティ
|-
! opt
| LLVM IR上で最適化を行うツール
|-
! pp-trace
| プリプロセス中にマクロの置換を追跡するためのツール
|-
! run-clang-tidy
| Clang-Tidyを実行するためのスクリプト
|-
! sancov
| サンディタイザーコードのカバレッジ情報を提供するツール
|-
! sanstats
| サンディタイザーの統計情報を表示するツール
|-
! scan-build
| Clang Static Analyzerを使用して、コードベース全体を解析するためのツール
|-
! scan-build-py
| Pythonスクリプトを使用して、コードベース全体を解析するためのツール
|-
! scan-view
| Clang Static AnalyzerのHTMLレポートを表示するためのツール
|-
! tblgen-lsp-server
| TableGenツールのLSPサーバー
|-
! verify-uselistorder
| リンク時の順序を確認するツール
|-
! wasm-ld
| WebAssemblyリンカ
|}
これらのツールは、LLVMプロジェクトの中核であり、プログラムの開発、デバッグ、最適化、および配布のために広く使用されています。また、LLVMツールチェインは、クロスコンパイルや最適化など、さまざまなターゲットやプラットフォームでの開発にも利用されます。
== LLVM IR ==
LLVM IR(LLVM Intermediate Representation)は、LLVM(Low Level Virtual Machine)コンパイラフレームワークで使用される中間言語の一種です。LLVMは、様々なプログラミング言語(C、C++、Rustなど)のコンパイラや最適化ツールの基盤として使われます。LLVM IRは、これらの言語のソースコードをコンパイルした後の中間形式の表現です。
LLVM IRは、低レベルなアセンブリ言語に近い形式でありながら、高レベルな抽象化を持っています。LLVM IRは、構造化されたプログラム表現を提供し、機械による解析や最適化が行いやすいように設計されています。
LLVM IRの特徴は次のとおりです:
# '''プラットフォーム中立性''': LLVM IRは、プラットフォームに依存しない中間表現であり、様々なアーキテクチャやOSに対応しています。
# '''型付け''': LLVM IRは型付き言語です。つまり、変数や関数に型が付与され、型の整合性が検証されます。
# '''SSA形式''': 静的単一代入形式(Static Single Assignment、SSA)形式で表現されます。これは、変数が唯一の代入箇所でしか変更されないことを保証する形式で、多くの最適化手法に適しています。
# '''中間表現の最適化''': LLVM IRは、高度な最適化を可能にする設計がなされています。このため、コンパイラが生成する様々な最適化を適用することができます。
# '''直観的な構造''': LLVM IRは人間にとっても比較的読みやすい構造を持っています。これは、デバッグや解析を容易にするために重要です。
LLVM IRは、ソースコードから生成され、LLVMコンパイラによって様々な最適化が適用された後、最終的にターゲットのマシンコードに変換されます。LLVMの柔軟性と性能の高さは、その中間表現であるLLVM IRの効果的な設計に基づいています。
=== クイックツアー ===
ここでは、LLVM IRの基本的な構文や特徴についてのクイックツアーを提供します。
# '''LLVM IRの基本的な構文'''
#:LLVM IRは、アセンブリ言語に似た文法を持ちます。以下は、基本的な構文の例です:
#:<syntaxhighlight lang=llvm>
define i32 @add(i32 %a, i32 %b) {
%result = add i32 %a, %b
ret i32 %result
}
</syntaxhighlight>
#* <code>define</code>:関数定義の始まりを示すキーワード。
#* <code>i32</code>:整数型(32ビット)を示す型。
#* <code>@add</code>:関数名。
#* <code>%a</code>、<code>%b</code>:引数。
#* <code>%result</code>:ローカル変数。
#* <code>add</code>:加算命令。
#* <code>ret</code>:関数からの戻り。
# '''型付け'''
#:LLVM IRは、強力な型システムを持っています。たとえば、整数、浮動小数点数、ポインタ、ベクトルなどのさまざまな型がサポートされています。また、ポインタ型は明示的なアドレス空間を持ちます。
# '''静的単一代入形式(SSA)'''
#: LLVM IRは、静的単一代入形式(SSA)を採用しています。これは、変数が唯一の代入箇所でしか変更されないことを保証する形式です。例えば、以下のコードはSSA形式で表現されます:
#:<syntaxhighlight lang=llvm>
%1 = add i32 %a, %b
%2 = mul i32 %1, 2
</syntaxhighlight>
# '''最適化'''
#: LLVM IRは、多くの最適化を適用できるよう設計されています。変数の削除やコードの変形など、様々な最適化が可能です。
# '''データフローグラフ'''
#: LLVM IRは、データフローグラフの形式で表現されます。このため、コードの解析や変換が容易に行えます。
# '''LLVMツール'''
#: LLVMには、LLVM IRを生成したり操作したりするための様々なツールが含まれています。例えば、<code>clang</code>コンパイラは、ソースコードをLLVM IRに変換することができます。また、<code>opt</code>ツールは、LLVM IR上で様々な最適化を行うことができます。
これはLLVM IRのクイックツアーの概要です。LLVM IRは、LLVMフレームワークの中核を成す部分であり、その柔軟性と性能は、この中間表現の効果的な設計によるものです。
=== LLVM IR の文法 ===
LLVM IRの文法は、アセンブリ言語に似た構文を持ちます。以下に、LLVM IRの基本的な文法要素を示します。
# '''プログラム構造'''
#: LLVM IRプログラムは、グローバルな定義と関数定義で構成されます。
#:
#* グローバルな定義: グローバルな変数や定数などの定義を含みます。
#* 関数定義: 関数の定義が含まれます。
#:
# '''関数定義'''
#: 関数定義は、次のような構造を持ちます:
#:<syntaxhighlight lang=llvm>
define [linkage] [visibility] [dll_storage_class] [cconv] [ret attrs] [unnamed_addr] [addr_space] [section "name"] [comdat [($name)]] [prefix] [prologue] [personality] [cstyle attrs] [gc] [prefix] [prologue] [personality] [cstyle attrs] [gc] [prefix] [prologue] [personality] [cstyle attrs] [gc] <result> <function_name>(<arg_type> <arg_name>, ...) [fn attrs] [section "name"] [align N] [gc] [prefix] [prologue] [personality] [cstyle attrs] [gc] {
; 関数の本体
}
</syntaxhighlight>
#* define: 関数の定義を開始するキーワード。
#* linkage: リンケージ指定子(オプション)。
#* visibility: 可視性指定子(オプション)。
#* dll_storage_class: DLLストレージクラス(オプション)。
#* cconv: 呼び出し規約(オプション)。
#* ret attrs: 戻り値の属性(オプション)。
#* unnamed_addr: 名前なしアドレス(オプション)。
#* addr_space: アドレス空間(オプション)。
#* section "name": セクション名(オプション)。
#* comdat: コムデータ指定(オプション)。
#* prefix: プリフィックス(オプション)。
#* prologue: プロローグ(オプション)。
#* personality: 例外処理のパーソナリティ関数(オプション)。
#* cstyle attrs: Cスタイルの属性(オプション)。
#* gc: ガベージコレクタ指定(オプション)。
#* result: 戻り値の型。
#* function_name: 関数名。
#* arg_type: 引数の型。
#* arg_name: 引数名。
#* fn attrs: 関数の属性(オプション)。
#* align N: アラインメント指定(オプション)。
#:
# '''命令'''
#: 関数の本体は、命令で構成されます。命令は、次のような形式を持ちます:
#:<syntaxhighlight lang=llvm>
<result> = <opcode> [fast-math-flags] [fn attrs] [operand1, operand2, ...]
</syntaxhighlight>
#* result: 命令の結果の格納先。
#* opcode: 命令のオペコード(加算、乗算、メモリアクセスなど)。
#* fast-math-flags: 高速演算フラグ(オプション)。
#* fn attrs: 命令の属性(オプション)。
#* operand1, operand2, ...: 命令のオペランド。
#
# '''コメント'''
#: コメントは、<code>;</code>で始まります。
#:<syntaxhighlight lang=llvm>
; これはコメントです
</syntaxhighlight>
以下は、LLVM IRでよく使用される命令の一覧を表組みで示したものです。
:{| class="sortable wikitable"
|+ LLVM IRでよく使用される命令
! 命令 !! 意味 !! 例
|-
! add
| 加算 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = add i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! sub
| 減算 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = sub i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! mul
| 乗算 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = mul i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! sdiv
| 符号付き除算
| %result = sdiv i32 %a, %b
|-
! udiv
| 符号なし除算 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = udiv i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! icmp
| 整数比較 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%cmp = icmp slt i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! fcmp
| 浮動小数点数比較 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%cmp = fcmp olt float %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! and
| ビット論理積 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = and i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! or
| ビット論理和 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = or i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! xor
| ビット排他的論理和 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = xor i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! shl
| 左シフト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = shl i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! lshr
| 論理右シフト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = lshr i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! ashr
| 算術右シフト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = ashr i32 %a, %b</syntaxhighlight>
|-
! alloca
| メモリの割り当て || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%ptr = alloca i32</syntaxhighlight>
|-
! load
| メモリからの読み込み || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%val = load i32, i32* %ptr</syntaxhighlight>
|-
! store
| メモリへの書き込み || <syntaxhighlight lang=llvm inline>store i32 %val, i32* %ptr</syntaxhighlight>
|-
! getelementptr
| ポインタの算術演算 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%ptr = getelementptr i32, i32* %arr, i32 %idx</syntaxhighlight>
|-
! call
| 関数呼び出し || <syntaxhighlight lang=llvm inline>call void @foo(i32 %arg1, i32 %arg2)</syntaxhighlight>
|-
! ret
| 関数からの戻り || <syntaxhighlight lang=llvm inline>ret i32 %result</syntaxhighlight>
|-
! br
| 分岐 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>br label %label</syntaxhighlight>
|-
! switch
| スイッチ文 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>switch i32 %value, label %default [i32 1, label %case1]</syntaxhighlight>
|-
! phi
| φ(フィ)ノード || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = phi i32 [ %val1, %block1 ], [ %val2, %block2 ]</syntaxhighlight>
|-
! select
| 条件付き選択 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = select i1 %cond, i32 %trueval, i32 %falseval</syntaxhighlight>
|-
! gep
| ポインタの算術演算(高度なバージョン) || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%ptr = getelementptr inbounds i32, i32* %arr, i32 %idx</syntaxhighlight>
|-
! trunc
| キャスト(短縮) || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = trunc i64 %val to i32</syntaxhighlight>
|-
! zext
| キャスト(ゼロ拡張) || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = zext i32 %val to i64</syntaxhighlight>
|-
! sext
| キャスト(符号拡張) || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = sext i32 %val to i64</syntaxhighlight>
|-
! fptoui
| 浮動小数点数から符号なし整数へのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = fptoui float %val to i32</syntaxhighlight>
|-
! fptosi
| 浮動小数点数から符号付き整数へのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = fptosi float %val to i32</syntaxhighlight>
|-
! uitofp
| 符号なし整数から浮動小数点数へのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = uitofp i32 %val to float</syntaxhighlight>
|-
! sitofp
| 符号付き整数から浮動小数点数へのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = sitofp i32 %val to float</syntaxhighlight>
|-
! fptrunc
| 浮動小数点数の短縮 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = fptrunc double %val to float</syntaxhighlight>
|-
! fpext
| 浮動小数点数の拡張 || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = fpext float %val to double</syntaxhighlight>
|-
! bitcast
| ビットキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = bitcast i32* %ptr to i8*</syntaxhighlight>
|-
! inttoptr
| 整数からポインタへのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = inttoptr i32 %val to i8*</syntaxhighlight>
|-
! ptrtoint
| ポインタから整数へのキャスト || <syntaxhighlight lang=llvm inline>%result = ptrtoint i8* %ptr to i32</syntaxhighlight>
|-
! unreachable
| アンリーチャブル || <syntaxhighlight lang=llvm inline>unreachable</syntaxhighlight>
|}
:これらの命令は、LLVM IRを記述する際に頻繁に使用されます。各命令には、特定の演算や操作を行うためのオペコードが割り当てられています。
これは、LLVM IRの基本的な文法要素の一部です。
LLVM IRは、高度な最適化を行うための中間表現として設計されています。
=== .c から .ll を生成 ===
<code>hello.c</code>をLLVM IR(<code>.ll</code>形式)にコンパイルするには、次の手順を実行します。
# '''<code>clang</code>コマンドを使用して<code>hello.c</code>をLLVM IRにコンパイルします。'''
# '''<code>-S</code>オプションを使用して、LLVM IRをアセンブリ形式(<code>.ll</code>ファイル)で出力します。'''
以下は、この手順を示すコマンドです。
:<syntaxhighlight lang=shell>
clang -S -emit-llvm hello.c -o hello.ll
</syntaxhighlight>
このコマンドは、<code>hello.c</code>をLLVM IRにコンパイルし、<code>hello.ll</code>という名前のLLVM IRファイルを出力します。
;hello.c:<syntaxhighlight lang=c>
#include <stdio.h>
int main(int argc, char* argv[]) {
printf("Hello World!\n");
}
</syntaxhighlight>
;hello.ll:<syntaxhighlight lang=llvm>
; ModuleID = 'hello.c'
source_filename = "hello.c"
target datalayout = "e-m:e-p270:32:32-p271:32:32-p272:64:64-i64:64-f80:128-n8:16:32:64-S128"
target triple = "x86_64-unknown-freebsd14.0"
@.str = private unnamed_addr constant [14 x i8] c"Hello World!\0A\00", align 1
; Function Attrs: noinline nounwind optnone uwtable
define dso_local i32 @main(i32 noundef %0, ptr noundef %1) #0 {
%3 = alloca i32, align 4
%4 = alloca ptr, align 8
store i32 %0, ptr %3, align 4
store ptr %1, ptr %4, align 8
%5 = call i32 (ptr, ...) @printf(ptr noundef @.str)
ret i32 0
}
declare dso_local i32 @printf(ptr noundef, ...) #1
attributes #0 = { noinline nounwind optnone uwtable "frame-pointer"="all" "min-legal-vector-width"="0" "no-trapping-math"="true" "stack-protector-buffer-size"="8" "target-cpu"="x86-64" "target-features"="+cx8,+fxsr,+mmx,+sse,+sse2,+x87" "tune-cpu"="generic" }
attributes #1 = { "frame-pointer"="all" "no-trapping-math"="true" "stack-protector-buffer-size"="8" "target-cpu"="x86-64" "target-features"="+cx8,+fxsr,+mmx,+sse,+sse2,+x87" "tune-cpu"="generic" }
!llvm.module.flags = !{!0, !1, !2}
!llvm.ident = !{!3}
!0 = !{i32 1, !"wchar_size", i32 4}
!1 = !{i32 7, !"uwtable", i32 2}
!2 = !{i32 7, !"frame-pointer", i32 2}
!3 = !{!"FreeBSD clang version 16.0.6 (https://github.com/llvm/llvm-project.git llvmorg-16.0.6-0-g7cbf1a259152)"}
</syntaxhighlight>
このLLVM IRは、C言語のプログラム("hello.c")から生成されたものです。プログラムは "Hello World!" という文字列を出力する単純なもので、<code>printf</code>関数を使用しています。
まず、IRはモジュールIDやターゲットのデータレイアウト、ターゲットトリプルなどのメタ情報で始まります。次に、文字列 "Hello World!\n" を表す定数である <code>@.str</code> が定義されています。
その後、<code>main</code>関数が定義されています。この関数は、<code>i32</code>型の引数と<code>ptr</code>型の引数を取ります。この関数は<code>printf</code>関数を呼び出して "Hello World!" を出力し、終了コードとして0を返します。
最後に、<code>printf</code>関数が宣言されています。この関数は外部リンケージを持ち、<code>ptr</code>型の引数を受け取り、<code>i32</code>型の値を返します。
それぞれの関数や変数には、アラインメントなどの属性が付与されています。また、LLVMのバージョン情報やモジュールのフラグなどの追加情報も含まれています。
<code>hello.ll</code>ファイルは、<code>hello.c</code>のコンパイルされたLLVM IRコードを含みます。このファイルをテキストエディタで開くことで、LLVM IRの構文や構造を確認することができます。
== LLVMのビルドとIR生成 ==
以下のC++コードを作成して、LLVMのIRを生成する方法を学びます。これは、単純な四則演算の関数をLLVM IRに変換するものです。
=== C++ のソースコードの準備 ===
;simple_example.cpp:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include <llvm/IR/IRBuilder.h>
#include <llvm/IR/LLVMContext.h>
#include <llvm/IR/Module.h>
int main() {
llvm::LLVMContext context;
llvm::Module module("SimpleModule", context);
llvm::IRBuilder<> builder(context);
// Create a function prototype
llvm::FunctionType *funcType =
llvm::FunctionType::get(builder.getInt32Ty(), false);
llvm::Function *mainFunc = llvm::Function::Create(
funcType, llvm::Function::ExternalLinkage, "main", &module);
// Create a basic block
llvm::BasicBlock *entry =
llvm::BasicBlock::Create(context, "entrypoint", mainFunc);
builder.SetInsertPoint(entry);
// Perform a simple addition operation
llvm::Value *valA = llvm::ConstantInt::get(context, llvm::APInt(32, 10));
llvm::Value *valB = llvm::ConstantInt::get(context, llvm::APInt(32, 20));
llvm::Value *result = builder.CreateAdd(valA, valB, "addtmp");
builder.CreateRet(result);
// Print LLVM IR to console
module.print(llvm::outs(), nullptr);
return 0;
}
</syntaxhighlight>
このC++のコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを生成する例を示しています。
# 最初に、必要なヘッダーファイルをインクルードしています。これらのヘッダーファイルには、LLVMのIRビルダー、コンテキスト、モジュール、および関連する機能が含まれています。
# <code>main()</code> 関数の中で、LLVMコンテキストを作成し、<code>SimpleModule</code>という名前の新しいLLVMモジュールを作成しています。
# <code>llvm::IRBuilder<> builder(context);</code> では、IRBuilderオブジェクトが作成されます。このビルダーは、IRを生成するためのメインのツールとして使用されます。
# <code>llvm::FunctionType *funcType = llvm::FunctionType::get(builder.getInt32Ty(), false);</code> では、 <code>getInt32Ty()</code> を使用して32ビットの整数型を指定した <code>funcType</code> を作成しています。この関数は整数を返し、引数を取らないと定義されています。
# <code>llvm::Function *mainFunc = llvm::Function::Create(funcType, llvm::Function::ExternalLinkage, "main", &module);</code> では、この <code>funcType</code> に基づいて <code>main</code> という名前の新しい関数を <code>module</code> に作成しています。これが生成された関数のエントリーポイントになります。
# <code>llvm::BasicBlock *entry = llvm::BasicBlock::Create(context, "entrypoint", mainFunc);</code> では、<code>main</code> 関数の中に <code>entrypoint</code> という新しい基本ブロックを作成しています。基本ブロックは、制御フローの開始点です。
# <code>builder.SetInsertPoint(entry);</code> は、IRビルダーを <code>entry</code> 基本ブロックに挿入することを指示します。これにより、ここで生成されるIR命令が <code>entry</code> ブロック内に配置されます。
# <code>llvm::Value *result = builder.CreateAdd(valA, valB, "addtmp");</code> では、IRビルダーを使用して <code>valA</code> と <code>valB</code> の加算を表すIR命令が作成され、<code>addtmp</code> という名前が付けられます。その結果を <code>result</code> に格納します。
# <code>builder.CreateRet(result);</code> は、<code>result</code> の値を <code>main</code> 関数から返すための <code>ret</code> 命令を作成します。
# 最後に、<code>module.print(llvm::outs(), nullptr);</code> を使用して、生成されたLLVM IRを標準出力に出力しています。
このコードは、LLVMのC++ APIを使用してLLVM IRを構築する基本的な方法を示しています。 IRBuilderを使用することで、プログラムでIRを生成するための柔軟性と制御が提供されます。
=== CMakeLists.txtの準備 ===
;CMakeLists.txt:<syntaxhighlight lang=cmake>
cmake_minimum_required(VERSION 3.0)
project(simple_example)
# Find LLVM package
find_package(LLVM REQUIRED CONFIG)
# Set include directories for LLVM
include_directories(${LLVM_INCLUDE_DIRS})
add_definitions(${LLVM_DEFINITIONS})
# Add the executable
add_executable(simple_example simple_example.cpp)
# Link LLVM libraries
llvm_map_components_to_libnames(llvm_libs support core irreader)
target_link_libraries(simple_example ${llvm_libs})
</syntaxhighlight>
このCMakeレシピは、LLVMを使用するC++プロジェクトをビルドするための指示を含んでいます。
# '''<code>cmake_minimum_required(VERSION 3.0)</code>''': この行は、CMakeの最小バージョンを指定しています。バージョン3.0以上が必要です。
# '''<code>project(simple_example)</code>''': <code>simple_example</code> というプロジェクト名を指定しています。
# '''<code>find_package(LLVM REQUIRED CONFIG)</code>''': LLVMを検索し、構成ファイル(<code>LLVMConfig.cmake</code>など)を使用してLLVMパッケージを探します。
# '''<code>include_directories(${LLVM_INCLUDE_DIRS})</code>''': <code>LLVM_INCLUDE_DIRS</code> に含まれるディレクトリをプロジェクトのインクルードパスに追加します。これにより、LLVMのヘッダーファイルにアクセスできるようになります。
# '''<code>add_definitions(${LLVM_DEFINITIONS})</code>''': LLVMの定義(<code>LLVM_DEFINITIONS</code>)をプロジェクトに追加します。これにより、LLVMが定義する任意のマクロや定数がプロジェクトに取り込まれます。
# '''<code>add_executable(simple_example simple_example.cpp)</code>''': <code>simple_example.cpp</code> をコンパイルして <code>simple_example</code> という名前の実行可能ファイルを作成します。
# '''<code>llvm_map_components_to_libnames(llvm_libs support core irreader)</code>''': <code>llvm_map_components_to_libnames</code> 関数は、指定されたLLVMのコンポーネント(ここでは <code>support</code>, <code>core</code>, <code>irreader</code>)に対応するライブラリ名を取得します。
# '''<code>target_link_libraries(simple_example ${llvm_libs})</code>''': <code>simple_example</code> ターゲットに、LLVMで使用されるライブラリをリンクします。<code>${llvm_libs}</code> には、<code>llvm_map_components_to_libnames</code> で解決されたライブラリ名が含まれます。
このCMakeレシピは、LLVMを検出し、プロジェクトに必要なヘッダーファイルへのアクセスを確立し、LLVMの必要なライブラリをリンクするための手順を含んでいます。これにより、LLVMを使用するC++プロジェクトがビルドされ、実行可能なバイナリが生成されます。
=== コンパイルと実行 ===
このコードをC++ファイルとして保存し、LLVMを使ってコンパイルします。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% ls
CMakeLists.txt simple_example.cpp
% mkdir build
% cd build/
% cmake ..
CMake Deprecation Warning at CMakeLists.txt:1 (cmake_minimum_required):
Compatibility with CMake < 3.5 will be removed from a future version of
CMake.
Update the VERSION argument <min> value or use a ...<max> suffix to tell
CMake that the project does not need compatibility with older versions.
-- The C compiler identification is Clang 16.0.6
-- The CXX compiler identification is Clang 16.0.6
-- Detecting C compiler ABI info
-- Detecting C compiler ABI info - done
-- Check for working C compiler: /usr/bin/cc - skipped
-- Detecting C compile features
-- Detecting C compile features - done
-- Detecting CXX compiler ABI info
-- Detecting CXX compiler ABI info - done
-- Check for working CXX compiler: /usr/bin/c++ - skipped
-- Detecting CXX compile features
-- Detecting CXX compile features - done
-- Found ZLIB: /usr/lib/libz.so (found version "1.3")
-- Found zstd: /usr/local/lib/libzstd.so
-- Configuring done (0.4s)
-- Generating done (0.0s)
-- Build files have been written to: /home/user1/llvm.simple/build
% make
[ 50%] Building CXX object CMakeFiles/simple_example.dir/simple_example.cpp.o
[100%] Linking CXX executable simple_example
[100%] Built target simple_example
% ./simple_example
</syntaxhighlight>
コンパイルが成功したら、生成された実行可能ファイルを実行して、LLVM IRを確認します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% ./simple_example
; ModuleID = 'SimpleModule'
source_filename = "SimpleModule"
define i32 @main() {
entrypoint:
ret i32 30
}
</syntaxhighlight>
== 逆ポーランド電卓 ==
このコードは、LLVMを使用して逆ポーランド記法の電卓を実装しています。基本的に、ユーザーが逆ポーランド記法の式を入力し、その式を評価して結果を表示する簡単なプログラムです。さらに、CMakeを使用してLLVMをリンクし、実行可能ファイルをビルドする手順を提供します。
;main.cpp:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include <llvm/ADT/STLExtras.h>
#include <llvm/IR/Constants.h>
#include <llvm/IR/IRBuilder.h>
#include <llvm/IR/LLVMContext.h>
#include <llvm/IR/Module.h>
#include <llvm/IR/Type.h>
#include <llvm/IR/Verifier.h>
#include <llvm/Support/raw_ostream.h>
#include <sstream>
#include <stack>
#include <string>
#include <vector>
// 逆ポーランド記法(RPN)式を評価する関数
llvm::Value *calculateRPN(const std::vector<std::string> &tokens, llvm::IRBuilder<> &builder, std::stack<llvm::Value *> &stack) {
llvm::LLVMContext &context = builder.getContext();
for (const auto &token : tokens) {
if (token == "+") {
llvm::Value *right = stack.top();
stack.pop();
llvm::Value *left = stack.top();
stack.pop();
stack.push(builder.CreateAdd(left, right, "addtmp")); // 加算を実行し、結果をスタックにプッシュする
} else if (token == "-") {
llvm::Value *right = stack.top();
stack.pop();
llvm::Value *left = stack.top();
stack.pop();
stack.push(builder.CreateSub(left, right, "subtmp")); // 減算を実行し、結果をスタックにプッシュする
} else if (token == "*") {
llvm::Value *right = stack.top();
stack.pop();
llvm::Value *left = stack.top();
stack.pop();
stack.push(builder.CreateMul(left, right, "multmp")); // 乗算を実行し、結果をスタックにプッシュする
} else if (token == "/") {
llvm::Value *right = stack.top();
stack.pop();
llvm::Value *left = stack.top();
stack.pop();
stack.push(builder.CreateSDiv(left, right, "divtmp")); // 除算を実行し、結果をスタックにプッシュする
} else {
llvm::Value *num = llvm::ConstantInt::get(
context, llvm::APInt(32, std::stoi(token), true));
stack.push(num); // 数値をスタックにプッシュする
}
}
return stack.top(); // スタックの先頭(最終結果)を返す
}
int main() {
std::string input;
std::vector<std::string> tokens;
llvm::LLVMContext context;
llvm::IRBuilder<> builder(context);
std::stack<llvm::Value *> stack; // 評価中に値を保持するスタック
for (;;) {
std::cout << "逆ポーランド記法の式を入力してください(終了するには 'exit'): ";
std::getline(std::cin, input);
if (input == "exit") {
break;
}
std::istringstream iss(input);
std::string token;
while (iss >> token) {
tokens.push_back(token); // 入力されたトークンを保存する
}
llvm::Value *result = calculateRPN(tokens, builder, stack); // RPN式を評価する
llvm::outs() << "結果: ";
result->print(llvm::outs()); // 最終結果を表示する
llvm::outs() << "\n";
tokens.clear(); // 次の入力のためにトークンをクリアする
}
return 0;
}
</syntaxhighlight>
;CMakeLists.txt:<syntaxhighlight lang=cmake>
cmake_minimum_required(VERSION 3.0)
project(LLVM_RPN_Calculator)
# Find LLVM package
find_package(LLVM REQUIRED CONFIG)
# Set LLVM include directories
include_directories(${LLVM_INCLUDE_DIRS})
add_definitions(${LLVM_DEFINITIONS})
# Set sources
set(SOURCES main.cpp)
# Create executable
add_executable(LLVM_RPN_Calculator ${SOURCES})
# Link LLVM libraries
llvm_map_components_to_libnames(llvm_libs support core irreader)
target_link_libraries(LLVM_RPN_Calculator ${llvm_libs})
</syntaxhighlight>
# '''<code>cmake_minimum_required(VERSION 3.0)</code>''': CMakeの最小バージョンを指定しています。
# '''<code>project(LLVM_RPN_Calculator)</code>''': プロジェクト名を指定しています。
# '''<code>find_package(LLVM REQUIRED CONFIG)</code>''': LLVMパッケージを検索し、必要な構成を探します。
# <code>include_directories(${LLVM_INCLUDE_DIRS})</code> と <code>add_definitions(${LLVM_DEFINITIONS})</code> は、LLVMのインクルードディレクトリを設定し、LLVMが定義するマクロや定数を追加します。
# '''<code>add_executable(LLVM_RPN_Calculator ${SOURCES})</code>''': <code>main.cpp</code> を含む実行可能ファイルを作成します。
# <code>llvm_map_components_to_libnames(llvm_libs support core irreader)</code> と <code>target_link_libraries(LLVM_RPN_Calculator ${llvm_libs})</code> は、LLVMライブラリをリンクします。
=== ビルド手順: ===
# プロジェクトディレクトリを作成します。
# <code>CMakeLists.txt</code> と <code>main.cpp</code> を作成し、それぞれの内容をファイルに記述します。
# ターミナルでプロジェクトディレクトリに移動します。
# ビルドディレクトリを作成します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% mkdir build
% cd build
</syntaxhighlight>
# CMakeを使用してビルドを構成します。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% cmake ..
CMake Deprecation Warning at CMakeLists.txt:1 (cmake_minimum_required):
Compatibility with CMake < 3.5 will be removed from a future version of
CMake.
Update the VERSION argument <min> value or use a ...<max> suffix to tell
CMake that the project does not need compatibility with older versions.
-- The C compiler identification is Clang 16.0.6
-- The CXX compiler identification is Clang 16.0.6
-- Detecting C compiler ABI info
-- Detecting C compiler ABI info - done
-- Check for working C compiler: /usr/bin/cc - skipped
-- Detecting C compile features
-- Detecting C compile features - done
-- Detecting CXX compiler ABI info
-- Detecting CXX compiler ABI info - done
-- Check for working CXX compiler: /usr/bin/c++ - skipped
-- Detecting CXX compile features
-- Detecting CXX compile features - done
-- Found ZLIB: /usr/lib/libz.so (found version "1.3")
-- Found zstd: /usr/local/lib/libzstd.so
-- Configuring done (0.4s)
-- Generating done (0.0s)
-- Build files have been written to: /home/user1/llvm.rpn/build
</syntaxhighlight>
# <code>make</code> コマンドでプロジェクトをビルドします。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% make
[ 50%] Building CXX object CMakeFiles/LLVM_RPN_Calculator.dir/main.cpp.o
[100%] Linking CXX executable LLVM_RPN_Calculator
[100%] Built target LLVM_RPN_Calculator
</syntaxhighlight>
これで、<code>LLVM_RPN_Calculator</code> という名前の実行可能ファイルがビルドされます。実行可能ファイルを実行すると、逆ポーランド記法の式を入力し、計算結果が表示されます。
:<syntaxhighlight lang=csh>
% ./LLVM_RPN_Calculator
Enter an RPN expression (or 'exit' to quit): 1 2 +
Result: i32 3
Enter an RPN expression (or 'exit' to quit): 12 7 -
Result: i32 5
Enter an RPN expression (or 'exit' to quit): exit
</syntaxhighlight>
このチュートリアルは、LLVMの基本的な機能を紹介しました。LLVMは非常に広範な機能を持っていますので、より高度な機能や最適化、コード生成などについては、公式ドキュメントや他のチュートリアルを参照することをお勧めします。 | 2023-12-10T00:51:24Z | 2024-02-07T00:50:10Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/LLVM |
38,836 | C Sharp/式と演算子 | C#プログラミングでは、式は値を生成するコードの断片です。式は変数、リテラル、演算子、メソッドの呼び出し、式の組み合わせなどから構成されます。例えば、x + y、10 * (5 - 3)、someFunction()などが式です。
ビット演算子は、整数のビットレベルでの操作を行います。主なビット演算子には以下のものがあります。
三項演算子は、条件に応じて値を選択するための短縮形です。
Null 合体演算子 (??) は、Nullチェックとデフォルト値の指定を同時に行います。
この演算子は、オブジェクトのメンバーにアクセスする際に、そのオブジェクトが null でない場合にのみアクセスを試みるものです。
C#のラムダ演算子は、無名関数やクロージャを表現するためのもので、C言語にはありません。LINQクエリやデリゲートと組み合わせて使用されることが一般的です。
is 演算子は、特定の型に変換可能かどうかをチェックするための演算子です。この演算子を使用すると、特定のオブジェクトが指定された型に変換可能かどうかを確認できます。
例えば:
この場合、obj が string 型に変換可能であるかどうかを確認しています。もし変換可能であれば、if 文の中のブロックが実行されます。
is 演算子は、安全な型キャストを行う前に、変換が可能かどうかをチェックするためによく使われます。これにより、無効な型キャストによるエラーや例外を避けることができます。
この演算子を使用すると、あるオブジェクトが特定の型に変換可能かどうかを効率的に確認できます。
as 演算子は、参照型のオブジェクトを指定された型に安全にキャストするための演算子です。as を使うと、変換が失敗した場合に例外がスローされるのではなく、null が返されます。
例えば:
この例では、obj を string 型にキャストしています。もし obj が string であれば、str には obj の値がキャストされ、if 文の中のブロックが実行されます。しかし、もし obj が string でない場合は、as 演算子は null を返し、str は null となります。
as 演算子は型の安全なキャストを行う際に使用され、キャストが失敗しても例外をスローせずに null を返すため、条件分岐や安全な型変換に便利です。
nameof 演算子は、コード内の識別子(変数、型、メンバーなど)の名前を文字列として取得するための演算子です。これは、リファクタリングやデバッグ時に特に役立ちます。
例えば:
このようにすることで、MyClass クラスの SomeProperty プロパティの名前が文字列として propertyName に代入されます。もし SomeProperty の名前が変更されても、コンパイル時にエラーを検知できます。
typeof 演算子は、型情報を取得するための演算子です。これは主にリフレクションやジェネリック型などで使用されます。
例えば:
このようにすることで、MyClass の型情報が type 変数に代入されます。これを使用すると、実行時に型情報を取得し、それに基づいて操作を行うことができます。
sizeof 演算子は、指定された型のバイト数を取得するための演算子です。ただし、この演算子は主に値型(プリミティブ型)のサイズを取得するために使用されます。
この例では、int 型のバイト数が sizeOfInt に代入されます。ただし、sizeof 演算子は全ての型で使用できるわけではなく、特定の条件を満たす値型にのみ使用可能です。
Language Integrated Query (LINQ) は、C#に組み込まれたクエリ言語であり、データソースからデータをクエリするための構文を提供します。これは、C言語には存在しません。
演算子の結合性(associativity)は、演算子が同じ優先順位を持つ場合に、演算の順序を決定します。
C#では、特定の演算子をオーバーロードして、ユーザー定義の型に対してカスタム動作を定義することができます。以下は、C#での演算子オーバーロードの例です。
この例では、2次元ベクトルを表すVector2Dクラスを定義し、+演算子、==演算子、!=演算子をオーバーロードしています。これにより、ベクトル同士の加算や等価性の比較がカスタマイズされた方法で実行されます。 | [
{
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"text": "C#プログラミングでは、式は値を生成するコードの断片です。式は変数、リテラル、演算子、メソッドの呼び出し、式の組み合わせなどから構成されます。例えば、x + y、10 * (5 - 3)、someFunction()などが式です。",
"title": "C#の式と演算子"
},
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"text": "ビット演算子は、整数のビットレベルでの操作を行います。主なビット演算子には以下のものがあります。",
"title": "C#の式と演算子"
},
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"text": "三項演算子は、条件に応じて値を選択するための短縮形です。",
"title": "C#の式と演算子"
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"text": "Null 合体演算子 (??) は、Nullチェックとデフォルト値の指定を同時に行います。",
"title": "C#の式と演算子"
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"text": "この演算子は、オブジェクトのメンバーにアクセスする際に、そのオブジェクトが null でない場合にのみアクセスを試みるものです。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
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"tag": "p",
"text": "C#のラムダ演算子は、無名関数やクロージャを表現するためのもので、C言語にはありません。LINQクエリやデリゲートと組み合わせて使用されることが一般的です。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
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"tag": "p",
"text": "is 演算子は、特定の型に変換可能かどうかをチェックするための演算子です。この演算子を使用すると、特定のオブジェクトが指定された型に変換可能かどうかを確認できます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
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"tag": "p",
"text": "例えば:",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "この場合、obj が string 型に変換可能であるかどうかを確認しています。もし変換可能であれば、if 文の中のブロックが実行されます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "is 演算子は、安全な型キャストを行う前に、変換が可能かどうかをチェックするためによく使われます。これにより、無効な型キャストによるエラーや例外を避けることができます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "この演算子を使用すると、あるオブジェクトが特定の型に変換可能かどうかを効率的に確認できます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
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"tag": "p",
"text": "as 演算子は、参照型のオブジェクトを指定された型に安全にキャストするための演算子です。as を使うと、変換が失敗した場合に例外がスローされるのではなく、null が返されます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "例えば:",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "この例では、obj を string 型にキャストしています。もし obj が string であれば、str には obj の値がキャストされ、if 文の中のブロックが実行されます。しかし、もし obj が string でない場合は、as 演算子は null を返し、str は null となります。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "as 演算子は型の安全なキャストを行う際に使用され、キャストが失敗しても例外をスローせずに null を返すため、条件分岐や安全な型変換に便利です。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "nameof 演算子は、コード内の識別子(変数、型、メンバーなど)の名前を文字列として取得するための演算子です。これは、リファクタリングやデバッグ時に特に役立ちます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "例えば:",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "このようにすることで、MyClass クラスの SomeProperty プロパティの名前が文字列として propertyName に代入されます。もし SomeProperty の名前が変更されても、コンパイル時にエラーを検知できます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "typeof 演算子は、型情報を取得するための演算子です。これは主にリフレクションやジェネリック型などで使用されます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "例えば:",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "このようにすることで、MyClass の型情報が type 変数に代入されます。これを使用すると、実行時に型情報を取得し、それに基づいて操作を行うことができます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "sizeof 演算子は、指定された型のバイト数を取得するための演算子です。ただし、この演算子は主に値型(プリミティブ型)のサイズを取得するために使用されます。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "この例では、int 型のバイト数が sizeOfInt に代入されます。ただし、sizeof 演算子は全ての型で使用できるわけではなく、特定の条件を満たす値型にのみ使用可能です。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "Language Integrated Query (LINQ) は、C#に組み込まれたクエリ言語であり、データソースからデータをクエリするための構文を提供します。これは、C言語には存在しません。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "演算子の結合性(associativity)は、演算子が同じ優先順位を持つ場合に、演算の順序を決定します。",
"title": "C#の式と演算子"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "C#では、特定の演算子をオーバーロードして、ユーザー定義の型に対してカスタム動作を定義することができます。以下は、C#での演算子オーバーロードの例です。",
"title": "演算子オーバーロード"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "この例では、2次元ベクトルを表すVector2Dクラスを定義し、+演算子、==演算子、!=演算子をオーバーロードしています。これにより、ベクトル同士の加算や等価性の比較がカスタマイズされた方法で実行されます。",
"title": "演算子オーバーロード"
}
] | null | == C#の式と演算子 ==
=== 式 (Expressions) ===
C#プログラミングでは、式は値を生成するコードの断片です。式は変数、リテラル、演算子、メソッドの呼び出し、式の組み合わせなどから構成されます。例えば、<code>x + y</code>、<code>10 * (5 - 3)</code>、<code>someFunction()</code>などが式です。
==== プリミティブな式 ====
# 変数とリテラル: 変数は値を保持し、リテラルは直接的な値を表します。例えば、<code>int age = 30;</code>という宣言では、<code>30</code>はリテラルです。
# 演算子: C#には算術演算子 (<code>+</code>, <code>-</code>, <code>*</code>, <code>/</code> など) や比較演算子 (<code>==</code>, <code>!=</code>, <code><</code>, <code>></code> など) があります。これらの演算子を使用して式を作成できます。
=== 演算子 (Operators) ===
==== 算術演算子 ====
: <syntaxhighlight lang=c#>
int a = 10;
int b = 5;
int sum = a + b; // 加算演算子
int difference = a - b; // 減算演算子
int product = a * b; // 乗算演算子
int quotient = a / b; // 除算演算子
int remainder = a % b; // 剰余演算子
</syntaxhighlight>
==== 比較演算子 ====
: <syntaxhighlight lang=c#>
int x = 10;
int y = 20;
bool isEqual = (x == y); // 等号演算子
bool isNotEqual = (x != y); // 不等号演算子
bool isGreater = (x > y); // より大きい演算子
bool isLess = (x < y); // より小さい演算子
bool isGreaterOrEqual = (x >= y); // 以上演算子
bool isLessOrEqual = (x <= y); // 以下演算子
</syntaxhighlight>
==== 代入演算子 ====
: <syntaxhighlight lang=c#>
int number = 10;
number += 5; // number = number + 5;
number -= 3; // number = number - 3;
number *= 2; // number = number * 2;
number /= 4; // number = number / 4;
number %= 3; // number = number % 3;
</syntaxhighlight>
==== 論理演算子 ====
: <syntaxhighlight lang=c#>
bool condition1 = true;
bool condition2 = false;
bool resultAnd = condition1 && condition2; // 論理積演算子 (AND)
bool resultOr = condition1 || condition2; // 論理和演算子 (OR)
bool resultNot = !condition1; // 論理否定演算子 (NOT)
bool resultOr = condition1 != condition2; // 排他的論理和演算子 (XOR)
</syntaxhighlight>
==== ビット演算子 ====
ビット演算子は、整数のビットレベルでの操作を行います。主なビット演算子には以下のものがあります。
: <syntaxhighlight lang=c#>
int a = 5; // 0101
int b = 3; // 0011
int andResult = a & b; // AND演算子: 0001 (1)
int orResult = a | b; // OR演算子: 0111 (7)
int xorResult = a ^ b; // XOR演算子: 0110 (6)
int notResult = ~a; // NOT演算子: 1010 (-6)
int leftShiftResult = a << 1; // 左シフト演算子: 1010 (10)
int rightShiftResult = a >> 1; // 右シフト演算子: 0010 (2)
</syntaxhighlight>
==== 三項演算子 ====
三項演算子は、条件に応じて値を選択するための短縮形です。
: <syntaxhighlight lang=c#>
int age = 18;
string message = (age >= 18) ? "成人です" : "未成年です";
// 条件が真の場合は "成人です" が、偽の場合は "未成年です" が代入される
</syntaxhighlight>
==== Null 合体演算子 ====
Null 合体演算子 (??) は、Nullチェックとデフォルト値の指定を同時に行います。
: <syntaxhighlight lang=c#>
string name = null;
string result = name ?? "No Name";
// name が null でない場合は name、null の場合は "No Name" が result に代入される
</syntaxhighlight>
==== Null 条件演算子 (<code>?.</code>) ====
この演算子は、オブジェクトのメンバーにアクセスする際に、そのオブジェクトが null でない場合にのみアクセスを試みるものです。
: <syntaxhighlight lang=c#>
// C#の例
string name = person?.Name;
// person が null でない場合にのみ、Name プロパティにアクセスする
</syntaxhighlight>
==== ラムダ演算子 (<code>=></code>) ====
C#のラムダ演算子は、無名関数やクロージャを表現するためのもので、C言語にはありません。LINQクエリやデリゲートと組み合わせて使用されることが一般的です。
: <syntaxhighlight lang=c#>
// C#の例
Func<int, int> square = x => x * x;
// x を受け取り、その二乗を返す無名関数を定義
</syntaxhighlight>
==== is 演算子 ====
<code>is</code> 演算子は、特定の型に変換可能かどうかをチェックするための演算子です。この演算子を使用すると、特定のオブジェクトが指定された型に変換可能かどうかを確認できます。
例えば:
: <syntaxhighlight lang=c#>
object obj = "Hello";
if (obj is string) {
Console.WriteLine("obj は string 型です。");
} else {
Console.WriteLine("obj は string 型ではありません。");
}
</syntaxhighlight>
この場合、<code>obj</code> が <code>string</code> 型に変換可能であるかどうかを確認しています。もし変換可能であれば、<code>if</code> 文の中のブロックが実行されます。
<code>is</code> 演算子は、安全な型キャストを行う前に、変換が可能かどうかをチェックするためによく使われます。これにより、無効な型キャストによるエラーや例外を避けることができます。
この演算子を使用すると、あるオブジェクトが特定の型に変換可能かどうかを効率的に確認できます。
==== as 演算子 ====
as 演算子は、参照型のオブジェクトを指定された型に安全にキャストするための演算子です。as を使うと、変換が失敗した場合に例外がスローされるのではなく、null が返されます。
例えば:
: <syntaxhighlight lang=c#>
object obj = "Hello";
string str = obj as string;
if (str != null) {
Console.WriteLine("obj を string にキャストしました。");
} else {
Console.WriteLine("obj を string にキャストできませんでした。");
}
</syntaxhighlight>
この例では、obj を string 型にキャストしています。もし obj が string であれば、str には obj の値がキャストされ、if 文の中のブロックが実行されます。しかし、もし obj が string でない場合は、as 演算子は null を返し、str は null となります。
as 演算子は型の安全なキャストを行う際に使用され、キャストが失敗しても例外をスローせずに null を返すため、条件分岐や安全な型変換に便利です。
==== nameof 演算子 ====
<code>nameof</code> 演算子は、コード内の識別子(変数、型、メンバーなど)の名前を文字列として取得するための演算子です。これは、リファクタリングやデバッグ時に特に役立ちます。
例えば:
: <syntaxhighlight lang=c#>
string propertyName = nameof(MyClass.SomeProperty);
</syntaxhighlight>
このようにすることで、<code>MyClass</code> クラスの <code>SomeProperty</code> プロパティの名前が文字列として <code>propertyName</code> に代入されます。もし <code>SomeProperty</code> の名前が変更されても、コンパイル時にエラーを検知できます。
==== typeof 演算子 ====
<code>typeof</code> 演算子は、型情報を取得するための演算子です。これは主にリフレクションやジェネリック型などで使用されます。
例えば:
: <syntaxhighlight lang=c#>
Type type = typeof(MyClass);
</syntaxhighlight>
このようにすることで、<code>MyClass</code> の型情報が <code>type</code> 変数に代入されます。これを使用すると、実行時に型情報を取得し、それに基づいて操作を行うことができます。
==== sizeof 演算子 ====
<code>sizeof</code> 演算子は、指定された型のバイト数を取得するための演算子です。ただし、この演算子は主に値型(プリミティブ型)のサイズを取得するために使用されます。
: <syntaxhighlight lang=c#>
int sizeOfInt = sizeof(int);
</syntaxhighlight>
この例では、<code>int</code> 型のバイト数が <code>sizeOfInt</code> に代入されます。ただし、<code>sizeof</code> 演算子は全ての型で使用できるわけではなく、特定の条件を満たす値型にのみ使用可能です。
==== LINQ演算子 ====
Language Integrated Query (LINQ) は、C#に組み込まれたクエリ言語であり、データソースからデータをクエリするための構文を提供します。これは、C言語には存在しません。
: <syntaxhighlight lang=c#>
// C#の例
var filteredList = from number in numbers
where number > 5
select number;
// numbers リストから条件に合致する要素を抽出する LINQ クエリ
</syntaxhighlight>
=== 演算子の優先順位 ===
{| class=wikitable
|+ C#の演算子の優先順位
|-
!カテゴリーまたは名前
!演算子
|-
!プライマリー
|x.y, f(x), a[i], x?.y, x?[y], x++, x--, x!, new, typeof, checked, unchecked, default, nameof, delegate, sizeof, stackalloc, x->y
|-
!単項
| +x, -x, !x, ~x, ++x, --x, ^x, (T)x, await, &x, *x, true および false
|-
! レンジ
| x..y
|-
!switch および with 式
|switch, with
|-
! 乗除算
| x * y, x / y, x % y
|-
! 加減算
| x + y, x - y
|-
!シフト
|x << y, x >> y, x >>> y
|-
! 関係および型テスト
| x < y, x > y, x <= y, x >= y, is, as
|-
! 等価
|x == y, x != y
|-
!論理 AND またはビット演算 AND
|x & y
|-
! 論理 XOR またはビット演算 XOR
|x ^ y
|-
!論理 OR またはビット演算 OR
|x <nowiki>|</nowiki> y
|-
!条件 AND
|x && y
|-
!条件 OR
|x <nowiki>||</nowiki> y
|-
!Null 合体演算子
|x ?? y
|-
! 条件演算子
| c ? t : f
|-
! 代入とラムダ宣言
|x = y, x += y, x -= y, x *= y, x /= y, x %= y, x &= y, x <nowiki>|</nowiki>= y, x ^= y, x <<= y, x >>= y, x >>>= y, x ??= y, =>
|}
=== 演算子の結合性 ===
演算子の結合性(associativity)は、演算子が'''同じ優先順位'''を持つ場合に、演算の順序を決定します。
;左結合性(Left-associative):左結合性の演算子は、左から右へ順番に評価されます。代入演算子とnull結合演算子を除いたすべての二項演算子が左結合性です。例えば、x + y - z は (x + y) - z として評価されます。
;右結合性(Right-associative):右結合性の演算子は、右から左へ順番に評価されます。代入演算子、null結合演算子、ラムダ式、三項演算子 ?: は右結合性です。例えば、a = b = c は a = (b = c) として評価されます。
== 演算子オーバーロード ==
C#では、特定の演算子をオーバーロードして、ユーザー定義の型に対してカスタム動作を定義することができます。以下は、C#での演算子オーバーロードの例です。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class Vector2D {
public
double X {
get;
set;
}
public
double Y {
get;
set;
}
public
Vector2D(double x, double y) {
X = x;
Y = y;
}
// + 演算子のオーバーロード
public
static Vector2D operator+(Vector2D v1, Vector2D v2) {
return new Vector2D(v1.X + v2.X, v1.Y + v2.Y);
}
// == 演算子のオーバーロード
public
static bool operator==(Vector2D v1, Vector2D v2) {
return v1.X == v2.X && v1.Y == v2.Y;
}
// != 演算子のオーバーロード
public
static bool operator!=(Vector2D v1, Vector2D v2) { return !(v1 == v2); }
}
class Program {
static void Main(string[] args) {
Vector2D vector1 = new Vector2D(1, 2);
Vector2D vector2 = new Vector2D(3, 4);
// + 演算子の使用
Vector2D result = vector1 + vector2;
Console.WriteLine($"Vector Addition: ({result.X}, {result.Y})");
// == 演算子の使用
Console.WriteLine($"Vectors are equal: {vector1 == vector2}");
// != 演算子の使用
Console.WriteLine($"Vectors are not equal: {vector1 != vector2}");
}
}</syntaxhighlight>
この例では、2次元ベクトルを表す<code>Vector2D</code>クラスを定義し、<code>+</code>演算子、<code>==</code>演算子、<code>!=</code>演算子をオーバーロードしています。これにより、ベクトル同士の加算や等価性の比較がカスタマイズされた方法で実行されます。
C#における演算子オーバーロードの利点はいくつかあります。
; 表現力とカスタマイズ性
: 演算子オーバーロードを利用することで、特定のユーザー定義の型に対して、算術演算子や比較演算子などを使った自然な操作を提供できます。たとえば、ベクトルや行列などの数学的な型を扱う場合、<code>+</code>演算子で加算や<code>==</code>演算子で等価性の比較ができるようにカスタマイズすることができます。
; 読みやすさと保守性
: ユーザー定義の型に対して、組み込みの演算子を使用することで、コードがより自然で読みやすくなります。これにより、コードの理解や保守が容易になります。例えば、<code>vector1 + vector2</code>のような記述が数学的な操作を反映していることが直感的にわかります。
; 統一されたインターフェースの提供
: 演算子オーバーロードを利用することで、特定の型に対して一貫したインターフェースを提供できます。例えば、異なるベクトル型に対して同じような演算子を使用することで、コードをより一貫性のあるものにすることができます。
; 例外処理の提供
: カスタム演算子をオーバーロードすることで、特定の操作に関連する例外処理を提供することも可能です。たとえば、ゼロ除算などの特定の条件下で例外をスローすることができます。
これらの利点は、特定の型や操作にカスタムな動作を提供することで、コードの効率性、読みやすさ、保守性を高めることができます。ただし、適切に使用しないとコードの理解が難しくなる場合もあるため、適切な場面での使用が重要です。
[[カテゴリ:C Sharp|しきとえんさんし]] | 2023-12-10T23:49:46Z | 2024-01-10T07:23:23Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C_Sharp/%E5%BC%8F%E3%81%A8%E6%BC%94%E7%AE%97%E5%AD%90 |
38,837 | C Sharp/デザインパターン | C#はデザインパターンを実装するための柔軟な言語です。デザインパターンは、ソフトウェア開発における一般的な問題に対する再利用可能な解決策です。C#はこれらのパターンを簡単に実装できるよう設計されており、以下にいくつかの例を挙げます。
シングルトンパターンは、アプリケーション内で1つのインスタンスしか存在しないようにするためのパターンです。C#での実装には、staticフィールドを持つクラスと、そのクラスのインスタンスを作成するプライベートなコンストラクタを使用します。
このコードは、シングルトン(Singleton)パターンの例です。シングルトンパターンは、特定のクラスがインスタンス化される際に、そのクラスのインスタンスが常に1つだけであることを保証するためのパターンです。
Singletonクラスには、プライベートな静的フィールドinstanceが含まれており、プライベートなコンストラクターが定義されています。このようにすることで、クラスの外部から新しいインスタンスを作成することができません。
Instanceプロパティは、シングルトンのインスタンスを返すために使用されます。最初の呼び出し時にinstanceがnullである場合、instanceに新しいSingletonインスタンスが代入されます。以降の呼び出しでは、すでに存在するinstanceが返されます。
Mainメソッドでは、Singleton.Instanceを使用して2つのSingletonインスタンスを取得し、それらが同じインスタンスであることを確認するために比較しています。シングルトンパターンでは、複数のインスタンスを取得した場合でも、すべての取得が同じインスタンスを指していることを保証します。そのため、この例ではs1とs2は同じインスタンスを参照するため、比較の結果はTrueになります。
ファクトリーメソッドパターンは、インスタンスの生成をカプセル化するためのパターンです。C#では、ファクトリメソッド、抽象ファクトリ、単純ファクトリなどの構築手法が利用できます。
このコードは、ファクトリーパターン(Factory Pattern)の一般的な例です。IProductインターフェースを実装した複数の具象製品クラスを作成し、ProductFactoryクラスを使用してこれらの具象クラスのインスタンスを生成します。
IProductは製品の共通のインターフェースであり、ConcreteProductAとConcreteProductBはそれぞれIProductを実装しています。GetName()メソッドはIProductインターフェースに定義されており、各具象クラスではそれぞれ異なる製品名を返します。
ProductFactoryクラスは、与えられたタイプに応じて適切な製品のインスタンスを生成するCreateProduct()メソッドを提供しています。Mainメソッドでは、ProductFactoryを使用して"A"および"B"のタイプの製品を作成し、それぞれの製品の名前を出力しています。
この設計パターンは、新しいオブジェクトを生成する際にクライアントコードから具象クラスの詳細を隠すことができます。代わりに、クライアントはファクトリーメソッドを介して製品のインスタンスを作成し、特定の製品の詳細に依存することなく、インターフェースを通じてそれらの製品を使用できます。
オブザーバパターンは、オブジェクト間の一対多の依存関係を定義するためのパターンです。C#では、イベントとデリゲートを使用して簡単に実装できます。
このコードは、Observerパターン(観察者パターン)の基本的な実装を示しています。Subject(観察対象)の状態変化を監視し、その変化に応じて何らかのアクションを実行するObserver(観察者)を実装しています。
Subjectクラスは、StateChangedというイベントを持ち、そのイベントが発生した際にOnStateChanged()メソッドを呼び出しています。Observerクラスは、SubjectのStateChangedイベントにSubscribeメソッドで登録し、イベントが発生した時にHandleStateChangedメソッドを実行します。
Mainメソッドでは、Subjectインスタンスを作成し、Observerに登録しています。その後、SubjectのStateプロパティを変更することで、HandleStateChangedが呼び出されることが期待されます。
これらは、C#で一般的に使用されるデザインパターンの一部です。C#の強力な言語機能を活用して、さまざまなデザインパターンを実装し、ソフトウェアの保守性、再利用性、拡張性を向上させることができます。 | [
{
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"text": "C#はデザインパターンを実装するための柔軟な言語です。デザインパターンは、ソフトウェア開発における一般的な問題に対する再利用可能な解決策です。C#はこれらのパターンを簡単に実装できるよう設計されており、以下にいくつかの例を挙げます。",
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"text": "シングルトンパターンは、アプリケーション内で1つのインスタンスしか存在しないようにするためのパターンです。C#での実装には、staticフィールドを持つクラスと、そのクラスのインスタンスを作成するプライベートなコンストラクタを使用します。",
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"text": "ProductFactoryクラスは、与えられたタイプに応じて適切な製品のインスタンスを生成するCreateProduct()メソッドを提供しています。Mainメソッドでは、ProductFactoryを使用して\"A\"および\"B\"のタイプの製品を作成し、それぞれの製品の名前を出力しています。",
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},
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"text": "この設計パターンは、新しいオブジェクトを生成する際にクライアントコードから具象クラスの詳細を隠すことができます。代わりに、クライアントはファクトリーメソッドを介して製品のインスタンスを作成し、特定の製品の詳細に依存することなく、インターフェースを通じてそれらの製品を使用できます。",
"title": "デザインパターン"
},
{
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"text": "オブザーバパターンは、オブジェクト間の一対多の依存関係を定義するためのパターンです。C#では、イベントとデリゲートを使用して簡単に実装できます。",
"title": "デザインパターン"
},
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"text": "このコードは、Observerパターン(観察者パターン)の基本的な実装を示しています。Subject(観察対象)の状態変化を監視し、その変化に応じて何らかのアクションを実行するObserver(観察者)を実装しています。",
"title": "デザインパターン"
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"text": "Subjectクラスは、StateChangedというイベントを持ち、そのイベントが発生した際にOnStateChanged()メソッドを呼び出しています。Observerクラスは、SubjectのStateChangedイベントにSubscribeメソッドで登録し、イベントが発生した時にHandleStateChangedメソッドを実行します。",
"title": "デザインパターン"
},
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"text": "Mainメソッドでは、Subjectインスタンスを作成し、Observerに登録しています。その後、SubjectのStateプロパティを変更することで、HandleStateChangedが呼び出されることが期待されます。",
"title": "デザインパターン"
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"text": "これらは、C#で一般的に使用されるデザインパターンの一部です。C#の強力な言語機能を活用して、さまざまなデザインパターンを実装し、ソフトウェアの保守性、再利用性、拡張性を向上させることができます。",
"title": "デザインパターン"
}
] | null | == デザインパターン ==
C#は[[デザインパターン]]を実装するための柔軟な言語です。デザインパターンは、ソフトウェア開発における一般的な問題に対する再利用可能な解決策です。C#はこれらのパターンを簡単に実装できるよう設計されており、以下にいくつかの例を挙げます。
=== Singleton(シングルトン)===
[[デザインパターン#Singleton(シングルトン)パターン|シングルトンパターン]]は、アプリケーション内で1つのインスタンスしか存在しないようにするためのパターンです。C#での実装には、<code>static</code>フィールドを持つクラスと、そのクラスのインスタンスを作成するプライベートなコンストラクタを使用します。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
public class Singleton {
private static Singleton instance;
private Singleton() {}
public static Singleton Instance {
get {
instance ??= new Singleton();
return instance;
}
}
}
public class Program {
public static void Main(string[] args) {
Singleton s1 = Singleton.Instance;
Singleton s2 = Singleton.Instance;
Console.WriteLine(s1 == s2); // True: 同一のインスタンスを取得しているか確認
}
}
</syntaxhighlight>
このコードは、シングルトン(Singleton)パターンの例です。シングルトンパターンは、特定のクラスがインスタンス化される際に、そのクラスのインスタンスが常に1つだけであることを保証するためのパターンです。
<code>Singleton</code>クラスには、プライベートな静的フィールド<code>instance</code>が含まれており、プライベートなコンストラクターが定義されています。このようにすることで、クラスの外部から新しいインスタンスを作成することができません。
<code>Instance</code>プロパティは、シングルトンのインスタンスを返すために使用されます。最初の呼び出し時に<code>instance</code>が<code>null</code>である場合、<code>instance</code>に新しい<code>Singleton</code>インスタンスが代入されます。以降の呼び出しでは、すでに存在する<code>instance</code>が返されます。
<code>Main</code>メソッドでは、<code>Singleton.Instance</code>を使用して2つの<code>Singleton</code>インスタンスを取得し、それらが同じインスタンスであることを確認するために比較しています。シングルトンパターンでは、複数のインスタンスを取得した場合でも、すべての取得が同じインスタンスを指していることを保証します。そのため、この例では<code>s1</code>と<code>s2</code>は同じインスタンスを参照するため、比較の結果は<code>True</code>になります。
=== Factory Method(ファクトリーメソッド) ===
[[デザインパターン#Factory Method(ファクトリーメソッド)パターン|ファクトリーメソッドパターン]]は、インスタンスの生成をカプセル化するためのパターンです。C#では、ファクトリメソッド、抽象ファクトリ、単純ファクトリなどの構築手法が利用できます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
public interface IProduct {
string GetName();
}
public class ConcreteProductA: IProduct {
public string GetName() => "Product A";
}
public class ConcreteProductB: IProduct {
public string GetName() => "Product B";
}
public class ProductFactory {
public IProduct CreateProduct(string type) {
return type switch {
"A" => new ConcreteProductA(),
"B" => new ConcreteProductB(),
_ => throw new NotSupportedException()
};
}
}
class Program {
static void Main(string[] args) {
ProductFactory factory = new ProductFactory();
IProduct productA = factory.CreateProduct("A");
Console.WriteLine(productA.GetName()); // Output: Product A
IProduct productB = factory.CreateProduct("B");
Console.WriteLine(productB.GetName()); // Output: Product B
}
}
</syntaxhighlight>
このコードは、ファクトリーパターン(Factory Pattern)の一般的な例です。<code>IProduct</code>インターフェースを実装した複数の具象製品クラスを作成し、<code>ProductFactory</code>クラスを使用してこれらの具象クラスのインスタンスを生成します。
<code>IProduct</code>は製品の共通のインターフェースであり、<code>ConcreteProductA</code>と<code>ConcreteProductB</code>はそれぞれ<code>IProduct</code>を実装しています。<code>GetName()</code>メソッドは<code>IProduct</code>インターフェースに定義されており、各具象クラスではそれぞれ異なる製品名を返します。
<code>ProductFactory</code>クラスは、与えられたタイプに応じて適切な製品のインスタンスを生成する<code>CreateProduct()</code>メソッドを提供しています。<code>Main</code>メソッドでは、<code>ProductFactory</code>を使用して<code>"A"</code>および<code>"B"</code>のタイプの製品を作成し、それぞれの製品の名前を出力しています。
この設計パターンは、新しいオブジェクトを生成する際にクライアントコードから具象クラスの詳細を隠すことができます。代わりに、クライアントはファクトリーメソッドを介して製品のインスタンスを作成し、特定の製品の詳細に依存することなく、インターフェースを通じてそれらの製品を使用できます。
=== Observer(オブザーバ)===
オブザーバパターンは、オブジェクト間の一対多の依存関係を定義するためのパターンです。C#では、イベントとデリゲートを使用して簡単に実装できます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
public class Subject {
public event EventHandler StateChanged;
private string state;
public string State {
get => state;
set {
state = value;
OnStateChanged();
}
}
protected virtual void OnStateChanged() {
StateChanged?.Invoke(this, EventArgs.Empty);
}
}
public class Observer {
public void Subscribe(Subject subject) {
subject.StateChanged += HandleStateChanged;
}
private void HandleStateChanged(object sender, EventArgs e) {
// Handle the state change
}
}
class Program {
static void Main(string[] args) {
Subject subject = new Subject();
Observer observer = new Observer();
observer.Subscribe(subject);
subject.State = "Updated State"; // This will trigger HandleStateChanged in the Observer
}
}
</syntaxhighlight>
このコードは、Observerパターン(観察者パターン)の基本的な実装を示しています。Subject(観察対象)の状態変化を監視し、その変化に応じて何らかのアクションを実行するObserver(観察者)を実装しています。
<code>Subject</code>クラスは、<code>StateChanged</code>というイベントを持ち、そのイベントが発生した際に<code>OnStateChanged()</code>メソッドを呼び出しています。<code>Observer</code>クラスは、<code>Subject</code>の<code>StateChanged</code>イベントに<code>Subscribe</code>メソッドで登録し、イベントが発生した時に<code>HandleStateChanged</code>メソッドを実行します。
<code>Main</code>メソッドでは、<code>Subject</code>インスタンスを作成し、<code>Observer</code>に登録しています。その後、<code>Subject</code>の<code>State</code>プロパティを変更することで、<code>HandleStateChanged</code>が呼び出されることが期待されます。
これらは、C#で一般的に使用されるデザインパターンの一部です。C#の強力な言語機能を活用して、さまざまなデザインパターンを実装し、ソフトウェアの保守性、再利用性、拡張性を向上させることができます。
[[Category:C Sharp|てさいんはたん]] | 2023-12-12T04:42:20Z | 2024-01-19T12:24:22Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C_Sharp/%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3 |
38,838 | C Sharp/参照型 | C#にはいくつかの組み込みの参照型があります。主な参照型には以下のものがあります。
クラスはC#で定義されたユーザー定義の参照型です。新しいオブジェクトを作成するために使用され、フィールド、プロパティ、メソッドなどのメンバーを持つことができます。インスタンス化する際には new キーワードが使用されます。
インターフェースは、メソッド、プロパティ、イベントなどのメンバーの署名を提供する参照型です。クラスは1つ以上のインターフェースを実装することができます。
配列は同じ型の要素が連続したメモリ領域に格納された参照型です。配列はインデックスによってアクセスされ、固定サイズのデータセットを扱うのに使用されます。
文字列はC#でのテキストデータを表す参照型です。文字列はイミュータブル(変更不能)であり、一度作成された後は変更することができません。
他にも delegate(デリゲート)、object(すべての型の基底型)、dynamic(実行時の型チェックを避けるための動的型)、カスタムの参照型(構造体、タプルなど)など、様々な参照型があります。これらはC#言語で異なる役割を果たし、異なる目的で使用されます。
さんしようかた | [
{
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"text": "C#にはいくつかの組み込みの参照型があります。主な参照型には以下のものがあります。",
"title": "参照型"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "クラスはC#で定義されたユーザー定義の参照型です。新しいオブジェクトを作成するために使用され、フィールド、プロパティ、メソッドなどのメンバーを持つことができます。インスタンス化する際には new キーワードが使用されます。",
"title": "参照型"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "インターフェースは、メソッド、プロパティ、イベントなどのメンバーの署名を提供する参照型です。クラスは1つ以上のインターフェースを実装することができます。",
"title": "参照型"
},
{
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"text": "配列は同じ型の要素が連続したメモリ領域に格納された参照型です。配列はインデックスによってアクセスされ、固定サイズのデータセットを扱うのに使用されます。",
"title": "参照型"
},
{
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"text": "文字列はC#でのテキストデータを表す参照型です。文字列はイミュータブル(変更不能)であり、一度作成された後は変更することができません。",
"title": "参照型"
},
{
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"tag": "p",
"text": "他にも delegate(デリゲート)、object(すべての型の基底型)、dynamic(実行時の型チェックを避けるための動的型)、カスタムの参照型(構造体、タプルなど)など、様々な参照型があります。これらはC#言語で異なる役割を果たし、異なる目的で使用されます。",
"title": "参照型"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "さんしようかた",
"title": "参照型"
}
] | null | :<syntaxhighlight lang=c#>
</syntaxhighlight>
== 参照型 ==
C#にはいくつかの組み込みの参照型があります。主な参照型には以下のものがあります。
=== クラス(Class) ===
クラスはC#で定義されたユーザー定義の参照型です。新しいオブジェクトを作成するために使用され、フィールド、プロパティ、メソッドなどのメンバーを持つことができます。インスタンス化する際には <code>new</code> キーワードが使用されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
public class MyClass {
// クラスの定義
}
MyClass myObject = new MyClass(); // クラスのインスタンス化
</syntaxhighlight>
=== インターフェース(Interface) ===
インターフェースは、メソッド、プロパティ、イベントなどのメンバーの署名を提供する参照型です。クラスは1つ以上のインターフェースを実装することができます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
public interface IMyInterface {
void MyMethod();
}
public class MyClass: IMyInterface {
public void MyMethod() {
// メソッドの実装
}
}
</syntaxhighlight>
=== 配列(Array) ===
配列は同じ型の要素が連続したメモリ領域に格納された参照型です。配列はインデックスによってアクセスされ、固定サイズのデータセットを扱うのに使用されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int[] numbers = new int[5]; // 整数型の配列の宣言と初期化
</syntaxhighlight>
=== 文字列(String) ===
文字列はC#でのテキストデータを表す参照型です。文字列はイミュータブル(変更不能)であり、一度作成された後は変更することができません。
:<syntaxhighlight lang=c#>
string myString = "Hello, World!"; // 文字列の定義
</syntaxhighlight>
=== その他の参照型 ===
他にも <code>delegate</code>(デリゲート)、<code>object</code>(すべての型の基底型)、<code>dynamic</code>(実行時の型チェックを避けるための動的型)、<code>record</code>(不変なデータ構造の定義に特化した特別なクラス)、カスタムの参照型(構造体、タプルなど)など、様々な参照型があります。これらはC#言語で異なる役割を果たし、異なる目的で使用されます。
[[Category:C Sharp|さんしようかた]] | 2023-12-12T06:39:18Z | 2023-12-12T06:52:53Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C_Sharp/%E5%8F%82%E7%85%A7%E5%9E%8B |
38,839 | C Sharp/値型 | C#には、値型と参照型の2つの主要な型があります。値型は変数がその値自体を保持し、参照型は変数がオブジェクトへの参照を保持します。ここでは、値型に焦点を当てて詳細に説明します。
これらの値型は、データを効率的に処理し、メモリを効果的に使用するための便利な手段を提供します。 ただし、大きなデータや複雑なデータ構造が必要な場合は、参照型(クラスなど)を検討することも重要です。
C#における struct(構造体)は、値型の一つで、データの単純な構造を表現するために使用されます。structは、クラスと似た構文を持ちますが、いくつかの重要な違いがあります。
構造体は、データの軽量な保持や処理のために使用されます。特に、小さなデータ構造やイミュータブルなオブジェクトの表現に適しています。しかし、大量のデータや複雑な振る舞いが必要な場合は、クラスの使用を検討することが推奨されます。
列挙型(Enum)はC#における値型の一つです。列挙型は、整数値をシンボリックな名前に対応付けたり、関連する定数値をまとめたりするために使用されます。
初期のC#では、列挙型は基本的な整数型(int)のみを持つことができました。
このコードは、C# 3.0での単純な列挙型の使い方を示しています。列挙型は、コードをわかりやすくするために定数値をシンボルに置き換えるのに役立ちます。この例では、列挙型 Days を使用して特定の曜日を表しています。
その後のバージョンで、列挙型は機能の面で進化しました。C# 7.0から、列挙型にフラグ属性を追加することができるようになりました。これにより、列挙型の各定数がビットごとのフラグとして扱われ、複数の定数を組み合わせて1つの値として表現することができます。
また、C# 8.0でenumに対するパターンマッチングのサポートが追加されました。これにより、switch 文や is 構文を使用して列挙型の値を簡潔にチェックすることができるようになりました。
列挙型自体に直接メソッドを定義することはできませんが、C#では列挙型に対して拡張メソッドを定義することができます。
拡張メソッドは、既存のクラスや型に新しいメソッドを追加するための機能です。これにより、列挙型にもメソッドを追加して、より豊かな機能を提供することができます。
例えば、以下は DaysOfWeek 列挙型に対して拡張メソッド IsWeekend() を追加する例です。
このように、拡張メソッドを使用すると、列挙型にメソッドを追加して列挙型の振る舞いを拡張することができます。ただし、拡張メソッドは静的クラスの中に定義される必要があり、列挙型自体に直接メソッドを追加することはできません。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "C#には、値型と参照型の2つの主要な型があります。値型は変数がその値自体を保持し、参照型は変数がオブジェクトへの参照を保持します。ここでは、値型に焦点を当てて詳細に説明します。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "これらの値型は、データを効率的に処理し、メモリを効果的に使用するための便利な手段を提供します。 ただし、大きなデータや複雑なデータ構造が必要な場合は、参照型(クラスなど)を検討することも重要です。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "C#における struct(構造体)は、値型の一つで、データの単純な構造を表現するために使用されます。structは、クラスと似た構文を持ちますが、いくつかの重要な違いがあります。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "構造体は、データの軽量な保持や処理のために使用されます。特に、小さなデータ構造やイミュータブルなオブジェクトの表現に適しています。しかし、大量のデータや複雑な振る舞いが必要な場合は、クラスの使用を検討することが推奨されます。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "列挙型(Enum)はC#における値型の一つです。列挙型は、整数値をシンボリックな名前に対応付けたり、関連する定数値をまとめたりするために使用されます。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "初期のC#では、列挙型は基本的な整数型(int)のみを持つことができました。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "このコードは、C# 3.0での単純な列挙型の使い方を示しています。列挙型は、コードをわかりやすくするために定数値をシンボルに置き換えるのに役立ちます。この例では、列挙型 Days を使用して特定の曜日を表しています。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "その後のバージョンで、列挙型は機能の面で進化しました。C# 7.0から、列挙型にフラグ属性を追加することができるようになりました。これにより、列挙型の各定数がビットごとのフラグとして扱われ、複数の定数を組み合わせて1つの値として表現することができます。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "また、C# 8.0でenumに対するパターンマッチングのサポートが追加されました。これにより、switch 文や is 構文を使用して列挙型の値を簡潔にチェックすることができるようになりました。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "列挙型自体に直接メソッドを定義することはできませんが、C#では列挙型に対して拡張メソッドを定義することができます。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "拡張メソッドは、既存のクラスや型に新しいメソッドを追加するための機能です。これにより、列挙型にもメソッドを追加して、より豊かな機能を提供することができます。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "例えば、以下は DaysOfWeek 列挙型に対して拡張メソッド IsWeekend() を追加する例です。",
"title": "値型"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "このように、拡張メソッドを使用すると、列挙型にメソッドを追加して列挙型の振る舞いを拡張することができます。ただし、拡張メソッドは静的クラスの中に定義される必要があり、列挙型自体に直接メソッドを追加することはできません。",
"title": "値型"
}
] | null | == 値型 ==
C#には、値型と参照型の2つの主要な型があります。値型は変数がその値自体を保持し、参照型は変数がオブジェクトへの参照を保持します。ここでは、値型に焦点を当てて詳細に説明します。
=== 値型の種類: ===
# 組み込みの値型:
#* <code>int</code>, <code>double</code>, <code>bool</code>, <code>char</code> などのプリミティブな型がこれに該当します。
#* これらの型はメモリ上のスタックに直接的に保存されます。
# 構造体 (Structures):
#* <code>struct</code> キーワードを使用して定義されます。
#* <code>class</code> とは異なり、値型として扱われます。
#* <code>struct</code> はユーザー定義のデータ型を作成する際に使用され、値型としての特性を持ちます。
# 列挙型:
#* <code>enum</code> キーワードを使用して定義されます。
#*整数値にシンボリックな名前に対応付けする
#* 関連する定数値をまとめて扱いやすくする
=== 値型の特徴: ===
# スタックメモリに保存される:
#* 値型の変数は通常、メモリ上のスタックに直接的に保存されます。
#* メモリ管理は効率的であり、スタックに直接値を保存するため、参照型よりも高速です。
# デフォルトでnullを持たない:
#* 値型の変数は、基本的にデフォルト値で初期化されます。例えば、<code>int</code>の場合は<code>0</code>、<code>bool</code>の場合は<code>false</code>です。
# プリミティブな演算子を使用可能:
#* 値型は、プリミティブな演算子(加算、減算、比較など)を使用して直接操作できます。
# コピーが生成される:
#* 値型の変数を別の変数に代入すると、新しいコピーが作成されます。
#* これにより、変数間での値の変更は互いに影響を受けません。
=== 値型の例: ===
:<syntaxhighlight lang=c#>
// 組み込みの値型
int number = 10;
char character = 'A';
bool flag = true;
double value = 3.14;
// 構造体
public struct Point {
public int X;
public int Y;
}
Point point = new Point();
point.X = 5;
point.Y = 10;
</syntaxhighlight>
これらの値型は、データを効率的に処理し、メモリを効果的に使用するための便利な手段を提供します。
ただし、大きなデータや複雑なデータ構造が必要な場合は、参照型(クラスなど)を検討することも重要です。
=== 構造体 ===
C#における <code>struct</code>(構造体)は、値型の一つで、データの単純な構造を表現するために使用されます。<code>struct</code>は、クラスと似た構文を持ちますが、いくつかの重要な違いがあります。
; 構造体(struct)の特徴:
# 値型:
#* 構造体は値型であり、参照型(クラス)とは異なり、値そのものを保持します。そのため、メモリのスタック領域に直接保存されます。
# ボックス化されない:
#* 構造体はボックス化(Boxing)されないため、ヒープ上にオブジェクトとして保存されることはありません。そのため、参照型(クラス)と比較してメモリ効率が高いです。
# デフォルトでパブリック:
#* 構造体のメンバーはデフォルトでパブリックになります。しかし、構造体自体は継承できず、他の構造体またはクラスから派生することはできません。
# デフォルトのコンストラクタ:
#* パラメーターなしのデフォルトコンストラクタを自動的に持ちます。ただし、自分自身のコンストラクタを定義することも可能です。
# イミュータブル(不変)な設計を推奨:
#* 一般的に、構造体はイミュータブルな設計(変更不能な状態)を推奨します。
; 構造体の例:<syntaxhighlight lang=c#>
public struct Point {
public int X;
public int Y;
// パラメーター付きコンストラクタ
public Point(int x, int y) {
X = x;
Y = y;
}
// メソッドの定義
public void Display() {
Console.WriteLine($"X: {X}, Y: {Y}");
}
}
</syntaxhighlight>
構造体は、データの軽量な保持や処理のために使用されます。特に、小さなデータ構造やイミュータブルなオブジェクトの表現に適しています。しかし、大量のデータや複雑な振る舞いが必要な場合は、クラスの使用を検討することが推奨されます。
=== 列挙型 ===
列挙型(Enum)はC#における値型の一つです。列挙型は、整数値をシンボリックな名前に対応付けたり、関連する定数値をまとめたりするために使用されます。
初期のC#では、列挙型は基本的な整数型(int)のみを持つことができました。
==== 基本の列挙型 ====
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
// 単純な列挙型の定義
public enum Days {
Sunday,
Monday,
Tuesday,
Wednesday,
Thursday,
Friday,
Saturday
}
class Program {
static void Main() {
Days today = Days.Wednesday; // 列挙型の要素を変数に代入
Console.WriteLine($"Today is {today}"); // 列挙型の要素を表示
// 列挙型の要素を比較
if (today == Days.Wednesday) {
Console.WriteLine("It's Wednesday!");
}
}
}
</syntaxhighlight>
このコードは、C# 3.0での単純な列挙型の使い方を示しています。列挙型は、コードをわかりやすくするために定数値をシンボルに置き換えるのに役立ちます。この例では、列挙型 <code>Days</code> を使用して特定の曜日を表しています。
==== フラグ属性 ====
その後のバージョンで、列挙型は機能の面で進化しました。C# 7.0から、列挙型にフラグ属性を追加することができるようになりました。これにより、列挙型の各定数がビットごとのフラグとして扱われ、複数の定数を組み合わせて1つの値として表現することができます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
[Flags]
public enum DaysOfWeek {
None = 0,
Sunday = 1,
Monday = 2,
Tuesday = 4,
Wednesday = 8,
Thursday = 16,
Friday = 32,
Saturday = 64
}
// フラグを組み合わせて利用する例
DaysOfWeek weekend = DaysOfWeek.Saturday | DaysOfWeek.Sunday;
</syntaxhighlight>
==== 列挙型に対するパターンマッチング ====
また、C# 8.0で<code>enum</code>に対するパターンマッチングのサポートが追加されました。これにより、<code>switch</code> 文や <code>is</code> 構文を使用して列挙型の値を簡潔にチェックすることができるようになりました。
:<syntaxhighlight lang=c#>
DaysOfWeek day = DaysOfWeek.Monday;
switch (day) {
case DaysOfWeek.Saturday or DaysOfWeek.Sunday:
Console.WriteLine("It's weekend!");
break;
case DaysOfWeek.Monday:
Console.WriteLine("It's Monday...");
break;
default:
Console.WriteLine("It's a weekday.");
break;
}
</syntaxhighlight>
==== 列挙型と拡張メソッド ====
列挙型自体に直接メソッドを定義することはできませんが、C#では列挙型に対して拡張メソッドを定義することができます。
拡張メソッドは、既存のクラスや型に新しいメソッドを追加するための機能です。これにより、列挙型にもメソッドを追加して、より豊かな機能を提供することができます。
例えば、以下は <code>DaysOfWeek</code> 列挙型に対して拡張メソッド <code>IsWeekend()</code> を追加する例です。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
public enum DaysOfWeek {
Sunday,
Monday,
Tuesday,
Wednesday,
Thursday,
Friday,
Saturday
}
public static class DaysOfWeekExtensions {
public static bool IsWeekend(this DaysOfWeek day) {
return day == DaysOfWeek.Saturday || day == DaysOfWeek.Sunday;
}
}
class Program {
static void Main() {
DaysOfWeek today = DaysOfWeek.Saturday;
Console.WriteLine(today.IsWeekend()); // 拡張メソッドを呼び出して週末かどうかをチェック
}
}
</syntaxhighlight>
このように、拡張メソッドを使用すると、列挙型にメソッドを追加して列挙型の振る舞いを拡張することができます。ただし、拡張メソッドは静的クラスの中に定義される必要があり、列挙型自体に直接メソッドを追加することはできません。
[[Category:C Sharp|あたいかた]] | 2023-12-12T11:17:07Z | 2023-12-12T11:17:07Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C_Sharp/%E5%80%A4%E5%9E%8B |
38,840 | C Sharp/リフレクション | C#におけるリフレクションは、実行時に型やメンバー(プロパティ、メソッド、イベントなど)の情報を取得し、操作するための機能です。リフレクションを使うと、プログラムが実行されている時点で、型の情報を取得したり、動的にインスタンスを生成したり、メソッドやプロパティを呼び出したりできます。
例えば、特定のクラスのメソッドやプロパティの存在、名前、型、引数の情報を取得したり、その情報を使って実行したりすることが可能です。また、リフレクションを使うことで、プログラム実行時に型のインスタンスを生成し、動的にその型のメソッドやプロパティにアクセスすることもできます。
この例では、MyClassというクラスが定義されています。Mainメソッドでは、MyClassの型情報を取得し、リフレクションを使ってそのクラスのインスタンスを作成します。その後、GetPropertyやSetValue、GetValueなどのリフレクションメソッドを使用して、プロパティの値を設定したり取得したりし、GetMethodとInvokeを使ってメソッドを呼び出しています。
このように、リフレクションを使うことで、実行時に動的にクラスやそのメンバーにアクセスできます。ただし、この方法はコンパイル時の型チェックを回避するため、適切なエラーハンドリングや型の確認が重要です。
特定のクラスのメソッド一覧を取得するためには、リフレクションを使用します。以下は、特定のクラスのメソッド一覧を取得するC#の例です。
このコードは、C#のリフレクションを使用して特定のクラス(MyClass)のメソッド情報を取得し、それらの情報をコンソールに出力するものです。 | [
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"text": "C#におけるリフレクションは、実行時に型やメンバー(プロパティ、メソッド、イベントなど)の情報を取得し、操作するための機能です。リフレクションを使うと、プログラムが実行されている時点で、型の情報を取得したり、動的にインスタンスを生成したり、メソッドやプロパティを呼び出したりできます。",
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"text": "例えば、特定のクラスのメソッドやプロパティの存在、名前、型、引数の情報を取得したり、その情報を使って実行したりすることが可能です。また、リフレクションを使うことで、プログラム実行時に型のインスタンスを生成し、動的にその型のメソッドやプロパティにアクセスすることもできます。",
"title": "リフレクション"
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"text": "この例では、MyClassというクラスが定義されています。Mainメソッドでは、MyClassの型情報を取得し、リフレクションを使ってそのクラスのインスタンスを作成します。その後、GetPropertyやSetValue、GetValueなどのリフレクションメソッドを使用して、プロパティの値を設定したり取得したりし、GetMethodとInvokeを使ってメソッドを呼び出しています。",
"title": "リフレクション"
},
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"text": "このように、リフレクションを使うことで、実行時に動的にクラスやそのメンバーにアクセスできます。ただし、この方法はコンパイル時の型チェックを回避するため、適切なエラーハンドリングや型の確認が重要です。",
"title": "リフレクション"
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"text": "特定のクラスのメソッド一覧を取得するためには、リフレクションを使用します。以下は、特定のクラスのメソッド一覧を取得するC#の例です。",
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"text": "このコードは、C#のリフレクションを使用して特定のクラス(MyClass)のメソッド情報を取得し、それらの情報をコンソールに出力するものです。",
"title": "リフレクション"
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] | null | == リフレクション ==
C#におけるリフレクションは、実行時に型やメンバー(プロパティ、メソッド、イベントなど)の情報を取得し、操作するための機能です。リフレクションを使うと、プログラムが実行されている時点で、型の情報を取得したり、動的にインスタンスを生成したり、メソッドやプロパティを呼び出したりできます。
例えば、特定のクラスのメソッドやプロパティの存在、名前、型、引数の情報を取得したり、その情報を使って実行したりすることが可能です。また、リフレクションを使うことで、プログラム実行時に型のインスタンスを生成し、動的にその型のメソッドやプロパティにアクセスすることもできます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
using System.Reflection;
public class MyClass {
public int MyProperty {
get;
set;
}
public void MyMethod() {
Console.WriteLine("MyMethod() called");
}
}
class Program {
static void Main() {
// クラスの型を取得
Type myClassType = typeof (MyClass);
// インスタンスを作成
object myClassInstance = Activator.CreateInstance(myClassType);
// プロパティのセットとゲット
PropertyInfo myPropInfo = myClassType.GetProperty("MyProperty");
myPropInfo.SetValue(myClassInstance, 42);
int propValue = (int) myPropInfo.GetValue(myClassInstance);
Console.WriteLine("MyProperty value: " + propValue); // MyProperty value: 42
// メソッドの呼び出し
MethodInfo myMethodInfo = myClassType.GetMethod("MyMethod");
myMethodInfo.Invoke(myClassInstance, null); // MyMethod() called
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、<code>MyClass</code>というクラスが定義されています。<code>Main</code>メソッドでは、<code>MyClass</code>の型情報を取得し、リフレクションを使ってそのクラスのインスタンスを作成します。その後、<code>GetProperty</code>や<code>SetValue</code>、<code>GetValue</code>などのリフレクションメソッドを使用して、プロパティの値を設定したり取得したりし、<code>GetMethod</code>と<code>Invoke</code>を使ってメソッドを呼び出しています。
このように、リフレクションを使うことで、実行時に動的にクラスやそのメンバーにアクセスできます。ただし、この方法はコンパイル時の型チェックを回避するため、適切なエラーハンドリングや型の確認が重要です。
=== メソッド一覧を得る ===
特定のクラスのメソッド一覧を取得するためには、リフレクションを使用します。以下は、特定のクラスのメソッド一覧を取得するC#の例です。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
using System.Reflection;
public class MyClass {
public void Method1() {}
public int Method2(int value) {
return value * 2;
}
public string Method3(string input) {
return "Hello, " + input;
}
}
class Program {
static void Main() {
Type myClassType = typeof (MyClass);
// クラスのすべてのメソッドを取得
MethodInfo[] methods = myClassType.GetMethods();
Console.WriteLine("Methods in MyClass:");
foreach(var method in methods) {
Console.WriteLine("Method Name: " + method.Name);
// メソッドの戻り値の型
Console.WriteLine("Return Type: " + method.ReturnType.Name);
// メソッドの引数
ParameterInfo[] parameters = method.GetParameters();
Console.WriteLine("Parameters:");
foreach(var param in parameters) {
Console.WriteLine($" - Name: {param.Name}, Type: {param.ParameterType.Name}");
}
Console.WriteLine();
}
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
Methods in MyClass:
Method Name: Method1
Return Type: Void
Parameters:
Method Name: Method2
Return Type: Int32
Parameters:
- Name: value, Type: Int32
Method Name: Method3
Return Type: String
Parameters:
- Name: input, Type: String
Method Name: GetType
Return Type: Type
Parameters:
Method Name: ToString
Return Type: String
Parameters:
Method Name: Equals
Return Type: Boolean
Parameters:
- Name: obj, Type: Object
Method Name: GetHashCode
Return Type: Int32
Parameters:
</syntaxhighlight>
このコードは、C#のリフレクションを使用して特定のクラス(<code>MyClass</code>)のメソッド情報を取得し、それらの情報をコンソールに出力するものです。
# <code>MyClass</code>というクラスが定義されています。このクラスには3つのメソッドが含まれています。
# <code>Program</code>クラスの<code>Main</code>メソッドでは、<code>MyClass</code>の型情報を取得しています。これにより、リフレクションを使って<code>MyClass</code>のメソッドにアクセスできるようになります。
# <code>GetMethods()</code>メソッドを使用して、<code>MyClass</code>に含まれるすべてのメソッドの情報を取得しています。これにより、<code>MethodInfo</code>型の配列<code>methods</code>にメソッドの情報が格納されます。
# <code>foreach</code>ループを使用して、各メソッドの情報を取り出し、コンソールに出力しています。
#* <code>method.Name</code>でメソッド名を取得し、<code>Console.WriteLine</code>を使って表示しています。
#* <code>method.ReturnType.Name</code>で戻り値の型情報を取得し、それも表示しています。
#* <code>method.GetParameters()</code>を使ってメソッドの引数情報を取得し、<code>ParameterInfo</code>型の配列<code>parameters</code>に格納しています。
#* 引数の情報(名前と型)を<code>foreach</code>ループを使って取り出し、コンソールに出力しています。
----
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
using System.Reflection;
class Program {
static void Main() {
// クラス名を指定して Type オブジェクトを取得
Type type = typeof (int);
// クラス名を出力
Console.WriteLine($"クラス名:{type.Name} {{");
// フィールドの情報を取得して出力
Console.WriteLine("\t// フィールド:");
FieldInfo[] fields = type.GetFields(BindingFlags.Instance | BindingFlags.NonPublic | BindingFlags.Public);
foreach(var field in fields) {
Console.WriteLine($"\t{field.FieldType.Name} {field.Name};");
}
Console.WriteLine();
// メソッドの情報を取得して出力
Console.WriteLine("\t//メソッド:");
MethodInfo[] methods = type.GetMethods(BindingFlags.Instance | BindingFlags.NonPublic | BindingFlags.Public);
foreach(var method in methods) {
Console.Write($"\t{method.ReturnType.Name} {method.Name}(");
// メソッドの引数を出力
ParameterInfo[] parameters = method.GetParameters();
for (int i = 0; i < parameters.Length; i++) {
Console.Write($"{parameters[i].Name} {parameters[i].ParameterType.Name}");
if (i < parameters.Length - 1) {
Console.Write(", ");
}
}
Console.WriteLine(");");
}
Console.WriteLine("}");
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
クラス名:Int32 {
// フィールド:
Int32 m_value;
//メソッド:
Int32 CompareTo(value Object);
Int32 CompareTo(value Int32);
Boolean Equals(obj Object);
Boolean Equals(obj Int32);
Int32 GetHashCode();
String ToString();
String ToString(format String);
String ToString(provider IFormatProvider);
String ToString(format String, provider IFormatProvider);
Boolean TryFormat(destination Span`1, charsWritten Int32&, format ReadOnlySpan`1, provider IFormatProvider);
Boolean TryFormat(utf8Destination Span`1, bytesWritten Int32&, format ReadOnlySpan`1, provider IFormatProvider);
TypeCode GetTypeCode();
Boolean System.IConvertible.ToBoolean(provider IFormatProvider);
Char System.IConvertible.ToChar(provider IFormatProvider);
SByte System.IConvertible.ToSByte(provider IFormatProvider);
Byte System.IConvertible.ToByte(provider IFormatProvider);
Int16 System.IConvertible.ToInt16(provider IFormatProvider);
UInt16 System.IConvertible.ToUInt16(provider IFormatProvider);
Int32 System.IConvertible.ToInt32(provider IFormatProvider);
UInt32 System.IConvertible.ToUInt32(provider IFormatProvider);
Int64 System.IConvertible.ToInt64(provider IFormatProvider);
UInt64 System.IConvertible.ToUInt64(provider IFormatProvider);
Single System.IConvertible.ToSingle(provider IFormatProvider);
Double System.IConvertible.ToDouble(provider IFormatProvider);
Decimal System.IConvertible.ToDecimal(provider IFormatProvider);
DateTime System.IConvertible.ToDateTime(provider IFormatProvider);
Object System.IConvertible.ToType(type Type, provider IFormatProvider);
Int32 System.Numerics.IBinaryInteger<System.Int32>.GetShortestBitLength();
Int32 System.Numerics.IBinaryInteger<System.Int32>.GetByteCount();
Boolean System.Numerics.IBinaryInteger<System.Int32>.TryWriteBigEndian(destination Span`1, bytesWritten Int32&);
Boolean System.Numerics.IBinaryInteger<System.Int32>.TryWriteLittleEndian(destination Span`1, bytesWritten Int32&);
Type GetType();
Object MemberwiseClone();
Void Finalize();
}
</syntaxhighlight>
このコードは、C#のリフレクションを使用して、与えられたクラスの情報を取得し、そのフィールドとメソッドをコンソールに出力するものです。以下、コードの解説です。
# <code>using System;</code> と <code>using System.Reflection;</code> は、必要な名前空間をインポートしています。
# <code>static void Main()</code> メソッドはプログラムのエントリーポイントです。ここでクラスの情報を取得し、出力を行います。
# <code>Type type = typeof(int);</code> の部分で、<code>typeof</code> キーワードを使用して、指定した型 (<code>int</code> の場合) の <code>Type</code> オブジェクトを取得しています。この部分を、調査したいクラスの型に置き換えることで、そのクラスの情報を取得できます。
# <code><nowiki>Console.WriteLine($"クラス名:{type.Name} {{");</nowiki></code> は、取得したクラスの名前をコンソールに出力しています。ここでクラスの開始を示す <code>{</code> も表示しています。
# <code>FieldInfo[] fields = type.GetFields(BindingFlags.Instance | BindingFlags.NonPublic | BindingFlags.Public);</code> は、指定したクラスのフィールド情報を取得しています。<code>BindingFlags</code> は、取得するフィールドの種類を指定しています。
# <code>foreach(var field in fields)</code> ループでは、取得したフィールドの情報を一つずつ取り出して、その型と名前をコンソールに出力しています。
# 同様に、メソッドの情報を取得しています。<code>MethodInfo[] methods = type.GetMethods(BindingFlags.Instance | BindingFlags.NonPublic | BindingFlags.Public);</code> でメソッド情報を取得し、それぞれのメソッドの戻り値の型と名前、引数の情報をコンソールに出力しています。
# 最後に、<code>}</code> でクラスの終了を示しています。
=== あるクラスからObjectまで親クラスを遡る ===
C#で特定のクラスから親クラスを <code>Object</code> まで遡るコードをリフレクションを使って書くことができます。以下はその例です。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class Program {
static void Main() {
Type type = typeof (int);
Console.WriteLine($"クラス: {type.Name}");
Type currentType = type;
// 親クラスが Object になるまでループで親クラスを表示
while (currentType.BaseType != null) {
Console.WriteLine($"親クラス: {currentType.BaseType.Name}");
currentType = currentType.BaseType;
}
}
}
</syntaxhighlight>
;実行結果:<syntaxhighlight lang=text>
クラス: Int32
親クラス: ValueType
親クラス: Object
</syntaxhighlight>
このコードでは、<code>int</code> の親クラスを <code>Object</code> まで遡って表示します。
<code>typeof</code> 演算子は、指定された型の <code>Type</code> オブジェクトを取得します。<code>BaseType</code> プロパティは、その型の直接の親クラスを返します。このプロパティを使って親クラスを取得し、<code>Object</code> まで遡るまでループを繰り返し、各親クラスの名前をコンソールに出力します。
[[Category:C Sharp|りふれくしよん]] | 2023-12-12T12:04:50Z | 2023-12-12T12:52:26Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C_Sharp/%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3 |
38,844 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律 | 「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」の逐条解説書。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」の逐条解説書。",
"title": ""
}
] | 法学>刑事法>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
法学>コンメンタール>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」の逐条解説書。 | * [[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
* [[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」の逐条解説書。
{{Wikipedia|暴力行為等処罰ニ関スル法律}}
{{Wikisource|暴力行為等処罰ニ関スル法律}}
:[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]【集団的暴行・脅迫・毀棄】
:[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ2|第1条ノ2]]【加重傷害】
:[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ3|第1条ノ3]]【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
:[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第2条|第2条]]【集団的、常習的面会強請・強談威迫】
:[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第3条|第3条]]【集団犯罪等の請託】
{{stub|law}}
[[Category:暴力行為等処罰法|*]]
[[category:コンメンタール|ほうりよくこういとうしよはつにかんするほうりつ]] | 2023-12-14T04:07:57Z | 2023-12-14T04:07:57Z | [
"テンプレート:Wikisource",
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:Wikipedia"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%AD%89%E5%87%A6%E7%BD%B0%E3%83%8B%E9%96%A2%E3%82%B9%E3%83%AB%E6%B3%95%E5%BE%8B |
38,845 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条 | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
【集団的暴行・脅迫・毀棄】
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "【集団的暴行・脅迫・毀棄】",
"title": "条文"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。",
"title": "条文"
}
] | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 | [[法学]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
==条文==
【集団的暴行・脅迫・毀棄】
;第1条
:団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して[[刑法第208条|刑法(明治40年法律第45号)第208条]]、[[刑法第222条|第222条]]又は[[刑法第261条|第261条]]の罪を犯したる者は3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処す
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
==参照条文==
*[[刑法第208条]](暴行)
*[[刑法第222条]](脅迫)
*[[刑法第261条]](器物損壊等)
*:器物損壊罪は親告罪([[刑法第264条]])であるが、本条の態様による場合、被害者の告訴を必要としない。
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律|暴力行為等処罰法]]
|
|-
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ2|第1条の2]]<br>【加重傷害】
}}
{{stub|law}}
[[category:暴力行為等処罰法|1]] | 2023-12-14T04:17:00Z | 2023-12-16T18:22:16Z | [
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:前後"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%AD%89%E5%87%A6%E7%BD%B0%E3%83%8B%E9%96%A2%E3%82%B9%E3%83%AB%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%AC%AC1%E6%9D%A1 |
38,846 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ2 | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
【加重傷害】
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "【加重傷害】",
"title": "条文"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。",
"title": "条文"
}
] | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 | [[法学]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
==条文==
【加重傷害】
;第1条の2
#銃砲若はクロスボウ又は刀剣類を用ひて人の身体を傷害したる者は1年以上15年以下の懲役に処す
#前項の未遂罪は之を罰す
#前二項の罪は[[刑法第3条]]、[[刑法第3条の2|第3条の2]]及[[刑法第4条の2|第4条の2]]の例に従ふ
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
:「銃砲若はクロスボウ又は刀剣類」といった、明らかに傷害を目的とする道具による傷害について、単純な傷害罪([[刑法第204条]])より刑罰を重くするもの。
==参照条文==
*[[刑法第3条]](国民の国外犯)
*[[刑法第3条の2]](国民以外の者の国外犯)
*[[刑法第4条の2]](条約による国外犯)
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律|暴力行為等処罰法]]
|
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]<br>【集団的暴行・脅迫・毀棄】
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ3|第1条の3]]<br>【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
}}
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[[category:暴力行為等処罰法|1の2]]
[[category:未遂罪|暴力行為等処罰法1の2]] | 2023-12-14T04:29:40Z | 2023-12-14T08:47:23Z | [
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38,848 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ3 | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 | [
{
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] | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 | [[法学]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
==条文==
【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
;第1条の3
#常習として[[刑法第204条|刑法第204条]]、[[刑法第208条|第208条]]、[[刑法第222条|第222条]]又は第261条の罪を犯したる者人を傷害したるものなるときは1年以上15年以下の拘禁刑に処し其の他の場合に在りては3月以上5年以下の拘禁刑に処す
#前項([[刑法第204条]]に係る部分を除く)の罪は[[刑法第4条の2|同法第4条の2]]の例に従ふ
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
==参照条文==
*[[刑法第204条]](傷害)
*[[刑法第208条]](暴行)
*[[刑法第222条]](脅迫)
*[[刑法第261条]](器物損壊等)
*[[刑法第4条の2]](条約による国外犯)
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律|暴力行為等処罰法]]
|
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ2|第1条の2]]<br>【加重傷害】
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第2条|第2条]]<br>【集団的、常習的面会強請・強談威迫】
}}
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[[category:暴力行為等処罰法|1の3]] | 2023-12-14T04:41:34Z | 2023-12-14T04:42:38Z | [
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38,849 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律第2条 | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
【集団的、常習的面会強請・強談威迫】
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 | [
{
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] | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 | [[法学]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
==条文==
【集団的、常習的面会強請・強談威迫】
;第2条
#財産上不正の利益を得又は得しむる目的を以て[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]の方法に依り面会を強請し又は強談威迫の行為を為したる者は1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処す
#常習として故なく面会を強請し又は強談威迫の行為を為したる者の罰亦前項に同し
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
*[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]の方法
*:「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」
==参照条文==
*[[刑法第222条]](脅迫)
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律|暴力行為等処罰法]]
|
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条ノ3|第1条の3]]<br>【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第3条|第3条]]<br>【集団犯罪等の請託】
}}
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[[category:暴力行為等処罰法|2]] | 2023-12-14T04:50:46Z | 2023-12-14T18:25:07Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%AD%89%E5%87%A6%E7%BD%B0%E3%83%8B%E9%96%A2%E3%82%B9%E3%83%AB%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%AC%AC2%E6%9D%A1 |
38,850 | 暴力行為等処罰ニ関スル法律第3条 | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律
【集団犯罪等の請託】
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 | [
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"text": "法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律",
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"text": "【集団犯罪等の請託】",
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"text": "2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。",
"title": "条文"
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] | 法学>刑法>コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律 | [[法学]]>[[刑法]]>[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
==条文==
【集団犯罪等の請託】
;第3条
#[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]の方法に依り[[刑法第199条]]、[[刑法第204条|第204条]]、[[刑法第208条|第208条]]、[[刑法第222条|第222条]]、[[刑法第223条|第223条]]、[[刑法第234条|第234条]]、[[刑法第260条|第260条]]又は[[刑法第261条|第261条]]の罪を犯さしむる目的を以て金品其の他の財産上の利益若は職務を供与し又は其の申込若は約束を為したる者及情を知りて供与を受け又は其の要求若は約束を為したる者は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処す
#[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]の方法に依り[[刑法第95条]]の罪を犯さしむる目的を以て前項の行為を為したる者は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処す
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)(第1項)懲役、(第2項)懲役若しくは禁錮
:(改正後)拘禁刑
==解説==
*[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条|第1条]]の方法
*:「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」
==参照条文==
*[[刑法第95条]](公務執行妨害及び職務強要)
*[[刑法第199条]](殺人)
*[[刑法第204条]](傷害)
*[[刑法第208条]](暴行)
*[[刑法第222条]](脅迫)
*[[刑法第223条]](強要)
*[[刑法第260条]](建造物等損壊及び同致死傷)
*[[刑法第261条]](器物損壊等)
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール暴力行為等処罰ニ関スル法律|暴力行為等処罰法]]
|
|[[暴力行為等処罰ニ関スル法律第2条|第2条]]<br>【常習的傷害・暴行・脅迫・毀棄】
|-
}}
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[[category:暴力行為等処罰法|3]]
[[category:旧選択的禁錮刑|ほ暴力行為等処罰法3]] | 2023-12-14T05:06:55Z | 2023-12-22T05:53:53Z | [
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] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%AD%89%E5%87%A6%E7%BD%B0%E3%83%8B%E9%96%A2%E3%82%B9%E3%83%AB%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%AC%AC3%E6%9D%A1 |
38,872 | 高校受験ガイド/受験制度や手続きなど | 高校入試の入試科目は、県立高校などの公立高校や国立高校と私立高校では異なる場合があります。
「公立(こうりつ)高校」と「国立(こくりつ)高校」は違います。「公立高校」とは、都道府県立または市立の高校のことです。大学受験では公立と国立とをまとめて「国公立」大学という場合もありますが、しかし高校受験では公立と国立とは大きく制度が異なるので(たとえば学区や入試問題など)、高校受験の段階では公立と国立とは別々に考えましょう。
なお、「私立「と「市立」の発音がともに「しりつ」で紛らわしいので、区別のため、市立のほうを「いちりつ」と読むことが慣用的に広く行われています。
多くの公立高校は県立高校ですが、県庁所在地などの大きな市では市立の高校もあります。
公立高校の受験の場合、試験科目は原則的に5教科(国数英理社)です。ただし、普通科以外の専門学科の受験においては3教科(国数英)で行われたり、体育系・芸術系の学科などで実技試験が行われたりすることもあります。
ほとんどの道府県では入試問題が共通しています。しかし、東京都の日比谷高校や西高校のように高校自らが作った問題、いわゆる自校作成問題を出すところもあります。
公立高校の受験では内申点と入学試験の点数との総合点で合否が決まりますが、内申点と入学試験の点数の比率は都道府県ごとに異なります。なお、学校ごとに内申点と入学試験の点数の比率が異なる場合もあります。志望校を決める前に、各都道府県の公立高校の入試要項をよく確認しておきましょう。
公立高校で面接を実施する場合、試験日が2日にわたる場合があります。教科数が多いので、3教科だけ前日、残り2教科+面接が翌日、という例があります。
他の例では、筆記試験の翌日に、面接の受験、という日程もよくあります。
どちらにせよ、試験期間中に土日などの休日を挟む場合は、2日目が月曜日になる事もよくあります。なお、このように、土日などを休日を除外した次の日のことを、社会人の用語で「翌営業日」(よくえいぎょうび)と言います。
多くの地域の公立高校で「第2次選考」(または「後期募集」)という日程がありますが、これは単に1次選考(前期募集)で定員割れが起きた高校での入学者補充用の入試であり、定員の枠も小さいです。べつに1人の受験生が2段階の選抜をくぐりぬけないと合格しないという仕組みではないので、誤解なきよう。
なお、後期募集は、試験教科が3教科(国語、数学、英語)だけになることもあります。おそらく、日程の都合でしょう。
ほか
面接がある高校の場合、2020年代の現代では、中学生みずからが事前に書く自己評価シートの記入が必要な地域もあり、すでに広島県や群馬県で実施されています。どういう事かというと、21世紀では日本の中学生の活動内容が多様化してきて、もはや中学教師だけでは生徒を評価するのが労力的に困難になり、そこで生徒自身が申告するように方式が変わってきています。
このような中学教員の労働状況の改善という背景事情があるため、今後、面接および自己評価シートを実施する公立高校は増加していくと思われます(でないと、中学教師の負担が増えるので)。
なお、すでに広島県の公立高校で「自己表現入試」というのがありますが、これは単に面接の方式が、上記のような自己アピール方式に変わったものです。広島県の公立高校受験でも5教科の筆記試験はありますので、勘違いしないように。
少なくない県で、中学の学校長の推薦による推薦入試が廃止されています。
代わりに、それらの県では、新しく生徒自身の自己推薦の方式が導入されます。この新方式の自己推薦の方式を、いくつかの県では「特色選抜」と言います。また、基本的には特色選抜には学力試験があります。
普通科だけでなく体育科などの専門学科も例外ではないです。普通科以外の学科では、実技試験もあるかもしれません。詳しくはそれぞれの県ごとに異なるので、お住まいの県の教育委員会のwebサイトなどで確認してください。
一般入試を残したまま特色選抜が加わるのか、それとも一般入試と特色選抜を一本化するのか、詳しくは教育委員会などのwebサイトで確認してください。
公立高校を受験する場合、原則として都道府県外からの受験はできません。ただし、保護者の転居など正当な理由がある場合は,所定の手続きをすることで都道府県外からの受験が認められます(各都道府県教育委員会のHPをよく確認しておきましょう)。公立高校に進学する場合は、それぞれの地区ごとに設けられた学区内の高校に進学することが原則です。ただし、東京都などのように学区が廃止された自治体もあります(全県一学区)。また、学区外の高校を受験する場合には、学区内よりも高い点をとれば入学できる制度が設けられている場合もあります。
また、県境にある一部の市町村では、県どうしが次に述べる協定を結んでいる場合があって、隣の県の近隣にある高校を受験可能な特例が認められている場合があり(隣接県協定)、たとえば埼玉県と千葉県との境目の付近にある一部の市町村では、千葉県・埼玉県の隣接県協定によって県を越境した受験が可能です(ただし県境の近隣に限ります)。なお、東京都は隣接県協定を結んでおらず、他県から東京の公立高校への受験は不可能です。
関東地方では、千葉県・茨城県・埼玉県・群馬県・栃木県で、隣接県協定により、県境付近では他県の公立高校の受験が可能です。
多くの地域の場合、公立高校の受験は専願(せんがん)です。「専願」とは、「合格したら、必ずその高校に進学する」という約束をすることです。また、基本的に1校しか受験できません。(ただし地域によっては2校まで認められる場合もある。)
このため、もし私立高校に進学したい場合、公立高校の受験前の出願取消期間中に辞退の連絡を入れなければ行けません。学校の担任の先生に相談しましょう。定員割れをしている過疎地の公立高校などだと、未受験でも公立に合格してしまう可能性もありうるので、確実に取消をしましょう。
たとえば埼玉県は、下記のように志願の取消の制度を定めています。(なお、千葉県にも同様の志願取消(しがんとりけし)の制度があります。)
埼玉県教育委員会
公立高校の志願を取り消す場合、ただちに中学校に連絡し、中学校長を経由して「志願取消届(様式10)」を速やかに志願先高等学校長へ提出してください。特に、公立高等学校の入学許可候補者発表までの日数が少ない場合は、至急お願いします。なお、特に定めのあるものを除き、提出された書類はお返ししません。
例外として、公立高校の合格発表後の取消が認められるのは、たとえば私立の受験日と合格発表日の期間が、公立高校の合格発表日をまたぐような場合といった(公立受験の時点では、まだ受験した私立合格が分からない場合)、正当な理由のある場合だけです。大抵の地方では、その地域の私立高校の合格発表日と公立高校の受験日とに余裕をもうけているでしょうが、しかし他県の私立を受験する人もいるので、そういう例外が発生する場合もあります。
ともかく、公立高校の合格後の入学辞退はかなり厳しく自主規制されており、また社会的にも、正当な理由なき辞退への批判は大きいです。世の中には、お金が無くて公立にしか行けない人もいるので、正当な理由が無い辞退は、そういう人の教育機会を不当にうばう事として、世間ではきびしく批判されます。
このため、正当な理由のない限り、公立合格後は絶対に辞退しないのが安全です。
北海道や青森県や香川県など一部の地域の一部の高校は、生徒を全国から募集しており、県外から出願できます。しかし、たとえば熊本県のように「県外からの出願者については、入学を許可する数を募集人員の20%以内とする」のように制限のある場合もあります。
東京や大阪などでは、高校受験の全国募集は行われていません。東北・北海道や九州・四国などの一部の県やその県内の一部の高校で、生徒の全国募集が行われています。
ただし、岡山県や高知県の全国募集のように、親代わりの身元引受人が必要な場合もあります。保護者自身がその地域に住んでいる必要はありませんが、親族などが住んでいて身元引受人にするのが一般的です。
高校受験生本人が東京都や神奈川県などの大都市の中学出身の住民であっても、他県の全国募集している県立高校に出願することは可能です。寮などの費用は有料になってしまいます。
私立高校の入試科目は、学校によって違いますが、多くの高校では2パターンのうちのどちらかの試験科目です。
私立高校受験での面接の有無は、高校ごとに違います。面接をする私立高校もありますし、面接をしない私立高校もあります。
一部の私立高校の入試問題では、中学教科書で習わない範囲から出題される可能性があるので注意が必要です。入試の過去問で教科書の範囲外の問題が出題されているかどうかを確認しておきましょう。なお、私立高校入試の成績評価の方法は、学校によって異なっていますので、志望校の入試要項を確認しておきましょう。
なお、私立高校入試については、次の4つの用語を目にする機会があると思いますので、ここで解説しておきます。
もし、単願(専願)や併願の約束を守らないと、信用が無くなります。単願などの約束は守りましょう。
なお、単願は本来、その高校しか受験できません。ですが、単願は受験日の開始が併願よりも1か月ほど早い場合が多く、そのため、もし最初の単願で落ちても、後日の併願で他の高校を受験できるのが実態です。単願シーズン後にも出願の願書を受け付けている高校が多いのが普通です。
例外的に、受験日の遅い単願や、受験日の早い併願とでシーズンが重なる場合があるかもしれません。もし何らかの理由で、単願しているのに他の高校も併願で受験している場合、単願以外の他高校は原則「すべり止め」にしなければなりません(もし単願以外の他高校に合格しても進学してはいけない)。
基本的には、第一志望の高校が私立の場合なら、第一志望を単願にしておけば、特に問題は無いでしょう。単願受験日シーズンと併願受験日シーズンは時期が違う場合が多いので、単願している第一志望校に落ちても、あとで併願で他校を受験できます。(第一志望校を併願で受験できる場合もあります。)
また、得に単願は、高校側から確認のため中学側の担任などに連絡が行く場合もあります。そもそも中学教師が調査書を書かないといけないので、むやみな単願の乱発などは避けたほうが良いでしょう。
なお、推薦入試にも、「単願推薦」と「併願推薦」といった区分もあります。意味は文字通り、「単願推薦」なら単願での学校推薦、「併願推薦」なら併願での学校推薦、という意味です。ネット上には「単願すると他の高校を受験できない」みたいなデマもありますが、おそらく単願推薦による確約と混同しているデマかと思われます。推薦でない単願入試の場合、合格の保証はないので、すべり止めとして他校を併願で出願するのが慣習的です。
また、難関校の私立高校だと、学校推薦の推薦入試を受けられても不合格の場合があります。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります。学校推薦だからといって志望校に合格前提にしないよう、受験勉強はしましょう。
高校受験は、受験シーズンが1月、2月、3月と分かれており、普通、1月の受験シーズンは単願で出します。
そして、すべり止めとして、2月の受験シーズンに併願で受験します。(もし2月になっても単願で出してしまうと、同シーズンの他校を受験できなくなってしまい、すべり止めとして2月が機能しなくなってしまう。)
原理的には単願を1月から2月まで2回続けるのも可能ですが、2月になっても他校を受験できないので、とても高リスクです。単願受験は1月中か、遅くとも2月初めあたりに終わらせるのが安全です。
私立高校受験の場合、よほどの人気校でない限り、2回か3回くらい、受験シーズンがあります。(人気校は推薦以外の受験は1回だけ、と言う場合もありうるかもしれない。※ 未確認)
なので、同じ高校を、1回目は単願で受験、2回目は併願で受験、といった使い分けもできます。
ただし、2回目以降の受験は、すでに1回目の受験で席の埋まった、残りの枠を奪い合うので、競争はきびしくなります。
1月の入試で単願の志望校を不合格になった場合、不合格後には別の高校を受験できます。
原理的には、併願高校のうち試験日が最後の高校を単願で出す、という曲芸(きょくげい)も可能ですが、しかし合格しても手続きミスすると大トラブルの原因になりかねませんので、避けるのが安全です。学校説明会などでの十分な下見が出来なかったり、なのに単願として強い意志を示すのは、仮に合格できたとしても入学後のミスマッチなどの原因にもなりかねず、複数校への単願は、原理的には可能でも実用化は難しいと思ったほうが良いでしょう。
単願を時期を変えて3つも4つも出すのは、仮に生徒のスケジュール的には可能だとしても(とても難しいとは思いますが)、そもそも中学側の教師の調査書を書くスケジュールの問題があるし、また、高リスクなので避けたほうが良いでしょう。
基本的には、第一志望校、第二志望校、第三志望校、といった志望順位どおりに、合格した高校のうち上位の高校に進学するのが安全です。
なお、もし面接などで、志望校の順位を聞かれたり、そういう用紙を書かされたりする場合、決してウソをつかずに、素直に志望校の順位を書きましょう。
なので、中学の担任が三者面談などの志望校を決める指導で、むやみに偏差値を高い高校を志望にしないように指導し、地元の受かりそうな高校を志望しろというのは、なるべく1月入試で志望校に合格しやすくするために意味のある事です。
ほか、一説には「地元枠」という加点があるというウワサ話もありますが、しかしウワサの域を出ません。もっとも、特別な事情がないのに、わざわざ遠くの私立高校を受験しても、面接などで志望をアピールしづらいので、なるべく地元の近くで、行きたい高校を探すのが無難でしょう。
北海道に住んでる中学生でも原理的には沖縄の私立高校を受験できますが、保護者が沖縄に転勤するのでもなかいぎり、面接でのアピールは難しいよね、って意味です。交通費などで家計も圧迫するし。
デマとして「内申点が低いと難関校の単願をできない」というデマもありますが、デマです。おそらく、単願推薦と混同しているデマでしょう。単願推薦はもらえませんが、単願入試の受験は一般的に内申点に関係なく可能です。
日本の国立高校は国立大学附属高校です。問題は自校で作成するのが一般的で、教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)です。
高校にもよりますが、国立(こくりつ)高校にも学区のような「通学可能地域」が指定されている場合があります。その「通学可能地域」に住んでいるか、地域内に引っ越す予定が無いと、その国立高校を受験できないという制度です。
たとえば筑波大学附属駒場中・高等学校の場合、首都圏の定められた区市町村に在住していないと受験できません。なお、通学時間(90分以内。シミュレーションソフトで確認)が受験許可の基準になっているので、東京都内の市町村ですら、東村山市が受験可能な地域である一方で武蔵村山市が受験不可能な地域になったりします。
世間には、国立大学の日本全国からの受験と混同して、「国立高校には学区が無い」と誤解している人も多いです。地域格差の解消だとか、そういう目的は、国立高校には全くありません。むしろ地域格差を助長する構造になっています。制度的に、機会が与えられている層は、国立大付属高校の近くの通学可能地域内の地価の高い場所に住める裕福な家庭かそこに引っ越しできる裕福な家庭だけ、鉄道のJRの路線沿いの町だけ(高校の最寄り駅がJR沿いなので)、です。
高等専門学校(高専)は専門の高等教育をほどこすことを目的としており5年制となっています。卒業すると短大相当(準学士)の学歴になります。なお、国立の短大はがありません(あるのは県立短大などの公立短大)。
高専は大半が工業系のため(4校だけ商業系)、3年生くらいまでは理科系の高校に近い内容をあつかい、4年生ぐらいから大学で習うような内容の初歩も教わります。そして、卒業すると準学士の称号を得て、短大卒と同じ扱いとなります。成績優秀かつ希望すれば、卒業後に提携する大学に3年生として入ることも可能です。あるいは専攻科に進むことで事実上の大卒扱い(学士の称号を得る)となります。
ただし、埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県には、高専がありません。このように地元に高専のない地域の場合、他県の高専を受験することになります。
なお、少数ですが、公立と私立の高専もあります。
福島・富山・広島・宇部の4地域にだけ文系(商業・経営系)の高専があります。
国立高専の学費は公立高校と同程度であり(公立高校の学費の変動は置いとく)、2023年では年間およそ23万円です。
国立大学の学費は学部に関わらず年間60万円なので、理工系大学に進学したい場合は学費だけを見れば30万円×2年分(高専4~5年生は大学1~2年生に相当)ほど得です。
さて、名前の似ている「高等専修(せんしゅう)学校」とは高等専門学校は別物です。「高等専修学校」とは、中学を卒業したばかりでも入学できる専門学校のことであり、普通、日本の一般の高校や大学に準じた授業はしていません。 (なぜなら、もし高校に準じた授業をするなら、普通に高等学校の専門学科(工業高校や商業高校や美術高校、音楽高校など)として自治体に申請すればいいので。)
「高等専門学校」はいわゆる「一条校」という種類の学校であるので、普通の小中高大学に準じた学校であり、よって大学進学資格なども普通に得られます。
しかし、「高等専修学校」は非・一条校です(つまり一条校ではない)。
大学進学をする場合、一条校を出ないと、大学受験資格などを得るのが難しくなりますので、高等専門学校と高等専修学校とを決して間違えないでください。
以下、本ページで「高専」と言ったら、一条校の「高等専門学校」の略称のことだとします。
高等専門学校(高専)の入試は、こちらも教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)ですが、問題は独立行政法人国立高等専門学校機構が作成しており、全国共通問題で、マークシート式となっています。
公立高専の入試問題は国立高専と同じ問題で行われることもありますが、自校作成の場合もあります(試験科目が5教科でない場合もあります)。過去問を購入する場合に良く確認しましょう。私立の高専はすべて自校作成問題です。
高専の入試は公立高校入試よりも早い2月中旬に行われるため、公立高校との併願は可能です。しかし、高専に合格した場合には事実上、公立高校の受検はできないようになっています(公立高校入試日に合格者説明会を開くなどするため。公立高専の場合は高専合格と同時に公立高校受検資格を失う場合もあります。)
高専のほとんどは工業系の学校で、入試も理科・数学が重視されています。特に数学は配点が2倍となっている場合があります。そのため、数学は塾や家庭教師のサポートをつけて学校よりも早めに進めた方が良いでしょう。
高専は5年生であるため、大学進学したい場合は編入試験を受けることになります。
このため、競争相手の多い大学一般入試を受けなくて済みます。
大学への編入試験の注意事項ですが、大学の理系の学部への編入の場合、高専時代の出身学科が理系の学科であることに限定されることが、募集要項などに定められているでしょう。つまり、(工業ではなく)商業系など文系の高専からは、理学部・工学部は一般に編入を受け付けない事になります。これは別に高専卒に限ったことではなく、短大卒や場合によっては大卒などの編入学でも同様です(もっとも国立の工業短大は日本には存在しませんが)。
(国から税金で補助を受けていて学費の安い)国立大学に進学する人も多いですが、べつに高専卒業組は大学入試新共通試験(旧センター試験に相当)で高得点を取っているわけではありません。2010年代ですが日経新聞でもそう報道されています。
編入試験の内容は一般に、大学1~2年の数学・英語・物理なので(国公立大への編入試験でもそうです)、一般に高専卒業者の編入試験では地歴公民などを受ける必要はありません。
高専は短大なのですが、そもそも理系の短大が日本にほとんどありません。なお、国立の短大はありません。県立など公立の短大は、日本で合計14校ていど、北海道や山形県などの地方に存在しますが、学科が限られており、工学系の国立短大が見当たりません。
このため、まるで高専の4~5年生の課程が事実上の唯一の、理工系学科の国立短大に相当の進路になっているようなのが現状です。
この事はつまり、高専のない埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県にはつまり国立理工系に相当する短大もまた存在しないことになるので、日本政府による埼玉県などに対する差別構造です。
なお高専や私立の工業短大から大学編入した場合、仮に大学3年次に編入したとしても、その大学としての単位数の認定などの関係で、卒業するために3年以上を要する場合もあります。特に学科が変わった場合(たとえば高専の土木工学科 → 大学の機械工学科)、大学の学科に対応する科目の無い高専科目は単位認定されないでしょう。
単位数自体は60数単位を限度として認定されますが、しかし必修科目などが認定されない場合もあり(高専の内容が、その大学の教育内容と対応していない等)、そのため場合によっては、3年次編入ではなく2年次編入になる場合もありえます。
どんなに勉強熱心でも、理系の大学では、大学の学科(たとえば機械工学科)の各学年の必修科目の時間が重なっていたりすることが多く、そのため、卒業に要する最低年数をくつがえません。
なお、高専ではなく「高等学校」を卒業した人間は、どんなに大学範囲の予習をして身につけていても、まずどこかの大学の理系学部に入学して2年次修了までいかないかぎり他大の理系学部の編入試験を受けることができません。
なので編入試験は、実力主義ではなく事実上の半・経歴主義です。日本の大学入試は比較的に高等学校を差別して高専出身者を優遇しているという差別的構造があります。もっとも、上述のように神奈川県・埼玉県などには高専が無いため、事実上高専は、国立大学入試の編入試験をもちいた地方枠のような意味合いを持ってしまっています。まあ、東京に言い訳ていどに高専がありますが。
埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県に高専がありません。埼玉と神奈川は首都圏ですが、山梨・滋賀・佐賀は地方なのに高専がないので国立大学の編入試験において不利な県であり、たまったものではありません。
いっぽう、(高専ではなく)工業高校の出身者は、習った内容がどんなに大学進学後の工業系の学科の教育内容と重複してしていても、何ひとつとして大学の単位としては認められません。そのため、学科によっては機械工学科や土木工学科などで、ほぼ高校時代と共通する授業内容を習うのに(若干、新しい式も習いますが)、また2年間を使うことになります。
裏を返すと、高専の授業内容のかなり多い部分は工業高校と一致しているのが現状なのに、高専は大学編入後に単位として認められ(ただし全部の科目が認められるかは知りません)、いっぽうで工業高校は大学の単位として認められないという、深刻な肩書き主義による差別構造があり、それに日本政府が加担しています。
どんなに偏差値が高い工業高校(たとえば国立の東京工業大学付属工業高校)からの大学編入でも、日本では制度的に大学の単位として認められません。
いっぽう、どんなに偏差値が低い地方の高専でも、大学に編入できてしまえば、学科が同じなら、大学の単位として認められます。
特に(実験ではなく)実習の授業内容は、大学にも寄りますが、工業高校と高専と工業大学はほぼ同じです。ほぼ同じですが、大学だとレポート提出までの時間が短かったり他の座学の時間と重なったりするので、大学だけヤタラと忙しいです。「忙しそう → 勉強してそう」という、かなり深刻に頭わるそうな評価基準をよりによって政府がしています。
日本の大学の教育および評価基準や評価方法は、普通科高校の卒業生を基準としています。
昭和のまだ大卒が珍しかった時代やまだ大学にしかなかったような高額なコンピュータなどが珍しかった時代は、まだ問題点が露呈されず、工業高校から工業大学に進学することも意義があったかもしれませんが、しかし現代は単に大企業の就活フィルターを潜り抜ける以外の価値が見出しづらいのが現状です。
もし「普通科高校と比べて高専は実習が多いから優遇しても良い」とか理由づけをするなら、工業高校出身者が編入試験を受けられないと辻褄(ツジツマ)が合いません。また、一般に日本の理系の大学では工業高校などと比べて実習が少なく、実習重視を理由とする主張は辻褄が合いません。普通科高校の卒業生が気軽に工業高校に編入学できるようになってないと辻褄があいませんし、普通科高校と工業高校の2つの高校をダブルスクールなどして5年程度で卒業できる仕組みがないと辻褄が合いませんし、その普通科と工業系学科の2つの高校を卒業した人材を高専卒業者と同等にあつかわないと辻褄があいません。
あるいは、高専の校内の定期試験レベルの問題で、国公立を含む大学入試に入学できないと辻褄が合いません。
このように、日本政府の教育政策は矛盾だらけです。あいにく日本の政治家にそこまで考える知力は無いようであり、このような矛盾が解決されずに放置されています。
だから素直に「高専優遇」と認めれば済むのですが、しかし日本にそういう事を言える政治家は言ません。まあ、高専の立地の地方民・地方出身者どうしで勝手にすれば良いのではないでしょうか。
言い訳としてもし「高専の教育が優れているから」などと主張するなら、ではその「優れた教育」とやらを神奈川県や埼玉県などは地元で受けられないのは差別であるので、どうあがいても日本の政治家および官僚は差別構造を放置している事になり、日本政府は言い逃れが出来ません。
さて、日本では、口先では「製造業の職人の育成が重要だ」とか言いながら、自分や自分の子供などは製造業につけたくないという差別主義者の偽善者がわらわらいます。
中央大学の理工学部の教授(電子情報系)の竹内健はこのような風潮を批判し、自身の大学教授として体験談として、文部科学省の官僚からの相談で「もっと理系の人材を増やしたいのだが、どうすればいいいのかアイデアが欲しい。アイデアを出してくれないか」といった感じで竹内に相談をもちかけたところ、竹内は「簡単なことですよ。あなたが理系や製造業を目指さずに官僚を目指すにいたった理由を、ひとつずつ潰せばいいんですよ」といった感じの内容で皮肉交じりに返しました。官僚は、気まずそうな顔になってしまいましたとさ。
理系の労力に対する低待遇みたいなのを解決する気がないくせに、政治家あたりの命令で「理系重視」とか言い出す公共機関などの宣伝を真に受けて、自分を棚に上げて「理系重視すべき」とか言い出す、もはや自分の言ってる内容をなにも理解できてない頭のわるい偽善者の有権者はたくさんいます。
そういう偽善者たちにとって、どうやら高専は玉虫色で都合が良いようです。ロールシャッハ検査のように、都合の良い妄想を、高校でも大学でもない高専に抱くのでしょう。高専を崇拝するくせに全く機械工学も電気工学も勉強しない偽善者、物理や化学の知識も乏しい偽善者がSNSなどにもよく生息しています。
YouTube を見てたら、次のような番組を発見しました。『ビジネススキルが磨ける『最強大学』はどこなのか?東大、早慶、青学の教授陣が徹底討論します! 』、12:20 あたり、 2023/09/27 早稲田大の教授が言うには、高専で奨学金をもらう人は、働きながら高専に通ってるから立派だとさ。
工業高校や商業高校の学生はバイトで働きながら高校に通っても編入学試験の資格自体をもらえないんですけどねえ。まあ、言い訳ていどに推薦入試はあるけれど。
入試には、一般入試と推薦入試があります。一般入試では学力試験を受けてその点数と内申点との総合点で合否を決めます。推薦入試は内申書と面接、加えて学校によっては作文で合否を決めるものです。2つの大きな違いは学力試験の有無と面接のウェイトです。推薦入試では学力試験がない学校が多数ですが、一部では学力試験も課されるケースがあります。一般入試にも面接はありますが、一般入試では本人確認の意味合いが強く、よほどのことがない限り選考材料にはならないのにたいして、推薦入試では面接は選考材料の一つとして重視されます。
なお、公立高校については、2010年以降の現代、学校推薦の入試を行わない自治体も多くあります。90年代の一時期、公立高校で学校推薦をためしに行った事もありますが、それは昔の話であり、2020年以降の現代の公立高校とは違います。ただし、公立の学校推薦はない地方自治体でも、内申点や部活での好成績は、公立入試の面接点などでの加点の対象になるので、定期試験も部活も頑張ったほうが得です。
なので、基本的に学校推薦は、私立志望の場合の受験システムです。
一般入試はすでに説明していますので、ここでは特に推薦入試について解説します。推薦入試には単願推薦(専願推薦ともいいます)と併願推薦があります。
推薦にも、「一般推薦」と「特別推薦」と「自己推薦」というのがあります。特別推薦は、部活などで公式の大会(都道府県レベルや全国レベルなど)などで好成績を取った人が取れる推薦です。一般推薦は、内申点が良い人が取れる推薦です。
公立高校にも、スポーツ推薦などはあります。たとえば東京都は、都立高校のスポーツ推薦の基準を定めています。
一般推薦と特別推薦は、中学校長からの推薦が必要です。なので、一般推薦と特別推薦をまとめて「学校推薦」とも言います。
一般に、一般推薦の条件は学校の教科の成績です(ただし、授業態度などで成績は加点される)。
ただし、高校によっては、英検3級以上や漢検3級以上、TOEICの高得点などが高校独自の内申評価に加点される場合があります。または、部活の公式大会(都道府県以上)などでの好成績や、委員会活動などの熱心さで、高校独自の評価基準に加点される場合もあります。高校によっては自己推薦入試を行わない代わりに、一般推薦で資格試験や部活成果などによる加点を行っている場合もあります。
とはいえ、基本的には一般推薦の要件は、学校の教科の成績による内申点です。
なお、文化部での特別推薦の場合、実技が試験会場で要求される場合があります。たとえば吹奏楽部なら、実際に楽器を演奏したり、美術部なら鉛筆デッサンなど、でしょうか。持ち運べるサイズのものなら、持っていきましょう。
スポーツ推薦では、基本的に次の条件があります。
ほか、高校によって、競技の種類が指定される場合もあります(たとえば「バレーボール部 5名」とか)。公立高校でもそうです。
「強化指定部」などといって、特定の部活だけ募集しています。その強化指定部に高校進学後に入る意思がないと、スポーツ推薦を受けられない場合があります。
公立はどうか知りませんが、私立の強豪校などでは、県大会ベスト8以上とか、順位が指定されることもありまうs。
ほか、「通知表で1が無い」とか追加の要件が指定される場合もあります。
合格すれば必ずその高校に行くことを約束した上で推薦入試をうけるのが単願推薦です。単願推薦は私立高校のみで行われています。単願推薦は少し内申点が低くても推薦を受けられ、入試も面接のみということが多く、合格率が非常に高い(ほぼ100%)のが特徴です。その代わり合格した高校に必ず入学しなければなりません。仮にあなたが単願推薦で合格が決まっていたのに公立高校を受験し、この公立高校に行った場合にはもう、その私立高校はあなたの母校からの単願推薦を受け付けることはないでしょう。高校と中学校との信頼関係が壊れてしまったからです。(そもそも、単願推薦が決まった場合には学校の先生が他の高校の願書を用意しないでしょう)
見てきたように、単願推薦には、「合格がほぼ確実で、入試も面接のみ」というメリットと、「合格したら進路変更が出来ない」というデメリットがあります。「楽だから」という安易な理由で単願推薦を受けるのは避けましょう。
併願推薦は、推薦・一般を問わず、複数の高校を受験できます。これは全公立高校とほとんどの私立高校で実施されています。単願推薦との違いは、「いくつも受験できるが、合格は確実ではない」というのが最も大きい点です。特に公立高校の併願推薦は募集人員が少ないこともあって、倍率が非常に高く、低くても5倍(5人に1人しか受からない)、場合によっては10倍以上になることもあります。ですから、公立高校の併願推薦は「合格したらラッキー」ぐらいのつもりで受けましょう。
また、併願推薦では内申書と面接で合否を決めることが多いのですが、いわゆる進学校や人気校では作文の試験を行うこともあります。特に作文を課す学校は作文と内申で合否が決まる可能性が高いです。普段の成績も大切ですが、作文対策はしっかり行っておきましょう。しかし推薦入試でも、簡易な学力試験をしている場合もあります。学校推薦だからといって学力試験が無い前提で中学3年をすごさないよう、注意が必要です。
また、高校によっては、併願推薦を受け付けてない高校もあります。第一志望の単願の人のみ推薦してほしい、という高校も多いわけです。
「自己推薦入試」と言うのがあり、高校によって、中学校長からの推薦は不要な場合と、中学からの推薦が必要な場合があります。
「推薦」という用語から、てっきり倍率が低いかと想像しがちですが、そうではありません。私立の自己推薦の場合、英検とかで中学なのに英検2級を持ってるとか、そういう人が自己アピールする仕組みの入試が自己推薦入試です。
あるいは、英検3級だけど、部活も地区予選で1回は勝てた、みたいに、スポーツ推薦の特別推薦をもらえるほどではないけど、かといって怠惰でもない、という人が私立の自己推薦では自己アピールしたりもできます。あるいは、帰国子女とかの自己アピールの入試です(英語以外の成績が悪ければ、内申点の必要な学校推薦は取れないので)。
私立高校での自己推薦入試は、学力試験が課される場合もあります。普通に受験勉強もしておきましょう。
なお、自己推薦入試は審査にも時間が掛かるので、基本的には実施の時期が早いです。なんとなく学力試験が無いかと誤解されがちですが、しかし自己推薦は受験者が多いのこともあってか無試験とは限らないので、注意が必要です。
2020年以降の現代、多くの私立高校と(都道府県立ではなく)国立高校では、出願としてweb出願しか認めていない場合があります。出願の際、証明写真のような顔写真も登録しますので、事前に用意してください。
また、受験票も自分で印刷する必要がある場合がほとんどです(郵送してこない)。
高校への出願の際、先生の書く調査書とは別に、生徒が自分で「志願理由書」を書きます。
※ 書き方のノウハウ的なことは下記リンク
志望校の受験に面接がある場合、この志望理由書をもとに面接官から質問されることもあるので、質問されたら答えやすい内容を書きましょう。
志望理由書は文字数が限られているので、その文字数の範囲内で説明する必要があります。
リンク
高校の転校は、親の仕事の転勤などによる引越しなどの正当な理由がないかぎり、転校できないのが普通です。
なので、高校受験では志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。
例え転校理由が正当な理由でも、「この高校に転校したい。」というような転校先の細かい指定は普通は出来ません。
私立高校などへの転入・編入では、編入試験(へんにゅう しけん)などに合格しないと、編入学が出来ない場合もあります。また編入の定員も、中退者などの欠員を補充するための数名程度ととても少ないです。私立学校によっては、そもそも編入者を一般からは募集しない場合もあります。年度によっては欠員が無い場合や、例えば欠員があっても一般からの編入者を募集していない場合もあります。
一般の入学試験とは違い、高校の編入試験では試験で高得点を取ったからといって必ずしも編入を認めるとは限りません。「転校の理由が正当な理由で無い」と受験先の高校側が思えば、編入を認めない場合もありえます。
学科の異なる学校への転校は(例えば 普通科→工業高校 などは)困難です。
例え他の学科への転学科が認められたとしても、単位数の関係で、卒業するのに年月が1年ほど多くかかることになります。転校というより、事実上の再入学でしょう。
ともかく高校受験では、志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。
また、このため、志望先の学校説明会などに、受験前に事前に積極的に参加しましょう。公立高校も私立高校も、学校説明会を開いています。第一志望 ~ 第三志望くらいはwebサイトなどで日程を確認し、説明会に親子で(または保護者・生徒の同伴で)、行ってみるのも良いでしょう。
とりあえず基礎知識として・・・
ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。
なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。
遠いなら、書店などで地図を買うとかしましょう。地元の書店やコンビニなどで、きちんと地図を買いましょう。
高校の学校説明会に参加できるのは、たいてい、基本的に中学生と、同伴で保護者1名のみです。つまり、高校受験する予定をもつ家庭だけ、参加できます。
なので、他の目的では、学校説明会には参加できません。説明内容も、後述するように高校受験に関する話題が主です。
※ 地方の生徒や男子には分かりづらいかもしれませんが、都心の女子高とかだと、防犯にも高校側が気を使わないといけません。このため、実際に子の中3女子がいないと、女子高の説明会には参加できない場合があります。
また、このような防犯上の理由などから、中3学生は制服着用をした上で、中学側の身分証明書などを所持・提示した上でないと入場できない場合があります。
説明内容は、基本的には、その高校への受験に関係する情報や、入学後に覚悟しなければならない事(たとえば「うちの高校には、こういう校則がありますので、嫌なら他校に進学してください」的な)、そのほか、受験生への多少のアピールなど、です。
近年の高校の学校説明会は、公立とも私立とも、事前にネット上での予約や、メールなどでの予約が必須です。(なお、ネット普及前の時代でも、申し込み書などによる事前の説明会の申し込みが必要でした。)
なので、もしインターネット環境など不足していれば、事前にそろえましょう(もっとも、すでに小中学で学校からの連絡などのためにネット環境を使っていると思うので、その環境のパソコンで十分でしょう)。
なお、学校説明会に参加したからといって、特に高校入試での加点などは無いはずです(少なくとも国公立はそうです)。
受験校のことが分かっていても、念のため、少なくとも第3志望くらいまでは説明会に参加しましょう。公立高校の場合、説明会に参加したからと言って一般入試で加点とかないと思いますが、しかし高校進学後のミスマッチを減らすなどの意味でも高校説明会には参加すべきです。
受験勉強の時間が1日ぶん減ってしまうリスクはありますが、しかし説明会に参加したほうが安全です。
駄目なのです。
なので、基本的には学校説明会でその高校の情報収集をするのが、まずは優先事項です。
また、受験本番での道順など、意外と迷いがちです。特に中学での学区外の高校を受験する場合、なれない土地なので、道に迷いやすくなります。
まあ、説明会に参加せずとも、道順を確認すれば済む話ではありますが。
ともかく、受験勉強以外にも、道順の確認とか、学問以外にも調べなければならない事が多くあります。第三志望くらいまでは受験前に道順を覚えておきましょう。
また、前提として、よほどの名門の高校でもない限り(たとえば有名大学の付属高校とかでもない限り)、道順を覚えるために何度も中学のうちに学校前まで行ける近隣の高校を志望校にするのが安全でしょう。
なので、道になれる意味も込めて、学校説明会には参加するのが安全です。なお、説明会は、1校あたり1度でも参加すれば充分です。別に何回も説明会に参加したからといって、入試で加点されたりとかの話は聞きません。
私立の説明会への登校のための交通手段について、近隣の人は、自転車での説明会の日の登校が認められる場合があります(ただし説明会が大規模でない場合にかぎります)。
ただし、それは私立高校の受験日の交通手段とは別です。一般的に、私立の受験日の受験生の登校は、バスなどの公共の交通手段になります。一般に、どの高校も、駐輪場はそんなに広くありません。
また、一般的に文化祭のさいは、私立も公立も、その高校の生徒以外の自転車の登校も禁止されています。
よって、受験日の交通手段と、私立の説明会での交通手段とが、異なる場合があります。
なので対策として、受験前にかならず、受験日における交通手段を確認しておきましょう。
もし少し離れた高校を志望している場合、文化祭の見学は、受験日の交通手段を想定して、電車とバスで登校してみるのが良いでしょう。
なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。
1980年代ごろの「業者テスト追放運動」といった歴史があるので、偏差値など業者テストや模試が絡んでくるような話は、基本的には公立の高校説明会では聞けません。
なお、高校の説明会に参加するにあたり、特に中学への申請や報告などは不要です。
また、一般に、中学3年にならなくても説明会には参加が可能な場合もあります(高校にも寄る)。常識的に考えて、さすがに小学生の中学年のうちに高校説明会とかは拒否される場合もあるでしょうが、しかし中学2年なら高校説明会は参加が可能な場合も多いでしょう。ただし、説明会の人気が多い場合などは、もしかしたら3年生が優先される場合もあります。
1年や2年で説明会に参加した場合、第1~2志望校に関しては、3年生でもう一度説明会に参加するのが安全でしょう。1年間のあいだに、高校の制度とか微妙に変わっている場合があります。
説明会で何度か訪問したからといって、合格の保証はありません。ついつい慣れて高校生活を想像してしまうかもしれませんが、あくまで想像に過ぎないのは、肝に銘じておくべきです。
説明会の時期として、基本的には1学期から1学期の終わり(12月)あたりまで、です。3学期は入試シーズンなので、説明会は無い高校がほとんどです。
説明会とは違いますが、動画サイトなどに、ある程度の有名な高校を取材した動画などもありますので、もし地元の有名高校を取材した動画があれば、いくつか見ましょう。塾講師などの解説動画ではなく、できれば実際にその高校の校長や教頭などにインタビュー出来ている動画なら、なおさらベストです。動画で、校舎の大まかな位置や形が分かるだけでも、とても高校の所在地などを覚えるのがラクになります。アニメ番組とか見てる暇があるなら、高校取材の動画を見ましょう。
高校主催の文化祭、学校説明会、その他のイベントなどは、できれば2年生が終わる前までに行けるなら行っておくのがベターです。なぜなら、3年生になってからだと、スケジュール的に受験勉強などと重なって、行きづらいからです。
2年生はまだ受験勉強が本格化していないので、そのうちに、志望校のうち近所にある高校の文化祭などは見学してしまうと良いでしょう。
特に文化祭は、時間が掛かるので、2年生の終わりまでに済ましておくと、3年生の時間を節約できます。
気になってる高校が多い人は、2年生が終わる前に学校説明会や文化祭を見学しておくのが良いです。
中3では、本命上位のところだけイベントに見学に行くのが良いでしょう。
ただし、高校によっては文化祭を生徒の保護者・家族以外に公開していない場合もありますので、その場合は文化祭はあきらめて、学校説明会などで情報収集をしましょう。
もっとも、文化祭は体験しなくても、学校説明会で、大体は解決します。
なお、ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。
なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。
また、その学校のSNSなどのネットのアカウントや部活のアカウントも、たとえ公式アカウントであっても、決して信用しすぎないようにしましょう。なぜなら公立学校でもSNSの部活アカウントは、たとえば外注だったりして、アカウントの中の人がその学校の人ではない別会社の民間企業の人が注文を受けてSNS運営している場合もあり、そのためか微妙に広報内容・宣伝内容が間違っている場合もあります。文化祭ていどの情報だと、広報・宣伝内容が微妙に間違ったりしている場合もありえます。
なお、市役所などのアカウントも外注だったりします。過去、自治体の外注SNSアカウントが不謹慎な発言をして炎上してネットのニュースになった事件もあります。
ネットのアカウントによる文化祭などの情報は真に受けず、なるべく事前に現地を下見しましょう。入場できなくても前日や2~3日前などに校外からでも見れば、ある程度の様子は分かるでしょう。
次のページを参照してください。
学科は、受験後・入学後には変更できません。
「模試」(もし)とは、入試問題を模した業者テストのことです。
模試は、決して単に順位や偏差値を出すだけでなく、さらにコンピュータ分析だろうか弱点の指摘をしてくるので(たとえば「英語の関係代名詞が苦手なようです」とか得点傾向から指摘してきたりする)、中3は模試を受けてください。私立志望かどうかに関わらず。
学校の定期テスト対策だけでは、そういう弱点分析ができません。
私立高校によっては、模試で好成績を取ると加点することを説明会などで明言している私立高校も普通にあります。なので、私立志望の場合、機会があれば模試をどんどんと受けるのが良いでしょう。ただし、あくまで加点ていどなので、本番の入試で好成績を取るのを第一目標にして受験勉強すべきです。
なお、模試による加点については、あらかじめ高校の入試相談会などに模試の成績書を持っていくなどの必要があります。
審査などに時間が掛かるので、入試当日の面接では模試の成績章を見せても加点を受け付けない場合があります。
どの模試が加点対象かは、特に志望の私立高校がその模試に試験会場を提供している場合、その私立高校は明らかにその模試と提携しており、なのでその模試は明らかにその私立高校の面接点の加点対象に入っている模試であるので、優先的にその模試を受験しましょう。
地域にどのような模試があるかの情報は、公立中学校では入手しづらいでしょうから、公立中学生で私立高校志望のかたは塾などに通われると良いと思います。塾のこういう情報は、夏期講習だけを受けていても入手しづらいので、せめて3年生になってからでも良いので塾に通うのが安全だと思います。
塾に通える金持ち有利の私立受験のシステムですが、そもそも私立高校の学費自体が高いので、私立を目指すというのはそういうものです。
さて、模試について、公立中学では歴史的な経緯により、平成以降は公立中学校を模試の試験会場にしません。かつて、模試の成績をもとに、公立中学が、成績の悪い生徒の高校受験に規制をかけていた経緯があるので、それが問題視されて、その結果、中学校では模試は受験できなくなりました。
しかし、私立中学や塾には関係のない話です。また、どんなに中学の成績が良くても、一般入試では試験の得点が悪ければ不合格です。
私立志望にせよ公立志望にせよ、模試を受けて、試験慣れしましょう。どちらにせよ。
また、公立中学の三者面談などで業者テストの成績や順位や偏差値を言うと、教員には話をそれ以上は止められますが、それは1980年代の文部省の(中学現場での)「業者テスト」追放の指導と言いった事情があるからです。
なお、べつに業者テストの成績が好かろうが悪かろうが私立は受験できる地方が多いですし(ただし神奈川県は少し特殊らしいです)、合格点以上に好成績なら合格します。
なお、模試では、私立高校が業者テストの試験会場になったりすることもあります。そして、私立が志望校の場合で、もしその高校を会場にしている業者テストや模試があるなら、ぜひその業者テストを受験をするべきです。
たとえ業者テストによる加点システムの無い私立高校の場合でも(単に業者テストの模試の会場を提供してるだけでも)、学校見学も兼ねて、その学校に訪問してみるのは良い経験です。
試験当日に迷子になって遅刻して不合格とかになったら馬鹿馬鹿しいので、予行練習の意味も含めて、機会があれば、何度も志望校私立を会場にした業者を受けるべきです。
また、もし志望校が業者テストに会場を提供していなくても、学校説明会および入試相談会などには最低でもそれぞれ1回は参加すると良いでしょう(あまり多く参加する必要はありません)。
私立志望の場合、第三志望くらいまでは、受験本番の前に、何度もその高校でのテストまたは説明会に参加して訪問したことがある、といった状態に持っていくべきです。もし、そういった訪問のイベントに参加できてない場合、受験勉強の時間だけを増やすよりも先に、まず普通に高校説明会などの機会で訪問してください。訪問機会を増やすのが先です。
模試で倍率と、試験直前での出願中の倍率は違います。特に、1月後半以降から出願できる高校の倍率は、それ以前の春~秋の模試の倍率とは違う傾向があります。
この理由は、主に1月の名門高校の第1志望に落ちた受験生が、第2志望以下として急に志望校を追加するからです。
このように、真の倍率、真の偏差値と、模試の倍率・偏差値とは、微妙に異なります。
もっとも、たいていの模試や志望校調査では第3志望まで書かせるので、ある程度は模試側でも予想・調整できます。
ズレやすいのは、第4志望あたりの高校からです。すべり止めとして受けた第4志望以下の高校で、意外とすべり止まらないこともあります。
私立高校では、合格発表は、web発表のみ(インターネット発表)なのが、もう2010年代から基本です。つまり、昭和の時代にあったような、掲示板での発表は、現代の私立高校では、無いのが基本です。
公立高校でも2024年以降、掲示板をとりやめ、web発表に切り替える高校が増加していく予定です。
合格通知を送るかどうかは各学校によると思いますので、詳しくは学校の要綱などで確認してください。
メール連絡先を携帯電話に指定している場合、もしスマホのバージョンが古すぎると、うまく届かない可能性があります。携帯電話が古すぎる場合、新品に買い替えてください。
そもそも携帯電話がガラケー(OSがAndroidやi-OS でないケータイ)だと、高確率で送受信エラーになる可能性がありますので(たとえばワンタイムパスワードのメールが届かない等)、たとえ電話会社のサポート中でも安全のためスマホに買い替えてください。サポート中というのは、単に昔からある旧式のメールサービスが使えるというだけであり、新しい新式のメールサービスは使えませんので、そのため合格発表の連絡などの送受信エラーの可能性がとても高くなります。
高校入試も大学入試も、募集の定員よりも多めに合格者を出すことがあります。特に私立がそうですが、高校の場合は公立高校でも定員よりも多めの合格者を出すことがあります。(公立高校の場合、税金の補助があるので、定員オーバーを多数受け入れるのは財政的に厳しく、(公立高校では)せいぜい数名のオーバーです。)
私立高校の場合だと、この理由は、併願している合格者がどれだけ自分の学校に進学してくるか不明なので、私立高校側が多めに合格者を出しているのです。
なので高校では、私立の場合、人気のある学校は募集者よりも実際の学生数が多いのが普通です。文科省も、こういうのを容認しています。(ただし大学では、都心などであまりにも過密な場合、文科省から行政指導が入る場合もある。)
さて、最終的に併願合格者で定員オーバーするような人気高校でも、単願入試の時点だと倍率0.9倍とか、単願倍率だけ1倍未満の場合もあります。別の節で述べたように倍率1未満だからといって絶対合格とは限らないのですが、それでも人気校にかなり入学しやすくなるのは変わりありません。
入学者が募集人員に満たない状態を定員割れと言います。
たとえ高い偏差値の高校でも、併願者に人気がなかったりすると、定員割れをする場合もあります。たとえば、ときどき偏差値の高い高校でも倍率 0.95 とかになって、1を下回る場合もあります。
「定員割れ」と聞くと世間では、何となく「成績の悪い底辺校」「不良の多い高校」みたいなイメージだったりするかもしれませんが、しかし実態は違うので勘違いしないようにしましょう。
また、昨今の不景気や少子化により、私立高校の「定員割れ」と聞くと、受験生はなんとなく「この私立は経営の危機か!?」みたいに思いそうですが、しかし、けっこう定員割れは時々よくあることで、高校受験では20世紀の頃からある現象なので、誤解しないようにしましょう。
定員割れをした高校では、3月に受験生の二次募集をすることがあります。私立でも公立でも、あります。
ただし、もし一次募集で定員割れをしても若干名だけの場合、二次募集を実施するかどうかは不明です。その高校の方針によっては、二次募集をしない場合もあります。
また、たとえ二次募集をするとしても、試験日がかなり遅くなる場合があります。3月7日とか8日が試験日になる場合もあります(なお、私立の進学高校の受験日は1月中旬とか1月下旬とか早めのことが多い)。このため、もし二次募集を当てにしてしまうと、他校を受験できずに高校浪人の可能性が高まりますので、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。
特に人気校や進学校の二次募集は、応募倍率が30倍以上とか高い値になり超難関になる可能性があるので(2019年度の都立日比谷高校の事例)、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。
また、公立の場合、二次募集にも合格最低点があり、もし二次募集でも定員割れをしても、受験生の得点が極端に悪ければ不合格です。
一般的に公立のほうが倍率が高いです。たとえば、首都圏ですら、ある地域では偏差値55の公立高校が倍率1.5倍ないっぽう、偏差値65の私立高校が倍率1.1倍なんて事例すらあります。
また、模試の倍率と、高校の発表する倍率は違います。上述したように、模試では受験しない人でも志望校に書いたりするので、あまり精度が良くありません。
実際の受験生の倍率は、高校側の発表する倍率です。
私立高校の受験において、自分はギリギリで不合格でも他の合格した受験生が、他校に進学手続きをするなどして合格枠が空いて、ギリギリ不合格だった受験生に合格が回ってくるのを「繰り上げ(くりあげ)合格」と言います。
いっぽう、まだ繰り上げ合格してないが、志望校側が余裕をみて、ギリギリ不合格だった人に、繰り上げ合格が回ってきたら進学手続きをするかどうかの意思確認をすることを「補欠(ほけつ)合格」と言い、ます。
基本的に、繰り上げ合格は、正式な合格です。
いっぽう、補欠合格は、名前に反して、まだ合格していません。ただし、補欠合格の段階で進学の意志を伝えないと、繰り上げ合格はもらえません。
補欠合格になった場合、ネット発表されるとは限らず、電話または郵便の封書で志望校側が伝えてくるので、電話に出なければいけませんし、郵便物も確かめなければなりません。電話に確実に出れる環境を、保護者が用意しなければいけません。
繰り上げ合格の分かるタイミングは志望校ごとに異なり、一概に言えません。3月になる場合もあります。
私立受験では、補欠合格や繰り上げ合格などの連絡は、電話で行います。なので、家に保護者が在住するか、あるいは志望校に伝える連絡先をスマートフォンなどに指定しましょう。
固定電話は、もし古くて留守録などの機能が無いなら、留守録などの機能のあるものに買い替えなければいけません。
裏を返すと、「そのような投資ができない貧困層の家庭は、そもそも私学を受験するな」という意味合いでしょう。
なお、基本的に都立高校などの公立高校の受験には、補欠・繰り上げ合格の制度は無いのが原則です。この理由はおそらく、公立高校の受験は専願であるべきだと厳しく自主規制されているからでしょう。(もし合格した私立高校に進学したい場合、公立高校は受験前に辞退の届け出をしなければならない。)
もし公立高校で定員割れがいちじるしく起きた場合は、補欠・繰上げではなく、二次募集を行うのが一般的です。
私立の場合、有名大学の付属校などの人気校の受験シーズンは傾向として、1月下旬や2月上旬など、早い場合が多いです(あくまで人気校の場合です)。
これは、理由は特に明言されてませんが、もし人気校の受験シーズンが3月だと、その人気校を目指して単願で多くの受験生が受験しかねないので、多くの不合格者を出しかねず、なので多くの高校浪人を出してしまいかねないからでしょう。
付属の中学をもっている私立中学や、国立・私立の中高一貫校では、高校受験での外部募集を2010年代以降、停止した高校もあります。これを「完全中高一貫校」と言います。
応募枠が無い以上、外部の中学からは完全中高一貫校には進学しようがないので、一般の公立中学生は他の高校を受験しましょう。
2010年以前のかつては高校受験からも募集していた高校でも、令和では高校受験の募集停止をしている高校もあります。保護者などのアドバイスを聞く場合、この変化に注意しましょう。
公立でも、多くの公立の中高一貫校は、高校受験での募集を停止して完全中高一貫校になっています。
大学付属校でも募集停止をしている場合があります。東京都内の麻布大学付属、早稲田大学付属、成城大学付属の高校は、高校募集を停止しています。神奈川の相山学院付属横浜英和も高校募集停止です。その他、立教女子や学習院女子も高校募集停止です。
大学付属校ではないですが、進学校として有名な海城高校(男子校)や桜蔭高校(女子高)も高校募集を停止しています。
ほか、傾向として、公立の中高一貫高校は、完全中高一貫校である傾向があります。
高校受験生を募集している中高一貫校でも、高校1年では、付属中学から進学してきた内部進学組(俗(ぞく)に「内部生」という)と、高校受験で入ってきた高校受験組(俗に「外部生」)とが別クラスという例もよくあります。
内部進学組では一部の学校行事が1年ほど先倒しをされていることもあるので、高校1年でクラスを同じにするのは、なかなか難しいです。たとえば高校受験組が高校1年で体験する行事が、内部進学組はすでに中学3年で体験しているような場合もあります。外部受験組がどんなに受験勉強を頑張って高校1年の範囲を先取り学習していても、行事だけはどうにもなりません。
なので、外部受験組が内部進学組と早く交流を開始したいなら、高校入学後に部活に入るなどして、交流の機会を積極的に増やすなどの工夫をしてください。
なお、近年は文系コース、理系コースとコース制がしかれている高校も多いので、コースが違う同学年生徒とは、絶対に同じクラスにはなりません。なので、そういった理由もあるので、できれば高校進学後も部活に入ったほうが良いでしょう。(せいぜい、体育や芸術科目での2学級合同の授業で、同じ授業を受ける可能性があるくらいです。) | [
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"text": "高校入試の入試科目は、県立高校などの公立高校や国立高校と私立高校では異なる場合があります。",
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"text": "「公立(こうりつ)高校」と「国立(こくりつ)高校」は違います。「公立高校」とは、都道府県立または市立の高校のことです。大学受験では公立と国立とをまとめて「国公立」大学という場合もありますが、しかし高校受験では公立と国立とは大きく制度が異なるので(たとえば学区や入試問題など)、高校受験の段階では公立と国立とは別々に考えましょう。",
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"text": "なお、「私立「と「市立」の発音がともに「しりつ」で紛らわしいので、区別のため、市立のほうを「いちりつ」と読むことが慣用的に広く行われています。",
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"text": "多くの公立高校は県立高校ですが、県庁所在地などの大きな市では市立の高校もあります。",
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"text": "公立高校の受験の場合、試験科目は原則的に5教科(国数英理社)です。ただし、普通科以外の専門学科の受験においては3教科(国数英)で行われたり、体育系・芸術系の学科などで実技試験が行われたりすることもあります。",
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"text": "ほとんどの道府県では入試問題が共通しています。しかし、東京都の日比谷高校や西高校のように高校自らが作った問題、いわゆる自校作成問題を出すところもあります。",
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"text": "公立高校の受験では内申点と入学試験の点数との総合点で合否が決まりますが、内申点と入学試験の点数の比率は都道府県ごとに異なります。なお、学校ごとに内申点と入学試験の点数の比率が異なる場合もあります。志望校を決める前に、各都道府県の公立高校の入試要項をよく確認しておきましょう。",
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"text": "公立高校で面接を実施する場合、試験日が2日にわたる場合があります。教科数が多いので、3教科だけ前日、残り2教科+面接が翌日、という例があります。",
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"text": "他の例では、筆記試験の翌日に、面接の受験、という日程もよくあります。",
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"text": "どちらにせよ、試験期間中に土日などの休日を挟む場合は、2日目が月曜日になる事もよくあります。なお、このように、土日などを休日を除外した次の日のことを、社会人の用語で「翌営業日」(よくえいぎょうび)と言います。",
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"text": "多くの地域の公立高校で「第2次選考」(または「後期募集」)という日程がありますが、これは単に1次選考(前期募集)で定員割れが起きた高校での入学者補充用の入試であり、定員の枠も小さいです。べつに1人の受験生が2段階の選抜をくぐりぬけないと合格しないという仕組みではないので、誤解なきよう。",
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"text": "なお、後期募集は、試験教科が3教科(国語、数学、英語)だけになることもあります。おそらく、日程の都合でしょう。",
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"text": "ほか",
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"text": "面接がある高校の場合、2020年代の現代では、中学生みずからが事前に書く自己評価シートの記入が必要な地域もあり、すでに広島県や群馬県で実施されています。どういう事かというと、21世紀では日本の中学生の活動内容が多様化してきて、もはや中学教師だけでは生徒を評価するのが労力的に困難になり、そこで生徒自身が申告するように方式が変わってきています。",
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"text": "このような中学教員の労働状況の改善という背景事情があるため、今後、面接および自己評価シートを実施する公立高校は増加していくと思われます(でないと、中学教師の負担が増えるので)。",
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"text": "なお、すでに広島県の公立高校で「自己表現入試」というのがありますが、これは単に面接の方式が、上記のような自己アピール方式に変わったものです。広島県の公立高校受験でも5教科の筆記試験はありますので、勘違いしないように。",
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"text": "少なくない県で、中学の学校長の推薦による推薦入試が廃止されています。",
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"text": "代わりに、それらの県では、新しく生徒自身の自己推薦の方式が導入されます。この新方式の自己推薦の方式を、いくつかの県では「特色選抜」と言います。また、基本的には特色選抜には学力試験があります。",
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"text": "普通科だけでなく体育科などの専門学科も例外ではないです。普通科以外の学科では、実技試験もあるかもしれません。詳しくはそれぞれの県ごとに異なるので、お住まいの県の教育委員会のwebサイトなどで確認してください。",
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"text": "一般入試を残したまま特色選抜が加わるのか、それとも一般入試と特色選抜を一本化するのか、詳しくは教育委員会などのwebサイトで確認してください。",
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"text": "公立高校を受験する場合、原則として都道府県外からの受験はできません。ただし、保護者の転居など正当な理由がある場合は,所定の手続きをすることで都道府県外からの受験が認められます(各都道府県教育委員会のHPをよく確認しておきましょう)。公立高校に進学する場合は、それぞれの地区ごとに設けられた学区内の高校に進学することが原則です。ただし、東京都などのように学区が廃止された自治体もあります(全県一学区)。また、学区外の高校を受験する場合には、学区内よりも高い点をとれば入学できる制度が設けられている場合もあります。",
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"text": "また、県境にある一部の市町村では、県どうしが次に述べる協定を結んでいる場合があって、隣の県の近隣にある高校を受験可能な特例が認められている場合があり(隣接県協定)、たとえば埼玉県と千葉県との境目の付近にある一部の市町村では、千葉県・埼玉県の隣接県協定によって県を越境した受験が可能です(ただし県境の近隣に限ります)。なお、東京都は隣接県協定を結んでおらず、他県から東京の公立高校への受験は不可能です。",
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"text": "関東地方では、千葉県・茨城県・埼玉県・群馬県・栃木県で、隣接県協定により、県境付近では他県の公立高校の受験が可能です。",
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},
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"text": "多くの地域の場合、公立高校の受験は専願(せんがん)です。「専願」とは、「合格したら、必ずその高校に進学する」という約束をすることです。また、基本的に1校しか受験できません。(ただし地域によっては2校まで認められる場合もある。)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "このため、もし私立高校に進学したい場合、公立高校の受験前の出願取消期間中に辞退の連絡を入れなければ行けません。学校の担任の先生に相談しましょう。定員割れをしている過疎地の公立高校などだと、未受験でも公立に合格してしまう可能性もありうるので、確実に取消をしましょう。",
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"text": "たとえば埼玉県は、下記のように志願の取消の制度を定めています。(なお、千葉県にも同様の志願取消(しがんとりけし)の制度があります。)",
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"text": "埼玉県教育委員会",
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"text": "公立高校の志願を取り消す場合、ただちに中学校に連絡し、中学校長を経由して「志願取消届(様式10)」を速やかに志願先高等学校長へ提出してください。特に、公立高等学校の入学許可候補者発表までの日数が少ない場合は、至急お願いします。なお、特に定めのあるものを除き、提出された書類はお返ししません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "例外として、公立高校の合格発表後の取消が認められるのは、たとえば私立の受験日と合格発表日の期間が、公立高校の合格発表日をまたぐような場合といった(公立受験の時点では、まだ受験した私立合格が分からない場合)、正当な理由のある場合だけです。大抵の地方では、その地域の私立高校の合格発表日と公立高校の受験日とに余裕をもうけているでしょうが、しかし他県の私立を受験する人もいるので、そういう例外が発生する場合もあります。",
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"text": "ともかく、公立高校の合格後の入学辞退はかなり厳しく自主規制されており、また社会的にも、正当な理由なき辞退への批判は大きいです。世の中には、お金が無くて公立にしか行けない人もいるので、正当な理由が無い辞退は、そういう人の教育機会を不当にうばう事として、世間ではきびしく批判されます。",
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"text": "このため、正当な理由のない限り、公立合格後は絶対に辞退しないのが安全です。",
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"text": "北海道や青森県や香川県など一部の地域の一部の高校は、生徒を全国から募集しており、県外から出願できます。しかし、たとえば熊本県のように「県外からの出願者については、入学を許可する数を募集人員の20%以内とする」のように制限のある場合もあります。",
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},
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"text": "東京や大阪などでは、高校受験の全国募集は行われていません。東北・北海道や九州・四国などの一部の県やその県内の一部の高校で、生徒の全国募集が行われています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
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"paragraph_id": 33,
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"text": "ただし、岡山県や高知県の全国募集のように、親代わりの身元引受人が必要な場合もあります。保護者自身がその地域に住んでいる必要はありませんが、親族などが住んでいて身元引受人にするのが一般的です。",
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},
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"paragraph_id": 34,
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"text": "高校受験生本人が東京都や神奈川県などの大都市の中学出身の住民であっても、他県の全国募集している県立高校に出願することは可能です。寮などの費用は有料になってしまいます。",
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"text": "私立高校の入試科目は、学校によって違いますが、多くの高校では2パターンのうちのどちらかの試験科目です。",
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"text": "私立高校受験での面接の有無は、高校ごとに違います。面接をする私立高校もありますし、面接をしない私立高校もあります。",
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"paragraph_id": 37,
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"text": "一部の私立高校の入試問題では、中学教科書で習わない範囲から出題される可能性があるので注意が必要です。入試の過去問で教科書の範囲外の問題が出題されているかどうかを確認しておきましょう。なお、私立高校入試の成績評価の方法は、学校によって異なっていますので、志望校の入試要項を確認しておきましょう。",
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"text": "なお、私立高校入試については、次の4つの用語を目にする機会があると思いますので、ここで解説しておきます。",
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"text": "もし、単願(専願)や併願の約束を守らないと、信用が無くなります。単願などの約束は守りましょう。",
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"text": "なお、単願は本来、その高校しか受験できません。ですが、単願は受験日の開始が併願よりも1か月ほど早い場合が多く、そのため、もし最初の単願で落ちても、後日の併願で他の高校を受験できるのが実態です。単願シーズン後にも出願の願書を受け付けている高校が多いのが普通です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 41,
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"text": "例外的に、受験日の遅い単願や、受験日の早い併願とでシーズンが重なる場合があるかもしれません。もし何らかの理由で、単願しているのに他の高校も併願で受験している場合、単願以外の他高校は原則「すべり止め」にしなければなりません(もし単願以外の他高校に合格しても進学してはいけない)。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "基本的には、第一志望の高校が私立の場合なら、第一志望を単願にしておけば、特に問題は無いでしょう。単願受験日シーズンと併願受験日シーズンは時期が違う場合が多いので、単願している第一志望校に落ちても、あとで併願で他校を受験できます。(第一志望校を併願で受験できる場合もあります。)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 43,
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"text": "また、得に単願は、高校側から確認のため中学側の担任などに連絡が行く場合もあります。そもそも中学教師が調査書を書かないといけないので、むやみな単願の乱発などは避けたほうが良いでしょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 44,
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"text": "なお、推薦入試にも、「単願推薦」と「併願推薦」といった区分もあります。意味は文字通り、「単願推薦」なら単願での学校推薦、「併願推薦」なら併願での学校推薦、という意味です。ネット上には「単願すると他の高校を受験できない」みたいなデマもありますが、おそらく単願推薦による確約と混同しているデマかと思われます。推薦でない単願入試の場合、合格の保証はないので、すべり止めとして他校を併願で出願するのが慣習的です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "また、難関校の私立高校だと、学校推薦の推薦入試を受けられても不合格の場合があります。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります。学校推薦だからといって志望校に合格前提にしないよう、受験勉強はしましょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 46,
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"text": "高校受験は、受験シーズンが1月、2月、3月と分かれており、普通、1月の受験シーズンは単願で出します。",
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"text": "そして、すべり止めとして、2月の受験シーズンに併願で受験します。(もし2月になっても単願で出してしまうと、同シーズンの他校を受験できなくなってしまい、すべり止めとして2月が機能しなくなってしまう。)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 48,
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"text": "原理的には単願を1月から2月まで2回続けるのも可能ですが、2月になっても他校を受験できないので、とても高リスクです。単願受験は1月中か、遅くとも2月初めあたりに終わらせるのが安全です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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{
"paragraph_id": 49,
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"text": "私立高校受験の場合、よほどの人気校でない限り、2回か3回くらい、受験シーズンがあります。(人気校は推薦以外の受験は1回だけ、と言う場合もありうるかもしれない。※ 未確認)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "なので、同じ高校を、1回目は単願で受験、2回目は併願で受験、といった使い分けもできます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "ただし、2回目以降の受験は、すでに1回目の受験で席の埋まった、残りの枠を奪い合うので、競争はきびしくなります。",
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"paragraph_id": 52,
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"text": "1月の入試で単願の志望校を不合格になった場合、不合格後には別の高校を受験できます。",
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"paragraph_id": 53,
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"text": "原理的には、併願高校のうち試験日が最後の高校を単願で出す、という曲芸(きょくげい)も可能ですが、しかし合格しても手続きミスすると大トラブルの原因になりかねませんので、避けるのが安全です。学校説明会などでの十分な下見が出来なかったり、なのに単願として強い意志を示すのは、仮に合格できたとしても入学後のミスマッチなどの原因にもなりかねず、複数校への単願は、原理的には可能でも実用化は難しいと思ったほうが良いでしょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"paragraph_id": 54,
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"text": "単願を時期を変えて3つも4つも出すのは、仮に生徒のスケジュール的には可能だとしても(とても難しいとは思いますが)、そもそも中学側の教師の調査書を書くスケジュールの問題があるし、また、高リスクなので避けたほうが良いでしょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "基本的には、第一志望校、第二志望校、第三志望校、といった志望順位どおりに、合格した高校のうち上位の高校に進学するのが安全です。",
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"text": "なお、もし面接などで、志望校の順位を聞かれたり、そういう用紙を書かされたりする場合、決してウソをつかずに、素直に志望校の順位を書きましょう。",
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"text": "なので、中学の担任が三者面談などの志望校を決める指導で、むやみに偏差値を高い高校を志望にしないように指導し、地元の受かりそうな高校を志望しろというのは、なるべく1月入試で志望校に合格しやすくするために意味のある事です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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"text": "ほか、一説には「地元枠」という加点があるというウワサ話もありますが、しかしウワサの域を出ません。もっとも、特別な事情がないのに、わざわざ遠くの私立高校を受験しても、面接などで志望をアピールしづらいので、なるべく地元の近くで、行きたい高校を探すのが無難でしょう。",
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"text": "北海道に住んでる中学生でも原理的には沖縄の私立高校を受験できますが、保護者が沖縄に転勤するのでもなかいぎり、面接でのアピールは難しいよね、って意味です。交通費などで家計も圧迫するし。",
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"text": "デマとして「内申点が低いと難関校の単願をできない」というデマもありますが、デマです。おそらく、単願推薦と混同しているデマでしょう。単願推薦はもらえませんが、単願入試の受験は一般的に内申点に関係なく可能です。",
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"text": "日本の国立高校は国立大学附属高校です。問題は自校で作成するのが一般的で、教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
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{
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"text": "高校にもよりますが、国立(こくりつ)高校にも学区のような「通学可能地域」が指定されている場合があります。その「通学可能地域」に住んでいるか、地域内に引っ越す予定が無いと、その国立高校を受験できないという制度です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 63,
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"text": "たとえば筑波大学附属駒場中・高等学校の場合、首都圏の定められた区市町村に在住していないと受験できません。なお、通学時間(90分以内。シミュレーションソフトで確認)が受験許可の基準になっているので、東京都内の市町村ですら、東村山市が受験可能な地域である一方で武蔵村山市が受験不可能な地域になったりします。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "世間には、国立大学の日本全国からの受験と混同して、「国立高校には学区が無い」と誤解している人も多いです。地域格差の解消だとか、そういう目的は、国立高校には全くありません。むしろ地域格差を助長する構造になっています。制度的に、機会が与えられている層は、国立大付属高校の近くの通学可能地域内の地価の高い場所に住める裕福な家庭かそこに引っ越しできる裕福な家庭だけ、鉄道のJRの路線沿いの町だけ(高校の最寄り駅がJR沿いなので)、です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "高等専門学校(高専)は専門の高等教育をほどこすことを目的としており5年制となっています。卒業すると短大相当(準学士)の学歴になります。なお、国立の短大はがありません(あるのは県立短大などの公立短大)。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "高専は大半が工業系のため(4校だけ商業系)、3年生くらいまでは理科系の高校に近い内容をあつかい、4年生ぐらいから大学で習うような内容の初歩も教わります。そして、卒業すると準学士の称号を得て、短大卒と同じ扱いとなります。成績優秀かつ希望すれば、卒業後に提携する大学に3年生として入ることも可能です。あるいは専攻科に進むことで事実上の大卒扱い(学士の称号を得る)となります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "ただし、埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県には、高専がありません。このように地元に高専のない地域の場合、他県の高専を受験することになります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "なお、少数ですが、公立と私立の高専もあります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "福島・富山・広島・宇部の4地域にだけ文系(商業・経営系)の高専があります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "国立高専の学費は公立高校と同程度であり(公立高校の学費の変動は置いとく)、2023年では年間およそ23万円です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "国立大学の学費は学部に関わらず年間60万円なので、理工系大学に進学したい場合は学費だけを見れば30万円×2年分(高専4~5年生は大学1~2年生に相当)ほど得です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "さて、名前の似ている「高等専修(せんしゅう)学校」とは高等専門学校は別物です。「高等専修学校」とは、中学を卒業したばかりでも入学できる専門学校のことであり、普通、日本の一般の高校や大学に準じた授業はしていません。 (なぜなら、もし高校に準じた授業をするなら、普通に高等学校の専門学科(工業高校や商業高校や美術高校、音楽高校など)として自治体に申請すればいいので。)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "「高等専門学校」はいわゆる「一条校」という種類の学校であるので、普通の小中高大学に準じた学校であり、よって大学進学資格なども普通に得られます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "しかし、「高等専修学校」は非・一条校です(つまり一条校ではない)。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 76,
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"text": "大学進学をする場合、一条校を出ないと、大学受験資格などを得るのが難しくなりますので、高等専門学校と高等専修学校とを決して間違えないでください。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "以下、本ページで「高専」と言ったら、一条校の「高等専門学校」の略称のことだとします。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "高等専門学校(高専)の入試は、こちらも教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)ですが、問題は独立行政法人国立高等専門学校機構が作成しており、全国共通問題で、マークシート式となっています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "公立高専の入試問題は国立高専と同じ問題で行われることもありますが、自校作成の場合もあります(試験科目が5教科でない場合もあります)。過去問を購入する場合に良く確認しましょう。私立の高専はすべて自校作成問題です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "高専の入試は公立高校入試よりも早い2月中旬に行われるため、公立高校との併願は可能です。しかし、高専に合格した場合には事実上、公立高校の受検はできないようになっています(公立高校入試日に合格者説明会を開くなどするため。公立高専の場合は高専合格と同時に公立高校受検資格を失う場合もあります。)",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "高専のほとんどは工業系の学校で、入試も理科・数学が重視されています。特に数学は配点が2倍となっている場合があります。そのため、数学は塾や家庭教師のサポートをつけて学校よりも早めに進めた方が良いでしょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
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"text": "",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 83,
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"text": "高専は5年生であるため、大学進学したい場合は編入試験を受けることになります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "このため、競争相手の多い大学一般入試を受けなくて済みます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 85,
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"text": "大学への編入試験の注意事項ですが、大学の理系の学部への編入の場合、高専時代の出身学科が理系の学科であることに限定されることが、募集要項などに定められているでしょう。つまり、(工業ではなく)商業系など文系の高専からは、理学部・工学部は一般に編入を受け付けない事になります。これは別に高専卒に限ったことではなく、短大卒や場合によっては大卒などの編入学でも同様です(もっとも国立の工業短大は日本には存在しませんが)。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "(国から税金で補助を受けていて学費の安い)国立大学に進学する人も多いですが、べつに高専卒業組は大学入試新共通試験(旧センター試験に相当)で高得点を取っているわけではありません。2010年代ですが日経新聞でもそう報道されています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "編入試験の内容は一般に、大学1~2年の数学・英語・物理なので(国公立大への編入試験でもそうです)、一般に高専卒業者の編入試験では地歴公民などを受ける必要はありません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "高専は短大なのですが、そもそも理系の短大が日本にほとんどありません。なお、国立の短大はありません。県立など公立の短大は、日本で合計14校ていど、北海道や山形県などの地方に存在しますが、学科が限られており、工学系の国立短大が見当たりません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "このため、まるで高専の4~5年生の課程が事実上の唯一の、理工系学科の国立短大に相当の進路になっているようなのが現状です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "この事はつまり、高専のない埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県にはつまり国立理工系に相当する短大もまた存在しないことになるので、日本政府による埼玉県などに対する差別構造です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
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"text": "",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "なお高専や私立の工業短大から大学編入した場合、仮に大学3年次に編入したとしても、その大学としての単位数の認定などの関係で、卒業するために3年以上を要する場合もあります。特に学科が変わった場合(たとえば高専の土木工学科 → 大学の機械工学科)、大学の学科に対応する科目の無い高専科目は単位認定されないでしょう。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "単位数自体は60数単位を限度として認定されますが、しかし必修科目などが認定されない場合もあり(高専の内容が、その大学の教育内容と対応していない等)、そのため場合によっては、3年次編入ではなく2年次編入になる場合もありえます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "どんなに勉強熱心でも、理系の大学では、大学の学科(たとえば機械工学科)の各学年の必修科目の時間が重なっていたりすることが多く、そのため、卒業に要する最低年数をくつがえません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "なお、高専ではなく「高等学校」を卒業した人間は、どんなに大学範囲の予習をして身につけていても、まずどこかの大学の理系学部に入学して2年次修了までいかないかぎり他大の理系学部の編入試験を受けることができません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "なので編入試験は、実力主義ではなく事実上の半・経歴主義です。日本の大学入試は比較的に高等学校を差別して高専出身者を優遇しているという差別的構造があります。もっとも、上述のように神奈川県・埼玉県などには高専が無いため、事実上高専は、国立大学入試の編入試験をもちいた地方枠のような意味合いを持ってしまっています。まあ、東京に言い訳ていどに高専がありますが。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県に高専がありません。埼玉と神奈川は首都圏ですが、山梨・滋賀・佐賀は地方なのに高専がないので国立大学の編入試験において不利な県であり、たまったものではありません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、(高専ではなく)工業高校の出身者は、習った内容がどんなに大学進学後の工業系の学科の教育内容と重複してしていても、何ひとつとして大学の単位としては認められません。そのため、学科によっては機械工学科や土木工学科などで、ほぼ高校時代と共通する授業内容を習うのに(若干、新しい式も習いますが)、また2年間を使うことになります。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと、高専の授業内容のかなり多い部分は工業高校と一致しているのが現状なのに、高専は大学編入後に単位として認められ(ただし全部の科目が認められるかは知りません)、いっぽうで工業高校は大学の単位として認められないという、深刻な肩書き主義による差別構造があり、それに日本政府が加担しています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "どんなに偏差値が高い工業高校(たとえば国立の東京工業大学付属工業高校)からの大学編入でも、日本では制度的に大学の単位として認められません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、どんなに偏差値が低い地方の高専でも、大学に編入できてしまえば、学科が同じなら、大学の単位として認められます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "特に(実験ではなく)実習の授業内容は、大学にも寄りますが、工業高校と高専と工業大学はほぼ同じです。ほぼ同じですが、大学だとレポート提出までの時間が短かったり他の座学の時間と重なったりするので、大学だけヤタラと忙しいです。「忙しそう → 勉強してそう」という、かなり深刻に頭わるそうな評価基準をよりによって政府がしています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "日本の大学の教育および評価基準や評価方法は、普通科高校の卒業生を基準としています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "昭和のまだ大卒が珍しかった時代やまだ大学にしかなかったような高額なコンピュータなどが珍しかった時代は、まだ問題点が露呈されず、工業高校から工業大学に進学することも意義があったかもしれませんが、しかし現代は単に大企業の就活フィルターを潜り抜ける以外の価値が見出しづらいのが現状です。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "もし「普通科高校と比べて高専は実習が多いから優遇しても良い」とか理由づけをするなら、工業高校出身者が編入試験を受けられないと辻褄(ツジツマ)が合いません。また、一般に日本の理系の大学では工業高校などと比べて実習が少なく、実習重視を理由とする主張は辻褄が合いません。普通科高校の卒業生が気軽に工業高校に編入学できるようになってないと辻褄があいませんし、普通科高校と工業高校の2つの高校をダブルスクールなどして5年程度で卒業できる仕組みがないと辻褄が合いませんし、その普通科と工業系学科の2つの高校を卒業した人材を高専卒業者と同等にあつかわないと辻褄があいません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "あるいは、高専の校内の定期試験レベルの問題で、国公立を含む大学入試に入学できないと辻褄が合いません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "このように、日本政府の教育政策は矛盾だらけです。あいにく日本の政治家にそこまで考える知力は無いようであり、このような矛盾が解決されずに放置されています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "だから素直に「高専優遇」と認めれば済むのですが、しかし日本にそういう事を言える政治家は言ません。まあ、高専の立地の地方民・地方出身者どうしで勝手にすれば良いのではないでしょうか。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "言い訳としてもし「高専の教育が優れているから」などと主張するなら、ではその「優れた教育」とやらを神奈川県や埼玉県などは地元で受けられないのは差別であるので、どうあがいても日本の政治家および官僚は差別構造を放置している事になり、日本政府は言い逃れが出来ません。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "さて、日本では、口先では「製造業の職人の育成が重要だ」とか言いながら、自分や自分の子供などは製造業につけたくないという差別主義者の偽善者がわらわらいます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "中央大学の理工学部の教授(電子情報系)の竹内健はこのような風潮を批判し、自身の大学教授として体験談として、文部科学省の官僚からの相談で「もっと理系の人材を増やしたいのだが、どうすればいいいのかアイデアが欲しい。アイデアを出してくれないか」といった感じで竹内に相談をもちかけたところ、竹内は「簡単なことですよ。あなたが理系や製造業を目指さずに官僚を目指すにいたった理由を、ひとつずつ潰せばいいんですよ」といった感じの内容で皮肉交じりに返しました。官僚は、気まずそうな顔になってしまいましたとさ。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "理系の労力に対する低待遇みたいなのを解決する気がないくせに、政治家あたりの命令で「理系重視」とか言い出す公共機関などの宣伝を真に受けて、自分を棚に上げて「理系重視すべき」とか言い出す、もはや自分の言ってる内容をなにも理解できてない頭のわるい偽善者の有権者はたくさんいます。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "そういう偽善者たちにとって、どうやら高専は玉虫色で都合が良いようです。ロールシャッハ検査のように、都合の良い妄想を、高校でも大学でもない高専に抱くのでしょう。高専を崇拝するくせに全く機械工学も電気工学も勉強しない偽善者、物理や化学の知識も乏しい偽善者がSNSなどにもよく生息しています。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "YouTube を見てたら、次のような番組を発見しました。『ビジネススキルが磨ける『最強大学』はどこなのか?東大、早慶、青学の教授陣が徹底討論します! 』、12:20 あたり、 2023/09/27 早稲田大の教授が言うには、高専で奨学金をもらう人は、働きながら高専に通ってるから立派だとさ。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "工業高校や商業高校の学生はバイトで働きながら高校に通っても編入学試験の資格自体をもらえないんですけどねえ。まあ、言い訳ていどに推薦入試はあるけれど。",
"title": "県立・私立・国立の高校受験の違い"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "入試には、一般入試と推薦入試があります。一般入試では学力試験を受けてその点数と内申点との総合点で合否を決めます。推薦入試は内申書と面接、加えて学校によっては作文で合否を決めるものです。2つの大きな違いは学力試験の有無と面接のウェイトです。推薦入試では学力試験がない学校が多数ですが、一部では学力試験も課されるケースがあります。一般入試にも面接はありますが、一般入試では本人確認の意味合いが強く、よほどのことがない限り選考材料にはならないのにたいして、推薦入試では面接は選考材料の一つとして重視されます。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "なお、公立高校については、2010年以降の現代、学校推薦の入試を行わない自治体も多くあります。90年代の一時期、公立高校で学校推薦をためしに行った事もありますが、それは昔の話であり、2020年以降の現代の公立高校とは違います。ただし、公立の学校推薦はない地方自治体でも、内申点や部活での好成績は、公立入試の面接点などでの加点の対象になるので、定期試験も部活も頑張ったほうが得です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "なので、基本的に学校推薦は、私立志望の場合の受験システムです。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "一般入試はすでに説明していますので、ここでは特に推薦入試について解説します。推薦入試には単願推薦(専願推薦ともいいます)と併願推薦があります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "推薦にも、「一般推薦」と「特別推薦」と「自己推薦」というのがあります。特別推薦は、部活などで公式の大会(都道府県レベルや全国レベルなど)などで好成績を取った人が取れる推薦です。一般推薦は、内申点が良い人が取れる推薦です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "公立高校にも、スポーツ推薦などはあります。たとえば東京都は、都立高校のスポーツ推薦の基準を定めています。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "一般推薦と特別推薦は、中学校長からの推薦が必要です。なので、一般推薦と特別推薦をまとめて「学校推薦」とも言います。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "一般に、一般推薦の条件は学校の教科の成績です(ただし、授業態度などで成績は加点される)。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "ただし、高校によっては、英検3級以上や漢検3級以上、TOEICの高得点などが高校独自の内申評価に加点される場合があります。または、部活の公式大会(都道府県以上)などでの好成績や、委員会活動などの熱心さで、高校独自の評価基準に加点される場合もあります。高校によっては自己推薦入試を行わない代わりに、一般推薦で資格試験や部活成果などによる加点を行っている場合もあります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "とはいえ、基本的には一般推薦の要件は、学校の教科の成績による内申点です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "なお、文化部での特別推薦の場合、実技が試験会場で要求される場合があります。たとえば吹奏楽部なら、実際に楽器を演奏したり、美術部なら鉛筆デッサンなど、でしょうか。持ち運べるサイズのものなら、持っていきましょう。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "スポーツ推薦では、基本的に次の条件があります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "ほか、高校によって、競技の種類が指定される場合もあります(たとえば「バレーボール部 5名」とか)。公立高校でもそうです。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "「強化指定部」などといって、特定の部活だけ募集しています。その強化指定部に高校進学後に入る意思がないと、スポーツ推薦を受けられない場合があります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "公立はどうか知りませんが、私立の強豪校などでは、県大会ベスト8以上とか、順位が指定されることもありまうs。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "ほか、「通知表で1が無い」とか追加の要件が指定される場合もあります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "合格すれば必ずその高校に行くことを約束した上で推薦入試をうけるのが単願推薦です。単願推薦は私立高校のみで行われています。単願推薦は少し内申点が低くても推薦を受けられ、入試も面接のみということが多く、合格率が非常に高い(ほぼ100%)のが特徴です。その代わり合格した高校に必ず入学しなければなりません。仮にあなたが単願推薦で合格が決まっていたのに公立高校を受験し、この公立高校に行った場合にはもう、その私立高校はあなたの母校からの単願推薦を受け付けることはないでしょう。高校と中学校との信頼関係が壊れてしまったからです。(そもそも、単願推薦が決まった場合には学校の先生が他の高校の願書を用意しないでしょう)",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "見てきたように、単願推薦には、「合格がほぼ確実で、入試も面接のみ」というメリットと、「合格したら進路変更が出来ない」というデメリットがあります。「楽だから」という安易な理由で単願推薦を受けるのは避けましょう。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "併願推薦は、推薦・一般を問わず、複数の高校を受験できます。これは全公立高校とほとんどの私立高校で実施されています。単願推薦との違いは、「いくつも受験できるが、合格は確実ではない」というのが最も大きい点です。特に公立高校の併願推薦は募集人員が少ないこともあって、倍率が非常に高く、低くても5倍(5人に1人しか受からない)、場合によっては10倍以上になることもあります。ですから、公立高校の併願推薦は「合格したらラッキー」ぐらいのつもりで受けましょう。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "また、併願推薦では内申書と面接で合否を決めることが多いのですが、いわゆる進学校や人気校では作文の試験を行うこともあります。特に作文を課す学校は作文と内申で合否が決まる可能性が高いです。普段の成績も大切ですが、作文対策はしっかり行っておきましょう。しかし推薦入試でも、簡易な学力試験をしている場合もあります。学校推薦だからといって学力試験が無い前提で中学3年をすごさないよう、注意が必要です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "また、高校によっては、併願推薦を受け付けてない高校もあります。第一志望の単願の人のみ推薦してほしい、という高校も多いわけです。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "「自己推薦入試」と言うのがあり、高校によって、中学校長からの推薦は不要な場合と、中学からの推薦が必要な場合があります。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "「推薦」という用語から、てっきり倍率が低いかと想像しがちですが、そうではありません。私立の自己推薦の場合、英検とかで中学なのに英検2級を持ってるとか、そういう人が自己アピールする仕組みの入試が自己推薦入試です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "あるいは、英検3級だけど、部活も地区予選で1回は勝てた、みたいに、スポーツ推薦の特別推薦をもらえるほどではないけど、かといって怠惰でもない、という人が私立の自己推薦では自己アピールしたりもできます。あるいは、帰国子女とかの自己アピールの入試です(英語以外の成績が悪ければ、内申点の必要な学校推薦は取れないので)。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "私立高校での自己推薦入試は、学力試験が課される場合もあります。普通に受験勉強もしておきましょう。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "なお、自己推薦入試は審査にも時間が掛かるので、基本的には実施の時期が早いです。なんとなく学力試験が無いかと誤解されがちですが、しかし自己推薦は受験者が多いのこともあってか無試験とは限らないので、注意が必要です。",
"title": "一般入試と推薦入試の違い"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "2020年以降の現代、多くの私立高校と(都道府県立ではなく)国立高校では、出願としてweb出願しか認めていない場合があります。出願の際、証明写真のような顔写真も登録しますので、事前に用意してください。",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "また、受験票も自分で印刷する必要がある場合がほとんどです(郵送してこない)。",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "高校への出願の際、先生の書く調査書とは別に、生徒が自分で「志願理由書」を書きます。",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "※ 書き方のノウハウ的なことは下記リンク",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "志望校の受験に面接がある場合、この志望理由書をもとに面接官から質問されることもあるので、質問されたら答えやすい内容を書きましょう。",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "志望理由書は文字数が限られているので、その文字数の範囲内で説明する必要があります。",
"title": "出願時の注意"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "リンク",
"title": "私立志望の注意事項"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "高校の転校は、親の仕事の転勤などによる引越しなどの正当な理由がないかぎり、転校できないのが普通です。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "なので、高校受験では志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "例え転校理由が正当な理由でも、「この高校に転校したい。」というような転校先の細かい指定は普通は出来ません。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "私立高校などへの転入・編入では、編入試験(へんにゅう しけん)などに合格しないと、編入学が出来ない場合もあります。また編入の定員も、中退者などの欠員を補充するための数名程度ととても少ないです。私立学校によっては、そもそも編入者を一般からは募集しない場合もあります。年度によっては欠員が無い場合や、例えば欠員があっても一般からの編入者を募集していない場合もあります。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "一般の入学試験とは違い、高校の編入試験では試験で高得点を取ったからといって必ずしも編入を認めるとは限りません。「転校の理由が正当な理由で無い」と受験先の高校側が思えば、編入を認めない場合もありえます。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "学科の異なる学校への転校は(例えば 普通科→工業高校 などは)困難です。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "例え他の学科への転学科が認められたとしても、単位数の関係で、卒業するのに年月が1年ほど多くかかることになります。転校というより、事実上の再入学でしょう。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "ともかく高校受験では、志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "また、このため、志望先の学校説明会などに、受験前に事前に積極的に参加しましょう。公立高校も私立高校も、学校説明会を開いています。第一志望 ~ 第三志望くらいはwebサイトなどで日程を確認し、説明会に親子で(または保護者・生徒の同伴で)、行ってみるのも良いでしょう。",
"title": "高校は転校できないのが普通"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "とりあえず基礎知識として・・・",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "遠いなら、書店などで地図を買うとかしましょう。地元の書店やコンビニなどで、きちんと地図を買いましょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "高校の学校説明会に参加できるのは、たいてい、基本的に中学生と、同伴で保護者1名のみです。つまり、高校受験する予定をもつ家庭だけ、参加できます。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "なので、他の目的では、学校説明会には参加できません。説明内容も、後述するように高校受験に関する話題が主です。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "※ 地方の生徒や男子には分かりづらいかもしれませんが、都心の女子高とかだと、防犯にも高校側が気を使わないといけません。このため、実際に子の中3女子がいないと、女子高の説明会には参加できない場合があります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "また、このような防犯上の理由などから、中3学生は制服着用をした上で、中学側の身分証明書などを所持・提示した上でないと入場できない場合があります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "説明内容は、基本的には、その高校への受験に関係する情報や、入学後に覚悟しなければならない事(たとえば「うちの高校には、こういう校則がありますので、嫌なら他校に進学してください」的な)、そのほか、受験生への多少のアピールなど、です。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "近年の高校の学校説明会は、公立とも私立とも、事前にネット上での予約や、メールなどでの予約が必須です。(なお、ネット普及前の時代でも、申し込み書などによる事前の説明会の申し込みが必要でした。)",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "なので、もしインターネット環境など不足していれば、事前にそろえましょう(もっとも、すでに小中学で学校からの連絡などのためにネット環境を使っていると思うので、その環境のパソコンで十分でしょう)。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "なお、学校説明会に参加したからといって、特に高校入試での加点などは無いはずです(少なくとも国公立はそうです)。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "受験校のことが分かっていても、念のため、少なくとも第3志望くらいまでは説明会に参加しましょう。公立高校の場合、説明会に参加したからと言って一般入試で加点とかないと思いますが、しかし高校進学後のミスマッチを減らすなどの意味でも高校説明会には参加すべきです。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "受験勉強の時間が1日ぶん減ってしまうリスクはありますが、しかし説明会に参加したほうが安全です。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "駄目なのです。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "なので、基本的には学校説明会でその高校の情報収集をするのが、まずは優先事項です。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "また、受験本番での道順など、意外と迷いがちです。特に中学での学区外の高校を受験する場合、なれない土地なので、道に迷いやすくなります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "まあ、説明会に参加せずとも、道順を確認すれば済む話ではありますが。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "ともかく、受験勉強以外にも、道順の確認とか、学問以外にも調べなければならない事が多くあります。第三志望くらいまでは受験前に道順を覚えておきましょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "また、前提として、よほどの名門の高校でもない限り(たとえば有名大学の付属高校とかでもない限り)、道順を覚えるために何度も中学のうちに学校前まで行ける近隣の高校を志望校にするのが安全でしょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "なので、道になれる意味も込めて、学校説明会には参加するのが安全です。なお、説明会は、1校あたり1度でも参加すれば充分です。別に何回も説明会に参加したからといって、入試で加点されたりとかの話は聞きません。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "私立の説明会への登校のための交通手段について、近隣の人は、自転車での説明会の日の登校が認められる場合があります(ただし説明会が大規模でない場合にかぎります)。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "ただし、それは私立高校の受験日の交通手段とは別です。一般的に、私立の受験日の受験生の登校は、バスなどの公共の交通手段になります。一般に、どの高校も、駐輪場はそんなに広くありません。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "また、一般的に文化祭のさいは、私立も公立も、その高校の生徒以外の自転車の登校も禁止されています。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "よって、受験日の交通手段と、私立の説明会での交通手段とが、異なる場合があります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "なので対策として、受験前にかならず、受験日における交通手段を確認しておきましょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "もし少し離れた高校を志望している場合、文化祭の見学は、受験日の交通手段を想定して、電車とバスで登校してみるのが良いでしょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "1980年代ごろの「業者テスト追放運動」といった歴史があるので、偏差値など業者テストや模試が絡んでくるような話は、基本的には公立の高校説明会では聞けません。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "なお、高校の説明会に参加するにあたり、特に中学への申請や報告などは不要です。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "また、一般に、中学3年にならなくても説明会には参加が可能な場合もあります(高校にも寄る)。常識的に考えて、さすがに小学生の中学年のうちに高校説明会とかは拒否される場合もあるでしょうが、しかし中学2年なら高校説明会は参加が可能な場合も多いでしょう。ただし、説明会の人気が多い場合などは、もしかしたら3年生が優先される場合もあります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "1年や2年で説明会に参加した場合、第1~2志望校に関しては、3年生でもう一度説明会に参加するのが安全でしょう。1年間のあいだに、高校の制度とか微妙に変わっている場合があります。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "説明会で何度か訪問したからといって、合格の保証はありません。ついつい慣れて高校生活を想像してしまうかもしれませんが、あくまで想像に過ぎないのは、肝に銘じておくべきです。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "説明会の時期として、基本的には1学期から1学期の終わり(12月)あたりまで、です。3学期は入試シーズンなので、説明会は無い高校がほとんどです。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "説明会とは違いますが、動画サイトなどに、ある程度の有名な高校を取材した動画などもありますので、もし地元の有名高校を取材した動画があれば、いくつか見ましょう。塾講師などの解説動画ではなく、できれば実際にその高校の校長や教頭などにインタビュー出来ている動画なら、なおさらベストです。動画で、校舎の大まかな位置や形が分かるだけでも、とても高校の所在地などを覚えるのがラクになります。アニメ番組とか見てる暇があるなら、高校取材の動画を見ましょう。",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学校説明会"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "高校主催の文化祭、学校説明会、その他のイベントなどは、できれば2年生が終わる前までに行けるなら行っておくのがベターです。なぜなら、3年生になってからだと、スケジュール的に受験勉強などと重なって、行きづらいからです。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "2年生はまだ受験勉強が本格化していないので、そのうちに、志望校のうち近所にある高校の文化祭などは見学してしまうと良いでしょう。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "特に文化祭は、時間が掛かるので、2年生の終わりまでに済ましておくと、3年生の時間を節約できます。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "気になってる高校が多い人は、2年生が終わる前に学校説明会や文化祭を見学しておくのが良いです。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "中3では、本命上位のところだけイベントに見学に行くのが良いでしょう。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "ただし、高校によっては文化祭を生徒の保護者・家族以外に公開していない場合もありますので、その場合は文化祭はあきらめて、学校説明会などで情報収集をしましょう。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "もっとも、文化祭は体験しなくても、学校説明会で、大体は解決します。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "なお、ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "また、その学校のSNSなどのネットのアカウントや部活のアカウントも、たとえ公式アカウントであっても、決して信用しすぎないようにしましょう。なぜなら公立学校でもSNSの部活アカウントは、たとえば外注だったりして、アカウントの中の人がその学校の人ではない別会社の民間企業の人が注文を受けてSNS運営している場合もあり、そのためか微妙に広報内容・宣伝内容が間違っている場合もあります。文化祭ていどの情報だと、広報・宣伝内容が微妙に間違ったりしている場合もありえます。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "なお、市役所などのアカウントも外注だったりします。過去、自治体の外注SNSアカウントが不謹慎な発言をして炎上してネットのニュースになった事件もあります。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "ネットのアカウントによる文化祭などの情報は真に受けず、なるべく事前に現地を下見しましょう。入場できなくても前日や2~3日前などに校外からでも見れば、ある程度の様子は分かるでしょう。",
"title": "2年終了前に学校見学を開始するとベター"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "次のページを参照してください。",
"title": "学科選び"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "学科は、受験後・入学後には変更できません。",
"title": "学科選び"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "学科選び"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "「模試」(もし)とは、入試問題を模した業者テストのことです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "模試は、決して単に順位や偏差値を出すだけでなく、さらにコンピュータ分析だろうか弱点の指摘をしてくるので(たとえば「英語の関係代名詞が苦手なようです」とか得点傾向から指摘してきたりする)、中3は模試を受けてください。私立志望かどうかに関わらず。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "学校の定期テスト対策だけでは、そういう弱点分析ができません。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "私立高校によっては、模試で好成績を取ると加点することを説明会などで明言している私立高校も普通にあります。なので、私立志望の場合、機会があれば模試をどんどんと受けるのが良いでしょう。ただし、あくまで加点ていどなので、本番の入試で好成績を取るのを第一目標にして受験勉強すべきです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "なお、模試による加点については、あらかじめ高校の入試相談会などに模試の成績書を持っていくなどの必要があります。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "審査などに時間が掛かるので、入試当日の面接では模試の成績章を見せても加点を受け付けない場合があります。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "どの模試が加点対象かは、特に志望の私立高校がその模試に試験会場を提供している場合、その私立高校は明らかにその模試と提携しており、なのでその模試は明らかにその私立高校の面接点の加点対象に入っている模試であるので、優先的にその模試を受験しましょう。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "地域にどのような模試があるかの情報は、公立中学校では入手しづらいでしょうから、公立中学生で私立高校志望のかたは塾などに通われると良いと思います。塾のこういう情報は、夏期講習だけを受けていても入手しづらいので、せめて3年生になってからでも良いので塾に通うのが安全だと思います。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "塾に通える金持ち有利の私立受験のシステムですが、そもそも私立高校の学費自体が高いので、私立を目指すというのはそういうものです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "さて、模試について、公立中学では歴史的な経緯により、平成以降は公立中学校を模試の試験会場にしません。かつて、模試の成績をもとに、公立中学が、成績の悪い生徒の高校受験に規制をかけていた経緯があるので、それが問題視されて、その結果、中学校では模試は受験できなくなりました。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "しかし、私立中学や塾には関係のない話です。また、どんなに中学の成績が良くても、一般入試では試験の得点が悪ければ不合格です。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "私立志望にせよ公立志望にせよ、模試を受けて、試験慣れしましょう。どちらにせよ。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "また、公立中学の三者面談などで業者テストの成績や順位や偏差値を言うと、教員には話をそれ以上は止められますが、それは1980年代の文部省の(中学現場での)「業者テスト」追放の指導と言いった事情があるからです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "なお、べつに業者テストの成績が好かろうが悪かろうが私立は受験できる地方が多いですし(ただし神奈川県は少し特殊らしいです)、合格点以上に好成績なら合格します。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "なお、模試では、私立高校が業者テストの試験会場になったりすることもあります。そして、私立が志望校の場合で、もしその高校を会場にしている業者テストや模試があるなら、ぜひその業者テストを受験をするべきです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "たとえ業者テストによる加点システムの無い私立高校の場合でも(単に業者テストの模試の会場を提供してるだけでも)、学校見学も兼ねて、その学校に訪問してみるのは良い経験です。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "試験当日に迷子になって遅刻して不合格とかになったら馬鹿馬鹿しいので、予行練習の意味も含めて、機会があれば、何度も志望校私立を会場にした業者を受けるべきです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "また、もし志望校が業者テストに会場を提供していなくても、学校説明会および入試相談会などには最低でもそれぞれ1回は参加すると良いでしょう(あまり多く参加する必要はありません)。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "私立志望の場合、第三志望くらいまでは、受験本番の前に、何度もその高校でのテストまたは説明会に参加して訪問したことがある、といった状態に持っていくべきです。もし、そういった訪問のイベントに参加できてない場合、受験勉強の時間だけを増やすよりも先に、まず普通に高校説明会などの機会で訪問してください。訪問機会を増やすのが先です。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "模試で倍率と、試験直前での出願中の倍率は違います。特に、1月後半以降から出願できる高校の倍率は、それ以前の春~秋の模試の倍率とは違う傾向があります。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "この理由は、主に1月の名門高校の第1志望に落ちた受験生が、第2志望以下として急に志望校を追加するからです。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "このように、真の倍率、真の偏差値と、模試の倍率・偏差値とは、微妙に異なります。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "もっとも、たいていの模試や志望校調査では第3志望まで書かせるので、ある程度は模試側でも予想・調整できます。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "ズレやすいのは、第4志望あたりの高校からです。すべり止めとして受けた第4志望以下の高校で、意外とすべり止まらないこともあります。",
"title": "模試について"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "私立高校では、合格発表は、web発表のみ(インターネット発表)なのが、もう2010年代から基本です。つまり、昭和の時代にあったような、掲示板での発表は、現代の私立高校では、無いのが基本です。",
"title": "合格発表のweb化"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "公立高校でも2024年以降、掲示板をとりやめ、web発表に切り替える高校が増加していく予定です。",
"title": "合格発表のweb化"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "合格通知を送るかどうかは各学校によると思いますので、詳しくは学校の要綱などで確認してください。",
"title": "合格発表のweb化"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "メール連絡先を携帯電話に指定している場合、もしスマホのバージョンが古すぎると、うまく届かない可能性があります。携帯電話が古すぎる場合、新品に買い替えてください。",
"title": "合格発表のweb化"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "そもそも携帯電話がガラケー(OSがAndroidやi-OS でないケータイ)だと、高確率で送受信エラーになる可能性がありますので(たとえばワンタイムパスワードのメールが届かない等)、たとえ電話会社のサポート中でも安全のためスマホに買い替えてください。サポート中というのは、単に昔からある旧式のメールサービスが使えるというだけであり、新しい新式のメールサービスは使えませんので、そのため合格発表の連絡などの送受信エラーの可能性がとても高くなります。",
"title": "合格発表のweb化"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "高校入試も大学入試も、募集の定員よりも多めに合格者を出すことがあります。特に私立がそうですが、高校の場合は公立高校でも定員よりも多めの合格者を出すことがあります。(公立高校の場合、税金の補助があるので、定員オーバーを多数受け入れるのは財政的に厳しく、(公立高校では)せいぜい数名のオーバーです。)",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"text": "私立高校の場合だと、この理由は、併願している合格者がどれだけ自分の学校に進学してくるか不明なので、私立高校側が多めに合格者を出しているのです。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "なので高校では、私立の場合、人気のある学校は募集者よりも実際の学生数が多いのが普通です。文科省も、こういうのを容認しています。(ただし大学では、都心などであまりにも過密な場合、文科省から行政指導が入る場合もある。)",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "さて、最終的に併願合格者で定員オーバーするような人気高校でも、単願入試の時点だと倍率0.9倍とか、単願倍率だけ1倍未満の場合もあります。別の節で述べたように倍率1未満だからといって絶対合格とは限らないのですが、それでも人気校にかなり入学しやすくなるのは変わりありません。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"text": "入学者が募集人員に満たない状態を定員割れと言います。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"tag": "p",
"text": "たとえ高い偏差値の高校でも、併願者に人気がなかったりすると、定員割れをする場合もあります。たとえば、ときどき偏差値の高い高校でも倍率 0.95 とかになって、1を下回る場合もあります。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"tag": "p",
"text": "「定員割れ」と聞くと世間では、何となく「成績の悪い底辺校」「不良の多い高校」みたいなイメージだったりするかもしれませんが、しかし実態は違うので勘違いしないようにしましょう。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "また、昨今の不景気や少子化により、私立高校の「定員割れ」と聞くと、受験生はなんとなく「この私立は経営の危機か!?」みたいに思いそうですが、しかし、けっこう定員割れは時々よくあることで、高校受験では20世紀の頃からある現象なので、誤解しないようにしましょう。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"text": "",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "定員割れをした高校では、3月に受験生の二次募集をすることがあります。私立でも公立でも、あります。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ただし、もし一次募集で定員割れをしても若干名だけの場合、二次募集を実施するかどうかは不明です。その高校の方針によっては、二次募集をしない場合もあります。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "また、たとえ二次募集をするとしても、試験日がかなり遅くなる場合があります。3月7日とか8日が試験日になる場合もあります(なお、私立の進学高校の受験日は1月中旬とか1月下旬とか早めのことが多い)。このため、もし二次募集を当てにしてしまうと、他校を受験できずに高校浪人の可能性が高まりますので、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "特に人気校や進学校の二次募集は、応募倍率が30倍以上とか高い値になり超難関になる可能性があるので(2019年度の都立日比谷高校の事例)、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
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"tag": "p",
"text": "また、公立の場合、二次募集にも合格最低点があり、もし二次募集でも定員割れをしても、受験生の得点が極端に悪ければ不合格です。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "一般的に公立のほうが倍率が高いです。たとえば、首都圏ですら、ある地域では偏差値55の公立高校が倍率1.5倍ないっぽう、偏差値65の私立高校が倍率1.1倍なんて事例すらあります。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "また、模試の倍率と、高校の発表する倍率は違います。上述したように、模試では受験しない人でも志望校に書いたりするので、あまり精度が良くありません。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "実際の受験生の倍率は、高校側の発表する倍率です。",
"title": "定員割れと二次募集"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "私立高校の受験において、自分はギリギリで不合格でも他の合格した受験生が、他校に進学手続きをするなどして合格枠が空いて、ギリギリ不合格だった受験生に合格が回ってくるのを「繰り上げ(くりあげ)合格」と言います。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、まだ繰り上げ合格してないが、志望校側が余裕をみて、ギリギリ不合格だった人に、繰り上げ合格が回ってきたら進学手続きをするかどうかの意思確認をすることを「補欠(ほけつ)合格」と言い、ます。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "基本的に、繰り上げ合格は、正式な合格です。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、補欠合格は、名前に反して、まだ合格していません。ただし、補欠合格の段階で進学の意志を伝えないと、繰り上げ合格はもらえません。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "補欠合格になった場合、ネット発表されるとは限らず、電話または郵便の封書で志望校側が伝えてくるので、電話に出なければいけませんし、郵便物も確かめなければなりません。電話に確実に出れる環境を、保護者が用意しなければいけません。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "繰り上げ合格の分かるタイミングは志望校ごとに異なり、一概に言えません。3月になる場合もあります。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "私立受験では、補欠合格や繰り上げ合格などの連絡は、電話で行います。なので、家に保護者が在住するか、あるいは志望校に伝える連絡先をスマートフォンなどに指定しましょう。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "固定電話は、もし古くて留守録などの機能が無いなら、留守録などの機能のあるものに買い替えなければいけません。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと、「そのような投資ができない貧困層の家庭は、そもそも私学を受験するな」という意味合いでしょう。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 274,
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"text": "",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "なお、基本的に都立高校などの公立高校の受験には、補欠・繰り上げ合格の制度は無いのが原則です。この理由はおそらく、公立高校の受験は専願であるべきだと厳しく自主規制されているからでしょう。(もし合格した私立高校に進学したい場合、公立高校は受験前に辞退の届け出をしなければならない。)",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "もし公立高校で定員割れがいちじるしく起きた場合は、補欠・繰上げではなく、二次募集を行うのが一般的です。",
"title": "補欠合格と繰り上げ合格"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "私立の場合、有名大学の付属校などの人気校の受験シーズンは傾向として、1月下旬や2月上旬など、早い場合が多いです(あくまで人気校の場合です)。",
"title": "人気校の受験シーズン"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "これは、理由は特に明言されてませんが、もし人気校の受験シーズンが3月だと、その人気校を目指して単願で多くの受験生が受験しかねないので、多くの不合格者を出しかねず、なので多くの高校浪人を出してしまいかねないからでしょう。",
"title": "人気校の受験シーズン"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "付属の中学をもっている私立中学や、国立・私立の中高一貫校では、高校受験での外部募集を2010年代以降、停止した高校もあります。これを「完全中高一貫校」と言います。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "応募枠が無い以上、外部の中学からは完全中高一貫校には進学しようがないので、一般の公立中学生は他の高校を受験しましょう。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "2010年以前のかつては高校受験からも募集していた高校でも、令和では高校受験の募集停止をしている高校もあります。保護者などのアドバイスを聞く場合、この変化に注意しましょう。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "公立でも、多くの公立の中高一貫校は、高校受験での募集を停止して完全中高一貫校になっています。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "大学付属校でも募集停止をしている場合があります。東京都内の麻布大学付属、早稲田大学付属、成城大学付属の高校は、高校募集を停止しています。神奈川の相山学院付属横浜英和も高校募集停止です。その他、立教女子や学習院女子も高校募集停止です。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "大学付属校ではないですが、進学校として有名な海城高校(男子校)や桜蔭高校(女子高)も高校募集を停止しています。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "ほか、傾向として、公立の中高一貫高校は、完全中高一貫校である傾向があります。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "高校受験生を募集している中高一貫校でも、高校1年では、付属中学から進学してきた内部進学組(俗(ぞく)に「内部生」という)と、高校受験で入ってきた高校受験組(俗に「外部生」)とが別クラスという例もよくあります。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "内部進学組では一部の学校行事が1年ほど先倒しをされていることもあるので、高校1年でクラスを同じにするのは、なかなか難しいです。たとえば高校受験組が高校1年で体験する行事が、内部進学組はすでに中学3年で体験しているような場合もあります。外部受験組がどんなに受験勉強を頑張って高校1年の範囲を先取り学習していても、行事だけはどうにもなりません。",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 288,
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"text": "なので、外部受験組が内部進学組と早く交流を開始したいなら、高校入学後に部活に入るなどして、交流の機会を積極的に増やすなどの工夫をしてください。",
"title": "中高一貫校について"
},
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"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "中高一貫校について"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "なお、近年は文系コース、理系コースとコース制がしかれている高校も多いので、コースが違う同学年生徒とは、絶対に同じクラスにはなりません。なので、そういった理由もあるので、できれば高校進学後も部活に入ったほうが良いでしょう。(せいぜい、体育や芸術科目での2学級合同の授業で、同じ授業を受ける可能性があるくらいです。)",
"title": "中高一貫校について"
}
] | null |
== 県立・私立・国立の高校受験の違い ==
高校入試の入試科目は、県立高校などの公立高校や国立高校と私立高校では異なる場合があります。
:※ 本ページでは字数の都合上、東京都立や大阪・京都の府立や北海道立などもまとめて「県立」と説明することがあります。
=== 公立と国立の違い ===
「公立(こ'''う'''りつ)高校」と「国立(こくりつ)高校」は違います。「公立高校」とは、都道府県立または市立の高校のことです。大学受験では公立と国立とをまとめて「国公立」大学という場合もありますが、しかし高校受験では公立と国立とは大きく制度が異なるので(たとえば学区や入試問題など)、高校受験の段階では公立と国立とは別々に考えましょう。
なお、「私立「と「市立」の発音がともに「しりつ」で紛らわしいので、区別のため、市立のほうを「いちりつ」と読むことが慣用的に広く行われています。
多くの公立高校は県立高校ですが、県庁所在地などの大きな市では市立の高校もあります。
=== 県立などの公立高校を受験する場合 ===
==== 受験科目など ====
===== 学力試験 =====
公立高校の受験の場合、試験科目は原則的に5教科(国数英理社)です。ただし、普通科以外の専門学科の受験においては3教科(国数英)で行われたり、体育系・芸術系の学科などで実技試験が行われたりすることもあります。
ほとんどの道府県では入試問題が共通しています。しかし、東京都の<ruby>日比谷<rt>ひびや</rt></ruby>高校や西高校のように高校自らが作った問題、いわゆる自校作成問題を出すところもあります。
公立高校の受験では内申点と入学試験の点数との総合点で合否が決まりますが、内申点と入学試験の点数の比率は都道府県ごとに異なります。なお、学校ごとに内申点と入学試験の点数の比率が異なる場合もあります。志望校を決める前に、各都道府県の公立高校の入試要項をよく確認しておきましょう。
===== 日程 =====
公立高校で面接を実施する場合、試験日が2日にわたる場合があります。教科数が多いので、3教科だけ前日、残り2教科+面接が翌日、という例があります。
他の例では、筆記試験の翌日に、面接の受験、という日程もよくあります。
どちらにせよ、試験期間中に土日などの休日を挟む場合は、2日目が月曜日になる事もよくあります。なお、このように、土日などを休日を除外した次の日のことを、社会人の用語で「翌営業日」(よくえいぎょうび)と言います。
多くの地域の公立高校で「第2次選考」(または「後期募集」)という日程がありますが、これは単に1次選考(前期募集)で定員割れが起きた高校での入学者補充用の入試であり、定員の枠も小さいです。べつに1人の受験生が2段階の選抜をくぐりぬけないと合格しないという仕組みではないので、誤解なきよう。
なお、後期募集は、試験教科が3教科(国語、数学、英語)だけになることもあります。おそらく、日程の都合でしょう。
===== 面接 =====
:※ 具体的な質疑応答のノウハウは下記リンク
* [[高校受験ガイド/志望理由書および面接の対策]]
ほか
* [[高校受験面接]]
面接がある高校の場合、2020年代の現代では、中学生みずからが事前に書く自己評価シートの記入が必要な地域もあり、すでに広島県や群馬県で実施されています<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/local/saitama/news/20231016-OYTNT50313/ 『公立高全校で面接試験 県教委入試改正素案』、読売新聞オンライン、 2023/10/17 05:00 ] 2024年03月31日に確認.</ref>。どういう事かというと、21世紀では日本の中学生の活動内容が多様化してきて、もはや中学教師だけでは生徒を評価するのが労力的に困難になり、そこで生徒自身が申告するように方式が変わってきています<ref>[https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20231017/1000098264.html 『埼玉県教委 “全公立高で面接実施”新入試方法の素案を公表』、NHK首都圏NEWS WEB、10月17日 17時15分] 2024年03月31日に確認.</ref>。
このような中学教員の労働状況の改善という背景事情があるため、今後、面接および自己評価シートを実施する公立高校は増加していくと思われます(でないと、中学教師の負担が増えるので)。
なお、すでに広島県の公立高校で「自己表現入試」というのがありますが、これは単に面接の方式が、上記のような自己アピール方式に変わったものです。広島県の公立高校受験でも5教科の筆記試験はありますので、勘違いしないように。
===== 学校推薦入試の廃止 =====
少なくない県で、中学の学校長の推薦による推薦入試が廃止されています。
代わりに、それらの県では、新しく生徒自身の自己推薦の方式が導入されます。この新方式の自己推薦の方式を、いくつかの県では「'''特色選抜'''」と言います。また、基本的には特色選抜には学力試験があります<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASRDT735TRDSPTJB007.html 林利香 著『滋賀県立高校、26年度入学から入試変更 推薦も学力検査、日程集約』、朝日新聞、2023年12月26日 10時30分、] 2024年03月31日に確認.</ref>。
普通科だけでなく体育科などの専門学科も例外ではないです。普通科以外の学科では、実技試験もあるかもしれません。詳しくはそれぞれの県ごとに異なるので、お住まいの県の教育委員会のwebサイトなどで確認してください。
一般入試を残したまま特色選抜が加わるのか、それとも一般入試と特色選抜を一本化するのか、詳しくは教育委員会などのwebサイトで確認してください。
==== 受験可能な高校 ====
公立高校を受験する場合、原則として都道府県外からの受験はできません。ただし、保護者の転居など正当な理由がある場合は,所定の手続きをすることで都道府県外からの受験が認められます(各都道府県教育委員会のHPをよく確認しておきましょう)。公立高校に進学する場合は、それぞれの地区ごとに設けられた学区内の高校に進学することが原則です。ただし、東京都などのように学区が廃止された自治体もあります(全県一学区)。また、学区外の高校を受験する場合には、学区内よりも高い点をとれば入学できる制度が設けられている場合もあります。
また、県境にある一部の市町村では、県どうしが次に述べる協定を結んでいる場合があって、隣の県の近隣にある高校を受験可能な特例が認められている場合があり(隣接県協定)、たとえば埼玉県と千葉県との境目の付近にある一部の市町村では、千葉県・埼玉県の隣接県協定によって県を越境した受験が可能です(ただし県境の近隣に限ります)。なお、東京都は隣接県協定を結んでおらず、他県から東京の公立高校への受験は不可能です。
関東地方では、千葉県・茨城県・埼玉県・群馬県・栃木県で、隣接県協定により、県境付近では他県の公立高校の受験が可能です。
==== 公立高校の専願の規制とその志願取消の方法 ====
多くの地域の場合、公立高校の受験は専願(せんがん)です<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1057116215 Yahoo!知恵袋 『高校進学について。公立、私立とも合格した場合、必ず公立高校へ進学しなく』2011/3/8 0:41 ] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://oshiete.goo.ne.jp/qa/11532042.html 教えて!goo 『至急!!!!! 私は私立を併願で受け合格し公立も合格しました。 その場合私立に行くことはできないので』2020/03/16 09:57 ] 2024年03月31日に確認.</ref>。「専願」とは、「合格したら、必ずその高校に進学する」という約束をすることです。また、基本的に1校しか受験できません。(ただし地域によっては2校まで認められる場合もある。)
このため、もし私立高校に進学したい場合、公立高校の受験前の出願取消期間中に辞退の連絡を入れなければ行けません。学校の担任の先生に相談しましょう。定員割れをしている過疎地の公立高校などだと、未受験でも公立に合格してしまう可能性もありうるので、確実に取消をしましょう。
たとえば埼玉県は、下記のように志願の取消の制度を定めています<ref>[https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/r5nyuushiqa.html 埼玉県教育委員会『令和5年度入試についてのQ&A(令和4年11月24日掲載)』掲載日:2022年12月15日] 2024年03月31日に確認.</ref>。(なお、千葉県にも同様の志願取消(しがんとりけし)の制度があります<ref>[https://www.ice.or.jp/nyushi_h31/FAQ_H31_03.htm#q310 千葉県総合教育センター学力調査部 ]リンク切れ</ref>。)
埼玉県教育委員会
<blockquote>
公立高校の志願を取り消す場合、ただちに中学校に連絡し、中学校長を経由して「志願取消届(様式10)」を速やかに志願先高等学校長へ提出してください。特に、公立高等学校の入学許可候補者発表までの日数が少ない場合は、至急お願いします。なお、特に定めのあるものを除き、提出された書類はお返ししません。
</blockquote>
例外として、公立高校の合格発表後の取消が認められるのは、たとえば私立の受験日と合格発表日の期間が、公立高校の合格発表日をまたぐような場合といった(公立受験の時点では、まだ受験した私立合格が分からない場合)、正当な理由のある場合だけです<ref>ツイッター [https://twitter.com/tokyokojuken/status/1765025625205866768 東京高校受験主義] 2024年03月31日に確認.</ref>。大抵の地方では、その地域の私立高校の合格発表日と公立高校の受験日とに余裕をもうけているでしょうが、しかし他県の私立を受験する人もいるので、そういう例外が発生する場合もあります。
ともかく、公立高校の合格後の入学辞退はかなり厳しく自主規制されており、また'''社会的にも、正当な理由なき辞退への批判は大きい'''です。世の中には、お金が無くて公立にしか行けない人もいるので、正当な理由が無い辞退は、そういう人の教育機会を不当にうばう事として、世間ではきびしく批判されます。
このため、正当な理由のない限り、公立合格後は絶対に辞退しないのが安全です。
==== 地方公立高校の全国募集 ====
北海道や青森県<ref>[https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kyoiku/e-kaikaku/zenkokubosyu.html 高等学校教育改革推進室 著『県立高校における全国からの生徒募集について』更新日付:2023年1月16日] 2024年01月27日に確認.</ref>や香川県<ref>[https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkyoui/kokokyoiku/nyushi/chugaku-koko/zenkokubosyu.html 香川県教育委員会 著『せとうち留学(全国からの生徒募集)』公開日:2024年2月20日] 2024年03月31日に確認.</ref>など一部の地域の一部の高校は、生徒を全国から募集しており、県外から出願できます。しかし、たとえば熊本県のように「県外からの出願者については、入学を許可する数を募集人員の20%以内とする」のように制限のある場合もあります<ref>pdf [https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/185253_460190_misc.pdf 熊本県教育庁県立学校教育局高校教育課 著『熊本県立高校の7つの学科・コースは 全国から広く生徒を募集します!』2024年 ] 2024年03月31日に確認.</ref>。
東京や大阪などでは、高校受験の全国募集は行われていません。東北・北海道や九州・四国などの一部の県やその県内の一部の高校で、生徒の全国募集が行われています。
ただし、岡山県や高知県の全国募集のように、親代わりの身元引受人が必要な場合もあります<ref>pdf [https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/849568_8063263_misc.pdf 『全国募集を利用して 岡山県立高校の受検を考えている皆さんへ』] ※リンク切れ </ref><ref>[https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/311801/2020101900113.html 高知県『高知県立高等学校 生徒全国募集について』公開日 2023年12月22日] 2024年03月31日に確認.</ref>。保護者自身がその地域に住んでいる必要はありませんが、親族などが住んでいて身元引受人にするのが一般的です。
高校受験生本人が東京都や神奈川県などの大都市の中学出身の住民であっても、他県の全国募集している県立高校に出願することは可能です<ref>(動画)[https://www.youtube.com/watch?v=wvVozy3OejQ 日テレNEWS『【高校】町長が身元引き受け人!? 全国から公立校に生徒呼び"少子化対策" 宮城 NNNセレクション』2023/04/18] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>(動画)[https://www.youtube.com/watch?v=KCTGoOSy1xo 【公式】南海放送NEWS(チャン4)『母校がなくなる? 県立高校の未来は…<NEWS CH.4>』 2022/10/20 ] 2024年03月31日に確認.</ref>。寮などの費用は有料になってしまいます<ref>(動画)[https://www.youtube.com/watch?v=wvVozy3OejQ 日テレNEWS『【高校】町長が身元引き受け人!? 全国から公立校に生徒呼び"少子化対策" 宮城 NNNセレクション』2023/04/18] 2024年03月31日に確認.</ref>。
=== 私立高校を受験する場合 ===
==== 試験科目や範囲など ====
私立高校の入試科目は、学校によって違いますが、多くの高校では2パターンのうちのどちらかの試験科目です。
* パターン1:入試科目は3教科(国数英)、面接(学校による)
* パターン2:入試科目は5教科(国数英理社)、面接(学校による)
私立高校受験での面接の有無は、高校ごとに違います。面接をする私立高校もありますし、面接をしない私立高校もあります。
一部の私立高校の入試問題では、中学教科書で習わない範囲から出題される可能性があるので注意が必要です<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55</ref>。入試の過去問で教科書の範囲外の問題が出題されているかどうかを確認しておきましょう<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55</ref>。なお、私立高校入試の成績評価の方法は、学校によって異なっていますので、志望校の入試要項を確認しておきましょう。
==== 単願・併願・推薦など ====
なお、私立高校入試については、次の4つの用語を目にする機会があると思いますので、ここで解説しておきます。
#「単願(専願)」:受験する私立高校に合格した場合、'''必ずその高校に進学すること'''を約束して願書を提出すること。次の併願の受験生に比べて、単願すると加算点や合格最低点の引き下げなど優遇措置が取られていることが多い。「単願受験」といって単願者だけの入試の機会を追加で設けている高校もある。
#「併願」:願書を提出する私立高校以外の公立高校や他の私立高校も受験するという場合は併願の方で願書を提出します。
#「回し合格」:例えば、選抜特進・特進・総合の3コースがある私立高校を受験したと仮定しましょう。願書では選抜特進コースを第一志望とし、他のコースをそれぞれ第二・第三志望として出願したが、入試の点数は選抜特進の合格点に足らなくても特進コースの合格点に達している場合は、特進コースで合格と判定される制度のことです。複数の学科・コースが設けられている私立高校では回し合格制度が用意されていることが多いです。
#「推薦」:指定された内申以上の生徒を中学が高校に推薦すること。単願でも併願でも存在する。県によってはほとんど存在しないケースがある(埼玉県等)。推薦入試の詳細は下段参照。
もし、単願(専願)や併願の約束を守らないと、信用が無くなります。単願などの約束は守りましょう。
なお、単願は本来、その高校しか受験できません。ですが、単願は受験日の開始が併願よりも1か月ほど早い場合が多く、そのため、もし最初の単願で落ちても、後日の併願で他の高校を受験できるのが実態です。単願シーズン後にも出願の願書を受け付けている高校が多いのが普通です。
例外的に、受験日の遅い単願や、受験日の早い併願とでシーズンが重なる場合があるかもしれません。もし何らかの理由で、単願しているのに他の高校も併願で受験している場合、単願以外の他高校は原則「すべり止め」にしなければなりません(もし単願以外の他高校に合格しても進学してはいけない)。
基本的には、第一志望の高校が私立の場合なら、第一志望を単願にしておけば、特に問題は無いでしょう。単願受験日シーズンと併願受験日シーズンは時期が違う場合が多いので、単願している第一志望校に落ちても、あとで併願で他校を受験できます。(第一志望校を併願で受験できる場合もあります。)
また、得に単願は、高校側から確認のため中学側の担任などに連絡が行く場合もあります。そもそも中学教師が調査書を書かないといけないので、むやみな単願の乱発などは避けたほうが良いでしょう。
;推薦について
なお、推薦入試にも、「単願推薦」と「併願推薦」といった区分もあります。意味は文字通り、「単願推薦」なら単願での学校推薦、「併願推薦」なら併願での学校推薦、という意味です。ネット上には「単願すると他の高校を受験できない」みたいなデマもありますが、おそらく単願推薦による確約と混同しているデマかと思われます。推薦でない単願入試の場合、合格の保証はないので、すべり止めとして他校を併願で出願するのが慣習的です。
また、難関校の私立高校だと、学校推薦の推薦入試を受けられても不合格の場合があります<ref>[https://katekyo-peacenet.com/column/00196.html#toc_index-3 『【高校受験】推薦入試に落ちてしまう人の特徴とは?落ちる原因を元に対策を徹底解説 | オンライン家庭教師ピース ] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります<ref>[https://jyukumado.jp/column/50 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。学校推薦だからといって志望校に合格前提にしないよう、受験勉強はしましょう。
==== 単願すべき時期と併願すべき時期 ====
高校受験は、受験シーズンが1月、2月、3月と分かれており、普通、1月の受験シーズンは単願で出します。
そして、すべり止めとして、2月の受験シーズンに併願で受験します。(もし2月になっても単願で出してしまうと、同シーズンの他校を受験できなくなってしまい、すべり止めとして2月が機能しなくなってしまう。)
原理的には単願を1月から2月まで2回続けるのも可能ですが、2月になっても他校を受験できないので、とても高リスクです。単願受験は1月中か、遅くとも2月初めあたりに終わらせるのが安全です。
私立高校受験の場合、よほどの人気校でない限り、2回か3回くらい、受験シーズンがあります。(人気校は推薦以外の受験は1回だけ、と言う場合もありうるかもしれない。※ 未確認)
なので、同じ高校を、1回目は単願で受験、2回目は併願で受験、といった使い分けもできます。
ただし、2回目以降の受験は、すでに1回目の受験で席の埋まった、残りの枠を奪い合うので、競争はきびしくなります。
1月の入試で単願の志望校を不合格になった場合、不合格後には別の高校を受験できます。
原理的には、併願高校のうち試験日が最後の高校を単願で出す、という曲芸(きょくげい)も可能ですが、しかし合格しても手続きミスすると大トラブルの原因になりかねませんので、避けるのが安全です。学校説明会などでの十分な下見が出来なかったり、なのに単願として強い意志を示すのは、仮に合格できたとしても入学後のミスマッチなどの原因にもなりかねず、複数校への単願は、原理的には可能でも実用化は難しいと思ったほうが良いでしょう。
単願を時期を変えて3つも4つも出すのは、仮に生徒のスケジュール的には可能だとしても(とても難しいとは思いますが)、そもそも中学側の教師の調査書を書くスケジュールの問題があるし、また、高リスクなので避けたほうが良いでしょう。
基本的には、第一志望校、第二志望校、第三志望校、といった志望順位どおりに、合格した高校のうち上位の高校に進学するのが安全です。
なお、もし面接などで、志望校の順位を聞かれたり、そういう用紙を書かされたりする場合、決してウソをつかずに、素直に志望校の順位を書きましょう。
なので、中学の担任が三者面談などの志望校を決める指導で、むやみに偏差値を高い高校を志望にしないように指導し、地元の受かりそうな高校を志望しろというのは、なるべく1月入試で志望校に合格しやすくするために意味のある事です。
ほか、一説には「地元枠」という加点があるというウワサ話もありますが、しかしウワサの域を出ません。もっとも、特別な事情がないのに、わざわざ遠くの私立高校を受験しても、面接などで志望をアピールしづらいので、なるべく地元の近くで、行きたい高校を探すのが無難でしょう。
北海道に住んでる中学生でも原理的には沖縄の私立高校を受験できますが、保護者が沖縄に転勤するのでもなかいぎり、面接でのアピールは難しいよね、って意味です。交通費などで家計も圧迫するし。
デマとして「内申点が低いと難関校の単願をできない」というデマもありますが、デマです。おそらく、単願推薦と混同しているデマでしょう。単願推薦はもらえませんが、単願入試の受験は一般的に内申点に関係なく可能です。
=== 国立高校・高専を受験する場合 ===
==== 国立高校 ====
日本の<ruby>国立<rt>こくりつ</rt></ruby>高校は国立大学附属高校です。問題は自校で作成するのが一般的で、教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)です。
;学区のようなものがある場合も
高校にもよりますが、国立(こくりつ)高校にも学区のような「通学可能地域」が指定されている場合があります。その「通学可能地域」に住んでいるか、地域内に引っ越す予定が無いと、その国立高校を受験できないという制度です。
たとえば筑波大学附属駒場中・高等学校の場合、首都圏の定められた区市町村に在住していないと受験できません。なお、通学時間(90分以内。シミュレーションソフトで確認)が受験許可の基準になっているので、東京都内の市町村ですら、東村山市が受験可能な地域である一方で武蔵村山市が受験不可能な地域になったりします<ref>[https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/news/admission-area/ 『2024(令和6)年度より、通学区域を変更します | 筑波大学附属駒場中・高等学校【公式】』2023年7月20日 更新] 2024年03月31日に確認.</ref>。
世間には、国立大学の日本全国からの受験と混同して、「国立高校には学区が無い」と誤解している人も多いです。地域格差の解消だとか、そういう目的は、国立高校には全くありません。むしろ地域格差を助長する構造になっています。制度的に、機会が与えられている層は、国立大付属高校の近くの通学可能地域内の地価の高い場所に住める裕福な家庭かそこに引っ越しできる裕福な家庭だけ、鉄道のJRの路線沿いの町だけ(高校の最寄り駅がJR沿いなので)、です。
==== 高等専門学校 ====
===== 高専とは =====
高等専門学校(高専)は専門の高等教育をほどこすことを目的としており'''5年制'''となっています。卒業すると短大相当(準学士)の学歴になります。なお、国立の短大はがありません(あるのは県立短大などの公立短大)。
高専は大半が工業系のため(4校だけ商業系)、3年生くらいまでは理科系の高校に近い内容をあつかい、4年生ぐらいから大学で習うような内容の初歩も教わります。そして、卒業すると準学士の称号を得て、短大卒と同じ扱いとなります。成績優秀かつ希望すれば、卒業後に提携する大学に3年生として入ることも可能です。あるいは[[w:専攻科#短期大学・高等専門学校|専攻科]]に進むことで事実上の大卒扱い(学士の称号を得る)となります。
ただし、埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県には、高専がありません。このように地元に高専のない地域の場合、他県の高専を受験することになります。
なお、少数ですが、公立と私立の高専もあります。
福島・富山・広島・宇部の4地域にだけ文系(商業・経営系)の高専があります<ref>YouTube動画 [https://www.youtube.com/watch?v=7_NrNULWoI4 山内太地 著『知られざる文系高専4校の進学・就職事情』,2024年02月06日 ] 2024年02月06日に確認.</ref>。
国立高専の学費は公立高校と同程度であり(公立高校の学費の変動は置いとく)、2023年では年間およそ23万円です<ref>[https://gentosha-go.com/articles/-/49035 渥美功介 著『学費は5年間で126万円!知られざる「高専」の世界…“学費以外にかかるお金”の落とし穴【高専出身FPが解説】』2023.2.8] 2024年02月06日に確認. </ref>。
国立大学の学費は学部に関わらず年間60万円なので、理工系大学に進学したい場合は学費だけを見れば30万円×2年分(高専4~5年生は大学1~2年生に相当)ほど得です。
;高等専「修」学校とは別
さて、名前の似ている「高等専'''修'''(せんしゅう)学校」とは高等専門学校は別物です。「高等専修学校」とは、中学を卒業したばかりでも入学できる専門学校のことであり、普通、日本の一般の高校や大学に準じた授業はしていません。
(なぜなら、もし高校に準じた授業をするなら、普通に高等学校の専門学科(工業高校や商業高校や美術高校、音楽高校など)として自治体に申請すればいいので。)
「高等専'''門'''学校」はいわゆる「一条校」という種類の学校であるので、普通の小中高大学に準じた学校であり、よって大学進学資格なども普通に得られます。
しかし、「高等専'''修'''学校」は非・一条校です(つまり一条校ではない)。
大学進学をする場合、一条校を出ないと、大学受験資格などを得るのが難しくなりますので、高等専門学校と高等専修学校とを決して間違えないでください。
以下、本ページで「高専」と言ったら、一条校の「高等専門学校」の略称のことだとします。
===== 入試 =====
高等専門学校(高専)の入試は、こちらも教科は公立高校と同じく5教科(国数英理社)ですが、問題は独立行政法人国立高等専門学校機構が作成しており、全国共通問題で、マークシート式となっています。
公立高専の入試問題は国立高専と同じ問題で行われることもありますが、自校作成の場合もあります(試験科目が5教科でない場合もあります)。過去問を購入する場合に良く確認しましょう。私立の高専はすべて自校作成問題です。
高専の入試は公立高校入試よりも早い2月中旬に行われるため、公立高校との併願は可能です。しかし、高専に合格した場合には事実上、公立高校の受検はできないようになっています(公立高校入試日に合格者説明会を開くなどするため。公立高専の場合は高専合格と同時に公立高校受検資格を失う場合もあります。)
高専のほとんどは工業系の学校で、入試も理科・数学が重視されています。特に数学は配点が2倍となっている場合があります。そのため、数学は塾や家庭教師のサポートをつけて学校よりも早めに進めた方が良いでしょう。
===== 大学進学 =====
高専は5年生であるため、大学進学したい場合は編入試験を受けることになります。
このため、競争相手の多い大学一般入試を受けなくて済みます。
大学への編入試験の注意事項ですが、大学の理系の学部への編入の場合、高専時代の出身学科が理系の学科であることに限定されることが、募集要項などに定められているでしょう。つまり、(工業ではなく)商業系など文系の高専からは、理学部・工学部は一般に編入を受け付けない事になります。これは別に高専卒に限ったことではなく、短大卒や場合によっては大卒などの編入学でも同様です(もっとも国立の工業短大は日本には存在しませんが)。
(国から税金で補助を受けていて学費の安い)国立大学に進学する人も多いですが、べつに高専卒業組は大学入試新共通試験(旧センター試験に相当)で高得点を取っているわけではありません。2010年代ですが日経新聞でもそう報道されています。
編入試験の内容は一般に、大学1~2年の数学・英語・物理なので(国公立大への編入試験でもそうです)、一般に高専卒業者の編入試験では地歴公民などを受ける必要はありません。
高専は短大なのですが、そもそも理系の短大が日本にほとんどありません。なお、国立の短大はありません。県立など公立の短大は、日本で合計14校ていど、北海道や山形県などの地方に存在しますが、学科が限られており、工学系の国立短大が見当たりません<ref>[https://shingakunet.com/searchList/ksl_daitan/tandai/ksm_13/ 『国公立短大一覧(14校)【スタディサプリ 進路】』] 2024年02月06日に確認. </ref>。
このため、まるで高専の4~5年生の課程が事実上の唯一の、理工系学科の国立短大に相当の進路になっているようなのが現状です。
この事はつまり、高専のない埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県にはつまり国立理工系に相当する短大もまた存在しないことになるので、日本政府による埼玉県などに対する差別構造です。
* 高専や短大からの大学編入と単位認定の問題
なお高専や私立の工業短大から大学編入した場合、仮に大学3年次に編入したとしても、その大学としての単位数の認定などの関係で、卒業するために3年以上を要する場合もあります。特に学科が変わった場合(たとえば高専の土木工学科 → 大学の機械工学科)、大学の学科に対応する科目の無い高専科目は単位認定されないでしょう。
単位数自体は60数単位を限度として認定されますが、しかし必修科目などが認定されない場合もあり(高専の内容が、その大学の教育内容と対応していない等)、そのため場合によっては、3年次編入ではなく2年次編入になる場合もありえます。
どんなに勉強熱心でも、理系の大学では、大学の学科(たとえば機械工学科)の各学年の必修科目の時間が重なっていたりすることが多く、そのため、卒業に要する最低年数をくつがえません。
なお、高専ではなく「高等学校」を卒業した人間は、どんなに大学範囲の予習をして身につけていても、まずどこかの大学の理系学部に入学して2年次修了までいかないかぎり他大の理系学部の編入試験を受けることができません。
なので編入試験は、実力主義ではなく事実上の半・経歴主義です。日本の大学入試は比較的に高等学校を差別して高専出身者を優遇しているという差別的構造があります。もっとも、上述のように神奈川県・埼玉県などには高専が無いため、事実上高専は、国立大学入試の編入試験をもちいた地方枠のような意味合いを持ってしまっています。まあ、東京に言い訳ていどに高専がありますが。
埼玉県・神奈川県・山梨県・滋賀県・佐賀県に高専がありません。埼玉と神奈川は首都圏ですが、山梨・滋賀・佐賀は地方なのに高専がないので国立大学の編入試験において不利な県であり、たまったものではありません。
いっぽう、(高専ではなく)工業高校の出身者は、習った内容がどんなに大学進学後の工業系の学科の教育内容と重複してしていても、何ひとつとして大学の単位としては認められません。そのため、学科によっては機械工学科や土木工学科などで、ほぼ高校時代と共通する授業内容を習うのに(若干、新しい式も習いますが)、また2年間を使うことになります。
裏を返すと、高専の授業内容のかなり多い部分は工業高校と一致しているのが現状なのに、高専は大学編入後に単位として認められ(ただし全部の科目が認められるかは知りません)、いっぽうで工業高校は大学の単位として認められないという、深刻な肩書き主義による差別構造があり、それに日本政府が加担しています。
どんなに偏差値が高い工業高校(たとえば国立の東京工業大学付属工業高校)からの大学編入でも、日本では制度的に大学の単位として認められません。
いっぽう、どんなに偏差値が低い地方の高専でも、大学に編入できてしまえば、学科が同じなら、大学の単位として認められます。
特に(実験ではなく)実習の授業内容は、大学にも寄りますが、工業高校と高専と工業大学はほぼ同じです。ほぼ同じですが、大学だとレポート提出までの時間が短かったり他の座学の時間と重なったりするので、大学だけヤタラと忙しいです。「忙しそう → 勉強してそう」という、かなり深刻に頭わるそうな評価基準をよりによって政府がしています。
日本の大学の教育および評価基準や評価方法は、普通科高校の卒業生を基準としています。
昭和のまだ大卒が珍しかった時代やまだ大学にしかなかったような高額なコンピュータなどが珍しかった時代は、まだ問題点が露呈されず、工業高校から工業大学に進学することも意義があったかもしれませんが、しかし現代は単に大企業の就活フィルターを潜り抜ける以外の価値が見出しづらいのが現状です。
もし「普通科高校と比べて高専は実習が多いから優遇しても良い」とか理由づけをするなら、工業高校出身者が編入試験を受けられないと辻褄(ツジツマ)が合いません。また、一般に日本の理系の大学では工業高校などと比べて実習が少なく、実習重視を理由とする主張は辻褄が合いません。普通科高校の卒業生が気軽に工業高校に編入学できるようになってないと辻褄があいませんし、普通科高校と工業高校の2つの高校をダブルスクールなどして5年程度で卒業できる仕組みがないと辻褄が合いませんし、その普通科と工業系学科の2つの高校を卒業した人材を高専卒業者と同等にあつかわないと辻褄があいません。
あるいは、高専の校内の定期試験レベルの問題で、国公立を含む大学入試に入学できないと辻褄が合いません。
このように、日本政府の教育政策は矛盾だらけです。あいにく日本の政治家にそこまで考える知力は無いようであり、このような矛盾が解決されずに放置されています。
だから素直に「高専優遇」と認めれば済むのですが、しかし日本にそういう事を言える政治家は言ません。まあ、高専の立地の地方民・地方出身者どうしで勝手にすれば良いのではないでしょうか。
言い訳としてもし「高専の教育が優れているから」などと主張するなら、ではその「優れた教育」とやらを神奈川県や埼玉県などは地元で受けられないのは差別であるので、どうあがいても日本の政治家および官僚は差別構造を放置している事になり、日本政府は言い逃れが出来ません。
さて、日本では、口先では「製造業の職人の育成が重要だ」とか言いながら、自分や自分の子供などは製造業につけたくないという差別主義者の偽善者がわらわらいます。
中央大学の理工学部の教授(電子情報系)の竹内健はこのような風潮を批判し、自身の大学教授として体験談として、文部科学省の官僚からの相談で「もっと理系の人材を増やしたいのだが、どうすればいいいのかアイデアが欲しい。アイデアを出してくれないか」といった感じで竹内に相談をもちかけたところ、竹内は「簡単なことですよ。あなたが理系や製造業を目指さずに官僚を目指すにいたった理由を、ひとつずつ潰せばいいんですよ」といった感じの内容で皮肉交じりに返しました。官僚は、気まずそうな顔になってしまいましたとさ。
理系の労力に対する低待遇みたいなのを解決する気がないくせに、政治家あたりの命令で「理系重視」とか言い出す公共機関などの宣伝を真に受けて、自分を棚に上げて「理系重視すべき」とか言い出す、もはや自分の言ってる内容をなにも理解できてない頭のわるい偽善者の有権者はたくさんいます。
そういう偽善者たちにとって、どうやら高専は玉虫色で都合が良いようです。ロールシャッハ検査のように、都合の良い妄想を、高校でも大学でもない高専に抱くのでしょう。高専を崇拝するくせに全く機械工学も電気工学も勉強しない偽善者、物理や化学の知識も乏しい偽善者がSNSなどにもよく生息しています。
YouTube を見てたら、次のような番組を発見しました。[https://www.youtube.com/watch?v=3T3ENlK8t-Y 『ビジネススキルが磨ける『最強大学』はどこなのか?東大、早慶、青学の教授陣が徹底討論します! 』、12:20 あたり、 2023/09/27 ] 早稲田大の教授が言うには、高専で奨学金をもらう人は、働きながら高専に通ってるから立派だとさ。
工業高校や商業高校の学生はバイトで働きながら高校に通っても編入学試験の資格自体をもらえないんですけどねえ。まあ、言い訳ていどに推薦入試はあるけれど。
== 一般入試と推薦入試の違い ==
=== 基本 ===
入試には、一般入試と推薦入試があります。一般入試では学力試験を受けてその点数と内申点との総合点で合否を決めます。推薦入試は内申書と面接、加えて学校によっては作文で合否を決めるものです。2つの大きな違いは学力試験の有無と面接のウェイトです。推薦入試では学力試験がない学校が多数ですが、一部では学力試験も課されるケースがあります。一般入試にも面接はありますが、一般入試では本人確認の意味合いが強く、よほどのことがない限り選考材料にはならないのにたいして、推薦入試では面接は選考材料の一つとして重視されます。
なお、公立高校については、2010年以降の現代、学校推薦の入試を行わない自治体も多くあります。90年代の一時期、公立高校で学校推薦をためしに行った事もありますが、それは昔の話であり、2020年以降の現代の公立高校とは違います。ただし、公立の学校推薦はない地方自治体でも、内申点や部活での好成績は、公立入試の面接点などでの加点の対象になるので、定期試験も部活も頑張ったほうが得です。
なので、基本的に学校推薦は、私立志望の場合の受験システムです。
=== 色々な推薦入試 ===
==== 基本 ====
一般入試はすでに説明していますので、ここでは特に推薦入試について解説します。推薦入試には単願推薦(専願推薦ともいいます)と併願推薦があります。
推薦にも、「一般推薦」と「特別推薦」と「自己推薦」というのがあります。特別推薦は、部活などで公式の大会(都道府県レベルや全国レベルなど)などで好成績を取った人が取れる推薦です。一般推薦は、内申点が良い人が取れる推薦です。
公立高校にも、スポーツ推薦などはあります。たとえば東京都は、都立高校のスポーツ推薦の基準を定めています<ref>[https://katekyo-peacenet.com/column/00194.html 『【高校受験】スポーツ推薦の基礎知識!流れやメリット・デメリットを徹底解説 | オンライン家庭教師ピース』]2024年03月31日に確認.</ref>。
一般推薦と特別推薦は、中学校長からの推薦が必要です。なので、一般推薦と特別推薦をまとめて「学校推薦」とも言います。
一般に、一般推薦の条件は学校の教科の成績です(ただし、授業態度などで成績は加点される)。
ただし、高校によっては、英検3級以上や漢検3級以上、TOEICの高得点などが高校独自の内申評価に加点される場合があります<ref>[https://janiasu.com/info-high/shikumi-pr.html 【2024年度用最新版】私立高校入試のしくみを徹底解説!] 2023年12月02日に確認. </ref>。または、部活の公式大会(都道府県以上)などでの好成績や、委員会活動などの熱心さで、高校独自の評価基準に加点される場合もあります。高校によっては自己推薦入試を行わない代わりに、一般推薦で資格試験や部活成果などによる加点を行っている場合もあります。
とはいえ、基本的には一般推薦の要件は、学校の教科の成績による内申点です。
なお、文化部での特別推薦の場合、実技が試験会場で要求される場合があります。たとえば吹奏楽部なら、実際に楽器を演奏したり、美術部なら鉛筆デッサンなど、でしょうか。持ち運べるサイズのものなら、持っていきましょう。
==== スポーツ推薦 ====
スポーツ推薦では、基本的に次の条件があります<ref>[https://katekyo-peacenet.com/column/00194.html 『【高校受験】スポーツ推薦の基礎知識!流れやメリット・デメリットを徹底解説 | オンライン家庭教師ピース』]</ref><ref>[https://www.dream-coaching.com/magazine/lesson/lesson-article192/ 『スポーツ推薦を受けるにはいつごろどんな手続きや対策が必要?スポーツ推薦を受け付けている東京の高校もご紹介』 2024年1月30日]</ref>。
* 部活動またはクラブチームに関する推薦であること。その部活・クラブチームに原則、中学の3年間、入り続けていること。
* 高校入学後も、同じ部活をつづけること<ref>[https://www.juku.st/info/entry/670 塾講師ステーション 著『スポーツ推薦のあれこれ【高校受験編】』2021/12/17]2024年03月31日に確認.</ref>。
ほか、高校によって、競技の種類が指定される場合もあります(たとえば「バレーボール部 5名」とか)。公立高校でもそうです。
「強化指定部」などといって、特定の部活だけ募集しています。その強化指定部に高校進学後に入る意思がないと、スポーツ推薦を受けられない場合があります。
公立はどうか知りませんが、私立の強豪校などでは、県大会ベスト8以上とか、順位が指定されることもありまうs。
ほか、「通知表で1が無い」とか追加の要件が指定される場合もあります<ref>[https://foot-luck.jp/bible/highschoolsoccer_recommend_basic/ 『【高校サッカー】スポーツ推薦、出願のために必要な事前準備・基本知識』2023.06.28 ]</ref>。
=== 単願推薦と併願推薦 ===
==== 単願推薦 ====
合格すれば必ずその高校に行くことを約束した上で推薦入試をうけるのが単願推薦です。単願推薦は私立高校のみで行われています。単願推薦は少し内申点が低くても推薦を受けられ、入試も面接のみということが多く、合格率が非常に高い(ほぼ100%)のが特徴です。その代わり'''合格した高校に必ず入学しなければなりません'''。仮にあなたが単願推薦で合格が決まっていたのに公立高校を受験し、この公立高校に行った場合にはもう、その私立高校はあなたの母校からの単願推薦を受け付けることはないでしょう。高校と中学校との信頼関係が壊れてしまったからです。(そもそも、単願推薦が決まった場合には学校の先生が他の高校の願書を用意しないでしょう)
見てきたように、単願推薦には、「合格がほぼ確実で、入試も面接のみ」というメリットと、「合格したら進路変更が出来ない」というデメリットがあります。「楽だから」という安易な理由で単願推薦を受けるのは避けましょう。
==== 併願推薦 ====
併願推薦は、推薦・一般を問わず、複数の高校を受験できます。これは全公立高校とほとんどの私立高校で実施されています。単願推薦との違いは、「いくつも受験できるが、合格は確実ではない」というのが最も大きい点です。特に公立高校の併願推薦は募集人員が少ないこともあって、倍率が非常に高く、低くても5倍(5人に1人しか受からない)、場合によっては10倍以上になることもあります。ですから、公立高校の併願推薦は「合格したらラッキー」ぐらいのつもりで受けましょう。
また、併願推薦では内申書と面接で合否を決めることが多いのですが、いわゆる進学校や人気校では作文の試験を行うこともあります。特に作文を課す学校は作文と内申で合否が決まる可能性が高いです。普段の成績も大切ですが、作文対策はしっかり行っておきましょう。しかし推薦入試でも、簡易な学力試験をしている場合もあります。学校推薦だからといって学力試験が無い前提で中学3年をすごさないよう、注意が必要です。
また、高校によっては、併願推薦を受け付けてない高校もあります。第一志望の単願の人のみ推薦してほしい、という高校も多いわけです。
=== 自己推薦入試 ===
「自己推薦入試」と言うのがあり、高校によって、中学校長からの推薦は不要な場合と、中学からの推薦が必要な場合があります。
「推薦」という用語から、てっきり倍率が低いかと想像しがちですが、そうではありません。私立の自己推薦の場合、英検とかで中学なのに英検2級を持ってるとか、そういう人が自己アピールする仕組みの入試が自己推薦入試です。
あるいは、英検3級だけど、部活も地区予選で1回は勝てた、みたいに、スポーツ推薦の特別推薦をもらえるほどではないけど、かといって怠惰でもない、という人が私立の自己推薦では自己アピールしたりもできます。あるいは、帰国子女とかの自己アピールの入試です(英語以外の成績が悪ければ、内申点の必要な学校推薦は取れないので)。
私立高校での自己推薦入試は、学力試験が課される場合もあります。普通に受験勉強もしておきましょう。
なお、自己推薦入試は審査にも時間が掛かるので、基本的には実施の時期が早いです。なんとなく学力試験が無いかと誤解されがちですが、しかし自己推薦は受験者が多いのこともあってか無試験とは限らないので、注意が必要です。
== 出願時の注意 ==
=== ネット出願の必要な高校 ===
2020年以降の現代、多くの私立高校と(都道府県立ではなく)国立高校では、出願としてweb出願しか認めていない場合があります。出願の際、証明写真のような顔写真も登録しますので、事前に用意してください。
また、受験票も自分で印刷する必要がある場合がほとんどです(郵送してこない)。
:※ 出願については『[[高校受験ガイド/私立志望の最低限の注意事項]』で説明してあると思います。
=== 出願の志望理由書 ===
高校への出願の際、先生の書く調査書とは別に、生徒が自分で「志願理由書」を書きます。
※ 書き方のノウハウ的なことは下記リンク
* [[高校受験ガイド/志望理由書および面接の対策]]
志望校の受験に面接がある場合、この志望理由書をもとに面接官から質問されることもあるので、質問されたら答えやすい内容を書きましょう<ref>[https://www.meikogijuku.jp/meiko-plus/junior-high-school/20210330.html 『高校の志望理由書の書き方は?印象に残る志望理由の考え方 | 明光プラス』]2024年03月31日に確認.</ref>。
志望理由書は文字数が限られているので、その文字数の範囲内で説明する必要があります。
== 私立志望の注意事項 ==
リンク
* [[高校受験ガイド/私立志望の最低限の注意事項]]
== 高校は転校できないのが普通 ==
高校の転校は、親の仕事の転勤などによる引越しなどの正当な理由がないかぎり、転校できないのが普通です。
なので、高校受験では志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。
例え転校理由が正当な理由でも、「この高校に転校したい。」というような転校先の細かい指定は普通は出来ません。
私立高校などへの転入・編入では、編入試験(へんにゅう しけん)などに合格しないと、編入学が出来ない場合もあります。また編入の定員も、中退者などの欠員を補充するための数名程度ととても少ないです。私立学校によっては、そもそも編入者を一般からは募集しない場合もあります。年度によっては欠員が無い場合や、例えば欠員があっても一般からの編入者を募集していない場合もあります。
一般の入学試験とは違い、高校の編入試験では試験で高得点を取ったからといって必ずしも編入を認めるとは限りません。「転校の理由が正当な理由で無い」と受験先の高校側が思えば、編入を認めない場合もありえます。
学科の異なる学校への転校は(例えば 普通科→工業高校 などは)困難です。
例え他の学科への転学科が認められたとしても、単位数の関係で、卒業するのに年月が1年ほど多くかかることになります。転校というより、事実上の再入学でしょう。
ともかく高校受験では、志望校についてはきちんと調べて選ぶ必要があります。
また、このため、志望先の学校説明会などに、受験前に事前に積極的に参加しましょう。公立高校も私立高校も、学校説明会を開いています。第一志望 ~ 第三志望くらいはwebサイトなどで日程を確認し、説明会に親子で(または保護者・生徒の同伴で)、行ってみるのも良いでしょう。
== 学校説明会 ==
とりあえず基礎知識として・・・
;ネット地図は信用しない
ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。
なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。
遠いなら、書店などで地図を買うとかしましょう。地元の書店やコンビニなどで、きちんと地図を買いましょう。
=== 基本 ===
;参加資格の例
高校の学校説明会に参加できるのは、たいてい、基本的に中学生と、同伴で保護者1名のみです。つまり、高校受験する予定をもつ家庭だけ、参加できます。
なので、他の目的では、学校説明会には参加できません。説明内容も、後述するように高校受験に関する話題が主です。
:※ 中学教員なども高校の学校説明会に参加できる場合もありますが(なぜなら中学の新任教師とかは、生徒の進学先の高校を知らないといけないので)、しかしこれは受験生および家族には関係のない話題です。
※ 地方の生徒や男子には分かりづらいかもしれませんが、都心の女子高とかだと、防犯にも高校側が気を使わないといけません。このため、実際に子の中3女子がいないと、女子高の説明会には参加できない場合があります。
また、このような防犯上の理由などから、中3学生は制服着用をした上で、中学側の身分証明書などを所持・提示した上でないと入場できない場合があります。
;説明内容の傾向
説明内容は、基本的には、その高校への受験に関係する情報や、入学後に覚悟しなければならない事(たとえば「うちの高校には、こういう校則がありますので、嫌なら他校に進学してください」的な)、そのほか、受験生への多少のアピールなど、です。
;注意事項
近年の高校の学校説明会は、公立とも私立とも、事前にネット上での予約や、メールなどでの予約が必須です。(なお、ネット普及前の時代でも、申し込み書などによる事前の説明会の申し込みが必要でした。)
なので、もしインターネット環境など不足していれば、事前にそろえましょう(もっとも、すでに小中学で学校からの連絡などのためにネット環境を使っていると思うので、その環境のパソコンで十分でしょう)。
なお、学校説明会に参加したからといって、特に高校入試での加点などは無いはずです(少なくとも国公立はそうです)。
受験校のことが分かっていても、念のため、少なくとも第3志望くらいまでは説明会に参加しましょう。公立高校の場合、説明会に参加したからと言って一般入試で加点とかないと思いますが、しかし高校進学後のミスマッチを減らすなどの意味でも高校説明会には参加すべきです。
受験勉強の時間が1日ぶん減ってしまうリスクはありますが、しかし説明会に参加したほうが安全です。
;文化祭の見学では駄目なのか?
駄目なのです。
:理由1 高校によっては、そもそも文化祭がチケット制での限定公開だけの場合もあります。限定公開の場合、その高校の生徒の友人1名または家族数名しか高校に入場できないような場合もあります。このような限定公開の高校の場合、受験生は文化祭を見学できない可能性が高いです。(たまたま兄や姉がその高校の生徒でない限り、チケット入手できない場合もある。)
:理由2 そもそも文化祭では、高校教員による説明が聞けません。
なので、基本的には学校説明会でその高校の情報収集をするのが、まずは優先事項です。
=== 道順 ===
また、受験本番での道順など、意外と迷いがちです。特に中学での学区外の高校を受験する場合、なれない土地なので、道に迷いやすくなります。
まあ、説明会に参加せずとも、道順を確認すれば済む話ではありますが。
ともかく、受験勉強以外にも、道順の確認とか、学問以外にも調べなければならない事が多くあります。第三志望くらいまでは受験前に道順を覚えておきましょう。
また、前提として、よほどの名門の高校でもない限り(たとえば有名大学の付属高校とかでもない限り)、道順を覚えるために何度も中学のうちに学校前まで行ける近隣の高校を志望校にするのが安全でしょう。
なので、道になれる意味も込めて、学校説明会には参加するのが安全です。なお、説明会は、1校あたり1度でも参加すれば充分です。別に何回も説明会に参加したからといって、入試で加点されたりとかの話は聞きません。
;交通手段
私立の説明会への登校のための交通手段について、近隣の人は、自転車での説明会の日の登校が認められる場合があります(ただし説明会が大規模でない場合にかぎります)。
ただし、それは私立高校の受験日の交通手段とは別です。一般的に、私立の受験日の受験生の登校は、バスなどの公共の交通手段になります。一般に、どの高校も、駐輪場はそんなに広くありません<ref>[https://www.hosen.ed.jp/question/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%80%9A%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校]</ref>。
また、一般的に文化祭のさいは、私立も公立も、その高校の生徒以外の自転車の登校も禁止されています。
よって、受験日の交通手段と、私立の説明会での交通手段とが、異なる場合があります。
なので対策として、受験前にかならず、受験日における交通手段を確認しておきましょう。
もし少し離れた高校を志望している場合、文化祭の見学は、受験日の交通手段を想定して、電車とバスで登校してみるのが良いでしょう。
なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。
=== ほか ===
1980年代ごろの「業者テスト追放運動」といった歴史があるので、偏差値など業者テストや模試が絡んでくるような話は、基本的には公立の高校説明会では聞けません。
なお、高校の説明会に参加するにあたり、特に中学への申請や報告などは不要です。
また、一般に、中学3年にならなくても説明会には参加が可能な場合もあります<ref>[https://benesse.jp/juken/201608/20160820-1.html ベネッセ教育情報『中1・2からの高校見学で、「行ける」ではなく、「行きたい」高校を見つける!』2016/08/20 ]2024年03月31日に確認.</ref>(高校にもよる)。常識的に考えて、さすがに小学生の中学年のうちに高校説明会とかは拒否される場合もあるでしょうが、しかし中学2年なら高校説明会は参加が可能な場合も多いでしょう。ただし、説明会の人気が多い場合などは、もしかしたら3年生が優先される場合もあります。
1年や2年で説明会に参加した場合、第1~2志望校に関しては、3年生でもう一度説明会に参加するのが安全でしょう。1年間のあいだに、高校の制度とか微妙に変わっている場合があります。
説明会で何度か訪問したからといって、合格の保証はありません。ついつい慣れて高校生活を想像してしまうかもしれませんが、あくまで想像に過ぎないのは、肝に銘じておくべきです。
説明会の時期として、基本的には1学期から1学期の終わり(12月)あたりまで、です。3学期は入試シーズンなので、説明会は無い高校がほとんどです。
説明会とは違いますが、動画サイトなどに、ある程度の有名な高校を取材した動画などもありますので、もし地元の有名高校を取材した動画があれば、いくつか見ましょう。塾講師などの解説動画ではなく、できれば実際にその高校の校長や教頭などにインタビュー出来ている動画なら、なおさらベストです。動画で、校舎の大まかな位置や形が分かるだけでも、とても高校の所在地などを覚えるのがラクになります。アニメ番組とか見てる暇があるなら、高校取材の動画を見ましょう。
{{コラム|第1志望しか説明会に行かない自己アピールは逆効果|
私立高校の受験においてですが、第1志望校だけしか説明会を参加・見学しないのは、やめたほうが良いでしょう。自己アピールとして受験日の面接で「志望校に一途さ(いちずさ)をアピールしよう。そのために他校の高校説明会はパスしよう」と思っても、おそらく逆効果です。別に面接点で減点はされないでしょうが、しかし大したアピールにはならないでしょう。
なぜなら、第2志望以下の「将来、自分が行くことになるかもしれない高校」を比較調査と現地調査で事前調査できないという点で、調査能力に疑問符だからです。
また、大学生むけの合同就職説明会でも、志望企業だけでなく他の企業の説明も聞くように企業側からもそれを推奨します。
まして高校受験では、多くの子が人生で初の受験ですので、受験を通して色々なことを学んでほしいです。
私立高校側だって、のちの就職活動で苦労しそうな学生は、やや遠慮したいでしょう(入試の成績が良ければ、別に不合格にはならないでしょうが)。
個別相談会にまで第2志望校以下まで行くかは人それぞれですが、しかし説明会については、例外として「地元に私立校が1つしかない」とかいった地域とかでない限りは、説明会だけは第1志望以下もいくつか行くのが安全でしょう。
}}
== 2年終了前に学校見学を開始するとベター ==
高校主催の文化祭、学校説明会、その他のイベントなどは、できれば2年生が終わる前までに行けるなら行っておくのがベターです。なぜなら、3年生になってからだと、スケジュール的に受験勉強などと重なって、行きづらいからです<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P42</ref>。
2年生はまだ受験勉強が本格化していないので、そのうちに、志望校のうち近所にある高校の文化祭などは見学してしまうと良いでしょう。
特に文化祭は、時間が掛かるので、2年生の終わりまでに済ましておくと、3年生の時間を節約できます。
気になってる高校が多い人は、2年生が終わる前に学校説明会や文化祭を見学しておくのが良いです<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P43</ref>。
中3では、本命上位のところだけイベントに見学に行くのが良いでしょう<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P43</ref>。
ただし、高校によっては文化祭を生徒の保護者・家族以外に公開していない場合もありますので、その場合は文化祭はあきらめて、学校説明会などで情報収集をしましょう。
もっとも、文化祭は体験しなくても、学校説明会で、大体は解決します。
;ネット地図は信用しない
なお、ネットの地図は信用してはいけません。ネットの地図は、間違っている場合もあります。ネットの複数の別々の会社の地図を見ても、一緒に間違っている事もあります。ネット上の無料コンテンツの品質なんて、その程度のものです。決して信用してはいけません。
なので、近場なら事前に下見をしたほうが安全です。当日にいきなり初めて行こうとすると、地図そのものが間違っている場合、道に迷ってしまいます。
;SNSの学校アカウントは参考に留める
また、その学校のSNSなどのネットのアカウントや部活のアカウントも、たとえ公式アカウントであっても、決して信用しすぎないようにしましょう。なぜなら公立学校でもSNSの部活アカウントは、たとえば外注だったりして、アカウントの中の人がその学校の人ではない別会社の民間企業の人が注文を受けてSNS運営している場合もあり、そのためか微妙に広報内容・宣伝内容が間違っている場合もあります。文化祭ていどの情報だと、広報・宣伝内容が微妙に間違ったりしている場合もありえます。
なお、市役所などのアカウントも外注だったりします。過去、自治体の外注SNSアカウントが不謹慎な発言をして炎上してネットのニュースになった事件もあります。
ネットのアカウントによる文化祭などの情報は真に受けず、なるべく事前に現地を下見しましょう。入場できなくても前日や2~3日前などに校外からでも見れば、ある程度の様子は分かるでしょう。
== 学科選び ==
次のページを参照してください。
* [[高校受験ガイド/学科]]
学科は、受験後・入学後には変更できません。
== 模試について ==
「模試」(もし)とは、入試問題を模した業者テストのことです。
模試は、決して単に順位や偏差値を出すだけでなく、さらにコンピュータ分析だろうか弱点の指摘をしてくるので(たとえば「英語の関係代名詞が苦手なようです」とか得点傾向から指摘してきたりする)、中3は模試を受けてください。私立志望かどうかに関わらず。
学校の定期テスト対策だけでは、そういう弱点分析ができません。
私立高校によっては、模試で好成績を取ると加点することを説明会などで明言している私立高校も普通にあります。なので、私立志望の場合、機会があれば模試をどんどんと受けるのが良いでしょう。ただし、あくまで加点ていどなので、本番の入試で好成績を取るのを第一目標にして受験勉強すべきです。
なお、模試による加点については、あらかじめ高校の入試相談会などに模試の成績書を持っていくなどの必要があります。
審査などに時間が掛かるので、入試当日の面接では模試の成績章を見せても加点を受け付けない場合があります。
どの模試が加点対象かは、特に志望の私立高校がその模試に試験会場を提供している場合、その私立高校は明らかにその模試と提携しており、なのでその模試は明らかにその私立高校の面接点の加点対象に入っている模試であるので、優先的にその模試を受験しましょう。
地域にどのような模試があるかの情報は、公立中学校では入手しづらいでしょうから、公立中学生で私立高校志望のかたは塾などに通われると良いと思います。塾のこういう情報は、夏期講習だけを受けていても入手しづらいので、せめて3年生になってからでも良いので塾に通うのが安全だと思います。
塾に通える金持ち有利の私立受験のシステムですが、そもそも私立高校の学費自体が高いので、私立を目指すというのはそういうものです。
さて、模試について、公立中学では歴史的な経緯により、平成以降は公立中学校を模試の試験会場にしません。かつて、模試の成績をもとに、公立中学が、成績の悪い生徒の高校受験に規制をかけていた経緯があるので、それが問題視されて、その結果、中学校では模試は受験できなくなりました。
しかし、私立中学や塾には関係のない話です。また、どんなに中学の成績が良くても、一般入試では試験の得点が悪ければ不合格です。
私立志望にせよ公立志望にせよ、模試を受けて、試験慣れしましょう。どちらにせよ。
また、公立中学の三者面談などで業者テストの成績や順位や偏差値を言うと、教員には話をそれ以上は止められますが、それは1980年代の文部省の(中学現場での)「業者テスト」追放の指導と言いった事情があるからです。
なお、べつに業者テストの成績が好かろうが悪かろうが私立は受験できる地方が多いですし(ただし神奈川県は少し特殊らしいです)、合格点以上に好成績なら合格します。
なお、模試では、私立高校が業者テストの試験会場になったりすることもあります。そして、私立が志望校の場合で、もしその高校を会場にしている業者テストや模試があるなら、ぜひその業者テストを受験をするべきです。
たとえ業者テストによる加点システムの無い私立高校の場合でも(単に業者テストの模試の会場を提供してるだけでも)、学校見学も兼ねて、その学校に訪問してみるのは良い経験です。
試験当日に迷子になって遅刻して不合格とかになったら馬鹿馬鹿しいので、予行練習の意味も含めて、機会があれば、何度も志望校私立を会場にした業者を受けるべきです。
また、もし志望校が業者テストに会場を提供していなくても、学校説明会および入試相談会などには最低でもそれぞれ1回は参加すると良いでしょう(あまり多く参加する必要はありません)。
私立志望の場合、第三志望くらいまでは、受験本番の前に、何度もその高校でのテストまたは説明会に参加して訪問したことがある、といった状態に持っていくべきです。もし、そういった訪問のイベントに参加できてない場合、受験勉強の時間だけを増やすよりも先に、まず普通に高校説明会などの機会で訪問してください。訪問機会を増やすのが先です。
=== 試験直前の倍率こそが本当の倍率 ===
模試で倍率と、試験直前での出願中の倍率は違います。特に、1月後半以降から出願できる高校の倍率は、それ以前の春~秋の模試の倍率とは違う傾向があります。
この理由は、主に1月の名門高校の第1志望に落ちた受験生が、第2志望以下として急に志望校を追加するからです。
このように、真の倍率、真の偏差値と、模試の倍率・偏差値とは、微妙に異なります。
もっとも、たいていの模試や志望校調査では第3志望まで書かせるので、ある程度は模試側でも予想・調整できます。
ズレやすいのは、第4志望あたりの高校からです。すべり止めとして受けた第4志望以下の高校で、意外とすべり止まらないこともあります。
== 偏差値と倍率 ==
* [[高校受験ガイド/偏差値・倍率など数値データの分析法]]
== 合格発表のweb化 ==
私立高校では、合格発表は、web発表のみ(インターネット発表)なのが、もう2010年代から基本です。つまり、昭和の時代にあったような、掲示板での発表は、現代の私立高校では、無いのが基本です。
'''公立高校でも'''2024年以降、掲示板をとりやめ、web発表に切り替える高校が増加していく予定です<ref>動画 [https://www.youtube.com/watch?v=OIP1bTVn26E SBSnews6『「楽しみにしていたので…」「悲しむ姿で胸が苦しくなる」公立高校の合格掲示取りやめで受験生悲喜こもごも』2024/01/18 ]2024年03月31日に確認.</ref><ref>動画 [https://www.youtube.com/watch?v=jHXgg7XUyR8 CBCニュース『公立高校の合格発表 “掲示板のはり出し”が今年で最後に DXの流れや先生の負担を減らすため「かなり神経使う…」 愛知県』 2024/03/08 ]2024年03月31日に確認.</ref><ref>動画 [https://www.youtube.com/watch?v=N2FSPobnrr8 『「言葉に表せないくらいうれしい」大阪府の公立高校で合格発表 恒例『張り出し』は今年で最後に…来年からはHP発表のみ(2024年3月19日)』2024/03/19]2024年03月31日に確認.</ref>。
合格通知を送るかどうかは各学校によると思いますので、詳しくは学校の要綱などで確認してください。
メール連絡先を携帯電話に指定している場合、もしスマホのバージョンが古すぎると、うまく届かない可能性があります。携帯電話が古すぎる場合、新品に買い替えてください。
そもそも携帯電話がガラケー(OSがAndroidやi-OS '''でない'''ケータイ)だと、高確率で送受信エラーになる可能性がありますので(たとえばワンタイムパスワードのメールが届かない等)、たとえ電話会社のサポート中でも安全のためスマホに買い替えてください。サポート中というのは、単に昔からある旧式のメールサービスが使えるというだけであり、新しい新式のメールサービスは使えませんので、そのため合格発表の連絡などの送受信エラーの可能性がとても高くなります。
== 定員割れと二次募集 ==
=== 定員オーバーと定員割れ ===
高校入試も大学入試も、募集の定員よりも多めに合格者を出すことがあります。特に私立がそうですが、高校の場合は公立高校でも定員よりも多めの合格者を出すことがあります。(公立高校の場合、税金の補助があるので、定員オーバーを多数受け入れるのは財政的に厳しく、(公立高校では)せいぜい数名のオーバーです。)
私立高校の場合だと、この理由は、併願している合格者がどれだけ自分の学校に進学してくるか不明なので、私立高校側が多めに合格者を出しているのです。
なので高校では、私立の場合、人気のある学校は募集者よりも実際の学生数が多いのが普通です。文科省も、こういうのを容認しています。(ただし大学では、都心などであまりにも過密な場合、文科省から行政指導が入る場合もある。)
さて、最終的に併願合格者で定員オーバーするような人気高校でも、単願入試の時点だと倍率0.9倍とか、単願倍率だけ1倍未満の場合もあります。別の節で述べたように倍率1未満だからといって絶対合格とは限らないのですが、それでも人気校にかなり入学しやすくなるのは変わりありません。
;定員割れ
入学者が募集人員に満たない状態を'''定員割れ'''と言います。
たとえ高い偏差値の高校でも、併願者に人気がなかったりすると、定員割れをする場合もあります。たとえば、ときどき偏差値の高い高校でも倍率 0.95 とかになって、1を下回る場合もあります。
「定員割れ」と聞くと世間では、何となく「成績の悪い底辺校」「不良の多い高校」みたいなイメージだったりするかもしれませんが、しかし実態は違うので勘違いしないようにしましょう。
また、昨今の不景気や少子化により、私立高校の「定員割れ」と聞くと、受験生はなんとなく「この私立は経営の危機か!?」みたいに思いそうですが、しかし、けっこう定員割れは時々よくあることで、高校受験では20世紀の頃からある現象なので、誤解しないようにしましょう。
=== 二次募集 ===
定員割れをした高校では、3月に受験生の'''二次募集'''をすることがあります<ref>[https://www.kobetsu.co.jp/manabi-vitamin/jyuken/high/article-191/ まなビタミン 著『高校受験の「定員割れ」について正しく理解しよう!』更新日:2021/03/26 ]2024年03月31日に確認.</ref>。私立でも公立でも、あります。
ただし、もし一次募集で定員割れをしても若干名だけの場合、二次募集を実施するかどうかは不明です。その高校の方針によっては、二次募集をしない場合もあります。
また、たとえ二次募集をするとしても、試験日がかなり遅くなる場合があります。3月7日とか8日が試験日になる場合もあります(なお、私立の進学高校の受験日は1月中旬とか1月下旬とか早めのことが多い)。このため、もし二次募集を当てにしてしまうと、他校を受験できずに高校浪人の可能性が高まりますので、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。
特に人気校や進学校の二次募集は、応募倍率が30倍以上とか高い値になり超難関になる可能性があるので(2019年度の都立日比谷高校の事例)<ref>[https://bunshun.jp/articles/-/11049 おおた としまさ 著『日比谷高校“まさかの”2次募集 なぜか学芸大附属校長が「不適切表現で反省」のワケ』文春オンライン、2019/03/14]2024年03月31日に確認.</ref>、けっして最初から二次募集を当てにしてはいけません。
また、公立の場合、二次募集にも合格最低点があり、もし二次募集でも定員割れをしても、受験生の得点が極端に悪ければ不合格です。
=== 注意点 ===
一般的に公立のほうが倍率が高いです。たとえば、首都圏ですら、ある地域では偏差値55の公立高校が倍率1.5倍ないっぽう、偏差値65の私立高校が倍率1.1倍なんて事例すらあります。
また、模試の倍率と、高校の発表する倍率は違います。上述したように、模試では受験しない人でも志望校に書いたりするので、あまり精度が良くありません。
実際の受験生の倍率は、高校側の発表する倍率です。
== 補欠合格と繰り上げ合格 ==
私立高校の受験において、自分はギリギリで不合格でも他の合格した受験生が、他校に進学手続きをするなどして合格枠が空いて、ギリギリ不合格だった受験生に合格が回ってくるのを「'''繰り上げ'''(くりあげ)合格」と言います。
いっぽう、まだ繰り上げ合格してないが、志望校側が余裕をみて、ギリギリ不合格だった人に、繰り上げ合格が回ってきたら進学手続きをするかどうかの意思確認をすることを「'''補欠'''(ほけつ)合格」と言い、ます。
基本的に、繰り上げ合格は、正式な合格です。
いっぽう、補欠合格は、名前に反して、まだ合格していません。ただし、補欠合格の段階で進学の意志を伝えないと、繰り上げ合格はもらえません<ref>[https://www.yotsuyagakuin.com/b_geneki/hoketsu-goukaku/ 四谷学院『補欠合格のチャンスをつかむ!通知方法や電話に出られなかった場合の対応方法を解説』最終更新日:2024/03/02]2024年03月31日に確認.</ref>。
補欠合格になった場合、ネット発表されるとは限らず、電話または郵便の封書<ref>[https://www.meikogijuku.jp/meiko-plus/other/20210428.html 明光プラス『繰り上げ合格とは?合格通知のタイミングや仕組みについて解説!』初版 2021.04.28 ・更新 2023.10.07、 ]2024年03月31日に確認. </ref>で志望校側が伝えてくるので、電話に出なければいけませんし、郵便物も確かめなければなりません。電話に確実に出れる環境を、保護者が用意しなければいけません。
繰り上げ合格の分かるタイミングは志望校ごとに異なり、一概に言えません。3月になる場合もあります<ref>[https://www.kyoshin.co.jp/manach/detail/676893/ 『補欠合格とは?繰り上げ合格になる可能性や通知を待つ際の注意点』 ]</ref>。
;電話連絡の対応
私立受験では、補欠合格や繰り上げ合格などの連絡は、電話で行います。なので、家に保護者が在住するか、あるいは志望校に伝える連絡先をスマートフォンなどに指定しましょう。
固定電話は、もし古くて留守録などの機能が無いなら、留守録などの機能のあるものに買い替えなければいけません。
裏を返すと、「そのような投資ができない貧困層の家庭は、そもそも私学を受験するな」という意味合いでしょう。
;公立高校には繰上げ合格は無いのが原則
なお、基本的に都立高校などの公立高校の受験には、補欠・繰り上げ合格の制度は無いのが原則です<ref>ツイッター [https://twitter.com/tokyokojuken/status/1765025625205866768 東京高校受験主義、 午後11:44 · 2024年3月5日]2024年03月31日に確認. </ref><ref>[https://kanagaku.com/archives/44796 『神奈川県公立高校入試 「繰り上げ合格」実質的に「ない」』2021年2月23日]</ref>。この理由はおそらく、公立高校の受験は専願であるべきだと厳しく自主規制されているからでしょう。(もし合格した私立高校に進学したい場合、公立高校は受験前に辞退の届け出をしなければならない。)
もし公立高校で定員割れがいちじるしく起きた場合は、補欠・繰上げではなく、二次募集を行うのが一般的です。
== 人気校の受験シーズン ==
私立の場合、有名大学の付属校などの人気校の受験シーズンは傾向として、1月下旬や2月上旬など、早い場合が多いです(あくまで人気校の場合です)。
これは、理由は特に明言されてませんが、もし人気校の受験シーズンが3月だと、その人気校を目指して単願で多くの受験生が受験しかねないので、多くの不合格者を出しかねず、なので多くの高校浪人を出してしまいかねないからでしょう。
== 中高一貫校について ==
=== 高校受験での募集停止した中高一貫校 ===
付属の中学をもっている私立中学や、国立・私立の中高一貫校では、高校受験での外部募集を2010年代以降、停止した高校もあります。これを「完全中高一貫校」と言います。
応募枠が無い以上、外部の中学からは完全中高一貫校には進学しようがないので、一般の公立中学生は他の高校を受験しましょう。
2010年以前のかつては高校受験からも募集していた高校でも、令和では高校受験の募集停止をしている高校もあります。保護者などのアドバイスを聞く場合、この変化に注意しましょう。
公立でも、多くの公立の中高一貫校は、高校受験での募集を停止して完全中高一貫校になっています。
大学付属校でも募集停止をしている場合があります。東京都内の麻布大学付属、早稲田大学付属、成城大学付属の高校は、高校募集を停止しています<ref>[https://www.asahi.com/edua/article/13192268 柿崎明子 著『海城、浦和明の星女子、成城…完全一貫校化でどう変わった? 校長らに聞く』2020.03.13 ]2024年03月31日に確認.</ref>。神奈川の相山学院付属横浜英和も高校募集停止です。その他、立教女子や学習院女子も高校募集停止です。
大学付属校ではないですが、進学校として有名な海城高校(男子校)や桜蔭高校(女子高)も高校募集を停止しています。
ほか、傾向として、公立の中高一貫高校は、完全中高一貫校である傾向があります<ref>[https://www.eikoh.co.jp/chugakujuken/column/c1026/ 栄光ゼミナール『公立中高一貫校のメリット・デメリット』更新日 2024/01/10 ]2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://www.asahi.com/edua/article/13192268 柿崎明子 著『海城、浦和明の星女子、成城…完全一貫校化でどう変わった? 校長らに聞く』2020.03.13 ]2024年03月31日に確認.</ref>
=== 内部進学組と高校受験組が1年次は別クラス ===
高校受験生を募集している中高一貫校でも、高校1年では、付属中学から進学してきた内部進学組(俗(ぞく)に「内部生」という)と、高校受験で入ってきた高校受験組(俗に「外部生」)とが別クラスという例もよくあります。
内部進学組では一部の学校行事が1年ほど先倒しをされていることもあるので、高校1年でクラスを同じにするのは、なかなか難しいです。たとえば高校受験組が高校1年で体験する行事が、内部進学組はすでに中学3年で体験しているような場合もあります。外部受験組がどんなに受験勉強を頑張って高校1年の範囲を先取り学習していても、行事だけはどうにもなりません。
なので、外部受験組が内部進学組と早く交流を開始したいなら、高校入学後に部活に入るなどして、交流の機会を積極的に増やすなどの工夫をしてください。
;文理のコース制との兼ね合い
なお、近年は文系コース、理系コースとコース制がしかれている高校も多いので、コースが違う同学年生徒とは、絶対に同じクラスにはなりません。なので、そういった理由もあるので、できれば高校進学後も部活に入ったほうが良いでしょう。(せいぜい、体育や芸術科目での2学級合同の授業で、同じ授業を受ける可能性があるくらいです。)
== 一条校と非一条校 ==
* [[高校受験ガイド/一条校と非一条校]]
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
* ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P55
=== 脚注 === | 2023-12-23T05:02:14Z | 2024-03-31T04:23:44Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E5%8F%97%E9%A8%93%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%82%84%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%A9 |
38,873 | 高校受験ガイド/普通科高校のカリキュラム | 進学校のカリキュラムの元ネタは、
です。
例外はキリスト系の高校で「聖書」とか「礼拝」とかあったりするくらいでしょうが、それすらも「キリスト教系大学の宗教推薦の要件にすぎないのでは?」と勘繰りたくなるほどです。
ほか、(必修最低限の「家庭基礎」2単位ではない)「家庭総合」4単位とか、進学私立では履修不可能なのが傾向です。芸術科目で、必修ではない「音楽II」とか「美術II」とかあるのは、普通科高校ではごく一部の大学付属高校くらいです。
また、大学の文系学部と理系学部とで、推薦の要件が大きく違うからか、高校のほうも文理のコースが分かれています。
文理両方を学ぶハイブリッド的なコースは2020年代、基本的に無いです。かつて2001年くらいは模索され、実験的な高校が導入していましたが、しかし現状それらの実験高校はそのようなハイブリッド方式からは撤退しました。
文系学部では、数学IIIとか専門「化学」「物理」「生物」とか推薦要件でないので、多くの高校でも文系コースでは履修できません。
大学教授の中には教育評論などで「文系人材も理系を勉強すべきだ」とか言いますが、しかし彼らの所属大学の推薦入試の要件がそうなっていません。言動不一致、厚顔無恥(こうがん むち)と言わざるを得ません。良識派ぶりたいw:美徳シグナリングでしかないでしょう。
数学III・C は理系学部の推薦要件に入っていることが多いです。数学Cの半分くらいはかつては高校2年で教えていた内容なのでそれほど難しくはなく独学も可能な内容ですが、しかし推薦要件に入っているので数学Cも理系コースで履修させられます。
なお、令和の現代、数学Cが文系コースでも進学校だと国立対策として履修させられます。新共通テストがそういう風に仕組みが変わっており、文系でも数学Cが共テ受験できる制度に変わっているからです。
公立の進学高校の場合、基本的には私立と同じく、文理のコース分けがあり、私大推薦の要件に適した科目構成です。
ただし選択科目などで、多くの大学の受験に出ない家庭科「フードデザイン」とか高3「美術」・「音楽」を公立高校だとそこそこの進学高校でも履修できたりしてしまいます。
いっぽう私立だと、「フードデザイン」とか高3「音楽II」「美術II」などが存在しない私学も多く、そういう科目の存在自体を私立高校出身者は知らなかったりします。
ほか、公立高校だと文科省や教育学者などの教育実験に参加させられている高校もチラホラあるようで、たとえば進学校なのに文系コースで高2~3で「美術II」・「音楽II」が必修の公立高校が日本には実在します(高校名は隠す)。偏差値70あたりだと影を潜めますが、首都圏だと意外と偏差値60 ~ 65 あたりに、そういう実験的なカリキュラムの公立高校がチラホラと生息しています。
公立高校の教育実験は長くなるので、別の節にまとめます(本ページ末尾に予定)。
高校の教科で、「古典探究」とか「日本史探究」とかありますが、実態は、従来通りの教室内での授業です。なので、脳内では「古典探究」→「古典B」とか、「日本史探究」→「日本史B」みたいに置き換えて構いません。
また、別科目の「総合的な探究の時間」についても、色々と理想どおりには進んでない、残念な報告が上がっています。
外部サイト 『高校必修科目・探究、教員の半数「調べる時間や人脈ない」』2022.8.23 Tue 15:15 による、國學院大學との共同調査による全国の高校教師へのアンケートによると、
2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」の指導で、半数の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室等への人脈がない」と回答していることがトモノカイが2022年8月22日に公表した調査結果から明らかとなった。
とのことです。
また、上記とは別件ですが、せっかく探究をして良いレポートを完成させても、大学受験で総合型選抜に使おうとしても、難関大学では出願の「英検準1級以上のこと」などの足切り要件にあってしまい、探究が受験でなかなか評価されません。
地方高校だったら地元の国立大学が探究で若干名を地域トップ高校から受け入れてくれる可能性もあるかもしれませんが、首都圏や京都・大阪には関係ない話です。首都圏の国公立大学や難関私大は、日本全国から受験生が集まってくるので、探求学習して推薦入試に使おうとしても競争倍率が高く、うまみがありません。
それもあってか、ともかく日本のほとんどの高校では、「探究」は「やったふり」です。研究的なことをしようにも、それだけの時間ない、予算ない、人手ない。高校にはヒト・モノ・カネが与えられていないのです。
中学校は義務教育なので、履修科目は日本全国で、総合学習系の科目以外は、教わる教科は統一です。
しかし高校は、普通科の公立高校ですら、学校ごとに差が大きいです。
また、時間割(「カリキュラム」ともいう)をネットでは公表してない高校も、公立高校でも私立高校でも多くあります。説明会などでしか確認しようのない高校も多くありますので、それぞれの志望校の説明会で確認してください。
なお、高校でその科目を履修していなくても大学受験できます。たとえば「情報II」を履修していなくても、大学の情報系の学科を受験でき、得点が高ければ合格できて進学できます。
そもそも中堅以上の私大の情報科学科の入試科目には、「情報I」も「情報II」もありません。いわゆるマーチ(明治、青学、中央、法政)の情報工学科の入試科目に、情報科目は無い状態です(「物理」や「化学」などを選ぶ)。
進学校で履修してない科目は、履修しても受験で利点が無いので、あまり心配する必要はありません。ですが、説明するなら、下記のようになります。
たとえば「芸術」教科では、指導要領では普通科の芸術科目には「音楽」・「美術」・「書道」・「工芸」の4科目があるのですが、しかし高校によってはこのうち3科目の「音楽」・「美術」・「書道」しか開講していない高校も多くあります(「工芸」科目の無い高校も多い)。
かなり多くの公立高校のカリキュラム表を見ても、「芸術」教科には「音楽」・「美術」・「書道」の3つしかありません。おそらく、読者の保護者の多くも、「工芸」科目はその科目の存在自体を知らないと思います。
さらに私立の場合、「書道」の履修できない高校や(「音楽」「美術」の2科目のみ)、美術の履修できない高校もあります(「音楽」「書道」の2科目のみ)。
特に、高校芸術の「書道」科目は、公立と私立とで、かなり開講の比率の差が大きい科目です。(私立高校には、「書道」科目の無い学校も多い。)
なので、高校で「書道」または「美術」を習いたい人は、きちんと受験前にカリキュラム表を確認しましょう。
けっこうな数の首都圏の私立高校で、カリキュラム表を見ると、当たり前のように「音楽」「美術」の2科目しか芸術教科には項目が無い高校が多くあります。なので私立高校の生徒や卒業生には、そもそも「書道」が高校の芸術科目として存在する可能性すら知らない場合もあります。
「音楽・書道・美術の3科目が高校芸術の定番」という "常識" は、公立高校でしか通用しない "常識" です。私立高校の常識では「音楽・美術の2科目が定番」です。
音楽を必修にしている私立高校もあります。立教大付属の立教女学院高校 や 城西大付属の城西高校 では、音楽Iが必修です。選択の余地がありません(なお、高校3年などで美術を履修できる)。
なお、「美術」が無い高校について、「美術」だと居残りで作品を作ったりすることもあるので、進学校では勉強時間がとられるという側面もあるでしょう。
一方、「音楽」と「書道」だと、居残りすることが基本的には少ないです。
また、美術で作品づくりをしなくても、学校によっては「総合的な探究の時間」やホームルームなどで作品づくりをできます。
たとえば、文化祭の出し物とかを作らせてもいいわけです。むしろ文化祭の出し物づくりアピールのほうがチームワークもアピールできるし、いいことづくめです。
国としては芸術はどのジャンルも平等ですが、個々の私立高校を見ると芸術科目を決して平等とは見ておらず、「正直、書道は高校の授業には相応しくない」とか「正直、美術は高校の授業には相応しくない」とかの本音が見え隠れしています。
たとえば「音楽」だとチームワークを合唱や合奏などで授業で教育として教えられますが、しかし「美術」も「書道」も現状の教育ではそうなっておらず、特に「美術」は個人主義的なカリキュラムです。もしアニメや映画などの作品を作れれば美術は別かもしれませんが、そこまでの時間も予算も多くの高校にはありません。金持ちの私学ですら、映画製作なんて無理です。
また、「音楽」だと、高校レベルだと進学校では外国の歌を外国語で歌う授業もあったりするので(公立でも私立でも)、英語(第一外国語)に加えてフランス語やドイツ語など第二外国語の練習も出来ますし実際にフランス語などの歌の練習をさせる進学校もあるので、私立高校カリキュラムでの「音楽」授業の人気が高い時間割も合点がいきそうです。
なお、動画編集ソフトの使い方の教育は、今ではもう中学校の「技術・家庭」科の技術分野で習う中学もあれば、「情報I」の実習のひとつとして習う高校もあり、もはや「美術」を通さずに動画編集の教育が可能になっています。
私立高校の教員らの「(うちの高校では)フランス語やドイツ語の授業を2単位で作るほどではないが、しかしうちの生徒にはエリート高校生としてフランス語やドイツ語なども教えたいから、音楽の授業を通して教えよう。小学校でも音楽を通して国語教育をしているし・・・」という、そういう私立高校の本音および教育テクニックが見えます。
書道では知識は基本的には教わらないし、美術では美術史はもう中学卒業までで完了してます。たとえば高校美術では、美術史や色の科学(「彩度」とか「色相」とか)などについて、高校では特に新しいことは教えません。
なにか高校芸術で知識を教わるのが、今はもう「音楽」だけなのです。
私立の高校の一部ですが、高校3年に「受験美術」や「受験音楽」みたいな学校設置科目で、美大・音大の対策みたいな科目を用意している私立高校の普通科も、ごく一部ですがあります。比較的によくある設置パターンとして、高校1年に他校と同様の選択芸術科目として「美術I」や「音楽I」などがあって、高校2年に芸術科目は無く、高校3年に自由選択科目として美大・音大対策むけの受験科目がある、というパターンです。
ただし、圧倒的に多数の私学の普通科は、そもそも受験音楽科目も受験美術科目も無く、高校1年の選択芸術科目だけで学校提供の授業としての芸術教育は終わりです。
高校3年の受験美術などは、他科目の授業時間を減らしますので、他分野や非芸術系の一般の国立大に進学したい人には履修が困難です。
マーチだと、青学(青学の高等部)、立教(池袋および新座(にいざ)、※ 新座は男子校、※ 女学院)、中央(杉並)、法政(法政国際および法政二高、※ 二高は男子校)、の一部の付属校に、音楽IIまたは美術IIまたはそれと同等の学校独自科目「音楽B」(立教池袋)みたいなのがあります。
必ずしも大学付属校だからといって、音楽IIのような科目があるとは限りません。明治大付属明治高校にはその科目が見当たりません。なお、明治大付属「中野」高校は、音楽Iまたは美術Iを2年間にまたがって1単位ずつ(他校の半分ずつ)学びますが、音楽IIが見当たりません。
(中央「杉並」でない)中央大学高校を見ても、自由選択科目のなかに、音楽IIや美術IIなどは無いです。(法政国際高校ではない)法政大学高校に音楽IIなどは無い。
立教女学院高校は少し特殊なので省略。立教女学院高校では音楽Iが必修です。選択の余地なし。いちおう、音楽IIや美術IIは立教女学院にあります。
多くが、高校1年は他校と同様の選択芸術の美術Iや音楽I。高校2年に芸術科目は無し。高校3年に自由選択科目として受験音楽、受験美術の設置です。
高校芸術の科目は、1年次の入学前後に履修志望の科目を聞かれますが、必ずしも志望した科目を受講できるとは限りません。たとえば「音楽」科目の志望でも、新入生の「音楽」科目の志望者が殺到した場合は定員オーバーになって、「美術」や「書道」などの履修を強制される場合もあります。
なお、「書道」は不人気の科目です。多くの高校で、新入生は「音楽」か「美術」を志望します。
カリキュラム表に「音楽I」「美術I」があるからと言って、必ずしも受講できるとは限らないことに注意してください。
確実にその科目を練習したいなら、単位にはなりませんが、部活動などで練習するのが確実でしょう。もっとも部活にも定員はありますが。
なので、確実に練習したいなら、自宅でも練習するしかありません。
そもそも教員免許では、小中学校で教える「書写」は(「芸術」教科ではなく)「国語」教科の免許です。しかし高校の書道は、芸術科目の「書道」の免許であり、別科目の免許ですつまり、高校「書道」は、決して中学「書写」の発展ではなく、まったく別体系の別科目です。
一方、「美術」や「音楽」は、それぞれ短大卒でも取得できる2種免許と大卒以上の1種免許と言う違いはあるものの、基本的には中学と高校とで科目としては同じ免許です。
要するに、教員側の立場で、中学校でも教えている教員免許の発展した免許で教育しようとすると、芸術科目では「音楽」「美術」の2科目しか選択肢が無い、という事です。
要するに、多くの私立高校で、「高校芸術の書道(「書写」にあらず)は工芸科目と同じような、高校教育独自のマニアック科目」みたいに教職員などから思われているわけです。
なので、もし私立高校が中学教育からの発展性を高校生に教育しようとすると、必然的に「書道」・「工芸」は高校カリキュラムからは外すことになります。
高校「書道」は、その名に反して、あまり中学「書写」からの接続性がありません。
高校「書道」の根本問題として、美術の中でも小中学校の授業レベルなら書道のような美しい字のジャンルを扱えてしまいます。(「レタリング」と言って、ポスターなどの題字のデザインの仕事が美術家にもある。)教育大でも、国公立の教育大では、美術・書道専攻が一体化されて併設されている場合もチラホラあります。
なお、「工芸」についても、じつは美術の中で一部は出来てしまいます。木工や七宝焼き(しっぽうやき)くらいなら、「美術」でも可能です。高校「美術」の中には立体造形の分野もあるので、その中で「工芸」的な分野も少々は扱えてしまうのです。
なので結局、「美術があれば十分だよね」という考えでしょうか、私立では「うちの高校では、芸術科目は音楽・美術の2科目だけ」という高校も多いのです。
「音大」・「美大」は存在しますが、しかし「書道大」と言うのは無いのです。たとえば東京芸術大学には書道の専攻は無い。
「書道は日本の伝統」とか言われても、国公立大学には茶道学部も華道学部も和菓子学部も茶菓子学部も無ければ、剣道学部も柔道学部も無いのに、書道学部だけ特別視しろというのも、おかしな話です。
教育大には書道専攻のコースもありますが、国立の教育大はだいぶ難関です。つまり、それだけ需要が少ないという意味です。
世間では評論家によっては批判で、選択芸術科目で「書道」が存在しない私立高校を批判するかもしれませんが、しかしすでに「書道」が存在しない私立高校がもう別の業績で好意的にテレビなどで称賛されています。たとえ大学付属高校で、慶応大学と明治大学や立教大学や法政大学などの付属高校には、書道が存在していません。慶応・明治・立教・法政の付属以外にも、千葉埼玉あたりの周辺地域の私立高校などでも書道の無い私立高校はいくつも存在しています。(早稲田大と中央大の付属には「書道」がある。青学の付属には「書道」に加えて「工芸」もある。)
そもそも、いくつかの私大付属高校では「書道室」という教室そのものが存在していません。webサイトを見ても、明治大や法政大の付属校には、音楽室や美術室はあっても書道室が見つかりません。(立教の付属高校にはある。慶応の付属は和室を書道部の部室に流用。)明治の付属校の部活紹介で「美術部」や「音楽部」はあっても「書道部」は無い状態です。法政の付属校の部活紹介を見ても、「茶道部」や「華道部」はあっても「書道部」が無い状態です。
書道室も無ければ、書道に流用できそうな和室もない(首都圏などの狭い)高校の場合、仮に部活動で書道部があっても活動場所が校外の可能性もあるので、高校で書道をしたい人は事前に確認しましょう。首都圏は過密で土地不足なので校舎が狭いのです。首都圏の私立には、決してなんでもかんでも施設があるわけではありません。
書道が存在しない高校で都心・首都圏にある私立高校で、その高校出身の漫画家やイラストレーターなどがいてすでに活躍していて、ツイッターSNS住民とか漫画オタク・アニメオタクみたいな人たちにも評判のいい私立高校だったりする高校が、首都圏でいくつか既に存在します。
地方在住の偏差値なかば50前後の公立高校出身のSNS住民やアニメオタクとかの大人の多くはきっと千葉埼玉あたりの私立高校に親近感を抱いているのかもしれませんが、しかし私学のカリキュラムは一般的な公立高校とは違っています。やはり、マンガやアニメなどから社会を学ぶのは、やめたほうが良いでしょう。
書道は不人気科目であるので、書道を開講している高校では「美術や音楽を本当は履修したかったのに、書道に回された・・・」という不本意で「書道」科目を履修する生徒が発生しがちなのですが、しかし最初から「書道」の科目自体が無い高校の場合、不本意な選択「書道」の履修の可能性が原理的に無くなります。資金力があるのに「書道」を開講しない私立高校は、そういった優しさでしょう。
まあ、「音楽の志望だけど美術に回された」という不本意の発生する可能性もありますが、さすがに西洋音楽が好きなのに西洋美術をそこまで嫌いな生徒は少ないでしょうか。
なお、高校の部活動での「書道部」の内容は、中学卒業までの国語の授業の「書写」とはだいぶ違う活動内容の高校も、公立・私立ともあります。たとえば草書で書くとか、大きい紙(両手を広げた幅よりも大きい紙)に書くとか、非実用性が高かったりする書道も多くあります。ペン習字みたいな実用的な「普通の紙の大きさに、上手な字を書く」みたいなのとは、だいぶ違います。
ほか、芸術科目が何年生まであるかも、高校ごとに違います。
例として「音楽」科目を例に述べると(「美術」などでも同様)、たとえば1年生で「音楽I」、2~3年生で「音楽II」、3年生で「音楽III」のように芸術科目は音楽も美術・書道・工芸のどれも3段階あるのですが、しかし高校によっては「音楽I」まで、あるいは「音楽II」まで、というような制限のある高校も多くあります。
ほか、「音楽I」を2年間かけて行う高校もあります。音楽Iは2単位なのですが、1年間あたり1単位ずつ音楽の授業をするのを2年の終わりまで続けて2単位、というわけです。当然、この場合、「音楽III」は履修できません。
公立高校などで、「音楽I」「美術I」「書道I」が3単位、というのもあります。1年生で「音楽I」を2単位、2年生で「音楽I」を1単位、という仕組みです。おそらく、進学特化の受験有利なカリキュラムに設計しすぎると教育委員会などから是正命令が入り、芸術など入試に不利な科目も少し増やしてバランスを維持するように行政命令されるのでしょう。そういった行政上の都合も公立高校のカリキュラムでは関わってきます。
この事情のためか、偏差値が高めの公立進学校でも、芸術科目が他校より少し多めという公立高校もチラホラあります。
まあ、芸術科目が少なくても部活などで「美術部」「合唱部」などで経験を補うことはできますが、しかし「工芸」はその部活が無い高校が普通なので(工芸の設備そのものが無い高校が多い)、知っておきましょう。もっとも、その部活自体、3年生は夏で引退するので、音大・美大などの進学を考えている人以外は、あまり音楽IIIや美術IIIは関係ないのかもしれませんが。
ただし、部活と違って芸術の授業では、校外の展示会などに出展をしたりはしないので、もし展示会の出典などの経験を積みたいなら、部活を中心に経験を積むことになるでしょう。(たとえば選択「音楽II」などでも、決して老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートとかは行きません。)
なお、よく高校のカリキュラム表では、「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」をまとめて、教科名として「芸術I」と書かれています。あくまで実際には「芸術I」という教科名・科目名は指導要領には存在しませんし、検定教科書も存在しません。教科名は「芸術」の2文字だけです。
また、「芸術I」と書かれていても、履修できるのは「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸I」はありません。
同様、「芸術II」と書かれていても、履修できるのは「音楽II」「美術II」「書道II」「工芸II」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸II」はありません。
指導要領では、必履修の「情報I」 と 選択科目の「情報II」 の2つがあります。
しかし「情報II」が履修できるかどうかは、高校によります。
理系大学への進学者も多い進学校などでも、「情報II」の無い高校もあります。
そもそも3年生になってから「情報I」を履修させる高校すら、あります。この場合、当然ですが情報IIは履修できません。
なお、「情報」教科は、かつては「情報と社会」「情報の科学」の2つに分かれていて、学校によってはどちらか片方しか履修できない場合が多かったですが(学校側が履修科目を決めていた)、しかし2022年以降は必履修の「情報I」と選択科目の「情報II」に変わったので、それは関係なくなりました。
分かりやすい例をあげると、明治大付属 明治高校で、情報IIは高校3年生の文系科目あつかいです。
また、別の節で述べるように、理系の私立大学の理系学部では、入試科目には「情報」科目は入っていません。
中堅私大(明治meiji・青学aogaku・中央chuoh・法政hoseiなど、いわゆるマーチmarch )以上の偏差値の理工学部の情報科学科(または情報工学科)の入試科目を見ると、「情報I」も「情報II」もありません。なお、立教大学および学習院大学には工学系の学部は無く(理学部はある)、したがって情報工学科もありません。マーチに学習院大学のGをつけて「GMARCH(ジーマ-チ)」と言う場合もあります。
「英語・数学・理科(「物理」または「化学」のどちらか一方)」の合計3科目、または理科に生物を含む「英語・数学・理科(「物理」または「化学」または「生物」のどれか一つ)」が一般的です。
なお、数学は「数学III」までです。数学A~Cが数学Cを含むか数学Bまでかは大学ごとに異なるので、それぞれの大学の募集要項などを確認してください。
この3科目「英語・数学、理科(物理または化学)」は、情報科が普通科高校に導入される前からの90年代には既にあった伝統的な入試科目のスタイルです。
なお、東京理科大(私立)に至っては、情報工学科の入試科目の理科は「物理」のみです(英語・数学・物理)。「化学」も「生物」も理科大では情報工学科の入試科目としては認めていません。
入試科目を4科目以上に増やすというような機運は、マーチでも理科大でも四工大(芝浦工大や工学院など)でも、特にみられません。
「地学」選択は、情報系の学部には入試が不利になってしまいます。
この入試科目の理由はおそらく、理工学部のほかの入試科目が3科目なのに合わせている(最近はバイオテクノロジー系の学科もあるので「生物」も理工学部の入試科目に含まれる)ものと思われます。もし、物理学科とか生物学科とか機械工学科とかすべて入試科目が3科目なのに、もし情報系だけ4科目にしてしまうと、大学側のスケジュール管理がとても難しくなってしまいます。入試科目には、このような学校法人側の営業の都合も含まれます。
新共通テスト(かつての「センター試験」の後継)に「情報I」が追加された機運に反して、じつは多くの私立大学の理系学部では大学個別の入試科目には「情報」系科目は含まれていません。
早慶については入試スタイルがやや特殊なので、説明を省略します。
四工大(芝浦工大・工学院・東京都市大学・東京電機大)については、おおむね、マーチ同様の傾向で3科目が理科で「物理または化学」です。
工学院と東京都市大は情報系の学部があるのに、情報学部の入試科目の3科目目は「情報」ではなく「理科」です(つまり、英語・数学・理科(物理または化学)の3科目)。
今後、年度によって各大学の入試科目の変更の可能性もあるので、必ずしも今後は上記の通りとは限りませんが、しかし少なくとも2023年の時点では、傾向として上記の通りです。
正直、IT企業の仕事では物理学・化学の知識の活用は減っていますが(たとえばツイッターあたりにいる日本の大手IT企業勤務(外資も含む)の有名プログラマーたちは、大して高校レベルの化学とか物理とか知りません)、しかし入試科目は依然(いぜん)として物理・化学を含んでいます。
一応、製造業の組み込みソフトとかを作る組み込み系とかでは物理とかの知識を使う可能性はあるので、そういう進路の可能性も若干はあります。
なお、団塊ジュニア世代の文系学部(法学部や経済学など)出身のプログラマーが高校化学に詳しくてファンデルワールス力(りょく)とかアルカン・アルケンとか色々と知ってるのは、単にセンター試験時代の多くの高校で必修だった化学Iの範囲に入ってたから高校で文系コースでも化学を多めに習ってて知ってるだけであり、べつに高校3年の選択化学を履修するような猛者だったわけではありません。
あと、「情報II」を開講しない高校が多い理由は、コンピュータ室の敷地面積の問題や、教師の増員の問題もあるでしょう。特に中高一貫校では、コンピュータ室がもう中学の授業および高校「情報I」の授業で使用済みで授業コマがほとんど埋まっていたりして、これ以上の情報科目の授業を増やすのが難しい、という可能性があります。
もともと旧カリキュラム(~2021年以前)では1学年ぶん「情報と社会」または「情報の科学」の片方だけを履修すれば良かったのと比べて、2022年以降の新カリキュラムでは、もし必修「情報I」に加えて「情報II」を開講するとコンピュータ室を利用する授業のコマ数が単純計算で2倍になってしまい、コンピュータ室のコマ数オーバーになってしまい実現不可能になってしまう可能性もあります。
コンピュータ室のコマ数オーバー問題は校舎を増築しないと解決困難な問題なので、たとえ年月が十数年と経っても「情報II」を開講する高校が増えづらい可能性もありえます。
あるいは、「情報II」を座学を中心の授業にすれば開講も可能でしょうが、しかし座学なら高校卒業後でも自宅で可能だし、「なので、いちいち情報IIを開講するほどの必要もないだろう」と見送っている私学もあるでしょう。
また公立高校の場合、もし「情報II」を3年生の選択科目として開講すると、雇用しなければならない情報科教員の数も増えます。果たして財政難の日本で可能かどうか、とても先行きは暗いです。
私学の場合、いちいちコンピュータ室で情報科目を実習しなくとも、各教室にLAN完備とか、wi-fiスポットを校内に増設しまくるとか、そういう手段も使えますので(ただし学費がやや高くなるが)、受験に出ない「情報II」に投資して授業時間を2単位ぶん受験に不利にするよりもLAN増設など設備に投資すべきだという経営判断も働くかもしれません。
なお、情報IIを開講せずにLAN増設に投資する場合、教員の雇用を増やさなくて済むので、ランニング・コスト(維持費用)が掛かり続けるのも減らせますので合理的です。
理科には、「生物」・「物理」・「化学」・「地学」の4分野と、横断的な基礎科目の「科学と人間生活」の5つがありますが、しかし多くの進学校では「科学と人間生活」はありません。
進学校の理系コースでは、ふつう、「生物」・「物理」・「化学」の3つの分野を重点的に学びます(「地学」分野が含まれていない)。
さらに1年~2年生は基礎科目として、「生物基礎」・「物理基礎」・「化学基礎」と言う科目3つを2年の終わりまでに習うのが普通です。
「地学基礎」は、3年になってから文系コースなどでしか学べない場合も多くあります。あるいは、そもそも「地学基礎」すら履修できない高校も多くあります。
私立学校の進学校などで地学の履修できない高校は多いですが、実は公立高校でも地学の履修できない高校は多くあります。東京都内の都立高校でも、たとえば都立の新宿高校や小金井北高校や杉並高校や八王子北高校などには、「地学基礎」も「地学」もありません。
公立の普通科高校だからといって、必ずしも地学が履修できるとは限らないので、誤解しないようにしましょう。
また、基礎科目でないほうの3年生用「地学」は、履修出来ない高校が多くあります。
2010年以降は、文理のコース分け(文系コースと理系コース)を行っている高校では、進学校でも、文系コースでは「物理基礎」を履修できない高校も少なからずあります。(その場合、文系コースは「地学基礎」を履修することになる。)
1990年代は文系コースでも物理I(いまの「物理基礎」に相当)を履修していた進学校も多かったのですが(代わりに当時は地学基礎が履修できなかった)、今は違います。
大学付属校などを受験する際、高校での所属コースによって推薦してもらえる学科が異なる場合があります。たとえば、高校で文系コースを履修してないと併設大学の文系学科には推薦をもらえない、同様、理系コースを履修していないと併設大学の理系学科には推薦をもらえない、などです。
理系コースでは令和では、高校3年では理科は1科目しか選べないのが普通です。専門「生物」、専門「物理」、専門「化学」を選びます。
かつては理系コースの高3の理科では2科目を選ぶパターンが主流でしたが、しかし現代では1科目のパターンに変わったので、保護者からアドバイスをもらうときは注意してください。
この変化の理由は、多くの高校で、古典科目を高校3年で習うように変化したためです。(2001年ごろは理系コースでは高校3年の古典を習わない場合が普通でした。)
正直、大学受験のことだけを考えるなら、文系生徒にも「地学基礎」でなく「物理基礎」を履修させる高校に進学するほうが得です。実際、そういう私立高校の進学校もよくあります。
しかし、実際には、進学校でも「物理基礎」ではなく「地学基礎」を文系生徒に履修させる高校もそこそこあります。
子ども視点では分からないでしょうが、これは教育産業上の理由があり、じつはその地域の地学教育者の雇用を絶やさないようにするため、という文化の維持および雇用の維持という理由もあります。地域によっては近隣に大学のない地域も多く、そう言った地域では、高校で地学の科目が無いと、中学卒業以降の地学教育者の雇用が地域から無くなってしまい、文化が途絶えてしまうのです。
よって、地域の地学教育を絶やさないようにするために、入試に不利なのを知りつつ、文系生徒に教育させます。
高校3年の文系コースの理科で、大学入試共通テスト(かつての「センター試験」)対策をする場合があります。しかし、範囲が狭いからか(「生物基礎」や「化学基礎」などの基礎科目)、進学校でも高校3年の理科を行わない場合もあります。たとえば慶応大の付属高校では、高校3年の文系コースの理科を2023年の時点では行っていません。
共通テスト理科の演習の時間が少なくて済むので、余った時間で、数学IIBの未履修分野をするのが多くの高校の文系コースのパターンです。
つまり、日本国は、(理科ではなく)数学を、文系むけの理数系教育のもっとも基礎的な教科と考えているようです
なお、1990年代のかつて、「化学IB」や「生物IB」と言う科目があって、今でいう専門「化学」や専門「生物」や専門「物理」などのうち、生物IB・化学IBなら物理などの知識をつかわない(複合分野でない)分野や、物理IBなら数学の微分積分をつかわない分野を文系コースの3年生で習っていた時代も昔はあったのですが、しかし令和の今は授業時間不足により、そこまでの文系むけの高校理科の教育はなくなりました。
化学IBなどはこれはこれで学習範囲が広くて結構な勉強が必要ではあったのですが、そのぶん数学IIBの授業時間が減ってしまうので、文科省が減らすのはやむを得なかったのでしょう。
例外的に、法政大学の付属校で、まるで化学IB時代の名残のような、文系コースむけに専門「化学」や専門「生物」などを高校3年で教えていますが、かなり例外的です。慶応の付属校ですら文系コースの専門「化学」などは行っていません。べつに法政方式がいいとかは話しておらず、単にそういう事例もあるという事です。
高校の社会科の「公民」分野の科目には、必履修の「公共」と、選択科目の「政治経済」と「倫理」があります。
このうち、「倫理」を開講していない高校も多くあります。
なお、「政治経済」の内容が、中学の公民で習った政治や経済の話題の発展的な内容です。いっぽう「倫理」の内容は、哲学史です(倫理学ではありません)。
大学入試新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)には現代、「公共・政治経済」と「公共・倫理」というのがあります。
なお、中学生に分かりやすく「社会科」と言いましたが、正しくは指導要領では高校では「地理歴史・公民」という言い方に代わります。
普通科の進学コースでも、理系コースだと公民は「政治経済」すら選択できずに高校1年の「公共」で公民は終わりという場合もチラホラあります。つまり、高校1年の「公共」で理系コースは公民が終わりと言う高校もチラホラあります。
公立高校でも理系コースに「政治経済」の無い高校はありますが、ただし代わりに「日本史探究」とかが理系コースに課されていたりしますたとえば茨城県の某公立 2024年03月03日に確認.。
このような高校では、大学進学で経済学部への指定校推薦などを考えている人は、文理のコース選択は必然的に文系にしなければいけません。
なお、あまり細かくコースを調べる必要もないと思います。(指定校推薦ではない)総合型選抜や自己推薦入試やら大学は、たとえその入試方式で受験しても、必ずしも合格するわけではありません。
また、総合型選抜は基本、学校推薦型総合型選抜というものであるので、1高校あたりから受験できる人数が制限されています。
やたらと公募推薦の履修科目の要件が厳しいのは、早慶とマーチあたりくらいです。それより気にすべきは、細かい履修科目よりも、英検準1級以上や同等のTOEICなどのいずれかの成績などを学校推薦などの要件で要求している大学も多いので、英検などを対策すべきです。英文科でなくとも英検・TOEICなどを推薦の要件として要求している私立大学は多いので、注意して事前に大学3年の秋までに対策してください。
さすがに早慶マーチなどの大学付属校の大きな私立高校だと、政経も倫理も日本史探求も世界史探求もそろっているのですが、しかし大規模でない私立高校だと意外とそろっていません。
進学コースだとかコースによっては、高校3年の歴史科目は「日本史探求」しか選べない高校もよくあります(「世界史探求」が選べない)。理由は何通りか考えられますが、おそらく、学力不安のある生徒には世界史は負担が重いのでしょう。また、他の事情として「探求学習をする際、世界史は現地調査が日本では出来ないので、探究しづらい」というのもあるかもしれません。高校ごとに事情が異なるので一概に言えませんが、ともかく世界史探求を履修できない高校は意外と多いのです。
ほか、二松学舎大学の付属高校に、地理探究が無いのを発見]。大学付属校だからって、なんでも科目がそろってるわけではない。
「国語表現」という作文の多い科目を学ばない高校も多くあります。
しかし、「論理国語」で作文などは代用できるので、心配ありません。
進学校でも「文学国語」という2年生むけの科目を履修しない高校も多くあります。しかし「古典探究」という3年生むけの別科目で、より発展的な内容を学びますので、あまり心配ありません。
古典っぽい科目は、1年向けの必履修「言語の文化」、2年向けの選択「文学国語」、3年向けの選択「古典探究」の3つがあるのですが、このうち「言語の文化」はカットされる高校も多くあります。
高校2年生は、現代文っぽい「論理国語」のほうを学ぶ高校もよくあります。
なお、「現代文探求」(← 無)という科目は存在しません。なので、「論理国語」が、事実上の現代文の最高科目です。だからか進学校は、高校2年で「論理国語」、高校3年で「古典探究」というカリキュラムになるのです。
2022年以前の旧課程でも、さらに前の2010年や2000年のころから、高校2年生では現代文重視という高校も多かったので、それと同様のことを2020年代でも続けているだけなので、「文学国語」がカットされても、あまり心配ありません。
進学校では、理系コースでも高校3年で「古典探究」を習うことがよくあります。
また、このため、高校3年の理科を2科目以上ならうことは、理系コースでも不可能になっている場合もあります。
旧・センター試験に相当する新共通試験では国公立大には理系学部でも古文漢文が必須科目であり、高校2年までの教育では古文漢文が不足なので、理系コースでも「古典探究」を習うのが普通になっています。
なお、2001年ごろは、理系コースの高校3年生は「生物II」「化学II」の2科目(今でいう専門「生物」、専門「化学」に相当)、または「物理II」「化学II」の2科目を習うパターンがよくあったのですが、しかし2010年以降は1科目だけのパターンに変わっています。
なお、古典「探究」とありますが、決して『総合的な探究の時間』のように自由研究をしたりとか多くのレポートを課したりはしないので、勘違いしないようにしてください。
家庭科も、じつは科目のばらつきが高校ごとに大きいのですが、あまり関係ありません。
2単位の「家庭基礎」だけの高校もあれば、
4単位の「家庭総合」の高校もあれば、
滅多にないですが進学校でも「家庭基礎」に加えて選択科目「フードデザイン」または「保育基礎」とかのいずれか高校もあります。(実教出版と教育図書の2社がフードデザインなどを出している)
ほとんどの高校は、「家庭基礎」または「家庭総合」のどちらかです。家庭科を扱っている多くの教科書会社は、「家庭基礎」または「家庭総合」の2科目しか出版していません。
進学校の場合、受験に出ない家庭科の授業時間数を減らしたいこともあってか、「家庭基礎」だけの場合もよくあります。
選択科目は「フードデザイン」や「保育基礎」の2科目のほかにも、さらに実教出版の出している「ファッション造形基礎」とか「生活産業基礎」とか「生活産業情報」の選択科目もありますが、どれも普通科高校では滅多に聞きません。
なお、「生活産業情報」は、コンピュータリテラシー系の科目なので、「情報I」を習っていれば、特に問題ありません。これは、商業高校など実業高校の人のための家庭科科目であったりするので、普通科には関係ないでしょう。
普通科高校だと、マイクロソフト Office の使い方などを練習する時間があまり取れないので、別途、そういった実用ソフトの使い方を練習する科目があるのです。
進学校の高校だと、文系コースでも、高校3年相当の「数学C」を履修させられることがあります。これはどういう事でしょうか?
実は、もともと、2020年代の今の数学Cの内容は、1980年代から2020年代までのあいだの一時期、高校2年で教えていた時代もあった内容でした。
保健体育は、科目自体は共通です。
どこの高校も、「保健」と「体育」(スポーツの実技)の2科目です。
中学であった「技術科」(技術家庭の技術分野)は、高校の普通科では、ありません。
部分的に、中学で習ったコンピュータ関係の内容は、「情報I」に発展していきます。
なお、文化祭などのクラスの出し物で木工をするクラスも、どこの高校でも良くあります。ふつう、文化祭は毎年あるので、高校の3年間では3回、文化祭の出し物をつくることになるでしょう。
余談ですが、大学の文化祭では、木工などの出し物はないのが普通です。大学はクラスではなく「学科」で分かれますが、大学文化祭には、学科の出し物というのはありません。大学の文化祭は、一部の部活・同好会(文化部のみ)などの作品や自主研究レポートなどのパフォーマンスの場所です。ほか、大学に「体育祭」や「運動会」は無いのが普通です。
なので、クラス単位で文化祭の出し物をするのは、高校が人生で最後になるのが普通です。
まず、「数学I」("すうがくイチ" と読む)・「数学A」("すうがくエー")・「数学II」(すうがくに)・「数学B」・「数学III」(すうがくさん)・「数学C」という6科目が存在します。
基本的には、
の編成です。
まとめて、「数学I・A」、「数学II・B」、「数学III・C」と呼んだりします。
ほとんどの高校で、「数学III」・「数学C」を履修できるのは、理系コースの高校3年生だけです。(例外的に早稲田実業では文系でも数学IIIが必修)
さて、指導要領上の科目では(「数学A」ではなく)「数学探究α(アルファ)」とか「数学探究β(ベータ)」という科目は、指導要領では存在しません。よく、いくつかの高校で、高校3年のカリキュラム表に「数学探究α」とかの科目があります。
高校によって異なるので一概には言えないのですが、「数学探究○○」でよくある内容は、「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」です。
科目名の付け方に、特に法律的な決まりはないので、高校ごとに名付け方が違いますので、あくまで一例です。たとえば、文系向けセンター試験対策が、ある高校では「数学探究α」なのに別の高校では「数学探究β」だったりする事もあります。
また、参考書売り場などで「数学探究β」とかを探しても、そういう題名の参考書も検定教科書も存在していませんので、売っていません。
さて、つまり、高校では普通、2年生の終わりまでには、数学II・Bの教科書は終わりません。
おそらく、もし「数学α」だと、指導要領にある「数学A」とまぎらわしいので、探究をつけて「数学探究α」と名付けているのでしょう。
決して、『総合的な探究の時間』のような調べ学習とかレポート作成とかをたくさんするわけではないので、誤解しないように。
高校の文理コース分けで「国立文系コース」と言うのは、単にこの高校3年での「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」があるだけだったりします。べつに、特に高度な数学とかを教えているわけではありません。
つまり、1990年代は、高校3年でセンター数学II・B対策すら教えてなかった高校も多いわけです。(高校2年で数学が終わりの高校も、昔は私立高校ではチラホラあったのです。) 2001年以降、私大文系の人気が下がったので、現代のように高校3年でも数学の授業があるカリキュラムが普及して現在(2023年に本文を記述)に至るだけです。
1990年代の国立文系コースというのは、「化学IB」とか「生物IB」とかの、今でいう専門「化学」や専門「生物」レベルに近いことを学習しないといけなかったので、かなり難しかったのですが、実は令和の今はそこまでの理科の負担が無いので、単に高校3年次のコース選択で国立文系むけの高校の授業を履修するだけなら割と簡単でしょう。もっとも、コースを履修したところで国立大学に合格できる保証はありませんが。
なので令和の今はもう、いちいち「国立文系志望コース」とか「私立文系志望コース」とか国立私立の区別を言わず、単に「文系コース」のように名称統一している高校も多いです。
文系生徒の数学IIBの習得については、さすがに文系コースの高校生でも、高校3年で約6か月くらい勉強すれば(3年生になったら、もう入試まで12か月もありません。一般入試まで約9か月。推薦入試はもっと前です)、まあとりあえず理系コースの2年生の終わりの生徒の下っ端のほうの生徒に追いつき追い越せるくらいには勉強できるでしょうし。
高校の「文系コース」は、カリキュラム的には国立志望にも対応できるコースですが(少なくとも平均以上の偏差値の高校なら)、しかし実際には多くの日本の文系高校生は、そのような高度なコースの数学を履修をしても私大の文系学部に進学することになるでしょう(国立大学は学費の安さなどの理由で高倍率。また国立大学数が私立大学数に比べて極端に少ない)。
高校カリキュラムは、基本的には入試対策に有利な科目が設置されますが、いくつか例外があります。
公立高校だと、普通科高校でも偏差値高めの高校では、入試に不利な科目も取れてしまいます。具体的には、「地学基礎」「地学」、「音楽II」「美術II」「書道II」のような芸術II以降、家庭科の「フードデザイン」みたいな科目、などです。
ただし、公立高校だからといって、必ずしも「地学基礎」「地学」が取れるとは限らず、実際に「地学基礎」の取れない公立高校もあります。おそらく、進学実績先の偏差値が低めの高校は、地元の教育委員会などから指導が入るのでしょうか、進学に不利な科目は取れない高校になる傾向が見られます。
なお、「情報II」については、公立でも私立でも、まだ多くの高校で開講されていません。優れた指導例が蓄積されるまで、「情報II」は様子見でしょうか。一部の公立高校で、特にスーパーサイエンスハイスク-ルなどでもないのに「情報II」の開講が見られます。おそらく実験台でしょう。
なんとなく世間では「私立は民営なので革新的であり実験台。公立は保守的」みたいなイメージが見られますが(ここでの「革新」「保守」とは決して右翼左翼の意味ではなく、新しい物好きかどうかの意味で「革新(新しい物好き)」「保守(新しいものに用心している)」を使っている)、しかし実際には私立高校は受験でのブランド大学への進学実績を目指すので保守的なカリキュラムである事も多いです。
そのため、一部の公立高校が実験台になって、「情報II」などの授業の実験台になっています(国や都道府県からの命令でしょう)。
ほか、ごく一部の進学校で、文化上の理由で、入試に不利な科目のカリキュラムがあります。ほかの理由としては、たとえば私大(文系)の付属高校などで、学園全体での教科の知識水準の確保のためか、入試に不利な科目を置いていると見られる場合もあります。
たとえば「地学」科目は入試に不利なのですが、そのため多くの私立高校では地学の科目は無くなってきています。しかし地方などでは地域の地学教師の雇用を絶やしてはいけないので(日本は地震国なので地学教師の雇用が絶える地方はヤバイので)、一部の高校では、あえて地学の科目があります。
「べつに高校で地学をしなくても、大学で地学を学べばいいじゃないか」と疑問を思うかもしれませんが、しかし首都圏と違って地方では大学が近隣に無い地域が多いことも忘れないでください。
「家庭科」や「芸術」などの教科も同様です。家庭科は「家庭基礎」の2単位だけで高校卒業させられるのですが、しかし進学校でも「家庭基礎」でなく「家庭総合」を履修させているところもありますし、あるいは「家庭基礎」+「フードデザイン」などのパターン。
「芸術」教科でも、私立の進学校なのに芸術II(「音楽II」「美術II」のこと)や芸術IIIまで存在する高校もあります(指導要領上の卒業要件としては「音楽I」「美術I」の片方だけで良い)。私大で芸術学部を持たない大学でも、代わりに付属高校に「音楽III」「美術III」など芸術系のかなり高学年の科目が存在していたりして、そこで学園が芸術系の研究者・兼・高校教師の人材を自前で確保しているとみられます。もし学園が自前で芸術家を何人か教師などとして安定雇用で確保しておかないと、他大の美大・音大あたりの無責任な研究者の言説にダマされかねませんので。
「家庭総合」も、私大の付属校の場合、その私大に家政学部は無くとも、「家庭総合」を置くことで家庭科の知識を学園全体で確保しているのでしょう。
もし、どうしても文系コースの人が高校3年の物理基礎を勉強したい場合、授業とは別に、家での独学になります。
ただし、部活動などの時間が減ってしまうので、あまり推奨しません。
塾については、特に現役向けの塾の場合、あまりコース外の教育には積極的ではなく、コース外の受講を禁止している場合もあります。
高校卒業後や大学卒業後などに、高校在学時のコース外の科目もコツコツと勉強すれば、それで十分でしょう。
さいわい、履修外になりやすい科目は、独学のしやすい科目です。
たとえば、文系コースで履修外になりやすい「物理基礎」または「地学基礎」は、高校卒業後のあとからでも独学しやすい科目です。ただし独学だと実験はできませんので、どうしても知りたい場合、動画サイトの教育動画や、あるいは市販の資料集の付属DVDなどで、実験動画を見ることになります。
同様、理系コースの履修外になりやすい「世界史探求」や「日本史探求」といった歴史系の高校3年科目も、いわゆる「暗記科目」、よく言えば「知識科目」であるので、独学のしやすい科目です。
現在、コース分けのきつい高校が多く、そのため、文系志望の学生が高校3年の数学IIIや専門「化学」や専門「生物」などを履修するのは、ほぼ無理になっています。(2001年ごろは文系コースでも数学IIIを履修できる高校もあった。)
教育評論の書籍『分数のできない大学生』シリーズにも書いてある事例ですが、文系志望でもあえて文理のハイブリッド型の科目履修をしてセンター試験の総合点をあげたりするという受験テクニックも2001年くらいにはあったのですが(法学部志望なのに受験科目の選択科目では物理受験するという例がシリーズ書籍にありました)、しかし2020年代の現代はそういう履修方法はさまざまな事情で難しくなっています。
文理ハイブリッド型のコースは2010年以降、ほとんどの進学高校では存在しなくなっています。(昭和では、高校2年の終わりまで文理ハイブリッド型のコースの高校も多く、その場合は高校3年で文理のコースが分かれていた。)
同様、理系コースの高校生も、社会科では高校3年の「世界史探求」と「日本史探求」などは履修できないのが普通です(高校3年の社会科は理系コースでは「地理探究」と「政治経済」しか履修できない場合も多い)。
公立には文理のコース分けを(2年生ではなく)高校3年で行う高校もまだまだ残っています。
ほか、高校2年「美術II」「音楽II」が2年生では文系・理系を問わず必修の進学校の公立高校も、日本には わずかですが存在します。
ほか、芸術系とかの勉強に興味・関心ある人は、首都圏や京都・大阪や愛知なら、だいたいどの地区(スポーツの地区大会とかの「地区」)にも「音楽II」・「美術II」とか履修できる公立高校の普通科が最低でも一高校くらいはあるはずなので(ただし電車通学が必要かもしれません)、どうしても興味ある人はそれを調べてみるのも良いかもしれません。また都市部でなくても、最低でも県内に1つはそういう公立高校があると思います。
ただし、クリエイター業界などへの就職率などが良いかは知りません。また、吹奏楽部コンクールなど部活の全国大会の強豪校は、基本的には私立高校です。
ともかく、べつに音楽学科や美術学科の公立高校でなくとも、よく探せば都市部なら「地区」に1校くらい、そういうチョットした発展的な芸術科目の学べる公立の普通科高校はあります。 | [
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"text": "進学校のカリキュラムの元ネタは、",
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"text": "例外はキリスト系の高校で「聖書」とか「礼拝」とかあったりするくらいでしょうが、それすらも「キリスト教系大学の宗教推薦の要件にすぎないのでは?」と勘繰りたくなるほどです。",
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"text": "ほか、(必修最低限の「家庭基礎」2単位ではない)「家庭総合」4単位とか、進学私立では履修不可能なのが傾向です。芸術科目で、必修ではない「音楽II」とか「美術II」とかあるのは、普通科高校ではごく一部の大学付属高校くらいです。",
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"text": "また、大学の文系学部と理系学部とで、推薦の要件が大きく違うからか、高校のほうも文理のコースが分かれています。",
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"text": "文理両方を学ぶハイブリッド的なコースは2020年代、基本的に無いです。かつて2001年くらいは模索され、実験的な高校が導入していましたが、しかし現状それらの実験高校はそのようなハイブリッド方式からは撤退しました。",
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"text": "大学教授の中には教育評論などで「文系人材も理系を勉強すべきだ」とか言いますが、しかし彼らの所属大学の推薦入試の要件がそうなっていません。言動不一致、厚顔無恥(こうがん むち)と言わざるを得ません。良識派ぶりたいw:美徳シグナリングでしかないでしょう。",
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"text": "数学III・C は理系学部の推薦要件に入っていることが多いです。数学Cの半分くらいはかつては高校2年で教えていた内容なのでそれほど難しくはなく独学も可能な内容ですが、しかし推薦要件に入っているので数学Cも理系コースで履修させられます。",
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"text": "公立の進学高校の場合、基本的には私立と同じく、文理のコース分けがあり、私大推薦の要件に適した科目構成です。",
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"text": "ただし選択科目などで、多くの大学の受験に出ない家庭科「フードデザイン」とか高3「美術」・「音楽」を公立高校だとそこそこの進学高校でも履修できたりしてしまいます。",
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"text": "いっぽう私立だと、「フードデザイン」とか高3「音楽II」「美術II」などが存在しない私学も多く、そういう科目の存在自体を私立高校出身者は知らなかったりします。",
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"text": "ほか、公立高校だと文科省や教育学者などの教育実験に参加させられている高校もチラホラあるようで、たとえば進学校なのに文系コースで高2~3で「美術II」・「音楽II」が必修の公立高校が日本には実在します(高校名は隠す)。偏差値70あたりだと影を潜めますが、首都圏だと意外と偏差値60 ~ 65 あたりに、そういう実験的なカリキュラムの公立高校がチラホラと生息しています。",
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"text": "公立高校の教育実験は長くなるので、別の節にまとめます(本ページ末尾に予定)。",
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"text": "高校の教科で、「古典探究」とか「日本史探究」とかありますが、実態は、従来通りの教室内での授業です。なので、脳内では「古典探究」→「古典B」とか、「日本史探究」→「日本史B」みたいに置き換えて構いません。",
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"text": "また、別科目の「総合的な探究の時間」についても、色々と理想どおりには進んでない、残念な報告が上がっています。",
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"text": "外部サイト 『高校必修科目・探究、教員の半数「調べる時間や人脈ない」』2022.8.23 Tue 15:15 による、國學院大學との共同調査による全国の高校教師へのアンケートによると、",
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"text": "2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」の指導で、半数の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室等への人脈がない」と回答していることがトモノカイが2022年8月22日に公表した調査結果から明らかとなった。",
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"text": "とのことです。",
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"text": "また、上記とは別件ですが、せっかく探究をして良いレポートを完成させても、大学受験で総合型選抜に使おうとしても、難関大学では出願の「英検準1級以上のこと」などの足切り要件にあってしまい、探究が受験でなかなか評価されません。",
"title": "高校科目の「探究やったふり」"
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"text": "地方高校だったら地元の国立大学が探究で若干名を地域トップ高校から受け入れてくれる可能性もあるかもしれませんが、首都圏や京都・大阪には関係ない話です。首都圏の国公立大学や難関私大は、日本全国から受験生が集まってくるので、探求学習して推薦入試に使おうとしても競争倍率が高く、うまみがありません。",
"title": "高校科目の「探究やったふり」"
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"text": "それもあってか、ともかく日本のほとんどの高校では、「探究」は「やったふり」です。研究的なことをしようにも、それだけの時間ない、予算ない、人手ない。高校にはヒト・モノ・カネが与えられていないのです。",
"title": "高校科目の「探究やったふり」"
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"text": "中学校は義務教育なので、履修科目は日本全国で、総合学習系の科目以外は、教わる教科は統一です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
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"text": "しかし高校は、普通科の公立高校ですら、学校ごとに差が大きいです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
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"text": "また、時間割(「カリキュラム」ともいう)をネットでは公表してない高校も、公立高校でも私立高校でも多くあります。説明会などでしか確認しようのない高校も多くありますので、それぞれの志望校の説明会で確認してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
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"text": "なお、高校でその科目を履修していなくても大学受験できます。たとえば「情報II」を履修していなくても、大学の情報系の学科を受験でき、得点が高ければ合格できて進学できます。",
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"text": "そもそも中堅以上の私大の情報科学科の入試科目には、「情報I」も「情報II」もありません。いわゆるマーチ(明治、青学、中央、法政)の情報工学科の入試科目に、情報科目は無い状態です(「物理」や「化学」などを選ぶ)。",
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"text": "進学校で履修してない科目は、履修しても受験で利点が無いので、あまり心配する必要はありません。ですが、説明するなら、下記のようになります。",
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"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
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"text": "たとえば「芸術」教科では、指導要領では普通科の芸術科目には「音楽」・「美術」・「書道」・「工芸」の4科目があるのですが、しかし高校によってはこのうち3科目の「音楽」・「美術」・「書道」しか開講していない高校も多くあります(「工芸」科目の無い高校も多い)。",
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"text": "かなり多くの公立高校のカリキュラム表を見ても、「芸術」教科には「音楽」・「美術」・「書道」の3つしかありません。おそらく、読者の保護者の多くも、「工芸」科目はその科目の存在自体を知らないと思います。",
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"text": "さらに私立の場合、「書道」の履修できない高校や(「音楽」「美術」の2科目のみ)、美術の履修できない高校もあります(「音楽」「書道」の2科目のみ)。",
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"text": "特に、高校芸術の「書道」科目は、公立と私立とで、かなり開講の比率の差が大きい科目です。(私立高校には、「書道」科目の無い学校も多い。)",
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"text": "なので、高校で「書道」または「美術」を習いたい人は、きちんと受験前にカリキュラム表を確認しましょう。",
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"text": "けっこうな数の首都圏の私立高校で、カリキュラム表を見ると、当たり前のように「音楽」「美術」の2科目しか芸術教科には項目が無い高校が多くあります。なので私立高校の生徒や卒業生には、そもそも「書道」が高校の芸術科目として存在する可能性すら知らない場合もあります。",
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"paragraph_id": 37,
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"text": "「音楽・書道・美術の3科目が高校芸術の定番」という \"常識\" は、公立高校でしか通用しない \"常識\" です。私立高校の常識では「音楽・美術の2科目が定番」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "音楽を必修にしている私立高校もあります。立教大付属の立教女学院高校 や 城西大付属の城西高校 では、音楽Iが必修です。選択の余地がありません(なお、高校3年などで美術を履修できる)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "なお、「美術」が無い高校について、「美術」だと居残りで作品を作ったりすることもあるので、進学校では勉強時間がとられるという側面もあるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "一方、「音楽」と「書道」だと、居残りすることが基本的には少ないです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "また、美術で作品づくりをしなくても、学校によっては「総合的な探究の時間」やホームルームなどで作品づくりをできます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "たとえば、文化祭の出し物とかを作らせてもいいわけです。むしろ文化祭の出し物づくりアピールのほうがチームワークもアピールできるし、いいことづくめです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "国としては芸術はどのジャンルも平等ですが、個々の私立高校を見ると芸術科目を決して平等とは見ておらず、「正直、書道は高校の授業には相応しくない」とか「正直、美術は高校の授業には相応しくない」とかの本音が見え隠れしています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "たとえば「音楽」だとチームワークを合唱や合奏などで授業で教育として教えられますが、しかし「美術」も「書道」も現状の教育ではそうなっておらず、特に「美術」は個人主義的なカリキュラムです。もしアニメや映画などの作品を作れれば美術は別かもしれませんが、そこまでの時間も予算も多くの高校にはありません。金持ちの私学ですら、映画製作なんて無理です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "また、「音楽」だと、高校レベルだと進学校では外国の歌を外国語で歌う授業もあったりするので(公立でも私立でも)、英語(第一外国語)に加えてフランス語やドイツ語など第二外国語の練習も出来ますし実際にフランス語などの歌の練習をさせる進学校もあるので、私立高校カリキュラムでの「音楽」授業の人気が高い時間割も合点がいきそうです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "なお、動画編集ソフトの使い方の教育は、今ではもう中学校の「技術・家庭」科の技術分野で習う中学もあれば、「情報I」の実習のひとつとして習う高校もあり、もはや「美術」を通さずに動画編集の教育が可能になっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "私立高校の教員らの「(うちの高校では)フランス語やドイツ語の授業を2単位で作るほどではないが、しかしうちの生徒にはエリート高校生としてフランス語やドイツ語なども教えたいから、音楽の授業を通して教えよう。小学校でも音楽を通して国語教育をしているし・・・」という、そういう私立高校の本音および教育テクニックが見えます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "書道では知識は基本的には教わらないし、美術では美術史はもう中学卒業までで完了してます。たとえば高校美術では、美術史や色の科学(「彩度」とか「色相」とか)などについて、高校では特に新しいことは教えません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "なにか高校芸術で知識を教わるのが、今はもう「音楽」だけなのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "私立の高校の一部ですが、高校3年に「受験美術」や「受験音楽」みたいな学校設置科目で、美大・音大の対策みたいな科目を用意している私立高校の普通科も、ごく一部ですがあります。比較的によくある設置パターンとして、高校1年に他校と同様の選択芸術科目として「美術I」や「音楽I」などがあって、高校2年に芸術科目は無く、高校3年に自由選択科目として美大・音大対策むけの受験科目がある、というパターンです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "ただし、圧倒的に多数の私学の普通科は、そもそも受験音楽科目も受験美術科目も無く、高校1年の選択芸術科目だけで学校提供の授業としての芸術教育は終わりです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "高校3年の受験美術などは、他科目の授業時間を減らしますので、他分野や非芸術系の一般の国立大に進学したい人には履修が困難です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "マーチだと、青学(青学の高等部)、立教(池袋および新座(にいざ)、※ 新座は男子校、※ 女学院)、中央(杉並)、法政(法政国際および法政二高、※ 二高は男子校)、の一部の付属校に、音楽IIまたは美術IIまたはそれと同等の学校独自科目「音楽B」(立教池袋)みたいなのがあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "必ずしも大学付属校だからといって、音楽IIのような科目があるとは限りません。明治大付属明治高校にはその科目が見当たりません。なお、明治大付属「中野」高校は、音楽Iまたは美術Iを2年間にまたがって1単位ずつ(他校の半分ずつ)学びますが、音楽IIが見当たりません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "(中央「杉並」でない)中央大学高校を見ても、自由選択科目のなかに、音楽IIや美術IIなどは無いです。(法政国際高校ではない)法政大学高校に音楽IIなどは無い。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "立教女学院高校は少し特殊なので省略。立教女学院高校では音楽Iが必修です。選択の余地なし。いちおう、音楽IIや美術IIは立教女学院にあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "多くが、高校1年は他校と同様の選択芸術の美術Iや音楽I。高校2年に芸術科目は無し。高校3年に自由選択科目として受験音楽、受験美術の設置です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "高校芸術の科目は、1年次の入学前後に履修志望の科目を聞かれますが、必ずしも志望した科目を受講できるとは限りません。たとえば「音楽」科目の志望でも、新入生の「音楽」科目の志望者が殺到した場合は定員オーバーになって、「美術」や「書道」などの履修を強制される場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "なお、「書道」は不人気の科目です。多くの高校で、新入生は「音楽」か「美術」を志望します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "カリキュラム表に「音楽I」「美術I」があるからと言って、必ずしも受講できるとは限らないことに注意してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "確実にその科目を練習したいなら、単位にはなりませんが、部活動などで練習するのが確実でしょう。もっとも部活にも定員はありますが。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "なので、確実に練習したいなら、自宅でも練習するしかありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 65,
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"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "そもそも教員免許では、小中学校で教える「書写」は(「芸術」教科ではなく)「国語」教科の免許です。しかし高校の書道は、芸術科目の「書道」の免許であり、別科目の免許ですつまり、高校「書道」は、決して中学「書写」の発展ではなく、まったく別体系の別科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "一方、「美術」や「音楽」は、それぞれ短大卒でも取得できる2種免許と大卒以上の1種免許と言う違いはあるものの、基本的には中学と高校とで科目としては同じ免許です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "要するに、教員側の立場で、中学校でも教えている教員免許の発展した免許で教育しようとすると、芸術科目では「音楽」「美術」の2科目しか選択肢が無い、という事です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "要するに、多くの私立高校で、「高校芸術の書道(「書写」にあらず)は工芸科目と同じような、高校教育独自のマニアック科目」みたいに教職員などから思われているわけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "なので、もし私立高校が中学教育からの発展性を高校生に教育しようとすると、必然的に「書道」・「工芸」は高校カリキュラムからは外すことになります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "高校「書道」は、その名に反して、あまり中学「書写」からの接続性がありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "高校「書道」の根本問題として、美術の中でも小中学校の授業レベルなら書道のような美しい字のジャンルを扱えてしまいます。(「レタリング」と言って、ポスターなどの題字のデザインの仕事が美術家にもある。)教育大でも、国公立の教育大では、美術・書道専攻が一体化されて併設されている場合もチラホラあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "なお、「工芸」についても、じつは美術の中で一部は出来てしまいます。木工や七宝焼き(しっぽうやき)くらいなら、「美術」でも可能です。高校「美術」の中には立体造形の分野もあるので、その中で「工芸」的な分野も少々は扱えてしまうのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "なので結局、「美術があれば十分だよね」という考えでしょうか、私立では「うちの高校では、芸術科目は音楽・美術の2科目だけ」という高校も多いのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "「音大」・「美大」は存在しますが、しかし「書道大」と言うのは無いのです。たとえば東京芸術大学には書道の専攻は無い。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "「書道は日本の伝統」とか言われても、国公立大学には茶道学部も華道学部も和菓子学部も茶菓子学部も無ければ、剣道学部も柔道学部も無いのに、書道学部だけ特別視しろというのも、おかしな話です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "教育大には書道専攻のコースもありますが、国立の教育大はだいぶ難関です。つまり、それだけ需要が少ないという意味です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "世間では評論家によっては批判で、選択芸術科目で「書道」が存在しない私立高校を批判するかもしれませんが、しかしすでに「書道」が存在しない私立高校がもう別の業績で好意的にテレビなどで称賛されています。たとえ大学付属高校で、慶応大学と明治大学や立教大学や法政大学などの付属高校には、書道が存在していません。慶応・明治・立教・法政の付属以外にも、千葉埼玉あたりの周辺地域の私立高校などでも書道の無い私立高校はいくつも存在しています。(早稲田大と中央大の付属には「書道」がある。青学の付属には「書道」に加えて「工芸」もある。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "そもそも、いくつかの私大付属高校では「書道室」という教室そのものが存在していません。webサイトを見ても、明治大や法政大の付属校には、音楽室や美術室はあっても書道室が見つかりません。(立教の付属高校にはある。慶応の付属は和室を書道部の部室に流用。)明治の付属校の部活紹介で「美術部」や「音楽部」はあっても「書道部」は無い状態です。法政の付属校の部活紹介を見ても、「茶道部」や「華道部」はあっても「書道部」が無い状態です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "書道室も無ければ、書道に流用できそうな和室もない(首都圏などの狭い)高校の場合、仮に部活動で書道部があっても活動場所が校外の可能性もあるので、高校で書道をしたい人は事前に確認しましょう。首都圏は過密で土地不足なので校舎が狭いのです。首都圏の私立には、決してなんでもかんでも施設があるわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "書道が存在しない高校で都心・首都圏にある私立高校で、その高校出身の漫画家やイラストレーターなどがいてすでに活躍していて、ツイッターSNS住民とか漫画オタク・アニメオタクみたいな人たちにも評判のいい私立高校だったりする高校が、首都圏でいくつか既に存在します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "地方在住の偏差値なかば50前後の公立高校出身のSNS住民やアニメオタクとかの大人の多くはきっと千葉埼玉あたりの私立高校に親近感を抱いているのかもしれませんが、しかし私学のカリキュラムは一般的な公立高校とは違っています。やはり、マンガやアニメなどから社会を学ぶのは、やめたほうが良いでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "書道は不人気科目であるので、書道を開講している高校では「美術や音楽を本当は履修したかったのに、書道に回された・・・」という不本意で「書道」科目を履修する生徒が発生しがちなのですが、しかし最初から「書道」の科目自体が無い高校の場合、不本意な選択「書道」の履修の可能性が原理的に無くなります。資金力があるのに「書道」を開講しない私立高校は、そういった優しさでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "まあ、「音楽の志望だけど美術に回された」という不本意の発生する可能性もありますが、さすがに西洋音楽が好きなのに西洋美術をそこまで嫌いな生徒は少ないでしょうか。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "なお、高校の部活動での「書道部」の内容は、中学卒業までの国語の授業の「書写」とはだいぶ違う活動内容の高校も、公立・私立ともあります。たとえば草書で書くとか、大きい紙(両手を広げた幅よりも大きい紙)に書くとか、非実用性が高かったりする書道も多くあります。ペン習字みたいな実用的な「普通の紙の大きさに、上手な字を書く」みたいなのとは、だいぶ違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "ほか、芸術科目が何年生まであるかも、高校ごとに違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "例として「音楽」科目を例に述べると(「美術」などでも同様)、たとえば1年生で「音楽I」、2~3年生で「音楽II」、3年生で「音楽III」のように芸術科目は音楽も美術・書道・工芸のどれも3段階あるのですが、しかし高校によっては「音楽I」まで、あるいは「音楽II」まで、というような制限のある高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "ほか、「音楽I」を2年間かけて行う高校もあります。音楽Iは2単位なのですが、1年間あたり1単位ずつ音楽の授業をするのを2年の終わりまで続けて2単位、というわけです。当然、この場合、「音楽III」は履修できません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "公立高校などで、「音楽I」「美術I」「書道I」が3単位、というのもあります。1年生で「音楽I」を2単位、2年生で「音楽I」を1単位、という仕組みです。おそらく、進学特化の受験有利なカリキュラムに設計しすぎると教育委員会などから是正命令が入り、芸術など入試に不利な科目も少し増やしてバランスを維持するように行政命令されるのでしょう。そういった行政上の都合も公立高校のカリキュラムでは関わってきます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "この事情のためか、偏差値が高めの公立進学校でも、芸術科目が他校より少し多めという公立高校もチラホラあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "まあ、芸術科目が少なくても部活などで「美術部」「合唱部」などで経験を補うことはできますが、しかし「工芸」はその部活が無い高校が普通なので(工芸の設備そのものが無い高校が多い)、知っておきましょう。もっとも、その部活自体、3年生は夏で引退するので、音大・美大などの進学を考えている人以外は、あまり音楽IIIや美術IIIは関係ないのかもしれませんが。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "ただし、部活と違って芸術の授業では、校外の展示会などに出展をしたりはしないので、もし展示会の出典などの経験を積みたいなら、部活を中心に経験を積むことになるでしょう。(たとえば選択「音楽II」などでも、決して老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートとかは行きません。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "なお、よく高校のカリキュラム表では、「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」をまとめて、教科名として「芸術I」と書かれています。あくまで実際には「芸術I」という教科名・科目名は指導要領には存在しませんし、検定教科書も存在しません。教科名は「芸術」の2文字だけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "また、「芸術I」と書かれていても、履修できるのは「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸I」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "同様、「芸術II」と書かれていても、履修できるのは「音楽II」「美術II」「書道II」「工芸II」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸II」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "指導要領では、必履修の「情報I」 と 選択科目の「情報II」 の2つがあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "しかし「情報II」が履修できるかどうかは、高校によります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "理系大学への進学者も多い進学校などでも、「情報II」の無い高校もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "そもそも3年生になってから「情報I」を履修させる高校すら、あります。この場合、当然ですが情報IIは履修できません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "なお、「情報」教科は、かつては「情報と社会」「情報の科学」の2つに分かれていて、学校によってはどちらか片方しか履修できない場合が多かったですが(学校側が履修科目を決めていた)、しかし2022年以降は必履修の「情報I」と選択科目の「情報II」に変わったので、それは関係なくなりました。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "分かりやすい例をあげると、明治大付属 明治高校で、情報IIは高校3年生の文系科目あつかいです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "また、別の節で述べるように、理系の私立大学の理系学部では、入試科目には「情報」科目は入っていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "中堅私大(明治meiji・青学aogaku・中央chuoh・法政hoseiなど、いわゆるマーチmarch )以上の偏差値の理工学部の情報科学科(または情報工学科)の入試科目を見ると、「情報I」も「情報II」もありません。なお、立教大学および学習院大学には工学系の学部は無く(理学部はある)、したがって情報工学科もありません。マーチに学習院大学のGをつけて「GMARCH(ジーマ-チ)」と言う場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "「英語・数学・理科(「物理」または「化学」のどちらか一方)」の合計3科目、または理科に生物を含む「英語・数学・理科(「物理」または「化学」または「生物」のどれか一つ)」が一般的です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "なお、数学は「数学III」までです。数学A~Cが数学Cを含むか数学Bまでかは大学ごとに異なるので、それぞれの大学の募集要項などを確認してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "この3科目「英語・数学、理科(物理または化学)」は、情報科が普通科高校に導入される前からの90年代には既にあった伝統的な入試科目のスタイルです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "なお、東京理科大(私立)に至っては、情報工学科の入試科目の理科は「物理」のみです(英語・数学・物理)。「化学」も「生物」も理科大では情報工学科の入試科目としては認めていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "入試科目を4科目以上に増やすというような機運は、マーチでも理科大でも四工大(芝浦工大や工学院など)でも、特にみられません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "「地学」選択は、情報系の学部には入試が不利になってしまいます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "この入試科目の理由はおそらく、理工学部のほかの入試科目が3科目なのに合わせている(最近はバイオテクノロジー系の学科もあるので「生物」も理工学部の入試科目に含まれる)ものと思われます。もし、物理学科とか生物学科とか機械工学科とかすべて入試科目が3科目なのに、もし情報系だけ4科目にしてしまうと、大学側のスケジュール管理がとても難しくなってしまいます。入試科目には、このような学校法人側の営業の都合も含まれます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "新共通テスト(かつての「センター試験」の後継)に「情報I」が追加された機運に反して、じつは多くの私立大学の理系学部では大学個別の入試科目には「情報」系科目は含まれていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "早慶については入試スタイルがやや特殊なので、説明を省略します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "四工大(芝浦工大・工学院・東京都市大学・東京電機大)については、おおむね、マーチ同様の傾向で3科目が理科で「物理または化学」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "工学院と東京都市大は情報系の学部があるのに、情報学部の入試科目の3科目目は「情報」ではなく「理科」です(つまり、英語・数学・理科(物理または化学)の3科目)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "今後、年度によって各大学の入試科目の変更の可能性もあるので、必ずしも今後は上記の通りとは限りませんが、しかし少なくとも2023年の時点では、傾向として上記の通りです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "正直、IT企業の仕事では物理学・化学の知識の活用は減っていますが(たとえばツイッターあたりにいる日本の大手IT企業勤務(外資も含む)の有名プログラマーたちは、大して高校レベルの化学とか物理とか知りません)、しかし入試科目は依然(いぜん)として物理・化学を含んでいます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "一応、製造業の組み込みソフトとかを作る組み込み系とかでは物理とかの知識を使う可能性はあるので、そういう進路の可能性も若干はあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "なお、団塊ジュニア世代の文系学部(法学部や経済学など)出身のプログラマーが高校化学に詳しくてファンデルワールス力(りょく)とかアルカン・アルケンとか色々と知ってるのは、単にセンター試験時代の多くの高校で必修だった化学Iの範囲に入ってたから高校で文系コースでも化学を多めに習ってて知ってるだけであり、べつに高校3年の選択化学を履修するような猛者だったわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "あと、「情報II」を開講しない高校が多い理由は、コンピュータ室の敷地面積の問題や、教師の増員の問題もあるでしょう。特に中高一貫校では、コンピュータ室がもう中学の授業および高校「情報I」の授業で使用済みで授業コマがほとんど埋まっていたりして、これ以上の情報科目の授業を増やすのが難しい、という可能性があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "もともと旧カリキュラム(~2021年以前)では1学年ぶん「情報と社会」または「情報の科学」の片方だけを履修すれば良かったのと比べて、2022年以降の新カリキュラムでは、もし必修「情報I」に加えて「情報II」を開講するとコンピュータ室を利用する授業のコマ数が単純計算で2倍になってしまい、コンピュータ室のコマ数オーバーになってしまい実現不可能になってしまう可能性もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "コンピュータ室のコマ数オーバー問題は校舎を増築しないと解決困難な問題なので、たとえ年月が十数年と経っても「情報II」を開講する高校が増えづらい可能性もありえます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "あるいは、「情報II」を座学を中心の授業にすれば開講も可能でしょうが、しかし座学なら高校卒業後でも自宅で可能だし、「なので、いちいち情報IIを開講するほどの必要もないだろう」と見送っている私学もあるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "また公立高校の場合、もし「情報II」を3年生の選択科目として開講すると、雇用しなければならない情報科教員の数も増えます。果たして財政難の日本で可能かどうか、とても先行きは暗いです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "私学の場合、いちいちコンピュータ室で情報科目を実習しなくとも、各教室にLAN完備とか、wi-fiスポットを校内に増設しまくるとか、そういう手段も使えますので(ただし学費がやや高くなるが)、受験に出ない「情報II」に投資して授業時間を2単位ぶん受験に不利にするよりもLAN増設など設備に投資すべきだという経営判断も働くかもしれません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "なお、情報IIを開講せずにLAN増設に投資する場合、教員の雇用を増やさなくて済むので、ランニング・コスト(維持費用)が掛かり続けるのも減らせますので合理的です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "理科には、「生物」・「物理」・「化学」・「地学」の4分野と、横断的な基礎科目の「科学と人間生活」の5つがありますが、しかし多くの進学校では「科学と人間生活」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "進学校の理系コースでは、ふつう、「生物」・「物理」・「化学」の3つの分野を重点的に学びます(「地学」分野が含まれていない)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "さらに1年~2年生は基礎科目として、「生物基礎」・「物理基礎」・「化学基礎」と言う科目3つを2年の終わりまでに習うのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "「地学基礎」は、3年になってから文系コースなどでしか学べない場合も多くあります。あるいは、そもそも「地学基礎」すら履修できない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "私立学校の進学校などで地学の履修できない高校は多いですが、実は公立高校でも地学の履修できない高校は多くあります。東京都内の都立高校でも、たとえば都立の新宿高校や小金井北高校や杉並高校や八王子北高校などには、「地学基礎」も「地学」もありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "公立の普通科高校だからといって、必ずしも地学が履修できるとは限らないので、誤解しないようにしましょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "また、基礎科目でないほうの3年生用「地学」は、履修出来ない高校が多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "2010年以降は、文理のコース分け(文系コースと理系コース)を行っている高校では、進学校でも、文系コースでは「物理基礎」を履修できない高校も少なからずあります。(その場合、文系コースは「地学基礎」を履修することになる。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "1990年代は文系コースでも物理I(いまの「物理基礎」に相当)を履修していた進学校も多かったのですが(代わりに当時は地学基礎が履修できなかった)、今は違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "大学付属校などを受験する際、高校での所属コースによって推薦してもらえる学科が異なる場合があります。たとえば、高校で文系コースを履修してないと併設大学の文系学科には推薦をもらえない、同様、理系コースを履修していないと併設大学の理系学科には推薦をもらえない、などです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "理系コースでは令和では、高校3年では理科は1科目しか選べないのが普通です。専門「生物」、専門「物理」、専門「化学」を選びます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "かつては理系コースの高3の理科では2科目を選ぶパターンが主流でしたが、しかし現代では1科目のパターンに変わったので、保護者からアドバイスをもらうときは注意してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "この変化の理由は、多くの高校で、古典科目を高校3年で習うように変化したためです。(2001年ごろは理系コースでは高校3年の古典を習わない場合が普通でした。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "正直、大学受験のことだけを考えるなら、文系生徒にも「地学基礎」でなく「物理基礎」を履修させる高校に進学するほうが得です。実際、そういう私立高校の進学校もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "しかし、実際には、進学校でも「物理基礎」ではなく「地学基礎」を文系生徒に履修させる高校もそこそこあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "子ども視点では分からないでしょうが、これは教育産業上の理由があり、じつはその地域の地学教育者の雇用を絶やさないようにするため、という文化の維持および雇用の維持という理由もあります。地域によっては近隣に大学のない地域も多く、そう言った地域では、高校で地学の科目が無いと、中学卒業以降の地学教育者の雇用が地域から無くなってしまい、文化が途絶えてしまうのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "よって、地域の地学教育を絶やさないようにするために、入試に不利なのを知りつつ、文系生徒に教育させます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "高校3年の文系コースの理科で、大学入試共通テスト(かつての「センター試験」)対策をする場合があります。しかし、範囲が狭いからか(「生物基礎」や「化学基礎」などの基礎科目)、進学校でも高校3年の理科を行わない場合もあります。たとえば慶応大の付属高校では、高校3年の文系コースの理科を2023年の時点では行っていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "共通テスト理科の演習の時間が少なくて済むので、余った時間で、数学IIBの未履修分野をするのが多くの高校の文系コースのパターンです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "つまり、日本国は、(理科ではなく)数学を、文系むけの理数系教育のもっとも基礎的な教科と考えているようです",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "なお、1990年代のかつて、「化学IB」や「生物IB」と言う科目があって、今でいう専門「化学」や専門「生物」や専門「物理」などのうち、生物IB・化学IBなら物理などの知識をつかわない(複合分野でない)分野や、物理IBなら数学の微分積分をつかわない分野を文系コースの3年生で習っていた時代も昔はあったのですが、しかし令和の今は授業時間不足により、そこまでの文系むけの高校理科の教育はなくなりました。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "化学IBなどはこれはこれで学習範囲が広くて結構な勉強が必要ではあったのですが、そのぶん数学IIBの授業時間が減ってしまうので、文科省が減らすのはやむを得なかったのでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "例外的に、法政大学の付属校で、まるで化学IB時代の名残のような、文系コースむけに専門「化学」や専門「生物」などを高校3年で教えていますが、かなり例外的です。慶応の付属校ですら文系コースの専門「化学」などは行っていません。べつに法政方式がいいとかは話しておらず、単にそういう事例もあるという事です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "高校の社会科の「公民」分野の科目には、必履修の「公共」と、選択科目の「政治経済」と「倫理」があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "このうち、「倫理」を開講していない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "なお、「政治経済」の内容が、中学の公民で習った政治や経済の話題の発展的な内容です。いっぽう「倫理」の内容は、哲学史です(倫理学ではありません)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "大学入試新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)には現代、「公共・政治経済」と「公共・倫理」というのがあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "なお、中学生に分かりやすく「社会科」と言いましたが、正しくは指導要領では高校では「地理歴史・公民」という言い方に代わります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "普通科の進学コースでも、理系コースだと公民は「政治経済」すら選択できずに高校1年の「公共」で公民は終わりという場合もチラホラあります。つまり、高校1年の「公共」で理系コースは公民が終わりと言う高校もチラホラあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "公立高校でも理系コースに「政治経済」の無い高校はありますが、ただし代わりに「日本史探究」とかが理系コースに課されていたりしますたとえば茨城県の某公立 2024年03月03日に確認.。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "このような高校では、大学進学で経済学部への指定校推薦などを考えている人は、文理のコース選択は必然的に文系にしなければいけません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "なお、あまり細かくコースを調べる必要もないと思います。(指定校推薦ではない)総合型選抜や自己推薦入試やら大学は、たとえその入試方式で受験しても、必ずしも合格するわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "また、総合型選抜は基本、学校推薦型総合型選抜というものであるので、1高校あたりから受験できる人数が制限されています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "やたらと公募推薦の履修科目の要件が厳しいのは、早慶とマーチあたりくらいです。それより気にすべきは、細かい履修科目よりも、英検準1級以上や同等のTOEICなどのいずれかの成績などを学校推薦などの要件で要求している大学も多いので、英検などを対策すべきです。英文科でなくとも英検・TOEICなどを推薦の要件として要求している私立大学は多いので、注意して事前に大学3年の秋までに対策してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "さすがに早慶マーチなどの大学付属校の大きな私立高校だと、政経も倫理も日本史探求も世界史探求もそろっているのですが、しかし大規模でない私立高校だと意外とそろっていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "進学コースだとかコースによっては、高校3年の歴史科目は「日本史探求」しか選べない高校もよくあります(「世界史探求」が選べない)。理由は何通りか考えられますが、おそらく、学力不安のある生徒には世界史は負担が重いのでしょう。また、他の事情として「探求学習をする際、世界史は現地調査が日本では出来ないので、探究しづらい」というのもあるかもしれません。高校ごとに事情が異なるので一概に言えませんが、ともかく世界史探求を履修できない高校は意外と多いのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "ほか、二松学舎大学の付属高校に、地理探究が無いのを発見]。大学付属校だからって、なんでも科目がそろってるわけではない。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "「国語表現」という作文の多い科目を学ばない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "しかし、「論理国語」で作文などは代用できるので、心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "進学校でも「文学国語」という2年生むけの科目を履修しない高校も多くあります。しかし「古典探究」という3年生むけの別科目で、より発展的な内容を学びますので、あまり心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "古典っぽい科目は、1年向けの必履修「言語の文化」、2年向けの選択「文学国語」、3年向けの選択「古典探究」の3つがあるのですが、このうち「言語の文化」はカットされる高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "高校2年生は、現代文っぽい「論理国語」のほうを学ぶ高校もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "なお、「現代文探求」(← 無)という科目は存在しません。なので、「論理国語」が、事実上の現代文の最高科目です。だからか進学校は、高校2年で「論理国語」、高校3年で「古典探究」というカリキュラムになるのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "2022年以前の旧課程でも、さらに前の2010年や2000年のころから、高校2年生では現代文重視という高校も多かったので、それと同様のことを2020年代でも続けているだけなので、「文学国語」がカットされても、あまり心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "進学校では、理系コースでも高校3年で「古典探究」を習うことがよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "また、このため、高校3年の理科を2科目以上ならうことは、理系コースでも不可能になっている場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "旧・センター試験に相当する新共通試験では国公立大には理系学部でも古文漢文が必須科目であり、高校2年までの教育では古文漢文が不足なので、理系コースでも「古典探究」を習うのが普通になっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "なお、2001年ごろは、理系コースの高校3年生は「生物II」「化学II」の2科目(今でいう専門「生物」、専門「化学」に相当)、または「物理II」「化学II」の2科目を習うパターンがよくあったのですが、しかし2010年以降は1科目だけのパターンに変わっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "なお、古典「探究」とありますが、決して『総合的な探究の時間』のように自由研究をしたりとか多くのレポートを課したりはしないので、勘違いしないようにしてください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "家庭科も、じつは科目のばらつきが高校ごとに大きいのですが、あまり関係ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "2単位の「家庭基礎」だけの高校もあれば、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "4単位の「家庭総合」の高校もあれば、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "滅多にないですが進学校でも「家庭基礎」に加えて選択科目「フードデザイン」または「保育基礎」とかのいずれか高校もあります。(実教出版と教育図書の2社がフードデザインなどを出している)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "ほとんどの高校は、「家庭基礎」または「家庭総合」のどちらかです。家庭科を扱っている多くの教科書会社は、「家庭基礎」または「家庭総合」の2科目しか出版していません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "進学校の場合、受験に出ない家庭科の授業時間数を減らしたいこともあってか、「家庭基礎」だけの場合もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "選択科目は「フードデザイン」や「保育基礎」の2科目のほかにも、さらに実教出版の出している「ファッション造形基礎」とか「生活産業基礎」とか「生活産業情報」の選択科目もありますが、どれも普通科高校では滅多に聞きません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "なお、「生活産業情報」は、コンピュータリテラシー系の科目なので、「情報I」を習っていれば、特に問題ありません。これは、商業高校など実業高校の人のための家庭科科目であったりするので、普通科には関係ないでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "普通科高校だと、マイクロソフト Office の使い方などを練習する時間があまり取れないので、別途、そういった実用ソフトの使い方を練習する科目があるのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "進学校の高校だと、文系コースでも、高校3年相当の「数学C」を履修させられることがあります。これはどういう事でしょうか?",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "実は、もともと、2020年代の今の数学Cの内容は、1980年代から2020年代までのあいだの一時期、高校2年で教えていた時代もあった内容でした。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "保健体育は、科目自体は共通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "どこの高校も、「保健」と「体育」(スポーツの実技)の2科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "中学であった「技術科」(技術家庭の技術分野)は、高校の普通科では、ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "部分的に、中学で習ったコンピュータ関係の内容は、「情報I」に発展していきます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "なお、文化祭などのクラスの出し物で木工をするクラスも、どこの高校でも良くあります。ふつう、文化祭は毎年あるので、高校の3年間では3回、文化祭の出し物をつくることになるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "余談ですが、大学の文化祭では、木工などの出し物はないのが普通です。大学はクラスではなく「学科」で分かれますが、大学文化祭には、学科の出し物というのはありません。大学の文化祭は、一部の部活・同好会(文化部のみ)などの作品や自主研究レポートなどのパフォーマンスの場所です。ほか、大学に「体育祭」や「運動会」は無いのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "なので、クラス単位で文化祭の出し物をするのは、高校が人生で最後になるのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "まず、「数学I」(\"すうがくイチ\" と読む)・「数学A」(\"すうがくエー\")・「数学II」(すうがくに)・「数学B」・「数学III」(すうがくさん)・「数学C」という6科目が存在します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "基本的には、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
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"text": "の編成です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 203,
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"text": "まとめて、「数学I・A」、「数学II・B」、「数学III・C」と呼んだりします。",
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},
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"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "ほとんどの高校で、「数学III」・「数学C」を履修できるのは、理系コースの高校3年生だけです。(例外的に早稲田実業では文系でも数学IIIが必修)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "さて、指導要領上の科目では(「数学A」ではなく)「数学探究α(アルファ)」とか「数学探究β(ベータ)」という科目は、指導要領では存在しません。よく、いくつかの高校で、高校3年のカリキュラム表に「数学探究α」とかの科目があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "高校によって異なるので一概には言えないのですが、「数学探究○○」でよくある内容は、「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "科目名の付け方に、特に法律的な決まりはないので、高校ごとに名付け方が違いますので、あくまで一例です。たとえば、文系向けセンター試験対策が、ある高校では「数学探究α」なのに別の高校では「数学探究β」だったりする事もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "また、参考書売り場などで「数学探究β」とかを探しても、そういう題名の参考書も検定教科書も存在していませんので、売っていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "さて、つまり、高校では普通、2年生の終わりまでには、数学II・Bの教科書は終わりません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "おそらく、もし「数学α」だと、指導要領にある「数学A」とまぎらわしいので、探究をつけて「数学探究α」と名付けているのでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "決して、『総合的な探究の時間』のような調べ学習とかレポート作成とかをたくさんするわけではないので、誤解しないように。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "高校の文理コース分けで「国立文系コース」と言うのは、単にこの高校3年での「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」があるだけだったりします。べつに、特に高度な数学とかを教えているわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "つまり、1990年代は、高校3年でセンター数学II・B対策すら教えてなかった高校も多いわけです。(高校2年で数学が終わりの高校も、昔は私立高校ではチラホラあったのです。) 2001年以降、私大文系の人気が下がったので、現代のように高校3年でも数学の授業があるカリキュラムが普及して現在(2023年に本文を記述)に至るだけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "1990年代の国立文系コースというのは、「化学IB」とか「生物IB」とかの、今でいう専門「化学」や専門「生物」レベルに近いことを学習しないといけなかったので、かなり難しかったのですが、実は令和の今はそこまでの理科の負担が無いので、単に高校3年次のコース選択で国立文系むけの高校の授業を履修するだけなら割と簡単でしょう。もっとも、コースを履修したところで国立大学に合格できる保証はありませんが。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "なので令和の今はもう、いちいち「国立文系志望コース」とか「私立文系志望コース」とか国立私立の区別を言わず、単に「文系コース」のように名称統一している高校も多いです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "文系生徒の数学IIBの習得については、さすがに文系コースの高校生でも、高校3年で約6か月くらい勉強すれば(3年生になったら、もう入試まで12か月もありません。一般入試まで約9か月。推薦入試はもっと前です)、まあとりあえず理系コースの2年生の終わりの生徒の下っ端のほうの生徒に追いつき追い越せるくらいには勉強できるでしょうし。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "高校の「文系コース」は、カリキュラム的には国立志望にも対応できるコースですが(少なくとも平均以上の偏差値の高校なら)、しかし実際には多くの日本の文系高校生は、そのような高度なコースの数学を履修をしても私大の文系学部に進学することになるでしょう(国立大学は学費の安さなどの理由で高倍率。また国立大学数が私立大学数に比べて極端に少ない)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "高校カリキュラムは、基本的には入試対策に有利な科目が設置されますが、いくつか例外があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "公立高校だと、普通科高校でも偏差値高めの高校では、入試に不利な科目も取れてしまいます。具体的には、「地学基礎」「地学」、「音楽II」「美術II」「書道II」のような芸術II以降、家庭科の「フードデザイン」みたいな科目、などです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "ただし、公立高校だからといって、必ずしも「地学基礎」「地学」が取れるとは限らず、実際に「地学基礎」の取れない公立高校もあります。おそらく、進学実績先の偏差値が低めの高校は、地元の教育委員会などから指導が入るのでしょうか、進学に不利な科目は取れない高校になる傾向が見られます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "なお、「情報II」については、公立でも私立でも、まだ多くの高校で開講されていません。優れた指導例が蓄積されるまで、「情報II」は様子見でしょうか。一部の公立高校で、特にスーパーサイエンスハイスク-ルなどでもないのに「情報II」の開講が見られます。おそらく実験台でしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "なんとなく世間では「私立は民営なので革新的であり実験台。公立は保守的」みたいなイメージが見られますが(ここでの「革新」「保守」とは決して右翼左翼の意味ではなく、新しい物好きかどうかの意味で「革新(新しい物好き)」「保守(新しいものに用心している)」を使っている)、しかし実際には私立高校は受験でのブランド大学への進学実績を目指すので保守的なカリキュラムである事も多いです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "そのため、一部の公立高校が実験台になって、「情報II」などの授業の実験台になっています(国や都道府県からの命令でしょう)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "ほか、ごく一部の進学校で、文化上の理由で、入試に不利な科目のカリキュラムがあります。ほかの理由としては、たとえば私大(文系)の付属高校などで、学園全体での教科の知識水準の確保のためか、入試に不利な科目を置いていると見られる場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "たとえば「地学」科目は入試に不利なのですが、そのため多くの私立高校では地学の科目は無くなってきています。しかし地方などでは地域の地学教師の雇用を絶やしてはいけないので(日本は地震国なので地学教師の雇用が絶える地方はヤバイので)、一部の高校では、あえて地学の科目があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "「べつに高校で地学をしなくても、大学で地学を学べばいいじゃないか」と疑問を思うかもしれませんが、しかし首都圏と違って地方では大学が近隣に無い地域が多いことも忘れないでください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "「家庭科」や「芸術」などの教科も同様です。家庭科は「家庭基礎」の2単位だけで高校卒業させられるのですが、しかし進学校でも「家庭基礎」でなく「家庭総合」を履修させているところもありますし、あるいは「家庭基礎」+「フードデザイン」などのパターン。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "「芸術」教科でも、私立の進学校なのに芸術II(「音楽II」「美術II」のこと)や芸術IIIまで存在する高校もあります(指導要領上の卒業要件としては「音楽I」「美術I」の片方だけで良い)。私大で芸術学部を持たない大学でも、代わりに付属高校に「音楽III」「美術III」など芸術系のかなり高学年の科目が存在していたりして、そこで学園が芸術系の研究者・兼・高校教師の人材を自前で確保しているとみられます。もし学園が自前で芸術家を何人か教師などとして安定雇用で確保しておかないと、他大の美大・音大あたりの無責任な研究者の言説にダマされかねませんので。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "「家庭総合」も、私大の付属校の場合、その私大に家政学部は無くとも、「家庭総合」を置くことで家庭科の知識を学園全体で確保しているのでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "もし、どうしても文系コースの人が高校3年の物理基礎を勉強したい場合、授業とは別に、家での独学になります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "ただし、部活動などの時間が減ってしまうので、あまり推奨しません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "塾については、特に現役向けの塾の場合、あまりコース外の教育には積極的ではなく、コース外の受講を禁止している場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "高校卒業後や大学卒業後などに、高校在学時のコース外の科目もコツコツと勉強すれば、それで十分でしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "さいわい、履修外になりやすい科目は、独学のしやすい科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "たとえば、文系コースで履修外になりやすい「物理基礎」または「地学基礎」は、高校卒業後のあとからでも独学しやすい科目です。ただし独学だと実験はできませんので、どうしても知りたい場合、動画サイトの教育動画や、あるいは市販の資料集の付属DVDなどで、実験動画を見ることになります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "同様、理系コースの履修外になりやすい「世界史探求」や「日本史探求」といった歴史系の高校3年科目も、いわゆる「暗記科目」、よく言えば「知識科目」であるので、独学のしやすい科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "現在、コース分けのきつい高校が多く、そのため、文系志望の学生が高校3年の数学IIIや専門「化学」や専門「生物」などを履修するのは、ほぼ無理になっています。(2001年ごろは文系コースでも数学IIIを履修できる高校もあった。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "教育評論の書籍『分数のできない大学生』シリーズにも書いてある事例ですが、文系志望でもあえて文理のハイブリッド型の科目履修をしてセンター試験の総合点をあげたりするという受験テクニックも2001年くらいにはあったのですが(法学部志望なのに受験科目の選択科目では物理受験するという例がシリーズ書籍にありました)、しかし2020年代の現代はそういう履修方法はさまざまな事情で難しくなっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "文理ハイブリッド型のコースは2010年以降、ほとんどの進学高校では存在しなくなっています。(昭和では、高校2年の終わりまで文理ハイブリッド型のコースの高校も多く、その場合は高校3年で文理のコースが分かれていた。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "同様、理系コースの高校生も、社会科では高校3年の「世界史探求」と「日本史探求」などは履修できないのが普通です(高校3年の社会科は理系コースでは「地理探究」と「政治経済」しか履修できない場合も多い)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "公立には文理のコース分けを(2年生ではなく)高校3年で行う高校もまだまだ残っています。",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "ほか、高校2年「美術II」「音楽II」が2年生では文系・理系を問わず必修の進学校の公立高校も、日本には わずかですが存在します。",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "ほか、芸術系とかの勉強に興味・関心ある人は、首都圏や京都・大阪や愛知なら、だいたいどの地区(スポーツの地区大会とかの「地区」)にも「音楽II」・「美術II」とか履修できる公立高校の普通科が最低でも一高校くらいはあるはずなので(ただし電車通学が必要かもしれません)、どうしても興味ある人はそれを調べてみるのも良いかもしれません。また都市部でなくても、最低でも県内に1つはそういう公立高校があると思います。",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "ただし、クリエイター業界などへの就職率などが良いかは知りません。また、吹奏楽部コンクールなど部活の全国大会の強豪校は、基本的には私立高校です。",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "ともかく、べつに音楽学科や美術学科の公立高校でなくとも、よく探せば都市部なら「地区」に1校くらい、そういうチョットした発展的な芸術科目の学べる公立の普通科高校はあります。",
"title": "公立高校の教育実験の事例"
}
] | null | == 進学校のカリキュラムの元ネタ ==
=== 私立の場合 ===
進学校のカリキュラムの元ネタは、
:難関私大の公募推薦(総合型選抜や自己推薦)要件の科目 + 新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)対策
です。
例外はキリスト系の高校で「聖書」とか「礼拝」とかあったりするくらいでしょうが、それすらも「キリスト教系大学の宗教推薦の要件にすぎないのでは?」と勘繰りたくなるほどです。
ほか、(必修最低限の「家庭基礎」2単位ではない)「家庭総合」4単位とか、進学私立では履修不可能なのが傾向です。芸術科目で、必修ではない「音楽II」とか「美術II」とかあるのは、普通科高校ではごく一部の大学付属高校くらいです。
また、大学の文系学部と理系学部とで、推薦の要件が大きく違うからか、高校のほうも文理のコースが分かれています。
文理両方を学ぶハイブリッド的なコースは2020年代、基本的に無いです。かつて2001年くらいは模索され、実験的な高校が導入していましたが、しかし現状それらの実験高校はそのようなハイブリッド方式からは撤退しました。
文系学部では、数学IIIとか専門「化学」「物理」「生物」とか推薦要件でないので、多くの高校でも文系コースでは履修できません。
大学教授の中には教育評論などで「文系人材も理系を勉強すべきだ」とか言いますが、しかし彼らの所属大学の推薦入試の要件がそうなっていません。言動不一致、厚顔無恥(こうがん むち)と言わざるを得ません。良識派ぶりたい[[w:美徳シグナリング]]でしかないでしょう。
数学III・C は理系学部の推薦要件に入っていることが多いです。数学Cの半分くらいはかつては高校2年で教えていた内容なのでそれほど難しくはなく独学も可能な内容ですが、しかし推薦要件に入っているので数学Cも理系コースで履修させられます。
なお、令和の現代、数学Cが文系コースでも進学校だと国立対策として履修させられます。新共通テストがそういう風に仕組みが変わっており、文系でも数学Cが共テ受験できる制度に変わっているからです。
=== 公立の場合 ===
公立の進学高校の場合、基本的には私立と同じく、文理のコース分けがあり、私大推薦の要件に適した科目構成です。
ただし選択科目などで、多くの大学の受験に出ない家庭科「フードデザイン」とか高3「美術」・「音楽」を公立高校だとそこそこの進学高校でも履修できたりしてしまいます。
いっぽう私立だと、「フードデザイン」とか高3「音楽II」「美術II」などが存在しない私学も多く、そういう科目の存在自体を私立高校出身者は知らなかったりします。
ほか、公立高校だと文科省や教育学者などの教育実験に参加させられている高校もチラホラあるようで、たとえば進学校なのに文系コースで高2~3で「美術II」・「音楽II」が必修の公立高校が日本には実在します(高校名は隠す)。偏差値70あたりだと影を潜めますが、首都圏だと意外と偏差値60 ~ 65 あたりに、そういう実験的なカリキュラムの公立高校がチラホラと生息しています。
:※ 「2年次以降の必修でない選択としての芸術 II をwiki編集者は勘違いしてるのでは?」と思うかもしれないが、しかし教育課程表を見ると芸術科目の単位数が合計「4」単位と書いてあるので必修なのは確実(芸術Iと芸術IIはそれぞれ2単位なので、合計4単位とるには芸術IIも必修でなければならない)。
公立高校の教育実験は長くなるので、別の節にまとめます(本ページ末尾に予定)。
== 高校科目の「探究やったふり」 ==
高校の教科で、「古典探究」とか「日本史探究」とかありますが、実態は、従来通りの教室内での授業です。なので、脳内では「古典探究」→「古典B」とか、「日本史探究」→「日本史B」みたいに置き換えて構いません。
また、別科目の「総合的な探究の時間」についても、色々と理想どおりには進んでない、残念な報告が上がっています。
外部サイト [https://reseed.resemom.jp/article/2022/08/23/4530.html 『高校必修科目・探究、教員の半数「調べる時間や人脈ない」』2022.8.23 Tue 15:15] による、國學院大學との共同調査による全国の高校教師へのアンケートによると、
<blockquote>
2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」の指導で、半数の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室等への人脈がない」と回答していることがトモノカイが2022年8月22日に公表した調査結果から明らかとなった。
</blockquote>
とのことです。
また、上記とは別件ですが、せっかく探究をして良いレポートを完成させても、大学受験で総合型選抜に使おうとしても、難関大学では出願の「英検準1級以上のこと」などの足切り要件にあってしまい、探究が受験でなかなか評価されません。
地方高校だったら地元の国立大学が探究で若干名を地域トップ高校から受け入れてくれる可能性もあるかもしれませんが、首都圏や京都・大阪には関係ない話です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI&t=219s (動画)山内太地『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』2022/10/13]</ref>。首都圏の国公立大学や難関私大は、日本全国から受験生が集まってくるので、探求学習して推薦入試に使おうとしても競争倍率が高く、うまみがありません。
それもあってか、ともかく日本のほとんどの高校では、「探究」は「やったふり」です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=X7FArKNrwxk (動画)山内太地『国の思惑通りにいかなかった高大接続改革の悲惨な現状』2023/11/29、 5:00 あたり]</ref>。研究的なことをしようにも、それだけの時間ない、予算ない、人手ない。高校にはヒト・モノ・カネが与えられていないのです。
== 高校カリキュラムのばらつきと共通性 ==
中学校は義務教育なので、履修科目は日本全国で、総合学習系の科目以外は、教わる教科は統一です。
しかし高校は、普通科の公立高校ですら、学校ごとに差が大きいです。
また、時間割(「カリキュラム」ともいう)をネットでは公表してない高校も、公立高校でも私立高校でも多くあります。説明会などでしか確認しようのない高校も多くありますので、それぞれの志望校の説明会で確認してください。
なお、高校でその科目を履修していなくても大学受験できます。たとえば「情報II」を履修していなくても、大学の情報系の学科を受験でき、得点が高ければ合格できて進学できます。
そもそも中堅以上の私大の情報科学科の入試科目には、「情報I」も「情報II」もありません。いわゆるマーチ(明治、青学、中央、法政)の情報工学科の入試科目に、情報科目は無い状態です(「物理」や「化学」などを選ぶ)。
進学校で履修してない科目は、履修しても受験で利点が無いので、あまり心配する必要はありません。ですが、説明するなら、下記のようになります。
=== 芸術科目 ===
==== 基本 ====
たとえば「芸術」教科では、指導要領では普通科の芸術科目には「音楽」・「美術」・「書道」・「工芸」の4科目があるのですが、しかし高校によってはこのうち3科目の「音楽」・「美術」・「書道」しか開講していない高校も多くあります(「工芸」科目の無い高校も多い)。
かなり多くの公立高校のカリキュラム表を見ても、「芸術」教科には「音楽」・「美術」・「書道」の3つしかありません。おそらく、読者の保護者の多くも、「工芸」科目はその科目の存在自体を知らないと思います。
;「書道」の無い私立。「美術」の無い私立
さらに私立の場合、「書道」の履修できない高校や(「音楽」「美術」の2科目のみ)、美術の履修できない高校もあります(「音楽」「書道」の2科目のみ)。
特に、高校芸術の「書道」科目は、公立と私立とで、かなり開講の比率の差が大きい科目です。(私立高校には、「書道」科目の無い学校も多い。)
なので、高校で「書道」または「美術」を習いたい人は、きちんと受験前にカリキュラム表を確認しましょう。
けっこうな数の首都圏の私立高校で、カリキュラム表を見ると、当たり前のように「音楽」「美術」の2科目しか芸術教科には項目が無い高校が多くあります。なので私立高校の生徒や卒業生には、そもそも「書道」が高校の芸術科目として存在する可能性すら知らない場合もあります。
「音楽・書道・美術の3科目が高校芸術の定番」という "常識" は、公立高校でしか通用しない "常識" です。私立高校の常識では「音楽・美術の2科目が定番」です。
音楽を必修にしている私立高校もあります。立教大付属の立教女学院高校 や 城西大付属の城西高校 では、音楽Iが必修です。選択の余地がありません(なお、高校3年などで美術を履修できる)。
なお、「美術」が無い高校について、「美術」だと居残りで作品を作ったりすることもあるので、進学校では勉強時間がとられるという側面もあるでしょう。
一方、「音楽」と「書道」だと、居残りすることが基本的には少ないです。
また、美術で作品づくりをしなくても、学校によっては「総合的な探究の時間」やホームルームなどで作品づくりをできます。
たとえば、文化祭の出し物とかを作らせてもいいわけです。むしろ文化祭の出し物づくりアピールのほうがチームワークもアピールできるし、いいことづくめです。
国としては芸術はどのジャンルも平等ですが、個々の私立高校を見ると芸術科目を決して平等とは見ておらず、「正直、書道は高校の授業には相応しくない」とか「正直、美術は高校の授業には相応しくない」とかの本音が見え隠れしています。
たとえば「音楽」だとチームワークを合唱や合奏などで授業で教育として教えられますが、しかし「美術」も「書道」も現状の教育ではそうなっておらず、特に「美術」は個人主義的なカリキュラムです。もしアニメや映画などの作品を作れれば美術は別かもしれませんが、そこまでの時間も予算も多くの高校にはありません。金持ちの私学ですら、映画製作なんて無理です。
また、「音楽」だと、高校レベルだと進学校では外国の歌を外国語で歌う授業もあったりするので(公立でも私立でも)、英語(第一外国語)に加えてフランス語やドイツ語など第二外国語の練習も出来ますし実際にフランス語などの歌の練習をさせる進学校もあるので、私立高校カリキュラムでの「音楽」授業の人気が高い時間割も合点がいきそうです。
なお、動画編集ソフトの使い方の教育は、今ではもう中学校の「技術・家庭」科の技術分野で習う中学もあれば、「情報I」の実習のひとつとして習う高校もあり、もはや「美術」を通さずに動画編集の教育が可能になっています。
私立高校の教員らの「(うちの高校では)フランス語やドイツ語の授業を2単位で作るほどではないが、しかしうちの生徒にはエリート高校生としてフランス語やドイツ語なども教えたいから、音楽の授業を通して教えよう。小学校でも音楽を通して国語教育をしているし・・・」という、そういう私立高校の本音および教育テクニックが見えます。
書道では知識は基本的には教わらないし、美術では美術史はもう中学卒業までで完了してます。たとえば高校美術では、美術史や色の科学(「彩度」とか「色相」とか)などについて、高校では特に新しいことは教えません。
なにか高校芸術で知識を教わるのが、今はもう「音楽」だけなのです。
;一部の私学の高校3年「受験美術」「受験音楽」科目
私立の高校の一部ですが、高校3年に「受験美術」や「受験音楽」みたいな学校設置科目で、美大・音大の対策みたいな科目を用意している私立高校の普通科も、ごく一部ですがあります。比較的によくある設置パターンとして、高校1年に他校と同様の選択芸術科目として「美術I」や「音楽I」などがあって、高校2年に芸術科目は無く、高校3年に自由選択科目として美大・音大対策むけの受験科目がある、というパターンです。
ただし、圧倒的に多数の私学の普通科は、そもそも受験音楽科目も受験美術科目も無く、高校1年の選択芸術科目だけで学校提供の授業としての芸術教育は終わりです。
高校3年の受験美術などは、他科目の授業時間を減らしますので、他分野や非芸術系の一般の国立大に進学したい人には履修が困難です。
;大学付属校
マーチだと、青学(青学の高等部)、立教(池袋および新座(にいざ)、※ 新座は男子校、※ 女学院)、中央(杉並)、法政(法政国際および法政二高、※ 二高は男子校)、の一部の付属校に、音楽IIまたは美術IIまたはそれと同等の学校独自科目「音楽B」(立教池袋)みたいなのがあります。
必ずしも大学付属校だからといって、音楽IIのような科目があるとは限りません。明治大付属明治高校にはその科目が見当たりません。なお、明治大付属「中野」高校は、音楽Iまたは美術Iを2年間にまたがって1単位ずつ(他校の半分ずつ)学びますが<ref>[https://www.meinaka.jp/education/curriculum/high-school-curriculum.html 『高等学校の学び|明治大学付属中野中学・高等学校』 ]</ref>、音楽IIが見当たりません。
(中央「杉並」でない)中央大学高校を見ても、自由選択科目のなかに、音楽IIや美術IIなどは無いです<ref>[https://www.cu-hs.chuo-u.ac.jp/study/process/ 『教育課程|学習指導|中央大学高等学校』 ]</ref>。(法政国際高校ではない)法政大学高校に音楽IIなどは無い。
立教女学院高校は少し特殊なので省略。立教女学院高校では音楽Iが必修です。選択の余地なし。いちおう、音楽IIや美術IIは立教女学院にあります。
多くが、高校1年は他校と同様の選択芸術の美術Iや音楽I。高校2年に芸術科目は無し。高校3年に自由選択科目として受験音楽、受験美術の設置です。
=== 志望した科目を履修できるとは限らない ===
高校芸術の科目は、1年次の入学前後に履修志望の科目を聞かれますが、必ずしも志望した科目を受講できるとは限りません。たとえば「音楽」科目の志望でも、新入生の「音楽」科目の志望者が殺到した場合は定員オーバーになって、「美術」や「書道」などの履修を強制される場合もあります。
なお、「書道」は不人気の科目です。多くの高校で、新入生は「音楽」か「美術」を志望します。
カリキュラム表に「音楽I」「美術I」があるからと言って、必ずしも受講できるとは限らないことに注意してください。
確実にその科目を練習したいなら、単位にはなりませんが、部活動などで練習するのが確実でしょう。もっとも部活にも定員はありますが。
なので、確実に練習したいなら、自宅でも練習するしかありません。
==== 教員免許が高校芸術「書道」と小中「書写」(国語免許)は別科目 ====
そもそも教員免許では、小中学校で教える「書写」は(「芸術」教科ではなく)「国語」教科の免許です。しかし高校の書道は、芸術科目の「書道」の免許であり、別科目の免許です<ref>[https://careergarden.jp/shodouka/shodoukyouin-naruniha/ キャリアガーデン編集部『書道の教員になるには? 必要な資格は? 書道家の仕事・なり方・年収・資格を解説 キャリアガーデン』]</ref>つまり、高校「書道」は、決して中学「書写」の発展ではなく、まったく別体系の別科目です。
一方、「美術」や「音楽」は、それぞれ短大卒でも取得できる2種免許と大卒以上の1種免許と言う違いはあるものの、基本的には中学と高校とで科目としては同じ免許です<ref>[https://kyoin.co.jp/column/to-become-a-music-teacher/ 田坂圭吾 著『音楽の先生になるために必要なことは?表現力・指導力が大切な理由を解説』2021/09/14 ]</ref>。
要するに、教員側の立場で、中学校でも教えている教員免許の発展した免許で教育しようとすると、芸術科目では「音楽」「美術」の2科目しか選択肢が無い、という事です。
要するに、多くの私立高校で、「高校芸術の書道(「書写」にあらず)は工芸科目と同じような、高校教育独自のマニアック科目」みたいに教職員などから思われているわけです。
なので、もし私立高校が中学教育からの発展性を高校生に教育しようとすると、必然的に「書道」・「工芸」は高校カリキュラムからは外すことになります。
高校「書道」は、その名に反して、あまり中学「書写」からの接続性がありません。
高校「書道」の根本問題として、美術の中でも小中学校の授業レベルなら書道のような美しい字のジャンルを扱えてしまいます。(「レタリング」と言って、ポスターなどの題字のデザインの仕事が美術家にもある。)教育大でも、国公立の教育大では、美術・書道専攻が一体化されて併設されている場合もチラホラあります。
なお、「工芸」についても、じつは美術の中で一部は出来てしまいます。木工や七宝焼き(しっぽうやき)くらいなら、「美術」でも可能です。高校「美術」の中には立体造形の分野もあるので、その中で「工芸」的な分野も少々は扱えてしまうのです。
なので結局、「美術があれば十分だよね」という考えでしょうか、私立では「うちの高校では、芸術科目は音楽・美術の2科目だけ」という高校も多いのです。
;ほか: 大学に茶道学部とか華道学部とかは無い
「音大」・「美大」は存在しますが、しかし「書道大」と言うのは無いのです。たとえば東京芸術大学には書道の専攻は無い。
「書道は日本の伝統」とか言われても、国公立大学には茶道学部も華道学部も和菓子学部も茶菓子学部も無ければ、剣道学部も柔道学部も無いのに、書道学部だけ特別視しろというのも、おかしな話です。
教育大には書道専攻のコースもありますが、国立の教育大はだいぶ難関です。つまり、それだけ需要が少ないという意味です。
;ほか: 有名私立大の付属高校にも「書道」科目は無い
世間では評論家によっては批判で、選択芸術科目で「書道」が存在しない私立高校を批判するかもしれませんが、しかしすでに「書道」が存在しない私立高校がもう別の業績で好意的にテレビなどで称賛されています。たとえ大学付属高校で、慶応大学と明治大学や立教大学や法政大学などの付属高校には、書道が存在していません。慶応・明治・立教・法政の付属以外にも、千葉埼玉あたりの周辺地域の私立高校などでも書道の無い私立高校はいくつも存在しています。(早稲田大と中央大の付属には「書道」がある。青学の付属には「書道」に加えて「工芸」もある。)
そもそも、いくつかの私大付属高校では「書道室」という教室そのものが存在していません。webサイトを見ても、明治大や法政大の付属校には、音楽室や美術室はあっても書道室が見つかりません。(立教の付属高校にはある。慶応の付属は和室を書道部の部室に流用。)明治の付属校の部活紹介で「美術部」や「音楽部」はあっても「書道部」は無い状態です。法政の付属校の部活紹介を見ても、「茶道部」や「華道部」はあっても「書道部」が無い状態です。
書道室も無ければ、書道に流用できそうな和室もない(首都圏などの狭い)高校の場合、仮に部活動で書道部があっても活動場所が校外の可能性もあるので、高校で書道をしたい人は事前に確認しましょう。首都圏は過密で土地不足なので校舎が狭いのです。首都圏の私立には、決してなんでもかんでも施設があるわけではありません。
書道が存在しない高校で都心・首都圏にある私立高校で、その高校出身の漫画家やイラストレーターなどがいてすでに活躍していて、ツイッターSNS住民とか漫画オタク・アニメオタクみたいな人たちにも評判のいい私立高校だったりする高校が、首都圏でいくつか既に存在します。
地方在住の偏差値なかば50前後の公立高校出身のSNS住民やアニメオタクとかの大人の多くはきっと千葉埼玉あたりの私立高校に親近感を抱いているのかもしれませんが、しかし私学のカリキュラムは一般的な公立高校とは違っています。やはり、マンガやアニメなどから社会を学ぶのは、やめたほうが良いでしょう。
書道は不人気科目であるので、書道を開講している高校では「美術や音楽を本当は履修したかったのに、書道に回された・・・」という不本意で「書道」科目を履修する生徒が発生しがちなのですが、しかし最初から「書道」の科目自体が無い高校の場合、不本意な選択「書道」の履修の可能性が原理的に無くなります。資金力があるのに「書道」を開講しない私立高校は、そういった優しさでしょう。
まあ、「音楽の志望だけど美術に回された」という不本意の発生する可能性もありますが、さすがに西洋音楽が好きなのに西洋美術をそこまで嫌いな生徒は少ないでしょうか。
;ほか: 書道部はかなり「書写」と異なる場合もある
なお、高校の部活動での「書道部」の内容は、中学卒業までの国語の授業の「書写」とはだいぶ違う活動内容の高校も、公立・私立ともあります。たとえば草書で書くとか、大きい紙(両手を広げた幅よりも大きい紙)に書くとか、非実用性が高かったりする書道も多くあります。ペン習字みたいな実用的な「普通の紙の大きさに、上手な字を書く」みたいなのとは、だいぶ違います。
==== 芸術科目が2年目以降にある高偏差値の公立高校 ====
ほか、芸術科目が何年生まであるかも、高校ごとに違います。
例として「音楽」科目を例に述べると(「美術」などでも同様)、たとえば1年生で「音楽I」、2~3年生で「音楽II」、3年生で「音楽III」のように芸術科目は音楽も美術・書道・工芸のどれも3段階あるのですが、しかし高校によっては「音楽I」まで、あるいは「音楽II」まで、というような制限のある高校も多くあります。
ほか、「音楽I」を2年間かけて行う高校もあります。音楽Iは2単位なのですが、1年間あたり1単位ずつ音楽の授業をするのを2年の終わりまで続けて2単位、というわけです。当然、この場合、「音楽III」は履修できません。
公立高校などで、「音楽I」「美術I」「書道I」が3単位、というのもあります。1年生で「音楽I」を2単位、2年生で「音楽I」を1単位、という仕組みです。おそらく、進学特化の受験有利なカリキュラムに設計しすぎると教育委員会などから是正命令が入り、芸術など入試に不利な科目も少し増やしてバランスを維持するように行政命令されるのでしょう。そういった行政上の都合も公立高校のカリキュラムでは関わってきます。
この事情のためか、偏差値が高めの公立進学校でも、芸術科目が他校より少し多めという公立高校もチラホラあります。
まあ、芸術科目が少なくても部活などで「美術部」「合唱部」などで経験を補うことはできますが、しかし「工芸」はその部活が無い高校が普通なので(工芸の設備そのものが無い高校が多い)、知っておきましょう。もっとも、その部活自体、3年生は夏で引退するので、音大・美大などの進学を考えている人以外は、あまり音楽IIIや美術IIIは関係ないのかもしれませんが。
ただし、部活と違って芸術の授業では、校外の展示会などに出展をしたりはしないので、もし展示会の出典などの経験を積みたいなら、部活を中心に経験を積むことになるでしょう。(たとえば選択「音楽II」などでも、決して老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートとかは行きません。)
なお、よく高校のカリキュラム表では、「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」をまとめて、教科名として「芸術I」と書かれています。あくまで実際には「芸術I」という教科名・科目名は指導要領には存在しませんし、検定教科書も存在しません。教科名は「芸術」の2文字だけです。
また、「芸術I」と書かれていても、履修できるのは「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸I」はありません。
同様、「芸術II」と書かれていても、履修できるのは「音楽II」「美術II」「書道II」「工芸II」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸II」はありません。
=== 情報科目 ===
==== 基本 ====
指導要領では、必履修の「情報I」 と 選択科目の「情報II」 の2つがあります。
しかし「情報II」が履修できるかどうかは、高校によります。
理系大学への進学者も多い進学校などでも、「情報II」の無い高校もあります。
そもそも3年生になってから「情報I」を履修させる高校すら、あります。この場合、当然ですが情報IIは履修できません。
なお、「情報」教科は、かつては「情報と社会」「情報の科学」の2つに分かれていて、学校によってはどちらか片方しか履修できない場合が多かったですが(学校側が履修科目を決めていた)、しかし2022年以降は必履修の「情報I」と選択科目の「情報II」に変わったので、それは関係なくなりました。
==== 文系科目あつかい ====
分かりやすい例をあげると、明治大付属 明治高校で、情報IIは高校3年生の文系科目あつかいです<ref>[https://www.meiji.ac.jp/ko_chu/feature/ujnu1b00000004ct-att/a1649899922964.pdf 『高等学校教育課程(2022年度新入生より適用) 明治大学付属 明治高等学校』 ]</ref>。
また、別の節で述べるように、理系の私立大学の理系学部では、入試科目には「情報」科目は入っていません。
==== 私大の理系学部の入試科目に「情報」は無い傾向 ====
中堅私大(明治meiji・青学aogaku・中央chuoh・法政hoseiなど、いわゆるマーチmarch )以上の偏差値の理工学部の情報科学科(または情報工学科)の入試科目を見ると、「情報I」も「情報II」もありません。なお、立教大学および学習院大学には工学系の学部は無く(理学部はある)、したがって情報工学科もありません。マーチに学習院大学のGをつけて「GMARCH(ジーマ-チ)」と言う場合もあります。
「英語・数学・理科(「物理」または「化学」のどちらか一方)」の合計3科目、または理科に生物を含む「英語・数学・理科(「物理」または「化学」または「生物」のどれか一つ)」が一般的です。
なお、数学は「数学III」までです。数学A~Cが数学Cを含むか数学Bまでかは大学ごとに異なるので、それぞれの大学の募集要項などを確認してください。
この3科目「英語・数学、理科(物理または化学)」は、情報科が普通科高校に導入される前からの90年代には既にあった伝統的な入試科目のスタイルです。
なお、東京理科大(私立)に至っては、情報工学科の入試科目の理科は「物理」のみです(英語・数学・物理)。「化学」も「生物」も理科大では情報工学科の入試科目としては認めていません。
入試科目を4科目以上に増やすというような機運は、マーチでも理科大でも四工大(芝浦工大や工学院など)でも、特にみられません。
「地学」選択は、情報系の学部には入試が不利になってしまいます。
この入試科目の理由はおそらく、理工学部のほかの入試科目が3科目なのに合わせている(最近はバイオテクノロジー系の学科もあるので「生物」も理工学部の入試科目に含まれる)ものと思われます。もし、物理学科とか生物学科とか機械工学科とかすべて入試科目が3科目なのに、もし情報系だけ4科目にしてしまうと、大学側のスケジュール管理がとても難しくなってしまいます。入試科目には、このような学校法人側の営業の都合も含まれます。
新共通テスト(かつての「センター試験」の後継)に「情報I」が追加された機運に反して、じつは多くの私立大学の理系学部では大学個別の入試科目には「情報」系科目は含まれていません。
早慶については入試スタイルがやや特殊なので、説明を省略します。
四工大(芝浦工大・工学院・東京都市大学・東京電機大)については、おおむね、マーチ同様の傾向で3科目が理科で「物理または化学」です。
工学院と東京都市大は情報系の学部があるのに、情報学部の入試科目の3科目目は「情報」ではなく「理科」です(つまり、英語・数学・理科(物理または化学)の3科目)。
今後、年度によって各大学の入試科目の変更の可能性もあるので、必ずしも今後は上記の通りとは限りませんが、しかし少なくとも2023年の時点では、傾向として上記の通りです。
正直、IT企業の仕事では物理学・化学の知識の活用は減っていますが(たとえばツイッターあたりにいる日本の大手IT企業勤務(外資も含む)の有名プログラマーたちは、大して高校レベルの化学とか物理とか知りません)、しかし入試科目は依然(いぜん)として物理・化学を含んでいます。
一応、製造業の組み込みソフトとかを作る組み込み系とかでは物理とかの知識を使う可能性はあるので、そういう進路の可能性も若干はあります。
なお、団塊ジュニア世代の文系学部(法学部や経済学など)出身のプログラマーが高校化学に詳しくてファンデルワールス力(りょく)とかアルカン・アルケンとか色々と知ってるのは、単にセンター試験時代の多くの高校で必修だった化学Iの範囲に入ってたから高校で文系コースでも化学を多めに習ってて知ってるだけであり、べつに高校3年の選択化学を履修するような猛者だったわけではありません。
==== 高校側の容量の限界 ====
あと、「情報II」を開講しない高校が多い理由は、コンピュータ室の敷地面積の問題や、教師の増員の問題もあるでしょう。特に中高一貫校では、コンピュータ室がもう中学の授業および高校「情報I」の授業で使用済みで授業コマがほとんど埋まっていたりして、これ以上の情報科目の授業を増やすのが難しい、という可能性があります。
もともと旧カリキュラム(~2021年以前)では1学年ぶん「情報と社会」または「情報の科学」の片方だけを履修すれば良かったのと比べて、2022年以降の新カリキュラムでは、もし必修「情報I」に加えて「情報II」を開講するとコンピュータ室を利用する授業のコマ数が単純計算で2倍になってしまい、コンピュータ室のコマ数オーバーになってしまい実現不可能になってしまう可能性もあります。
コンピュータ室のコマ数オーバー問題は校舎を増築しないと解決困難な問題なので、たとえ年月が十数年と経っても「情報II」を開講する高校が増えづらい可能性もありえます。
あるいは、「情報II」を座学を中心の授業にすれば開講も可能でしょうが、しかし座学なら高校卒業後でも自宅で可能だし、「なので、いちいち情報IIを開講するほどの必要もないだろう」と見送っている私学もあるでしょう。
また公立高校の場合、もし「情報II」を3年生の選択科目として開講すると、雇用しなければならない情報科教員の数も増えます。果たして財政難の日本で可能かどうか、とても先行きは暗いです。
私学の場合、いちいちコンピュータ室で情報科目を実習しなくとも、各教室にLAN完備とか、wi-fiスポットを校内に増設しまくるとか、そういう手段も使えますので(ただし学費がやや高くなるが)、受験に出ない「情報II」に投資して授業時間を2単位ぶん受験に不利にするよりもLAN増設など設備に投資すべきだという経営判断も働くかもしれません。
なお、情報IIを開講せずにLAN増設に投資する場合、教員の雇用を増やさなくて済むので、ランニング・コスト(維持費用)が掛かり続けるのも減らせますので合理的です。
=== 理科 ===
理科には、「生物」・「物理」・「化学」・「地学」の4分野と、横断的な基礎科目の「科学と人間生活」の5つがありますが、しかし多くの進学校では「科学と人間生活」はありません。
進学校の理系コースでは、ふつう、「生物」・「物理」・「化学」の3つの分野を重点的に学びます(「地学」分野が含まれていない)。
さらに1年~2年生は基礎科目として、「生物基礎」・「物理基礎」・「化学基礎」と言う科目3つを2年の終わりまでに習うのが普通です。
「地学基礎」は、3年になってから文系コースなどでしか学べない場合も多くあります。あるいは、そもそも「地学基礎」すら履修できない高校も多くあります。
私立学校の進学校などで地学の履修できない高校は多いですが、実は公立高校でも地学の履修できない高校は多くあります。東京都内の都立高校でも、たとえば都立の新宿高校や小金井北高校や杉並高校や八王子北高校などには、「地学基礎」も「地学」もありません<ref>[https://www.metro.ed.jp/koganeikita-h/assets/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E8%A1%A8.pdf 『小金井北高校 教育課程表』]</ref><ref>[https://www.metro.ed.jp/shinjuku-h/assets/filelink/filelink-pdffile-13312.pdf 新宿高等学校 『教育課程表(~令和3年度入学生)』] </ref>。
公立の普通科高校だからといって、必ずしも地学が履修できるとは限らないので、誤解しないようにしましょう。
また、基礎科目でないほうの3年生用「地学」は、履修出来ない高校が多くあります。
2010年以降は、文理のコース分け(文系コースと理系コース)を行っている高校では、進学校でも、文系コースでは「物理基礎」を履修できない高校も少なからずあります。(その場合、文系コースは「地学基礎」を履修することになる。)
1990年代は文系コースでも物理I(いまの「物理基礎」に相当)を履修していた進学校も多かったのですが(代わりに当時は地学基礎が履修できなかった)、今は違います。
大学付属校などを受験する際、高校での所属コースによって推薦してもらえる学科が異なる場合があります。たとえば、高校で文系コースを履修してないと併設大学の文系学科には推薦をもらえない、同様、理系コースを履修していないと併設大学の理系学科には推薦をもらえない、などです。
理系コースでは令和では、高校3年では理科は1科目しか選べないのが普通です。専門「生物」、専門「物理」、専門「化学」を選びます。
かつては理系コースの高3の理科では2科目を選ぶパターンが主流でしたが、しかし現代では1科目のパターンに変わったので、保護者からアドバイスをもらうときは注意してください。
この変化の理由は、多くの高校で、古典科目を高校3年で習うように変化したためです。(2001年ごろは理系コースでは高校3年の古典を習わない場合が普通でした。)
正直、大学受験のことだけを考えるなら、文系生徒にも「地学基礎」でなく「物理基礎」を履修させる高校に進学するほうが得です。実際、そういう私立高校の進学校もよくあります。
しかし、実際には、進学校でも「物理基礎」ではなく「地学基礎」を文系生徒に履修させる高校もそこそこあります。
子ども視点では分からないでしょうが、これは教育産業上の理由があり、じつはその地域の地学教育者の雇用を絶やさないようにするため、という文化の維持および雇用の維持という理由もあります。地域によっては近隣に大学のない地域も多く、そう言った地域では、高校で地学の科目が無いと、中学卒業以降の地学教育者の雇用が地域から無くなってしまい、文化が途絶えてしまうのです。
よって、地域の地学教育を絶やさないようにするために、入試に不利なのを知りつつ、文系生徒に教育させます。
高校3年の文系コースの理科で、大学入試共通テスト(かつての「センター試験」)対策をする場合があります。しかし、範囲が狭いからか(「生物基礎」や「化学基礎」などの基礎科目)、進学校でも高校3年の理科を行わない場合もあります。たとえば慶応大の付属高校では、高校3年の文系コースの理科を2023年の時点では行っていません<ref>[https://www.hs.keio.ac.jp/schoollife/index.html 『カリキュラム | 慶應義塾高等学校』]</ref>。
共通テスト理科の演習の時間が少なくて済むので、余った時間で、数学IIBの未履修分野をするのが多くの高校の文系コースのパターンです。
つまり、日本国は、(理科ではなく)数学を、文系むけの理数系教育のもっとも基礎的な教科と考えているようです
なお、1990年代のかつて、「化学IB」や「生物IB」と言う科目があって、今でいう専門「化学」や専門「生物」や専門「物理」などのうち、生物IB・化学IBなら物理などの知識をつかわない(複合分野でない)分野や、物理IBなら数学の微分積分をつかわない分野を文系コースの3年生で習っていた時代も昔はあったのですが、しかし令和の今は授業時間不足により、そこまでの文系むけの高校理科の教育はなくなりました。
化学IBなどはこれはこれで学習範囲が広くて結構な勉強が必要ではあったのですが、そのぶん数学IIBの授業時間が減ってしまうので、文科省が減らすのはやむを得なかったのでしょう。
例外的に、法政大学の付属校で、まるで化学IB時代の名残のような、文系コースむけに専門「化学」や専門「生物」などを高校3年で教えていますが<ref>[https://www.hosei.ed.jp/high/study/ 『高校の学習 | 高等学校 | 法政大学中学高等学校』] 2024年03月31日に確認.</ref>、かなり例外的です。慶応の付属校ですら文系コースの専門「化学」などは行っていません。べつに法政方式がいいとかは話しておらず、単にそういう事例もあるという事です。
=== 社会科 ===
高校の社会科の「公民」分野の科目には、必履修の「公共」と、選択科目の「政治経済」と「倫理」があります。
このうち、「倫理」を開講していない高校も多くあります。
なお、「政治経済」の内容が、中学の公民で習った政治や経済の話題の発展的な内容です。いっぽう「倫理」の内容は、哲学史です(倫理学ではありません)。
大学入試新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)には現代、「公共・政治経済」と「公共・倫理」というのがあります。
なお、中学生に分かりやすく「社会科」と言いましたが、正しくは指導要領では高校では「地理歴史・公民」という言い方に代わります。
普通科の進学コースでも、理系コースだと公民は「政治経済」すら選択できずに高校1年の「公共」で公民は終わりという場合もチラホラあります<ref>[https://www.nishogakusha-highschool.ac.jp/guidance/curriculum/index.html 『教育課程 | 学習指導 | 二松学舎大学附属高等学校』 ※ たとえば私立の二松学舎大学の付属校の理系コース]</ref>。つまり、高校1年の「公共」で理系コースは公民が終わりと言う高校もチラホラあります。
公立高校でも理系コースに「政治経済」の無い高校はありますが、ただし代わりに「日本史探究」とかが理系コースに課されていたりします[https://www.tokai-h.ibk.ed.jp/f75aa6d151b094f409325e4d333aac8c/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%94%9F%E6%B4%BB/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E3%83%BB%E6%97%A5%E8%AA%B2%E8%A1%A8 たとえば茨城県の某公立 2024年03月03日に確認.]。
このような高校では、大学進学で経済学部への指定校推薦などを考えている人は、文理のコース選択は必然的に文系にしなければいけません。
なお、あまり細かくコースを調べる必要もないと思います。(指定校推薦ではない)総合型選抜や自己推薦入試やら大学は、たとえその入試方式で受験しても、必ずしも合格するわけではありません。
また、総合型選抜は基本、学校推薦型総合型選抜というものであるので、1高校あたりから受験できる人数が制限されています。
やたらと公募推薦の履修科目の要件が厳しいのは、早慶とマーチあたりくらいです。それより気にすべきは、細かい履修科目よりも、英検準1級以上や同等のTOEICなどのいずれかの成績などを学校推薦などの要件で要求している大学も多いので、英検などを対策すべきです。英文科でなくとも英検・TOEICなどを推薦の要件として要求している私立大学は多いので、注意して事前に大学3年の秋までに対策してください。
{{コラム|名ばかり「総合型選抜」|
日本の大学入試の総合型選抜は、難関大学の場合、名ばかりなことが多く、多くの難関大学で出願の要件として、「英検準1級以上」や「TOEIC 〇〇点以上」とか定めている一方で、英語以外の理科については理系学部以外ではロクに要件を定めていません。なにも「総合」ではなく「英語の一芸の外部試験利用入試」な実態があります。
「今のデジタル社会の時代、英語ばかりでなく数学や物理なども勉強すべきでは?」と疑問に思うかもしれませんが、しかし日本の私立大学の文系学部の推薦の要件はそうなっていません。私大は国の理系支援に乗って「わが大学もデータサイエンス学部をつくる!(もしくはすでにあって「拡充する」)」とか掛け声を言ってますが、口先だけだというのが分かります。
総合型選抜とは名ばかりの「英検・TOEIC等の外部英語試験を利用した学校推薦型の面接・小論入試」みたいな実態があります。
口先では「日本にも文理の融合人材が必要だ」とか早慶マーチの文系学部の大学教授は言ったりしますが、しかし推薦入試の科目構成を見ると全然そうなっておらず、英語重視型または理系特化型(理系学部の志望の場合)のようなカリキュラムでないと難関大学の推薦の要件を満たせないようになっています。
かつて1990年代、1科目入試や一芸入試などが流行しました。どうも2020年代の総合型選抜もその流れにあるようで、「英語の一芸の外部試験利用入試」のような実態があります。
}}
さすがに早慶マーチなどの大学付属校の大きな私立高校だと、政経も倫理も日本史探求も世界史探求もそろっているのですが、しかし大規模でない私立高校だと意外とそろっていません。
進学コースだとかコースによっては、高校3年の歴史科目は「日本史探求」しか選べない高校もよくあります(「世界史探求」が選べない)。理由は何通りか考えられますが、おそらく、学力不安のある生徒には世界史は負担が重いのでしょう。また、他の事情として「探求学習をする際、世界史は現地調査が日本では出来ないので、探究しづらい」というのもあるかもしれません。高校ごとに事情が異なるので一概に言えませんが、ともかく世界史探求を履修できない高校は意外と多いのです。
ほか、二松学舎大学の付属高校に、地理探究が無いのを発見<ref>[https://www.nishogakusha-highschool.ac.jp/guidance/curriculum/index.html 『教育課程 | 学習指導 | 二松学舎大学附属高等学校』]2024年03月31日に確認.</ref>。大学付属校だからって、なんでも科目がそろってるわけではない。
=== 国語 ===
;「国語表現」の無い高校も多い
「国語表現」という作文の多い科目を学ばない高校も多くあります。
しかし、「論理国語」で作文などは代用できるので、心配ありません。
;「文学国語」の無い高校も多い
進学校でも「文学国語」という2年生むけの科目を履修しない高校も多くあります。しかし「古典探究」という3年生むけの別科目で、より発展的な内容を学びますので、あまり心配ありません。
古典っぽい科目は、1年向けの必履修「言語の文化」、2年向けの選択「文学国語」、3年向けの選択「古典探究」の3つがあるのですが、このうち「言語の文化」はカットされる高校も多くあります。
高校2年生は、現代文っぽい「論理国語」のほうを学ぶ高校もよくあります。
なお、「現代文探求」(← 無)という科目は存在しません。なので、「論理国語」が、事実上の現代文の最高科目です。だからか進学校は、高校2年で「論理国語」、高校3年で「古典探究」というカリキュラムになるのです。
2022年以前の旧課程でも、さらに前の2010年や2000年のころから、高校2年生では現代文重視という高校も多かったので、それと同様のことを2020年代でも続けているだけなので、「文学国語」がカットされても、あまり心配ありません。
;理系コースでも「古典探究」
進学校では、理系コースでも高校3年で「古典探究」を習うことがよくあります。
また、このため、高校3年の理科を2科目以上ならうことは、理系コースでも不可能になっている場合もあります。
旧・センター試験に相当する新共通試験では国公立大には理系学部でも古文漢文が必須科目であり、高校2年までの教育では古文漢文が不足なので、理系コースでも「古典探究」を習うのが普通になっています。
なお、2001年ごろは、理系コースの高校3年生は「生物II」「化学II」の2科目(今でいう専門「生物」、専門「化学」に相当)、または「物理II」「化学II」の2科目を習うパターンがよくあったのですが、しかし2010年以降は1科目だけのパターンに変わっています。
なお、古典「探究」とありますが、決して『総合的な探究の時間』のように自由研究をしたりとか多くのレポートを課したりはしないので、勘違いしないようにしてください。
=== ほか ===
==== 家庭科 ====
家庭科も、じつは科目のばらつきが高校ごとに大きいのですが、あまり関係ありません。
2単位の「家庭基礎」だけの高校もあれば、
4単位の「家庭総合」の高校もあれば、
滅多にないですが進学校でも「家庭基礎」に加えて選択科目「フードデザイン」または「保育基礎」とかのいずれか高校もあります。(実教出版と教育図書の2社がフードデザインなどを出している)
ほとんどの高校は、「家庭基礎」または「家庭総合」のどちらかです。家庭科を扱っている多くの教科書会社は、「家庭基礎」または「家庭総合」の2科目しか出版していません。
進学校の場合、受験に出ない家庭科の授業時間数を減らしたいこともあってか、「家庭基礎」だけの場合もよくあります。
選択科目は「フードデザイン」や「保育基礎」の2科目のほかにも、さらに実教出版の出している「ファッション造形基礎」とか「生活産業基礎」とか「生活産業情報」の選択科目もありますが、どれも普通科高校では滅多に聞きません。
なお、「生活産業情報」は、コンピュータリテラシー系の科目なので、「情報I」を習っていれば、特に問題ありません。これは、商業高校など実業高校の人のための家庭科科目であったりするので、普通科には関係ないでしょう。
普通科高校だと、マイクロソフト Office の使い方などを練習する時間があまり取れないので、別途、そういった実用ソフトの使い方を練習する科目があるのです。
==== 数学Cの事情 ====
進学校の高校だと、文系コースでも、高校3年相当の「数学C」を履修させられることがあります。これはどういう事でしょうか?
実は、もともと、2020年代の今の数学Cの内容は、1980年代から2020年代までのあいだの一時期、高校2年で教えていた時代もあった内容でした。
{{コラム|数学Cの事情|
なお、共通テストの数学Cの出題範囲である「楕円・双曲線」および「複素数平面」という単元は、かつて1980年代の古い時代の旧カリキュラムで高校2年だった範囲です。
1980年代のかなり古い昔ばなしですが、かつて『代数・幾何』という科目を高校2年に教えていた時代があり、その科目で楕円・双曲線などが教えられていたのです<ref>[https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29754/1/5_P1-19.pdf 高村政志 著『高等学校数学カリキュラムはどこまで骨抜きにされたか』高等教育ジャーナル─高等教育と生涯学習─ 5(1999)<!-- ※ここまで雑誌名。末尾の1999はいつの年度の雑誌かの区別に必要 -->、1999年、 P.7]</ref>。
(定期的に文科省が指導要領を変えて、高校2年で教えてた内容を3年に移したり、または高校3年で教えていた内容を2年に移したり、まるで当番制みたいに定期的に入れ替えます。)
1980年代には今では高校2年で教えている確率・統計が、当時は高校3年でした。<ref>[https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29754/1/5_P1-19.pdf 高村政志 著『高等学校数学カリキュラムはどこまで骨抜きにされたか』高等教育ジャーナル─高等教育と生涯学習─ 5(1999)<!-- ※ここまで雑誌名。末尾の1999はいつの年度の雑誌かの区別に必要 -->、1999年、 P.7]</ref>
近年では数学I A で教えているだろう「期待値」が、昔は高校3年の「確率統計」科目だった時代すらありました。
なお、1980年代の『代数・幾何』の時代から「ベクトル」という単元は高校2年でしたが、2020年代に数学Cに移行しました。
1980年から令和の2020年代まで、統計が3年生から下がってきたぶん、他の科目が3年に移ったりなどの変化がつづいています。
}}
=== 共通性の高い科目 ===
保健体育は、科目自体は共通です。
どこの高校も、「保健」と「体育」(スポーツの実技)の2科目です。
=== 無い科目 ===
;技術科は無い
中学であった「技術科」(技術家庭の技術分野)は、高校の普通科では、ありません。
部分的に、中学で習ったコンピュータ関係の内容は、「情報I」に発展していきます。
なお、文化祭などのクラスの出し物で木工をするクラスも、どこの高校でも良くあります。ふつう、文化祭は毎年あるので、高校の3年間では3回、文化祭の出し物をつくることになるでしょう。
余談ですが、大学の文化祭では、木工などの出し物はないのが普通です。大学はクラスではなく「学科」で分かれますが、大学文化祭には、学科の出し物というのはありません。大学の文化祭は、一部の部活・同好会(文化部のみ)などの作品や自主研究レポートなどのパフォーマンスの場所です。ほか、大学に「体育祭」や「運動会」は無いのが普通です。
なので、クラス単位で文化祭の出し物をするのは、高校が人生で最後になるのが普通です。
;「数学探究」とかは指導要領には無い
まず、「数学I」("すうがくイチ" と読む)・「数学A」("すうがくエー")・「数学II」(すうがくに)・「数学B」・「数学III」(すうがくさん)・「数学C」という6科目が存在します。
基本的には、
:1年生向けに「数学I」・「数学A」という科目、
:2年生向けに「数学II」・「数学B」という科目、
:3年生向けに「数学III」・「数学C」という科目、
の編成です。
まとめて、「数学I・A」、「数学II・B」、「数学III・C」と呼んだりします。
ほとんどの高校で、「数学III」・「数学C」を履修できるのは、理系コースの高校3年生だけです。(例外的に早稲田実業では文系でも数学IIIが必修<ref>[https://www.wasedajg.ed.jp/senior/education-h/curriculum-h/ 『教育課程 | 高等部 | 早稲田実業学校』2024年03月31日に確認.]</ref>)
さて、指導要領上の科目では(「数学A」ではなく)「数学探究α(アルファ)」とか「数学探究β(ベータ)」という科目は、指導要領では存在しません。よく、いくつかの高校で、高校3年のカリキュラム表に「数学探究α」とかの科目があります。
高校によって異なるので一概には言えないのですが、「数学探究○○」でよくある内容は、「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」です。
科目名の付け方に、特に法律的な決まりはないので、高校ごとに名付け方が違いますので、あくまで一例です。たとえば、文系向けセンター試験対策が、ある高校では「数学探究α」なのに別の高校では「数学探究β」だったりする事もあります。
また、参考書売り場などで「数学探究β」とかを探しても、そういう題名の参考書も検定教科書も存在していませんので、売っていません。
さて、つまり、高校では普通、2年生の終わりまでには、数学II・Bの教科書は終わりません。
おそらく、もし「数学α」だと、指導要領にある「数学A」とまぎらわしいので、探究をつけて「数学探究α」と名付けているのでしょう。
決して、『総合的な探究の時間』のような調べ学習とかレポート作成とかをたくさんするわけではないので、誤解しないように。
高校の文理コース分けで「国立文系コース」と言うのは、単にこの高校3年での「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」があるだけだったりします。べつに、特に高度な数学とかを教えているわけではありません。
つまり、1990年代は、高校3年でセンター数学II・B対策すら教えてなかった高校も多いわけです。(高校2年で数学が終わりの高校も、昔は私立高校ではチラホラあったのです。) 2001年以降、私大文系の人気が下がったので、現代のように高校3年でも数学の授業があるカリキュラムが普及して現在(2023年に本文を記述)に至るだけです。
1990年代の国立文系コースというのは、「化学IB」とか「生物IB」とかの、今でいう専門「化学」や専門「生物」レベルに近いことを学習しないといけなかったので、かなり難しかったのですが、実は令和の今はそこまでの理科の負担が無いので、単に高校3年次のコース選択で国立文系むけの高校の授業を履修するだけなら割と簡単でしょう。もっとも、コースを履修したところで国立大学に合格できる保証はありませんが。
なので令和の今はもう、いちいち「国立文系志望コース」とか「私立文系志望コース」とか国立私立の区別を言わず、単に「文系コース」のように名称統一している高校も多いです。
文系生徒の数学IIBの習得については、さすがに文系コースの高校生でも、高校3年で約6か月くらい勉強すれば(3年生になったら、もう入試まで12か月もありません。一般入試まで約9か月。推薦入試はもっと前です)、まあとりあえず理系コースの2年生の終わりの生徒の下っ端のほうの生徒に追いつき追い越せるくらいには勉強できるでしょうし。
高校の「文系コース」は、カリキュラム的には国立志望にも対応できるコースですが(少なくとも平均以上の偏差値の高校なら)、しかし実際には多くの日本の文系高校生は、そのような高度なコースの数学を履修をしても私大の文系学部に進学することになるでしょう(国立大学は学費の安さなどの理由で高倍率。また国立大学数が私立大学数に比べて極端に少ない)。
=== 受験以外の理由でのカリキュラム構成 ===
高校カリキュラムは、基本的には入試対策に有利な科目が設置されますが、いくつか例外があります。
公立高校だと、普通科高校でも偏差値高めの高校では、入試に不利な科目も取れてしまいます。具体的には、「地学基礎」「地学」、「音楽II」「美術II」「書道II」のような芸術II以降、家庭科の「フードデザイン」みたいな科目、などです。
ただし、公立高校だからといって、必ずしも「地学基礎」「地学」が取れるとは限らず、実際に「地学基礎」の取れない公立高校もあります。おそらく、進学実績先の偏差値が低めの高校は、地元の教育委員会などから指導が入るのでしょうか、進学に不利な科目は取れない高校になる傾向が見られます。
なお、「情報II」については、公立でも私立でも、まだ多くの高校で開講されていません。優れた指導例が蓄積されるまで、「情報II」は様子見でしょうか。一部の公立高校で、特にスーパーサイエンスハイスク-ルなどでもないのに「情報II」の開講が見られます。おそらく実験台でしょう。
なんとなく世間では「私立は民営なので革新的であり実験台。公立は保守的」みたいなイメージが見られますが(ここでの「革新」「保守」とは決して右翼左翼の意味ではなく、新しい物好きかどうかの意味で「革新(新しい物好き)」「保守(新しいものに用心している)」を使っている)、しかし実際には私立高校は受験でのブランド大学への進学実績を目指すので保守的なカリキュラムである事も多いです。
そのため、一部の公立高校が実験台になって、「情報II」などの授業の実験台になっています(国や都道府県からの命令でしょう)。
ほか、ごく一部の進学校で、文化上の理由で、入試に不利な科目のカリキュラムがあります。ほかの理由としては、たとえば私大(文系)の付属高校などで、学園全体での教科の知識水準の確保のためか、入試に不利な科目を置いていると見られる場合もあります。
たとえば「地学」科目は入試に不利なのですが、そのため多くの私立高校では地学の科目は無くなってきています。しかし地方などでは地域の地学教師の雇用を絶やしてはいけないので(日本は地震国なので地学教師の雇用が絶える地方はヤバイので)、一部の高校では、あえて地学の科目があります。
「べつに高校で地学をしなくても、大学で地学を学べばいいじゃないか」と疑問を思うかもしれませんが、しかし首都圏と違って地方では大学が近隣に無い地域が多いことも忘れないでください。
「家庭科」や「芸術」などの教科も同様です。家庭科は「家庭基礎」の2単位だけで高校卒業させられるのですが、しかし進学校でも「家庭基礎」でなく「家庭総合」を履修させているところもありますし、あるいは「家庭基礎」+「フードデザイン」などのパターン。
「芸術」教科でも、私立の進学校なのに芸術II(「音楽II」「美術II」のこと)や芸術IIIまで存在する高校もあります(指導要領上の卒業要件としては「音楽I」「美術I」の片方だけで良い)。私大で芸術学部を持たない大学でも、代わりに付属高校に「音楽III」「美術III」など芸術系のかなり高学年の科目が存在していたりして、そこで学園が芸術系の研究者・兼・高校教師の人材を自前で確保しているとみられます。もし学園が自前で芸術家を何人か教師などとして安定雇用で確保しておかないと、他大の美大・音大あたりの無責任な研究者の言説にダマされかねませんので。
「家庭総合」も、私大の付属校の場合、その私大に家政学部は無くとも、「家庭総合」を置くことで家庭科の知識を学園全体で確保しているのでしょう。
=== 高校でコース外のことをどうしても勉強したい場合 ===
もし、どうしても文系コースの人が高校3年の物理基礎を勉強したい場合、授業とは別に、家での独学になります。
ただし、部活動などの時間が減ってしまうので、あまり推奨しません。
塾については、特に現役向けの塾の場合、あまりコース外の教育には積極的ではなく、コース外の受講を禁止している場合もあります。
高校卒業後や大学卒業後などに、高校在学時のコース外の科目もコツコツと勉強すれば、それで十分でしょう。
さいわい、履修外になりやすい科目は、独学のしやすい科目です。
たとえば、文系コースで履修外になりやすい「物理基礎」または「地学基礎」は、高校卒業後のあとからでも独学しやすい科目です。ただし独学だと実験はできませんので、どうしても知りたい場合、動画サイトの教育動画や、あるいは市販の資料集の付属DVDなどで、実験動画を見ることになります。
同様、理系コースの履修外になりやすい「世界史探求」や「日本史探求」といった歴史系の高校3年科目も、いわゆる「暗記科目」、よく言えば「知識科目」であるので、独学のしやすい科目です。
現在、コース分けのきつい高校が多く、そのため、文系志望の学生が高校3年の数学IIIや専門「化学」や専門「生物」などを履修するのは、ほぼ無理になっています。(2001年ごろは文系コースでも数学IIIを履修できる高校もあった。)
教育評論の書籍『分数のできない大学生』シリーズにも書いてある事例ですが、文系志望でもあえて文理のハイブリッド型の科目履修をしてセンター試験の総合点をあげたりするという受験テクニックも2001年くらいにはあったのですが(法学部志望なのに受験科目の選択科目では物理受験するという例がシリーズ書籍にありました)、しかし2020年代の現代はそういう履修方法はさまざまな事情で難しくなっています。
文理ハイブリッド型のコースは2010年以降、ほとんどの進学高校では存在しなくなっています。(昭和では、高校2年の終わりまで文理ハイブリッド型のコースの高校も多く、その場合は高校3年で文理のコースが分かれていた。)
同様、理系コースの高校生も、社会科では高校3年の「世界史探求」と「日本史探求」などは履修できないのが普通です(高校3年の社会科は理系コースでは「地理探究」と「政治経済」しか履修できない場合も多い)。
== 公立高校の教育実験の事例 ==
公立には文理のコース分けを(2年生ではなく)高校3年で行う高校もまだまだ残っています。
ほか、高校2年「美術II」「音楽II」が2年生では文系・理系を問わず必修の進学校の公立高校も、日本には わずかですが存在します。
;一部の公立高校の高校3年の芸術科目
ほか、芸術系とかの勉強に興味・関心ある人は、首都圏や京都・大阪や愛知なら、だいたいどの地区(スポーツの地区大会とかの「地区」)にも「音楽II」・「美術II」とか履修できる公立高校の普通科が最低でも一高校くらいはあるはずなので(ただし電車通学が必要かもしれません)、どうしても興味ある人はそれを調べてみるのも良いかもしれません。また都市部でなくても、最低でも県内に1つはそういう公立高校があると思います。
ただし、クリエイター業界などへの就職率などが良いかは知りません。また、吹奏楽部コンクールなど部活の全国大会の強豪校は、基本的には私立高校です。
ともかく、べつに音楽学科や美術学科の公立高校でなくとも、よく探せば都市部なら「地区」に1校くらい、そういうチョットした発展的な芸術科目の学べる公立の普通科高校はあります。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
なし(2024年03月31日の時点)
=== 脚注 === | 2023-12-23T05:02:21Z | 2024-03-31T04:11:58Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E6%99%AE%E9%80%9A%E7%A7%91%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%A0 |
38,874 | 高校受験ガイド/高校合格後に向けて | 現在、多くの私立高校は付属中学を持っており、その付属中学では中3のうちに、高校1年の内容に突入しています。なぜなら、私立中の授業では、検定外教科書が「英語」教科と「数学」教科で学校専売品として存在しており、多くの私立中学でその検定外教科書が使われております。その検定外教科書で、英語と数学では、中3のうちに高校1年の内容に突入しています。
数学は因数分解(3次式)以降の二次関数や三角関数などは予習が難しいかもしれませんが、しかし英単語なら独学で勉強できるので、春休みのうちに英単語を勉強して追いつきましょう(なお、因数分解は、春休みのあいだの宿題になる場合がある)。
おそらく、高校側からも、「春休みの課題」などとして、付属中学と公立中学との隙間を埋めるための課題が出されると思います。
つまり、英単語と、因数分解(三次式および二変数二次式)が、春休みの宿題の定番です。加えて、対称式とか交代式とか、そこまで「春休みの課題」に出る高校もあります。
なお私立高校の場合、1~2月に合格した子は、まだ3月まで高校教科書を購入できないので、2月ごろの合格者登校日のあたりに学校側から宿題のプリント(英単語のスペルを覚えろプリント)を渡されたり、あるいは課題図書の読書感想文などを先に出されることもあります。
なお、高校からの配布物を間違って捨てないよう、中学時代のプリントなどを捨てるのは、高校入学後の後回しにしましょう。
いっぽう、偏差値の低い高校だと、春休みの課題の内容が、中学の復習だったりして、「ブリッジ数学」などの復習用の問題集だったりします。偏差値の高い高校では、そんな復習用の問題集は、やらないです。
偏差値の高い高校だと、数学IAの傍用(ぼうよう)問題集または参考書のチャート式で、上述の因数分解や「データの分析」(新課程)とかが範囲です。20世紀は因数分解が定番でしたが、21世紀の令和になり「データの分析」が課題に加わったのが、時代の進歩を感じさせて現代的です。
「データの分析」のように新しい単元は、私立の高校側は今までの授業計画をあまり変えたくないので、入学時などの「春休みの課題」にそういう新単元を中心に出して、教えた事にさせてしまう、という教育テクニックがあります。公立高校で果たして可能なテクニックかどうかは知りません。
新学期の数学は、第2章の「二次関数」から始まるのが、私立の進学校あるあるです。
ほか、整数とかも21世紀になって加わりましたが、これを春休みの課題に回すという手もあります。春休みの課題に整数を回すことで、新学期からの授業では、90年代からの伝統的な授業計画を変えずに済みます。整数なら中学生でも分かるし、整数問題は中学入試などでも出ることがあるので、コレも課題にちょうどいいです。
ほか、幾何学のチェバの定理とかああいう授業で飛ばす単元を「春休みの課題」に回すというのも手です。
データの分析、整数、図形、これを「春休みの課題」に回してしまえば、授業は二次関数から始められます。そして二次関数が終わったら、さっさと三角比・(数学IIの)三角関数に入れます。私立なら数か月早く1年生のうちに三角関数を始めるというのも進学校あるあるです。私立進学高校では、入学時の数学の教科書は2年生の分まで買うことになり、1年の終わりには数IIをやるのが定番です。
私立の進学校や、偏差値が高めの私立高校に進学するということは、こういうハイペースな勉強が必要だという意味です。そういう勉強がイヤなら、もし読者が読んでる今がまだ中3の春~夏なら、そもそも高校卒業後の進路(たとえば「どこどこ大学に進学したい!」とか)を考え直すべきです。
そもそも私立の難関校の場合、そもそも高校入試問題の時点で、もうそのような高校予習を意識した出題になっている場合もあります。たとえば数学なら、確率の「順列・組み合わせ」の初歩なら中学生でも何とか解けるので、そういう出題がもう偏差値60私立高校あたりから高校入試で出されたりします。
なお、理科・社会科については、あまり高校入試に理科・社会科を出す私立高校は少ないが、もし入試に理科・社会科を出す場合、偏差値のそれほど高くない55~60くらいの日東駒専(日大・東洋大・駒沢大・専修大)の地方の付属校レベルでも、もう高校の理科基礎レベルの話題を出します(たとえば日大の付属など)。
これはなぜかというと、中学教材でも理科・社会科の検定教科書のコラムや、学校配布の資料集などで、普通に高校範囲の内容も紹介しているからです。私立高校側からすれば、単にコラムや資料集などもよく読むマジメな受験生を高校入試で欲しいだけですが、しかし中学校ごとにどの教科書や資料集を使っているかは違うので、よって、発展的な参考書が必要になります。
標準的な高校受験用の理科参考書を買えば、その参考書の傍注(ぼうちゅう)やコラムや発展あたりに書いてあるレベルですので、そういう参考書で自発的に勉強する能力が要求されています。こういう人らと3年後に大学受験で競走することになります。
また、国公立の中高一貫校では、高校の国語の「言語文化」科目や、社会科の「公共」と高校家庭科「家庭基礎」と「情報」を、中学のうちに1単位ぶん開始している学校もあります(国立の神戸大学付属の中等教育学校の公表されているカリキュラム表がその証拠)。
なお、この神戸大付属校、教育課程表を見ると、けっして「家庭総合」など履修してないし、芸術IIもないし、情報IIもないし、第二外国語のドイツ語とかフランス語もありません。受験特化のカリキュラムです。国公立だからって、必ずしも、受験以外の教科もバランスよく勉強しているわけではありません。つまり、一般的な公立高校の教育課程にある「自由選択科目群」が、この神戸大付属校には無いです。
いっぽう、たとえば東京都立の日比谷高校のカリキュラムは、選択科目ですがドイツ語・フランス語などありますし、芸術IIも履修させる方式です。日比谷高校には「自由選択科目」群があります。このように、国公立の進学校でも学校ごとの個性の差が大きく、必ずしも国公立の進学校すべてが日比谷高校のようなわけではありません。けっして、国公立の高校だからって、フンボルト理念的なバランス人材を育成してるなんて、早合点しないようにしましょう。
早慶上理(早稲田、慶應、上智、東京理科)など大学偏差値が60以上(もちろん駿台模試で)の私大に現役合格したい、というのは、こういうハイペースな勉強が高校3年間も持続できることが前提です。
その上で、「文武両道」とか言ってる高校なら、部活とかも熱心にしてるので、とんでもない重さです。甲子園に野球部がときどき出場してる運動部の強豪校の私立高校なのに、高校入試の数学でもう「順列・組み合わせ」に相当する出題をしてる私立高校とか、これもうかなりハイペ-スの高校なわけです。
決して東大合格者とか医学部合格者とか少ない私立高校の高偏差値校だからって、決して「これなら私でも簡単に追いつけそう」みたいなヘンな勘違いをしないでください。そういう私立高校の人は、スポーツの選手寿命の短さなどの理由で現役で大学に行こうとするし、別に官僚や医者や大企業文系を目指していないので、いちいち浪人してまで2~3歳ほど年取ってまで国公立とか医歯薬学系とかを目指さないだけです。
ともかく、中学3年時代の、受験の年度の12月~年明け3月は、どうせ部活はすでに引退しているわけだし、委員会も基本的には引退でしょうから(ただし、学級委員など一部の委員を除く)、特に卒業式までの放課後には用事は無いと思います。なので、特に放課後に仕事のある委員会・部活のメンバーでもない限り、合格後はさっさと高校レベルの英単語などを予習・復習しましょう。
私立の中高一貫校の進学校は、中3の冬休みは決して休みではなく、冬期講習があったりします。さすがに12/31の大晦日(おおみそか)の数日前と正月の3が日は休みでしょうが(教師も休みたいので)。まあ、クリスマス休暇(きゅうか)なんて無いと思うのが常識でしょう。
「進学校の高校に合格する」という事は、彼らと競走することです。
なお学級委員のほか、吹奏楽部・合唱部が、卒業式の当日に演奏や合唱などで部の活動として校歌や卒業式歌などを式のBGMとして公演させられる学校も時々よくあります。しかし常識的に考えて、受験勉強の負担になるような練習計画は組まないでしょう。
ただし、公立高校は試験日が遅く3月に受験をするのが普通なので、受験日と卒業式の日にちが近く、少し日程的にキツいかもしれません。
少子化などの問題もあり、地域によっては吹奏楽部・合唱部などの2年生以下の部員が少ない中学もあります。
ここら辺は、それぞれの中学の問題であり、当wikiからは当事者でないので知りようがなく、何とも言えません。それぞれの中学で、どうにかしてください。
中学だけでなく高校の卒業式も同様の傾向、吹奏楽部や合唱部などは儀式の音楽の練習に付き合わされるという慣習の高校もあり、その場合は高校も卒業前の日程が埋まる。
吹奏楽部や合唱部など一部の部活の引退が遅いからといって、引退後も部の活動に付き合わされるからといって、特に高校入試では評価されません。受験本番での入試の得点が低ければ、志望校には不合格です。
進学校は、さすがに入学式は授業がありませんが、しかし2学期や3学期の初めなどの始業式の日は3時間目あたりから授業があります。
進学高校は、体育祭とか文化祭の準備や練習などで、いちいち授業を潰しません。放課後とかに体育祭などの練習や準備をやります。このため、ただでさえハイペースな進学高校は、ますますハイペースになります。
ほか、定期試験の出題範囲が、すでに違っています。
数学なら、たとえば章末に入門的な「A問題」の頁と(基本問題~練習問題レベル)、「B問題」(応用問題~発展問題、理系向け問題)の頁とがあって、底辺高校だとA問題しか1~2年生の定期試験しか出ない、なんて差もあります。
底辺高校が3年生になってから文系コース数学で習うB問題が、すでに進学高校では1~2年生の定期試験で文系コースがクリア済み、なんて差もあります。
ほか、(進学高校などでは、)チャート式など参考書から定期試験の数学が出題される場合もあります。私立高校側が入学前などに数学参考書を買い与えている場合もあります。(進学校でないと、検定教科書と、教科書会社による傍用問題集しか与えてない場合もあります。)
高校入学前の3月中盤~後半の「仮入学」が、公立高校だと、私立の1~2月の「合格者登校日」と同じで制服など学用品の物品購入とかだけど、しかし私立はその物品購入を2月や1月に終えてるので、私立の3月の「仮入学」ではもう、確認テストなどを始めていたりとかもしかねません。私立の仮入学は、一部の入学の遅れた生徒を除き、もう春休みの課題の確認テストとかを仮入学の日にしていたりとか、しかねない。
進学校では、公立高校でも私立高校でも「宿題考査」(しゅくだい こうさ)などと言うテストがあり、予習を含む宿題も含めて、休み明けの確認テストやあるいは定期テストの範囲になります。春休みに限らず、夏休みや冬休みなどでも同様です。
つまり、学校で習ったことだけでなく、宿題すらも定期テストの範囲になるのが進学校あるあるです。もしかしたら偏差値の低い高校でも宿題考査はあるかもしれませんが、進学校のおそろしいところは、宿題に予習が入っていることです。
また、このような宿題考査の事実から、ちまたにあるエセ勉強法の「受験対策では、基本的に復習さえしてればいい」と言うのは大間違いであり、そもそも進学校は宿題などで予習を生徒に命令しています。その宿題を全体に授業がすごいハイペースで進んでいくので、宿題で予習しているのを知らない外部の人は、てっきり「進学校の生徒でも、授業の復習しかしていない」と勘違いをしているだけです。
公立の生徒がこれから制服を購入するために高校に登校する際、私立の生徒はもう高校の制服を着て高校に登校の時期です。入学前の3月後半の登校日の確認テストで、テスト後、生徒が「あの問題むずかしかったよね~」(女子)とか、男子が「なあ、あの問題、解けたか~」(男子)とか、確認テストの問題の話をしたりの時期です。日本の格差社会。
ほか、教育課程表だけでは一見すると「授業進度が遅い」ように見えても、じつは定期試験では高校1年からB問題にまで入っている、じつは授業スピードの速い高校もあります(しかも、その高校の生徒が気づいてない)。
だから、たとえば、偏差値の高い私立高校(たとえば高校偏差値65)で校風の自由さがウリの高校で「わが高校は、のびのびとした学風の高校で、カリキュラムの自由度が高いです」みたいな『ゆるふわ系』みたいなことを言っている偏差値60の高校とかでも、じつは文系コースの生徒ですらB問題に高校1~2年の定期考査で当然のように挑戦させられていたりするのです。勘違いしないでください。決して、のびのびとした『ゆるふわ系』の校風だからって、決して定期試験の5教科の出題まで『ゆるふわ系』ではありません。市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソをつかない。
決して、文化祭とかの行事の日だけの軽快そうな雰囲気に騙されてはいけません。じっさい、偏差値の高い進学校に、文化祭以外の日にちの土曜日(たとえば高校説明会など)に行くと、自習スペースとかで高校生が黙々と放課後に勉強してたりする人がなんか多くて、空気がピリピリしていたりします。何度も言いますが、市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソつかない。
そういう高校生活がいいか悪いかという話は当ページでは一切しておらず、進学校はあくまでこういう所です。こっちが進学校の本性(ほんしょう)です。たとえ部活との両立とか文武両道みたいな事を言っていても、基本的に偏差値60越えをしている進学校の高校は、こういう感じの、少し勉強でピリピリした雰囲気もある学校なのです。
それを知らずに、うっかりスポーツ推薦とか部活の県大会などの業績で偏差値53くらいの人が、偏差値60以上のゆるふわ系の私立高校に特別枠で合格してしまうと、けっこう高校の授業についていくのに大変ですので、頑張ってください。
問題集も、進学校なら自分でやります。定期試験の1か月くらい前などに問題集の範囲も示されて、そういうのを自分でコツコツとやれるのか、評価されているのです。
こういう、細かい差が積み重なって、進学高校のもつ、大学側からの指定校などの信用が生まれています。
高校入学の時点ですでに進学高校は先に進んでいるのに、ますます先に進みます。
一見すると難しそうですが、何のことはない、学校配布の問題集をきちんとその学期中に大体こなすとか(ただし数学問題集・物理問題集とかのB問題の理系向け発展問題とかは、さすがに高校3年に回す)、あるいは市販の普通の参考書や単語集とかできちんと予習・復習もしているかとか、そういう当たり前の勉強が出来るかどうかが見られているのです。
さらに、受験特化の超・進学校では、そもそも高校の部活の引退が早くて2年生の3学期末で引退とか、もう2年生の2学期末で引退とかの高校すらあると言われています。偏差値70前後以上の高校になると、私大の付属高校ではないかぎり、それはもう超進学校かどうかといった問題になってきます。
あまり偏差値が高すぎる高校に進学しても、「部活の練習の時間もなくて不満」とか、「授業がハイペースすぎて、ついていけない」とかになるので、まあ各自で志望進路をもとに高校の志望校を調整してください。
進学校はもう、校歌を入学前に覚えさせられます。「ホームページ(または動画サイト)に校歌の音源がアップロードされてるので聞いて覚えろ」系です。パソコン環境が無いなら用意しましょう。というか、そもそも出願の時点でweb出願で、パソコンの無い家庭を弾いています。
ほか、進学校でなくともありますが、入学者登校日のうちに、校歌の練習です。
高校は「芸術」教科が選択性なので、「音楽」科目を履修しない人もいるので、なので別の日に練習です。進学校は授業時間を校歌指導でつぶしたくないので、登校日とかのうちに校歌の練習です。
私立高校や難関校などでは、『春休みの課題』の一つとして、英単語や数Iの因数分解(3次式)のほか、読書感想文が出ます。この『春休みの課題』の課題図書は、高校側から指定されます。べつに読書感想文じたいは大学受験の一般入試には必要ないのですが、これを例に、エリート高校生に必要な考え方を説明します。
課題図書は高校側から指定されるので、特に高校新入生としては何を読むかは考える必要は無いのですが、しかし本ページで何も説明しないのもツマラナイので、この節では、教育者の側の視点で、大人たちがどう考えているのかを説明します。
なお、高校によっては、春休みではなく夏休みに回されて、『夏休みの読書感想文』となる場合もあります。春休みは、因数分解とか英単語の課題とかで忙しい進学校もありますので。ゴールデンウィークの前後に提出、というのもよくあります。
なお、春休み直後に感想文を提出するスケジュールの高校の場合、基本的に(パソコンではなく)原稿用紙に手書きになるでしょう。なぜなら、まだ入学前なので、高校の用意するPCアカウントが使えないからです。
中3と新入生と高校3年生以外は、まだ授業が3月の後半まで続いています。なので、中3が卒業する時期でも、まだ高校のPCアカウントが変わりきっていません(3~4月はアカウントの変更の作業中です)。このため、パソコン用アカウントを新入生が使えるのは、入学後のもっと数週間ほど後の時期になる場合があります。
なお、新入生に限らず、これから高校2年生~3年生になる生徒や、中高一貫校の付属中学の生徒でも、春休みとその前後の時期は、年度の変わり目のコンピュータ関係の移行作業中なので、学校のコンピュータ室やそれ用のアカウントなどは使えません。
電子図書でない場合、課題図書は、時間が経過すると売り切れます。再入荷には時間が掛かりますので、教科書購入のタイミングの時についでに早めに購入しましょう。たとえ感想文の提出日がもっと後のゴールデンウィークなどでも、購入は早めにしなければならず、春休み中に購入して課題図書を手元に確保しないといけません。
まず、「高校入学時の読書感想文は、物語の感想文とは限らない」という点です。よくあるのは、たとえば郷土史(きょうどし)などの身の回りの歴史を扱った解説書などの感想文です。たとえば、思いつきで架空の題名をあげますが、『関東地方の宿場町の歴史』(架空)みたいな感じの本です。どうせ『総合的な探究の時間』の地域探究とかで郷土史の本を読む生徒が多いのだし、だったら最初から郷土史の入門書を課題図書にしてしまえば一石二鳥です。
さすがにピンポイントに学校のある市町村の郷土史ではないですが(たとえば『武蔵村山の宿場町の歴史』みたいなのは無い)、しかし『関東地方の○○の歴史』みたいに道州レベルに限定すれば、その地方に関係の深そうないテーマの歴史本が幾つか出版市場にあります。
さて、「物語」以外といっても、さすがに数学や物理の本が課題図書になるわけではなく、文科系の分野か、せめて社会科学(しゃかい かがく)系に限りますが。教師側はあくまで感想を第一に書かせたいので。読書で得られる歴史知識とかは、あくまで派生物です(ただし、歴史本や社会科学本のなかで、派生的に自然科学に触れることもある。たとえば明治の近代化の歴史をあつかう本なら、必然的に西洋から輸入した科学技術の知識も扱うので)。
このように、どうせ本を読むなら、のちのちの授業でも応用できそうな本を読むのが一石二鳥です。偏差値の高い高校では、高校側がそういう応用性の高そうな本を、課題図書に指定してきます。
なのに「読書感想文 = 物語の感想文」としか思いつかない低い偏差値の高校の人はもう、ここで格差が開いています。
世間には「感想文」とか「読書」と聞くと、物語しか思いつかない人がいます。おそらく、国語の授業以外で感想文を書いたことのない人なのでしょう。しかし、少なくとも偏差値の高い高校の入学時の読書感想文は、そうではありません。
20世紀のかつては、心理学や再生医療など新しめの学問の入門書などが課題図書に指定されたりした時代もありました(なんか医学部の小論文に使えそうな課題図書)。しかし、現代では、あまり課題図書には選ばれないでしょう。国語教師が最近の進歩の早い心理学やら再生医療の知見を追いかけるのは、労力的に無理なので。
そもそも、高校入試とその対策で、物語文とか古文漢文なんて充分に読ませてるわけで、なので読書感想文としては、入試では問われなかった他分野との総合力とか高校側は見たいわけです。そのほうが全人格的な総合力の育成にもなるし、まさに『総合的な探究の時間』に必要な総合力の育成にもつながるし、文理融合の課題解決の土台にもなからです。
なのに「読書感想文 = 物語の感想文」という偏差値の低い高校の人はもう、ここでも格差が開きます。こうして、格差は開くべくして開くのです。
ほか、世の中には知能障害の重い人がいて、そういう人の中には、たとえば小学校の掛け算と割り算すら出来ない人もいます。そういう人は当然、高校受験でも、けっして大学受験を目指すような進学高校には合格できなくて、障害者教育のための特別な高校に進学するわけです。そういう障害の重い人は、ほとんど物語文しか読めない人もいるのです。
進学高校の人なら、そういう障害ある人が読めないような、複合的で高度な問題を扱った歴史書とか読むと良いでしょう。そういう本が、高校教師の手によって課題図書に選ばれているわけです。
なお、課題図書でたとえば歴史を扱う本を図書にすることもあるからといって古すぎる本ではダメで、なるべく最新の知見(ここ十年以外が良いでしょう)が反映された本を読むのがポイントです。とはいえ、高校側が気を利かして、そういう新しめの本を課題図書に指定してくるので、中高生としては特に気にする必要がありません。
よく、「西洋の大学では、ギリシア以外の国でも教養として古代ギリシアの古典を読ませるのが正統とされる」とか言いますが、しかし、そういう古い本を読む前にまず、高校生や中学生は、なるべく新しい知見を入れるべきなのです(ここ50年以内の知見が良いでしょう)。そもそも大学から異国の古典を読ませるという事は、裏を返すと「高校卒業までは、異国の古典には、あまり深入りさせない国が多い(単純な暗記科目になりやすく、教育効果が低いので)」という意味でもあるのです。
中学校の社会科の教科書の構成だって、そうなってるでしょう。多くの中学校の社会科では、まず中1に『地理』によって、ここ20年以内の世界情勢について現状認識の目星(めぼし)をつけで、そのあと中2で『歴史』に入って起源をさぐっているのです。
ほか、そもそも古典文学や古代史・中世史などはすでに多くのプロの学者によって研究済みのことが多く、なのに今さら高校新入生ごときが研究しても、新しい観点からの新しい知見につなげるのは 至難のワザ(しなんのわざ)です。(よほどテクノロジーが急速に発展したりしないかぎり、新しい研究手法は出てこないので、高校生ごときが新発見をするのは至難(しなん)です。)
読書感想文では、別に論文を書くわけではないので、新発見をする必要は無いのですが、しかしまあ、どういうわけか基本、課題図書には新しめの本を選んでくれるのが一般的です。
新しい本の著者は基本、古い古典から得られる知見を先行研究として踏まえた上で、新著を書いてくれてるわけです。読者の時間を節約するために、古典のうち要点だけを踏まえて、新著に活用しているわけです。なのに、せっかく新著の著者が古典をふまえて要点だけを活用してくれたのに、若者がまた古典から読み直しては、社会全体では作業が重複しており、時間の無駄です。
新著の著者が先行研究をほんとうに踏まえているかどうかは、すでに出版社の編集員などが確認をとっています。さらに教育系団体の「推薦図書」に指定されるような新しめの本なら、その団体のメンバーも確認をしているわけです。その上、さらに高校新入生の課題図書に選ばれるような本では、その高校の教師も、新著の内容のすぐれている点を確認しているわけです。
なので、その上さらに高校生が古典から読み直すのは、もはや作業の重複であり、時間の無駄なのです。
どうせ著作物を書くなら(感想文も著作物の一種です)、オリジナリティがあったほうが希少価値(きしょうかち)が高くて良いので、郷土史のように他県の人には深い感想の書けない分野の本を読むというのも、よくある手です。役割分担です。まあ、進学高校なら高校教師側がそういう本を課題図書に選ぶので、そこの新入生なら悩む必要は無いです。
いっぽう「読書感想文 = 物語の感想文」として世間で流行している本ばかり読んでる人は、もう図書選びの時点でオリジナリティが低く、格差が開いています。
物語を読むにしても、どうせ読むなら、「高校生になる自分たちのための本」を読むべきです。
主人公が現代のリアルな高校生、「青春の悩み」みたいなのをテーマにした物語の本、そういう本を優先して読んだほうが、読書感想文としては良いでしょう。というか、そういう物語の本が、教育系団体の「推薦図書」を経由するなどして、高校の春休みの課題図書に選ばれたりします。
どんなに世界的に売れてる童話とか、幼児むけのファンタジー文学だろうが、そういうのは後回しにすべきであり、そもそも課題図書に選ばれないでしょう。コツは「幼児でも読める本は、幼児に読ませる」です。
なので、世間の流行を追いかけているだけの 事なかれ主義(ことなかれしゅぎ)の人、つまり まるで「赤信号、みなで渡れば、怖くない」(芸人の ビートたけし の川柳(せんりゅう))みたいな発想の人は、著作権ビジネスの世界でも、負けるべくして負けてしまいます。
図書選びのコツとしては「なるべく、バカでも存在に気づく本は読まない」のがポイントです。
このように、格差の大きな原因の一つは、そもそもの思考・趣向(しゅこう)がもう、格差競争で負けるべくして負ける思考回路になっているのです。
『ハイリスク・ハイリターン』という言葉がありますが、世の中には、ご都合主義のワガママな人もいて「他人と同じことばかりやっててローリスクでいたいけど、でも報酬はハイリターンのほうが良いなあ」とか思ってる、頭わるい人も多いのです。
単に性格が悪いゆえの事なかれ主義のくせに、「自分は協調が高い」とか勘違いして「俺はみんなと足並みをあわせて頑張って流行を追いかける勉強をして同じことをしてるのに、なんで俺は評価が低いんだ!」みたいに勘違いしている人も世間に多くいます。単に流行にながされて、広告メディアの用意した情報を消費してるだけのことを「勉強」だと思ってる、末期(まっき)の人も多いのです。
課題図書が、なん十冊もの中から自由に選べる高校と、数冊の中から選ぶ高校と、1冊を指定される高校があります。
1冊を指定する高校の場合、その図書中の漢字などが定期テストの範囲になったりします。本当に読んだなら、漢字を書けなくても読めるはずだよねって言うこと。
課題図書の宿題は、出されるのはせいぜい年に1回くらいです。私立の進学校では、夏休み・冬休みなどは塾の夏期講習とか冬期講習とかで忙しい人もいるので、そんなに読書感想文ばかり長期休暇のたびには出しません。
青少年読者感想文全国コンクールが選ぶ「課題図書」と、進学校が選ぶ「課題図書」とは違います。どこの地域の大型書店などでも春先や夏先などに並ぶ「課題図書」は、この全国コンクールの課題図書です。
全国コンクールは、甲子園とかああいうのと同じで、大会です。そういう大会に興味ある高校生は、どうぞ全国コンクールの図書をお読みください。たとえるなら青少年読者感想文全国コンクールの課題図書は、吹奏楽の大会の「コンクール」の「課題曲」とかと同じような文脈での「課題図書」です。
中学校の理科と社会科のコラムでは、高校の範囲をあつかっています。中学教科書・資料集の教科書会社・教材会社によって、高校のどの話題をコラム的に扱っているかが違います。なので高校では、理科と社会科では、どの単元でも、中学のコラムで扱ってようが、理科と社会科ではその中学コラムの内容の復習から始まります。
高校教師はいちいち「復習」と宣言せず、単に高校の教科書に書いてあることをそのまま授業しているだけです。しかし結果的に高校教科書の理科と社会科の内容が、理科と社会科では、中学コラムの復習から始まる内容になっています。
けっして「うちの高校は、1学期に中学レベルの復習をしている! レベルが低い」とか悲観しないでください。高校の授業の各学年の初めはそういうものであり、中学コラムの復習から始まります。
公立中学校だと、その地域の公立小学校と連携しているので、小学校で扱った内容との重複が無いのですが、しかし高校は違います。
特に社会科では、歴史分野は中学2年、地理分野は中学1年で習い、公民と比べて1年間以上のあいだが空いていますので、高校の世界史や地理などが中学コラムで扱った内容から始まると、ついつい高校教育のレベルが低く感じがちですが、単に高校教育に関する勘違いです。
日本は教科書検定の制度があるので、中学教科書は教科書会社ごとにコラムの内容がバラバラですので、高校はいちいち特定の教科書会社のコラムにまで合わせることはできません。
高校によっては、文化祭の出し物で、焼きそばとかを生徒が販売する模擬店(もぎてん)がありません。必ずしもどの高校の文化祭にも模擬店が存在するとは限りません。なぜなら、資金管理の難しさ、販売トラブル時の対応の難しさもあります。特に食品を扱う場合は、食中毒の防止の問題、ほか、加熱などの際に火器を扱う問題もあり、なかなか現代日本では模擬店は難しいのです。
保健所への届け出の有無など、進学校の生徒にとっては時間が掛かり、受験競争のきびしい現代では、なかなか難しいことを理解する必要があります。関係者の検便(けんべん)なども、面倒です。
たとえ卒業生の中高年の保護者が高校時代だったころには母校の文化祭で模擬店があっても、さいきんの子世代・孫世代の現代では模擬店をしなくなっている場合もよくあります。
「食品の販売を認めていない」、または「食品を扱う場合は、一般の商店で購入した調理済み食品(菓子など)の転売しか認めてない」、「火気厳禁」、などの制限がある事も現代では多々あります。
なので、商業高校などでないと、生徒による模擬店での飲食の販売は難しかったりします。
また、理系の大学学部の進学に力を入れている進学高校の場合、文化祭での模擬店の経験などビジネス系の経験は推薦入試などのアピール材料になりづらいし、そもそも理系の多い国公立があまり推薦枠そのものを取ってない、などの事情も理解しなければなりません。
または、たとえ文化祭に屋台はあっても、販売している人が生徒ではなく、高校の取引先の外食業者、イベント業者の手配した屋台業者、なんて事もあります。
マンガなんかだと、学園モノのマンガでは生徒が文化祭で色々と販売したり商売したりしますが、マンガはフィクションですので、実態とは違います。
「運動部が文化祭で、模擬店の屋台で食品販売」なんてのは、もはや進学高校では昭和や平成初期といった昔の話です。なので運動部の人は、体育祭などでアピールすることになります(もっとも、体育祭を校外に公開してない高校も多いので、高校受験をする中学生には無関係です)。
なお、大学でも、理科系の大学だと、食品販売どころか、学生による模擬店そのものが無い場合もあります(屋外には業者による屋台があるだけ)。昼食は校内の食堂だったりします。特に医歯薬系の学部学科など、日々の学業でとても忙しいので、学生の模擬店は無い可能性が高いでしょう。
大学でも、文科系の学部とか、理系なら栄養学科とか食品系でないと、じつは文化祭で学生が食品を販売していない場合が多いのです。
たとえば芸術鑑賞会の行事で、公立中学では交通費の問題からか文化庁の補助金によって地元の公民館や文化会館に楽団などを招いての鑑賞行事だったりする一方で、私立中学では文化庁の補助金の公民館での芸術鑑賞会はしつつ、さらに別行事で、私立中学ではたとえば自費で自校の体育館(講堂を兼ねている)などに文化人を招いて実演や講演してもらったりとか、あるいは自費でどこかの美術館だの音楽コンサートホールだのに鑑賞に行ったりとか、私立は少し芸術行事が多い場合もあるえるのです。
なお、私学あたりの中高一貫校の進学校での中学および普通科高校での芸術教育のレベルですが、べつに芸術系の学科ではないので、せいぜい芸術系の(やる側の)行事が中学と高校どちらかで1個多いぐらいです。あまり行事が多すぎると5教科の勉学に支障がありますので。
体育の授業も、公立中学では学校によってはプールが無くて水泳の授業が無いとか、公立・私立の格差があるわけです。
ほか、その私立の設立の理念かなんかで、普通の中学の授業ではしない、ややマイナーなスポーツや武道をしている私立中学もあったりします。
差がない部分もあります。
さすがに私立中学でも、フットサルやスカッシュやクリケットなど、あまりにマイナースポーツすぎるのは、(指導要領の体育科には書いてありますが)さすがに授業でそれらマイナースポーツを行うのは、ごく少数の私立中学だと思いますので、心配は不要です。
また、古典的な武道でも、剣道とか身体に合う防具が必要なのは、さすがに私立中学でも授業に取り入れるのは難しいです(いちおう指導要領では剣道の授業も可能)。なお、弓道は私立中学でも敷地不足で弓道場が無い私立も多いので、公立中学出身だからといって引け目を感じる必要はありません。
テニスの授業は、私立なら都心でも何とかテニス場はあるものの、敷地の問題で、テニスの授業を多くするのは私立の中高でも難しい場合もあります。
地方の中学から東京など都会の過密な地域に上京進学すると、敷地の問題で、高校での体育の授業での種目が、狭い場所でも一斉授業できる種目に限られることになります。
見方を変えれば、生まれた最初から東京に住んでいる家庭の学生は、最初から体育授業で受けられる回数の多い科目が、そういう狭い土地でも授業しやすい種目に限られているわけです。
ついでに大学のスポーツの話をしますと、都心すぎる東京23区内の大学は、実はスポーツがあまりさかんではありません。なぜなら、そもそもスポーツ用の敷地が狭いからです。
有名大学でも、大学によっては水泳プールが都心の校舎には無い場合もあります。また、都心でなくても、理科系の大学などはプールが無い場合もあります。
大卒のプロスポーツ選手の出身の学歴を見る時、学校名だけでなく学部名を見ると、その学部は郊外の校舎だったり(東京なら多摩地方や、他県なら神奈川・千葉・埼玉など)、あるいは地方都市の大学だったりします。そういう意味です。
弓道場やアーチェリー場の無い大学も多く(「アーチェリー」とは西洋弓術のこと)、そういう大学からは、弓道やアーチェリーのプロの卒業生は、まあいないのが普通です。
マスコミでは東京の国際大会などが放映されるので、あたかも東京はスポーツがさかんなように素人は錯覚しますが、しかし東京都心は敷地不足ですので、トレーニング効率には疑問があります。
また、都心にある私立大学の学部の多くは、戦前は専門学校だった学校も多く、そういう学部は当然、スポーツの設備が貧弱であり、大学所有のプールが無かったり、運動場なども敷地が狭かったりします。(現代でも簿記(ぼき)専門学校とかマンガ専門学校とかに水泳プールが無いのと同様です。)
こういう都心の敷地不足の事情があったから第二次世界大戦後、東京にあった私立大学は、多摩地域や埼玉や千葉などの郊外に新校舎を建てるため、新しい学部に進出したわけです。
私立高校でも、千葉や埼玉などのやや奥まった地域に、都心の有名私立大学の付属校の私立高校があったりするのも、そういう都心の敷地不足という事情での、戦後の進出です。戦後の開発で都心だと敷地不足になり、だから戦後、郊外に付属高校の校舎を立てたのです。
敷地ついでに言うと、私立がたとえば「ICT教育など新しい教育のための新しい設備が必要だ」と思っても、敷地不足で設備を増やせない中学高校もあるでしょう。たとえば3Dプリンタを導入しようにも、もう置く場所が校内に無い(コンピュータ室はもう満杯)、という私立高校も多いわけです。仮に学級を1つ減らして1室あければ設備を増やすのは単純計算では可能でしょうが、しかし授業料収入がかなり減ります。
高偏差値の私立高校には、田舎の公立とは違って「空き教室」なんて発生しません。
もし、私立の中高の6学年で1クラス(40人)減らすと、学費が年間100万円だとして、6×40×100万円=24000万円 つまり年間で 2億4千万円 の収入減少です。かなりキツイ。私立高校は付属もあるので中高と6学年がつながってるので、決して1学級だけを減らして1室だけを空けて4000万円の減少に留めるというは出来ず、6学級ずつ減らさないといけないので2億4千万円の減少なのです。
しかも、1学年で偶数の8学級だったのを奇数の7学級に変えると、体育などの2クラス合同授業の編成も直さないといけず、面倒です。まあ、なのでクラスを減らすのは、有名私立では実質的に無理です。
いっぽう、付属中学を募集停止すれば大幅に部屋が空いて設備を増やせますが、今度は収入が大幅に減りますので、設備の購入費用が調達しづらくなります。おそらく銀行なども許可しないでしょう。
なので私立では、ソフトウェアみたいに敷地が不要なものに設備投資することになるでしょうか。
ほか、宗教系の高校なら、内部進学組はすでにその宗教の入門について習っているので、宗教教育も別々にせざるを得ません。
まあ、上記の色々な理由で、内部進学組と外部受験組とを同じクラスにするのは困難です。
べつに外部受験組が負い目を感じる必要は無くて、外部受験組が内部進学組が体験してこなかった別のことを中学時代には体験してきています。 | [
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"text": "現在、多くの私立高校は付属中学を持っており、その付属中学では中3のうちに、高校1年の内容に突入しています。なぜなら、私立中の授業では、検定外教科書が「英語」教科と「数学」教科で学校専売品として存在しており、多くの私立中学でその検定外教科書が使われております。その検定外教科書で、英語と数学では、中3のうちに高校1年の内容に突入しています。",
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"text": "数学は因数分解(3次式)以降の二次関数や三角関数などは予習が難しいかもしれませんが、しかし英単語なら独学で勉強できるので、春休みのうちに英単語を勉強して追いつきましょう(なお、因数分解は、春休みのあいだの宿題になる場合がある)。",
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"text": "おそらく、高校側からも、「春休みの課題」などとして、付属中学と公立中学との隙間を埋めるための課題が出されると思います。",
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"text": "つまり、英単語と、因数分解(三次式および二変数二次式)が、春休みの宿題の定番です。加えて、対称式とか交代式とか、そこまで「春休みの課題」に出る高校もあります。",
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"text": "なお私立高校の場合、1~2月に合格した子は、まだ3月まで高校教科書を購入できないので、2月ごろの合格者登校日のあたりに学校側から宿題のプリント(英単語のスペルを覚えろプリント)を渡されたり、あるいは課題図書の読書感想文などを先に出されることもあります。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "なお、高校からの配布物を間違って捨てないよう、中学時代のプリントなどを捨てるのは、高校入学後の後回しにしましょう。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "いっぽう、偏差値の低い高校だと、春休みの課題の内容が、中学の復習だったりして、「ブリッジ数学」などの復習用の問題集だったりします。偏差値の高い高校では、そんな復習用の問題集は、やらないです。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "偏差値の高い高校だと、数学IAの傍用(ぼうよう)問題集または参考書のチャート式で、上述の因数分解や「データの分析」(新課程)とかが範囲です。20世紀は因数分解が定番でしたが、21世紀の令和になり「データの分析」が課題に加わったのが、時代の進歩を感じさせて現代的です。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "「データの分析」のように新しい単元は、私立の高校側は今までの授業計画をあまり変えたくないので、入学時などの「春休みの課題」にそういう新単元を中心に出して、教えた事にさせてしまう、という教育テクニックがあります。公立高校で果たして可能なテクニックかどうかは知りません。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "新学期の数学は、第2章の「二次関数」から始まるのが、私立の進学校あるあるです。",
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"text": "ほか、整数とかも21世紀になって加わりましたが、これを春休みの課題に回すという手もあります。春休みの課題に整数を回すことで、新学期からの授業では、90年代からの伝統的な授業計画を変えずに済みます。整数なら中学生でも分かるし、整数問題は中学入試などでも出ることがあるので、コレも課題にちょうどいいです。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "ほか、幾何学のチェバの定理とかああいう授業で飛ばす単元を「春休みの課題」に回すというのも手です。",
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"text": "データの分析、整数、図形、これを「春休みの課題」に回してしまえば、授業は二次関数から始められます。そして二次関数が終わったら、さっさと三角比・(数学IIの)三角関数に入れます。私立なら数か月早く1年生のうちに三角関数を始めるというのも進学校あるあるです。私立進学高校では、入学時の数学の教科書は2年生の分まで買うことになり、1年の終わりには数IIをやるのが定番です。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "私立の進学校や、偏差値が高めの私立高校に進学するということは、こういうハイペースな勉強が必要だという意味です。そういう勉強がイヤなら、もし読者が読んでる今がまだ中3の春~夏なら、そもそも高校卒業後の進路(たとえば「どこどこ大学に進学したい!」とか)を考え直すべきです。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "そもそも私立の難関校の場合、そもそも高校入試問題の時点で、もうそのような高校予習を意識した出題になっている場合もあります。たとえば数学なら、確率の「順列・組み合わせ」の初歩なら中学生でも何とか解けるので、そういう出題がもう偏差値60私立高校あたりから高校入試で出されたりします。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "なお、理科・社会科については、あまり高校入試に理科・社会科を出す私立高校は少ないが、もし入試に理科・社会科を出す場合、偏差値のそれほど高くない55~60くらいの日東駒専(日大・東洋大・駒沢大・専修大)の地方の付属校レベルでも、もう高校の理科基礎レベルの話題を出します(たとえば日大の付属など)。",
"title": "大学進学したい場合"
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"paragraph_id": 16,
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"text": "これはなぜかというと、中学教材でも理科・社会科の検定教科書のコラムや、学校配布の資料集などで、普通に高校範囲の内容も紹介しているからです。私立高校側からすれば、単にコラムや資料集などもよく読むマジメな受験生を高校入試で欲しいだけですが、しかし中学校ごとにどの教科書や資料集を使っているかは違うので、よって、発展的な参考書が必要になります。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "標準的な高校受験用の理科参考書を買えば、その参考書の傍注(ぼうちゅう)やコラムや発展あたりに書いてあるレベルですので、そういう参考書で自発的に勉強する能力が要求されています。こういう人らと3年後に大学受験で競走することになります。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "また、国公立の中高一貫校では、高校の国語の「言語文化」科目や、社会科の「公共」と高校家庭科「家庭基礎」と「情報」を、中学のうちに1単位ぶん開始している学校もあります(国立の神戸大学付属の中等教育学校の公表されているカリキュラム表がその証拠)。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "なお、この神戸大付属校、教育課程表を見ると、けっして「家庭総合」など履修してないし、芸術IIもないし、情報IIもないし、第二外国語のドイツ語とかフランス語もありません。受験特化のカリキュラムです。国公立だからって、必ずしも、受験以外の教科もバランスよく勉強しているわけではありません。つまり、一般的な公立高校の教育課程にある「自由選択科目群」が、この神戸大付属校には無いです。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "いっぽう、たとえば東京都立の日比谷高校のカリキュラムは、選択科目ですがドイツ語・フランス語などありますし、芸術IIも履修させる方式です。日比谷高校には「自由選択科目」群があります。このように、国公立の進学校でも学校ごとの個性の差が大きく、必ずしも国公立の進学校すべてが日比谷高校のようなわけではありません。けっして、国公立の高校だからって、フンボルト理念的なバランス人材を育成してるなんて、早合点しないようにしましょう。",
"title": "大学進学したい場合"
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"text": "早慶上理(早稲田、慶應、上智、東京理科)など大学偏差値が60以上(もちろん駿台模試で)の私大に現役合格したい、というのは、こういうハイペースな勉強が高校3年間も持続できることが前提です。",
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"text": "その上で、「文武両道」とか言ってる高校なら、部活とかも熱心にしてるので、とんでもない重さです。甲子園に野球部がときどき出場してる運動部の強豪校の私立高校なのに、高校入試の数学でもう「順列・組み合わせ」に相当する出題をしてる私立高校とか、これもうかなりハイペ-スの高校なわけです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "決して東大合格者とか医学部合格者とか少ない私立高校の高偏差値校だからって、決して「これなら私でも簡単に追いつけそう」みたいなヘンな勘違いをしないでください。そういう私立高校の人は、スポーツの選手寿命の短さなどの理由で現役で大学に行こうとするし、別に官僚や医者や大企業文系を目指していないので、いちいち浪人してまで2~3歳ほど年取ってまで国公立とか医歯薬学系とかを目指さないだけです。",
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},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "ともかく、中学3年時代の、受験の年度の12月~年明け3月は、どうせ部活はすでに引退しているわけだし、委員会も基本的には引退でしょうから(ただし、学級委員など一部の委員を除く)、特に卒業式までの放課後には用事は無いと思います。なので、特に放課後に仕事のある委員会・部活のメンバーでもない限り、合格後はさっさと高校レベルの英単語などを予習・復習しましょう。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "私立の中高一貫校の進学校は、中3の冬休みは決して休みではなく、冬期講習があったりします。さすがに12/31の大晦日(おおみそか)の数日前と正月の3が日は休みでしょうが(教師も休みたいので)。まあ、クリスマス休暇(きゅうか)なんて無いと思うのが常識でしょう。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 27,
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"text": "「進学校の高校に合格する」という事は、彼らと競走することです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
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"text": "",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 29,
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"text": "なお学級委員のほか、吹奏楽部・合唱部が、卒業式の当日に演奏や合唱などで部の活動として校歌や卒業式歌などを式のBGMとして公演させられる学校も時々よくあります。しかし常識的に考えて、受験勉強の負担になるような練習計画は組まないでしょう。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ただし、公立高校は試験日が遅く3月に受験をするのが普通なので、受験日と卒業式の日にちが近く、少し日程的にキツいかもしれません。",
"title": "大学進学したい場合"
},
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"text": "少子化などの問題もあり、地域によっては吹奏楽部・合唱部などの2年生以下の部員が少ない中学もあります。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "ここら辺は、それぞれの中学の問題であり、当wikiからは当事者でないので知りようがなく、何とも言えません。それぞれの中学で、どうにかしてください。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "中学だけでなく高校の卒業式も同様の傾向、吹奏楽部や合唱部などは儀式の音楽の練習に付き合わされるという慣習の高校もあり、その場合は高校も卒業前の日程が埋まる。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "吹奏楽部や合唱部など一部の部活の引退が遅いからといって、引退後も部の活動に付き合わされるからといって、特に高校入試では評価されません。受験本番での入試の得点が低ければ、志望校には不合格です。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "進学校は、さすがに入学式は授業がありませんが、しかし2学期や3学期の初めなどの始業式の日は3時間目あたりから授業があります。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
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"tag": "p",
"text": "進学高校は、体育祭とか文化祭の準備や練習などで、いちいち授業を潰しません。放課後とかに体育祭などの練習や準備をやります。このため、ただでさえハイペースな進学高校は、ますますハイペースになります。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ほか、定期試験の出題範囲が、すでに違っています。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "数学なら、たとえば章末に入門的な「A問題」の頁と(基本問題~練習問題レベル)、「B問題」(応用問題~発展問題、理系向け問題)の頁とがあって、底辺高校だとA問題しか1~2年生の定期試験しか出ない、なんて差もあります。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "底辺高校が3年生になってから文系コース数学で習うB問題が、すでに進学高校では1~2年生の定期試験で文系コースがクリア済み、なんて差もあります。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "ほか、(進学高校などでは、)チャート式など参考書から定期試験の数学が出題される場合もあります。私立高校側が入学前などに数学参考書を買い与えている場合もあります。(進学校でないと、検定教科書と、教科書会社による傍用問題集しか与えてない場合もあります。)",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "高校入学前の3月中盤~後半の「仮入学」が、公立高校だと、私立の1~2月の「合格者登校日」と同じで制服など学用品の物品購入とかだけど、しかし私立はその物品購入を2月や1月に終えてるので、私立の3月の「仮入学」ではもう、確認テストなどを始めていたりとかもしかねません。私立の仮入学は、一部の入学の遅れた生徒を除き、もう春休みの課題の確認テストとかを仮入学の日にしていたりとか、しかねない。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "進学校では、公立高校でも私立高校でも「宿題考査」(しゅくだい こうさ)などと言うテストがあり、予習を含む宿題も含めて、休み明けの確認テストやあるいは定期テストの範囲になります。春休みに限らず、夏休みや冬休みなどでも同様です。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "つまり、学校で習ったことだけでなく、宿題すらも定期テストの範囲になるのが進学校あるあるです。もしかしたら偏差値の低い高校でも宿題考査はあるかもしれませんが、進学校のおそろしいところは、宿題に予習が入っていることです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "また、このような宿題考査の事実から、ちまたにあるエセ勉強法の「受験対策では、基本的に復習さえしてればいい」と言うのは大間違いであり、そもそも進学校は宿題などで予習を生徒に命令しています。その宿題を全体に授業がすごいハイペースで進んでいくので、宿題で予習しているのを知らない外部の人は、てっきり「進学校の生徒でも、授業の復習しかしていない」と勘違いをしているだけです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "公立の生徒がこれから制服を購入するために高校に登校する際、私立の生徒はもう高校の制服を着て高校に登校の時期です。入学前の3月後半の登校日の確認テストで、テスト後、生徒が「あの問題むずかしかったよね~」(女子)とか、男子が「なあ、あの問題、解けたか~」(男子)とか、確認テストの問題の話をしたりの時期です。日本の格差社会。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "ほか、教育課程表だけでは一見すると「授業進度が遅い」ように見えても、じつは定期試験では高校1年からB問題にまで入っている、じつは授業スピードの速い高校もあります(しかも、その高校の生徒が気づいてない)。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "だから、たとえば、偏差値の高い私立高校(たとえば高校偏差値65)で校風の自由さがウリの高校で「わが高校は、のびのびとした学風の高校で、カリキュラムの自由度が高いです」みたいな『ゆるふわ系』みたいなことを言っている偏差値60の高校とかでも、じつは文系コースの生徒ですらB問題に高校1~2年の定期考査で当然のように挑戦させられていたりするのです。勘違いしないでください。決して、のびのびとした『ゆるふわ系』の校風だからって、決して定期試験の5教科の出題まで『ゆるふわ系』ではありません。市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソをつかない。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "決して、文化祭とかの行事の日だけの軽快そうな雰囲気に騙されてはいけません。じっさい、偏差値の高い進学校に、文化祭以外の日にちの土曜日(たとえば高校説明会など)に行くと、自習スペースとかで高校生が黙々と放課後に勉強してたりする人がなんか多くて、空気がピリピリしていたりします。何度も言いますが、市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソつかない。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "そういう高校生活がいいか悪いかという話は当ページでは一切しておらず、進学校はあくまでこういう所です。こっちが進学校の本性(ほんしょう)です。たとえ部活との両立とか文武両道みたいな事を言っていても、基本的に偏差値60越えをしている進学校の高校は、こういう感じの、少し勉強でピリピリした雰囲気もある学校なのです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 50,
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"text": "それを知らずに、うっかりスポーツ推薦とか部活の県大会などの業績で偏差値53くらいの人が、偏差値60以上のゆるふわ系の私立高校に特別枠で合格してしまうと、けっこう高校の授業についていくのに大変ですので、頑張ってください。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "問題集も、進学校なら自分でやります。定期試験の1か月くらい前などに問題集の範囲も示されて、そういうのを自分でコツコツとやれるのか、評価されているのです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "こういう、細かい差が積み重なって、進学高校のもつ、大学側からの指定校などの信用が生まれています。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 53,
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"text": "高校入学の時点ですでに進学高校は先に進んでいるのに、ますます先に進みます。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 54,
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"text": "一見すると難しそうですが、何のことはない、学校配布の問題集をきちんとその学期中に大体こなすとか(ただし数学問題集・物理問題集とかのB問題の理系向け発展問題とかは、さすがに高校3年に回す)、あるいは市販の普通の参考書や単語集とかできちんと予習・復習もしているかとか、そういう当たり前の勉強が出来るかどうかが見られているのです。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "さらに、受験特化の超・進学校では、そもそも高校の部活の引退が早くて2年生の3学期末で引退とか、もう2年生の2学期末で引退とかの高校すらあると言われています。偏差値70前後以上の高校になると、私大の付属高校ではないかぎり、それはもう超進学校かどうかといった問題になってきます。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 56,
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"text": "あまり偏差値が高すぎる高校に進学しても、「部活の練習の時間もなくて不満」とか、「授業がハイペースすぎて、ついていけない」とかになるので、まあ各自で志望進路をもとに高校の志望校を調整してください。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "進学校はもう、校歌を入学前に覚えさせられます。「ホームページ(または動画サイト)に校歌の音源がアップロードされてるので聞いて覚えろ」系です。パソコン環境が無いなら用意しましょう。というか、そもそも出願の時点でweb出願で、パソコンの無い家庭を弾いています。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 58,
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"text": "ほか、進学校でなくともありますが、入学者登校日のうちに、校歌の練習です。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "高校は「芸術」教科が選択性なので、「音楽」科目を履修しない人もいるので、なので別の日に練習です。進学校は授業時間を校歌指導でつぶしたくないので、登校日とかのうちに校歌の練習です。",
"title": "大学進学したい場合"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "私立高校や難関校などでは、『春休みの課題』の一つとして、英単語や数Iの因数分解(3次式)のほか、読書感想文が出ます。この『春休みの課題』の課題図書は、高校側から指定されます。べつに読書感想文じたいは大学受験の一般入試には必要ないのですが、これを例に、エリート高校生に必要な考え方を説明します。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "課題図書は高校側から指定されるので、特に高校新入生としては何を読むかは考える必要は無いのですが、しかし本ページで何も説明しないのもツマラナイので、この節では、教育者の側の視点で、大人たちがどう考えているのかを説明します。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "なお、高校によっては、春休みではなく夏休みに回されて、『夏休みの読書感想文』となる場合もあります。春休みは、因数分解とか英単語の課題とかで忙しい進学校もありますので。ゴールデンウィークの前後に提出、というのもよくあります。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "なお、春休み直後に感想文を提出するスケジュールの高校の場合、基本的に(パソコンではなく)原稿用紙に手書きになるでしょう。なぜなら、まだ入学前なので、高校の用意するPCアカウントが使えないからです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "中3と新入生と高校3年生以外は、まだ授業が3月の後半まで続いています。なので、中3が卒業する時期でも、まだ高校のPCアカウントが変わりきっていません(3~4月はアカウントの変更の作業中です)。このため、パソコン用アカウントを新入生が使えるのは、入学後のもっと数週間ほど後の時期になる場合があります。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "なお、新入生に限らず、これから高校2年生~3年生になる生徒や、中高一貫校の付属中学の生徒でも、春休みとその前後の時期は、年度の変わり目のコンピュータ関係の移行作業中なので、学校のコンピュータ室やそれ用のアカウントなどは使えません。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "電子図書でない場合、課題図書は、時間が経過すると売り切れます。再入荷には時間が掛かりますので、教科書購入のタイミングの時についでに早めに購入しましょう。たとえ感想文の提出日がもっと後のゴールデンウィークなどでも、購入は早めにしなければならず、春休み中に購入して課題図書を手元に確保しないといけません。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "まず、「高校入学時の読書感想文は、物語の感想文とは限らない」という点です。よくあるのは、たとえば郷土史(きょうどし)などの身の回りの歴史を扱った解説書などの感想文です。たとえば、思いつきで架空の題名をあげますが、『関東地方の宿場町の歴史』(架空)みたいな感じの本です。どうせ『総合的な探究の時間』の地域探究とかで郷土史の本を読む生徒が多いのだし、だったら最初から郷土史の入門書を課題図書にしてしまえば一石二鳥です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "さすがにピンポイントに学校のある市町村の郷土史ではないですが(たとえば『武蔵村山の宿場町の歴史』みたいなのは無い)、しかし『関東地方の○○の歴史』みたいに道州レベルに限定すれば、その地方に関係の深そうないテーマの歴史本が幾つか出版市場にあります。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "さて、「物語」以外といっても、さすがに数学や物理の本が課題図書になるわけではなく、文科系の分野か、せめて社会科学(しゃかい かがく)系に限りますが。教師側はあくまで感想を第一に書かせたいので。読書で得られる歴史知識とかは、あくまで派生物です(ただし、歴史本や社会科学本のなかで、派生的に自然科学に触れることもある。たとえば明治の近代化の歴史をあつかう本なら、必然的に西洋から輸入した科学技術の知識も扱うので)。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "このように、どうせ本を読むなら、のちのちの授業でも応用できそうな本を読むのが一石二鳥です。偏差値の高い高校では、高校側がそういう応用性の高そうな本を、課題図書に指定してきます。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "なのに「読書感想文 = 物語の感想文」としか思いつかない低い偏差値の高校の人はもう、ここで格差が開いています。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "世間には「感想文」とか「読書」と聞くと、物語しか思いつかない人がいます。おそらく、国語の授業以外で感想文を書いたことのない人なのでしょう。しかし、少なくとも偏差値の高い高校の入学時の読書感想文は、そうではありません。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "20世紀のかつては、心理学や再生医療など新しめの学問の入門書などが課題図書に指定されたりした時代もありました(なんか医学部の小論文に使えそうな課題図書)。しかし、現代では、あまり課題図書には選ばれないでしょう。国語教師が最近の進歩の早い心理学やら再生医療の知見を追いかけるのは、労力的に無理なので。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "そもそも、高校入試とその対策で、物語文とか古文漢文なんて充分に読ませてるわけで、なので読書感想文としては、入試では問われなかった他分野との総合力とか高校側は見たいわけです。そのほうが全人格的な総合力の育成にもなるし、まさに『総合的な探究の時間』に必要な総合力の育成にもつながるし、文理融合の課題解決の土台にもなからです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "なのに「読書感想文 = 物語の感想文」という偏差値の低い高校の人はもう、ここでも格差が開きます。こうして、格差は開くべくして開くのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "ほか、世の中には知能障害の重い人がいて、そういう人の中には、たとえば小学校の掛け算と割り算すら出来ない人もいます。そういう人は当然、高校受験でも、けっして大学受験を目指すような進学高校には合格できなくて、障害者教育のための特別な高校に進学するわけです。そういう障害の重い人は、ほとんど物語文しか読めない人もいるのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "進学高校の人なら、そういう障害ある人が読めないような、複合的で高度な問題を扱った歴史書とか読むと良いでしょう。そういう本が、高校教師の手によって課題図書に選ばれているわけです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "なお、課題図書でたとえば歴史を扱う本を図書にすることもあるからといって古すぎる本ではダメで、なるべく最新の知見(ここ十年以外が良いでしょう)が反映された本を読むのがポイントです。とはいえ、高校側が気を利かして、そういう新しめの本を課題図書に指定してくるので、中高生としては特に気にする必要がありません。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "よく、「西洋の大学では、ギリシア以外の国でも教養として古代ギリシアの古典を読ませるのが正統とされる」とか言いますが、しかし、そういう古い本を読む前にまず、高校生や中学生は、なるべく新しい知見を入れるべきなのです(ここ50年以内の知見が良いでしょう)。そもそも大学から異国の古典を読ませるという事は、裏を返すと「高校卒業までは、異国の古典には、あまり深入りさせない国が多い(単純な暗記科目になりやすく、教育効果が低いので)」という意味でもあるのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "中学校の社会科の教科書の構成だって、そうなってるでしょう。多くの中学校の社会科では、まず中1に『地理』によって、ここ20年以内の世界情勢について現状認識の目星(めぼし)をつけで、そのあと中2で『歴史』に入って起源をさぐっているのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "ほか、そもそも古典文学や古代史・中世史などはすでに多くのプロの学者によって研究済みのことが多く、なのに今さら高校新入生ごときが研究しても、新しい観点からの新しい知見につなげるのは 至難のワザ(しなんのわざ)です。(よほどテクノロジーが急速に発展したりしないかぎり、新しい研究手法は出てこないので、高校生ごときが新発見をするのは至難(しなん)です。)",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "読書感想文では、別に論文を書くわけではないので、新発見をする必要は無いのですが、しかしまあ、どういうわけか基本、課題図書には新しめの本を選んでくれるのが一般的です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "新しい本の著者は基本、古い古典から得られる知見を先行研究として踏まえた上で、新著を書いてくれてるわけです。読者の時間を節約するために、古典のうち要点だけを踏まえて、新著に活用しているわけです。なのに、せっかく新著の著者が古典をふまえて要点だけを活用してくれたのに、若者がまた古典から読み直しては、社会全体では作業が重複しており、時間の無駄です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "新著の著者が先行研究をほんとうに踏まえているかどうかは、すでに出版社の編集員などが確認をとっています。さらに教育系団体の「推薦図書」に指定されるような新しめの本なら、その団体のメンバーも確認をしているわけです。その上、さらに高校新入生の課題図書に選ばれるような本では、その高校の教師も、新著の内容のすぐれている点を確認しているわけです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "なので、その上さらに高校生が古典から読み直すのは、もはや作業の重複であり、時間の無駄なのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "どうせ著作物を書くなら(感想文も著作物の一種です)、オリジナリティがあったほうが希少価値(きしょうかち)が高くて良いので、郷土史のように他県の人には深い感想の書けない分野の本を読むというのも、よくある手です。役割分担です。まあ、進学高校なら高校教師側がそういう本を課題図書に選ぶので、そこの新入生なら悩む必要は無いです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "いっぽう「読書感想文 = 物語の感想文」として世間で流行している本ばかり読んでる人は、もう図書選びの時点でオリジナリティが低く、格差が開いています。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "物語を読むにしても、どうせ読むなら、「高校生になる自分たちのための本」を読むべきです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "主人公が現代のリアルな高校生、「青春の悩み」みたいなのをテーマにした物語の本、そういう本を優先して読んだほうが、読書感想文としては良いでしょう。というか、そういう物語の本が、教育系団体の「推薦図書」を経由するなどして、高校の春休みの課題図書に選ばれたりします。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "どんなに世界的に売れてる童話とか、幼児むけのファンタジー文学だろうが、そういうのは後回しにすべきであり、そもそも課題図書に選ばれないでしょう。コツは「幼児でも読める本は、幼児に読ませる」です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "なので、世間の流行を追いかけているだけの 事なかれ主義(ことなかれしゅぎ)の人、つまり まるで「赤信号、みなで渡れば、怖くない」(芸人の ビートたけし の川柳(せんりゅう))みたいな発想の人は、著作権ビジネスの世界でも、負けるべくして負けてしまいます。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "図書選びのコツとしては「なるべく、バカでも存在に気づく本は読まない」のがポイントです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "このように、格差の大きな原因の一つは、そもそもの思考・趣向(しゅこう)がもう、格差競争で負けるべくして負ける思考回路になっているのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "『ハイリスク・ハイリターン』という言葉がありますが、世の中には、ご都合主義のワガママな人もいて「他人と同じことばかりやっててローリスクでいたいけど、でも報酬はハイリターンのほうが良いなあ」とか思ってる、頭わるい人も多いのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "単に性格が悪いゆえの事なかれ主義のくせに、「自分は協調が高い」とか勘違いして「俺はみんなと足並みをあわせて頑張って流行を追いかける勉強をして同じことをしてるのに、なんで俺は評価が低いんだ!」みたいに勘違いしている人も世間に多くいます。単に流行にながされて、広告メディアの用意した情報を消費してるだけのことを「勉強」だと思ってる、末期(まっき)の人も多いのです。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "課題図書が、なん十冊もの中から自由に選べる高校と、数冊の中から選ぶ高校と、1冊を指定される高校があります。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "1冊を指定する高校の場合、その図書中の漢字などが定期テストの範囲になったりします。本当に読んだなら、漢字を書けなくても読めるはずだよねって言うこと。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "課題図書の宿題は、出されるのはせいぜい年に1回くらいです。私立の進学校では、夏休み・冬休みなどは塾の夏期講習とか冬期講習とかで忙しい人もいるので、そんなに読書感想文ばかり長期休暇のたびには出しません。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "青少年読者感想文全国コンクールが選ぶ「課題図書」と、進学校が選ぶ「課題図書」とは違います。どこの地域の大型書店などでも春先や夏先などに並ぶ「課題図書」は、この全国コンクールの課題図書です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "全国コンクールは、甲子園とかああいうのと同じで、大会です。そういう大会に興味ある高校生は、どうぞ全国コンクールの図書をお読みください。たとえるなら青少年読者感想文全国コンクールの課題図書は、吹奏楽の大会の「コンクール」の「課題曲」とかと同じような文脈での「課題図書」です。",
"title": "春休みの読書感想文"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "中学校の理科と社会科のコラムでは、高校の範囲をあつかっています。中学教科書・資料集の教科書会社・教材会社によって、高校のどの話題をコラム的に扱っているかが違います。なので高校では、理科と社会科では、どの単元でも、中学のコラムで扱ってようが、理科と社会科ではその中学コラムの内容の復習から始まります。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "高校教師はいちいち「復習」と宣言せず、単に高校の教科書に書いてあることをそのまま授業しているだけです。しかし結果的に高校教科書の理科と社会科の内容が、理科と社会科では、中学コラムの復習から始まる内容になっています。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "けっして「うちの高校は、1学期に中学レベルの復習をしている! レベルが低い」とか悲観しないでください。高校の授業の各学年の初めはそういうものであり、中学コラムの復習から始まります。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "公立中学校だと、その地域の公立小学校と連携しているので、小学校で扱った内容との重複が無いのですが、しかし高校は違います。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "特に社会科では、歴史分野は中学2年、地理分野は中学1年で習い、公民と比べて1年間以上のあいだが空いていますので、高校の世界史や地理などが中学コラムで扱った内容から始まると、ついつい高校教育のレベルが低く感じがちですが、単に高校教育に関する勘違いです。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "日本は教科書検定の制度があるので、中学教科書は教科書会社ごとにコラムの内容がバラバラですので、高校はいちいち特定の教科書会社のコラムにまで合わせることはできません。",
"title": "高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "高校によっては、文化祭の出し物で、焼きそばとかを生徒が販売する模擬店(もぎてん)がありません。必ずしもどの高校の文化祭にも模擬店が存在するとは限りません。なぜなら、資金管理の難しさ、販売トラブル時の対応の難しさもあります。特に食品を扱う場合は、食中毒の防止の問題、ほか、加熱などの際に火器を扱う問題もあり、なかなか現代日本では模擬店は難しいのです。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "保健所への届け出の有無など、進学校の生徒にとっては時間が掛かり、受験競争のきびしい現代では、なかなか難しいことを理解する必要があります。関係者の検便(けんべん)なども、面倒です。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "たとえ卒業生の中高年の保護者が高校時代だったころには母校の文化祭で模擬店があっても、さいきんの子世代・孫世代の現代では模擬店をしなくなっている場合もよくあります。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "「食品の販売を認めていない」、または「食品を扱う場合は、一般の商店で購入した調理済み食品(菓子など)の転売しか認めてない」、「火気厳禁」、などの制限がある事も現代では多々あります。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "なので、商業高校などでないと、生徒による模擬店での飲食の販売は難しかったりします。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "また、理系の大学学部の進学に力を入れている進学高校の場合、文化祭での模擬店の経験などビジネス系の経験は推薦入試などのアピール材料になりづらいし、そもそも理系の多い国公立があまり推薦枠そのものを取ってない、などの事情も理解しなければなりません。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "または、たとえ文化祭に屋台はあっても、販売している人が生徒ではなく、高校の取引先の外食業者、イベント業者の手配した屋台業者、なんて事もあります。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "マンガなんかだと、学園モノのマンガでは生徒が文化祭で色々と販売したり商売したりしますが、マンガはフィクションですので、実態とは違います。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "「運動部が文化祭で、模擬店の屋台で食品販売」なんてのは、もはや進学高校では昭和や平成初期といった昔の話です。なので運動部の人は、体育祭などでアピールすることになります(もっとも、体育祭を校外に公開してない高校も多いので、高校受験をする中学生には無関係です)。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "なお、大学でも、理科系の大学だと、食品販売どころか、学生による模擬店そのものが無い場合もあります(屋外には業者による屋台があるだけ)。昼食は校内の食堂だったりします。特に医歯薬系の学部学科など、日々の学業でとても忙しいので、学生の模擬店は無い可能性が高いでしょう。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "大学でも、文科系の学部とか、理系なら栄養学科とか食品系でないと、じつは文化祭で学生が食品を販売していない場合が多いのです。",
"title": "文化祭に模擬店の無い高校・大学"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "たとえば芸術鑑賞会の行事で、公立中学では交通費の問題からか文化庁の補助金によって地元の公民館や文化会館に楽団などを招いての鑑賞行事だったりする一方で、私立中学では文化庁の補助金の公民館での芸術鑑賞会はしつつ、さらに別行事で、私立中学ではたとえば自費で自校の体育館(講堂を兼ねている)などに文化人を招いて実演や講演してもらったりとか、あるいは自費でどこかの美術館だの音楽コンサートホールだのに鑑賞に行ったりとか、私立は少し芸術行事が多い場合もあるえるのです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "なお、私学あたりの中高一貫校の進学校での中学および普通科高校での芸術教育のレベルですが、べつに芸術系の学科ではないので、せいぜい芸術系の(やる側の)行事が中学と高校どちらかで1個多いぐらいです。あまり行事が多すぎると5教科の勉学に支障がありますので。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 122,
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"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 123,
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"text": "体育の授業も、公立中学では学校によってはプールが無くて水泳の授業が無いとか、公立・私立の格差があるわけです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 124,
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"text": "ほか、その私立の設立の理念かなんかで、普通の中学の授業ではしない、ややマイナーなスポーツや武道をしている私立中学もあったりします。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "差がない部分もあります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 126,
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"text": "さすがに私立中学でも、フットサルやスカッシュやクリケットなど、あまりにマイナースポーツすぎるのは、(指導要領の体育科には書いてありますが)さすがに授業でそれらマイナースポーツを行うのは、ごく少数の私立中学だと思いますので、心配は不要です。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "また、古典的な武道でも、剣道とか身体に合う防具が必要なのは、さすがに私立中学でも授業に取り入れるのは難しいです(いちおう指導要領では剣道の授業も可能)。なお、弓道は私立中学でも敷地不足で弓道場が無い私立も多いので、公立中学出身だからといって引け目を感じる必要はありません。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "テニスの授業は、私立なら都心でも何とかテニス場はあるものの、敷地の問題で、テニスの授業を多くするのは私立の中高でも難しい場合もあります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "地方の中学から東京など都会の過密な地域に上京進学すると、敷地の問題で、高校での体育の授業での種目が、狭い場所でも一斉授業できる種目に限られることになります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "見方を変えれば、生まれた最初から東京に住んでいる家庭の学生は、最初から体育授業で受けられる回数の多い科目が、そういう狭い土地でも授業しやすい種目に限られているわけです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 132,
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"text": "ついでに大学のスポーツの話をしますと、都心すぎる東京23区内の大学は、実はスポーツがあまりさかんではありません。なぜなら、そもそもスポーツ用の敷地が狭いからです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "有名大学でも、大学によっては水泳プールが都心の校舎には無い場合もあります。また、都心でなくても、理科系の大学などはプールが無い場合もあります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "大卒のプロスポーツ選手の出身の学歴を見る時、学校名だけでなく学部名を見ると、その学部は郊外の校舎だったり(東京なら多摩地方や、他県なら神奈川・千葉・埼玉など)、あるいは地方都市の大学だったりします。そういう意味です。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "弓道場やアーチェリー場の無い大学も多く(「アーチェリー」とは西洋弓術のこと)、そういう大学からは、弓道やアーチェリーのプロの卒業生は、まあいないのが普通です。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "マスコミでは東京の国際大会などが放映されるので、あたかも東京はスポーツがさかんなように素人は錯覚しますが、しかし東京都心は敷地不足ですので、トレーニング効率には疑問があります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "また、都心にある私立大学の学部の多くは、戦前は専門学校だった学校も多く、そういう学部は当然、スポーツの設備が貧弱であり、大学所有のプールが無かったり、運動場なども敷地が狭かったりします。(現代でも簿記(ぼき)専門学校とかマンガ専門学校とかに水泳プールが無いのと同様です。)",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "こういう都心の敷地不足の事情があったから第二次世界大戦後、東京にあった私立大学は、多摩地域や埼玉や千葉などの郊外に新校舎を建てるため、新しい学部に進出したわけです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "私立高校でも、千葉や埼玉などのやや奥まった地域に、都心の有名私立大学の付属校の私立高校があったりするのも、そういう都心の敷地不足という事情での、戦後の進出です。戦後の開発で都心だと敷地不足になり、だから戦後、郊外に付属高校の校舎を立てたのです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
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"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "敷地ついでに言うと、私立がたとえば「ICT教育など新しい教育のための新しい設備が必要だ」と思っても、敷地不足で設備を増やせない中学高校もあるでしょう。たとえば3Dプリンタを導入しようにも、もう置く場所が校内に無い(コンピュータ室はもう満杯)、という私立高校も多いわけです。仮に学級を1つ減らして1室あければ設備を増やすのは単純計算では可能でしょうが、しかし授業料収入がかなり減ります。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 143,
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"text": "高偏差値の私立高校には、田舎の公立とは違って「空き教室」なんて発生しません。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "もし、私立の中高の6学年で1クラス(40人)減らすと、学費が年間100万円だとして、6×40×100万円=24000万円 つまり年間で 2億4千万円 の収入減少です。かなりキツイ。私立高校は付属もあるので中高と6学年がつながってるので、決して1学級だけを減らして1室だけを空けて4000万円の減少に留めるというは出来ず、6学級ずつ減らさないといけないので2億4千万円の減少なのです。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "しかも、1学年で偶数の8学級だったのを奇数の7学級に変えると、体育などの2クラス合同授業の編成も直さないといけず、面倒です。まあ、なのでクラスを減らすのは、有名私立では実質的に無理です。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、付属中学を募集停止すれば大幅に部屋が空いて設備を増やせますが、今度は収入が大幅に減りますので、設備の購入費用が調達しづらくなります。おそらく銀行なども許可しないでしょう。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "なので私立では、ソフトウェアみたいに敷地が不要なものに設備投資することになるでしょうか。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
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"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 149,
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"text": "ほか、宗教系の高校なら、内部進学組はすでにその宗教の入門について習っているので、宗教教育も別々にせざるを得ません。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
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"text": "",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "まあ、上記の色々な理由で、内部進学組と外部受験組とを同じクラスにするのは困難です。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "べつに外部受験組が負い目を感じる必要は無くて、外部受験組が内部進学組が体験してこなかった別のことを中学時代には体験してきています。",
"title": "中高一貫校の内部生と外部生の差"
}
] | null |
== 大学進学したい場合 ==
=== 中高一貫校のペースに追いつく必要性 ===
現在、多くの私立高校は付属中学を持っており、その付属中学では中3のうちに、高校1年の内容に突入しています。なぜなら、私立中の授業では、検定外教科書が「英語」教科と「数学」教科で学校専売品として存在しており、多くの私立中学でその検定外教科書が使われております。その検定外教科書で、英語と数学では、中3のうちに高校1年の内容に突入しています。
数学は因数分解(3次式)以降の二次関数や三角関数などは予習が難しいかもしれませんが、しかし英単語なら独学で勉強できるので、春休みのうちに英単語を勉強して追いつきましょう(なお、因数分解は、春休みのあいだの宿題になる場合がある)。
おそらく、高校側からも、「春休みの課題」などとして、付属中学と公立中学との隙間を埋めるための課題が出されると思います。
つまり、英単語と、因数分解(三次式および二変数二次式)が、春休みの宿題の定番です。加えて、対称式とか交代式とか、そこまで「春休みの課題」に出る高校もあります。
なお私立高校の場合、1~2月に合格した子は、まだ3月まで高校教科書を購入できないので、2月ごろの合格者登校日のあたりに学校側から宿題のプリント(英単語のスペルを覚えろプリント)を渡されたり、あるいは課題図書の読書感想文などを先に出されることもあります。
なお、高校からの配布物を間違って捨てないよう、中学時代のプリントなどを捨てるのは、高校入学後の後回しにしましょう。
いっぽう、偏差値の低い高校だと、春休みの課題の内容が、中学の復習だったりして、「ブリッジ数学」などの復習用の問題集だったりします。偏差値の高い高校では、そんな復習用の問題集は、やらないです。
偏差値の高い高校だと、数学IAの傍用(ぼうよう)問題集または参考書のチャート式で、上述の因数分解や「データの分析」(新課程)とかが範囲です。20世紀は因数分解が定番でしたが、21世紀の令和になり「データの分析」が課題に加わったのが、時代の進歩を感じさせて現代的です。
「データの分析」のように新しい単元は、私立の高校側は今までの授業計画をあまり変えたくないので、入学時などの「春休みの課題」にそういう新単元を中心に出して、教えた事にさせてしまう、という教育テクニックがあります。公立高校で果たして可能なテクニックかどうかは知りません。
新学期の数学は、第2章の「二次関数」から始まるのが、私立の進学校あるあるです。
ほか、整数とかも21世紀になって加わりましたが、これを春休みの課題に回すという手もあります。春休みの課題に整数を回すことで、新学期からの授業では、90年代からの伝統的な授業計画を変えずに済みます。整数なら中学生でも分かるし、整数問題は中学入試などでも出ることがあるので、コレも課題にちょうどいいです。
ほか、幾何学のチェバの定理とかああいう授業で飛ばす単元を「春休みの課題」に回すというのも手です。
データの分析、整数、図形、これを「春休みの課題」に回してしまえば、授業は二次関数から始められます。そして二次関数が終わったら、さっさと三角比・(数学IIの)三角関数に入れます。私立なら数か月早く1年生のうちに三角関数を始めるというのも進学校あるあるです。私立進学高校では、入学時の数学の教科書は2年生の分まで買うことになり、1年の終わりには数IIをやるのが定番です。
私立の進学校や、偏差値が高めの私立高校に進学するということは、こういうハイペースな勉強が必要だという意味です。そういう勉強がイヤなら、もし読者が読んでる今がまだ中3の春~夏なら、そもそも高校卒業後の進路(たとえば「どこどこ大学に進学したい!」とか)を考え直すべきです。
そもそも私立の難関校の場合、そもそも高校入試問題の時点で、もうそのような高校予習を意識した出題になっている場合もあります。たとえば数学なら、確率の「順列・組み合わせ」の初歩なら中学生でも何とか解けるので、そういう出題がもう偏差値60私立高校あたりから高校入試で出されたりします。
なお、理科・社会科については、あまり高校入試に理科・社会科を出す私立高校は少ないが、もし入試に理科・社会科を出す場合、偏差値のそれほど高くない55~60くらいの日東駒専(日大・東洋大・駒沢大・専修大)の地方の付属校レベルでも、もう高校の理科基礎レベルの話題を出します(たとえば日大の付属など)。
これはなぜかというと、中学教材でも理科・社会科の検定教科書のコラムや、学校配布の資料集などで、普通に高校範囲の内容も紹介しているからです。私立高校側からすれば、単にコラムや資料集などもよく読むマジメな受験生を高校入試で欲しいだけですが、しかし中学校ごとにどの教科書や資料集を使っているかは違うので、よって、発展的な参考書が必要になります。
標準的な高校受験用の理科参考書を買えば、その参考書の傍注(ぼうちゅう)やコラムや発展あたりに書いてあるレベルですので、そういう参考書で自発的に勉強する能力が要求されています。こういう人らと3年後に大学受験で競走することになります。
また、'''国公立の'''中高一貫校では、高校の国語の「言語文化」科目や、社会科の「公共」と高校家庭科「家庭基礎」と「情報」を、中学のうちに1単位ぶん開始している学校もあります(国立の神戸大学付属の中等教育学校の公表されているカリキュラム表がその証拠<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>)。
なお、この神戸大付属校、教育課程表を見ると、けっして「家庭総合」など履修してないし、芸術IIもないし、情報IIもないし、第二外国語のドイツ語とかフランス語もありません。受験特化のカリキュラムです。国公立だからって、必ずしも、受験以外の教科もバランスよく勉強しているわけではありません。つまり、一般的な公立高校の教育課程にある「自由選択科目群」が、この神戸大付属校には無いです。
いっぽう、たとえば東京都立の日比谷高校のカリキュラムは、選択科目ですがドイツ語・フランス語などありますし、芸術IIも履修させる方式です。日比谷高校には「自由選択科目」群があります。このように、国公立の進学校でも学校ごとの個性の差が大きく、必ずしも国公立の進学校すべてが日比谷高校のようなわけではありません。けっして、国公立の高校だからって、フンボルト理念的なバランス人材を育成してるなんて、早合点しないようにしましょう。
早慶上理(早稲田、慶應、上智、東京理科)など大学偏差値が60以上(もちろん駿台模試で)の私大に現役合格したい、というのは、こういうハイペースな勉強が高校3年間も持続できることが前提です。
その上で、「文武両道」とか言ってる高校なら、部活とかも熱心にしてるので、とんでもない重さです。甲子園に野球部がときどき出場してる運動部の強豪校の私立高校なのに、高校入試の数学でもう「順列・組み合わせ」に相当する出題をしてる私立高校とか、これもうかなりハイペ-スの高校なわけです。
決して東大合格者とか医学部合格者とか少ない私立高校の高偏差値校だからって、決して「これなら私でも簡単に追いつけそう」みたいなヘンな勘違いをしないでください。そういう私立高校の人は、スポーツの選手寿命の短さなどの理由で現役で大学に行こうとするし、別に官僚や医者や大企業文系を目指していないので、いちいち浪人してまで2~3歳ほど年取ってまで国公立とか医歯薬学系とかを目指さないだけです。
ともかく、中学3年時代の、受験の年度の12月~年明け3月は、どうせ部活はすでに引退しているわけだし、委員会も基本的には引退でしょうから(ただし、学級委員など一部の委員を除く)、特に卒業式までの放課後には用事は無いと思います。なので、特に放課後に仕事のある委員会・部活のメンバーでもない限り、合格後はさっさと高校レベルの英単語などを予習・復習しましょう。
;中高一貫校の冬期講習
私立の中高一貫校の進学校は、中3の冬休みは決して休みではなく、冬期講習があったりします。さすがに12/31の大晦日(おおみそか)の数日前と正月の3が日は休みでしょうが(教師も休みたいので)。まあ、クリスマス休暇(きゅうか)なんて無いと思うのが常識でしょう。
「進学校の高校に合格する」という事は、彼らと競走することです。
;中3最後の春休みの部活動の有無
なお学級委員のほか、吹奏楽部・合唱部が、卒業式の当日に演奏や合唱などで部の活動として校歌や卒業式歌などを式のBGMとして公演させられる学校も時々よくあります。しかし常識的に考えて、受験勉強の負担になるような練習計画は組まないでしょう。
ただし、公立高校は試験日が遅く3月に受験をするのが普通なので、受験日と卒業式の日にちが近く、少し日程的にキツいかもしれません。
少子化などの問題もあり、地域によっては吹奏楽部・合唱部などの2年生以下の部員が少ない中学もあります。
ここら辺は、それぞれの中学の問題であり、当wikiからは当事者でないので知りようがなく、何とも言えません。それぞれの中学で、どうにかしてください。
中学だけでなく高校の卒業式も同様の傾向、吹奏楽部や合唱部などは儀式の音楽の練習に付き合わされるという慣習の高校もあり、その場合は高校も卒業前の日程が埋まる。
吹奏楽部や合唱部など一部の部活の引退が遅いからといって、引退後も部の活動に付き合わされるからといって、特に高校入試では評価されません。受験本番での入試の得点が低ければ、志望校には不合格です。
;進学高校と底辺高校の差
進学校は、さすがに入学式は授業がありませんが、しかし2学期や3学期の初めなどの始業式の日は3時間目あたりから授業があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。
進学高校は、体育祭とか文化祭の準備や練習などで、いちいち授業を潰しません。放課後とかに体育祭などの練習や準備をやります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。このため、ただでさえハイペースな進学高校は、ますますハイペースになります。
ほか、定期試験の出題範囲が、すでに違っています。
数学なら、たとえば章末に入門的な「A問題」の頁と(基本問題~練習問題レベル)、「B問題」(応用問題~発展問題、理系向け問題)の頁とがあって、底辺高校だとA問題しか1~2年生の定期試験しか出ない、なんて差もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。
底辺高校が3年生になってから文系コース数学で習うB問題が、すでに進学高校では1~2年生の定期試験で文系コースがクリア済み、なんて差もあります。
ほか、(進学高校などでは、)チャート式など参考書から定期試験の数学が出題される場合もあります<ref>[https://www.takeda.tv/goido/blog/post-196059/ 『「青チャート」は挫折しやすい!?使ってはいけない参考書!』 2021.07.05 ]</ref><ref>[https://www.youtube.com/watch?v=8qV-S7u6dsE (動画) 塩浜進学教室『教育を斬る61 偏差値低い高校が青チャートを使うな』 7:20 あたり、 2024/02/15 ]</ref>。私立高校側が入学前などに数学参考書を買い与えている場合もあります。(進学校でないと、検定教科書と、教科書会社による傍用問題集しか与えてない場合もあります。)
高校入学前の3月中盤~後半の「仮入学」が、公立高校だと、私立の1~2月の「合格者登校日」と同じで制服など学用品の物品購入とかだけど、しかし私立はその物品購入を2月や1月に終えてるので、私立の3月の「仮入学」ではもう、確認テストなどを始めていたりとかもしかねません。私立の仮入学は、一部の入学の遅れた生徒を除き、もう春休みの課題の確認テストとかを仮入学の日にしていたりとか、しかねない。
進学校では、公立高校でも私立高校でも「'''宿題考査'''」(しゅくだい こうさ)などと言うテストがあり、予習を含む宿題も含めて、休み明けの確認テストやあるいは定期テストの範囲になります。春休みに限らず、夏休みや冬休みなどでも同様です。
つまり、学校で習ったことだけでなく、宿題すらも定期テストの範囲になるのが進学校あるあるです。もしかしたら偏差値の低い高校でも宿題考査はあるかもしれませんが、進学校のおそろしいところは、宿題に予習が入っていることです。
また、このような宿題考査の事実から、ちまたにあるエセ勉強法の「受験対策では、基本的に復習さえしてればいい」と言うのは大間違いであり、そもそも進学校は宿題などで予習を生徒に命令しています。その宿題を全体に授業がすごいハイペースで進んでいくので、宿題で予習しているのを知らない外部の人は、てっきり「進学校の生徒でも、授業の復習しかしていない」と勘違いをしているだけです。
公立の生徒がこれから制服を購入するために高校に登校する際、私立の生徒はもう高校の制服を着て高校に登校の時期です。入学前の3月後半の登校日の確認テストで、テスト後、生徒が「あの問題むずかしかったよね~」(女子)とか、男子が「なあ、あの問題、解けたか~」(男子)とか、確認テストの問題の話をしたりの時期です。日本の格差社会。
ほか、教育課程表だけでは一見すると「授業進度が遅い」ように見えても、じつは定期試験では高校1年からB問題にまで入っている、じつは授業スピードの速い高校もあります(しかも、その高校の生徒が気づいてない)。
だから、たとえば、偏差値の高い私立高校(たとえば高校偏差値65)で校風の自由さがウリの高校で「わが高校は、のびのびとした学風の高校で、カリキュラムの自由度が高いです」みたいな『ゆるふわ系』みたいなことを言っている偏差値60の高校とかでも、じつは文系コースの生徒ですらB問題に高校1~2年の定期考査で当然のように挑戦させられていたりするのです。勘違いしないでください。決して、のびのびとした『ゆるふわ系』の校風だからって、決して定期試験の5教科の出題まで『ゆるふわ系』ではありません。市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソをつかない。
決して、文化祭とかの行事の日だけの軽快そうな雰囲気に騙されてはいけません。じっさい、偏差値の高い進学校に、文化祭以外の日にちの土曜日(たとえば高校説明会など)に行くと、自習スペースとかで高校生が黙々と放課後に勉強してたりする人がなんか多くて、空気がピリピリしていたりします。何度も言いますが、市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソつかない。
そういう高校生活がいいか悪いかという話は当ページでは一切しておらず、進学校はあくまでこういう所です。こっちが進学校の本性(ほんしょう)です。たとえ部活との両立とか文武両道みたいな事を言っていても、基本的に偏差値60越えをしている進学校の高校は、こういう感じの、少し勉強でピリピリした雰囲気もある学校なのです。
それを知らずに、うっかりスポーツ推薦とか部活の県大会などの業績で偏差値53くらいの人が、偏差値60以上のゆるふわ系の私立高校に特別枠で合格してしまうと、けっこう高校の授業についていくのに大変ですので、頑張ってください。
問題集も、進学校なら自分でやります。定期試験の1か月くらい前などに問題集の範囲も示されて、そういうのを自分でコツコツとやれるのか、評価されているのです。
こういう、細かい差が積み重なって、進学高校のもつ、大学側からの指定校などの信用が生まれています。
高校入学の時点ですでに進学高校は先に進んでいるのに、ますます先に進みます。
一見すると難しそうですが、何のことはない、学校配布の問題集をきちんとその学期中に大体こなすとか(ただし数学問題集・物理問題集とかのB問題の理系向け発展問題とかは、さすがに高校3年に回す)、あるいは市販の普通の参考書や単語集とかできちんと予習・復習もしているかとか、そういう当たり前の勉強が出来るかどうかが見られているのです。
さらに、受験特化の超・進学校では、そもそも高校の部活の引退が早くて2年生の3学期末で引退とか、もう2年生の2学期末で引退とかの高校すらあると言われています。偏差値70前後以上の高校になると、私大の付属高校ではないかぎり、それはもう超進学校かどうかといった問題になってきます。
あまり偏差値が高すぎる高校に進学しても、「部活の練習の時間もなくて不満」とか、「授業がハイペースすぎて、ついていけない」とかになるので、まあ各自で志望進路をもとに高校の志望校を調整してください。
;ほか
進学校はもう、校歌を入学前に覚えさせられます。「ホームページ(または動画サイト)に校歌の音源がアップロードされてるので聞いて覚えろ」系です。パソコン環境が無いなら用意しましょう。というか、そもそも出願の時点でweb出願で、パソコンの無い家庭を弾いています。
ほか、進学校でなくともありますが、入学者登校日のうちに、校歌の練習です。
高校は「芸術」教科が選択性なので、「音楽」科目を履修しない人もいるので、なので別の日に練習です。進学校は授業時間を校歌指導でつぶしたくないので、登校日とかのうちに校歌の練習です。
== 春休みの読書感想文 ==
私立高校や難関校などでは、『春休みの課題』の一つとして、英単語や数Iの因数分解(3次式)のほか、'''読書感想文'''が出ます。この『春休みの課題』の課題図書は、高校側から指定されます。べつに読書感想文じたいは大学受験の一般入試には必要ないのですが、これを例に、エリート高校生に必要な考え方を説明します。
課題図書は高校側から指定されるので、特に高校新入生としては何を読むかは考える必要は無いのですが、しかし本ページで何も説明しないのもツマラナイので、この節では、教育者の側の視点で、大人たちがどう考えているのかを説明します。
なお、高校によっては、春休みではなく夏休みに回されて、『夏休みの読書感想文』となる場合もあります。春休みは、因数分解とか英単語の課題とかで忙しい進学校もありますので。ゴールデンウィークの前後に提出、というのもよくあります。
;原稿用紙に手書き
なお、春休み直後に感想文を提出するスケジュールの高校の場合、基本的に(パソコンではなく)原稿用紙に手書きになるでしょう。なぜなら、まだ入学前なので、高校の用意するPCアカウントが使えないからです。
中3と新入生と高校3年生以外は、まだ授業が3月の後半まで続いています。なので、中3が卒業する時期でも、まだ高校のPCアカウントが変わりきっていません(3~4月はアカウントの変更の作業中です)。このため、パソコン用アカウントを新入生が使えるのは、入学後のもっと数週間ほど後の時期になる場合があります。
なお、新入生に限らず、これから高校2年生~3年生になる生徒や、中高一貫校の付属中学の生徒でも、春休みとその前後の時期は、年度の変わり目のコンピュータ関係の移行作業中なので、学校のコンピュータ室やそれ用のアカウントなどは使えません。
;売り切れ注意
電子図書でない場合、課題図書は、時間が経過すると売り切れます。再入荷には時間が掛かりますので、教科書購入のタイミングの時についでに早めに購入しましょう。たとえ感想文の提出日がもっと後のゴールデンウィークなどでも、購入は早めにしなければならず、春休み中に購入して課題図書を手元に確保しないといけません。
=== 物語とは限らない ===
まず、「高校入学時の読書感想文は、物語の感想文とは限らない」という点です。よくあるのは、たとえば'''郷土史'''(きょうどし)などの身の回りの歴史を扱った解説書などの感想文です。たとえば、思いつきで架空の題名をあげますが、『関東地方の宿場町の歴史』(架空)みたいな感じの本です。どうせ『総合的な探究の時間』の地域探究とかで郷土史の本を読む生徒が多いのだし、だったら最初から郷土史の入門書を課題図書にしてしまえば一石二鳥です。
さすがにピンポイントに学校のある市町村の郷土史ではないですが(たとえば『武蔵村山の宿場町の歴史』みたいなのは無い)、しかし『関東地方の○○の歴史』みたいに道州レベルに限定すれば、その地方に関係の深そうないテーマの歴史本が幾つか出版市場にあります。
さて、「物語」以外といっても、さすがに数学や物理の本が課題図書になるわけではなく、文科系の分野か、せめて社会科学(しゃかい かがく)系に限りますが。教師側はあくまで感想を第一に書かせたいので。読書で得られる歴史知識とかは、あくまで派生物です(ただし、歴史本や社会科学本のなかで、派生的に自然科学に触れることもある。たとえば明治の近代化の歴史をあつかう本なら、必然的に西洋から輸入した科学技術の知識も扱うので)。
:※ なお、明治時代の歴史をあつかう本を課題図書にした場合、そのまま高校1年の『歴史総合』にも使えそうな知識なので、一石二鳥どころか一石三鳥です。
このように、どうせ本を読むなら、のちのちの授業でも応用できそうな本を読むのが一石二鳥です。偏差値の高い高校では、高校側がそういう応用性の高そうな本を、課題図書に指定してきます。
なのに「読書感想文 = 物語の感想文」としか思いつかない低い偏差値の高校の人はもう、ここで格差が開いています。
世間には「感想文」とか「読書」と聞くと、物語しか思いつかない人がいます。おそらく、国語の授業以外で感想文を書いたことのない人なのでしょう。しかし、少なくとも偏差値の高い高校の入学時の読書感想文は、そうではありません。
20世紀のかつては、心理学や再生医療など新しめの学問の入門書などが課題図書に指定されたりした時代もありました(なんか医学部の小論文に使えそうな課題図書)。しかし、現代では、あまり課題図書には選ばれないでしょう。国語教師が最近の進歩の早い心理学やら再生医療の知見を追いかけるのは、労力的に無理なので。
そもそも、高校入試とその対策で、物語文とか古文漢文なんて充分に読ませてるわけで、なので読書感想文としては、入試では問われなかった他分野との総合力とか高校側は見たいわけです。そのほうが全人格的な総合力の育成にもなるし、まさに『総合的な探究の時間』に必要な総合力の育成にもつながるし、文理融合の課題解決の土台にもなからです。
なのに「読書感想文 = 物語の感想文」という偏差値の低い高校の人はもう、ここでも格差が開きます。こうして、格差は開くべくして開くのです。
ほか、世の中には知能障害の重い人がいて、そういう人の中には、たとえば小学校の掛け算と割り算すら出来ない人もいます。そういう人は当然、高校受験でも、けっして大学受験を目指すような進学高校には合格できなくて、障害者教育のための特別な高校に進学するわけです。そういう障害の重い人は、ほとんど物語文しか読めない人もいるのです。
進学高校の人なら、そういう障害ある人が読めないような、複合的で高度な問題を扱った歴史書とか読むと良いでしょう。そういう本が、高校教師の手によって課題図書に選ばれているわけです。
=== なるべく新しめの本 ===
なお、課題図書でたとえば歴史を扱う本を図書にすることもあるからといって古すぎる本ではダメで、なるべく最新の知見(ここ十年以外が良いでしょう)が反映された本を読むのがポイントです。とはいえ、高校側が気を利かして、そういう新しめの本を課題図書に指定してくるので、中高生としては特に気にする必要がありません。
よく、「西洋の大学では、ギリシア以外の国でも教養として古代ギリシアの古典を読ませるのが正統とされる」とか言いますが、しかし、そういう古い本を読む前にまず、高校生や中学生は、なるべく新しい知見を入れるべきなのです(ここ50年以内の知見が良いでしょう)。そもそも大学から異国の古典を読ませるという事は、裏を返すと「高校卒業までは、異国の古典には、あまり深入りさせない国が多い(単純な暗記科目になりやすく、教育効果が低いので)」という意味でもあるのです。
中学校の社会科の教科書の構成だって、そうなってるでしょう。多くの中学校の社会科では、まず中1に『地理』によって、ここ20年以内の世界情勢について現状認識の目星(めぼし)をつけで、そのあと中2で『歴史』に入って起源をさぐっているのです。
ほか、そもそも古典文学や古代史・中世史などはすでに多くのプロの学者によって研究済みのことが多く、なのに今さら高校新入生ごときが研究しても、新しい観点からの新しい知見につなげるのは 至難のワザ(しなんのわざ)です。(よほどテクノロジーが急速に発展したりしないかぎり、新しい研究手法は出てこないので、高校生ごときが新発見をするのは至難(しなん)です。)
読書感想文では、別に論文を書くわけではないので、新発見をする必要は無いのですが、しかしまあ、どういうわけか基本、課題図書には新しめの本を選んでくれるのが一般的です。
新しい本の著者は基本、古い古典から得られる知見を先行研究として踏まえた上で、新著を書いてくれてるわけです。読者の時間を節約するために、古典のうち要点だけを踏まえて、新著に活用しているわけです。なのに、せっかく新著の著者が古典をふまえて要点だけを活用してくれたのに、若者がまた古典から読み直しては、社会全体では作業が重複しており、時間の無駄です。
新著の著者が先行研究をほんとうに踏まえているかどうかは、すでに出版社の編集員などが確認をとっています。さらに教育系団体の「推薦図書」に指定されるような新しめの本なら、その団体のメンバーも確認をしているわけです。その上、さらに高校新入生の課題図書に選ばれるような本では、その高校の教師も、新著の内容のすぐれている点を確認しているわけです。
なので、その上さらに高校生が古典から読み直すのは、もはや作業の重複であり、時間の無駄なのです。
=== なるべく外部者が書けない感想文を ===
どうせ著作物を書くなら(感想文も著作物の一種です)、オリジナリティがあったほうが希少価値(きしょうかち)が高くて良いので、郷土史のように他県の人には深い感想の書けない分野の本を読むというのも、よくある手です。役割分担です。まあ、進学高校なら高校教師側がそういう本を課題図書に選ぶので、そこの新入生なら悩む必要は無いです。
いっぽう「読書感想文 = 物語の感想文」として世間で流行している本ばかり読んでる人は、もう図書選びの時点でオリジナリティが低く、格差が開いています。
物語を読むにしても、どうせ読むなら、「高校生になる自分たちのための本」を読むべきです。
主人公が現代のリアルな高校生、「青春の悩み」みたいなのをテーマにした物語の本、そういう本を優先して読んだほうが、読書感想文としては良いでしょう。というか、そういう物語の本が、教育系団体の「推薦図書」を経由するなどして、高校の春休みの課題図書に選ばれたりします。
どんなに世界的に売れてる童話とか、幼児むけのファンタジー文学だろうが、そういうのは後回しにすべきであり、そもそも課題図書に選ばれないでしょう。コツは「幼児でも読める本は、幼児に読ませる」です。
なので、世間の流行を追いかけているだけの 事なかれ主義(ことなかれしゅぎ)の人、つまり まるで「赤信号、みなで渡れば、怖くない」(芸人の ビートたけし の川柳(せんりゅう))みたいな発想の人は、著作権ビジネスの世界でも、負けるべくして負けてしまいます。
図書選びのコツとしては「なるべく、バカでも存在に気づく本は読まない」のがポイントです。
このように、格差の大きな原因の一つは、そもそもの思考・趣向(しゅこう)がもう、格差競争で負けるべくして負ける思考回路になっているのです。
『ハイリスク・ハイリターン』という言葉がありますが、世の中には、ご都合主義のワガママな人もいて「他人と同じことばかりやっててローリスクでいたいけど、でも報酬はハイリターンのほうが良いなあ」とか思ってる、頭わるい人も多いのです。
単に性格が悪いゆえの事なかれ主義のくせに、「自分は協調が高い」とか勘違いして「俺はみんなと足並みをあわせて頑張って流行を追いかける勉強をして同じことをしてるのに、なんで俺は評価が低いんだ!」みたいに勘違いしている人も世間に多くいます。単に流行にながされて、広告メディアの用意した情報を消費してるだけのことを「勉強」だと思ってる、末期(まっき)の人も多いのです。
=== 余談 ===
課題図書が、なん十冊もの中から自由に選べる高校と、数冊の中から選ぶ高校と、1冊を指定される高校があります。
1冊を指定する高校の場合、その図書中の漢字などが定期テストの範囲になったりします。本当に読んだなら、漢字を書けなくても読めるはずだよねって言うこと。
課題図書の宿題は、出されるのはせいぜい年に1回くらいです。私立の進学校では、夏休み・冬休みなどは塾の夏期講習とか冬期講習とかで忙しい人もいるので、そんなに読書感想文ばかり長期休暇のたびには出しません。
;全国コンクール
青少年読者感想文全国コンクールが選ぶ「課題図書」と、進学校が選ぶ「課題図書」とは違います。どこの地域の大型書店などでも春先や夏先などに並ぶ「課題図書」は、この全国コンクールの課題図書です。
全国コンクールは、甲子園とかああいうのと同じで、大会です。そういう大会に興味ある高校生は、どうぞ全国コンクールの図書をお読みください。たとえるなら青少年読者感想文全国コンクールの課題図書は、吹奏楽の大会の「コンクール」の「課題曲」とかと同じような文脈での「課題図書」です。
== 高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる ==
中学校の理科と社会科のコラムでは、高校の範囲をあつかっています。中学教科書・資料集の教科書会社・教材会社によって、高校のどの話題をコラム的に扱っているかが違います。なので高校では、理科と社会科では、どの単元でも、中学のコラムで扱ってようが、理科と社会科ではその中学コラムの内容の復習から始まります。
高校教師はいちいち「復習」と宣言せず、単に高校の教科書に書いてあることをそのまま授業しているだけです。しかし結果的に高校教科書の理科と社会科の内容が、理科と社会科では、中学コラムの復習から始まる内容になっています。
けっして「うちの高校は、1学期に中学レベルの復習をしている! レベルが低い」とか悲観しないでください。高校の授業の各学年の初めはそういうものであり、中学コラムの復習から始まります。
公立中学校だと、その地域の公立小学校と連携しているので、小学校で扱った内容との重複が無いのですが、しかし高校は違います。
特に社会科では、歴史分野は中学2年、地理分野は中学1年で習い、公民と比べて1年間以上のあいだが空いていますので、高校の世界史や地理などが中学コラムで扱った内容から始まると、ついつい高校教育のレベルが低く感じがちですが、単に高校教育に関する勘違いです。
日本は教科書検定の制度があるので、中学教科書は教科書会社ごとにコラムの内容がバラバラですので、高校はいちいち特定の教科書会社のコラムにまで合わせることはできません。
== 文化祭に模擬店の無い高校・大学 ==
高校によっては、文化祭の出し物で、焼きそばとかを生徒が販売する模擬店(もぎてん)がありません。必ずしもどの高校の文化祭にも模擬店が存在するとは限りません。なぜなら、資金管理の難しさ、販売トラブル時の対応の難しさもあります。特に食品を扱う場合は、食中毒の防止の問題、ほか、加熱などの際に火器を扱う問題もあり、なかなか現代日本では模擬店は難しいのです。
保健所への届け出の有無など、進学校の生徒にとっては時間が掛かり、受験競争のきびしい現代では、なかなか難しいことを理解する必要があります。関係者の検便(けんべん)なども、面倒です。
たとえ卒業生の中高年の保護者が高校時代だったころには母校の文化祭で模擬店があっても、さいきんの子世代・孫世代の現代では模擬店をしなくなっている場合もよくあります。
「食品の販売を認めていない」、または「食品を扱う場合は、一般の商店で購入した調理済み食品(菓子など)の転売しか認めてない」、「火気厳禁」、などの制限がある事も現代では多々あります。
なので、商業高校などでないと、生徒による模擬店での飲食の販売は難しかったりします。
また、理系の大学学部の進学に力を入れている進学高校の場合、文化祭での模擬店の経験などビジネス系の経験は推薦入試などのアピール材料になりづらいし、そもそも理系の多い国公立があまり推薦枠そのものを取ってない、などの事情も理解しなければなりません。
または、たとえ文化祭に屋台はあっても、販売している人が生徒ではなく、高校の取引先の外食業者、イベント業者の手配した屋台業者、なんて事もあります。
マンガなんかだと、学園モノのマンガでは生徒が文化祭で色々と販売したり商売したりしますが、マンガはフィクションですので、実態とは違います。
「運動部が文化祭で、模擬店の屋台で食品販売」なんてのは、もはや進学高校では昭和や平成初期といった昔の話です。なので運動部の人は、体育祭などでアピールすることになります(もっとも、体育祭を校外に公開してない高校も多いので、高校受験をする中学生には無関係です)。
なお、大学でも、理科系の大学だと、食品販売どころか、学生による模擬店そのものが無い場合もあります(屋外には業者による屋台があるだけ)。昼食は校内の食堂だったりします。特に医歯薬系の学部学科など、日々の学業でとても忙しいので、学生の模擬店は無い可能性が高いでしょう。
大学でも、文科系の学部とか、理系なら栄養学科とか食品系でないと、じつは文化祭で学生が食品を販売していない場合が多いのです。
== 中高一貫校の内部生と外部生の差 ==
;行事の差
たとえば芸術鑑賞会の行事で、公立中学では交通費の問題からか文化庁の補助金によって地元の公民館や文化会館に楽団などを招いての鑑賞行事だったりする一方で、私立中学では文化庁の補助金の公民館での芸術鑑賞会はしつつ、さらに別行事で、私立中学ではたとえば自費で自校の体育館(講堂を兼ねている)などに文化人を招いて実演や講演してもらったりとか、あるいは自費でどこかの美術館だの音楽コンサートホールだのに鑑賞に行ったりとか、私立は少し芸術行事が多い場合もあるえるのです。
なお、私学あたりの中高一貫校の進学校での中学および普通科高校での芸術教育のレベルですが、べつに芸術系の学科ではないので、せいぜい芸術系の(やる側の)行事が中学と高校どちらかで1個多いぐらいです。あまり行事が多すぎると5教科の勉学に支障がありますので。
;体育の中学での授業の差
体育の授業も、公立中学では学校によってはプールが無くて水泳の授業が無いとか、公立・私立の格差があるわけです。
ほか、その私立の設立の理念かなんかで、普通の中学の授業ではしない、ややマイナーなスポーツや武道をしている私立中学もあったりします。
差がない部分もあります。
さすがに私立中学でも、フットサルやスカッシュやクリケットなど、あまりにマイナースポーツすぎるのは、(指導要領の体育科には書いてありますが)さすがに授業でそれらマイナースポーツを行うのは、ごく少数の私立中学だと思いますので、心配は不要です。
また、古典的な武道でも、剣道とか身体に合う防具が必要なのは、さすがに私立中学でも授業に取り入れるのは難しいです(いちおう指導要領では剣道の授業も可能)。なお、弓道は私立中学でも敷地不足で弓道場が無い私立も多いので、公立中学出身だからといって引け目を感じる必要はありません。
テニスの授業は、私立なら都心でも何とかテニス場はあるものの、敷地の問題で、テニスの授業を多くするのは私立の中高でも難しい場合もあります。
地方の中学から東京など都会の過密な地域に上京進学すると、敷地の問題で、高校での体育の授業での種目が、狭い場所でも一斉授業できる種目に限られることになります。
見方を変えれば、生まれた最初から東京に住んでいる家庭の学生は、最初から体育授業で受けられる回数の多い科目が、そういう狭い土地でも授業しやすい種目に限られているわけです。
;大学スポーツの余談
ついでに大学のスポーツの話をしますと、都心すぎる東京23区内の大学は、実はスポーツがあまりさかんではありません。なぜなら、そもそもスポーツ用の敷地が狭いからです。
有名大学でも、大学によっては水泳プールが都心の校舎には無い場合もあります。また、都心でなくても、理科系の大学などはプールが無い場合もあります。
大卒のプロスポーツ選手の出身の学歴を見る時、学校名だけでなく学部名を見ると、その学部は郊外の校舎だったり(東京なら多摩地方や、他県なら神奈川・千葉・埼玉など)、あるいは地方都市の大学だったりします。そういう意味です。
弓道場やアーチェリー場の無い大学も多く(「アーチェリー」とは西洋弓術のこと)、そういう大学からは、弓道やアーチェリーのプロの卒業生は、まあいないのが普通です。
マスコミでは東京の国際大会などが放映されるので、あたかも東京はスポーツがさかんなように素人は錯覚しますが、しかし東京都心は敷地不足ですので、トレーニング効率には疑問があります。
また、都心にある私立大学の学部の多くは、戦前は専門学校だった学校も多く、そういう学部は当然、スポーツの設備が貧弱であり、大学所有のプールが無かったり、運動場なども敷地が狭かったりします。(現代でも簿記(ぼき)専門学校とかマンガ専門学校とかに水泳プールが無いのと同様です。)
こういう都心の敷地不足の事情があったから第二次世界大戦後、東京にあった私立大学は、多摩地域や埼玉や千葉などの郊外に新校舎を建てるため、新しい学部に進出したわけです。
私立高校でも、千葉や埼玉などのやや奥まった地域に、都心の有名私立大学の付属校の私立高校があったりするのも、そういう都心の敷地不足という事情での、戦後の進出です。戦後の開発で都心だと敷地不足になり、だから戦後、郊外に付属高校の校舎を立てたのです。
;伝統私立はもう校内の部屋が満杯
敷地ついでに言うと、私立がたとえば「ICT教育など新しい教育のための新しい設備が必要だ」と思っても、敷地不足で設備を増やせない中学高校もあるでしょう。たとえば3Dプリンタを導入しようにも、もう置く場所が校内に無い(コンピュータ室はもう満杯)、という私立高校も多いわけです。仮に学級を1つ減らして1室あければ設備を増やすのは単純計算では可能でしょうが、しかし授業料収入がかなり減ります。
高偏差値の私立高校には、田舎の公立とは違って「空き教室」なんて発生しません。
もし、私立の中高の6学年で1クラス(40人)減らすと、学費が年間100万円だとして、6×40×100万円=24000万円 つまり年間で 2億4千万円 の収入減少です。かなりキツイ。私立高校は付属もあるので中高と6学年がつながってるので、決して1学級だけを減らして1室だけを空けて4000万円の減少に留めるというは出来ず、6学級ずつ減らさないといけないので2億4千万円の減少なのです。
しかも、1学年で偶数の8学級だったのを奇数の7学級に変えると、体育などの2クラス合同授業の編成も直さないといけず、面倒です。まあ、なのでクラスを減らすのは、有名私立では実質的に無理です。
いっぽう、付属中学を募集停止すれば大幅に部屋が空いて設備を増やせますが、今度は収入が大幅に減りますので、設備の購入費用が調達しづらくなります。おそらく銀行なども許可しないでしょう。
なので私立では、ソフトウェアみたいに敷地が不要なものに設備投資することになるでしょうか。
;宗教などの教育の差
ほか、宗教系の高校なら、内部進学組はすでにその宗教の入門について習っているので、宗教教育も別々にせざるを得ません。
;まとめ
まあ、上記の色々な理由で、内部進学組と外部受験組とを同じクラスにするのは困難です。
べつに外部受験組が負い目を感じる必要は無くて、外部受験組が内部進学組が体験してこなかった別のことを中学時代には体験してきています。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
なし(2024年03月31日の時点)
=== 脚注 ===
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[[Category:高等学校教育]] | 2023-12-23T05:02:25Z | 2024-03-31T04:18:18Z | [
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38,875 | 高校受験ガイド/受験勉強ノウハウ | 志望校の過去問や、県立高校(ほか都立や道立や府立な)の共通試験問題といった過去問に取り掛かるのは、3年の夏からが定番です。それ以前から過去問を始めても、習ってないことが多いので、非効率です。
夏以前に過去問を使うなら、せいぜい出題の傾向を確認するくらいにしましょう。
塾などでも、3年の夏から過去問を使い始めるのが定番です。
ただし、過去問とまったく同じ問題が出るわけではないし、出題傾向が次回の入試から変わっている可能性もあります。
高校入試では私立高校などで試験日が早い高校もあり(12月や1月上旬など)、公立中学ではまだ習ってない問題でも出題されます。なので、遅くとも3年の夏の、過去問を解き始めるころからは、予習をしはじめないといけません。
なので偏差値の高い私立高校を志望する場合、最終的には志望私立高校の試験日までには、中学範囲をとりあえずは予習して終わらせる必要があります。
つまり、試験日の早い私立高校は、受験生にそういった予習の能力を要求しています。
中3の夏になるまでは、国語・数学・英語の3教科を重点的に学ぶのが定番です。
私立高校は、この3教科しか出ない高校も多くあります。
また、この3教科は暗記だけでなく思考力や積み上げも試験で測りやすい科目でもあります。
なお、国語では、あまり深い洞察みたいなのは入試では求められないので、漢字や語彙、古文単語や歴史的仮名遣いなどを重点的に勉強しましょう。
前提として、中3の1学期までに、中2の終わりまでに習うことの復習をしましょう。特に、英語と数学は、理解をしておかないとその後の3年の内容が理解できなくなってしまうので、確実に復習をしましょう。
塾の夏期講習も、おそらく、前半は国語・数学・英語、後半は理科・社会みたいになっている塾も多いかと思います。 | [
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"text": "高校入試では私立高校などで試験日が早い高校もあり(12月や1月上旬など)、公立中学ではまだ習ってない問題でも出題されます。なので、遅くとも3年の夏の、過去問を解き始めるころからは、予習をしはじめないといけません。",
"title": "中3の私立志望では予習が必要"
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"text": "なので偏差値の高い私立高校を志望する場合、最終的には志望私立高校の試験日までには、中学範囲をとりあえずは予習して終わらせる必要があります。",
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"text": "つまり、試験日の早い私立高校は、受験生にそういった予習の能力を要求しています。",
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"text": "中3の夏になるまでは、国語・数学・英語の3教科を重点的に学ぶのが定番です。",
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"text": "私立高校は、この3教科しか出ない高校も多くあります。",
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"text": "なお、国語では、あまり深い洞察みたいなのは入試では求められないので、漢字や語彙、古文単語や歴史的仮名遣いなどを重点的に勉強しましょう。",
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"text": "前提として、中3の1学期までに、中2の終わりまでに習うことの復習をしましょう。特に、英語と数学は、理解をしておかないとその後の3年の内容が理解できなくなってしまうので、確実に復習をしましょう。",
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"text": "塾の夏期講習も、おそらく、前半は国語・数学・英語、後半は理科・社会みたいになっている塾も多いかと思います。",
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== 過去問 ==
志望校の過去問や、県立高校(ほか都立や道立や府立な)の共通試験問題といった過去問に取り掛かるのは、3年の夏からが定番です。それ以前から過去問を始めても、習ってないことが多いので、非効率です<ref>葉一(はいち) 著『自宅学習の教科書』、2021年3月16日 8刷発行、P.72</ref>。
夏以前に過去問を使うなら、せいぜい出題の傾向を確認するくらいにしましょう。
塾などでも、3年の夏から過去問を使い始めるのが定番です<ref>葉一(はいち) 著『自宅学習の教科書』、2021年3月16日 8刷発行、P.82</ref>。
ただし、過去問とまったく同じ問題が出るわけではないし、出題傾向が次回の入試から変わっている可能性もあります<ref>葉一(はいち) 著『自宅学習の教科書』、2021年3月16日 8刷発行、P.82</ref>。
== 中3の私立志望では予習が必要 ==
高校入試では私立高校などで試験日が早い高校もあり(12月や1月上旬など)、公立中学ではまだ習ってない問題でも出題されます。なので、遅くとも3年の夏の、過去問を解き始めるころからは、予習をしはじめないといけません<ref>葉一(はいち) 著『自宅学習の教科書』、2021年3月16日 8刷発行、P.92</ref>。
なので偏差値の高い私立高校を志望する場合、最終的には志望私立高校の試験日までには、中学範囲をとりあえずは予習して終わらせる必要があります。
つまり、試験日の早い私立高校は、受験生にそういった予習の能力を要求しています。
== 大まかな学習スケジュールの定番 ==
中3の夏になるまでは、国語・数学・英語の3教科を重点的に学ぶのが定番です<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P155</ref>。
私立高校は、この3教科しか出ない高校も多くあります。
また、この3教科は暗記だけでなく思考力や積み上げも試験で測りやすい科目でもあります。
なお、国語では、あまり深い洞察みたいなのは入試では求められないので、漢字や語彙、古文単語や歴史的仮名遣いなどを重点的に勉強しましょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P155</ref>。
前提として、中3の1学期までに、中2の終わりまでに習うことの復習をしましょう。特に、英語と数学は、理解をしておかないとその後の3年の内容が理解できなくなってしまうので、確実に復習をしましょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P155</ref>。
塾の夏期講習も、おそらく、前半は国語・数学・英語、後半は理科・社会みたいになっている塾も多いかと思います。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
* 葉一(はいち) 著『自宅学習の教科書』、2021年3月16日 8刷発行
* みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、
=== 脚注 === | 2023-12-23T05:02:27Z | 2024-03-31T03:55:12Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E5%8F%97%E9%A8%93%E5%8B%89%E5%BC%B7%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6 |
38,876 | 高校受験ガイド/関連知識 | 将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を方針としていない場合が多いからです。たとえば偏差値30台の高校の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの学び直しをする」とか「手に職をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。
重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「チャレンジスクール」とか「エンカレッジスクール」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。
行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。
ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。
大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。
偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。
偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。
「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。
地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。
世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。
大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。
しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。
「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは大学受験の偏差値と混同しています。
また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。
ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。
混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。
なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。
世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。
しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。
高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。
偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。
また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。
極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。
しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。
たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。
高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。
世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。
私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります。
いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。
このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。
私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。
ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。
なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。
このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。
さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。
多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。
世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。
高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。
その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。
私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。
現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。
学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。
低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。
たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。
高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。
「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。
もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。
※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。
普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。
ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。
農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。
そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。
商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位)
ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。
なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。
国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。)
国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。
よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、理事長や校長にとっての自由です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。
以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。
私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。
おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。
いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「自由選択枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。
受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。
しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。
公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。
私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「必修選択」または「選択必修」という方式です。
公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので)
また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。
文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。
このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。
公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。)
ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。
私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。
どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。
なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。
普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1 くらいに片寄っている場合もあります。
まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。
そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。
いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1 とか 男:女=1:1.2 とか、そのくらいに収まることが多いです、
私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。
ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系やスポーツ系の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。
ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります。
現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。
昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。)
しかし公立高校は元からそういうのをしていません。
公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。
戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。
公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。
私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。
このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。
また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。
地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり、古典講読などが開講されていない傾向もあります。数学IIIなどは高校必修ではないのです。
地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。
特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。
戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。
また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。
しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です)
このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません。
なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。
2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。
2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです。
男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。
どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。
なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。
部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。
まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。
ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。
なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。
たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。
ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。
また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。
戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。
建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。
私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。
なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。
ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。
あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。
あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。
上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。
ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です。
昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。
現代でも、大学ですがw:公設民営大学の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。w:公設民営大学
悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。
「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。
公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。)
一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。
基本的には、社会科学系の分野です。
なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます。
なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。
書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な探究の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。
なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので)。
中央大の付属高校いわく、
論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。
です。
神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、
さらに、
「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」
と述べています。
神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「やりたい」、高校生でも「できる」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「意義がある」の3本が必要です。まとめると、
の3本です。
さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう。
参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。
和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。
なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。
今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。
また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。
また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。
放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。
比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。
なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう
あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。
卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。
そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。
比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。
こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。
これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。
残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。
今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。
だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。
なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。
また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。
なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。
なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです。
このように学校によって、字数の相場は違います。
そのほかの卒論のある高校は、
筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。
私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。
これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています。
ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。
1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。
北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。
ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。
もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。
中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます。
ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します。
中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。
もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。
ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。
もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。
完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。
「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が反証されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。
仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。
なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。
言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。
ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。
仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります。
この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。
Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。
とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。
論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。
大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。
もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。
正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。
論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。
この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。
さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。
これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。
『本を読む本 読書家をめざす人へ』 (1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。
普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。
本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。
多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。)
ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。
なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。
公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。
もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。
どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。
また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。
ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。
「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。
主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。
いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。
「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。
この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。
私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。
指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。)
堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です。
なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。
指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。
なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。
私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います。
ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。
傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。
ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。
2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります。
もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。
このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。
私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。
偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。
提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。
なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。
あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。
やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。
せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。
高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。
決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。
私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。
地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。
高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。
本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。
さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。
そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。
また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。
だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。
高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。
高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。
高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を自力で考えるためのヒントなのです。
そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。
高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。
たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。
決して成績順だけで決まるのではありません。
もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。
なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。
もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。
単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。
なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。
たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。
夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。
2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です。
地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。
ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。
大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。
AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。
ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。
私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。
余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。
撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。
高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。
これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。
つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。
偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。
部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。
言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。
なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。
日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。
これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。
なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。
よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。
私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。
あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。
別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。
大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。)
付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。
表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。
なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。
よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。
なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。
偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。
かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。
過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。
あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。
四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。
なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくないのです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。
指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。
大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。
それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。
「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。
あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。
ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。
なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。
なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。
だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。
「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。
さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。
「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。
「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。
いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。
こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です。
このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。
陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです。
都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。
地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。
しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。
「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。
地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。
そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社のw:加藤寛 (経済学者)が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。
なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。
また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。
かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。
世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。
このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。
地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。
なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。
さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。
指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。
アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。
最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。
もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。
今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。
その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。
今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。
かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。
仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。
「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。
文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。
指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。
指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。
また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。
「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?
なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。
いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。
なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。
平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。
でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。
このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。
また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。
しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。
ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。
また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。
ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。
平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。
もう、このように色々と実験済みなのです。
こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。
なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。
私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。
つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。
進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。
なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。
あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。
そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。
なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。
もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。
なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。
理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。
雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。
また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。
ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。
図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。
さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。
必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。
だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です。なので、学校の到着後に電源を切らされます。
上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。
朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります。
持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。
ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。
回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。
学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。
なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。
そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。
そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。
カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。)
令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。
バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。
上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。
あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので、自転車通学には、なんらかの制約があります。
どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います。
一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。
つまり、自宅からの直接通学でないと、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。
あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。
また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。
自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。
よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。
なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります。
もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。
なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。
修学旅行の無い公立高校もあります。公立の定時制高校(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。
公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです。
なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。
名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立でも私立でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります。
学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。
なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。
朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。
ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。
ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。
マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。
たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません。
私立だと、青山学院の付属校には、存在していません。学習院高校にも、存在していません。成蹊高校にも、存在していません。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。成城高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない))
別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。
「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。
東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。
やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。
やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。
なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです。
もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。
こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。
なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。
ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。
千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校です。埼玉県では共学では私立は2校です。
私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。
ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。
たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません。
四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。
慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。
また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。
なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。
普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。
(例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。)
もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです。
運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。
部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。
女子高では「応援団部」はゼロです。
なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。
なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。
ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。
必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります
マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。
2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。
ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を方針としていない場合が多いからです。たとえば偏差値30台の高校の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの学び直しをする」とか「手に職をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「チャレンジスクール」とか「エンカレッジスクール」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
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"tag": "p",
"text": "大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
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"tag": "p",
"text": "しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは大学受験の偏差値と混同しています。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
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"tag": "p",
"text": "世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
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"tag": "p",
"text": "しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。",
"title": "偏差値についてのよくある誤解"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位)",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。)",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。",
"title": "「総合的な探究の時間」の無い学科"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、理事長や校長にとっての自由です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「自由選択枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「必修選択」または「選択必修」という方式です。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので)",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。)",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。",
"title": "高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1 くらいに片寄っている場合もあります。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1 とか 男:女=1:1.2 とか、そのくらいに収まることが多いです、",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系やスポーツ系の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。",
"title": "男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。)",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "しかし公立高校は元からそういうのをしていません。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。",
"title": "公立高校について"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり、古典講読などが開講されていない傾向もあります。数学IIIなどは高校必修ではないのです。",
"title": "地方の小規模校の欠点"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。",
"title": "私立高校の地元推薦枠"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。",
"title": "私立高校の地元推薦枠"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です)",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "現代でも、大学ですがw:公設民営大学の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。w:公設民営大学",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。)",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "基本的には、社会科学系の分野です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な探究の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので)。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "中央大の付属高校いわく、",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "さらに、",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "と述べています。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「やりたい」、高校生でも「できる」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「意義がある」の3本が必要です。まとめると、",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "の3本です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "このように学校によって、字数の相場は違います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "そのほかの卒論のある高校は、",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が反証されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "『本を読む本 読書家をめざす人へ』 (1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。",
"title": "ほか、雑多なこと"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。)",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。",
"title": "私立の土曜授業"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。)",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 246,
"tag": "p",
"text": "私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 247,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 248,
"tag": "p",
"text": "地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 249,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 250,
"tag": "p",
"text": "高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 251,
"tag": "p",
"text": "本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 252,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 253,
"tag": "p",
"text": "さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 254,
"tag": "p",
"text": "そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 255,
"tag": "p",
"text": "また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 256,
"tag": "p",
"text": "だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 257,
"tag": "p",
"text": "高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 258,
"tag": "p",
"text": "高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 259,
"tag": "p",
"text": "高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を自力で考えるためのヒントなのです。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 260,
"tag": "p",
"text": "そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。",
"title": "高大連携"
},
{
"paragraph_id": 261,
"tag": "p",
"text": "高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 262,
"tag": "p",
"text": "たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 263,
"tag": "p",
"text": "決して成績順だけで決まるのではありません。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 265,
"tag": "p",
"text": "なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 290,
"tag": "p",
"text": "これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 291,
"tag": "p",
"text": "なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 292,
"tag": "p",
"text": "よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。",
"title": "スポーツ系私立高校の特典"
},
{
"paragraph_id": 293,
"tag": "p",
"text": "私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 294,
"tag": "p",
"text": "あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 295,
"tag": "p",
"text": "別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 296,
"tag": "p",
"text": "大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。)",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 297,
"tag": "p",
"text": "付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 298,
"tag": "p",
"text": "表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 299,
"tag": "p",
"text": "なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。",
"title": "私大の付属校の救済措置"
},
{
"paragraph_id": 300,
"tag": "p",
"text": "よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 301,
"tag": "p",
"text": "なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 302,
"tag": "p",
"text": "偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 303,
"tag": "p",
"text": "かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 304,
"tag": "p",
"text": "過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 305,
"tag": "p",
"text": "あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 306,
"tag": "p",
"text": "四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 307,
"tag": "p",
"text": "なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくないのです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 308,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 309,
"tag": "p",
"text": "大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 310,
"tag": "p",
"text": "それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 311,
"tag": "p",
"text": "「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 312,
"tag": "p",
"text": "あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 313,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 314,
"tag": "p",
"text": "ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 315,
"tag": "p",
"text": "なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 316,
"tag": "p",
"text": "なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 317,
"tag": "p",
"text": "だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 318,
"tag": "p",
"text": "「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。",
"title": "偏差値を下げるのは有効か?"
},
{
"paragraph_id": 319,
"tag": "p",
"text": "さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 320,
"tag": "p",
"text": "「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 321,
"tag": "p",
"text": "「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 322,
"tag": "p",
"text": "いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 323,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 324,
"tag": "p",
"text": "こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 325,
"tag": "p",
"text": "このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 326,
"tag": "p",
"text": "陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 327,
"tag": "p",
"text": "都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 328,
"tag": "p",
"text": "地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 329,
"tag": "p",
"text": "しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 330,
"tag": "p",
"text": "「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 331,
"tag": "p",
"text": "地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 332,
"tag": "p",
"text": "そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社のw:加藤寛 (経済学者)が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 333,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 334,
"tag": "p",
"text": "なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 335,
"tag": "p",
"text": "また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 336,
"tag": "p",
"text": "かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 337,
"tag": "p",
"text": "世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 338,
"tag": "p",
"text": "このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 339,
"tag": "p",
"text": "地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 340,
"tag": "p",
"text": "なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 341,
"tag": "p",
"text": "さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 342,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 343,
"tag": "p",
"text": "アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 344,
"tag": "p",
"text": "最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 345,
"tag": "p",
"text": "もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 346,
"tag": "p",
"text": "今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 347,
"tag": "p",
"text": "その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 348,
"tag": "p",
"text": "今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 349,
"tag": "p",
"text": "かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 350,
"tag": "p",
"text": "仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 351,
"tag": "p",
"text": "「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 352,
"tag": "p",
"text": "文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 353,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 354,
"tag": "p",
"text": "指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 355,
"tag": "p",
"text": "また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。",
"title": "文化的な背景"
},
{
"paragraph_id": 356,
"tag": "p",
"text": "「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 357,
"tag": "p",
"text": "なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 358,
"tag": "p",
"text": "いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 359,
"tag": "p",
"text": "なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 360,
"tag": "p",
"text": "平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 361,
"tag": "p",
"text": "でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 362,
"tag": "p",
"text": "このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 363,
"tag": "p",
"text": "また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 364,
"tag": "p",
"text": "しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 365,
"tag": "p",
"text": "ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 366,
"tag": "p",
"text": "また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 367,
"tag": "p",
"text": "ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 368,
"tag": "p",
"text": "平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 369,
"tag": "p",
"text": "もう、このように色々と実験済みなのです。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 370,
"tag": "p",
"text": "こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 371,
"tag": "p",
"text": "なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。",
"title": "実験校の成果と文理コース分け"
},
{
"paragraph_id": 372,
"tag": "p",
"text": "私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 373,
"tag": "p",
"text": "つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 374,
"tag": "p",
"text": "進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 375,
"tag": "p",
"text": "なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 376,
"tag": "p",
"text": "あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 377,
"tag": "p",
"text": "そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 378,
"tag": "p",
"text": "なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 379,
"tag": "p",
"text": "もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 380,
"tag": "p",
"text": "なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 381,
"tag": "p",
"text": "理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 382,
"tag": "p",
"text": "雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 383,
"tag": "p",
"text": "また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 384,
"tag": "p",
"text": "ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 385,
"tag": "p",
"text": "図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 386,
"tag": "p",
"text": "さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 387,
"tag": "p",
"text": "必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。",
"title": "高校図書室の蔵書のレベル"
},
{
"paragraph_id": 388,
"tag": "p",
"text": "だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です。なので、学校の到着後に電源を切らされます。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 389,
"tag": "p",
"text": "上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 390,
"tag": "p",
"text": "朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 391,
"tag": "p",
"text": "持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 392,
"tag": "p",
"text": "ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 393,
"tag": "p",
"text": "回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 394,
"tag": "p",
"text": "学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 395,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 396,
"tag": "p",
"text": "なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 397,
"tag": "p",
"text": "そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 398,
"tag": "p",
"text": "そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 399,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 400,
"tag": "p",
"text": "カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。)",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 401,
"tag": "p",
"text": "令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 402,
"tag": "p",
"text": "バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 403,
"tag": "p",
"text": "上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。",
"title": "校則の傾向"
},
{
"paragraph_id": 404,
"tag": "p",
"text": "あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので、自転車通学には、なんらかの制約があります。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 405,
"tag": "p",
"text": "どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 406,
"tag": "p",
"text": "一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 407,
"tag": "p",
"text": "つまり、自宅からの直接通学でないと、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 408,
"tag": "p",
"text": "あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 409,
"tag": "p",
"text": "また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 410,
"tag": "p",
"text": "自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 411,
"tag": "p",
"text": "よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 412,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 413,
"tag": "p",
"text": "なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 414,
"tag": "p",
"text": "もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 415,
"tag": "p",
"text": "なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。",
"title": "自転車通学"
},
{
"paragraph_id": 416,
"tag": "p",
"text": "修学旅行の無い公立高校もあります。公立の定時制高校(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 417,
"tag": "p",
"text": "公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 418,
"tag": "p",
"text": "なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 419,
"tag": "p",
"text": "名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立でも私立でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 420,
"tag": "p",
"text": "学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 421,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 422,
"tag": "p",
"text": "なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 423,
"tag": "p",
"text": "朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 424,
"tag": "p",
"text": "ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 425,
"tag": "p",
"text": "ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。",
"title": "修学旅行の無い高校もある(研修旅行など)"
},
{
"paragraph_id": 426,
"tag": "p",
"text": "マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 427,
"tag": "p",
"text": "たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 428,
"tag": "p",
"text": "私立だと、青山学院の付属校には、存在していません。学習院高校にも、存在していません。成蹊高校にも、存在していません。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。成城高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない))",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 429,
"tag": "p",
"text": "別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 430,
"tag": "p",
"text": "「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 431,
"tag": "p",
"text": "東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 432,
"tag": "p",
"text": "やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 433,
"tag": "p",
"text": "やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 434,
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"text": "なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 435,
"tag": "p",
"text": "もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 436,
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"text": "こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 439,
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"text": "ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校です。埼玉県では共学では私立は2校です。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 447,
"tag": "p",
"text": "なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 448,
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"text": "普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 449,
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"text": "(例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。)",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 450,
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"text": "",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 451,
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"text": "もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 452,
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"text": "運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 453,
"tag": "p",
"text": "部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
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"text": "女子高では「応援団部」はゼロです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 455,
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"text": "なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 456,
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"text": "なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
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"text": "必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります",
"title": "部活のイメージと実態"
},
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"text": "",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 460,
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"text": "マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 461,
"tag": "p",
"text": "2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。",
"title": "部活のイメージと実態"
},
{
"paragraph_id": 462,
"tag": "p",
"text": "ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。",
"title": "部活のイメージと実態"
}
] | null | == 偏差値についてのよくある誤解 ==
=== 進学校かどうかは偏差値40を境にとりあえず判断 ===
将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を'''方針としていない'''場合が多いからです。たとえば'''偏差値30台の高校'''の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの'''学び直し'''をする」とか「'''手に職'''をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。
重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「'''チャレンジスクール'''」とか「'''エンカレッジスクール'''」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。
行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。
ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。
大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。
偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。
偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。
「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。
地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。
;大学受験偏差値との混同をさせる迷惑業界に注意
世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。
大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。
しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。
「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは'''大学'''受験の偏差値と混同しています。
また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。
ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。
混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。
なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。
=== 偏差値は学力ではなく倍率みたいなもの ===
世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。
しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。
高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。
偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。
また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。
極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。
しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。
たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。
高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。
世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。
=== 低偏差値の高校のあれこれ ===
==== 私立の場合 ====
===== 私立の低偏差値の文系コースでは数学IIが無い =====
私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります<ref>[https://twitter.com/tokyokojuken/status/1695402409441591303?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1695402409441591303%7Ctwgr%5E9244ee53b39890aa2059c215cc61f7dd12a74b7c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F220918091111.html (ツイッター)東京高校受験主義、午後8:46 · 2023年8月26日] 2024年03月31日に確認.</ref>。
いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。
このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。
私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。
ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。
なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。
このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。
さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。
===== 推薦合格が多い私立高校だと偏差値が上がる場合もある =====
多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。
世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。
高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。
その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。
私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。
==== 公立の場合 ====
===== 過去に職業高校だった普通科 =====
現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。
学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。
===== 特殊な普通科 =====
低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。
たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。
高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。
「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。
もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。
== 「総合的な探究の時間」の無い学科 ==
※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。
=== 工業・農業高校に総合探究は無い ===
普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。
:※ なお、もともと総合学科に1990年代から「課題研究」と言う科目があって、調べ学習をもとにレポートを書いていたりしていて、総合探究よりも課題研究のほうが歴史的には先です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』 2022/01/20 ]</ref>。総合学科で教育学的に実験されてきた「課題研究」を、普通科むけにアレンジしたのが総合探究の正体です。
ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。
農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。
そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。
=== 総合探究はあるが普通科と何だか違う専門学科 ===
商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位)
ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。
なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。
国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。)
国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。
== 高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」 ==
よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、'''理事長や校長にとっての自由'''です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。
以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。
私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。
おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。
いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「'''自由選択'''枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。
受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。
しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。
公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。
私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「'''必修選択'''」または「選択必修」という方式です。
公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので)
また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。
文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。
このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。
公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。)
ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。
私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。
どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。
なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。
== 男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない ==
:※ 過疎地だと、たまたま地域によっては男子の多い地域とか女子の多い地域とかありうるので、下記は首都圏の話だとします。
普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1 くらいに片寄っている場合もあります。
まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。
そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。
いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1 とか 男:女=1:1.2 とか、そのくらいに収まることが多いです、
私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。
ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系や'''スポーツ系'''の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。
ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=zAbCbrsDEgs (動画)行田kokojuken34_ 『【仰天!?】共学校でこんなに違うのか!【男子、女子比率】』 2024/03/09] 2024年3月31日に確認.</ref>。
現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。
== 公立高校について ==
=== 公立高校は地域に開かれていません ===
昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。)
しかし公立高校は元からそういうのをしていません。
公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。
戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。
公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。
=== 新入生が15歳とは限りません ===
私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。
このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。
また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。
== 地方の小規模校の欠点 ==
地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/content/20240131_mxt_koukou01_000033692_001.pdf 文部科学省 初等中等教育局参事官付(⾼等学校担当) 著 『⾼等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)』、2024年 ? (アドレスより推測)、 ]</ref>、古典講読などが開講されていない傾向もあります<ref>[https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-20530777/205307772010jisseki/ 山崎 博敏 研究代表『教育人口の変動と学校の規模・再編統廃合』、kaken、公開日: 2012-07-19 ]</ref>。数学IIIなどは高校必修ではないのです。
== 私立高校の地元推薦枠 ==
;推薦されても絶対合格ではない
地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります<ref>[https://jyukumado.jp/column/50 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。
特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。
== ほか、雑多なこと ==
=== 共学と男女別学 ===
戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。
また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。
しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です)
このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』、弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。
なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。
2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。
2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASRDC4H1SRD4UTNB01S.html 朝日新聞『減りゆく公立高の男女別学校 7割が埼玉・群馬・栃木に集中のなぞ』2023年12月13日 12時00分] 2024年3月31日に確認.</ref>。
男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。
どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。
なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。
部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。
まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。
ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。
なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。
たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。
ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。
また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。
;高度成長期などの校舎の立て直し
戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。
建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。
私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。
なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。
ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。
あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。
あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。
上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。
=== じつは公設民営の私立高校がある ===
ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です<ref>[https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/guidance/history/birth/ 『芝浦工業大学柏高等学校の誕生 学校概要 芝浦工業大学柏中学高等学校』] 2023年12月02日に確認. </ref>。
昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。
現代でも、大学ですが[[w:公設民営大学]]の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。[[w:公設民営大学]]
悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。
;政府は責任をとりたくない
「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。
公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。)
=== 高校生の論文は文系分野ばかり ===
==== 基本 ====
:(※ どっちかと言うと、下記の記事は総合学習のページのwikiに書くほうが適切かもしれません。)
一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。
基本的には、社会科学系の分野です。
なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.183 の注6] 2023年12月02日に確認. </ref>。
なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります<ref>[https://diamond.jp/articles/-/314990?page=3 後藤健夫 著『増加する「Fランク大学」、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方』、ダイヤモンド社教育情報、2022.12.22 3:20]</ref>。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。
書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P42</ref>。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な'''探究'''の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P40~P42</ref>。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。
なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>)。
中央大の付属高校いわく、
<blockquote>
論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。
</blockquote>
です<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>。
神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、
さらに、
<blockquote>
「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」
</blockquote>
と述べています<ref>pdf [https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.30]</ref>。
神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「'''やりたい'''」、高校生でも「'''できる'''」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「'''意義がある'''」の3本が必要です。まとめると、
* やりたい
* できる
* 意義がある
の3本です。
さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P393およびP379など</ref>。
参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P379など</ref>など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。
和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。
なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P18 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。
今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。
また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。
また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。
放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。
比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。
なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう
あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。
卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。
そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。
比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。
こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。
これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。
残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。
今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。
だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。
なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。
<blockquote>
また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。
</blockquote>
<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 の節「3)研究環境(施設面)の問題点」] 2023年12月02日に確認.</ref>
なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。
なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P148</ref>。
このように学校によって、字数の相場は違います。
そのほかの卒論のある高校は、
筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。
私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。
これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD049S60U3A001C2000000/ 『理系学部への進学率、付属校は低調 進学校は伸び』、2023年10月17日 5:00 、※会員限定記事 ]</ref>。
;同一テーマに関する複数の文献を比較
ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。
1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。
北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です<ref>pdf [https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00036134.pdf&n=2021%E5%8C%97%E9%87%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%88%B6%E5%BE%A1%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%BA%9C%E3%80%8D%E5%AD%A6%E4%BF%AE%E8%A6%81%E9%A0%85.pdf 『2021北里大学「大学院感染制御科学府」学修要項.pdf』P.123]</ref>。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。
ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。
もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。
==== 仮説思考 ====
中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P23 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。
ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します<ref>[https://www.asahi.com/edua/article/14636767?p=2 葉山 梢 著『卒論の執筆通じてリベラルアーツ教育 内部推薦のポイントにも 立教池袋』2022.06.08 ]</ref>。
中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。
もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。
ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。
もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。
完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。
「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が'''反証'''されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。
仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。
なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。
言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。
ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。
仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります<ref>[https://note.com/haruna_pp/n/na87491690a21 『実験する前に論文を書こう~「仮説思考」を読んで~ (ver1.0) 』2024年1月6日 20:16 ]</ref>。
この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。
Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。
とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。
==== 問題解決ではない ====
論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。
大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。
もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。
正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。
==== 読書の方法 ====
論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。
この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。
さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。
これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。
[https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%9C%AC-%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E5%AE%B6%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%B8-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/2000524001/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.VpqUkV6DHZuZsgzwYTOTh2ZgA4mYcWsBooOx6MUYkbA.GblkUDjG7anKTt01HJ0zLyLa9WrX0MQmIJRCREKo14Q&dib_tag=se&qid=1711255352&refinements=p_27%3A%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3&s=books&sr=1-1&text=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3 『本を読む本 読書家をめざす人へ』 ](1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。
普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。
本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。
== 私立の土曜授業 ==
多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。)
ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。
なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。
公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。
もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。
どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。
また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。
ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。
== 高大連携 ==
;高大連携とは
「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。
主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。
いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。
「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。
この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。
;指定校推薦などとの関係
私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。
指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。)
堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/16678.html 『茗溪学園中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』 2023.11.30 (THU)] 2024年02月15日に確認. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC079KB0X01C23A2000000/ 日本経済新聞 著『埼玉の春日部共栄中高と順天堂大学、出張授業などで連携』2023年12月7日 19:30] 2024年02月15日に確認. </ref>。
なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。
指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。
なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。
;協定校
私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います<ref>[https://www.study1.jp/kanto/school/B13P122/school_special/9/ スタディ中学受験 著『法政大学との新たな高大連携!学びを深める連携講座と最大30名の協定校推薦 | スクール特集:三輪田学園中学校 | スタディ中学受験情報局』公開日:2023/8/4]</ref>。
ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。
傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。
ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。
2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります<ref>[https://www.takeda.tv/naraikoma/student/post-199879/ 武田塾『関西学院大学商学部へ合格!「協定校推薦と指定校推薦の違い」』 2021.09.27]</ref>。
* 参考サイト: [https://www.jhschool.site/2021/04/25/uhsc/ 高大連携情報を大学別に集めていきます]
もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。
このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。
私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。
偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。
提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。
なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。
あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。
;所得水準のつりあわない高大連携について
やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。
せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。
=== 高大連携の授業についての注意点 ===
;地域差
高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。
決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。
私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。
;大学ごとの差
地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。
;定員がある
高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。
本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。
;教育効果は未保証
さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。
そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。
また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。
だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。
高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。
高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。
高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を'''自力で'''考えるためのヒントなのです。
そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。
== スポーツ系私立高校の特典 ==
=== スポーツ指定校の高校 ===
高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。
たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。
決して成績順だけで決まるのではありません。
もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。
なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。
=== スポーツAOの関東優遇・地元優遇 ===
もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。
単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。
なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。
たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。
夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが<ref>[https://hgkiy5.com/koshien/#%E5%87%BA%E5%A0%B4%E6%9E%A0 『【高校野球】夏の甲子園、春の甲子園違いは?』2023年7月20日 ]</ref>、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。
2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です<ref>[http://grading.jpn.org/E4101.html 『高等学校数の都道府県ランキング - 都道府県格付研究所』 ]</ref>。
地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。
ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。
大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。
AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。
ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。
私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。
;学校パンフレットの役者
余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。
撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。
高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。
=== トーナメントと偏差値の換算表 ===
{{コラム|トーナメントの淘汰率の錯覚|
さて、トーナメント方式では原理上、半数は初戦敗退します。2回戦で最初の75%が脱落します。3回戦でさらに半分が脱落するので87.5%が脱落します。つまりトーナメント方式では、倍々ゲームなら半々ゲームで、指数的に減っていくのです。
人間の錯覚があり、世間の一般的な感覚の人は、あるチームの戦績について「初戦で敗退」と聞くと、まるで弱小でモヤシで素人なチームを思いうかべがちですが、しかしそうではなく、なんと半分もの人が初戦敗退するのが、トーナメント方式の原理です。
どうも一般人は、指数的な変化を、まちがって一次関数的な直線的な変化として取らえがちなようです。
ともかく、このような数理を知っていると、つまり、あるチームが2回戦を勝ち残れば、もう全体で上位25%の中にいる事が証明できるのです。たったの2回戦でそうなのです。つまり、「2回戦を勝った」と言うのは、十分にアピール材料になるのです。(ただし、全国大会に出れないと、大学や超難関付属高校などのスポーツ推薦の出願条件にはならないので、別方式の自己推薦や公募推薦などでアピールすることになる。)
偏差値で考えると、3回戦を勝てば、なんと偏差値60以上であり、上位12.5%以内です。あるいは、たとえ2回戦勝利まででも、その時点でもう偏差値55以上であり、上位25%以内が保証されます。
* 換算表
:1回戦を勝てば上位50%。偏差値 50
:2回戦を勝てば上位25%、偏差値 57~58
:3回戦を勝てば上位12.5%。偏差値 61~62
:4回戦を勝てば上位6.25%。偏差値 65~66
:5回戦を勝てば上位3.125%。偏差値 68 ~69
:6回戦を勝てば上位1.5625%。偏差値 71 ~72
です。
マンガとかだと2~3回戦敗退は弱小チームですが、マンガなんかを真に受けると馬鹿になります。週刊のスポーツ根性マンガ(スポ根マンガ)で主人公チームが全国大会の決勝戦あたりまで10回や15回くらい勝ち進むのは、単なる連載の都合です。
よく偏差値の換算表を見ると、2回戦の勝ち抜きで、偏差値が急に約7もアップしますが(偏差値 50 → 57)、あとは勝ち抜いても約4しかアップせず、5回戦以降は約3アップと、勝ち抜きごとの偏差値の上昇幅がだんだんと鈍化していきます。
これを知ってると、なんと2回戦を勝ち抜いただけで、かなり自身の評判がアップすることに気づきます。
あとはどう上記の数理をもとに戦績を自己アピールするかは、個々人に任せます。
やはり数学の力は絶大です。数学をまなぶことで、マンガとかの演出にダマされなくなり、自分をより効果的にアピールできるようになります。
トーナメント方式における、強豪校のもらえるシード権やシード校、シード選手は、あれは例えるなら指定校推薦みたいなもんです。
}}
これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。
つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。
偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。
部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。
言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。
なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です<ref>[https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201601270004-spnavi 永塚和志『米国と日本、大きく異なる部活のあり方 選手育成で日本が今、考えるべきこと』2016年1月27日 12:00 ]</ref>。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。
日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。
これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。
=== まとめ ===
なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。
よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。
== 私大の付属校の救済措置 ==
私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。
あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。
別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。
大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。)
付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。
表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。
なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。
== 偏差値を下げるのは有効か? ==
よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。
なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。
偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。
かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。
過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。
あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。
四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。
なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、'''都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくない'''のです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。
指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。
大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。
それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。
「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。
あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。
ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。
なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。
なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。
だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。
「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。
== 文化的な背景 ==
さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。
「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。
「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。
いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。
こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。
このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。
陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。
都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。
地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。
しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。
「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。
地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。
そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社の[[w:加藤寛 (経済学者)]]が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。
なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。
また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。
かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、<ref>[https://diamond.jp/articles/-/319651 オバタカズユキ 著『「バンカラ大学」は消滅した? 親世代と子世代で違う最新大学事情とは?』、2023.3.18 2:25]</ref>、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。
世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。
このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。
地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。
なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=FOwlWE__evw 山内太地 『旧帝大の推薦合格者数を荒稼ぎする高校』2024年02月26日、]</ref>。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。
さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。
指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。
アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。
最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。
もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。
今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。
その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。
今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。
かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。
仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。
「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。
文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。
指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。
指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。
また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。
== 実験校の成果と文理コース分け ==
「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?
なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。
いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。
なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です<ref>pdf [https://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/tokku/gaiyo3-2.html 内閣府 総合規制改革会議 『(1)文部科学省から資料に基づき説明』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/020-17/siryo/06030301/002.pdf 『「本協議会において協議するべき事項の整理(案)」に対する各委員のお考え(概要)』 H18.1.30 ]</ref>。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。
平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。
でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。
このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。
また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。
しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。
ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。
また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。
ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。
平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。
もう、このように色々と実験済みなのです。
こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。
なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。
== 高校図書室の蔵書のレベル ==
私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。
つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。
進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。
なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。
あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。
そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。
なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。
もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。
なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。
理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。
雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。
また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。
ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。
図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。
さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。
必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。
== 校則の傾向 ==
=== スマホ・携帯電話などの校則の傾向 ===
だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です<ref>[https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2022/026712.html ※たとえば中央大の付属高校 ]</ref><ref>[https://www.hosei.ed.jp/high/qa/ ※ サイト『学校生活Q&A | 高等学校 | 法政大学中学高等学校』にて次をクリック『学校生活上の主な校則について教えてください。』]</ref>。なので、学校の到着後に電源を切らされます。
上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。
朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります<ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11311331184/bbs_query/%E6%A0%A1%E5%89%87/#google_vignette ※ たとえば青山学院の付属校 ] </ref>。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります<ref>[https://www.meinaka.jp/admission/faq.html ※サイト『よくあるご質問|明治大学付属中野中学・高等学校』にて『生活指導は』をクリック]</ref>。
持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。
ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。
回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。
学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。
;保護者への連絡
なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。
そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。
そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。
;カメラの原則的な禁止
カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。)
=== アルバイト・運転免許の校則の傾向 ===
令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。
バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。
上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。
== 自転車通学 ==
あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので<ref>[https://www.hosen.ed.jp/question/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%80%9A%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校]</ref>、自転車通学には、なんらかの制約があります。
どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います<ref>[https://www.tokyoseitoku.jp/hs/admission/qa/ ※たとえば東京成徳]</ref>。
一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。
つまり、自宅からの直接通学でないと<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊の付属校 ] </ref>、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。
あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります<ref>[http://www.keiai.ed.jp/exam/faqs/index.html ※たとえば敬愛 ]</ref><ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊]</ref>。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。
また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。
自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。
よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。
;受験時とは別
なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1033695575 Yahoo知恵袋『公立入試のときに自転車で行ってもいいんでしょうか?』2009/12/3 22:28] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11110723112/bbs_id/199951580470924/ 高校受験ナビ『浦和第一女子高等学校 - 埼玉県 公立』2020/01/31(金) ] 2024年03月31日に確認.</ref>。
もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。
なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。
== 修学旅行の無い高校もある(研修旅行など) ==
修学旅行の無い公立高校もあります<ref>[https://eduzukan.jp/jhs/484/article/59502 『高校の修学旅行事情 ~訪問先、費用、コロナ禍を経ての変化など~』 ]</ref>。公立の定時制高校<ref>[http://www.michimori-h.ed.jp/te-aboutteijisei/te-q-and-a/ 福井県立道守高等学校『福井県立道守高等学校 | ~ 道はここから ~』 ]</ref><ref>[https://www.chiba-c.ed.jp/funako/nightcourse/manabou/manabou.html 『千葉県立船橋高等学校 定時制』 ]</ref>(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。
公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです<ref>pdf [https://center.gsn.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/1740 『2 沼田高等学校 岩田悦夫 - sg_02.pdf』]</ref>。
なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。
;「研修旅行」
名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立<ref>[https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/teian/record/2022/202206/A2022-00116.html 『島根県:高等学校の修学旅行について(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 知事への提案箱 / 今までにいただいたご提案と回答 / 2022年 / 2022年6月)』]</ref>でも私立<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref>でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref><ref>[https://www.johoku.ac.jp/tag/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%97%85%E8%A1%8C/ 『研修旅行 | 城北学園 城北中学校・高等学校』 ]</ref>。
学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。
;昼間定時制
なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。
朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。
ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。
ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。
== 部活のイメージと実態 ==
=== 少ない部活 ===
マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。
==== 文化部 ====
===== パソコン部の無い高校は意外と多い =====
たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません<ref>[https://hibiya-h.metro.ed.jp/ClubActivity/Club.html 『*部活動* HIBIYA HIGH SCHOOL』] 2024年03月31日に確認.</ref>。
私立だと、青山学院の付属校には、存在していません<ref>[https://www.agh.aoyama.ed.jp/school_life/club/index.html 青山学院高等部『クラブ・同好会一覧』]2024年03月31日に確認.</ref>。学習院高校にも、存在していません<ref>[https://www.gakushuin.ac.jp/bsh/slife/club/ 学習院高等科『クラブ活動』]2024年03月31日に確認.</ref>。成蹊高校にも、存在していません<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/schoollife/club_seitokai/club/ 成蹊中学・高等学校『クラブ活動』 ]2024年03月31日に確認.</ref>。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。<!-- 成城学園高校は、似た名前の成城高校の情報との区別がつきずらず不明 -->
別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。
「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。
東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。
やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。
やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。
なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです<ref>[https://twitter.com/shibaurafzkkoho/status/1721494681429934550 芝浦工業大学附属中学高等学校、ツイッター(現X)のツイート、2023年11月6日 、] 2024年02月15日に閲覧. </ref>。
もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。
こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。
なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。
===== 新聞部のある私立高校は少ない =====
ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。
千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校ですし、公立・私立あわせても2校です。埼玉県では共学では私立は2校です<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=newspaper 高校受験スタディ『部活に「新聞部」のある高校』 ] 2024年03月31日に確認. </ref>。
私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。
===== 「天文部」のある私立高校は少ない =====
ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。
たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=astronomy 高校受験スタディ『部活に「天文部」のある高校』] 2024年02月16日に確認.</ref>。
四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。
慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。
また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。
なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。
普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。
(例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。)
==== 運動部 ====
===== 応援団部 =====
もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=cheer_group 高校受験スタディ『部活に「応援団部」のある高校』 ]</ref>。
運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。
部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。
女子高では「応援団部」はゼロです。
なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。
なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。
ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。
必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります<ref>[https://senshu-u-h.ed.jp/life/club/ 『クラブ活動 | 専修大学附属高等学校』 ] 2024年02月16日に確認. </ref>
=== その他、イメージと違いそうな部活 ===
==== 軽音楽部 ====
マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です<ref>[https://www.yms.ac.jp/yokohamanote/detail-020/ 『高校軽音楽部について語ろう。』2019.8.09]2024年03月31日に確認.</ref>。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。
2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。
ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
* 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、
* 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、
=== 脚注 === | 2023-12-23T05:02:34Z | 2024-03-31T06:52:09Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%9F%A5%E8%AD%98 |
38,878 | 高校受験ガイド/志望校決めノウハウ | まず、おそくとも3年の春のうちに模試を受けて、自分の偏差値を知ってください。
そのさい、大まかな志望校の、合格判定などの情報も、模試の結果に記載されているので、目を通してください。
模試を受けないと、現状の学力が分からないので、対策のしようがありません。
wikiでこれから述べる対策法も、模試を受けて自身の偏差値の現状を知ったことが前提です。
志望校は、早めに決めたほうが良いでしょう。
第1志望から第3希望まで、さっさと2年の終わった3月くらいのうちに決めるべきです。
志望校を決める際、自分の偏差値よりも高すぎる志望校ばかりだと、気力が尽きてしまいますし、受験に失敗して不本意な進学をする可能性が高いので、志望校の多くは自分の今の偏差値よりも少し高いくらい(+5くらい)に留めておきましょう。
なお、志望校は3年の12月ごろに行われる三者面談で決めたら、しばらくは変えられません。なぜなら、それから先生が受験シーズンで調査書などの準備で忙しくなるからです。担任の先生が面倒を見ているのは決してアナタだけでなく、1クラスの40人ちかくの生徒の面倒を見て調査書などの書類を準備しているのです。なので、予定はしばらく変更できませんので、志望校もしばらくは変更できません。ですから、それまでにきちんと高校の学校説明会などの見学をするなどして、合格の実現可能性の高い志望校を決めておきましょう。
なお、12月よりも前に7~10月あたりの夏~秋にも三者面談があるはずです。その夏の三者面談で、ある程度の進路傾向を担任は調査します。
この7~10月の面談のさい、将来の夢なども聞かれるだろうから(または面談の前にアンケート用紙などで聞かれる場合もある)、思っている夢を素直に言いましょう。アンケートなら、素直に将来つきたい仕事・業界などを書きましょう。おそらく、担任からも面談で将来の夢などを聞かれると思います。
たとえば部活とかで音楽をしていて、ミュージシャンに興味あって、音楽科のある高校に興味あるなら、「ミュージシャンに興味ある」みたいに面談やアンケートで言いましょう、書きましょう。
事前に伝えておけば、担任はその教科の教員(この場合は音楽教科の教員)とも相談して、色々と音楽教育の充実してそうな高校を調べて、面談などの際に伝達してくれるでしょう。
いっぽう、部活などで吹奏楽や管弦楽をしておらず、ピアノも幼少期にならっていなくて音楽を普段からしてない生徒なら、それでは音楽科の高校はきびしいかと思いますが、それでも事前に夢を伝えておけば、何か参考情報を面談のさいに伝えてくれるはずでしょう。
たとえば、担任が音楽教科の先生と事前に相談したとして、面談時に担任から生徒が言われることは、たとえば「きみの実力では音楽科の高校はきびしいけど、普通科高校でも近隣にあるこの高校が音楽の部活がさかんです。この普通科高校は、音大に進学している卒業生が他校よりも多いです」とか、何か色々と情報を教えてくれるはずです。
その高校に合格するかどうか知りませんが、高校生になったときにそういう情報を知っているか知らないかで、高校3年間の過ごし方の効率が違うので、中3の面談(および事前の進路志望アンケート)では素直に将来の夢を伝えましょう。
なので、もし親に志望を反対されても、担任に将来の夢を相談しましょう。なぜなら、通っている中学の音楽教員は、音楽についての親の知らない情報をいろいろと知っています。7月ごろの三者面談は、そういうのを確認する場です。
たとえ、生徒の家庭がすでに知っているレベルの情報しか面談で出なかったとしても、それは音楽教員ですらそれ以上の情報は知らないという結果が分かるので、そういう意味では収穫のある情報なのです。
高校受験だけでなく、高校3年のときの三者面談でも同様、将来の夢を伝えましょう。(このときも、おそらく将来の夢をあるていど聞かれると思います。)
音楽教員の考えたアドバイスが当たるかどうかは知りません。最終的に決断するのは、生徒の家庭です。
なお、公立高校は基本的に1校しか選ぶことができません。
志望校ぎめでの偏差値ごとの受験校の分類として、
という3分類があります。」
すべり止めのため、第1志望校のほか、安全校のなかで行っても良いと思える高校もあらかじめ調べて決めておくと良いでしょう。
第一志望校には、特に事情がないかぎりは、実力相応校またはチャレンジ校のなかで、行きたい高校を選びましょう。
ただし、たとえば「偏差値は低いけどスポーツの強豪校」みたいに、学力以外の部分で心ひかれている高校があれば、それを第1志望校にするのも良いでしょう。
おそらく三者面談などでも、(「偏差値」の名前は公立中学では出さないでしょうが、)そう指導されるでしょう。
ただし、学校の教員は、模試などの偏差値は知りませんし、歴史的な事情で模試の情報を公立学校では排除しますので(1990年代の業者テスト追放運動)、あまり担任のアドバイスだけを真に受けてはいけません。
私立志望の一般入試の場合、あくまで参考基準は、定期テストではなく模試の偏差値。 です。
高校の勉強では、中学と比べ者にならない多くの課題が出ます。このため、大学進学などを考える場合、学習時間が多く必要になります。
もし、通学時間が長すぎる立地の高校だと、勉強時間が減ってしまいます。
なので、よほどの名門私大の付属校などでないかぎり、家から常識的な通学時間で通える高校を志望するのが安全です。
なお、国立大付属高校には、内部進学はありません。家から遠い国立大付属高校に進学してしまうと、そのぶん受験勉強の時間を通学で圧迫してしまいますので、注意してください。
なお、学生寮(がくせい りょう)があるのは、ごく一部の高校に限られます。学生寮が無いと思われる私立高校として、日東駒専(日大・東洋・駒沢・専修)やマーチ(明治・青学・立教・中央・法政)や成成明学(成城・成蹊・明治学院)の付属高校あたりだと、学生寮は基本、ありません。
なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。
リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません。
いっぽう、量のある私立高校として、駒沢大付属の北海道の高校には学生寮がありますが、しかし定員があり、全校生徒数よりも大幅に少ない定員です。あくまで北海道の付属の話です。
700名以上いる生徒に対して、寮の定員は150名ていどだったりします。
なので、あくまで、基本的には、なるべく近くの高校に通うのが前提です。
しかも上記は北海道の話です。
首都圏に住んでいる人は、学生寮はアテにしないほうが良いでしょう。
ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく学生向けの一般の近隣マンションばかりです。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。
マンガだと、よく学問モノのマンガでは寮生活がありますが、実際には学生寮のある私立の中学高校は少ないのです。マンガの寮生活は、単にストーリー上の都合に過ぎません。
国立大付属の中学高校で学生寮は、聞いたことがなく、無いと思われます。
私立学校の建学時の創設者による教育理念は、たいていの場合、単にその創設当時の初代の理事長である創設者の教育理念に過ぎません。
また、時代の変化によって、理念にあった言葉の意味合いは、現代語の意味合いとは少し違っています。
たとえば、第二次世界大戦(WW2)後の学制改革で昭和なかばに創設された高校の場合などは、「自主自律」とか理念で言っても、それは戦前の軍国主義的な教育に対する「自主自律」というような意味合いもあるので、その私学の校則とか厳しい場合もありますし、科目の選択肢はそんなに多くないかもしれません。
実際には、どの高校(一条校)も指導要領にしたがいますので、学校である以上は教師の管理にしたがって授業を受ける事になります。
ほか、成蹊(せいけい)大学の付属高校のwebサイトの教育理念のページにて『勤労の実践』という建学の理念を見たのですが、しかし実際の成蹊大付属高校のカリキュラムは何か工業高校や農業高校のような職業教育をするようにはなっていないし、成蹊高校は普通科高校のカリキュラムです。おそらく、今でいう(高校「政治経済」みたいな科目の)「実学重視」とか中学校の技術家庭科とか(中学での職業体験の)「体験学習」くらいの意味合いだと思います。大正時代には、まだ「体験学習」みたいな言葉が無かったか、いまほど実習・実験の設備が整っていなかったのだろうと思います。
教育学では、成蹊学園などの大正時代の創設の少し前のころ、ヨーロッパで「労作」教育という、座学ばかりでなく、畑を耕したり、楽器を演奏したりとかいった(今と違って大正の当時は家電の音楽機器なんてないので、今よりもやや実学だった)、体験学習のようなものが模索されました。おそらく、こういうのの話です。
ほか、「個性」の尊重をうたう私立高校もそこそこ多いですが、しかし少なくともカリキュラムを見ても、たとえば「私はミュージシャンになりたい!」的な人に対応するような音楽IIとか音楽IIIとか用意してない高校も多数です。
なので、ともかく、決してパンフレットなどにある理念を鵜呑みにするのではなく、その学校のカリキュラムや、生徒たちの普段の行動や進路などを観察しましょう。
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] | null | == 志望校の決めかたのコツ ==
=== 模試を受ける ===
まず、おそくとも3年の春のうちに模試を受けて、自分の偏差値を知ってください<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P83</ref>。
そのさい、大まかな志望校の、合格判定などの情報も、模試の結果に記載されているので、目を通してください。
模試を受けないと、現状の学力が分からないので、対策のしようがありません。
wikiでこれから述べる対策法も、模試を受けて自身の偏差値の現状を知ったことが前提です。
=== 決める時期は早いほうがいい ===
志望校は、早めに決めたほうが良いでしょう。<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32</ref>
第1志望から第3希望まで、さっさと2年の終わった3月くらいのうちに決めるべきです。
志望校を決める際、自分の偏差値よりも高すぎる志望校ばかりだと、気力が尽きてしまいますし<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32</ref>、受験に失敗して不本意な進学をする可能性が高いので、志望校の多くは自分の今の偏差値よりも少し高いくらい(+5くらい<ref>ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32</ref>)に留めておきましょう。
なお、志望校は3年の12月ごろに行われる三者面談で決めたら、しばらくは変えられません<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P38</ref>。なぜなら、それから先生が受験シーズンで調査書などの準備で忙しくなるからです。担任の先生が面倒を見ているのは決してアナタだけでなく、1クラスの40人ちかくの生徒の面倒を見て調査書などの書類を準備しているのです。なので、予定はしばらく変更できませんので、志望校もしばらくは変更できません。ですから、それまでにきちんと高校の学校説明会などの見学をするなどして、合格の実現可能性の高い志望校を決めておきましょう。
なお、12月よりも前に7~10月あたりの夏~秋にも三者面談があるはずです。その夏の三者面談で、ある程度の進路傾向を担任は調査します。
この7~10月の面談のさい、将来の夢なども聞かれるだろうから(または面談の前にアンケート用紙などで聞かれる場合もある)、思っている夢を素直に言いましょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P59</ref>。アンケートなら、素直に将来つきたい仕事・業界などを書きましょう。おそらく、担任からも面談で将来の夢などを聞かれると思います。
たとえば部活とかで音楽をしていて、ミュージシャンに興味あって、音楽科のある高校に興味あるなら、「ミュージシャンに興味ある」みたいに面談やアンケートで言いましょう、書きましょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P59</ref>。
事前に伝えておけば、担任はその教科の教員(この場合は音楽教科の教員)とも相談して、色々と音楽教育の充実してそうな高校を調べて、面談などの際に伝達してくれるでしょう。
いっぽう、部活などで吹奏楽や管弦楽をしておらず、ピアノも幼少期にならっていなくて音楽を普段からしてない生徒なら、それでは音楽科の高校はきびしいかと思いますが、それでも事前に夢を伝えておけば、何か参考情報を面談のさいに伝えてくれるはずでしょう。
たとえば、担任が音楽教科の先生と事前に相談したとして、面談時に担任から生徒が言われることは、たとえば「きみの実力では音楽科の高校はきびしいけど、普通科高校でも近隣にあるこの高校が音楽の部活がさかんです。この普通科高校は、音大に進学している卒業生が他校よりも多いです」とか、何か色々と情報を教えてくれるはずです。
その高校に合格するかどうか知りませんが、高校生になったときにそういう情報を知っているか知らないかで、高校3年間の過ごし方の効率が違うので、中3の面談(および事前の進路志望アンケート)では素直に将来の夢を伝えましょう。
なので、もし親に志望を反対されても、担任に将来の夢を相談しましょう。なぜなら、通っている中学の音楽教員は、音楽についての親の知らない情報をいろいろと知っています。7月ごろの三者面談は、そういうのを確認する場です。
たとえ、生徒の家庭がすでに知っているレベルの情報しか面談で出なかったとしても、それは音楽教員ですらそれ以上の情報は知らないという結果が分かるので、そういう意味では収穫のある情報なのです。
高校受験だけでなく、高校3年のときの三者面談でも同様、将来の夢を伝えましょう。(このときも、おそらく将来の夢をあるていど聞かれると思います。)
音楽教員の考えたアドバイスが当たるかどうかは知りません。最終的に決断するのは、生徒の家庭です。
{{コラム|高校を中退すると進路指導が受けられずに就職活動をする羽目に|
もし高校を中退すると、ただでさえ就職で経歴にキズがついて損なうえに、その上、さらに、生徒の学力をよく知った教師からの進路指導を受けることができなくなり、とても不利です<ref>小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.199</ref>。
メディア学の格言で、「人がイヌをかんだらニュースになるが、イヌが人をかんでもニュースにならない」というのがあります。つまり、例外的な話題のほうがニュースになりやすく、なのでニュースは現実的な統計とは離れていることもあるのです。一部のスポーツ選手とかが高校を中退していてもプロに就職できて成功していますが、ああいうのは例外です。統計を見ましょう。
あと、ニュースばかりを見て社会勉強をしたつもりになるのは馬鹿げているので辞めましょう。普通の学生なら、きちんと学校の教科書や参考書などを読んで勉強しましょう。スポーツ天才児とかでもないのに教科書や参考書を読まないのは、人がイヌをかむニュースばかりを聞いて「イヌは人をかまないものだ」とか勘違いしている馬鹿と同レベルです。残念なことに大人のなかにも、それに近い発想の馬鹿がたくさんいます。
高校では、よほどの難関の進学校でないかぎりは、高校卒業直後に就職をする場合でも(あるいは専門学校への進学をする場合でも)、高校在学中に体育館などに就職志望組や専門学校進学組などの生徒だけをあつめて(※ 大学受験組は集めない)、実社会で働いている職業人や卒業生などからの講演を聞いたりできます<ref>小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.202</ref>。(カッコ内の専門学校組どうこうとかの部分はwiki側で追記。出典の文献には該当情報は無し。)
このように、高校では講演により、普通のメディアには出ない信頼性の高い就職情報も集められます。これも、もし大人になってから同等のサービスを受けようとすると、かなりのカネと時間が掛かります。(なお大学だと、理系の大学だと授業が忙しすぎたりして、そういう校内に招いた職業人の公演を聞きに行く時間が取れなかったりします。たぶん何もお偉いさんやら理系の大学教授さんが考えてないか、実態が良く分かってないのだと思います。なのに日本政府はなんでこんな理系を重視するのか、理解に苦しみます。)
他にも、高校教師からの進路指導はとても貴重です。
普通科の高校ですら、いろんな専門家がいるのです。国語、英語、数学、物理、化学、生物、家庭科、日本史、世界史、地理、政治経済、倫理(※科目の内容は哲学史)、体育、情報、美術、音楽、書道、家庭科(※中身は家政学)、などで教員免許をもったレベルの専門家が多くいるのです。担任以外からも、そういった間接的な進路指導を受けられないのは不利です。
だから、どうしても健康上などの理由で休学などをせざるを得ない場合とかでも、最終的には一般人は高校を卒業をするのが良いでしょう。
高校とは、単に学力の肩書だけでなく、小中学校よりも専門性の高い教育者から進路指導を受けられるという利点があるのです。
例外として、就職先の決まったスポーツの天才選手とかでない限り、高校は卒業しましょう。
}}
=== 偏差値の分類と志望校ぎめ ===
なお、公立高校は基本的に1校しか選ぶことができません<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39</ref>。
志望校ぎめでの偏差値ごとの受験校の分類として、
:チャレンジ校(偏差値が自分より少し上)、
:実力相応校(偏差値が自分と同じくらい)、
:安全校(偏差値が自分より下)、
という3分類があります。」
すべり止めのため、第1志望校のほか、安全校のなかで行っても良いと思える高校もあらかじめ調べて決めておくと良いでしょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39</ref>。
第一志望校には、特に事情がないかぎりは、実力相応校またはチャレンジ校のなかで、行きたい高校を選びましょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39</ref>。
ただし、たとえば「偏差値は低いけどスポーツの強豪校」みたいに、学力以外の部分で心ひかれている高校があれば、それを第1志望校にするのも良いでしょう<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39</ref>。
おそらく三者面談などでも、(「偏差値」の名前は公立中学では出さないでしょうが、)そう指導されるでしょう。
ただし、学校の教員は、模試などの偏差値は知りませんし、歴史的な事情で模試の情報を公立学校では排除しますので(1990年代の業者テスト追放運動)、あまり担任のアドバイスだけを真に受けてはいけません。
私立志望の一般入試の場合、あくまで参考基準は、定期テストではなく模試の偏差値<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P41</ref>。
です。
=== 通学時間 ===
高校の勉強では、中学と比べ者にならない多くの課題が出ます<ref>みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P50</ref>。このため、大学進学などを考える場合、学習時間が多く必要になります。
もし、通学時間が長すぎる立地の高校だと、勉強時間が減ってしまいます。
なので、よほどの名門私大の付属校などでないかぎり、家から常識的な通学時間で通える高校を志望するのが安全です。
なお、国立大付属高校には、内部進学はありません。家から遠い国立大付属高校に進学してしまうと、そのぶん受験勉強の時間を通学で圧迫してしまいますので、注意してください。
;学生寮は私立でも無いのが高校では普通
なお、学生寮(がくせい りょう)があるのは、ごく一部の高校に限られます。学生寮が無いと思われる私立高校として、日東駒専(日大・東洋・駒沢・専修)やマーチ(明治・青学・立教・中央・法政)や成成明学(成城・成蹊・明治学院)の付属高校あたりだと、学生寮は基本、ありません。
なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。
* [http://zenryokyo.com/test/page-40/ 全国私立寮制学校協議会『寮のある学校』 ] ※ 全部は紹介しておらず、加盟校しか紹介していない。よって、実際には」リンク先で紹介してないが寮のある私立中高もある
* [https://president.jp/articles/-/23468?page=1 矢野耕平 著『あの"聖心"の女子寮が貫く"秘密のルール"』2017/10/31 9:00] ※ リンク先のこのページで、いくつかの、寮ある私学を紹介
リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません<ref> [https://president.jp/articles/-/23468?page=1 矢野耕平 著『あの"聖心"の女子寮が貫く"秘密のルール"』2017/10/31 9:00] ※ リンク先のこのページで、いくつかの、寮ある私学を紹介</ref>。
いっぽう、量のある私立高校として、駒沢大付属の'''北海道'''の高校には学生寮がありますが、しかし定員があり、全校生徒数よりも大幅に少ない定員です<ref>[https://www.komazawa-uth.ed.jp/schoollife/dormitory/ 駒澤大学附属苫小牧高等学校『寮(敬愛寮、大心寮、龍生寮)』 ]2024年03月31日に確認.</ref>。あくまで北海道の付属の話です。
700名以上いる生徒に対して、寮の定員は150名ていどだったりします。
なので、あくまで、基本的には、なるべく近くの高校に通うのが前提です。
しかも上記は北海道の話です。
首都圏に住んでいる人は、学生寮はアテにしないほうが良いでしょう。
ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく学生向けの一般の近隣マンションばかりです。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。
マンガだと、よく学問モノのマンガでは寮生活がありますが、実際には学生寮のある私立の中学高校は少ないのです。マンガの寮生活は、単にストーリー上の都合に過ぎません。
国立大付属の中学高校で学生寮は、聞いたことがなく、無いと思われます<ref>[https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1234363.html 教えてgoo 『国公立の、寮のある高校』質問日時:2005/02/23 19:46 ]</ref>。
== 私立の建学時の教育理念は、現代語とは意味がちがう ==
私立学校の建学時の創設者による教育理念は、たいていの場合、単にその創設当時の初代の理事長である創設者の教育理念に過ぎません。
また、時代の変化によって、理念にあった言葉の意味合いは、現代語の意味合いとは少し違っています。
たとえば、第二次世界大戦(WW2)後の学制改革で昭和なかばに創設された高校の場合などは、「自主自律」とか理念で言っても、それは戦前の軍国主義的な教育に対する「自主自律」というような意味合いもあるので、その私学の校則とか厳しい場合もありますし、科目の選択肢はそんなに多くないかもしれません。
実際には、どの高校(一条校)も指導要領にしたがいますので、学校である以上は教師の管理にしたがって授業を受ける事になります。
ほか、成蹊(せいけい)大学の付属高校のwebサイトの教育理念のページにて『勤労の実践』という建学の理念を見たのですが<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/schoolguide/kengaku.html 『建学の精神・教育目標|学校紹介|成蹊中学・高等学校』] 2024年03月31日に確認.</ref>、しかし実際の成蹊大付属高校のカリキュラムは何か工業高校や農業高校のような職業教育をするようにはなっていないし、成蹊高校は普通科高校のカリキュラムです<ref>pdf [https://www.seikei.ac.jp/jsh/upload/h_cal2022.pdf 『高校カリキュラム表 - h_cal2022.pdf』 ] 2024年02月17日に確認. </ref>。おそらく、今でいう(高校「政治経済」みたいな科目の)「実学重視」とか中学校の技術家庭科とか(中学での職業体験の)「体験学習」くらいの意味合いだと思います。大正時代には、まだ「体験学習」みたいな言葉が無かったか、いまほど実習・実験の設備が整っていなかったのだろうと思います。
教育学では、成蹊学園などの大正時代の創設の少し前のころ、ヨーロッパで「労作」教育という、座学ばかりでなく、畑を耕したり、楽器を演奏したりとかいった(今と違って大正の当時は家電の音楽機器なんてないので、今よりもやや実学だった)、体験学習のようなものが模索されました。おそらく、こういうのの話です。
:なお、さきほど楽器がどうこう言いましたが、成蹊高校はべつに音楽とか美術とかを重視するカリキュラムではなく、世間の公立高校の選択芸術科目と同様に、高校1年で音楽とか美術とかがあるだけです。
ほか、「個性」の尊重をうたう私立高校もそこそこ多いですが、しかし少なくともカリキュラムを見ても、たとえば「私はミュージシャンになりたい!」的な人に対応するような音楽IIとか音楽IIIとか用意してない高校も多数です。
なので、ともかく、決してパンフレットなどにある理念を鵜呑みにするのではなく、その学校のカリキュラムや、生徒たちの普段の行動や進路などを観察しましょう。
なので、できれば近隣にある高校に進学するほうが、生徒の実態が分かるので、得(とく)です。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
;高校受験ノウハウ本
* みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、
* ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、
;教育学書
* 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、
=== 脚注 === | 2023-12-23T05:18:50Z | 2024-03-31T04:03:17Z | [
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E5%BF%97%E6%9C%9B%E6%A0%A1%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6 |
38,879 | 高校受験ガイド/高校のカリキュラム | 単に受験に受かることだけでなく、どの高校、どの学科に進学するべきかも、きちんと考えなくてはなりません。なぜかというと、高校は学校ごと、学科ごとに教育内容の差が大きいのです。
高校の転校は法的には可能ですが、中学よりも手続きが難しく、希望の高校に移れる保証も無いので、高校入学前に学校選びは慎重に考えてください。
高校は義務教育ではありません。しかも、近年では規制緩和という傾向があります。よって、高校の科目でも学校ごとに差が大きいのです。
工業高校・商業高校などは、高卒で就職する場合に、進路志望に応じて選ぶのが良いでしょう。高卒で就職する場合、普通科卒よりも、工業高校卒・商業高校卒の方が多くの企業では有利です。
高卒後に、理系大学または国公立大学への進学を志望する場合は、普通科または理数科を目指すのが良いでしょう。
私立大の文系に志望が限定して至る場合は、普通科または、そのような文系進学に対応した学科を目指すのが良いでしょう。
なお、法律上の問題で工業高校や農業高校など、その分野の学科を卒業しないといくつかの国家資格の取得が困難、または資格取得がやや難しくなる業界が、いくつかあります。
良く、工業系のいくつかの肉体労働の現場作業系の国家資格で「高校で理科系卒業後、○年以上の実務経験」とかの資格要件があり、その実務経験を満たすと国家試験を受験しなくても資格を認定してもらえる資格も一部にはありますが、ここでいう「理科系」とは、決して普通科高校の理系大学進学コースのことではなく、工業高校など職業高校での該当する学科(例えば機械科や電機科などの学科)のことですので、勘違いしないようにしましょう。
一応、それらの学校を出なくても筆記試験で受験すれば合格できます。しかし電気主任技術者試験2種など、資格によっては大分試験が難しくなる場合があります。
普通科高校でも、高校では、文系コース/理系コース、といったコース分けをしている学校も多くあります。
なお、高校にも寄りますが、いちいち 音大志望コース/美大志望コース/体育大志望コース 、とかは無いのが普通ですので、その場合は文系コースなどで代用することになるでしょうか。音楽学科のある高校なら音大志望コースとかあるかもしれませんが、そもそも普通科ではないので、説明は省略します。
高校にも寄りますが、高校2年になる前に文系コースか理系コースかを決めなければならない高校もあります。そうでない学校でも、遅くとも、高校3年になるまでには、文系コースか理系コースかを決めなければなりません。
なお、別に文系コースでも理系コースでも、大学受験の資格は変わりません。つまり、文系コースからでも理系の学部学科の大学を受験できて高得点を取れば合格するし、理系コースからでも文系の学部学科の大学を受験できて高得点なら合格になります。
ですが、推薦などの際、推薦条件の科目の履修に、高校側でのコース選択が影響する可能性があります。
たとえば「地理探求で成績が5段階中で4以上のこと」という条件があったとして、理系コースの場合だと『地理探求』科目が時間割の制限で履修できない(なお地理探求は必履修科目ではない)、と言ったような場合も起こりえます。
詳しくは高校生活ガイドで説明します。
ほか、大学付属の高校を受験する際は、高校在学時のコース選択(文系コースか理系コースか)によって、併設大学の推薦をもらえる学科が、限られる場合もあります。
たとえば文系コースを履修していないと併設大学の文系学科に推薦をもらえない、同様に理系コースを履修してないと併設大学の理系学科に推薦をもらえない、などです。
もし、どうしても文系コースの人が高校3年の物理基礎を勉強したい場合、授業とは別に、家での独学になります。
ただし、部活動などの時間が減ってしまうので、あまり推奨しません。
塾については、特に現役向けの塾の場合、あまりコース外の教育には積極的ではなく、コース外の受講を禁止している場合もあります。
高校卒業後や大学卒業後などに、高校在学時のコース外の科目もコツコツと勉強すれば、それで十分でしょう。
さいわい、履修外になりやすい科目は、独学のしやすい科目です。
たとえば、文系コースで履修外になりやすい「物理基礎」または「地学基礎」は、高校卒業後のあとからでも独学しやすい科目です。ただし独学だと実験はできませんので、どうしても知りたい場合、動画サイトの教育動画や、あるいは市販の資料集の付属DVDなどで、実験動画を見ることになります。
同様、理系コースの履修外になりやすい「世界史探求」や「日本史探求」といった歴史系の高校3年科目も、いわゆる「暗記科目」、よく言えば「知識科目」であるので、独学のしやすい科目です。
現在、コース分けのきつい高校が多く、そのため、文系志望の学生が高校3年の数学IIIや専門「化学」や専門「生物」などを履修するのは、ほぼ無理になっています。(2001年ごろは文系コースでも数学IIIを履修できる高校もあった。)
教育評論の書籍『分数のできない大学生』シリーズにも書いてある事例ですが、文系志望でもあえて文理のハイブリッド型の科目履修をしてセンター試験の総合点をあげたりするという受験テクニックも2001年くらいにはあったのですが(法学部志望なのに受験科目の選択科目では物理受験するという例がシリーズ書籍にありました)、しかし2020年代の現代はそういう履修方法はさまざまな事情で難しくなっています。
文理ハイブリッド型のコースは2010年以降、ほとんどの進学高校では存在しなくなっています。(昭和では、高校2年の終わりまで文理ハイブリッド型のコースの高校も多く、その場合は高校3年で文理のコースが分かれていた。)
同様、理系コースの高校生も、社会科では高校3年の「世界史探求」と「日本史探求」などは履修できないのが普通です(高校3年の社会科は理系コースでは「地理探究」と「政治経済」しか履修できない場合も多い)。
中学校は義務教育なので、履修科目は日本全国で、総合学習系の科目以外は、教わる教科は統一です。
しかし高校は、普通科の公立高校ですら、学校ごとに差が大きいです。
また、時間割(「カリキュラム」ともいう)をネットでは公表してない高校も、公立高校でも私立高校でも多くあります。説明会などでしか確認しようのない高校も多くありますので、それぞれの志望校の説明会で確認してください。
なお、高校でその科目を履修していなくても大学受験できます。たとえば「情報II」を履修していなくても、大学の情報系の学科を受験でき、得点が高ければ合格できて進学できます。
そもそも中堅以上の私大の情報科学科の入試科目には、「情報I」も「情報II」もありません。いわゆるマーチ(明治、青学、中央、法政)の情報工学科の入試科目に、情報科目は無い状態です(「物理」や「化学」などを選ぶ)。
進学校で履修してない科目は、履修しても受験で利点が無いので、あまり心配する必要はありません。ですが、説明するなら、下記のようになります。
たとえば「芸術」教科では、指導要領では普通科の芸術科目には「音楽」・「美術」・「書道」・「工芸」の4科目があるのですが、しかし高校によってはこのうち3科目の「音楽」・「美術」・「書道」しか開講していない高校も多くあります(「工芸」科目の無い高校も多い)。
かなり多くの公立高校のカリキュラム表を見ても、「芸術」教科には「音楽」・「美術」・「書道」の3つしかありません。おそらく、読者の保護者の多くも、「工芸」科目はその科目の存在自体を知らないと思います。
さらに私立の場合、「書道」の履修できない高校や(「音楽」「美術」の2科目のみ)、美術の履修できない高校もあります(「音楽」「書道」の2科目のみ)。
特に、高校芸術の「書道」科目は、公立と私立とで、かなり開講の比率の差が大きい科目です。(私立高校には、「書道」科目の無い学校も多い。)
なので、高校で「書道」または「美術」を習いたい人は、きちんと受験前にカリキュラム表を確認しましょう。
けっこうな数の首都圏の私立高校で、カリキュラム表を見ると、当たり前のように「音楽」「美術」の2科目しか芸術教科には項目が無い高校が多くあります。なので私立高校の生徒や卒業生には、そもそも「書道」が高校の芸術科目として存在する可能性すら知らない場合もあります。
「音楽・書道・美術の3科目が高校芸術の定番」という "常識" は、公立高校でしか通用しない "常識" です。私立高校の常識では「音楽・美術の2科目が定番」です。
なお、「美術」が無い高校について、「美術」だと居残りで作品を作ったりすることもあるので、進学校では勉強時間がとらるという側面もあるでしょう。
一方、「音楽」と「書道」だと、居残りすることが基本的には少ないです。
また、美術で作品づくりをしなくても、学校によっては「総合的な探究の時間」やホームルームなどで作品づくりをできます。
たとえば、文化祭の出し物とかを作らせてもいいわけです。むしろ文化祭の出し物づくりアピールのほうがチームワークもアピールできるし、いいことづくめです。
国としては芸術はどのジャンルも平等ですが、個々の私立高校を見ると芸術科目を決して平等とは見ておらず、「正直、書道は高校の授業には相応しくない」とか「正直、美術は高校の授業には相応しくない」とかの本音が見え隠れしています。
たとえば「音楽」だとチームワークを合唱や合奏などで授業で教育として教えられますが、しかし「美術」も「書道」も現状の教育ではそうなっておらず、特に「美術」は個人主義的なカリキュラムです。もしアニメや映画などの作品を作れれば美術は別かもしれませんが、そこまでの時間も予算も多くの高校にはありません。金持ちの私学ですら、映画製作なんて無理です。
また、「音楽」だと、高校レベルだと進学校では外国の歌を外国語で歌う授業もあったりするので(公立でも私立でも)、英語(第一外国語)に加えてフランス語やドイツ語など第二外国語の練習も出来ますし実際にフランス語などの歌の練習をさせる進学校もあるので、私立高校カリキュラムでの「音楽」授業の人気が高い時間割も合点がいきそうです。
なお、動画編集ソフトの使い方の教育は、今ではもう中学校の「技術・家庭」科の技術分野で習う中学もあれば、「情報I」の実習のひとつとして習う高校もあり、もはや「美術」を通さずに動画編集の教育が可能になっています。
私立高校の教員らの「(うちの高校では)フランス語やドイツ語の授業を2単位で作るほどではないが、しかしうちの生徒にはエリート高校生としてフランス語やドイツ語なども教えたいから、音楽の授業を通して教えよう。小学校でも音楽を通して国語教育をしているし・・・」という、そういう私立高校の本音および教育テクニックが見えます。
書道では知識は基本的には教わらないし、美術では美術史はもう中学卒業までで完了してます。たとえば高校美術では、美術史や色の科学(「彩度」とか「色相」とか)などについて、高校では特に新しいことは教えません。
なにか高校芸術で知識を教わるのが、今はもう「音楽」だけなのです。
たとえば、高校野球の甲子園で、埼玉県の強豪校の一つといわれる私立の城西大付属川越高校の芸術科目を見ると、1年の芸術の必履修科目は「音楽」しかありません。もはや選択の余地なしです。(なお、3年生で選択科目として美術を選べる仕組みになっている。)
城西大川越は甲子園での野球ファンの人気校の一つですので、つまり日本の高校野球ファンたちは、私学の音楽必履修を容認していることになります。もしかしたら私学を批判的に「文武別道」とか言う野球ファンもいるかもしれませんが、しかしその理由は決して芸術科目のカリキュラムではなく、大体はよく私学で受験特化の「特進コース」と部活特化の「一般コース」があったりとかそういうのを理由に「文武別道」とか批判するのが、よくある野球ファンの言い分です。
つまり、これが世間の人たちの高校の芸術教育に対する本音です。私立高校で美術や書道が入学当初の1~2年に履修できなくても、野球ファンやスポーツファンにとっては一向に構わない程度の重みなのです。
高校芸術の科目は、1年次の入学前後に履修志望の科目を聞かれますが、必ずしも志望した科目を受講できるとは限りません。たとえば「音楽」科目の志望でも、新入生の「音楽」科目の志望者が殺到した場合は定員オーバーになって、「美術」や「書道」などの履修を強制される場合もあります。
なお、「書道」は不人気の科目です。多くの高校で、新入生は「音楽」か「美術」を志望します。
カリキュラム表に「音楽I」「美術I」があるからと言って、必ずしも受講できるとは限らないことに注意してください。
確実にその科目を練習したいなら、単位にはなりませんが、部活動などで練習するのが確実でしょう。もっとも部活にも定員はありますが。
なので、確実に練習したいなら、自宅でも練習するしかありません。
そもそも教員免許では、小中学校で教える「書写」は(「芸術」教科ではなく)「国語」教科の免許です。しかし高校の書道は、芸術科目の「書道」の免許であり、別科目の免許ですつまり、高校「書道」は、決して中学「書写」の発展ではなく、まったく別体系の別科目です。
一方、「美術」や「音楽」は、それぞれ短大卒でも取得できる2種免許と大卒以上の1種免許と言う違いはあるものの、基本的には中学と高校とで科目としては同じ免許です。
要するに、教員側の立場で、中学校でも教えている教員免許の発展した免許で教育しようとすると、芸術科目では「音楽」「美術」の2科目しか選択肢が無い、という事です。
要するに、多くの私立高校で、「高校芸術の書道(「書写」にあらず)は工芸科目と同じような、高校教育独自のマニアック科目」みたいに教職員などから思われているわけです。
なので、もし私立高校が中学教育からの発展性を高校生に教育しようとすると、必然的に「書道」・「工芸」は高校カリキュラムからは外すことになります。
高校「書道」は、その名に反して、あまり中学「書写」からの接続性がありません。
高校「書道」の根本問題として、美術の中でも小中学校の授業レベルなら書道のような美しい字のジャンルを扱えてしまいます。(「レタリング」と言って、ポスターなどの題字のデザインの仕事が美術家にもある。)教育大でも、国公立の教育大では、美術・書道専攻が一体化されて併設されている場合もチラホラあります。
なお、「工芸」についても、じつは美術の中で一部は出来てしまいます。木工や七宝焼き(しっぽうやき)くらいなら、「美術」でも可能です。高校「美術」の中には立体造形の分野もあるので、その中で「工芸」的な分野も少々は扱えてしまうのです。
なので結局、「美術があれば十分だよね」という考えでしょうか、私立では「うちの高校では、芸術科目は音楽・美術の2科目だけ」という高校も多いのです。
「音大」・「美大」は存在しますが、しかし「書道大」と言うのは無いのです。たとえば東京芸術大学には書道の専攻は無い。
「書道は日本の伝統」とか言われても、国公立大学には茶道学部も華道学部も和菓子学部も茶菓子学部も無ければ、剣道学部も柔道学部も無いのに、書道学部だけ特別視しろというのも、おかしな話です。
教育大には書道専攻のコースもありますが、国立の教育大はだいぶ難関です。つまり、それだけ需要が少ないという意味です。
世間では評論家によっては批判で、選択芸術科目で「書道」が存在しない私立高校を批判するかもしれませんが、しかしすでに「書道」が存在しない私立高校がもう別の業績で好意的にテレビなどで称賛されています。たとえ大学付属高校で、慶応大学と明治大学や立教大学や法政大学などの付属高校には、書道が存在していません。慶応・明治・立教・法政の付属以外にも、千葉埼玉あたりの周辺地域の私立高校などでも書道の無い私立高校はいくつも存在しています。(早稲田大と中央大の付属には「書道」がある。青学の付属には「書道」に加えて「工芸」もある。)
そもそも、いくつかの私大付属高校では「書道室」という教室そのものが存在していません。webサイトを見ても、明治大や法政大の付属校には、音楽室や美術室はあっても書道室が見つかりません。(立教の付属高校にはある。慶応の付属は和室を書道部の部室に流用。)明治の付属校の部活紹介で「美術部」や「音楽部」はあっても「書道部」は無い状態です。法政の付属校の部活紹介を見ても、「茶道部」や「華道部」はあっても「書道部」が無い状態です。
書道室も無ければ、書道に流用できそうな和室もない(首都圏などの狭い)高校の場合、仮に部活動で書道部があっても活動場所が校外の可能性もあるので、高校で書道をしたい人は事前に確認しましょう。首都圏は過密で土地不足なので校舎が狭いのです。首都圏の私立には、決してなんでもかんでも施設があるわけではありません。
書道が存在しない高校で都心・首都圏にある私立高校で、その高校出身の漫画家やイラストレーターなどがいてすでに活躍していて、ツイッターSNS住民とか漫画オタク・アニメオタクみたいな人たちにも評判のいい私立高校だったりする高校が、首都圏でいくつか既に存在します。
地方在住の偏差値なかば50前後の公立高校出身のSNS住民やアニメオタクとかの大人の多くはきっと千葉埼玉あたりの私立高校に親近感を抱いているのかもしれませんが、しかし私学のカリキュラムは一般的な公立高校とは違っています。やはり、マンガやアニメなどから社会を学ぶのは、やめたほうが良いでしょう。
書道は不人気科目であるので、書道を開講している高校では「美術や音楽を本当は履修したかったのに、書道に回された・・・」という不本意で「書道」科目を履修する生徒が発生しがちなのですが、しかし最初から「書道」の科目自体が無い高校の場合、不本意な選択「書道」の履修の可能性が原理的に無くなります。資金力があるのに「書道」を開講しない私立高校は、そういった優しさでしょう。
まあ、「音楽の志望だけど美術に回された」という不本意の発生する可能性もありますが、さすがに西洋音楽が好きなのに西洋美術をそこまで嫌いな生徒は少ないでしょうか。
なお、高校の部活動での「書道部」の内容は、中学卒業までの国語の授業の「書写」とはだいぶ違う活動内容の高校も、公立・私立ともあります。たとえば草書で書くとか、大きい紙(両手を広げた幅よりも大きい紙)に書くとか、非実用性が高かったりする書道も多くあります。ペン習字みたいな実用的な「普通の紙の大きさに、上手な字を書く」みたいなのとは、だいぶ違います。
ほか、芸術科目が何年生まであるかも、高校ごとに違います。
例として「音楽」科目を例に述べると(「美術」などでも同様)、たとえば1年生で「音楽I」、2~3年生で「音楽II」、3年生で「音楽III」のように芸術科目は音楽も美術・書道・工芸のどれも3段階あるのですが、しかし高校によっては「音楽I」まで、あるいは「音楽II」まで、というような制限のある高校も多くあります。
ほか、「音楽I」を2年間かけて行う高校もあります。音楽Iは2単位なのですが、1年間あたり1単位ずつ音楽の授業をするのを2年の終わりまで続けて2単位、というわけです。当然、この場合、「音楽III」は履修できません。
公立高校などで、「音楽I」「美術I」「書道I」が3単位、というのもあります。1年生で「音楽I」を2単位、2年生で「音楽I」を1単位、という仕組みです。おそらく、進学特化の受験有利なカリキュラムに設計しすぎると教育委員会などから是正命令が入り、芸術など入試に不利な科目も少し増やしてバランスを維持するように行政命令されるのでしょう。そういった行政上の都合も公立高校のカリキュラムでは関わってきます。
この事情のためか、偏差値が高めの公立進学校でも、芸術科目が他校より少し多めという公立高校もチラホラあります。
まあ、芸術科目が少なくても部活などで「美術部」「合唱部」などで経験を補うことはできますが、しかし「工芸」はその部活が無い高校が普通なので(工芸の設備そのものが無い高校が多い)、知っておきましょう。もっとも、その部活自体、3年生は夏で引退するので、音大・美大などの進学を考えている人以外は、あまり音楽IIIや美術IIIは関係ないのかもしれませんが。
ただし、部活と違って芸術の授業では、校外の展示会などに出展をしたりはしないので、もし展示会の出典などの経験を積みたいなら、部活を中心に経験を積むことになるでしょう。(たとえば選択「音楽II」などでも、決して老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートとかは行きません。)
なお、よく高校のカリキュラム表では、「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」をまとめて、教科名として「芸術I」と書かれています。あくまで実際には「芸術I」という教科名・科目名は指導要領には存在しませんし、検定教科書も存在しません。教科名は「芸術」の2文字だけです。
また、「芸術I」と書かれていても、履修できるのは「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸I」はありません。
同様、「芸術II」と書かれていても、履修できるのは「音楽II」「美術II」「書道II」「工芸II」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸II」はありません。
指導要領では、必履修の「情報I」 と 選択科目の「情報II」 の2つがあります。
しかし「情報II」が履修できるかどうかは、高校によります。
理系大学への進学者も多い進学校などでも、「情報II」の無い高校もあります。
そもそも3年生になってから「情報I」を履修させる高校すら、あります。この場合、当然ですが情報IIは履修できません。
なお、「情報」教科は、かつては「情報と社会」「情報の科学」の2つに分かれていて、学校によってはどちらか片方しか履修できない場合が多かったですが(学校側が履修科目を決めていた)、しかし2022年以降は必履修の「情報I」と選択科目の「情報II」に変わったので、それは関係なくなりました。
中堅私大(明治meiji・青学aogaku・中央chuoh・法政hoseiなど、いわゆるマーチmarch )以上の偏差値の理工学部の情報科学科(または情報工学科)の入試科目を見ると、「情報I」も「情報II」もありません。なお、立教大学および学習院大学には工学系の学部は無く(理学部はある)、したがって情報工学科もありません。マーチに学習院大学のGをつけて「GMARCH(ジーマ-チ)」と言う場合もあります。
「英語・数学・理科(「物理」または「化学」のどちらか一方)」の合計3科目、または理科に生物を含む「英語・数学・理科(「物理」または「化学」または「生物」のどれか一つ)」が一般的です。
なお、数学は「数学III」までです。数学A~Cが数学Cを含むか数学Bまでかは大学ごとに異なるので、それぞれの大学の募集要項などを確認してください。
この3科目「英語・数学、理科(物理または化学)」は、情報科が普通科高校に導入される前からの90年代には既にあった伝統的な入試科目のスタイルです。
なお、東京理科大(私立)に至っては、情報工学科の入試科目の理科は「物理」のみです(英語・数学・物理)。「化学」も「生物」も理科大では情報工学科の入試科目としては認めていません。
入試科目を4科目以上に増やすというような機運は、マーチでも理科大でも四工大(芝浦工大や工学院など)でも、特にみられません。
「地学」選択は、情報系の学部には入試が不利になってしまいます。
この入試科目の理由はおそらく、理工学部のほかの入試科目が3科目なのに合わせている(最近はバイオテクノロジー系の学科もあるので「生物」も理工学部の入試科目に含まれる)ものと思われます。もし、物理学科とか生物学科とか機械工学科とかすべて入試科目が3科目なのに、もし情報系だけ4科目にしてしまうと、大学側のスケジュール管理がとても難しくなってしまいます。入試科目には、このような学校法人側の営業の都合も含まれます。
新共通テスト(かつての「センター試験」の後継)に「情報I」が追加された機運に反して、じつは多くの私立大学の理系学部では大学個別の入試科目には「情報」系科目は含まれていません。
早慶については入試スタイルがやや特殊なので、説明を省略します。
四工大(芝浦工大・工学院・東京都市大学・東京電機大)については、おおむね、マーチ同様の傾向で3科目が理科で「物理または化学」です。
工学院と東京都市大は情報系の学部があるのに、情報学部の入試科目の3科目目は「情報」ではなく「理科」です(つまり、英語・数学・理科(物理または化学)の3科目)。
今後、年度によって各大学の入試科目の変更の可能性もあるので、必ずしも今後は上記の通りとは限りませんが、しかし少なくとも2023年の時点では、傾向として上記の通りです。
正直、IT企業の仕事では物理学・化学の知識の活用は減っていますが(たとえばツイッターあたりにいる日本の大手IT企業勤務(外資も含む)の有名プログラマーたちは、大して高校レベルの化学とか物理とか知りません)、しかし入試科目は依然(いぜん)として物理・化学を含んでいます。
一応、製造業の組み込みソフトとかを作る組み込み系とかでは物理とかの知識を使う可能性はあるので、そういう進路の可能性も若干はあります。
なお、団塊ジュニア世代の文系学部(法学部や経済学など)出身のプログラマーが高校化学に詳しくてファンデルワールス力(りょく)とかアルカン・アルケンとか色々と知ってるのは、単にセンター試験時代の多くの高校で必修だった化学Iの範囲に入ってたから高校で文系コースでも化学を多めに習ってて知ってるだけであり、べつに高校3年の選択化学を履修するような猛者だったわけではありません。
あと、「情報II」を開講しない高校が多い理由は、コンピュータ室の敷地面積の問題や、教師の増員の問題もあるでしょう。特に中高一貫校では、コンピュータ室がもう中学の授業および高校「情報I」の授業で使用済みで授業コマがほとんど埋まっていたりして、これ以上の情報科目の授業を増やすのが難しい、という可能性があります。
もともと旧カリキュラム(~2021年以前)では1学年ぶん「情報と社会」または「情報の科学」の片方だけを履修すれば良かったのと比べて、2022年以降の新カリキュラムでは、もし必修「情報I」に加えて「情報II」を開講するとコンピュータ室を利用する授業のコマ数が単純計算で2倍になってしまい、コンピュータ室のコマ数オーバーになってしまい実現不可能になってしまう可能性もあります。
コンピュータ室のコマ数オーバー問題は校舎を増築しないと解決困難な問題なので、たとえ年月が十数年と経っても「情報II」を開講する高校が増えづらい可能性もありえます。
あるいは、「情報II」を座学を中心の授業にすれば開講も可能でしょうが、しかし座学なら高校卒業後でも自宅で可能だし、「なので、いちいち情報IIを開講するほどの必要もないだろう」と見送っている私学もあるでしょう。
また公立高校の場合、もし「情報II」を3年生の選択科目として開講すると、雇用しなければならない情報科教員の数も増えます。果たして財政難の日本で可能かどうか、とても先行きは暗いです。
私学の場合、いちいちコンピュータ室で情報科目を実習しなくとも、各教室にLAN完備とか、wi-fiスポットを校内に増設しまくるとか、そういう手段も使えますので(ただし学費がやや高くなるが)、受験に出ない「情報II」に投資して授業時間を2単位ぶん受験に不利にするよりもLAN増設など設備に投資すべきだという経営判断も働くかもしれません。
なお、情報IIを開講せずにLAN増設に投資する場合、教員の雇用を増やさなくて済むので、ランニング・コスト(維持費用)が掛かり続けるのも減らせますので合理的です。
理科には、「生物」・「物理」・「化学」・「地学」の4分野と、横断的な基礎科目の「科学と人間生活」の5つがありますが、しかし多くの進学校では「科学と人間生活」はありません。
進学校の理系コースでは、ふつう、「生物」・「物理」・「化学」の3つの分野を重点的に学びます(「地学」分野が含まれていない)。
さらに1年~2年生は基礎科目として、「生物基礎」・「物理基礎」・「化学基礎」と言う科目3つを2年の終わりまでに習うのが普通です。
「地学基礎」は、3年になってから文系コースなどでしか学べない場合も多くあります。あるいは、そもそも「地学基礎」すら履修できない高校も多くあります。
私立学校の進学校などで地学の履修できない高校は多いですが、実は公立高校でも地学の履修できない高校は多くあります。東京都内の都立高校でも、たとえば都立の新宿高校や小金井北高校や杉並高校や八王子北高校などには、「地学基礎」も「地学」もありません。
公立の普通科高校だからといって、必ずしも地学が履修できるとは限らないので、誤解しないようにしましょう。
また、基礎科目でないほうの3年生用「地学」は、履修出来ない高校が多くあります。
2010年以降は、文理のコース分け(文系コースと理系コース)を行っている高校では、進学校でも、文系コースでは「物理基礎」を履修できない高校も少なからずあります。(その場合、文系コースは「地学基礎」を履修することになる。)
1990年代は文系コースでも物理I(いまの「物理基礎」に相当)を履修していた進学校も多かったのですが(代わりに当時は地学基礎が履修できなかった)、今は違います。
大学付属校などを受験する際、高校での所属コースによって推薦してもらえる学科が異なる場合があります。たとえば、高校で文系コースを履修してないと併設大学の文系学科には推薦をもらえない、同様、理系コースを履修していないと併設大学の理系学科には推薦をもらえない、などです。
理系コースでは令和では、高校3年では理科は1科目しか選べないのが普通です。専門「生物」、専門「物理」、専門「化学」を選びます。
かつては理系コースの高3の理科では2科目を選ぶパターンが主流でしたが、しかし現代では1科目のパターンに変わったので、保護者からアドバイスをもらうときは注意してください。
この変化の理由は、多くの高校で、古典科目を高校3年で習うように変化したためです。(2001年ごろは理系コースでは高校3年の古典を習わない場合が普通でした。)
正直、大学受験のことだけを考えるなら、文系生徒にも「地学基礎」でなく「物理基礎」を履修させる高校に進学するほうが得です。実際、そういう私立高校の進学校もよくあります。
しかし、実際には、進学校でも「物理基礎」ではなく「地学基礎」を文系生徒に履修させる高校もそこそこあります。
子ども視点では分からないでしょうが、これは教育産業上の理由があり、じつはその地域の地学教育者の雇用を絶やさないようにするため、という文化の維持および雇用の維持という理由もあります。地域によっては近隣に大学のない地域も多く、そう言った地域では、高校で地学の科目が無いと、中学卒業以降の地学教育者の雇用が地域から無くなってしまい、文化が途絶えてしまうのです。
よって、地域の地学教育を絶やさないようにするために、入試に不利なのを知りつつ、文系生徒に教育させます。
高校の社会科の「公民」分野の科目には、必履修の「公共」と、選択科目の「政治経済」と「倫理」があります。
このうち、「倫理」を開講していない高校も多くあります。
なお、「政治経済」の内容が、中学の公民で習った政治や経済の話題の発展的な内容です。いっぽう「倫理」の内容は、哲学史です(倫理学ではありません)。
大学入試新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)には現代、「公共・政治経済」と「公共・倫理」というのがあります。
なお、中学生に分かりやすく「社会科」と言いましたが、正しくは指導要領では高校では「地理歴史・公民」という言い方に代わります。
「国語表現」という作文の多い科目を学ばない高校も多くあります。
しかし、「論理国語」で作文などは代用できるので、心配ありません。
進学校でも「文学国語」という2年生むけの科目を履修しない高校も多くあります。しかし「古典探究」という3年生むけの別科目で、より発展的な内容を学びますので、あまり心配ありません。
古典っぽい科目は、1年向けの必履修「言語の文化」、2年向けの選択「文学国語」、3年向けの選択「古典探究」の3つがあるのですが、このうち「言語の文化」はカットされる高校も多くあります。
高校2年生は、現代文っぽい「論理国語」のほうを学ぶ高校もよくあります。
なお、「現代文探求」(← 無)という科目は存在しません。なので、「論理国語」が、事実上の現代文の最高科目です。だからか進学校は、高校2年で「論理国語」、高校3年で「古典探究」というカリキュラムになるのです。
2022年以前の旧課程でも、さらに前の2010年や2000年のころから、高校2年生では現代文重視という高校も多かったので、それと同様のことを2020年代でも続けているだけなので、「文学国語」がカットされても、あまり心配ありません。
進学校では、理系コースでも高校3年で「古典探究」を習うことがよくあります。
また、このため、高校3年の理科を2科目以上ならうことは、理系コースでも不可能になっている場合もあります。
旧・センター試験に相当する新共通試験では国公立大には理系学部でも古文漢文が必須科目であり、高校2年までの教育では古文漢文が不足なので、理系コースでも「古典探究」を習うのが普通になっています。
なお、2001年ごろは、理系コースの高校3年生は「生物II」「化学II」の2科目(今でいう専門「生物」、専門「化学」に相当)、または「物理II」「化学II」の2科目を習うパターンがよくあったのですが、しかし2010年以降は1科目だけのパターンに変わっています。
なお、古典「探究」とありますが、決して『総合的な探究の時間』のように自由研究をしたりとか多くのレポートを課したりはしないので、勘違いしないようにしてください。
家庭科も、じつは科目のばらつきが高校ごとに大きいのですが、あまり関係ありません。
2単位の「家庭基礎」だけの高校もあれば、
4単位の「家庭総合」の高校もあれば、
滅多にないですが進学校でも「家庭基礎」に加えて選択科目「フードデザイン」または「保育基礎」とかのいずれか高校もあります。(実教出版と教育図書の2社がフードデザインなどを出している)
ほとんどの高校は、「家庭基礎」または「家庭総合」のどちらかです。家庭科を扱っている多くの教科書会社は、「家庭基礎」または「家庭総合」の2科目しか出版していません。
進学校の場合、受験に出ない家庭科の授業時間数を減らしたいこともあってか、「家庭基礎」だけの場合もよくあります。
選択科目は「フードデザイン」や「保育基礎」の2科目のほかにも、さらに実教出版の出している「ファッション造形基礎」とか「生活産業基礎」とか「生活産業情報」の選択科目もありますが、どれも普通科高校では滅多に聞きません。
なお、「生活産業情報」は、コンピュータリテラシー系の科目なので、「情報I」を習っていれば、特に問題ありません。これは、商業高校など実業高校の人のための家庭科科目であったりするので、普通科には関係ないでしょう。
普通科高校だと、マイクロソフト Office の使い方などを練習する時間があまり取れないので、別途、そういった実用ソフトの使い方を練習する科目があるのです。
保健体育は、科目自体は共通です。
どこの高校も、「保健」と「体育」(スポーツの実技)の2科目です。
中学であった「技術科」(技術家庭の技術分野)は、高校の普通科では、ありません。
部分的に、中学で習ったコンピュータ関係の内容は、「情報I」に発展していきます。
なお、文化祭などのクラスの出し物で木工をするクラスも、どこの高校でも良くあります。ふつう、文化祭は毎年あるので、高校の3年間では3回、文化祭の出し物をつくることになるでしょう。
余談ですが、大学の文化祭では、木工などの出し物はないのが普通です。大学はクラスではなく「学科」で分かれますが、大学文化祭には、学科の出し物というのはありません。大学の文化祭は、一部の部活・同好会(文化部のみ)などの作品や自主研究レポートなどのパフォーマンスの場所です。ほか、大学に「体育祭」や「運動会」は無いのが普通です。
なので、クラス単位で文化祭の出し物をするのは、高校が人生で最後になるのが普通です。
まず、「数学I」("すうがくイチ" と読む)・「数学A」("すうがくエー")・「数学II」(すうがくに)・「数学B」・「数学III」(すうがくさん)・「数学C」という6科目が存在します。
基本的には、
の編成です。
まとめて、「数学I・A」、「数学II・B」、「数学III・C」と呼んだりします。
ほとんどの高校で、「数学III」・「数学C」を履修できるのは、理系コースの高校3年生だけです。
さて、指導要領上の科目では(「数学A」ではなく)「数学探究α(アルファ)」とか「数学探究β(ベータ)」という科目は、指導要領では存在しません。よく、いくつかの高校で、高校3年のカリキュラム表に「数学探究α」とかの科目があります。
高校によって異なるので一概には言えないのですが、「数学探究○○」でよくある内容は、「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」です。
科目名の付け方に、特に法律的な決まりはないので、高校ごとに名付け方が違いますので、あくまで一例です。たとえば、文系向けセンター試験対策が、ある高校では「数学探究α」なのに別の高校では「数学探究β」だったりする事もあります。
また、参考書売り場などで「数学探究β」とかを探しても、そういう題名の参考書も検定教科書も存在していませんので、売っていません。
さて、つまり、高校では普通、2年生の終わりまでには、数学II・Bの教科書は終わりません。
おそらく、もし「数学α」だと、指導要領にある「数学A」とまぎらわしいので、探究をつけて「数学探究α」と名付けているのでしょう。
決して、『総合的な探究の時間』のような調べ学習とかレポート作成とかをたくさんするわけではないので、誤解しないように。
高校の文理コース分けで「国立文系コース」と言うのは、単にこの高校3年での「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」があるだけだったりします。べつに、特に高度な数学とかを教えているわけではありません。
つまり、1990年代は、高校3年でセンター数学II・B対策すら教えてなかった高校も多いわけです。(高校2年で数学が終わりの高校も、昔は私立高校ではチラホラあったのです。) 2001年以降、私大文系の人気が下がったので、現代のように高校3年でも数学の授業があるカリキュラムが普及して現在(2023年に本文を記述)に至るだけです。
高校カリキュラムは、基本的には入試対策に有利な科目が設置されますが、いくつか例外があります。
公立高校だと、普通科高校でも偏差値高めの高校では、入試に不利な科目も取れてしまいます。具体的には、「地学基礎」「地学」、「音楽II」「美術II」「書道II」のような芸術II以降、家庭科の「フードデザイン」みたいな科目、などです。
ただし、公立高校だからといって、必ずしも「地学基礎」「地学」が取れるとは限らず、実際に「地学基礎」の取れない公立高校もあります。おそらく、進学実績先の偏差値が低めの高校は、地元の教育委員会などから指導が入るのでしょうか、進学に不利な科目は取れない高校になる傾向が見られます。
なお、「情報II」については、公立でも私立でも、まだ多くの高校で開講されていません。優れた指導例が蓄積されるまで、「情報II」は様子見でしょうか。一部の公立高校で、特にスーパーサイエンスハイスク-ルなどでもないのに「情報II」の開講が見られます。おそらく実験台でしょう。
なんとなく世間では「私立は民営なので革新的であり実験台。公立は保守的」みたいなイメージが見られますが(ここでの「革新」「保守」とは決して右翼左翼の意味ではなく、新しい物好きかどうかの意味で「革新(新しい物好き)」「保守(新しいものに用心している)」を使っている)、しかし実際には私立高校は受験でのブランド大学への進学実績を目指すので保守的なカリキュラムである事も多いです。
そのため、一部の公立高校が実験台になって、「情報II」などの授業の実験台になっています(国や都道府県からの命令でしょう)。
ほか、ごく一部の進学校で、文化上の理由で、入試に不利な科目のカリキュラムがあります。ほかの理由としては、たとえば私大(文系)の付属高校などで、学園全体での教科の知識水準の確保のためか、入試に不利な科目を置いていると見られる場合もあります。
たとえば「地学」科目は入試に不利なのですが、そのため多くの私立高校では地学の科目は無くなってきています。しかし地方などでは地域の地学教師の雇用を絶やしてはいけないので(日本は地震国なので地学教師の雇用が絶える地方はヤバイので)、一部の高校では、あえて地学の科目があります。
「べつに高校で地学をしなくても、大学で地学を学べばいいじゃないか」と疑問を思うかもしれませんが、しかし首都圏と違って地方では大学が近隣に無い地域が多いことも忘れないでください。
「家庭科」や「芸術」などの教科も同様です。家庭科は「家庭基礎」の2単位だけで高校卒業させられるのですが、しかし進学校でも「家庭基礎」でなく「家庭総合」を履修させているところもありますし、あるいは「家庭基礎」+「フードデザイン」などのパターン。
「芸術」教科でも、私立の進学校なのに芸術II(「音楽II」「美術II」のこと)や芸術IIIまで存在する高校もあります(指導要領上の卒業要件としては「音楽I」「美術I」の片方だけで良い)。私大で芸術学部を持たない大学でも、代わりに付属高校に「音楽III」「美術III」など芸術系のかなり高学年の科目が存在していたりして、そこで学園が芸術系の研究者・兼・高校教師の人材を自前で確保しているとみられます。もし学園が自前で芸術家を何人か教師などとして安定雇用で確保しておかないと、他大の美大・音大あたりの無責任な研究者の言説にダマされかねませんので。
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"text": "高校の転校は法的には可能ですが、中学よりも手続きが難しく、希望の高校に移れる保証も無いので、高校入学前に学校選びは慎重に考えてください。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "高校は義務教育ではありません。しかも、近年では規制緩和という傾向があります。よって、高校の科目でも学校ごとに差が大きいのです。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "工業高校・商業高校などは、高卒で就職する場合に、進路志望に応じて選ぶのが良いでしょう。高卒で就職する場合、普通科卒よりも、工業高校卒・商業高校卒の方が多くの企業では有利です。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "高卒後に、理系大学または国公立大学への進学を志望する場合は、普通科または理数科を目指すのが良いでしょう。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "私立大の文系に志望が限定して至る場合は、普通科または、そのような文系進学に対応した学科を目指すのが良いでしょう。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "なお、法律上の問題で工業高校や農業高校など、その分野の学科を卒業しないといくつかの国家資格の取得が困難、または資格取得がやや難しくなる業界が、いくつかあります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "良く、工業系のいくつかの肉体労働の現場作業系の国家資格で「高校で理科系卒業後、○年以上の実務経験」とかの資格要件があり、その実務経験を満たすと国家試験を受験しなくても資格を認定してもらえる資格も一部にはありますが、ここでいう「理科系」とは、決して普通科高校の理系大学進学コースのことではなく、工業高校など職業高校での該当する学科(例えば機械科や電機科などの学科)のことですので、勘違いしないようにしましょう。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "一応、それらの学校を出なくても筆記試験で受験すれば合格できます。しかし電気主任技術者試験2種など、資格によっては大分試験が難しくなる場合があります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "普通科高校でも、高校では、文系コース/理系コース、といったコース分けをしている学校も多くあります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "なお、高校にも寄りますが、いちいち 音大志望コース/美大志望コース/体育大志望コース 、とかは無いのが普通ですので、その場合は文系コースなどで代用することになるでしょうか。音楽学科のある高校なら音大志望コースとかあるかもしれませんが、そもそも普通科ではないので、説明は省略します。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "高校にも寄りますが、高校2年になる前に文系コースか理系コースかを決めなければならない高校もあります。そうでない学校でも、遅くとも、高校3年になるまでには、文系コースか理系コースかを決めなければなりません。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "なお、別に文系コースでも理系コースでも、大学受験の資格は変わりません。つまり、文系コースからでも理系の学部学科の大学を受験できて高得点を取れば合格するし、理系コースからでも文系の学部学科の大学を受験できて高得点なら合格になります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "ですが、推薦などの際、推薦条件の科目の履修に、高校側でのコース選択が影響する可能性があります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "たとえば「地理探求で成績が5段階中で4以上のこと」という条件があったとして、理系コースの場合だと『地理探求』科目が時間割の制限で履修できない(なお地理探求は必履修科目ではない)、と言ったような場合も起こりえます。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "詳しくは高校生活ガイドで説明します。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "ほか、大学付属の高校を受験する際は、高校在学時のコース選択(文系コースか理系コースか)によって、併設大学の推薦をもらえる学科が、限られる場合もあります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "たとえば文系コースを履修していないと併設大学の文系学科に推薦をもらえない、同様に理系コースを履修してないと併設大学の理系学科に推薦をもらえない、などです。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "もし、どうしても文系コースの人が高校3年の物理基礎を勉強したい場合、授業とは別に、家での独学になります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "ただし、部活動などの時間が減ってしまうので、あまり推奨しません。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "塾については、特に現役向けの塾の場合、あまりコース外の教育には積極的ではなく、コース外の受講を禁止している場合もあります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "高校卒業後や大学卒業後などに、高校在学時のコース外の科目もコツコツと勉強すれば、それで十分でしょう。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "さいわい、履修外になりやすい科目は、独学のしやすい科目です。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "たとえば、文系コースで履修外になりやすい「物理基礎」または「地学基礎」は、高校卒業後のあとからでも独学しやすい科目です。ただし独学だと実験はできませんので、どうしても知りたい場合、動画サイトの教育動画や、あるいは市販の資料集の付属DVDなどで、実験動画を見ることになります。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "同様、理系コースの履修外になりやすい「世界史探求」や「日本史探求」といった歴史系の高校3年科目も、いわゆる「暗記科目」、よく言えば「知識科目」であるので、独学のしやすい科目です。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "現在、コース分けのきつい高校が多く、そのため、文系志望の学生が高校3年の数学IIIや専門「化学」や専門「生物」などを履修するのは、ほぼ無理になっています。(2001年ごろは文系コースでも数学IIIを履修できる高校もあった。)",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "教育評論の書籍『分数のできない大学生』シリーズにも書いてある事例ですが、文系志望でもあえて文理のハイブリッド型の科目履修をしてセンター試験の総合点をあげたりするという受験テクニックも2001年くらいにはあったのですが(法学部志望なのに受験科目の選択科目では物理受験するという例がシリーズ書籍にありました)、しかし2020年代の現代はそういう履修方法はさまざまな事情で難しくなっています。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "文理ハイブリッド型のコースは2010年以降、ほとんどの進学高校では存在しなくなっています。(昭和では、高校2年の終わりまで文理ハイブリッド型のコースの高校も多く、その場合は高校3年で文理のコースが分かれていた。)",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "同様、理系コースの高校生も、社会科では高校3年の「世界史探求」と「日本史探求」などは履修できないのが普通です(高校3年の社会科は理系コースでは「地理探究」と「政治経済」しか履修できない場合も多い)。",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校は学校ごとの教育内容の差が大きい"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "中学校は義務教育なので、履修科目は日本全国で、総合学習系の科目以外は、教わる教科は統一です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "しかし高校は、普通科の公立高校ですら、学校ごとに差が大きいです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "また、時間割(「カリキュラム」ともいう)をネットでは公表してない高校も、公立高校でも私立高校でも多くあります。説明会などでしか確認しようのない高校も多くありますので、それぞれの志望校の説明会で確認してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "なお、高校でその科目を履修していなくても大学受験できます。たとえば「情報II」を履修していなくても、大学の情報系の学科を受験でき、得点が高ければ合格できて進学できます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "そもそも中堅以上の私大の情報科学科の入試科目には、「情報I」も「情報II」もありません。いわゆるマーチ(明治、青学、中央、法政)の情報工学科の入試科目に、情報科目は無い状態です(「物理」や「化学」などを選ぶ)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "進学校で履修してない科目は、履修しても受験で利点が無いので、あまり心配する必要はありません。ですが、説明するなら、下記のようになります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "たとえば「芸術」教科では、指導要領では普通科の芸術科目には「音楽」・「美術」・「書道」・「工芸」の4科目があるのですが、しかし高校によってはこのうち3科目の「音楽」・「美術」・「書道」しか開講していない高校も多くあります(「工芸」科目の無い高校も多い)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "かなり多くの公立高校のカリキュラム表を見ても、「芸術」教科には「音楽」・「美術」・「書道」の3つしかありません。おそらく、読者の保護者の多くも、「工芸」科目はその科目の存在自体を知らないと思います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "さらに私立の場合、「書道」の履修できない高校や(「音楽」「美術」の2科目のみ)、美術の履修できない高校もあります(「音楽」「書道」の2科目のみ)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "特に、高校芸術の「書道」科目は、公立と私立とで、かなり開講の比率の差が大きい科目です。(私立高校には、「書道」科目の無い学校も多い。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "なので、高校で「書道」または「美術」を習いたい人は、きちんと受験前にカリキュラム表を確認しましょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "けっこうな数の首都圏の私立高校で、カリキュラム表を見ると、当たり前のように「音楽」「美術」の2科目しか芸術教科には項目が無い高校が多くあります。なので私立高校の生徒や卒業生には、そもそも「書道」が高校の芸術科目として存在する可能性すら知らない場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "「音楽・書道・美術の3科目が高校芸術の定番」という \"常識\" は、公立高校でしか通用しない \"常識\" です。私立高校の常識では「音楽・美術の2科目が定番」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "なお、「美術」が無い高校について、「美術」だと居残りで作品を作ったりすることもあるので、進学校では勉強時間がとらるという側面もあるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "一方、「音楽」と「書道」だと、居残りすることが基本的には少ないです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "また、美術で作品づくりをしなくても、学校によっては「総合的な探究の時間」やホームルームなどで作品づくりをできます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "たとえば、文化祭の出し物とかを作らせてもいいわけです。むしろ文化祭の出し物づくりアピールのほうがチームワークもアピールできるし、いいことづくめです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "国としては芸術はどのジャンルも平等ですが、個々の私立高校を見ると芸術科目を決して平等とは見ておらず、「正直、書道は高校の授業には相応しくない」とか「正直、美術は高校の授業には相応しくない」とかの本音が見え隠れしています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "たとえば「音楽」だとチームワークを合唱や合奏などで授業で教育として教えられますが、しかし「美術」も「書道」も現状の教育ではそうなっておらず、特に「美術」は個人主義的なカリキュラムです。もしアニメや映画などの作品を作れれば美術は別かもしれませんが、そこまでの時間も予算も多くの高校にはありません。金持ちの私学ですら、映画製作なんて無理です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "また、「音楽」だと、高校レベルだと進学校では外国の歌を外国語で歌う授業もあったりするので(公立でも私立でも)、英語(第一外国語)に加えてフランス語やドイツ語など第二外国語の練習も出来ますし実際にフランス語などの歌の練習をさせる進学校もあるので、私立高校カリキュラムでの「音楽」授業の人気が高い時間割も合点がいきそうです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "なお、動画編集ソフトの使い方の教育は、今ではもう中学校の「技術・家庭」科の技術分野で習う中学もあれば、「情報I」の実習のひとつとして習う高校もあり、もはや「美術」を通さずに動画編集の教育が可能になっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "私立高校の教員らの「(うちの高校では)フランス語やドイツ語の授業を2単位で作るほどではないが、しかしうちの生徒にはエリート高校生としてフランス語やドイツ語なども教えたいから、音楽の授業を通して教えよう。小学校でも音楽を通して国語教育をしているし・・・」という、そういう私立高校の本音および教育テクニックが見えます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "書道では知識は基本的には教わらないし、美術では美術史はもう中学卒業までで完了してます。たとえば高校美術では、美術史や色の科学(「彩度」とか「色相」とか)などについて、高校では特に新しいことは教えません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "なにか高校芸術で知識を教わるのが、今はもう「音楽」だけなのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "たとえば、高校野球の甲子園で、埼玉県の強豪校の一つといわれる私立の城西大付属川越高校の芸術科目を見ると、1年の芸術の必履修科目は「音楽」しかありません。もはや選択の余地なしです。(なお、3年生で選択科目として美術を選べる仕組みになっている。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "城西大川越は甲子園での野球ファンの人気校の一つですので、つまり日本の高校野球ファンたちは、私学の音楽必履修を容認していることになります。もしかしたら私学を批判的に「文武別道」とか言う野球ファンもいるかもしれませんが、しかしその理由は決して芸術科目のカリキュラムではなく、大体はよく私学で受験特化の「特進コース」と部活特化の「一般コース」があったりとかそういうのを理由に「文武別道」とか批判するのが、よくある野球ファンの言い分です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "つまり、これが世間の人たちの高校の芸術教育に対する本音です。私立高校で美術や書道が入学当初の1~2年に履修できなくても、野球ファンやスポーツファンにとっては一向に構わない程度の重みなのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "高校芸術の科目は、1年次の入学前後に履修志望の科目を聞かれますが、必ずしも志望した科目を受講できるとは限りません。たとえば「音楽」科目の志望でも、新入生の「音楽」科目の志望者が殺到した場合は定員オーバーになって、「美術」や「書道」などの履修を強制される場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "なお、「書道」は不人気の科目です。多くの高校で、新入生は「音楽」か「美術」を志望します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "カリキュラム表に「音楽I」「美術I」があるからと言って、必ずしも受講できるとは限らないことに注意してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "確実にその科目を練習したいなら、単位にはなりませんが、部活動などで練習するのが確実でしょう。もっとも部活にも定員はありますが。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "なので、確実に練習したいなら、自宅でも練習するしかありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "そもそも教員免許では、小中学校で教える「書写」は(「芸術」教科ではなく)「国語」教科の免許です。しかし高校の書道は、芸術科目の「書道」の免許であり、別科目の免許ですつまり、高校「書道」は、決して中学「書写」の発展ではなく、まったく別体系の別科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "一方、「美術」や「音楽」は、それぞれ短大卒でも取得できる2種免許と大卒以上の1種免許と言う違いはあるものの、基本的には中学と高校とで科目としては同じ免許です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "要するに、教員側の立場で、中学校でも教えている教員免許の発展した免許で教育しようとすると、芸術科目では「音楽」「美術」の2科目しか選択肢が無い、という事です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "要するに、多くの私立高校で、「高校芸術の書道(「書写」にあらず)は工芸科目と同じような、高校教育独自のマニアック科目」みたいに教職員などから思われているわけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "なので、もし私立高校が中学教育からの発展性を高校生に教育しようとすると、必然的に「書道」・「工芸」は高校カリキュラムからは外すことになります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "高校「書道」は、その名に反して、あまり中学「書写」からの接続性がありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "高校「書道」の根本問題として、美術の中でも小中学校の授業レベルなら書道のような美しい字のジャンルを扱えてしまいます。(「レタリング」と言って、ポスターなどの題字のデザインの仕事が美術家にもある。)教育大でも、国公立の教育大では、美術・書道専攻が一体化されて併設されている場合もチラホラあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "なお、「工芸」についても、じつは美術の中で一部は出来てしまいます。木工や七宝焼き(しっぽうやき)くらいなら、「美術」でも可能です。高校「美術」の中には立体造形の分野もあるので、その中で「工芸」的な分野も少々は扱えてしまうのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "なので結局、「美術があれば十分だよね」という考えでしょうか、私立では「うちの高校では、芸術科目は音楽・美術の2科目だけ」という高校も多いのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "「音大」・「美大」は存在しますが、しかし「書道大」と言うのは無いのです。たとえば東京芸術大学には書道の専攻は無い。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "「書道は日本の伝統」とか言われても、国公立大学には茶道学部も華道学部も和菓子学部も茶菓子学部も無ければ、剣道学部も柔道学部も無いのに、書道学部だけ特別視しろというのも、おかしな話です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "教育大には書道専攻のコースもありますが、国立の教育大はだいぶ難関です。つまり、それだけ需要が少ないという意味です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "世間では評論家によっては批判で、選択芸術科目で「書道」が存在しない私立高校を批判するかもしれませんが、しかしすでに「書道」が存在しない私立高校がもう別の業績で好意的にテレビなどで称賛されています。たとえ大学付属高校で、慶応大学と明治大学や立教大学や法政大学などの付属高校には、書道が存在していません。慶応・明治・立教・法政の付属以外にも、千葉埼玉あたりの周辺地域の私立高校などでも書道の無い私立高校はいくつも存在しています。(早稲田大と中央大の付属には「書道」がある。青学の付属には「書道」に加えて「工芸」もある。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "そもそも、いくつかの私大付属高校では「書道室」という教室そのものが存在していません。webサイトを見ても、明治大や法政大の付属校には、音楽室や美術室はあっても書道室が見つかりません。(立教の付属高校にはある。慶応の付属は和室を書道部の部室に流用。)明治の付属校の部活紹介で「美術部」や「音楽部」はあっても「書道部」は無い状態です。法政の付属校の部活紹介を見ても、「茶道部」や「華道部」はあっても「書道部」が無い状態です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "書道室も無ければ、書道に流用できそうな和室もない(首都圏などの狭い)高校の場合、仮に部活動で書道部があっても活動場所が校外の可能性もあるので、高校で書道をしたい人は事前に確認しましょう。首都圏は過密で土地不足なので校舎が狭いのです。首都圏の私立には、決してなんでもかんでも施設があるわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "書道が存在しない高校で都心・首都圏にある私立高校で、その高校出身の漫画家やイラストレーターなどがいてすでに活躍していて、ツイッターSNS住民とか漫画オタク・アニメオタクみたいな人たちにも評判のいい私立高校だったりする高校が、首都圏でいくつか既に存在します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "地方在住の偏差値なかば50前後の公立高校出身のSNS住民やアニメオタクとかの大人の多くはきっと千葉埼玉あたりの私立高校に親近感を抱いているのかもしれませんが、しかし私学のカリキュラムは一般的な公立高校とは違っています。やはり、マンガやアニメなどから社会を学ぶのは、やめたほうが良いでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "書道は不人気科目であるので、書道を開講している高校では「美術や音楽を本当は履修したかったのに、書道に回された・・・」という不本意で「書道」科目を履修する生徒が発生しがちなのですが、しかし最初から「書道」の科目自体が無い高校の場合、不本意な選択「書道」の履修の可能性が原理的に無くなります。資金力があるのに「書道」を開講しない私立高校は、そういった優しさでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "まあ、「音楽の志望だけど美術に回された」という不本意の発生する可能性もありますが、さすがに西洋音楽が好きなのに西洋美術をそこまで嫌いな生徒は少ないでしょうか。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "なお、高校の部活動での「書道部」の内容は、中学卒業までの国語の授業の「書写」とはだいぶ違う活動内容の高校も、公立・私立ともあります。たとえば草書で書くとか、大きい紙(両手を広げた幅よりも大きい紙)に書くとか、非実用性が高かったりする書道も多くあります。ペン習字みたいな実用的な「普通の紙の大きさに、上手な字を書く」みたいなのとは、だいぶ違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "ほか、芸術科目が何年生まであるかも、高校ごとに違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "例として「音楽」科目を例に述べると(「美術」などでも同様)、たとえば1年生で「音楽I」、2~3年生で「音楽II」、3年生で「音楽III」のように芸術科目は音楽も美術・書道・工芸のどれも3段階あるのですが、しかし高校によっては「音楽I」まで、あるいは「音楽II」まで、というような制限のある高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "ほか、「音楽I」を2年間かけて行う高校もあります。音楽Iは2単位なのですが、1年間あたり1単位ずつ音楽の授業をするのを2年の終わりまで続けて2単位、というわけです。当然、この場合、「音楽III」は履修できません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "公立高校などで、「音楽I」「美術I」「書道I」が3単位、というのもあります。1年生で「音楽I」を2単位、2年生で「音楽I」を1単位、という仕組みです。おそらく、進学特化の受験有利なカリキュラムに設計しすぎると教育委員会などから是正命令が入り、芸術など入試に不利な科目も少し増やしてバランスを維持するように行政命令されるのでしょう。そういった行政上の都合も公立高校のカリキュラムでは関わってきます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "この事情のためか、偏差値が高めの公立進学校でも、芸術科目が他校より少し多めという公立高校もチラホラあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "まあ、芸術科目が少なくても部活などで「美術部」「合唱部」などで経験を補うことはできますが、しかし「工芸」はその部活が無い高校が普通なので(工芸の設備そのものが無い高校が多い)、知っておきましょう。もっとも、その部活自体、3年生は夏で引退するので、音大・美大などの進学を考えている人以外は、あまり音楽IIIや美術IIIは関係ないのかもしれませんが。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "ただし、部活と違って芸術の授業では、校外の展示会などに出展をしたりはしないので、もし展示会の出典などの経験を積みたいなら、部活を中心に経験を積むことになるでしょう。(たとえば選択「音楽II」などでも、決して老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートとかは行きません。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "なお、よく高校のカリキュラム表では、「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」をまとめて、教科名として「芸術I」と書かれています。あくまで実際には「芸術I」という教科名・科目名は指導要領には存在しませんし、検定教科書も存在しません。教科名は「芸術」の2文字だけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "また、「芸術I」と書かれていても、履修できるのは「音楽I」「美術I」「書道I」「工芸I」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸I」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "同様、「芸術II」と書かれていても、履修できるのは「音楽II」「美術II」「書道II」「工芸II」の1つだけですし、ほとんどの高校では「工芸II」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "指導要領では、必履修の「情報I」 と 選択科目の「情報II」 の2つがあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "しかし「情報II」が履修できるかどうかは、高校によります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "理系大学への進学者も多い進学校などでも、「情報II」の無い高校もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "そもそも3年生になってから「情報I」を履修させる高校すら、あります。この場合、当然ですが情報IIは履修できません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "なお、「情報」教科は、かつては「情報と社会」「情報の科学」の2つに分かれていて、学校によってはどちらか片方しか履修できない場合が多かったですが(学校側が履修科目を決めていた)、しかし2022年以降は必履修の「情報I」と選択科目の「情報II」に変わったので、それは関係なくなりました。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "中堅私大(明治meiji・青学aogaku・中央chuoh・法政hoseiなど、いわゆるマーチmarch )以上の偏差値の理工学部の情報科学科(または情報工学科)の入試科目を見ると、「情報I」も「情報II」もありません。なお、立教大学および学習院大学には工学系の学部は無く(理学部はある)、したがって情報工学科もありません。マーチに学習院大学のGをつけて「GMARCH(ジーマ-チ)」と言う場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "「英語・数学・理科(「物理」または「化学」のどちらか一方)」の合計3科目、または理科に生物を含む「英語・数学・理科(「物理」または「化学」または「生物」のどれか一つ)」が一般的です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "なお、数学は「数学III」までです。数学A~Cが数学Cを含むか数学Bまでかは大学ごとに異なるので、それぞれの大学の募集要項などを確認してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "この3科目「英語・数学、理科(物理または化学)」は、情報科が普通科高校に導入される前からの90年代には既にあった伝統的な入試科目のスタイルです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "なお、東京理科大(私立)に至っては、情報工学科の入試科目の理科は「物理」のみです(英語・数学・物理)。「化学」も「生物」も理科大では情報工学科の入試科目としては認めていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "入試科目を4科目以上に増やすというような機運は、マーチでも理科大でも四工大(芝浦工大や工学院など)でも、特にみられません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "「地学」選択は、情報系の学部には入試が不利になってしまいます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "この入試科目の理由はおそらく、理工学部のほかの入試科目が3科目なのに合わせている(最近はバイオテクノロジー系の学科もあるので「生物」も理工学部の入試科目に含まれる)ものと思われます。もし、物理学科とか生物学科とか機械工学科とかすべて入試科目が3科目なのに、もし情報系だけ4科目にしてしまうと、大学側のスケジュール管理がとても難しくなってしまいます。入試科目には、このような学校法人側の営業の都合も含まれます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "新共通テスト(かつての「センター試験」の後継)に「情報I」が追加された機運に反して、じつは多くの私立大学の理系学部では大学個別の入試科目には「情報」系科目は含まれていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "早慶については入試スタイルがやや特殊なので、説明を省略します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "四工大(芝浦工大・工学院・東京都市大学・東京電機大)については、おおむね、マーチ同様の傾向で3科目が理科で「物理または化学」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "工学院と東京都市大は情報系の学部があるのに、情報学部の入試科目の3科目目は「情報」ではなく「理科」です(つまり、英語・数学・理科(物理または化学)の3科目)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "今後、年度によって各大学の入試科目の変更の可能性もあるので、必ずしも今後は上記の通りとは限りませんが、しかし少なくとも2023年の時点では、傾向として上記の通りです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "正直、IT企業の仕事では物理学・化学の知識の活用は減っていますが(たとえばツイッターあたりにいる日本の大手IT企業勤務(外資も含む)の有名プログラマーたちは、大して高校レベルの化学とか物理とか知りません)、しかし入試科目は依然(いぜん)として物理・化学を含んでいます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "一応、製造業の組み込みソフトとかを作る組み込み系とかでは物理とかの知識を使う可能性はあるので、そういう進路の可能性も若干はあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "なお、団塊ジュニア世代の文系学部(法学部や経済学など)出身のプログラマーが高校化学に詳しくてファンデルワールス力(りょく)とかアルカン・アルケンとか色々と知ってるのは、単にセンター試験時代の多くの高校で必修だった化学Iの範囲に入ってたから高校で文系コースでも化学を多めに習ってて知ってるだけであり、べつに高校3年の選択化学を履修するような猛者だったわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "あと、「情報II」を開講しない高校が多い理由は、コンピュータ室の敷地面積の問題や、教師の増員の問題もあるでしょう。特に中高一貫校では、コンピュータ室がもう中学の授業および高校「情報I」の授業で使用済みで授業コマがほとんど埋まっていたりして、これ以上の情報科目の授業を増やすのが難しい、という可能性があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "もともと旧カリキュラム(~2021年以前)では1学年ぶん「情報と社会」または「情報の科学」の片方だけを履修すれば良かったのと比べて、2022年以降の新カリキュラムでは、もし必修「情報I」に加えて「情報II」を開講するとコンピュータ室を利用する授業のコマ数が単純計算で2倍になってしまい、コンピュータ室のコマ数オーバーになってしまい実現不可能になってしまう可能性もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "コンピュータ室のコマ数オーバー問題は校舎を増築しないと解決困難な問題なので、たとえ年月が十数年と経っても「情報II」を開講する高校が増えづらい可能性もありえます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "あるいは、「情報II」を座学を中心の授業にすれば開講も可能でしょうが、しかし座学なら高校卒業後でも自宅で可能だし、「なので、いちいち情報IIを開講するほどの必要もないだろう」と見送っている私学もあるでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "また公立高校の場合、もし「情報II」を3年生の選択科目として開講すると、雇用しなければならない情報科教員の数も増えます。果たして財政難の日本で可能かどうか、とても先行きは暗いです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "私学の場合、いちいちコンピュータ室で情報科目を実習しなくとも、各教室にLAN完備とか、wi-fiスポットを校内に増設しまくるとか、そういう手段も使えますので(ただし学費がやや高くなるが)、受験に出ない「情報II」に投資して授業時間を2単位ぶん受験に不利にするよりもLAN増設など設備に投資すべきだという経営判断も働くかもしれません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "なお、情報IIを開講せずにLAN増設に投資する場合、教員の雇用を増やさなくて済むので、ランニング・コスト(維持費用)が掛かり続けるのも減らせますので合理的です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "理科には、「生物」・「物理」・「化学」・「地学」の4分野と、横断的な基礎科目の「科学と人間生活」の5つがありますが、しかし多くの進学校では「科学と人間生活」はありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "進学校の理系コースでは、ふつう、「生物」・「物理」・「化学」の3つの分野を重点的に学びます(「地学」分野が含まれていない)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "さらに1年~2年生は基礎科目として、「生物基礎」・「物理基礎」・「化学基礎」と言う科目3つを2年の終わりまでに習うのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "「地学基礎」は、3年になってから文系コースなどでしか学べない場合も多くあります。あるいは、そもそも「地学基礎」すら履修できない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "私立学校の進学校などで地学の履修できない高校は多いですが、実は公立高校でも地学の履修できない高校は多くあります。東京都内の都立高校でも、たとえば都立の新宿高校や小金井北高校や杉並高校や八王子北高校などには、「地学基礎」も「地学」もありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "公立の普通科高校だからといって、必ずしも地学が履修できるとは限らないので、誤解しないようにしましょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "また、基礎科目でないほうの3年生用「地学」は、履修出来ない高校が多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "2010年以降は、文理のコース分け(文系コースと理系コース)を行っている高校では、進学校でも、文系コースでは「物理基礎」を履修できない高校も少なからずあります。(その場合、文系コースは「地学基礎」を履修することになる。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "1990年代は文系コースでも物理I(いまの「物理基礎」に相当)を履修していた進学校も多かったのですが(代わりに当時は地学基礎が履修できなかった)、今は違います。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "大学付属校などを受験する際、高校での所属コースによって推薦してもらえる学科が異なる場合があります。たとえば、高校で文系コースを履修してないと併設大学の文系学科には推薦をもらえない、同様、理系コースを履修していないと併設大学の理系学科には推薦をもらえない、などです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "理系コースでは令和では、高校3年では理科は1科目しか選べないのが普通です。専門「生物」、専門「物理」、専門「化学」を選びます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "かつては理系コースの高3の理科では2科目を選ぶパターンが主流でしたが、しかし現代では1科目のパターンに変わったので、保護者からアドバイスをもらうときは注意してください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "この変化の理由は、多くの高校で、古典科目を高校3年で習うように変化したためです。(2001年ごろは理系コースでは高校3年の古典を習わない場合が普通でした。)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "正直、大学受験のことだけを考えるなら、文系生徒にも「地学基礎」でなく「物理基礎」を履修させる高校に進学するほうが得です。実際、そういう私立高校の進学校もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "しかし、実際には、進学校でも「物理基礎」ではなく「地学基礎」を文系生徒に履修させる高校もそこそこあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "子ども視点では分からないでしょうが、これは教育産業上の理由があり、じつはその地域の地学教育者の雇用を絶やさないようにするため、という文化の維持および雇用の維持という理由もあります。地域によっては近隣に大学のない地域も多く、そう言った地域では、高校で地学の科目が無いと、中学卒業以降の地学教育者の雇用が地域から無くなってしまい、文化が途絶えてしまうのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "よって、地域の地学教育を絶やさないようにするために、入試に不利なのを知りつつ、文系生徒に教育させます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "高校の社会科の「公民」分野の科目には、必履修の「公共」と、選択科目の「政治経済」と「倫理」があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "このうち、「倫理」を開講していない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "なお、「政治経済」の内容が、中学の公民で習った政治や経済の話題の発展的な内容です。いっぽう「倫理」の内容は、哲学史です(倫理学ではありません)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "大学入試新共通テスト(かつてのセンター試験に相当)には現代、「公共・政治経済」と「公共・倫理」というのがあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "なお、中学生に分かりやすく「社会科」と言いましたが、正しくは指導要領では高校では「地理歴史・公民」という言い方に代わります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "「国語表現」という作文の多い科目を学ばない高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "しかし、「論理国語」で作文などは代用できるので、心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "進学校でも「文学国語」という2年生むけの科目を履修しない高校も多くあります。しかし「古典探究」という3年生むけの別科目で、より発展的な内容を学びますので、あまり心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "古典っぽい科目は、1年向けの必履修「言語の文化」、2年向けの選択「文学国語」、3年向けの選択「古典探究」の3つがあるのですが、このうち「言語の文化」はカットされる高校も多くあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "高校2年生は、現代文っぽい「論理国語」のほうを学ぶ高校もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "なお、「現代文探求」(← 無)という科目は存在しません。なので、「論理国語」が、事実上の現代文の最高科目です。だからか進学校は、高校2年で「論理国語」、高校3年で「古典探究」というカリキュラムになるのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "2022年以前の旧課程でも、さらに前の2010年や2000年のころから、高校2年生では現代文重視という高校も多かったので、それと同様のことを2020年代でも続けているだけなので、「文学国語」がカットされても、あまり心配ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "進学校では、理系コースでも高校3年で「古典探究」を習うことがよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "また、このため、高校3年の理科を2科目以上ならうことは、理系コースでも不可能になっている場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "旧・センター試験に相当する新共通試験では国公立大には理系学部でも古文漢文が必須科目であり、高校2年までの教育では古文漢文が不足なので、理系コースでも「古典探究」を習うのが普通になっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "なお、2001年ごろは、理系コースの高校3年生は「生物II」「化学II」の2科目(今でいう専門「生物」、専門「化学」に相当)、または「物理II」「化学II」の2科目を習うパターンがよくあったのですが、しかし2010年以降は1科目だけのパターンに変わっています。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "なお、古典「探究」とありますが、決して『総合的な探究の時間』のように自由研究をしたりとか多くのレポートを課したりはしないので、勘違いしないようにしてください。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "家庭科も、じつは科目のばらつきが高校ごとに大きいのですが、あまり関係ありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "2単位の「家庭基礎」だけの高校もあれば、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "4単位の「家庭総合」の高校もあれば、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "滅多にないですが進学校でも「家庭基礎」に加えて選択科目「フードデザイン」または「保育基礎」とかのいずれか高校もあります。(実教出版と教育図書の2社がフードデザインなどを出している)",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "ほとんどの高校は、「家庭基礎」または「家庭総合」のどちらかです。家庭科を扱っている多くの教科書会社は、「家庭基礎」または「家庭総合」の2科目しか出版していません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 170,
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"text": "進学校の場合、受験に出ない家庭科の授業時間数を減らしたいこともあってか、「家庭基礎」だけの場合もよくあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 171,
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"text": "選択科目は「フードデザイン」や「保育基礎」の2科目のほかにも、さらに実教出版の出している「ファッション造形基礎」とか「生活産業基礎」とか「生活産業情報」の選択科目もありますが、どれも普通科高校では滅多に聞きません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 172,
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"text": "なお、「生活産業情報」は、コンピュータリテラシー系の科目なので、「情報I」を習っていれば、特に問題ありません。これは、商業高校など実業高校の人のための家庭科科目であったりするので、普通科には関係ないでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "普通科高校だと、マイクロソフト Office の使い方などを練習する時間があまり取れないので、別途、そういった実用ソフトの使い方を練習する科目があるのです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "保健体育は、科目自体は共通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "どこの高校も、「保健」と「体育」(スポーツの実技)の2科目です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
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"text": "中学であった「技術科」(技術家庭の技術分野)は、高校の普通科では、ありません。",
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},
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"text": "部分的に、中学で習ったコンピュータ関係の内容は、「情報I」に発展していきます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
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"text": "なお、文化祭などのクラスの出し物で木工をするクラスも、どこの高校でも良くあります。ふつう、文化祭は毎年あるので、高校の3年間では3回、文化祭の出し物をつくることになるでしょう。",
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},
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"text": "余談ですが、大学の文化祭では、木工などの出し物はないのが普通です。大学はクラスではなく「学科」で分かれますが、大学文化祭には、学科の出し物というのはありません。大学の文化祭は、一部の部活・同好会(文化部のみ)などの作品や自主研究レポートなどのパフォーマンスの場所です。ほか、大学に「体育祭」や「運動会」は無いのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
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"text": "なので、クラス単位で文化祭の出し物をするのは、高校が人生で最後になるのが普通です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "まず、「数学I」(\"すうがくイチ\" と読む)・「数学A」(\"すうがくエー\")・「数学II」(すうがくに)・「数学B」・「数学III」(すうがくさん)・「数学C」という6科目が存在します。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
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"text": "基本的には、",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "の編成です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "まとめて、「数学I・A」、「数学II・B」、「数学III・C」と呼んだりします。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
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"text": "ほとんどの高校で、「数学III」・「数学C」を履修できるのは、理系コースの高校3年生だけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "さて、指導要領上の科目では(「数学A」ではなく)「数学探究α(アルファ)」とか「数学探究β(ベータ)」という科目は、指導要領では存在しません。よく、いくつかの高校で、高校3年のカリキュラム表に「数学探究α」とかの科目があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "高校によって異なるので一概には言えないのですが、「数学探究○○」でよくある内容は、「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」です。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "科目名の付け方に、特に法律的な決まりはないので、高校ごとに名付け方が違いますので、あくまで一例です。たとえば、文系向けセンター試験対策が、ある高校では「数学探究α」なのに別の高校では「数学探究β」だったりする事もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "また、参考書売り場などで「数学探究β」とかを探しても、そういう題名の参考書も検定教科書も存在していませんので、売っていません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 192,
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"text": "さて、つまり、高校では普通、2年生の終わりまでには、数学II・Bの教科書は終わりません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "おそらく、もし「数学α」だと、指導要領にある「数学A」とまぎらわしいので、探究をつけて「数学探究α」と名付けているのでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "決して、『総合的な探究の時間』のような調べ学習とかレポート作成とかをたくさんするわけではないので、誤解しないように。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 195,
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"text": "高校の文理コース分けで「国立文系コース」と言うのは、単にこの高校3年での「文理のコースに合わせた未習分野」+「センター試験対策」があるだけだったりします。べつに、特に高度な数学とかを教えているわけではありません。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 196,
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"text": "つまり、1990年代は、高校3年でセンター数学II・B対策すら教えてなかった高校も多いわけです。(高校2年で数学が終わりの高校も、昔は私立高校ではチラホラあったのです。) 2001年以降、私大文系の人気が下がったので、現代のように高校3年でも数学の授業があるカリキュラムが普及して現在(2023年に本文を記述)に至るだけです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 197,
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"text": "高校カリキュラムは、基本的には入試対策に有利な科目が設置されますが、いくつか例外があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 198,
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"text": "公立高校だと、普通科高校でも偏差値高めの高校では、入試に不利な科目も取れてしまいます。具体的には、「地学基礎」「地学」、「音楽II」「美術II」「書道II」のような芸術II以降、家庭科の「フードデザイン」みたいな科目、などです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "ただし、公立高校だからといって、必ずしも「地学基礎」「地学」が取れるとは限らず、実際に「地学基礎」の取れない公立高校もあります。おそらく、進学実績先の偏差値が低めの高校は、地元の教育委員会などから指導が入るのでしょうか、進学に不利な科目は取れない高校になる傾向が見られます。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 200,
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"text": "なお、「情報II」については、公立でも私立でも、まだ多くの高校で開講されていません。優れた指導例が蓄積されるまで、「情報II」は様子見でしょうか。一部の公立高校で、特にスーパーサイエンスハイスク-ルなどでもないのに「情報II」の開講が見られます。おそらく実験台でしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 201,
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"text": "なんとなく世間では「私立は民営なので革新的であり実験台。公立は保守的」みたいなイメージが見られますが(ここでの「革新」「保守」とは決して右翼左翼の意味ではなく、新しい物好きかどうかの意味で「革新(新しい物好き)」「保守(新しいものに用心している)」を使っている)、しかし実際には私立高校は受験でのブランド大学への進学実績を目指すので保守的なカリキュラムである事も多いです。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 202,
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"text": "そのため、一部の公立高校が実験台になって、「情報II」などの授業の実験台になっています(国や都道府県からの命令でしょう)。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "ほか、ごく一部の進学校で、文化上の理由で、入試に不利な科目のカリキュラムがあります。ほかの理由としては、たとえば私大(文系)の付属高校などで、学園全体での教科の知識水準の確保のためか、入試に不利な科目を置いていると見られる場合もあります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 204,
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"text": "たとえば「地学」科目は入試に不利なのですが、そのため多くの私立高校では地学の科目は無くなってきています。しかし地方などでは地域の地学教師の雇用を絶やしてはいけないので(日本は地震国なので地学教師の雇用が絶える地方はヤバイので)、一部の高校では、あえて地学の科目があります。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 205,
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"text": "「べつに高校で地学をしなくても、大学で地学を学べばいいじゃないか」と疑問を思うかもしれませんが、しかし首都圏と違って地方では大学が近隣に無い地域が多いことも忘れないでください。",
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},
{
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"text": "「家庭科」や「芸術」などの教科も同様です。家庭科は「家庭基礎」の2単位だけで高校卒業させられるのですが、しかし進学校でも「家庭基礎」でなく「家庭総合」を履修させているところもありますし、あるいは「家庭基礎」+「フードデザイン」などのパターン。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
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"text": "「芸術」教科でも、私立の進学校なのに芸術II(「音楽II」「美術II」のこと)や芸術IIIまで存在する高校もあります(指導要領上の卒業要件としては「音楽I」「美術I」の片方だけで良い)。私大で芸術学部を持たない大学でも、代わりに付属高校に「音楽III」「美術III」など芸術系のかなり高学年の科目が存在していたりして、そこで学園が芸術系の研究者・兼・高校教師の人材を自前で確保しているとみられます。もし学園が自前で芸術家を何人か教師などとして安定雇用で確保しておかないと、他大の美大・音大あたりの無責任な研究者の言説にダマされかねませんので。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
},
{
"paragraph_id": 208,
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"text": "「家庭総合」も、私大の付属校の場合、その私大に家政学部は無くとも、「家庭総合」を置くことで家庭科の知識を学園全体で確保しているのでしょう。",
"title": "高校カリキュラムのばらつきと共通性"
}
] | null | null | 2023-12-23T05:24:45Z | 2023-12-23T05:30:16Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%A0 |
38,887 | 地方自治法第251条の5 | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法
(国の関与に関する訴えの提起) | [
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"text": "法学>行政法>コンメンタール地方自治法",
"title": ""
},
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"text": "(国の関与に関する訴えの提起)",
"title": "条文"
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] | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法 | [[法学]]>[[行政法]]>[[コンメンタール地方自治法]]
==条文==
(国の関与に関する訴えの提起)
;第251条の5
#[[地方自治法第250条の13|第250条の13]]第1項又は第2項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となつた国の行政庁(国の関与があつた後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。ただし、違法な国の関与の取消しを求める訴えを提起する場合において、被告とすべき行政庁がないときは、当該訴えは、国を被告として提起しなければならない。
##[[地方自治法第250条の14|第250条の14]]第1項から第3項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告に不服があるとき。
##[[地方自治法第250条の18|第250条の18]]第1項の規定による国の行政庁の措置に不服があるとき。
##当該審査の申出をした日から90日を経過しても、委員会が[[地方自治法第250条の14|第250条の14]]第1項から第3項までの規定による審査又は勧告を行わないとき。
##国の行政庁が[[地方自治法第250条の18|第250条の18]]第1項の規定による措置を講じないとき。
#前項の訴えは、次に掲げる期間内に提起しなければならない。
##前項第1号の場合は、[[地方自治法第250条の14|第250条の14]]第1項から第3項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告の内容の通知があつた日から30日以内
##前項第2号の場合は、[[地方自治法第250条の18|第250条の18]]第1項の規定による委員会の通知があつた日から30日以内
##前項第3号の場合は、当該審査の申出をした日から90日を経過した日から30日以内
##前項第4号の場合は、[[地方自治法第250条の14|第250条の14]]第1項から第3項までの規定による委員会の勧告に示された期間を経過した日から30日以内
#第1項の訴えは、当該普通地方公共団体の区域を管轄する高等裁判所の管轄に専属する。
#原告は、第1項の訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を被告に通知するとともに、当該高等裁判所に対し、その通知をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
#当該高等裁判所は、第1項の訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があつた日から15日以内の日とする。
#第1項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、1週間とする。
#国の関与を取り消す判決は、関係行政機関に対しても効力を有する。
#第1項の訴えのうち違法な国の関与の取消しを求めるものについては、[[行政事件訴訟法第43条]]第1項の規定にかかわらず、[[行政事件訴訟法第8条|同法第8条]]第2項、[[行政事件訴訟法第11条|第11条]]から[[行政事件訴訟法第22条|第22条]]まで、[[行政事件訴訟法第25条|第25条]]から[[行政事件訴訟法第29条|第29条]]まで、[[行政事件訴訟法第31条|第31条]]、[[行政事件訴訟法第32条|第32条]]及び[[行政事件訴訟法第34条|第34条]]の規定は、準用しない。
#第1項の訴えのうち国の不作為の違法の確認を求めるものについては、[[行政事件訴訟法第43条]]第3項の規定にかかわらず、[[行政事件訴訟法第40条|同法第40条]]第2項及び[[行政事件訴訟法第41条|第41条]]第2項の規定は、準用しない。
#前各項に定めるもののほか、第1項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
==解説==
==関連条文==
;違法な国の関与の取消し請求において[[行政事件訴訟法第43条]]第1項の準用から適用除外するもの(第8項)
*[[行政事件訴訟法第8条]](処分の取消しの訴えと審査請求との関係)第2項
*[[行政事件訴訟法第11条]](被告適格等)
*[[行政事件訴訟法第12条]](管轄)
*[[行政事件訴訟法第13条]](関連請求に係る訴訟の移送)
*[[行政事件訴訟法第14条]](出訴期間)
*[[行政事件訴訟法第15条]](被告を誤つた訴えの救済)
*[[行政事件訴訟法第16条]](請求の客観的併合)
*[[行政事件訴訟法第17条]](共同訴訟)
*[[行政事件訴訟法第18条]](第三者による請求の追加的併合)
*[[行政事件訴訟法第19条]](原告による請求の追加的併合)
*[[行政事件訴訟法第20条]]
*[[行政事件訴訟法第21条]](国又は公共団体に対する請求への訴えの変更)
*[[行政事件訴訟法第22条]](第三者の訴訟参加)
*[[行政事件訴訟法第25条]](執行停止)
*[[行政事件訴訟法第26条]](事情変更による執行停止の取消し)
*[[行政事件訴訟法第27条]](内閣総理大臣の異議)
*[[行政事件訴訟法第28条]](執行停止等の管轄裁判所)
*[[行政事件訴訟法第29条]](執行停止に関する規定の準用)
*[[行政事件訴訟法第31条]](特別の事情による請求の棄却)
*[[行政事件訴訟法第32条]](取消判決等の効力)
*[[行政事件訴訟法第34条]](第三者の再審の訴え)
;国の不作為の違法の確認において[[行政事件訴訟法第43条]]第3項の準用から適用除外するもの(第9項)
*[[行政事件訴訟法第40条]](出訴期間の定めがある当事者訴訟)第2項
*[[行政事件訴訟法第41条]](抗告訴訟に関する規定の準用)第2項
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92331 地方自治法第251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件](最高裁判決令和5年9月4日)[[行政不服審査法第52条]]第1項/2項、[[地方自治法第245条の7]]
#;法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するか
#:該当する。
----
{{前後
|[[コンメンタール地方自治法|地方自治法]]
|[[コンメンタール地方自治法#2|第2編 普通地方公共団体]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11|第11章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係
]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-2|第2節 国と普通地方公共団体との間並びに普通地方公共団体相互間及び普通地方公共団体の機関相互間の紛争処理]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-2-5|第5款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与に関する訴え]]<br>
|[[地方自治法第251条の4]]<br>(政令への委任)
|[[地方自治法第251条の6]]<br>(都道府県の関与に関する訴えの提起)
}}
{{stub|law}}
[[category:地方自治法|251の5]] | 2023-12-29T19:05:25Z | 2023-12-29T19:05:25Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E6%B3%95%E7%AC%AC251%E6%9D%A1%E3%81%AE5 |
38,888 | 地方自治法第245条の7 | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法
(是正の指示) | [
{
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"text": "法学>行政法>コンメンタール地方自治法",
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"text": "(是正の指示)",
"title": "条文"
}
] | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法 | [[法学]]>[[行政法]]>[[コンメンタール地方自治法]]
==条文==
(是正の指示)
;第245条の7
#各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
#次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、市町村の当該各号に定める法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
##都道府県知事
##:市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する法定受託事務
##都道府県教育委員会
##:市町村教育委員会の担任する法定受託事務
##都道府県選挙管理委員会
##:市町村選挙管理委員会の担任する法定受託事務
#各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の[[第一号法定受託事務]]の処理について、前項各号に掲げる都道府県の執行機関に対し、同項の規定による市町村に対する指示に関し、必要な指示をすることができる。
#各大臣は、前項の規定によるほか、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める場合において、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、自ら当該市町村に対し、当該第一号法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
==解説==
==関連条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92331 地方自治法第251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件](最高裁判決令和5年9月4日)[[行政不服審査法第52条]]第1項/2項、(参照)[[地方自治法第251条の5]]
#;法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するか
#:該当する。
----
{{前後
|[[コンメンタール地方自治法|地方自治法]]
|[[コンメンタール地方自治法#2|第2編 普通地方公共団体]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11|第11章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係
]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-1|第1節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-1-1|第1款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等]]<br>
|[[地方自治法第245条の6]]<br>(是正の勧告)
|[[地方自治法第245条の8]]<br>(代執行等)
}}
{{stub|law}}
[[category:地方自治法|245の7]] | 2023-12-29T19:05:58Z | 2023-12-29T21:21:31Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E6%B3%95%E7%AC%AC245%E6%9D%A1%E3%81%AE7 |
38,889 | 地方自治法第245条の8 | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法
(代執行等) | [
{
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"text": "法学>行政法>コンメンタール地方自治法",
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},
{
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"text": "(代執行等)",
"title": "条文"
}
] | 法学>行政法>コンメンタール地方自治法 | [[法学]]>[[行政法]]>[[コンメンタール地方自治法]]
==条文==
(代執行等)
;第245条の8
#各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第8項までに規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
#各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに同項の規定による勧告に係る事項を行わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
#各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
#各大臣は、高等裁判所に対し前項の規定により訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を当該都道府県知事に通告するとともに、当該高等裁判所に対し、その通告をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
#当該高等裁判所は、第3項の規定により訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を定め、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があつた日から15日以内の日とする。
#当該高等裁判所は、各大臣の請求に理由があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判をしなければならない。
#第3項の訴えは、当該都道府県の区域を管轄する高等裁判所の専属管轄とする。
#各大臣は、都道府県知事が第6項の裁判に従い同項の期限までに、なお、当該事項を行わないときは、当該都道府県知事に代わつて当該事項を行うことができる。この場合においては、各大臣は、あらかじめ当該都道府県知事に対し、当該事項を行う日時、場所及び方法を通知しなければならない。
#第3項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、1週間とする。
#前項の上告は、執行停止の効力を有しない。
#各大臣の請求に理由がない旨の判決が確定した場合において、既に第8項の規定に基づき第2項の規定による指示に係る事項が行われているときは、都道府県知事は、当該判決の確定後3月以内にその処分を取り消し、又は原状の回復その他必要な措置を執ることができる。
#前各項の規定は、市町村長の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは各大臣若しくは都道府県知事の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項に規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときについて準用する。この場合においては、前各項の規定中「各大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「都道府県知事」とあるのは「市町村長」と、「当該都道府県の区域」とあるのは「当該市町村の区域」と読み替えるものとする。
#各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村長の[[第一号法定受託事務]]の管理又は執行について、都道府県知事に対し、前項において準用する第1項から第8項までの規定による措置に関し、必要な指示をすることができる。
#第3項(第12項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の訴えについては、[[行政事件訴訟法第43条]]第3項の規定にかかわらず、[[行政事件訴訟法第41条|同法第41条]]第2項の規定は、準用しない。
#前各項に定めるもののほか、第3項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
==解説==
==関連条文==
;[[行政事件訴訟法第43条]]第3項の準用から適用除外するもの(第14項)
*[[行政事件訴訟法第41条]](抗告訴訟に関する規定の準用)第2項
----
{{前後
|[[コンメンタール地方自治法|地方自治法]]
|[[コンメンタール地方自治法#2|第2編 普通地方公共団体]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11|第11章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係
]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-1|第1節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等]]<br>
[[コンメンタール地方自治法#2-11-1-1|第1款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等]]<br>
|[[地方自治法第245条の7]]<br>(是正の指示)
|[[地方自治法第245条の9]]<br>(処理基準)
}}
{{stub|law}}
[[category:地方自治法|245の8]] | 2023-12-29T19:14:12Z | 2023-12-29T21:22:54Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%87%AA%E6%B2%BB%E6%B3%95%E7%AC%AC245%E6%9D%A1%E3%81%AE8 |
38,897 | 著作権保護期間/公表後95年の著作権切れ作品の事例 | ウィキメディア財団が運営するウィキペディア、ウィキブックス、ウィキメディア・コモンズ、ウィキソースのような #米国内にサーバーがあるウェブサイトの場合 において、「公表から95年間」を経なければ著作物を使用できない可能性があります。この記事では、米国でも明確に著作権が切れたパブリックドメイン の主要な事例を紹介していきます。
1928年に公開された作品は、公表後95年に当たる2023年末をもって著作権保護期間を満了し、2024年1月1日からパブリックドメイン となりました。
蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)は、ウォルト・ディズニー(Walt Disney 1901-1966年)が監督した白黒短編アニメーション映画で、ウォルト・ディズニー・カンパニーにより1928年11月18日に米国で公開されました。ディズニーの人気オリジナルキャラクターであるミッキーマウス(Mickey Mouse)のスクリーンデビュー作品と知られ、2024年にようやく公式にパブリックドメインになりました。この作品に登場する初代ミッキーマウスのデザインもパブリックドメインとなり、二次創作が可能となりました。
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== 著作権保護期間が「公表から95年間」の場合の保護期間と [[画像:Cc-pd.svg|25px]]となる日 ==
[[w:ウィキメディア財団|ウィキメディア財団]]が運営する[[w:ウィキペディア|ウィキペディア]]、[[w:ウィキブックス|ウィキブックス]]、[[w:ウィキメディア・コモンズ|ウィキメディア・コモンズ]]、[[w:ウィキソース|ウィキソース]]のような '''[[著作権保護期間#米国内にサーバーがあるウェブサイトの場合|#米国内にサーバーがあるウェブサイトの場合]]''' において、「公表から95年間」を経なければ著作物を使用できない可能性があります。この記事では、米国でも明確に著作権が切れた[[w:パブリックドメイン|パブリックドメイン]] [[画像:Cc-pd.svg|25px]]の主要な事例を紹介していきます。
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|+ style="text-align:left;"|著作権保護期間が「公表から95年間」の場合の保護期間と、 [[画像:Cc-pd.svg|25px]]となる日
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! 公表年
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<!--
|-
!年
|年12月31日まで
|年1月1日
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== 公表から95年を超えて米国でパブリックドメインとなった作品の事例 ==
=== 2024年 ===
[[w:1928年|1928年]]に公開された作品は、公表後95年に当たる[[w:2023年|2023年]]末をもって著作権保護期間を満了し、[[w:2024年|2024年]]1月1日から[[w:パブリックドメイン|パブリックドメイン]] [[画像:Cc-pd.svg|25px]] となりました。
<div style="background-color:#efe;">
====蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)====
{{Commons|Category:Steamboat Willie|「蒸気船ウィリー」のカテゴリ}}
[[w:蒸気船ウィリー|蒸気船ウィリー]]([[w:en:Steamboat Willie|Steamboat Willie]])は、'''[[w:ウォルト・ディズニー|ウォルト・ディズニー]]'''('''[[w:en:Walt Disney|Walt Disney]]''' 1901-1966年)が監督した白黒短編アニメーション映画で、[[w:ウォルト・ディズニー・カンパニー|ウォルト・ディズニー・カンパニー]]により1928年11月18日に米国で公開されました。ディズニーの人気オリジナルキャラクターである'''[[w:ミッキーマウス|ミッキーマウス]]'''('''[[w:en:Mickey Mouse|Mickey Mouse]]''')のスクリーンデビュー作品と知られ、2024年にようやく公式にパブリックドメインになりました。この作品に登場する初代ミッキーマウスのデザインもパブリックドメインとなり、二次創作が可能となりました。<ref>[https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-67833411 Disney's earliest Mickey and Minnie Mouse enter public domain as US copyright expires - BBC News] (英[[w:BBCニュース|BBCニュース]])</ref><ref>[https://edition.cnn.com/2024/01/01/business/mickey-mouse-early-version-copyright-expired/index.html ‘Steamboat Willie’: An early version of Mickey Mouse is now in the public domain | CNN Business] (米[[w:CNN|CNN]]ビジネス)</ref><ref>[https://www.nytimes.com/2024/01/01/arts/public-domain-mickey-mouse.html Mickey Mouse, Other Characters Lose Copyright Protection - The New York Times]] (米[[w:ニューヨーク・タイムズ|ニューヨーク・タイムズ]]紙)</ref><ref>[https://www.washingtonpost.com/entertainment/2024/01/01/mickey-mouse-public-domain-steamboat-willie/ Earliest Mickey Mouse in public domain as ‘Steamboat Willie’ loses copyright - The Washington Post] (米[[w:ワシントン・ポスト|ワシントン・ポスト]]紙)</ref><ref>[https://www.theguardian.com/film/2024/jan/02/mickey-mouses-first-24-hours-in-the-public-domain-slasher-flicks-horror-games-and-nfts Mickey Mouse’s first 24 hours in the public domain: slasher flicks, horror games and NFTs | Walt Disney Company | The Guardian] (英[[w:ガーディアン|ガーディアン]]紙)</ref>
<ref>[https://www.npr.org/2024/01/01/1221606624/mickey-mouse-public-domain-disney Mickey Mouse's first film appearance enters public domain in 2024 : NPR]([[w:NPR (米国公共ラジオ放送)|NPR]])</ref>
<ref>[https://diff.wikimedia.org/2024/01/01/welcome-to-the-public-domain-mickey-mouse/ Welcome to the Public Domain, Mickey Mouse! – Diff] ([https://diff.wikimedia.org/ja/ ウィキメディア・ムーブメントの各所から更新情報])</ref><ref>[[w:en:Steamboat_Willie#Copyright_status]]</ref>
: 欧州連合の現行の著作権法では「著作権者の没後70年」までは著作権が保護されるはずで、ウォルト・ディズニーは1966年に没しているので、2036年末まではこれらの国々では保護されるはずですが、例えば日本の著作権法第58条<ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048#Mp-At_58 著作権法 | e-Gov法令検索] などを参照。</ref>(保護期間の特例)の規定に見られるように、著作権の存続期間がより短い米国の規定が有効です。<ref>[https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%8B%E3%83%BC-youtube%E3%81%A7-%E8%92%B8%E6%B0%97%E8%88%B9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%BC-%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8B%95%E7%94%BB%E3%81%AB%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E7%94%B3%E3%81%97%E7%AB%8B%E3%81%A6%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%82%E6%8A%97%E8%AD%B0%E5%8F%97%E3%81%91%E6%92%A4%E5%9B%9E/ar-AA1mFlLE ディズニー、YouTubeで『蒸気船ウィリー』使用動画に著作権侵害申し立てをするも抗議受け撤回]</ref><br> [[w:ドナルドダック|ドナルドダック]]も2029年末で同様の措置となります。なお、「[[w:en:Mickey Mouse|Mickey Mouse]]」「[[w:ミッキーマウス|ミッキーマウス]]」などの名称や初代より後のデザインは、ディズニー社が世界各国で商標登録しているため、勝手に使用することはできません<ref>[https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00009/00140/ 著作権が切れるミッキー、怖すぎるプー【再掲載】:日経クロストレンド]</ref>。<br> 実は日本国内では、旧・著作権法の規定「著作権者の没後50年」の規定で、ウォルト・ディズニーの著作権は没後50年に当たる2016年末をもって切れているのですが(旧・著作権法は2018年12月29日まで有効)、ディズニー社の[[w:日本の商標制度|商標登録]]や[[w:知的財産基本法|知財法]]によって保護されているため、ミッキーマウスなどの勝手な商用利用は不可能となっています。
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|-
| style="vertical-align:top; text-align:left; width:5em;" |[[画像:Excerpt from Steamboat Willie (1928), used as part of Walt Disney Animation Studios Logo.gif|thumb|300px|『[[w:蒸気船ウィリー|蒸気船ウィリー]]』より抜粋GIFファイル]]
| style="vertical-align:top; text-align:left; width:5em;" |[[画像:Walt Disney 1946.JPG|thumb|left|160px|[[w:ウォルト・ディズニー|ウォルト・ディズニー]] ]]
| style="vertical-align:top; text-align:left; width:20em;" |[[画像:Steamboat Willie (1928) by Walt Disney.webm|thumb|left|300px|[[w:蒸気船ウィリー|蒸気船ウィリー]]([[w:en:Steamboat Willie|Steamboat Willie]])<br>([[w:WebM|WebM]]動画, 7分48秒)]]
|}
:
</div>
=== 2023年 ===
=== 2022年 ===
=== 2021年 ===
=== 2020年 ===
==脚注==
<references/>
== 関連項目 ==
*[[著作権保護期間]]
**[[著作権保護期間/作曲家・楽曲の事例]]
**[[著作権保護期間/ミステリ作家の事例]]
**[[著作権保護期間/SF作家の事例]]
**[[著作権保護期間/公表後95年の著作権切れ作品の事例]]
== 関連記事 ==
<!--
{{Commons||}}
-->
== 外部リンク ==
[[Category:著作権保護期間|こうひようこ]] | 2024-01-02T14:29:38Z | 2024-01-10T15:05:41Z | [
"テンプレート:Commons"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%9C%9F%E9%96%93/%E5%85%AC%E8%A1%A8%E5%BE%8C95%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E5%88%87%E3%82%8C%E4%BD%9C%E5%93%81%E3%81%AE%E4%BA%8B%E4%BE%8B |
38,904 | X86アセンブラ/HLA構文 | HLAは「High Level Assembler」の略称で、高水準言語の要素を持つアセンブラです。従来のアセンブリ言語よりも高水準で、より直感的な構文を提供します。これにより、プログラマはより高い抽象度でプログラムを記述できます。HLAでは、アセンブリ言語のコードをより読みやすく、理解しやすくするための構文や機能が導入されています。
そのコードを別の形式(通常はMASMやGAS)に変換します。
例えば、MASMでは次のようなコードを書くことができます:
しかしHLAでは、このコードは次のようになります:
HLAはGAS構文と同じ演算順序を使用しますが、GASのような名前の修飾は必要ありません。また、HLAは命令を呼び出すために括弧表記を使用します。HLAは行末にCやPascalのようにセミコロンを使用します。
一部の人々はHLAが「低水準すぎない」と批判しますが、これは誤解です。なぜなら、HLAはMASMやGASと同じくらい低水準にすることができますが、いくつかの高水準の抽象化を使用するオプションも提供しています。
例えば、HLAではeaxをFunction1関数の引数として渡すために次のような構文を使用できます:
しかし、HLAはプログラマがプロセスを簡略化することも可能にします:
これは「括弧表記」と呼ばれる関数の呼び出し方法です。
HLAには、プログラマが使用できるさまざまなループ(do-while、for、untilなど)や制御構造(if-then-else、switch-case)が含まれています。ただし、これらの高水準の構造は注意が必要です。これらを使用することは簡単ですが、これらはMASMコード命令に変換されます。通常、ループは手動で実装した方が速いことがあります。 | [
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] | null | == HLA構文 ==
HLAは「High Level Assembler」の略称で、高水準言語の要素を持つアセンブラです。従来のアセンブリ言語よりも高水準で、より直感的な構文を提供します。これにより、プログラマはより高い抽象度でプログラムを記述できます。HLAでは、アセンブリ言語のコードをより読みやすく、理解しやすくするための構文や機能が導入されています。
そのコードを別の形式(通常はMASMやGAS)に変換します。
例えば、MASMでは次のようなコードを書くことができます:
:<syntaxhighlight lang=asm>
mov EAX, 0x05
</syntaxhighlight>
しかしHLAでは、このコードは次のようになります:
:<syntaxhighlight lang=text>
mov(0x05, EAX);
</syntaxhighlight>
HLAはGAS構文と同じ演算順序を使用しますが、GASのような名前の修飾は必要ありません。また、HLAは命令を呼び出すために括弧表記を使用します。HLAは行末にCやPascalのようにセミコロンを使用します。
== 高水準構造 ==
一部の人々はHLAが「低水準すぎない」と批判しますが、これは誤解です。なぜなら、HLAはMASMやGASと同じくらい低水準にすることができますが、いくつかの高水準の抽象化を使用するオプションも提供しています。
例えば、HLAではeaxをFunction1関数の引数として渡すために次のような構文を使用できます:
:<syntaxhighlight lang=text>
push(eax);
call(Function1);
</syntaxhighlight>
しかし、HLAはプログラマがプロセスを簡略化することも可能にします:
:<syntaxhighlight lang=text>
Function1(eax);
</syntaxhighlight>
これは「括弧表記」と呼ばれる関数の呼び出し方法です。
HLAには、プログラマが使用できるさまざまなループ(do-while、for、untilなど)や制御構造(if-then-else、switch-case)が含まれています。ただし、これらの高水準の構造は注意が必要です。これらを使用することは簡単ですが、これらはMASMコード命令に変換されます。通常、ループは手動で実装した方が速いことがあります。
[[Category:X86アセンブラ|文法]] | 2024-01-07T04:29:00Z | 2024-01-07T04:29:00Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/X86%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9/HLA%E6%A7%8B%E6%96%87 |
38,905 | X86アセンブラ/FASM構文 | FASM は別名 Flat Assembler とも呼ばれ、x86 アーキテクチャ用の最適化アセンブラです。 FASM はアセンブリで書かれているため、自分自身をアセンブル/ブートストラップすることができます。DOS、Linux、Unix、Windowsなど、さまざまなOS上で動作します。 SIMD拡張のMMX、SSE、SSE4、AVXを含むx86およびx86-64命令セットをサポートしています。
FASM は 16 進数を定義するためによく使われる構文をすべてサポートしています:
@@:
@@: ; もしjmp @fがヒットしたら、命令ポインタはこの匿名ラベルに設定される。
</syntaxhighlight> </syntaxhighlight ===ローカルラベル=== ローカルラベルは'''(ピリオド)で始まります。 ローカルラベルは、グローバルラベルの親のコンテキストで参照できます。 <syntaxhighlight lang="asm"> のようにします。 entry globallabel
globallabel:
globallabel2:
</syntaxhighlight> </syntaxhighlight ==演算子 == FASM はアセンブリコードを簡単にするために、いくつかのユニークな演算子をサポートしています。 ===演算子=== '''$''' はアドレス空間の現在位置を表します。これはコードやデータのブロックのサイズを決定するのに使われます。 MASM の '''$'' に相当するのは '''SIZEOF'' 演算子です。 <syntaxhighlight lang="asm"> 以下のようになります。 mystring db "これは私の文字列です", 0 mystring.length = $ - mystring </syntaxhighlight>
#は記号連結演算子で、複数の記号を1つに結合するのに使います。これは、reptのようなマクロの本体内、またはカスタム/ユーザー定義マクロでのみ使用できます、 マクロの引数の名前をその値に置き換えるからです。
TBC | [
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"text": "FASM は別名 Flat Assembler とも呼ばれ、x86 アーキテクチャ用の最適化アセンブラです。 FASM はアセンブリで書かれているため、自分自身をアセンブル/ブートストラップすることができます。DOS、Linux、Unix、Windowsなど、さまざまなOS上で動作します。 SIMD拡張のMMX、SSE、SSE4、AVXを含むx86およびx86-64命令セットをサポートしています。",
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"title": "16進数"
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"text": "@@: ; もしjmp @fがヒットしたら、命令ポインタはこの匿名ラベルに設定される。",
"title": "16進数"
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"title": "16進数"
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"text": "</syntaxhighlight> </syntaxhighlight ==演算子 == FASM はアセンブリコードを簡単にするために、いくつかのユニークな演算子をサポートしています。 ===演算子=== '''$''' はアドレス空間の現在位置を表します。これはコードやデータのブロックのサイズを決定するのに使われます。 MASM の '''$'' に相当するのは '''SIZEOF'' 演算子です。 <syntaxhighlight lang=\"asm\"> 以下のようになります。 mystring db \"これは私の文字列です\", 0 mystring.length = $ - mystring </syntaxhighlight>",
"title": "16進数"
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"title": "16進数"
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"text": "#は記号連結演算子で、複数の記号を1つに結合するのに使います。これは、reptのようなマクロの本体内、またはカスタム/ユーザー定義マクロでのみ使用できます、 マクロの引数の名前をその値に置き換えるからです。",
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"title": "16進数"
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] | FASM は別名 Flat Assembler とも呼ばれ、x86 アーキテクチャ用の最適化アセンブラです。
FASM はアセンブリで書かれているため、自分自身をアセンブル/ブートストラップすることができます。DOS、Linux、Unix、Windowsなど、さまざまなOS上で動作します。
SIMD拡張のMMX、SSE、SSE4、AVXを含むx86およびx86-64命令セットをサポートしています。 | '''FASM'' は別名 '''Flat Assembler'' とも呼ばれ、x86 アーキテクチャ用の最適化アセンブラです。
FASM はアセンブリで書かれているため、自分自身をアセンブル/ブートストラップすることができます。DOS、Linux、Unix、Windowsなど、さまざまなOS上で動作します。
SIMD拡張のMMX、SSE、SSE4、AVXを含むx86およびx86-64命令セットをサポートしています。
== 16進数 ==
FASM は 16 進数を定義するためによく使われる構文をすべてサポートしています:
:<syntaxhighlight lang="asm">
0xbadf00d ; C ライク構文
$badf00d ; Pascal ライクな構文
0badf00dh ; h 構文、アセンブリ時に有効な先頭のゼロが必要
</syntaxhighlight>
== ラベル ==
FASM はいくつかのユニークなラベル機能をサポートしています。
=== 匿名ラベル ===
FASMは識別子やラベル名を使わないラベルをサポートしています。
* @@: は匿名ラベルを表します。匿名ラベルはいくつでも定義できます。
* @b: ソースをさかのぼったときに最も近い@@を表します。@rと@bは等価である。
* @f: ソースを前方から見たときに最も近い@@を指す。
<syntaxhighlight lang="asm">
@@:
inc eax
push eax
jmp @b ; 遅かれ早かれスタックフォールトになる。
jmp @f ; この命令がヒットすることはない。
@@: ; もしjmp @fがヒットしたら、命令ポインタはこの匿名ラベルに設定される。
invoke ExitProcess, 0 ; Winasmのみ
</syntaxhighlight>
===ローカルラベル===
ローカルラベルは'''(ピリオド)で始まります。
ローカルラベルは、グローバルラベルの親のコンテキストで参照できます。
<syntaxhighlight lang="asm"> のようにします。
entry globallabel
globallabel:
.locallabelone:
jmp globallabel2.locallabelone
.locallabeltwo:
globallabel2:
.locallabelone: jmp
.locallabeltwo:
jmp globallabel.locallabelone ; 無限ループ
</syntaxhighlight> </syntaxhighlight
==演算子 ==
FASM はアセンブリコードを簡単にするために、いくつかのユニークな演算子をサポートしています。
===演算子===
'''$''' はアドレス空間の現在位置を表します。これはコードやデータのブロックのサイズを決定するのに使われます。
MASM の '''$'' に相当するのは '''SIZEOF'' 演算子です。
<syntaxhighlight lang="asm"> 以下のようになります。
mystring db "これは私の文字列です", 0
mystring.length = $ - mystring
</syntaxhighlight>
===# 演算子===
'''#''は記号連結演算子で、複数の記号を1つに結合するのに使います。これは、'''rept''のようなマクロの本体内、またはカスタム/ユーザー定義マクロでのみ使用できます、
マクロの引数の名前をその値に置き換えるからです。
<syntaxhighlight lang="asm">
マクロで作られた値 {
some#value db 22
}
; ...
contrived 2
;組み立てると
some2 db 22
</syntaxhighlight>
TBC
[[カテゴリ:X86アセンブラ|FASM構文]] | 2024-01-07T04:44:34Z | 2024-01-07T04:50:16Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/X86%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9/FASM%E6%A7%8B%E6%96%87 |
38,906 | 中学校保健体育/喫煙の害と健康 | タール・一酸化炭素・発癌物質・ニコチン・依存症・有害物質・主流煙・副流煙・受動喫煙
200種類以上の有害物質(タール・一酸化炭素・ヒ素・カドミウム・ホルマリン・ルエンシアン水素など)が煙草の煙に含まれています。
その中に、発癌物質が60種類以上含まれています。このような有害物質は、主に肺から取り入れられると、血液中に入って体内を巡ります。
煙草を吸うと、毛細血管が細くなり、血圧も上がり、心臓に負担をかけ、酸素の運搬能力も落ちます。そして、痰・咳・目眩・息切れなどの症状がすぐに体に現れます。このような症状は主にニコチンと一酸化炭素から起こります。
ニコチンは依存性を持っているだけでなく、喫煙をやめたくてもやめられないような依存症を引き起こします。タールの中に発癌性物質が含まれているので、肺癌や咽頭癌などの様々な癌は長期間の喫煙者にかかりやすくなっています。また、心臓病・脳卒中・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのように様々な病気にかかりやすくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、気管支や肺の炎症から呼吸困難になります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の約90%は喫煙から発症します。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、煙草病としても知られています。
発育期・発達期の体は、有害物質の影響を受けやすくなります。そのため、喫煙を始めるのが早ければ早いほど、喫煙時間も長くなり、健康によくありません。また、このような時期に喫煙すると、依存症になりやすくなります。このため、20歳未満の喫煙は法律で認められていません。親は子供に煙草を吸わないようにしなければなりません。また、煙草の販売業者は20歳未満の人に販売出来ません。 | [
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"text": "タール・一酸化炭素・発癌物質・ニコチン・依存症・有害物質・主流煙・副流煙・受動喫煙",
"title": "キーワード"
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"text": "200種類以上の有害物質(タール・一酸化炭素・ヒ素・カドミウム・ホルマリン・ルエンシアン水素など)が煙草の煙に含まれています。",
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"text": "その中に、発癌物質が60種類以上含まれています。このような有害物質は、主に肺から取り入れられると、血液中に入って体内を巡ります。",
"title": "煙草に含まれる有害物質"
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"text": "煙草を吸うと、毛細血管が細くなり、血圧も上がり、心臓に負担をかけ、酸素の運搬能力も落ちます。そして、痰・咳・目眩・息切れなどの症状がすぐに体に現れます。このような症状は主にニコチンと一酸化炭素から起こります。",
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"text": "ニコチンは依存性を持っているだけでなく、喫煙をやめたくてもやめられないような依存症を引き起こします。タールの中に発癌性物質が含まれているので、肺癌や咽頭癌などの様々な癌は長期間の喫煙者にかかりやすくなっています。また、心臓病・脳卒中・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのように様々な病気にかかりやすくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、気管支や肺の炎症から呼吸困難になります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の約90%は喫煙から発症します。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、煙草病としても知られています。",
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"text": "発育期・発達期の体は、有害物質の影響を受けやすくなります。そのため、喫煙を始めるのが早ければ早いほど、喫煙時間も長くなり、健康によくありません。また、このような時期に喫煙すると、依存症になりやすくなります。このため、20歳未満の喫煙は法律で認められていません。親は子供に煙草を吸わないようにしなければなりません。また、煙草の販売業者は20歳未満の人に販売出来ません。",
"title": "発育・発達期での影響"
}
] | null | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>喫煙の害と健康
煙草の有害物質はどのような健康被害をもたらしますか?
== キーワード ==
ニコチン・タール・一酸化炭素・発癌物質・依存症・有害物質・主流煙・副流煙・受動喫煙
== 煙草に含まれる有害物質 ==
※煙草の有害物質を調べてみましょう。[[ファイル:Papierosa 1 ubt 0069.jpeg|287x287px|サムネイル|煙草]]
200種類以上の有害物質('''ニコチン・タール'''・'''一酸化炭素'''・ヒ素・カドミウム・ホルマリン・ルエンシアン水素など)が煙草の煙に含まれています。
{| class="wikitable"
!有害物質
!主な害
|-
!ニコチン
|
* 血管の収縮
* 血圧の上昇
* 心拍数の増加
* 強い依存性があります。
|-
!タール(やに)
|
* 肺に付着し、肺の働きを下げます。
* 発癌性物質を多く含んでいます。
|-
!一酸化炭素
|
* 血液中のヘモグロビンと結び付き、血液の酸素運搬能力を下げます。
* 血管を傷つけます。
|}
その中に、'''発癌物質'''が60種類以上含まれています。このような有害物質は、主に肺から取り入れられると、血液中に入って体内を巡ります。
== 喫煙の健康への影響 ==
※煙草を吸うとどうなりますか?
煙草を吸うと、毛細血管が細くなり、血圧も上がり、心臓に負担をかけ、酸素の運搬能力も落ちます。そして、痰・咳・目眩・息切れなどの症状がすぐに体に現れます。このような症状は主に'''ニコチン'''と一酸化炭素から起こります。
★喫煙後の症状
* 脳の血流減少
* 思考能力の低下
* まぶたの腫れ
* 肌荒れ
* 首や肩の凝り
* 味覚・嗅覚の低下
* 口臭の悪化
* 食欲の低下
* 咳・痰・息切れ
* 心臓への負担
* 運動能力の低下
ニコチンは依存性を持っているだけでなく、喫煙をやめたくてもやめられないような'''依存症'''を引き起こします。タールの中に発癌性物質が含まれているので、肺癌や咽頭癌などの様々な癌は長期間の喫煙者にかかりやすくなっています。また、心臓病・脳卒中・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのように様々な病気にかかりやすくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、気管支や肺の炎症から呼吸困難になります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の約90%は喫煙から発症します。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、煙草病としても知られています。
★喫煙と関係の深い病気
{| class="wikitable"
!癌
!そのほかの病気
|-
|
* 鼻腔・副鼻腔癌
* 口腔・喉頭癌
* 喉頭癌
* 食道癌
* 肺癌
* 肝臓癌
* 胃癌
* 膵臓癌
* 膀胱癌
* 子宮頸癌
|
* 脳卒中
* 歯周病
* 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
* 心臟病
など
|}
== 発育・発達期での影響 ==
※煙草を吸い始めると、健康状態はどのように変わりますか?
発育期・発達期の体は、'''有害物質'''の影響を受けやすくなります。そのため、喫煙を始めるのが早ければ早いほど、喫煙時間も長くなり、健康によくありません。また、このような時期に喫煙すると、依存症になりやすくなります。このため、20歳未満の喫煙は法律で認められていません。親は子供に煙草を吸わないようにしなければなりません。また、煙草の販売業者は20歳未満の人に販売出来ません。
★喫煙期間と肺癌の危険性
[[ファイル:喫煙期間と肺癌の危険性.png|フレームなし|698x698ピクセル]]
== 周りの人などへの影響 ==
※喫煙は喫煙者だけに影響しますか?[[ファイル:Smoke-by-a-window-in-a-pub.jpg|サムネイル|271x271ピクセル|受動喫煙]]
喫煙者が煙草から吸い込む煙を'''主流煙'''といいます。煙草の先から出る煙を'''副流煙'''といいます。副流煙にも多くの有害物質が含まれています。'''受動喫煙'''では、周りの人が副流煙や喫煙者が吐き出す煙を吸い込んでしまいます。喫煙の影響は周りの人にも影響を与えます。企業・飲食店・公共施設などでは、受動喫煙防止のために禁煙や分煙を呼びかけています。受動喫煙防止の対策は、'''健康増進法'''で定められています。2018年の改正健康増進法では、望まない受動喫煙をなくし、子供や患者などに気配りしなければならなくなりました。このため、多くの自治体では、受動喫煙防止条例を定めています。
★主流煙と副流煙
{| class="wikitable"
!
!主流煙
!副流煙
!主流煙と比べた場合
|-
!ニコチン
|0.46mg
|1.27mg
|2.8倍
|-
!タール
|10.2mg
|34.5mg
|3.4倍
|-
!一酸化炭素
|31.4mg
|148mg
|4.7倍
|}
また、妊婦の喫煙は胎児の成長を妨げ、早産などを招きます。現在、加熱式煙草が人気を集めています。しかし、有害物質が多く含まれており、健康被害もよくわからないので、普通の煙草と同じように制限されています。
★夫の喫煙と妻の肺癌の危険性
[[ファイル:夫の喫煙と妻の肺癌の危険性.png|フレームなし|640x640ピクセル]]
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育|きつえんのかいとけんこう]]
[[カテゴリ:たばこ]] | 2024-01-07T05:06:39Z | 2024-01-08T09:09:52Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E5%96%AB%E7%85%99%E3%81%AE%E5%AE%B3%E3%81%A8%E5%81%A5%E5%BA%B7 |
38,908 | 日本のすがた 地理 都道府県/宮城県 | 宮城県(みやぎけん)は仙台市を県庁所在地とする都道府県の一つである。
人口:2,301,996人 総面積:7285.73km2 人口密度:315.96人/km2
岩手県、秋田県、山形県、福島県
県内には仙台平野が広がり、北上川や阿武隈川などの川が流れ、太平洋に注ぐ。西側は奥羽山脈に接する山岳地帯である。県内の気候は太平洋側気候に分類される。 夏にやませという湿った冷たい風が太平洋から吹き、農作物に影響を与えることがある。
県内の平野部では稲作が盛んであり、ササニシキやひとめぼれの産地である。 また、東北地方の三陸沖は寒流である親潮と暖流である黒潮の潮境で、これに近い宮城県には多数の漁港がある。 カツオ、サンマ、マグロなどの魚がこれらの港で水揚げされるほか、ワカメなどの養殖が行われている。 伝統工芸としては、こけしなどがある。 | [
{
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"tag": "p",
"text": "宮城県(みやぎけん)は仙台市を県庁所在地とする都道府県の一つである。",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
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"text": "人口:2,301,996人 総面積:7285.73km2 人口密度:315.96人/km2",
"title": "人口・総面積・人口密度"
},
{
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"text": "岩手県、秋田県、山形県、福島県",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "県内には仙台平野が広がり、北上川や阿武隈川などの川が流れ、太平洋に注ぐ。西側は奥羽山脈に接する山岳地帯である。県内の気候は太平洋側気候に分類される。 夏にやませという湿った冷たい風が太平洋から吹き、農作物に影響を与えることがある。",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "県内の平野部では稲作が盛んであり、ササニシキやひとめぼれの産地である。 また、東北地方の三陸沖は寒流である親潮と暖流である黒潮の潮境で、これに近い宮城県には多数の漁港がある。 カツオ、サンマ、マグロなどの魚がこれらの港で水揚げされるほか、ワカメなどの養殖が行われている。 伝統工芸としては、こけしなどがある。",
"title": "農業・漁業・工業"
}
] | 宮城県(みやぎけん)は仙台市を県庁所在地とする都道府県の一つである。 | 宮城県(みやぎけん)は仙台市を県庁所在地とする都道府県の一つである。
==人口・総面積・人口密度==
人口:2,301,996人<br>
総面積:7285.73km²<br>
人口密度:315.96人/km²
==地理==
[[File:Map of Miyagi Prefecture Ja.svg|宮城県の地図|サムネイル]]
===隣接都道府県===
岩手県、秋田県、山形県、福島県
===地形===
県内には仙台平野が広がり、北上川や阿武隈川などの川が流れ、太平洋に注ぐ。西側は奥羽山脈に接する山岳地帯である。県内の気候は太平洋側気候に分類される。
夏にやませという湿った冷たい風が太平洋から吹き、農作物に影響を与えることがある。
==農業・漁業・工業==
県内の平野部では稲作が盛んであり、ササニシキやひとめぼれの産地である。
また、東北地方の三陸沖は寒流である親潮と暖流である黒潮の潮境で、これに近い宮城県には多数の漁港がある。
カツオ、サンマ、マグロなどの魚がこれらの港で水揚げされるほか、ワカメなどの養殖が行われている。
伝統工芸としては、こけしなどがある。
[[カテゴリ:日本の地理]] | 2024-01-07T08:17:25Z | 2024-01-07T08:56:00Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%8C%E3%81%9F_%E5%9C%B0%E7%90%86_%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C/%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E7%9C%8C |
38,910 | 日本のすがた 地理 都道府県/秋田県 | 秋田県(あきたけん)は秋田市を県庁所在地とする都道府県の一つである。
人口:959,502人 総面積:11,612.22km2 人口密度:82.63人/km2
青森県、岩手県、山形県、宮城県
秋田県は日本海に面している。 気候区分は日本海側気候で、日照時間が極端に少ないことが特徴として挙げられる。
県の全域が豪雪地帯で、雪が多く降り積もりやすい県である。ケッペンの気候区分で亜寒帯湿潤気候となる場所もあり、寒さが厳しい。 太平洋側に冷害をもたらすやませも高温乾燥した風となり吹き下ろすため気温が上昇し真夏日や猛暑日になることもある。
青森県との県境には世界遺産の白神山地が広がっている。 また、男鹿半島の根元のあたりの八郎潟干拓地では、北緯40度線と東経140度線が交差する。
東部には奥羽山脈があり、中央部には秋田平野が広がっている。
県内では稲作が盛んであり、あきたこまちの産地である。 漁業や林業も盛んである。
伝統としては、なまはげなどがある。 また、秋田竿燈まつりが毎年8月に開催される。 | [
{
"paragraph_id": 0,
"tag": "p",
"text": "秋田県(あきたけん)は秋田市を県庁所在地とする都道府県の一つである。",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "人口:959,502人 総面積:11,612.22km2 人口密度:82.63人/km2",
"title": "人口・総面積・人口密度"
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "青森県、岩手県、山形県、宮城県",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "秋田県は日本海に面している。 気候区分は日本海側気候で、日照時間が極端に少ないことが特徴として挙げられる。",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 4,
"tag": "p",
"text": "県の全域が豪雪地帯で、雪が多く降り積もりやすい県である。ケッペンの気候区分で亜寒帯湿潤気候となる場所もあり、寒さが厳しい。 太平洋側に冷害をもたらすやませも高温乾燥した風となり吹き下ろすため気温が上昇し真夏日や猛暑日になることもある。",
"title": "地理"
},
{
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"text": "青森県との県境には世界遺産の白神山地が広がっている。 また、男鹿半島の根元のあたりの八郎潟干拓地では、北緯40度線と東経140度線が交差する。",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 6,
"tag": "p",
"text": "東部には奥羽山脈があり、中央部には秋田平野が広がっている。",
"title": "地理"
},
{
"paragraph_id": 7,
"tag": "p",
"text": "県内では稲作が盛んであり、あきたこまちの産地である。 漁業や林業も盛んである。",
"title": "産業"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "伝統としては、なまはげなどがある。 また、秋田竿燈まつりが毎年8月に開催される。",
"title": "伝統"
}
] | 秋田県(あきたけん)は秋田市を県庁所在地とする都道府県の一つである。 | 秋田県(あきたけん)は秋田市を県庁所在地とする都道府県の一つである。
==人口・総面積・人口密度==
人口:959,502人<br>
総面積:11,612.22km²<br>
人口密度:82.63人/km²
==地理==
[[File:Map of Akita Prefecture Ja.svg|秋田県の地図|サムネイル]]
===隣接都道府県===
青森県、岩手県、山形県、宮城県
===気候===
秋田県は日本海に面している。
気候区分は日本海側気候で、日照時間が極端に少ないことが特徴として挙げられる。
県の全域が豪雪地帯で、雪が多く降り積もりやすい県である。ケッペンの気候区分で亜寒帯湿潤気候となる場所もあり、寒さが厳しい。
太平洋側に冷害をもたらすやませも高温乾燥した風となり吹き下ろすため気温が上昇し真夏日や猛暑日になることもある。
===地形===
青森県との県境には世界遺産の白神山地が広がっている。
また、男鹿半島の根元のあたりの八郎潟干拓地では、北緯40度線と東経140度線が交差する。
東部には奥羽山脈があり、中央部には秋田平野が広がっている。
==産業==
県内では稲作が盛んであり、あきたこまちの産地である。
漁業や林業も盛んである。
==伝統==
伝統としては、なまはげなどがある。
また、秋田竿燈まつりが毎年8月に開催される。
[[カテゴリ:日本の地理]] | 2024-01-07T08:42:22Z | 2024-01-07T08:56:07Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%8C%E3%81%9F_%E5%9C%B0%E7%90%86_%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C/%E7%A7%8B%E7%94%B0%E7%9C%8C |
38,911 | 高校受験ガイド/高校の部活動の傾向 | 工業高校や農業高校など肉体労働系の学科の高校の多くに、吹奏楽部が無いか、あっても活動が小規模です。(なお商業高校には吹奏楽部が存在する場合が比較的に多いです)
例えば東京都の場合、東京都立の杉並高等工科学校や足立高等工科学校には吹奏楽部はありません。
他県でも同様の傾向です。
もし、野球部など高校スポーツの運動部の公式試合のトーナメント戦で県大会以上に勝ち進んで応援の吹奏楽部などが必要になった場合は、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援の演奏をする慣習があります。
チアリーディング部なども同様、工業高校などには無いのです。
スポーツ応援とは関係ありませんが、演劇部も多くの工業高校にはありません。
中学でこれらの部活をしていた人や、高校時代にこれらの部活をしたい人は、入学前によく考えてください。
軽音楽部や美術部は工業高校にもある高校もありますが、しかし現代(2023年12月に本文を記述)のところ甲子園などを見ても、応援席で軽音楽をするような風潮はありません。
なので、応援の音楽を自校の生徒で演奏したいなら、たとえば応援団などが校歌を歌うしかないかもしれません。ああ玉杯に花受けて。(w:あゝ玉杯に花うけて)
工業高校にも「音楽部」という部活がある場合もありますが、しかし高校野球などの全国大会を見ても、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援するのが実情です。
なお、茶道部・華道部は無い工業高校がほとんどです。
農業高校では、たとえ吹奏楽部のある高校でも、よく調べると演劇部が無い、という学校がとてもよくあります。
農業高校には、茶道部や華道部はよくあります。演劇部だけ無い、というパターンがよく農業高校の部活の構成で見られます。
農業高校には吹奏楽部はある事も無い事もありますが、たとえ吹奏楽部があっても、演劇部は無いのが農業高校のほとんどです。
「合唱部」は、ほとんど無いです。ただし、もしかしたら吹奏楽部で合唱の練習をしているかもしれません。ただし県大会などの合唱コンクールには、吹奏楽部だと参加できないと思います。
美術部も、無い場合があります。首都圏の農業高校でないと、演劇部や美術部は無いことが多いかもしれません。あるいは京都・大阪や愛知などの地方都市でないと、演劇部は無い傾向があります。
余談ですが、食品部や畜産部や園芸部などが、農業高校だと、ある場合があります。ほか、なぜかよく分からないのですが、写真部がよくあります。きっと、仕事でカメラをよく使うのでしょうか。
運動部では、柔道部の無い農業高校が散見されます。
なお、工業大学には吹奏楽部があったりします。茶道部は、工業大学だと、存在している場合もよくあります。詳しくは各大学のホームページなどを確認してください。
ただし、一般に工業大学は学業が忙しいので、あまり部活動には長時間は関われないかもしれません。
なお、普通の公立の工業高校には茶道部なんぞ無い。
高専はどうかいくつか学校を調べてみると、吹奏楽部はなんとかありますが、演劇部がない学校がチラホラです。茶道部があります。
今時の高校野球は私立高校の独壇場です。松谷創一郎 著『“プロ部活”のための夏の甲子園──ますます空洞化する「教育の一環」』2017/8/6(日) 11:00 (Yahooニュース)
広尾晃 著『センバツ「私学と公立の格差」埋まらぬ根本原因 「特待生」や「野球留学」によるアンバランス』2021/03/30 12:00(東洋経済)
私学には学区の制限が無いので、他県からもスポーツの得意な受験生を集めることができます。
リンク先のYahooニュースの記事に、下記のような記述があります。
消えた名門公立校
80年代までは、公立高校の活躍も目立った。たとえば蔦監督が率いる池田高校(徳島)や、春夏合わせて7回の優勝を誇る広島商業(広島)の活躍が歴史に刻まれている。他にも松山商(愛媛)や箕島(和歌山)など、公立高校は少なくなかった。
しかし、今大会に出場する公立高校はとても少ない。滝川西(北北海道)、高岡商(富山)、坂井(福井)、彦根東(滋賀)、三本松(香川)、鳴門渦潮(徳島)、東筑(福岡)、波佐見(長崎)──8校のみである。
東洋経済でも、下記のような言われようです。
甲子園の出場校は、戦前から都市部は私学が多く、地方は公立学校が多かった。しかし近年は、全国的に私学が公立を凌駕しつつある。
少子化とともに全国の公立高校では、統廃合が進んでいる。公立高校は2010年には全国で3780校あったが、2018年には3559校と221校も減少している。甲子園を沸かせた高校も例外ではない。1995年春の優勝校、香川県立観音寺中央高は、2017年、香川県立三豊工業高と統合されて観音寺総合高になった。
少子化に加え、地方財政の疲弊によって部活動予算が削減される学校が多く、公立高の野球部の多くは財政難に苦しんでいる。グラウンドや練習施設も老朽化している。さらに部員が減少したために「連合チーム」を組む学校も増えてきた。
このように、高校スポーツは私学の大会です。もはや公立学校は、例外として体育学科とかのある特別な公立高校でもない限り、もう高校スポーツで公立学校が活躍するのは難しいでしょう。
私立はスポーツ推薦などにより中学スポーツで好成績をおさめた受験生を集めていますので、もう公立高校では、ほぼ活躍は無理です。
運動部だけでなく、文化部も似たような傾向です。たとえば吹奏楽部に関しては、楽器は高いので、私学が有利だと、雑誌『東洋経済』の取材で明らかになっています。
東洋経済に下記の記事があります。
またある公立校の吹奏楽部には、古くて手入れの行き届かない楽器しかない。部員たちはアルバイトの合間に楽器に触りに来る。金管楽器の中には凹んだものもある。
指導者は「コンクールとかはとんでもないので、何とか数曲は演奏できるようにしたいんです。部員たちはクリスマスに近所の老人ホームで慰問のコンサートをやるのが目標です。この学校の子たちは、卒業後の目標がない子が多いのですが、お年寄りが喜ぶ姿を見て、福祉関係に行きたい、と言い出した子どももいます」と言った。
余談ですが、日本人作曲のクラシック曲で、実は吹奏楽コンクールなどの課題曲として作られたオリジナル曲で、クラシック風に日本人の作曲したオリジナル曲というものが幾つもあります。(しかし音楽教科書や一般の楽譜集などには書いてない曲である。)日本人作曲クラシック音楽は、決して西洋ファンタジー風ゲームとか西洋ファンタジー風アニメのBGMとしてしか残ってないわけではないので、勘違いしないように。もちろんそういう表現も否定しませんが。
文武両道ならぬ、文武 "別" 道 という言葉もあります。
広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。流行は文武両道ならぬ文武“別”道。』 (NumberWeb)
最近の流行りは複数コースでの「文武別道」。
野球で甲子園を目指す生徒と、勉強で東大・京大を目指す生徒を別枠で集める。こういうのを「文武別道」というそうだ。今、全国の私立高校はこの方向に傾いている。
少子化の中、私立高校は厳しい競争をしている。「文武別道」は、より多くの優秀な生徒を獲得し、競争を生き抜くための大方針なのだ。
世の中、世知辛くなった。本当の意味の「文武両道」の学校は、絶滅危惧種なのかもしれない。
上記では説明を省略しましたが、「文武両道」にしろ「文武別道」にしろ、私立高校の宣伝でいう「文武」の「武」とは部活動のことであり、大学受験の推薦入試でその部活での功績が高く評価される部活のことです。文化部だろうが何だろうが、大学受験の推薦入試でさえ高く評価されれば構いません。また、「文」とはその高校の生徒における大学受験の一般入試などを突破する学力のことであり、いわゆる大学受験の偏差値です。
例外として、ごく一部の私学では、武道や体育を重視している私立高校もありますので、念のため、「武」がどちらの意味なのかを高校のパンフレットなどは確認しておきましょう。
野球は9人まで(「○○ナイン」)、サッカーは11人まで(よく草野球チームのことを「○○イレブン」とか言います)ですが、野球部の10人目以降、サッカー部の9人目以降は補欠のための要員です。
競技によっては、春大会や夏大会や秋大会のように年に2回の大会があって、たとえば春大会は補欠要員のための出場場所だったりとか考えられます。
春大会に引退間近の3年生が優先して出場するとしても、1学年あたり11人まで、です。高校は3年間なので、その3倍で春大会で将来的に出場予定の部員の数は、単純計算でサッカーの場合は 11人×3学年=33人 まで。
秋大会の本命の夏大会も含めると、単純計算で3倍になり、33人×3倍=99人まで。
本命の夏大会のほうでは決してローテーション人事(じんじ)みたいなことはしないのが現実でしょうから、これよりも公式試合に出場できる人は少なくなります。
なので、33×2+11=77人くらいが、とりあえずの現実的な限界。
そもそも、大型バスで運べる人数が約50人まで(ネットで調べたら補助座席を使って53人まで)です。1学級が多くても40人+数人なのには、大型バスの限界という理由もあります。
裏を返すと私立大学のように1学級が80人~120人とかの場合、行事ではバスがなく、普通は現地集合です。
なので、高校によっては部員数の制限として「50人まで。1学年あたり17人まで」というように制限を設けているのは、そういうバスの理由もあります。1年生はバスに載せないとして2年生以降はバスに載せるなどすれば、50人以上の部員も可能ですが、それでも常識的に部員数はせいぜい60くらいまででしょう。部員数60人の場合、1学年あたり20人であり、2年生以上がバスに乗るとして40人になり、顧問なども含めても何とかバスに乗れます。
プロ野球には一軍と二軍というのがありますが、スポーツの強豪高校に進学すれば、多くの生徒は高校時代から二軍のような気分を経験できる事でしょう。
もしくは、最初から入部制限があるかもしれません。大会出場の見込みのない人はその部活に入れないなどのルール、もしくは硬式(こうしき)野球ではなく軟式(なんしき)野球部にしか入れない、とにかく二軍の気分を味わえます。社会人みたいで大人ですね。
春大会や夏大会を補欠メンバーに割り当てることにより、夏大会用の本命生徒は夏大会以外の試合対策をしなくて済むので、夏大会生徒は春・秋には学校の勉強などにも集中でき学力も向上できます。また、あまり試合ばかり対策してると、さすがに高校の定期テスト対策などがキツイです。また、こういった分担・分業により、スポーツ推薦で文系の大学に進学した後の学業も安心です。
なお、3年生は夏に引退するので、秋大会は若手である1年生・2年生に経験を積ませるための大会というのが慣習です。秋大会のメンバーの中には、来年の夏大会のメンバーもいるでしょう。逆に、春大会は、主に引退する3年生のための大会です。
このため、決して単純計算どおりに99人が何らかの公式大会に出られるなんてことはありえず、実際には公式大会に出られるメンバーの人数は、もっと減ります。
秋大会と夏大会を除くのが現実的であり、夏・秋の11人と、春大会のローテーション人事で3×11を合わせて、合計で11人+33人=44人、くらいが現実的でしょうか。ちょうど大型バスに乗れます。
試合に出れなかった若干名は、体育祭などで運営側を手伝うなどの仕事が与えられるでしょうか。
運動部に限らず文化部も同様です。
実際、雑誌『東洋経済』の取材によると、ある高校の吹奏楽部では、野球部の応援などのチームと、吹奏楽の大会などでチームを別々に分けて活動している高校もあると知られています。
外部の人は、まさか文化部の内部でチームが分かれているなんて知らないので、あたかも一人の部員が野球部の応援の演奏から吹奏楽コンクールまで幅広く曲の演奏をこなしているように見えますが、しかし、素人の勘違いです。
たとえば吹奏楽部なら、地元の老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートに行くメンバーと、県大会や全国大会などの公式の大会に出場するメンバーが、必ずしも同じメンバーとは限りません。音楽とはこのように、プロでなければ少しくらい演奏をミスしたりして少し下手であっても平気なのです。じっさい、少しの演奏のミスに文句を言う保育園児なんていないでしょう。
文化部でもこのようにイベントごとに出場メンバーを交代することにより、学業での偏差値の高さと部活での業績とを両立できます。
もしかしたら部活によっては大会の時期が夏ではなく冬の場合もあるかもしれません。しかし、春大会が引退する3年生のため、秋大会が1年生に経験を積ませるため、という出場高校側の意図は、おおむね変わらないでしょう。
慰問ついでに言うと、僕たちが学校で習う歌や曲は、じつは教育用にけっこう大きくアレンジされた曲です。何十年も前の昭和や平成初期の当時の歌や曲とは、現代の学校で習う曲は微妙に違っています。もともとの曲は歌手1人を宣伝するためのものですが、しかしそれだと男女で混声合唱できませんので、合唱曲用に学校で習う歌や曲はほぼ全曲が編曲されています。文化祭とかに行く際、こういった事も考慮すると効率的でしょう。
だから高校卒業や大学卒業などで企業に就職して、会社の忘年会などのカラオケ(二次会)で、学生時代に授業で習って知っている歌をうたおうとすると、カラオケ曲と学校曲とで曲調がまったく違っていたりして戸惑ったりすることもあったりとか。
なお、高校の文化部の紹介で、「わが校の〇〇部は(全国大会の優勝などの目標の)競技を目指さない部活です」とか紹介されたとしても、運動部とちがって文化部の場合だと慰問や地域交流イベントみたいに競技以外の色々な活動がありますので、けっして「気軽に遊べる部活だ」なんて勘違いしないようにしましょう。よほど特別な高校でない限り(定時制とか通信制とか高専とか)、文化「部」は(同好会はどうか知りません)そういった地域交流イベントみたいなのも参加したりしますので、勘違いしないように。
編曲うんぬんの余談ですが、実は小中の国語の教科書にある作品も、原作と教科書版とで、言い回しが改訂されている事もあります。たとえば谷川俊太郎訳『スイミー』がそうです。スイミーが教科書掲載された際に、「○○してた」→「○○していた」みたいに言い回しが改訂されています。
こういうのは谷川俊太郎に最近に始まったことではなく、昭和の時代から、阿川弘之『きかんしゃやえもん』が1968年版の小学校2年生の国語(下巻)の教科書に掲載をされた際に、ページ数の制限の都合で内容の削減などの改訂をされたり、漢字が追加されています(原作は本文がすべて平仮名)。
埼玉県の県立進学校で、浦和(うらわ)高校という埼玉公立トップ偏差値の高校があるのですが、その高校は建学の理念として文武両道を掲げているのですが、しかし大学受験での浪人率が比較的に高い高校でもあり(代わりに進学先の大学の偏差値は他校よりも高いですが)、浦和高校でも部活に専念する学生は、浪人をして志望大学に入る人が多いのが現実です。
そうそう、スポーツの世界は選手寿命が短いので、プロスポーツ選手を目指すなら浪人しないのが普通です。だからスポーツ系で大学進学する人は、推薦でも何でもいいから、さっさと文系の私立大学に行くのです(理系の大学だと運動施設などが貧しいし、練習時間も取れないので)。
進学校などで土曜日に授業がある高校では、当然ですが土曜日に開催される学外の部活動コンクールや大会など学外イベントには出づらくなります。(どうしても大会などのイベントに土曜日に出る場合、授業は公欠になる。)
なので、土曜授業を行っている高校は、それだけ部活がコンクールなどの出場イベント数を減らしている、という意味でもあります。なので学業と部活の「文武両道」とか、真に受け過ぎないようにしましょう。
イベントの開催日にちによっては、土曜日が祝日で授業が無い場合もありますが、その日には近隣の他の私立の部活動もそのイベントに出たがりますので、スケジュール的に競合します。もし、土曜授業をしている私立や公立進学校などをコンクールの祝日に優先すると、首都圏などだと、祝日のコンクール出場校が私立と公立進学校ばかり、なんて事態になりかねません。
国の通達により、過熱化する部活動を規制する総量規制がありますので、一人当たりが活動時間や活動日数に上限が掛けられています。運動部についての記事ですが、ネット記事『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』によると、下記のようにあります。
冒頭のスポーツ庁が今月発表したガイドライン骨子案は、部活動の活動量について「週当たり2日以上の休養日」、「長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度」、「大会数の上限の目安等を定める」と、具体的に総量規制に踏み込んでいる。
文化部についても文化庁が同様のガイドライン『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(2018年)を策定しており、スポーツ庁のガイドラインと同様の内容です。
このため、一つの学校が何でもイベント参加できるわけではなく、何かのイベントに参加する場合、他のイベントを諦めることになります。
大会やコンクール、コンテスト、発表会、地域からの要請により地域の行事や催し等、運動部の応援、などなど決して何でもは参加できないのが建前です。もし、そういったすべてのイベントに参加している文化部があれば、(体育学科や音楽学科などの高校でないかぎり)普通科高校なら文化庁ガイドライン違反です。
なお、中央官庁の行政機関からの通達により、大会や地域の催し物などの統廃合を行ってイベントを減らせという要請が国からされています。
文化系の部活の場合、そもそもトーナメント戦の大会に参加そのものをしない高校も、公立・私立とも、あります。高校入学後に部活の業績で全国に名をあげようとしている人は、進学しようとしている高校がトーナメント戦大会について参加する方針かそうでない方針なのか、受験前に学校紹介パンフレットや学校ホームページなどの部活紹介などで確認してください。もしパンフレットなどの部活紹介で、全国大会や県大会などの出場実績を誇っている高校なら、おそらくはトーナメント戦にその部活が参加する方針の高校でしょう。
トーナメント戦そのものに参加しない高校では、自分がどんなにその部活が上手くても、そもそも地区予選の時点で不戦敗なので、どうあがいても全国大会に出場しようがないのです。
学校教員側の視点で見ると、トーナメント戦のイベントは勝ち負けによってスケジュールも変わるので、事前に予定が立てづらく(もっとも開催日も土日ですが)、なかなか面倒です。顧問の遠征や引率などのスケジュールも勝ち負けによって変動してしまいます。
よくスポ根マンガ(スポーツ根性モノのマンガ)とかで、高校の運動部が、トーナメント戦の公式競技を地区大会→県大会→全国大会とか勝ち抜いたりとかの描写があります。文化部では、必ずしもすべての部活がトーナメント戦に参加するとは限らないのです。
運動部と違って文化部は勝ち負けを競う必要が無いので、トーナメント戦にあまり参加しない高校もあるのです。
ほか、私立では部活のコーチは外注の派遣だったりします。そういう部活専門の派遣会社がすでに存在しています。もはや、教員免許をもった教員ではなく、外注です。生徒だけでなく部活コーチも文武別道です。
ネット上で、いわゆる進学校のいくつかでは、部活の引退は高校2年の2学期~3学期という高校もある、という発言が、ネット各所から上がっています。
必ずしもすべての高校が、高校3年の夏の6~7月で部活を引退するとは限らず、もっと前に引退するのが原則になってると思われる高校も幾つかあるようです。
塾業界の言い伝えでは、部活で朝練・夜練などが無く負担が軽いとか、運動部でも週1~2日だけの出席ノルマとか、そういう言い伝えが塾業界から報告されている
そもそも、部活の内容が運動部とも限らず、部活の種類によっては活動内容が受験勉強に生かしやすい分野もある(「科学部」「歴史部」など)。
世間の人の多くは、普通科以外の「体育科」とか「美術科」「音楽科」とかの専門高校という制度そのものを知りません。普通科以外は、工業高校・商業高校・農業高校・水産高校しか存在しないと思ってる情報弱者の大人も多いのです。
「私立はスポ-ツ推薦でスポーツ優秀な生徒を集めてて、ズルい!」とか言う人は、では公立高校の体育学科はズルくないと考えている官尊民卑(かんそんみんぴ)の主義者なのでしょうか。テレビとかの高校スポーツ番組とかで、ある高校を「公立高校」と聞いただけで、勝手に「普通科に違いない」と早合点して「文武両道で、スゴイ!」とか言う情報弱者の高校スポーツファンも世間には多そうです。
体育科だけでなく、「美術科」とか「音楽科」といった美術高校・音楽高校も存在します。
ついつい、世間の情報弱者たちは、公立中学の吹奏楽部とか美術部とかのイメージの延長線上で考えがちですが、しかし、そうではなく、体育科の時間割のスポーツ専門科目の部分を、美術の専門科目あるいは音楽の専門科目に置き換えたような時間割です。
法律で、専門科目の単位数については、25単位以上だと文科省の学習指導要領などで決まっています。なので、「美術科」「音楽科」の時間割は、けっして普通科の文系コースのような時間割ではなく、たとえば数学IIは時間割に存在しないのが普通です。仮に数学IIがなんとか存在しても、数学Bや数学Cは存在しないのが大半です。
そういう公立の専門高校が存在するのも多様性であり民主主義ですが、しかし「公立 = 文武両道」という、実態と離れた意味不明な勘違いはヤメましょう。
全日制(朝8時くらいに登校する普通の課程はコレです)の部活動での地区大会~全国大会などの公的な大会は、普通、出場資格に「18歳まで(18歳も含む)」または「19歳まで」のような年齢制限があります。
なので、浪人などせず、さっさと合格した高校に進学するほうが得です。
また、高校で留年した場合も、同一学年では出場できなくなるのが普通です。「同一学年で春大会・夏退会に出場できる回数はそれぞれ1回まで」のような内容の規定があるのが普通です。大会出場目的の意図的な留年を防ぐために、こういう規定があると思われます。
なお、定時制・通信制の大会と全日制の大会とは、別々の大会です。定時制・通信制の大会は「全国高等学校定時制通信制〇〇大会」みたいな名前です。定時制などの場合、年齢制限の無い場合も多いですが、同一学年の出場が1回まで等の規定があり、よって留年などで意図的に出場回数を増やすのは不可能です。
たとえば理科系の大学の学部学科など、一般入試で入った人ですら留年や退学も多い難関の大学であっても、スポーツ推薦などで入学できてしまう場合があり、そのためスポーツ推薦者などの留年などの問題も起きかねません。
高校卒業後の専門教育はもはや義務教育でも何でもないので、大学の学科の専門的な学問は「ある程度以上専門的になると万人向けではなくなる」という原則があります。スポーツの大会がもはや万人向けでないのと同様です。
余談ですが、東京都内は過密のため私立高校の敷地も狭いことが多いので、そのため校庭も狭いので、屋外の運動部に入る予定の人は志望校選びで少し気にする必要があります。
具体的には、いくつかの屋外の運動部の練習場所が、学校の敷地外の民間の練習場になる可能性があります。さすがに歩いて数分で通える場所(または自転車で数分の場所)に練習場所を確保するでしょうが、裏を返すと数分は掛かってしまう場所に練習場のある場合があります。
たとえばテニス部とか、そうなるかもしれません。
昭和の戦後に新制の私立高校が設立された高度経済成長期 ~ 1970年代の時代、まさか未来の2020年代には私立高校が部活の強豪になるとは昔の人は思わず、そのため私立高校は運動部が21世紀の今でこそ強豪であっても、その校庭が意外と狭いことが多いのです。
校庭自体には、体育の授業をするための最低限の敷地しかない場合もあります。
たとえば、校庭は野球部とサッカー部が優先に使うので、その他の部活動の敷地が狭い、専用のテニスコートが1~2面しかないとかの場合もありえます(ただし体育の授業で使うので最低1面はある)。
このたった1~2面のコートを、付属中学がある中高一貫校なら、中学生と高校生とで共有するのです(ただし中学の全生徒数は高校のそれの半分くらいなのが通常)。もしくは、中学生は子どもなので校庭のコートで優遇、高校生は校外の練習場でガマンして、というふうに別々の場所かもしれません。
野球部とサッカー部とソフトボール部と陸上部とラグビー部が、同日に一緒に校庭で練習するのが難しい高校もあります。練習日を変える必要があるかもしれません。もっとも学業の予習・復習も高校生には必要なので、練習しない日があるのも文武両道としては良いかもしれませんが。
テニス部は存在するだけマシです。高校によっては、スポーツ強豪校であるにもかかわらず、ラグビー部などマイナー競技ぎみの部活が存在しないスポーツ強豪校もあります。敷地不足のため、部活をもう増やせないのです。そのため、小中の体育の授業では習わないラグビーの部活が削られたりします。
首都圏では、ラグビー部のある高校は、かなり少ないです。
参考サイト 『部活に「ラグビー部」のある高校』 を見ると、甲子園の強豪校などで知られる首都圏の私立高校にもラグビー部は存在していない場合が大半です。都心だと、戦前からの私立大学の付属校や、旧制高校の伝統をもつような古くからの私立高校でないと、そもそもラグビー部が存在してない傾向があります。
もちろん、スポーツで好記録を出してる私立高校なら、そういう「校庭が狭い」という条件下でも好記録を出しているノウハウがその高校にあるわけですので、高校に希望の部活があるなら志望するのも良いでしょうが。ともかく、都心の私立高校の多くは校庭が狭いです。 運動部の場所は、校外の少し離れた練習場になる場合があります。
条件の良い練習場は、その高校の看板の運動部が押さえます(たとえば甲子園出場校なら野球部が校庭を使う)。
首都圏に限った話ではないですが、スポーツ高校の私学には、知名度があって地域の人気もあるのに付属中学を作ろうとしない私学もあります。もし高校に付属中学があると、狭い校庭をさらに中学生と使い分けてしまうので、ますます狭くなってしまうから、それを恐れているのでしょう。付属中学を作る際、校庭を新校舎のために減らさないといけない場合もありますので、それは既存の高校の運動部と干渉します。
運動部の新設は、たとえメンバーが集まっても、練習スペースの確保で苦労をかなりすると思います。ラグビーなどマイナー競技をしたいなら、なるべく既にその部活が存在する高校を選ぶのが良いでしょう。
都心の私立は、特に文化部などでは、私立どうしでイベントを開いたりする社交の場でもあります。よくあるのは、高偏差値の私立男子校が、近隣の高偏差値の女子高と、共同でイベントをしたりすることです。
このため、別に都大会とか全国大会で勝つ必要は無いのです。
また、外注コーチも、文化部にばかり手厚く与えられます。
地方の人は、けっして都心の私学の部活なんかを真に受けてはいけません。近所に早慶マーチの付属校がいくつもあってそれら有名私大付属の私立と交流できる都心の私立高校の部活と、そういうのが近所にない地方の公立高校とでは、まったく事情が違います。
つまり都心の私立中高の場合、学区の中どうしで学校間が公立・私立とも部活で交流するのではなく(そういうのはスポーツ強豪校以外は気にしてない)、それとは別に、私立どうしでの同盟のような交流イベントが色々とあります。公立高校は、そういうのには入れないわけです。
1990年代の大学評論の書籍で、浅羽通明(あさば みちあき)著『大学で何を学ぶか』でも、中世ヨーロッパのダンスパーティを例に、そういう例え話がありました。
中世・近世の貴族たちのダンスパーティで、本気でオーケストラの演奏やら歌を聴いているのは、音楽家志望の一部の家の青年くらいでしかない。ほとんどの参加者の貴族は、貴族どうしの社交こそが本当の目的であり、音楽とかダンスはその余興(よきょう)でしかないのだと、そんな感じのことを浅羽は書籍中で述べました。
スポ-ツでも、中学の大会ですが、首都圏私立中学校チャンピオンズカップみたいに、最初っから私立学校でないと参加そのものが不可能なリーグが存在しています高校にも同様、各種のスポーツで、私立のリーグが存在しています。
地方にも地元高校どうしのリーグ戦はあるかもしれませんが、しかし地方での無名の高校どうしリーグ戦の大会には、地元マスコミ以外は誰も感心を抱いてくれません。たとえば北海道民や東北民が、四国や九州の中高の地方リーグに関心が無いのと同様です。結局、東京に上京したがる地方民の因果応報、自業自得でしかありません。 | [
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"tag": "p",
"text": "余談ですが、食品部や畜産部や園芸部などが、農業高校だと、ある場合があります。ほか、なぜかよく分からないのですが、写真部がよくあります。きっと、仕事でカメラをよく使うのでしょうか。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "運動部では、柔道部の無い農業高校が散見されます。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "なお、工業大学には吹奏楽部があったりします。茶道部は、工業大学だと、存在している場合もよくあります。詳しくは各大学のホームページなどを確認してください。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "ただし、一般に工業大学は学業が忙しいので、あまり部活動には長時間は関われないかもしれません。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "なお、普通の公立の工業高校には茶道部なんぞ無い。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "高専はどうかいくつか学校を調べてみると、吹奏楽部はなんとかありますが、演劇部がない学校がチラホラです。茶道部があります。",
"title": "職業高校に無い部活"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "今時の高校野球は私立高校の独壇場です。松谷創一郎 著『“プロ部活”のための夏の甲子園──ますます空洞化する「教育の一環」』2017/8/6(日) 11:00 (Yahooニュース)",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "広尾晃 著『センバツ「私学と公立の格差」埋まらぬ根本原因 「特待生」や「野球留学」によるアンバランス』2021/03/30 12:00(東洋経済)",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "私学には学区の制限が無いので、他県からもスポーツの得意な受験生を集めることができます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "リンク先のYahooニュースの記事に、下記のような記述があります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "消えた名門公立校",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "80年代までは、公立高校の活躍も目立った。たとえば蔦監督が率いる池田高校(徳島)や、春夏合わせて7回の優勝を誇る広島商業(広島)の活躍が歴史に刻まれている。他にも松山商(愛媛)や箕島(和歌山)など、公立高校は少なくなかった。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "しかし、今大会に出場する公立高校はとても少ない。滝川西(北北海道)、高岡商(富山)、坂井(福井)、彦根東(滋賀)、三本松(香川)、鳴門渦潮(徳島)、東筑(福岡)、波佐見(長崎)──8校のみである。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "東洋経済でも、下記のような言われようです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "甲子園の出場校は、戦前から都市部は私学が多く、地方は公立学校が多かった。しかし近年は、全国的に私学が公立を凌駕しつつある。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "少子化とともに全国の公立高校では、統廃合が進んでいる。公立高校は2010年には全国で3780校あったが、2018年には3559校と221校も減少している。甲子園を沸かせた高校も例外ではない。1995年春の優勝校、香川県立観音寺中央高は、2017年、香川県立三豊工業高と統合されて観音寺総合高になった。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "少子化に加え、地方財政の疲弊によって部活動予算が削減される学校が多く、公立高の野球部の多くは財政難に苦しんでいる。グラウンドや練習施設も老朽化している。さらに部員が減少したために「連合チーム」を組む学校も増えてきた。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "このように、高校スポーツは私学の大会です。もはや公立学校は、例外として体育学科とかのある特別な公立高校でもない限り、もう高校スポーツで公立学校が活躍するのは難しいでしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "私立はスポーツ推薦などにより中学スポーツで好成績をおさめた受験生を集めていますので、もう公立高校では、ほぼ活躍は無理です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "運動部だけでなく、文化部も似たような傾向です。たとえば吹奏楽部に関しては、楽器は高いので、私学が有利だと、雑誌『東洋経済』の取材で明らかになっています。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "東洋経済に下記の記事があります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "またある公立校の吹奏楽部には、古くて手入れの行き届かない楽器しかない。部員たちはアルバイトの合間に楽器に触りに来る。金管楽器の中には凹んだものもある。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "指導者は「コンクールとかはとんでもないので、何とか数曲は演奏できるようにしたいんです。部員たちはクリスマスに近所の老人ホームで慰問のコンサートをやるのが目標です。この学校の子たちは、卒業後の目標がない子が多いのですが、お年寄りが喜ぶ姿を見て、福祉関係に行きたい、と言い出した子どももいます」と言った。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "余談ですが、日本人作曲のクラシック曲で、実は吹奏楽コンクールなどの課題曲として作られたオリジナル曲で、クラシック風に日本人の作曲したオリジナル曲というものが幾つもあります。(しかし音楽教科書や一般の楽譜集などには書いてない曲である。)日本人作曲クラシック音楽は、決して西洋ファンタジー風ゲームとか西洋ファンタジー風アニメのBGMとしてしか残ってないわけではないので、勘違いしないように。もちろんそういう表現も否定しませんが。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "文武両道ならぬ、文武 \"別\" 道 という言葉もあります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。流行は文武両道ならぬ文武“別”道。』 (NumberWeb)",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "最近の流行りは複数コースでの「文武別道」。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "野球で甲子園を目指す生徒と、勉強で東大・京大を目指す生徒を別枠で集める。こういうのを「文武別道」というそうだ。今、全国の私立高校はこの方向に傾いている。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "少子化の中、私立高校は厳しい競争をしている。「文武別道」は、より多くの優秀な生徒を獲得し、競争を生き抜くための大方針なのだ。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "世の中、世知辛くなった。本当の意味の「文武両道」の学校は、絶滅危惧種なのかもしれない。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "上記では説明を省略しましたが、「文武両道」にしろ「文武別道」にしろ、私立高校の宣伝でいう「文武」の「武」とは部活動のことであり、大学受験の推薦入試でその部活での功績が高く評価される部活のことです。文化部だろうが何だろうが、大学受験の推薦入試でさえ高く評価されれば構いません。また、「文」とはその高校の生徒における大学受験の一般入試などを突破する学力のことであり、いわゆる大学受験の偏差値です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "例外として、ごく一部の私学では、武道や体育を重視している私立高校もありますので、念のため、「武」がどちらの意味なのかを高校のパンフレットなどは確認しておきましょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "野球は9人まで(「○○ナイン」)、サッカーは11人まで(よく草野球チームのことを「○○イレブン」とか言います)ですが、野球部の10人目以降、サッカー部の9人目以降は補欠のための要員です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "競技によっては、春大会や夏大会や秋大会のように年に2回の大会があって、たとえば春大会は補欠要員のための出場場所だったりとか考えられます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "春大会に引退間近の3年生が優先して出場するとしても、1学年あたり11人まで、です。高校は3年間なので、その3倍で春大会で将来的に出場予定の部員の数は、単純計算でサッカーの場合は 11人×3学年=33人 まで。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "秋大会の本命の夏大会も含めると、単純計算で3倍になり、33人×3倍=99人まで。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "本命の夏大会のほうでは決してローテーション人事(じんじ)みたいなことはしないのが現実でしょうから、これよりも公式試合に出場できる人は少なくなります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "なので、33×2+11=77人くらいが、とりあえずの現実的な限界。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "そもそも、大型バスで運べる人数が約50人まで(ネットで調べたら補助座席を使って53人まで)です。1学級が多くても40人+数人なのには、大型バスの限界という理由もあります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "裏を返すと私立大学のように1学級が80人~120人とかの場合、行事ではバスがなく、普通は現地集合です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "なので、高校によっては部員数の制限として「50人まで。1学年あたり17人まで」というように制限を設けているのは、そういうバスの理由もあります。1年生はバスに載せないとして2年生以降はバスに載せるなどすれば、50人以上の部員も可能ですが、それでも常識的に部員数はせいぜい60くらいまででしょう。部員数60人の場合、1学年あたり20人であり、2年生以上がバスに乗るとして40人になり、顧問なども含めても何とかバスに乗れます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "プロ野球には一軍と二軍というのがありますが、スポーツの強豪高校に進学すれば、多くの生徒は高校時代から二軍のような気分を経験できる事でしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "もしくは、最初から入部制限があるかもしれません。大会出場の見込みのない人はその部活に入れないなどのルール、もしくは硬式(こうしき)野球ではなく軟式(なんしき)野球部にしか入れない、とにかく二軍の気分を味わえます。社会人みたいで大人ですね。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "春大会や夏大会を補欠メンバーに割り当てることにより、夏大会用の本命生徒は夏大会以外の試合対策をしなくて済むので、夏大会生徒は春・秋には学校の勉強などにも集中でき学力も向上できます。また、あまり試合ばかり対策してると、さすがに高校の定期テスト対策などがキツイです。また、こういった分担・分業により、スポーツ推薦で文系の大学に進学した後の学業も安心です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "なお、3年生は夏に引退するので、秋大会は若手である1年生・2年生に経験を積ませるための大会というのが慣習です。秋大会のメンバーの中には、来年の夏大会のメンバーもいるでしょう。逆に、春大会は、主に引退する3年生のための大会です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "このため、決して単純計算どおりに99人が何らかの公式大会に出られるなんてことはありえず、実際には公式大会に出られるメンバーの人数は、もっと減ります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "秋大会と夏大会を除くのが現実的であり、夏・秋の11人と、春大会のローテーション人事で3×11を合わせて、合計で11人+33人=44人、くらいが現実的でしょうか。ちょうど大型バスに乗れます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "試合に出れなかった若干名は、体育祭などで運営側を手伝うなどの仕事が与えられるでしょうか。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "運動部に限らず文化部も同様です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "実際、雑誌『東洋経済』の取材によると、ある高校の吹奏楽部では、野球部の応援などのチームと、吹奏楽の大会などでチームを別々に分けて活動している高校もあると知られています。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "外部の人は、まさか文化部の内部でチームが分かれているなんて知らないので、あたかも一人の部員が野球部の応援の演奏から吹奏楽コンクールまで幅広く曲の演奏をこなしているように見えますが、しかし、素人の勘違いです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "たとえば吹奏楽部なら、地元の老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートに行くメンバーと、県大会や全国大会などの公式の大会に出場するメンバーが、必ずしも同じメンバーとは限りません。音楽とはこのように、プロでなければ少しくらい演奏をミスしたりして少し下手であっても平気なのです。じっさい、少しの演奏のミスに文句を言う保育園児なんていないでしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "文化部でもこのようにイベントごとに出場メンバーを交代することにより、学業での偏差値の高さと部活での業績とを両立できます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "もしかしたら部活によっては大会の時期が夏ではなく冬の場合もあるかもしれません。しかし、春大会が引退する3年生のため、秋大会が1年生に経験を積ませるため、という出場高校側の意図は、おおむね変わらないでしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "慰問ついでに言うと、僕たちが学校で習う歌や曲は、じつは教育用にけっこう大きくアレンジされた曲です。何十年も前の昭和や平成初期の当時の歌や曲とは、現代の学校で習う曲は微妙に違っています。もともとの曲は歌手1人を宣伝するためのものですが、しかしそれだと男女で混声合唱できませんので、合唱曲用に学校で習う歌や曲はほぼ全曲が編曲されています。文化祭とかに行く際、こういった事も考慮すると効率的でしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "だから高校卒業や大学卒業などで企業に就職して、会社の忘年会などのカラオケ(二次会)で、学生時代に授業で習って知っている歌をうたおうとすると、カラオケ曲と学校曲とで曲調がまったく違っていたりして戸惑ったりすることもあったりとか。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "なお、高校の文化部の紹介で、「わが校の〇〇部は(全国大会の優勝などの目標の)競技を目指さない部活です」とか紹介されたとしても、運動部とちがって文化部の場合だと慰問や地域交流イベントみたいに競技以外の色々な活動がありますので、けっして「気軽に遊べる部活だ」なんて勘違いしないようにしましょう。よほど特別な高校でない限り(定時制とか通信制とか高専とか)、文化「部」は(同好会はどうか知りません)そういった地域交流イベントみたいなのも参加したりしますので、勘違いしないように。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "編曲うんぬんの余談ですが、実は小中の国語の教科書にある作品も、原作と教科書版とで、言い回しが改訂されている事もあります。たとえば谷川俊太郎訳『スイミー』がそうです。スイミーが教科書掲載された際に、「○○してた」→「○○していた」みたいに言い回しが改訂されています。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "こういうのは谷川俊太郎に最近に始まったことではなく、昭和の時代から、阿川弘之『きかんしゃやえもん』が1968年版の小学校2年生の国語(下巻)の教科書に掲載をされた際に、ページ数の制限の都合で内容の削減などの改訂をされたり、漢字が追加されています(原作は本文がすべて平仮名)。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "埼玉県の県立進学校で、浦和(うらわ)高校という埼玉公立トップ偏差値の高校があるのですが、その高校は建学の理念として文武両道を掲げているのですが、しかし大学受験での浪人率が比較的に高い高校でもあり(代わりに進学先の大学の偏差値は他校よりも高いですが)、浦和高校でも部活に専念する学生は、浪人をして志望大学に入る人が多いのが現実です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "そうそう、スポーツの世界は選手寿命が短いので、プロスポーツ選手を目指すなら浪人しないのが普通です。だからスポーツ系で大学進学する人は、推薦でも何でもいいから、さっさと文系の私立大学に行くのです(理系の大学だと運動施設などが貧しいし、練習時間も取れないので)。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "進学校などで土曜日に授業がある高校では、当然ですが土曜日に開催される学外の部活動コンクールや大会など学外イベントには出づらくなります。(どうしても大会などのイベントに土曜日に出る場合、授業は公欠になる。)",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "なので、土曜授業を行っている高校は、それだけ部活がコンクールなどの出場イベント数を減らしている、という意味でもあります。なので学業と部活の「文武両道」とか、真に受け過ぎないようにしましょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "イベントの開催日にちによっては、土曜日が祝日で授業が無い場合もありますが、その日には近隣の他の私立の部活動もそのイベントに出たがりますので、スケジュール的に競合します。もし、土曜授業をしている私立や公立進学校などをコンクールの祝日に優先すると、首都圏などだと、祝日のコンクール出場校が私立と公立進学校ばかり、なんて事態になりかねません。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "国の通達により、過熱化する部活動を規制する総量規制がありますので、一人当たりが活動時間や活動日数に上限が掛けられています。運動部についての記事ですが、ネット記事『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』によると、下記のようにあります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "冒頭のスポーツ庁が今月発表したガイドライン骨子案は、部活動の活動量について「週当たり2日以上の休養日」、「長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度」、「大会数の上限の目安等を定める」と、具体的に総量規制に踏み込んでいる。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "文化部についても文化庁が同様のガイドライン『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(2018年)を策定しており、スポーツ庁のガイドラインと同様の内容です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "このため、一つの学校が何でもイベント参加できるわけではなく、何かのイベントに参加する場合、他のイベントを諦めることになります。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "大会やコンクール、コンテスト、発表会、地域からの要請により地域の行事や催し等、運動部の応援、などなど決して何でもは参加できないのが建前です。もし、そういったすべてのイベントに参加している文化部があれば、(体育学科や音楽学科などの高校でないかぎり)普通科高校なら文化庁ガイドライン違反です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "なお、中央官庁の行政機関からの通達により、大会や地域の催し物などの統廃合を行ってイベントを減らせという要請が国からされています。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "文化系の部活の場合、そもそもトーナメント戦の大会に参加そのものをしない高校も、公立・私立とも、あります。高校入学後に部活の業績で全国に名をあげようとしている人は、進学しようとしている高校がトーナメント戦大会について参加する方針かそうでない方針なのか、受験前に学校紹介パンフレットや学校ホームページなどの部活紹介などで確認してください。もしパンフレットなどの部活紹介で、全国大会や県大会などの出場実績を誇っている高校なら、おそらくはトーナメント戦にその部活が参加する方針の高校でしょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "トーナメント戦そのものに参加しない高校では、自分がどんなにその部活が上手くても、そもそも地区予選の時点で不戦敗なので、どうあがいても全国大会に出場しようがないのです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "学校教員側の視点で見ると、トーナメント戦のイベントは勝ち負けによってスケジュールも変わるので、事前に予定が立てづらく(もっとも開催日も土日ですが)、なかなか面倒です。顧問の遠征や引率などのスケジュールも勝ち負けによって変動してしまいます。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "よくスポ根マンガ(スポーツ根性モノのマンガ)とかで、高校の運動部が、トーナメント戦の公式競技を地区大会→県大会→全国大会とか勝ち抜いたりとかの描写があります。文化部では、必ずしもすべての部活がトーナメント戦に参加するとは限らないのです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "運動部と違って文化部は勝ち負けを競う必要が無いので、トーナメント戦にあまり参加しない高校もあるのです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "ほか、私立では部活のコーチは外注の派遣だったりします。そういう部活専門の派遣会社がすでに存在しています。もはや、教員免許をもった教員ではなく、外注です。生徒だけでなく部活コーチも文武別道です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "ネット上で、いわゆる進学校のいくつかでは、部活の引退は高校2年の2学期~3学期という高校もある、という発言が、ネット各所から上がっています。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "必ずしもすべての高校が、高校3年の夏の6~7月で部活を引退するとは限らず、もっと前に引退するのが原則になってると思われる高校も幾つかあるようです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "塾業界の言い伝えでは、部活で朝練・夜練などが無く負担が軽いとか、運動部でも週1~2日だけの出席ノルマとか、そういう言い伝えが塾業界から報告されている",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "そもそも、部活の内容が運動部とも限らず、部活の種類によっては活動内容が受験勉強に生かしやすい分野もある(「科学部」「歴史部」など)。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "世間の人の多くは、普通科以外の「体育科」とか「美術科」「音楽科」とかの専門高校という制度そのものを知りません。普通科以外は、工業高校・商業高校・農業高校・水産高校しか存在しないと思ってる情報弱者の大人も多いのです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "「私立はスポ-ツ推薦でスポーツ優秀な生徒を集めてて、ズルい!」とか言う人は、では公立高校の体育学科はズルくないと考えている官尊民卑(かんそんみんぴ)の主義者なのでしょうか。テレビとかの高校スポーツ番組とかで、ある高校を「公立高校」と聞いただけで、勝手に「普通科に違いない」と早合点して「文武両道で、スゴイ!」とか言う情報弱者の高校スポーツファンも世間には多そうです。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "体育科だけでなく、「美術科」とか「音楽科」といった美術高校・音楽高校も存在します。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "ついつい、世間の情報弱者たちは、公立中学の吹奏楽部とか美術部とかのイメージの延長線上で考えがちですが、しかし、そうではなく、体育科の時間割のスポーツ専門科目の部分を、美術の専門科目あるいは音楽の専門科目に置き換えたような時間割です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "法律で、専門科目の単位数については、25単位以上だと文科省の学習指導要領などで決まっています。なので、「美術科」「音楽科」の時間割は、けっして普通科の文系コースのような時間割ではなく、たとえば数学IIは時間割に存在しないのが普通です。仮に数学IIがなんとか存在しても、数学Bや数学Cは存在しないのが大半です。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "そういう公立の専門高校が存在するのも多様性であり民主主義ですが、しかし「公立 = 文武両道」という、実態と離れた意味不明な勘違いはヤメましょう。",
"title": "部活と文武“別”道"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "全日制(朝8時くらいに登校する普通の課程はコレです)の部活動での地区大会~全国大会などの公的な大会は、普通、出場資格に「18歳まで(18歳も含む)」または「19歳まで」のような年齢制限があります。",
"title": "部活の大会と年齢"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "なので、浪人などせず、さっさと合格した高校に進学するほうが得です。",
"title": "部活の大会と年齢"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "また、高校で留年した場合も、同一学年では出場できなくなるのが普通です。「同一学年で春大会・夏退会に出場できる回数はそれぞれ1回まで」のような内容の規定があるのが普通です。大会出場目的の意図的な留年を防ぐために、こういう規定があると思われます。",
"title": "部活の大会と年齢"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "なお、定時制・通信制の大会と全日制の大会とは、別々の大会です。定時制・通信制の大会は「全国高等学校定時制通信制〇〇大会」みたいな名前です。定時制などの場合、年齢制限の無い場合も多いですが、同一学年の出場が1回まで等の規定があり、よって留年などで意図的に出場回数を増やすのは不可能です。",
"title": "部活の大会と年齢"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活の大会と年齢"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "たとえば理科系の大学の学部学科など、一般入試で入った人ですら留年や退学も多い難関の大学であっても、スポーツ推薦などで入学できてしまう場合があり、そのためスポーツ推薦者などの留年などの問題も起きかねません。",
"title": "難関私大にスポーツ推薦で入れてしまう危険性"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "高校卒業後の専門教育はもはや義務教育でも何でもないので、大学の学科の専門的な学問は「ある程度以上専門的になると万人向けではなくなる」という原則があります。スポーツの大会がもはや万人向けでないのと同様です。",
"title": "難関私大にスポーツ推薦で入れてしまう危険性"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "余談ですが、東京都内は過密のため私立高校の敷地も狭いことが多いので、そのため校庭も狭いので、屋外の運動部に入る予定の人は志望校選びで少し気にする必要があります。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "具体的には、いくつかの屋外の運動部の練習場所が、学校の敷地外の民間の練習場になる可能性があります。さすがに歩いて数分で通える場所(または自転車で数分の場所)に練習場所を確保するでしょうが、裏を返すと数分は掛かってしまう場所に練習場のある場合があります。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "たとえばテニス部とか、そうなるかもしれません。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "昭和の戦後に新制の私立高校が設立された高度経済成長期 ~ 1970年代の時代、まさか未来の2020年代には私立高校が部活の強豪になるとは昔の人は思わず、そのため私立高校は運動部が21世紀の今でこそ強豪であっても、その校庭が意外と狭いことが多いのです。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "校庭自体には、体育の授業をするための最低限の敷地しかない場合もあります。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "たとえば、校庭は野球部とサッカー部が優先に使うので、その他の部活動の敷地が狭い、専用のテニスコートが1~2面しかないとかの場合もありえます(ただし体育の授業で使うので最低1面はある)。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "このたった1~2面のコートを、付属中学がある中高一貫校なら、中学生と高校生とで共有するのです(ただし中学の全生徒数は高校のそれの半分くらいなのが通常)。もしくは、中学生は子どもなので校庭のコートで優遇、高校生は校外の練習場でガマンして、というふうに別々の場所かもしれません。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "野球部とサッカー部とソフトボール部と陸上部とラグビー部が、同日に一緒に校庭で練習するのが難しい高校もあります。練習日を変える必要があるかもしれません。もっとも学業の予習・復習も高校生には必要なので、練習しない日があるのも文武両道としては良いかもしれませんが。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "テニス部は存在するだけマシです。高校によっては、スポーツ強豪校であるにもかかわらず、ラグビー部などマイナー競技ぎみの部活が存在しないスポーツ強豪校もあります。敷地不足のため、部活をもう増やせないのです。そのため、小中の体育の授業では習わないラグビーの部活が削られたりします。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "首都圏では、ラグビー部のある高校は、かなり少ないです。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "参考サイト 『部活に「ラグビー部」のある高校』 を見ると、甲子園の強豪校などで知られる首都圏の私立高校にもラグビー部は存在していない場合が大半です。都心だと、戦前からの私立大学の付属校や、旧制高校の伝統をもつような古くからの私立高校でないと、そもそもラグビー部が存在してない傾向があります。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "もちろん、スポーツで好記録を出してる私立高校なら、そういう「校庭が狭い」という条件下でも好記録を出しているノウハウがその高校にあるわけですので、高校に希望の部活があるなら志望するのも良いでしょうが。ともかく、都心の私立高校の多くは校庭が狭いです。 運動部の場所は、校外の少し離れた練習場になる場合があります。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "条件の良い練習場は、その高校の看板の運動部が押さえます(たとえば甲子園出場校なら野球部が校庭を使う)。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "首都圏に限った話ではないですが、スポーツ高校の私学には、知名度があって地域の人気もあるのに付属中学を作ろうとしない私学もあります。もし高校に付属中学があると、狭い校庭をさらに中学生と使い分けてしまうので、ますます狭くなってしまうから、それを恐れているのでしょう。付属中学を作る際、校庭を新校舎のために減らさないといけない場合もありますので、それは既存の高校の運動部と干渉します。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "運動部の新設は、たとえメンバーが集まっても、練習スペースの確保で苦労をかなりすると思います。ラグビーなどマイナー競技をしたいなら、なるべく既にその部活が存在する高校を選ぶのが良いでしょう。",
"title": "都心の狭い高校の運動部"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "都心の私立は、特に文化部などでは、私立どうしでイベントを開いたりする社交の場でもあります。よくあるのは、高偏差値の私立男子校が、近隣の高偏差値の女子高と、共同でイベントをしたりすることです。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "このため、別に都大会とか全国大会で勝つ必要は無いのです。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "また、外注コーチも、文化部にばかり手厚く与えられます。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "地方の人は、けっして都心の私学の部活なんかを真に受けてはいけません。近所に早慶マーチの付属校がいくつもあってそれら有名私大付属の私立と交流できる都心の私立高校の部活と、そういうのが近所にない地方の公立高校とでは、まったく事情が違います。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "つまり都心の私立中高の場合、学区の中どうしで学校間が公立・私立とも部活で交流するのではなく(そういうのはスポーツ強豪校以外は気にしてない)、それとは別に、私立どうしでの同盟のような交流イベントが色々とあります。公立高校は、そういうのには入れないわけです。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "1990年代の大学評論の書籍で、浅羽通明(あさば みちあき)著『大学で何を学ぶか』でも、中世ヨーロッパのダンスパーティを例に、そういう例え話がありました。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "中世・近世の貴族たちのダンスパーティで、本気でオーケストラの演奏やら歌を聴いているのは、音楽家志望の一部の家の青年くらいでしかない。ほとんどの参加者の貴族は、貴族どうしの社交こそが本当の目的であり、音楽とかダンスはその余興(よきょう)でしかないのだと、そんな感じのことを浅羽は書籍中で述べました。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "スポ-ツでも、中学の大会ですが、首都圏私立中学校チャンピオンズカップみたいに、最初っから私立学校でないと参加そのものが不可能なリーグが存在しています高校にも同様、各種のスポーツで、私立のリーグが存在しています。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "地方にも地元高校どうしのリーグ戦はあるかもしれませんが、しかし地方での無名の高校どうしリーグ戦の大会には、地元マスコミ以外は誰も感心を抱いてくれません。たとえば北海道民や東北民が、四国や九州の中高の地方リーグに関心が無いのと同様です。結局、東京に上京したがる地方民の因果応報、自業自得でしかありません。",
"title": "都心の私立の部活は社交の場"
}
] | null | == 職業高校に無い部活 ==
=== 吹奏楽部の無い工業高校 ===
工業高校や農業高校など肉体労働系の学科の高校の多くに、吹奏楽部が無いか、あっても活動が小規模です。(なお商業高校には吹奏楽部が存在する場合が比較的に多いです)
例えば東京都の場合、東京都立の杉並高等工科学校や足立高等工科学校には吹奏楽部はありません<ref>[https://www.metro.ed.jp/suginamikoka-h/school_life/activities.html 『部活動・生徒会 | 東京都立杉並工科高等学校 | 東京都立学校』 2023年12月28日に閲覧. ] </ref><ref> [https://www.metro.ed.jp/adachikoka-h/school_life/activities.html 『部活動・生徒会 | 東京都立足立工科高等学校 | 東京都立学校』 2023年12月28日に閲覧. ] </ref>。
他県でも同様の傾向です。
もし、野球部など高校スポーツの運動部の公式試合のトーナメント戦で県大会以上に勝ち進んで応援の吹奏楽部などが必要になった場合は、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援の演奏をする慣習があります。
チアリーディング部なども同様、工業高校などには無いのです。
スポーツ応援とは関係ありませんが、演劇部も多くの工業高校にはありません。
中学でこれらの部活をしていた人や、高校時代にこれらの部活をしたい人は、入学前によく考えてください。
軽音楽部や美術部は工業高校にもある高校もありますが、しかし現代(2023年12月に本文を記述)のところ甲子園などを見ても、応援席で軽音楽をするような風潮はありません。
なので、応援の音楽を自校の生徒で演奏したいなら、たとえば応援団などが校歌を歌うしかないかもしれません。ああ玉杯に花受けて。([[w:あゝ玉杯に花うけて]])
工業高校にも「音楽部」という部活がある場合もありますが、しかし高校野球などの全国大会を見ても、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援するのが実情です。
なお、茶道部・華道部は無い工業高校がほとんどです。
=== 農業高校に演劇部が無いことが多い ===
農業高校では、たとえ吹奏楽部のある高校でも、よく調べると'''演劇部が無い'''、という学校がとてもよくあります。
農業高校には、茶道部や華道部はよくあります。演劇部だけ無い、というパターンがよく農業高校の部活の構成で見られます。
農業高校には吹奏楽部はある事も無い事もありますが、たとえ吹奏楽部があっても、演劇部は無いのが農業高校のほとんどです。
「合唱部」は、ほとんど無いです。ただし、もしかしたら吹奏楽部で合唱の練習をしているかもしれません。ただし県大会などの合唱コンクールには、吹奏楽部だと参加できないと思います。
美術部も、無い場合があります。首都圏の農業高校でないと、演劇部や美術部は無いことが多いかもしれません。あるいは京都・大阪や愛知などの地方都市でないと、演劇部は無い傾向があります。
余談ですが、食品部や畜産部や園芸部などが、農業高校だと、ある場合があります。ほか、なぜかよく分からないのですが、写真部がよくあります。きっと、仕事でカメラをよく使うのでしょうか。
運動部では、柔道部の無い農業高校が散見されます。
=== (※おまけ)工業大学の文化部はどうなのか? ===
なお、工業大学には吹奏楽部があったりします。茶道部は、工業大学だと、存在している場合もよくあります。詳しくは各大学のホームページなどを確認してください。
ただし、一般に工業大学は学業が忙しいので、あまり部活動には長時間は関われないかもしれません。
なお、普通の公立の工業高校には茶道部なんぞ無い。
;高専の文化部はどうなのか?
高専はどうかいくつか学校を調べてみると、吹奏楽部はなんとかありますが、演劇部がない学校がチラホラです<ref>[https://www.metro-cit.ac.jp/student/club.html『クラブ活動の紹介 | 東京都立産業技術高等専門学校』] 2023年12月28日に閲覧. </ref><ref>[https://www.tokyo-ct.ac.jp/student_life/clubs/ 『部活動一覧|国立東京工業高等専門学校 ] 2023年12月28日に閲覧. </ref>。茶道部があります。
== 部活と文武“別”道 ==
=== 基本 ===
今時の高校野球は私立高校の独壇場です。[https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9aa77b7da6f5898db7f6cdbabd15826de401e3f0 松谷創一郎 著『“プロ部活”のための夏の甲子園──ますます空洞化する「教育の一環」』2017/8/6(日) 11:00] (Yahooニュース)
[https://toyokeizai.net/articles/-/419878 広尾晃 著『センバツ「私学と公立の格差」埋まらぬ根本原因 「特待生」や「野球留学」によるアンバランス』2021/03/30 12:00](東洋経済)
私学には学区の制限が無いので、他県からもスポーツの得意な受験生を集めることができます。
リンク先のYahooニュースの記事に、下記のような記述があります。
<blockquote>
消えた名門公立校
80年代までは、公立高校の活躍も目立った。たとえば蔦監督が率いる池田高校(徳島)や、春夏合わせて7回の優勝を誇る広島商業(広島)の活躍が歴史に刻まれている。他にも松山商(愛媛)や箕島(和歌山)など、公立高校は少なくなかった。
しかし、今大会に出場する公立高校はとても少ない。滝川西(北北海道)、高岡商(富山)、坂井(福井)、彦根東(滋賀)、三本松(香川)、鳴門渦潮(徳島)、東筑(福岡)、波佐見(長崎)──8校のみである。
</blockquote>
東洋経済でも、下記のような言われようです。
<blockquote>
甲子園の出場校は、戦前から都市部は私学が多く、地方は公立学校が多かった。しかし近年は、全国的に私学が公立を凌駕しつつある。
少子化とともに全国の公立高校では、統廃合が進んでいる。公立高校は2010年には全国で3780校あったが、2018年には3559校と221校も減少している。甲子園を沸かせた高校も例外ではない。1995年春の優勝校、香川県立観音寺中央高は、2017年、香川県立三豊工業高と統合されて観音寺総合高になった。
</blockquote>
:(※ 中略)
<blockquote>
少子化に加え、地方財政の疲弊によって部活動予算が削減される学校が多く、公立高の野球部の多くは財政難に苦しんでいる。グラウンドや練習施設も老朽化している。さらに部員が減少したために「連合チーム」を組む学校も増えてきた。
</blockquote>
このように、高校スポーツは私学の大会です。もはや公立学校は、例外として体育学科とかのある特別な公立高校でもない限り、もう高校スポーツで公立学校が活躍するのは難しいでしょう。
私立はスポーツ推薦などにより中学スポーツで好成績をおさめた受験生を集めていますので、もう公立高校では、ほぼ活躍は無理です。
運動部だけでなく、文化部も似たような傾向です。たとえば吹奏楽部に関しては、楽器は高いので、私学が有利だと、雑誌『東洋経済』の取材で明らかになっています。
東洋経済に下記の記事があります<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/541746?page=4 広尾晃 著『中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情 テスト前にも「家でしっかり練習しろ」と熱血指導』 2022/03/27 6:00 ] 2023年12月08日に閲覧. </ref>。
<blockquote>
またある公立校の吹奏楽部には、古くて手入れの行き届かない楽器しかない。部員たちはアルバイトの合間に楽器に触りに来る。金管楽器の中には凹んだものもある。
指導者は「コンクールとかはとんでもないので、何とか数曲は演奏できるようにしたいんです。部員たちはクリスマスに近所の老人ホームで慰問のコンサートをやるのが目標です。この学校の子たちは、卒業後の目標がない子が多いのですが、お年寄りが喜ぶ姿を見て、福祉関係に行きたい、と言い出した子どももいます」と言った。
</blockquote>
余談ですが、日本人作曲のクラシック曲で、実は吹奏楽コンクールなどの課題曲として作られたオリジナル曲で、クラシック風に日本人の作曲したオリジナル曲というものが幾つもあります。(しかし音楽教科書や一般の楽譜集などには書いてない曲である。)日本人作曲クラシック音楽は、決して西洋ファンタジー風ゲームとか西洋ファンタジー風アニメのBGMとしてしか残ってないわけではないので、勘違いしないように。もちろんそういう表現も否定しませんが。
文武両道ならぬ、文武 "別" 道 という言葉もあります。
[https://number.bunshun.jp/articles/-/827454?page=4 広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。流行は文武両道ならぬ文武“別”道。』 ](NumberWeb)
<blockquote>
最近の流行りは複数コースでの「文武別道」。
</blockquote>
<blockquote>
野球で甲子園を目指す生徒と、勉強で東大・京大を目指す生徒を別枠で集める。こういうのを「文武別道」というそうだ。今、全国の私立高校はこの方向に傾いている。
少子化の中、私立高校は厳しい競争をしている。「文武別道」は、より多くの優秀な生徒を獲得し、競争を生き抜くための大方針なのだ。
世の中、世知辛くなった。本当の意味の「文武両道」の学校は、絶滅危惧種なのかもしれない。
</blockquote>
上記では説明を省略しましたが、「文武両道」にしろ「文武別道」にしろ、私立高校の宣伝でいう「文武」の「武」とは部活動のことであり<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=MXold6wQ9PY&list=RDCMUC-QTcMOL4F_B922ClrkoI5A&start_radio=1&rv=MXold6wQ9PY&t=3 山内太地 『学力が低い私立高校が生き残る方法』2021/12/05、 2:20 あたり ]</ref>、大学受験の推薦入試でその部活での功績が高く評価される部活のことです。文化部だろうが何だろうが、大学受験の推薦入試でさえ高く評価されれば構いません。また、「文」とはその高校の生徒における大学受験の一般入試などを突破する学力のことであり、いわゆる大学受験の偏差値です。
例外として、ごく一部の私学では、武道や体育を重視している私立高校もありますので、念のため、「武」がどちらの意味なのかを高校のパンフレットなどは確認しておきましょう。
;部員数の限界はバスの人員
野球は9人まで(「○○ナイン」)、サッカーは11人まで(よく草野球チームのことを「○○イレブン」とか言います)ですが、野球部の10人目以降、サッカー部の9人目以降は補欠のための要員です。
競技によっては、春大会や夏大会や秋大会のように年に2回の大会があって、たとえば春大会は補欠要員のための出場場所だったりとか考えられます。
春大会に引退間近の3年生が優先して出場するとしても、1学年あたり11人まで、です。高校は3年間なので、その3倍で春大会で将来的に出場予定の部員の数は、単純計算でサッカーの場合は 11人×3学年=33人 まで。
秋大会の本命の夏大会も含めると、単純計算で3倍になり、33人×3倍=99人まで。
本命の夏大会のほうでは決してローテーション人事(じんじ)みたいなことはしないのが現実でしょうから、これよりも公式試合に出場できる人は少なくなります。
なので、33×2+11=77人くらいが、とりあえずの現実的な限界。
そもそも、大型バスで運べる人数が約50人まで(ネットで調べたら補助座席を使って53人まで)です。1学級が多くても40人+数人なのには、大型バスの限界という理由もあります。
裏を返すと私立大学のように1学級が80人~120人とかの場合、行事ではバスがなく、普通は現地集合です。
なので、高校によっては部員数の制限として「50人まで。1学年あたり17人まで」というように制限を設けているのは、そういうバスの理由もあります。1年生はバスに載せないとして2年生以降はバスに載せるなどすれば、50人以上の部員も可能ですが、それでも常識的に部員数はせいぜい60くらいまででしょう。部員数60人の場合、1学年あたり20人であり、2年生以上がバスに乗るとして40人になり、顧問なども含めても何とかバスに乗れます。
プロ野球には一軍と二軍というのがありますが、スポーツの強豪高校に進学すれば、多くの生徒は高校時代から二軍のような気分を経験できる事でしょう。
もしくは、最初から入部制限があるかもしれません。大会出場の見込みのない人はその部活に入れないなどのルール、もしくは硬式(こうしき)野球ではなく軟式(なんしき)野球部にしか入れない、とにかく二軍の気分を味わえます。社会人みたいで大人ですね。
春大会や夏大会を補欠メンバーに割り当てることにより、夏大会用の本命生徒は夏大会以外の試合対策をしなくて済むので、夏大会生徒は春・秋には学校の勉強などにも集中でき学力も向上できます。また、あまり試合ばかり対策してると、さすがに高校の定期テスト対策などがキツイです。また、こういった分担・分業により、スポーツ推薦で文系の大学に進学した後の学業も安心です。
なお、3年生は夏に引退するので、秋大会は若手である1年生・2年生に経験を積ませるための大会というのが慣習です。秋大会のメンバーの中には、来年の夏大会のメンバーもいるでしょう。逆に、春大会は、主に引退する3年生のための大会です。
このため、決して単純計算どおりに99人が何らかの公式大会に出られるなんてことはありえず、実際には公式大会に出られるメンバーの人数は、もっと減ります。
秋大会と夏大会を除くのが現実的であり、夏・秋の11人と、春大会のローテーション人事で3×11を合わせて、合計で11人+33人=44人、くらいが現実的でしょうか。ちょうど大型バスに乗れます。
試合に出れなかった若干名は、体育祭などで運営側を手伝うなどの仕事が与えられるでしょうか。
運動部に限らず文化部も同様です。
実際、雑誌『東洋経済』の取材によると、ある高校の吹奏楽部では、野球部の応援などのチームと、吹奏楽の大会などでチームを別々に分けて活動している高校もあると知られています<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/541746?page=2 広尾晃 著『中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情 テスト前にも「家でしっかり練習しろ」と熱血指導』 2022/03/27 6:00 ] 2023年12月08日に閲覧. </ref>。
外部の人は、まさか文化部の内部でチームが分かれているなんて知らないので、あたかも一人の部員が野球部の応援の演奏から吹奏楽コンクールまで幅広く曲の演奏をこなしているように見えますが、しかし、素人の勘違いです。
たとえば吹奏楽部なら、地元の老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートに行くメンバーと、県大会や全国大会などの公式の大会に出場するメンバーが、必ずしも同じメンバーとは限りません。音楽とはこのように、プロでなければ少しくらい演奏をミスしたりして少し下手であっても平気なのです。じっさい、少しの演奏のミスに文句を言う保育園児なんていないでしょう。
文化部でもこのようにイベントごとに出場メンバーを交代することにより、学業での偏差値の高さと部活での業績とを両立できます。
もしかしたら部活によっては大会の時期が夏ではなく冬の場合もあるかもしれません。しかし、春大会が引退する3年生のため、秋大会が1年生に経験を積ませるため、という出場高校側の意図は、おおむね変わらないでしょう。
慰問ついでに言うと、僕たちが学校で習う歌や曲は、じつは教育用にけっこう大きくアレンジされた曲です。何十年も前の昭和や平成初期の当時の歌や曲とは、現代の学校で習う曲は微妙に違っています。もともとの曲は歌手1人を宣伝するためのものですが、しかしそれだと男女で混声合唱できませんので、合唱曲用に学校で習う歌や曲はほぼ全曲が編曲されています。文化祭とかに行く際、こういった事も考慮すると効率的でしょう。
だから高校卒業や大学卒業などで企業に就職して、会社の忘年会などのカラオケ(二次会)で、学生時代に授業で習って知っている歌をうたおうとすると、カラオケ曲と学校曲とで曲調がまったく違っていたりして戸惑ったりすることもあったりとか。
なお、高校の文化部の紹介で、「わが校の〇〇部は(全国大会の優勝などの目標の)競技を目指さない部活です」とか紹介されたとしても、運動部とちがって文化部の場合だと慰問や地域交流イベントみたいに競技以外の色々な活動がありますので、けっして「気軽に遊べる部活だ」なんて勘違いしないようにしましょう。よほど特別な高校でない限り(定時制とか通信制とか高専とか)、文化「部」は(同好会はどうか知りません)そういった地域交流イベントみたいなのも参加したりしますので、勘違いしないように。
編曲うんぬんの余談ですが、実は小中の国語の教科書にある作品も、原作と教科書版とで、言い回しが改訂されている事もあります。たとえば谷川俊太郎訳『スイミー』がそうです<ref>[https://togetter.com/li/2174757 togetterまとめ 『谷川俊太郎訳『スイミー』が教科書では検定により改変されている?!ご本人による加除訂正にしても、良さが失われるのではないか』2023年6月26日, ] 2023年12月22日に閲覧. </ref>。スイミーが教科書掲載された際に、「○○してた」→「○○していた」みたいに言い回しが改訂されています。
こういうのは谷川俊太郎に最近に始まったことではなく、昭和の時代から、阿川弘之『きかんしゃやえもん』が1968年版の小学校2年生の国語(下巻)の教科書に掲載をされた際に、ページ数の制限の都合で内容の削減などの改訂をされたり、漢字が追加されています(原作は本文がすべて平仮名)<ref>田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P70</ref>。
;文武両道は浪人が実態
埼玉県の県立進学校で、浦和(うらわ)高校という埼玉公立トップ偏差値の高校があるのですが、その高校は建学の理念として文武両道を掲げているのですが、しかし大学受験での浪人率が比較的に高い高校でもあり(代わりに進学先の大学の偏差値は他校よりも高いですが)、浦和高校でも部活に専念する学生は、浪人をして志望大学に入る人が多いのが現実です<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P17</ref>。
そうそう、スポーツの世界は選手寿命が短いので、プロスポーツ選手を目指すなら浪人しないのが普通です。だからスポーツ系で大学進学する人は、推薦でも何でもいいから、さっさと文系の私立大学に行くのです(理系の大学だと運動施設などが貧しいし、練習時間も取れないので)。
;土曜授業と部活の大会・コンクールなど
進学校などで土曜日に授業がある高校では、当然ですが土曜日に開催される学外の部活動コンクールや大会など学外イベントには出づらくなります。(どうしても大会などのイベントに土曜日に出る場合、授業は公欠になる。)
なので、土曜授業を行っている高校は、それだけ部活がコンクールなどの出場イベント数を減らしている、という意味でもあります。なので学業と部活の「文武両道」とか、真に受け過ぎないようにしましょう。
イベントの開催日にちによっては、土曜日が祝日で授業が無い場合もありますが、その日には近隣の他の私立の部活動もそのイベントに出たがりますので、スケジュール的に競合します。もし、土曜授業をしている私立や公立進学校などをコンクールの祝日に優先すると、首都圏などだと、祝日のコンクール出場校が私立と公立進学校ばかり、なんて事態になりかねません。
;すべての高校部活向けイベントには参加できない
国の通達により、過熱化する部活動を規制する総量規制がありますので、一人当たりが活動時間や活動日数<ref>安彦忠彦・藤井千春・田中博之 共著『よくわかる教育学原論』、ミネルヴァ書房、2020年5月20日 初版 第1刷 発行、P.143</ref>に上限が掛けられています<ref>[https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c594f10ed49de491c7cd4fc1532ad407ca3be9f8 内田良 著『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』2018/1/31(水) 7:20 ] 2023年12月02日に確認. </ref>。運動部についての記事ですが、ネット記事『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』によると、下記のようにあります。
<blockquote>
冒頭のスポーツ庁が今月発表したガイドライン骨子案は、部活動の活動量について「週当たり2日以上の休養日」、「長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度」、「大会数の上限の目安等を定める」と、具体的に総量規制に踏み込んでいる。
</blockquote>
文化部についても文化庁が同様のガイドライン『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(2018年)<ref>[https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/bunkakatsudo_guideline/h30_1227/pdf/r1412126_01.pdf 文化庁『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』、平成30年12月] 2023年12月02日に確認.</ref>を策定しており、スポーツ庁のガイドラインと同様の内容です<ref>[https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c594f10ed49de491c7cd4fc1532ad407ca3be9f8 内田良 著『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』2018/1/31(水) 7:20 ] 2023年12月02日に確認. </ref>。
このため、一つの学校が何でもイベント参加できるわけではなく、何かのイベントに参加する場合、他のイベントを諦めることになります。
大会やコンクール、コンテスト、発表会、地域からの要請により地域の行事や催し等、運動部の応援、などなど決して何でもは参加できないのが建前です。もし、そういったすべてのイベントに参加している文化部があれば、(体育学科や音楽学科などの高校でないかぎり)普通科高校なら文化庁ガイドライン違反です。
なお、中央官庁の行政機関からの通達により、大会や地域の催し物などの統廃合を行ってイベントを減らせという要請が国からされています<ref>[https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1402624_1.pdf スポーツ庁『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』平成30年3月、 P.8 の「5 学校単位で参加する大会等の見直し」] 2023年12月02日に確認. </ref><ref>[https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/bunkakatsudo_guideline/h30_1227/pdf/r1412126_01.pdf 文化庁『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』、平成30年12月、P.13] 2023年12月02日に確認. </ref>。
;トーナメント戦に参加しない高校
文化系の部活の場合、そもそもトーナメント戦の大会に参加そのものをしない高校も、公立・私立とも、あります。高校入学後に部活の業績で全国に名をあげようとしている人は、進学しようとしている高校がトーナメント戦大会について参加する方針かそうでない方針なのか、受験前に学校紹介パンフレットや学校ホームページなどの部活紹介などで確認してください。もしパンフレットなどの部活紹介で、全国大会や県大会などの出場実績を誇っている高校なら、おそらくはトーナメント戦にその部活が参加する方針の高校でしょう。
トーナメント戦そのものに参加しない高校では、自分がどんなにその部活が上手くても、そもそも地区予選の時点で不戦敗なので、どうあがいても全国大会に出場しようがないのです。
学校教員側の視点で見ると、トーナメント戦のイベントは勝ち負けによってスケジュールも変わるので、事前に予定が立てづらく(もっとも開催日も土日ですが)、なかなか面倒です。顧問の遠征や引率などのスケジュールも勝ち負けによって変動してしまいます。
よくスポ根マンガ(スポーツ根性モノのマンガ)とかで、高校の運動部が、トーナメント戦の公式競技を地区大会→県大会→全国大会とか勝ち抜いたりとかの描写があります。文化部では、必ずしもすべての部活がトーナメント戦に参加するとは限らないのです。
運動部と違って文化部は勝ち負けを競う必要が無いので、トーナメント戦にあまり参加しない高校もあるのです。
ほか、私立では部活のコーチは外注の派遣だったりします。そういう部活専門の派遣会社がすでに存在しています<ref>[https://president.jp/articles/-/63668?page=1 矢野 耕平『「私立中高一貫校に相次ぐ労基署の"ガサ入れ"」おかげで部活消滅の危機という憂慮すべき事態 』2022/11/19 11:00 ]</ref>。もはや、教員免許をもった教員ではなく、外注です。生徒だけでなく部活コーチも文武別道です。
=== 進学校の幾つかでは部活の引退が高校2年 ===
ネット上で、いわゆる進学校のいくつかでは、部活の引退は高校2年の2学期~3学期という高校もある、という発言が、ネット各所から上がっています。
<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12262750637 『東大生の多くは高2の夏に部活は引退しているって本当ですか?』2022/6/3 15:07 ] 2023年12月02日に確認.</ref>
<ref>[https://www.oyawaza.com/backnumber/post-694.php 『毎日親技「お前ら、引退が1年早くねえか?」』 2023年07月15日] 2023年12月02日に確認.</ref>
<ref>[https://www.kyoushi1.net/column/junior-exam/ikkankou-jugyou/ 『【中高一貫校】授業進度と勉強方法について、一貫校出身者が解説』2021.11.30] 2023年12月02日に確認.</ref>
必ずしもすべての高校が、高校3年の夏の6~7月で部活を引退するとは限らず、もっと前に引退するのが原則になってると思われる高校も幾つかあるようです。
=== 進学校の部活では出席ノルマが軽い場合も ===
塾業界の言い伝えでは、部活で朝練・夜練などが無く負担が軽いとか、運動部でも週1~2日だけの出席ノルマとか、そういう言い伝えが塾業界から報告されている<ref>(動画)[https://www.youtube.com/watch?v=x2CQoFJ7JwQ コバショー『東大生は高校で部活に入っていた?現役東大生100人に調査!』 2024/03/06 ] </ref>
そもそも、部活の内容が運動部とも限らず、部活の種類によっては活動内容が受験勉強に生かしやすい分野もある(「科学部」「歴史部」など)。
=== 文武両道でない公立高校もある ===
世間の人の多くは、普通科以外の「体育科」とか「美術科」「音楽科」とかの専門高校という制度そのものを知りません。普通科以外は、工業高校・商業高校・農業高校・水産高校しか存在しないと思ってる情報弱者の大人も多いのです。
「私立はスポ-ツ推薦でスポーツ優秀な生徒を集めてて、ズルい!」とか言う人は、では公立高校の体育学科はズルくないと考えている官尊民卑(かんそんみんぴ)の主義者なのでしょうか。テレビとかの高校スポーツ番組とかで、ある高校を「公立高校」と聞いただけで、勝手に「普通科に違いない」と早合点して「文武両道で、スゴイ!」とか言う情報弱者の高校スポーツファンも世間には多そうです。
体育科だけでなく、「美術科」とか「音楽科」といった美術高校・音楽高校も存在します。
ついつい、世間の情報弱者たちは、公立中学の吹奏楽部とか美術部とかのイメージの延長線上で考えがちですが、しかし、そうではなく、体育科の時間割のスポーツ専門科目の部分を、美術の専門科目あるいは音楽の専門科目に置き換えたような時間割です。
法律で、専門科目の単位数については、25単位以上だと文科省の学習指導要領などで決まっています。なので、「美術科」「音楽科」の時間割は、けっして普通科の文系コースのような時間割ではなく、たとえば数学IIは時間割に存在しないのが普通です。仮に数学IIがなんとか存在しても、数学Bや数学Cは存在しないのが大半です。
そういう公立の専門高校が存在するのも多様性であり民主主義ですが、しかし「公立 = 文武両道」という、実態と離れた意味不明な勘違いはヤメましょう。
== 部活の大会と年齢 ==
全日制(朝8時くらいに登校する普通の課程はコレです)の部活動での地区大会~全国大会などの公的な大会は、普通、出場資格に「18歳まで(18歳も含む)」または「19歳まで」のような年齢制限があります。
なので、浪人などせず、さっさと合格した高校に進学するほうが得です。
また、高校で留年した場合も、同一学年では出場できなくなるのが普通です。「同一学年で春大会・夏退会に出場できる回数はそれぞれ1回まで」のような内容の規定があるのが普通です。大会出場目的の意図的な留年を防ぐために、こういう規定があると思われます。
なお、定時制・通信制の大会と全日制の大会とは、別々の大会です。定時制・通信制の大会は「全国高等学校定時制通信制〇〇大会」みたいな名前です。定時制などの場合、年齢制限の無い場合も多いですが、同一学年の出場が1回まで等の規定があり、よって留年などで意図的に出場回数を増やすのは不可能です。
== 難関私大にスポーツ推薦で入れてしまう危険性 ==
たとえば理科系の大学の学部学科など、一般入試で入った人ですら留年や退学も多い難関の大学であっても、スポーツ推薦などで入学できてしまう場合があり<ref>[https://sakisiru.jp/43845 村山恭平 著『部活推薦は「地獄への道」〜 工学部の入試に“アスリート枠”は必要か 「部活動全廃論」シリーズ最終回 』 2023年06月18日 06:00] 2024年01月30日に確認.</ref>、そのためスポーツ推薦者などの留年などの問題も起きかねません。
高校卒業後の専門教育はもはや義務教育でも何でもないので、大学の学科の専門的な学問は「ある程度以上専門的になると万人向けではなくなる」という原則があります。スポーツの大会がもはや万人向けでないのと同様です<ref>[https://sakisiru.jp/43845 村山恭平 著『部活推薦は「地獄への道」〜 工学部の入試に“アスリート枠”は必要か 「部活動全廃論」シリーズ最終回 』 2023年06月18日 06:00] 2024年01月30日に確認.</ref>。
== 都心の狭い高校の運動部 ==
余談ですが、東京都内は過密のため私立高校の敷地も狭いことが多いので、そのため校庭も狭いので、屋外の運動部に入る予定の人は志望校選びで少し気にする必要があります。
具体的には、いくつかの屋外の運動部の練習場所が、学校の敷地外の民間の練習場になる可能性があります。さすがに歩いて数分で通える場所(または自転車で数分の場所)に練習場所を確保するでしょうが、裏を返すと数分は掛かってしまう場所に練習場のある場合があります。
たとえばテニス部とか、そうなるかもしれません。
昭和の戦後に新制の私立高校が設立された高度経済成長期 ~ 1970年代の時代、まさか未来の2020年代には私立高校が部活の強豪になるとは昔の人は思わず、そのため私立高校は運動部が21世紀の今でこそ強豪であっても、その校庭が意外と狭いことが多いのです。
校庭自体には、体育の授業をするための最低限の敷地しかない場合もあります。
たとえば、校庭は野球部とサッカー部が優先に使うので、その他の部活動の敷地が狭い、専用のテニスコートが1~2面しかないとかの場合もありえます(ただし体育の授業で使うので最低1面はある)。
このたった1~2面のコートを、付属中学がある中高一貫校なら、中学生と高校生とで共有するのです(ただし中学の全生徒数は高校のそれの半分くらいなのが通常)。もしくは、中学生は子どもなので校庭のコートで優遇、高校生は校外の練習場でガマンして、というふうに別々の場所かもしれません。
野球部とサッカー部とソフトボール部と陸上部とラグビー部が、同日に一緒に校庭で練習するのが難しい高校もあります。練習日を変える必要があるかもしれません。もっとも学業の予習・復習も高校生には必要なので、練習しない日があるのも文武両道としては良いかもしれませんが。
テニス部は存在するだけマシです。高校によっては、スポーツ強豪校であるにもかかわらず、ラグビー部などマイナー競技ぎみの部活が存在しないスポーツ強豪校もあります。敷地不足のため、部活をもう増やせないのです。そのため、小中の体育の授業では習わないラグビーの部活が削られたりします。
首都圏では、ラグビー部のある高校は、かなり少ないです<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=rugby 『部活に「ラグビー部」のある高校』、高校受験スタディ] 2024年03月06日に確認.</ref>。
参考サイト [https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=rugby 『部活に「ラグビー部」のある高校』] を見ると、甲子園の強豪校などで知られる首都圏の私立高校にもラグビー部は存在していない場合が大半です。都心だと、戦前からの私立大学の付属校や、旧制高校の伝統をもつような古くからの私立高校でないと、そもそもラグビー部が存在してない傾向があります。
もちろん、スポーツで好記録を出してる私立高校なら、そういう「校庭が狭い」という条件下でも好記録を出しているノウハウがその高校にあるわけですので、高校に希望の部活があるなら志望するのも良いでしょうが。ともかく、都心の私立高校の多くは校庭が狭いです。
運動部の場所は、校外の少し離れた練習場になる場合があります。
条件の良い練習場は、その高校の看板の運動部が押さえます(たとえば甲子園出場校なら野球部が校庭を使う)。
首都圏に限った話ではないですが、スポーツ高校の私学には、知名度があって地域の人気もあるのに付属中学を作ろうとしない私学もあります。もし高校に付属中学があると、狭い校庭をさらに中学生と使い分けてしまうので、ますます狭くなってしまうから、それを恐れているのでしょう。付属中学を作る際、校庭を新校舎のために減らさないといけない場合もありますので、それは既存の高校の運動部と干渉します。
運動部の新設は、たとえメンバーが集まっても、練習スペースの確保で苦労をかなりすると思います。ラグビーなどマイナー競技をしたいなら、なるべく既にその部活が存在する高校を選ぶのが良いでしょう。
== 都心の私立の部活は社交の場 ==
都心の私立は、特に文化部などでは、私立どうしでイベントを開いたりする社交の場でもあります<ref>[https://president.jp/articles/-/63668?page=4 矢野 耕平『「私立中高一貫校に相次ぐ労基署の"ガサ入れ"」おかげで部活消滅の危機という憂慮すべき事態 』、President Online、2022/11/19 11:00 ]</ref>。よくあるのは、高偏差値の私立男子校が、近隣の高偏差値の女子高と、共同でイベントをしたりすることです。
このため、別に都大会とか全国大会で勝つ必要は無いのです。
また、外注コーチも、文化部にばかり手厚く与えられます。
地方の人は、けっして都心の私学の部活なんかを真に受けてはいけません。近所に早慶マーチの付属校が'''いくつも'''あってそれら有名私大付属の私立と交流できる都心の私立高校の部活と、そういうのが近所にない地方の公立高校とでは、まったく事情が違います。
つまり都心の私立中高の場合、学区の中どうしで学校間が公立・私立とも部活で交流するのではなく(そういうのはスポーツ強豪校以外は気にしてない)、それとは別に、私立どうしでの同盟のような交流イベントが色々とあります。公立高校は、そういうのには入れないわけです。
1990年代の大学評論の書籍で、浅羽通明(あさば みちあき)著『大学で何を学ぶか』でも、中世ヨーロッパのダンスパーティを例に、そういう例え話がありました。
中世・近世の貴族たちのダンスパーティで、本気でオーケストラの演奏やら歌を聴いているのは、音楽家志望の一部の家の青年くらいでしかない。ほとんどの参加者の貴族は、貴族どうしの社交こそが本当の目的であり、音楽とかダンスはその余興(よきょう)でしかないのだと、そんな感じのことを浅羽は書籍中で述べました。
スポ-ツでも、中学の大会ですが、首都圏私立中学校チャンピオンズカップみたいに、最初っから私立学校でないと参加そのものが不可能なリーグが存在しています<ref>[http://www.shigakusoccer.jp/ 『首都圏私立中学校チャンピオンズカップ』]</ref>高校にも同様、各種のスポーツで、私立のリーグが存在しています。
地方にも地元高校どうしのリーグ戦はあるかもしれませんが、しかし地方での無名の高校どうしリーグ戦の大会には、地元マスコミ以外は誰も感心を抱いてくれません。たとえば北海道民や東北民が、四国や九州の中高の地方リーグに関心が無いのと同様です。結局、東京に上京したがる地方民の因果応報、自業自得でしかありません。
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
教育学
* 田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、
* 安彦忠彦・藤井千春・田中博之 共著『よくわかる教育学原論』、ミネルヴァ書房、2020年5月20日 初版 第1刷 発行、
その他
* 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、
=== 脚注 === | 2024-01-07T22:57:00Z | 2024-03-31T04:14:16Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%81%AE%E9%83%A8%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%82%BE%E5%90%91 |
38,912 | 中学受験ガイド/勉強法 | 問題をとけるようにするには、計算したり、考えたりすることが必要なのです。聞いているだけでは、とけるようになりません。とくに、算数では、そうです。
だから、たとえば塾などの上級クラスに行って、解きかたの分からない問題の解きかたをガマンして聞いていても、それだけでは、ほとんど解けるようにはなりません。 塾などの上級クラスに通う人の場合で、「受験問題で計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない」ことが多い子の場合、塾の先生にたのんで、より基本的なクラスに変えてもらったほうが、むしろ学力がアップする場合もあるでしょう。そのような基本クラスなどでも、受験をしない普通の小学生なら勉強していない時間に、中学受験生は塾で勉強しているわけですから、基本的なクラスでも、じゅうぶんに学力のアップが期待できます。
また、たとえば都会にあるレベルの高い進学塾などで大人数(30人~数百人)での教育を受けるよりも、数人~十数人ていどの少人数の地元の塾などで指導をうけつつ勉強したほうがよい場合もあります。参考書を見れば受験問題のときかたは書いてあるわけですから、遠くの都会の塾に通うくらいなら、地元の徒歩や自転車でいける塾で勉強しておいて、あまった時間やお金を勉強に使ったほうがいいかもしれません。
中学受験のテキストで最もオーソドックスなのは、『中学受験新演習』と四谷大塚の『予習シリーズ』の2冊です(ほかにもいろいろあります)。多くの塾では『中学受験新演習』が使われています。一方、四谷大塚とその系列校では『予習シリーズ』が使われています。どちらもレベルや内容に大差はありませんが、『予習シリーズ』は四谷大塚に通っていなくても注文すればだれでも買える一方、『中学受験新演習』は原則として塾が保護者に代わって買うというしくみになっています。そのため、『中学受験新演習』は個人で買うことができません。
よって、中学受験の勉強を塾に通わずに(家庭教師や親のみで)するのなら、『予習シリーズ』を買うのがベストです。『予習シリーズ』に慣れておけば、後で塾に通うことになって『中学受験新演習』を使うことになってもそれほど違和感なく進められるでしょう。個別指導系の塾ならそのままテキストとしても使えます。書店で市販されているものはメインのテキストにするのではなく、参考書・問題集がわりにした方がよいでしょう。
図鑑や事典などは、ふだんの勉強にはなりません。それら図鑑なども読んでおいたほうが良いですが、まずは参考書が必要です。多くの範囲を勉強しなければならないので、図鑑などでカバーしようとすると、とても多くの図鑑が必要になって、読みきれませんし、お金も多くかかってしまいますし、部屋が大量の分厚い本で埋まってしまいます。
また、図鑑や事典には、練習問題が、のっていません。
ただし、時間とお金の余裕があれば、図鑑なども何冊か読んでみてください。図鑑などで紹介される知識は、直接は入試に出題されませんが、その知識を利用して解ける問題が出題されることはざらにあります。
けっして「算数だけしか勉強しない」など、1教科だけを勉強しないでください。 きちんと4教科(国語・算数・理科・社会)+α(この4教科以外の受験科目がある場合)を勉強してください。
しかし、国語はどこの中学校でも差がつかないほか、理科社会は多くの中学校で満点が算数国語より少ないですし、算数一科目の学校もあり、算数で差がつくというデータもありますので算数を多めに回さないと合格は難しいかもしれません。
小学校でならうていどの算数は、きちんと計算できるように練習する必要もありますし、もしも苦手なら、時間をかけてでも練習するべきです。
けっして、受験の苦手教科を得意にかえようとして、あまりにもほかの教科の勉強時間をへらしすぎないないほうが、よいでしょう。 苦手科目は勉強したほうがいいですが、テスト直前や入試直前は得意科目を解き、自信をもって臨んだほうがいいです
どの教科でも、けっして、受験範囲だけの勉強をしないでください(かといって、しすぎるのもダメです)。受験先の中学校の側とすれば、勉強そのものに興味のある子供を、入試で取りたいのです。また、このようなことに限らず、受験以外の知識・教養を身につけるのも大切です。ただし、事典などに深入りしないようにしてください。ふだんの学習の中心は参考書と問題集で行いましょう。
とくに理科は、図鑑なども、なるべく読むべき教科です。たとえば子供向けの事典や図鑑とか資料集などを見るのは大事です。それから興味や知識が深まりますし、意外と参考書の内容に入っていたりします。
このとき、本に実験が書いてあるからといって、無理して実験しないことです。学校で習わないことには、それなりの理由もあります。実験がむずかしかったりするなどの理由があったりして、なので学校では習わないという場合もあります。また、したところで、事実の確認をするだけですから、受験勉強ではあまり必要ありません。
さて、本屋に行っても、小学生むけの事典・図鑑などの本も少ないです。図書館では貸し出し期間があり、また、貸出禁止になっていることがあるので、あまり受験勉強には向きません。参考書を何冊か組み合わせて代用するとか、中学生むけの参考書で代用するとか、通信販売を利用して図鑑や事典などを購入するなど、必要かもしれません。学研などから出ている「教科事典」という各教科ごとの事典もあるので、その教科事典の小学生用の本を購入するなどの策もあります。
事典や図鑑は、べつにシリーズすべては買わなくても良いですから、なにか一冊ぐらいは買っておければ、勉強にも良いでしょう。ただし、図鑑のシリーズ全部を買っても、おそらく時間が足りなくて読みきれません。
国語にしても、児童文学とか、近代文学とか、なにかを数冊ぐらいは読んだほうが良いでしょう。課題図書とか推薦図書などで、すすめられている本も、できれば、数冊かは読んでおきましょう。もしテスト本番で自分が読んだことのある本の一説があっても、油断はしないでください。本を一冊読んでも、覚えていられる内容は本全体の一割だけです。ですから、一部でいいのでなるべく内容を意識して集中して読むようにしましょう。
言葉の知識においては、日常で使うしかありません。国語はあまり時間をかけないほうがいいので、日常で使うのはかなり効率がいいです。書いたりみたりしていた時間を読書や、記述練習に使ったりすることができます。
偉人伝とか伝記とかも、できれば、すこしは読んだほうがよいです。このとき、たとえば源頼朝や徳川家康や伊能忠敬とかの歴史人物を中心に偉人伝を読むと、勉強にも便利です。
直接的には、中学入試では偉人伝は問われません。ただし社会科や国語では、有名どころの偉人については知っている上での問題が出される場合もあるでしょう。なぜなら、どこの本屋や図書館などでも偉人伝はあるでしょうし、どこの書店でも偉人伝はあるでしょう。だから読書の習慣のない受験生を落とすのに、偉人についての知識をみるのは最適だからです。
野口英世とかファーブル昆虫記とかナイチンゲールとかも、読書に良いかもしれません。
エジソンなどの発明家とか、アインシュタインとかキュリー夫人などの物理学者の伝記などは、あとまわしでも、どうにかなります。これら発明や物理学の分野は、入試に出しづらいのです。 また、アメリカ人野球選手のベーブルースとか、マンガ家の手塚治虫とか、現代に近い文化での、偉人の伝記は、読まなくても、あまり問題ありません。
ほとんどの学校で、合格するかどうかが決まる重要な教科です。少なくとも算数だけでも4年生から学習を始めることを強くすすめます。中学受験に必要な力は計算力とその問題が何を聞いているのかを見ぬく力です。
灘中学・開成中学をはじめとした非常に難しい中学校入試の算数でも、さいしょは計算問題の場合があります。見るだけでイヤになりそうな式が出るかもしれませんが、正確にすばやく計算していく必要があります。これはすぐに力の付くものではありません。毎日の地道な計算練習が問われるところです。そろばんなどをしている人は算数が強いです。
もう一つ大切なことは「この問題は何を聞いているのか」を考えることです。中学入試の算数は文章題が中心です。とくに難しい中学校では最初の計算問題や文章題が5問くらい出たあと、とても難しい文章題が4・5問だけということもよくあります(「最初の問題」もないこともあります)。このような文章題では、ただぼんやりと問題を見ても何を聞いているのかさえわからないでしょう。中学受験ではいろいろな公式や計算方法が組み合わさっているからです。色々な計算方法の中で、何を使えばいいのか、どうしてそうなるのかをしっかりと考えながら学習していくことで、「この問題は何を聞いているのか」を見ぬく力もついてきます。
中学入試の算数は考え方を重視しています。そのため、文章題には途中式を書かせるスペースもあることがあります。その場合、途中式がちゃんと書かれていないと、たとえ答えがあっていたとしても、大きく減点されることもあります。反対に、答えまでたどり着かなかったとしても、途中式がしっかりと書かれていれば、部分点をくれることもあります(もちろん、答えしか採点されない場合も多いです)。ですから、中学受験を考えているのでしたら、算数は途中式をちゃんと書くクセをつけましょう。問題集には式と答えだけを書くスペースしかないこともありますが、学習するときには、ノートに最初の式・計算の過程・答えの3つを書く習慣を身につけるように心がけましょう。
算数の勉強の仕方そのものが、分からない場合もあると思います。とくに、複雑な文章題や、図形の複雑な問題などだと、勉強方法そのものが分かりづらいでしょう。計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない場合もあります。まして受験問題ですので、とくにムズかしい問題が出てくるわけです。
算数の勉強をするなら、とりあえずでいいので解いてください。ただ、中学受験の参考書は解説が分かりにくい場合が多いので、塾の先生などにわからない場合は聞いてみてください。問題によりますが、解けるまで頑張って解いてみてください。一つの問題がわかるといろんな問題ができるようになります。難しい問題ほど基礎が大事です。
やたらと計算ドリルばかりを行うことは、あまりオススメできません。なぜならドリルだけでは、文章題などには、あまり対応できません。 すでに計算問題ができる人なら、わざわざ計算ドリルを何十回もくりかえす必要は、ありません。
「計算ドリル」は、まだ計算の苦手な子供が、苦手を得意にかえるために練習するためのものです。
もちろん、基本的な計算を身につけることは必要です。しかし、先ほども述べたように、文章題などが入試で重視されます。また、小学校では一通り、基本的な四則演算(+-×÷)を全員が習うはずなので、計算問題では、あまり得点に差が付きません。 小学校よりも、もうちょっとだけムズかしい計算問題を、もうちょっとだけ多めにやっておけば、計算ドリルは、じゅうぶんです。
やたらと計算量の多い5 - 10ケタどうしの掛け算とか割り算とかを何百問も大量に練習するくらいなら、それよりも基礎的な文章題をより多く練習したり、国語・理科・社会など他の教科を勉強したほうが、よいでしょう。
絶対に解き方を覚えないでください。「なぜ、そう解くのだろう?」ということを、5分~10分くらいでよいので、きちんと考えたり、図に描いたりして、たしかめたりしてみてください。「この解き方は、ほんとうに正しいのだろうか? ほかの例で、たしかめてみよう」などと考えて、かんたんな例を自分で考えてみて計算して確かめてください。
たとえば「つるかめ算」を初めて勉強するとき、かんたんな例を考えるなら、まずツルが1匹でカメが4匹とかの場合を考えたり、あるいはツルが3匹でカメが1匹の場合とかを考えてみて、さいしょは実際に図を書いてみて、たしかめたりすると、よいかもしれません。
ただし、基本的な文章題については、5年生を終えるころぐらいまでには、解き方を、おぼえてください。小学生の段階では、おぼえることは、わるくはありません。ただ、受験問題ともなると、おぼえようとしても、おぼえられないような、ムズかしい問題が出てきます。なので、受験問題は、なるべく考えるようにして、解いたほうが良いでしょう。
たくさん本を読んでも、中学受験にかぎらず国語の力がのびるとはかぎりません。
もちろん、たくさん本を読むことそのものは悪いことではありません。いろいろなことに興味を持つきっかけにもなりますし、読解力もつきますので、読書そのものは中学受験のあいた時間にしておきたいところです。中学受験では次のことが問われていることも忘れてはなりません。
これらの力をつけるには、やはり、ふだんの読書量がとても重要です。長い文章に親しんでいないと、これらはなかなか身に付きません。
また、適性検査では、私立中学の受験とは違った意味ではばひろい知識が必要になることもありますから、地球環境問題などのように今、世界で何が起きているのかを知るための読書は特に重要です。
しかし、さいしょに述べたように、いくら本を読んでも国語の力がのびないことはまったく珍しいことではありません。特に私立中学の国語では、そのようなことになやむ児童や保護者も多いです。受験の国語には何が必要なのでしょうか。以下で、かんたんに説明します。
第一に、中学受験の国語では本文に書かれていることだけをもとにするのが原則です。いくら、「こんなことが考えられる」と思っても、本文に書かれていないことであれば、それは「受験において正しい答え」とはなりません。
ただし、書かれていることを自由に読んでいいということではありません。特に物語文では、自分がどう思ったのかを聞いてはいません。読書量は多いのに、国語の成績がいまいちという人は、「本文を読んで、自分はこう思った」ということをもとにしがちです。しかし、それは次に述べる「国語のルール」にのっとっていなければ不正解になる可能性が高いです。
まず、例を考えてみましょう。次の問題を考えてみてください。
これで、すぐに3を選んだ方は一応、受験国語のルールが身についている(または身につきつつある)かもしれません。「花子は目をうるませた」としか書いていないのですから、別に1でも2でも間違いではありません。ですから、この問いには本来、答えがありません。しかし、受験国語のルールにしたがえば、3以外に答えはありません。
実は、国語の読解問題にはルールがあります。そして、これは学校の授業でも、高校・大学受験の国語でも大きく変わりません。では、国語のルールとはなんでしょうか。それは、「こういう場合には、多くの人がこういう気持ちになるのだろう」という世間の常識にのっとったものが答えになるということです。そして、受験の小説に出てくる親や先生や大人は、ふつう「良い親」「良い先生」「良い大人」です。主人公もふつう「良い子」です。これも、世間で「良い」と思われるような親・先生・大人でなければなりません。先ほどの例で言うと、「目をうるませたのだから、泣きそうなんだな。悲しいことがあったのかな」と気持ちを察するのが、中学受験における「よい考え方」なのです。
国語の問題に出てくる「気持ち」を問う問題もこういう視点から考えていく必要があります。そして、それにはいくつかのパターンがあります。いくつか例を挙げます。
このような、パターンをつかむことがまず、受験の国語では必要なのです。
中学入試では、独創的な読み方をしては、間違いなのです。学校の先生すらも思いつかないような深い読みかたをして、その答案を解答用紙に書いたところで、答えあわせをしてる中学の先生が思いつかないので、たんなる「間違った答案」だと見なされてしまう場合が高いのです。中学校の先生たちは、短い時間で、多くの受験生の答案を、見なければなりません。一人ひとりの読みかたを、いちいち調べている時間がありません。だから、かわりに、パターンにそった答案が書けるかどうかで、読解力を調べるのです。
本来、物語や小説などの読みかたには、多くの読みかたがあります。だから小学校での国語の授業では、たとえば、ある生徒が、ほかの多くの生徒たちとは違った、独創的な読み方をする場合もあります。先生すらも思いつかなかったような読みかたが、でてくる場合だって、あります。もし、その独創的な読みかたが、すごく深く考えてあって「立派な読みかた」だと小学校の先生が思った場合には、小学校の先生が、独創的な読みかたをした生徒をほめてくれる場合もあります。
しかし、さきほども言ったように、中学入試では独創的な読み方をしてはダメなのです。
かりに、こういうパターンで考えず、「『目をうるませたから』といって、悲しいとは限らないぞ。たとえば、目にゴミが入ったのかもしれない。」などと例外的な場合も考えておくのは、たしかに、そういう場合もありえるから、本来は注意ぶかいから立派なことなのですが、しかし、言葉とは、なるべく少ない文字数で、多くの情報を相手に伝えなければならないのです。だから、このようなパターン(「目をうるませた→悲しい」など)が、すくない言葉で意図を伝えるため、どうしても必要になるのです。特に、物語の場合、作者は、読者に物語の世界に入り込んでほしいわけですから、ほとんどの表現では、パターンにそった表現法を用いているでしょう。私たちも、ふだんの会話では、パターンにそった表現を、たくさん、使っています。また、ふだんの会話では、パターンにそった表現をしないと、誤解や勘違いの原因にも、なってしまいかねません。だから、パターンにそった表現が、必要なのです。
なお、一般に物語づくりの手法として、作品内でパターンから外れた事を多くし過ぎると読者・観客が理解できないので、適度にパターン通りのものを混ぜておく、という手法があります。近年は、LGBTとか「偏見の解消」とかでパターン的なものの見方を否定する場合もありますが(たとえば男の子なのに髪の毛が長いとか)、その場合は、別のところがパターンどおりになっているのが、物語づくりでよくある手法です。
そして、パターンがあるのは、なにも一文の表現だけでなく、文章全体の物語にすら、パターンがある場合すら、ありえます。そして入試国語の物語文では、こういうパターンにそった物語が出る場合が多いのです。かといって完全にパターンどおりの物語だと、読解力を問う入試問題にはなりませんから、ほんのすこしだけ、パターンから外れた問題が出るのです。
中学入試での国語の問題には、正解がなければなりません。そして、その正解とは、もし中学校の国語の先生ならば、ほとんどの先生が「これが正解だ」と思うような正解があるわけですから、だから中学入試の国語にはパターンができるわけです。
どういうパターンがあるかは、じっさいに中学入試の過去問などで問題練習をしないと、身につきません。
さて、物語にパターンがあるわけですから、問題の正解にもパターンがあるわけです。
つまり、国語は、いわゆる暗記科目でもあります。たとえば社会科とかで語句をおぼえたりするのと同じように、国語でも、語句や物語などの読みかたのパターンを身につけないといけません。物語のパターンを身につけるには、単に過去問に紹介された作品を読むだけでなく、じっさいに問題も読んで、そして解答も読んでください。もし入試直前などで問題練習の時間が足りない場合は、解答だけを読むのでも、効果があるでしょう。とはいえ、入試直前などでないなら、きちんと問題を解いて練習してください。問題は解くだけではダメであり、問題を解きおわった後には解答と見くらべてください。
ある物事を説明したものを説明文といいます。これに近いものとして、ある物事について筆者の意見を述べたものがあり、それを評論文とか論説文と言います。ここでは、それらの読み方について説明します。
まず、入試の国語では、私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章がよく出されます。一つ、例をあげましょう。環境問題は重大な問題だということはみなさん、学校で習っているはずですからよくおわかりでしょう。しかし、入試の国語ではそこから、もう一歩踏み込んだものを扱うことがあります。「なぜ自然環境を大切にしないといけないのか」「人間はよくばりだから自然を破壊したと言っていいのか」などのような文章が出されます。
そして、特に評論では何か二つ以上のものを比べる(対比する)ことがとても大切です。「日本人はお金持ちだ」といってもそれだけでは、自分でそう思っているだけです。日本の平均所得(お給料の平均)と外国の平均所得とを比べて、はじめて説得力のある文章になります。ですから、何かを主張するときには2つ以上のものを比べることが多いのです(これは作文を書くときにも知っておくといいでしょう)。
そのとき、評論文では反対の意味を持つ(とされる)ものがキーワードになっていることが多いです。たとえば、「個人と社会」「人間と自然」「伝統と変化」などがあります。そして、筆者はどの立場なのかを見極めなければなりません。
評論文・説明文も小説と同じように、世間の常識も解くときにカギになります。極端な例を挙げると、「自然環境を破壊してでも社会を発展させることは大切だ」「貧富の差が大きくなるのは当然だ」という問題が出ることも、それが答えになることもほとんどありません(ただし、本文中に根拠がないので正しいとは限らない」ということがあります)。それは、「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」があるからです。私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章も、別に私たちの常識を完全に否定するとはかぎりません。「ふつうだ」と思っていることにあえて疑問を投げかけることで、それがどうして当たり前なのかを確認することもあるのです。
説明文という分野では、ものごとの常識的な分析で、問題を解くのです。中学高校の先生からすれば、こういう常識的な分析の方法ができない生徒だと、中学や高校の社会科などの科目の教育で、教えるのに手間がかかります。だから、常識的な分析の仕方ができるかどうかを、テストで見るのです。
国語の分析力で必要なのは、分析の広さや早さであって、けっして分析の深さではありません。ごく一部の人たちだけしか思いつかないような、深い分析は、国語では必要とされません。たとえば社会問題について書かれた評論文でも、受験生に求められる分析の深さは、文章に書かれている説明のほかには、せいぜい小学中学の社会科で用いるぐらいの分析です。
このように、評論文や説明文では、社会科などで使う分析の方法についても、知っていないといけません。さきほど言った「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」「道徳」も、社会科などで教えられる常識でもあります。だから社会科の参考書で勉強するときに、用語などを覚えるだけでなく、社会の「常識」「道徳」もおぼえておきましょう。
中学の社会科や社会常識に対してすらも疑問を投げるような独創的な分析は、中学入試の国語では必要ないのです。 「学校」という集団も、社会の一部です。だから、社会科で「常識的」「道徳的」とされるような考えかたが、中学でも「よい考えかた」だとされますし、国語でも「よい考えかた」だとされるでしょう。
高校入試や大学入試の入試国語の説明文・評論文でも、同じようなことがいえます。
参考書と問題集が必要です。 学校教科書だと、中学受験でおぼえるべきことが教科書に書いていないことがあるので、参考書を買って勉強してください。
用語などのほかに、記号などを覚えたりする勉強も必要です。たとえば電気の問題なら、どんなに直列や並列の仕組みを理解していても、そもそも回路記号をおぼえていないと、回路記号が使われた問題なら解けないでしょう。 だから参考書などを読み返して、おぼえるべき記号は、きちんと、おぼえてください。
もし、図鑑なども勉強するなら、昆虫図鑑とか、植物図鑑とか、惑星の図鑑など、やや生物学・地学寄りの図鑑が良いでしょう。
いっぽう、自動車の仕組みとか、ダムの仕組みとか、通信機・コンピューターの発達の歴史などを勉強しても、まったく入試に出ませんし、そもそも中学・高校の理科の先生が、そこまで知りません。このようなものを、中学・高校の理科では、ふつうあつかいません。
きほんとなる小学校の教科書にのっているようなこと(たとえば都道府県の県庁所在地名、代表的な地図記号など)は、きちんと覚える必要はあります。
しかし、それ以外のことの暗記は5年終わりまでは、そこそこにしておいて、ふだんの勉強では、どんどんと参考書で先に進んでいくのが良いと思います。 たとえば歴史分野は小学校では6年からですが、たとえ5年生や4年生とかであっても、自分で歴史の学習マンガを読むなり何なりして、どんどんと読み進めていってください。
歴史については、参考書をいきなり読んでも、あまり理解できないでしょう。歴史マンガや(学習向けのものにしましょう)、子どもむけの偉人伝などをあつめた本などが、書店の児童書コーナーなどにありますから、それを読むと良いでしょう。小学生むけの歴史の参考書を読むのはそのあとがよいと思います。
ほかの分野(特に地理)参考書をどんどんと読みすすめて、勉強していない分野をなくしてください。学年にとらわれず、勉強してください。4年生でも、高学年用(5年・6年用)の参考書で勉強しはじめても良いでしょう。教科書で習ったようなことがマスターできたら、中学受験用テキストに進みましょう。
作文で社会問題を求められる場合への対策として、本屋に行けば、中学受験むけの時事の解説書があるので、まずはそれを読むのが良いでしょう。国語の説明文や評論文などでも、近年の社会問題などについての文章が出る場合もありえます。
しかし、ニュースなどの時事問題よりもまずは教科書にのっている出来事をしっかり覚えることが大切です。そして、参考書で知識をおぎなったり、練習問題を解いていったりします。この積み重ねが社会の勉強の基本です。
中学受験では、漢字指定や「隠れ漢字指定」(「漢字指定」とは書いていないが、漢字で書かないと不正解または減点)が非常に多いです。ですから、地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えましょう(理科など他教科も一緒です)。ただし、「ひらがな指定」などには注意してください。学校の説明会で、「漢字でないと減点」「ひらがな可」など、漢字、ひらがなについて指定されるはずですので、事前に確認しておきましょう。
特に戦国時代はゲームやマンガになっているため、それらを通じて興味を持った方も多いでしょう。しかし、そういったものだけに深入りしすぎない方がいいです。
織田信長や徳川家康などの戦国時代にはとても多い数の武将(数百人)がいます。しかし、それらすべての人物を勉強していては、時間のむだです。
せいぜい、教科書や参考書で書かれているような有名な戦国大名について、その名前と業績を知っていれば、じゅうぶんです。それ以外は、入試にでません。たとえば信長の弟(信行)や父親の信秀は、入試にほとんど出ません。偉人伝などでも、織田信長とか豊臣秀吉とか徳川家康などは、タイトルに取り上げられるでしょうから、興味があれば、どれかを読んでみても、よいでしょう。
そもそも、歴史は、古い時代から現代までの流れをつかむのが大切なことです。他の時代も勉強しなければ、戦国時代のこともよく理解できないのです。
しかも、歴史ですら、社会科の一分野にすぎません。歴史のほかにも、地理分野や公民分野もあります。
社会科にかぎったことではないですが、小学校の教科書には書かれていないような話題も出ます。中学受験の地理や日本史の問題では、中学校の教科書に出てくるような話題も出ます。
しかし、中学受験の社会科の歴史の問題の元ネタは、偉人伝や学習マンガ、小中学生向けの日本史の解説書です。
たとえば、中学校の社会科の歴史分野で習う人物や出来事のうち、小学生むけの偉人伝とか学習マンガにも、よく出てくるような人や出来事が、中学受験にも出やすい、という事です。
いっぽう、中学受験の地理や公民の分野の中学レベルの問題については、参考書を読んで勉強するしか、ありません。
では、歴史の勉強の方法について、提案します。
具体的にいうと「武田信玄」とか、小学校では教科書には出てきませんが、しかし中学受験では出てくる場合があります。なぜなら偉人伝や学習マンガにも良く出てくるし、長篠の戦いで武田氏について習うはずですし、高校の日本史の教科書で武田信玄など有名な戦国大名を習うから、当然、中学受験に出る可能性もある、ということです。
逆にいうと、学習マンガとかに出てくる人物であっても、中学校や高校の教科書に出てこない人物は、中学受験にも出てこない場合が多いでしょう。たとえば、忍者といわれている服部半蔵は、中学の教科書にも高校の教科書にも出てこないので、中学受験にも服部半蔵は出てこないでしょう。
さて、中学受験に出る中学範囲の歴史知識は、本来なら、中学生を相手にして時間をかけて教育することですから、小学生がいきなり参考書でそれらの知識を暗記しようと思っても、効率は悪いです。
ですから、偉人伝とか学習マンガとか小中学生向けの日本史の解説書をある程度、読んでおきましょう。
中学受験で小学生に出題できる人物には、限りがあります。たとえば、小学生は、法学や経済学を知らないので、明治~昭和時代での、それらの学問の お雇い外国人 の名前(たとえばフランス人の法学者のボアソナードなど)は、中学受験には出てきません。
いっぽう、「大森貝塚を発見した人 = モース」「明治時代に日本でさいしょに近代的な郵便制度をつくった人 = 前島密」などのように、小学生でも内容を理解できる人物が、入試に出てくるわけです。
そして、中学受験むけの社会科参考書の歴史の分野のページでは、このような、小学生でも業績を理解しやすい人物が、紹介されているわけです。
なので、歴史の暗記は、中学受験むけの参考書に出てくるような話題だけを、当面は暗記できればいいのです。
余談ですが、裏を返すと、中学受験で得られる社会科や国語の教養は上記のように片寄りが大きいので、もし社会科の教養のある大人になりたい場合は、中学合格後に、高校や大学受験あたりで再び大学受験レベルの勉強をしなおす必要があります。
偏差値の高い中学では時事問題で差がつくことが多いです。なぜなら、そのレベルになると普通に知識を問うような問題では満点を連発するような子どもが多く、社会の点数で差がつかなくなることが珍しくないからです。ただし、時事問題のテキストは10月末ごろから書店に並びます。ですから、時事問題対策はそれ以降でかまいません。裏を返せば、6年生の10月ごろまでは時事問題の練習は必要ありません。むしろ、それまでは習ったことの復習と定着のための練習に力を入れるべきです。
さて、時事問題には大まかに分けて2つの傾向があります。
1の場合、普通の社会の勉強と同じ仕方で覚えていきましょう。例えば、今年(2020年)だと「新型コロナウイルス」「イギリスのEU離脱」などについて書いて覚えていくといいでしょう。
2の場合は「社会」のいろいろな力が試されます。例えば(書きかけです)といったぐあいです。この場合は、できごとを覚えておくことも必要ですが、これまで積み重ねてきたものが最も重要です。最終的には、今年の出来事がどういうものなのかを、これまで習った知識を使って説明できることを目指したいものです。
塾や家庭教師の先生と一緒に過去問を見て、時事問題がどれだけ出ているのか・どんな内容なのかをちゃんと確かめておきましょう。その上で対策を行うようにしてください。
「捨て問」とよばれる問題が1、2問出る学校もあります(「地雷問題」ということもあります)。これは、高校内容などを元にしたり、計算量が膨大だったりと、小学生には解けない、または解きにくいような問題のことです。例を挙げましょう。
こんな問題解けるわけがないですよね(ちなみに答えは3です)。なぜ、こんな問題が出るのかというと、時事問題のところでも説明したように、高レベルの学校の受験では高得点をとる子どもだらけになる場合があります。それを食い止めるためにわざとこういう問題を出す学校があるのです。歴史分野以外の社会や社会以外にも「捨て問」が出されることがあります。
捨て問に対処する方法はありません。こういう問題を出す学校の入試の場合、全然習った記憶のないものが出ても「地雷だからみんな解けない」と割り切って、先に進みましょう。また、塾でやる過去問の中に地雷問題があった場合、先生が教えてくれるはずです。ただし、入試本番で見かけたら、選択式の問題であれば、なるべくどれかをカンで選んでおきましょう。確率は低いですが、当たる可能性があります。
例外はあります。〈年表・グラフ〉を参考にして答えなさい。例えば問題に「1980年に○○」と書いてたら,1980年に着目しないといけません。資料を有効活用した,勉強方法も必要です。本屋で過去問を探し,学校で覚えた用語はハヤメに復習したり、教科書にある記述は覚えた方がいい。方向や出来事は確認しよう。 過去問:これは教科書に記載されてない可能性があります→ひとつの例として押さえる
国立大学付属中学校と公立中等学校では私立中学のようにそれぞれの科目ごとに分かれた試験ではなく、「適性検査」として、国算理社すべてをまとめた問題が出されます(ただしこの4教科とはかぎりません)。
特に、世の中の動き(時事問題と言います)の知識やグラフ・表を読む力、計算力や発想力が問われます。
中学受験、とくに公立の中高一貫校では、時事問題が出題され、与えられた資料を分析して、違いや共通点を説明することが求められます。私立中学校でも出題されることがあります。このようなトレーニングには、受験に定評のある出版社から出されたニュース解説集、時事解説集などを読むことが必要かもしれません。
出版社によっては、受験に定評のない出版社が、中学受験をしない子供向けに出している子供向けのニュース解説書もあるので、それとは混同しないようにしましょう。
たとえ「中学受験対策」をうたっているニュース解説書でも、出版社に受験対策の実績が無い場合は、ほかの出版社の本にしたほうが良いでしょう。
さて、時事問題などの対策として、よくある勉強法として、「新聞を読め」とか「ニュース番組を見ろ」という勉強法を掲げる人もいます。しかし、これまでニュースや新聞にあまりふれていないのに、いきなりこれらに手を出してもあまり効果はないでしょう。
新聞記事の内容の理解や、ニュース番組の理解は、社会科や国語の学習成果であって、学習手法ではないのです。
マスメディアを利用するときに大切なことは、ただ1つだけの情報をうのみにするのではなく、他の情報などと照らし合わせて、情報が本当に正しいのかどうか、別の見方はできないのかを考えることです。
国立大学付属中学校や公立中等学校(一部の私立中学校でも)では400 - 600字の作文が出題されます。 45分というかぎられた時間に400字以上の作文を書かなければなりません。また、テーマは自由ということはほとんどなく、課題文をもとに自分の感想や意見を体験を交えて書くことがほとんどです。そのため、文章を書くスピードも大切ですが、課題文をしっかりと読む力も必要です。
私立中などで、英語を入試に出す場合もあります。
まだ英語を出す中学校が少ないので(英語教育改革により、最近どんどん増えています)、傾向は固まっていないでしょう。受験生は、バランスよく勉強するのが、安全で近道だと思います。
単語の書き取り、聞き取り、会話とか、かんたんな英文の読みなどを、バランスよく勉強するのが、安全だと思います。市販の教材などを使うのも良いでしょう。最近なら、英語の音声教材なども、安い値段で売っているはずです。
けっして「聞き取りばかりしか練習しない」とか、「会話ばかりしか練習しない」とかは、やめたほうが安全だと思います。 いくら「語学では聞き取りが大切」だからと世間では言っても、まったく書き取り練習をしないのは、やめたほうが良いでしょう。
問題文やテストの説明まで英語で書かれていることもあります。問題文も理解できるようにしておきましょう。
また、英検®などを取得しておくと、優待が受けられることがあります。(5 - 2級程度)(※場合によっては、普通のコースと違う「英語特進コース」などに進むことになることがあります。)入試要項などを見て、必要に応じて取得しましょう。
国立中などで、実技科目を入試に出す場合があります(ただし、家庭科がないことがあります)。
図工では、色や形の知識、デッサン、美術史などが出題されます。
ピアノ・作曲などの練習をしましょう。絶対音感は、あれば有利ですが、なくてもほとんど問題ありません。4小節くらいの作曲が出題されることがあります。 | [
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"text": "問題をとけるようにするには、計算したり、考えたりすることが必要なのです。聞いているだけでは、とけるようになりません。とくに、算数では、そうです。",
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"text": "だから、たとえば塾などの上級クラスに行って、解きかたの分からない問題の解きかたをガマンして聞いていても、それだけでは、ほとんど解けるようにはなりません。 塾などの上級クラスに通う人の場合で、「受験問題で計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない」ことが多い子の場合、塾の先生にたのんで、より基本的なクラスに変えてもらったほうが、むしろ学力がアップする場合もあるでしょう。そのような基本クラスなどでも、受験をしない普通の小学生なら勉強していない時間に、中学受験生は塾で勉強しているわけですから、基本的なクラスでも、じゅうぶんに学力のアップが期待できます。",
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"text": "また、たとえば都会にあるレベルの高い進学塾などで大人数(30人~数百人)での教育を受けるよりも、数人~十数人ていどの少人数の地元の塾などで指導をうけつつ勉強したほうがよい場合もあります。参考書を見れば受験問題のときかたは書いてあるわけですから、遠くの都会の塾に通うくらいなら、地元の徒歩や自転車でいける塾で勉強しておいて、あまった時間やお金を勉強に使ったほうがいいかもしれません。",
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"text": "中学受験のテキストで最もオーソドックスなのは、『中学受験新演習』と四谷大塚の『予習シリーズ』の2冊です(ほかにもいろいろあります)。多くの塾では『中学受験新演習』が使われています。一方、四谷大塚とその系列校では『予習シリーズ』が使われています。どちらもレベルや内容に大差はありませんが、『予習シリーズ』は四谷大塚に通っていなくても注文すればだれでも買える一方、『中学受験新演習』は原則として塾が保護者に代わって買うというしくみになっています。そのため、『中学受験新演習』は個人で買うことができません。",
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"text": "よって、中学受験の勉強を塾に通わずに(家庭教師や親のみで)するのなら、『予習シリーズ』を買うのがベストです。『予習シリーズ』に慣れておけば、後で塾に通うことになって『中学受験新演習』を使うことになってもそれほど違和感なく進められるでしょう。個別指導系の塾ならそのままテキストとしても使えます。書店で市販されているものはメインのテキストにするのではなく、参考書・問題集がわりにした方がよいでしょう。",
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"text": "図鑑や事典などは、ふだんの勉強にはなりません。それら図鑑なども読んでおいたほうが良いですが、まずは参考書が必要です。多くの範囲を勉強しなければならないので、図鑑などでカバーしようとすると、とても多くの図鑑が必要になって、読みきれませんし、お金も多くかかってしまいますし、部屋が大量の分厚い本で埋まってしまいます。",
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"text": "けっして「算数だけしか勉強しない」など、1教科だけを勉強しないでください。 きちんと4教科(国語・算数・理科・社会)+α(この4教科以外の受験科目がある場合)を勉強してください。",
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"text": "しかし、国語はどこの中学校でも差がつかないほか、理科社会は多くの中学校で満点が算数国語より少ないですし、算数一科目の学校もあり、算数で差がつくというデータもありますので算数を多めに回さないと合格は難しいかもしれません。",
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"text": "小学校でならうていどの算数は、きちんと計算できるように練習する必要もありますし、もしも苦手なら、時間をかけてでも練習するべきです。",
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"text": "どの教科でも、けっして、受験範囲だけの勉強をしないでください(かといって、しすぎるのもダメです)。受験先の中学校の側とすれば、勉強そのものに興味のある子供を、入試で取りたいのです。また、このようなことに限らず、受験以外の知識・教養を身につけるのも大切です。ただし、事典などに深入りしないようにしてください。ふだんの学習の中心は参考書と問題集で行いましょう。",
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"text": "とくに理科は、図鑑なども、なるべく読むべき教科です。たとえば子供向けの事典や図鑑とか資料集などを見るのは大事です。それから興味や知識が深まりますし、意外と参考書の内容に入っていたりします。",
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"text": "このとき、本に実験が書いてあるからといって、無理して実験しないことです。学校で習わないことには、それなりの理由もあります。実験がむずかしかったりするなどの理由があったりして、なので学校では習わないという場合もあります。また、したところで、事実の確認をするだけですから、受験勉強ではあまり必要ありません。",
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"text": "さて、本屋に行っても、小学生むけの事典・図鑑などの本も少ないです。図書館では貸し出し期間があり、また、貸出禁止になっていることがあるので、あまり受験勉強には向きません。参考書を何冊か組み合わせて代用するとか、中学生むけの参考書で代用するとか、通信販売を利用して図鑑や事典などを購入するなど、必要かもしれません。学研などから出ている「教科事典」という各教科ごとの事典もあるので、その教科事典の小学生用の本を購入するなどの策もあります。",
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"text": "事典や図鑑は、べつにシリーズすべては買わなくても良いですから、なにか一冊ぐらいは買っておければ、勉強にも良いでしょう。ただし、図鑑のシリーズ全部を買っても、おそらく時間が足りなくて読みきれません。",
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"text": "国語にしても、児童文学とか、近代文学とか、なにかを数冊ぐらいは読んだほうが良いでしょう。課題図書とか推薦図書などで、すすめられている本も、できれば、数冊かは読んでおきましょう。もしテスト本番で自分が読んだことのある本の一説があっても、油断はしないでください。本を一冊読んでも、覚えていられる内容は本全体の一割だけです。ですから、一部でいいのでなるべく内容を意識して集中して読むようにしましょう。",
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"text": "言葉の知識においては、日常で使うしかありません。国語はあまり時間をかけないほうがいいので、日常で使うのはかなり効率がいいです。書いたりみたりしていた時間を読書や、記述練習に使ったりすることができます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "偉人伝とか伝記とかも、できれば、すこしは読んだほうがよいです。このとき、たとえば源頼朝や徳川家康や伊能忠敬とかの歴史人物を中心に偉人伝を読むと、勉強にも便利です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "直接的には、中学入試では偉人伝は問われません。ただし社会科や国語では、有名どころの偉人については知っている上での問題が出される場合もあるでしょう。なぜなら、どこの本屋や図書館などでも偉人伝はあるでしょうし、どこの書店でも偉人伝はあるでしょう。だから読書の習慣のない受験生を落とすのに、偉人についての知識をみるのは最適だからです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "野口英世とかファーブル昆虫記とかナイチンゲールとかも、読書に良いかもしれません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "エジソンなどの発明家とか、アインシュタインとかキュリー夫人などの物理学者の伝記などは、あとまわしでも、どうにかなります。これら発明や物理学の分野は、入試に出しづらいのです。 また、アメリカ人野球選手のベーブルースとか、マンガ家の手塚治虫とか、現代に近い文化での、偉人の伝記は、読まなくても、あまり問題ありません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "ほとんどの学校で、合格するかどうかが決まる重要な教科です。少なくとも算数だけでも4年生から学習を始めることを強くすすめます。中学受験に必要な力は計算力とその問題が何を聞いているのかを見ぬく力です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "灘中学・開成中学をはじめとした非常に難しい中学校入試の算数でも、さいしょは計算問題の場合があります。見るだけでイヤになりそうな式が出るかもしれませんが、正確にすばやく計算していく必要があります。これはすぐに力の付くものではありません。毎日の地道な計算練習が問われるところです。そろばんなどをしている人は算数が強いです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "もう一つ大切なことは「この問題は何を聞いているのか」を考えることです。中学入試の算数は文章題が中心です。とくに難しい中学校では最初の計算問題や文章題が5問くらい出たあと、とても難しい文章題が4・5問だけということもよくあります(「最初の問題」もないこともあります)。このような文章題では、ただぼんやりと問題を見ても何を聞いているのかさえわからないでしょう。中学受験ではいろいろな公式や計算方法が組み合わさっているからです。色々な計算方法の中で、何を使えばいいのか、どうしてそうなるのかをしっかりと考えながら学習していくことで、「この問題は何を聞いているのか」を見ぬく力もついてきます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "中学入試の算数は考え方を重視しています。そのため、文章題には途中式を書かせるスペースもあることがあります。その場合、途中式がちゃんと書かれていないと、たとえ答えがあっていたとしても、大きく減点されることもあります。反対に、答えまでたどり着かなかったとしても、途中式がしっかりと書かれていれば、部分点をくれることもあります(もちろん、答えしか採点されない場合も多いです)。ですから、中学受験を考えているのでしたら、算数は途中式をちゃんと書くクセをつけましょう。問題集には式と答えだけを書くスペースしかないこともありますが、学習するときには、ノートに最初の式・計算の過程・答えの3つを書く習慣を身につけるように心がけましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "算数の勉強の仕方そのものが、分からない場合もあると思います。とくに、複雑な文章題や、図形の複雑な問題などだと、勉強方法そのものが分かりづらいでしょう。計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない場合もあります。まして受験問題ですので、とくにムズかしい問題が出てくるわけです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "算数の勉強をするなら、とりあえずでいいので解いてください。ただ、中学受験の参考書は解説が分かりにくい場合が多いので、塾の先生などにわからない場合は聞いてみてください。問題によりますが、解けるまで頑張って解いてみてください。一つの問題がわかるといろんな問題ができるようになります。難しい問題ほど基礎が大事です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "やたらと計算ドリルばかりを行うことは、あまりオススメできません。なぜならドリルだけでは、文章題などには、あまり対応できません。 すでに計算問題ができる人なら、わざわざ計算ドリルを何十回もくりかえす必要は、ありません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "「計算ドリル」は、まだ計算の苦手な子供が、苦手を得意にかえるために練習するためのものです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "もちろん、基本的な計算を身につけることは必要です。しかし、先ほども述べたように、文章題などが入試で重視されます。また、小学校では一通り、基本的な四則演算(+-×÷)を全員が習うはずなので、計算問題では、あまり得点に差が付きません。 小学校よりも、もうちょっとだけムズかしい計算問題を、もうちょっとだけ多めにやっておけば、計算ドリルは、じゅうぶんです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "やたらと計算量の多い5 - 10ケタどうしの掛け算とか割り算とかを何百問も大量に練習するくらいなら、それよりも基礎的な文章題をより多く練習したり、国語・理科・社会など他の教科を勉強したほうが、よいでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "絶対に解き方を覚えないでください。「なぜ、そう解くのだろう?」ということを、5分~10分くらいでよいので、きちんと考えたり、図に描いたりして、たしかめたりしてみてください。「この解き方は、ほんとうに正しいのだろうか? ほかの例で、たしかめてみよう」などと考えて、かんたんな例を自分で考えてみて計算して確かめてください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "たとえば「つるかめ算」を初めて勉強するとき、かんたんな例を考えるなら、まずツルが1匹でカメが4匹とかの場合を考えたり、あるいはツルが3匹でカメが1匹の場合とかを考えてみて、さいしょは実際に図を書いてみて、たしかめたりすると、よいかもしれません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "ただし、基本的な文章題については、5年生を終えるころぐらいまでには、解き方を、おぼえてください。小学生の段階では、おぼえることは、わるくはありません。ただ、受験問題ともなると、おぼえようとしても、おぼえられないような、ムズかしい問題が出てきます。なので、受験問題は、なるべく考えるようにして、解いたほうが良いでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"text": "たくさん本を読んでも、中学受験にかぎらず国語の力がのびるとはかぎりません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "もちろん、たくさん本を読むことそのものは悪いことではありません。いろいろなことに興味を持つきっかけにもなりますし、読解力もつきますので、読書そのものは中学受験のあいた時間にしておきたいところです。中学受験では次のことが問われていることも忘れてはなりません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "これらの力をつけるには、やはり、ふだんの読書量がとても重要です。長い文章に親しんでいないと、これらはなかなか身に付きません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"tag": "p",
"text": "また、適性検査では、私立中学の受験とは違った意味ではばひろい知識が必要になることもありますから、地球環境問題などのように今、世界で何が起きているのかを知るための読書は特に重要です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "しかし、さいしょに述べたように、いくら本を読んでも国語の力がのびないことはまったく珍しいことではありません。特に私立中学の国語では、そのようなことになやむ児童や保護者も多いです。受験の国語には何が必要なのでしょうか。以下で、かんたんに説明します。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "第一に、中学受験の国語では本文に書かれていることだけをもとにするのが原則です。いくら、「こんなことが考えられる」と思っても、本文に書かれていないことであれば、それは「受験において正しい答え」とはなりません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "ただし、書かれていることを自由に読んでいいということではありません。特に物語文では、自分がどう思ったのかを聞いてはいません。読書量は多いのに、国語の成績がいまいちという人は、「本文を読んで、自分はこう思った」ということをもとにしがちです。しかし、それは次に述べる「国語のルール」にのっとっていなければ不正解になる可能性が高いです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"text": "まず、例を考えてみましょう。次の問題を考えてみてください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "これで、すぐに3を選んだ方は一応、受験国語のルールが身についている(または身につきつつある)かもしれません。「花子は目をうるませた」としか書いていないのですから、別に1でも2でも間違いではありません。ですから、この問いには本来、答えがありません。しかし、受験国語のルールにしたがえば、3以外に答えはありません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "実は、国語の読解問題にはルールがあります。そして、これは学校の授業でも、高校・大学受験の国語でも大きく変わりません。では、国語のルールとはなんでしょうか。それは、「こういう場合には、多くの人がこういう気持ちになるのだろう」という世間の常識にのっとったものが答えになるということです。そして、受験の小説に出てくる親や先生や大人は、ふつう「良い親」「良い先生」「良い大人」です。主人公もふつう「良い子」です。これも、世間で「良い」と思われるような親・先生・大人でなければなりません。先ほどの例で言うと、「目をうるませたのだから、泣きそうなんだな。悲しいことがあったのかな」と気持ちを察するのが、中学受験における「よい考え方」なのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "国語の問題に出てくる「気持ち」を問う問題もこういう視点から考えていく必要があります。そして、それにはいくつかのパターンがあります。いくつか例を挙げます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "このような、パターンをつかむことがまず、受験の国語では必要なのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "中学入試では、独創的な読み方をしては、間違いなのです。学校の先生すらも思いつかないような深い読みかたをして、その答案を解答用紙に書いたところで、答えあわせをしてる中学の先生が思いつかないので、たんなる「間違った答案」だと見なされてしまう場合が高いのです。中学校の先生たちは、短い時間で、多くの受験生の答案を、見なければなりません。一人ひとりの読みかたを、いちいち調べている時間がありません。だから、かわりに、パターンにそった答案が書けるかどうかで、読解力を調べるのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "本来、物語や小説などの読みかたには、多くの読みかたがあります。だから小学校での国語の授業では、たとえば、ある生徒が、ほかの多くの生徒たちとは違った、独創的な読み方をする場合もあります。先生すらも思いつかなかったような読みかたが、でてくる場合だって、あります。もし、その独創的な読みかたが、すごく深く考えてあって「立派な読みかた」だと小学校の先生が思った場合には、小学校の先生が、独創的な読みかたをした生徒をほめてくれる場合もあります。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "しかし、さきほども言ったように、中学入試では独創的な読み方をしてはダメなのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "かりに、こういうパターンで考えず、「『目をうるませたから』といって、悲しいとは限らないぞ。たとえば、目にゴミが入ったのかもしれない。」などと例外的な場合も考えておくのは、たしかに、そういう場合もありえるから、本来は注意ぶかいから立派なことなのですが、しかし、言葉とは、なるべく少ない文字数で、多くの情報を相手に伝えなければならないのです。だから、このようなパターン(「目をうるませた→悲しい」など)が、すくない言葉で意図を伝えるため、どうしても必要になるのです。特に、物語の場合、作者は、読者に物語の世界に入り込んでほしいわけですから、ほとんどの表現では、パターンにそった表現法を用いているでしょう。私たちも、ふだんの会話では、パターンにそった表現を、たくさん、使っています。また、ふだんの会話では、パターンにそった表現をしないと、誤解や勘違いの原因にも、なってしまいかねません。だから、パターンにそった表現が、必要なのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "なお、一般に物語づくりの手法として、作品内でパターンから外れた事を多くし過ぎると読者・観客が理解できないので、適度にパターン通りのものを混ぜておく、という手法があります。近年は、LGBTとか「偏見の解消」とかでパターン的なものの見方を否定する場合もありますが(たとえば男の子なのに髪の毛が長いとか)、その場合は、別のところがパターンどおりになっているのが、物語づくりでよくある手法です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "そして、パターンがあるのは、なにも一文の表現だけでなく、文章全体の物語にすら、パターンがある場合すら、ありえます。そして入試国語の物語文では、こういうパターンにそった物語が出る場合が多いのです。かといって完全にパターンどおりの物語だと、読解力を問う入試問題にはなりませんから、ほんのすこしだけ、パターンから外れた問題が出るのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "中学入試での国語の問題には、正解がなければなりません。そして、その正解とは、もし中学校の国語の先生ならば、ほとんどの先生が「これが正解だ」と思うような正解があるわけですから、だから中学入試の国語にはパターンができるわけです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "どういうパターンがあるかは、じっさいに中学入試の過去問などで問題練習をしないと、身につきません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "さて、物語にパターンがあるわけですから、問題の正解にもパターンがあるわけです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "つまり、国語は、いわゆる暗記科目でもあります。たとえば社会科とかで語句をおぼえたりするのと同じように、国語でも、語句や物語などの読みかたのパターンを身につけないといけません。物語のパターンを身につけるには、単に過去問に紹介された作品を読むだけでなく、じっさいに問題も読んで、そして解答も読んでください。もし入試直前などで問題練習の時間が足りない場合は、解答だけを読むのでも、効果があるでしょう。とはいえ、入試直前などでないなら、きちんと問題を解いて練習してください。問題は解くだけではダメであり、問題を解きおわった後には解答と見くらべてください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "ある物事を説明したものを説明文といいます。これに近いものとして、ある物事について筆者の意見を述べたものがあり、それを評論文とか論説文と言います。ここでは、それらの読み方について説明します。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "まず、入試の国語では、私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章がよく出されます。一つ、例をあげましょう。環境問題は重大な問題だということはみなさん、学校で習っているはずですからよくおわかりでしょう。しかし、入試の国語ではそこから、もう一歩踏み込んだものを扱うことがあります。「なぜ自然環境を大切にしないといけないのか」「人間はよくばりだから自然を破壊したと言っていいのか」などのような文章が出されます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "そして、特に評論では何か二つ以上のものを比べる(対比する)ことがとても大切です。「日本人はお金持ちだ」といってもそれだけでは、自分でそう思っているだけです。日本の平均所得(お給料の平均)と外国の平均所得とを比べて、はじめて説得力のある文章になります。ですから、何かを主張するときには2つ以上のものを比べることが多いのです(これは作文を書くときにも知っておくといいでしょう)。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "そのとき、評論文では反対の意味を持つ(とされる)ものがキーワードになっていることが多いです。たとえば、「個人と社会」「人間と自然」「伝統と変化」などがあります。そして、筆者はどの立場なのかを見極めなければなりません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "評論文・説明文も小説と同じように、世間の常識も解くときにカギになります。極端な例を挙げると、「自然環境を破壊してでも社会を発展させることは大切だ」「貧富の差が大きくなるのは当然だ」という問題が出ることも、それが答えになることもほとんどありません(ただし、本文中に根拠がないので正しいとは限らない」ということがあります)。それは、「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」があるからです。私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章も、別に私たちの常識を完全に否定するとはかぎりません。「ふつうだ」と思っていることにあえて疑問を投げかけることで、それがどうして当たり前なのかを確認することもあるのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "説明文という分野では、ものごとの常識的な分析で、問題を解くのです。中学高校の先生からすれば、こういう常識的な分析の方法ができない生徒だと、中学や高校の社会科などの科目の教育で、教えるのに手間がかかります。だから、常識的な分析の仕方ができるかどうかを、テストで見るのです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "国語の分析力で必要なのは、分析の広さや早さであって、けっして分析の深さではありません。ごく一部の人たちだけしか思いつかないような、深い分析は、国語では必要とされません。たとえば社会問題について書かれた評論文でも、受験生に求められる分析の深さは、文章に書かれている説明のほかには、せいぜい小学中学の社会科で用いるぐらいの分析です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "このように、評論文や説明文では、社会科などで使う分析の方法についても、知っていないといけません。さきほど言った「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」「道徳」も、社会科などで教えられる常識でもあります。だから社会科の参考書で勉強するときに、用語などを覚えるだけでなく、社会の「常識」「道徳」もおぼえておきましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "中学の社会科や社会常識に対してすらも疑問を投げるような独創的な分析は、中学入試の国語では必要ないのです。 「学校」という集団も、社会の一部です。だから、社会科で「常識的」「道徳的」とされるような考えかたが、中学でも「よい考えかた」だとされますし、国語でも「よい考えかた」だとされるでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "高校入試や大学入試の入試国語の説明文・評論文でも、同じようなことがいえます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "参考書と問題集が必要です。 学校教科書だと、中学受験でおぼえるべきことが教科書に書いていないことがあるので、参考書を買って勉強してください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "用語などのほかに、記号などを覚えたりする勉強も必要です。たとえば電気の問題なら、どんなに直列や並列の仕組みを理解していても、そもそも回路記号をおぼえていないと、回路記号が使われた問題なら解けないでしょう。 だから参考書などを読み返して、おぼえるべき記号は、きちんと、おぼえてください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "もし、図鑑なども勉強するなら、昆虫図鑑とか、植物図鑑とか、惑星の図鑑など、やや生物学・地学寄りの図鑑が良いでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、自動車の仕組みとか、ダムの仕組みとか、通信機・コンピューターの発達の歴史などを勉強しても、まったく入試に出ませんし、そもそも中学・高校の理科の先生が、そこまで知りません。このようなものを、中学・高校の理科では、ふつうあつかいません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "きほんとなる小学校の教科書にのっているようなこと(たとえば都道府県の県庁所在地名、代表的な地図記号など)は、きちんと覚える必要はあります。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "しかし、それ以外のことの暗記は5年終わりまでは、そこそこにしておいて、ふだんの勉強では、どんどんと参考書で先に進んでいくのが良いと思います。 たとえば歴史分野は小学校では6年からですが、たとえ5年生や4年生とかであっても、自分で歴史の学習マンガを読むなり何なりして、どんどんと読み進めていってください。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "歴史については、参考書をいきなり読んでも、あまり理解できないでしょう。歴史マンガや(学習向けのものにしましょう)、子どもむけの偉人伝などをあつめた本などが、書店の児童書コーナーなどにありますから、それを読むと良いでしょう。小学生むけの歴史の参考書を読むのはそのあとがよいと思います。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "ほかの分野(特に地理)参考書をどんどんと読みすすめて、勉強していない分野をなくしてください。学年にとらわれず、勉強してください。4年生でも、高学年用(5年・6年用)の参考書で勉強しはじめても良いでしょう。教科書で習ったようなことがマスターできたら、中学受験用テキストに進みましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "作文で社会問題を求められる場合への対策として、本屋に行けば、中学受験むけの時事の解説書があるので、まずはそれを読むのが良いでしょう。国語の説明文や評論文などでも、近年の社会問題などについての文章が出る場合もありえます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "しかし、ニュースなどの時事問題よりもまずは教科書にのっている出来事をしっかり覚えることが大切です。そして、参考書で知識をおぎなったり、練習問題を解いていったりします。この積み重ねが社会の勉強の基本です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "中学受験では、漢字指定や「隠れ漢字指定」(「漢字指定」とは書いていないが、漢字で書かないと不正解または減点)が非常に多いです。ですから、地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えましょう(理科など他教科も一緒です)。ただし、「ひらがな指定」などには注意してください。学校の説明会で、「漢字でないと減点」「ひらがな可」など、漢字、ひらがなについて指定されるはずですので、事前に確認しておきましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "特に戦国時代はゲームやマンガになっているため、それらを通じて興味を持った方も多いでしょう。しかし、そういったものだけに深入りしすぎない方がいいです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "織田信長や徳川家康などの戦国時代にはとても多い数の武将(数百人)がいます。しかし、それらすべての人物を勉強していては、時間のむだです。",
"title": "全体的な勉強法"
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{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "せいぜい、教科書や参考書で書かれているような有名な戦国大名について、その名前と業績を知っていれば、じゅうぶんです。それ以外は、入試にでません。たとえば信長の弟(信行)や父親の信秀は、入試にほとんど出ません。偉人伝などでも、織田信長とか豊臣秀吉とか徳川家康などは、タイトルに取り上げられるでしょうから、興味があれば、どれかを読んでみても、よいでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "そもそも、歴史は、古い時代から現代までの流れをつかむのが大切なことです。他の時代も勉強しなければ、戦国時代のこともよく理解できないのです。",
"title": "全体的な勉強法"
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{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "しかも、歴史ですら、社会科の一分野にすぎません。歴史のほかにも、地理分野や公民分野もあります。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "社会科にかぎったことではないですが、小学校の教科書には書かれていないような話題も出ます。中学受験の地理や日本史の問題では、中学校の教科書に出てくるような話題も出ます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "しかし、中学受験の社会科の歴史の問題の元ネタは、偉人伝や学習マンガ、小中学生向けの日本史の解説書です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "たとえば、中学校の社会科の歴史分野で習う人物や出来事のうち、小学生むけの偉人伝とか学習マンガにも、よく出てくるような人や出来事が、中学受験にも出やすい、という事です。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、中学受験の地理や公民の分野の中学レベルの問題については、参考書を読んで勉強するしか、ありません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "では、歴史の勉強の方法について、提案します。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "具体的にいうと「武田信玄」とか、小学校では教科書には出てきませんが、しかし中学受験では出てくる場合があります。なぜなら偉人伝や学習マンガにも良く出てくるし、長篠の戦いで武田氏について習うはずですし、高校の日本史の教科書で武田信玄など有名な戦国大名を習うから、当然、中学受験に出る可能性もある、ということです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "逆にいうと、学習マンガとかに出てくる人物であっても、中学校や高校の教科書に出てこない人物は、中学受験にも出てこない場合が多いでしょう。たとえば、忍者といわれている服部半蔵は、中学の教科書にも高校の教科書にも出てこないので、中学受験にも服部半蔵は出てこないでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "さて、中学受験に出る中学範囲の歴史知識は、本来なら、中学生を相手にして時間をかけて教育することですから、小学生がいきなり参考書でそれらの知識を暗記しようと思っても、効率は悪いです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 93,
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"text": "ですから、偉人伝とか学習マンガとか小中学生向けの日本史の解説書をある程度、読んでおきましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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{
"paragraph_id": 94,
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"text": "中学受験で小学生に出題できる人物には、限りがあります。たとえば、小学生は、法学や経済学を知らないので、明治~昭和時代での、それらの学問の お雇い外国人 の名前(たとえばフランス人の法学者のボアソナードなど)は、中学受験には出てきません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
"paragraph_id": 95,
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"text": "いっぽう、「大森貝塚を発見した人 = モース」「明治時代に日本でさいしょに近代的な郵便制度をつくった人 = 前島密」などのように、小学生でも内容を理解できる人物が、入試に出てくるわけです。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"text": "そして、中学受験むけの社会科参考書の歴史の分野のページでは、このような、小学生でも業績を理解しやすい人物が、紹介されているわけです。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "なので、歴史の暗記は、中学受験むけの参考書に出てくるような話題だけを、当面は暗記できればいいのです。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "余談ですが、裏を返すと、中学受験で得られる社会科や国語の教養は上記のように片寄りが大きいので、もし社会科の教養のある大人になりたい場合は、中学合格後に、高校や大学受験あたりで再び大学受験レベルの勉強をしなおす必要があります。",
"title": "全体的な勉強法"
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"title": "全体的な勉強法"
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"text": "偏差値の高い中学では時事問題で差がつくことが多いです。なぜなら、そのレベルになると普通に知識を問うような問題では満点を連発するような子どもが多く、社会の点数で差がつかなくなることが珍しくないからです。ただし、時事問題のテキストは10月末ごろから書店に並びます。ですから、時事問題対策はそれ以降でかまいません。裏を返せば、6年生の10月ごろまでは時事問題の練習は必要ありません。むしろ、それまでは習ったことの復習と定着のための練習に力を入れるべきです。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "さて、時事問題には大まかに分けて2つの傾向があります。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "1の場合、普通の社会の勉強と同じ仕方で覚えていきましょう。例えば、今年(2020年)だと「新型コロナウイルス」「イギリスのEU離脱」などについて書いて覚えていくといいでしょう。",
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"text": "2の場合は「社会」のいろいろな力が試されます。例えば(書きかけです)といったぐあいです。この場合は、できごとを覚えておくことも必要ですが、これまで積み重ねてきたものが最も重要です。最終的には、今年の出来事がどういうものなのかを、これまで習った知識を使って説明できることを目指したいものです。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "塾や家庭教師の先生と一緒に過去問を見て、時事問題がどれだけ出ているのか・どんな内容なのかをちゃんと確かめておきましょう。その上で対策を行うようにしてください。",
"title": "全体的な勉強法"
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"title": "全体的な勉強法"
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"text": "「捨て問」とよばれる問題が1、2問出る学校もあります(「地雷問題」ということもあります)。これは、高校内容などを元にしたり、計算量が膨大だったりと、小学生には解けない、または解きにくいような問題のことです。例を挙げましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "こんな問題解けるわけがないですよね(ちなみに答えは3です)。なぜ、こんな問題が出るのかというと、時事問題のところでも説明したように、高レベルの学校の受験では高得点をとる子どもだらけになる場合があります。それを食い止めるためにわざとこういう問題を出す学校があるのです。歴史分野以外の社会や社会以外にも「捨て問」が出されることがあります。",
"title": "全体的な勉強法"
},
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"text": "捨て問に対処する方法はありません。こういう問題を出す学校の入試の場合、全然習った記憶のないものが出ても「地雷だからみんな解けない」と割り切って、先に進みましょう。また、塾でやる過去問の中に地雷問題があった場合、先生が教えてくれるはずです。ただし、入試本番で見かけたら、選択式の問題であれば、なるべくどれかをカンで選んでおきましょう。確率は低いですが、当たる可能性があります。",
"title": "全体的な勉強法"
},
{
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"text": "例外はあります。〈年表・グラフ〉を参考にして答えなさい。例えば問題に「1980年に○○」と書いてたら,1980年に着目しないといけません。資料を有効活用した,勉強方法も必要です。本屋で過去問を探し,学校で覚えた用語はハヤメに復習したり、教科書にある記述は覚えた方がいい。方向や出来事は確認しよう。 過去問:これは教科書に記載されてない可能性があります→ひとつの例として押さえる",
"title": "全体的な勉強法"
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{
"paragraph_id": 110,
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"text": "国立大学付属中学校と公立中等学校では私立中学のようにそれぞれの科目ごとに分かれた試験ではなく、「適性検査」として、国算理社すべてをまとめた問題が出されます(ただしこの4教科とはかぎりません)。",
"title": "全体的な勉強法"
},
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"text": "特に、世の中の動き(時事問題と言います)の知識やグラフ・表を読む力、計算力や発想力が問われます。",
"title": "全体的な勉強法"
},
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"text": "中学受験、とくに公立の中高一貫校では、時事問題が出題され、与えられた資料を分析して、違いや共通点を説明することが求められます。私立中学校でも出題されることがあります。このようなトレーニングには、受験に定評のある出版社から出されたニュース解説集、時事解説集などを読むことが必要かもしれません。",
"title": "全体的な勉強法"
},
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"text": "出版社によっては、受験に定評のない出版社が、中学受験をしない子供向けに出している子供向けのニュース解説書もあるので、それとは混同しないようにしましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "たとえ「中学受験対策」をうたっているニュース解説書でも、出版社に受験対策の実績が無い場合は、ほかの出版社の本にしたほうが良いでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
},
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"paragraph_id": 115,
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"text": "さて、時事問題などの対策として、よくある勉強法として、「新聞を読め」とか「ニュース番組を見ろ」という勉強法を掲げる人もいます。しかし、これまでニュースや新聞にあまりふれていないのに、いきなりこれらに手を出してもあまり効果はないでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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{
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"tag": "p",
"text": "新聞記事の内容の理解や、ニュース番組の理解は、社会科や国語の学習成果であって、学習手法ではないのです。",
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"text": "マスメディアを利用するときに大切なことは、ただ1つだけの情報をうのみにするのではなく、他の情報などと照らし合わせて、情報が本当に正しいのかどうか、別の見方はできないのかを考えることです。",
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"paragraph_id": 118,
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"text": "国立大学付属中学校や公立中等学校(一部の私立中学校でも)では400 - 600字の作文が出題されます。 45分というかぎられた時間に400字以上の作文を書かなければなりません。また、テーマは自由ということはほとんどなく、課題文をもとに自分の感想や意見を体験を交えて書くことがほとんどです。そのため、文章を書くスピードも大切ですが、課題文をしっかりと読む力も必要です。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "私立中などで、英語を入試に出す場合もあります。",
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"paragraph_id": 120,
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"text": "まだ英語を出す中学校が少ないので(英語教育改革により、最近どんどん増えています)、傾向は固まっていないでしょう。受験生は、バランスよく勉強するのが、安全で近道だと思います。",
"title": "全体的な勉強法"
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"paragraph_id": 121,
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"text": "単語の書き取り、聞き取り、会話とか、かんたんな英文の読みなどを、バランスよく勉強するのが、安全だと思います。市販の教材などを使うのも良いでしょう。最近なら、英語の音声教材なども、安い値段で売っているはずです。",
"title": "全体的な勉強法"
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{
"paragraph_id": 122,
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"text": "けっして「聞き取りばかりしか練習しない」とか、「会話ばかりしか練習しない」とかは、やめたほうが安全だと思います。 いくら「語学では聞き取りが大切」だからと世間では言っても、まったく書き取り練習をしないのは、やめたほうが良いでしょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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"paragraph_id": 123,
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"text": "問題文やテストの説明まで英語で書かれていることもあります。問題文も理解できるようにしておきましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "また、英検®などを取得しておくと、優待が受けられることがあります。(5 - 2級程度)(※場合によっては、普通のコースと違う「英語特進コース」などに進むことになることがあります。)入試要項などを見て、必要に応じて取得しましょう。",
"title": "全体的な勉強法"
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"text": "国立中などで、実技科目を入試に出す場合があります(ただし、家庭科がないことがあります)。",
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"text": "図工では、色や形の知識、デッサン、美術史などが出題されます。",
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"text": "ピアノ・作曲などの練習をしましょう。絶対音感は、あれば有利ですが、なくてもほとんど問題ありません。4小節くらいの作曲が出題されることがあります。",
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== 勉強を始める時期 ==
中学受験、特に私立中学校を志望しているのであれば、4年生頃から受験勉強を始めるべきです。なぜなら、'''私立中学校の受験では、ふつうの小学校の教科書では習わないことが多く出るためです'''。特に、算数は小学校の内容では習わないような計算・公式・考え方が必要なことが多く、4年生頃から受験勉強を始めないと間に合わないことが多いです。
国立大学付属中学や公立中等学校の入試では、小学校で習わないことはほとんど出ません。しかし、作文や思考力を問う問題が多く、学校で出されるテストとは全く違うので、やはり5年生くらいから準備を進めないと、合格するのは難しいでしょう。
== 保護者の方へ ==
中学受験は保護者の理解と協力も大切な要因です。特にこの章は2020年現在、30代後半 - 40代前半の保護者の方にあてはまるお話です。
=== 中学受験は難しい ===
ここは特に、中学受験の経験がある保護者を対象にしています。
2020年現在、30代後半から40代前半の方が中学受験をしていた'''1980年代後半から1990年代前半に比べて中学受験の難易度ははるかに上昇しています'''。当時は小学校の授業内容も多く、現在では発展的内容や削除されている内容(中学受験につながる内容も含む)が普通に学校の教科書にのっていました。また、今ほど中学受験は活発ではなく、受験生の割合もそう多くはありませんでした。そのため、学校の成績が良い場合、中堅の中学校であれば5~6年生くらいに学校の勉強に塾でいくらか+αの勉強をするだけで合格できました。
しかし、現在は小学校の内容が2 - 30年前に比べて大幅に削減されている一方で(要出典。脱ゆとり教育で教科書は厚くなっていると聞くが?)試験範囲の内容はほとんど減っていないこと、中学受験そのものの人気が高く倍率が非常に高いこと、塾と学校との対策のいたちごっこが続いた結果、問題そのものの難易度が急上昇し、難関校では高校・大学受験問題を小学生向けに「翻訳」したものや非常に技巧的な考え方や計算が必要な問題が増えたことから、中堅校ですら小4くらいから準備をしないと合格は難しいです。
また、昔は市販の問題集や家庭学習用の教材を使って自宅学習するだけでも中堅校ならば合格することも可能でしたが、現在は上記の理由からよほどのサポートがない限り難しいです。受験をするのであれば、基本的に塾や家庭教師をお願いすることを想定しておきましょう。
決して、比較的易しかった頃の中学受験のイメージでお子さんに接しないでください。
=== 模擬試験の結果に一喜一憂しすぎない ===
模擬試験はお子さんの力を知るのに大切な試験です。しかし、その結果に振り回され過ぎないようにしましょう。特に受験勉強を始めたばかりのときの模擬試験では「小学校のテストではいつも100点を取っているのに、模擬試験では平均点にも届かなかった」ということは全く珍しくありません。試験の難しさが小学校のものとは比べ物にならない上、早くから塾などに通っている子どもとの差もあるからです。
ですから、模擬試験の結果がよくないものであったとしても、あまりガッカリせず、お子さんを励ましてください。
=== 偏差値 ===
{{ruby|偏差値|へんさち}}というのは、ごくごく簡単に言ってしまえば、「50」を平均として、平均からどれだけ上か(または下か)を数字にしたものです。中学受験では普通、学校の成績も中の上より上の成績の子どもが多いです。そのため、「偏差値50」といっても、「小学校の成績が良い子どもたちの中の平均」に近く、「偏差値50だから簡単」ということでは決してありません。ほとんどの中学生が受験する高校入試の「偏差値50」と小学校の成績上位層が多い中学受験の「偏差値50」は全く別物なのです。
特に地方の上位公立高校から大学に進学し、かつ中学受験を経験していない保護者の方は「偏差値50=ごく普通のパッとしない生徒」のイメージを持つ場合もあり、なおさら「子どもが偏差値50にも届かない」ことにショックを受ける場合があります。しかし、上記の理由から、中学受験の「偏差値50」は「上の中」だということを忘れないでください。
また、中学受験は学校ごとの問題のクセがあるため、お子さんの得意・不得意分野によっては必ずしも偏差値通りの結果になるわけではありません。ですから、あまり模擬試験の偏差値ばかりをアテにして、受験校を決めるようなことはないようにしましょう。
もちろん、模擬試験の結果はお子さんの学習到達度を知る重要な指標です。偏差値ばかりをアテにしすぎるものよくありませんが、全く無視していいものでもありません。偏差値とは「適当な距離」を保つようにしましょう。
=== 方程式などを教えない ===
受験算数では、小学校でも中学受験でも原則教えませんが、方程式を使うほうが楽に解ける問題があります。また、「方程式を使うと減点」という学校はほとんど見られません。ですから、「方程式の方が楽だ」「どうせ中学では方程式で解くのだから」などとお考えになるかもしれませんが、{{個人の意見}}'''なるべく教えないでください。'''なぜなら、まず、塾で方程式を使わない解き方(特殊算)を習ったのに、突然方程式を使う解き方を教えられると、子供が混乱してしまう原因になります。中学受験の問題には、方程式より特殊算の方が楽に解けることがよくあります(方程式のみで対応できる問題自体も減っています)。また、一から方程式を教えようとすると、方程式を教える前に、正負の数、文字式の計算、等式の性質(すべて中1内容)などを教えなければならず、子供の負担も増えます。連立方程式やそのほかの内容(三平方の定理など)も同じです。{{個人の意見}}ただし、文章題の解き方が全く理解できない場合などに、支障が出ないなら教えてもよいでしょう。
== 小学校ごとの教科書の違いについて ==
私立受験・国公立受験とも、地域・小学校ごとに授業で用いる教科書の出版社がちがっていますが、しかし中学側は特定の教科書会社にあわせては入試問題を出題してはくれません。なので受験生である小学生側の勉強は、小学校の宿題だけではなく(宿題は当然するべき)、さらに参考書などで、自校以外の一般の小学校の授業範囲の内容も勉強しておく必要もあります。
なお、小学校の社会科の資料集や地域副読本は、都道府県によって内容が違っているのが普通なので、他地域の受験では参考になりません。したがって参考書を購入するのが良いでしょう。
たとえ国公立受験の場合でも、いきなり6年生になってから受験勉強をするするのは、むずかしいでしょう。なので、5年生くらいまでには受験勉強を始めておく必要があります。
小学校の授業や教科書で習うことは、当然、出題{{ruby|範囲|はんい}}なので(「出題しにくい」「簡単すぎる」などの理由で範囲外のこともありますが)、授業をしっかり聞いて予習復習して勉強しておく必要があります。教科書に書いてないことでも、小学校の先生が授業中に教えた内容のいくつかは、じつは他社の教科書には書いてあったり(発展内容・コラムにされていたり)、あるいは参考書や資料集を見ると書いてあったり、あるいは教科書会社の出版している教員向けの指導マニュアルには書かれてる内容だったりします。なので、小学校の先生の授業中の話も、きちんと聞いておく必要があります。
中学校のがわの先生も、学校ごとに教科書がちがうのは分かっていますし、多くの小学生にとっては、はじめての受験だから、なれなくて難しいということも、わかっています。しかし、中学校からすれば、だからといって特定の教科書にあわせて中学入試を出すわけにはいきません。もし、そうすると、ほかの教科書を使ってる小学校の受験生には不利になってしまうからです。
なお、高校入試や大学入試でも同様に、特定の教科書会社には入試を合わせてくれません。なので参考書なども勉強する必要があります。
== 全体的な勉強法 ==
=== 聞いているだけでは解けるようにならない。 ===
* 書き取りしたり、計算したり、考えることが必要。
問題をとけるようにするには、計算したり、考えたりすることが必要なのです。聞いているだけでは、とけるようになりません。とくに、算数では、そうです。
だから、たとえば{{ruby|塾|じゅく}}などの上級クラスに行って、解きかたの分からない問題の解きかたをガマンして聞いていても、それだけでは、ほとんど解けるようにはなりません。
塾などの上級クラスに通う人の場合で、「受験問題で計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない」ことが多い子の場合、塾の先生にたのんで、より基本的なクラスに変えてもらったほうが、むしろ学力がアップする場合もあるでしょう。そのような基本クラスなどでも、受験をしない普通の小学生なら勉強していない時間に、中学受験生は塾で勉強しているわけですから、基本的なクラスでも、じゅうぶんに学力のアップが期待できます。
また、たとえば都会にあるレベルの高い進学塾などで大人数(30人~数百人)での教育を受けるよりも、数人~十数人ていどの少人数の地元の塾などで指導をうけつつ勉強したほうがよい場合もあります。参考書を見れば受験問題のときかたは書いてあるわけですから、遠くの都会の塾に通うくらいなら、地元の徒歩や自転車でいける塾で勉強しておいて、あまった時間やお金を勉強に使ったほうがいいかもしれません。
=== 受験用テキストについて ===
中学受験のテキストで最もオーソドックスなのは、『中学受験新演習』と四谷大塚の『予習シリーズ』の2冊です(ほかにもいろいろあります)。多くの塾では『中学受験新演習』が使われています。一方、四谷大塚とその系列校では『予習シリーズ』が使われています。どちらもレベルや内容に大差はありませんが、『予習シリーズ』は四谷大塚に通っていなくても注文すればだれでも買える一方、『中学受験新演習』は原則として塾が保護者に代わって買うというしくみになっています。そのため、『中学受験新演習』は個人で買うことができません。
よって、中学受験の勉強を塾に通わずに(家庭教師や親のみで)するのなら、『予習シリーズ』を買うのがベストです。『予習シリーズ』に慣れておけば、後で塾に通うことになって『中学受験新演習』を使うことになってもそれほど違和感なく進められるでしょう。個別指導系の塾ならそのままテキストとしても使えます。書店で市販されているものはメインのテキストにするのではなく、参考書・問題集がわりにした方がよいでしょう。
==== 参考書と問題集を使う ====
図鑑や事典などは、ふだんの勉強にはなりません。それら図鑑なども読んでおいたほうが良いですが、まずは参考書が必要です。多くの範囲を勉強しなければならないので、図鑑などでカバーしようとすると、とても多くの図鑑が必要になって、読みきれませんし、お金も多くかかってしまいますし、部屋が大量の分厚い本で埋まってしまいます。
また、図鑑や事典には、練習問題が、のっていません。
ただし、時間とお金の余裕があれば、図鑑なども何冊か読んでみてください。図鑑などで紹介される知識は、直接は入試に出題されませんが、その知識を利用して解ける問題が出題されることはざらにあります。
=== 4教科をバランスよく勉強する ===
けっして「算数だけしか勉強しない」など、1教科だけを勉強しないでください。
きちんと4教科(国語・算数・理科・社会)+α(この4教科以外の受験科目がある場合)を勉強してください。
しかし、国語はどこの中学校でも差がつかないほか、理科社会は多くの中学校で満点が算数国語より少ないですし、算数一科目の学校もあり、算数で差がつくというデータもありますので算数を多めに回さないと合格は難しいかもしれません。
小学校でならうていどの算数は、きちんと計算できるように練習する必要もありますし、もしも苦手なら、時間をかけてでも練習するべきです。
けっして、受験の苦手教科を得意にかえようとして、あまりにもほかの教科の勉強時間をへらしすぎないないほうが、よいでしょう。
苦手科目は勉強したほうがいいですが、テスト直前や入試直前は得意科目を解き、自信をもって臨んだほうがいいです
=== けっして受験範囲だけの勉強をしない ===
どの教科でも、けっして、受験範囲だけの勉強をしないでください(かといって、しすぎるのもダメです)。受験先の中学校の側とすれば、勉強そのものに興味のある子供を、入試で取りたいのです。また、このようなことに限らず、受験以外の知識・教養を身につけるのも大切です。ただし、事典などに深入りしないようにしてください。ふだんの学習の中心は参考書と問題集で行いましょう。
==== 理科 ====
とくに理科は、図鑑なども、なるべく読むべき教科です。たとえば子供向けの事典や{{ruby|図鑑|ずかん}}とか資料集などを見るのは大事です。それから興味や知識が深まりますし、意外と参考書の内容に入っていたりします。
このとき、本に実験が書いてあるからといって、無理して実験しないことです。学校で習わないことには、それなりの理由もあります。実験がむずかしかったりするなどの理由があったりして、なので学校では習わないという場合もあります。また、したところで、事実の確認をするだけですから、受験勉強ではあまり必要ありません。
さて、本屋に行っても、小学生むけの事典・図鑑などの本も少ないです。図書館では貸し出し期間があり、また、貸出禁止になっていることがあるので、あまり受験勉強には向きません。参考書を何冊か組み合わせて代用するとか、中学生むけの参考書で代用するとか、通信販売を利用して図鑑や事典などを購入するなど、必要かもしれません。学研などから出ている「教科事典」という各教科ごとの事典もあるので、その教科事典の小学生用の本を購入するなどの策もあります。
事典や図鑑は、べつにシリーズすべては買わなくても良いですから、なにか一冊ぐらいは買っておければ、勉強にも良いでしょう。ただし、図鑑のシリーズ全部を買っても、おそらく時間が足りなくて読みきれません。
==== 国語 ====
国語にしても、児童文学とか、近代文学とか、なにかを数冊ぐらいは読んだほうが良いでしょう。課題図書とか推薦図書などで、すすめられている本も、できれば、数冊かは読んでおきましょう。もしテスト本番で自分が読んだことのある本の一説があっても、油断はしないでください。本を一冊読んでも、覚えていられる内容は本全体の一割だけです。ですから、一部でいいのでなるべく内容を意識して集中して読むようにしましょう。
言葉の知識においては、日常で使うしかありません。国語はあまり時間をかけないほうがいいので、日常で使うのはかなり効率がいいです。書いたりみたりしていた時間を読書や、記述練習に使ったりすることができます。
==== {{ruby|偉人伝|いじんでん}} ====
偉人伝とか伝記とかも、できれば、すこしは読んだほうがよいです。このとき、たとえば{{ruby|源頼朝|みなもとのよりとも}}や{{ruby|徳川家康|とくがわいえやす}}や{{ruby|伊能忠敬|いのう ただたか}}とかの歴史人物を中心に偉人伝を読むと、勉強にも便利です。
直接的には、中学入試では偉人伝は問われません。ただし社会科や国語では、有名どころの偉人については知っている上での問題が出される場合もあるでしょう。なぜなら、どこの本屋や図書館などでも偉人伝はあるでしょうし、どこの書店でも偉人伝はあるでしょう。だから読書の習慣のない受験生を落とすのに、偉人についての知識をみるのは最適だからです。
野口英世とかファーブル昆虫記とかナイチンゲールとかも、読書に良いかもしれません。
エジソンなどの発明家とか、アインシュタインとかキュリー夫人などの物理学者の伝記などは、あとまわしでも、どうにかなります。これら発明や物理学の分野は、入試に出しづらいのです。
また、アメリカ人野球選手のベーブルースとか、マンガ家の手塚治虫とか、現代に近い文化での、{{ruby|偉人|いじん}}の伝記は、読まなくても、あまり問題ありません。
=== 算数 ===
==== 重要科目である ====
ほとんどの学校で、合格するかどうかが決まる重要な教科です。少なくとも算数だけでも4年生から学習を始めることを強くすすめます。中学受験に必要な力は計算力とその問題が何を聞いているのかを見ぬく力です。
{{ruby|灘|なだ}}中学・{{ruby|開成|かいせい}}中学をはじめとした非常に難しい中学校入試の算数でも、さいしょは計算問題の場合があります。見るだけでイヤになりそうな式が出るかもしれませんが、正確にすばやく計算していく必要があります。これはすぐに力の付くものではありません。毎日の地道な計算練習が問われるところです。そろばんなどをしている人は算数が強いです。
もう一つ大切なことは「この問題は何を聞いているのか」を考えることです。中学入試の算数は文章題が中心です。とくに難しい中学校では最初の計算問題や文章題が5問くらい出たあと、とても難しい文章題が4・5問だけということもよくあります(「最初の問題」もないこともあります)。このような文章題では、ただぼんやりと問題を見ても何を聞いているのかさえわからないでしょう。中学受験ではいろいろな公式や計算方法が組み合わさっているからです。色々な計算方法の中で、何を使えばいいのか、どうしてそうなるのかをしっかりと考えながら学習していくことで、「この問題は何を聞いているのか」を見ぬく力もついてきます。
中学入試の算数は考え方を重視しています。そのため、文章題には途中式を書かせるスペースもあることがあります。その場合、途中式がちゃんと書かれていないと、たとえ答えがあっていたとしても、大きく減点されることもあります。反対に、答えまでたどり着かなかったとしても、途中式がしっかりと書かれていれば、部分点をくれることもあります(もちろん、答えしか採点されない場合も多いです)。ですから、中学受験を考えているのでしたら、算数は途中式をちゃんと書くクセをつけましょう。問題集には式と答えだけを書くスペースしかないこともありますが、学習するときには、ノートに最初の式・計算の過程・答えの3つを書く習慣を身につけるように心がけましょう。
==== 勉強の仕方そのものが、分からない場合 ====
算数の勉強の仕方そのものが、分からない場合もあると思います。とくに、複雑な文章題や、図形の複雑な問題などだと、勉強方法そのものが分かりづらいでしょう。計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない場合もあります。まして受験問題ですので、とくにムズかしい問題が出てくるわけです。
算数の勉強をするなら、とりあえずでいいので解いてください。ただ、中学受験の参考書は解説が分かりにくい場合が多いので、塾の先生などにわからない場合は聞いてみてください。問題によりますが、解けるまで頑張って解いてみてください。一つの問題がわかるといろんな問題ができるようになります。難しい問題ほど基礎が大事です。
==== 計算ドリル ====
やたらと計算ドリルばかりを行うことは、あまりオススメできません。なぜならドリルだけでは、文章題などには、あまり対応できません。
すでに計算問題ができる人なら、わざわざ計算ドリルを何十回もくりかえす必要は、ありません。
「計算ドリル」は、まだ計算の苦手な子供が、苦手を得意にかえるために練習するためのものです。
もちろん、基本的な計算を身につけることは必要です。しかし、先ほども述べたように、文章題などが入試で重視されます。また、小学校では一通り、基本的な四則演算(+-×÷)を全員が習うはずなので、計算問題では、あまり得点に差が付きません。
小学校よりも、もうちょっとだけムズかしい計算問題を、もうちょっとだけ多めにやっておけば、計算ドリルは、じゅうぶんです。
やたらと計算量の多い5 - 10ケタどうしの掛け算とか割り算とかを何百問も大量に練習するくらいなら、それよりも基礎的な文章題をより多く練習したり、国語・理科・社会など他の教科を勉強したほうが、よいでしょう。
==== 文章題の勉強 ====
絶対に解き方を覚えないでください。「なぜ、そう解くのだろう?」ということを、5分~10分くらいでよいので、きちんと考えたり、図に描いたりして、たしかめたりしてみてください。「この解き方は、ほんとうに正しいのだろうか? ほかの例で、たしかめてみよう」などと考えて、かんたんな例を自分で考えてみて計算して確かめてください。
たとえば「つるかめ算」を初めて勉強するとき、かんたんな例を考えるなら、まずツルが1匹でカメが4匹とかの場合を考えたり、あるいはツルが3匹でカメが1匹の場合とかを考えてみて、さいしょは実際に図を書いてみて、たしかめたりすると、よいかもしれません。
ただし、基本的な文章題については、5年生を終えるころぐらいまでには、解き方を、おぼえてください。小学生の段階では、おぼえることは、わるくはありません。ただ、受験問題ともなると、おぼえようとしても、おぼえられないような、ムズかしい問題が出てきます。なので、受験問題は、なるべく考えるようにして、解いたほうが良いでしょう。
{{コラム|受験算数の勉強の理由|
受験問題の算数は、勉強の理由も、分かりづらいです。学校で習う問題は、わりと実社会や実生活でも応用しやすく、勉強理由が分かりやすい問題です。しかし受験問題は、かならずしも、そうではありません。とくに算数は、理科や社会科のような実物がある学問とはちがうので、具体的な実用が考えづらいのです。
正直な話、実社会では応用しづらい問題も、受験算数にはあります。たとえば図形の問題なら、べつに計算しなくても、実際に作図をしてしまえば、近似値が、もとまってしまいます。公式などを使えば正確な数値も求まりますが、そもそも、なぜ、正確な数値を求める必要があるのか、その問題だけでは理由が分かりません。
図形をわざわざ式で計算する理由を、かんがえてみました。
たとえば、点がうごいたり、あるいは線がうごいたりする図形などなどでは、実社会で必要な答えを求めたい場合、計算する必要があります。身の回りにも、うごいているもの。うごかせるものは、たくさんあります。そもそも地球が、うごいています。
文章題などでも、人が動いたりする場合、計算をしないと、答えが、もとまりません。
うごいてる物を作図したり実験したりしようとすると、とても大変です。動く物の作図に、紙が何十枚も必要になったりするかもしれません。書く人の手間も、大変です。実験には、お金がすごく使われたりします。
「じゃあ、最初から、そういう実用的な動きを計算で解く問題を出せばいいじゃん」とか思いがちですが、しかし、そういう高度な実用問題は、とてもムズかしくて、小学生には、できません。ですから、受験算数では、やや実用性は下がりますが、かんたんにした問題が出るのでしょう。}}
=== 国語 ===
==== 読書と国語 ====
たくさん本を読んでも、中学受験にかぎらず国語の力がのびるとはかぎりません。
もちろん、たくさん本を読むことそのものは悪いことではありません。いろいろなことに興味を持つきっかけにもなりますし、読解力もつきますので、読書そのものは中学受験のあいた時間にしておきたいところです。中学受験では次のことが問われていることも忘れてはなりません。
# 辞書にのっているような言葉の意味やその使い方をちゃんと知っているか。
# 前後の文脈をきちんと読めているか。
# 文章全体で何が言いたいのか。
これらの力をつけるには、やはり、ふだんの読書量がとても重要です。長い文章に親しんでいないと、これらはなかなか身に付きません。
また、適性検査では、私立中学の受験とは違った意味ではばひろい知識が必要になることもありますから、地球環境問題などのように今、世界で何が起きているのかを知るための読書は特に重要です。
しかし、さいしょに述べたように、いくら本を読んでも国語の力がのびないことはまったく珍しいことではありません。特に私立中学の国語では、そのようなことになやむ児童や保護者も多いです。受験の国語には何が必要なのでしょうか。以下で、かんたんに説明します。
==== 国語では書かれていることだけを、もとにして、解く ====
第一に、中学受験の国語では本文に書かれていること'''だけ'''をもとにするのが原則です。いくら、「こんなことが考えられる」と思っても、本文に書かれていないことであれば、それは「受験において正しい答え」とはなりません。
ただし、'''書かれていることを自由に読んでいいということではありません'''。特に物語文では、'''自分がどう思ったのかを聞いてはいません'''。読書量は多いのに、国語の成績がいまいちという人は、「本文を読んで、自分はこう思った」ということをもとにしがちです。しかし、それは次に述べる「国語のルール」にのっとっていなければ不正解になる可能性が高いです。
==== 「国語のルール」を知る ====
まず、例を考えてみましょう。次の問題を考えてみてください。
:「花子は目をうるませた」のはなぜか。もっとも適当なものを選びなさい。
# 花子は花粉症だったから。
# 花子はあくびをしていたから。
# 花子は悲しかったから。
これで、すぐに3を選んだ方は一応、受験国語のルールが身についている(または身につきつつある)かもしれません。「花子は目をうるませた」としか書いていないのですから、別に1でも2でも間違いではありません。ですから、この問いには本来、答えがありません。しかし、受験国語のルールにしたがえば、3以外に答えはありません。<ref>これは極端な例ですが、これと同じような問題は本当に出ています。興味があれば、『中学入試国語のルール』(石原千秋著 講談社)の「第六講 答えを一つに決めるには」(pp.95-108)を読んでみるといいでしょう。実際の問題文ものっています。</ref>
実は、国語の読解問題にはルールがあります。そして、これは学校の授業でも、高校・大学受験の国語でも大きく変わりません。では、国語のルールとはなんでしょうか。それは、「こういう場合には、多くの人がこういう気持ちになるのだろう」という世間の常識にのっとったものが答えになるということです。そして、受験の小説に出てくる親や先生や大人は、ふつう「良い親」「良い先生」「良い大人」です。主人公もふつう「良い子」です。これも、世間で「良い」と思われるような親・先生・大人でなければなりません。先ほどの例で言うと、「目をうるませたのだから、泣きそうなんだな。悲しいことがあったのかな」と気持ちを察するのが、中学受験における「よい考え方」なのです。
国語の問題に出てくる「気持ち」を問う問題もこういう視点から考えていく必要があります。そして、それにはいくつかのパターンがあります。いくつか例を挙げます。
* 目をうるませた → 悲しい
* 顔が真っ赤になった → 恥ずかしい、怒っている
* 口元がほころんだ → うれしい
このような、パターンをつかむことがまず、受験の国語では必要なのです。
:傍注
<references/>
中学入試では、{{ruby|独創的|どくそうてき}}な読み方をしては、間違いなのです。学校の先生すらも思いつかないような深い読みかたをして、その答案を解答用紙に書いたところで、答えあわせをしてる中学の先生が思いつかないので、たんなる「間違った答案」だと見なされてしまう場合が高いのです。中学校の先生たちは、短い時間で、多くの受験生の答案を、見なければなりません。一人ひとりの読みかたを、いちいち調べている時間がありません。だから、かわりに、パターンにそった答案が書けるかどうかで、読解力を調べるのです。
本来、物語や小説などの読みかたには、多くの読みかたがあります。だから小学校での国語の授業では、たとえば、ある生徒が、ほかの多くの生徒たちとは違った、独創的な読み方をする場合もあります。先生すらも思いつかなかったような読みかたが、でてくる場合だって、あります。もし、その独創的な読みかたが、すごく深く考えてあって「立派な読みかた」だと小学校の先生が思った場合には、小学校の先生が、独創的な読みかたをした生徒をほめてくれる場合もあります。
しかし、さきほども言ったように、中学入試では独創的な読み方をしてはダメなのです。
かりに、こういうパターンで考えず、「『目をうるませたから』といって、悲しいとは限らないぞ。たとえば、目にゴミが入ったのかもしれない。」などと例外的な場合も考えておくのは、たしかに、そういう場合もありえるから、本来は注意ぶかいから{{ruby|立派|りっぱ}}なことなのですが、しかし、言葉とは、なるべく少ない文字数で、多くの情報を相手に伝えなければならないのです。だから、このようなパターン(「目をうるませた→悲しい」など)が、すくない言葉で意図を伝えるため、どうしても必要になるのです。特に、物語の場合、作者は、読者に物語の世界に入り込んでほしいわけですから、ほとんどの表現では、パターンにそった表現法を用いているでしょう。私たちも、ふだんの会話では、パターンにそった表現を、たくさん、使っています。また、ふだんの会話では、パターンにそった表現をしないと、誤解や{{ruby|勘違|かんちが}}いの原因にも、なってしまいかねません。だから、パターンにそった表現が、必要なのです。
なお、一般に物語づくりの手法として、作品内でパターンから外れた事を多くし過ぎると読者・観客が理解できないので、適度にパターン通りのものを混ぜておく、という手法があります。近年は、LGBTとか「偏見の解消」とかでパターン的なものの見方を否定する場合もありますが(たとえば男の子なのに髪の毛が長いとか)、その場合は、別のところがパターンどおりになっているのが、物語づくりでよくある手法です。
そして、パターンがあるのは、なにも一文の表現だけでなく、文章全体の物語にすら、パターンがある場合すら、ありえます。そして入試国語の物語文では、こういうパターンにそった物語が出る場合が多いのです。かといって完全にパターンどおりの物語だと、読解力を問う入試問題にはなりませんから、ほんのすこしだけ、パターンから外れた問題が出るのです。
中学入試での国語の問題には、正解がなければなりません。そして、その正解とは、もし中学校の国語の先生ならば、ほとんどの先生が「これが正解だ」と思うような正解があるわけですから、だから中学入試の国語にはパターンができるわけです。
どういうパターンがあるかは、じっさいに中学入試の過去問などで問題練習をしないと、身につきません。
さて、物語にパターンがあるわけですから、問題の正解にもパターンがあるわけです。
つまり、国語は、いわゆる暗記科目でもあります。たとえば社会科とかで語句をおぼえたりするのと同じように、国語でも、語句や物語などの読みかたのパターンを身につけないといけません。物語のパターンを身につけるには、単に過去問に紹介された作品を読むだけでなく、じっさいに問題も読んで、そして解答も読んでください。もし入試直前などで問題練習の時間が足りない場合は、解答だけを読むのでも、効果があるでしょう。とはいえ、入試直前などでないなら、きちんと問題を解いて練習してください。問題は解くだけではダメであり、問題を解きおわった後には解答と見くらべてください。
==== 説明文・評論文の解き方 ====
ある物事を説明したものを説明文といいます。これに近いものとして、ある物事について筆者の意見を述べたものがあり、それを{{ruby|評論文|ひょうろんぶん}}とか{{ruby|論説文|ろんぜつぶん}}と言います。ここでは、それらの読み方について説明します。
まず、入試の国語では、私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章がよく出されます。一つ、例をあげましょう。環境問題は重大な問題だということはみなさん、学校で習っているはずですからよくおわかりでしょう。しかし、入試の国語ではそこから、もう一歩踏み込んだものを扱うことがあります。「なぜ自然環境を大切にしないといけないのか」「人間はよくばりだから自然を破壊したと言っていいのか」などのような文章が出されます。
そして、特に評論では'''何か二つ以上のものを比べる(対比する)ことがとても大切です'''。「日本人はお金持ちだ」といってもそれだけでは、自分でそう思っているだけです。日本の平均所得(お給料の平均)と外国の平均所得とを比べて、はじめて説得力のある文章になります。ですから、何かを主張するときには2つ以上のものを比べることが多いのです(これは作文を書くときにも知っておくといいでしょう)。
そのとき、評論文では反対の意味を持つ(とされる)ものがキーワードになっていることが多いです。たとえば、「個人と社会」「人間と自然」「伝統と変化」などがあります。そして、筆者はどの立場なのかを見極めなければなりません。
評論文・説明文も小説と同じように、世間の常識も解くときにカギになります。極端な例を挙げると、「自然環境を破壊してでも社会を発展させることは大切だ」「貧富の差が大きくなるのは当然だ」という問題が出ることも、それが答えになることもほとんどありません(ただし、本文中に{{ruby|根拠|こんきょ}}がないので正しいとは限らない」ということがあります)。それは、「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」があるからです。私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章も、別に私たちの常識を完全に否定するとはかぎりません。「ふつうだ」と思っていることにあえて疑問を投げかけることで、それがどうして当たり前なのかを確認することもあるのです。
説明文という分野では、ものごとの常識的な{{ruby|分析|ぶんせき}}で、問題を解くのです。中学高校の先生からすれば、こういう常識的な分析の方法ができない生徒だと、中学や高校の社会科などの科目の教育で、教えるのに手間がかかります。だから、常識的な分析の仕方ができるかどうかを、テストで見るのです。
国語の分析力で必要なのは、分析の広さや早さであって、けっして分析の深さではありません。ごく一部の人たちだけしか思いつかないような、深い分析は、国語では必要とされません。たとえば社会問題について書かれた評論文でも、受験生に求められる分析の深さは、文章に書かれている説明のほかには、せいぜい小学中学の社会科で用いるぐらいの分析です。
このように、評論文や説明文では、社会科などで使う分析の方法についても、知っていないといけません。さきほど言った「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」「道徳」も、社会科などで教えられる常識でもあります。だから社会科の参考書で勉強するときに、用語などを覚えるだけでなく、社会の「常識」「道徳」もおぼえておきましょう。
中学の社会科や社会常識に対してすらも疑問を投げるような独創的な分析は、中学入試の国語では必要ないのです。
「学校」という集団も、社会の一部です。だから、社会科で「常識的」「道徳的」とされるような考えかたが、中学でも「よい考えかた」だとされますし、国語でも「よい考えかた」だとされるでしょう。
高校入試や大学入試の入試国語の説明文・評論文でも、同じようなことがいえます。
=== 理科 ===
参考書と問題集が必要です。
学校教科書だと、中学受験でおぼえるべきことが教科書に書いていないことがあるので、参考書を買って勉強してください。
用語などのほかに、記号などを覚えたりする勉強も必要です。たとえば電気の問題なら、どんなに直列や並列の仕組みを理解していても、そもそも回路記号をおぼえていないと、回路記号が使われた問題なら解けないでしょう。
だから参考書などを読み返して、おぼえるべき記号は、きちんと、おぼえてください。
==== {{ruby|図鑑|ずかん}}など ====
もし、図鑑なども勉強するなら、昆虫図鑑とか、植物図鑑とか、惑星の図鑑など、やや生物学・地学寄りの図鑑が良いでしょう。
いっぽう、自動車の仕組みとか、ダムの仕組みとか、通信機・コンピューターの発達の歴史などを勉強しても、まったく入試に出ませんし、そもそも中学・高校の理科の先生が、そこまで知りません。このようなものを、中学・高校の理科では、ふつうあつかいません。
=== 社会 ===
きほんとなる小学校の教科書にのっているようなこと(たとえば都道府県の県庁所在地名、代表的な地図記号など)は、きちんと覚える必要はあります。
しかし、それ以外のことの暗記は5年終わりまでは、そこそこにしておいて、ふだんの勉強では、どんどんと参考書で先に進んでいくのが良いと思います。
たとえば歴史分野は小学校では6年からですが、たとえ5年生や4年生とかであっても、自分で歴史の学習マンガを読むなり何なりして、どんどんと読み進めていってください。
歴史については、参考書をいきなり読んでも、あまり理解できないでしょう。歴史マンガや(学習向けのものにしましょう)、子どもむけの{{ruby|偉人伝|いじんでん}}などをあつめた本などが、書店の児童書コーナーなどにありますから、それを読むと良いでしょう。小学生むけの歴史の参考書を読むのはそのあとがよいと思います。
ほかの分野(特に地理)参考書をどんどんと読みすすめて、勉強していない分野をなくしてください。学年にとらわれず、勉強してください。4年生でも、高学年用(5年・6年用)の参考書で勉強しはじめても良いでしょう。教科書で習ったようなことがマスターできたら、中学受験用テキストに進みましょう。
作文で社会問題を求められる場合への{{ruby|対策|たいさく}}として、本屋に行けば、中学受験むけの時事の解説書があるので、まずはそれを読むのが良いでしょう。国語の説明文や評論文などでも、近年の社会問題などについての文章が出る場合もありえます。
しかし、ニュースなどの時事問題よりもまずは教科書にのっている出来事をしっかり覚えることが大切です。そして、参考書で知識をおぎなったり、練習問題を解いていったりします。この積み重ねが社会の勉強の基本です。
==== 地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えよう ====
中学受験では、漢字指定や「隠れ漢字指定」(「漢字指定」とは書いていないが、漢字で書かないと不正解または減点)が非常に多いです。ですから、地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えましょう(理科など他教科も一緒です)。ただし、「ひらがな指定」などには注意してください。学校の説明会で、「漢字でないと減点」「ひらがな可」など、漢字、ひらがなについて指定されるはずですので、事前に確認しておきましょう。
==== 戦国時代などの特定分野に深入りしない ====
特に戦国時代はゲームやマンガになっているため、それらを通じて興味を持った方も多いでしょう。しかし、そういったものだけに深入りしすぎない方がいいです。
織田信長や徳川家康などの戦国時代にはとても多い数の武将(数百人)がいます。しかし、それらすべての人物を勉強していては、時間のむだです。
せいぜい、教科書や参考書で書かれているような有名な戦国大名について、その名前と業績を知っていれば、じゅうぶんです。それ以外は、入試にでません。たとえば信長の弟({{ruby|信行|のぶゆき}})や父親の{{ruby|信秀|のぶひで}}は、入試にほとんど出ません。偉人伝などでも、織田信長とか豊臣秀吉とか徳川家康などは、タイトルに取り上げられるでしょうから、興味があれば、どれかを読んでみても、よいでしょう。
そもそも、歴史は、古い時代から現代までの流れをつかむのが大切なことです。他の時代も勉強しなければ、戦国時代のこともよく理解できないのです。
しかも、歴史ですら、社会科の一分野にすぎません。歴史のほかにも、地理分野や公民分野もあります。
==== 小学校の範囲外の話題も出てくる ====
社会科にかぎったことではないですが、小学校の教科書には書かれていないような話題も出ます。中学受験の地理や日本史の問題では、中学校の教科書に出てくるような話題も出ます。
しかし、中学受験の社会科の歴史の問題の元ネタは、{{ruby|偉人伝|いじんでん}}や学習マンガ、小中学生向けの日本史の解説書です。
たとえば、中学校の社会科の歴史分野で習う人物や出来事のうち、小学生むけの偉人伝とか学習マンガにも、よく出てくるような人や出来事が、中学受験にも出やすい、という事です。
いっぽう、中学受験の地理や公民の分野の中学レベルの問題については、参考書を読んで勉強するしか、ありません。
では、歴史の勉強の方法について、提案します。
具体的にいうと「武田信玄」とか、小学校では教科書には出てきませんが、しかし中学受験では出てくる場合があります。なぜなら偉人伝や学習マンガにも良く出てくるし、長篠の戦いで武田氏について習うはずですし、高校の日本史の教科書で武田信玄など有名な戦国大名を習うから、当然、中学受験に出る可能性もある、ということです。
逆にいうと、学習マンガとかに出てくる人物であっても、中学校や高校の教科書に出てこない人物は、中学受験にも出てこない場合が多いでしょう。たとえば、忍者といわれている{{ruby|服部半蔵|はっとりはんぞう}}は、中学の教科書にも高校の教科書にも出てこないので、中学受験にも服部半蔵は出てこないでしょう。
さて、中学受験に出る中学範囲の歴史知識は、本来なら、中学生を相手にして時間をかけて教育することですから、小学生がいきなり参考書でそれらの知識を暗記しようと思っても、効率は悪いです。
ですから、偉人伝とか学習マンガとか小中学生向けの日本史の解説書をある程度、読んでおきましょう。
中学受験で小学生に出題できる人物には、限りがあります。たとえば、小学生は、法学や経済学を知らないので、明治~昭和時代での、それらの学問の お雇い外国人 の名前(たとえばフランス人の法学者のボアソナードなど)は、中学受験には出てきません。
いっぽう、「大森貝塚を発見した人 = モース」「明治時代に日本でさいしょに近代的な郵便制度をつくった人 = {{ruby|前島密|まえじまひそか}}」などのように、小学生でも内容を理解できる人物が、入試に出てくるわけです。
そして、中学受験むけの社会科参考書の歴史の分野のページでは、このような、小学生でも業績を理解しやすい人物が、紹介されているわけです。
なので、歴史の暗記は、中学受験むけの参考書に出てくるような話題だけを、当面は暗記できればいいのです。
余談ですが、裏を返すと、中学受験で得られる社会科や国語の教養は上記のように片寄りが大きいので、もし社会科の教養のある大人になりたい場合は、中学合格後に、高校や大学受験あたりで再び大学受験レベルの勉強をしなおす必要があります。
==== 時事問題(社会) ====
偏差値の高い中学では時事問題で差がつくことが多いです。なぜなら、そのレベルになると普通に知識を問うような問題では満点を連発するような子どもが多く、社会の点数で差がつかなくなることが珍しくないからです。ただし、時事問題のテキストは10月末ごろから書店に並びます。ですから、時事問題対策はそれ以降でかまいません。裏を返せば、'''6年生の10月ごろまでは時事問題の練習は必要ありません'''。むしろ、それまでは習ったことの復習と定着のための練習に力を入れるべきです。
さて、時事問題には大まかに分けて2つの傾向があります。
# その年の出来事やニュースによく出た人物の名前を書かせるもの。
# その年の出来事と社会で習ったものとを組み合わせたもの。
1の場合、普通の社会の勉強と同じ仕方で覚えていきましょう。例えば、今年(2020年)だと「新型コロナウイルス」「イギリスのEU離脱」などについて書いて覚えていくといいでしょう。
2の場合は「社会」のいろいろな力が試されます。例えば(書きかけです)といったぐあいです。この場合は、できごとを覚えておくことも必要ですが、これまで積み重ねてきたものが最も重要です。最終的には、今年の出来事がどういうものなのかを、これまで習った知識を使って説明できることを目指したいものです。
塾や家庭教師の先生と一緒に過去問を見て、時事問題がどれだけ出ているのか・どんな内容なのかをちゃんと確かめておきましょう。その上で対策を行うようにしてください。
==== 捨て問(地雷問題) ====
「捨て問」とよばれる問題が1、2問出る学校もあります(「{{ruby|地雷|じらい}}問題」ということもあります)。これは、高校内容などを元にしたり、計算量が{{ruby|膨大|ぼうだい}}だったりと、小学生には解けない、または解きにくいような問題のことです。例を挙げましょう。
:問 日清戦争の後、清で日本の明治維新を手本にした改革を行おうとしたのは誰ですか。次の中から選びなさい。
# {{ruby|李鴻章|りこうしょう}}
# {{ruby|西太后|せいたいこう}}
# {{ruby|康有為|こうゆうい}}
# {{ruby|章炳麟|しょうへいりん}}
こんな問題解けるわけがないですよね(ちなみに答えは3です)。なぜ、こんな問題が出るのかというと、時事問題のところでも説明したように、高レベルの学校の受験では高得点をとる子どもだらけになる場合があります。それを食い止めるためにわざとこういう問題を出す学校があるのです。歴史分野以外の社会や社会以外にも「捨て問」が出されることがあります。
'''捨て問に対処する方法はありません'''。こういう問題を出す学校の入試の場合、全然習った記憶のないものが出ても「地雷だからみんな解けない」と割り切って、先に進みましょう。また、塾でやる過去問の中に地雷問題があった場合、先生が教えてくれるはずです。'''ただし、入試本番で見かけたら、選択式の問題であれば、なるべくどれかをカンで選んでおきましょう。確率は低いですが、当たる可能性があります。'''
例外はあります。〈年表・グラフ〉を[[参考]]にして答えなさい。例えば問題に「1980年に○○」と書いてたら,[[1980年]]に着目しないといけません。資料を有効活用した,[[勉強方法]]も必要です。本屋で過去問を探し,学校で覚えた用語はハヤメに復習したり、教科書にある記述は覚えた方がいい。方向や出来事は確認しよう。
'''過去問''':これは教科書に記載されてない可能性があります→ひとつの例として押さえる
=== 適性検査 ===
国立大学付属中学校と公立中等学校では私立中学のようにそれぞれの科目ごとに分かれた試験ではなく、「適性検査」として、国算理社すべてをまとめた問題が出されます(ただしこの4教科とはかぎりません)。
特に、世の中の動き(時事問題と言います)の知識やグラフ・表を読む力、計算力や発想力が問われます。
=== 時事問題 ===
中学受験、とくに公立の中高一貫校では、時事問題が出題され、与えられた資料を分析して、違いや共通点を説明することが求められます。私立中学校でも出題されることがあります。このようなトレーニングには、受験に定評のある出版社から出されたニュース解説集、時事解説集などを読むことが必要かもしれません。
出版社によっては、受験に定評のない出版社が、中学受験をしない子供向けに出している子供向けのニュース解説書もあるので、それとは混同しないようにしましょう。
たとえ「中学受験対策」をうたっているニュース解説書でも、出版社に受験対策の実績が無い場合は、ほかの出版社の本にしたほうが良いでしょう。
さて、時事問題などの対策として、よくある勉強法として、「新聞を読め」とか「ニュース番組を見ろ」という勉強法を{{ruby|掲|かか}}げる人もいます。しかし、これまでニュースや新聞にあまりふれていないのに、いきなりこれらに手を出してもあまり効果はないでしょう。
:理由1: その理由は新聞もテレビ番組(これらを'''マスメディア'''といいます)も、そもそも小学生の勉強用には作られていないからです。
:それに記事や報道が正確とは限りません。記事が{{ruby|誤報|ごほう}}の場合だってあります。ましてや、本当かウソか わからないもの(週刊誌やゴシップ誌・スキャンダル誌とよばれる雑誌)から社会を勉強するというのは良いものではありません(しかも、このようなものには芸能ニュースなど、中学受験にはほとんど関係ない内容が多いです)。
:理由2: また、テレビのニュース番組なども、{{ruby|視聴者|しちょうしゃ}}が好んでみるようなものが多くえらばれます(このようによく見られる=売れるものばかりをあつかうことを商業主義といいます)。ですから、ニュースや新聞の利用は小学生にすぐにすすめられる勉強法ではないでしょう。
新聞記事の内容の理解や、ニュース番組の理解は、社会科や国語の学習成果であって、学習手法ではないのです。
マスメディアを利用するときに大切なことは、ただ1つだけの情報をうのみにするのではなく、他の情報などと照らし合わせて、情報が本当に正しいのかどうか、別の見方はできないのかを考えることです。
:例えば、A新聞では大きくとりあげられていることが、B新聞ではほとんど書かれていないことも多いです。ある政策にA新聞は賛成し、B新聞は反対の場合、それぞれの新聞社が自社の意見につごうの悪い情報については新聞では紹介しないで、自社につごうのいい情報だけを新聞記事で取り上げる場合もあります。
=== 作文 ===
国立大学付属中学校や公立中等学校(一部の私立中学校でも)では400 - 600字の作文が出題されます。
45分というかぎられた時間に400字以上の作文を書かなければなりません。また、テーマは自由ということはほとんどなく、課題文をもとに自分の感想や意見を体験を交えて書くことがほとんどです。そのため、文章を書くスピードも大切ですが、課題文をしっかりと読む力も必要です。
=== 英語 ===
私立中などで、英語を入試に出す場合もあります。
まだ英語を出す中学校が少ないので(英語教育改革により、最近どんどん増えています)、傾向は固まっていないでしょう。受験生は、バランスよく勉強するのが、安全で近道だと思います。
単語の書き取り、聞き取り、会話とか、かんたんな英文の読みなどを、バランスよく勉強するのが、安全だと思います。市販の教材などを使うのも良いでしょう。最近なら、英語の音声教材なども、安い値段で売っているはずです。
けっして「聞き取りばかりしか練習しない」とか、「会話ばかりしか練習しない」とかは、やめたほうが安全だと思います。
いくら「語学では聞き取りが大切」だからと世間では言っても、まったく書き取り練習をしないのは、やめたほうが良いでしょう。
'''問題文やテストの説明まで英語で書かれていることもあります。'''問題文も理解できるようにしておきましょう。
また、英検®などを取得しておくと、優待が受けられることがあります。(5 - 2級程度)(※場合によっては、普通のコースと違う「英語特進コース」などに進むことになることがあります。)入試要項などを見て、必要に応じて取得しましょう。
=== 実技科目(図工・音楽・家庭科・体育) ===
国立中などで、実技科目を入試に出す場合があります(ただし、家庭科がないことがあります)。
:まずは、'''どの教科でも、小学校の教科書を見返しましょう。'''
==== 図工 ====
図工では、色や形の知識、デッサン、美術史などが出題されます。
*デッサン
==== 音楽 ====
ピアノ・作曲などの練習をしましょう。絶対音感は、あれば有利ですが、なくてもほとんど問題ありません。4小節くらいの作曲が出題されることがあります。
==== 家庭科 ====
==== 体育 ====
== 小学校について ==
=== 小学校のことをいい加減にしない ===
'''いくら中学受験の勉強をするとはいえ、絶対に小学校のことをいい加減にしないでください。'''きちんと小学校の宿題をする、授業を真面目に受けるなど、当たり前のことは当たり前にしてください。受験勉強もしつつ、小学校でよい思い出をつくってください{{個人の意見}}。
=== 中学受験の考えを小学校に持ち込まない ===
また、塾や参考書で習ったことを、'''そのまま小学校で使わないでください。'''もしほぼ同じ問題が出たとしても、小学校では小学校の解き方があるはずなので、必ずそれに従ってください。小学校で中学受験の解き方をするのは、小学校側にとっては望ましくないことです。また、理科や社会などでは、用語の記述が小学校の教科書と中学受験参考書で異なることがあります。小学校のテストでは、当然、'''小学校の教科書の通りに答えましょう'''(実際に、間違っていなかったとしても、教科書に沿った答えではないので不正解とされることもあります)。ですから、参考書による勉強も大切ですが、小学校の授業をしっかり受け、教科書もしっかり目を通しましょう。 | 2024-01-08T06:38:59Z | 2024-01-08T06:55:25Z | [
"テンプレート:Ruby",
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E5%8B%89%E5%BC%B7%E6%B3%95 |
38,913 | 中学受験ガイド/最低限の制度面の知識 | 中学受験が行われる中学校には基本的に次の3つがあります。
これから説明しますが、それぞれ、受験内容や進路についての違いがとても大きいので、よく考えてどこを受けるのかを決めてください。
都道府県・市区町村・国以外の人や団体が作った学校です。
私立中学校は、進路のありかたで2種類に分けることができます。
なお、高校もない私立中学校もありますが、そうした学校はとても少ないこと、そもそも中学受験がない(小中一貫校)ことがあるため、ここでは省略します。
私立大学付属中学校の多くは、中高・大学まで一貫していることが多いです。つまり、その中学校に入れば、それから先の高校受験・大学受験はなく、そのまま高校から大学まで行けるところが多い(内部進学といいます)のが特徴です。これ以降の受験がないため、のびのびと過ごすことができます。ただし、大学に進学するときにはそれまでの成績がしっかりチェックされたり、学部にふりわけるための試験が高校3年の冬に行われることもあります。そのため、成績やテストの結果次第では希望する学部にいけない場合もありえます。特に医学部には、普段の成績が上位でなければ進学できず、その中からさらに試験に合格した人だけを進学させる(不合格者は別の学部に進学する)こともあるため、普通の中学・高校と同様(あるいはそれ以上)に6年間みっちりと勉強する必要があります。
また、大学付属高校に限ったことではありませんが、あまりにも成績が悪いと転校をすすめられたり、退学させられたり、内部進学が認められなかったりすることもありますから、気を抜きすぎるのは禁物です。
なお、一部の大学付属中高では、内部進学者よりも外部進学者の方が多いところもあります。他の大学に行く生徒が多いところはあとで紹介する中高一貫校の雰囲気に近いです。ですから、大学までストレートに行くつもりなのか、それとも大学は別のところにするつもりなのかをよく考えておきましょう。
大学のない私立の中高一貫校の多くは早くから大学受験を目指した教育が行われます。そのため、授業のスピードがとても速いです。中学3年の頃には高校内容に入り、高校2年生時で中高6年間の内容を終わらせてしまうこともよくあります(高校3年生時に大学受験のサポートをするため)。
教科書も、公立の中学校の教科書とは違う別の教科書を使うことがあります。特に数学・英語・理科は中高一貫校専用の教科書を使うことが多く(学校独自の教科書や教材を使うこともあります。また、ベースは教科書だが(または教科書も使用せず)独自のカリキュラムで進めることもあります)、、一般の中学校教科書には載っていない内容や発展内容を普通に学習することもしばしばです。なお、検定教科書(公立中学校の教科書)は無償で支給されますが、このような教科書は基本有償になっており、入学時、購入することになります。
国立大学付属中学校は、国立大学の教育学部に付属する中学校です。私立大学付属中学校との大きな違いは、大学に内部進学することはできないということです(ごく一部、例外があります)。例えば、東京大学付属中等教育学校という学校がありますが、そこに入学しても東大に自動的に行くことはできません。また、国立大学付属中学には高校がないことも多く、高校受験も普通にしなければならないことが多いです。
東大だけでなく、筑波大付属中学高校も同様、大学への内部進学の枠は無いです。他の国立大付属中学も同様、内部進学は無いです。
このため、高校受験・大学受験をする場合は、自費で塾や予備校などが別途、必要になるかもしれません。
また、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。中学によっては、その受験する小中学生が親と同居の状態で通学できることを定めている場合があります。
特に、筑波大付属中では、通学時間をおよそ60分以内など、きびしく指定しています中学受験・高校受験の受験情報雑誌 サクセス。
国立大学付属中学校の役割は三つあります。
つまり、国立大学付属中学校はより良い教育を行うための実験校という側面が強く、必ずしも難関高校・大学への進学を目指すための教育をしているわけではありません。しかし、難関高校や大学進学を目指す雰囲気は強く、大抵は上位の進学校なみの進学実績となっています。
受験が少し独特であるのもとくちょうです。あとで紹介しますが、試験は「適性検査」となっていることがふつうです。また、受験生が多い場合には抽選が行われることもあります。
都道府県や市が建てた中高一貫教育校です。もともとは公立高校だったところが、中学校も併設してできた学校で、2000年以降にできました。
試験は「適性検査」となっているだけでなく、試験科目も国語・算数・理科・社会の総合的な内容の「適性検査1」、作文の「適性検査2」というパターンが多いです。受験生が多くても抽選は行いませんが、人気が非常に高く、倍率がとても高いです。
ここも授業内容は、大学のない私立の中高一貫校とほぼ同じです。ただし、高校受験生も募集する学校の場合は、一般中学校出身者にあわせるため、進度を普通の中学校なみにしている場合もあります。
私立中学も国立中学も、かならずしも高校との一貫校とは限りません。
そもそも併設の高校を持たない私立中学もあります。具体的には、都内では、下記の中学が、併設・系列の高校を持ちません
高校に進学したい場合、中学3年の時点で、世間一般の中3の子供と同様に高校受験することになります。
このほか、国立(こくりつ)の中学ですが、国立大学の教育学部の付属中学には、高校をもたない中学もあり、これらの中学生も高校進学したい場合高校受験をすることになります。
横浜国立大学教育学部附属の中学校2校、千葉大学教育学部、埼玉大学教育学部、茨城大学教育学部の付属中学がそうであり、併設の高校を持たず、よって中3で高校受験が必要になります。
学校説明会ですが、近年ではインターネットからの予約が必須の学校が多いです(特に私立)。
学校説明会に参加しなくても、その中学を受験して得点が良ければ合格します(受験のある中学の場合)。しかし、時間的に余裕があるなら志望順位の高い中学については説明会に参加するほうが無難でしょう。
また、受験生向けの情報を、たいていの私立中学のwebサイトは広報しているので、保護者などは定期的にwebサイトを確認すると良いでしょう。
パソコンやインターネット環境の無い家の場合や、ネット環境があっても低速な回線の場合、まずはインターネット環境を整えるのが先です。(コロナ対策で2023年現在では多くの家庭でパソコンが確保されているでしょうが、5年後や10年後の世代はそうとは限らないので説明しておきます)
私立中学高校には宗教系のものもあります。主に、キリスト教(カトリック/プロテスタント)、仏教です。これらの学校では宗教の授業(宗教の考え方をもとに自分をみがく)があるところもあります(道徳の授業がなく、代わりに宗教の授業があることがよくあります)。また、学校行事にも宗教行事が含まれていることがあります(普通の行事にも宗教がからむことがあります)。しかし、たとえば、キリスト教の学校に「キリスト教徒にならなければ(洗礼を受けなければ)ならない」「神社で参拝してはならない」などという決まりがあることは、まずありません。そのため、ほとんどの宗教系私立学校は普通の学校と同じ感覚で入れます。ただし、その学校に入る以上、宗教教育を拒否できませんから、宗教上の事情がある方はよく考えてください。
ただし、ごく一部ですが、その学校に入る場合にはその宗教に入ることが求められる学校もあります。理由は、そのような学校は宗教・宗派の指導者を若いうちから育てることを目的としているからです。こうした学校はちゃんと学校説明会のときに説明されますし、パンフレットなどにも書いています。また、校名で分かるところもありますのでよく確認しましょう。
ほか、表向きには宗教系の学校を目指していなくとも、建学時の経緯などからキリスト教または仏教と関係の深い私学もあります。たとえば戦前から英語教育に力を入れていた私学など、その歴史的にキリスト教と関わりがあったりします。
具体名を出すと、戦前の成城学園です。
他の学園でも、たとえば学校が直接はキリスト教を信仰していなくても、海外提携校の西洋の私学が地元のキリスト教会と交流しているような場合もあります。イギリス国王はイギリス国教会(こっきょうかい)の長を兼ねています。なので、これらの国の私学と姉妹校をもつ日本国内の私学は、その影響を間接的に受けます。
あるいは、日本のある私学の戦前の卒業生にキリスト教徒がやや多い場合もあります。このため、間接的な範囲まで考えると、じつは全くの中立とは言えません。
パンフレットにある創設の経緯の歴史などから、そういうのを察する必要があります。
考えてみれば、もし英語研修のための海外交換留学だけが目的なら、留学先はインドやシンガポールなどでも構わないわけです。そうでなくイギリスの私学との交換留学の存在を歌っていたりする日本の私学は、つまりそういう歴史的な経緯があるわけです。
なお音楽教育も、西洋音楽とはキリスト教音楽とが切り離せません。もっとも公立中高でも部活動などで合唱部などが讃美歌を歌うことはあるので(ただし強制の学校行事とは切り離されているので他の部活の人が耳にする機会が少ないますが)、こちらはあまり心配する必要はないかもしれません。
日本だけでなくアメリカでも宗教と教育について同様の歴史があります。アメリカでは、18世紀や19世紀にキリスト教プロテスタントの団体が社会改善運動(エヴァンジェリカル運動)のために設立した中学校・高等学校などが母体になって、それらの学校が時代を経て脱・宗教化して世俗化(せぞくか)されて現代では名目上は宗教的には中立な学校もあります。キリスト教プロテシタントにおける教育をもちいた人格形成論が、根源にあります。
余談ですが、日本のキリスト教には「無教会キリスト教」という考え方があり、ヨーロッパや北米などキリスト教圏における古来からの徳目を重視しつつ、キリスト教美術・週音楽なども尊重しつつも、形骸化(けいがいか)・形式化をさけるために、あえて教会や経典などをもたないキリスト教徒もいます。w:無教会主義
私学でも、学生寮のある私学は少ないです。いちぶ、地方などで学生寮のある私学は存在しますが、だいたいの場合は学校本体の生徒数の定員のわりに寮の定員が少なく、基本的には自宅から通える範囲の私立中学に進学することが前提です。
なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。
リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません。
なお、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。
ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく大学生向けの一般の近隣マンションばかりですし、また中高生むけ情報ではありません。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。
私立中学はふつう、いちいち「中高一貫校」と宣言していなくても、実際には中高一貫校である場合が普通です。そして高校受験で他校を受験するのは、法律的には可能ですが、しかし、どんなに偏差値の高い私立中学でも、高校受験での指定校推薦などの類は、無いと思われます。まったく「中高一貫校からの指定校推薦」(←たぶん無い)という話を、聞いたことありません。
やむにやまれぬ理由が無い限り、高校受験はおすすめしません。
たとえば「今いる学園の高校の授業についていけそうにないので、中学卒業とともに他校に移りたい」とか「保護者が失業して、家のお金が無くなった。公立高校に行くしかないのか?」とかの理由が無いかぎり、私立中学から高校受験するのは、リスクが高いです。
なお、もし保護者の失業で中学在学中に家のお金が無くなった場合でも、奨学金などを借りることも検討したほうが良いかもしれません。3年間の300万円くらいの学費なら、コツコツと働けば、10数年~20年もあれば返せます。
なお、私立高校で「特待生」というのがありますが、学費無料とは限らず、学費の減免だけの場合もあります。たとえば一般生徒は年間100万円の学費が、特待生だと50万円だったり、みたいなのです。なので、有料であることには変わりない場合もあります。
そもそも、たとえ中学受験のときは成績がよくても、高校受験で成績が良いとはかぎらず、なので偏差値の低い私立高校の特待生になれるとは限りません。なので、わざわざ他私立に移るのはリスクが高いです。入学時に特待生になれても、高校2年や3年で特待生になれるとは限りません。
私立大学の指定校推薦において要求される成績は、高校時代の成績です。なので、中高一貫校では、赤点スレスレで遊ぶのは中学時代までにしましょう。
このため、中高一貫校でも、中学3年になったら、高校受験の5教科の勉強のようなものを始めるほうが良いでしょう。たとえば、塾なども活用して模試を受けるなどして、中3時点で高校受験偏差値で60くらいは目指しましょう。
塾にも、中2あたりから夏期講習に行ってみたりとかしましょう。
もし、「高校時代も遊びたい」、もしくは5教科(国数英理社)の学業よりも優先して熱中したものがある(たとえば「ミュージシャンになりたい!」的なの)、という人は、そもそも中高一貫校やその先の難関大学への進学にあまり向いていません。そういう「ミュージシャンになりたい」的な進路の人は、wikiに「向いてない」と言われた事を相談して、高校卒業後の進路を考え直しましょう。 | [
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"text": "中学受験が行われる中学校には基本的に次の3つがあります。",
"title": "学校の種類について"
},
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"text": "これから説明しますが、それぞれ、受験内容や進路についての違いがとても大きいので、よく考えてどこを受けるのかを決めてください。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "都道府県・市区町村・国以外の人や団体が作った学校です。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "私立中学校は、進路のありかたで2種類に分けることができます。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "なお、高校もない私立中学校もありますが、そうした学校はとても少ないこと、そもそも中学受験がない(小中一貫校)ことがあるため、ここでは省略します。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "私立大学付属中学校の多くは、中高・大学まで一貫していることが多いです。つまり、その中学校に入れば、それから先の高校受験・大学受験はなく、そのまま高校から大学まで行けるところが多い(内部進学といいます)のが特徴です。これ以降の受験がないため、のびのびと過ごすことができます。ただし、大学に進学するときにはそれまでの成績がしっかりチェックされたり、学部にふりわけるための試験が高校3年の冬に行われることもあります。そのため、成績やテストの結果次第では希望する学部にいけない場合もありえます。特に医学部には、普段の成績が上位でなければ進学できず、その中からさらに試験に合格した人だけを進学させる(不合格者は別の学部に進学する)こともあるため、普通の中学・高校と同様(あるいはそれ以上)に6年間みっちりと勉強する必要があります。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "また、大学付属高校に限ったことではありませんが、あまりにも成績が悪いと転校をすすめられたり、退学させられたり、内部進学が認められなかったりすることもありますから、気を抜きすぎるのは禁物です。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "なお、一部の大学付属中高では、内部進学者よりも外部進学者の方が多いところもあります。他の大学に行く生徒が多いところはあとで紹介する中高一貫校の雰囲気に近いです。ですから、大学までストレートに行くつもりなのか、それとも大学は別のところにするつもりなのかをよく考えておきましょう。",
"title": "学校の種類について"
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"title": "学校の種類について"
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"text": "大学のない私立の中高一貫校の多くは早くから大学受験を目指した教育が行われます。そのため、授業のスピードがとても速いです。中学3年の頃には高校内容に入り、高校2年生時で中高6年間の内容を終わらせてしまうこともよくあります(高校3年生時に大学受験のサポートをするため)。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "教科書も、公立の中学校の教科書とは違う別の教科書を使うことがあります。特に数学・英語・理科は中高一貫校専用の教科書を使うことが多く(学校独自の教科書や教材を使うこともあります。また、ベースは教科書だが(または教科書も使用せず)独自のカリキュラムで進めることもあります)、、一般の中学校教科書には載っていない内容や発展内容を普通に学習することもしばしばです。なお、検定教科書(公立中学校の教科書)は無償で支給されますが、このような教科書は基本有償になっており、入学時、購入することになります。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "国立大学付属中学校は、国立大学の教育学部に付属する中学校です。私立大学付属中学校との大きな違いは、大学に内部進学することはできないということです(ごく一部、例外があります)。例えば、東京大学付属中等教育学校という学校がありますが、そこに入学しても東大に自動的に行くことはできません。また、国立大学付属中学には高校がないことも多く、高校受験も普通にしなければならないことが多いです。",
"title": "学校の種類について"
},
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"text": "東大だけでなく、筑波大付属中学高校も同様、大学への内部進学の枠は無いです。他の国立大付属中学も同様、内部進学は無いです。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "このため、高校受験・大学受験をする場合は、自費で塾や予備校などが別途、必要になるかもしれません。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "また、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。中学によっては、その受験する小中学生が親と同居の状態で通学できることを定めている場合があります。",
"title": "学校の種類について"
},
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"text": "特に、筑波大付属中では、通学時間をおよそ60分以内など、きびしく指定しています中学受験・高校受験の受験情報雑誌 サクセス。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "国立大学付属中学校の役割は三つあります。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "つまり、国立大学付属中学校はより良い教育を行うための実験校という側面が強く、必ずしも難関高校・大学への進学を目指すための教育をしているわけではありません。しかし、難関高校や大学進学を目指す雰囲気は強く、大抵は上位の進学校なみの進学実績となっています。",
"title": "学校の種類について"
},
{
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"text": "受験が少し独特であるのもとくちょうです。あとで紹介しますが、試験は「適性検査」となっていることがふつうです。また、受験生が多い場合には抽選が行われることもあります。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "都道府県や市が建てた中高一貫教育校です。もともとは公立高校だったところが、中学校も併設してできた学校で、2000年以降にできました。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "試験は「適性検査」となっているだけでなく、試験科目も国語・算数・理科・社会の総合的な内容の「適性検査1」、作文の「適性検査2」というパターンが多いです。受験生が多くても抽選は行いませんが、人気が非常に高く、倍率がとても高いです。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "ここも授業内容は、大学のない私立の中高一貫校とほぼ同じです。ただし、高校受験生も募集する学校の場合は、一般中学校出身者にあわせるため、進度を普通の中学校なみにしている場合もあります。",
"title": "学校の種類について"
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"text": "横浜国立大学教育学部附属の中学校2校、千葉大学教育学部、埼玉大学教育学部、茨城大学教育学部の付属中学がそうであり、併設の高校を持たず、よって中3で高校受験が必要になります。",
"title": "高校のない私立中学・国立中学"
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"text": "学校説明会ですが、近年ではインターネットからの予約が必須の学校が多いです(特に私立)。",
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"text": "学校説明会に参加しなくても、その中学を受験して得点が良ければ合格します(受験のある中学の場合)。しかし、時間的に余裕があるなら志望順位の高い中学については説明会に参加するほうが無難でしょう。",
"title": "学校説明会"
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"text": "また、受験生向けの情報を、たいていの私立中学のwebサイトは広報しているので、保護者などは定期的にwebサイトを確認すると良いでしょう。",
"title": "学校説明会"
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"text": "パソコンやインターネット環境の無い家の場合や、ネット環境があっても低速な回線の場合、まずはインターネット環境を整えるのが先です。(コロナ対策で2023年現在では多くの家庭でパソコンが確保されているでしょうが、5年後や10年後の世代はそうとは限らないので説明しておきます)",
"title": "学校説明会"
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"text": "私立中学高校には宗教系のものもあります。主に、キリスト教(カトリック/プロテスタント)、仏教です。これらの学校では宗教の授業(宗教の考え方をもとに自分をみがく)があるところもあります(道徳の授業がなく、代わりに宗教の授業があることがよくあります)。また、学校行事にも宗教行事が含まれていることがあります(普通の行事にも宗教がからむことがあります)。しかし、たとえば、キリスト教の学校に「キリスト教徒にならなければ(洗礼を受けなければ)ならない」「神社で参拝してはならない」などという決まりがあることは、まずありません。そのため、ほとんどの宗教系私立学校は普通の学校と同じ感覚で入れます。ただし、その学校に入る以上、宗教教育を拒否できませんから、宗教上の事情がある方はよく考えてください。",
"title": "その他の特徴"
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"text": "ただし、ごく一部ですが、その学校に入る場合にはその宗教に入ることが求められる学校もあります。理由は、そのような学校は宗教・宗派の指導者を若いうちから育てることを目的としているからです。こうした学校はちゃんと学校説明会のときに説明されますし、パンフレットなどにも書いています。また、校名で分かるところもありますのでよく確認しましょう。",
"title": "その他の特徴"
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"title": "その他の特徴"
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"text": "ほか、表向きには宗教系の学校を目指していなくとも、建学時の経緯などからキリスト教または仏教と関係の深い私学もあります。たとえば戦前から英語教育に力を入れていた私学など、その歴史的にキリスト教と関わりがあったりします。",
"title": "その他の特徴"
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"text": "具体名を出すと、戦前の成城学園です。",
"title": "その他の特徴"
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"text": "他の学園でも、たとえば学校が直接はキリスト教を信仰していなくても、海外提携校の西洋の私学が地元のキリスト教会と交流しているような場合もあります。イギリス国王はイギリス国教会(こっきょうかい)の長を兼ねています。なので、これらの国の私学と姉妹校をもつ日本国内の私学は、その影響を間接的に受けます。",
"title": "その他の特徴"
},
{
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"tag": "p",
"text": "あるいは、日本のある私学の戦前の卒業生にキリスト教徒がやや多い場合もあります。このため、間接的な範囲まで考えると、じつは全くの中立とは言えません。",
"title": "その他の特徴"
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"text": "パンフレットにある創設の経緯の歴史などから、そういうのを察する必要があります。",
"title": "その他の特徴"
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"title": "その他の特徴"
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"text": "なお音楽教育も、西洋音楽とはキリスト教音楽とが切り離せません。もっとも公立中高でも部活動などで合唱部などが讃美歌を歌うことはあるので(ただし強制の学校行事とは切り離されているので他の部活の人が耳にする機会が少ないますが)、こちらはあまり心配する必要はないかもしれません。",
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"text": "日本だけでなくアメリカでも宗教と教育について同様の歴史があります。アメリカでは、18世紀や19世紀にキリスト教プロテスタントの団体が社会改善運動(エヴァンジェリカル運動)のために設立した中学校・高等学校などが母体になって、それらの学校が時代を経て脱・宗教化して世俗化(せぞくか)されて現代では名目上は宗教的には中立な学校もあります。キリスト教プロテシタントにおける教育をもちいた人格形成論が、根源にあります。",
"title": "その他の特徴"
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"text": "余談ですが、日本のキリスト教には「無教会キリスト教」という考え方があり、ヨーロッパや北米などキリスト教圏における古来からの徳目を重視しつつ、キリスト教美術・週音楽なども尊重しつつも、形骸化(けいがいか)・形式化をさけるために、あえて教会や経典などをもたないキリスト教徒もいます。w:無教会主義",
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"title": "その他の特徴"
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"text": "私学でも、学生寮のある私学は少ないです。いちぶ、地方などで学生寮のある私学は存在しますが、だいたいの場合は学校本体の生徒数の定員のわりに寮の定員が少なく、基本的には自宅から通える範囲の私立中学に進学することが前提です。",
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"text": "なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。",
"title": "学生寮のある私学は少ない"
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"text": "リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません。",
"title": "学生寮のある私学は少ない"
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"text": "なお、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。",
"title": "学生寮のある私学は少ない"
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{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく大学生向けの一般の近隣マンションばかりですし、また中高生むけ情報ではありません。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。",
"title": "学生寮のある私学は少ない"
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{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "私立中学はふつう、いちいち「中高一貫校」と宣言していなくても、実際には中高一貫校である場合が普通です。そして高校受験で他校を受験するのは、法律的には可能ですが、しかし、どんなに偏差値の高い私立中学でも、高校受験での指定校推薦などの類は、無いと思われます。まったく「中高一貫校からの指定校推薦」(←たぶん無い)という話を、聞いたことありません。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
},
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"paragraph_id": 50,
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"text": "やむにやまれぬ理由が無い限り、高校受験はおすすめしません。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
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"text": "たとえば「今いる学園の高校の授業についていけそうにないので、中学卒業とともに他校に移りたい」とか「保護者が失業して、家のお金が無くなった。公立高校に行くしかないのか?」とかの理由が無いかぎり、私立中学から高校受験するのは、リスクが高いです。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
},
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"paragraph_id": 52,
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"text": "なお、もし保護者の失業で中学在学中に家のお金が無くなった場合でも、奨学金などを借りることも検討したほうが良いかもしれません。3年間の300万円くらいの学費なら、コツコツと働けば、10数年~20年もあれば返せます。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "なお、私立高校で「特待生」というのがありますが、学費無料とは限らず、学費の減免だけの場合もあります。たとえば一般生徒は年間100万円の学費が、特待生だと50万円だったり、みたいなのです。なので、有料であることには変わりない場合もあります。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "そもそも、たとえ中学受験のときは成績がよくても、高校受験で成績が良いとはかぎらず、なので偏差値の低い私立高校の特待生になれるとは限りません。なので、わざわざ他私立に移るのはリスクが高いです。入学時に特待生になれても、高校2年や3年で特待生になれるとは限りません。",
"title": "私立の高校受験のさいの推薦なし"
},
{
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"text": "私立大学の指定校推薦において要求される成績は、高校時代の成績です。なので、中高一貫校では、赤点スレスレで遊ぶのは中学時代までにしましょう。",
"title": "私立大学への指定校推薦について"
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{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "このため、中高一貫校でも、中学3年になったら、高校受験の5教科の勉強のようなものを始めるほうが良いでしょう。たとえば、塾なども活用して模試を受けるなどして、中3時点で高校受験偏差値で60くらいは目指しましょう。",
"title": "私立大学への指定校推薦について"
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"text": "塾にも、中2あたりから夏期講習に行ってみたりとかしましょう。",
"title": "私立大学への指定校推薦について"
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"text": "もし、「高校時代も遊びたい」、もしくは5教科(国数英理社)の学業よりも優先して熱中したものがある(たとえば「ミュージシャンになりたい!」的なの)、という人は、そもそも中高一貫校やその先の難関大学への進学にあまり向いていません。そういう「ミュージシャンになりたい」的な進路の人は、wikiに「向いてない」と言われた事を相談して、高校卒業後の進路を考え直しましょう。",
"title": "私立大学への指定校推薦について"
}
] | null |
== 学校の種類について ==
中学受験が行われる中学校には基本的に次の3つがあります。
* 私立中学校
* 国立大学付属中学校
* 公立中等教育学校
これから説明しますが、それぞれ、受験内容や進路についての違いがとても大きいので、よく考えてどこを受けるのかを決めてください。
=== 私立中学校 ===
都道府県・市区町村・国以外の人や団体が作った学校です。
私立中学校は、進路のありかたで2種類に分けることができます。
* 私立大学付属中学校
* 中高一貫校(大学はない)
なお、高校もない私立中学校もありますが、そうした学校はとても少ないこと、そもそも中学受験がない(小中一貫校)ことがあるため、ここでは省略します。
==== 私立大学付属中学校 ====
私立大学付属中学校の多くは、中高・大学まで一貫していることが多いです。つまり、その中学校に入れば、それから先の高校受験・大学受験はなく、そのまま高校から大学まで行けるところが多い(内部進学といいます)のが特徴です。これ以降の受験がないため、のびのびと過ごすことができます。ただし、大学に進学するときにはそれまでの成績がしっかりチェックされたり、学部にふりわけるための試験が高校3年の冬に行われることもあります。そのため、成績やテストの結果次第では希望する学部にいけない場合もありえます。特に医学部には、普段の成績が上位でなければ進学できず、その中からさらに試験に合格した人だけを進学させる<ref>例として日本大学医学部があります。</ref>(不合格者は別の学部に進学する)こともあるため、普通の中学・高校と同様(あるいはそれ以上)に6年間みっちりと勉強する必要があります。
また、大学付属高校に限ったことではありませんが、'''あまりにも成績が悪いと転校をすすめられたり、退学させられたり、内部進学が認められなかったりすることもあります'''から、気を抜きすぎるのは禁物です。
なお、一部の大学付属中高では、内部進学者よりも外部進学者の方が多いところもあります<ref>有名どころでは国学院大学久我山中学高等学校や久留米大学附設中学校・高等学校。</ref>。他の大学に行く生徒が多いところはあとで紹介する中高一貫校の雰囲気に近いです。ですから、大学までストレートに行くつもりなのか、それとも大学は別のところにするつもりなのかをよく考えておきましょう。
==== 大学のない私立の中高一貫校 ====
大学のない私立の中高一貫校の多くは早くから大学受験を目指した教育が行われます。そのため、授業のスピードがとても速いです。中学3年の頃には高校内容に入り、高校2年生時で中高6年間の内容を終わらせてしまうこともよくあります(高校3年生時に大学受験のサポートをするため)。
教科書も、公立の中学校の教科書とは違う別の教科書を使うことがあります。特に数学・英語・理科は中高一貫校専用の教科書を使うことが多く(学校独自の教科書や教材を使うこともあります。また、ベースは教科書だが(または教科書も使用せず)独自のカリキュラムで進めることもあります)、<ref>代表的なものが、数学では、数研出版の『体系数学』シリーズ。一般の教科書と、構成がかなり異なります。中堅以上の私立中学の数学教科書はほぼこれが使われています。また、英語では『NEW TREASURE』『PROGRESS IN ENGLISH 21』のどちらかを使うことが多いです。</ref>、一般の中学校教科書には載っていない内容や発展内容を普通に学習することもしばしばです。なお、検定教科書(公立中学校の教科書)は無償で支給されますが、このような教科書は基本有償になっており、入学時、購入することになります。
=== 国立大学付属中学校 ===
国立大学付属中学校は、国立大学の教育学部に付属する中学校です。私立大学付属中学校との大きな違いは、'''大学に内部進学することはできない'''ということです(ごく一部、例外があります)。例えば、東京大学付属中等教育学校という学校がありますが、そこに入学しても東大に自動的に行くことはできません。また、'''国立大学付属中学には高校がないことも多く、高校受験も普通にしなければならないことが多い'''です。
東大だけでなく、筑波大付属中学高校も同様、大学への内部進学の枠は無いです。他の国立大付属中学も同様、内部進学は無いです。
このため、高校受験・大学受験をする場合は、自費で塾や予備校などが別途、必要になるかもしれません<ref>[https://www.eikoh.co.jp/chugakujuken/column/c1038/ 栄光ゼミナール 著『国立中学のメリットとは?【中学受験の学校選び】』 :2024/01/10]</ref>。
高校の進学については、もし系列の高校が存在している中高一貫校の国立中学でも、内部進学が全入ではない学校も国立にはあり、内部進学の推薦をもらえなかった中学3年生は他高校を高校受験をしなければいけない場合もあります<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/10543?page=3 『お受験で人気の国立大附属、内部進学には厳しい現実《本当に強い中高一貫校》』週刊東洋経済、2009/07/09 17:20]</ref>。
また、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです<ref>[https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1234363.html 教えてgoo 『国公立の、寮のある高校』質問日時:2005/02/23 19:46 ]</ref>。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。中学によっては、その受験する小中学生が親と同居の状態で通学できることを定めている場合があります。
特に、筑波大付属中では、通学時間をおよそ60分以内など、きびしく指定しています[https://success.waseda-ac.net/12/qa/?id=24 中学受験・高校受験の受験情報雑誌 サクセス]。
国立大学付属中学校の役割は三つあります<ref>[https://www.schoolnetwork.jp/jhs/maniax/2018-04/index.php 受験マニアックス2018年4月号・国立中学校]より。</ref>。
# 大学が新しい教育方法を研究開発する場と地域のモデル的な学校となること。
# 大学の教育実習生の受け入れ先となること。
# いじめや不登校など、現代的な教育課題に対応する教員養成の在り方に関しての研究に協力すること。
つまり、国立大学付属中学校はより良い教育を行うための実験校という側面が強く<ref>[https://diamond.jp/articles/-/309002?page=2 水上勝義・升野伸子 『「筑波大附属中」、日本の中等教育を先導する授業とは』、2022.9.21 3:55、]</ref>、必ずしも難関高校・大学への進学を目指すための教育をしているわけではありません。しかし、難関高校や大学進学を目指す雰囲気は強く、大抵は上位の進学校なみの進学実績となっています。
受験が少し独特であるのもとくちょうです。あとで紹介しますが、試験は「適性検査」となっていることがふつうです。また、受験生が多い場合には抽選が行われることもあります。
=== 公立中等教育学校 ===
都道府県や市が建てた中高一貫教育校です。もともとは公立高校だったところが、中学校も{{ruby|併設|へいせつ}}してできた学校で、2000年以降にできました。
試験は「適性検査」となっているだけでなく、試験科目も国語・算数・理科・社会の総合的な内容の「適性検査1」、作文の「適性検査2」というパターンが多いです。受験生が多くても抽選は行いませんが、人気が非常に高く、倍率がとても高いです。
ここも授業内容は、大学のない私立の中高一貫校とほぼ同じです。ただし、高校受験生も募集する学校の場合は、一般中学校出身者にあわせるため、進度を普通の中学校なみにしている場合もあります。
== 親同居・通学時間などの制限 ==
少なくない私立中学・国公立中学で、たとえば「保護者(ふつうは親)と同居した状態で通学できること」とか、あるいは通学時間をたとえば「90分」以内などと制限している場合があります。
特に国立中学の場合、距離ではなく通学時間で制限していますので、たとえば都心のある国立(こくりつ)中学の受験可能な地域について、東村山市が受験可能な地域であるのに武蔵村山市が受験不可能な地域になったりします<ref>[https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/news/admission-area/ 『2024(令和6)年度より、通学区域を変更します | 筑波大学附属駒場中・高等学校【公式】』2023年7月20日 更新]</ref>。
== 高校のない私立中学・国立中学 ==
私立中学も国立中学も、かならずしも高校との一貫校とは限りません。
そもそも併設の高校を持たない私立中学もあります。具体的には、都内では、下記の中学が、併設・系列の高校を持ちません<ref>[https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry000821.php 『中学受験、もうひとつの選択。「高校のない」私立中学校......武蔵野東中学校』2017/09/11]</ref>
:* 清明学園中学(共学)
:* サレジオ中学(男子)
:* 武蔵野東中学(共学)
高校に進学したい場合、中学3年の時点で、世間一般の中3の子供と同様に高校受験することになります。
このほか、国立(こくりつ)の中学ですが、国立大学の教育学部の付属中学には、高校をもたない中学もあり、これらの中学生も高校進学したい場合高校受験をすることになります。
横浜国立大学教育学部附属の中学校2校、千葉大学教育学部、埼玉大学教育学部、茨城大学教育学部の付属中学がそうであり、併設の高校を持たず<ref>[https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry000821.php 『中学受験、もうひとつの選択。「高校のない」私立中学校......武蔵野東中学校』2017/09/11]</ref>、よって中3で高校受験が必要になります。
== 出願の注意 ==
出願方法が指定されている中学もあります。願書の郵送が認められていない場合もあり(代わりにネット出願)、そもそも紙の願書が存在しない可能性もあります。
また、紙の願書が存在している中学でも、持参日がきびしく定められている場合もあります。
;ネット出願の場合
私立中学の場合、学校にもよりますが、ネット出願(「web出願」ともいう)しか認められてない場合もあります。
国立中学の場合も、都心の国立中学では「web出願」しか認められていない場合もあります。
受験票を印刷する必要があるので、プリンタなどを確保しておいてください。また、顔の写真データが必要ですので、写真屋などで用意してください。
;持参の場合
いっぽう、地方の国立中学の場合(たとえば地方の国立大学教育学部附属の中学)の例ですが、願書の'''持参しか認められていない'''場合もあり、しかも持参日および時刻(たとえば、事務室の窓口の空いている時間のみ)が指定されている場合もあります。
== 学校説明会 ==
学校説明会ですが、近年ではインターネットからの予約が必須の学校が多いです(特に私立)。
学校説明会に参加しなくても、その中学を受験して得点が良ければ合格します(受験のある中学の場合)。しかし、時間的に余裕があるなら志望順位の高い中学については説明会に参加するほうが無難でしょう。
また、受験生向けの情報を、たいていの私立中学のwebサイトは広報しているので、保護者などは定期的にwebサイトを確認すると良いでしょう。
パソコンやインターネット環境の無い家の場合や、ネット環境があっても低速な回線の場合、まずはインターネット環境を整えるのが先です。(コロナ対策で2023年現在では多くの家庭でパソコンが確保されているでしょうが、5年後や10年後の世代はそうとは限らないので説明しておきます)
== その他の特徴 ==
=== 宗教 ===
私立中学高校には宗教系のものもあります。主に、キリスト教(カトリック/プロテスタント)、仏教です。これらの学校では宗教の授業(宗教の考え方をもとに自分をみがく)があるところもあります(道徳の授業がなく、代わりに宗教の授業があることがよくあります)。また、学校行事にも宗教行事が含まれていることがあります(普通の行事にも宗教がからむことがあります)。しかし、たとえば、キリスト教の学校に「キリスト教徒にならなければ(洗礼を受けなければ)ならない」「神社で参拝してはならない」などという決まりがあることは、まずありません。そのため、'''ほとんどの宗教系私立学校は普通の学校と同じ感覚で入れます。'''ただし、その学校に入る以上、宗教教育を拒否できませんから、宗教上の事情がある方はよく考えてください。
;入信が必要な一部の私学
ただし、ごく一部ですが、その学校に入る場合にはその宗教に入ることが求められる学校もあります。理由は、そのような学校は宗教・宗派の指導者を若いうちから育てることを目的としているからです。こうした学校はちゃんと学校説明会のときに説明されますし、パンフレットなどにも書いています。また、校名で分かるところもありますのでよく確認しましょう。
;間接的な宗教教育の私学
ほか、表向きには宗教系の学校を目指していなくとも、建学時の経緯などからキリスト教または仏教と関係の深い私学もあります。たとえば戦前から英語教育に力を入れていた私学など、その歴史的にキリスト教と関わりがあったりします。
具体名を出すと、戦前の成城学園です。<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/21/0/21_19/_pdf/-char/ja 小針誠 著『大正新教育運動のパラドックス』 、【特集】子ども中心主義のパラドックス、2015:19-32、P.28] に「小原や赤井に限っていえば、彼らは共通して敬虚なクリスチャン(プロテスタント)(5'であった。」という記述がある</ref>
他の学園でも、たとえば学校が直接はキリスト教を信仰していなくても、海外提携校の西洋の私学が地元のキリスト教会と交流しているような場合もあります。イギリス国王はイギリス国教会(こっきょうかい)の長を兼ねています。なので、これらの国の私学と姉妹校をもつ日本国内の私学は、その影響を間接的に受けます。
あるいは、日本のある私学の戦前の卒業生にキリスト教徒がやや多い場合もあります。このため、間接的な範囲まで考えると、じつは全くの中立とは言えません。
パンフレットにある創設の経緯の歴史などから、そういうのを察する必要があります。
考えてみれば、もし英語研修のための海外交換留学だけが目的なら、留学先はインドやシンガポールなどでも構わないわけです。そうでなくイギリスの私学との交換留学の存在を歌っていたりする日本の私学は、つまりそういう歴史的な経緯があるわけです。
なお音楽教育も、西洋音楽とはキリスト教音楽とが切り離せません。もっとも公立中高でも部活動などで合唱部などが讃美歌を歌うことはあるので(ただし強制の学校行事とは切り離されているので他の部活の人が耳にする機会が少ないますが)、こちらはあまり心配する必要はないかもしれません。
日本だけでなくアメリカでも宗教と教育について同様の歴史があります。アメリカでは、18世紀や19世紀にキリスト教プロテスタントの団体が社会改善運動(エヴァンジェリカル運動)のために設立した中学校・高等学校などが母体になって<ref>[file:///C:/Users/yoshi/Downloads/4214.pdf 木下慎 著『近代教育批判の根拠 ‐ 田中智志の教育思想をめぐって ‐』、東京大学大学院教育学研究科 基礎教育学研究室 研究室紀要 第쏇2号 別刷、2016年7月、P.118 ]</ref>、それらの学校が時代を経て脱・宗教化して世俗化(せぞくか)されて現代では名目上は宗教的には中立な学校もあります。キリスト教プロテシタントにおける教育をもちいた人格形成論が、根源にあります。
余談ですが、日本のキリスト教には「無教会キリスト教」という考え方があり、ヨーロッパや北米などキリスト教圏における古来からの徳目を重視しつつ、キリスト教美術・週音楽なども尊重しつつも、形骸化(けいがいか)・形式化をさけるために、あえて教会や経典などをもたないキリスト教徒もいます。[[w:無教会主義]]
== 学生寮のある私学は少ない ==
私学でも、学生寮のある私学は少ないです。いちぶ、地方などで学生寮のある私学は存在しますが、だいたいの場合は学校本体の生徒数の定員のわりに寮の定員が少なく、基本的には自宅から通える範囲の私立中学に進学することが前提です。
なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。
* [http://zenryokyo.com/test/page-40/ 全国私立寮制学校協議会『寮のある学校』 ] ※ 全部は紹介しておらず、加盟校しか紹介していない。よって、実際には」リンク先で紹介してないが寮のある私立中高もある
* [https://president.jp/articles/-/23468?page=1 矢野耕平 著『あの"聖心"の女子寮が貫く"秘密のルール"』2017/10/31 9:00] ※ リンク先のこのページで、いくつかの、寮ある私学を紹介
リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません<ref> [https://president.jp/articles/-/23468?page=1 矢野耕平 著『あの"聖心"の女子寮が貫く"秘密のルール"』2017/10/31 9:00] ※ リンク先のこのページで、いくつかの、寮ある私学を紹介</ref>。
なお、国立大付属の中高には学生寮は無いはずです<ref>[https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1234363.html 教えてgoo 『国公立の、寮のある高校』質問日時:2005/02/23 19:46 ]</ref>。よって、実家から通える範囲であることが前提になります。
ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく大学生向けの一般の近隣マンションばかりですし、また中高生むけ情報ではありません。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。
== 私立の高校受験のさいの推薦なし ==
私立中学はふつう、いちいち「中高一貫校」と宣言していなくても、実際には中高一貫校である場合が普通です。そして高校受験で他校を受験するのは、法律的には可能ですが、しかし、どんなに偏差値の高い私立中学でも、高校受験での指定校推薦などの類は、無いと思われます。まったく「中高一貫校からの指定校推薦」(←たぶん無い)という話を、聞いたことありません。
やむにやまれぬ理由が無い限り、高校受験はおすすめしません。
たとえば「今いる学園の高校の授業についていけそうにないので、中学卒業とともに他校に移りたい」とか「保護者が失業して、家のお金が無くなった。公立高校に行くしかないのか?」とかの理由が無いかぎり、私立中学から高校受験するのは、リスクが高いです。
なお、もし保護者の失業で中学在学中に家のお金が無くなった場合でも、奨学金などを借りることも検討したほうが良いかもしれません。3年間の300万円くらいの学費なら、コツコツと働けば、10数年~20年もあれば返せます。
なお、私立高校で「特待生」というのがありますが、学費無料とは限らず、学費の減免だけの場合もあります。たとえば一般生徒は年間100万円の学費が、特待生だと50万円だったり、みたいなのです。なので、有料であることには変わりない場合もあります。
そもそも、たとえ中学受験のときは成績がよくても、高校受験で成績が良いとはかぎらず、なので偏差値の低い私立高校の特待生になれるとは限りません。なので、わざわざ他私立に移るのはリスクが高いです。入学時に特待生になれても、高校2年や3年で特待生になれるとは限りません。
== 私立大学への指定校推薦について ==
私立大学の指定校推薦において要求される成績は、高校時代の成績です<ref>[https://m-academia-s.com/faq/ao/ao-000691.html 『中高一貫校の指定校推薦で、中学時代に気を付けるポイントとは?』、 ] 2023年12月11日に閲覧.</ref>。なので、中高一貫校では、赤点スレスレで遊ぶのは中学時代までにしましょう。
このため、中高一貫校でも、中学3年になったら、高校受験の5教科の勉強のようなものを始めるほうが良いでしょう。たとえば、塾なども活用して模試を受けるなどして、中3時点で高校受験偏差値で60くらいは目指しましょう。
塾にも、中2あたりから夏期講習に行ってみたりとかしましょう。
もし、「高校時代も遊びたい」、もしくは5教科(国数英理社)の学業よりも優先して熱中したものがある(たとえば「ミュージシャンになりたい!」的なの)、という人は、そもそも中高一貫校やその先の難関大学への進学にあまり向いていません。そういう「ミュージシャンになりたい」的な進路の人は、wikiに「向いてない」と言われた事を相談して、高校卒業後の進路を考え直しましょう。
=== 注 ===
<references/> | 2024-01-08T06:43:05Z | 2024-03-08T21:11:17Z | [
"テンプレート:Ruby"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E6%9C%80%E4%BD%8E%E9%99%90%E3%81%AE%E5%88%B6%E5%BA%A6%E9%9D%A2%E3%81%AE%E7%9F%A5%E8%AD%98 |
38,914 | 中学受験ガイド/学園ごとの特色のちがい | 中高共通の話題については下記リンク
私立中学によっては、2010年以降、併設の高校では受験生の募集を廃止して、すべて中学からの内部進学組に切り替えた私立の学園も、少なからず、あります。
偏差値の高低にかかわらず、高校での外部からの募集停止をした高校が少なからずあります。これを「完全中高一貫校」と言います。
このような完全中高一貫校の場合、募集人員の数は、一般の中学と同程度です。(たとえば1学年あたり8学級など)
なお、公立の中高一貫校でも、高校では外部受験生の募集を停止している学校も、少なからず、あります。
学校にも寄るのですが、併設されている高校を持っている中学校では(ほとんどの私立中学が高校を併設しています)、高校で受験生を応募している場合、併設の中学では学生数の定員が少なめです。
たとえば、高校がもし1学年あたり8学級なら、中学は1学年あたり4学級、のように中学の定員が高校の半分だったりします。
もし、進学先の中学でたくさんの同級生と触れ合いたい場合、こういった事も考慮事項になります。
4学級なら、まだマシです。2学級の私立中学もよくあります。
昭和に高校が設立されたあとに、平成になってから付属中学を設立した学園の場合に、よくこういう事例があります
学校の所在地がベッドタウンなどだと、建築基準法などの建築規制などで敷地の境界ちかくに立つ新校舎(今の中学校舎)は2~3階までしか建物を建築できない場合があり(たとえば学校周辺に住宅地がすでにあって、2~3階までしか建てられないとか)、そのため1学年あたり2学級が限界、という場合もあるのです。
それに、高さ以前に、そもそもの床面積が中学校舎は狭いという事例もよくあります。付属中学を過去の校庭の一部をつぶして校舎を建てなければいけないので、あまりに校庭をつぶすと体育の授業に支障が出るので、なので2学級が限度、というわけです。
2020年代の今時の私立中学には、学科のような「コース」制または「クラス」制を導入している私立中学もあります。よくあるのは、理系重視の特別授業があったり普段の理系授業もレベルの高い「サイエンス」コースと、英語重視で国際交流人材を目指した教育をうたっている「グローバル」コースです。
なお、けっして生徒全員がどちらかのコースに所属するのではなく、大多数の生徒は「一般」コースまたは「文理」コースといった文理共通のコースに所属するようです。(※ 情報不足で未確認です。詳しく知りたければ、各自で調査してください)
また、一般コース以外は、上記グローバルまたはサイエンスの片方のコースしかない私立中学もあるので、勘違いしないように。
昭和の昔は無かったシステムであり、2010年以降に最近に増えたシステムのようなので、当wikiでは説明しきれません。よって、下記の情報は、間違っている可能性、もしくは当てはまらない可能性があります。なので、正確な情報については各中学のパンフレットを見るなり、説明会で聞くなりしてください。
選択授業とは違うので、入試などで関連教科の成績が良くないと、そのコースに入れないようです。(たとえばサイエンスコースなら、入試や定期テストなどの理科や算数・数学の成績が特に良くないと、そのコースに入れない。)
また、学科ではないので、3年間同じコースとは限りません。
「コース」ではなく「クラス」と呼んでいる中学もあるように、学級は一般クラス(または一般コース)とは分かれます。
上記とは別に、学力の高いコースとして、1部のクラスで「難関大コース」とか「アドバンスドコース」だとか「特進コース」みたいな名前の、将来的な大学受験対策を意識した、優等生向けの勉強量の多いコースを設置する中学もあります。
決して一つの中学校に「難関大コース」と「アドバンスド」コースがあるわけではなく、たいていは一つの中学に優等生むけコースは一つなのが現状です。
女子校にはこういう種類の成績分けのコースは少なく、共学や男子校で比較的に見られるコースです。
原理的には 「グローバル×特進」みたいな組み合わせ型のコース分けの設置の可能性も考えられますが、しかし2024年の現状、そういう話を聞きません。組み合わせ型コース(← wikiで勝手に命名)は、教員の授業準備の負担がさらに増えるので(もしくは学費が増える)、たぶんそこまで細かくコース分けする中学はあってもごく少数だと思います。
都会の私立の中高一貫校の中学生が使う設備は、そもそも高校と共有されているのが普通です。そのため、あまり中学生の人数を増やせません。完全中高一貫校であってもなくても、です。どちらの一貫校であっても、普通の中学校よりも、生徒の定員数は減ります。完全中高一貫校にして中学生の人数が不完全一貫校よりも多めの場合(たとえば同規模の不完全一貫校が4学級で、同規模の完全中高一貫校が6学級だとする場合)、そのぶん高校の定員が完全中高一貫校では減っているわけです(昔は高校が8学級だったのが6学級に減ったりした)。
たとえば中高一貫の中学生が使う理科室は、同じ中高一貫の高校生が使う理科室と同じ部屋です。家庭科室や美術室や音楽室や体育館や柔道場も水泳プールなども同様です。
中学側の校舎に簡易的なコンピュータ室などがある場合もありますが、簡易的なものです。(コンピュータは全学年が頻繁に使うので、中学側でも別途、用意されていることも多い。)
いっぽう、音楽室は防音などの設備が必要だし、ピアノなどの楽器も共有するので、簡易的な音楽室と言うのは難しく、したがって、おそらく高校側と音楽室が共有になる可能性が高いでしょう。
田舎などで公立の中高一貫校を21世紀になって新築された学校などは別かもしれませんが、少なくとも都会の私立の中高一貫校などは普通、設備が中学と高校とで共有されており、同じ敷地内に私立中学と私立高校があります。
歴史的には多くの場合、戦後になって作られたような首都圏の私立の中高一貫校は、もともとは私立高校だけだったのが、あとから付属の中学が追加されたという形であるので、そのぶん敷地はせまいのです。
なお、戦前からあるような古い私学だと、wikipediaなどで調べると1948年に中高が一緒に設立されている例も多いですが、しかしこれは戦後の学制改革にともなう再申請に過ぎず、戦前の制度では高校または中学のどちらかが先行して設立されているのが実態です。
また、この事から、都会の私立中高一貫校では理科室やら家庭科室などを特別に他校よりも多く使った授業は、少し実施が難しくなります。
だから普通、都会の中高一貫校にたとえば理数科とかの学科で実験の授業の多い特色の学科なんて、ありません。
仮に一貫校になる前の過去の高校だけだった昭和の時代にそういう実験の多い授業をしていた歴史があったとしても、そのあと一貫校になった現代では実験の多い特別授業みたいなのは廃止されたままでしょう。
せいぜい、中高一貫校では、中学だけにある技術家庭科の技術分野のための技術実習室が追加されているくらいです。
食堂なども当然、共有されているので、中高一貫校での食事は高校に準じたものになります。つまり、現代の都会の私立の中高一貫校では普通、給食はありません。なので、お弁当を中学時代から持っていく事になるでしょう。
校舎だけでなく、校庭も共有です。これはつまり、運動部も、中学と高校とで設備を共有することになります。ただし、1学年あたりの生徒が中高一貫校は少ないため、あまり問題は無いかもしれません。また、都会の私立は、そもそも中高一貫校かどうかにかかわらず、校庭の敷地自体が元からせまいという事を覚悟する必要があります。
都会の私立だからって、決して何でも理想的な環境というわけではありません。広い敷地が必要なら本来なら地方に移転する必要があるし、なのに都心にある以上は設備に何らかの制約があります。
なお、生徒会室も中高で共有です。なぜなら学校行事は校内の中学高校とで協調して行う必要がありますので。
こういう情報はパンフレットを見ても書いてませんし、学校説明会でもそこまで説明してくれませんので、文化祭などである程度は志望校を見学してください。もし、普通の公立中学のような校舎を予想して中高一貫校に進学してしまうと、入学後に予想とのギャップ(差)を感じることになってしまいます。
たとえ昇降口(しょうこうぐち)はもし中学と高校とで別々だとしても、中高一貫校の校舎内部では中学棟と高校棟がつながっているのが一般的です。
お弁当の件は、親視点で見れば、私立中に進学させると、月曜から土曜の毎日、弁当を用意することになります。
子どもがお弁当を持っていって通学のために家を出るということは、つまり、毎日、母親はもっと早く起きるわけです。
具体的には、母親が専業主婦になるという意味です。ジェンダー差別どうこうといった机上の議論には意味がありません。多くの私学生徒の保護者は現にそうしています。両親ともフルタイムで共働きで勤務するというのは、現実的には私立進学の家庭では無理です。
一部の都会の外資企業やIT企業などが、「女性にも働きやすい職場」みたいな事を言って、さぞフルタイムで働いていて活躍しているかのように女性社員を宣伝しますが、ああいうのは広告塔ですので、真に受けないようにしましょう。ずいぶんと日本国民をなめた宣伝をしています。
子が都会の私学に進学するという事の意味は、母親が専業主婦またはパート主婦などの非正規雇用といった、それに近くなるという意味です。
じっさい、既婚女性に限った統計ではないのですが、書籍『検証・学歴の効用』にある情報によると、少なくない女性が、正規雇用よりも非正規雇用を好んでいる実態がある事が、研究者の佐藤博樹・小泉静子の研究(2007)によって解明されているとの事です。
子どもを私立に進学させようと思ってる親は、そこまで考えましょう。
公立中学なら給食があるので、せいぜい土曜日・日曜日(部活で出る日)だけのお弁当を用意すれば済みますが、
しかし私立の場合、学校によっては、月曜から土曜日までの毎日、お弁当を用意することになります。
私立にも食堂の用意されている学校はありますが、混雑しているという現実を理解してください。混雑を嫌った生徒の家庭が弁当を持ってきてくれているので、なんとか、食堂でもサバける状態です。
お弁当を早く食べ終われば、そのぶん、自習室や図書室などでお勉強したり読書したりと、有意義な時間を過ごせるわけです。
学校によっては、校外の近隣に食堂の無い場所もあります。(校舎のために広い敷地が必要なので、やや僻地に校舎があるのが普通です。)
校内の食堂か、お弁当か、その2つが現実的な選択肢です。
私立の女子中高とかで、「自立した女性」うんぬんの教育理念をうたっている学校がありますが、しかしそういう学校に子どもを通わせて満足な成績で卒業させるためには、母親は専業主婦またはそれに近いパート主婦にならざるを得ないというのが現実です。
戦前や、戦後でも戦後の学制改革の1948年(なお終戦は1945年)から20年以内の1968年までなら、そういう事に気づかなくても仕方ないかもしれませんが、しかしもう2020年以降であり戦後70以上たってるので、そろそろ実情に気づきましょう。
まあ、つまりそういう私学女子校の言う「自立した女性」というのは建前や努力目標に過ぎず、実際は少し割り引いて考える必要があります。「わが校は、卑屈な女性を育てたりはしていないつもりです」くらいの意味合いでしょう。
よく、育児の評論とかで、「子育てで母親が大変なのは、子が赤ん坊や幼児のうちだけ」みたいな知ったかぶりを言う人がいますが、実際には、私立中学や公立でも高校に進学すると、母親の仕事は増えます。なお、公立でも中3とか高校3年とかは受験のことも親も一緒に調べないといけません。
子が幼稚園・保育園や、小学生(ただし公立)のうちだけ、母親の負担が軽くなるだけです。
お弁当用のほぼ調理済みのウィンナーとかハンバーグとかスーパーに売ってますし、あるいは出来合いの総菜を弁当箱に詰めるとか、そういうので十分に対処できますが、それでも毎日、弁用をつくる事になりかねません。
図書室も保健室も、中高一貫校では普通、共有されています。
中高一貫校の図書室では、中学1年生でも高校3年生のための大学1年レベルの本を借りられてしまうので、進学後は自分で読書レベルを調節しましょう。また同様、いつまで経っても高校になっても中学レベルの読書をしないよう、気をつけましょう。
学園がパンフレットなどの宣伝で「わが校は蔵書(ぞうしょ)4万冊!」と言っても、それは中高あわせて4万冊だったりするので、単純計算では 中学レベル2万冊 + 高校レベル2万冊 です。
都会の私立の中高一貫校の図書室はともかく狭い(せまい)ので、いちいち受験勉強用の参考書とか都会私立の図書室には置いてないです。なので、自分のカネで参考書を買いましょう。
大学受験の赤本(過去問集のこと)なんてのは都会の中高一貫のせまい私立中高の図書室には置いてなかったりして、仮に過去問集がおいてあるとしたら進路指導室とかです。
地方の私立の図書室がどうかは知りません。
なお読書について、進学校に入ると普段の学業で忙しく、あまり教科書・参考書以外の読書は出来ません。なので図書室は、せいぜい調べ学習などで、ときどき図書室を使うくらいです。
あるいは、部活動などで、所属している部活のスポーツや芸術の教本を読んだりして勉強したりするくらいでしょう。なので、中高で図書室が共有されていても、何の不都合もありません。
学校の図書室の利用法は、どちらかというと、蔵書を眺める(ながめる)ことにより、どういうレベルの本を中高の学生が読むべきかを把握できるのが利点です。
つまり、世間の書店には、下らない、どうしようもない書籍も置いてあります。図書館の司書や図書室長が、選書のさい、そういうしょうもない書籍を購入しないように自校の学校図書室を管理しているわけです。 公立中学の場合、司書がいない中学も多いので(教員が図書室の管理を兼任していたりする)、選書は他校や業界団体(学校図書館・図書室などの団体の推薦図書など)の後追いです。
文化祭などで中学進学前に私学などの図書室を見る機会があれば、こういう所にも注目すると良いでしょう。
だいたい、大学でも学部課程(大学1~4年)も修士課程も博士課程も図書館は基本的に一緒です。(ただし、研究室に別途、研究室内で共用の本が置いてある場合もある。もっとも、高校には研究室が無いので、関係ない話です。)
(ただし、高校のコンピュータ室に若干のパソコン練習マニュアル本が置いてあったりするが、些末(さまつ)な例外なので省略する。いちいち図書室に置くと管理的な事務が面倒だし、かといって生徒全員に与えるほどでもない書籍なので、コンピュータ室にそういう本が置いてあったりする場合もあるのです。なお、理科室など他の部屋には、そういう書籍は無いのが普通です。)
ほか、私学と公立の中学校で、図書委員の仕事内容が微妙に違います。なぜなら私学の図書室には、司書または専任の職員がいます。なので、私学では図書室の運営の細かい仕事は司書などの仕事です。
公立の小中学では、図書室の運営は、教員と、図書委員会の仕事です。昼休みや放課後などの図書室のカウンター業務などの管理を、図書委員が持ち回りで任されたりするわけです。
いっぽう、私立の小中の図書委員の仕事は、私学によっては生徒がカウンター業務を任される場合もあるかもしれませんが、どちらかと言うと書架整理や(これは公立でもやります)、図書室からの各クラスへの広報の下働きや、図書室主催のイベントの手伝い、図書室の掃除という美化、などです。
ただし、現代の私学では図書室の運営が電子化されていたりで貸出管理に専用ソフトウェアを使っていたりするので、生徒では管理が難しいので、もしかしたら私学では生徒によるカウンター業務は少なくなっているかもしれません。
いっぽう、公立の小中では生徒でも管理できるように、紙の図書カードを今でも使っている学校もあります。本の裏見開きにある図書カードに手書きで名前を書いて図書室カウンターに提出するアレです。
なお、公立でも高校になると、さすがに司書がいるはずです。このため、公立高校の教育には税金が多めに掛かっています。
公立の小中学校で司書がいる地域は、ごく一部です。また、もし名目上の司書が公立の中高にいても、必ずしも普段から出勤しているとは限りません。
教育学の専門書『よくわかる教育課程』によると、多くの公立小中高では司書がいないのが実態です。1997年の学校図書館法の改正で、法律上は司書の配置が義務化されましたが、しかし実態は学級担任などが司書を兼任しており、とても実態は司書と呼べるものではありません。
なお、公立学校の司書は、都道府県の職員という地方公務員であり、他の図書館に転勤したりもします。公立高校司書は、教員とは異なります。
また、公立中学などは司書がいないため、図書室の開館時間が短めである、という特徴もあります。
昼休みや放課後以外は、カギが掛かっていて、その時間は利用不可能、といった場合もあります。
私立だからといって、水泳授業や水泳部のつかうプールが、必ずしも屋根付きの温水プールとは限りません。
たとえば、慶応義塾中等部は、屋外の屋根なしの普通の学校プール(「冷水プール」と言います)です。慶應義塾中等部 『夏だ!プールがある学校・ない学校【温水・冷水】 - 中学受験の下書き』
早稲田実業も冷水プールです。甲子園などによく出るので、なんとなく体育設備が豪華そうに錯覚しますが、勘違いしないように。
早稲田大学高等学院に至ってはプール無し。外部のプールを借りるのか、それともプール授業が無いのかどうかは知りません。
私立だからって必ずしもプールがあるとは思わないように。
また、早稲田グループのように、同じ系列の中高だからって、必ずしもプールがあるか無いかの方針が一致しているわけではありません。
他大の付属校でも、青山学院大学の付属校の場合、たとえば東京の青山学院中等部は温水プールあるのに、神奈川の青山学院横浜英和はプール無しです。埼玉の青山学院浦和ルーテルは温水プールありです。このように、プール設備の有無の方針は一貫していません。
早稲田実業のように、高校が甲子園の強豪校の私立だからといって、必ずしもプールがあるとは限りません。
ほか、受験校として日本トップ級の開成中高もプール無い。
受験する中学が進学校の場合、下記のようなメリット(利点)があるでしょう。
[受験前]
[受験後]
私立の中高一貫校の中学に進学した場合で、中学卒業の時点で他の私立高校の学園に転校した場合は、それでも出身中学の同窓会に入会できる私立中学もあれば、いっぽう同窓会に入会できない私立中学もあります(高校卒業者の同窓会しかない場合もあります)。
高校進学後に後から同窓会の存在に気付いても、もう二度と私立の中学には再入学のしようが無いので、あらかじめ同窓会の入会資格については中学受験時に保護者だけでも理解しておいたほうが良いと思います。
その私立中学が大学の付属校の場合でも、たとえその学園の大学を卒業しても、付属の中学高校の同窓会には入会できない中学もあります。
なので、基本的には、中学受験をする場合は、なるべく高校卒業まで6年間、その学園に在籍する予定を前提にしたほうが安全です。
なお、大学の同窓会イベントと、高校の同窓会イベントは、まったくイベント内容が違います。
大学・高校にもよりますが、大学には「1年3組」みたいなクラスがありません。そのためか、同窓会も、大学では、学年ごとの集まりと言うのは基本、ありません。
このため、同じ学年の者同士が集まる会合というのが、大学の同窓会では基本ないか、あっても珍しいです。
マンガとかだと、大学の同窓会で旧友と出会ったりしますが、あんなのはウソ、大げさ、まぎらわしい、です。しょせん、マンガはマンガ。
一般に大学の同窓会イベントに出ても、そこで会う相手は学年も違う、知らない人ばかりです。
学科単位で同窓会を行うか、それともゼミ単位で同窓会を行うかは大学ごとに異なります。学科単位で同窓会を行うシステムの大学の場合、同窓会に出ても恩師に合えない場合があります。
卒業後から十数年後に大学の学科単位の同窓会に出ても、ここ数年その大学で元気の教員をしている教授しかいなくて、十数年前に自分が卒業したときの恩師は引退してたり他大に移籍してたりしてもう同窓会にいなかったりします。
なので、大学の同窓会に出る目的は、どちらかと言うと、人脈づくりです。もし卒業後に自分の昔の旧友に合いたいなら、高校の同窓会に出て高校の同窓生に合うしかありません。なので、大学時代の連絡先を知らない同級生とは、もう二度と人生では会えない可能性が高いのです。
そのため、ハッキリ言って大学側も、あまり熱心に卒業生を同窓会イベントに誘いません。
そもそも、校舎が複数個ある大学の場合、たとえば東京と埼玉と千葉に校舎のある大学なら、たとえば自分が埼玉や千葉の校舎を卒業しても同窓会の開催の場所が東京の校舎だったりして、校舎にすら懐かしい思い出も何もありません。
さらに下手したら、その東京の校舎すらも卒業後に移転してたりして、元の場所には別の会社のビルが建ってたりして、もはや何も思い出はありません。
よく、医療マンガとかで、天才的な外科医が大学(東大みたいな権威の架空の国立大学)の同窓会で医学部時代の旧友と出会って・・・みたいなシーンがありますが、東大や医学部の同窓会はどうか知りませんが、一般的な大学の同窓会では、同じ学年の旧友とは、あまり会えません。そもそも大学時代の研究室の教授のような恩師も、同窓会イベントに出ても、いなかったりする場合が多いです。
高校の同窓会だと、学年ごとに開かれるので、卒業後の十年後や二十年後の同窓会でも、自分の学年の存命の恩師が同窓会に出席したりもします。しかし大学は上述したようにクラスが無いし、大学には担任もいないので、そういう恩師の出席するイベントもないのが普通なのです。
よく、学歴の利益についての談義などで、私学の早稲田や慶應の大卒など高い偏差値の大学の学閥(がくばつ)について、付属校から進学してきた人と、大学で外部の高校から進学した人とでコネが違って学閥(がくばつ)がどうのこうのとか出版界ではよく評論されますが、早慶の大学の同窓会のシステムがどうなってるかは当wikiは知りませんが、まあ、一般的な大学の同窓会のシステムを考えれば、大学の卒業生にろくな連帯感とか無いのも当然です。
そもそも大学教員も、同窓生との交流とかよりも研究を優先したい人達なので、同窓会イベントには興味ない人たちです。
まあ、名門大学の卒業生で、付属高校の出身者どうしの結束が固まるのも当然です。付属校の学閥を非難する世間の人は、なぜこの程度のことに気づかないのか。
なので、高校の同窓会には必ず所属できるよう、高校は中退などせず、卒業したほうが得です。中退して高卒認定試験を取っても、同窓会には所属できないでしょう。もし仮に所属できても、卒業アルバムに自分の写真は無いし、とても居心地が悪くなると思います。
高校には「卒業アルバム」というグッズはありますが、一方で「入学アルバム」なんていうグッズは無いので、中退や転校した人についての記録は基本、卒業生たちのグッズには残りません。
なお、大学は卒業しても、卒業アルバムがあっても薄くて写真も少なかったり、大学によっては卒業アルバムが無いです。大学には修学旅行もなければ林間学校も臨海学校もないので、仮に卒業アルバムを作っても、いい写真がありません。
理科系の大学だと、忙しくて、写真撮影のヒマがありません。高校と違って、大学の卒業アルバムでは自分で写真を撮りにいかないといけなかったりして、すごく面倒です。
なるほど、名門私大などで付属高校の卒業生どうしの結束が固まるのも当然なシステムです。
部活同について、スポーツ系はプロも学生スポーツもルールは基本的に同じで、ほぼ1つのルールなので問題はありません。(なお、剣道では、小中学校では、「突き」が禁止されている。)
たとえば高校生の全国大会で上位の高校の試合出場選手が、プロにスカウト、もしくは大卒後にプロ前提で大学にスポーツ推薦で進学、なんて話もよく聞きます。
問題は文化部です。評価の方針が、プロと高校全国大会コンクールで違います。
例として、クラシック音楽系の部活で説明します。たとえば吹奏楽部や合唱部です(軽音楽は除く)。
それらの音楽系の分野では、高校生の全国コンクールの評価の方針と、クラシック系プロ音楽家の方針と、特定の音楽スタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンの方針、ポップス系商業ミュージシャンに求められる方針など、それぞれ方向性が別々です。それぞれ、求める音楽性の違いがあります。
このため、文化部の志望者は、志望する私立が、自分の入りたい文化部で過去にどのような方針を目指しているか、受験前にホームページなどで確認しておく必要があります。
基本的には、
を区別すれば、とりあえずは充分かと思います。
中高一貫校に進学する場合、もし部の方針が自分の夢とズレていると、高校進学のさいに他の私立を受験して転校する手間が発生しかねないので、中学受験の時点で事前に部の方針を把握しておきましょう。
部活内で技量の異なるごとにチーム分けをするという対応をしている学校もありますが(大会コンクールに出場できそうなメンバーのチームと、それ以外のメンバーのチーム)、しかし教室の数に限りがあるので、それらの対応にも限度があります。顧問やコーチといった人員の限度もあります。ただでさえ技量の異なる複数チームで大変なのに、その上、さらに方針の異なるチームまで用意してくれる高校は少ないでしょう。
美術のように個人で絵をかける分野なら、あまり問題ないでしょう。しかし、吹奏楽や合唱などのクラシック音楽系の部活は団体活動なので、そういった団体の方針が大いに自分の部活動の内容にも影響します。
また、音楽ほどではないですが、演劇部なども、一人では基本的に演劇できないので(パントマイムとか除く)、団体の方針の問題もあります。
音楽や演劇は団体での活動なので、こういう学校の方針の個性も、志望校を決めるさいの重要な検討事項になります。けっして偏差値の高低だけに、とらわれないでください。
現代の高校教育および大学受験は、「脱・ゆとり教育」の理念なので、もはや偏差値の高い普通科高校は、多様な進路を想定していません。
例として、ミュージシャン志望者の小中学生を上げます。
平成初期の「ゆとり教育」の時代なら、中高の検定教科書のレベルが低かったので、当時は音楽とかばかり練習していて学業をサボっても高校卒業できたかもしれません。しかし、「脱ゆとり教育」の令和の現代だと、検定教科書も難しく高度になっており、高校の進級などは、高偏差値の高校では、「ミュージシャン志望!」みたいな人にとっては少し進級・卒業が厳しいものがあります。
たとえば、埼玉県の私学の進学校で栄東(さかえひがし)高校というのがあるのですが、この高校は授業が難しすぎ&早すぎとかで中退者(他の高校に転校することになる)をチラホラ出すので昔から有名です。
平成になったころに栄東の付属中学が出来たのですが、その付属中学出身者ですら、ついていけずにチラホラと中退する人が出てきているようです。
けっして栄東の理念は例外的なものではなく(栄東ほど極端ではないですが)、偏差値の高い高校の普通科は、程度の差はあれ、多くの高校が似たような発想です。
なので、5教科を勉強するのに抵抗あってミュージシャン志望者な人は、中学受験や中学3年の(とりあえずの)進路相談の際、音楽科とか音楽コースなどのある高校とか探しましょう。美術とかも同様です。
ほか、私立高校のなかには、学校の提供する教育が、(※wiki注: 国公立大や早慶マーチ進学などを目標に)比較的に特定の傾向の進路に片寄っていると思われる私学もあります。(※ だからといって公立高校だからといって多様な進路を想定しているわけではないので、勘違いしないように。)
私立高校は、多様な進路を想定して充実した教育を提供する義務はないのです。さすがに私学だからといって高卒後の専門学校進学や音大進学などを禁止する義務はありませんが、しかし、私立高校には高校必修ではない高校『音楽II』とかの授業の提供の義務はないのです。部活動で音楽系の部活をしようにも、私立高校のなかには部活の引退が早い(高校2年の半ばころで終わりの)高校すらあります。
なので、ミュージシャン志望者みたいな子とその保護者の家庭は、子が私立中高一貫校を受験する際は、きちんと高校の授業まで調べましょう。
さて、男子と女子で、けっこう、音楽科の私立学校の数が違います。女子高のほうが、そういう学科やコースのある私立高校が多いです。
「自立した女性になりたい!」とか言って、女子高の用意した普通科以外の学科に父親のカネで進学する子供、いったい何を考えているのでしょうかね? たぶん何も考えられていないのでしょう。
こういう女子高のコース・学科や女子大の学部・学科によくある、性役割にもとづいたと見られるコースのことを教育学の用語で「ジェンダー・トラック」と言います。
ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。「トラッキング」と言う理論を、アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱しました。
わざわざ自発的に受験で自分が選んだ学校において良妻賢母的な女性向けのジェンダー・トラックを走っておきながら、なのに大学卒業後には過激派フェミニストみたいに男性憎悪をこじらせるのは、意味不明です。少し精神を病んでいるのかもしれません。
もし、親がこのwikiにキレるなら、馬鹿親です。図星を言われて、「(高校の定期試験の勉強に抵抗感のある)(大学受験勉強にも抵抗感のある)おたくの子供さんは、そもそも高偏差値の大学進学には向いてない」と言われてキレる親は、バカ親です。子供を甘やかしてダメにしています。
また、子どものほうも、「高校のテストなんて役立たないだろ!」とか「高校の数学なんてミュージシャンの役に立たないだろ!」とか言う子供は、そういう事いって論破したつもりなっている頭の弱い子供は、中高一貫校に進学しないほうが良いでしょう。
世間の人は、あなたの親以外は、誰もその子供に「中高一貫校に進学しろ」なんて頼んでいません。なのに「○○なんて役立たないだろ!」と言って論破したつもりになって自己陶酔している人は、昭和ならともかく、令和の中学受験の一般化した現代では、もう中高一貫校に仮に入学できても、教師からも同級生からも相手にされないで(同級生は仕方なく相手している)、もしかしたら退学や公立への転校などをすすめられるでしょう。
親がどんな教育理念がある馬鹿親か知りませんが、どうせ高校受験レベルの問題すらマトモに解けていない馬鹿親です。そんなバカ親のことを「頭いい」と思ってる子供もドラ息子、ドラ娘のバカ子供です。カネのチカラで塾で勉強しただけで中堅校の入試突破をできるのは中学受験の中堅校まで、です。
そもそも、親がそんなに自身の教育理念に自身があるなら、自分で塾でも操業して経営すればいいのです。あるいは、参考書を自分で著作しても良いでしょう。それができないくせに、自分で手を動かさないくせに、高校受験レベルの問題も解けないくせに、教育理念を偉そうにバカ親に語られても、学校や世間の塾などにとっては迷惑です。
ネットのある現在、どうしても子供がミュージシャンとかになりたくて学業をしたくないなら、家でそういう特殊な(けっして障害児の特殊学級と言う意味ではありません)中学・高校を調べてください。決して普通の中高一貫校に進学しないでください。迷惑というか、もはや相手にされないでしょう。 | [
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"text": "中高共通の話題については下記リンク",
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"text": "私立中学によっては、2010年以降、併設の高校では受験生の募集を廃止して、すべて中学からの内部進学組に切り替えた私立の学園も、少なからず、あります。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "偏差値の高低にかかわらず、高校での外部からの募集停止をした高校が少なからずあります。これを「完全中高一貫校」と言います。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "このような完全中高一貫校の場合、募集人員の数は、一般の中学と同程度です。(たとえば1学年あたり8学級など)",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "なお、公立の中高一貫校でも、高校では外部受験生の募集を停止している学校も、少なからず、あります。",
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"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"paragraph_id": 6,
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"text": "学校にも寄るのですが、併設されている高校を持っている中学校では(ほとんどの私立中学が高校を併設しています)、高校で受験生を応募している場合、併設の中学では学生数の定員が少なめです。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "たとえば、高校がもし1学年あたり8学級なら、中学は1学年あたり4学級、のように中学の定員が高校の半分だったりします。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "もし、進学先の中学でたくさんの同級生と触れ合いたい場合、こういった事も考慮事項になります。",
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"text": "4学級なら、まだマシです。2学級の私立中学もよくあります。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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"text": "昭和に高校が設立されたあとに、平成になってから付属中学を設立した学園の場合に、よくこういう事例があります",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
},
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"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "学校の所在地がベッドタウンなどだと、建築基準法などの建築規制などで敷地の境界ちかくに立つ新校舎(今の中学校舎)は2~3階までしか建物を建築できない場合があり(たとえば学校周辺に住宅地がすでにあって、2~3階までしか建てられないとか)、そのため1学年あたり2学級が限界、という場合もあるのです。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
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{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "それに、高さ以前に、そもそもの床面積が中学校舎は狭いという事例もよくあります。付属中学を過去の校庭の一部をつぶして校舎を建てなければいけないので、あまりに校庭をつぶすと体育の授業に支障が出るので、なので2学級が限度、というわけです。",
"title": "高校で外部進学を募集しているか否か"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "2020年代の今時の私立中学には、学科のような「コース」制または「クラス」制を導入している私立中学もあります。よくあるのは、理系重視の特別授業があったり普段の理系授業もレベルの高い「サイエンス」コースと、英語重視で国際交流人材を目指した教育をうたっている「グローバル」コースです。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "なお、けっして生徒全員がどちらかのコースに所属するのではなく、大多数の生徒は「一般」コースまたは「文理」コースといった文理共通のコースに所属するようです。(※ 情報不足で未確認です。詳しく知りたければ、各自で調査してください)",
"title": "コース制のある私立中学"
},
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"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "また、一般コース以外は、上記グローバルまたはサイエンスの片方のコースしかない私立中学もあるので、勘違いしないように。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "昭和の昔は無かったシステムであり、2010年以降に最近に増えたシステムのようなので、当wikiでは説明しきれません。よって、下記の情報は、間違っている可能性、もしくは当てはまらない可能性があります。なので、正確な情報については各中学のパンフレットを見るなり、説明会で聞くなりしてください。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
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"tag": "p",
"text": "選択授業とは違うので、入試などで関連教科の成績が良くないと、そのコースに入れないようです。(たとえばサイエンスコースなら、入試や定期テストなどの理科や算数・数学の成績が特に良くないと、そのコースに入れない。)",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "また、学科ではないので、3年間同じコースとは限りません。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
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"tag": "p",
"text": "「コース」ではなく「クラス」と呼んでいる中学もあるように、学級は一般クラス(または一般コース)とは分かれます。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "上記とは別に、学力の高いコースとして、1部のクラスで「難関大コース」とか「アドバンスドコース」だとか「特進コース」みたいな名前の、将来的な大学受験対策を意識した、優等生向けの勉強量の多いコースを設置する中学もあります。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "決して一つの中学校に「難関大コース」と「アドバンスド」コースがあるわけではなく、たいていは一つの中学に優等生むけコースは一つなのが現状です。",
"title": "コース制のある私立中学"
},
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"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "女子校にはこういう種類の成績分けのコースは少なく、共学や男子校で比較的に見られるコースです。",
"title": "コース制のある私立中学"
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"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "原理的には 「グローバル×特進」みたいな組み合わせ型のコース分けの設置の可能性も考えられますが、しかし2024年の現状、そういう話を聞きません。組み合わせ型コース(← wikiで勝手に命名)は、教員の授業準備の負担がさらに増えるので(もしくは学費が増える)、たぶんそこまで細かくコース分けする中学はあってもごく少数だと思います。",
"title": "コース制のある私立中学"
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{
"paragraph_id": 24,
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"text": "都会の私立の中高一貫校の中学生が使う設備は、そもそも高校と共有されているのが普通です。そのため、あまり中学生の人数を増やせません。完全中高一貫校であってもなくても、です。どちらの一貫校であっても、普通の中学校よりも、生徒の定員数は減ります。完全中高一貫校にして中学生の人数が不完全一貫校よりも多めの場合(たとえば同規模の不完全一貫校が4学級で、同規模の完全中高一貫校が6学級だとする場合)、そのぶん高校の定員が完全中高一貫校では減っているわけです(昔は高校が8学級だったのが6学級に減ったりした)。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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{
"paragraph_id": 25,
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"text": "たとえば中高一貫の中学生が使う理科室は、同じ中高一貫の高校生が使う理科室と同じ部屋です。家庭科室や美術室や音楽室や体育館や柔道場も水泳プールなども同様です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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{
"paragraph_id": 26,
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"text": "中学側の校舎に簡易的なコンピュータ室などがある場合もありますが、簡易的なものです。(コンピュータは全学年が頻繁に使うので、中学側でも別途、用意されていることも多い。)",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、音楽室は防音などの設備が必要だし、ピアノなどの楽器も共有するので、簡易的な音楽室と言うのは難しく、したがって、おそらく高校側と音楽室が共有になる可能性が高いでしょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
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"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "田舎などで公立の中高一貫校を21世紀になって新築された学校などは別かもしれませんが、少なくとも都会の私立の中高一貫校などは普通、設備が中学と高校とで共有されており、同じ敷地内に私立中学と私立高校があります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 29,
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"text": "歴史的には多くの場合、戦後になって作られたような首都圏の私立の中高一貫校は、もともとは私立高校だけだったのが、あとから付属の中学が追加されたという形であるので、そのぶん敷地はせまいのです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "なお、戦前からあるような古い私学だと、wikipediaなどで調べると1948年に中高が一緒に設立されている例も多いですが、しかしこれは戦後の学制改革にともなう再申請に過ぎず、戦前の制度では高校または中学のどちらかが先行して設立されているのが実態です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"paragraph_id": 31,
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"text": "また、この事から、都会の私立中高一貫校では理科室やら家庭科室などを特別に他校よりも多く使った授業は、少し実施が難しくなります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"text": "だから普通、都会の中高一貫校にたとえば理数科とかの学科で実験の授業の多い特色の学科なんて、ありません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "仮に一貫校になる前の過去の高校だけだった昭和の時代にそういう実験の多い授業をしていた歴史があったとしても、そのあと一貫校になった現代では実験の多い特別授業みたいなのは廃止されたままでしょう。",
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"text": "せいぜい、中高一貫校では、中学だけにある技術家庭科の技術分野のための技術実習室が追加されているくらいです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
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"text": "食堂なども当然、共有されているので、中高一貫校での食事は高校に準じたものになります。つまり、現代の都会の私立の中高一貫校では普通、給食はありません。なので、お弁当を中学時代から持っていく事になるでしょう。",
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"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "校舎だけでなく、校庭も共有です。これはつまり、運動部も、中学と高校とで設備を共有することになります。ただし、1学年あたりの生徒が中高一貫校は少ないため、あまり問題は無いかもしれません。また、都会の私立は、そもそも中高一貫校かどうかにかかわらず、校庭の敷地自体が元からせまいという事を覚悟する必要があります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "都会の私立だからって、決して何でも理想的な環境というわけではありません。広い敷地が必要なら本来なら地方に移転する必要があるし、なのに都心にある以上は設備に何らかの制約があります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "なお、生徒会室も中高で共有です。なぜなら学校行事は校内の中学高校とで協調して行う必要がありますので。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "こういう情報はパンフレットを見ても書いてませんし、学校説明会でもそこまで説明してくれませんので、文化祭などである程度は志望校を見学してください。もし、普通の公立中学のような校舎を予想して中高一貫校に進学してしまうと、入学後に予想とのギャップ(差)を感じることになってしまいます。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "たとえ昇降口(しょうこうぐち)はもし中学と高校とで別々だとしても、中高一貫校の校舎内部では中学棟と高校棟がつながっているのが一般的です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "お弁当の件は、親視点で見れば、私立中に進学させると、月曜から土曜の毎日、弁当を用意することになります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "子どもがお弁当を持っていって通学のために家を出るということは、つまり、毎日、母親はもっと早く起きるわけです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "具体的には、母親が専業主婦になるという意味です。ジェンダー差別どうこうといった机上の議論には意味がありません。多くの私学生徒の保護者は現にそうしています。両親ともフルタイムで共働きで勤務するというのは、現実的には私立進学の家庭では無理です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "一部の都会の外資企業やIT企業などが、「女性にも働きやすい職場」みたいな事を言って、さぞフルタイムで働いていて活躍しているかのように女性社員を宣伝しますが、ああいうのは広告塔ですので、真に受けないようにしましょう。ずいぶんと日本国民をなめた宣伝をしています。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "子が都会の私学に進学するという事の意味は、母親が専業主婦またはパート主婦などの非正規雇用といった、それに近くなるという意味です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "じっさい、既婚女性に限った統計ではないのですが、書籍『検証・学歴の効用』にある情報によると、少なくない女性が、正規雇用よりも非正規雇用を好んでいる実態がある事が、研究者の佐藤博樹・小泉静子の研究(2007)によって解明されているとの事です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "子どもを私立に進学させようと思ってる親は、そこまで考えましょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "公立中学なら給食があるので、せいぜい土曜日・日曜日(部活で出る日)だけのお弁当を用意すれば済みますが、",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "しかし私立の場合、学校によっては、月曜から土曜日までの毎日、お弁当を用意することになります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "私立にも食堂の用意されている学校はありますが、混雑しているという現実を理解してください。混雑を嫌った生徒の家庭が弁当を持ってきてくれているので、なんとか、食堂でもサバける状態です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "お弁当を早く食べ終われば、そのぶん、自習室や図書室などでお勉強したり読書したりと、有意義な時間を過ごせるわけです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "学校によっては、校外の近隣に食堂の無い場所もあります。(校舎のために広い敷地が必要なので、やや僻地に校舎があるのが普通です。)",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "校内の食堂か、お弁当か、その2つが現実的な選択肢です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "私立の女子中高とかで、「自立した女性」うんぬんの教育理念をうたっている学校がありますが、しかしそういう学校に子どもを通わせて満足な成績で卒業させるためには、母親は専業主婦またはそれに近いパート主婦にならざるを得ないというのが現実です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "戦前や、戦後でも戦後の学制改革の1948年(なお終戦は1945年)から20年以内の1968年までなら、そういう事に気づかなくても仕方ないかもしれませんが、しかしもう2020年以降であり戦後70以上たってるので、そろそろ実情に気づきましょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "まあ、つまりそういう私学女子校の言う「自立した女性」というのは建前や努力目標に過ぎず、実際は少し割り引いて考える必要があります。「わが校は、卑屈な女性を育てたりはしていないつもりです」くらいの意味合いでしょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "よく、育児の評論とかで、「子育てで母親が大変なのは、子が赤ん坊や幼児のうちだけ」みたいな知ったかぶりを言う人がいますが、実際には、私立中学や公立でも高校に進学すると、母親の仕事は増えます。なお、公立でも中3とか高校3年とかは受験のことも親も一緒に調べないといけません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "子が幼稚園・保育園や、小学生(ただし公立)のうちだけ、母親の負担が軽くなるだけです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "お弁当用のほぼ調理済みのウィンナーとかハンバーグとかスーパーに売ってますし、あるいは出来合いの総菜を弁当箱に詰めるとか、そういうので十分に対処できますが、それでも毎日、弁用をつくる事になりかねません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "図書室も保健室も、中高一貫校では普通、共有されています。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "中高一貫校の図書室では、中学1年生でも高校3年生のための大学1年レベルの本を借りられてしまうので、進学後は自分で読書レベルを調節しましょう。また同様、いつまで経っても高校になっても中学レベルの読書をしないよう、気をつけましょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "学園がパンフレットなどの宣伝で「わが校は蔵書(ぞうしょ)4万冊!」と言っても、それは中高あわせて4万冊だったりするので、単純計算では 中学レベル2万冊 + 高校レベル2万冊 です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "都会の私立の中高一貫校の図書室はともかく狭い(せまい)ので、いちいち受験勉強用の参考書とか都会私立の図書室には置いてないです。なので、自分のカネで参考書を買いましょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "大学受験の赤本(過去問集のこと)なんてのは都会の中高一貫のせまい私立中高の図書室には置いてなかったりして、仮に過去問集がおいてあるとしたら進路指導室とかです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "地方の私立の図書室がどうかは知りません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "なお読書について、進学校に入ると普段の学業で忙しく、あまり教科書・参考書以外の読書は出来ません。なので図書室は、せいぜい調べ学習などで、ときどき図書室を使うくらいです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "あるいは、部活動などで、所属している部活のスポーツや芸術の教本を読んだりして勉強したりするくらいでしょう。なので、中高で図書室が共有されていても、何の不都合もありません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "学校の図書室の利用法は、どちらかというと、蔵書を眺める(ながめる)ことにより、どういうレベルの本を中高の学生が読むべきかを把握できるのが利点です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "つまり、世間の書店には、下らない、どうしようもない書籍も置いてあります。図書館の司書や図書室長が、選書のさい、そういうしょうもない書籍を購入しないように自校の学校図書室を管理しているわけです。 公立中学の場合、司書がいない中学も多いので(教員が図書室の管理を兼任していたりする)、選書は他校や業界団体(学校図書館・図書室などの団体の推薦図書など)の後追いです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "文化祭などで中学進学前に私学などの図書室を見る機会があれば、こういう所にも注目すると良いでしょう。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "だいたい、大学でも学部課程(大学1~4年)も修士課程も博士課程も図書館は基本的に一緒です。(ただし、研究室に別途、研究室内で共用の本が置いてある場合もある。もっとも、高校には研究室が無いので、関係ない話です。)",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "(ただし、高校のコンピュータ室に若干のパソコン練習マニュアル本が置いてあったりするが、些末(さまつ)な例外なので省略する。いちいち図書室に置くと管理的な事務が面倒だし、かといって生徒全員に与えるほどでもない書籍なので、コンピュータ室にそういう本が置いてあったりする場合もあるのです。なお、理科室など他の部屋には、そういう書籍は無いのが普通です。)",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "ほか、私学と公立の中学校で、図書委員の仕事内容が微妙に違います。なぜなら私学の図書室には、司書または専任の職員がいます。なので、私学では図書室の運営の細かい仕事は司書などの仕事です。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "公立の小中学では、図書室の運営は、教員と、図書委員会の仕事です。昼休みや放課後などの図書室のカウンター業務などの管理を、図書委員が持ち回りで任されたりするわけです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、私立の小中の図書委員の仕事は、私学によっては生徒がカウンター業務を任される場合もあるかもしれませんが、どちらかと言うと書架整理や(これは公立でもやります)、図書室からの各クラスへの広報の下働きや、図書室主催のイベントの手伝い、図書室の掃除という美化、などです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "ただし、現代の私学では図書室の運営が電子化されていたりで貸出管理に専用ソフトウェアを使っていたりするので、生徒では管理が難しいので、もしかしたら私学では生徒によるカウンター業務は少なくなっているかもしれません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "いっぽう、公立の小中では生徒でも管理できるように、紙の図書カードを今でも使っている学校もあります。本の裏見開きにある図書カードに手書きで名前を書いて図書室カウンターに提出するアレです。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "なお、公立でも高校になると、さすがに司書がいるはずです。このため、公立高校の教育には税金が多めに掛かっています。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "公立の小中学校で司書がいる地域は、ごく一部です。また、もし名目上の司書が公立の中高にいても、必ずしも普段から出勤しているとは限りません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "教育学の専門書『よくわかる教育課程』によると、多くの公立小中高では司書がいないのが実態です。1997年の学校図書館法の改正で、法律上は司書の配置が義務化されましたが、しかし実態は学級担任などが司書を兼任しており、とても実態は司書と呼べるものではありません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "なお、公立学校の司書は、都道府県の職員という地方公務員であり、他の図書館に転勤したりもします。公立高校司書は、教員とは異なります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "また、公立中学などは司書がいないため、図書室の開館時間が短めである、という特徴もあります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "昼休みや放課後以外は、カギが掛かっていて、その時間は利用不可能、といった場合もあります。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "私立だからといって、水泳授業や水泳部のつかうプールが、必ずしも屋根付きの温水プールとは限りません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "たとえば、慶応義塾中等部は、屋外の屋根なしの普通の学校プール(「冷水プール」と言います)です。慶應義塾中等部 『夏だ!プールがある学校・ない学校【温水・冷水】 - 中学受験の下書き』",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "早稲田実業も冷水プールです。甲子園などによく出るので、なんとなく体育設備が豪華そうに錯覚しますが、勘違いしないように。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "早稲田大学高等学院に至ってはプール無し。外部のプールを借りるのか、それともプール授業が無いのかどうかは知りません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "私立だからって必ずしもプールがあるとは思わないように。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "また、早稲田グループのように、同じ系列の中高だからって、必ずしもプールがあるか無いかの方針が一致しているわけではありません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "他大の付属校でも、青山学院大学の付属校の場合、たとえば東京の青山学院中等部は温水プールあるのに、神奈川の青山学院横浜英和はプール無しです。埼玉の青山学院浦和ルーテルは温水プールありです。このように、プール設備の有無の方針は一貫していません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "早稲田実業のように、高校が甲子園の強豪校の私立だからといって、必ずしもプールがあるとは限りません。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "ほか、受験校として日本トップ級の開成中高もプール無い。",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "都会の中高一貫校の設備の共有"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "受験する中学が進学校の場合、下記のようなメリット(利点)があるでしょう。",
"title": "進学校のメリット"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "[受験前]",
"title": "進学校のメリット"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "[受験後]",
"title": "進学校のメリット"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "私立の中高一貫校の中学に進学した場合で、中学卒業の時点で他の私立高校の学園に転校した場合は、それでも出身中学の同窓会に入会できる私立中学もあれば、いっぽう同窓会に入会できない私立中学もあります(高校卒業者の同窓会しかない場合もあります)。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "高校進学後に後から同窓会の存在に気付いても、もう二度と私立の中学には再入学のしようが無いので、あらかじめ同窓会の入会資格については中学受験時に保護者だけでも理解しておいたほうが良いと思います。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "その私立中学が大学の付属校の場合でも、たとえその学園の大学を卒業しても、付属の中学高校の同窓会には入会できない中学もあります。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "なので、基本的には、中学受験をする場合は、なるべく高校卒業まで6年間、その学園に在籍する予定を前提にしたほうが安全です。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "なお、大学の同窓会イベントと、高校の同窓会イベントは、まったくイベント内容が違います。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "大学・高校にもよりますが、大学には「1年3組」みたいなクラスがありません。そのためか、同窓会も、大学では、学年ごとの集まりと言うのは基本、ありません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "このため、同じ学年の者同士が集まる会合というのが、大学の同窓会では基本ないか、あっても珍しいです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "マンガとかだと、大学の同窓会で旧友と出会ったりしますが、あんなのはウソ、大げさ、まぎらわしい、です。しょせん、マンガはマンガ。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "一般に大学の同窓会イベントに出ても、そこで会う相手は学年も違う、知らない人ばかりです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "学科単位で同窓会を行うか、それともゼミ単位で同窓会を行うかは大学ごとに異なります。学科単位で同窓会を行うシステムの大学の場合、同窓会に出ても恩師に合えない場合があります。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "卒業後から十数年後に大学の学科単位の同窓会に出ても、ここ数年その大学で元気の教員をしている教授しかいなくて、十数年前に自分が卒業したときの恩師は引退してたり他大に移籍してたりしてもう同窓会にいなかったりします。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "なので、大学の同窓会に出る目的は、どちらかと言うと、人脈づくりです。もし卒業後に自分の昔の旧友に合いたいなら、高校の同窓会に出て高校の同窓生に合うしかありません。なので、大学時代の連絡先を知らない同級生とは、もう二度と人生では会えない可能性が高いのです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "そのため、ハッキリ言って大学側も、あまり熱心に卒業生を同窓会イベントに誘いません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "そもそも、校舎が複数個ある大学の場合、たとえば東京と埼玉と千葉に校舎のある大学なら、たとえば自分が埼玉や千葉の校舎を卒業しても同窓会の開催の場所が東京の校舎だったりして、校舎にすら懐かしい思い出も何もありません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "さらに下手したら、その東京の校舎すらも卒業後に移転してたりして、元の場所には別の会社のビルが建ってたりして、もはや何も思い出はありません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "よく、医療マンガとかで、天才的な外科医が大学(東大みたいな権威の架空の国立大学)の同窓会で医学部時代の旧友と出会って・・・みたいなシーンがありますが、東大や医学部の同窓会はどうか知りませんが、一般的な大学の同窓会では、同じ学年の旧友とは、あまり会えません。そもそも大学時代の研究室の教授のような恩師も、同窓会イベントに出ても、いなかったりする場合が多いです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "高校の同窓会だと、学年ごとに開かれるので、卒業後の十年後や二十年後の同窓会でも、自分の学年の存命の恩師が同窓会に出席したりもします。しかし大学は上述したようにクラスが無いし、大学には担任もいないので、そういう恩師の出席するイベントもないのが普通なのです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "よく、学歴の利益についての談義などで、私学の早稲田や慶應の大卒など高い偏差値の大学の学閥(がくばつ)について、付属校から進学してきた人と、大学で外部の高校から進学した人とでコネが違って学閥(がくばつ)がどうのこうのとか出版界ではよく評論されますが、早慶の大学の同窓会のシステムがどうなってるかは当wikiは知りませんが、まあ、一般的な大学の同窓会のシステムを考えれば、大学の卒業生にろくな連帯感とか無いのも当然です。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "そもそも大学教員も、同窓生との交流とかよりも研究を優先したい人達なので、同窓会イベントには興味ない人たちです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "まあ、名門大学の卒業生で、付属高校の出身者どうしの結束が固まるのも当然です。付属校の学閥を非難する世間の人は、なぜこの程度のことに気づかないのか。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "なので、高校の同窓会には必ず所属できるよう、高校は中退などせず、卒業したほうが得です。中退して高卒認定試験を取っても、同窓会には所属できないでしょう。もし仮に所属できても、卒業アルバムに自分の写真は無いし、とても居心地が悪くなると思います。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "高校には「卒業アルバム」というグッズはありますが、一方で「入学アルバム」なんていうグッズは無いので、中退や転校した人についての記録は基本、卒業生たちのグッズには残りません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "なお、大学は卒業しても、卒業アルバムがあっても薄くて写真も少なかったり、大学によっては卒業アルバムが無いです。大学には修学旅行もなければ林間学校も臨海学校もないので、仮に卒業アルバムを作っても、いい写真がありません。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "理科系の大学だと、忙しくて、写真撮影のヒマがありません。高校と違って、大学の卒業アルバムでは自分で写真を撮りにいかないといけなかったりして、すごく面倒です。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "なるほど、名門私大などで付属高校の卒業生どうしの結束が固まるのも当然なシステムです。",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "中学卒業後の同窓会の入会資格について"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "部活同について、スポーツ系はプロも学生スポーツもルールは基本的に同じで、ほぼ1つのルールなので問題はありません。(なお、剣道では、小中学校では、「突き」が禁止されている。)",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 129,
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"text": "たとえば高校生の全国大会で上位の高校の試合出場選手が、プロにスカウト、もしくは大卒後にプロ前提で大学にスポーツ推薦で進学、なんて話もよく聞きます。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 130,
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"text": "問題は文化部です。評価の方針が、プロと高校全国大会コンクールで違います。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 131,
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"text": "例として、クラシック音楽系の部活で説明します。たとえば吹奏楽部や合唱部です(軽音楽は除く)。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 132,
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"text": "それらの音楽系の分野では、高校生の全国コンクールの評価の方針と、クラシック系プロ音楽家の方針と、特定の音楽スタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンの方針、ポップス系商業ミュージシャンに求められる方針など、それぞれ方向性が別々です。それぞれ、求める音楽性の違いがあります。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 133,
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"text": "このため、文化部の志望者は、志望する私立が、自分の入りたい文化部で過去にどのような方針を目指しているか、受験前にホームページなどで確認しておく必要があります。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 134,
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"text": "基本的には、",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
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"text": "を区別すれば、とりあえずは充分かと思います。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "中高一貫校に進学する場合、もし部の方針が自分の夢とズレていると、高校進学のさいに他の私立を受験して転校する手間が発生しかねないので、中学受験の時点で事前に部の方針を把握しておきましょう。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "部活内で技量の異なるごとにチーム分けをするという対応をしている学校もありますが(大会コンクールに出場できそうなメンバーのチームと、それ以外のメンバーのチーム)、しかし教室の数に限りがあるので、それらの対応にも限度があります。顧問やコーチといった人員の限度もあります。ただでさえ技量の異なる複数チームで大変なのに、その上、さらに方針の異なるチームまで用意してくれる高校は少ないでしょう。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
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"text": "美術のように個人で絵をかける分野なら、あまり問題ないでしょう。しかし、吹奏楽や合唱などのクラシック音楽系の部活は団体活動なので、そういった団体の方針が大いに自分の部活動の内容にも影響します。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
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"tag": "p",
"text": "また、音楽ほどではないですが、演劇部なども、一人では基本的に演劇できないので(パントマイムとか除く)、団体の方針の問題もあります。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "音楽や演劇は団体での活動なので、こういう学校の方針の個性も、志望校を決めるさいの重要な検討事項になります。けっして偏差値の高低だけに、とらわれないでください。",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "部活動の文化部の個性"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "現代の高校教育および大学受験は、「脱・ゆとり教育」の理念なので、もはや偏差値の高い普通科高校は、多様な進路を想定していません。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "例として、ミュージシャン志望者の小中学生を上げます。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "平成初期の「ゆとり教育」の時代なら、中高の検定教科書のレベルが低かったので、当時は音楽とかばかり練習していて学業をサボっても高校卒業できたかもしれません。しかし、「脱ゆとり教育」の令和の現代だと、検定教科書も難しく高度になっており、高校の進級などは、高偏差値の高校では、「ミュージシャン志望!」みたいな人にとっては少し進級・卒業が厳しいものがあります。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "たとえば、埼玉県の私学の進学校で栄東(さかえひがし)高校というのがあるのですが、この高校は授業が難しすぎ&早すぎとかで中退者(他の高校に転校することになる)をチラホラ出すので昔から有名です。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 146,
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"text": "平成になったころに栄東の付属中学が出来たのですが、その付属中学出身者ですら、ついていけずにチラホラと中退する人が出てきているようです。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "けっして栄東の理念は例外的なものではなく(栄東ほど極端ではないですが)、偏差値の高い高校の普通科は、程度の差はあれ、多くの高校が似たような発想です。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "なので、5教科を勉強するのに抵抗あってミュージシャン志望者な人は、中学受験や中学3年の(とりあえずの)進路相談の際、音楽科とか音楽コースなどのある高校とか探しましょう。美術とかも同様です。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "ほか、私立高校のなかには、学校の提供する教育が、(※wiki注: 国公立大や早慶マーチ進学などを目標に)比較的に特定の傾向の進路に片寄っていると思われる私学もあります。(※ だからといって公立高校だからといって多様な進路を想定しているわけではないので、勘違いしないように。)",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "私立高校は、多様な進路を想定して充実した教育を提供する義務はないのです。さすがに私学だからといって高卒後の専門学校進学や音大進学などを禁止する義務はありませんが、しかし、私立高校には高校必修ではない高校『音楽II』とかの授業の提供の義務はないのです。部活動で音楽系の部活をしようにも、私立高校のなかには部活の引退が早い(高校2年の半ばころで終わりの)高校すらあります。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "なので、ミュージシャン志望者みたいな子とその保護者の家庭は、子が私立中高一貫校を受験する際は、きちんと高校の授業まで調べましょう。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "さて、男子と女子で、けっこう、音楽科の私立学校の数が違います。女子高のほうが、そういう学科やコースのある私立高校が多いです。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "「自立した女性になりたい!」とか言って、女子高の用意した普通科以外の学科に父親のカネで進学する子供、いったい何を考えているのでしょうかね? たぶん何も考えられていないのでしょう。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "こういう女子高のコース・学科や女子大の学部・学科によくある、性役割にもとづいたと見られるコースのことを教育学の用語で「ジェンダー・トラック」と言います。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。「トラッキング」と言う理論を、アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱しました。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "わざわざ自発的に受験で自分が選んだ学校において良妻賢母的な女性向けのジェンダー・トラックを走っておきながら、なのに大学卒業後には過激派フェミニストみたいに男性憎悪をこじらせるのは、意味不明です。少し精神を病んでいるのかもしれません。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "もし、親がこのwikiにキレるなら、馬鹿親です。図星を言われて、「(高校の定期試験の勉強に抵抗感のある)(大学受験勉強にも抵抗感のある)おたくの子供さんは、そもそも高偏差値の大学進学には向いてない」と言われてキレる親は、バカ親です。子供を甘やかしてダメにしています。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "また、子どものほうも、「高校のテストなんて役立たないだろ!」とか「高校の数学なんてミュージシャンの役に立たないだろ!」とか言う子供は、そういう事いって論破したつもりなっている頭の弱い子供は、中高一貫校に進学しないほうが良いでしょう。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "世間の人は、あなたの親以外は、誰もその子供に「中高一貫校に進学しろ」なんて頼んでいません。なのに「○○なんて役立たないだろ!」と言って論破したつもりになって自己陶酔している人は、昭和ならともかく、令和の中学受験の一般化した現代では、もう中高一貫校に仮に入学できても、教師からも同級生からも相手にされないで(同級生は仕方なく相手している)、もしかしたら退学や公立への転校などをすすめられるでしょう。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "親がどんな教育理念がある馬鹿親か知りませんが、どうせ高校受験レベルの問題すらマトモに解けていない馬鹿親です。そんなバカ親のことを「頭いい」と思ってる子供もドラ息子、ドラ娘のバカ子供です。カネのチカラで塾で勉強しただけで中堅校の入試突破をできるのは中学受験の中堅校まで、です。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "そもそも、親がそんなに自身の教育理念に自身があるなら、自分で塾でも操業して経営すればいいのです。あるいは、参考書を自分で著作しても良いでしょう。それができないくせに、自分で手を動かさないくせに、高校受験レベルの問題も解けないくせに、教育理念を偉そうにバカ親に語られても、学校や世間の塾などにとっては迷惑です。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "ネットのある現在、どうしても子供がミュージシャンとかになりたくて学業をしたくないなら、家でそういう特殊な(けっして障害児の特殊学級と言う意味ではありません)中学・高校を調べてください。決して普通の中高一貫校に進学しないでください。迷惑というか、もはや相手にされないでしょう。",
"title": "普通科高校への一貫とそれ以外"
}
] | 中高共通の話題については下記リンク 中学受験・高校受験の共通のガイド (語学研修、エレベーターなど設備、) |
中高共通の話題については下記リンク
* [[中学受験・高校受験の共通のガイド]] (語学研修、エレベーターなど設備、)
== 高校で外部進学を募集しているか否か ==
=== 高校募集停止をした完全中高一貫校 ===
私立中学によっては、2010年以降、併設の高校では受験生の募集を廃止して、すべて中学からの内部進学組に切り替えた私立の学園も、少なからず、あります。
偏差値の高低にかかわらず、高校での外部からの募集停止をした高校が少なからずあります。これを「完全中高一貫校」と言います。
このような完全中高一貫校の場合、募集人員の数は、一般の中学と同程度です。(たとえば1学年あたり8学級など)
なお、公立の中高一貫校でも、高校では外部受験生の募集を停止している学校も、少なからず、あります。
=== 高校受験で外部募集をしている場合の中学の定員の傾向 ===
学校にも寄るのですが、併設されている高校を持っている中学校では(ほとんどの私立中学が高校を併設しています)、高校で受験生を応募している場合、併設の中学では学生数の定員が少なめです。
たとえば、高校がもし1学年あたり8学級なら、中学は1学年あたり4学級、のように中学の定員が高校の半分だったりします。
もし、進学先の中学でたくさんの同級生と触れ合いたい場合、こういった事も考慮事項になります。
4学級なら、まだマシです。2学級の私立中学もよくあります。
昭和に高校が設立されたあとに、平成になってから付属中学を設立した学園の場合に、よくこういう事例があります
学校の所在地がベッドタウンなどだと、建築基準法などの建築規制などで敷地の境界ちかくに立つ新校舎(今の中学校舎)は2~3階までしか建物を建築できない場合があり(たとえば学校周辺に住宅地がすでにあって、2~3階までしか建てられないとか)、そのため1学年あたり2学級が限界、という場合もあるのです。
それに、高さ以前に、そもそもの床面積が中学校舎は狭いという事例もよくあります。付属中学を過去の校庭の一部をつぶして校舎を建てなければいけないので、あまりに校庭をつぶすと体育の授業に支障が出るので、なので2学級が限度、というわけです。
== コース制のある私立中学 ==
=== グローバルコースやサイエンスコースなど ===
2020年代の今時の私立中学には、学科のような「コース」制または「クラス」制を導入している私立中学もあります。よくあるのは、理系重視の特別授業があったり普段の理系授業もレベルの高い「サイエンス」コースと、英語重視で国際交流人材を目指した教育をうたっている「グローバル」コースです<ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20191112_1485651.html/3 NEWSポストセブン 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00] 2024年02年14日に確認.</ref>。
なお、けっして生徒全員がどちらかのコースに所属するのではなく、大多数の生徒は「一般」コース<ref>※ たとえば芝浦工大柏中学がそのようだ。(本当にそうか当wikiでは責任は取れませんので自己責任で) </ref>または「文理」コースといった文理共通のコースに所属するようです。(※ 情報不足で未確認です。詳しく知りたければ、各自で調査してください)
また、一般コース以外は、上記グローバルまたはサイエンスの片方のコースしかない私立中学もあるので、勘違いしないように<ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20191112_1485651.html/3 NEWSポストセブン 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00] 2024年02年14日に確認.</ref>。
昭和の昔は無かったシステムであり、2010年以降に最近に増えたシステムのようなので、当wikiでは説明しきれません。よって、下記の情報は、間違っている可能性、もしくは当てはまらない可能性があります。なので、正確な情報については各中学のパンフレットを見るなり、説明会で聞くなりしてください。
選択授業とは違うので、入試などで関連教科の成績が良くないと、そのコースに入れないようです。(たとえばサイエンスコースなら、入試や定期テストなどの理科や算数・数学の成績が特に良くないと、そのコースに入れない。)
また、学科ではないので、3年間同じコースとは限りません。
「コース」ではなく「クラス」と呼んでいる中学もあるように、学級は一般クラス(または一般コース)とは分かれます。
=== 難関大コースなど ===
上記とは別に、学力の高いコースとして、1部のクラスで「難関大コース」とか「アドバンスドコース」だとか「特進コース」みたいな名前の、将来的な大学受験対策を意識した、優等生向けの勉強量の多いコースを設置する中学もあります。
決して一つの中学校に「難関大コース」と「アドバンスド」コースがあるわけではなく、たいていは一つの中学に優等生むけコースは一つなのが現状です。
女子校にはこういう種類の成績分けのコースは少なく、共学や男子校で比較的に見られるコースです<ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20191112_1485651.html/2 『私立中学に広がるコース制 小6受験生に選択させる是非は』 2019.11.12 07:00 ] </ref>。
原理的には 「グローバル×特進」みたいな組み合わせ型のコース分けの設置の可能性も考えられますが、しかし2024年の現状、そういう話を聞きません。組み合わせ型コース(← wikiで勝手に命名)は、教員の授業準備の負担がさらに増えるので(もしくは学費が増える)、たぶんそこまで細かくコース分けする中学はあってもごく少数だと思います。
== 都会の中高一貫校の設備の共有 ==
=== 基本 ===
都会の私立の中高一貫校の中学生が使う設備は、そもそも高校と共有されているのが普通です。そのため、あまり中学生の人数を増やせません。完全中高一貫校であってもなくても、です。どちらの一貫校であっても、普通の中学校よりも、生徒の定員数は減ります。完全中高一貫校にして中学生の人数が不完全一貫校よりも多めの場合(たとえば同規模の不完全一貫校が4学級で、同規模の完全中高一貫校が6学級だとする場合)、そのぶん高校の定員が完全中高一貫校では減っているわけです(昔は高校が8学級だったのが6学級に減ったりした)。
たとえば中高一貫の中学生が使う理科室は、同じ中高一貫の高校生が使う理科室と同じ部屋です。家庭科室や美術室や音楽室や体育館や柔道場も水泳プールなども同様です。
中学側の校舎に簡易的なコンピュータ室などがある場合もありますが、簡易的なものです。(コンピュータは全学年が頻繁に使うので、中学側でも別途、用意されていることも多い。)
いっぽう、音楽室は防音などの設備が必要だし、ピアノなどの楽器も共有するので、簡易的な音楽室と言うのは難しく、したがって、おそらく高校側と音楽室が共有になる可能性が高いでしょう。
田舎などで公立の中高一貫校を21世紀になって新築された学校などは別かもしれませんが、少なくとも都会の私立の中高一貫校などは普通、設備が中学と高校とで共有されており、同じ敷地内に私立中学と私立高校があります。
歴史的には多くの場合、戦後になって作られたような首都圏の私立の中高一貫校は、もともとは私立高校だけだったのが、あとから付属の中学が追加されたという形であるので、そのぶん敷地はせまいのです。
なお、戦前からあるような古い私学だと、wikipediaなどで調べると1948年に中高が一緒に設立されている例も多いですが、しかしこれは戦後の学制改革にともなう再申請に過ぎず、戦前の制度では高校または中学のどちらかが先行して設立されているのが実態です。
また、この事から、都会の私立中高一貫校では理科室やら家庭科室などを特別に他校よりも多く使った授業は、少し実施が難しくなります。
だから普通、都会の中高一貫校にたとえば理数科とかの学科で実験の授業の多い特色の学科なんて、ありません。
仮に一貫校になる前の過去の高校だけだった昭和の時代にそういう実験の多い授業をしていた歴史があったとしても、そのあと一貫校になった現代では実験の多い特別授業みたいなのは廃止されたままでしょう。
せいぜい、中高一貫校では、中学だけにある技術家庭科の技術分野のための技術実習室が追加されているくらいです。
食堂なども当然、共有されているので、中高一貫校での食事は高校に準じたものになります。つまり、現代の都会の私立の中高一貫校では普通、給食はありません。なので、お弁当を中学時代から持っていく事になるでしょう。
校舎だけでなく、校庭も共有です。これはつまり、運動部も、中学と高校とで設備を共有することになります。ただし、1学年あたりの生徒が中高一貫校は少ないため、あまり問題は無いかもしれません。また、都会の私立は、そもそも中高一貫校かどうかにかかわらず、校庭の敷地自体が元からせまいという事を覚悟する必要があります。
都会の私立だからって、決して何でも理想的な環境というわけではありません。広い敷地が必要なら本来なら地方に移転する必要があるし、なのに都心にある以上は設備に何らかの制約があります。
なお、生徒会室も中高で共有です。なぜなら学校行事は校内の中学高校とで協調して行う必要がありますので。
こういう情報はパンフレットを見ても書いてませんし、学校説明会でもそこまで説明してくれませんので、文化祭などである程度は志望校を見学してください。もし、普通の公立中学のような校舎を予想して中高一貫校に進学してしまうと、入学後に予想とのギャップ(差)を感じることになってしまいます。
たとえ昇降口(しょうこうぐち)はもし中学と高校とで別々だとしても、中高一貫校の校舎内部では中学棟と高校棟がつながっているのが一般的です。
=== 給食室が無い件、つまりお弁当持参 ===
お弁当の件は、親視点で見れば、私立中に進学させると、月曜から土曜の毎日、弁当を用意することになります。
子どもがお弁当を持っていって通学のために家を出るということは、つまり、毎日、母親はもっと早く起きるわけです。
具体的には、母親が専業主婦になるという意味です。ジェンダー差別どうこうといった机上の議論には意味がありません。多くの私学生徒の保護者は現にそうしています。両親ともフルタイムで共働きで勤務するというのは、現実的には私立進学の家庭では無理です。
一部の都会の外資企業やIT企業などが、「女性にも働きやすい職場」みたいな事を言って、さぞフルタイムで働いていて活躍しているかのように女性社員を宣伝しますが、ああいうのは広告塔ですので、真に受けないようにしましょう。ずいぶんと日本国民をなめた宣伝をしています。
子が都会の私学に進学するという事の意味は、母親が専業主婦またはパート主婦などの非正規雇用といった、それに近くなるという意味です。
じっさい、既婚女性に限った統計ではないのですが、書籍『検証・学歴の効用』にある情報によると、少なくない女性が、正規雇用よりも非正規雇用を好んでいる実態がある事が、研究者の佐藤博樹・小泉静子の研究(2007)によって解明されているとの事です<ref>濱中淳子 著『検証・学歴の効用』、勁草出版、2013年6月25日 第1版 第1刷 発行、P.114</ref>。
子どもを私立に進学させようと思ってる親は、そこまで考えましょう。
公立中学なら給食があるので、せいぜい土曜日・日曜日(部活で出る日)だけのお弁当を用意すれば済みますが、
しかし私立の場合、学校によっては、月曜から土曜日までの毎日、お弁当を用意することになります。
私立にも食堂の用意されている学校はありますが、混雑しているという現実を理解してください。混雑を嫌った生徒の家庭が弁当を持ってきてくれているので、なんとか、食堂でもサバける状態です。
お弁当を早く食べ終われば、そのぶん、自習室や図書室などでお勉強したり読書したりと、有意義な時間を過ごせるわけです。
学校によっては、校外の近隣に食堂の無い場所もあります。(校舎のために広い敷地が必要なので、やや僻地に校舎があるのが普通です。)
校内の食堂か、お弁当か、その2つが現実的な選択肢です。
私立の女子中高とかで、「自立した女性」うんぬんの教育理念をうたっている学校がありますが、しかしそういう学校に子どもを通わせて満足な成績で卒業させるためには、母親は専業主婦またはそれに近いパート主婦にならざるを得ないというのが現実です。
戦前や、戦後でも戦後の学制改革の1948年(なお終戦は1945年)から20年以内の1968年までなら、そういう事に気づかなくても仕方ないかもしれませんが、しかしもう2020年以降であり戦後70以上たってるので、そろそろ実情に気づきましょう。
まあ、つまりそういう私学女子校の言う「自立した女性」というのは建前や努力目標に過ぎず、実際は少し割り引いて考える必要があります。「わが校は、卑屈な女性を育てたりはしていないつもりです」くらいの意味合いでしょう。
よく、育児の評論とかで、「子育てで母親が大変なのは、子が赤ん坊や幼児のうちだけ」みたいな知ったかぶりを言う人がいますが、実際には、私立中学や公立でも高校に進学すると、母親の仕事は増えます。なお、公立でも中3とか高校3年とかは受験のことも親も一緒に調べないといけません。
子が幼稚園・保育園や、小学生(ただし公立)のうちだけ、母親の負担が軽くなるだけです。
お弁当用のほぼ調理済みのウィンナーとかハンバーグとかスーパーに売ってますし、あるいは出来合いの総菜を弁当箱に詰めるとか、そういうので十分に対処できますが、それでも毎日、弁用をつくる事になりかねません。
=== 図書室 ===
図書室も保健室も、中高一貫校では普通、共有されています。
中高一貫校の図書室では、中学1年生でも高校3年生のための大学1年レベルの本を借りられてしまうので、進学後は自分で読書レベルを調節しましょう。また同様、いつまで経っても高校になっても中学レベルの読書をしないよう、気をつけましょう。
学園がパンフレットなどの宣伝で「わが校は蔵書(ぞうしょ)4万冊!」と言っても、それは中高あわせて4万冊だったりするので、単純計算では 中学レベル2万冊 + 高校レベル2万冊 です。
都会の私立の中高一貫校の図書室はともかく狭い(せまい)ので、いちいち受験勉強用の参考書とか都会私立の図書室には置いてないです。なので、自分のカネで参考書を買いましょう。
大学受験の赤本(過去問集のこと)なんてのは都会の中高一貫のせまい私立中高の図書室には置いてなかったりして、仮に過去問集がおいてあるとしたら進路指導室とかです。
地方の私立の図書室がどうかは知りません。
なお読書について、進学校に入ると普段の学業で忙しく、あまり教科書・参考書以外の読書は出来ません。なので図書室は、せいぜい調べ学習などで、ときどき図書室を使うくらいです。
あるいは、部活動などで、所属している部活のスポーツや芸術の教本を読んだりして勉強したりするくらいでしょう。なので、中高で図書室が共有されていても、何の不都合もありません。
学校の図書室の利用法は、どちらかというと、蔵書を眺める(ながめる)ことにより、どういうレベルの本を中高の学生が読むべきかを把握できるのが利点です。
つまり、世間の書店には、下らない、どうしようもない書籍も置いてあります。図書館の司書や図書室長が、選書のさい、そういうしょうもない書籍を購入しないように自校の学校図書室を管理しているわけです。
公立中学の場合、司書がいない中学も多いので(教員が図書室の管理を兼任していたりする)、選書は他校や業界団体(学校図書館・図書室などの団体の推薦図書など)の後追いです。
文化祭などで中学進学前に私学などの図書室を見る機会があれば、こういう所にも注目すると良いでしょう。
だいたい、大学でも学部課程(大学1~4年)も修士課程も博士課程も図書館は基本的に一緒です。(ただし、研究室に別途、研究室内で共用の本が置いてある場合もある。もっとも、高校には研究室が無いので、関係ない話です。)
(ただし、高校のコンピュータ室に若干のパソコン練習マニュアル本が置いてあったりするが、些末(さまつ)な例外なので省略する。いちいち図書室に置くと管理的な事務が面倒だし、かといって生徒全員に与えるほどでもない書籍なので、コンピュータ室にそういう本が置いてあったりする場合もあるのです。なお、理科室など他の部屋には、そういう書籍は無いのが普通です。)
;司書と私学の図書室
ほか、私学と公立の中学校で、図書委員の仕事内容が微妙に違います。なぜなら私学の図書室には、司書または専任の職員がいます。なので、私学では図書室の運営の細かい仕事は司書などの仕事です。
公立の小中学では、図書室の運営は、教員と、図書委員会の仕事です。昼休みや放課後などの図書室のカウンター業務などの管理を、図書委員が持ち回りで任されたりするわけです。
いっぽう、私立の小中の図書委員の仕事は、私学によっては生徒がカウンター業務を任される場合もあるかもしれませんが、どちらかと言うと書架整理や(これは公立でもやります)、図書室からの各クラスへの広報の下働きや、図書室主催のイベントの手伝い、図書室の掃除という美化、などです。
ただし、現代の私学では図書室の運営が電子化されていたりで貸出管理に専用ソフトウェアを使っていたりするので、生徒では管理が難しいので、もしかしたら私学では生徒によるカウンター業務は少なくなっているかもしれません。
いっぽう、公立の小中では生徒でも管理できるように、紙の図書カードを今でも使っている学校もあります。本の裏見開きにある図書カードに手書きで名前を書いて図書室カウンターに提出するアレです。
なお、公立でも高校になると、さすがに司書がいるはずです。このため、公立高校の教育には税金が多めに掛かっています。
公立の小中学校で司書がいる地域は、ごく一部です。また、もし名目上の司書が公立の中高にいても、必ずしも普段から出勤しているとは限りません。
教育学の専門書『よくわかる教育課程』によると、多くの公立小中高では司書がいないのが実態です。1997年の学校図書館法の改正で、法律上は司書の配置が義務化されましたが、しかし実態は学級担任などが司書を兼任しており<ref>田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P83</ref>、とても実態は司書と呼べるものではありません。
なお、公立学校の司書は、都道府県の職員という地方公務員であり、他の図書館に転勤したりもします。公立高校司書は、教員とは異なります。
また、公立中学などは司書がいないため、図書室の開館時間が短めである、という特徴もあります。
昼休みや放課後以外は、カギが掛かっていて、その時間は利用不可能、といった場合もあります<ref>田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P82</ref>。
=== 温水プールがあるとは限らない ===
私立だからといって、水泳授業や水泳部のつかうプールが、必ずしも屋根付きの温水プールとは限りません。
;冷水プールの場合
たとえば、慶応義塾中等部は、屋外の屋根なしの普通の学校プール(「冷水プール」と言います)です。[https://www.kgc.keio.ac.jp/sisetu.html 慶應義塾中等部] [https://www.jukenlab.net/entry/school-pool 『夏だ!プールがある学校・ない学校【温水・冷水】 - 中学受験の下書き』]
早稲田実業も冷水プールです。甲子園などによく出るので、なんとなく体育設備が豪華そうに錯覚しますが、勘違いしないように。
;プール無しの場合
早稲田大学高等学院に至ってはプール無し。外部のプールを借りるのか、それともプール授業が無いのかどうかは知りません。
私立だからって必ずしもプールがあるとは思わないように。
また、早稲田グループのように、同じ系列の中高だからって、必ずしもプールがあるか無いかの方針が一致しているわけではありません。
他大の付属校でも、青山学院大学の付属校の場合、たとえば東京の青山学院中等部は温水プールあるのに、神奈川の青山学院横浜英和はプール無しです。埼玉の青山学院浦和ルーテルは温水プールありです。このように、プール設備の有無の方針は一貫していません。
早稲田実業のように、高校が甲子園の強豪校の私立だからといって、必ずしもプールがあるとは限りません。
ほか、受験校として日本トップ級の開成中高もプール無い。
== 進学校のメリット ==
受験する中学が進学校の場合、下記のようなメリット(利点)があるでしょう。
* 一般の公立学校より荒れにくい
* 6年間という長い時間で(普通は高校が併設されているので「6年間」)、のびのびと将来の進路を決められる
* それぞれの学校にはっきりとした「建学の精神(教育理念)」がある
* 一生ものの知識を身に付けられる
* OB・OG(卒業生)との交流ができる
[受験前]
* 勉強量が受験しない人と比べて圧倒的に増える
* 少なくとも友達と遊ぶ時間が減る。受験年度~受験直前は友達と遊べなくなる
* 経済的負担が大きい
* ますます勉強嫌いになる可能性がある
[受験後]
* 授業がハイレベルであるゆえ、ついていけなくなると復帰しにくい
* 実技科目の授業が少ない場合がある(※要出典。指導要領違反では?)
* 難関大学受験が前提なので、本当に行きたい大学に行けない、就職できないなど、自分の歩みたい道を歩みにくくなる可能性がある
* テストが多い場合もある
* 中学3年生ごろ、公立中学校ではふつう、高校受験に熱が入るが、中高一貫校では、それがないので中だるみが起きてしまうことがある
* 通学時間が長くなることがある
* 学費が高い
* クラスメイト(やその保護者)がある程度偏っている
* 公立小学校の友達と{{ruby|疎遠|そえん}}になる
== 中学卒業後の同窓会の入会資格について ==
=== 基本 ===
私立の中高一貫校の中学に進学した場合で、中学卒業の時点で他の私立高校の学園に転校した場合は、それでも出身中学の同窓会に入会できる私立中学もあれば、いっぽう同窓会に入会できない私立中学もあります(高校卒業者の同窓会しかない場合もあります)。
高校進学後に後から同窓会の存在に気付いても、もう二度と私立の中学には再入学のしようが無いので、あらかじめ同窓会の入会資格については中学受験時に保護者だけでも理解しておいたほうが良いと思います。
その私立中学が大学の付属校の場合でも、たとえその学園の大学を卒業しても、付属の中学高校の同窓会には入会できない中学もあります。
なので、基本的には、中学受験をする場合は、なるべく高校卒業まで6年間、その学園に在籍する予定を前提にしたほうが安全です。
=== 大学の同窓会と高校の同窓会の違い ===
なお、大学の同窓会イベントと、高校の同窓会イベントは、まったくイベント内容が違います。
大学・高校にもよりますが、大学には「1年3組」みたいなクラスがありません。そのためか、同窓会も、大学では、学年ごとの集まりと言うのは基本、ありません。
このため、同じ学年の者同士が集まる会合というのが、大学の同窓会では基本ないか、あっても珍しいです。
マンガとかだと、大学の同窓会で旧友と出会ったりしますが、あんなのはウソ、大げさ、まぎらわしい、です。しょせん、マンガはマンガ。
一般に大学の同窓会イベントに出ても、そこで会う相手は学年も違う、知らない人ばかりです。
学科単位で同窓会を行うか、それともゼミ単位で同窓会を行うかは大学ごとに異なります。学科単位で同窓会を行うシステムの大学の場合、同窓会に出ても恩師に合えない場合があります。
卒業後から十数年後に大学の学科単位の同窓会に出ても、ここ数年その大学で元気の教員をしている教授しかいなくて、十数年前に自分が卒業したときの恩師は引退してたり他大に移籍してたりしてもう同窓会にいなかったりします。
なので、大学の同窓会に出る目的は、どちらかと言うと、人脈づくりです。もし卒業後に自分の昔の旧友に合いたいなら、高校の同窓会に出て高校の同窓生に合うしかありません。なので、大学時代の連絡先を知らない同級生とは、もう二度と人生では会えない可能性が高いのです。
そのため、ハッキリ言って大学側も、あまり熱心に卒業生を同窓会イベントに誘いません。
そもそも、校舎が複数個ある大学の場合、たとえば東京と埼玉と千葉に校舎のある大学なら、たとえば自分が埼玉や千葉の校舎を卒業しても同窓会の開催の場所が東京の校舎だったりして、校舎にすら懐かしい思い出も何もありません。
さらに下手したら、その東京の校舎すらも卒業後に移転してたりして、元の場所には別の会社のビルが建ってたりして、もはや何も思い出はありません。
よく、医療マンガとかで、天才的な外科医が大学(東大みたいな権威の架空の国立大学)の同窓会で医学部時代の旧友と出会って・・・みたいなシーンがありますが、東大や医学部の同窓会はどうか知りませんが、一般的な大学の同窓会では、同じ学年の旧友とは、あまり会えません。そもそも大学時代の研究室の教授のような恩師も、同窓会イベントに出ても、いなかったりする場合が多いです。
高校の同窓会だと、学年ごとに開かれるので、卒業後の十年後や二十年後の同窓会でも、自分の学年の存命の恩師が同窓会に出席したりもします。しかし大学は上述したようにクラスが無いし、大学には担任もいないので、そういう恩師の出席するイベントもないのが普通なのです。
よく、学歴の利益についての談義などで、私学の早稲田や慶應の大卒など高い偏差値の大学の学閥(がくばつ)について、付属校から進学してきた人と、大学で外部の高校から進学した人とでコネが違って学閥(がくばつ)がどうのこうのとか出版界ではよく評論されますが、早慶の大学の同窓会のシステムがどうなってるかは当wikiは知りませんが、まあ、一般的な大学の同窓会のシステムを考えれば、大学の卒業生にろくな連帯感とか無いのも当然です。
そもそも大学教員も、同窓生との交流とかよりも研究を優先したい人達なので、同窓会イベントには興味ない人たちです。
まあ、名門大学の卒業生で、付属高校の出身者どうしの結束が固まるのも当然です。付属校の学閥を非難する世間の人は、なぜこの程度のことに気づかないのか。
なので、高校の同窓会には必ず所属できるよう、高校は中退などせず、卒業したほうが得です。中退して高卒認定試験を取っても、同窓会には所属できないでしょう。もし仮に所属できても、卒業アルバムに自分の写真は無いし、とても居心地が悪くなると思います。
高校には「卒業アルバム」というグッズはありますが、一方で「入学アルバム」なんていうグッズは無いので、中退や転校した人についての記録は基本、卒業生たちのグッズには残りません。
なお、大学は卒業しても、卒業アルバムがあっても薄くて写真も少なかったり、大学によっては卒業アルバムが無いです<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q126767667 『大学って卒アルあるのですか?』 2005/11/10 21:58 ]</ref><ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1182578476 『大学の卒業アルバムってないのですか?』2012/3/1 21:46 ]</ref>。大学には修学旅行もなければ林間学校も臨海学校もないので、仮に卒業アルバムを作っても、いい写真がありません。
理科系の大学だと、忙しくて、写真撮影のヒマがありません。高校と違って、大学の卒業アルバムでは自分で写真を撮りにいかないといけなかったりして、すごく面倒です。
なるほど、名門私大などで付属高校の卒業生どうしの結束が固まるのも当然なシステムです。
== 部活動の文化部の個性 ==
部活同について、スポーツ系はプロも学生スポーツもルールは基本的に同じで、ほぼ1つのルールなので問題はありません。(なお、剣道では、小中学校では、「突き」が禁止されている。)
たとえば高校生の全国大会で上位の高校の試合出場選手が、プロにスカウト、もしくは大卒後にプロ前提で大学にスポーツ推薦で進学、なんて話もよく聞きます。
問題は文化部です。評価の方針が、プロと高校全国大会コンクールで違います。
例として、クラシック音楽系の部活で説明します。たとえば吹奏楽部や合唱部です(軽音楽は除く)。
それらの音楽系の分野では、高校生の全国コンクールの評価の方針と、クラシック系プロ音楽家の方針と、特定の音楽スタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンの方針、ポップス系商業ミュージシャンに求められる方針など、それぞれ方向性が別々です。それぞれ、求める音楽性の違いがあります。
このため、文化部の志望者は、志望する私立が、自分の入りたい文化部で過去にどのような方針を目指しているか、受験前にホームページなどで確認しておく必要があります。
基本的には、
* 部活動で全国コンクール上位を目指す方針か、
* その他(学校ごとに異なる)か、
を区別すれば、とりあえずは充分かと思います。
中高一貫校に進学する場合、もし部の方針が自分の夢とズレていると、高校進学のさいに他の私立を受験して転校する手間が発生しかねないので、中学受験の時点で事前に部の方針を把握しておきましょう。
部活内で技量の異なるごとにチーム分けをするという対応をしている学校もありますが(大会コンクールに出場できそうなメンバーのチームと、それ以外のメンバーのチーム)、しかし教室の数に限りがあるので、それらの対応にも限度があります。顧問やコーチといった人員の限度もあります。ただでさえ技量の異なる複数チームで大変なのに、その上、さらに方針の異なるチームまで用意してくれる高校は少ないでしょう。
美術のように個人で絵をかける分野なら、あまり問題ないでしょう。しかし、吹奏楽や合唱などのクラシック音楽系の部活は団体活動なので、そういった団体の方針が大いに自分の部活動の内容にも影響します。
また、音楽ほどではないですが、演劇部なども、一人では基本的に演劇できないので(パントマイムとか除く)、団体の方針の問題もあります。
音楽や演劇は団体での活動なので、こういう学校の方針の個性も、志望校を決めるさいの重要な検討事項になります。けっして偏差値の高低だけに、とらわれないでください。
== 普通科高校への一貫とそれ以外 ==
現代の高校教育および大学受験は、「脱・ゆとり教育」の理念なので、もはや偏差値の高い普通科高校は、多様な進路を想定していません。
例として、ミュージシャン志望者の小中学生を上げます。
平成初期の「ゆとり教育」の時代なら、中高の検定教科書のレベルが低かったので、当時は音楽とかばかり練習していて学業をサボっても高校卒業できたかもしれません。しかし、「脱ゆとり教育」の令和の現代だと、検定教科書も難しく高度になっており、高校の進級などは、高偏差値の高校では、「ミュージシャン志望!」みたいな人にとっては少し進級・卒業が厳しいものがあります。
たとえば、埼玉県の私学の進学校で栄東(さかえひがし)高校というのがあるのですが、この高校は授業が難しすぎ&早すぎとかで中退者(他の高校に転校することになる)をチラホラ出すので昔から有名です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=GPaxiPKoGWM 『栄東 「滑り止めの星」が志願者数日本一になったわけ』2024年01月15日 ]</ref>。
平成になったころに栄東の付属中学が出来たのですが、その付属中学出身者ですら、ついていけずにチラホラと中退する人が出てきているようです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=GPaxiPKoGWM 『栄東 「滑り止めの星」が志願者数日本一になったわけ』2024年01月15日 ]</ref>。
けっして栄東の理念は例外的なものではなく(栄東ほど極端ではないですが)、偏差値の高い高校の普通科は、程度の差はあれ、多くの高校が似たような発想です。
{{コラム|周辺高校の調査で分かる私立中高の実態|
パンフレットなどで高偏差値で「国立 ○○人 現役合格」とかうたってる私立の中高一貫校の、その(私立ではなく)近隣の公立高校の出身中学について、その公立高校のパンフレットなどでその高校生の出身中学を見ると(よく生徒の出身中学がパンフレットに書いてある)、しばしば、'''私立中学出身の公立高校生'''がいます。要するに、私立中学に入ってみたけど、私立の教育方針に合わなかった人が、高校受験をして他校に移っているのです。これが現実です。
教育熱心な親向けの雑誌とかにある私立中高の紹介などを見ると、あたかも文武両道の理想的な学園としてその私立を宣伝したたりするかもしれませんが、しかしそんな中高なんて、'''現実には無い'''のです。高校の例ですが、たとえば埼玉の県トップ公立高校である県立浦和(うらわ)高校ですら、部活と勉強の両方をがんばる文武両道なら、大学受験で'''浪人'''が前提だという実情が知られていますす<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P17</ref>。
スポーツも勉強も芸術も何でも日本トップクラス集団にできる人なんて、いません。そういう何でもできる人は、マンガとか物語の中だけです。私立中学に入ってみて、スポーツの弱い中学でスポーツの得意な子が、高校には内部進学せずに高校受験で他校を受験して、より強いスポーツ強豪校に移る、なんて事もあるのが実際です。
まあ、中学受験生がそこまで調べる必要は無いでしょう。それよりも受験勉強に時間を使うべきだし。
ただし、だからといって受験産業の宣伝広告を、真に受けてはいけません。
高偏差値で「国立 ○○人 現役合格」とか言ってる私立中高のパンフレットにある「充実した部活」とか学園によっては「芸術祭」とかの校内伝統行事がどうこうという宣伝は、あれは単に「メンタルケアのための息抜きの時間もありますよ~」ぐらいの意味合いです。「受験勉強みたいなのが6年間続くので、それでウツ病とかならないように、部活とか芸術活動とかも用意していますよ~」くらいの意味合いです。けっして、部活で関東大会(関東地方の場合)とか全国大会とかを目指す人のための部活ではないのですし、本格的に芸術クリエイターを育成するわけでもないのです。実際、そういう高偏差値の私立中高の高等部の部活動は、周辺の弱小の公立高校にすら、さまざまな部活の地区予選で敗退するのが実態です。
部活と学業の文武両道をうたってて実際に両方で好成績をあげている私立中高は存在しますが、生徒にも「スポーツも勉強も平均以上にできる子」ならよくいますが、さすがに両方ともトップクラスではありません。資金力の絶大な早慶マーチとか学習院などの付属中高ですら、そういう両方トップクラスの生徒の存在の話を聞かないのは何故でしょうか。
}}
なので、5教科を勉強するのに抵抗あってミュージシャン志望者な人は、中学受験や中学3年の(とりあえずの)進路相談の際、音楽科とか音楽コースなどのある高校とか探しましょう。美術とかも同様です。
ほか、私立高校のなかには、学校の提供する教育が、(※wiki注: 国公立大や早慶マーチ進学などを目標に)比較的に特定の傾向の進路に片寄っていると思われる私学もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=SihtcuPrE2E 『オススメできない私立高校 ここはやめろ!』 2023/09/19 ]</ref>。(※ だからといって公立高校だからといって多様な進路を想定しているわけではないので、勘違いしないように。)
私立高校は、多様な進路を想定して充実した教育を提供する義務は'''ない'''のです。さすがに私学だからといって高卒後の専門学校進学や音大進学などを禁止する義務はありませんが、しかし、私立高校には高校必修ではない高校『音楽II』とかの授業の提供の義務はないのです。部活動で音楽系の部活をしようにも、私立高校のなかには部活の引退が早い(高校2年の半ばころで終わりの)高校すらあります。
なので、ミュージシャン志望者みたいな子とその保護者の家庭は、子が私立中高一貫校を受験する際は、きちんと高校の授業まで調べましょう。
さて、男子と女子で、けっこう、音楽科の私立学校の数が違います。女子高のほうが、そういう学科やコースのある私立高校が多いです。
「自立した女性になりたい!」とか言って、女子高の用意した普通科以外の学科に父親のカネで進学する子供、いったい何を考えているのでしょうかね? たぶん何も考えられていないのでしょう。
こういう女子高のコース・学科や女子大の学部・学科によくある、性役割にもとづいたと見られるコースのことを教育学の用語で「ジェンダー・トラック」と言います<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.131</ref>。
ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。「トラッキング」と言う理論を、アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱しました<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。
わざわざ自発的に受験で自分が選んだ学校において良妻賢母的な女性向けのジェンダー・トラックを走っておきながら、なのに大学卒業後には過激派フェミニストみたいに男性憎悪をこじらせるのは、意味不明です。少し精神を病んでいるのかもしれません。
もし、親がこのwikiにキレるなら、馬鹿親です。図星を言われて、「(高校の定期試験の勉強に抵抗感のある)(大学受験勉強にも抵抗感のある)おたくの子供さんは、そもそも高偏差値の大学進学には向いてない」と言われてキレる親は、バカ親です。子供を甘やかしてダメにしています。
また、子どものほうも、「高校のテストなんて役立たないだろ!」とか「高校の数学なんてミュージシャンの役に立たないだろ!」とか言う子供は、そういう事いって論破したつもりなっている頭の弱い子供は、中高一貫校に進学しないほうが良いでしょう。
世間の人は、あなたの親以外は、誰もその子供に「中高一貫校に進学しろ」なんて頼んでいません。なのに「○○なんて役立たないだろ!」と言って論破したつもりになって自己陶酔している人は、昭和ならともかく、令和の中学受験の一般化した現代では、もう中高一貫校に仮に入学できても、教師からも同級生からも相手にされないで(同級生は仕方なく相手している)、もしかしたら退学や公立への転校などをすすめられるでしょう。
親がどんな教育理念がある馬鹿親か知りませんが、どうせ高校受験レベルの問題すらマトモに解けていない馬鹿親です。そんなバカ親のことを「頭いい」と思ってる子供もドラ息子、ドラ娘のバカ子供です。カネのチカラで塾で勉強しただけで中堅校の入試突破をできるのは中学受験の中堅校まで、です。
そもそも、親がそんなに自身の教育理念に自身があるなら、自分で塾でも操業して経営すればいいのです。あるいは、参考書を自分で著作しても良いでしょう。それができないくせに、自分で手を動かさないくせに、高校受験レベルの問題も解けないくせに、教育理念を偉そうにバカ親に語られても、学校や世間の塾などにとっては迷惑です。
ネットのある現在、どうしても子供がミュージシャンとかになりたくて学業をしたくないなら、家でそういう特殊な(けっして障害児の特殊学級と言う意味ではありません)中学・高校を調べてください。決して普通の中高一貫校に進学しないでください。迷惑というか、もはや相手にされないでしょう。
== 参考文献 == | 2024-01-08T06:51:03Z | 2024-03-16T02:31:47Z | [
"テンプレート:Ruby",
"テンプレート:コラム"
] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/%E5%AD%A6%E5%9C%92%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%89%B9%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%81%8C%E3%81%84 |
38,916 | 中学校保健体育/薬物乱用の社会的な影響 | 薬物を乱用すると、周りの人や社会にどのような影響がありますか?
薬物乱用による生活の崩壊・薬物乱用による犯罪や事故
※薬物乱用者が周りの人にどのような影響を与えるかについて話し合ってみましょう。
薬物乱用から心の健康に問題を抱えていると、いらいらしたり怒りっぽくなったりします。そして、家族や他の人に暴力を振るったり、物を壊したりします。それが原因で友達が離れていき、家族も離れ離れになっていきます。また、やる気や責任感を失って学校を欠席したり、仕事を休んだりして、正常な社会生活を送れなくなります。
★覚醒剤乱用者の証言
証言1は公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。
証言2も公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。
※薬物乱用が犯罪や事故にどうしてつながりますか?
薬物を乱用すると、自分を見失ってしまい、「自分が狙われている。」「自分の体から虫がたくさん出てきた。」のような幻覚を見てしまいます。その結果、性的な非行・暴力行為・殺人・放火などの恐ろしい犯罪につながります。また、薬物の欲しさに、窃盗や恐喝などの犯罪も起きています。
さらに、薬物乱用は死傷者を出すような大事故にも関わっています。そのため、薬物の乱用は法律で禁止されています。薬物所持と乱用の両方で罰せられます。毎年、世界中で約16万人が薬物使用で死亡しています(2016年)。薬物乱用は世界中の大きな問題となっており、どの国でも法律で厳しく禁止されています。
このように、薬物乱用は個人の体と心の健康だけでなく、家族・学校・地域社会に深刻な影響を受けます。
★社会への影響
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] | 薬物を乱用すると、周りの人や社会にどのような影響がありますか? | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>薬物乱用の社会的な影響
薬物を乱用すると、周りの人や社会にどのような影響がありますか?
== キーワード ==
薬物乱用による生活の崩壊・薬物乱用による犯罪や事故
== 薬物乱用による生活の崩壊 ==
※薬物乱用者が周りの人にどのような影響を与えるかについて話し合ってみましょう。
薬物乱用から心の健康に問題を抱えていると、いらいらしたり怒りっぽくなったりします。そして、家族や他の人に暴力を振るったり、物を壊したりします。それが原因で友達が離れていき、家族も離れ離れになっていきます。また、やる気や責任感を失って学校を欠席したり、仕事を休んだりして、正常な社会生活を送れなくなります。
★覚醒剤乱用者の証言
{| style="border:2px solid #E18672;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#E18672" |証言1
|-
| style="padding:5px" |僕は今から1年前に初めて覚醒剤を使いました。
回数を重ねるうちに、体が肉と骨だけになってしまいました。いつも、部屋にこもって何もせず、毎日のぼせていました。ついに、幻覚を見たり、大丈夫とは思えない行動をしたりするようになりました。いつも誰かに見られているような感じがして、寝ても誰かがついてきそうで怖くなり、一晩中街を走り回っていました。また、覚醒剤の欲しさに、通りがかりの人を何も言わずに殴って財布を奪いました。あのまま覚醒剤を飲んでいたら人を殺していたかもしれません。
|}
証言1は公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。
{| style="border:2px solid #E18672;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#E18672" |証言2
|-
| style="padding:5px" |私の記憶が正しければ、18歳の時に初めて覚醒剤を知りました。覚醒剤はお金がかかるのに、覚醒剤がないと動けなかったり、仕事に行けなくなったりします。私は覚醒剤を買うために多額の借金をしました。しかし、私は借金を返せず、いつまでも借金に追われていました。実家で隠れてお金を盗もうとすると、母親に見つかってしまいました。
|}
証言2も公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。
== 薬物乱用による犯罪や事故 ==
※薬物乱用が犯罪や事故にどうしてつながりますか?
薬物を乱用すると、自分を見失ってしまい、「自分が狙われている。」「自分の体から虫がたくさん出てきた。」のような幻覚を見てしまいます。その結果、性的な非行・暴力行為・殺人・放火などの恐ろしい犯罪につながります。また、薬物の欲しさに、窃盗や恐喝などの犯罪も起きています。
さらに、薬物乱用は死傷者を出すような大事故にも関わっています。そのため、薬物の乱用は法律で禁止されています。薬物所持と乱用の両方で罰せられます。毎年、世界中で約16万人が薬物使用で死亡しています(2016年)。薬物乱用は世界中の大きな問題となっており、どの国でも法律で厳しく禁止されています。
このように、薬物乱用は個人の体と心の健康だけでなく、家族・学校・地域社会に深刻な影響を受けます。
★社会への影響
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== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育]]
[[カテゴリ:物質乱用]] | 2024-01-08T22:36:36Z | 2024-02-08T07:51:19Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E8%96%AC%E7%89%A9%E4%B9%B1%E7%94%A8%E3%81%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%BD%B1%E9%9F%BF |
38,917 | 中学校保健体育/薬物乱用の害と健康 | 覚醒剤や大麻などを乱用すると、体や心にどのような影響が出ますか?
覚醒剤・大麻・薬物乱用・ドーピング・依存症状
※薬物乱用について調べてみましょう。
★様々な乱用薬物
もし、禁止薬物(覚醒剤・大麻・麻薬)・禁止化学物質(モルヒネ・有機溶剤)を息抜きのために1回でも使ったら、薬物乱用になります。
薬物の名前や見た目に騙されないようにしましょう。誰かに言われても、薬物に手を出さないようにしましょう。
※薬物を乱用すると、脳にどのような悪影響をもたらしますか?
覚醒剤を乱用すると、気分が高まったり、疲れがとれたように感じたりします。しかし、薬が切れると、疲れやすくなり、気分も落ち込み、体力も落ちてきます。乱用を繰り返すと、幻覚や妄想も見られます。乱用をやめても、お酒を飲んだり、強いストレスを受けたりすると、いきなり幻覚や妄想が現れます(フラッシュバック)。また、体が弱くなったり歯が抜けたりして、身体にも大きく影響します。覚醒剤を1回使っただけで呼吸が止まったり、脳の血管が破れたりして、命を落としてしまう場合もあります。
大麻を乱用すると、不思議な感覚になったり、精神が錯乱状態になったり、幻覚や妄想が見られます。乱用を繰り返すと、頭の中がすっきりしなくなったり、気力がわかなくなったりします。また、身体的な障害(気管支炎や白血球数の減少など)や性機能の障害(精子数の減少や月経異常など)が起こります。
このように、薬物を乱用すると脳に大きな影響を与えるので、脳の損傷部分の働きを弱めたり、様々な悪影響をもたらしたりします。
薬物を乱用すると、幻覚(幻視や幻聴)が出たり、急死したりします。薬物をやめてからしばらく経っていても、いきなり幻覚などの症状がみられるようになります(フラッシュバック)。また、ドーピングでは、禁止薬物を使ってスポーツの成績を上げようとします。不整脈・肝障害・精神症状が出たり、公平・公正な競技を妨げたりするので、ドーピングを厳しく禁止されています。
★薬物乱用は脳に影響します。
妊娠中に薬物を乱用すると、胎児の発達に影響が出ます。そして、赤ちゃんが薬物依存症になりやすくなります。また、男性が薬物を乱用すると、精子を傷つけてしまいます。
※薬物を乱用すると、体や心にどのような影響が出ますか?
薬物乱用を繰り返すと、体が疲れやすくなったり、体が震えやすくなったりします。また、薬物の効き目がなくなると、精神的な苦痛から薬物を再び使いたくなったりします(依存症状)。1回だけ使用しても、依存症状が現れます。依存症状が現れると、自分の意思で薬物をやめにくくなります。そのため、心身の健全な発育や人格の形成に大きな悪影響をもたらします。 | [
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] | 覚醒剤や大麻などを乱用すると、体や心にどのような影響が出ますか? | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[中学校の学習]]>[[中学校保健体育]]>薬物乱用の害と健康
覚醒剤や大麻などを乱用すると、体や心にどのような影響が出ますか?
== キーワード ==
覚醒剤・大麻・薬物乱用・ドーピング・依存症状
== 薬物乱用とは ==
※薬物乱用について調べてみましょう。
{| style="border:2px solid #C39EAB;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#C39EAB" |危険ドラッグの恐ろしさ
|-
| style="padding:5px" |多くの薬物は名前や見た目だけで危険だと思われないようになっています。薬物の中でも、「合法」「脱法」として売られたり、「お香」「ハーブ」「入浴剤」などと嘘をついて売られたりします。このような薬物は危険ドラッグと呼ばれています。服用者は急性の錯乱状態などのような症状が出たり、転落事故や交通事故などを起こしたりしています。危険ドラッグは店舗やインターネットでも買えます。どのような危険性があるかわからないので、危険ドラッグも絶対に手を出してはなりません。
|}
★様々な乱用薬物
* 様々な形をしているので、見た目では分かりません。
* 薬物や有害物質を隠すために、隠語(別のよび名)を使います。
{| class="wikitable"
!種類
!隠語
!主な症状
|-
!有機溶剤
(シンナー・トルエン)
|アンパン・ジュントロなど
|
* 幻覚・妄想・意識障害
* 延髄麻痺による突然死
|-
!覚醒剤
|スピード・エス・アイス・シャブなど
|
* 興奮作用・睡眠欲求・食欲や疲労感の低下・気分の高揚
* 幻覚・妄想・錯乱状態
* 強い依存性
* 1回の使用でも急性中毒で亡くなります。
|-
!大麻
|<small>マリファナ・チョコ・ハッパ・ハシシュ・グラスなど</small>
|
* 心拍数の増加・目の充血・思考力や記憶力の低下
* 幻覚・妄想
* 白血球減少・免疫力の低下・生殖機能の障害・意欲の低下
|}
もし、禁止薬物('''覚醒剤・大麻'''・麻薬)・禁止化学物質(モルヒネ・有機溶剤)を息抜きのために1回でも使ったら、'''薬物乱用'''になります。<gallery widths="200" heights="200">
ファイル:Thinner Superior.jpg|シンナー
ファイル:Crystal Meth.jpg|覚醒剤
ファイル:ST-3-bud.jpg|大麻
</gallery>薬物の名前や見た目に騙されないようにしましょう。誰かに言われても、薬物に手を出さないようにしましょう。
{| style="border:2px solid #F9c570;width:100%" cellspacing="0"
! style="background:#F9c570" |'''覚醒剤取締法第1条(この法律の目的)'''
|-
| style="padding:5px" |覚醒剤取締法は、覚醒剤の濫用から保健衛生上の危害を防止するためにあります。覚醒剤取締法では、覚醒剤・覚醒剤原料の輸入・輸出・所持・生産・譲渡・譲受・使用についての必要な決まりを定めます。
|}
== 薬物乱用の健康への影響 ==
※薬物を乱用すると、脳にどのような悪影響をもたらしますか?
'''覚醒剤'''を乱用すると、気分が高まったり、疲れがとれたように感じたりします。しかし、薬が切れると、疲れやすくなり、気分も落ち込み、体力も落ちてきます。乱用を繰り返すと、幻覚や妄想も見られます。乱用をやめても、お酒を飲んだり、強いストレスを受けたりすると、いきなり幻覚や妄想が現れます(フラッシュバック)。また、体が弱くなったり歯が抜けたりして、身体にも大きく影響します。覚醒剤を1回使っただけで呼吸が止まったり、脳の血管が破れたりして、命を落としてしまう場合もあります。
'''大麻'''を乱用すると、不思議な感覚になったり、精神が錯乱状態になったり、幻覚や妄想が見られます。乱用を繰り返すと、頭の中がすっきりしなくなったり、気力がわかなくなったりします。また、身体的な障害(気管支炎や白血球数の減少など)や性機能の障害(精子数の減少や月経異常など)が起こります。
このように、薬物を乱用すると脳に大きな影響を与えるので、脳の損傷部分の働きを弱めたり、様々な悪影響をもたらしたりします。
薬物を乱用すると、幻覚(幻視や幻聴)が出たり、急死したりします。薬物をやめてからしばらく経っていても、いきなり幻覚などの症状がみられるようになります(フラッシュバック)。また、'''ドーピング'''では、禁止薬物を使ってスポーツの成績を上げようとします。不整脈・肝障害・精神症状が出たり、公平・公正な競技を妨げたりするので、ドーピングを厳しく禁止されています。
[[ファイル:薬物乱用の悪循環.png|サムネイル|360x360px|薬物乱用の悪循環]]
★薬物乱用は脳に影響します。
{| class="wikitable"
!頭頂葉
!視覚
|【幻視】
* 物が大きく見えます。
* 物が小さく見えます。
* 物が変わって見えます
* そこにないのに見えてしまいます。
|-
!後頭葉
!運動
|
* 手足が震えます。
* 手足の動きがはっきりしません。
|-
! rowspan="2" |側頭葉
!聴覚
|【幻聴】
そこにない音が聞こえます。
|-
!記憶
|記憶が薄れます。
|-
! rowspan="2" |前頭葉
!運動
|手足が痺れて自由に動けません。
|-
!言葉・思考
|考える力が弱くなります。
|}
妊娠中に薬物を乱用すると、胎児の発達に影響が出ます。そして、赤ちゃんが薬物依存症になりやすくなります。また、男性が薬物を乱用すると、精子を傷つけてしまいます。
== 薬物乱用の悪循環 ==
※薬物を乱用すると、体や心にどのような影響が出ますか?
薬物乱用を繰り返すと、体が疲れやすくなったり、体が震えやすくなったりします。また、薬物の効き目がなくなると、精神的な苦痛から薬物を再び使いたくなったりします('''依存症状''')。1回だけ使用しても、依存症状が現れます。依存症状が現れると、自分の意思で薬物をやめにくくなります。そのため、心身の健全な発育や人格の形成に大きな悪影響をもたらします。
== 資料出所 ==
* 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
* 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年
[[カテゴリ:中学校保健体育]]
[[カテゴリ:覚醒剤]]
[[カテゴリ:大麻]]
[[カテゴリ:物質乱用]] | 2024-01-09T03:13:14Z | 2024-02-08T07:51:16Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BF%9D%E5%81%A5%E4%BD%93%E8%82%B2/%E8%96%AC%E7%89%A9%E4%B9%B1%E7%94%A8%E3%81%AE%E5%AE%B3%E3%81%A8%E5%81%A5%E5%BA%B7 |
38,918 | C++/JavaやC Sharpなどの中間コード型言語からC++への移行 | JavaやC#のような中間コード型言語からC++への移行は大きな変化ですが、成し遂げれば素晴らしい経験になるでしょう。転換の教育を考える際には、次のようなステップを検討すると良いでしょう。
言語間の移行は時間と労力を要することがありますが、継続的な学習と実践を通じて、新しい言語に対する理解を深めることができます。自分のペースで進めながら、焦らず着実にスキルを身につけていくことが大切です。
以下に、C++、Java、C#の主な特徴や特性の違いを表形式でまとめます。
C++/Java/C#それぞれの言語には、異なる実行形式や実行方法があります。
このように、C++はネイティブコードを生成し、JavaとC#は中間表現を介して仮想マシン上で実行されるため、それぞれの実行形式や実行方法に差異があります。
C++、Java、C#のポインターにはいくつかの重要な違いがあります。
これらの言語のポインターの使い方や扱い方は異なりますが、C++では直接的なメモリの操作が可能であり、JavaとC#ではより安全なメモリ管理機能が提供されています。
C++、Java、C#のプラットフォームの差異については以下のような点が挙げられます。
これらの言語のプラットフォームの差異は、特定のプラットフォームに固定されるか、あるいはクロスプラットフォームでの実行が容易かどうかに関係しています。 C++は特定のプラットフォームに密接に結びついており、JavaとC#はクロスプラットフォーム対応が強化されていますが、初期のC#はWindowsに依存していましたが、現在はクロスプラットフォームに移行しています。
C++、Java、C#はそれぞれ異なるプログラミング言語であり、それぞれの言語に固有の特徴やフレームワークが存在します。
これらの言語とフレームワークの主な違いを以下に示します。
これらの言語とフレームワークはそれぞれ独自の強みと用途があります。例えば、C++は効率性と制御性が求められる場合に適しています。一方で、JavaやC#はエンタープライズアプリケーションやクロスプラットフォーム開発に適しています。選択する際には、プロジェクトのニーズや要件に基づいて適切な言語とフレームワークを選択することが重要です。
それぞれの言語での例外処理の違いを具体的なコード例を交えて説明します。
主な違い点は以下の通りです:
C++、Java、C#の例外処理における final ブロックには異なるアプローチがあります。
Javaでは、例外の発生にかかわらず、確実に実行される finally ブロックがあります。finally ブロックは例外の有無に関わらず最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。例外が発生しても、finally ブロックは常に実行されます。
C++には finally ブロックの直接的な代替手段はありません。しかし、RAII(Resource Acquisition Is Initialization)と呼ばれる概念を利用して、リソースの解放などの後始末を行います。RAIIでは、リソースの確保と解放を同じオブジェクトのライフタイムに結びつけることで、スコープを抜ける際に自動的に解放処理が行われます。
C#もJavaと同様に finally ブロックを持っています。例外の有無にかかわらず、最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。
これらの言語における finally ブロックは、例外処理後の最終的なクリーンアップやリソース解放に使用され、例外の有無にかかわらず実行されます。しかし、C++では直接的な finally ブロックは提供されていませんが、RAIIを使用して同様の目的を達成することができます。
C++、Java、C#におけるゼロ除算(0で割ること)のハンドリングについて説明します。
C++において、ゼロ除算は未定義の動作を引き起こします。つまり、0で割るとプログラムの動作が予測不能になります。これはプログラムに致命的なエラーを引き起こす可能性があります。したがって、C++標準ライブラリはゼロ除算の場合に例外をスローすることはありません。
Javaでは、整数をゼロで割ることは例外 ArithmeticException をスローします。
C#もJavaと同様に、整数をゼロで割ると DivideByZeroException がスローされます。
C++はゼロ除算を行うと未定義の動作になるため、事前にゼロ除算をチェックするか、条件分岐などで安全に処理することが重要です。一方で、JavaやC#はゼロ除算に対して例外をスローし、プログラムの異常終了を防ぐため、例外処理を行うことができます。
C++、Java、C#のジェネリクスはそれぞれ独自のアプローチや機能を持っています。
C++のテンプレートは、ジェネリックプログラミングをサポートしています。テンプレートはコンパイル時に型をパラメータとして受け取り、型に依存しながらコードを生成します。
C++のテンプレートは非常に柔軟であり、異なる型やデータ構造に対してジェネリックなコードを記述できますが、テンプレートのコンパイル時の複雑さやエラーメッセージの読みにくさが課題となることがあります。
Javaのジェネリクスは型安全性を提供するために導入されました。コレクションやメソッドなどの汎用的なデータ構造やアルゴリズムを作成するために使用されます。ジェネリッククラスやメソッドは、実行時ではなくコンパイル時に型の安全性をチェックします。
Javaのジェネリクスは、型の安全性を確保するために使われますが、ジェネリック型の型情報が実行時には消去される「型消去」の影響を受け、一部の制限や制約が存在します。
C#のジェネリクスはJavaのジェネリクスに類似しており、型安全性を提供します。コンパイル時に型の安全性をチェックし、実行時に型情報が保持されます。Javaと同様に、ジェネリッククラスやメソッドを定義し、異なる型に対して再利用可能なコードを作成することができます。
C#のジェネリクスは型の安全性を重視しており、Javaと同様にコンパイル時の型チェックを行いますが、一部の制限や特性の違いが存在することがあります。
それぞれの言語におけるジェネリクスの特性や利点を活かして、型安全性を確保しつつ、再利用可能な汎用的なコードを作成できます。
C++、Java、C#は全てオブジェクト指向プログラミング(OOP)をサポートしていますが、それぞれの言語には異なるアプローチや特性があります。
C++はオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、他の言語と比較して以下のような特徴があります:
Javaは純粋なオブジェクト指向プログラミング言語とされており、以下のような特徴があります:
C#もJavaと同様にオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、いくつかの異なる特徴があります:
これらの言語はいずれもオブジェクト指向プログラミングの利点を活かし、クラス、継承、ポリモーフィズム、カプセル化などの概念を利用してソフトウェアの設計を行いますが、メモリ管理や継承の扱い方などの面で言語ごとに異なる特性が存在します。
C++、Java、C#の型推論にはそれぞれ異なるアプローチや機能があります。
C++11から型推論機能である auto キーワードが導入されました。auto を使うことで、変数の宣言時に初期化式から型を推論することができます。
また、関数テンプレートにおいても、引数の型を明示的に指定せずに、コンパイラが型を推論します。
Javaでは、Java 5からジェネリックスとして型推論機能が導入されました。これにより、ジェネリクスを使う際に型を明示的に宣言する必要がありますが、コンパイラが型を推論してくれます。
また、Java 10からはローカル変数型推論(var)が導入され、以下のように使用できます。
C# 3.0からは、匿名型の導入とともに、var キーワードを使用して変数の型をコンパイラに推論させることができます。
C# 9.0では、より多くの場面で型推論を利用できるようになり、次のようにも利用できます。
これらの言語では、型推論によってコードの可読性を向上させることができますが、適切な使い分けが重要です。明示的な型宣言がコードの理解や保守性を向上させる場面と、型推論が冗長な記述を省略する場面を判断する必要があります。
C++、Java、C#のラムダ式は、匿名関数を簡潔に記述するための構文ですが、それぞれの言語で異なる特性や機能を持っています。
C++11からラムダ式が導入され、関数オブジェクトを簡潔に記述できるようになりました。基本的な構文は次のようになります:
C++のラムダ式では、[] 内にキャプチャリスト(capture list)を指定し、ラムダ式内で使用する外部変数をキャプチャできます。また、戻り値の型を -> の後に指定することができますが、通常はコンパイラが戻り値の型を推論します。
Java 8からラムダ式が導入されました。関数インタフェース(Functional Interface)と呼ばれる単一の抽象メソッドを持つインタフェースをラムダ式として表現できます。
Javaのラムダ式は、メソッド参照(::演算子)、変数のキャプチャ、また一部の外部変数の final キーワードが不要なことなど、シンプルな構文が特徴です。
C# 3.0からラムダ式が導入されました。基本的な構文は次のようになります:
C#のラムダ式もJavaと同様にデリゲート(Delegate)を使用し、引数と処理内容を => の後に記述します。C#のラムダ式は、LINQクエリやイベントハンドラーなど様々な場面で広く使用されています。
これらの言語におけるラムダ式は、匿名関数を簡潔に表現するための機能であり、それぞれの言語の特性や文法に合わせて使い方が異なります。
C++、Java、C#の制御構造には類似点もありますが、いくつかの違いがあります。
C++の制御構造は伝統的なものが多く、以下のような特徴があります:
Javaも伝統的な制御構造を持っていますが、以下の点が異なります:
C#は、Javaと似たような制御構造を持っていますが、いくつかの違いがあります:
各言語の制御構造には類似点がありますが、いくつかの文法上の違いが存在します。これらの違いを理解することで、各言語で効果的なプログラムを書くことができます。
C++、Java、C#における制御構造の条件式の型については、次のような特性があります。
C++における条件式の型は、真偽値を評価できる式です。一般的には真偽値を返す条件式を期待します。例えば、比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) が用いられます。条件式が真であれば、その条件式は真として扱われます。0以外の数値やポインターなど、真偽値として解釈される条件式も存在します。
Javaの条件式の型は、boolean 型の式である必要があります。boolean 型は真偽値を表すため、条件式は必ず true か false を返す必要があります。比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) を使って boolean 型の式を構築します。
C#でもJavaと同様に、条件式の型は bool 型でなければなりません。真偽値を返す条件式が期待されます。比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) を使用して bool 型の式を構築します。
これらの言語では、条件式が真偽値を返す必要がありますが、C++では真偽値として解釈される条件式の幅が広く、0以外の数値やポインターなども条件式として利用されます。一方で、JavaやC#では boolean 型の式が条件式として要求され、true か false を返す必要があります。
C++、Java、C#における整数値を条件式として使う際の差異はあります。
C++では、整数値を条件式として利用することができます。条件式では、0は偽(false)とみなされ、それ以外の値は真(true)とみなされます。これは、C++がC言語の影響を受けているためです。
Javaでは、条件式として整数値を直接利用することはできません。条件式としては、常に boolean 型の値(true または false)が期待されます。そのため、整数値を明示的に比較演算子とともに使う必要があります。
C#もJavaと同様に、条件式として整数値を直接使用することはできません。条件式としては、常に bool 型の値(true または false)が期待されます。同様に、整数値を比較演算子とともに使用する必要があります。
C++では、整数値が条件式として直接利用され、0以外の値は真として解釈されますが、JavaやC#では条件式としては常に boolean 型の値が必要であり、整数値を比較演算子と組み合わせて利用する必要があります。
暗黙の型変換は、ある型から別の型への自動的な変換を意味します。C++、Java、C#の間には暗黙の型変換の挙動に違いがあります。
C++における暗黙の型変換は柔軟であり、異なる型同士の変換が多くの場合で行われます。例えば、整数から浮動小数点数への変換や、派生クラスから基本クラスへのポインターの変換などがあります。
Javaでは暗黙の型変換は比較的制限されています。代入や演算の際に、型が異なる場合には暗黙の型変換は行われません。ただし、プリミティブ型同士での自動的な型変換や、派生クラスから基本クラスへのポリモーフィックな振る舞いはサポートされています。
C#もC++に似ており、暗黙の型変換が比較的多くの場面でサポートされています。ただし、明示的な型変換(キャスト)が必要な場面もあります。また、派生クラスから基本クラスへの変換や、数値型の変換などが暗黙的に行われることがあります。
暗黙の型変換は言語ごとに異なり、それぞれの言語の型システムと言語仕様に依存します。C++はより柔軟な型変換を許容していますが、JavaやC#は型の安全性を重視しているため、暗黙の型変換は限定されています。
C++、Java、C#の言語では、値型と参照型の扱いにおいていくつかの重要な違いがあります。
C++には「値型」と「参照型」という厳密な区分けが存在しません。C++では、すべてが基本的には値(value)です。ポインターや参照を通じてアドレスを渡すことができますが、それらも結局は値です。C++のポインターはアドレスを保持し、参照は別の名前で既存のオブジェクトにアクセスする仕組みですが、それらはあくまで値の表現方法であり、C++には厳密な「参照型」というものはありません。
Javaでは、基本的なデータ型(int、char、booleanなど)は値型です。これらのデータ型はスタックメモリに保存されます。一方、オブジェクト(クラスのインスタンス)は参照型です。参照型の変数は、実際のオブジェクトへの参照を持ち、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。
C#もJavaと同様に、基本的なデータ型(int、char、boolなど)は値型です。これらの値型はスタックメモリに保存されます。一方、クラスやインターフェースなどのオブジェクトは参照型であり、これらの参照型の変数は実際のオブジェクトへの参照を保持し、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。
これらの違いにより、値型はスタックメモリに格納され、速度が速く、メモリの管理が容易ですが、参照型はヒープメモリに保存され、動的にメモリを確保するため、柔軟性がありますが、処理が遅くなる可能性があります。また、参照型は null を許容するため、NullReferenceException といった例外のリスクがあります。
C++、Java、C#のメモリ管理には大きな違いがあります。それぞれの言語では異なるアプローチを取っており、以下に概要をまとめます。
C++は手動のメモリ管理を採用しています。プログラマーが new や malloc などでメモリを明示的に確保し、それを delete や free などで手動で解放する必要があります。この手法は柔軟性が高く、メモリの割り当てと解放を完全にコントロールできますが、誤った使用方法によりメモリリークや解放済みメモリを参照するポインターの問題を引き起こす可能性があります。
Javaではガベージコレクション(Garbage Collection)による自動メモリ管理を採用しています。開発者はオブジェクトを new キーワードで生成し、不要になったオブジェクトは参照がなくなると自動的にガベージコレクタがそれらを検出し、メモリを解放します。これにより、プログラマーが明示的にメモリを解放する必要はありませんが、ガベージコレクションが実行されるタイミングは予測できません。
C#もJavaと同様にガベージコレクションによる自動メモリ管理を採用しています。C#のガベージコレクタもJavaのものと同様に、参照されなくなったオブジェクトを検出し、それらをメモリから解放します。ただし、C#ではアンマネージドコード(アンマネージドリソースへのアクセスなど)を扱う場合、明示的にメモリやリソースの解放を行うことが推奨されます。
異なるメモリ管理方式はそれぞれの言語の特性を反映しており、C++の手動管理は柔軟性が高い反面、ミスによるバグを招きやすく、JavaやC#のガベージコレクションは簡便で安全ですが、パフォーマンスやリソースの制御に制約があります。
C++、Java、C#はいずれもC言語にルーツを持っていますが、それぞれの関係にはいくつかの異なる側面があります。
これらの言語はそれぞれが独自の目標や特徴を持ちながら、C言語からの影響を受けています。C++はC言語を基盤として進化し、JavaやC#はC言語からの一部の概念やシンタックスを引き継いでいますが、それぞれが独自の方向性や特徴を持っています。
C++、Java、C#の所有権システムにはいくつかの違いがあります。
C++の所有権システムは、スマートポインターを使うことで所有権の管理をより安全に行えるようになりました。一方で、JavaとC#はガベージコレクターによる自動的なメモリ管理を提供し、手動での所有権管理を必要としません。
C、C++、Java、C#の規格標準の策定プロセスにはそれぞれ異なる特徴があります。
これらの言語の標準化プロセスはそれぞれ異なる組織や手法に基づいていますが、どれも業界の専門家やコミュニティからのフィードバックを受けており、言語の進化と機能追加に取り組んでいます。
C++、Java、C#のそれぞれの言語には、プログラムの実行を開始するためのエントリーポイントに関する違いがあります。
C++のエントリーポイントは通常、main 関数です。プログラムは main 関数から開始されます。一般的に、C++のエントリーポイントは次のように記述されます。
プログラムが実行されると、最初に main 関数内のコードが実行されます。また、C++ではプログラム開始前にグローバルな初期化コードが実行されることもあります。
Javaのエントリーポイントは通常、public static void main(String[] args) メソッドです。Javaプログラムはこのメソッドから開始されます。
Javaでは、プログラムを開始するために main メソッドが必要です。このメソッドは通常、public、static、voidの修飾子を持ち、引数として文字列配列 String[] args を受け取ります。
C#のエントリーポイントも通常、Main メソッドです。C#プログラムは Main メソッドから開始されます。
C#の Main メソッドもJavaと同様に、通常、static 修飾子を持ち、文字列配列 string[] args を受け取ります。
これらの言語では、プログラムの開始地点を示すエントリーポイントが定義されており、通常は特定のシグネチャを持ったメソッドまたは関数として定義されます。そのシグネチャを守ってエントリーポイントを実装することが重要です。
C++、Java、C#のインターフェース(または抽象クラス)を定義するための構文にはいくつかの違いがあります。
C++では、インターフェースの概念が直接サポートされていませんが、抽象クラスを使って似たような機能を実現することができます。抽象クラスは、少なくとも1つの純粋仮想関数(virtual キーワードと = 0 で宣言される関数)を持ち、そのクラスから派生したクラスがそれらのメソッドを実装しなければなりません。
Javaでは、interface キーワードを使用してインターフェースを定義します。インターフェースは抽象メソッド(メソッド本体がないメソッド)と定数を定義するためのもので、実装は含まれません。
C#もJavaと同様に、interface キーワードを使用してインターフェースを定義します。これも抽象メソッドと定数の宣言に使用されます。
以上のように、C++、Java、C#ではインターフェースの定義方法に若干の違いがありますが、いずれもクラスやオブジェクトの振る舞いを定義するための共通したメカニズムとして利用されています。
C++、Java、C#の修飾子には、それぞれの言語に固有の使い方や機能があります。
これらの修飾子は言語ごとに使い方や意味が異なりますが、共通して静的メンバーや不変なメンバーを定義するために使われることが多いです。
C++、Java、C#の型安定性にはいくつかの違いがあります。
このように、C++ではポインターや動的な型付けによって型安定性が侵害される可能性がありますが、JavaとC#は静的型付けが基本的に保たれ、コンパイル時に型の整合性がチェックされます。ただし、C#にはdynamicな型があり、実行時に型の変更や解決が可能です。
RTTI(Run-Time Type Information)は、実行時に型情報を取得するための機能ですが、C++、Java、C#での実装にはいくつかの違いがあります。
これらの言語では、実行時にオブジェクトの型情報を取得するためのメカニズムが提供されていますが、具体的な方法や使い方には違いがあります。C++ではtypeidやdynamic_cast、Javaではinstanceof、C#ではisやasを使用することで、それぞれの言語で実行時の型情報を扱うことができます。
C++、Java、C#には、基本的な演算子や構文の機能に関して類似点と差異があります。
それぞれの言語には独自の演算子や機能がありますが、基本的な算術演算子や比較演算子などの基本的な演算子は共通しています。また、オーバーロード可能な演算子(C++)、ビット演算子(Java)、LINQ演算子(C#)など、言語固有の機能もあります。
C++、Java、C#には、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、それぞれの言語にはいくつかの違いがあります。
これらの言語では、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、C++では関数スコープや名前空間スコープが強調され、JavaとC#ではメソッドスコープとクラススコープが重要です。
C++、Java、C#には、組み込みのデータ構造がいくつかありますが、これらの言語間にはいくつかの違いがあります。
これらの言語での組み込みデータ構造は、それぞれの言語の標準ライブラリによって提供されています。C++はSTLを使用し、JavaとC#はそれぞれJavaコレクションフレームワークと.NETフレームワークの一部として組み込みのデータ構造を提供しています。
C++、Java、C#の列挙型(Enum)は、同様の機能を持っていますが、いくつかの違いがあります。
これらの言語での列挙型は、定数のグループ化とタイプセーフさを提供しますが、C++、Java、C#それぞれに固有の機能や性質があります。JavaとC#の列挙型は比較的似ており、C++の列挙型は整数値と同等の性質を持っています。
C++、Java、C#におけるタプルの扱いにはいくつかの違いがあります。
C++17以降、標準ライブラリでタプルがサポートされています。std::tupleを使用してタプルを作成し、複数の値をグループ化することができます。
Javaでは、標準ライブラリにはタプルが直接的に提供されていませんが、ライブラリやサードパーティのクラスを使用してタプルのような動作を模倣することができます。
C#では、標準ライブラリでタプルがサポートされており、タプル構文を使用して複数の値をグループ化できます。
これらの言語では、タプルを作成し、複数の値を1つの変数としてまとめることができます。しかし、各言語でのタプルの実装や文法にはいくつかの違いがあります。
C++、Java、C#におけるNULLの扱いにはいくつかの重要な違いがあります。
RustのOptional型やResult型は、エラーハンドリングや値の存在/不在を表現するための便利な機能です。これに類似した機能は、C++、Java、C#にもいくつか存在します。
これらの言語には、RustのOptional型やResult型に類似した機能がいくつか存在しますが、それぞれの言語で独自の実装や標準ライブラリによって提供される方法が異なります。
C++、Java、C#には、数値演算に関するいくつかの類似点と差異があります。
これらの言語では、基本的な数値演算においては共通の演算子が使用されますが、整数除算の挙動やビット演算子のサポート、数値型のサイズやプラットフォームに依存する振る舞いなどに差異があります。
JavaとC#には、C++にはないいくつかの特徴や機能があります。ここでは、主なものをいくつか挙げてみましょう。
C++にはJavaやC#にはない、いくつかの重要な機能や特徴があります。
これらの機能や特徴は、C++の柔軟性とパワーを表していますが、同時に複雑さやバグのリスクを増加させることもあります。JavaやC#は、より安全で簡潔なプログラミング環境を提供する代わりに、一部の柔軟性や直接的な制御を犠牲にしています。
C++、Java、C#のエコシステムはそれぞれ異なる特性とリソースを持っています。
これらのエコシステムは、それぞれの言語の特性や用途に応じて発展しており、開発者がプロジェクトに最適なツールやリソースを選択できるようになっています。
C++、Java、C#はそれぞれ異なる用途に適しています。
これらの言語は、それぞれの特性やエコシステムを持ち、特定の用途に適しています。開発者はプロジェクトの要件や目的に応じて適切な言語を選択することが一般的です。 | [
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"text": "JavaやC#のような中間コード型言語からC++への移行は大きな変化ですが、成し遂げれば素晴らしい経験になるでしょう。転換の教育を考える際には、次のようなステップを検討すると良いでしょう。",
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"text": "言語間の移行は時間と労力を要することがありますが、継続的な学習と実践を通じて、新しい言語に対する理解を深めることができます。自分のペースで進めながら、焦らず着実にスキルを身につけていくことが大切です。",
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"text": "以下に、C++、Java、C#の主な特徴や特性の違いを表形式でまとめます。",
"title": "C++、Java、C#の主な特徴や特性の違い"
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"text": "C++/Java/C#それぞれの言語には、異なる実行形式や実行方法があります。",
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"text": "このように、C++はネイティブコードを生成し、JavaとC#は中間表現を介して仮想マシン上で実行されるため、それぞれの実行形式や実行方法に差異があります。",
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"text": "C++、Java、C#のポインターにはいくつかの重要な違いがあります。",
"title": "ポインター"
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"text": "これらの言語のポインターの使い方や扱い方は異なりますが、C++では直接的なメモリの操作が可能であり、JavaとC#ではより安全なメモリ管理機能が提供されています。",
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"text": "C++、Java、C#のプラットフォームの差異については以下のような点が挙げられます。",
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"text": "これらの言語のプラットフォームの差異は、特定のプラットフォームに固定されるか、あるいはクロスプラットフォームでの実行が容易かどうかに関係しています。 C++は特定のプラットフォームに密接に結びついており、JavaとC#はクロスプラットフォーム対応が強化されていますが、初期のC#はWindowsに依存していましたが、現在はクロスプラットフォームに移行しています。",
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"text": "C++、Java、C#はそれぞれ異なるプログラミング言語であり、それぞれの言語に固有の特徴やフレームワークが存在します。",
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"text": "これらの言語とフレームワークの主な違いを以下に示します。",
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"text": "これらの言語とフレームワークはそれぞれ独自の強みと用途があります。例えば、C++は効率性と制御性が求められる場合に適しています。一方で、JavaやC#はエンタープライズアプリケーションやクロスプラットフォーム開発に適しています。選択する際には、プロジェクトのニーズや要件に基づいて適切な言語とフレームワークを選択することが重要です。",
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"text": "それぞれの言語での例外処理の違いを具体的なコード例を交えて説明します。",
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"text": "主な違い点は以下の通りです:",
"title": "例外処理"
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"text": "C++、Java、C#の例外処理における final ブロックには異なるアプローチがあります。",
"title": "例外処理"
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"text": "Javaでは、例外の発生にかかわらず、確実に実行される finally ブロックがあります。finally ブロックは例外の有無に関わらず最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。例外が発生しても、finally ブロックは常に実行されます。",
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"text": "C++には finally ブロックの直接的な代替手段はありません。しかし、RAII(Resource Acquisition Is Initialization)と呼ばれる概念を利用して、リソースの解放などの後始末を行います。RAIIでは、リソースの確保と解放を同じオブジェクトのライフタイムに結びつけることで、スコープを抜ける際に自動的に解放処理が行われます。",
"title": "例外処理"
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"text": "C#もJavaと同様に finally ブロックを持っています。例外の有無にかかわらず、最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。",
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"text": "これらの言語における finally ブロックは、例外処理後の最終的なクリーンアップやリソース解放に使用され、例外の有無にかかわらず実行されます。しかし、C++では直接的な finally ブロックは提供されていませんが、RAIIを使用して同様の目的を達成することができます。",
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"text": "C++、Java、C#におけるゼロ除算(0で割ること)のハンドリングについて説明します。",
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"text": "C++において、ゼロ除算は未定義の動作を引き起こします。つまり、0で割るとプログラムの動作が予測不能になります。これはプログラムに致命的なエラーを引き起こす可能性があります。したがって、C++標準ライブラリはゼロ除算の場合に例外をスローすることはありません。",
"title": "例外処理"
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"text": "Javaでは、整数をゼロで割ることは例外 ArithmeticException をスローします。",
"title": "例外処理"
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"text": "C#もJavaと同様に、整数をゼロで割ると DivideByZeroException がスローされます。",
"title": "例外処理"
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"text": "C++はゼロ除算を行うと未定義の動作になるため、事前にゼロ除算をチェックするか、条件分岐などで安全に処理することが重要です。一方で、JavaやC#はゼロ除算に対して例外をスローし、プログラムの異常終了を防ぐため、例外処理を行うことができます。",
"title": "例外処理"
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"text": "C++、Java、C#のジェネリクスはそれぞれ独自のアプローチや機能を持っています。",
"title": "ジェネリックス"
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"text": "C++のテンプレートは、ジェネリックプログラミングをサポートしています。テンプレートはコンパイル時に型をパラメータとして受け取り、型に依存しながらコードを生成します。",
"title": "ジェネリックス"
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{
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"text": "C++のテンプレートは非常に柔軟であり、異なる型やデータ構造に対してジェネリックなコードを記述できますが、テンプレートのコンパイル時の複雑さやエラーメッセージの読みにくさが課題となることがあります。",
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"text": "Javaのジェネリクスは型安全性を提供するために導入されました。コレクションやメソッドなどの汎用的なデータ構造やアルゴリズムを作成するために使用されます。ジェネリッククラスやメソッドは、実行時ではなくコンパイル時に型の安全性をチェックします。",
"title": "ジェネリックス"
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"text": "Javaのジェネリクスは、型の安全性を確保するために使われますが、ジェネリック型の型情報が実行時には消去される「型消去」の影響を受け、一部の制限や制約が存在します。",
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"text": "C#のジェネリクスはJavaのジェネリクスに類似しており、型安全性を提供します。コンパイル時に型の安全性をチェックし、実行時に型情報が保持されます。Javaと同様に、ジェネリッククラスやメソッドを定義し、異なる型に対して再利用可能なコードを作成することができます。",
"title": "ジェネリックス"
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"text": "C#のジェネリクスは型の安全性を重視しており、Javaと同様にコンパイル時の型チェックを行いますが、一部の制限や特性の違いが存在することがあります。",
"title": "ジェネリックス"
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"text": "それぞれの言語におけるジェネリクスの特性や利点を活かして、型安全性を確保しつつ、再利用可能な汎用的なコードを作成できます。",
"title": "ジェネリックス"
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"text": "C++、Java、C#は全てオブジェクト指向プログラミング(OOP)をサポートしていますが、それぞれの言語には異なるアプローチや特性があります。",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
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"text": "C++はオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、他の言語と比較して以下のような特徴があります:",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
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"text": "Javaは純粋なオブジェクト指向プログラミング言語とされており、以下のような特徴があります:",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
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"text": "C#もJavaと同様にオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、いくつかの異なる特徴があります:",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
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"text": "これらの言語はいずれもオブジェクト指向プログラミングの利点を活かし、クラス、継承、ポリモーフィズム、カプセル化などの概念を利用してソフトウェアの設計を行いますが、メモリ管理や継承の扱い方などの面で言語ごとに異なる特性が存在します。",
"title": "オブジェクト指向プログラミング"
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"text": "C++、Java、C#の型推論にはそれぞれ異なるアプローチや機能があります。",
"title": "型推論"
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"text": "C++11から型推論機能である auto キーワードが導入されました。auto を使うことで、変数の宣言時に初期化式から型を推論することができます。",
"title": "型推論"
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"text": "また、関数テンプレートにおいても、引数の型を明示的に指定せずに、コンパイラが型を推論します。",
"title": "型推論"
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"text": "Javaでは、Java 5からジェネリックスとして型推論機能が導入されました。これにより、ジェネリクスを使う際に型を明示的に宣言する必要がありますが、コンパイラが型を推論してくれます。",
"title": "型推論"
},
{
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"text": "また、Java 10からはローカル変数型推論(var)が導入され、以下のように使用できます。",
"title": "型推論"
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{
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"text": "C# 3.0からは、匿名型の導入とともに、var キーワードを使用して変数の型をコンパイラに推論させることができます。",
"title": "型推論"
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{
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"text": "C# 9.0では、より多くの場面で型推論を利用できるようになり、次のようにも利用できます。",
"title": "型推論"
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"text": "これらの言語では、型推論によってコードの可読性を向上させることができますが、適切な使い分けが重要です。明示的な型宣言がコードの理解や保守性を向上させる場面と、型推論が冗長な記述を省略する場面を判断する必要があります。",
"title": "型推論"
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{
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"text": "C++、Java、C#のラムダ式は、匿名関数を簡潔に記述するための構文ですが、それぞれの言語で異なる特性や機能を持っています。",
"title": "ラムダ式"
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"text": "C++11からラムダ式が導入され、関数オブジェクトを簡潔に記述できるようになりました。基本的な構文は次のようになります:",
"title": "ラムダ式"
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{
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"text": "C++のラムダ式では、[] 内にキャプチャリスト(capture list)を指定し、ラムダ式内で使用する外部変数をキャプチャできます。また、戻り値の型を -> の後に指定することができますが、通常はコンパイラが戻り値の型を推論します。",
"title": "ラムダ式"
},
{
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"text": "Java 8からラムダ式が導入されました。関数インタフェース(Functional Interface)と呼ばれる単一の抽象メソッドを持つインタフェースをラムダ式として表現できます。",
"title": "ラムダ式"
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"text": "Javaのラムダ式は、メソッド参照(::演算子)、変数のキャプチャ、また一部の外部変数の final キーワードが不要なことなど、シンプルな構文が特徴です。",
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"text": "C# 3.0からラムダ式が導入されました。基本的な構文は次のようになります:",
"title": "ラムダ式"
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"text": "C#のラムダ式もJavaと同様にデリゲート(Delegate)を使用し、引数と処理内容を => の後に記述します。C#のラムダ式は、LINQクエリやイベントハンドラーなど様々な場面で広く使用されています。",
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"text": "これらの言語におけるラムダ式は、匿名関数を簡潔に表現するための機能であり、それぞれの言語の特性や文法に合わせて使い方が異なります。",
"title": "ラムダ式"
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"text": "C++、Java、C#の制御構造には類似点もありますが、いくつかの違いがあります。",
"title": "制御構造"
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"text": "C++の制御構造は伝統的なものが多く、以下のような特徴があります:",
"title": "制御構造"
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"text": "Javaも伝統的な制御構造を持っていますが、以下の点が異なります:",
"title": "制御構造"
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{
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"text": "C#は、Javaと似たような制御構造を持っていますが、いくつかの違いがあります:",
"title": "制御構造"
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"text": "各言語の制御構造には類似点がありますが、いくつかの文法上の違いが存在します。これらの違いを理解することで、各言語で効果的なプログラムを書くことができます。",
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"text": "C++、Java、C#における制御構造の条件式の型については、次のような特性があります。",
"title": "制御構造における条件式の型"
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{
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"tag": "p",
"text": "C++における条件式の型は、真偽値を評価できる式です。一般的には真偽値を返す条件式を期待します。例えば、比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) が用いられます。条件式が真であれば、その条件式は真として扱われます。0以外の数値やポインターなど、真偽値として解釈される条件式も存在します。",
"title": "制御構造における条件式の型"
},
{
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"tag": "p",
"text": "Javaの条件式の型は、boolean 型の式である必要があります。boolean 型は真偽値を表すため、条件式は必ず true か false を返す必要があります。比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) を使って boolean 型の式を構築します。",
"title": "制御構造における条件式の型"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "C#でもJavaと同様に、条件式の型は bool 型でなければなりません。真偽値を返す条件式が期待されます。比較演算子 (<, >, == など) や論理演算子 (&&, ||) を使用して bool 型の式を構築します。",
"title": "制御構造における条件式の型"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、条件式が真偽値を返す必要がありますが、C++では真偽値として解釈される条件式の幅が広く、0以外の数値やポインターなども条件式として利用されます。一方で、JavaやC#では boolean 型の式が条件式として要求され、true か false を返す必要があります。",
"title": "制御構造における条件式の型"
},
{
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"text": "C++、Java、C#における整数値を条件式として使う際の差異はあります。",
"title": "整数をそのまま条件式に使えるか"
},
{
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"text": "C++では、整数値を条件式として利用することができます。条件式では、0は偽(false)とみなされ、それ以外の値は真(true)とみなされます。これは、C++がC言語の影響を受けているためです。",
"title": "整数をそのまま条件式に使えるか"
},
{
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"text": "Javaでは、条件式として整数値を直接利用することはできません。条件式としては、常に boolean 型の値(true または false)が期待されます。そのため、整数値を明示的に比較演算子とともに使う必要があります。",
"title": "整数をそのまま条件式に使えるか"
},
{
"paragraph_id": 66,
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"text": "C#もJavaと同様に、条件式として整数値を直接使用することはできません。条件式としては、常に bool 型の値(true または false)が期待されます。同様に、整数値を比較演算子とともに使用する必要があります。",
"title": "整数をそのまま条件式に使えるか"
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{
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"tag": "p",
"text": "C++では、整数値が条件式として直接利用され、0以外の値は真として解釈されますが、JavaやC#では条件式としては常に boolean 型の値が必要であり、整数値を比較演算子と組み合わせて利用する必要があります。",
"title": "整数をそのまま条件式に使えるか"
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{
"paragraph_id": 68,
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"text": "暗黙の型変換は、ある型から別の型への自動的な変換を意味します。C++、Java、C#の間には暗黙の型変換の挙動に違いがあります。",
"title": "暗黙の型変換"
},
{
"paragraph_id": 69,
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"text": "C++における暗黙の型変換は柔軟であり、異なる型同士の変換が多くの場合で行われます。例えば、整数から浮動小数点数への変換や、派生クラスから基本クラスへのポインターの変換などがあります。",
"title": "暗黙の型変換"
},
{
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"text": "Javaでは暗黙の型変換は比較的制限されています。代入や演算の際に、型が異なる場合には暗黙の型変換は行われません。ただし、プリミティブ型同士での自動的な型変換や、派生クラスから基本クラスへのポリモーフィックな振る舞いはサポートされています。",
"title": "暗黙の型変換"
},
{
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"text": "C#もC++に似ており、暗黙の型変換が比較的多くの場面でサポートされています。ただし、明示的な型変換(キャスト)が必要な場面もあります。また、派生クラスから基本クラスへの変換や、数値型の変換などが暗黙的に行われることがあります。",
"title": "暗黙の型変換"
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{
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"text": "暗黙の型変換は言語ごとに異なり、それぞれの言語の型システムと言語仕様に依存します。C++はより柔軟な型変換を許容していますが、JavaやC#は型の安全性を重視しているため、暗黙の型変換は限定されています。",
"title": "暗黙の型変換"
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"text": "C++、Java、C#の言語では、値型と参照型の扱いにおいていくつかの重要な違いがあります。",
"title": "値型と参照型"
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{
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"text": "C++には「値型」と「参照型」という厳密な区分けが存在しません。C++では、すべてが基本的には値(value)です。ポインターや参照を通じてアドレスを渡すことができますが、それらも結局は値です。C++のポインターはアドレスを保持し、参照は別の名前で既存のオブジェクトにアクセスする仕組みですが、それらはあくまで値の表現方法であり、C++には厳密な「参照型」というものはありません。",
"title": "値型と参照型"
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"text": "Javaでは、基本的なデータ型(int、char、booleanなど)は値型です。これらのデータ型はスタックメモリに保存されます。一方、オブジェクト(クラスのインスタンス)は参照型です。参照型の変数は、実際のオブジェクトへの参照を持ち、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。",
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},
{
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"text": "C#もJavaと同様に、基本的なデータ型(int、char、boolなど)は値型です。これらの値型はスタックメモリに保存されます。一方、クラスやインターフェースなどのオブジェクトは参照型であり、これらの参照型の変数は実際のオブジェクトへの参照を保持し、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。",
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"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "これらの違いにより、値型はスタックメモリに格納され、速度が速く、メモリの管理が容易ですが、参照型はヒープメモリに保存され、動的にメモリを確保するため、柔軟性がありますが、処理が遅くなる可能性があります。また、参照型は null を許容するため、NullReferenceException といった例外のリスクがあります。",
"title": "値型と参照型"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#のメモリ管理には大きな違いがあります。それぞれの言語では異なるアプローチを取っており、以下に概要をまとめます。",
"title": "メモリ管理"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "C++は手動のメモリ管理を採用しています。プログラマーが new や malloc などでメモリを明示的に確保し、それを delete や free などで手動で解放する必要があります。この手法は柔軟性が高く、メモリの割り当てと解放を完全にコントロールできますが、誤った使用方法によりメモリリークや解放済みメモリを参照するポインターの問題を引き起こす可能性があります。",
"title": "メモリ管理"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "Javaではガベージコレクション(Garbage Collection)による自動メモリ管理を採用しています。開発者はオブジェクトを new キーワードで生成し、不要になったオブジェクトは参照がなくなると自動的にガベージコレクタがそれらを検出し、メモリを解放します。これにより、プログラマーが明示的にメモリを解放する必要はありませんが、ガベージコレクションが実行されるタイミングは予測できません。",
"title": "メモリ管理"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "C#もJavaと同様にガベージコレクションによる自動メモリ管理を採用しています。C#のガベージコレクタもJavaのものと同様に、参照されなくなったオブジェクトを検出し、それらをメモリから解放します。ただし、C#ではアンマネージドコード(アンマネージドリソースへのアクセスなど)を扱う場合、明示的にメモリやリソースの解放を行うことが推奨されます。",
"title": "メモリ管理"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "異なるメモリ管理方式はそれぞれの言語の特性を反映しており、C++の手動管理は柔軟性が高い反面、ミスによるバグを招きやすく、JavaやC#のガベージコレクションは簡便で安全ですが、パフォーマンスやリソースの制御に制約があります。",
"title": "メモリ管理"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#はいずれもC言語にルーツを持っていますが、それぞれの関係にはいくつかの異なる側面があります。",
"title": "Cとの関係"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "これらの言語はそれぞれが独自の目標や特徴を持ちながら、C言語からの影響を受けています。C++はC言語を基盤として進化し、JavaやC#はC言語からの一部の概念やシンタックスを引き継いでいますが、それぞれが独自の方向性や特徴を持っています。",
"title": "Cとの関係"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#の所有権システムにはいくつかの違いがあります。",
"title": "所有権システム"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "C++の所有権システムは、スマートポインターを使うことで所有権の管理をより安全に行えるようになりました。一方で、JavaとC#はガベージコレクターによる自動的なメモリ管理を提供し、手動での所有権管理を必要としません。",
"title": "所有権システム"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "C、C++、Java、C#の規格標準の策定プロセスにはそれぞれ異なる特徴があります。",
"title": "規格標準の策定プロセス"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "これらの言語の標準化プロセスはそれぞれ異なる組織や手法に基づいていますが、どれも業界の専門家やコミュニティからのフィードバックを受けており、言語の進化と機能追加に取り組んでいます。",
"title": "規格標準の策定プロセス"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#のそれぞれの言語には、プログラムの実行を開始するためのエントリーポイントに関する違いがあります。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "C++のエントリーポイントは通常、main 関数です。プログラムは main 関数から開始されます。一般的に、C++のエントリーポイントは次のように記述されます。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "プログラムが実行されると、最初に main 関数内のコードが実行されます。また、C++ではプログラム開始前にグローバルな初期化コードが実行されることもあります。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "Javaのエントリーポイントは通常、public static void main(String[] args) メソッドです。Javaプログラムはこのメソッドから開始されます。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "Javaでは、プログラムを開始するために main メソッドが必要です。このメソッドは通常、public、static、voidの修飾子を持ち、引数として文字列配列 String[] args を受け取ります。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "C#のエントリーポイントも通常、Main メソッドです。C#プログラムは Main メソッドから開始されます。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "C#の Main メソッドもJavaと同様に、通常、static 修飾子を持ち、文字列配列 string[] args を受け取ります。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、プログラムの開始地点を示すエントリーポイントが定義されており、通常は特定のシグネチャを持ったメソッドまたは関数として定義されます。そのシグネチャを守ってエントリーポイントを実装することが重要です。",
"title": "エントリーポイント"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#のインターフェース(または抽象クラス)を定義するための構文にはいくつかの違いがあります。",
"title": "抽象クラスとインターフェース"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "C++では、インターフェースの概念が直接サポートされていませんが、抽象クラスを使って似たような機能を実現することができます。抽象クラスは、少なくとも1つの純粋仮想関数(virtual キーワードと = 0 で宣言される関数)を持ち、そのクラスから派生したクラスがそれらのメソッドを実装しなければなりません。",
"title": "抽象クラスとインターフェース"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "Javaでは、interface キーワードを使用してインターフェースを定義します。インターフェースは抽象メソッド(メソッド本体がないメソッド)と定数を定義するためのもので、実装は含まれません。",
"title": "抽象クラスとインターフェース"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "C#もJavaと同様に、interface キーワードを使用してインターフェースを定義します。これも抽象メソッドと定数の宣言に使用されます。",
"title": "抽象クラスとインターフェース"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "以上のように、C++、Java、C#ではインターフェースの定義方法に若干の違いがありますが、いずれもクラスやオブジェクトの振る舞いを定義するための共通したメカニズムとして利用されています。",
"title": "抽象クラスとインターフェース"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#の修飾子には、それぞれの言語に固有の使い方や機能があります。",
"title": "修飾子"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "これらの修飾子は言語ごとに使い方や意味が異なりますが、共通して静的メンバーや不変なメンバーを定義するために使われることが多いです。",
"title": "修飾子"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#の型安定性にはいくつかの違いがあります。",
"title": "型安定性"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "このように、C++ではポインターや動的な型付けによって型安定性が侵害される可能性がありますが、JavaとC#は静的型付けが基本的に保たれ、コンパイル時に型の整合性がチェックされます。ただし、C#にはdynamicな型があり、実行時に型の変更や解決が可能です。",
"title": "型安定性"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "RTTI(Run-Time Type Information)は、実行時に型情報を取得するための機能ですが、C++、Java、C#での実装にはいくつかの違いがあります。",
"title": "RTTI"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、実行時にオブジェクトの型情報を取得するためのメカニズムが提供されていますが、具体的な方法や使い方には違いがあります。C++ではtypeidやdynamic_cast、Javaではinstanceof、C#ではisやasを使用することで、それぞれの言語で実行時の型情報を扱うことができます。",
"title": "RTTI"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#には、基本的な演算子や構文の機能に関して類似点と差異があります。",
"title": "演算子"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "それぞれの言語には独自の演算子や機能がありますが、基本的な算術演算子や比較演算子などの基本的な演算子は共通しています。また、オーバーロード可能な演算子(C++)、ビット演算子(Java)、LINQ演算子(C#)など、言語固有の機能もあります。",
"title": "演算子"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#には、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、それぞれの言語にはいくつかの違いがあります。",
"title": "スコープ"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、C++では関数スコープや名前空間スコープが強調され、JavaとC#ではメソッドスコープとクラススコープが重要です。",
"title": "スコープ"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#には、組み込みのデータ構造がいくつかありますが、これらの言語間にはいくつかの違いがあります。",
"title": "組み込みデータ構造"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "これらの言語での組み込みデータ構造は、それぞれの言語の標準ライブラリによって提供されています。C++はSTLを使用し、JavaとC#はそれぞれJavaコレクションフレームワークと.NETフレームワークの一部として組み込みのデータ構造を提供しています。",
"title": "組み込みデータ構造"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#の列挙型(Enum)は、同様の機能を持っていますが、いくつかの違いがあります。",
"title": "列挙型"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "これらの言語での列挙型は、定数のグループ化とタイプセーフさを提供しますが、C++、Java、C#それぞれに固有の機能や性質があります。JavaとC#の列挙型は比較的似ており、C++の列挙型は整数値と同等の性質を持っています。",
"title": "列挙型"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#におけるタプルの扱いにはいくつかの違いがあります。",
"title": "タプル"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "C++17以降、標準ライブラリでタプルがサポートされています。std::tupleを使用してタプルを作成し、複数の値をグループ化することができます。",
"title": "タプル"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "Javaでは、標準ライブラリにはタプルが直接的に提供されていませんが、ライブラリやサードパーティのクラスを使用してタプルのような動作を模倣することができます。",
"title": "タプル"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "C#では、標準ライブラリでタプルがサポートされており、タプル構文を使用して複数の値をグループ化できます。",
"title": "タプル"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、タプルを作成し、複数の値を1つの変数としてまとめることができます。しかし、各言語でのタプルの実装や文法にはいくつかの違いがあります。",
"title": "タプル"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#におけるNULLの扱いにはいくつかの重要な違いがあります。",
"title": "Null安全性"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "RustのOptional型やResult型は、エラーハンドリングや値の存在/不在を表現するための便利な機能です。これに類似した機能は、C++、Java、C#にもいくつか存在します。",
"title": "Optional型やResult型"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "これらの言語には、RustのOptional型やResult型に類似した機能がいくつか存在しますが、それぞれの言語で独自の実装や標準ライブラリによって提供される方法が異なります。",
"title": "Optional型やResult型"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#には、数値演算に関するいくつかの類似点と差異があります。",
"title": "数値演算"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "これらの言語では、基本的な数値演算においては共通の演算子が使用されますが、整数除算の挙動やビット演算子のサポート、数値型のサイズやプラットフォームに依存する振る舞いなどに差異があります。",
"title": "数値演算"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "数値演算"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "JavaとC#には、C++にはないいくつかの特徴や機能があります。ここでは、主なものをいくつか挙げてみましょう。",
"title": "Java/C#にあってC++にない機能や特徴"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "C++にはJavaやC#にはない、いくつかの重要な機能や特徴があります。",
"title": "C++にあってJava/C#にない機能や特徴"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "これらの機能や特徴は、C++の柔軟性とパワーを表していますが、同時に複雑さやバグのリスクを増加させることもあります。JavaやC#は、より安全で簡潔なプログラミング環境を提供する代わりに、一部の柔軟性や直接的な制御を犠牲にしています。",
"title": "C++にあってJava/C#にない機能や特徴"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#のエコシステムはそれぞれ異なる特性とリソースを持っています。",
"title": "エコシステム"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "これらのエコシステムは、それぞれの言語の特性や用途に応じて発展しており、開発者がプロジェクトに最適なツールやリソースを選択できるようになっています。",
"title": "エコシステム"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "C++、Java、C#はそれぞれ異なる用途に適しています。",
"title": "主な用途"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "これらの言語は、それぞれの特性やエコシステムを持ち、特定の用途に適しています。開発者はプロジェクトの要件や目的に応じて適切な言語を選択することが一般的です。",
"title": "主な用途"
}
] | JavaやC#のような中間コード型言語からC++への移行は大きな変化ですが、成し遂げれば素晴らしい経験になるでしょう。転換の教育を考える際には、次のようなステップを検討すると良いでしょう。 言語間の移行は時間と労力を要することがありますが、継続的な学習と実践を通じて、新しい言語に対する理解を深めることができます。自分のペースで進めながら、焦らず着実にスキルを身につけていくことが大切です。 | [[Java]]や[[C Sharp|C#]]のような中間コード型言語から[[C++]]への移行は大きな変化ですが、成し遂げれば素晴らしい経験になるでしょう。転換の教育を考える際には、次のようなステップを検討すると良いでしょう。
;言語の基礎を理解する: C++の基本構文、データ型、制御構造、クラス、ポインタなど、言語の基礎を理解することが重要です。これには、オンラインのリソースや書籍、チュートリアルが役立ちます。
;言語の特性を比較する: JavaやC#とC++の違いを理解することが大切です。例えば、ガベージコレクションの有無、メモリ管理、ポインタの使用など、言語ごとの特性に焦点を当てます。
;移行の方法を学ぶ: 中間コード型言語からC++への移行方法について学びます。手動変換や自動変換ツールの利用、コードの修正方法など、実践的なスキルを身につける必要があります。
;プログラムの設計と変換手法の理解: プログラムの設計やアーキテクチャにおける違いを理解し、C++での効率的なコーディング方法を学びます。この段階では、C++固有の設計パターンや最適化手法が重要です。
;実践プロジェクトや演習: 理論を学んだ後は、実際にコードを書いてみることが重要です。実際のプロジェクトや演習を通じて、習得した知識を実践に活かすことができます。
;コミュニティやフォーラムの参加: 学習中にコミュニティやフォーラムに参加することで、他の開発者からのフィードバックやアドバイスを得ることができます。C++コミュニティは情報共有において非常に役立ちます。
言語間の移行は時間と労力を要することがありますが、継続的な学習と実践を通じて、新しい言語に対する理解を深めることができます。自分のペースで進めながら、焦らず着実にスキルを身につけていくことが大切です。
== C++、Java、C#の主な特徴や特性の違い ==
以下に、C++、Java、C#の主な特徴や特性の違いを表形式でまとめます。
:{| class=wikitable
|+ C++、Java、C#の主な特徴や特性の違い
|-
!特徴・特性
!C++
!Java
!C#
|-
!実行方式
|ネイティブコード
|中間コード(JVM)
|中間コード(.Net)
|-
!ポインター
|使用可能
|直接サポートしない
|直接サポートしない
|-
!プラットフォーム
|プラットフォーム依存
|プラットフォーム非依存
|プラットフォーム非依存
|-
!フレームワーク
|標準的なフレームワークはない
|豊富なフレームワークが存在
|.NET Frameworkや.NET Coreなど豊富なフレームワーク
|-
!例外処理
|強力な例外処理が可能
|強力な例外処理を提供
|強力な例外処理を提供
|-
!エコシステム
|コンパイラやライブラリの多様性がある
|多くのライブラリと開発ツールが存在
|Visual Studioなどの開発ツールと豊富なライブラリ
|-
!主な用途
|ハードウェア制御、ゲーム開発、パフォーマンス重視
|エンタープライズアプリケーション、クロスプラットフォーム開発
|エンタープライズアプリケーション、Windowsアプリケーション開発
|}
== 実行方式 ==
C++/Java/C#それぞれの言語には、異なる実行形式や実行方法があります。
;C++: C++はネイティブコードを生成し、プラットフォーム固有の実行ファイルを生成します。コンパイルされたC++プログラムは、マシンのアーキテクチャやオペレーティングシステムに合わせて直接実行可能なバイナリに変換されます。このバイナリは、コンピュータ上で直接実行されます。
;Java: Javaのプログラムは、コンパイルされるとバイトコード(中間表現)になります。このバイトコードはプラットフォームに依存しないため、Java仮想マシン(JVM)で実行されます。JVMはプログラムをホスト環境に応じて解釈し、実行します。Javaプログラムは、.classファイルとしてコンパイルされ、これらのファイルがJVM上で実行されます。
; C#: C#も中間表現であるCIL(Common Intermediate Language)にコンパイルされます。CILはプラットフォームに依存せず、.NETフレームワーク上のCommon Language Runtime(CLR)で実行されます。コンパイルされたC#プログラムは、アセンブリとして保存され、CLRによって実行されます。
このように、C++はネイティブコードを生成し、JavaとC#は中間表現を介して仮想マシン上で実行されるため、それぞれの実行形式や実行方法に差異があります。
== ポインター ==
C++、Java、C#のポインターにはいくつかの重要な違いがあります。
;C++
:C++におけるポインターは、メモリ内の別の変数やオブジェクトのアドレスを格納する変数です。つまり、メモリ上の特定の場所を指す「アドレスを持つ変数」です。
:ポインターの操作により、メモリリークやデータ競合などの問題が発生する可能性があります。
:C++のポインターは、高度な柔軟性を提供しますが、その分、バグやセキュリティの問題が発生する可能性も高くなります。
;Java
:ポインターを直接操作することはできません。Javaでは、ポインターの概念はありません。代わりに、オブジェクトへの参照が使用されます。
:Javaの参照は、オブジェクトを操作するための仕組みであり、メモリの詳細な管理はJava仮想マシン(JVM)によって行われます。
:Javaでは、ガベージコレクションによってメモリ管理が行われ、メモリリークの問題を軽減しますが、同時にメモリの効率的な利用に影響を与えることがあります。
; C#
: C#はJavaに似たような振る舞いをします。ポインターの直接的な操作は許可されていませんが、unsafeコードブロック内でポインターを使用することができます。
:unsafeコードブロックを使用すると、通常のガベージコレクションのメカニズム外でメモリを操作できますが、誤った使用はセキュリティの問題を引き起こす可能性があります。
これらの言語のポインターの使い方や扱い方は異なりますが、C++では直接的なメモリの操作が可能であり、JavaとC#ではより安全なメモリ管理機能が提供されています。
== プラットフォーム ==
C++、Java、C#のプラットフォームの差異については以下のような点が挙げられます。
;C++
:プラットフォーム非依存ではありません。コンパイルされたC++コードは特定のプラットフォーム(Windows、Linux、macOSなど)に依存します。
:C++はハードウェアに近いレベルでの操作が可能であり、プラットフォームのネイティブなリソースへのアクセスが可能です。
;Java:Javaはプラットフォームに依存しないプログラムを可能にするため、クロスプラットフォーム対応が強力です。Javaコードはバイトコードにコンパイルされ、Java仮想マシン(JVM)上で実行されるため、異なるプラットフォームで同じコードを実行できます。
;C#:C#は.NETフレームワーク上で実行されるため、最初はWindowsプラットフォーム向けに設計されました。しかし、後にMonoや.NET Core、現在の.NET 8などの取り組みにより、クロスプラットフォーム対応が進んでいます。これにより、Windows以外のプラットフォームでもC#プログラムを実行できるようになりました。
これらの言語のプラットフォームの差異は、特定のプラットフォームに固定されるか、あるいはクロスプラットフォームでの実行が容易かどうかに関係しています。 C++は特定のプラットフォームに密接に結びついており、JavaとC#はクロスプラットフォーム対応が強化されていますが、初期のC#はWindowsに依存していましたが、現在はクロスプラットフォームに移行しています。
== フレームワーク ==
C++、Java、C#はそれぞれ異なるプログラミング言語であり、それぞれの言語に固有の特徴やフレームワークが存在します。
これらの言語とフレームワークの主な違いを以下に示します。
;C++
:;言語の特性: C++は高度な制御と効率性を重視した言語です。ポインタの利用やメモリ管理を含む低レベルな操作が可能です。
:;フレームワーク: C++には標準的なフレームワークはありませんが、様々なライブラリ(例えば、STLやBoost)が存在し、データ構造やアルゴリズム、ネットワーキング、GUIなどの領域でサポートを提供しています。
;Java
:;言語の特性: Javaはオブジェクト指向プログラミング言語であり、プラットフォームに依存しない特性があります。ガベージコレクションによるメモリ管理や例外処理が特徴です。
:;フレームワーク: Javaには豊富なフレームワークがあります。例えば、Spring Frameworkはエンタープライズアプリケーションの開発に広く利用されています。他にも、Hibernate(オブジェクト関係マッピング)、JavaFX(GUI開発)などがあります。
; C#
:;言語の特性: C#はMicrosoftによって開発されたオブジェクト指向プログラミング言語で、.NET Frameworkや.NET Coreなどのプラットフォーム上で動作します。メモリ管理や例外処理など、Javaに類似した特性があります。
:;フレームワーク: C#には.NET Frameworkや.NET Coreがあり、これらは標準ライブラリと共に広範な機能を提供しています。ASP.NET(ウェブアプリケーション)、Entity Framework(データベースアクセス)、WPF(GUI開発)など、多くのフレームワークが利用可能です。
これらの言語とフレームワークはそれぞれ独自の強みと用途があります。例えば、C++は効率性と制御性が求められる場合に適しています。一方で、JavaやC#はエンタープライズアプリケーションやクロスプラットフォーム開発に適しています。選択する際には、プロジェクトのニーズや要件に基づいて適切な言語とフレームワークを選択することが重要です。
== 例外処理 ==
それぞれの言語での例外処理の違いを具体的なコード例を交えて説明します。
=== C++ ===
;例外の投げ方とキャッチ方法
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
try {
// 例外を投げる
throw runtime_error("An error occurred");
} catch (const exception& e) {
// 例外をキャッチし、メッセージを表示
cout << "Caught exception: " << e.what() << endl;
}
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
;例外の投げ方とキャッチ方法
:<syntaxhighlight lang=java>
public class Main {
public static void main(String[] args) {
try {
// 例外を投げる
throw new RuntimeException("An error occurred");
} catch (Exception e) {
// 例外をキャッチし、メッセージを表示
System.out.println("Caught exception: " + e.getMessage());
}
}
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
;例外の投げ方とキャッチ方法
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class Program {
static void Main() {
try {
// 例外を投げる
throw new Exception("An error occurred");
} catch (Exception e) {
// 例外をキャッチし、メッセージを表示
Console.WriteLine("Caught exception: " + e.Message);
}
}
}
</syntaxhighlight>
主な違い点は以下の通りです:
* C++:
** <code>try-catch</code> ブロックで例外をキャッチします。例外オブジェクトは <code>std::exception</code> クラスを継承したオブジェクトで、 <code>what()</code> メソッドでエラーメッセージを取得します。
* Java:
** <code>try-catch</code> ブロックで例外をキャッチします。例外オブジェクトは <code>Exception</code> クラスのサブクラスのオブジェクトです。 <code>getMessage()</code> メソッドでエラーメッセージを取得します。
* C#:
** <code>try-catch</code> ブロックで例外をキャッチします。例外オブジェクトは <code>Exception</code> クラスのオブジェクトです。 <code>Message</code> プロパティでエラーメッセージを取得します。
=== final ===
C++、Java、C#の例外処理における <code>final</code> ブロックには異なるアプローチがあります。
=== Javaの <code>finally</code> ブロック ===
Javaでは、例外の発生にかかわらず、確実に実行される <code>finally</code> ブロックがあります。<code>finally</code> ブロックは例外の有無に関わらず最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。例外が発生しても、<code>finally</code> ブロックは常に実行されます。
:<syntaxhighlight lang=java>
try {
// 例外の可能性がある処理
} catch (Exception e) {
// 例外の処理
} finally {
// 例外の有無にかかわらず実行されるブロック
}
</syntaxhighlight>
=== C++の代替手段 ===
C++には <code>finally</code> ブロックの直接的な代替手段はありません。しかし、RAII(Resource Acquisition Is Initialization)と呼ばれる概念を利用して、リソースの解放などの後始末を行います。RAIIでは、リソースの確保と解放を同じオブジェクトのライフタイムに結びつけることで、スコープを抜ける際に自動的に解放処理が行われます。
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include <fstream>
int main() {
std::ofstream file("example.txt");
if (file.is_open()) {
file << "Hello, RAII!";
}
// fileはここで自動的にクローズされる(RAII)
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== C#の <code>finally</code> ブロック ===
C#もJavaと同様に <code>finally</code> ブロックを持っています。例外の有無にかかわらず、最終的なクリーンアップや後始末を行うために使用されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
try {
// 例外の可能性がある処理
} catch (Exception e) {
// 例外の処理
} finally {
// 例外の有無にかかわらず実行されるブロック
}
</syntaxhighlight>
これらの言語における <code>finally</code> ブロックは、例外処理後の最終的なクリーンアップやリソース解放に使用され、例外の有無にかかわらず実行されます。しかし、C++では直接的な <code>finally</code> ブロックは提供されていませんが、RAIIを使用して同様の目的を達成することができます。
=== ゼロ除算 ===
C++、Java、C#におけるゼロ除算(0で割ること)のハンドリングについて説明します。
=== C++ ===
C++において、ゼロ除算は未定義の動作を引き起こします。つまり、0で割るとプログラムの動作が予測不能になります。これはプログラムに致命的なエラーを引き起こす可能性があります。したがって、C++標準ライブラリはゼロ除算の場合に例外をスローすることはありません。
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
int main() {
int numerator = 10;
int denominator = 0;
// ゼロ除算
int result = numerator / denominator; // 未定義の動作
std::cout << "Result: " << result << std::endl; // 未定義の動作
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaでは、整数をゼロで割ることは例外 <code>ArithmeticException</code> をスローします。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class Main {
public static void main(String[] args) {
int numerator = 10;
int denominator = 0;
try {
// ゼロ除算
int result = numerator / denominator; // ArithmeticExceptionがスローされる
System.out.println("Result: " + result); // この行は実行されない
} catch (ArithmeticException e) {
System.out.println("Error: " + e.getMessage()); // 例外のメッセージを表示
}
}
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#もJavaと同様に、整数をゼロで割ると <code>DivideByZeroException</code> がスローされます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class Program {
static void Main() {
int numerator = 10;
int denominator = 0;
try {
// ゼロ除算
int result = numerator / denominator; // DivideByZeroExceptionがスローされる
Console.WriteLine("Result: " + result); // この行は実行されない
} catch (DivideByZeroException e) {
Console.WriteLine("Error: " + e.Message); // 例外のメッセージを表示
}
}
}
</syntaxhighlight>
C++はゼロ除算を行うと未定義の動作になるため、事前にゼロ除算をチェックするか、条件分岐などで安全に処理することが重要です。一方で、JavaやC#はゼロ除算に対して例外をスローし、プログラムの異常終了を防ぐため、例外処理を行うことができます。
== ジェネリックス ==
C++、Java、C#のジェネリクスはそれぞれ独自のアプローチや機能を持っています。
=== C++ ===
C++のテンプレートは、ジェネリックプログラミングをサポートしています。テンプレートはコンパイル時に型をパラメータとして受け取り、型に依存しながらコードを生成します。
:<syntaxhighlight lang=c++>
template <typename T>
T maximum(T a, T b) {
return (a > b) ? a : b;
}
int main() {
int intMax = maximum(5, 10);
double doubleMax = maximum(3.5, 8.9);
return 0;
}
</syntaxhighlight>
C++のテンプレートは非常に柔軟であり、異なる型やデータ構造に対してジェネリックなコードを記述できますが、テンプレートのコンパイル時の複雑さやエラーメッセージの読みにくさが課題となることがあります。
=== Java ===
Javaのジェネリクスは型安全性を提供するために導入されました。コレクションやメソッドなどの汎用的なデータ構造やアルゴリズムを作成するために使用されます。ジェネリッククラスやメソッドは、実行時ではなくコンパイル時に型の安全性をチェックします。
:<syntaxhighlight lang=java>
class Box<T> {
private T value;
public void setValue(T value) {
this.value = value;
}
public T getValue() {
return value;
}
}
public class Main {
public static void main(String[] args) {
Box<Integer> intBox = new Box<>();
intBox.setValue(5);
int value = intBox.getValue();
}
}
</syntaxhighlight>
Javaのジェネリクスは、型の安全性を確保するために使われますが、ジェネリック型の型情報が実行時には消去される「型消去」の影響を受け、一部の制限や制約が存在します。
=== C# ===
C#のジェネリクスはJavaのジェネリクスに類似しており、型安全性を提供します。コンパイル時に型の安全性をチェックし、実行時に型情報が保持されます。Javaと同様に、ジェネリッククラスやメソッドを定義し、異なる型に対して再利用可能なコードを作成することができます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
class Box<T> {
private T value;
public void SetValue(T value) {
this.value = value;
}
public T GetValue() {
return value;
}
}
class Program {
static void Main() {
Box<int> intBox = new Box<int>();
intBox.SetValue(5);
int value = intBox.GetValue();
}
}
</syntaxhighlight>
C#のジェネリクスは型の安全性を重視しており、Javaと同様にコンパイル時の型チェックを行いますが、一部の制限や特性の違いが存在することがあります。
それぞれの言語におけるジェネリクスの特性や利点を活かして、型安全性を確保しつつ、再利用可能な汎用的なコードを作成できます。
== オブジェクト指向プログラミング ==
C++、Java、C#は全てオブジェクト指向プログラミング(OOP)をサポートしていますが、それぞれの言語には異なるアプローチや特性があります。
=== C++ ===
C++はオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、他の言語と比較して以下のような特徴があります:
* 手動のメモリ管理: C++はメモリ管理を開発者自身が行う必要があります。<code>new</code> で割り当てられたメモリは、<code>delete</code> で明示的に解放する必要があります。
* ポインターと参照: ポインターと参照があり、メモリの効率的な操作を可能にしますが、誤った使い方によるバグのリスクも高くなります。
* 仮想関数と多態性: 仮想関数を用いた多態性をサポートしており、派生クラスのオブジェクトを基本クラスのポインターで操作することができます。
=== Java ===
Javaは純粋なオブジェクト指向プログラミング言語とされており、以下のような特徴があります:
* ガベージコレクション: メモリ管理はJava仮想マシン(JVM)が自動的に行います。開発者はメモリ管理について心配する必要がありません。
* 継承とインタフェース: Javaはクラスの継承とインタフェースを用いて、多態性やコードの再利用性をサポートしています。
* オブジェクト指向の原則の強制: Javaはオブジェクト指向の原則を強制し、例えば全てのクラスはオブジェクトであるため、基本データ型もオブジェクトとして扱います。
=== C# ===
C#もJavaと同様にオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、いくつかの異なる特徴があります:
* プロパティとイベント: C#にはプロパティやイベントなど、Javaにはない独自の機能があります。
* イミュータブルなオブジェクト: C# 9.0以降では、イミュータブルなオブジェクトを作成するための機能が強化されています。
これらの言語はいずれもオブジェクト指向プログラミングの利点を活かし、クラス、継承、ポリモーフィズム、カプセル化などの概念を利用してソフトウェアの設計を行いますが、メモリ管理や継承の扱い方などの面で言語ごとに異なる特性が存在します。
== 型推論 ==
C++、Java、C#の型推論にはそれぞれ異なるアプローチや機能があります。
=== C++ ===
C++11から型推論機能である <code>auto</code> キーワードが導入されました。<code>auto</code> を使うことで、変数の宣言時に初期化式から型を推論することができます。
:<syntaxhighlight lang=c++>
auto var = 10; // varはint型として推論される
</syntaxhighlight>
また、関数テンプレートにおいても、引数の型を明示的に指定せずに、コンパイラが型を推論します。
:<syntaxhighlight lang=c++>
template<typename T, typename U>
auto add(T a, U b) -> decltype(a + b) {
return a + b;
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaでは、Java 5からジェネリックスとして型推論機能が導入されました。これにより、ジェネリクスを使う際に型を明示的に宣言する必要がありますが、コンパイラが型を推論してくれます。
:<syntaxhighlight lang=java>
List<String> list = new ArrayList<>(); // Java 7以降では<>内の型推論が可能
</syntaxhighlight>
また、Java 10からはローカル変数型推論(var)が導入され、以下のように使用できます。
:<syntaxhighlight lang=java>
var number = 10; // numberはint型として推論される
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C# 3.0からは、匿名型の導入とともに、<code>var</code> キーワードを使用して変数の型をコンパイラに推論させることができます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
var name = "John"; // nameはstring型として推論される
</syntaxhighlight>
C# 9.0では、より多くの場面で型推論を利用できるようになり、次のようにも利用できます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int x = 5;
var y = x + 10; // yはint型として推論される
</syntaxhighlight>
これらの言語では、型推論によってコードの可読性を向上させることができますが、適切な使い分けが重要です。明示的な型宣言がコードの理解や保守性を向上させる場面と、型推論が冗長な記述を省略する場面を判断する必要があります。
== ラムダ式 ==
C++、Java、C#のラムダ式は、匿名関数を簡潔に記述するための構文ですが、それぞれの言語で異なる特性や機能を持っています。
=== C++ ===
C++11からラムダ式が導入され、関数オブジェクトを簡潔に記述できるようになりました。基本的な構文は次のようになります:
:<syntaxhighlight lang=c++>
auto lambda = [](int a, int b) -> int {
return a + b;
};
</syntaxhighlight>
C++のラムダ式では、<code>[]</code> 内にキャプチャリスト(capture list)を指定し、ラムダ式内で使用する外部変数をキャプチャできます。また、戻り値の型を <code>-></code> の後に指定することができますが、通常はコンパイラが戻り値の型を推論します。
=== Java ===
Java 8からラムダ式が導入されました。関数インタフェース(Functional Interface)と呼ばれる単一の抽象メソッドを持つインタフェースをラムダ式として表現できます。
:<syntaxhighlight lang=java>
Function<Integer, Integer> add = (a, b) -> a + b;
</syntaxhighlight>
Javaのラムダ式は、メソッド参照(<code>::</code>演算子)、変数のキャプチャ、また一部の外部変数の <code>final</code> キーワードが不要なことなど、シンプルな構文が特徴です。
=== C# ===
C# 3.0からラムダ式が導入されました。基本的な構文は次のようになります:
:<syntaxhighlight lang=c#>
Func<int, int, int> add = (a, b) => a + b;
</syntaxhighlight>
C#のラムダ式もJavaと同様にデリゲート(Delegate)を使用し、引数と処理内容を <code>=></code> の後に記述します。C#のラムダ式は、LINQクエリやイベントハンドラーなど様々な場面で広く使用されています。
これらの言語におけるラムダ式は、匿名関数を簡潔に表現するための機能であり、それぞれの言語の特性や文法に合わせて使い方が異なります。
== 制御構造 ==
C++、Java、C#の制御構造には類似点もありますが、いくつかの違いがあります。
=== C++ ===
C++の制御構造は伝統的なものが多く、以下のような特徴があります:
* if-else文
*: 通常の条件分岐を行います。
*:<syntaxhighlight lang=c++>
if (condition) {
// 条件が真の場合の処理
} else {
// 条件が偽の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
* forループ
*: 初期化、条件、更新を指定する典型的なループです。
*:<syntaxhighlight lang=c++>
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
// ループ処理
}
</syntaxhighlight>
* whileループ
*: 条件が真の間、ループが実行されます。
*:<syntaxhighlight lang=c++>
while (condition) {
// ループ処理
}
</syntaxhighlight>
* 範囲ベースのforループ
*: C++11から範囲ベースのforループが導入されました。
*:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include <vector>
int main() {
std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
// 範囲ベースのforループ
for (int num : numbers) {
std::cout << num << std::endl;
}
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaも伝統的な制御構造を持っていますが、以下の点が異なります:
* for-eachループ
*: コレクションや配列の要素に対する反復処理を行うための特別な構文です。
*:<syntaxhighlight lang=java>
for (Type element : collection) {
// ループ処理
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#は、Javaと似たような制御構造を持っていますが、いくつかの違いがあります:
* foreachループ
*: Javaのfor-eachループに似た構文です。
*:<syntaxhighlight lang=c#>
foreach (var element in collection) {
// ループ処理
}
</syntaxhighlight>
* switch文: C#ではJavaと同様に <code>switch</code> 文には <code>break</code> 文が必要ですが、C#では <code>fall-through</code> はデフォルトで禁止されています。明示的な <code>case</code> ラベルがない限り、 <code>case</code> の下のコードは実行されません。
各言語の制御構造には類似点がありますが、いくつかの文法上の違いが存在します。これらの違いを理解することで、各言語で効果的なプログラムを書くことができます。
== 制御構造における条件式の型 ==
C++、Java、C#における制御構造の条件式の型については、次のような特性があります。
=== C++ ===
C++における条件式の型は、真偽値を評価できる式です。一般的には真偽値を返す条件式を期待します。例えば、比較演算子 (<code><</code>, <code>></code>, <code>==</code> など) や論理演算子 (<code>&&</code>, <code>||</code>) が用いられます。条件式が真であれば、その条件式は真として扱われます。0以外の数値やポインターなど、真偽値として解釈される条件式も存在します。
:<syntaxhighlight lang=c++>
int num = 5;
if (num > 0) {
// 条件式が真の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaの条件式の型は、<code>boolean</code> 型の式である必要があります。<code>boolean</code> 型は真偽値を表すため、条件式は必ず <code>true</code> か <code>false</code> を返す必要があります。比較演算子 (<code><</code>, <code>></code>, <code>==</code> など) や論理演算子 (<code>&&</code>, <code>||</code>) を使って <code>boolean</code> 型の式を構築します。
:<syntaxhighlight lang=java>
int num = 5;
if (num > 0) {
// 条件式が真の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#でもJavaと同様に、条件式の型は <code>bool</code> 型でなければなりません。真偽値を返す条件式が期待されます。比較演算子 (<code><</code>, <code>></code>, <code>==</code> など) や論理演算子 (<code>&&</code>, <code>||</code>) を使用して <code>bool</code> 型の式を構築します。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int num = 5;
if (num > 0) {
// 条件式が真の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
これらの言語では、条件式が真偽値を返す必要がありますが、C++では真偽値として解釈される条件式の幅が広く、0以外の数値やポインターなども条件式として利用されます。一方で、JavaやC#では <code>boolean</code> 型の式が条件式として要求され、<code>true</code> か <code>false</code> を返す必要があります。
== 整数をそのまま条件式に使えるか ==
C++、Java、C#における整数値を条件式として使う際の差異はあります。
=== C++ ===
C++では、整数値を条件式として利用することができます。条件式では、0は偽(false)とみなされ、それ以外の値は真(true)とみなされます。これは、C++がC言語の影響を受けているためです。
:<syntaxhighlight lang=c++>
int num = 5;
if (num) {
// numが0以外の値(真)の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaでは、条件式として整数値を直接利用することはできません。条件式としては、常に <code>boolean</code> 型の値(<code>true</code> または <code>false</code>)が期待されます。そのため、整数値を明示的に比較演算子とともに使う必要があります。
:<syntaxhighlight lang=java>
int num = 5;
if (num != 0) {
// numが0以外の値(真)の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#もJavaと同様に、条件式として整数値を直接使用することはできません。条件式としては、常に <code>bool</code> 型の値(<code>true</code> または <code>false</code>)が期待されます。同様に、整数値を比較演算子とともに使用する必要があります。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int num = 5;
if (num != 0) {
// numが0以外の値(真)の場合の処理
}
</syntaxhighlight>
C++では、整数値が条件式として直接利用され、0以外の値は真として解釈されますが、JavaやC#では条件式としては常に <code>boolean</code> 型の値が必要であり、整数値を比較演算子と組み合わせて利用する必要があります。
== 暗黙の型変換 ==
暗黙の型変換は、ある型から別の型への自動的な変換を意味します。C++、Java、C#の間には暗黙の型変換の挙動に違いがあります。
=== C++ ===
C++における暗黙の型変換は柔軟であり、異なる型同士の変換が多くの場合で行われます。例えば、整数から浮動小数点数への変換や、派生クラスから基本クラスへのポインターの変換などがあります。
:<syntaxhighlight lang=c++>
int num_int = 10;
double num_double = num_int; // intからdoubleへの暗黙の型変換
class Base {
// ...
};
class Derived : public Base {
// ...
};
Derived derivedObj;
Base* basePtr = &derivedObj; // 派生クラスのポインターから基本クラスのポインターへの暗黙の型変換
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaでは暗黙の型変換は比較的制限されています。代入や演算の際に、型が異なる場合には暗黙の型変換は行われません。ただし、プリミティブ型同士での自動的な型変換や、派生クラスから基本クラスへのポリモーフィックな振る舞いはサポートされています。
:<syntaxhighlight lang=java>
int num_int = 10;
double num_double = num_int; // 自動的な型変換(プリミティブ型)
class Base {
// ...
}
class Derived extends Base {
// ...
}
Derived derivedObj = new Derived();
Base baseObj = derivedObj; // 派生クラスのオブジェクトから基本クラスのオブジェクトへの暗黙の型変換(ポリモーフィズム)
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#もC++に似ており、暗黙の型変換が比較的多くの場面でサポートされています。ただし、明示的な型変換(キャスト)が必要な場面もあります。また、派生クラスから基本クラスへの変換や、数値型の変換などが暗黙的に行われることがあります。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int num_int = 10;
double num_double = num_int; // intからdoubleへの暗黙の型変換
class Base {
// ...
}
class Derived : Base {
// ...
}
Derived derivedObj = new Derived();
Base baseObj = derivedObj; // 派生クラスのオブジェクトから基本クラスのオブジェクトへの暗黙の型変換
</syntaxhighlight>
暗黙の型変換は言語ごとに異なり、それぞれの言語の型システムと言語仕様に依存します。C++はより柔軟な型変換を許容していますが、JavaやC#は型の安全性を重視しているため、暗黙の型変換は限定されています。
== 値型と参照型 ==
C++、Java、C#の言語では、値型と参照型の扱いにおいていくつかの重要な違いがあります。
=== C++ ===
C++には「値型」と「参照型」という厳密な区分けが存在しません。C++では、すべてが基本的には値(value)です。ポインターや参照を通じてアドレスを渡すことができますが、それらも結局は値です。C++のポインターはアドレスを保持し、参照は別の名前で既存のオブジェクトにアクセスする仕組みですが、それらはあくまで値の表現方法であり、C++には厳密な「参照型」というものはありません。
=== Java ===
Javaでは、基本的なデータ型(int、char、booleanなど)は値型です。これらのデータ型はスタックメモリに保存されます。一方、オブジェクト(クラスのインスタンス)は参照型です。参照型の変数は、実際のオブジェクトへの参照を持ち、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。
:<syntaxhighlight lang=java>
int value = 5; // 値型
Object obj = new Object(); // 参照型
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#もJavaと同様に、基本的なデータ型(int、char、boolなど)は値型です。これらの値型はスタックメモリに保存されます。一方、クラスやインターフェースなどのオブジェクトは参照型であり、これらの参照型の変数は実際のオブジェクトへの参照を保持し、オブジェクト自体はヒープメモリに保存されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
int value = 5; // 値型
object obj = new object(); // 参照型
</syntaxhighlight>
これらの違いにより、値型はスタックメモリに格納され、速度が速く、メモリの管理が容易ですが、参照型はヒープメモリに保存され、動的にメモリを確保するため、柔軟性がありますが、処理が遅くなる可能性があります。また、参照型は null を許容するため、NullReferenceException といった例外のリスクがあります。
== メモリ管理 ==
C++、Java、C#のメモリ管理には大きな違いがあります。それぞれの言語では異なるアプローチを取っており、以下に概要をまとめます。
=== C++ ===
C++は手動のメモリ管理を採用しています。プログラマーが <code>new</code> や <code>malloc</code> などでメモリを明示的に確保し、それを <code>delete</code> や <code>free</code> などで手動で解放する必要があります。この手法は柔軟性が高く、メモリの割り当てと解放を完全にコントロールできますが、誤った使用方法によりメモリリークや解放済みメモリを参照するポインターの問題を引き起こす可能性があります。
=== Java ===
Javaではガベージコレクション(Garbage Collection)による自動メモリ管理を採用しています。開発者はオブジェクトを <code>new</code> キーワードで生成し、不要になったオブジェクトは参照がなくなると自動的にガベージコレクタがそれらを検出し、メモリを解放します。これにより、プログラマーが明示的にメモリを解放する必要はありませんが、ガベージコレクションが実行されるタイミングは予測できません。
=== C# ===
C#もJavaと同様にガベージコレクションによる自動メモリ管理を採用しています。C#のガベージコレクタもJavaのものと同様に、参照されなくなったオブジェクトを検出し、それらをメモリから解放します。ただし、C#ではアンマネージドコード(アンマネージドリソースへのアクセスなど)を扱う場合、明示的にメモリやリソースの解放を行うことが推奨されます。
異なるメモリ管理方式はそれぞれの言語の特性を反映しており、C++の手動管理は柔軟性が高い反面、ミスによるバグを招きやすく、JavaやC#のガベージコレクションは簡便で安全ですが、パフォーマンスやリソースの制御に制約があります。
== Cとの関係 ==
C++、Java、C#はいずれもC言語にルーツを持っていますが、それぞれの関係にはいくつかの異なる側面があります。
;C++
:C++はC言語を基盤としていますが、C++はC言語にオブジェクト指向プログラミングやテンプレートなどの機能を追加した言語です。C++はC言語のほとんどの機能を継承しており、CのコードはほぼそのままC++で使用できます。しかし、C++は新しい機能や概念を導入しており、クラス、オブジェクト指向プログラミング、テンプレート、例外処理など、C言語にはない機能を持っています。
;Java:JavaもC言語から影響を受けていますが、Cとの関係はC++ほど密接ではありません。JavaはC言語のシンタックスに一部似ていますが、オブジェクト指向プログラミングを中心に設計され、ポインターやメモリの直接的な操作を排除しています。Javaはプラットフォームに依存しない特性を持ち、バイトコードとJVM(Java Virtual Machine)を使用してポータブルなアプリケーションを実現します。
;C#:C#はC++やJavaと同じくC言語にルーツを持っていますが、Microsoftが開発した言語であり、C++やJavaよりもC言語との直接的な関連性は低いと言えます。C#はC++やJavaからの影響を受けつつも、独自の特徴を持ち、Windowsプラットフォーム向けのアプリケーション開発に焦点を当てています。
これらの言語はそれぞれが独自の目標や特徴を持ちながら、C言語からの影響を受けています。C++はC言語を基盤として進化し、JavaやC#はC言語からの一部の概念やシンタックスを引き継いでいますが、それぞれが独自の方向性や特徴を持っています。
== 所有権システム ==
C++、Java、C#の所有権システムにはいくつかの違いがあります。
* C++:
** C++では、所有権の管理においてデフォルトでは直接的な管理が必要です。ポインターを使ってメモリを動的に確保し、必要がなくなったら明示的に解放する必要があります。
** しかし、C++11以降ではスマートポインターが導入されました。<code>std::unique_ptr</code>や<code>std::shared_ptr</code>などのスマートポインタを使用することで、所有権の移譲や共有を管理し、メモリリークを防ぐことができます。<code>std::unique_ptr</code>は単一所有権を持ち、<code>std::shared_ptr</code>は複数の所有者を持つことができます。
* Java:
** Javaの所有権システムはガベージコレクターによって管理されています。ガベージコレクターは不要になったオブジェクトを検出し、自動的にメモリを解放します。開発者は明示的なメモリ解放を行う必要はありません。
* C#:
** C#もJava同様にガベージコレクターを使用しています。メモリの解放や管理はガベージコレクターによって行われ、不要になったオブジェクトは自動的に解放されます。ただし、<code>using</code>ステートメントや<code>IDisposable</code>を使用して、一部のリソースを手動で解放することも可能です。
C++の所有権システムは、スマートポインターを使うことで所有権の管理をより安全に行えるようになりました。一方で、JavaとC#はガベージコレクターによる自動的なメモリ管理を提供し、手動での所有権管理を必要としません。
== ムーブセマンティクス ==
C++、Java、C#の間には、オブジェクトの所有権やデータの移動を扱う方法において、ムーブセマンティクスに関する重要な違いがあります。
# C++:
#* C++では、ムーブセマンティクスはRvalue参照とムーブコンストラクタ(またはムーブ代入演算子)を通じて実現されます。Rvalue参照を使用して、一時的なオブジェクトやムーブ可能なオブジェクトの値を効率的に移動できます。ムーブセマンティクスにより、余分なデータのコピーを避けることができ、パフォーマンスの向上やリソースの効率的な利用が可能です。
# Java:
#* Javaにはムーブセマンティクスの概念はありません。Javaでは、オブジェクトは参照型として扱われ、実際のオブジェクトが存在する場所への参照が渡されます。したがって、オブジェクトの所有権を移動することや、効率的なムーブ操作を行うことはできません。代わりに、Javaではガベージコレクションがオブジェクトのメモリ管理を行い、不要になったオブジェクトを自動的に回収します。
# C#:
#* C#では、C++のような直接的なムーブセマンティクスは提供されていませんが、<code>ref</code>および<code>out</code>キーワードを使用して、参照渡しと値の変更を行うことができます。また、C# 7.0以降では、値型のコピーを避けるための機能として、<code>in</code>キーワードも導入されています。しかし、Java同様、C#もガベージコレクションを利用してメモリ管理を行います。
これらの違いから、C++はムーブセマンティクスを用いたリソース管理や効率的なデータの移動を実現していますが、JavaやC#はガベージコレクションにより自動的なメモリ管理を行うため、オブジェクトの所有権を直接的に移動することはありません。
== 規格標準の策定プロセス ==
C、C++、Java、C#の規格標準の策定プロセスにはそれぞれ異なる特徴があります。
;C言語
:C言語の標準化作業は、ISO/IEC JTC 1/SC 22/WG 14(International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1, Subcommittee 22, Working Group 14)によって管理されています。このワーキンググループは、プログラミング言語Cの標準化に関する作業を担当しており、新しい機能の提案や標準の保守・改訂に取り組んでいます。
;C++言語
:C++言語の標準化作業は、ISO/IEC JTC 1/SC 22/WG 21によって管理されています。これは、C++プログラミング言語の標準化に責任を持つワーキンググループであり、新しい機能の提案や議論、標準規格の改訂などを行っています。WG 21は、国際的なC++コミュニティからの専門家やメンバーで構成されています。
;Java
:Javaの標準化プロセスは、Java Community Process(JCP)によって管理されています。JCPは、Java仕様や関連技術の開発、標準化に関与するための多くの組織や個人からなる委員会で構成されています。新しい機能や改善点はJCPメンバーによる提案と審査を経て取り入れられ、JavaのバージョンアップやJSR(Java Specification Requests)として公開されることがあります。
;C#
:C#は、Microsoftによって開発されており、ECMA(European Computer Manufacturers Association)とISO/IEC(International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission)によって標準化されています。C#言語の仕様はECMA-334およびISO/IEC 23270として標準化されており、ECMAとISOの標準化プロセスに従っています。
これらの言語の標準化プロセスはそれぞれ異なる組織や手法に基づいていますが、どれも業界の専門家やコミュニティからのフィードバックを受けており、言語の進化と機能追加に取り組んでいます。
== エントリーポイント ==
C++、Java、C#のそれぞれの言語には、プログラムの実行を開始するためのエントリーポイントに関する違いがあります。
=== C++ ===
C++のエントリーポイントは通常、<code>main</code> 関数です。プログラムは <code>main</code> 関数から開始されます。一般的に、C++のエントリーポイントは次のように記述されます。
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
int main() {
std::cout << "Hello, World!" << std::endl;
return 0;
}
</syntaxhighlight>
プログラムが実行されると、最初に <code>main</code> 関数内のコードが実行されます。また、C++ではプログラム開始前にグローバルな初期化コードが実行されることもあります。
=== Java ===
Javaのエントリーポイントは通常、<code>public static void main(String[] args)</code> メソッドです。Javaプログラムはこのメソッドから開始されます。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, World!");
}
}
</syntaxhighlight>
Javaでは、プログラムを開始するために <code>main</code> メソッドが必要です。このメソッドは通常、<code>public</code>、<code>static</code>、<code>void</code>の修飾子を持ち、引数として文字列配列 <code>String[] args</code> を受け取ります。
=== C# ===
C#のエントリーポイントも通常、<code>Main</code> メソッドです。C#プログラムは <code>Main</code> メソッドから開始されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class HelloWorld {
static void Main() {
Console.WriteLine("Hello, World!");
}
}
</syntaxhighlight>
C#の <code>Main</code> メソッドもJavaと同様に、通常、<code>static</code> 修飾子を持ち、文字列配列 <code>string[] args</code> を受け取ります。
これらの言語では、プログラムの開始地点を示すエントリーポイントが定義されており、通常は特定のシグネチャを持ったメソッドまたは関数として定義されます。そのシグネチャを守ってエントリーポイントを実装することが重要です。
== 抽象クラスとインターフェース ==
C++、Java、C#のインターフェース(または抽象クラス)を定義するための構文にはいくつかの違いがあります。
=== C++ ===
C++では、インターフェースの概念が直接サポートされていませんが、抽象クラスを使って似たような機能を実現することができます。抽象クラスは、少なくとも1つの純粋仮想関数(<code>virtual</code> キーワードと <code>= 0</code> で宣言される関数)を持ち、そのクラスから派生したクラスがそれらのメソッドを実装しなければなりません。
:<syntaxhighlight lang=c++>
class Interface {
public:
virtual void method() = 0; // 純粋仮想関数
virtual void anotherMethod() {
// 通常の仮想関数も定義できる
}
virtual ~Interface() {} // 仮想デストラクター(必要な場合)
};
</syntaxhighlight>
=== Java ===
Javaでは、<code>interface</code> キーワードを使用してインターフェースを定義します。インターフェースは抽象メソッド(メソッド本体がないメソッド)と定数を定義するためのもので、実装は含まれません。
:<syntaxhighlight lang=java|>
public interface MyInterface {
void method(); // 抽象メソッド
void anotherMethod();
}
</syntaxhighlight>
=== C# ===
C#もJavaと同様に、<code>interface</code> キーワードを使用してインターフェースを定義します。これも抽象メソッドと定数の宣言に使用されます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
public interface IMyInterface {
void Method(); // 抽象メソッド
void AnotherMethod();
}
</syntaxhighlight>
以上のように、C++、Java、C#ではインターフェースの定義方法に若干の違いがありますが、いずれもクラスやオブジェクトの振る舞いを定義するための共通したメカニズムとして利用されています。
== 修飾子 ==
C++、Java、C#の修飾子には、それぞれの言語に固有の使い方や機能があります。
* C++:
** <code>const</code>: 変数を定数化する修飾子。変数が一度初期化されると、その値を変更できなくなります。クラスメンバー関数の末尾につけることで、そのメンバー関数がオブジェクトの状態を変更しないことを示します。
** <code>static</code>: 静的メンバー変数や静的メンバー関数に使用され、クラス自体に関連付けられた要素であることを示します。静的変数はクラス全体で共有され、静的関数はインスタンス化されたオブジェクトとは関連づけられません。
* Java:
** <code>final</code>: 変数やメソッド、クラスに使用され、それぞれに異なる意味を持ちます。変数に使用すると、再代入できない定数となります。メソッドに使用すると、そのメソッドがオーバーライドできなくなります。クラスに使用すると、そのクラスが継承できなくなります。
** <code>static</code>: C++と同様に、静的メンバー変数や静的メンバー関数に使用されます。静的変数はクラス全体で共有され、静的関数はインスタンス化されたオブジェクトとは無関係に呼び出されます。
* C#:
** <code>readonly</code>: メンバー変数を定数化するために使用されます。インスタンス化後の初期化時にのみ値を代入でき、その後は変更できなくなります。
** <code>static</code>: C++やJavaと同様に、静的メンバー変数や静的メンバー関数に使用されます。静的変数はクラス全体で共有され、静的関数はインスタンス化されたオブジェクトとは無関係に呼び出されます。
これらの修飾子は言語ごとに使い方や意味が異なりますが、共通して静的メンバーや不変なメンバーを定義するために使われることが多いです。
== 型安定性 ==
C++、Java、C#の型安定性にはいくつかの違いがあります。
* C++:
** C++は静的型付け言語であり、コンパイル時に型チェックが行われますが、C++には動的型付けも可能です。
** 動的型付けを使用する場合、ポインターや<code>void*</code>を介して型を無視し、実行時にキャストや型の変更を行うことができます。このため、ポインターの操作などで型安定性が損なわれる可能性があります。
* Java:
** Javaも静的型付け言語です。コンパイル時に型チェックが行われ、型安定性が保証されます。
** Javaのオブジェクトは基本的には型安定しており、実行時にキャストを行うことができますが、型が一致しない場合は実行時に例外がスローされます。
* C#:
** C#もJava同様に静的型付け言語です。コンパイル時に型チェックが行われます。
** C#でもオブジェクトの型安定性が保たれますが、動的な型付けも可能で、<code>dynamic</code>キーワードを使用して実行時に動的な型解決を行うことができます。これにより、静的な型チェックを回避することが可能です。
このように、C++ではポインターや動的な型付けによって型安定性が侵害される可能性がありますが、JavaとC#は静的型付けが基本的に保たれ、コンパイル時に型の整合性がチェックされます。ただし、C#には<code>dynamic</code>な型があり、実行時に型の変更や解決が可能です。
== RTTI ==
RTTI(Run-Time Type Information)は、実行時に型情報を取得するための機能ですが、C++、Java、C#での実装にはいくつかの違いがあります。
* C++:
** C++では、RTTIを使用して実行時にオブジェクトの型情報を取得できます。
** <code>typeid</code>演算子や<code>dynamic_cast</code>を使って、オブジェクトの型を調べることができます。<code>typeid</code>演算子は型情報を取得し、<code>dynamic_cast</code>は安全なダウンキャスト(派生クラスへのキャスト)を行います。ただし、RTTIがオンになっていない場合、<code>dynamic_cast</code>は失敗する可能性があります。
* Java:
** Javaでは、<code>instanceof</code>演算子を使って、特定のオブジェクトが特定のクラスやインターフェースのインスタンスであるかを判断できます。これにより、実行時にオブジェクトの型情報を取得することができます。
* C#:
** C#にもJavaと同様に<code>instanceof</code>相当の機能があります。<code>is</code>キーワードを使用して、オブジェクトの型を判定することができます。また、<code>as</code>キーワードを使って安全なキャストを行うことができます。
これらの言語では、実行時にオブジェクトの型情報を取得するためのメカニズムが提供されていますが、具体的な方法や使い方には違いがあります。C++では<code>typeid</code>や<code>dynamic_cast</code>、Javaでは<code>instanceof</code>、C#では<code>is</code>や<code>as</code>を使用することで、それぞれの言語で実行時の型情報を扱うことができます。
== 演算子 ==
C++、Java、C#には、基本的な演算子や構文の機能に関して類似点と差異があります。
=== 共通点: ===
* 代入演算子: <code>=</code> は、変数に値を代入するための演算子です。
* 算術演算子: <code>+</code>(加算)、<code>-</code>(減算)、<code>*</code>(乗算)、<code>/</code>(除算)は、数値の算術演算を行うための演算子です。
* 比較演算子: <code>==</code>(等しい)、<code>!=</code>(等しくない)、<code><</code>(より小さい)、<code>></code>(より大きい)、<code><=</code>(以下)、<code>>=</code>(以上)は、値を比較するための演算子です。
=== 差異: ===
* C++:
** オーバーロード可能な演算子: C++では、ユーザー定義のクラスや構造体で演算子のオーバーロードが可能です。たとえば、<code>+</code>演算子をオーバーロードしてクラスの加算を定義することができます。
** アドレス演算子: <code>&</code> 演算子を使用して変数のアドレスを取得できます。
* Java:
** ビット演算子: Javaにはビット単位の演算子があります。<code>&</code>(ビット AND)、<code>|</code>(ビット OR)、<code>^</code>(ビット XOR)、<code>~</code>(ビット NOT)などが含まれます。
** 文字列結合: 文字列結合には <code>+</code> 演算子を使用します。
* C#:
** Null合体演算子: <code>??</code> 演算子を使用して、nullチェックと代入を同時に行うことができます。
** LINQ演算子: C#には、LINQ(Language Integrated Query)をサポートするための演算子があります。<code>select</code>、<code>where</code>、<code>orderby</code>などのキーワードが含まれます。
それぞれの言語には独自の演算子や機能がありますが、基本的な算術演算子や比較演算子などの基本的な演算子は共通しています。また、オーバーロード可能な演算子(C++, C#)、ビット演算子(Java)、LINQ演算子(C#)など、言語固有の機能もあります。
== 演算子オーバーロード ==
C++、Java、C#はそれぞれ異なる方法で演算子オーバーロード(operator overloading)を扱います。
;C++
:;演算子オーバーロードのサポート: C++は演算子のオーバーロードをサポートしており、ユーザー定義の型に対して演算子の振る舞いをカスタマイズできます。たとえば、+、-、*、/ などの算術演算子や、=、==、!= などの比較演算子をオーバーロードできます。
:;注意点と注意事項: 演算子オーバーロードはユーザー定義型に対して非常に強力な機能ですが、適切に使用されないとコードの可読性を損なう可能性があります。
;Java
:;演算子オーバーロードの制限: Javaは演算子のオーバーロードをサポートしていません。Javaでは組み込みの演算子の振る舞いをカスタマイズすることはできません。代わりに、オブジェクト同士の演算をメソッドを通じて実行する必要があります。
;C#
:;一部の演算子のオーバーロード: C#は一部の演算子のオーバーロードをサポートしています。たとえば、+、-、*、/、=、==、!= などの演算子をオーバーロードできます。これにより、ユーザー定義の型に対して演算子の振る舞いをカスタマイズできます。
:;注意点: C#の演算子オーバーロードは柔軟性がありますが、使いすぎるとコードの理解が難しくなる場合があります。適切に使うことが重要です。
演算子オーバーロードは、C++では比較的自由度が高く、C#でも一部の演算子についてカスタマイズが可能ですが、Javaではサポートされていないため、その違いがあります。
== スコープ ==
C++、Java、C#には、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、それぞれの言語にはいくつかの違いがあります。
=== 共通点: ===
* ブロックスコープ: すべての言語で、中括弧 <code>{}</code> で囲まれたブロック内でのみ有効なスコープが定義されます。変数や関数が宣言されたブロックの終わりまで有効です。
=== 差異: ===
* C++:
** 関数スコープ: C++では、関数内で宣言された変数は、その関数内でのみ有効です。また、ブロックスコープがあっても、C++03までの標準では、ブロック内で宣言された変数はそのブロックの終わりでスコープを失います。ただし、C++11以降ではブロックスコープを持つ変数を宣言できます。
** 名前空間スコープ: C++には名前空間があり、名前空間内に定義された変数や関数は、その名前空間内で有効です。
* Java:
** メソッドスコープ: Javaでは、メソッド内で宣言された変数は、そのメソッド内でのみ有効です。
** クラススコープ: クラス内に宣言されたフィールドやメソッドは、クラス内のどこからでもアクセス可能です。
* C#:
** メソッドスコープ: C#もJavaと同様に、メソッド内で宣言された変数は、そのメソッド内でのみ有効です。
** クラススコープ: クラス内で宣言されたフィールドやメソッドは、そのクラス内のどこからでもアクセス可能です。
これらの言語では、変数や関数が有効な範囲を示すスコープがありますが、C++では関数スコープや名前空間スコープが強調され、JavaとC#ではメソッドスコープとクラススコープが重要です。
== 組み込みデータ構造 ==
C++、Java、C#には、組み込みのデータ構造がいくつかありますが、これらの言語間にはいくつかの違いがあります。
=== 共通点: ===
* 配列: すべての言語で配列がサポートされており、連続したメモリ領域に要素を保持します。
* リスト/動的配列: 可変長のデータ構造で、要素の挿入や削除が効率的に行えるデータ構造があります。
* セット: 重複要素のない要素の集合を管理するデータ構造が提供されています。
* マップ/連想配列: キーと値のペアを保持するデータ構造です。キーを使って値を検索することができます。
=== 差異: ===
* C++:
** C++には、標準テンプレートライブラリ(STL)が含まれており、<code>std::vector</code>(動的配列)、<code>std::list</code>(双方向連結リスト)、<code>std::set</code>(集合)、<code>std::map</code>(連想配列)などがあります。これらのデータ構造はテンプレートによって汎用的に使えます。
** C++では、ポインターや配列などの低レベルなデータ構造も手動で管理することができます。
* Java:
** Javaでは、<code>ArrayList</code>や<code>LinkedList</code>(動的配列と双方向連結リスト)、<code>HashSet</code>や<code>TreeSet</code>(集合)、<code>HashMap</code>や<code>TreeMap</code>(連想配列)などのクラスが提供されています。これらのデータ構造はジェネリクスを使って型安全に使用できます。
* C#:
** C#には、<code>List<T></code>(動的配列)、<code>LinkedList<T></code>(双方向連結リスト)、<code>HashSet<T></code>、<code>TreeSet<T></code>(集合)、<code>Dictionary<TKey, TValue></code>(連想配列)などがあります。これらもジェネリクスを使用して型安全に扱えます。
これらの言語での組み込みデータ構造は、それぞれの言語の標準ライブラリによって提供されています。C++はSTLを使用し、JavaとC#はそれぞれJavaコレクションフレームワークと.NETフレームワークの一部として組み込みのデータ構造を提供しています。
== 列挙型 ==
C++、Java、C#の列挙型(Enum)は、同様の機能を持っていますが、いくつかの違いがあります。
=== 共通点: ===
* 定数のグループ化: 列挙型は、関連する定数をグループ化して扱いやすくします。各定数には整数値が割り当てられています。
* タイプセーフ: 列挙型はタイプセーフであり、列挙型以外の値を代入することはできません。
=== 差異: ===
* C++:
** C++の列挙型は、通常の整数値と同等のものです。暗黙の型変換が可能であり、列挙型を整数に変換することもできます。
** 列挙型のスコープ: C++の列挙型は、デフォルトではその列挙体内で定義された定数がそのスコープ内でのみ有効です。
* Java:
** Javaの列挙型はクラスの特殊な形式であり、定数の集合として扱われます。<code>enum</code>キーワードを使用して定義されます。
** Javaの列挙型は、明示的な型を持ちます。そのため、列挙型からの明示的なキャストは必要ありません。
** 列挙型は暗黙のメソッドや機能を持ち、<code>values()</code>メソッドを使ってすべての列挙型定数を取得したり、<code>valueOf()</code>メソッドで文字列から列挙型定数を取得できます。
* C#:
** C#の列挙型もJavaと同様に、<code>enum</code>キーワードを使用して定義されます。
** C#の列挙型も整数型としての性質を持っており、明示的なキャストを使用して整数に変換できます。また、整数から列挙型へのキャストも可能です。
** 列挙型はビットフラグとして使用されることが多く、ビット単位の演算が可能です。
これらの言語での列挙型は、定数のグループ化とタイプセーフさを提供しますが、C++、Java、C#それぞれに固有の機能や性質があります。JavaとC#の列挙型は比較的似ており、C++の列挙型は整数値と同等の性質を持っています。
== タプル ==
C++、Java、C#におけるタプルの扱いにはいくつかの違いがあります。
=== C++: ===
C++17以降、標準ライブラリでタプルがサポートされています。<code>std::tuple</code>を使用してタプルを作成し、複数の値をグループ化することができます。
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <tuple>
#include <iostream>
int main() {
// タプルの作成
std::tuple<int, double, std::string> myTuple(10, 3.14, "Hello");
// タプルの要素へのアクセス
std::cout << std::get<0>(myTuple) << " "; // 10
std::cout << std::get<1>(myTuple) << " "; // 3.14
std::cout << std::get<2>(myTuple) << std::endl; // "Hello"
return 0;
}
</syntaxhighlight>
=== Java: ===
Javaでは、標準ライブラリにはタプルが直接的に提供されていませんが、ライブラリやサードパーティのクラスを使用してタプルのような動作を模倣することができます。
:<syntaxhighlight lang=java>
import org.javatuples.Triplet; // サードパーティのライブラリを使用
public class Main {
public static void main(String[] args) {
// タプルの作成(サードパーティのライブラリを使用)
Triplet<Integer, Double, String> myTuple = new Triplet<>(10, 3.14, "Hello");
// タプルの要素へのアクセス
System.out.println(myTuple.getValue0()); // 10
System.out.println(myTuple.getValue1()); // 3.14
System.out.println(myTuple.getValue2()); // "Hello"
}
}
</syntaxhighlight>
=== C#: ===
C#では、標準ライブラリでタプルがサポートされており、タプル構文を使用して複数の値をグループ化できます。
:<syntaxhighlight lang=c#>
using System;
class Program {
static void Main() {
// タプルの作成
var myTuple = (10, 3.14, "Hello");
// タプルの要素へのアクセス
Console.WriteLine(myTuple.Item1); // 10
Console.WriteLine(myTuple.Item2); // 3.14
Console.WriteLine(myTuple.Item3); // "Hello"
}
}
</syntaxhighlight>
これらの言語では、タプルを作成し、複数の値を1つの変数としてまとめることができます。しかし、各言語でのタプルの実装や文法にはいくつかの違いがあります。
== Null安全性 ==
C++、Java、C#におけるNULLの扱いにはいくつかの重要な違いがあります。
=== C++: ===
* ポインターの使用: C++においてNULLは、ポインターが特定のアドレスを指していないことを示します。NULLポインターを間違って参照すると、実行時エラーが発生する可能性があります。メモリリークやセグメンテーション違反などの問題が発生することがありますが、C++にはNULL安全性を確保するための明示的な機能はありません。
=== Java: ===
* Null安全性: Javaでは、nullを明示的に扱うためにNullableな型として宣言することができます。JavaにはNullable型とNon-nullable型があり、Nullable型はnullを許容しますが、Non-nullable型はnullを受け入れません。
* NullPointerException: Javaでは、nullが予期せずに使用されるとNullPointerExceptionがスローされます。nullの使用に対してコードで明示的なチェックが行われるため、実行時エラーの発生を防ぐことができます。
=== C#: ===
* Nullable型: C#にはNullable型があり、通常の型(int、boolなど)にnullを許容するための機能が備わっています。例えば、<code>int?</code>型は<code>null</code>か<code>int</code>の値を取ります。
* Null参照例外: C# 8.0からは、Null参照例外(Null Reference Exceptions)が導入されました。これにより、null参照が原因での実行時エラーを回避するために、nullチェックやnull合体演算子の使用が推奨されます。
== Optional型やResult型 ==
RustのOptional型やResult型は、エラーハンドリングや値の存在/不在を表現するための便利な機能です。これに類似した機能は、C++、Java、C#にもいくつか存在します。
=== C++: ===
* Optional: C++17以降、<code>std::optional</code>が導入され、値の存在/不在を表現するための仕組みが提供されました。これは、<code>std::nullopt</code>または<code>std::nullopt_t</code>と組み合わせて使用され、値が存在しない状態を表現します。
* Result-Like: C++には標準ライブラリによるResult型の直接的な実装はありませんが、標準ライブラリやサードパーティのライブラリでエラーコードやエラーのハンドリングを提供する手段が用意されています。例えば、関数がエラーを返す場合に<code>std::error_code</code>などを使ってエラーコードを返すことがあります。
=== Java: ===
* Optional: Java 8から<code>java.util.Optional</code>が導入され、null以外の値の存在/不在を表現します。nullチェックやnull安全性を向上させるために使用されます。
* Result-Like: Javaには標準的なResult型の直接的な実装はありませんが、例外を使用してエラーハンドリングを行うことが一般的です。また、一部のライブラリは、メソッドが正常に終了したかエラーが発生したかを示すために特定の型を返すことがあります。
=== C#: ===
* Optional: C# 8.0から<code>Nullable<T></code>型があり、値型(int、boolなど)がnullを許容するための機能を提供しています。また、C# 6.0からは<code>?.</code>演算子が導入され、null条件演算子として知られており、nullチェックと安全なメンバー参照を同時に行えます。
* Result-Like: C#にはResult型の直接的な実装はありませんが、例外を使用してエラーハンドリングを行うことが一般的です。C# 6.0以降、<code>try-catch</code>や<code>throw</code>文を使ってエラーを処理することができます。
これらの言語には、RustのOptional型やResult型に類似した機能がいくつか存在しますが、それぞれの言語で独自の実装や標準ライブラリによって提供される方法が異なります。
== 数値演算 ==
C++、Java、C#には、数値演算に関するいくつかの類似点と差異があります。
=== 共通点: ===
* 基本的な演算子: 加算(<code>+</code>)、減算(<code>-</code>)、乗算(<code>*</code>)、除算(<code>/</code>)などの基本的な数値演算子が共通して存在します。
* 数値型: 整数型や浮動小数点型など、様々な数値型が提供されており、その型ごとに振る舞いが異なります。
=== 差異: ===
* C++:
** C++では、整数除算の挙動が他の言語と異なります。整数同士の除算では切り捨てられた整数が返されます。
** C++にはビット演算子があり、ビット単位の演算が可能です。
** 数値型のサイズや振る舞いにプラットフォーム依存性があります。
* Java:
** Javaでは、整数同士の除算は切り捨てではなく、最も近い整数値に丸められます。
** Javaの整数型はプラットフォームに依存しないため、サイズや振る舞いが一貫しています。
* C#:
** C#もJavaと同様に整数同士の除算は最も近い整数値に丸められます。
** C#にはビット演算子があり、ビット単位の演算が可能です。
これらの言語では、基本的な数値演算においては共通の演算子が使用されますが、整数除算の挙動やビット演算子のサポート、数値型のサイズやプラットフォームに依存する振る舞いなどに差異があります。
== 実装例 ==
=== エラトステネスの篩 ===
エラトステネスの篩(Sieve of Eratosthenes)は、素数を見つけるための古典的なアルゴリズムです。C++、Java、C#での実装における差異は、基本的なアルゴリズム自体により近く、言語の構文や特性による違いが主です。
基本的なアイデアはどの言語でも同じですが、言語固有の違いが存在します。
;C++での実装例:
:<syntaxhighlight lang=c++>
#include <iostream>
#include <vector>
void eratosthenes(int n) {
std::vector<bool> sieve(n + 1, true);
sieve[0] = false;
sieve[1] = false;
for (int i = 2; i <= n; ++i) {
sieve[i] = true;
}
for (int i = 2; i <= n; ++i) {
if (sieve[i]) {
std::cout << i << std::endl;
for (int j = i * 2; j <= n; j += i) {
sieve[j] = false;
}
}
}
}
int main() {
eratosthenes(100);
}
</syntaxhighlight>
;Javaでの実装例:
:<syntaxhighlight lang=java>
import java.util.*;
public class SieveOfEratosthenes {
public static void eratosthenes(int n) {
boolean[] sieve = new boolean[n + 1];
sieve[0] = false;
sieve[1] = false;
for (int i = 2; i <= n; i++) {
sieve[i] = true;
}
for (int i = 2; i <= n; i++) {
if (sieve[i]) {
System.out.println(i);
for (int j = i * 2; j <= n; j += i) {
sieve[j] = false;
}
}
}
}
public static void main(String[] args) {
eratosthenes(100);
}
}
</syntaxhighlight>
;C#での実装例:
:<syntaxhighlight lang=c#>
public class SieveOfEratosthenes {
public static void Eratosthenes(int n) {
bool[] sieve = new bool[n + 1];
sieve[0] = false;
sieve[1] = false;
for (int i = 2; i <= n; i++) {
sieve[i] = true;
}
for (int i = 2; i <= n; i++) {
if (sieve[i]) {
System.Console.WriteLine(i);
for (int j = i * 2; j <= n; j += i) {
sieve[j] = false;
}
}
}
}
public static void Main() {
Eratosthenes(100);
}
}
</syntaxhighlight>
これらの実装例では、各言語で同じアルゴリズムを使用してエラトステネスの篩を実装しています。基本的なアルゴリズムのアプローチは同じですが、それぞれの言語の構文や特性に合わせて適応されています。
== Java/C#にあってC++にない機能や特徴 ==
JavaとC#には、C++にはないいくつかの特徴や機能があります。ここでは、主なものをいくつか挙げてみましょう。
;ガベージコレクション: JavaとC#はガベージコレクション(GC)を備えており、メモリ管理を自動化します。これにより、手動でメモリの確保と解放を行う必要がなく、メモリリークや無効なメモリアクセスの問題を回避することができます。C++はガベージコレクションを標準でサポートしていませんが、一部のライブラリやツールがこれを提供しています。
;安全性と例外処理:JavaとC#は、例外処理を効果的にサポートしており、プログラムの安全性や信頼性を高めます。例外が発生した場合、適切に処理されることでプログラムのクラッシュを防ぎ、エラーに対処できます。C++にも例外処理がありますが、使い方や挙動においてJavaやC#とは異なることがあります。
;マルチスレッド処理のサポート:JavaとC#は、マルチスレッド処理をより簡単に扱えるように設計されています。両言語はスレッドの作成や同期、並行処理の制御など、高度なマルチスレッドプログラミングをサポートしています。C++にもマルチスレッド処理のライブラリや仕組みはありますが、それらを使用する際には注意が必要です。
;オブジェクト指向プログラミングの強力なサポート:JavaとC#は、オブジェクト指向プログラミングを強力にサポートしています。クラス、インターフェース、継承、ポリモーフィズムなどのOOPの機能が豊富であり、開発効率を高めます。C++もオブジェクト指向プログラミングをサポートしていますが、言語的な機能や柔軟性においてJavaやC#とは異なる点があります。
== C++にあってJava/C#にない機能や特徴 ==
C++にはJavaやC#にはない、いくつかの重要な機能や特徴があります。
;直接メモリの制御:C++では、ポインターを使ってメモリのアドレスに直接アクセスできます。これにより、メモリの動的な割り当てや解放、低レベルなメモリの操作が可能です。これは柔軟性を提供しますが、同時にバグやメモリリークの可能性を高めます。
;マクロ:C++にはプリプロセッサマクロがあります。これはテキスト置換を行う強力な機能で、コンパイル前にコードを変更するための柔軟性を提供します。
;多重継承:C++では、多重継承を使用してダイヤモンド継承(複数のクラスが同じ基底クラスを継承する構造)に関連する問題を解決することができます。JavaやC#にはこのような機能はありません。
;ライブラリやヘッダーの直接管理:C++では、ライブラリやヘッダーの直接の管理が可能です。JavaやC#では、パッケージやモジュールシステムがありますが、C++ではコンパイル時の明示的なリンクやヘッダーのインクルードが必要です。
;ネイティブコードへのコンパイル:C++は、ネイティブコードへの直接コンパイルが可能です。これにより、ハードウェア固有の最適化が行えます。一方、JavaやC#は中間コードにコンパイルされ、実行時に仮想マシンで実行されます。
これらの機能や特徴は、C++の柔軟性とパワーを表していますが、同時に複雑さやバグのリスクを増加させることもあります。JavaやC#は、より安全で簡潔なプログラミング環境を提供する代わりに、一部の柔軟性や直接的な制御を犠牲にしています。
== エコシステム ==
C++、Java、C#のエコシステムはそれぞれ異なる特性とリソースを持っています。
;C++:
:オープンソースのライブラリやフレームワークが豊富に存在し、幅広い用途に使われます。BoostやSTLなどの有名なライブラリがあります。
:C++はハードウェアに近いレベルでの開発が可能であり、高度な制御が必要なアプリケーションやパフォーマンス重視のプロジェクトで利用されます。
;Java
:エンタープライズや大規模なアプリケーション開発に適しています。豊富な標準ライブラリやフレームワークがあり、Spring FrameworkやHibernateなどが代表的です。
:Javaのエコシステムは広範であり、オープンソースコミュニティが活発で多くのツールやライブラリが利用可能です。
; C#
:マイクロソフトの開発プラットフォームに密接に関連しており、Windows向けのアプリケーションやサービス開発に適しています。.NET Frameworkや最近の.NET Core/.NET 5などが利用されます。
:C#のエコシステムは、Visual Studioなどの強力な開発ツールや、ASP.NET、Entity Framework、LINQなどのフレームワークが含まれています。
これらのエコシステムは、それぞれの言語の特性や用途に応じて発展しており、開発者がプロジェクトに最適なツールやリソースを選択できるようになっています。
== 主な用途 ==
C++、Java、C#はそれぞれ異なる用途に適しています。
;C++
:システムプログラミング: ハードウェアに近いレベルでの開発が可能であり、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、組み込みシステムなどの開発に使われます。
;パフォーマンス重視のアプリケーション: リソースの効率的な利用や高速な処理が求められるゲーム開発、グラフィックス処理、エンジニアリングアプリケーションなどで利用されます。
;Java
;エンタープライズアプリケーション: サーバーサイドの大規模なアプリケーションやウェブアプリケーション開発に適しています。安定性やクロスプラットフォーム対応が強みです。
;Androidアプリ開発: Androidプラットフォームの標準言語として採用されており、モバイルアプリケーション開発に使用されます。
; C#
:Windowsアプリケーション開発: C#はマイクロソフトの.NETフレームワークに密接に関連しており、Windowsアプリケーションやサービス開発に適しています。
;ゲーム開発: Unityエンジンの採用により、C#はクロスプラットフォームのゲーム開発に広く使用されています。
;エンタープライズアプリケーション: .NETフレームワークやASP.NETを使用したエンタープライズアプリケーション開発にも利用されます。
これらの言語は、それぞれの特性やエコシステムを持ち、特定の用途に適しています。開発者はプロジェクトの要件や目的に応じて適切な言語を選択することが一般的です。
[[Category:C++]]
[[Category:Java]]
[[Category:C Sharp]] | 2024-01-10T02:18:29Z | 2024-01-10T07:06:29Z | [] | https://ja.wikibooks.org/wiki/C%2B%2B/Java%E3%82%84C_Sharp%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE%E4%B8%AD%E9%96%93%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E5%9E%8B%E8%A8%80%E8%AA%9E%E3%81%8B%E3%82%89C%2B%2B%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%A7%BB%E8%A1%8C |